(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】腹膜透析システム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
A61M1/28 110
A61M1/28 130
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020200127
(22)【出願日】2020-12-02
(62)【分割の表示】P 2019063926の分割
【原出願日】2012-09-23
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】PCT/US2012/30350
(32)【優先日】2012-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504010590
【氏名又は名称】ネクステージ メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バーバンク・ジェフリー、エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー・ジェームス、エム
(72)【発明者】
【氏名】トロイ・デニス、エム
(72)【発明者】
【氏名】ワイス・マーク、ティー
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-511400(JP,A)
【文献】特開2012-011260(JP,A)
【文献】特表2010-502405(JP,A)
【文献】特開2011-189196(JP,A)
【文献】特開2006-218037(JP,A)
【文献】米国特許第6228047(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動腹膜透析サイクラに用いるための腹膜透析用の使い捨てユニットであって、
複数の流体ラインと、前記流体ラインを接続し、前記それぞれのラインのうちの任意のライン間の流れを可能にする、2つのマニホルド部を有するマニホルドとを含む流体回路と、
前記流体回路に予め取り付けられ、前記流体ライン及び前記マニホルドによって相互接続された空バッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器を含み、
前記流体回路は、所定の流体管理システムによって作動されて、その中に複数の流路を画成するように構成され、
前記流体回路は、患者ライン用のコネクタ又は患者ラインのいずれかを備えたポートを有し、
前記濃縮液容器が濃縮液で予め充填されており、
そして、
前記流体回路に接続され、また、そこを経由する流れのために前記2つのマニホルド部を相互接続し、前記自動腹膜透析サイクラに備えられたぜん動ポンプと噛み合うように構成されたポンプ配管セグメントを含む、腹膜透析用の使い捨てユニット。
【請求項2】
前記流体回路は、更に、前記流体回路が前記所定の流体管理システムによって適切に作動された場合、流体が前記ポンプ配管セグメント経由で2つの開口部間で流れることができるように、前記バッチ容器における前記2つの開口部を介して前記バッチ容器を接続するように構成されている、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記バッチ容器はバッグである、請求項2に記載のユニット。
【請求項4】
前記バッチ容器及び前記1つ又は複数の濃縮液容器はバッグである、請求項2に記載のユニット。
【請求項5】
封止・滅菌された内部の流体処理容積を密閉する、請求項2に記載のユニット。
【請求項6】
前記流体ラインを部分的に密閉し、前記マニホルド及び前記ポンプ配管セグメントを密閉する2つの外殻部を更に備え、前記外殻部は窓を有し、外殻部のそれぞれにおける前記窓は、前記流体管理システムの線形アクチュエータが、前記外殻部の外側から前記ポンプ配管セグメントにアクセスし、選択的にクランプすることを可能にするために、それぞれの流体ラインの両側にペアで出現する、請求項1に記載のユニット。
【請求項7】
前記流体回路の前記流体ラインが取り付けられる単一のバックプレーンを更に備える、請求項1に記載のユニット。
【請求項8】
水の供給源を前記マニホルドに接続する水入口ラインを更に備える、請求項1に記載のユニット。
【請求項9】
前記マニホルドは、前記ポンプ配管セグメントに前記バッチ容器を接続するように構成されている、請求項1に記載のユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照関連出願]
本出願は、2012年3月23日に出願された国際出願PCT/US12/30350の権利を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
開示された主題は、一般的に、末期の腎不全の処置に関し、特に、腹膜透析を実施するための装置、方法、システム、改善、及び構成要素に関する。
【0003】
腹膜透析は、長年用いられている成熟した技術であり、2つの一般的形態の透析の1つである。もう1つは、血液透析であり、これは、腎臓患者の血液を直接清浄にするために人工的なメンブレンを用いる。腹膜透析は、腹膜の自然なメンブレンを用いて、血液から過剰な水及び毒素を除去し得る。
【0004】
腹膜透析では、腹壁経由で挿入されたカテーテルを用いて、滅菌された腹膜溶液が患者の腹膜腔に注入される。溶液は、滞留期間の間、腹膜腔に留まる。患者の血液との浸透交換は、腹膜メンブレン間で起こり、血液から尿素及び他の毒素及び過剰水を除去する。調整する必要があるイオンもまたメンブレン間で交換される。過剰水を除去すると、注入するよりも大きな容積の流体が患者から除去される。正味超過量は、限外ろ過液と呼ばれ、除去のプロセスは、限外ろ過と呼ばれる。滞留時間後、透析物は、カテーテル経由で体腔から除去される。
【0005】
腹膜透析は、腹膜感染のリスクが高いため、厳重な滅菌の保守を必要とする。感染のリスクは、患者が透析物に長時間さらされるため、特に高い。
【0006】
腹膜透析の1つの形態では、これはサイクラ補助付き腹膜透析と称されることもあるが、自動サイクラが、透析物を注入及び排出するために用いられる。この形態の処置は、夜間、患者が眠っている間に自動的に行なうことができる。そのような処置用の安全メカニズムの内の1つは、サイクラによる限外ろ過液量の監視である。サイクラは、注入される流体の量及び除去された量を測定して、正味流体除去を算出することによって、この監視機能を実施する。
【0007】
処置シーケンスは、通常、患者が腹膜を透析物で充填せずに自動処理を始める所謂「乾燥日」を除き、使用済み透析物の腹膜腔を空にする初期の排出サイクルで始まる。そして、サイクラは、一連の充填、滞留、及び排出サイクルを実施し、通常、充填サイクルで終了する。
【0008】
充填サイクルは、過剰圧力に対する許容範囲が小さい腹膜腔を超過圧力にさらすリスクを引き起こす。従来の腹膜透析では、透析物容器は、充填圧力が高さの差によって決まるように、患者の腹部より上方の或るレベルまで持ち上げられる。自動システムは、或るレベルを超えて圧力を生成できないポンプを用いることもあるが、患者-サイクラレベル差により流体柱高さが生じ、過剰圧力の原因となり得ることから、このシステムは、完全に信頼できるものではない。また、逆の高さ差は、不完全な排出処理のために流体平衡計算の誤差をもたらす可能性がある。
【0009】
近年のサイクラは、各サイクル中、充填容積を調整することによって充填できる。容積は、処方箋に基づきコントローラに入力することができる。処方箋は、これは透析物の組成も決定するが、患者の大きさ、体重、及び他の判断基準に基づき得る。誤差のために、処方箋は、不正確又は不完全に実現されることがあるため、患者の福祉や健康に害を与え得る。
【0010】
圧力を測定するシステムが提案されている。例えば、サイクラにおいて流体回路に接触する圧力センサについて記述されている。このセンサは、充填/排出ラインの近端部の圧力を示す。動作中、圧力センサに接続されたコントローラは、圧力センサによって検出された圧力の変化に応じて、腹膜透析機械の動作を変更する。
【発明の概要】
【0011】
簡潔に言えば、自動腹膜透析システムは、処方箋主導の透析流体調合、一体型使い捨て流体回路、及び高い安全マージンで正確なファイル処理及び排出処理制御を可能にするセンサ機能等の様々な特徴を提供する。特徴には、いずれかの端部に圧力センサを備えた腹膜流体回路、並びに圧力信号を用いるための方法及び装置が含まれる。他の特徴及び実施形態を開示する。
【0012】
開示された主題の実施形態の目的及び利点は、添付図面と共に考察すると、以下の説明から明らかになる。
【0013】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に述べる。図面では、同様な参照数字は同様な要素を表す。添付図面は、必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。該当する場合、幾つかの特徴は、根底にある特徴の説明を助けるために示されないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】開示された主題の実施形態による、圧力センサが患者及び腹膜透析サイクラに配置された腹膜透析システムを示す図。
【
図2A】開示された主題の実施形態によるポッド型圧力センサを示す図。
【
図2B】開示された主題の実施形態による、一体型圧力センサを備えた腹膜透析配管セットを示す図。
【
図3A】開示された主題の実施形態によるサイクラ及び腹膜透析充填/排出ラインを示す図。
【
図3B】開示された主題の実施形態による、腹膜カテーテルを備えた充填/排出ラインを示す図。
【
図3C】腹膜充填/排出ライン及び圧力ポッドタイプ圧力センサをそれ上に有する腹膜充填/排出ラインセットの一実施形態に用いることができる共押出し成形空気ライン及び流体ラインを示す図。
【
図4A】開示された主題の更なる実施形態による、腹膜カテーテルを備えた充填/排出ラインを示す図。
【
図4B】開示された主題の更なる実施形態による、腹膜カテーテルを備えた充填/排出ラインを示す図。
【
図5A】開示された主題の実施形態による、圧力センサを用いてサイクラの充填/排出プロセスを監視するための手順のスレッドを示す図。
【
図5B】開示された主題の実施形態による、圧力センサを用いてサイクラの充填/排出プロセスを監視するための手順のスレッドを示す図。
【
図5C】開示された主題の実施形態による、圧力センサを用いてサイクラの充填/排出プロセスを監視するための手順のスレッドを示す図。
【
図6A】開示された主題の実施形態による、腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図6B】開示された主題の実施形態による、浸透物質がバッチ容器に追加される第1段階の流体調合における
図6Aの腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図6C】開示された主題の実施形態による、透析物前駆体がバッチ容器の内容物の希釈及び混合によって得られる第2段階の流体調合における
図6Aの腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図6D】開示された主題の実施形態による、透析物前駆体特性が検証される第3段階の流体調合における
図6Aの腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図6E】開示された主題の実施形態による、透析物前駆体が電解質をバッチ容器に追加することによって更に調合される第4段階の流体調合における
図6Aの腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図6F】開示された主題の実施形態による、最終用途の透析液がバッチ容器内容物の希釈の調整によって調合される第5段階の流体調合における
図6Aの腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図6G】開示された主題の実施形態による、バッチ容器の透析液が検証される第6段階の流体調合における
図6Aの腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図6H】開示された主題の実施形態による、様々な処理モードにおける
図6Aの腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図6K】開示された主題の実施形態による、様々な処理モードにおける
図6Aの腹膜透析液調合・処理システムを示す図。
【
図7A】開示された主題の実施形態による
図6Aの腹膜透析システムに用いるための使い捨て品を示す図。
【
図7B】開示された主題の実施形態によるサイクラ及び流体調合装置に用いられる
図7Aの使い捨て品の一実施形態を示す図。
【
図7C】開示された主題の実施形態によるサイクラ及び流体調合装置に用いられる
図7Aの使い捨て品の一実施形態を示す図。
【
図7D】希釈用の水の供給源として、浄水プラントではなく袋詰めされた水を用いる構成を示す図。
【
図8A】開示された主題の実施形態による、濃縮液から腹膜透析液を生成する腹膜透析システムの概略図を示す図。
【
図8B】如何にしてマニホルドモジュールの弁が動作して、マニホルドモジュールを通過する流体の流れを選択的にブロック及び許容するかを示す図。
【
図8C】如何にしてマニホルドモジュールの弁が動作して、マニホルドモジュールを通過する流体の流れを選択的にブロック及び許容するかを示す図。
【
図9】開示された主題の実施形態による、腎代替療法送出システムをサポートする特徴を備えた浄水器の概略図を示す図。
【
図10】開示された主題の実施形態による、予混合透析物を用いる腹膜透析システムの概略図を示す図。
【
図11】処置用の腹膜透析システムを準備するための及び予混合透析物又は濃縮液のいずれかを用いて処置を実施するためのそれぞれの方法について述べるフローチャートを示す図。
【
図12】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、流体回路呼び水入れのための方法を示す図。
【
図13】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、流体調合のための方法を示す図。
【
図14】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、滅菌フィルタの圧力試験の方法を示す図。
【
図15】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、患者アクセス部に至る患者ラインの呼び水入れのための方法を示す図。
【
図16】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、用いた流体回路を切り離して洗浄するための方法を示す図。
【
図17A】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17B】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17C】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17D】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17E】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17F】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17G】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17H】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17J】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17K】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17L】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17M】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17N】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17P】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17Q】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17R】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17S】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図17T】開示された主題の実施形態による、
図11に示すプロセスの内の1つに用いることができる、処理の準備及び終了のためのステップを示す図。
【
図18】開示された主題の実施形態による制御システムを示す図。
【
図19】開示された主題の実施形態による流体経路及びアクチュエータレイアウトを示す図。
【
図20】一定の行程容積を用いて構成流体の予測成分比率を提供する順次溶液混合システムを示す図。
【
図21】本明細書のいずれか他の箇所に記載された、
図20のシステムや上記PD透析物混合システム等の任意の適切なシステムに用いることができる、薬剤等の溶液を調合し混合するための方法を示す図。
【
図22A】構成流体を混合してバッチを形成するためのシステムであって、1つ又は複数のポンプを較正するための特徴の記述が含まれるシステムを示す図。
【
図22B】流体調合中、非線形効果を緩和するための技法について議論するためのフローチャートを示す図。
【
図23A】恒久的なシステムにおいて、流れスイッチング及びポンピングを用いる自己滅菌PDサイクラ/流体調合システムを示す図。
【
図23B】恒久的なシステムにおいて、流れスイッチング及びポンピングを用いる自己滅菌PDサイクラ/流体調合システムを示す図。
【
図23C】恒久的なシステムにおいて、流れスイッチング及びポンピングを用いる自己滅菌PDサイクラ/流体調合システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、腹膜透析システム100には、内蔵ポンプ(図示せず)を備えた腹膜透析(PD)サイクラ101が含まれる。PDサイクラ101は、袋等の容器106又は他の供給源から患者アクセス部114に腹膜カテーテル114への充填/排出ライン112経由で患者108の腹膜に透析液をポンプで送り出す。これは、充填サイクル中に行われる。
【0016】
排出サイクル中、使用済みの透析物は、充填/排出ライン経由で逆方向に流れることによって患者から取り出されサイクラ101に戻り、そして、排出部104経由で排出される。サイクラ101は、注入及び排出される流体の容積を定量化し、その差異の計算を行って、患者から取り出される流体の正味の量を求める。
【0017】
ポンプは、ダイアフラムポンプ又はぜん動ポンプ等、任意の適切なポンプであってよい。代替として、サイクラは、過剰又は過少圧力供給/溜め容器、重力供給式、又はいずれか他の適切な機構等、他の流体移送システムに依拠してよい。
【0018】
コントローラ116によって、システムは、流量を調整して、患者の腹膜腔が過剰に加圧されないことを保証し得る。流量調整は、ポンプのスピードを変更することによって、もしくは、可変流量絞り弁又は用いる流体移送システムの種類の要件に準拠する任意の適切な機構によって達成することができる。
【0019】
従来技術によるシステムは、様々なメカニズムによって、例えば、PDサイクラに配置された圧力センサを用いて充填ラインの圧力を測定し、そして、ポンプのフィードバック制御を行い、限界が超過されないことを保証することによって、腹膜圧力の安全限界の超過を防止してきた。腹膜腔の過剰圧力を防止するための他の従来技術による装置は、重力式供給を用いることによって総水頭圧力を制限する。
【0020】
代替としては、患者108に隣接して充填ライン112の端部に又はアクセス部114それ自体に配置された圧力検出装置110を用いて、患者に近接した圧力値を取得できる。この位置からの圧力測定値を用いることによって、腔充填中の充填ラインの圧力損失による腹膜腔の圧力測定の誤差が解消される。このように、流量は、所望の安全しきい値未満に腔圧力を維持する連続的なフィードバックループによって制御し得る。また、患者に近接して圧力センサを配置すると、充填ライン112の供給側と充填ラインのカテーテル端との間のレベル差から生じ得る他の誤差の原因が解消される。即ち、サイクラ101が患者アクセス部より高く配置された場合、充填ラインの重力による水頭圧力によって、PDサイクラに配置された従来技術の圧力センサが示すものより大きい圧力が生じ(このことはそれ以外では説明不可)、過度の圧力が印加されることがある。サイクラを低く配置すると、不適切な圧力が生じて、充填サイクルが遅くなることがある。
【0021】
図1の本実施形態では、正確な圧力表示を提供するために、圧力検出装置110が、患者108に近接して配置され、腹膜腔圧力の変化に対する応答性を最大化し、また、流動抵抗による圧力降下の影響を最小化する。電気的な圧力変換器は、ラインの端部に配置し得る。代替として、添付の米国特許公報第20070179422号に述べられた圧力ポッドを用いてもよい。一実施形態では、圧力変換器は、
図1に示すように、コントローラ又はサイクラに配置してよく、また、患者アクセス部に配置して、ライン112のライン圧力降下によって生成される信号バイアスなしの腹膜空間の圧力を測定してもよい。
【0022】
図2Aは、圧力測定ポッド10を示す。ポッド10において、空気チャンバ45は、圧力変換器(図示せず)に接続することができる空気ポート12及び空気ライン40と連通している。流体は、入口ポート70に接続された入口ライン35と、流体チャンバ60から出て出口ポート72を通って出口ライン15へ入る間で流体チャンバ60を流れる。流体チャンバ60の流体の圧力は、空気チャンバ45及び流体チャンバ60が平衡状態になるまで、ダイアフラム25を変位させるが、この平衡状態は、好ましくは、空気及び流体チャンバ45及び60が等しい圧力である場合の状態である。
【0023】
ポッド10は、本来、流体側外殻30及び空気側外殻17の2つの部品で構成されており、流体及び空気チャンバ60及び45を画成する筐体5を共に形成している。ライン40及びポート12の容積を含む空気チャンバ45の最小対最大容積の比は、ライン40に取り付けられた変換器によって測定することができる総圧力変動に比例する。
【0024】
次に、
図3Aにおいて、充填/排出配管セット309は、圧力を示すためのポッド304を有する。ポッド304は、
図2Aのポッド10の設計に準拠し、また、充填/排出ライン306の遠端部に圧力表示を提供するために用いることができる。
図3Aは、それぞれ充填/排出ライン及び圧力検出ライン302のための、透析物320の供給源とコネクタ316及び314とを備えたPDサイクラ318を示す。圧力検出ライン302は、PDサイクラ318の圧力変換器(別個に図示せず)をポッド304に接続して、ポッド304のダイアフラム(
図3Aには図示せず)に作用する圧力を変換器に読み取らせる。ポッド304は、充填/排出ライン306にインライン構成で、また、腹膜カテーテル322がコネクタ324によって接続することができるアクセス・コネクタ326に近接して、直接接続される。圧力検出ライン302は、例えば、一連のコネクタ308によって充填/排出ライン306に取り付けられ、充填/排出ライン306に沿って並行に走っている。PDサイクラ318には、更に、充填/排出ライン306が取り付けられ、また、PDサイクラ318に近接して充填/排出ライン306の圧力を測定するように構成された流体回路の一部を形成する追加の圧力検出装置も設けることができる。
【0025】
従って、本実施形態では、充填/排出ライン306の各端部における圧力は、PDサイクラ318の動作中、常にサイクラを動作させるコントローラによって求められ、充填及び排出動作中、連続入力信号としてコントローラに印加し得る。後述するように、これらの入力は、極めて重要な兆候の取り込みや記憶、充填/排出ライン306における流量制約や不備の検出、及び腹膜内の圧力を管理しつつ流量を調整するために用いることができる。
【0026】
図2Bは、充填・排出ライン47の遠端部に配置された一体型圧力センサ45を備えた腹膜透析配管セット60を示す。充填・排出ラインは、それぞれ共有の又は別々の充填及び排出用途のための1つ又は2つの内腔を備えることができる。圧力変換器45は、充填・排出ライン47の内腔と圧力連通している。別々の充填及び排出内腔がある場合、各々それ自体の圧力変換器45もしくは1つだけ備えてもよく、例えば、充填ラインが圧力変換器45を備えてもよい。変換器は、例えば、等方性圧力(例えば、完全に濡れて浸漬された状態)に反応するひずみ計構成要素であってよく、又は、インライン流体伝達構成要素の壁に組み込まれたひずみ計構成要素であってよい。充填・排出ライン47の遠端部において、圧力検出を行う効果を達成するための他の構成も可能である。一対(又は必要に応じて複数対)の配線48が、充填・排出ライン47の長さに沿って走り、ドライバ回路51に接続する電気コネクタ50に接続する。ドライバ回路は、電源や読み取り回路、又は充填・排出ライン47の内腔における流体によってその遠端部に印加された圧力から圧力信号を生成するための他の適切な回路を含むことができる。腹膜カテーテルへの接続用に構成されたコネクタ46が、遠端部に取り付けられ、また、流体の供給源及び/又はシンクへの接続のためのコネクタ49が、充填・排出ライン47の近端部に配置される。コネクタ46は、恒久的に腹膜カテーテルに取り付けられているか又は腹膜カテーテルを予めそこに設置してよい。コネクタ49及び46は、封止されて、内腔及び滅菌した内腔を備えた封止ユニットとして提供されたユニット60を絶縁し得る。
【0027】
次に、
図3Bにおいて、
図3Aの実施形態309と同様な充填/排出ライン配管セット330の変形例は、一方側に大径内腔を有する充填/排出ライン部332Aを備え、他方側に小径内腔332Bを有する圧力ライン部332Bを備えた二重チューブ332を有する。双方の内腔が、充填/排出配管セット330の全長を走っている。コネクタ334及び336が、それぞれ流体回路及び圧力センサに充填/排出ライン側332A内腔及び圧力ライン側332B内腔を接続するために近端部に設けられている。圧力ポッド331が接続されており、圧力ライン側332Bの小内腔経由で圧力信号を伝達する。圧力ポッド331は、圧力が充填/排出内腔の遠端部において圧力を示す内部ダイアフラムに印加されるように、充填/排出内腔とインライン接続される。充填/排出配管セット330は、様々な方法で、例えば、2つのチューブを溶接して接合することよって、又は、一体型の織布を挟んで2つのチューブを押し出し成形することによって形成できることに留意されたい。嵌め合わせコネクタ326及び324は、腹膜カテーテル322を接続するために提供される。
【0028】
図3Bの実施形態は、
図3Aの実施形態と同じ方法で用いることができる。従って、本実施形態では、更に、充填/排出ラインの各端部での圧力は、任意の適切なPDサイクラの動作中、常にサイクラを動作させるコントローラによって求めることができ、また、充填及び排出動作中、連続入力信号としてコントローラに印加される。
【0029】
次に、
図4A及び4Bにおいて、腹膜カテーテル350は、カテーテル350に沿って走っている埋め込み電気リード340によって端子コネクタ340に接続される一体型圧力変換器342を有する。一対のカフス344が、流体コネクタ352が設けられた近端部付近の近端部348に配置されている。圧力変換器342は、カテーテルに溶接又は一体成形できる柔軟な気密ラッパーを備えたひずみ計装置であってよい。コネクタ366は、任意の適切な種類であってよく、また、設計が
図3Aのそれ(又は
図3Bのそれ又はいずれか他の適切な設計)と同様な充填/排出配管セット360上に支持されたリード365に接続することができる。リード365は、変換器342から圧力信号を印加するためのコントローラを備えたサイクラへの接続のための適切な接合電気コネクタを備えることができる。カテーテル350は、腹膜透析用の既知のカテーテルのそれのように、腹膜腔の流出及び吸引を分配する開口部を有する。
【0030】
上記実施形態の何れの変形例は、別個の充填及び排出ラインを備えた充填/排出ラインであってよく、各々、それぞれの内腔を有してよい。これらのラインは、別個の接続機構によってサイクラに接続したり、サイクラにおいてT又はY接合によって結合したり、腹膜カテーテルにおいて結合したり又はこれらの組合せであってよい。
【0031】
図3Cは、患者充填・排出ライン及び圧力ポッドタイプ圧力センサをそれ上に有する腹膜充填/排出ラインの一実施形態に用いることができる共押出し成形空気ライン及び流体ラインを示す。そのような実施形態は、
図3A及び3Bの実施形態に容易に基づき得ることが理解されるであろう。共押出し成形部390は、空気ライン部389及び流体ライン388を有する。流体ライン388は、新しい及び使用済みの腹膜透析流体を移送するために本明細書に述べたように接続することができるが、空気ライン389より大径であってよい。空気ラインは、ポッド(例えば、
図3Aの304)から変換器(例えば、
図3Aの314)に圧力信号を伝達するために取り付けることができる。代替の実施形態では、患者ラインは、単一の一体型の構造で3つの内腔をこのように形成する空気ラインを備えた1つのユニットとして共押出し成形することができる別々の充填及び排出ラインを有してよい。
【0032】
次に
図5A乃至5Cにおいて、上記の腹膜装置から圧力信号を監視するためのプロセス例について以下に述べる。
図5Aは、ある間隔の時間の間、一連の圧力信号サンプルを記憶するためのプロセスを示す。例えば、圧力信号は、S12において100ms間隔で20秒間サンプリングでき、このプロセスは、遅延S10後繰り返すことができる。サンプルは、全処理を網羅する多くのサンプルの場合、又は、ある処理の一部分だけの場合、メモリに記憶することができる。
図5Aのプロセスに対する代替として、各圧力センサのそれぞれの圧力データサンプルは、連続的にメモリに記憶され、処理に続く所定期間保存後リフレッシュしたり又は時間間隔に従って先入れ先出し方式でリフレッシュして、短期履歴の記録だけを保持したりしてよい。更に代替として、瞬時の圧力データだけを記憶してもよい。
【0033】
図5Bの手順は、
図5Aの動作によって記憶されたデータから様々な情報を導出する。本動作は、各圧力信号に適用可能であり、例えば、遠端圧力センサ(例えば、
図1の110)及び近端圧力センサ(例えば、
図1の102)によって提供されたものを含む。
図5Aの手順は、記憶された信号セグメントS22を回復し、それを処理して、雑音S24を除去する(例えば、低域通過フィルタ処理、平滑化、しきい値化、又は他の適切なフィルタ処理プロセス)。S26において、圧力信号セグメントを解析して、その精度を示す信頼性メトリックを生成する。後者は、様々な方法で行うことができるが、例えば、記憶された実際の読み取り値と測定された圧力又は圧力の変化率との間の差異を識別することによって行うことができる。更に又は代替として、記憶されたモデルに対する圧力プロファイルの適合度は、精度の目安を提供することができる(S28において適合している曲線)。圧力読み取り値は、プロファイルと照合し得る。S28において、圧力プロファイルデータは、予想された呼吸及び脈拍曲線を記憶されたデータ及び信頼性メトリックに適合させそして解析することによって、呼吸数及び脈拍数に変換される。
【0034】
もっと複雑な解析は、例えば、測定されたデータ曲線を危険状態等の特定可能な状態を特徴付ける曲線に適合させることによって、S28において行うこともできる。例えば、漏洩は、衰退する圧力の段階的な傾向と共に末端位置における急激な圧力低下によって示すことができる。イベントを特徴付けるプロファイルテンプレートは、実験又はモデル化を介して又は単純な判断によって決定し、そして、コントローラのメモリに記憶してよい。例えば、末端部及び近端部圧力読み取り値を比較することによって識別することができる他のイベントは、充填/排出ラインにおける不備又は流量制約か又は流体の特性の変化であり、例えば、腹膜感染の根拠等になることができる。後者は、使用済みの透析物の過度の粘度に起因する排出動作中の充填/排出ラインにおける過度の圧力低下を識別することによって検出できる。
【0035】
S30において、プロファイルデータにおいて検出されたイベント、現圧力値、履歴データ、及び信頼度推定値を更新する。現データは、例えば、現在値を表す位置に記憶し、また、履歴データは、時間及び日付値と共に履歴値を表すメモリ位置に記憶することができる。例えば、メモリ位置は、充填/排出ラインの開通性の現推定値を保持することができる。イベント検出結果は、状態フラグや対応する信頼度推定値又は他の評価指数として、例えば、特性曲線又は瞬時値に対する適合度の目安として表すことができる。
【0036】
図5Cにおいて、充填又は排出サイクルS42中、イベント認識状態及び/又は瞬時値、例えば、圧力値が、コントローラメモリからコントローラによって読み取られS44、様々なしきい値レベルと比較されS46、S48、S50、そして、しきい値テストが満たされれば、検出されたイベント又は状態に対応して、警報表示を生成しS52、サイクラをセーフモードにすることができる。そうでない場合、制御は、S42に戻る。
【0037】
アーカイブデータは、例えば、インターネット接続を介して、データ記憶装置に転送して、解析及び比較するために多数の患者のデータと組合せることができる。
【0038】
S46、S48、S50で検出される状態には、例えば、以下を含むことができる。
1.ライン障害物、カテーテルの開通性の喪失又は他の問題の証拠となる生命兆候(例えば、呼吸、脈拍)信号の強度の低減
2.ライン障害物、不備、又はラインの狭窄又は他の問題を示すことができる、瞬時流量に対する過度の圧力損失
3.流量を低減又は停止することによって補正することができる腹膜の過度の圧力
4.感染を示すことができる高い粘度による排出ラインにおける過度の排出流圧力損失
【0039】
次に、
図6Aにおいて、腹膜サイクラシステム600は、コントローラ610に記憶された処方箋によりカスタム腹膜透析液を生成する。処方箋は、ユーザインターフェイス601を介して、遠隔の端末及び/又はサーバ603を介して又はスマートカード又はバーコードリーダ(図示せず)等の他の手段によってコントローラに入力することができる。コントローラは、制御信号を流体移送機・回路スイッチ616及び浄水器620に印加し、上記の実施形態と一致し得る充填/排出ライン650上におけるそれぞれ末端及び近端圧力センサ613及び614から信号を受信する。
【0040】
流体移送機・回路スイッチ616は、コントローラ610からの制御信号に応じて選択されたライン642、644、646、648、650及び618間で流体を移送するのに効果的な1つ又は複数のセンサ、アクチュエータ及び/又はポンプを備えた流体回路要素である。例示の実施形態を本明細書に述べるが、詳細内容の多くが、そのような装置を製作するための従来技術から既知であるため、ここでは、詳しく述べない。
【0041】
多段容器ユニット641には、浸透物質濃縮液602のために予充填され予滅菌された浸透物質容器や電解質濃縮液604を備えた他の電解質容器が含まれる。ユニット641は、更に、自動腹膜透析処置の少なくとも1つの充填サイクルを完了するための充分な容積の透析液を保持するのに充分な大きさの空バッチ容器606を含む。容器602、604、及び606は、流体がそこから引き出されるとつぶれる柔軟な袋型の容器であってよく、従って、排出時、それらに空気を送り込むための手段を一切必要としない。
【0042】
浸透物質容器602、電解質容器604、及びバッチ容器606は、全てそれぞれのライン642、648、644、及び646によって、流体移送機・回路スイッチ616に接続されている。充填/排出ライン(又は複数のライン)650及び伝導性センサ628を備えた使用済み流体排出ライン618もまた流体移送機・回路スイッチ616に接続することができる。流体移送機・回路スイッチ616は、更に、水を受け取るための充填ライン631を有する。浄水器620は、清浄器又は予滅菌された容器の水等滅菌した純水の任意の供給源又は複数の容器であってよい。好適な構成において、浄水器620は、ここにその全体を参照により援用し、仮出願に添付のWO2007/118235(PCT/US2007/066251)に述べたように構成することができる。例えば、浄水器620は、水浄化段等、
図22Aのフロー回路構成要素を含んでよく、また、引用された(添付)公報の
図24に示す機械的パッケージ設計に一般的に準拠する。
【0043】
図6Bは、開示された主題の一実施形態による、処理に先立つ流体調合の予備段階を示す。コントローラ610は、処理調合開始命令に応じて、処方箋を読み、命令を生成し、そして、容器602から浸透物質濃縮液をバッチ容器606に流す。命令は、流体移送機・回路スイッチ616に印加され、浸透物質濃縮液ライン642をバッチ充填ライン644に接続し、また、浸透物質濃縮液をバッチ容器606に移送する。このことは、流体移送機・回路スイッチ616を形成している1つ又は複数の弁アクチュエータ及び1つ又は複数のポンプによって行ない得る。流体移送機・回路スイッチ616は、電解質及び水毎に予測希釈量に従って浸透物質の量を正確に計測して処方箋を実現するように構成することができる。計測は、流体移送機・回路スイッチ616内部の容積式ポンプ又は浸透物質容器602もしくはバッチ容器の重量の測定等の他の手段又は容積式流量測定器によって実施することができる。
【0044】
代替の一実施形態において、浸透物質及び電解質(必要ならば)がバッチ容器にポンプで送り出される前に、まず、水の一部(
図6Cを参照して後述するように、希釈に用いられる総量より少ない)がバッチ容器に追加される。
【0045】
次に、
図6Cにおいて、希釈段階は、腹膜サイクラシステム600を用いて実施される。コントローラ610は、処方箋に応じて、命令を生成して、精製水を浄水器620からバッチ容器606に流す。命令は、流体移送機・回路スイッチ616に印加され、バッチ容器606に精製水ライン631を接続して、測定された量の水を加えて、バッチ容器606の浸透物質濃縮液を希釈する。コントローラは、流体移送機・回路スイッチ616を制御して、正確な量の水が移送されることを保証する。代替として、浄水器には、流量測定装置又は計量ポンプ又は他の適切な機構を組み込んで、正確な量の水を移送することができる。コントローラ610は、浄水器620に接続して、希釈結果を達成することができる。流体移送機・回路スイッチ616は、更に、希釈と同時に又は希釈水が代替の実施形態によるバッチ容器に移送された後、希釈された浸透物質溶液をライン644及び646を通して循環するように構成することができる。
【0046】
水、浸透物質、及び電解質の相対的な量は、ポンプの比例配分特性に基づき、規定することができる。全ての液体をバッチ容器に移送するために単一のチューブが用いられることから、(例えば、シャフト回転に基づく)予測ポンピングレートからの実際のポンピングレートへのオフセットのほとんどの原因は、全ての流体にほぼ同様に影響を及ぼす。
【0047】
次に、
図6Dにおいて、バッチ容器606の希釈された浸透物質溶液の試験を行って、正確な濃度の浸透物質が達成されることを保証する。一実施形態において、浸透物質濃縮液602は、バッチ容器606からの流体が流体移送機・回路スイッチ616によって伝導性センサを通過して排出ライン618に移送された場合、伝導性センサ628を用いて伝導性信号を生成する量の電解質濃縮液を有する。浸透物質と予混合された電解質の量は、可能な処方箋が要求し得る浸透物質に対する電解質の最小比であってよい。流体移送機・回路スイッチ616は、流体移送機・回路スイッチ616を形成している1つ又は複数の弁アクチュエータ及び1つ又は複数のポンプを用いて、その機能を実施することができる。流体移送機・回路スイッチ616は、水の量を正確に計測するように構成することができる。又は、その機能は、浄水器620によって提供することができる。浸透物質/電解質の測定濃度が正しくない場合、コントローラは、追加の水又は浸透物質を追加し、また、伝導性を再度試験することができる。浸透物質容器602の混合された浸透物質及び電解質濃縮液を用いることに加えて、代替の一実施形態において、浸透物質容器606は、電解質なしの浸透物質濃縮液を保持し、浸透物質濃度は、比重(液体比重計)、屈折率(屈折計)、偏光、赤外線吸収又は他の分光技法等の他の手段によって直接測定される。
【0048】
図6Eは、開示された主題の一実施形態による処理に先立つ流体調合の電解質追加段階を示す。コントローラ610は、処方箋を読み取り、そして、電解質を容器604からバッチ容器606に流す命令を生成する。命令は、流体移送機・回路スイッチ616に印加され、電解質濃縮液ライン648をバッチ充填ライン644に接続し、また、電解質濃縮液をバッチ容器606に移送する。これは、流体移送機・回路スイッチ616を形成している1つ又は複数の弁アクチュエータ及び1つ又は複数のポンプによって行ない得る。流体移送機・回路スイッチ616は、処方箋を実現するために、以前バッチ容器606にあったと判断された浸透物質及び水毎に予測希釈量に基づき電解質の量を正確に計測するように構成することができる。計測は、流体移送機・回路スイッチ616に内蔵された容積式ポンプによって又は電解質容器604もしくはバッチ容器606の重量の測定又は容積式流量測定器等の他の手段によって実施することができる。
【0049】
次に、
図6Fにおいて、電解質は、閉ループのバッチ充填及び排出ライン646及び644を用いて混合することができる。必要ならば、浸透物質希釈プロセス中、どの程度の希釈が実施されたかに依存して、更なる希釈を上述したように実施することができる。最終的な配合は、
図6Fに示すプロセスによって実現することができる。そして、
図6Gに示すように、バッチ容器60における混合物の最終的な電解質濃度は、サンプルをそこに流すことによって伝導性センサ628により求めることができる。
【0050】
質量又はコンダクタンス測定値に加えて、他の種類の尺度を用いて、透析流体成分及び希釈の比率を測定することができる。例えば、放射性トレーサー又は染料等のトレーサー化学物質を用いてよい。
【0051】
重量測定による及びトレーサー/コンダクタンス検出について、目標処方箋を実現するための適切な比率及び希釈割合を保証するための手段として述べたが、特に、容積式ポンピングを用いる場合、システムは、比例配分も使えることが、明らかである。比例配分は、或るポンプの容積測定の繰り返し精度及び予測精度を利用する。例えば、特定のポンプは、与えられた数のポンピングサイクルの間、高繰り返し精度の容積の流体を送出することができる(例えば、ぜん動ポンプのポンプ回転又はダイアフラムポンプのサイクル)。全ての透析液成分(例えば、水、浸透物質濃縮液、及び電解質濃縮液)が、例えば、ぜん動ポンプのポンピング・チューブ・セグメント等、同じポンプを用いて混合容器に送出された場合、それら成分の容積比は、後述する可能性のある流路及び/又は粘度差に対する調整後、各成分を移送するために用いられるポンプサイクルの数によって完全に決定される。
【0052】
この比率は、流体コンダクタンスもしくは密度又は他の測定値の測定を補足もしくはそれに取って代わることができる。ポンプサイクルの数を実際の押しのけた質量又は容積に変換するために、較正を実施したり及び/又は流路(流体特性を含む)補正パラメータを用いたりしてよい。流路補正パラメータは、各特定の流体流路及び/又は流体タイプに対してそれぞれであるか又は全ての流体経路及び流体タイプに対して同じであってよい。精度を高める場合、1つ又は複数のポンプ較正及び/又は流路補正パラメータを較正手順を通して生成してよい。通常、流路補正因子は、システムの開発中に確立され不揮発性メモリに記憶される。通常、システムが患者によって用いられる場合、1つ又は複数の流路較正手順が実施される。較正手順は、各新しい流体セットが設置された後または各バッチ調合サイクルの前または単一のバッチの調合中複数回でも、実施することができる。使い捨て流体セットは、毎日取り付けることができる。較正手順は、水を用いて行なってよい。較正は、順次、以下の1つ又は複数の段階を通して流体をポンプで送ってよい。
【0053】
【0054】
較正手順において、流体は、いずれかの又は全ての上記識別された経路間においてポンプで送り出される。別個の較正係数を各経路に対して生成することができる。較正係数は、メモリ又は不揮発性データ記憶装置に、例えば、ml/ポンプ回転当りの数(又はダイアフラムポンプサイクル)を表すパラメータとして又は特定の基準流路に対する比例係数として、記憶することができる。較正ステップ中に輸送される実際の流体量は、容積もしくは質量測定装置を含む任意の適切な装置(流量センサ)又は積分による直接流量測定によって、例えば、レーザドップラ速度測定、熱通過時間、磁気流体力学、プロペラ液体比重計、容積式流量測定を用いて、ベンチュリー、ノズル、オリフィス板、もしくは他の流れ障害物等の抵抗を介した差圧を用いて、可変面積定水頭流量計、ピトー管、渦流発生周波数計数、超音波などの装置を用いて測定することができる。流量較正のための特に有益な手段は、
図22Aを参照して後述するように、離間配置された流体特性センサ間における流体特性摂動の通過時間を測定することである。開示した実施形態のいずれも流量センサを用いることができるが、流量センサにおいては、流体を搬送する少なくともその部分は、使い捨て可能であり、その結果、使い捨て流体回路の使用を可能にしつつ、流量(又は総押しのけ流体量)をコントローラに入力できる。例には、流体回路設置中ある長さの管を挿入可能なスロット付き変換器によって、非侵襲的に軟管中の流量を測定するストレイン・メジャーメント・デヴァイシズ(Strain Measurement Devices)SMD製の超音波軟チューブ流量計が含まれる。カートリッジの実施形態の場合、PDサイクラは、カートリッジの受動的挿入後、カートリッジのむき出しチューブ長に係合する移動形変換器ステージを用いることができる。
【0055】
また、ポンピングシステムは、システム設計者によって選択された所定の許容誤差に応じて、較正なしで高精度の比率を確立させる方法で充分に繰り返し可能であってよい。材料を含む製造許容誤差が充分に制御された場合、現場(介護の場所)での較正なしで、比率に対する所望レベルの制御を実現することができる。繰り返し精度を保証する観点において特に敏感な要素は、ぜん動ポンプのポンピング・チューブ・セグメントである。第1実施形態において、ぜん動ポンプチューブセグメントは、その機械的及び材料の許容誤差が所定の限界内に制御される材料からできている。配管回路要素の長さ及び機械的パラメータは、更に、それぞれの所定の限界内に制御される。そして、較正は、処理環境外で、例えば、実験室で行い、高精度の値を計算して、ポンプサイクルを単一ロットの置き換え可能な流体回路の場合に移送される流体量に変換することができる。較正は、複数のロットに対して行なってよい。較正は、各流体回路に対して行ってもよい。また、較正は、処理システムによって各流体回路に対しても行ってよい。更に、較正は、流体回路によって調合された流体の各バッチに対しても行ってよい。
【0056】
図6Hにおいて、上述したバッチ容器606の内容物の調合に続き、流体移送機・回路スイッチ616は、患者の前の状態に依存して、患者611を排出するように構成することができる。使用済み透析物流体は、流体移送機・回路スイッチ616によって取り出され、排出ライン618経由で移送することができる。そして、バッチ容器606の内容物は、
図6Kに示すように患者に移送することができる。ここでコントローラ610は、流体移送機・回路スイッチ616を構成して流体を患者612に流す。
【0057】
次に、
図7Aにおいて、
図6Aの実施形態を実現するための流体回路実施形態には、使い捨て流体回路700が含まれる。流体回路700には、予め取り付けられた浸透物質及び電解質濃縮液容器760及び762を含むことができる。更に、流体回路700には、予め取り付けられたバッチ容器764を含むことができる。浸透物質及び電解質濃縮液容器760及び762の内容物は、複数のサイクルに対して充分であり、これによって、完全な自動腹膜透析処置をカバーすることができる。バッチ容器の内部容積は、単一の自動腹膜透析処置において、1サイクル又は複数サイクルに対して充分であり得る。
【0058】
流体回路700は、好ましくは、精製水の供給源、排出接続部713、及び患者アクセス部用の接続部717への接続のための水入口接続部730を除く完全に封止された内部容積を有する使い捨てユニットである。コネクタ730、713、及び717は、1つの単位として滅菌された着脱可能なコネクタキャップ及び使い捨て流体回路700全体で封止することができる。水入口ライン726には、滅菌フィルタの形態の滅菌障壁728、例えば、汚染物質をろ過して取り除くための0.2ミクロン以下の細孔サイズのものを含むことができる。実際、それには、汚染物質の可能な入力経路として、患者アクセス部接続717及び排出接続部713だけが残る。しかしながら、排出ライン712は、そこを通過する流体の流入を防止する逆止弁を組み込むことができる。これは、一般的に、一方向経路でもあり、従って、これにより、汚染物質が流体回路700の封止された容積に流れ込むための可能なルートとして、患者アクセス部接続717以外ほとんど除去される。
【0059】
流体回路700には、各々それらそれぞれの長さに沿って流れを効果的に分配し、接続されたそれぞれの任意のライン間の流れを可能にする流体回路マニホルドパネル702及び704が含まれる。例えば、浸透物質ライン724からの流体は、マニホルド702に流れ込み、ぜん動ポンプと噛み合うように構成されているポンプライン706経由でポンプによりマニホルド704にポンプで送り出され、そして、混合ライン715、排出ライン714、及び/又は充填/排出ライン716の内の選択された1つ又は複数にポンプで送り出される。流体回路マニホルド702及び704には、センサ領域(図示せず)を含むことができる。
【0060】
様々な代替のマニホルド及び/又は作動装置を本明細書に述べた方法を実現するために用いることができる。例えば、
図8Dにおいて、流体カートリッジ800は、マニホルド部812A及び812Bから生じるマニホルド枝路806(代表)で配管セットを部分的に密閉する2つの外殻部802及び803を有する。各外殻部802及び803における窓810、805は、枝路806の両側に対で出現して、線形アクチュエータ(ソレノイド・クランプ、ステッパ及びスクリュ・ドライバ、プライアグリップのような狭窄機構又は他の種類の機構)が、外殻の外側からセグメント816にアクセスし、選択的にクランプできるようにする。
【0061】
外殻筐体は、点線の矢印によって示すように部分的な筐体に組み立てられる。代替として、配管部品及びマニホルドは、単一のバックプレーンに取り付けられるか又はPDサイクラの恒久的な搭載取り付け具上の支持体に挿入される。
【0062】
開口部804及び815によって提供された窓は、同様に、ぜん動ポンプローターによってポンプ配管セグメント816へのアクセスを提供する。ポンプ配管セグメント816は、側面に配置してよく、また、圧力ポッド814によって接続された配管にサイズ適合し得る。流体圧力測定用の圧力ポッドが、当分野で知られており、詳細は本明細書では提供しない。
【0063】
上記図のマニホルドは、様々な構造を用いて実現することができる。例えば、流体回路部826は、Y接合部828及び接続セグメント827を用いて、配管枝路828を相互接続する。この構造は、例えば、マニホルド部812Bの代わりに、また、マニホルド部812Aのバリエーションの代わりに用いることができる。
【0064】
完成した装置800は、トースター内の一切れのパンのようにサイクラ筐体に挿入し得る流体カートリッジを形成するか又は他の方法でアクチュエータに取り付けることができる。
【0065】
アクチュエータ領域732A-732Hによって、排出ライン716等のそれぞれのラインへの接続を選択的に閉じることができる。これによって、マニホルド702に接続された任意のラインが、選択されたラインを除く全ての他のラインを閉じることによって、ポンピングライン706経由でマニホルド704のラインに接続できる。マニホルド704において、アクチュエータ領域732Aは、患者アクセスライン716へのアクセスを制御する。アクチュエータ領域732Bは、排出ライン714へのアクセスを制御する。アクチュエータ領域732Cは、混合ライン715へのアクセスを制御する。マニホルド702において、アクチュエータ領域732Dは、バッチ充填ライン718へのアクセスを制御する。アクチュエータ領域732Eは、排出ライン718へのアクセスを制御する。アクチュエータ領域732Fは、電解質充填ライン722へのアクセスを制御する。アクチュエータ領域732Gは、浸透物質充填ライン724へのアクセスを制御する。アクチュエータ領域732Hは、水充填ライン726へのアクセスを制御する。
【0066】
患者アクセスラインには、腹膜透析サイクラ上の圧力変換器への接続のための又は代替として、流体回路マニホルド上のセンサ領域への接続のための空気ライン734及びコネクタ736を備えた上述したような圧力ポッド等の圧力センサ735を含むことができる。
【0067】
次に、
図7Bにおいて、組み合わせられた流体調合装置及びPDサイクラ788は、PDシステム701を形成する浄水器790と組み合わせられる。使い捨て流体回路ユニット758は、
図7Aの本実施形態700の一般的な説明に準拠する。自動腹膜透析サイクラ788は、制御盤776を有し、使い捨て流体回路758を用いるように構成されている。様々なアクチュエータ及びセンサ(例えば、圧力変換器、温度センサ、光学漏洩検出器等を全体的に772に示す。ハッチ773は、使い捨てユニットカセット758上で閉じて、その構成要素を様々なアクチュエータ及びセンサ772と係合させることができる。
【0068】
使い捨て流体回路ユニット758は、マニホルド762及び764(それぞれ
図7Aのマニホルド702及び704に対応する)を組み込むカセット部766を有する。マニホルド762及び764は、互いに取り付けられているが、ポンプライン768だけがマニホルド762及び764間の流体連通が可能なように、流体連通していない(互いに分離された)内部流れ領域を有する。流体回路758の他の要素は、
図7Aにおいて説明した通りである。自動腹膜透析サイクラ788は、浄水器790上にセットした状態で図示してある。自動腹膜透析サイクラ788には、バッチ容器764及び/又はその重量を測定するための重量計778を支持するためのトレイ780を含むことができる。支持体782は、それぞれ浸透物質及び電解質容器760及び762を支持する。
【0069】
自動腹膜透析サイクラ788の登録領域770(例えば、くぼみ領域)は、ぜん動ポンプアクチュエータ774を有する。
図7Cに示すように、登録領域は、ポンプライン768がぜん動ポンプアクチュエータ774と係合するように、また、カセットのセンサ及びアクチュエータ領域が自動腹膜透析サイクラ788の対応するセンサ及びアクチュエータ772と係合するように、使い捨て流体回路ユニット758のカセット部766を収容する。
【0070】
次に、
図8A及び9において、本明細書に述べるように完全なシステムとして一緒に動作する腹膜透析システム900及び水浄化システム901の概略図を示す。腹膜透析システム900には、流体管理セット900Aが含まれる。流体管理セット900Aは、フィルタ媒体及び配管セット901A等の恒久モジュール952及び消耗品構成要素を含む水浄化システム901の流体回路に結合される。腹膜透析システム900には、制御手段及び恒久ハードウェアの多くを含むPDサイクラ及び透析物調合モジュール949が含まれ、水浄化システムは、単一のユーザインターフェイスパネル906を用いて双方を制御して処理を管理するように、相互接続して制御手段を共有することができる。
【0071】
PDサイクラ及び透析物調合モジュール949は、ユーザインターフェイスパネル906を備えたコントローラ907を有する。ユーザインターフェイスパネルは、制御手段906A、906B、906C及び表示装置906Dを有する。ユーザインターフェイスパネル906の制御手段及び他の特徴には、オーディオ出力装置、LEDランプ、タッチスクリーン入力、及びデジタル電子制御システムと相互作用するために用いることができる他の装置を含んでよい。好ましくは、ユーザインターフェイスパネル906制御手段906A、906B、906Cは、小さいセットの明らかに区別された制御手段であり、色分けされ、また、形状差別化されている。
【0072】
流体管理セット900Aには、使い捨てバッチ、電解質、及び浸透物質濃縮液容器908、910、及び912、例えば、それぞれの透析液、電解質、及び浸透物質取り出しライン916、915、914に接続されるバッグが含まれる。バッチ容器908は、好ましくは、空気又は流体が空の状態で提供される空の予滅菌された柔軟な容器であり、透析液取り出しライン及びバッチ充填ライン917に恒久的に取り付けられる容器である。バッチ充填ライン917は、流体をバッグに追加するために用いられ、透析液取り出しライン916は、バッグから内容物を取り出すために用いられる。電解質及び浸透物質濃縮液容器910及び912は、電解質及び浸透物質濃縮液をそれぞれ格納し、また更に、浸透物質及び電解質取り出しライン914及び915に恒久的に取り付けられる。容器及びラインは、予め取り付けられ、滅菌した状態で提供される。バッチ容器908は、滅菌した水、浸透物質及び電解質の混合物で最終的に満たされて、透析液処方薬を形成する。バッチ容器908は、2つのラインを有するが、他の容器は、単一のラインを有する。浸透物質及び電解質容器912及び910は、非再開クランプ953で取付けてよい。
【0073】
バッチ容器908は、単一の腹膜透析充填サイクルに対して充分な透析液を収容するように構成することができる。又は、複数の充填サイクルに対して充分大きなものであってよい。従って、調合サイクルは、完全な処理(例えば、複数の排出・充填サイクルを含む夜間の処理サイクル)のための充分な透析物を生成することができる。
【0074】
バッチ、電解質濃縮液、及び浸透物質濃縮液容器908、910、及び912は、破線によって示されたヒータ及び/又は重量計902上に載置することができる。温度センサ904及び905は、ヒータ及び/又は重量計902の表面に設けられて、ヒータ及び/又は重量計902を制御するコントローラ907に温度信号を提供することができる。コントローラは、ヒータ及び/又は重量計902に直接載置されたバッチ容器908の透析物を温めるように構成することができる。温度センサ904及び905は、バッチ容器908が温度センサ904及び905に確実に直接載置されるように位置決めすることができる。大きなバッチ容器908(複数リットル)中の自由対流の組合せ、バッチ容器908の薄い壁面、及び壁面のコンプライアンスは、バッチ容器908の内容物の温度を反映する温度センサ904及び905の読み取り値の保証に役立つ。温度センサ904及び905がバッチ、電解質、及び浸透物質容器908、910、912から遠く離れて配置された状態で図示されているが、当初の意図は、バッチ容器908の直ぐ隣に配置されることであることに留意されたい。
【0075】
取り出しライン914、915、及び916並びに充填ライン917は、障壁面部842によって分離され、ポンプ配管セグメント944によって相互接続された、2つの弁ヘッダ941及び946を備えたマニホルドモジュール911に接続する。弁ヘッダ941及び946間の流れは、ポンプセグメント944経由のみで又はそれにリンクされたライン間の外部接続部経由で、例えば、弁ヘッダ941及び946取り出し及び充填ライン916及び917を介してバッチ容器908通って流れることによって起こる。ぜん動ポンプアクチュエータ943及び弁アクチュエータ929、930、928、931、932、933、934、及び935と組み合わせたマニホルドモジュール911は、配管ライン914、915、及び916、充填ライン917、排出ライン920A及び920B、生産水ライン919、並びに患者ライン945の内の選択された対間の流体の流れを提供し調整する。更に、マニホルドモジュール911は、センサ領域936並びにそれぞれのポンプ配管セグメント944のいずれかの側の圧力を反映する圧力信号を生成する圧力変換器924及び925も有する。
【0076】
更に、マニホルドモジュール911は、チャンバ913A及び913B並びに患者ライン945の近端及び遠端部の圧力を反映する圧力信号を生成するそれぞれの圧力変換器926及び927も有する。圧力チャンバ913Bは、空気信号線909に接続され、そして、空気信号線909は、空気信号線909経由でチャンバ913Bに患者ライン945遠端部における圧力を伝達するように構成された圧力ポッド951に接続される。チャンバ913Aは、それに最も近い患者ライン945の端部と連通しており、変換器926に圧力を伝達して、患者ライン945の近端部における圧力を表す信号を生成する。コントローラ907は、ぜん動ポンプアクチュエータ943及び弁アクチュエータ929、930、928、931、932、933、934、及び935を制御するために接続され、圧力変換器924乃至927から圧力信号を受け取る。マニホルドモジュール911は、図示するように、蝶番及びラッチを備えることができるドア973によって、弁アクチュエータ929、930、928、931、932、933、934、及び935に押し付けるができる[注:これが如何にして実際に構成されるかに関しては、最新の見解について背景資料を参照されたい]。
【0077】
代替の実施形態は、圧力ポッド951の代わりに直接圧力対電気変換器を有するが、これによって、そのような実施形態では、チャンバ913Bが不要になる。直接圧力対電気変換器は、負及び正の圧力値又は必要に応じていずれか1つを提供するようにバルクモード変形できる浸漬可能ひずみ計の形態を取ることができる。電気リード又は無線チャネルは、コントローラ907に圧力信号を伝達することができる。そのような変換器は、患者アクセス部用のコネクタと一体化することができる。代替として、直接圧力対電気変換器は、本文書の他の箇所に述べるように、圧力カテーテルであってよく、例えば、腹膜カテーテルと一体化したものであってよい。
【0078】
マニホルドモジュール911は、それぞれの箱状弁ヘッダ941及び946を有する。各ヘッダは、弁アクチュエータ929、930、928、931、932、933、934、及び935のそれぞれによって作動される複数の弁構造を有する。弁アクチュエータ929、930、928、931、932、933、934、及び935は、ソレノイドハンマ、線形モータ、空気ハンマ、又はヘッダ弁のそれぞれを押す力を印加するための任意の適切な装置であってよい(弁の1つを140に示す)。
図8B及び8Cでは、開位置(
図8B)及び閉位置
図8C)における弁140を示す。アクチュエータ(929等)のプランジャ136は、垂直に動き、メンブレン134に力を及ぼし、それを開口部132上で閉じる。チューブ131は、適合するポート133を用いて、ヘッダ壁面135に接合することによって取り付けられ、これによって、チューブ131は、ヘッダ壁面135に収容され封止することができる。チューブ131は、ヘッダ壁面135に封止され、メンブレンが開口部132上で閉じられると、チューブの内腔間の流れを防止する。弁ヘッダ941又は946の内部容積130は、これによって、アクチュエータを動作してそれに応じてプランジャ13を駆動することによってのみ選択的にアクセス可能である。1対のアクチュエータを選択して開くことによって、起動されて開いた1対のアクチュエータに対応する2つのチューブの内腔間の弁ヘッダの内部容積経由で流れが発生し得る。アクチュエータは、ばね(又は他の手段)によって常時閉じることができ、また、アクチュエータが通電された場合にのみ開くことができる。代替として、常時開状態にすることもできる。
【0079】
生産水ライン919は、水浄化システムに接続する(ラインは、
図9の同じ結合記号Aで表記されたラインに続く)。排出ライン920は、水浄化システムに接続する(ラインは、
図9の同じ結合記号Bで表記されたラインに続く。接続記号Cによって示された制御ライン接続(これは、有線又は無線であってよい)は、内部中央コントローラ959をコントローラ906に接続して、コントローラ906からの命令が水浄化システム901を制御するために用いられるようにするために設けてよい。代替として、コントローラ959の代わりに、有線ハーネス又は無線ピコネット(図示せず)等のデータバス又は等価な通信ネットワークが、水浄化システム901の全てのセンサ並びに最終的なコントローラ及びアクチュエータへの直接のアクセスをコントローラ906に与え、この結果、水浄化システムは、腹膜透析システム900の単なる構成要素であることに留意されたい。他の実施形態において、水浄化システムは、スタンドアローンの装置として動作可能であり、また、血液透析等の他の機能用の生産水を供給するためのそれ自体のユーザインターフェイス及び制御手段を含む。実施形態において、ユーザインターフェイス906の機能は、重量計955又は携帯ユーザインターフェイスモジュール956等の無線入力装置に組み込むか又は含むことができる。
【0080】
滅菌フィルタ939は、生産水ライン919に設けられた滅菌フィルタ生産水に提供される。1バッチ分の透析液の調合中、前、又は後、フィルタは、泡立ち点又は圧力減衰試験を行うことによって、漏洩が無いかテストできる。デルタ圧力変換器(メンブレンによって分離された2つの圧力センサ)又は濡れたメンブレンの空気側の単一の圧力変換器を用いることができる。本実施形態において、919における変換器は、滅菌フィルタ939の濡れたメンブレンの空気側と連通している空気チャンバ948の圧力を測定する。圧力変換器919は、圧力減衰(又は他の実施形態では、膜内外圧力TMP減衰プロファイル)を検出して、フィルタ完全性が予想限界内かどうか判断するために用いられる。本実施形態において、空気ポンプ917は、空気をフィルタ921を通して取り出し選択的に制御弁923及び圧力センサを介してポンプで送り出す。ポンプ917は、圧力調整された弁918を用いて連続的に稼働して、弁923及び弁922への所望の圧力供給を維持し、これらは、選択的に開いてチャンバ913B及び/又は948に空気を提供することができる。チャンバ948へ空気を流す目的は、1バッチ分の透析液を製作した後行われる泡又は圧力減衰試験を実施することや、生産水の移送中、フィルタ完全性が維持されたことを確認することである。チャンバ948への空気の流入は、圧力ポッド951の空気側チャンバの容積をリセットするために行われる。空気は、選択的に圧力ポッドから漏洩して圧力ポッドへポンプで送り出され、ダイアフラムがその移動範囲の一方側又は他方側に固定されることが回避され、これによって誤読み取り値を防止できる。従って、まとめると、弁918、923、及び922は、コントローラ907によって制御され、(流れを迂回することによって)圧力を調整し、記述した機能のために選択的に空気をチャンバ913B及び/又は945に流す。
【0081】
次に、特に
図9を参照すると、水浄化システム901は、粗粒状物質及び/又は沈殿トラップ994を用いる第1段階を通して水を浄化する。第2段階は、炭素フィルタを用いる。第3段階は、紫外線ランプを用いて水の汚染を除去する。第4は、逆浸透を用いる。第5段階は、炭素研磨フィルタを用いるが、これには、第6段階の脱イオン化ろ過が続く。第7及び最終段階は、滅菌段階であり、直列に接続された1対の限外ろ過器を用いるが、これは、最終生産水のグロースルー汚染を防止する。提供される。’901
【0082】
恒久ろ過サブシステム952は、ポンプ990、紫外線ランプ982、センサモジュール984及び985、逆浸透システム用の自動遮断弁988、圧力センサ992、981、953、989、並びに弁991及び993を含む。
【0083】
排出ライン920からの排出流体は、コネクタ978を通過し、1対のセンサモジュール984及び985に入り、これらにより、それぞれ伝導性及び温度の検出及び測定が行われる。センサモジュール984及び985は、モジュールの内の1つの誤差に対する保護として冗長性を提供する。安全性は、例えば、直列に相互接続されたセンサモジュール984及び985が常に一致する信号を提供し、不一致の場合、動作状態に依存して、警報を生成するか又は何らかの他のアクションを取るという要件を実現することによって保証することができる。尿素センサ953は、尿素のレベルを示す信号を生成するために用いることができる。幾つかのモードの排出ラインは、使用済みの透析物を移送し、尿素分は、記録することができ、そうでない場合、既知の原理に従って、腎臓透析患者の正しい処置を保証するために用いられる。尿素レベルは、表示装置906Dに表示するか又はコントローラ907のデータ記憶装置に記録するか又はインターネットサーバもしくは他の外部データ記憶装置(図示せず)にも、代替として記憶することができる。様々な位置にある逆止弁987は、逆流を防止する。排出ラインの1つの逆止弁987は、腹膜透析システム900への逆流を防止するために用いることができる。他の逆止弁987は、逆浸透フィルタ975への排出流体の逆流を防止し、他のものは、逆浸透フィルタ975から流れる予ろ過済み水が逆方向に流れるのを防止する。他の逆止弁987は、粒子フィルタ994の上流のシステムに入る一次水が逆方向に流れるのを防止する。
【0084】
センサモジュール984及び985に加えて又は代替として、流体量測定モジュールを設けてよい。一次水は、コネクタ978及び逆止弁987経由で水浄化システム901に入り、また、粒子フィルタ994に入る。フィルタ処理された水は、圧力制御弁996を通過し、通気孔999を経由してコネクタ978に至り、それを恒久ろ過サブシステム952に接続する。スピード調整されたポンプ990は、弁993を通して水を取り出す。圧力は、ポンプ990の上流及び下流において、センサ992及び989によってそれぞれ測定される。迂回弁991によって、水が再循環されて圧力を制御する。迂回弁991は、コントローラ955によって制御され、ポンプ990を出る圧力を調整する。
【0085】
自動遮断弁988は、それぞれの廃水接続部、生産水接続部、及び供給水接続部978を備えた炭素及びROサブシステム997に水を供給する。供給水は、伝導性信号をコントローラ955に印加する伝導性センサ977を通過し、そして、活性炭濾床を通過する。
【0086】
ROメンブレン975を通過した後、生産水は、逆止弁987を流れ、ライン957を経由して圧力センサ981に至り、自動遮断弁988を経由して紫外線フィルタに至り、その後、生産水は、コネクタ978経由で恒久ろ過サブシステム952を離れる。恒久ろ過サブシステム952から生産水を受け取るコネクタ978は、炭素963、分離床脱イオン化フィルタ959(各々、陽イオン床965及び陰イオン床964を備える)及び混合床脱イオン化フィルタ966を含む使い捨てフィルタモジュール970の一部である。使い捨てフィルタモジュール970は、通気孔956を備えた1対の分離限外ろ過器958も含む。伝導性センサ968Aは、汚染物質の初期の破過を検出し、これは、コントローラ955によって用いられて、フィルタモジュール970を替える必要があるという指示を生成する。フィルタモジュール970の期限切れの指示は、ユーザインターフェイスパネル906又は独立したもの(図示せず)を介して出力してよい。限外ろ過器958は、グロースルー汚染を滅菌し防止するために分けられる。逆止弁969は、逆流を防止する。ヒューズ960は、フィルタモジュール970が最初に接続されると飛ぶ。コントローラ955は、ヒューズが飛ぶことでフィルタモジュール970の再接続を防止し、これによって、以前用いたフィルタモジュール970の再使用を防止する。水分センサ938は、コントローラ955に接続され、漏洩によりそれが湿ると、コントローラ955に印加される信号を生成する。
【0087】
図10は、予滅菌された容器1002における調合された透析物を用いる腹膜透析システムとして再構成された腹膜透析システム900を示す。システム900と異なり、本システムは、稼働のために水浄化システム901を必要としない。新しい透析液バッグ1002は、PDサイクラ及び透析液調合モジュール949が調合され袋詰めされた透析物に用いることができるように構成されている配管セット1000に接続される。PDサイクラ及び透析液調合モジュール949については、アクチュエータ929、930、928、931、932、933、934、及び935の機能が、場合によっては、コントローラ907の命令信号によって再割り当てされるという指摘を除き、説明を省略する。
【0088】
自明なように、ライン1010、1011、1012、及び1013は、透析液バッグ1002をマニホルドモジュール911に接続する。少なくとも1つの透析液バッグ1002が、2つの弁ヘッダ941及び946の内の異なる1つに取り付けられ、バッグ間の透析液の移送を可能にし、その結果、配管セット1000の呼び水入れ及び他の機能が可能になる。更に、ライン1010は、ライン945に結合され、弁ヘッダ941及び946のいずれかからの流体が、患者ライン945にポンプで送り出されることに留意されたい。この構成によって可能とされる機能には、例えば、ヒータ903上に載置し得る1020に示された透析液バッグ1002の内の1つに任意の他のバッグ1002から流体が移送されることが含まれる。そして、一旦、バッグ1020が空になると、流体は、他のバッグ1002の内の1つから移送され、それを充填し、注入に先立ってバッグ1020を熱することができる。配管セット1000及び弁ヘッダ941及び946を検査すると、これらの機能が単に929、930、928、931、932、933、934、及び935の適切な順序付けによって使用可能になることが明らかである。各透析液バッグ1002には、再度開くことができないクランプ1005、ニードルが無いポート1007、及び噛み合いコネクタ1006及び1007が、バッグ1002及び配管セット1000上に設けられる。
【0089】
図11は、上記腹膜透析システムの何れかを準備するための方法の概要を示す。
図11のフローチャートの左側は、システムが袋詰めされた透析流体を用いる方法を示し、右側は、システム900等の透析流体を調合する方法を示す。先ず新しいバッグが掛けられるS10(本実施形態902において、バッグの内の1つは、ヒータ上に置かれる)。そして、カートリッジ又は配管セットが、サイクラに装着されるS12。袋詰めされた流体システムにおいて、新しいバッグは、接続された配管セット又はカートリッジS14及び排出及び患者ラインに接続されるS16。ヒータ上のバッグ1020は、第1サイクルに用いてよく、また予充填してよい。代替の一実施形態において、ヒータ上のバッグは、当初は空であり、流体回路1000の予め取り付けられる一部を形成する。第1サイクルの後、ヒータ上のバッグは、空である可能性があり、このバッグは、1つ又は複数の他のバッグ1002から充填することができる。満たされているかどうかに拘わらず、ヒータ1020上のバッグは、流体回路及び患者ライン経由でS19透析液を流すことによる呼び水入れに用いられるS17。流体は、呼び水入れ中、排出管経由で、また、上述したように伝導性試験を行うために導くことができる。
【0090】
S18において、セルフテスト手順は、例えば、ポンプ較正を行うために、圧力範囲をチェックするために、滅菌フィルタメンブレンの泡立ち点又は圧力減衰試験を実施するために、行うことができる。次に、患者アクセス部は、患者ラインに接続され、排出サイクルS22に続き充填サイクルS24が実施される。排出及び充填サイクルは、排出及び充填サイクルの完全なセットが実施されたことを処理完了チェックS26が示すまで繰り返すことができる。バッグ1002の残りの流体は、排出してよくS28、アクセス部、バッグ、及び流体セットは、切り離し廃棄処分してよいS30及びS32。
【0091】
引き続き
図11において、腹膜システム900のための方法は、各バッチ分の透析物を調合することができる。本方法において、流体管理セット900Aは、使い捨てバッチ、電解質、及び浸透物質濃縮液容器908、910、及び912をヒータ及び/又は重量計902上に置くことを含むシステムに装着されるS40。マニホルドモジュール911を含む流体管理セット900Aの残りが装着され、ドア973が閉じられて、弁アクチュエータ929、930、928、931、932、933、934、及び935に対してマニホルドモジュール911がクランプされる。代替として、
図8D及び8Eの例及びその変形例等のいずれか他の適切な流体回路を装着してもよい。S16において、患者及び排出ラインが接続され、また、S46、S48において、必要に応じて流体回路900Aが呼び水され、流される。使い捨てバッチ、電解質、及び浸透物質濃縮液容器908、910、及び912接続ラインは、呼び水されS50、バッチ調合及びフィルタ試験が実施されるS52。患者ラインは、呼び水されS19、患者アクセス部が接続されるS20。排出及び充填サイクルは、完成したセットの排出及び充填サイクルが実施されたことを処理完了チェックS26が示すまで、繰り返すことができる。使い捨てバッチ、電解質、及び浸透物質濃縮液容器908、910、及び912が、空にされS58、切り離されS60、そして、S32において、排出路が切り離される。
【0092】
図12は、使い捨てバッチ、電解質、及び浸透物質濃縮液容器908、910、及び912接続ラインが呼び水される
図11のS50内におけるプロセスの詳細を示す。S50Bにおいて、浸透物質ライン914は、伝導性セル経由で充填され排出され、このことは、伝導性セルが流体の存在を示すまで行われ、その点においてS50A、同じことが電解質ライン913に対してS50Dにおいて行われ、S50Cにおいて電解質が伝導性センサによって検出されるまで行われる。伝導性センサ984及び985は、水浄化システム901に接続された排出ラインにおける流体特性を検出することによって、この目的のために用いることができることを思い起こされたい。次に、S50Fでは、浄化生産水が、時間間隔の経過S50G及び生産水の伝導性が確認されるまで、排出ラインを呼び水入れするあらゆる濃縮液流体を流して、生産水ライン919を呼び水入れする。そして、バッチ充填ライン919は、呼び水され、バッチ容器908が、200ml以上の水で充填されるS50G。水は、100mlが除去されるまで、バッチ容器取り出しライン916経由でバッチ容器908から排出されるS50J。一実施形態において、この時点で、バッチ容器908を真空引きすることで、流体取り出しサイクルにおける繰り返し精度を最適化することができる。
【0093】
図13は、1バッチ分の透析物が、腹膜透析システム900又は同様なシステムによって調合される
図11のS52内におけるプロセスの詳細を示す。S52Bにおいて、バッチ容器908は、1500mlが入れ替わるまで、生産水で充填され、このことが、S52Aにおいて検出される。この量は、例示のみであり、異なる実施形態では変わってよい。そして、浸透物質濃縮液は、バッチ容器の総混合容積が1550mlになるまで52C、引き出されて52D、バッチ容器908にポンプで送り出される。バッチ容器の充填状態は、容積測定して、又は重量測定して、又はいずれか他の適切な手段で確認することができる。上述したように、他の実施形態又は本実施形態において、流体の比率は、目標処方箋を形成する観点において、本来重要なものであり、本システムの比例配分は、いずれか他の箇所で述べたように、検出による制御又は確認に加えて又は代替として、電解質及び浸透物質比及び希釈比が実現されることを保証する。次に、S52Fにおいて、電解質濃縮液は、バッチ容器の総混合容積が1650mlになるまで52E、引き出され、バッチ容器908にポンプで送り出される。上述したように、オプションとして、伝導性の試験に先立つ混合ステップをこの時点で実施してよい。バッチ容器908内容物は、ある時間の間S52J、又は、所定数のポンプサイクルの間、ライン916及び917経由での引出し及び充填によって混合することができる。この混合は、混合サイクル間に休止間隔を置いて複数回発生し得る。この後、電解質の追加の補給を行ない、所望の処方箋を実現できる。残りの生産水は、S52Gにおいて、充填量が達成されるまで、バッチ容器908にポンプで送り出されるS52H。S52C、52E、及び52Gの各々において、バッチ容器908の内容物の伝導性は、例えば、水浄化システム901の排出路経由で自動的に小さいサンプルを排出することによってチェックすることができる。そして、バッチ容器908内容物は、ある時間の間S52J又は所定数のポンプサイクルの間、ライン916及び917経由で引き出し充填することによって混合される。この混合は、混合サイクル間に休止間隔を置いて複数回起こり得る。伝導性が確認され、手順が終了する(S52終了)。又は伝導性試験が不合格である(透析物伝導性が達成されない)場合、警報が出力されるS52L。最後に、メンブレンS61経由で空気をポンプで送り出すことによる泡立ち点又は圧力減衰試験で、滅菌フィルタの完全性の試験が行われる。
【0094】
図14は、
図11のS61内におけるプロセスの詳細を示す。S61Bにおいて、弁923が開かれ、918が閉じられ、そして、S61Aにおいて圧力が所定の圧力(例えば、45psi)に達するまで、圧力センサ919によって登録されたように空気圧が大きくなり、そして、空気ポンプがオフにされ、弁923が閉じられる。S61Dにおいて、ある時間の間、例えば、3分間、圧力センサ919によって示すように、圧力を監視する(分布を測定して減衰曲線を生成することができる)S61C。圧力がしきい値(例えば、40psi)未満に低下する場合、警報を出力しS61F、そうでなければ(S61C)、S61Eにおいて、919における圧力がしきい値未満、例えば、10mmHg未満であることを検出するまで、弁918及び923を開く。
【0095】
【0096】
図17A乃至17Tは、上記のシステム実施形態による腹膜透析システムの方法及び基本的な構造を示す。バッチ容器202は、バッチ容器充填ライン222及びバッチ容器取り出しライン224を有する。浸透物質濃縮液容器204は、浸透物質濃縮液取り出しライン220を有する。電解質濃縮液容器206は、電解質濃縮液取り出しライン218を有する。浄水プラント等の精製水供給源216は、滅菌水供給ライン226が滅菌フィルタ210をマニホルド/ポンピング構成208に接続することによって接続された滅菌フィルタ210に水を供給する精製水供給ライン223を有する。一次排出路228は、廃物及び呼び水流体を伝導性センサ212に送り、そして、最終排出ライン230経由で外部に送る。患者ライン234は、マニホルド/ポンピング構成208に接続される。
【0097】
以下の説明は、全般的なPDシステムに該当し、また、要素は、様々な設計及び技術アプローチの内のいずれかにより構成することができる。例えば、マニホルド/ポンピング構成208は、ダイアフラム配置又は遠心ポンプを用いて、流体をポンプ送出し、恒久弁、流れスイッチ、ラインクランプ等を含む様々な種類のいずれかの流れ制御を組み込んでよい。バッチ容器202、浸透物質濃縮液容器204、及び電解質濃縮液容器206の容器は、剛性又はバッグタイプの容器であってよく、使い捨てであってよく、又は恒久的であってよく、その場合、滅菌プラントにそれらを提供する。本明細書に述べた実施形態の何れかにおいて、例えば、ポンプ/流れセレクタ1110等において、ポンピング及び流れスイッチング部は、(
図23Aにおいて説明したように)バッチ容器(1112)及び供給源1102-1108、及び患者ライン1153等の使い捨て容器用のコネクタを備えた恒久的な装置によって置き換えることができる。排出ライン及びコンドミニアムセルも恒久的であってよい。ポンプ/流れ選択装置は、滅菌ユニットを組み込み、自動的に自己滅菌するように構成することができる。
【0098】
本明細書に開示する実施形態の何れかにおいて、滅菌した水の供給源として用いられる浄水プラントの代わりに、滅菌した水のバッグを用いてよい。このことは、水源の提供が困難であるか又は精製水の配送が簡単である場合、有益であり、また、このことにより、本明細書に述べたものと同じ種類の使い捨て濃縮液ユニット及び他の構成要素を用いることが可能になる。更に、患者は、移動のために水の容器を保管できる。水の長期間の保管は、調合透析物の長期間の保管より安全であり、そうでなければ、望ましい。また、恒久的な相対的濃度の成分要素(処方箋)を有する調合済み希釈透析物を用いて保管するのではなく移動用の容器からの水を用いると、いつ水が提供されたか又は用いられたかにかかわらず、処理時に処方箋を確立できる。バッグ詰めされた水は、保存寿命がより長く、また、幾つかの形態の調合透析物がそうであるような析出の影響を受けないことから、好適であり得る。上述したインライン滅菌フィルタを備えたシステムは、純水だが必ずしも滅菌してあるとは限らない水を提供して用いるように、水の最終的な滅菌も行うことができる。実施形態において、好ましくは、容器中の水は、滅菌してある。
【0099】
図7Dにおいて、PDサイクラ/流体調合構成要素791は、濃縮液及び本明細書に述べたような他の成分が含まれる使い捨て品792に付属する。1つ又は複数の水容器793が、PDサイクラ/流体調合構成要素791に接続される。使い捨て品792には、他の実施形態の何れかについて本明細書に述べたように、処方箋による調合透析物で満たされる調合透析物バッチ容器が含まれる。使い捨て品792には、患者ライン及び排出ラインを含むことができる。水容器は、現在調合透析物に用いられるように、バッグで提供することができる。
【0100】
開示された主題の実施形態において、バッグ等の容器中の純水及び実施形態の何れかに関連して述べたような濃縮液使い捨て品は、家庭等の処置場所に送られる。保管された水容器及び使い捨て品は、流体調合システムに取り付けられ、開示された実施形態の何れかに関連して述べたように、透析物を調合して処置をするために用いられる。水のための接続部は、他の開示された実施形態における浄水プラントのものと同じである。透析物調合システムの動作は、様々な実施形態に関連して述べたものと本質的に同じである。
【0101】
開示された主題の実施形態において、バッグ等の容器中の純水及び実施形態の何れかに関連して述べたような濃縮液使い捨て品は、家庭等の保管場所に送られる。保管された水容器、濃縮液使い捨て品及び流体調合装置及びサイクラは、旅行時、患者と共に移動する。ホテルの部屋等の処置場所において、水容器及び使い捨て品は、流体調合システムに取り付けられ、開示された実施形態の何れかに関連して述べたように、透析物を調合して処置するために用いられる。水のための接続部は、他の開示された実施形態における浄水プラントのものと同じである。透析物調合システムの動作は、様々な実施形態に関連して述べたものと本質的に同じである。
【0102】
図17Aは、上述したように、浸透物質濃縮液取り出しライン220の初期の呼び水入れ、一次排出路228を介したマニホルド/ポンピング構成208、及び伝導性センサ212経由の最終排出ライン230を示す。マニホルド/ポンピング構成208は、図示した流れを提供するように構成されており、コントローラは、次の構成に移行するように提供される。
図17Bにおいて、マニホルド/ポンピング構成208は、電解質濃縮液容器206から電解質濃縮液を流して、取り出しライン218から一次排出路228及び最終排出ライン230を介して伝導性センサ212経由で電解質濃縮液を呼び水入れするように構成されている。
図17Cにおいて、水は、マニホルド/ポンピング構成208によって移動され、精製水供給源216から精製水供給ライン223を経由し、滅菌フィルタ210を経由し、226を経由し、そして、マニホルド/ポンピング構成208から、一次排出路228及び伝導性センサ212経由で最終排出ライン230を介して移動され、これによって、マニホルド/ポンピング構成208並びに一次排出路228及び最終排出ライン230から濃縮液を洗い流す。各段において、伝導性は、伝導性センサ212によって測定され、基準範囲と比較される。値が基準範囲外である場合、生産が中断され、エラーメッセージが生成される。
【0103】
図17Dは、バッチ容器202の初期充填を示す。精製水は、所定の小容積が移送される(例えば、200ml)まで、マニホルド/ポンピング構成208によって、精製水供給ライン223、滅菌フィルタ210、及び滅菌水供給ライン226経由でバッチ容器202にポンプで送り出される。浸透物質濃縮液取り出しライン220及び電解質濃縮液取り出しライン218は、充填パターンによって示すように、呼び水されたままである。次に、
図17Eにおいて、バッチ容器202の幾らかの内容物(例えば、100ml)が、マニホルド/ポンピング構成208によって、一次排出路228及び最終排出ライン230を介して伝導性センサ212経由で外部に排出され、伝導性が求められ、結果に依存して、後続の制御処理が続く(中断及び警報を発する)。
図17Eにおいて、マニホルド/ポンピング構成208は、滅菌フィルタ210及び滅菌水供給ライン226経由で精製水供給源216から水を引き出し、最終的にバッチ容器充填ライン222を介してバッチ容器202に流すことによって、マニホルド/ポンピング構成208を部分的に充填するように構成されている。バッチ容器取り出しライン224、浸透物質濃縮液取り出しライン220、及び電解質濃縮液取り出しライン218は、一次排出路228及び最終排出ライン230がそうであるように、呼び水されたままである。
【0104】
図17Gにおいて、バッチ容器202からのサンプルは、マニホルド/ポンピング構成208によって引き出され、伝導性センサ212経由で一次排出路228及び最終排出ライン230を介して排出される。再度、流体特性は、伝導性センサ212によって検証され、合格とされるか又は警報が発せられる。
図17Hにおいて、浸透物質は、マニホルド/ポンピング構成208によって浸透物質濃縮液取り出しライン220を介して浸透物質濃縮液容器204から引き出され、そして、バッチ容器充填ライン222経由でバッチ容器202にポンプで送り出される。
図17Jにおいて、バッチ容器202からのサンプルは、マニホルド/ポンピング構成208によって引き出され、伝導性センサ212経由で一次排出路228及び最終排出ライン230を介して排出される。再度、流体特性は、伝導性センサ212によって検証され、合格とされるか又は警報が発せられる。
【0105】
図17Kにおいて、電解質は、マニホルド/ポンピング構成208によって電解質濃縮液取り出しライン218を介して電解質濃縮液容器206から引き出され、そして、バッチ容器充填ライン222を介してバッチ容器202に移送される。
図17Lにおいて、バッチ容器202からのサンプルは、マニホルド/ポンピング構成208によって引き出され、そして、伝導性センサ212経由で一次排出路228及び最終排出ライン230を介して排出される。再度、流体特性が、伝導性センサ212によって検証され、そして、合格とされるか又は警報が発せられる。
図17Mにおいて、精製水は、精製水供給ライン223、滅菌フィルタ210、及び226経由でマニホルド/ポンピング構成208によって引き出され、そして、バッチ容器充填ライン222を介してバッチ容器202に移送される。
図17Nにおいて、バッチ容器202からのサンプルは、マニホルド/ポンピング構成208によって引き出され、そして、伝導性センサ212経由で一次排出路228及び最終排出ライン230を介して排出される。再度、流体特性は、伝導性センサ212によって検証され、そして、合格とされるか又は警報が発せられる。
【0106】
図17Pは、流体混合構成を示すが、本構成では、マニホルド/ポンピング構成208は、バッチ容器充填ライン222及びバッチ容器取り出しライン224を介してバッチ容器202経由で流体を循環するように構成されている。このことは、所定時間、予測数の流体サイクル又は予測数のポンプサイクルの間、行われる。
図17Qにおいて、バッチ容器202からの最終透析生成物のサンプルは、マニホルド/ポンピング構成208によって引き出され、そして、伝導性センサ212経由で一次排出路228及び最終排出ライン230を介して排出される。再度、流体特性は、伝導性センサ212によって検証され、そして、合格とされるか又は警報が発せられる。流体配合を調整する必要がある場合、浸透物質濃縮液又は電解質濃縮液又は希釈水の小量を追加することができ、そして、所望の配合に達するまで、試験を繰り返すことができる。
【0107】
図17Rは、バッチ容器取り出しライン224経由でマニホルド/ポンピング構成208によって患者ライン234に後者を呼び水入れするために引き出された流体を示す。
図17Sにおいて、患者214のアクセス部は、患者ライン234に接続されており、排出動作が実施されるが、この動作においては、使用済みの透析物が、マニホルド/ポンピング構成208によって患者ライン234経由で患者214から引き出され、そして、伝導性センサ212経由で一次排出路228及び最終排出ライン230を介して外部に通過する。検出された伝導性及び圧力変化は、例えば、上述したように、腹膜メンブレンの透水性、感染等の問題を診断するために用いることができる。
図17Tは、患者充填サイクルを示すが、この場合、流体は、マニホルド/ポンピング構成208によってバッチ容器202から引き出され、そして、患者ライン234及び患者214にポンプで送り出される。
【0108】
図17A乃至17Tの実施形態において、マニホルド/ポンピング構成208には、コントローラ、ユーザインターフェイス、弁、1つ又は複数のポンプ、センサ、流量センサ、行程容積センサ、及び/又は提示された機能を実現する他の構成要素を含むことができる。
【0109】
上記実施形態の何れかにおいて、浸透物質濃縮液には、所定分の電解質濃縮液を含むことができ、これにより、伝導性セルを用いて電解質濃度を測定することによって、浸透物質の量又は濃度を求めることができる。最終的な電解質濃度は、浸透物質濃縮液と共に提供された既知の量に基づき電解質濃縮液を配分することによって実現される。
【0110】
図18は、開示された主題の実施形態による制御システムを示す。コントローラ830は、PDシステム838における任意の点から、伝導性、温度、及び流量を含むセンサ信号を受信することができる。コントローラは、アクチュエータ制御信号を印加して、ポンプのスピードを調整するか又は可変再循環バイパスライン又は流体レギュレータ弁等の可変インライン抵抗を備えた定量ポンプ等の等価流量レギュレータを調整し得る。PDシステム838から提供された流体は、調整された割合で腹膜ライン842に移送されるが、腹膜ラインには、流出及び戻り流体に用いられる単一のライン又は各々流出及び戻り流体にそれぞれ用いられる1対のラインを含むことができる。圧力センサ834は、流出腹膜ライン又は双方向に流体を移送する腹膜ラインにおける遠端点での圧力を示す信号を生成する。追加の圧力センサは、それぞれ流出及び戻りラインに用いることができる。データ記憶装置836は、流体回路を含む使い捨てユニット(流体回路の特性により変わり得る)に特有な、特定の患者もしくはクラスの患者又は他の要件に特有な1つ又は複数の処置プロファイルを記憶することができる。
【0111】
データ記憶装置836に記憶された圧力プロファイルデータは、そのようなデータ記憶装置841に関する識別情報に基づき、使い捨てユニットに取り付けられたデータ記憶装置841から取得するか又はサーバからダウンロードできる。代替として、圧力プロファイルデータは、836に定期的に記憶することができ、また、処置に用いられる特定のデータ、例えば、ユーザインターフェイス経由で識別され、そのプロファイルデータが患者特有の処置データの保管場所から取得される特定の患者用のデータは、処置中、コントローラのユーザインターフェイスから選択することができる。圧力プロファイルデータには、圧力センサ834の箇所での最大圧力を表す単一の圧力値を含むことができるが、これは、最大圧力を示し、また、上記いずれかの実施形態に基づき述べたようにコントローラ830によって制御されるポンプ840によるポンピングレートの限界としての役割を果たす。圧力プロファイルデータには、腹膜透析充填サイクルのそれぞれの段階を表す複数の圧力値を含むことができる。例えば、圧力値は、容積及び圧力又はポンプ回転数及び圧力を互いに関係づけ、従って、プロファイルを定義する。例えば、その割合は、累進的に最大値側に傾斜し、そして、徐々に弱まって、すみやかな処理能力と患者の快適さの希望とのバランスを取ることができる。
【0112】
図19は、開示された主題の実施形態による流体経路及びアクチュエータレイアウトを示す。本実施形態は、上述した実施形態の変形例を示す。例えば、別々の充填861及び排出862ラインは、患者(単一内腔又は二重内腔腹膜カテーテル)に接続される。滅菌フィルタ860は、充填ラインに設けられる。1つ又は複数の流量センサは、例えば、854及び/又は855に示すように設けられ、これらは、誤り状態検出のために又は上述したように、各流路それぞれの正味押しのけ質量又は容積へのポンプサイクルの変換を導出する較正手順を実現するために用いることができる。それぞれの弁G1、P1、P1、P2、S1、S1、W1、及びE1は、回路中の流体の流れを制御する。ポンプ858は、回路中の流体を移動させる。以下の表は、
図19によって網羅された実施形態の動作手順の一実施形態を示す。いずれかのこれらの特徴は、上記実施形態の何れかと組み合わせて、追加の実施形態を形成し得る。例えば、1つ又は複数の流量センサは、
図6A乃至6K又は7A乃至10又は17A乃至17Tの実施形態に提供することができる。方法実施形態も変形して、上記略述された較正手順を追加し得る。
【0113】
【0114】
第2列において、ポンプ動作、文字A、B、C等は、所定の値を指す。例えば、ぜん動ポンプの回転は、ポンプで送り出される2ml毎に1回であり、従って、値は、ポンプで送り出される流体の量に対応し得る。弁状態と表記された列は、
図19において表記された弁の状態を指し、Xは閉状態を、Oは開状態を指す。ポンプ動作列の用語(calc)は、ポンプサイクルの数が、上述したように、較正から得られたパラメータにより調整されたことを示す。
【0115】
上記システムの何れかについては、追加のラインを流体回路に設けるように変形でき、また、バッチ容器と同様に弁をつけることができるが、これは、補助ポートに至るものである。サイクラ補助付き処置サイクルの終わりに、この補助ポートから1バッチ分の新しい透析物を調合し、供給して、連続的な歩行用腹膜透析に用いることができる。このシステム及び方法では、患者は、サイクラ補助付き処置、例えば、腹膜を充填した状態で、夜間の処置を終わらせることができる。腹膜を充填した後、追加の1バッチ分の透析物を、調合して、バッチ容器から補助ポート経由で二次容器にポンプ送出できる。そして、これは、サイクラ補助付き処置段階の終わりにそれで腹膜が充填された使用済みの透析物を排出処理した後、CAPDの第2サイクルに用いることができる。如何にして、処理/流体調合装置の追加の弁及びコネクタが、例えば、マニホルドモジュール911(
図8A)に含まれて、要求通りにバッチ容器から流体を移送させて実施するかは、容易に明らかである。処理/流体調合装置のコントローラは、ユーザインターフェイス選択によって示すことができるユーザの指定オプションでこの機能を自動的に実施するように構成することができる。CAPD用の複数のバッチもまたこのようにして供給することができる。更に、バッチ容器は、サイクラ補助付き腹膜透析のことの完了後、腹膜を充填するために用いられる最後のバッチに加えて、1つ又は複数のCAPD処理サイクルの間、充分な透析物を混合するのに充分な程大きくてよい。このように、患者が依然としてサイクラに接続され、また、サイクラ補助付き療法を受けつつ、1つ又は複数のCAPDバッチを調合し得る。
【0116】
開示された及び/又は請求項に係る方法、制御、又はシステム実施形態の何れかにおいては、ここではバッチ容器が空になるが、ある時間の間、負のポンプ圧を容器に印加して、確実に完全に空にできる。更に、開示された及び/又は請求項に係る実施形態の何れかでは、バッチ容器は、斜めの土台上に配置して、その排出口を最も低い点にすることができ、また、バッチ容器を完全に空にすることを支援できる。他の実施形態は、バッチ容器及び/又は他の流体容器を押して又は振動させて、確実に流体が貯留されないように支援するための機構を提供することによって形成することが出来る。
【0117】
実施形態の何れかにおいて、追加の実施形態は、以下の変更によって形成し得る。単一の腹膜充填を実施するのに充分な透析物の1バッチの代わりに、バッチ容器は、2つ以上の充填/排出サイクルに対して充分なほど大きくできる。実際、バッチ容器は、一度に、全サイクル用の、例えば、夜間の全処置分の要求透析物全てについて充分なほど大きくてよい。このことは、例えば、患者が眠る前に又は間に行なってよく、その利点は、患者が流体調合の雑音によって起こされないことである。
【0118】
上記マニホルド実施形態の何れかにおいて、排出ラインは、
図7A、7B、及び8Aの実施形態のように、ポンプチューブの両側で弁に分割することができ、又は、患者ラインは、
図10及び19のように、ポンプチューブの両側で弁に分割できる。排出ラインを分割する場合、ポンプは、患者の腹膜の充填及び排出のために、逆転する必要がある。患者ラインを分割することによって、マニホルド及びポンプは、ポンプを単一の方向にのみ動かせばいいように構成し動作させことができる。これは、下記実施形態による必要な機能を全て提供することを目的としている。これらの実施形態では、(1)水、処置流体成分、及び1バッチ容器出口が、全てそれぞれの制御弁経由でポンプ入口に接続され、バッチ入口及び排出路は、それぞれの制御弁経由でポンプ出口に接続される。(2)患者ラインは、それぞれの制御弁経由でポンプ入口及び出口双方に接続される。ポンプを単一の方向に動かすことによって、ポンプサイクルから移送流体への変換の繰り返し精度をより良く維持できる。代替の一実施形態において、流体は、別個のポンプラインによって患者から排出される。このことは、二重内腔腹膜ライン又は単一内腔ラインによって行ない得る。
【0119】
上記実施形態の何れかでは、別々の充填及び排出ラインを単一の充填/排出ラインの代わりに用いることができる。別々の充填及び排出ラインを備えた実施形態において、圧力ポッドは、充填ライン上のみで、排出ライン上のみで支持でき、又は、圧力ポッドは、充填及び排出ライン双方に設けることができる。同じことが、腹膜処理ラインの他の圧力測定実施形態に当てはまる。明らかになるように、圧力測定機能は、使用済み透析流体の特性の検出及び充填流量の調整並びに本明細書に述べた他の目的のために用いることができる。
【0120】
本実施形態及び他の実施形態の何れかにおいて、伝導性センサを接触して、信頼できる読み取り値を形成するために、充分な量の流体を排出することができる。例えば、25乃至100mlの範囲の量又は好ましくは50乃至70mlの範囲の量を用いることができる。
【0121】
実施形態の何れかにおいて、浸透物質は、ぶどう糖、L-カルニチン、グリセロール、イコデキストリン、又はいずれか他の適切な薬剤であってよく又はこれらを含んでよい。更に、腹膜透析液を作るために混合される成分は、数が変動することがあり、また、記載した実施形態の何れかは、単一の濃縮液成分又は実施形態の単純明快な変更によるいずれか他の数の濃縮液成分から作成することができる。例えば、バッファ(例えば、酢酸塩、重炭酸塩、乳酸塩)は、浸透物質から分離している電解質から分離することができる。
【0122】
希釈流体の直接付加を用いる開示された実施形態の何れか、例えば、
図10の実施形態において、流体ライン(例えば、ライン1010、1011、及び1012)に事前に滅菌フィルタを設置して、患者に流れる流体の汚染の原因から接触汚染を防止できる。
【0123】
開示された実施形態の何れかにおいて、無流量又は低流量状態が存在する状態で、腹膜ラインの近端及び遠端部において圧力信号を生成することができる。このことが処置の準備中又はその間の或る点で起こるように制御して、ライン中の静的な油圧水頭の表示を生成することができる。例えば、患者がベッドから落ちて、近端と遠端部との間の高さの差異が突然生じた場合、圧力差異を検出することができる。この検出により、警報又は他の出力のトリガがかかり、機械状態の変化、例えば、機能停止を例示すことができる。低流量又は無流量時の限界を超えた圧力差異からの他の推測は、システムの異常なセットアップである。実施形態において、ポンプサイクルの総移送流量への変換は、腹膜ラインの近端と遠端部との間の或る範囲の高さ差異を含む想定システム構成によって支配され得る。以下の表は、幾つかの可能な振舞いを示す。
【0124】
【0125】
上記表において、文字によって識別された範囲は、圧力プロファイル、即ち、進行性のプロセス中、変化する圧力値(上限及び下限又は上限直前及び下限直前)を表し得る。例えば、圧力範囲Cは、ポンプサイクルの数と共に増加し得る。範囲データは、コントローラのメモリに記憶するか及び/又は置き換え可能な配管セットのメモリ装置に記憶するか及び/又は遠隔サーバから読み取るかもしくはいずれか他の適切なシステムによって導出することができる。圧力範囲データは、特定の配管セットモデル、処理タイプ、及び/又は患者に対してそれぞれであってよく、選択は、自動化するか又はユーザインターフェイスを経由して手動で行ってよい。用語「誤構成」は、不備、障害物、漏洩、切断、又は他の種類のライン問題を意味し得る。表において、警報又は他の出力がアクションとして表示される箇所はどこでも、このことを含み得る。又は代替として、ユーザに対して、問題を検証するための何らかのアクションを取るか、又は、そのアクションが何であるかについて詳細な説明を行うように指示する。例えば、接続の誤構成が示されている場合、
【0126】
開示された実施形態の何れかにおいて、遠端圧力センサは、腹膜サイクラ機械内に又は患者に至る配管セット上に機械に近接して配置することができる。遠端圧力センサは、患者の近くに配管セット上に又は腹膜カテーテル内に配置することができる。更に、配管セットから分離して、腹膜内に位置決めすることができる。そのような実施形態において、圧力センサラインは、配管セットに取り付けることができる。例えば、配管の金属表面又は共有押出し成形品(ワイヤ絶縁及び配管の共押出し成形品)又はそれに沿った点における単なるチューブへの取り付け。
【0127】
開示された実施形態の何れかにおいて、濃縮もしくは希釈浸透物質又は腹膜透析液もしくはぶどう糖を含むその濃縮液又は透析液のいずれか他の前駆体は、熱で処理されなかったぶどう糖を含んでもよい。これらの実施形態の何れかにおいて、ぶどう糖濃縮液もしくは溶液又は透析液もしくはぶどう糖を含む前駆体は、熱滅菌を全く用いることなく滅菌済み容器に保管する際、滅菌フィルタ処理することができる。これにより、有毒なぶどう糖の熱滅菌副生成物が回避される。ある方法実施形態においては、バッグを含む滅菌パッケージは、その充填ポートにインライン滅菌フィルタ(例えば、0.1ミクロン多孔性滅菌フィルタ)を有する。そのポートは、細長くてよく、また、充填ポート上に再度開くことができないふたを有してよい。充填時封止された他のポートは、内容物にアクセスするために用いることができる。充填前に、封止された容器は、ガンマ滅菌又は熱滅菌によって滅菌される。そして、ぶどう糖溶液は、インライン滅菌フィルタ経由で容器にポンプで送出され、再度開くことができない蓋の機構が閉じられる。再度開くことができない機構は、熱可塑性溶接によって封止される単に溶接可能なチューブネックであってよい。他の封止装置を用いてもよい。
【0128】
以下及び請求項において、流路選択アクチュエータには、自動弁の作動部品、例えば、チューブクランプ、メンブレン弁を閉じる線形駆動装置等の上記実施形態に開示された弁アクチュエータを含むことができる(例えば、
図8B及び8C)。
【0129】
図20は、繰り返し可能な行程容積を用いて、構成流体の予測成分比率を提供する順次溶液混合システム1100を示す。
図21は、
図20のシステム及び本明細書の他の箇所に述べられた上記のPD透析物混合システムを含む任意の適切なシステムに用いることができる薬剤等の溶液を混合するための方法を示す。システム1100は、各供給源1102、1104、1106、及び1108をバッチ容器1112に接続し、更に、ポンプ1118を用いて、各供給源1102、1104、1106、及び1108から流体をバッチ容器に連続してポンプ移送するポンプ/流れセレクタ装置1110を有する。4つの供給源を示すが、より少ない又は多い場合を含む任意の数であってよい。これらの供給源は、容器又はインライン生産プラント又はいずれか他の種類の流体供給源を表すことができる。ポンプ/流れセレクタ装置1110は、
図8D又は10を参照して述べたように構成することができるが、例えば、ポンプ及び流れ切り替え機構を用いる任意の種類の構成であってよい。
【0130】
滅菌フィルタ又は他の種類のフィルタは、1つ又は全ての構成流路に用いることができる。一実施形態において、流れセレクタ/ポンプ1110、供給源流体1104、1106、及び1108(これらは構成要素の数が変動し得る。即ち、図示したものより多い又は少ない)並びにバッチ容器は、単一の封止された使い捨てユニットを形成し、その唯一の入口の点は、供給源1102へのコネクタを経由する。一実施形態において、供給源1102は、水等の希釈液の供給源であり、他の供給源は、濃縮液として、封止された容器に設けられる。この構成の結果、供給源1102からの又は供給源1102に接続するために用いられる単一のコネクタ(図示しないが供給源1102とフィルタとを接続する)からのフィルタへの汚染のリスクは、大きく低減される。医療用装置の場合、細菌性の汚染のリスクは、例えば、0.1又は0.2ミクロンの細菌遮断又はパイロージェン遮断細孔サイズを備えたメンブレンフィルタ等の滅菌フィルタを用いて低減される
【0131】
ポンプ1118は、一旦、セットアップされると、繰り返し可能であるが、そのポンプの所定の機械的な押し退け量に対して、どの程度の容積が、それによって押しのけられたのかという観点において、正確ではない可能性のあるタイプのものである。例えば、ポンプ1118が、ぜん動タイプのものである場合、回転数は、それを通して輸送される固定容積の流体に対応するが、これは、ぜん動ポンプに取り付けられた特定の配管に依存して、変化する。配管材料の機械的な特性、配管の壁面厚のばらつき、如何にして配管がポンプローターと軌道輪との間に置かれるかなどは、ローターの回転当り押しのけた容積に影響を及ぼし得る。これらの構成パラメータは、配管が滅菌され、また、使い捨て品である医療用途ではよくあるように、配管が置き換えられた場合、変動する。その結果、ポンピングプロセスは、1つの構成の確立と次の構成の確立との間で変わり得る。例えば、第1構成は、特定の配管セットが設置された場合、確立でき、そして、第2構成は、他の配管セットが設置された場合、確立し得る。制御された出力(押しのけた容積)と調整された入力(ポンプのサイクル)との間の関係に影響を及ぼし得る構成には、以下の1つ又は複数を含む可能性がある。
1.構成要素の交換;
2.連続的混合動作間のあそび時間;
3.構成要素洗浄又は滅菌;
4.構成要素の温度又は温度の変化;
5.連続又は不連続使用の時間の経過;及び/又は
6.ポンプで送り出される流体の変化。
【0132】
構成変化を伴うことができる変動性にかかわらず、第1流体がポンプ送出され、第2流体が続く場合、各流体の量は、ポンプのサイクルの数に比例し得るように、ポンピングレートは、単一の構成内において一定であってよい。ぜん動ポンプの場合、各サイクルは、ローターの回転に対応する。遠心ポンプの場合、所定のスピードにおける時間間隔に対応し得る。電磁流体力学ポンプの場合、ポンピング間隔における電力レベルに対応し得る。代表的な実施形態において、ぜん動ポンプは、単一の構成内において、ポンプローター押し退け量に対して繰り返し可能な容積押し退け量を呈すると判断される。
【0133】
上述したように、1バッチ分の流体を形成する成分の混合目標比は、目標比が混合物において確立し得る限り、実際の流量の情報に依拠する必要がない。従って、較正は、目標濃度比に合わせた混合に対しては、必要ない。しかしながら、本明細書における実施形態でのように、組み合わせ・混合装置は、腹膜サイクラとしても機能する。処置目的のために所定の量の流体を患者に移送できること、また、限外ろ過率を測定する目的のために、また、腹膜の過剰充填を回避するために取り出された流体の量を測定することは、望ましい。従って、ポンプの較正は、コントローラによって用いられ、患者に移送された流体の正味量及び患者から引き出された正味量を求めることができる。
【0134】
構成要素の目標比を実現するための成分の正確な比率は、あらかじめ求めてコントローラに記憶することができる補正係数によって高めることができる。これらの補正係数は、ある程度異なる流路を流れる異なる流体について異なる押しのけ容積に対するポンプサイクルの比に影響を及ぼす様々な要因を補正することができる。上述した方式において、流体は、幾つかの流れ供給源の各々、例えば、成分濃縮液容器及び水の供給源から移送される。各成分をポンプで送り出すために同じポンプを用いるが、経路は、ある程度異なる。同様に、バッチ容器から患者への調合された透析物の流路は、患者から排出経路への使用済み透析物の流路とは異なる。更に、流体の特性は、異なり得る。補正係数は、コントローラに記憶され、異なる透析物成分の目標比が最終の透析物バッチにおいて実現するように用いることができる。例えば、バッチ容器へのぶどう糖濃縮液の流路が、所定数のポンプサイクルの間、バッチ容器への電解質流路より小さい容積の流体がそこを通り輸送されるように決定されるとする。すると、その場合、ぶどう糖経路に対して、電解質経路より大きい補正係数を記憶してよい。補正係数は、ポンプサイクルの数を決定するために用いられる。このことは、単位容積当りの電解質を移送する場合よりも、ぶどう糖を移送するために必要な単位当り、より多くの数のポンプサイクルが単位容積当り用いられるように行われる。移送された絶対容積は、正確に分かる必要はないが、補正係数を用いると、移送されたぶどう糖濃縮液と電解質濃縮液の相対比を保持することができる。尚、補正係数は、混合がN流体を伴う場合、N-1の要因だけを記憶する必要があるように、流体間の比として記憶することができることに留意されたい。
【0135】
そのような補正係数は、様々な配管セットを用いて、実験によって実験室で生成することができる。補正係数は、患者への新しい透析物の総移送容積、及び、患者からの使用済み透析物の総移送容積を制御する目的のために同様に生成することができる。この場合、移送された容積を測定することが望ましい。従って、補正係数は、それ自体としては、移送された容積に対するポンプサイクルの比の確立を支援する。患者から排出路への使用済み透析物の流量を測定するための補正係数は、使用済み透析物と特定の流路の予測特性を説明し得る。患者へ及び患者から移送される透析物の容積を決定する場合、補正係数は、実験室において実験によって求めることができ、その構成の変動性及び流体の特性を補正する較正手順からの較正係数が与えられると、移送される容積をポンプ速度から予測し得る。従って、較正は、
図22Aにおいて説明したように実施することができ、また、このデータは、患者から及び患者へ流体を移送する際、異なる流路及び特性を説明する事前補正係数と組み合わせることができる。較正係数は、使用済みの及び新しい透析物双方の移送に該当し、補正係数は、各々別々である。較正係数は、設備に対する変更及び調整を伴う構成の差異を調整し、また、補正係数は、流路及び流体特性による差異を説明する。これらの組合せは、ポンプ速度で乗ぜられ、流量又はポンプサイクルを生成して、移送容積を得る。
【0136】
較正データは、任意の種類のデータ記憶装置に記憶することができることに留意されたい。上述した較正シーケンスを繰り返して、複数の条件が生成される補正係数の表を生成することができる。例えば、温度又は上流及び下流の圧力を変更して、様々な条件に対する補正係数の表を生成することができるが、この場合、各補正係数は、流量が計算された場合に対して存在する条件の1つの組合せに基づき、選択される。実際の移送容積の予測は、上記及び本明細書のいずれか他の箇所において述べた比例配分を強化するために用いることができる。一実施形態において、数値補正によって予測される容積は、ポンプのサイクル数を決定するために用いられ、一方、各成分に対するポンプサイクルレートは、議論しているように整合される。
【0137】
構成流体を混ぜ合わせるためは、一定の比率が要求されるが絶対量はそれほどではないことから、腹膜透析物等の混合物の成分を組み合わせる場合、較正は、実施形態では、不必要である。しかし、処置の場合、患者から取り出される流体と患者に送られる流体との間の差異は、その差異が腹膜透析の処理機能である正味流体取り出しを表すことから、少なくとも定量化する必要がある。正味流体取り出しの測定を支援するために、ポンプ(これには、ぜん動ポンプではポンプチューブセグメントが含まれる)の較正は、構成変化が起こる度に行なってよい。較正は、後述するように、物理的な流路特性及び流体特性の差異(例えば、使用済み透析物と新しい透析物との間の粘度の差異)を説明する補正係数によって高めることができる。補正係数は、実験によって得られ、そして、コントローラに記憶でき、そして、それぞれの流れ構成を基準にして適用することができる。更に、補正係数は、成分を混ぜ合わせてバッチを形成するために用いられるポンプサイクル対流体分数比に畳み込むことができる。これらの補正係数は、ルックアップテーブルにおけるそれぞれの処方箋に要求される比でひとまとめにするか又は調合法において適用することができる。
【0138】
混ぜ合わせる場合、調合法アプローチは、各流路の補正係数を記憶することである。所定の構成流体経路の補正係数は、処方箋によるバッチへの所定成分の移送として、またそれを制御するために用いられるポンプの単位容積当りの公称数のポンプサイクルによって乗ずることができる。代替として、ルックアップテーブルは、各処方箋に対して各成分に対するポンプサイクルを備えた一組の所定の処方箋を記憶するために用いることができる。記憶されたポンプサイクルは、各流路における差異の補正を組み込み得る。
【0139】
混合システム1100は、その構成を変更することなく、また、(ぜん動ポンプの場合、ポンプチューブを含むことができる)同じポンプ1118を用いることなく、全ての構成流体1102乃至1108をバッチ容器にポンプで送り出すための単一の構成を用いることによって、バッチ容器における正確な成分比率を生成する繰り返し精度を利用し得る。構成流体のポンプ送出後又はポンプ送出中、ポンプは、上述したように、流体を混合するためにも用いることができる。
【0140】
構成がぜん動ポンプ等のポンピング構成の繰り返し精度に影響を及ぼすばかりでなく、異なる構成流体間でポンピングレートを維持することが、その比率を更に安定にし得ると判断されている。従って、次に
図21を参照すると、一実施形態では、S122において、構成流体1102は、まず、ポンプ1118の所定数のサイクルの間、一定に保持される所定の割合Qでポンプで送り出される。そして、S124において、構成流体1104は、ポンプ1118の所定数のサイクルの間、一定に保持される所定の割合Qでポンプで送り出される。そして、S126において、構成流体1106は、ポンプ1118の所定数のサイクルの間、一定に保持される所定の割合Qでポンプで送り出される。そして、S128において、構成流体1108は、ポンプ1118の所定数のサイクルの間、一定に保持される所定の割合Qでポンプで送り出される。S130において、成分は、S132において第2割合に切り換えられる第1割合で混合することができるが、割合切り替えは、混合間隔が経過するまで繰り返される。混合は、バッチ容器1112からの及びそれへのループ経由でバッチ容器1112内容物をポンプで送り出すことによって行ない得る。これらの割合の内の1つ(第1S130及び第2S132)は、ポンプ送出の他の割合より小さくてよい。他の実施形態において、これらの割合の内の1つ(第1S130及び第2S132)は、液体が沈澱し得るポンプ送出のゼロの割合であってよい。他の実施形態において、流れは、第1割合が第1を基準として逆転及び/又は異なる大きさになるように、定期的に逆転される。このようにして混合すると、即ち、混合の割合を変更すると、所定の時間の間、連続的に動かすよりも効果的に混合されると判断される。S134において、所定数のサイクル又は時間の後、混合が終了し、バッチが利用可能になる。
【0141】
代替の実施形態には、任意の種類の混合システム、例えば、水溶性濃縮液混合システムが含まれる。混合は、ポンプを脈動させることによっても促進することができる。本明細書に述べた混合及び比率実施形態は、
図6A、13、17A乃至17T、及び19の実施形態並びに他の構成に適用することができる。
【0142】
構成変化に起因する変動性にもかかわらず正確な比率を保証する場合、ポンピングレートの変化を補正することも可能である。例えば、所定のポンプサイクル割合について所定の流路に対する実際の流量を推定する実験的機能を記憶できる。例えば、表は、ポンプローターRPM用の列又は行及び各流路用の補足的行又は列に機能パラメータを記憶することができる。従って、割合Q1は、構成流体1に用いることができ、Q2は、構成流体2に用いることができる。混合物のQ1対Q2の目標比が2:1である場合、ポンプは、流体1をポンプ送出しつつ、2Nサイクルの間、また、流体2をポンプで送り出す場合、Nサイクルの間、走らせてよい。このことは、上述した一般的な方式である。しかし、補正係数の場合、流体の内の1つは、早い割合でポンプで送り出すことができ、また、ポンプサイクルの数は、係数によって変更し得るが、この係数は、実験的に導出し、表又はリストに記憶することができる。一例において、補正係数は、より速くポンプで送り出され他の流体よりわずかに多くのポンピングサイクルの間ポンプで送り出される流体に帰する。ある方法では、補正係数を提供するために、複数の構成がテストされる。補正係数は、各流路に対してもそれぞれである。例えば、濃縮液Aとバッチ容器との間の第1流路は、1つ又はセット(各々或る流量又はポンプサイクル割合に対してそれぞれ)を有し、また、水とバッチ容器との間の第1流路は、もう1つ又はもう1つのセット(各々或る流量又はポンプサイクル割合に対してそれぞれ)を備えることができる。
【0143】
図22Aは、構成流体を混合してバッチを形成するためのシステムを示し、また、1つ又は複数のポンプを較正するための特徴の描写を含む。
図22Aは、構成流体の繰り返し可能な成分流量を用いて、特定の流量又は移送された容積を測定することなくその目標比を実現する順次溶液混合システム1101を示す。ここで述べるシステム1101の特徴は、本明細書に述べた任意のシステム又は方法で用いることができる。ポンプ/流れセレクタ装置1110は、各供給源1102、1104、1106、及び1108をバッチ容器1112に接続し、更に、ポンプ1118を用いて、各供給源1102、1104、1106、及び1108からバッチ容器に連続して流体をポンプで送り出す。ポンプ/流れセレクタ装置1110は、
図8D又は10を参照して上述したように構成することができるが、例えば、ポンプ及び流れ切り替え機構を用いる任意の種類の構成であってよい。ポンプ/流れセレクタ装置1110は、更に、排出ライン1151への各又は幾つかの供給源1102、1104、1106、及び1108を消費者ライン1153(例えば、腹膜透析用の患者充填/排出ライン)に接続することができるが、ライン1153は、流体をバッチから又は任意の供給源1102、1104、1006又は1108から取り出すために用いることができ、この時、ポンプ1118は、任意の選択された移送に対して原動力及び流量調整を与える。ポンプ/流れセレクタ1110は、選択された移送を行うのに必要な切り替えを提供する。
【0144】
コントローラ1132は、ポンプ/流れセレクタ1110に接続されて、ポンプ/流れセレクタ1110を制御する。コントローラは、開示された実施形態の何れかに従って構成でき、また、開示された又は請求項に係る何れかの方法によりプログラムし得る。コントローラは、ポンプを動かして、供給源1102から排出ライン1151に、また、それを通して流体を流すように構成することができる。更に、コントローラは、一瞬の間、供給源1104を排出ライン1151に接続し、また、そこを経由して流体をポンプで送り出すように構成してよい。供給源1102及び1104からの流体の特性は、異なり、また、第1及び第2検出器1155及び1150によって検出可能である。コントローラは、第1検出器1155による検出と第2検出器1150による検出との間の時間遅延を測定することができる。第1検出器と第2検出器との間の量、時間遅延が分かっていると、流量を導出することが可能である。このことは、要求される特性検出器の追加によって、バッチ用の成分を組み合わせて混合するために用いられるものと同じ構成要素を用いて、自動的に行なってよい。
【0145】
実施形態では、特性検出器は、空気センサであり、空気(泡)は、流体ラインにおいて注入される。小量の空気は、血液処理システムでは標準である空気検出器によって容易に検出することができる。伝導性も、接触タイプ及び誘導性双方共、容易に検出することができる。
【0146】
実施形態では、二重センサは、使用前に、混合された透析物バッチの品質を確認するために冗長特性測定に用いられる。冗長センサの用途については、
図9及びいずれか他の箇所において冗長センサ984及び985を参照して上述している。実施形態では、冗長センサは、正確に定義された既知の容積を備えた流れチャネルによって離間されており、上述したように、流量測定及び較正に用いることができる。冗長センサが用いられる実施形態の何れかにおいて、コントローラは、センサが測定するように構成されている特性を検出するばかりでなく、センサ信号が一致しているか比較することによって測定を検証するようにも構成することができる。実施形態では、本明細書の様々な実施形態において開示されているように、1対の伝導性センサが排出ラインに設けられている。1バッチ分の透析物を混合した後、混合された流体のサンプルは、その伝導性を1対の伝導性センサによって測定できるように、排出路にポンプで送り出される。各センサの測定された伝導性は、コントローラによってデータとして記憶された所定の許容範囲と比較される。いずれかのセンサによって示され測定された伝導性が、許容範囲外になる場合、出力がユーザインターフェイス上に生成され、故障状態を示す。代替として、2つの伝導性センサの測定された伝導性は、平均され、所定の範囲と比較され、平均が範囲外である場合、故障表示が生成される。あらかじめ定義された範囲は、幾つかの内の1つであってよいが、その各々は、それぞれの処方箋に対応する。コントローラは、更に、伝導性測定値を互いに比較し、そして、測定値間の差異が所定の不一致しきい値(このしきい値はコントローラによって記憶することができる)を超過する場合、故障信号を生成するように構成してよい。不一致しきい値は、百分率又は絶対量として記憶してよく、複数の値を記憶することができるが、各々、それぞれの処方箋又は処方箋の範囲に対応する。ユーザインターフェイス上での故障の表示の出力に加えて、故障信号は、ポンプを停止したり、弁を動作して透析物の使用を防止したり、また、他の対策のために用いることができる。
【0147】
代替の実施形態では、単一の検出器を用いることができ、経過時間、ポンピングラインへの供給源1104からの初期の流れからの時間をコントローラによって測定する。前述の実施形態のように、供給源1104からの流体の注入から検出までの時間遅延は、供給源1104の接続点と検出器1150との間の流体回路の所定の容積と組み合わせて、流速を決定することができる。
【0148】
時間遅延データ及び流れ容積データを用いて、流量を導出することができ、また、ポンプサイクル割合と流量との間の相関関係を確立し、コントローラに記録し得る。
【0149】
バッチ混合物の正確な比率を提供する他の方法は、
図20において説明したように、ポンピングレートを一定に維持するよりもむしろポンピングスピードの変化の影響を緩和することである。一実施形態では、バッチ溶液の成分は、異なるレートでポンプで送り出される。弁が第1流体から第2へ切り換えられる場合、弁が切り換えられて第2流体をバッチ容器に流す前に、第2流体の或る初期の部分が排出路に移送される。このことにより、補正係数では説明できないポンプサイクルに対する押しのけ容積の比に影響を及ぼす何らかの初期の又は過渡的な特性を解消し得る。従って、コントローラは、弁を動作して、流体の新しい供給源を一瞬の間排出路に、そして、バッチ容器に接続するように構成することができる。流路を容器に切り替えた後、コントローラは、移送された容積を累加し始め、選択された量の新しい供給源流体をバッチ容器に移送する。
図22Bは、
図22Aの構成の構成流体用のこの手順を示す。S202において、流体は、第1割合Q1で供給源1102からバッチ容器1112にポンプで送り出される。S204において、ポンプ/流れセレクタ1110は、一時的に、供給源1104を二次出口、例えば、排出1153に接続し、そして、割合Q1とは異なり得る割合Q2で供給源1104をバッチ容器1112に接続する。S206において、流体は、供給源1104からバッチ容器1112に第2割合Q2でポンプで送り出される。S208において、ポンプ/流れセレクタ1110は、一時的に、供給源1106を二次出口、例えば、排出1153に接続し、そして、割合Q1、Q2、又は双方と異なり得る割合Q3で供給源1106をバッチ容器1112に接続する。S210において、流体は、第3割合Q3で供給源1106からバッチ容器1112にポンプで送り出される。S212において、ポンプ/流れセレクタ1110は、一時的に、供給源1108を二次出口、例えば、排出1153に接続し、そして、割合Q1、Q2、Q3、又はそれらのいずれとも異なり得る割合Q4で供給源1108をバッチ容器1112に接続する。S214において、流体は、要求される量が押しのけられ、ステップS130及びS132において、結果的に生じるバッチが、
図21において説明したように混合されるまで、割合Q4でポンプで送り出される。
【0150】
図20乃至22Bの実施形態は、4つの構成流体について考えるが、2つ、3以上の数の流体を用いることができることに留意されたい。
図20乃至22Bの実施形態は、
図6A以降のものを含む本明細書に述べた実施形態の何れかに適用することができる特徴を示す。
【0151】
上述した実施形態において、例えば、検出器1150(1155)、伝導性セルは、流体伝導性を測定するために用いることができる。これは、接触タイプ又は非接触タイプ伝導性センサ又は検出器であってよい。しかしながら、他の種類の特性センサも用いることができる。ラベリングのために用いられる流体は、純水、空気、生理食塩水であってよい。流体ストリームにおいて位置ラベルとしての役割を果たすエッジを生成することができる流体の何らかの組合せを用いてもよい。また、ラベルは、2つの流体間の単なるインターフェイス(又は丸い塊の泡、温度変化等の任意の検出可能な流体特性摂動)であってよく、1つの流体間の単一の切り換え(元の流体への後戻りなしで)は、移動時間指標としての役割を果たすのに十分である。ラベリングに用いられる空気の供給源は、任意の空気の供給源であってよい。例えば、それは、単一のフィルタ処理された空気の供給源を2つの目的に用いることができるように、フィルタ完全性のテストに用いられるものと同じ供給源であってよい。例えば、
図9及び本明細書のいずれか他の箇所において説明したように、フィルタ完全性試験に用いられる泡立ち点試験を参照されたい。
【0152】
ポンプ較正のための上述した技法は、PDサイクラが、調合されたPD透析物に用いられる
図10の実施形態に用いることができる。この場合、単一の流体だけ利用可能であり得る。この問題を克服するために、調合された透析物から離れた流体回路は、透析物での呼び水入れ中押しのけられる滅菌した純水で予め充填してよい。純水と透析物との間のインターフェイスは、従って、経路を流れる流体をラベル付けするために用いることができる。このことは、幾つかの較正ランの間、複数回行なってよく、その際、透析物が、異なる供給源1002から異なるライン経由でポンプで送り出されつつ、純水スラグが各予充填されたライン(ライン1010、1011、及び1012)から注入され、最初、供給源と予充填されたラインとの間のインターフェイスは、通過時間取り込みのためのラベルとして機能し得る。
【0153】
上記較正手順は、各バッチ分のPD流体のために一度実施されるように、実現することができる。代替として、使い捨て回路が処置/調合システムに取り付けられる度に、一度実施することができる。これによって、材料変動性及び組立変動性等の使い捨て構成における差異が適切に補正することができる。較正は、或る時間の量の経過に応じて実施することができる。上記に加えて、移送された流体の重量が計測される重力計測較正、流量センサ(容積測定又は速度検出)較正等の他の較正手順を実施することができる。
【0154】
次に、
図23Aにおいて、構成流体を混合してバッチを形成するためのシステムは、使い捨て構成要素に接続されている恒久的なポンプ/流れセレクタ装置1210を有し、本明細書の他の実施形態に述べた使い捨てマニホルド構成要素の必要性を回避している。ポンプ/流れセレクタ装置1210は、更に、ヒータ1244を有し、これにより、内部の流体回路、センサ、及びポンプを滅菌することができる。ポンプ/流れセレクタ装置1210は、順次溶液混合システム1201を提供することができる。恒久的なポンプ/流れセレクタ装置を用いると、例えば、精密容積式ポンプ1218及び剛性の流路を用いることができる。システム1201では、ポンプ/流れセレクタ装置1210は、各供給源1202、1204、1206、及び1208をバッチ容器1212に接続し、そして更に、各供給源1202、1204、1206、及び1208からの流体をバッチ容器にポンプ1318を用いて連続してポンプで送り出す。4つの供給源を示すが、任意の数であってよく、これより多くても少なくてもよい。これらの供給源は、容器又はインライン生産プラント又はいずれか他の種類の流体供給源を代表し得る。ポンプ/流れセレクタ装置1210は、例えば、
図8D又は10を参照して述べたように機能するように構成することができるが、任意の種類の構成であってよく、ポンプ及び流れ切り替え機構を用いるものであってよいが、相違点は、流れ選択及びポンプ送出が、それにおける恒久的な構成要素によって提供されることである。
【0155】
ポンプ/流れセレクタ装置1210は、更に、各又は幾つかの供給源1202、1204、1206、及び1208を排出ライン1251に、バッチから又は任意の供給源1202、1204、1206又は1208から流体を取り出すために用いることができる消費者ライン1253に接続することができるが、ポンプ1218は、あらゆる移送に対して原動力及び定量化を提供し、また、ポンプ/流れセレクタ1210の流れセレクタ部は、選択可能な移送を実行するために必要な切り替えを提供する。ポンプ/流れセレクタ1210の流れセレクタ部の構成は、図示した供給源及びシンクを相互接続するための様々な方法で構成することができる。
【0156】
水供給源1202及びバッチ容器1212を含むことができる供給源1202、1204、1206又は1208は、使い捨てユニット1205の一部として構成することができる。代替として、水は、浄水プラント(図示しないが、本明細書に開示する他の実施形態を参照して述べるものであってよい)から水ライン1207を介して恒久的なポンプ/流れセレクタ1210部経由で提供することができる。使い捨てユニット1205には、ポンプ/流れセレクタ1210プラントへの接続のための一組のコネクタ1266A(1つのコネクタだけを、リードラインによって示すが、残りのものは自明である)を設けることができる。使い捨てユニット1205には、全ての供給源及びバッチ容器並びに患者ライン1253を相互に取り付けるか又は別々の構成要素であってよい支持体を含む。一実施形態では、支持体は、全てのコネクタ1266Aを相互接続して、全てのコネクタの取り付けを単一の手動の動作で可能にする。ポンプ/流れセレクタ1210は、一組のコネクタ1266Bを各コネクタ1266Aに対して1つ有する。ポンプ/流れセレクタ1210は、更に、水ライン1207経由で精製水を提供することができる。一実施形態では、ポンプ/流れセレクタ1210には、浄水プラントが含まれるが、これは、開示された実施形態の何れかに基づき述べたものであってよい。また、それには、排出ライン1251及び冗長な伝導性セル1255及び1250並びに配管排出路への接続部を含むことができる。冗長伝導性セル1255及び1250は、上述したような較正に用いることができる。
【0157】
戻り通水管1240によって、ポンプ/流れセレクタ1210は、全ての内部流体回路により滅菌水又は流体を循環でき、また、コネクタを滅菌することができる。戻り通水管1240は、ポンプ/流れセレクタ1210の各コネクタ1266B用のそれぞれのコネクタ1266Cを有する。戻り通水管1240は、単に全てのコネクタ1266Bを接続する単一の流れプレナムであってよい。ポンプ/流れセレクタ1210は、戻り通水管1240経由の流路を変更して、コネクタ及びポンプ/流れセレクタ1210内部配管の完全な滅菌を行うように構成することができる。ポンプ/流れセレクタ1210の内部流れ回路の詳細は、機能的に他の実施形態を参照して述べたものであってよい。
図23Bに示すように、ポンプ/流れセレクタ1210には、恒久弁172、及び相互接続されて、他の実施形態を参照して述べた機能を提供する内部恒久流れライン1274を含むことができる。滅菌動作において、弁1272、ヒータ1244、及びをポンプ1218は、全ての構成要素及び戻り通水管1240経由で熱い流体を循環するように配列し得る。戻り通水管1240を除去し、使い捨て品1205への接続を行うことができる。そして、処置流体調合は、コントローラ1232の制御の下で、弁1272及びポンプ1218を順次動作することによって、他の実施形態を参照して述べたように実施することができる。コントローラ1132は、ポンプ/流れセレクタ1210に接続されて、選択された移送を制御する。コントローラは、開示された実施形態の何れかに基づき構成してよく、また、開示された何れかの又は請求項に係る方法に基づきプログラムしてよい。
【0158】
図23Cにおいて、戻り通水管1240は、ポンプ/流れセレクタ1210構成要素への可動取り付け部として構成することができる。
図23Cにおいて、戻り通水管は、滅菌用の第1位置の1240Aに示し、また、使い捨て品1205コネクタ1266Aによってアクセスされるコネクタ1266Bへのアクセスを可能にする第2位置の1240Bに示す。本実施形態では、戻り通水管1240は、旋回要素として示すが、他の何らかの形態では、摺動変位等の別個の又は可動のものであってもよく、あるいは、柔軟なひもによってポンプ/流れセレクタ1210構成要素につなぎ留めてもよい。その動きは、コントローラ1232の制御下でモータ(図示せず)によって実現することができる。
【0159】
ポンプが較正される開示された実施形態の何れかでは、較正から導出される較正データは、コントローラで用いて、次のことを行う:
患者に移送された流体の容積を計算する;
患者から移送された流体の容積を計算する;
患者に移送された流体の容積と患者から移送された流体の容積との間の差異を計算する;
患者に移送された流体の量を求めて、その量を所定の量と比較し、そして、移送される量が所定の量を超過しないようにポンプを調整する;および
患者に移送された流体の容積と患者から移送された流体の容積との間の差異を計算して、正味移送が所定の範囲外である場合、表示を出力し、当該出力は、ユーザインターフェイス、処置履歴装置等のデータ記憶装置に適用するか又は外部端末に伝達し得る。
計算されたデータは、処置履歴装置に記憶するか、もしくは、そこに記憶するために伝達されるか又はユーザインターフェイスに表示される。
【0160】
開示された実施形態の何れかでは、バッチ容器において流体を再循環させる代わりに又はそれに加えて、流体は、任意の様々な他の装置及び方法を用いて混合することができる。これらには、以下のものが含まれる:
-バッチ容器を振動させるバッチ容器支持体;
-機械的な装置又は電機子によって行ない得る支持体によって生成された動く磁界に応じて動かされるバッチ容器内側の磁器攪拌装置;
-超音波振動など振動するバッチ容器に隣接するバッチ容器支持体又は要素;
-電磁流体力学的誘導ミキサ;
-これを通って流体がバッチ容器に出て行く柔軟なチューブであって、このチューブは、その端部から放出される流体の運動量に対する反作用によるバッチ容器内側周辺の浸漬チューブ振れ回りとして記述される再循環混合を強化し得る;および
-水は、バッチ容器に予め充填でき、濃縮液は、容器の最上部においてゆっくりと流して、より高い密度の濃縮液による循環を誘起し得る。
【0161】
複数の実施形態と共に本発明について説明したが、本発明は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるものではなく、本文書に添付された請求項及びそれらの等価物によって定義される。また、多くの代替、修正、及び変形が当業者にとっては自明であることは、明らかである。従って、出願人は、本発明の精神及び範囲内にあるそのような全ての代替、修正、等価物、及び変形を受け入れることを意図している。
【0162】
実施形態によれば、開示された主題には、次のものが含まれる。(A)入口及び出口を有するポンプを備えた腹膜透析用の流体流れシステムであって、このポンプは、入口から出口に流体をポンプで送り出すように構成されている。本システムは、選択可能にポンプ入口に接続可能な制御弁を備えた第1流路を有する。この場合、第1流路は、少なくとも1つの濃縮液及び水のそれぞれの供給源並びに透析流体バッチ容器にそれぞれ接続される。本システムは、選択可能にポンプ出口に接続可能な制御弁を備えた第2流路を有する。第2流路は、透析流体バッチ容器、患者アクセスライン、及び排出ラインにそれぞれ接続される。排出ラインは、排出ラインにおいて直列に接続された第1及び第2伝導性センサを有する。コントローラは、ポンプ、制御弁、並びに第1及び第2伝導性センサに接続され、ポンプを動作させ、第1及び第2流路を選択可能に接続し、また、排出ラインにおける流体の伝導性を測定するように構成されている。コントローラは、ポンプ及び制御弁を動作させて、第1と第2流体との間に流体インターフェイスを生成し、そのインターフェイスを排出ラインに移送し、更に、インターフェイスが第1伝導性センサを横切る時間とインターフェイスが第2伝導性センサを横切る時間との間の時間間隔を表す時間データを記憶するように構成されている。このことは、効果的にポンプ較正の基礎を形成している。時間データは、目標流量を維持するように、ポンプサイクルスピード(ぜん動ポンプの場合、ポンプRPMに対応するサイクルスピード)を調整するために用いることができる。実施形態では、目標流量は、正味流体減少又は増加を計算できるように、患者への及び患者からの腹膜流体のバランスを取るために用いられる。実施形態において、正味流体増加又は減少は、コントローラによって計算される。また、較正により調整された流れによって、目標容積は、サイクラ補助付き腹膜透析処置中、患者に合わせて管理し得る。
【0163】
実施形態(A)の変形例において、コントローラは、総移送容積を所定の量に制限することによって提供された透析物の量を制御するように、又は充填/排出もしくは充填ラインの遠端部において所定の圧力が測定されれば停止するように、充填動作中そのいずれか早く生じる方に合わせて、構成することができる。コントローラは、ポンプ及び制御弁を動作させて、少なくとも1つの濃縮液及び水を透析流体バッチ容器に流して、少なくとも1つの濃縮液を混合するように構成することができる。従って、本システムは、透析物を調合するための及びサイクラ支援腹膜透析を実施するための組み合わせであってよい。較正手順の一部として、コントローラは、ポンプ及び制御弁を動作させ、第1と第2流体との間の流体インターフェイスを生成し、また、そのインターフェイスを排出ラインに移送し、また、インターフェイスが第1伝導性センサを横切る時間とインターフェイスが第2伝導性センサを横切る時間との間の時間間隔を表す時間データを記憶するように構成することができる。サイクラ補助付き腹膜透析処置を支援するために、コントローラは、更に、ポンプ及び制御弁を動作させて、患者アクセス部から排出路に流体を移送するように構成することができる。更に、コントローラは、ポンプ及び制御弁を動作させて、透析流体バッチ容器から患者アクセス部に流体を移送するように構成し、また、時間データに応じて、ポンプ及び制御弁を動作させて患者アクセス部から排出路に流体を移送するように構成することができる。
【0164】
更なる実施形態(A)の変形例において、コントローラは、更に、時間データに応じてポンプを動作させ、また、制御弁を動作させて、透析流体バッチ容器から患者アクセス部に流体を移送するように構成し、また、更に、ポンプ及び制御弁を動作させて、患者アクセス部から排出路に流体を移送するように構成することができる。また、コントローラは、ポンプ及び制御弁を動作させて、透析流体バッチ容器から患者アクセス部に流体を移送するように構成し、また、更に、ポンプ及び制御弁を動作させて、患者アクセス部から排出路に流体を移送するように構成することができる。コントローラは、更に、透析流体バッチ容器から患者へ移送された流体の容積と患者アクセス部から移送された流体の容積の差異に応じて、正味流体移送データを計算するように構成することができる。正味流体移送データは、時間データに応じて計算し、データ記憶装置に正味流体移送データを記憶することができる。更に、コントローラは、正味流体移送データを出力信号として伝達して、それをユーザインターフェイスに表示し、それをメモリに記憶し、及び/又は不揮発性データ記憶装置に記憶された処置履歴にそれを追加するように構成することができる。これらの実施形態の何れかにおいて、ポンプは、ぜん動ポンプであってよい。
【0165】
実施形態によれば、開示された主題には、(B)流体バッチ調合構成要素を備えた腹膜透析システムが含まれる。本構成要素は、1バッチ分の透析物を調合するように構成されており、また、サイクラ構成要素が、サイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成されている。本システムには、バッチ調合及びサイクラ構成要素を動作するように構成されたコントローラが含まれる。それには、更に、サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有されるぜん動ポンプが含まれ、コントローラは、ポンプを較正して、較正データを生成するように構成される。コントローラは、較正データを用いて、実施形態(B)の変形例による任意の組合せで以下の内の少なくとも1つを行う:
-患者に移送された流体の容積を計算する;
-患者から移送された流体の容積を計算する;
-患者に移送された流体の容積と患者から移送された流体の容積との間の差異を計算する;
-患者に移送された流体の量を求めて、その量を所定の量と比較し、移送される量が所定の量を超過しないようにポンプを調整する;および
-患者に移送された流体の容積と患者から移送された流体の容積との間の差異を計算し、正味移送が所定の範囲外である場合、表示を出力し、実施形態(B)の更なる変形例では、出力は、ユーザインターフェイス、もしくは処置履歴装置等のデータ記憶装置に適用するか又は外部端末に伝達し得る。
【0166】
実施形態(B)の変形例において、サイクラ及び流体バッチ調合構成要素は、第1及び第2伝導性センサを備えた排出ラインを共有することができる。コントローラは、第1及び第2伝導性センサによって示され流体バッチ調合構成要素によって調合された1バッチ分の流体の伝導性を所定の範囲と比較して、比較の結果を出力するように構成することができる。コントローラは、各第1及び第2伝導性センサによって示された伝導性を互いに比較し、比較結果を出力するように構成することができる。第1及び第2伝導性センサは、排出ラインに沿って直列に構成することができ、また、コントローラは、少なくとも部分的に伝導性摂動を排出ライン通過流れにおいて生成することによって、また、第1及び第2伝導性センサによる摂動の連続的検出の間の時間を測定することによって、ポンプを較正するように構成されている。
【0167】
実施形態(B)の更なる変形例において、コントローラは、排出ラインにおいて第1及び第2流体を流すことによって、伝導性摂動を生成するように構成することができるが、この場合、流体の内の1つは水であり、第1及び第2流体は異なる伝導性を有する。コントローラは、排出ラインにおける1バッチ分の透析物の一部及び精製水を連続して流すことによって、伝導性摂動を生成するように構成することができる。コントローラは、水、及び排出ラインにおける1バッチ分の透析物の一部を連続して流すことによって伝導性摂動を生成するように構成することができる。流体バッチ調合モジュールには、水供給源を備えたバッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器を接続するように構成された流路選択アクチュエータを含むことができる。
【0168】
実施形態(B)の更なる変形例において、サイクラ及び流体バッチ調合構成要素は、排出路に接続された排出ラインを共有する。コントローラは、流路選択アクチュエータ及びポンプを制御して、濃縮液容器及び水供給源から単一のポンピングレートで流体を移送するように構成することができる。コントローラは、水をポンプで送り出す時間と濃縮液をポンプで送り出す時間との間において、丸い塊の濃縮液が排出路に移送され、そして、ある量の濃縮液がバッチ容器に移送されるように、流路選択アクチュエータ及びポンプを制御するように構成することができる。
【0169】
実施形態によれば、(C)開示された主題には、1バッチ分の透析物を調合するように構成された流体バッチ調合構成要素を備えた腹膜透析システムが含まれる。本システムには、サイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成されたサイクラ構成要素と、バッチ調合及びサイクラ構成要素を動作するように構成されたコントローラと、が含まれる。本システムには、更に、サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有されたぜん動ポンプが含まれる。サイクラ及び流体バッチ調合構成要素は、排出路に接続された排出ラインを共有し、コントローラは、流路選択アクチュエータ及びポンプを制御して、1バッチ分の透析物を保持するバッチ容器に濃縮液容器及び水供給源から流体を移送するように構成されている。コントローラは、更に、実施形態(C)に基づく様々な実施形態による任意の組合せで次の内の少なくとも1つを行うように構成されている:
濃縮液をバッチ容器にポンプで送り出す時と同じ、水をバッチ容器に移送するための第1流路の場合のポンピングレートで流体をポンプで送り出す;又は
水のポンプ送出と濃縮液のポンプ送出との間で、丸い塊の濃縮液又は水が排出路に移送され、バッチ容器への濃縮液又は水の移送中、ポンピングスピードと流量との間の一定の関係を効果的に保証するように、流路選択アクチュエータ及びポンプを制御すること。
【0170】
実施形態(C)の更なる変形例において、コントローラは、1バッチ分の流体を調合するように、そして、1バッチ分の流体でサイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成することができる。
【0171】
実施形態によれば、開示された主題には、(D)1バッチ分の透析物を調合するように構成された流体バッチ調合構成要素を備えた腹膜透析システムが含まれる。本システムには、サイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成されたサイクラ構成要素と、バッチ調合及びサイクラ構成要素を動作するように構成されたコントローラと、が含まれる。本システムには、更に、サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有されたぜん動ポンプが含まれる。サイクラ及び流体バッチ調合構成要素は、排出路に接続された排出ラインを共有する。コントローラは、流路選択アクチュエータ及びポンプを制御して、1バッチ分の透析物を保持するバッチ容器に濃縮液容器及び水供給源から流体を移送するように構成されている。コントローラは、更に、バッチ容器へ及びそこから水を流して、そこへ移送された後、濃縮液と水を混合するように構成されており、混合時、コントローラは、流速を変化させるか又は、混合間隔中の混合を実施する流れを定期的に中断する。
【0172】
実施形態(D)の変形例において、コントローラは、1バッチ分の流体を調合するように、そして、1バッチ分の流体でサイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成することができる。コントローラは、混合中の流速を変えることができる。コントローラは、混合中、定期的に流速を停止し得る。混合流れの変更又は停止により、混合バッチは、より短い時間でより良く混合される。
【0173】
実施形態によれば、開示された主題には、(E)薬剤を患者にポンプで送り出すように構成された処理機械を備えた医療装置が含まれる。本装置は、処理機械に配置された近端部と、患者アクセス部に取り付け可能な遠端部とを有する流れラインを有する。本装置は、更に、遠端部において、流れラインの圧力を検出するように位置決めされた遠端圧力センサを有する。遠端圧力センサには、遠端部にインライン圧力ポッドが含まれ、流れラインに沿って、空気ラインが並行に走り、複数の点において取り付けられている。空気ラインは、1端において圧力ポッドに接続され、他端において、処理機械に配置された圧力検出体に接続されている。実施形態(E)の変形例において、流れライン及び空気ラインは、共押出し成形によって形成し得る一体型のプラスチック構造を形成している。
【0174】
実施形態によれば、開示された主題には、(F)薬剤を患者にポンプで送り出すように構成された処理機械と、処理機械に配置された近端部及び患者アクセス部に取り付け可能な遠端部を備えた流れラインとを備えた医療装置が含まれる。本ラインは、流れライン近端部における圧力を検出するために位置決めされた近端圧力センサと、遠端部における流れラインの圧力を検出するために位置決めされた遠端圧力センサとを有する。遠端圧力センサには、遠端部にインライン圧力ポッドが含まれ、流れラインに沿って、空気ラインが並行に走り、複数の点に取り付けられており、空気ラインは、1端において圧力ポッドに接続され、他端において、処理機械に配置された圧力検出体に接続されている。実施形態(F)の変形例において、流れライン及び空気ラインは、共押出し成形によって形成し得る一体型のプラスチック構造を形成している。処理機械は、腹膜サイクラであってよい。
【0175】
実施形態によれば、開示された主題には、(G)第1チャンバ及び第2チャンバを有する圧力ポッドを備えた医療構成要素が含まれる。第1チャンバは、第2チャンバからダイアフラムによって分離されている。構成要素は、それらの長さに沿って接合された第1及び第2チューブを有し、第1チューブは、内腔を有し、第1チューブ内腔が第1チャンバと流体連通するように、その第1端部で圧力ポッドに接続されている。第2チューブは、内腔を有し、第2チューブ内腔が第2チャンバと流体連通するように、その第1端部で圧力ポッドに接続されている。第1及び第2チューブは、第1端部に対向するその第2端部にコネクタを有する。コネクタは、圧力変換器及び液体薬剤供給源への接続用にそれぞれ構成されている。
【0176】
実施形態(G)の変形例において、第1及び第2チューブは、第1及び第2チューブが一体構造を形成するように、それらの長さに沿って一体化して取り付けることができる。第1及び第2チューブは、主に、それらの長さの主要な部分に沿って横断面が均一な構成の共押出し成形品であることが多い。
【0177】
実施形態によれば、開示された主題には、(H)腹膜透析処置を実施する方法が含まれる。本方法には、使い捨てユニットを水の供給源に接続することが含まれる。使い捨てユニットには、少なくとも浸透物質を含む第1滅菌済み濃縮液を保持する第1容器と、電解質を含む第2滅菌済み濃縮液を保持する第2容器と、空の滅菌済み混合容器と、予め取り付けられた腹膜充填/排出ラインを備えた配管セットと、が含まれる。本方法には、更に、処理中の現充填サイクルに用いられる浸透物質の少なくとも充填容積及び所望の最終濃度を示すコントローラによる処方箋命令を受け取ることと、コントローラを用いて、処方箋命令に応じて、所望の最終濃度を実現するために、ある量の濃縮された浸透物質を混合容器にポンプで送り出すことと、が含まれる。ポンプで送り出すことには、単一のポンプを用いることと、各流体をポンプで送り出すための単一のポンプスピードを用いて、水、第1滅菌済み濃縮液、及び第2滅菌済み濃縮液をポンプで送り出すことと、が含まれる。本方法には、更に、混合容器の内容物を混合することと、濃縮された浸透物質を更に希釈すること又は濃縮された浸透物質を混合容器に更に追加することが含まれる。本方法には、混合容器から患者に流体を流すことが含まれる。
【0178】
実施形態(H)の変形例において、本方法には、更に、処方箋命令に応じてある量の濃縮された浸透物質をポンプで送り出すことに先立って、コントローラを用いて、ある容積の水を水の供給源から混合容器にポンプで送り出すことを含むことができる。本方法には、混合後、混合容器の浸透物質の濃度を検出することを含むことができる。ポンプで送り出すことは、異なる容積の第1及び第2滅菌済み濃縮液を移送してよい。
【0179】
実施形態によれば、開示された主題には、(I)処置流体を調合する方法が含まれる。本方法には、流れスイッチを作動させて、第1流体濃縮液をポンプに接続することと、ポンプを経由して第1流体濃縮液をバッチ容器に第1ポンピングレートで流すことと、が含まれる。本方法には、流れスイッチを起動して、第2流体濃縮液をポンプに接続することと、ポンプを経由して第2流体濃縮液をバッチ容器に第2ポンピングレートで流すことと、が含まれる。本方法には、流れスイッチを起動して、希釈流体供給源をポンプに接続することと、ポンプを経由して希釈流体をバッチ容器に第3ポンピングレートで流すことと、が含まれる。本方法には、ポンプのポンピングレートを制御して、一定のポンピングレートを維持することが含まれ、第1、第2、及び第3ポンピングレートは、同じであり、ポンピング中、一定に保持される。
【0180】
実施形態(I)の変形例において、第1流体濃縮液を流すこと及び第2流体濃縮液を流すことは、第1及び第2流体濃縮液の異なる総容積を移送してよい。第1流体濃縮液を流すこと及び希釈流体を流すことは、第1流体濃縮液及び希釈液の異なる総容積を移送してよい。第1流体濃縮液を流すこと、第1流体濃縮液を流すこと、及び希釈流体を流すことは、バッチ容器に移送される第1流体濃縮液、第2流体濃縮液、及び希釈液のそれぞれの容積が、互いに異なっていてよい。本方法には、ポンプを用いてバッチ容器において流体を混合することを含むことができる。彼方法には、ポンプを用いてバッチ容器において流体を混合して、混合された流体をバッチ容器から患者に移送することを含むことができる。ポンプを用いて流体を混合することには、バッチ容器の第1コネクタから流体を引き出すことと、バッチ容器の第2コネクタを通して流体をバッチ容器に流して戻すことと、を含むことができる。ポンプを用いて流体を混合することには、混合動作中、流速を定期的に変更することを含むことができる。ポンプを用いて流体を混合することには、混合動作中、流速を定期的に停止することを含むことができる。ポンプを用いて流体を混合することには、混合動作中、流れを定期的に逆転することを含むことができる。本方法には、少なくとも1つの流量較正パラメータの生成に先立って、ポンプを較正することと、少なくとも1つの較正パラメータに応じてポンプのサイクルの数を決定することと、を含むことができる。
【0181】
実施形態によれば、開示された主題には、バッチ容器並びに第1及び第2供給源流体及び希釈液供給源用のコネクタを有する流体処理システムが含まれ、本システムは、更に、上記説明した方法の何れかによる方法を実現するようにプログラムされるデジタルコントローラを有する
【0182】
実施形態によれば、開示された主題には、(J)流れスイッチによって相互接続されたバッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器を備えた腹膜透析用の使い捨てユニットが含まれる。流れスイッチは、所定の流体管理システムによって作動されてその中に複数の流路を画成するように構成されている。流れスイッチは、患者ライン用のコネクタ又は患者ラインのいずれかを備えたポートを有する。濃縮液容器は、濃縮液で予め充填される。ポンプ配管セグメントは、流れスイッチに接続され、そこを経由する流れ用のポートに選択的に相互接続するように構成される。
【0183】
実施形態(J)の変形例において、流れスイッチは、更に、流れスイッチが所定の流体管理システムによって適切に作動された場合、流体が小配管セグメントを経由して2つの開口部間で流れ得るように、バッチ容器の2つの開口部を介してバッチ容器を接続するように構成してよい。バッチ容器はバッグであってよい。バッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器がバッグであってよい。このユニットは、封止し滅菌した内部の流体処理容積を密閉してよい。
【0184】
実施形態によれば、開示された主題には、(K)腹膜透析用の使い捨てユニットが含まれる。バッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器は、流れスイッチによって相互接続される。流れスイッチは、所定の流体管理システムによって作動され、その中に複数の流路を画成するように構成される。流れスイッチは、患者ラインを備えたポートを有し、濃縮液容器は、濃縮液で予め充填される。ポンプ配管セグメントは、流れスイッチに接続し、そこを経由する流れ用のポートを選択的に相互接続するように構成されている。患者ラインは、それらの長さに沿って取り付けられた2つの共線チューブと、その患者端部における圧力ポッドとを有するが、チューブの内の1つは、圧力ポッドの空気側を圧力変換器に接続するために構成されており、また、そのチューブの内の1つの他方の端部は、圧力ポッドの空気チャンバに接続されている。
【0185】
実施形態(K)の変形例において、流れスイッチは、更に、流れスイッチが所定の流体管理システムによって適切に作動された場合、流体が小配管セグメントを経由して2つの開口部間で流れ得るように、バッチ容器の2つの開口部を介してバッチ容器を接続するように構成してよい。バッチ容器は、バッグであってよい。バッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器がバッグであってよい。このユニットは、封止し滅菌した内部の流体取り扱い容積を密閉してよい。
【0186】
実施形態によれば、開示された主題には、(L)腹膜透析用の使い捨てキットが含まれる。本キットには、流れスイッチによって相互接続されたバッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器を含む流体回路部が含まれる。流れスイッチは、所定の流体管理システムによって作動され、その中に複数の流路を画成するように構成されている。流れスイッチは、患者ライン用のコネクタを有する。濃縮液容器は、濃縮液で予め充填される。ポンプ配管セグメントは、流れスイッチに接続し、反対方向のいずれかのそこを経由する流れ用のポートを選択的に相互接続するように構成されている。患者ラインは、それぞれの長さに沿って取り付けられた2つの共線チューブと、その患者端部における圧力ポッドとを有するが、チューブの内の1つは、圧力ポッドの空気側を圧力変換器に接続するために構成されており、また、そのチューブの内の1つの他方の端部は、圧力ポッドの空気チャンバに接続されている。
【0187】
実施形態(L)の変形例において、流れスイッチは、更に、流れスイッチが所定の流体管理システムによって適切に作動された場合、流体が小配管セグメントを経由して2つの開口部間で流れ得るように、バッチ容器の2つの開口部を介してバッチ容器を接続するように構成してよい。バッチ容器は、バッグであってよく、バッグは、上記のような1つ又は複数の濃縮液容器であってよい。このユニットは、封止し滅菌した内部の流体取り扱い容積を密閉してよい。
【0188】
実施形態によれば、開示された主題には、(M)処置流体を調合する方法が含まれる。本方法には、流れスイッチを作動させて、第1流体濃縮液をポンプに接続することと、ポンプを経由して第1流体濃縮液をバッチ容器に第1ポンピングレートで流すことと、が含まれる。本方法には、流れスイッチを起動して、第2流体濃縮液をポンプに接続することと、また、ポンプを経由して第2流体濃縮液をバッチ容器に第2ポンピングレートで流すことと、が含まれる。本方法には、更に、流れスイッチを作動させて、希釈流体供給源をポンプに接続することと、ポンプを経由して希釈流体をバッチ容器に第3ポンピングレートで流すことと、が含まれる。本方法には、起動することに先立って、較正動作を実施してポンプを較正し、それによって、少なくとも1つの較正パラメータを生成することが含まれる。起動動作には、少なくとも1つの較正パラメータに応じてポンプをコントローラで決定することが含まれる。用語「流れスイッチ」は、いずれか他の箇所で述べるように、選択された供給源と供給先との間で流体を選択的に移送することができる流体処理システムである。また、用語「起動」は、流体処理システムの選択流路の選択を立証する何らかの機構を用いることを意味する。流体処理システムは、バッチ容器、第1及び第2供給源流体、並びに希釈液供給源用のコネクタを備えることができる。本システムは、更に、上記方法を実現するようにプログラムされたデジタルコントローラを有する。
【0189】
実施形態によれば、開示された主題には、(N)流体回路を備えた自己較正医療システムが含まれる。流体回路には、ポンピング部及び流れ切り替え部が含まれる。流れ切り替え部は、複数の流体供給源と、流体成分又はその混合物を出力するための供給ポートとの間に接続されるように構成される。コントローラは、ポンピング部と係合しているポンプを制御するように、また、切り替え部と共用可能な切り替えアクチュエータを制御するように、構成されている。コントローラは、更に、流体回路のあるポイントで流体特性の変化を検出するように構成された少なくとも1つの流体特性検出器を有する。コントローラは、以下のシーケンスを実施することによって、ポンピング部とポンプとの係合によって具現化されたポンピング動作を較正するように構成されている:
1.ポンプ及び切り替え部を制御して、そのポイント間で第1流体を移送する;
2.ポンプ及び切り替え部を制御して、第2流体をそのポイント側に及びそのポイント間で所定の容積を有する流体回路の一部を通して移送し、この間、第2流体が少なくとも1つの流体特性センサに達し、それによって検出されるまで、時間間隔を測定する;
3.時間間隔及び所定の容積に応じて、流体回路を用いてある比率の流体を混合するための制御パラメータを生成する。
【0190】
実施形態(N)の変形例において、コントローラは、流体回路が交換された場合、ポンピング動作を較正するように構成することができる。ポンプ及び切り替え部を制御して、第2流体をそのポイント側に及びそのポイント間で流体回路の一部を通して移送することには、第1流体に続き丸い塊の第2流体を移送することを含むことができる。
【0191】
実施形態によれば、開示された主題には、(O)家庭腹膜透析処置及び旅行中の処置について患者を満たすための方法が含まれる。本方法には、旅行中の予想された処置日用の量の滅菌した純水の容器を供給する段階が含まれる。本方法には、更に、旅行及び旅行しない処置日中の予想された処置日用の量の処置濃縮液を供給することが含まれる。
【0192】
実施形態によれば、開示された主題には、(P)連続的な歩行用腹膜透析(CAPD)用の透析物を提供する方法が含まれる。本方法には、少なくとも1つの透析処置セッション用の第1バッチ分の透析物を調合するために構成された装置を用いることが含まれる。本装置は、サイクラ補助付き腹膜透析処置に用いるための第1バッチ分の透析物を調合するために流体がポンプで送り出される混合済みバッチ容器を有する。本方法には、更に、本装置を用いて、サイクラ補助付き腹膜透析処置を実施することが含まれ、この処置では、本装置のポンピング部は、第1バッチ容器から患者の腹膜に透析物を移送し、腹膜から第1バッチを抽出する一方で、腹膜に移送された流体とそこから抽出された流体との間の正味流体増加又は減少を測定する。本方法には、更に、CAPD用の第2バッチ分の透析物を調合するために本装置を用いて、CAPD容器を所定のコネクタに接続することを含み、混合済みバッチ容器からCAPD容器に容器を充填することが含まれる。
【0193】
実施形態(P)の変形例において、装置を用いて第2バッチを調合することは、処置サイクルの終わりを示すコントローラ信号に応じて実施することができるが、装置を用いてサイクラ補助付き腹膜透析処置を実施することは、その内の一部である。本方法には、サイクラ補助付き腹膜透析処置のそれぞれのサイクル用の第3バッチ分の透析物を調合するために構成された装置を用いることを含むことができる。
【0194】
実施形態によれば、開示された主題には、(Q)上記の通り定義された方法のいずれかを実現するためのシステムが含まれる。本システムには、濃縮液希釈及び混合構成要素を含む流体調合及び処理装置と、そこを経由して透析物を受け取るための容器を取り付けるための補助ポートと、1つ又は複数のサイクラ補助付き腹膜透析処置サイクルを実現するためにプログラムされたコントローラと、が含まれ、この場合、コントローラは、流体調合及び処理装置を制御して、1つ又は複数のバッチ分の透析物を調合し、1回又は複数回、腹膜を充填及び排出する。本コントローラは、更に、1つ又は複数のサイクラ補助付き腹膜透析処置サイクルの終わりに追加の透析物を調合するようにプログラムされ、腹膜を充填し、補助ポート経由で追加の透析物を供給して、CAPDに用いる。バッチ容器からの透析物流れは、サイクラ補助付き腹膜透析処置サイクルに用いて、補助ポートに至り、追加の透析物を供給し得る。
【0195】
上記実施形態の何れかにおいて、方法及びシステム及び装置は、公知のデジタルシステムを用いて実現することができる。当然のことながら、本明細書において述べられた及び/又は提案されたモジュール、プロセス、システム、及び部品は、ハードウェア、ソフトウェアによってプログラムされたハードウェア、非一時的コンピュータ判読可能媒体に記憶されたソフトウェア命令、又は上記の組合せで実現することができる。例えば、開示されたシステムを制御するための方法は、例えば、非一時的コンピュータ判読可能媒体に記憶された一連のプログラムされた命令を実行するように構成されたプロセッサを用いて実現することができる。例えば、プロセッサには、これらに限定されないが、パーソナルコンピュータもしくはワークステーション、又はプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ装置を含む、もしくは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)等の集積回路を含む制御論理回路から構成された他のそのような演算システムを含むことができる。命令は、Java(登録商標)、C++、C#.net等のプログラミング言語に基づき提供されたソースコード命令から編集し得る。命令には、更に、例えば、VisualBasic(TM)言語、LabVIEW、又は他の構造化又はオブジェクト指向プログラミング言語に基づき提供されたコード及びデータオブジェクトを含むことができる。一連のプログラムされた命令及びそれに関連したデータは、任意の適切なメモリ装置であり得るコンピュータメモリ又は記憶装置等の非一時的コンピュータ判読可能媒体に記憶することができる。メモリ装置は、例えば、これらに限定するものではないが、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能な読み出し専用メモリ(PROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ディスクドライブ等であってよい。
【0196】
本明細書及び請求項に用いる用語「サイクラ補助付き腹膜透析」は、生きているホストの腹膜に流体を移送すること及びある時間後ホストの腹膜から流体を移送することについて述べている。
【0197】
更に、モジュール、プロセス、システム、及び部品は、単一のプロセッサとして又は分散型プロセッサとして実現することができる。更に、当然のことながら、上述したステップは、単一の又は分散型プロセッサ(シングル及び/又はマルチコア)上で実施することができる。更に、上記実施形態の様々な図において述べたプロセス、モジュール、及びサブモジュールは、複数のコンピュータ又はシステム間で分散してよく、又は単一のプロセッサ又はシステムにおいて同じ箇所に配置してよい。本明細書に述べたモジュール、部品、システム、手段、又はプロセスを実現するのに適する代表的な構造的実施形態の代替物を以下に提供する。
【0198】
例えば、上述したモジュール、プロセッサ又はシステムは、プログラムされた汎用コンピュータ、マイクロコードでプログラムされた電子装置、配線によるアナログ論理回路、コンピュータ可読媒体又は信号に記憶されたソフトウェア、光コンピュータ処理装置、電子及び/又は光学装置のネットワークシステム、専用コンピュータ処理装置、集積回路装置、半導体チップ、及びソフトウェアモジュール、又は、コンピュータ可読媒体もしくは信号に記憶されたオブジェクトとして実現することができる。
【0199】
方法及びシステム(又はそれぞれのサブ構成要素又はモジュール)の実施形態は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ及び周辺装置集積回路要素、ASIC又は他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、離散要素回路等のハードウェア的に組み込まれた電子又は論理回路、プログラム可能な論理装置(PLD)、プログラム可能な論理アレイ(PLA)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能なアレイ論理(PAL)装置等のプログラムされた論理回路上で実現することができる。一般的に、本明細書に述べた機能又はステップを実現することが可能な任意のプロセスは、方法、システム、又は(非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェアプログラム)コンピュータプログラムプロダクトの実施形態を実現するために用いることができる。
【0200】
更に、開示された方法、システム、及びコンピュータプログラムプロダクトの実施形態は、容易に、完全に又は部分的に、ソフトウェアにおいて、例えば、様々なコンピュータプラットホーム上で用いることができる移植性のあるソースコードを提供するオブジェクト又はオブジェクト指向ソフトウェア開発環境を用いて、実現することができる。代替として、開示された方法、システム、及びコンピュータプログラムプロダクトの実施形態は、ハードウェアにおいて、例えば、標準の論理回路又は超大規模集積(VLSI)設計を用いて、部分的に又は完全に実現することができる。他のハードウェア又はソフトウェアを用いて、利用されているシステム、特定の機能、及び/又は特定のソフトウェア又はハードウェアシステム、マイクロプロセッサ、又はマイクロコンピュータのスピード及び/又は効率要件に依存して、実施形態を実現することができる。方法、システム、及びコンピュータプログラムプロダクトの実施形態は、本明細書において提供された機能説明から、また、制御システム及び/又はコンピュータプログラミング分野の一般的な基本的知識により、適用可能な分野の当業者によって任意の既知の又は後に開発されるシステム又は構造、装置及び/又はソフトウェアを用いて、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実現することができる。
【0201】
更に、開示された方法、システム、及びコンピュータプログラムプロダクトの実施形態は、プログラムされた汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ等上で実行されるソフトウェアで実現することができる。
【0202】
従って、本開示に基づき、腹膜透析装置、方法及びシステムが提供されていることが明らかである。多くの代替物、変形例、及び変更点が、本開示によって可能である。開示された実施形態の特徴は、本発明の範囲内において、例えば、組み合わせ、再配置し、省略するなどして、追加の実施形態を生成することができる。更に、或る特徴は、時として、対応する他の特徴を用いることなく、効果的に用いることができる。従って、出願者らは、本発明の精神及び範囲内にある全てのそのような代替物、変形例、等価物、及び変更点を包含することを意図している。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1] 腹膜透析システムであって、
1バッチ分の透析物を調合するように構成された流体バッチ調合構成要素と、
サイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成されたサイクラ構成要素と、
バッチ調合構成要素及びサイクラ構成要素を動作させるように構成されたコントローラと、
サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有されたぜん動ポンプと
を含み、
前記コントローラは、前記ぜん動ポンプを較正して較正データを生成し、また、前記較正データを用いて、
患者に移送された流体の容積を計算することと、
患者から移送された流体の容積を計算することと、
患者に移送された流体の容積と患者から移送された流体の容積との間の差異を計算することと、
患者に移送された流体の量を求めて、その量を所定の量と比較し、移送される量が所定の量を超過しないようにポンプを調整することと、
患者に移送された流体の容積と患者から移送された流体の容積との間の差異を計算し、正味移送が所定の範囲外である場合、表示を出力することであって、出力は、ユーザインターフェイス、処置履歴装置等のデータ記憶装置に適用するか、外部端末に伝達し得ることと、
の内の少なくとも1つを実施するように構成されていることを特徴とする腹膜透析システム。
[C2] C1のシステムであって、更に、流れパッチ切り替え機構と、流路によって相互接続された1対の流体特性センサとを含み、流路切り替え機構は、サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有され、また、患者接続可能ポート、流体構成要素及び水道、並びに排出ラインを相互接続する複数の流路を画成するようになっており、前記コントローラは、前記流路切り替え機構を用いて流体特性摂動を生成することによって、また、前記流体特性センサ間における流体特性摂動の通過時間を測定することによって、前記ポンプを較正するように構成され、前記測定することには、前記流体特性摂動が前記1対の各流体特性センサを通過する際、前記1対の各流体特性センサから連続的な信号を受け取ることが含まれ、前記コントローラは、更に、前記複数の各流路それぞれの補正係数を表すデータに応じて前記1バッチ分の透析物に移送された総流体を制御するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C3] C1のシステムであって、更に、流れパッチ切り替え機構と、流路によって相互接続された1対の流体特性センサとを含み、流路切り替え機構は、サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有され、また、患者接続可能なポート、流体構成要素及び水道、並びに排出ラインを相互接続する複数の流路を画成するようになっており、前記コントローラは、前記流路切り替え機構を用いて流体特性摂動を生成することによって、また、前記流体特性センサ間における流体特性摂動の通過時間を測定することによって、前記ポンプを較正するように構成され、前記測定することには、前記流体特性摂動が前記1対の各流体特性センサを通過する際、前記1対の各流体特性センサから連続的な信号を受け取ることが含まれることを特徴とするシステム。
[C4] C1のシステムであって、サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素は、排出ラインを第1及び第2流体伝導性センサと共有することを特徴とするシステム。
[C5] C4のシステムであって、前記コントローラは、前記流体バッチ調合構成要素によって調合され、前記第1及び第2流体伝導性センサによって示された1バッチ分の流体の伝導性を所定の範囲と比較して、前記比較の結果を出力するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C6] C1のシステムであって、更に、流れパッチ切り替え機構と、流路によって相互接続された1対の流体特性センサとを含み、流路切り替え機構は、サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有され、また、患者接続可能ポート、流体構成要素及び水道、及び排出ラインを相互接続する流路を画成するようになっており、コントローラは、前記流路切り替え機構を用いて流体特性摂動を生成することによって、また、前記流体特性センサ間における流体特性摂動の通過時間を測定することによって、前記ポンプを較正するように構成され、前記測定することには、前記流体特性摂動が前記1対の各流体特性センサを通過する際、前記1対の各流体特性センサから連続的な信号を受け取ることが含まれることを特徴とするシステム。
[C7] C4のシステムであって、コントローラは、前記各第1及び第2伝導性センサによって示された伝導性を互いに比較し、それに応じて第1表示を出力するように構成され、前記コントローラは、また、伝導性表示を所定の範囲と比較し、それに応じて第2表示を出力するように構成され、前記コントローラは、更に、前記第1及び第2表示の一方又は双方に応じて前記サイクラ構成要素の処理を制御するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C8] C4のシステムであって、第1及び第2伝導性センサは、前記排出ラインに沿って直列に配列され、前記コントローラは、前記排出ライン経由で流れに伝導性摂動を生成し、また、前記第1及び第2伝導性センサによって前記伝導性摂動の連続的な検出間の時間を測定することによって、少なくとも部分的に前記ポンプを較正するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C9] C8のシステムであって、前記コントローラは、前記排出ラインにおいて第1及び第2流体を流すことによって、前記伝導性摂動を生成するように構成され、前記流体の内の1つは水であり、第1及び第2流体は異なる伝導性を有することを特徴とするシステム。
[C10] C8のシステムであって、前記コントローラは、1バッチ分の透析物の一部及び精製水を前記排出ラインにおいて連続して流すことによって、前記伝導性摂動を生成するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C11] C10のシステムであって、コントローラは、流路選択アクチュエータ及び前記ポンプを制御し、流体を濃縮液容器及び水供給源から単一のポンピングレートで移送するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C12] C11のシステムであって、コントローラは、水をポンプで送り出す時間と濃縮液をポンプで送り出す時間との間に、前記濃縮液の丸い塊が前記排出ラインに移送され、そして、ある量の前記濃縮液がバッチ容器に移送されるように、流路選択アクチュエータ及び前記ポンプを制御するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C13] 腹膜透析用の流体流れシステムであって、
入口及び出口を有し、入口から出口に流体をポンプで送り出すように構成されたポンプと、
選択可能にポンプ入口に接続可能な制御弁を有し、少なくとも1つの濃縮液及び水のそれぞれの供給源及び透析流体バッチ容器に接続される第1流路と、
選択可能にポンプ出口に接続可能な制御弁を有し、透析流体バッチ容器、患者アクセスライン、及び排出ラインにそれぞれ接続される第2流路と、
排出ラインにおいて直列に接続された第1及び第2伝導性センサを有する排出ラインと、
ポンプ、前記制御弁、及び前記第1及び第2伝導性センサに接続され、ポンプを動作し、第1及び第2流路を選択可能に接続し、前記排出ラインにおける流体の伝導性を測定するように構成されたコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、ポンプ及び制御弁を動作して、第1と第2流体との間に流体インターフェイスを生成し、また、インターフェイスを排出ラインに移送するように構成され、更に、インターフェイスが第1伝導性センサを横切る時間とインターフェイスが第2伝導性センサを横切る時間との間の時間間隔を表す時間データを記憶するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C14] C13のシステムであって、コントローラは、ポンプ及び制御弁を動作して、少なくとも1つの濃縮液及び水を透析流体バッチ容器に流して、少なくとも1つの濃縮液を混合するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C15] C13又は14のシステムであって、コントローラは、更に、ポンプ及び制御弁を動作して、流体を透析流体バッチ容器から患者アクセス部に移送するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C16] C1又は15のシステムであって、コントローラは、更に、ポンプ及び制御弁を動作して、流体を患者アクセス部から排出路に移送するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C17] C15のシステムであって、コントローラは、更に、ポンプ及び制御弁を動作して、透析流体バッチ容器から患者アクセス部に流体を移送するように構成され、更に、ポンプ及び制御弁を動作して、時間データに応じて、患者アクセス部から排出路に流体を移送するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C18] C15のシステムであって、コントローラは、更に、時間データに応じてポンプ及び制御弁を動作させ、透析流体バッチ容器から患者アクセス部に流体を移送するように構成され、更に、ポンプ及び制御弁を動作して、患者アクセス部から排出路に流体を移送するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C19] C15のシステムであって、コントローラは、更に、ポンプ及び制御弁を動作して、透析流体バッチ容器から患者アクセス部に流体を移送するように構成され、また、ポンプ及び制御弁を動作して、患者アクセス部から排出路に流体を移送するように構成され、コントローラは、そして、透析流体バッチ容器から患者に移送された流体の容積と、患者アクセス部から移送された流体容積との差異に応じて、正味流体移送データを計算するように構成されており、
前記正味流体移送データは、時間データに応じて、また、前記正味流体移送データをデータ記憶装置に記憶するために計算され、コントローラは、更に、前記正味流体移送データを出力信号として伝達し、それをユーザインターフェイスに表示し、それをメモリに記憶し、及び/又は不揮発性データ記憶装置に記憶された処置履歴にそれを追加するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C20] C13、17、18、又は19いずれかのシステムであって、ポンプがぜん動ポンプであることを特徴とするシステム。
[C21] 腹膜透析システムであって、
1バッチ分の透析物を調合するように構成された流体バッチ調合構成要素と、
サイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成されたサイクラ構成要素と、
バッチ調合及びサイクラ構成要素を動作するように構成されたコントローラと、
サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有されたぜん動ポンプと、
を含み、
前記サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素は、排出路に接続された排出ラインを共有し、
前記コントローラは、流路選択アクチュエータ及び前記ぜん動ポンプを制御して、濃縮液容器及び水供給源から1バッチ分の透析物を保持するバッチ容器に流体を移送し、
前記コントローラは、また、
濃縮液を前記バッチ容器にポンプで送り出す時と同じ、水を前記バッチ容器に移送するための第1流路の時のポンピングレートで流体をポンプで送り出すことと、
水のポンピングと濃縮液のポンピングとの間に、前記濃縮液の丸い塊又は水を前記排出路に移送し、前記バッチ容器への前記濃縮液又は水の移送中、ポンピングスピードと流量との間の一定の関係を効果的に保証するように、流路選択アクチュエータ及び前記ぜん動ポンプを制御すること
の内の1つを行うように構成されていることを特徴とする腹膜透析システム。
[C22] C21のシステムであって、コントローラは、1バッチ分の流体を調合し、そして、前記1バッチ分の流体でサイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C23] 腹膜透析システムであって、
1バッチ分の透析物を調合するように構成された流体バッチ調合構成要素と、
サイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成されたサイクラ構成要素と、
バッチ調合構成要素及びサイクラ構成要素を動作するように構成されたコントローラと、
サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素によって共有されたぜん動ポンプと
を含み、
前記サイクラ構成要素及び流体バッチ調合構成要素は、排出路に接続された排出ラインを共有し、
前記コントローラは、流路選択アクチュエータ及び前記ぜん動ポンプを制御して、1バッチ分の透析物を保持するバッチ容器に濃縮液容器及び水供給源から流体を移送するように構成されており、
前記コントローラは、更に、前記バッチ容器へ及びそこから水を流して、それらが移送された後、濃縮液及び水を混合し、混合時にコントローラは、流れの割合を変化させるか又は混合間隔中、混合を実施する流れを定期的に中断するように構成されていることを特徴とする腹膜透析システム。
[C24] C23のシステムであって、コントローラは、1バッチ分の流体を調合し、そして、前記1バッチ分の流体でサイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C25] C24のシステムであって、コントローラは、混合中、流れの割合を変更することを特徴とするシステム。
[C26] C25のシステムであって、コントローラは、混合中、流れの割合を定期的に中断することを特徴とするシステム。
[C27] 医療装置であって、
薬剤を患者にポンプで送り出すように構成された処理機械と、
処理機械に配置された近端部及び患者アクセス部に取り付け可能な遠端部を有する流れラインと、
遠端部において流れラインの圧力を検出するために位置決めされた遠端圧力センサと
を含み、
遠端圧力センサには、遠端部にインライン圧力ポッドが含まれ、流れラインに沿って、空気ラインが並行に走り、複数の点において取り付けられ、空気ラインは、1端において圧力ポッドに、また、他端において、処理機械に配置された圧力検出体に接続され、
流れライン及び空気ラインは、共押出し成形によって形成し得る一体型のプラスチック構造体であることを特徴とする医療装置。
[C28] 医療装置であって、
薬剤を患者にポンプで送り出すように構成された処理機械と、
処理機械に配置された近端部及び患者アクセス部に取り付け可能な遠端部を有する流れラインと、
流れライン近端部において圧力を検出するために位置決めされた近端圧力センサと、
遠端部において流れラインの圧力を検出するために位置決めされた遠端圧力センサと
を含み、
遠端圧力センサには、遠端部にインライン圧力ポッドが含まれ、流れラインに沿って、空気ラインが並行に走り、複数の点において取り付けられ、空気ラインは、1端において圧力ポッドに、また、他端において、処理機械に配置された圧力検出体に接続され、
流れライン及び空気ラインは、共押出し成形によって形成し得る一体型のプラスチック構造体であることを特徴とする医療装置。
[C29] C28の装置であって、処理機械は、腹膜サイクラであることを特徴とする装置。
[C30] 医療構成要素であって、
第1チャンバ及び第2チャンバを有し、第1チャンバがダイアフラムによって第2チャンバから分離されている圧力ポッドと、
それぞれの長さに沿って接合された第1及び第2チューブと、
を含み、
第1チューブは内腔を有し、第1チューブ内腔が第1チャンバと流体連通するように、第1チューブの第1端部において圧力ポッドに接続され、
第2チューブは内腔を有し、第2チューブ内腔が第2チャンバと流体連通するように、第2チューブの第1端部において圧力ポッドに接続され、
第1及び第2チューブは、第1端部に対向するその第2端部にコネクタを有し、
前記コネクタは、それぞれ、圧力変換器及び液体薬剤供給源へ接続するようになっていることを特徴とする医療構成要素。
[C31] C30における構成要素であって、第1及び第2チューブは、それぞれの長さに沿って一体化して取り付けられていることを特徴とする構成要素。
[C32] C31の構成要素であって、第1及び第2チューブは、主に共押出し成形品であり、それぞれの長さの主要な部位に沿って均一な横断面構成を備えたことを特徴とする構成要素。
[C33] 腹膜透析処置を実施する方法であって、
使い捨てユニットを水の供給源に接続することを含み、前記使い捨てユニットには、浸透物質が含まれる第1滅菌済み濃縮液を保持する少なくとも第1容器と、電解質が含まれる第2滅菌済み濃縮液を保持する第2容器と、空の滅菌済み混合容器と、予め取り付けられた腹膜充填/排出ラインを備えた配管セットとが含まれており、
また、コントローラによって処方箋命令を受け取り、少なくとも充填容積及び処理中の現充填サイクルに用いられる浸透物質の所望の最終的な濃度を示すことを含み、
さらに、コントローラを用いて、処方箋命令に応じて、所望の最終的な濃度を実現するために、ある量の濃縮された浸透物質を混合容器にポンプで送り出すことを含み、ポンプで送り出すことには、単一のポンプを用いること、及び、単一のポンプスピードを用いて、水、第1滅菌済み濃縮液、及び第2滅菌済み濃縮液をポンプで送り出して、各流体をポンプで送り出すことが含まれており、
そして、
混合容器の内容物を混合することと、
濃縮された浸透物質を更に希釈すること又は濃縮された浸透物質を混合容器に更に追加することと、
混合容器から患者に流体を流すことと、
を含むことを特徴とする方法。
[C34] C33の方法であって、更に、ある量の濃縮された浸透物質をポンプで送り出すことに先立って、処方箋命令に応じて、コントローラを用いて、水の供給源から混合容器にある容積の水をポンプで送り出すことを含むことを特徴とする方法。
[C35] C33又は34の方法であって、更に、混合することの後に、混合容器において浸透物質の濃度を検出することを含むことを特徴とする方法。
[C36] C33の方法であって、ポンプで送り出すことは、異なる容積の第1及び第2滅菌済み濃縮液が移送されることであることを特徴とする方法。
[C37] 処置流体を調合する方法であって、
流れスイッチを作動させて、第1流体濃縮液をポンプに接続し、ポンプを経由して第1流体濃縮液をバッチ容器に第1ポンピングレートで流すことと、
流れスイッチを作動させて、第2流体濃縮液をポンプに接続し、ポンプを経由して第2流体濃縮液をバッチ容器に第2ポンピングレートで流すことと、
流れスイッチを作動させて、希釈流体供給源をポンプに接続し、ポンプを経由して希釈流体をバッチ容器に第3ポンピングレートで流すことと、
ポンプのポンピングレートを制御して、一定のポンピングレートを維持することであって、第1、第2、及び第3ポンピングレートは、同一であり、また、ポンプで送り出すときに一定に保持されることと、
を含むことを特徴とする方法。
[C38] C37の方法であって、第1流体濃縮液を流すことと第2流体濃縮液を流すことは、異なる総容積の第1及び第2流体濃縮液が移送されることである方法。
[C39] C37の方法であって、第1流体濃縮液を流すこと及び希釈流体を流すことは、異なる総容積の第1流体濃縮液及び希釈液が移送されることである方法。
[C40] C37の方法であって、第1流体濃縮液を流すこと、第1流体濃縮液を流すこと、及び、希釈流体を流すことは、バッチ容器に移送される第1流体濃縮液、第2流体濃縮液、及び希釈液のそれぞれの容積が互いに異なるように、実行されていることを特徴とする方法。
[C41] C37乃至40のいずれかの方法であって、更に、ポンプを用いて、バッチ容器において流体を混合することを特徴とする方法。
[C42] C37又は41のいずれかの方法であって、更に、ポンプを用いて、バッチ容器において流体を混合し、混合された流体をバッチ容器から患者に移送することを特徴とする方法。
[C43] C42の方法であって、ポンプを用いて流体を混合することには、バッチ容器の第1コネクタから流体を引き出し、バッチ容器の第2コネクタ経由で流体を流してバッチ容器に戻すことが含まれることを特徴とする方法。
[C44] C43の方法であって、ポンプを用いて流体を混合することには、混合動作中、流れの割合を定期的に変更することが含まれることを特徴とする方法。
[C45] C43の方法であって、ポンプを用いて流体を混合することには、混合動作中、流れの割合を定期的に停止することが含まれることを特徴とする方法。
[C46] C43の方法であって、ポンプを用いて流体を混合することには、混合動作中、流れを定期的に逆転することが含まれることを特徴とする方法。
[C47] C43の方法であって、更に、少なくとも1つの流量較正パラメータを生成することに先立って、ポンプを較正し、前記少なくとも1つの較正パラメータに応じて、前記ポンプの複数のサイクルを決定することを特徴とする方法。
[C48] 前記バッチ容器、第1及び第2供給源流体、並びに希釈液供給源用のコネクタを有する流体処理システムであって、更に、C37乃至47のいずれかに記載の方法を実現するためにプログラムされたデジタルコントローラを有することを特徴とするシステム。
[C49] 腹膜透析用の使い捨てユニットであって、
流れスイッチによって相互接続されたバッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器を含み、
前記流れスイッチは、所定の流体管理システムによって作動されて、その中に複数の流路を画成するように構成され、
前記流れスイッチは、さらに患者ライン用のコネクタ又は患者ラインのいずれかを備えたポートを有し、
前記濃縮液容器が濃縮液で予め充填されており、
そして、
前記流れスイッチに接続され、また、そこを経由する流れのために前記ポートを選択的に相互接続するように構成されたポンプ配管セグメントを含む
ことを特徴とする使い捨てユニット。
[C50] C161のユニットであって、前記流れスイッチは、更に、流れスイッチが前記所定の流体管理システムによって適切に作動された場合、流体が前記ポンプ配管セグメント経由で前記2つの開口部間で流れることができるように、バッチ容器における2つの開口部を介してバッチ容器を接続するように構成されていることを特徴とするユニット。
[C51] C50のユニットであって、前記バッチ容器はバッグであることを特徴とするユニット。
[C52] C50のユニットであって、バッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器はバッグであることを特徴とするユニット。
[C53] C50のユニットであって、封止・滅菌された内部の流体処理容積を密閉することを特徴とするユニット。
[C54] 腹膜透析用の使い捨てユニットであって、
流れスイッチによって相互接続されたバッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器を含み、
前記流れスイッチは、所定の流体管理システムによって作動され、その中に複数の流路を画成するように構成され、
前記流れスイッチは、患者ラインを備えたポートを有し、
前記濃縮液容器は、濃縮液で予め充填されており、
そして、
前記流れスイッチに接続され、また、そこを経由する流れ用の前記ポートを選択的に相互接続するように構成されたポンプ配管セグメントを含み、
患者ラインは、それぞれの長さに沿って取り付けられた2つの共線チューブと、その患者端部における圧力ポッドとを有し、チューブの内の1つは、圧力ポッドの空気側を圧力変換器に接続するために構成されており、また、そのチューブの内の1つの他方の端部は、圧力ポッドの空気チャンバに接続されていることを特徴とする使い捨てユニット。
[C55] C54のユニットであって、前記流れスイッチは、更に、流れスイッチが前記所定の流体管理システムによって適切に作動された場合、流体が前記ポンプ配管セグメントを経由して前記2つの開口部間で流れることができるように、バッチ容器における2つの開口部を介してバッチ容器を接続するように構成されていることを特徴とするユニット。
[C56] C54のユニットであって、前記バッチ容器はバッグであることを特徴とするユニット。
[C57] C54のユニットであって、バッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器はバッグであることを特徴とするユニット。
[C58] C54のユニットであって、封止・滅菌された内部の流体処理容積を密閉することを特徴とするユニット。
[C59] 腹膜透析用の使い捨てキットであって、流体回路部を有し、
前記流体回路部は、
流れスイッチによって相互接続されたバッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器を含み、
前記流れスイッチが、所定の流体管理システムによって作動され、その中に複数の流路を画成するように構成され、
前記流れスイッチが、さらに患者ライン用のコネクタを含み、
前記濃縮液容器が濃縮液で予め充填されており、
前記流体回路部は、さらに
前記流れスイッチに接続され、また、両対向方向のいずれかにそこを経由する流れ用のポートを選択的に相互接続するように配置されたポンプ配管セグメントを含み、
前記腹膜透析用の使い捨てキットは、さらに、患者ラインを有し、
前記患者ラインは、それぞれの長さに沿って取り付けられた2つの共線チューブを含み、また、その患者端部における圧力ポッドを含み、チューブの内の1つは、圧力ポッドの空気側を圧力変換器に接続するために構成されており、また、そのチューブの内の1つの他方の端部は、圧力ポッドの空気チャンバに接続されている
ことを特徴とする使い捨てキット。
[C60] C59のユニットであって、流れスイッチは、更に、流れスイッチが前記所定の流体管理システムによって適切に作動された場合、流体が前記ポンプ配管セグメントを経由して前記2つの開口部間で流れることができるように、バッチ容器における2つの開口部を介して、バッチ容器を接続するように構成されていることを特徴とするユニット。
[C61] C59のユニットであって、前記バッチ容器はバッグであることを特徴とするユニット。
[C62] C59のユニットであって、バッチ容器及び1つ又は複数の濃縮液容器はバッグであることを特徴とするユニット。
[C63] C59のユニットであって、封止・滅菌された内部の流体処理容積を密閉することを特徴とするユニット。
[C64] 処置流体を調合する方法であって、
流れスイッチを作動させて、第1流体濃縮液をポンプに接続し、また、ポンプを経由して第1流体濃縮液をバッチ容器に第1ポンピングレートで流すことと、
流れスイッチを作動させて、第2流体濃縮液をポンプに接続し、また、ポンプを経由して第2流体濃縮液をバッチ容器に第2ポンピングレートで流すことと、
流れスイッチを作動させて、希釈流体供給源をポンプに接続し、また、ポンプを経由して希釈流体をバッチ容器に第3ポンピングレートで流すことと、
前記作動することに先立って、較正動作を実施して、前記ポンプを較正し、これによって、少なくとも1つの較正パラメータを生成することと、
を含み、
前記作動動作には、少なくとも1つの較正パラメータに応じてポンプをコントローラで決定することが含まれることを特徴とする方法。
[C65] 前記バッチ容器、第1及び第2供給源流体、並びに希釈液供給源用のコネクタを有する流体処理システムであって、更に、C64に記載の方法を実現するためにプログラムされたデジタルコントローラを有することを特徴とする流体処理システム。
[C66] 自己較正医療システムであって、
ポンピング部及び流れ切り替え部を含む流体回路であって、流れ切り替え部が、複数の流体供給源と、流体構成要素又はその混合物を出力するための供給ポートとの間に接続されるように構成される流体回路と、
前記ポンピング部と係合しているポンプを制御するように、また、前記切り替え部と共用可能な切り替えアクチュエータを制御するように構成されたコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、更に、前記流体回路のあるポイントにおける流体特性の変化を検出するように構成された少なくとも1つの流体特性検出器を有し、
前記コントローラは、
前記ポンプ及び前記切り替え部を制御して、前記ポイント間で第1流体を移送することと、
前記ポンプ及び前記切り替え部を制御して、第2流体を前記ポイント側に及び前記ポイント間で所定の容積を有する前記流体回路の部位経由で移送し、この間、前記第2流体が前記少なくとも1つの流体特性センサに達し、それによって検出されるまで時間間隔を測定することと、
前記時間間隔及び前記所定の容積に応じて、前記流体回路を用いて、ある比率の流体を混合するための制御パラメータを生成することと、
によって、ポンピング部及び前記ポンプの係合により具現化されるポンピング動作を較正するように構成されたことを特徴とする自己較正医療システム。
[C67] C66のシステムであって、前記コントローラは、前記流体回路が交換された場合、前記ポンピング動作を較正するように構成されていることを特徴とするシステム。
[C68] C67のシステムであって、前記ポンプ及び前記切り替え部を制御して、第2流体を前記ポイント側に及び前記ポイント間で前記流体回路の前記部位経由で移送する制御をすることには、前記第1流体に続き丸い塊の前記第2流体を移送することが含まれることを特徴とするシステム。
[C69] 家庭腹膜透析処置及び旅行中の処置を患者に供給するための方法であって、
旅行中の予想された処置日用の量の滅菌した純水の容器を供給することと、
旅行中の予想された処理日及び旅行しない処置日用の量の処置濃縮液を供給することと、
を含むことを特徴とする方法。
[C70] 連続的な歩行用腹膜透析(CAPD)のための透析物を提供する方法であって、
少なくとも1つの透析処置セッション用の第1バッチ分の透析物を調合するために構成された装置を用いることを含み、前記装置は、サイクラ補助付き腹膜透析処置に用いるための前記第1バッチ分の透析物を調合するために、流体がポンプで送り込まれる混合済みバッチ容器を有し、
また、
前記装置のポンピング部が透析物を第1バッチ容器から患者の腹膜に移送し、腹膜から前記第1バッチを抽出するサイクラ補助付き腹膜透析処置を実施するために前記装置を用いることを含み、その間、腹膜に移送された流体とそこから抽出された流体との間の正味流体増加又は減少を測定し、
そして、
前記装置を用いて、CAPD用の第2バッチ分の透析物を調合し、CAPD容器を所定のコネクタに接続し、前記容器を前記混合済みバッチ容器から前記CAPD容器まで充填することと、
を含むことを特徴とする方法。
[C71] C70の方法であって、前記装置を用いて第2バッチを調合することは、処理サイクルの終わりを示すコントローラ信号に応じて実施され、前記装置を用いてサイクラ補助付き腹膜透析処置を実施することは、その一部であることを特徴とする方法。
[C72] C70又は71の方法であって、更に、前記CAPD容器を用いて、CAPD処理を実施することを含むことを特徴とする方法。
[C73] C70乃至72のいずれかの方法を実現するためのシステムであって、
濃縮液希釈及び混合構成要素が含まれる流体調合及び処理装置と、
そこを経由して透析物を収容するための容器を取り付けるための補助ポートと、
1つ又は複数のサイクラ補助付き腹膜透析処置サイクルを実現するためにプログラムされたコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、流体調合及び処理装置を制御して、1つ又は複数のバッチ分の透析物を調合し、1回又は複数回、腹膜を充填及び排出し、
前記コントローラは、更に、1つ又は複数のサイクラ補助付き腹膜透析処置サイクルの終わりに追加の透析物を調合して、腹膜を充填し、CAPDに用いるための前記補助ポート経由で追加の透析物を供給するためにプログラムされていることを特徴とするシステム。
[C74] C73のシステムであって、追加の透析物を供給するために、サイクラ補助付き腹膜透析処置サイクルに用いられたバッチ容器から補助ポートへ行く透析物流れを含むことを特徴とするシステム。