(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】混合系統白血病(MLL)特異的ホスホペプチドに結合するT細胞受容体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20231120BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20231120BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231120BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20231120BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20231120BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20231120BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20231120BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20231120BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231120BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231120BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K14/725
C12N5/10
C12N5/0783
C12P21/02 C
A61K38/17
A61K31/7088
A61K35/17
A61K48/00
A61P35/00
A61P37/04
(21)【出願番号】P 2020512821
(86)(22)【出願日】2018-09-04
(86)【国際出願番号】 US2018049397
(87)【国際公開番号】W WO2019046856
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-09-06
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515124598
【氏名又は名称】アジェナス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ファン・デイク
(72)【発明者】
【氏名】エカテリーナ・ウラジーミロヴナ・ブレオウス-ニストロム
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドラ・フランチーノ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ラルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】アーサー・アンドリュー・ハーウィッツ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイドリアン・エクスレイ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ジェイコブ・ウルフ
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/149909(WO,A2)
【文献】PubMed Central, [online], PMCID: PMC4071620, Cobbold, M. et al.,"MHC class-I associated phosphopeptides are the targets of memory-like immunity in leukemia",Sci. Transl. Med. Author manuscript; available in PMC 2014 Jun 26,Vol. 5, 203ra125,2013年,pp. 1-23, Supplementary Materials,Internet, [retrieved on 2020.07.20], <URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4071620/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
A61K 38/00-38/58
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号11、16、及び21に示されるアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR1α、CDR2α及びCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)、ならびに
配列番号26、31、及び36に示されるアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR1β、CDR2β、及びCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)
を含む、混合系統白血病(MLL)ホスホペプチドを結合する単離されたT細胞受容体(TCR)。
【請求項2】
配列番号86のアミノ酸配列を含むVα、及び配列番号87のアミノ酸配列を含むVβ
を含む、請求項1に記載の単離されたTCR。
【請求項3】
配列番号58のアミノ酸配列を含むα鎖、及び配列番号59のアミノ酸配列を含むβ鎖を含む、請求項1又は2に記載の単離されたTCR。
【請求項4】
前記TCRが、
(a)ヒトTCRである;及び/又は
(b)全長TCR、可溶性TCR、若しくは単鎖TCRである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の単離されたTCR。
【請求項5】
前記TCRが、エフェクター部分に結合しており、任意で、前記エフェクター部分が、細胞傷害剤、細胞増殖抑制剤、毒素、放射性核種、検出可能な標識、又は結合部分であり、任意で、前記結合部分が、抗体又は抗体Fc領域である、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離されたTCR。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のTCRのα鎖可変領域及びβ鎖可変領域、又はα鎖及びβ鎖を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、任意で、前記ポリヌクレオチドが、ベクター内に含まれ、任意で、前記ベクターが、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、及びバキュロウイルスベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項6に記載のポリヌクレオチドを含む改変された細胞。
【請求項8】
細胞表面に請求項1~5のいずれか1項に記載のTCRを提示する改変された細胞であって、任意で、前記細胞が、前記TCRを発現する、並びに/又は、前記細胞が、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞、粘膜関連インバリアントT(MAiT)細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞からなる群から任意で選択される、ヒトリンパ球である、改変された細胞。
【請求項9】
請求項6に記載のポリヌクレオチドによってコードされる単離されたTCR。
【請求項10】
請求項1~4若しくは9のいずれか1項に記載のTCR、請求項6に記載のポリヌクレオチド、又は請求項7若しくは8に記載の改変された細胞、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
(a)配列番号45若しくは47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCRを生成する方法であって、前記方法が、ポリヌクレオチドが発現して前記TCRが生成されるように請求項8に記載の改変された細胞を培養することを含む、方法;又は
(b)配列番号45若しくは47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCRを発現する改変された細胞を生成する方法であって、前記方法が、請求項
6に記載のポリヌクレオチドと細胞を
in vitroで接触させることであって、前記細胞への前記ポリヌクレオチドの導入を可能とする条件下で、接触させることを含む、方法。
【請求項12】
(a)対象におけるがんの治療;及び/又は
(b)対象における配列番号45若しくは47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する細胞に対する免疫応答の誘導
における使用のための、請求項1~4若しくは9のいずれか1項に記載のTCR、請求項6に記載のポリヌクレオチド、請求項7若しくは8に記載の改変された細胞、又は請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
(a)前記TCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、若しくは医薬組成物が、静脈内投与され、
(b)追加の治療薬が、前記対象に投与され、
前記追加の治療薬が、任意で、化学療法薬、放射線治療薬、若しくはチェックポイント標的薬であり、
前記チェックポイント標的薬が、アンタゴニスト抗PD-1抗体、アンタゴニスト抗PD-L1抗体、アンタゴニスト抗PD-L2抗体、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体、アンタゴニスト抗TIM-3抗体、アンタゴニスト抗LAG-3抗体、アンタゴニストVISTA抗体、アンタゴニストCD96抗体、アンタゴニスト抗CEACAM1抗体、アンタゴニスト抗TIGIT抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アゴニスト抗GITR抗体、及びアゴニスト抗OX40抗体からなる群から任意で選択される、並びに/若しくは
前記追加の治療薬が、ワクチンであり、任意で、前記ワクチンが、抗原ペプチドと複合体化した熱ショックタンパク質を含む熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)を含み、任意で、前記熱ショックタンパク質が、hsc70であり、腫瘍関連抗原ペプチドと複合体化されており、若しくは前記熱ショックタンパク質が、gp96であり、腫瘍関連抗原ペプチドと複合体化されており、前記HSPPCが、対象から得られた腫瘍に由来する、
請求項12に記載の使用のためのTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年9月4日に出願された米国仮出願第62/553,957号の権益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、混合系統白血病(MLL)ホスホペプチドに結合するT細胞受容体(TCR)およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
脱制御された翻訳後修飾から生じるリンタンパク質は、がん性細胞の形質転換の重要な決定因子である。これらのリンタンパク質の分解により、MHC分子によって提示されてがん特異的なT細胞応答を媒介する、ホスホペプチドが生成される。混合系統白血病(MLL、ヒストン-リジンN-メチルトランスフェラーゼ2A(KMT2A)とも呼ばれる)は、ゲノムのアクセシビリティと転写を調節するヒストン修飾酵素である。MLLに由来する多くのホスホペプチドが報告されており、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Cobbold et al.,Sci Transl Med.2013 Sep 18;5(203):203ra125を参照されたい。腫瘍発現プロファイルを考慮すると、MLLホスホペプチドはがん治療の標的として大いに有望である。
【0004】
したがって、当該技術分野では、その表面にMLLホスホペプチドを提示するがん細胞を認識し、これらの細胞に対する免疫応答を誘導することができる新規組成物が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Cobbold et al.,Sci Transl Med.2013 Sep 18;5(203):203ra125
【発明の概要】
【0006】
本開示は、TCR(例えば、MLLホスホペプチド、例えばホスホペプチドMLL-pM EPR[pS]PSHSM(配列番号45)またはMLL-pP RVR[pS]PTRSP(配列番号47)に結合するTCR)、これらのTCRを含む細胞および医薬組成物、これらのTCRをコードする核酸、これらのTCRを生成するための発現ベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらのTCRを使用して対象を治療する方法を提供する。本明細書に開示されるTCRは、MLLを発現するがん細胞(例えば、MLLホスホペプチド、例えばホスホペプチドMLL-pM EPR[pS]PSHSM(配列番号45)またはMLL-pP RVR[pS]PTRSP(配列番号47)を提示するがん細胞)に対する免疫応答を誘導し、したがって対象におけるMLL発現がんを治療するのに特に有用である。
【0007】
したがって、一態様では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)を提供し、TCRは、相補性決定領域CDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)を含み、CDR3αは配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、それぞれ配列番号11および16に示されるアミノ酸配列を含むCDR1αおよびCDR2αを含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号86に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号58に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号236に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号58、236、259、260、272、261、および249からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号26および31に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号59に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号60に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号237に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号59、237、262、263、264、273、60、および250からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。
【0008】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは相補性決定領域CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは配列番号36に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号26および31に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号59に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号60に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号237に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号59、237、262、263、264、273、60、および250からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。
【0009】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号73に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖可変領域(Vα)を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号73に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号74に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号74に示されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号74に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一である、アミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号74に示されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
前述の態様の特定の実施形態では、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号11、16、21、26、31、および36に示されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、相補性決定領域CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号11、16、21、26、31、および36に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたTCRである。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号86および87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号58に示されるアミノ酸配列を含み、および/またはβ鎖は配列番号59に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたTCRである。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、および/またはβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖は、配列番号236に示されるアミノ酸配列を含み、および/またはβ鎖は、配列番号237に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される単離されたTCRは、配列番号58、236、259、260、272、261、および249からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むα鎖と、および配列番号59、237、262、263、264、273、60、および250からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むβ鎖と、を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号249に示されるアミノ酸配列を含むα鎖と、配列番号250に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖と、を含む。
【0014】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号58もしくは236に示されるアミノ酸配列を含み、および/またはβ鎖は配列番号60に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたTCRである。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0015】
別の態様では、本明細書に開示されるのは、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRであり、TCRは相補性決定領域CDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)を含み、CDR3αは配列番号22に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたTCRである。特定の実施形態では、Vαは、それぞれ配列番号12および17に示されるアミノ酸配列を含むCDR1αおよびCDR2αを含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号88に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号61に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号251に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号37に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号27および32に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号89に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号62に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号63に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号252に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0016】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは相補性決定領域CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは配列番号37に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号27および32に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号89に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号62に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号63に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号252に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0017】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号75に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖可変領域(Vα)を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号75に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号76に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号76に示されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号76に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一である、アミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号76に示されるアミノ酸配列を含む。
【0019】
前述の態様の特定の実施形態では、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号12、17、22、27、32、および37に示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、相補性決定領域CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号12、17、22、27、32、および37に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号88および89に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号3および4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0021】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号61に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号62に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0022】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号61に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号63に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0023】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号251に示されるアミノ酸配列を含み、および/またはβ鎖は配列番号252に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、および/またはβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0024】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRであり、TCRは相補性決定領域CDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)を含み、CDR3αは配列番号23に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、それぞれ配列番号13および109に示されるアミノ酸配列を含むCDR1αおよびCDR2αを含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号106に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号64に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号28および33に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号107に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号65に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0025】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRであり、TCRは相補性決定領域CDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)を含み、CDR3αは配列番号23に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、それぞれ配列番号13および18に示されるアミノ酸配列を含むCDR1αおよびCDR2αを含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号253に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号28および33に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号254に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0026】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは相補性決定領域CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは配列番号38に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号28および33に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号107に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号65に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号254に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0027】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号77に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖可変領域(Vα)を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号77に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号78に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号78に示されるアミノ酸配列を含む。
【0028】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号78に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一である、アミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号78に示されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
前述の態様の特定の実施形態では、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号13、109、23、28、33、および38に示されるアミノ酸配列を含む。
【0030】
前述の態様の特定の実施形態では、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号13、18、23、28、33、および38に示されるアミノ酸配列を含む。
【0031】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、相補性決定領域CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号13、109、23、28、33、および38に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号106および107に示されるアミノ酸配列を含む。
【0032】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、相補性決定領域CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号13、18、23、28、33、および38に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号5および6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0033】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号64に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号65に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0034】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号64に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号66に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0035】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号253に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号254に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0036】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRであり、TCRは相補性決定領域CDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)を含み、CDR3αは配列番号24に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、それぞれ配列番号14および19に示されるアミノ酸配列を含むCDR1αおよびCDR2αを含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号67に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号255に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号29および34に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号108に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号68に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号69に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号256に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0037】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは相補性決定領域CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは配列番号39に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号29および34に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号108に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号68に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号69に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号256に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0038】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号79に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖可変領域(Vα)を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号79に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号80に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含む。
【0039】
別の態様では、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号80に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一である、アミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号80に示されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
前述の態様の特定の実施形態では、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号14、19、24、29、34、および39に示されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、相補性決定領域CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号14、19、24、29、34、および39に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号7および108に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号7および8に示されるアミノ酸配列を含む。
【0042】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号67に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号68に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0043】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号67に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号69に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0044】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号255に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号256に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0045】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRであり、TCRは相補性決定領域CDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)を含み、CDR3αは配列番号25に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、それぞれ配列番号15および20に示されるアミノ酸配列を含むCDR1αおよびCDR2αを含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号70に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号257に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号40に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号30および35に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号71に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号72に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号258に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0046】
別の態様では、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは相補性決定領域CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは配列番号40に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号30および35に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号71に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号72に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号258に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。
【0047】
別の態様では、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号81に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むα鎖可変領域(Vα)を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号81に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号82に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号82に示されるアミノ酸配列を含む。
【0048】
別の態様では、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRが本明細書で提供され、TCRは、配列番号82に示されるアミノ酸配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%同一である、アミノ酸配列を含むβ鎖可変領域(Vβ)を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号82に示されるアミノ酸配列を含む。
【0049】
前述の態様の特定の実施形態では、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号15、20、25、30、35、および40に示されるアミノ酸配列を含む。
【0050】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、相補性決定領域CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号15、20、25、30、35、および40に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号9および10に示されるアミノ酸配列を含む。
【0051】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号70に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号71に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0052】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号70に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号72に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0053】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、α鎖およびβ鎖を含む単離されたTCRであり、α鎖は配列番号257に示されるアミノ酸配列を含み、およびβ鎖は配列番号258に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0054】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書で開示されるTCRと同一のエピトープに結合する単離されたTCRである。
【0055】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはix)それらの任意の組み合わせに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)である。
【0056】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の単離されたTCRは、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号49、50、52、53、54、55、もしくは57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはiii)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはiv)それらの任意の組み合わせに結合しないか、または実質的に結合しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の単離されたTCRは、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号49、50、52、53、54、55、または57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびiii)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合しないか、または実質的に結合しない。
【0058】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはix)それらの任意の組み合わせに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)であり、単離されたTCRは、a)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、b)配列番号49、50、52、53、54、55、もしくは57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはc)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはd)それらの任意の組み合わせに結合しないか、または実質的に結合しない。
【0059】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)であり、単離されたTCRは、a)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、b)配列番号49、50、52、53、54、55、または57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびc)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合しないか、または実質的に結合しない。
【0060】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、viii)配列番号219に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ix)配列番号220に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、x)配列番号226に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはxi)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはxii)それらの任意の組み合わせに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)である。
【0061】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、viii)配列番号219に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ix)配列番号220に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、x)配列番号226に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびxi)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)である。
【0062】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、viii)配列番号219に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ix)配列番号220に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、x)配列番号226に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはxi)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはxii)それらの任意の組み合わせに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)であり、単離されたTCRは、a)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、b)配列番号49、50、52、53、54、55、もしくは57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはc)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはd)それらの任意の組み合わせに結合しないか、または実質的に結合しない。
【0063】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、viii)配列番号219に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ix)配列番号220に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、x)配列番号226に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびxi)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたT細胞受容体(TCR)であり、単離されたTCRは、a)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、b)配列番号49、50、52、53、54、55、または57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびc)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合しないか、または実質的に結合しない。
【0064】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはix)それらの任意の組み合わせに結合する単離されたTCRである。特定の実施形態では、TCRは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する。特定の実施形態では、TCRは、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号49、50、52、53、54、55、もしくは57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはiii)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはiv)それらの任意の組み合わせに結合しないか、または実質的に結合しない。特定の実施形態では、TCRは、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号49に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号50に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号52に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号55に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびix)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合しないか、または実質的に結合しない。特定の実施形態では、TCRと、配列番号46、49、50、52、53、54、55、57、または47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドとの間の結合は、TCRと、配列番号45、51、56、117、128、135、192、または233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドとの間の結合と比較して実質的に弱められている。特定の実施形態では、TCRと、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号49に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号50に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号52に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号55に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびix)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドのうちのいずれかとの間の結合は、TCRと、a)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、b)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、c)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、d)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、e)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、f)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、g)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびh)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドのうちのいずれかとの間の結合と比較して実質的に弱められている。
【0065】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、
i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、
ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、
iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、
iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、
v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、
vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、
vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、および
viii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、からなる群から選択されるペプチドのうちの少なくとも1つに結合する単離されたTCRである。
ここで、単離されたTCRは、
a)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、
b)配列番号49、50、52、53、54、55、または57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、および
c)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドからなる群から選択されるペプチドのうちの少なくとも1つと結合しないか、または実質的に結合しない。
【0066】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、
a)i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはix)それらの任意の組み合わせに結合し、
b)CDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)を含み、CDR3αは、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたTCRである。特定の実施形態では、Vαは、それぞれ配列番号11および16に示されるアミノ酸配列を含むCDR1αおよびCDR2αを含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号86に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号58に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号236に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号259、260、272、261、または249に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号26および31に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号59に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号60に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号237に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号262、263、264、273、または250に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。
【0067】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、
a)i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはix)それらの任意の組み合わせに結合し、
b)CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは配列番号36に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたTCRである。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号26および31に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号59に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号60に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号237に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号262、263、264、273、および250からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。
【0068】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、
a)i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはviii)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはix)それらの任意の組み合わせに結合し、
b)CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号11、16、21、26、31、および36に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたTCRである。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号86および87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む。
【0069】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、単離されたTCRであって、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702に関連して配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養されるとき、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号56に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはiv)配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702のコンテキストで配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはv)それらの任意の組み合わせのときに、活性化される、単離されたTCRである。特定の実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702に関連して配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養されるとき、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号56に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、ならびにiv)配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702のコンテキストで配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、活性化される。特定の実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702に関連して配列番号46に記載に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、ii)配列番号49、50、52、53、54、55、もしくはは57に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702に関連して配列番号49、50、52、53、54、55、もしくは57に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示するする第2の細胞)と共培養するとき、またはiii)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702に関連して配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはiv)それらの任意の組み合わせのときに、活性化されないか、または実質的に活性化されない。特定の実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、ii)配列番号49に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、iii)配列番号50に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、iv)配列番号52に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、v)配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、vi)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、vii)配列番号55に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、およびix)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、のペプチドのうちのいずれかを提示する第2の細胞と共培養するときに、活性化されないか、または実質的に活性化されない。特定の実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞を配列番号46、49、50、52、53、54、55、57、または47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号46、49、50、52、53、54、55、57、または47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するときに、T細胞の活性化は、T細胞を配列番号45、51、56、117、128、135、192、または233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号45、51、56、117、128、135、192、または233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞)と共培養するときのT細胞の活性化と比較して、実質的に弱められる。特定の実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞を、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、ii)配列番号49に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、iii)配列番号50に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、iv)配列番号52に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、v)配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、vi)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、vii)配列番号55に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、およびix)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)のうちのいずれかを提示する第2の細胞と共培養するときに、T細胞の活性化は、a)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、b)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、c)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)、ならびにd)配列番号117、128、135、192、および233に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、HLA-B*0702に関連して)のうちのいずれかを提示する第3の細胞と共培養するときのT細胞の活性化と比較して、実質的に弱められる。
【0070】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、単離されたTCRであって、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞を、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞、ii)配列番号49に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞、iii)配列番号50に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞、iv)配列番号52に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞、v)配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞、vi)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞、vii)配列番号55に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞、viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞、およびix)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞のうちのいずれかと別個に共培養するときに、T細胞の活性化が、a)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞、b)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞、c)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞、d)配列番号117に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞、e)配列番号128に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞、f)配列番号135に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞、g)配列番号192に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞、およびh)配列番号233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞のうちのいずれかと別個に共培養するときのT細胞の活性化と比較して、実質的に弱められる、単離されたTCRである。別の態様では、本明細書で提供されるのは、単離されたTCRであって、CDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)を含み、CDR3αが配列番21に示されるアミノ酸配列を含み、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞が、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702に関連して配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養されるとき、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号56に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはiv)配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702のコンテキストで配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはそれらの任意の組み合わせのときに活性化される、単離されたTCRである。特定の実施形態では、Vαは、それぞれ配列番号11および16に示されるアミノ酸配列を含むCDR1αおよびCDR2αを含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号86に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vαは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号58に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号236に示されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号259、260、272、261、および249からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号26および31に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号59に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号60に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号237に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号262、263、264、273、および250からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。
【0071】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、単離されたTCRであって、CDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)を含み、CDR3βは、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含み、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702に関連して配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養されるとき、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号56に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはiv)配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702のコンテキストで配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはv)それらの任意の組み合わせのときに、活性化される単離されたTCRである。特定の実施形態では、Vβは、それぞれ配列番号26および31に示されるアミノ酸配列を含むCDR1βおよびCDR2βを含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、Vβは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号59に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号60に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、β鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号237に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号262、263、264、273、および250からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むβ鎖を含む。
【0072】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、単離されたTCRであって、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むα鎖可変領域(Vα)と、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むβ鎖可変領域(Vβ)と、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号11、16、21、26、31、および36に示されるアミノ酸配列を含み、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702に関連して配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養されるとき、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号56に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはiv)配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702のコンテキストで配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、またはv)それらの任意の組み合わせのときに、活性化される、単離されたTCRである。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号86および87に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VαおよびVβは、それぞれ配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む。
【0073】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合する単離されたTCRである。特定の実施形態では、TCRは、配列番号45、46、および49~57からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合しないか、または実質的に結合しない。特定の実施形態では、TCRと、配列番号45、46、および49~57からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドとの間の結合は、TCRと配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドとの間の結合と比較して、実質的に弱められている。
【0074】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、単離されたTCRであって、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、T細胞が活性化される、単離されたTCRである。特定の実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、配列番号45、46、および49~57からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号45、46、および49~57からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、活性化されないか、または実質的に活性化されない。特定の実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞を配列番号45、46、および49~57からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号45、46、および49~57からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するときに、T細胞の活性化は、T細胞を配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連して配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞)と共培養するときのT細胞の活性化と比較して、実質的に弱められる。
【0075】
先行する態様の特定の実施形態では、TCRは、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むα鎖定常領域を含むα鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖定常領域は、配列番号42に示されるアミノ酸配列を含む。先行する態様の特定の実施形態では、TCRは、配列番号247に示されるアミノ酸配列を含むα鎖定常領域をα鎖を含む。
【0076】
先行する態様の特定の実施形態では、TCRは、配列番号43、44、または248に示されるアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域を含むβ鎖を含む。
【0077】
以下の実施形態は、先行する態様のそれぞれに適用される。
【0078】
特定の実施形態では、TCRはヒトTCR(例えば、全長ヒトTCR)である。特定の実施形態では、TCRは、全長TCR、可溶性TCR、または単鎖TCRである。
【0079】
特定の実施形態では、ペプチドは、HLA-B*0702と関連して提示される。特定の実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞は、ペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連してペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、活性化される。特定の実施形態では、ペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連してペプチドを提示する第2の細胞)と共培養するとき、T細胞は(a)CD69表面発現の増加、(b)CD25表面発現の増加、(c)CD107a発現の増加、(d)T細胞増殖の増加、(e)IFNγ分泌の増加、または(f)活性化T細胞核内因子(NFAT)プロモーター活性の増加を示す。特定の実施形態では、T細胞は、ペプチドを提示する第2の細胞(例えば、HLA-B*0702と関連してペプチドを提示する第2の細胞)のアポトーシスまたは死を誘導する。
【0080】
特定の実施形態では、TCRはエフェクター部分に結合している。特定の実施形態では、エフェクター部分は、細胞傷害剤、細胞増殖抑制剤、毒素、放射性核種、検出可能な標識、または結合部分である。特定の実施形態では、結合部分は抗体である。特定の実施形態では、結合部分は抗体Fc領域である。
【0081】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるTCRのα鎖可変領域および/もしくはβ鎖可変領域、またはα鎖および/もしくはβ鎖を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号90の核酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号238の核酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号83、266、267、268、269、270、および271からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号91のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号265のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号92のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。
【0082】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含む単離されたベクターを提供する。特定の実施形態では、ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびバキュロウイルスベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである。特定の実施形態では、ベクターは、配列番号83、266、267、268、269、270、および271からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0083】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドまたはベクターを含む改変された細胞を提供する。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドまたはベクターは、配列番号83、266、267、268、269、270、および271からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする。別の態様では、本開示は、配列番号45または47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCRを生成する方法を提供し、該方法は、ポリヌクレオチドが発現してTCRが生成されるように改変された細胞を培養することを含む。別の態様では、本開示は、そのような方法により生成される単離されたTCRを提供する。
【0084】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるTCRを提供する。別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチド配列の発現から生じるTCRを提供する。
【0085】
別の態様では、本開示は、配列番号45または47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCRを発現する改変された細胞を生成する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示されるTCRのα鎖可変領域および/もしくはβ鎖可変領域、または本明細書に開示されるTCRのα鎖および/もしくはβ鎖をコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号90または238の核酸配列を含むポリヌクレオチド)(またはそのようなポリヌクレオチドを含むベクター)と細胞とを、ベクターを細胞に導入できる条件下で接触させることを含む。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、ウイルスベクター)を使用して細胞に導入される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、エレクトロポレーションにより細胞に導入される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドはmRNAであり、エレクトロポレーションにより細胞に導入される。
【0086】
別の態様では、本開示は、細胞表面上に本明細書に開示されるTCRを提示する改変された細胞を提供する。特定の実施形態では、細胞はTCRを発現する。特定の実施形態では、細胞はヒトリンパ球である。特定の実施形態では、細胞は、アルファベータまたはガンマデルタT細胞(例えば、CD8+T細胞、またはCD4+T細胞)、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞、粘膜関連インバリアントT(MAiT)細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞からなる群から選択される。一実施形態では、細胞はiNKT細胞である。
【0087】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、または改変された細胞、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0088】
別の態様では、本開示は、対象において配列番号45または47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する細胞に対する免疫応答を誘導する方法を提供し、該方法は、有効量の本明細書に開示されるTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物を対象に投与することを含む。別の態様では、本開示は、対象においてがんを治療する方法を提供し、該方法は、有効量の本明細書に開示されるTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物を対象に投与することを含む。特定の実施形態では、TCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物は静脈内投与される。特定の実施形態では、本方法は、追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。特定の実施形態では、追加の治療薬は、化学療法薬、放射線治療薬、またはチェックポイント標的薬である。特定の実施形態では、チェックポイント標的薬は、アンタゴニスト抗PD-1抗体、アンタゴニスト抗PD-L1抗体、アンタゴニスト抗PD-L2抗体、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体、アンタゴニスト抗TIM-3抗体、アンタゴニスト抗LAG-3抗体、アンタゴニストVISTA抗体、アンタゴニストCD96抗体、アンタゴニスト抗CEACAM1抗体、アンタゴニスト抗TIGIT抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アゴニスト抗GITR抗体、およびアゴニスト抗OX40抗体からなる群から選択される。特定の実施形態では、追加の治療薬は抗PD-1抗体であり、必要に応じて、抗PD-1抗体はペンブロリズマブまたはニボルマブである。特定の実施形態では、追加の治療薬は、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害剤である。特定の実施形態では、阻害剤は、エパカドスタット、F001287、インドキシモド、およびNLG919からなる群から選択される。特定の実施形態では、阻害剤はエパカドスタットである。特定の実施形態では、追加の治療薬はワクチンである。特定の実施形態では、ワクチンは、抗原ペプチドと複合体化した熱ショックタンパク質を含む熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)を含む。特定の実施形態では、熱ショックタンパク質はhsc70であり、腫瘍関連抗原ペプチドと複合体化している。特定の実施形態では、熱ショックタンパク質はgp96であり、腫瘍関連抗原ペプチドと複合体化し、HSPPCは対象から得られた腫瘍に由来する。特定の実施形態では、がんは白血病(例えば、混合系統白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、または慢性骨髄性白血病)、肺胞横紋筋肉腫、骨癌、脳癌(例えば、膠芽腫)、乳癌、肛門癌、肛門管癌、または肛門直腸癌、眼癌、肝内胆管癌(例えば、肝内胆管細胞癌)、関節癌、首癌、胆嚢癌、胸膜癌、または鼻癌、鼻腔癌、または中耳癌、口腔癌、外陰部癌、骨髄腫(例えば、慢性骨髄性癌)、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、胃腸カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、腎臓癌、喉頭癌、肝癌(例えば、肝細胞癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、腹膜癌、網癌、腸間膜癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌(例えば、腎細胞癌(RCC))、胃癌、小腸癌、軟部癌、胃癌、がん腫、肉腫(例えば、滑膜肉腫、横紋筋肉腫)、精巣癌、甲状腺癌、頭頸部癌、尿管癌、および膀胱癌である。特定の実施形態では、がんは黒色腫、乳癌、肺癌、前立腺癌、甲状腺癌、卵巣癌、または滑膜肉腫である。一実施形態では、がんは滑膜肉腫または脂肪肉腫(例えば、粘液様/円形細胞脂肪肉腫)である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】MLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)、MLL-pPペプチド(RVR[pS]PTRSP;配列番号47)、またはウイルスT細胞エピトープから選択されたペプチドの混合物によってPBMCが刺激された後の3人のHLA-B*0702健常ドナーのからの総CD8+細胞のうちのTNFα+細胞のパーセンテージを示す棒グラフである。
【
図2】パルスされていないDC(「ペプチドなし」)またはペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)(「MLL-pMペプチド」)によってパルスされたDCと共培養したメモリーCD8+T細胞の分析を示すフローサイトメトリープロットの対である。共培養後、細胞をMLL-pM/HLA-B*0702五量体と抗CD8抗体で染色した。
【
図3】MLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)(5μL/ウェルまたは0.5μL/ウェル)、非リン酸化MLL-M対照ペプチド(EPRSPSHSM;配列番号46)(5μL/ウェル)またはMLL-pPペプチド(RVR[pS]PTRSP;配列番号47)(5μL/ウェル)をロードしたPE標識HLA-B*0702五量体によるキメラTCR、TCR0077、TCR0079、TCR0081、TCR0083、またはTCR0085を発現するAK-D10R3細胞の染色を示すフローサイトメトリープロットのセットである。五量体+TCR+細胞のパーセンテージは、各プロットの右上パネルに示される。
【
図4A】50μg/mlもしくは5μg/mLの、MLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)、50μg/mLのMLL-M対照ペプチド(EPRSPSHSM;配列番号46)、または、50μg/mLのMLL-pPペプチド(RVR[pS]PTRSP;配列番号47)でパルスしたT2-B7細胞(すなわち、HLA-B*0702を過剰発現するT2細胞)と、2:1のエフェクター対ターゲット細胞比において共培養した後の、キメラTCR、TCR0077、TCR0079、TCR0081、TCR0083、またはTCR0085を発現するAK-D10R3単一細胞の活性化を試験するアッセイの結果を示すフローサイトメトリープロットである。TCR発現AK-D10R3細胞のみ、またはTCR発現AK-D10R3細胞とパルスしていないT2-B7細胞を含む共培養を対照として含めた。TCR+EGFP+細胞のパーセンテージは、各プロットの右上パネルに示される。
【
図4B】50μg/mlもしくは5μg/mLの、MLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)、50μg/mLのMLL-M対照ペプチド(EPRSPSHSM;配列番号46)、または、50μg/mLのMLL-pPペプチド(RVR[pS]PTRSP;配列番号47)でパルスしたT2-B7細胞(すなわち、HLA-B*0702を過剰発現するT2細胞)と、2:1のエフェクター対ターゲット細胞比において共培養した後の、キメラTCR、TCR0077、TCR0079、TCR0081、TCR0083、またはTCR0085を発現するAK-D10R3単一細胞の活性化を試験するアッセイの結果を示すフローサイトメトリープロットである。TCR発現AK-D10R3細胞のみ、またはTCR発現AK-D10R3細胞とパルスしていないT2-B7細胞を含む共培養を対照として含めた。TCR+EGFP+細胞のパーセンテージは、各プロットの右上パネルに示される。
【
図5】50μg/mlもしくは5μg/mLのMLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)、50μg/mLのMLL-M対照ペプチド(EPRSPSHSM;配列番号46)、または50μg/mLのMLL-pPペプチド(RVR[pS]PTRSP;配列番号47)でパルスしたT2-B7ターゲット細胞においてアポトーシスを誘導するTCR発現AK-D10R3単一細胞クローンの可能性を試験するアッセイの結果を示すヒストグラムのセットである。パルスしていないT2-B7細胞を含む共培養またはTCR発現AK-D10R3細胞を伴わずにインキュベートしたT2-B7細胞は、対照として機能した。カスパーゼ+T2-B7細胞のパーセンテージは、各ヒストグラムの右上パネルに示される。
【
図6A】MLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)、そのアラニン修飾バリアント、MLL-Mペプチド、またはMLL-pPペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞と共培養した後のTCR0077発現またはTCR0085発現AK-D10R3細胞の活性化を示す棒グラフである。AK-D10R3細胞の活性化は、IL-2-(NFAT)
3-EGFPレポーターコンストラクトの活性化から生じるEGFP発現を測定することにより評価された。アッセイは三重で実施し、y軸はEGFP陽性TCR陽性AK-D10R3細胞のパーセンテージを示す。
【
図6B】MLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)、そのアラニン修飾バリアント、MLL-Mペプチド、またはMLL-pPペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞と共培養した後のTCR0077発現またはTCR0085発現AK-D10R3細胞の活性化を示す棒グラフである。AK-D10R3細胞の活性化は、IL-2-(NFAT)
3-EGFPレポーターコンストラクトの活性化から生じるEGFP発現を測定することにより評価された。アッセイは三重で実施し、y軸はEGFP陽性TCR陽性AK-D10R3細胞のパーセンテージを示す。
【
図7A】示されたTCR(
図7A:TCR0077、
図7B:TCR0081)の特異性をペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)のバリアントのパネルと比較するヒートマップであり、配列番号45のアンカー位置P2(P)およびP9(M)を除く各ペプチドの各アミノ酸位置は、19の他の可能な天然に存在するアミノ酸うちのそれぞれと個別に置換され、位置P4([pS])は、非リン酸化セリンでさらに置換された。パネルの各ペプチドは、TCR発現AK-D10R3エフェクター細胞と共培養する前に、T2ターゲット細胞に別個にロードされた。得られた変異ペプチドにTCRが結合すると、AK-D10R3細胞は活性化されてEGFPレポーターを発現し、これはFACSにより検出された。結果は、各ブロックがMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)の天然残基のアミノ酸残基置換を表すヒートマップとして示される。天然の残基は横軸に示され、置換された残基は縦軸に示される。各ブロックは、正規化された平均活性化に対してスケールで陰影が付けられる(正規化された値は最小0.0および最大1.0にトリミングされる)。「X」は試験されていないバリアントを示す。バックグラウンドの活性化(ペプチドがロードされていない)は、全てのペプチドがロードされた試料(改変配列および天然配列)から差し引かれた。
【
図7B】示されたTCR(
図7A:TCR0077、
図7B:TCR0081)の特異性をペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)のバリアントのパネルと比較するヒートマップであり、配列番号45のアンカー位置P2(P)およびP9(M)を除く各ペプチドの各アミノ酸位置は、19の他の可能な天然に存在するアミノ酸うちのそれぞれと個別に置換され、位置P4([pS])は、非リン酸化セリンでさらに置換された。パネルの各ペプチドは、TCR発現AK-D10R3エフェクター細胞と共培養する前に、T2ターゲット細胞に別個にロードされた。得られた変異ペプチドにTCRが結合すると、AK-D10R3細胞は活性化されてEGFPレポーターを発現し、これはFACSにより検出された。結果は、各ブロックがMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)の天然残基のアミノ酸残基置換を表すヒートマップとして示される。天然の残基は横軸に示され、置換された残基は縦軸に示される。各ブロックは、正規化された平均活性化に対してスケールで陰影が付けられる(正規化された値は最小0.0および最大1.0にトリミングされる)。「X」は試験されていないバリアントを示す。バックグラウンドの活性化(ペプチドがロードされていない)は、全てのペプチドがロードされた試料(改変配列および天然配列)から差し引かれた。
【
図8A】示されたTCRの特異性プロファイルを比較する棒グラフであり(
図8A:TCR0077、
図8B:TCR0081)、表8に記載されている各バリアントMLL-pMペプチドの正規化された平均活性化値(黒点、「改変」)、およびペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)の値(白四角、「エピトープ」)を示す。表8におけるバリアントMLL-pMペプチドに対応する正規化された平均活性化値は、表8のペプチド配列、すなわち、配列番号49、110~127、51、128~145、52、146~159、46、160~163、53、164~181、54、182~199、55、200~217、56、および218~235に従って左から右に示される。ブラケットを使用して、MLL-pMペプチド配列内のバリアント残基の位置に従って、バリアントMLL-pMペプチドのグループを指定した。エラーバーは平均値の標準偏差(SEM)を表す。
【
図8B】示されたTCRの特異性プロファイルを比較する棒グラフであり(
図8A:TCR0077、
図8B:TCR0081)、表8に記載されている各バリアントMLL-pMペプチドの正規化された平均活性化値(黒点、「改変」)、およびペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)の値(白四角、「エピトープ」)を示す。表8におけるバリアントMLL-pMペプチドに対応する正規化された平均活性化値は、表8のペプチド配列、すなわち、配列番号49、110~127、51、128~145、52、146~159、46、160~163、53、164~181、54、182~199、55、200~217、56、および218~235に従って左から右に示される。ブラケットを使用して、MLL-pMペプチド配列内のバリアント残基の位置に従って、バリアントMLL-pMペプチドのグループを指定した。エラーバーは平均値の標準偏差(SEM)を表す。
【
図9A】は、対照T細胞とTCR0078形質導入T細胞の表現型を示すフローサイトメトリープロットである。具体的には、刺激された初代T細胞を、TCR形質導入を伴って、または伴わず、Zombie NIR(商標)Live/Dead試薬、抗CD3-FITC、抗CD4-PerCp/Cy5.5、および抗CD8-PE/Cy7抗体、ならびにMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)をロードしたPE結合HLA-B*0702五量体で染色した。
図9Aは、無傷の生きた単一細胞を同定するために使用されるフローサイトメトリーゲートの連続を示す。具体的には、左側のパネルは、試料全体から無傷の細胞を選択するために使用されるゲートを示し、中央のパネルは、無傷の細胞から生細胞を選択するために使用されるゲートを示し、右のパネルは、生細胞から単一細胞を選択するためのゲートを示す。
図9Aのデータは、対照T細胞のためのものである。同一のフローサイトメトリーゲートパラメーターを使用して、TCR0078形質導入T細胞について同様のデータが得られた。各パネルの数字は、各ゲートを通過する細胞のパーセンテージを示しており、残りの実験では無傷の生きた単一細胞が使用される。
図9Bでは、抗CD3-FITC抗体染色を使用してT細胞を同定し、五量体染色を使用して、対照(左)とTCR0078形質導入(右)T細胞の両方でTCR0078を発現する細胞を同定した。
図9Cは、3つの条件のそれぞれにおけるCD4およびCD8の発現を示す:左パネルは、対照T細胞の全集団から(
図9B、左パネルから)のデータを示す;中央のパネルは、TCR0078形質導入細胞の全集団から(
図9B、右パネルから)のデータを示す;右パネルは、五量体染色によりTCR0078を発現していると同定された58.1%の細胞から(
図9Bの右パネルのゲートされた細胞から)のデータを示す。CD4およびCD8は、それぞれ抗CD4-PerCp/Cy5.5および抗CD8-PE/Cy7抗体で染色することにより同定された。2つの細胞集団が同定された(CD4+/CD8-およびCD4-/CD8+)。2つの細胞集団はまた、五量体染色を伴う、抗CD3または抗CD8抗体などの他の染色でも明らかであった(
図9D)。
【
図9B】は、対照T細胞とTCR0078形質導入T細胞の表現型を示すフローサイトメトリープロットである。具体的には、刺激された初代T細胞を、TCR形質導入を伴って、または伴わず、Zombie NIR(商標)Live/Dead試薬、抗CD3-FITC、抗CD4-PerCp/Cy5.5、および抗CD8-PE/Cy7抗体、ならびにMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)をロードしたPE結合HLA-B*0702五量体で染色した。
図9Aは、無傷の生きた単一細胞を同定するために使用されるフローサイトメトリーゲートの連続を示す。具体的には、左側のパネルは、試料全体から無傷の細胞を選択するために使用されるゲートを示し、中央のパネルは、無傷の細胞から生細胞を選択するために使用されるゲートを示し、右のパネルは、生細胞から単一細胞を選択するためのゲートを示す。
図9Aのデータは、対照T細胞のためのものである。同一のフローサイトメトリーゲートパラメーターを使用して、TCR0078形質導入T細胞について同様のデータが得られた。各パネルの数字は、各ゲートを通過する細胞のパーセンテージを示しており、残りの実験では無傷の生きた単一細胞が使用される。
図9Bでは、抗CD3-FITC抗体染色を使用してT細胞を同定し、五量体染色を使用して、対照(左)とTCR0078形質導入(右)T細胞の両方でTCR0078を発現する細胞を同定した。
図9Cは、3つの条件のそれぞれにおけるCD4およびCD8の発現を示す:左パネルは、対照T細胞の全集団から(
図9B、左パネルから)のデータを示す;中央のパネルは、TCR0078形質導入細胞の全集団から(
図9B、右パネルから)のデータを示す;右パネルは、五量体染色によりTCR0078を発現していると同定された58.1%の細胞から(
図9Bの右パネルのゲートされた細胞から)のデータを示す。CD4およびCD8は、それぞれ抗CD4-PerCp/Cy5.5および抗CD8-PE/Cy7抗体で染色することにより同定された。2つの細胞集団が同定された(CD4+/CD8-およびCD4-/CD8+)。2つの細胞集団はまた、五量体染色を伴う、抗CD3または抗CD8抗体などの他の染色でも明らかであった(
図9D)。
【
図9C】は、対照T細胞とTCR0078形質導入T細胞の表現型を示すフローサイトメトリープロットである。具体的には、刺激された初代T細胞を、TCR形質導入を伴って、または伴わず、Zombie NIR(商標)Live/Dead試薬、抗CD3-FITC、抗CD4-PerCp/Cy5.5、および抗CD8-PE/Cy7抗体、ならびにMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)をロードしたPE結合HLA-B*0702五量体で染色した。
図9Aは、無傷の生きた単一細胞を同定するために使用されるフローサイトメトリーゲートの連続を示す。具体的には、左側のパネルは、試料全体から無傷の細胞を選択するために使用されるゲートを示し、中央のパネルは、無傷の細胞から生細胞を選択するために使用されるゲートを示し、右のパネルは、生細胞から単一細胞を選択するためのゲートを示す。
図9Aのデータは、対照T細胞のためのものである。同一のフローサイトメトリーゲートパラメーターを使用して、TCR0078形質導入T細胞について同様のデータが得られた。各パネルの数字は、各ゲートを通過する細胞のパーセンテージを示しており、残りの実験では無傷の生きた単一細胞が使用される。
図9Bでは、抗CD3-FITC抗体染色を使用してT細胞を同定し、五量体染色を使用して、対照(左)とTCR0078形質導入(右)T細胞の両方でTCR0078を発現する細胞を同定した。
図9Cは、3つの条件のそれぞれにおけるCD4およびCD8の発現を示す:左パネルは、対照T細胞の全集団から(
図9B、左パネルから)のデータを示す;中央のパネルは、TCR0078形質導入細胞の全集団から(
図9B、右パネルから)のデータを示す;右パネルは、五量体染色によりTCR0078を発現していると同定された58.1%の細胞から(
図9Bの右パネルのゲートされた細胞から)のデータを示す。CD4およびCD8は、それぞれ抗CD4-PerCp/Cy5.5および抗CD8-PE/Cy7抗体で染色することにより同定された。2つの細胞集団が同定された(CD4+/CD8-およびCD4-/CD8+)。2つの細胞集団はまた、五量体染色を伴う、抗CD3または抗CD8抗体などの他の染色でも明らかであった(
図9D)。
【
図9D】は、対照T細胞とTCR0078形質導入T細胞の表現型を示すフローサイトメトリープロットである。具体的には、刺激された初代T細胞を、TCR形質導入を伴って、または伴わず、Zombie NIR(商標)Live/Dead試薬、抗CD3-FITC、抗CD4-PerCp/Cy5.5、および抗CD8-PE/Cy7抗体、ならびにMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)をロードしたPE結合HLA-B*0702五量体で染色した。
図9Aは、無傷の生きた単一細胞を同定するために使用されるフローサイトメトリーゲートの連続を示す。具体的には、左側のパネルは、試料全体から無傷の細胞を選択するために使用されるゲートを示し、中央のパネルは、無傷の細胞から生細胞を選択するために使用されるゲートを示し、右のパネルは、生細胞から単一細胞を選択するためのゲートを示す。
図9Aのデータは、対照T細胞のためのものである。同一のフローサイトメトリーゲートパラメーターを使用して、TCR0078形質導入T細胞について同様のデータが得られた。各パネルの数字は、各ゲートを通過する細胞のパーセンテージを示しており、残りの実験では無傷の生きた単一細胞が使用される。
図9Bでは、抗CD3-FITC抗体染色を使用してT細胞を同定し、五量体染色を使用して、対照(左)とTCR0078形質導入(右)T細胞の両方でTCR0078を発現する細胞を同定した。
図9Cは、3つの条件のそれぞれにおけるCD4およびCD8の発現を示す:左パネルは、対照T細胞の全集団から(
図9B、左パネルから)のデータを示す;中央のパネルは、TCR0078形質導入細胞の全集団から(
図9B、右パネルから)のデータを示す;右パネルは、五量体染色によりTCR0078を発現していると同定された58.1%の細胞から(
図9Bの右パネルのゲートされた細胞から)のデータを示す。CD4およびCD8は、それぞれ抗CD4-PerCp/Cy5.5および抗CD8-PE/Cy7抗体で染色することにより同定された。2つの細胞集団が同定された(CD4+/CD8-およびCD4-/CD8+)。2つの細胞集団はまた、五量体染色を伴う、抗CD3または抗CD8抗体などの他の染色でも明らかであった(
図9D)。
【
図10】モックmRNA、TCR0086 mRNA、またはTCR0078 mRNAでエレクトロポレーションし、2:1のエフェクター:ターゲット比で、MLLを発現するKG1a-A2細胞、またはMLLを発現するKG1a-B7細胞と共培養したT細胞の活性化を試験するアッセイの結果を示す棒グラフのセットである。左のパネルは、CD25+T細胞のパーセンテージを示す。中央のパネルは、CD107a+T細胞のパーセンテージを示す。右のパネルは、増殖しているT細胞のパーセンテージを示す。
【
図11】モックmRNA、TCR0086 mRNA、またはTCR0078 mRNAをエレクトロポレーションしたT細胞によるKG1a-B7ターゲット細胞の特異的殺傷のパーセンテージを示すグラフである。x軸は、この研究で使用されるエフェクター:ターゲット(E:T)比を示す。
【
図12A】HLA-B*0702を発現するさまざまな腫瘍細胞株と共培養した際の、TCR0078を発現するJurkat IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞株の活性化を示す棒グラフのセットである。
図12Aでは、Jurkat細胞(エフェクター)は、HLA-B*0702を過剰発現するKG1a細胞(「KG1a B7」)、HLA-B*0702を過剰発現するK562細胞(「K562 B7」)、Namalwa細胞、またはLoucy細胞(ターゲット)と、さまざまなエフェクター:ターゲット比(x軸)で24時間共培養された。Jurkat細胞の活性化は、IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーターの活性化に起因するルシフェラーゼ活性(y軸上で任意単位(a.u.)で表される)を測定することにより評価された。
図12Bは、TCR0078で形質導入されていないJurkatレポーター細胞が同一の腫瘍細胞と共培養されたネガティブコントロールを表す。陽性対照として、TCR0078を発現するかまたはしていないJurkat細胞を、、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)およびイオノマイシンで刺激した(最大NFATルシフェラーゼ発現を示す)後に発光を測定した(
図12C)。「Jurkat対照」として、
図12Bについて記載した形質導入していないJurkatレポート細胞を使用した。「TCRを発現するJurkat」として、最適なTCR発現を有する1つの細胞クローン(「c75」)に由来するTCR0078形質導入Jurkatレポーター細胞を使用した。
【
図12B】HLA-B*0702を発現するさまざまな腫瘍細胞株と共培養した際の、TCR0078を発現するJurkat IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞株の活性化を示す棒グラフのセットである。
図12Aでは、Jurkat細胞(エフェクター)は、HLA-B*0702を過剰発現するKG1a細胞(「KG1a B7」)、HLA-B*0702を過剰発現するK562細胞(「K562 B7」)、Namalwa細胞、またはLoucy細胞(ターゲット)と、さまざまなエフェクター:ターゲット比(x軸)で24時間共培養された。Jurkat細胞の活性化は、IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーターの活性化に起因するルシフェラーゼ活性(y軸上で任意単位(a.u.)で表される)を測定することにより評価された。
図12Bは、TCR0078で形質導入されていないJurkatレポーター細胞が同一の腫瘍細胞と共培養されたネガティブコントロールを表す。陽性対照として、TCR0078を発現するかまたはしていないJurkat細胞を、、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)およびイオノマイシンで刺激した(最大NFATルシフェラーゼ発現を示す)後に発光を測定した(
図12C)。「Jurkat対照」として、
図12Bについて記載した形質導入していないJurkatレポート細胞を使用した。「TCRを発現するJurkat」として、最適なTCR発現を有する1つの細胞クローン(「c75」)に由来するTCR0078形質導入Jurkatレポーター細胞を使用した。
【
図12C】HLA-B*0702を発現するさまざまな腫瘍細胞株と共培養した際の、TCR0078を発現するJurkat IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞株の活性化を示す棒グラフのセットである。
図12Aでは、Jurkat細胞(エフェクター)は、HLA-B*0702を過剰発現するKG1a細胞(「KG1a B7」)、HLA-B*0702を過剰発現するK562細胞(「K562 B7」)、Namalwa細胞、またはLoucy細胞(ターゲット)と、さまざまなエフェクター:ターゲット比(x軸)で24時間共培養された。Jurkat細胞の活性化は、IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーターの活性化に起因するルシフェラーゼ活性(y軸上で任意単位(a.u.)で表される)を測定することにより評価された。
図12Bは、TCR0078で形質導入されていないJurkatレポーター細胞が同一の腫瘍細胞と共培養されたネガティブコントロールを表す。陽性対照として、TCR0078を発現するかまたはしていないJurkat細胞を、、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)およびイオノマイシンで刺激した(最大NFATルシフェラーゼ発現を示す)後に発光を測定した(
図12C)。「Jurkat対照」として、
図12Bについて記載した形質導入していないJurkatレポート細胞を使用した。「TCRを発現するJurkat」として、最適なTCR発現を有する1つの細胞クローン(「c75」)に由来するTCR0078形質導入Jurkatレポーター細胞を使用した。
【
図13A】さまざまな腫瘍細胞株と共培養した後の、TCR0078を発現するJurkat NFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞株の活性化を示す棒グラフのセットである。HLA-B*0702を発現するTCR0078形質導入Jurkatレポーター細胞(エフェクター)を、Loucy、H929、HLA-B*0702を過剰発現するKG1a(「KG1a B7」)(
図13A)、Raji、YT-Indy、J.RT3-T3.5、KG1a B7、およびHLA-B*0702を過剰発現するRaji(
図13B)、ならびにTHP-1、LCL 721.221、HLA-B*0702を過剰発現するTHP-1、U266B1、KG1a B7、およびHLA-B*0702を過剰発現するLCL 721.221(「721.221 B7」)(
図13C)などの腫瘍細胞株と、さまざまな比率で24時間共培養した。Jurkat細胞の活性化は、IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーターの活性化に起因するルシフェラーゼ生物発光活性(y軸上で任意単位(a.u.)で表される)を測定することにより評価された。KG1a-HLA-B*0702細胞株は、各図の他の腫瘍細胞株の参照として使用された。
【
図13B】さまざまな腫瘍細胞株と共培養した後の、TCR0078を発現するJurkat NFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞株の活性化を示す棒グラフのセットである。HLA-B*0702を発現するTCR0078形質導入Jurkatレポーター細胞(エフェクター)を、Loucy、H929、HLA-B*0702を過剰発現するKG1a(「KG1a B7」)(
図13A)、Raji、YT-Indy、J.RT3-T3.5、KG1a B7、およびHLA-B*0702を過剰発現するRaji(
図13B)、ならびにTHP-1、LCL 721.221、HLA-B*0702を過剰発現するTHP-1、U266B1、KG1a B7、およびHLA-B*0702を過剰発現するLCL 721.221(「721.221 B7」)(
図13C)などの腫瘍細胞株と、さまざまな比率で24時間共培養した。Jurkat細胞の活性化は、IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーターの活性化に起因するルシフェラーゼ生物発光活性(y軸上で任意単位(a.u.)で表される)を測定することにより評価された。KG1a-HLA-B*0702細胞株は、各図の他の腫瘍細胞株の参照として使用された。
【
図13C】さまざまな腫瘍細胞株と共培養した後の、TCR0078を発現するJurkat NFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞株の活性化を示す棒グラフのセットである。HLA-B*0702を発現するTCR0078形質導入Jurkatレポーター細胞(エフェクター)を、Loucy、H929、HLA-B*0702を過剰発現するKG1a(「KG1a B7」)(
図13A)、Raji、YT-Indy、J.RT3-T3.5、KG1a B7、およびHLA-B*0702を過剰発現するRaji(
図13B)、ならびにTHP-1、LCL 721.221、HLA-B*0702を過剰発現するTHP-1、U266B1、KG1a B7、およびHLA-B*0702を過剰発現するLCL 721.221(「721.221 B7」)(
図13C)などの腫瘍細胞株と、さまざまな比率で24時間共培養した。Jurkat細胞の活性化は、IL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーターの活性化に起因するルシフェラーゼ生物発光活性(y軸上で任意単位(a.u.)で表される)を測定することにより評価された。KG1a-HLA-B*0702細胞株は、各図の他の腫瘍細胞株の参照として使用された。
【
図14】モックmRNAまたはTCR0078をコードするmRNAでエレクトロポレーションし、MLL-pMホスホペプチドまたは非リン酸化MLL-M対照ペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞と共培養したT細胞の活性化を試験するアッセイからの結果を示すグラフのパネルである。抗CD3および抗CD28抗体とともにインキュベートしたT細胞を陽性対照として使用した(「TCR0078 mRNA;CD3/CD28」)。上の2つのパネルは、CD25+T細胞のパーセンテージを示す。下の2つのパネルは、CD107a+T細胞のパーセンテージを示す。4つのパネル全てで、x軸は、T2-B7細胞のパルスに使用されるペプチドの濃度を示す。
【
図15】モックmRNAまたはTCR0078 mRNAをエレクトロポレーションしたT細胞と共培養した後のペプチドパルスT2-B7細胞の数を示す一対のグラフである。T2-B7細胞は、共培養の前にMLL-pMホスホペプチドまたは非リン酸化MLL-M対照ペプチドでパルスされていた。x軸は、T2-B7細胞のパルスに使用されるペプチドの濃度を示す。
【
図16】MLLホスホペプチドEPR[pS]SHSM(配列番号45)または非リン酸化対照ペプチドEPRSPSHSM(配列番号46)でパルスされたT2-HLA-B*0702(「T2-B7細胞」)と共培養したTCR0078形質導入T細胞の活性化および細胞傷害活性を試験するアッセイを示すグラフのセットである。HLA-B*0702を発現するT2細胞をCFSEで標識し、TCR0078を安定に発現する初代T細胞と20時間共培養する前に、いずれかのペプチドの用量漸増で2.5時間パルスした。
図16Aは、共培養後のTCR0078形質導入T細胞による、T2-HLA-B*0702細胞の殺傷のパーセンテージを示す(エフェクター初代T細胞と共培養していない総T2-B7数から生存T2-B7細胞数を引いて、共培養していない総T2-B7数で割って計算した)。
図16Bおよび16Cは、抗CD25-PE/Cy7および抗IFNγ-FITC抗体によって検出され、対応する蛍光色素から放出される蛍光によって測定された、総初代T細胞におけるCD25およびIFN-γ陽性初代T細胞のパーセンテージをそれぞれ示す。x軸は、T2-B7細胞のパルスに使用されるペプチドの濃度を示す。ボンフェローニ検定による二元ANOVAが使用された。「***」はp=0.001を意味する。
【
図17A】ホスホペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)または非リン酸化ペプチドEPRSPSHSM(配列番号46)のいずれかでパルスしたHLA*A02.01またはT2-HLA-B*0702を発現するT2細胞と共培養したTCR0078形質導入初代T細胞の活性化を試験するアッセイを示す一対の棒グラフである。エフェクター初代T細胞によるCD25およびIFNγの発現は、
図16のように測定された。
図17Aは、異なるペプチドでパルスしたT2ターゲット細胞と共培養した後のT細胞上のCD25の表面発現を比較する(MFI=平均蛍光発現)。
図17Bは、共培養後の総エフェクター初代T細胞のIFN-γ陽性T細胞のパーセンテージを比較する。ボンフェローニ検定による二元ANOVAが使用された。「*」はp=0.05を意味する。「**」はp=0.01を意味する。「***」はp=0.001を意味する。「ns」は有意ではないことを意味する。
【
図17B】ホスホペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)または非リン酸化ペプチドEPRSPSHSM(配列番号46)のいずれかでパルスしたHLA*A02.01またはT2-HLA-B*0702を発現するT2細胞と共培養したTCR0078形質導入初代T細胞の活性化を試験するアッセイを示す一対の棒グラフである。エフェクター初代T細胞によるCD25およびIFNγの発現は、
図16のように測定された。
図17Aは、異なるペプチドでパルスしたT2ターゲット細胞と共培養した後のT細胞上のCD25の表面発現を比較する(MFI=平均蛍光発現)。
図17Bは、共培養後の総エフェクター初代T細胞のIFN-γ陽性T細胞のパーセンテージを比較する。ボンフェローニ検定による二元ANOVAが使用された。「*」はp=0.05を意味する。「**」はp=0.01を意味する。「***」はp=0.001を意味する。「ns」は有意ではないことを意味する。
【
図18】KG1a-HLA*A02.01またはKG1a-HLA-B*0702のいずれかと共培養した対照またはTCR0078形質導入初代T細胞の細胞傷害活性および活性化を試験するアッセイを示す棒グラフのセットである。共培養、細胞染色、および数の計数方法は、
図16のものと同一であった。
図18Aは、共培養後の初代T細胞によるKG1a腫瘍細胞の殺傷のパーセンテージを示し、KG1a腫瘍細胞に対するT細胞の細胞傷害活性を表す。
図18Bおよび
図18Cは、共培養後のCD25およびIFN-γ陽性初代T細胞のパーセンテージをそれぞれ示す。ボンフェローニ検定による二元ANOVAが使用された。「***」はp=0.001を意味する。
【
図19】KG1a-HLA-B*0702、K562-HLA-B*0702、SK-MEL-5、U266B1、またはNamalwa腫瘍細胞株と共培養した対照およびTCR0078形質導入初代T細胞の細胞傷害活性を試験するアッセイを示す棒グラフのセットである。共培養、細胞染色、および数の計数方法は、
図18A~18Cに示される実験で使用されたものと同一であった。x軸は、使用されたT細胞/腫瘍細胞の比率を示す。ボンフェローニ検定による二元ANOVAが使用された。「*」はp=0.05を意味する。「**」はp=0.01を意味する。「***」はp=0.001を意味する。
【
図20】KG1a-HLA-B*0702腫瘍を担持するNOGマウスに養子移入する前に、KG1a-HLA-B*0702と共培養したTCR0078形質導入T細胞の細胞傷害活性および活性化のin vitroアッセイを示す棒グラフのセットである。
図20Aおよび
図20Bはそれぞれ、対照とTCR0078形質導入T細胞間の細胞傷害活性およびT細胞活性化(CD25発現によって表される)を比較する。x軸は、さまざまなT細胞/腫瘍細胞比を示す。
【
図21A】KG1a-HLA-B*0702腫瘍を担持するNOGマウスへの養子移入後のTCR0078形質導入ヒト初代T細胞の抗腫瘍活性を示すグラフとフローサイトメトリープロットのセットである。20匹のマウスにそれぞれ100万個の腫瘍細胞(KG1a-HLA-B*0702)を皮下注射した。注射の1日後、20匹のマウスのうち10匹に500万個のTCR0078形質導入初代T細胞(「TCR0078を発現するT細胞」)を静脈内注射し、他の10匹のマウスは注射しなかった(「T細胞なし」)。
図21Aは、7日目~42日目まで3~5日ごとに測定されたマウスの2つの群(各n=10)における腫瘍体積(平均+/-SEM)を比較する。ボンフェローニ検定による二元ANOVAが使用された。「***」はp=0.001を意味する。
図21Bは、TCR0078を発現するT細胞を注射した10匹の個々のマウスの腫瘍体積を比較する。7日目に最初の測定の後、10匹のマウスのうちの2匹はT細胞注射およびホーミングを確認するために屠殺し、したがって、7日目以降、これら2匹のマウスのデータポイントは利用できなかった。
図21Bの各線は、42日間にわたる残りの8匹のマウスのうちの1匹の腫瘍体積を表す。大幅な腫瘍増殖を有する2匹のマウス(白丸)を除いて、8匹のマウスのうち6匹は最小限の腫瘍増殖を示した(黒丸)。
図21Cは、TCR0078形質導入T細胞を注射したマウスの脾臓におけるヒトT細胞および転移性腫瘍細胞を同定する一対のフローサイトメトリープロットを示す。腫瘍移植後41日目に全てのマウスを屠殺し、蛍光標識細胞分取(FACS)によるその後の検出のために、それらの脾臓を採取し、処理し、抗CD3および抗CD45抗体で染色した。
図21Cの左パネルは、
図21Bにおける大幅な腫瘍増殖を有する注射したマウスのT細胞(CD3+/CD45+、試料中の全細胞の0.027%)および腫瘍細胞(CD3-/CD45+、試料中の全細胞の0.25%)のパーセンテージを示す。
図21Cの右パネルは、
図21Bの最小限の腫瘍増殖の注射マウスの脾臓におけるT細胞(72.5%)および腫瘍細胞(0.037%)のパーセンテージを示す。各ゲート内の細胞のパーセンテージが示される。
【
図21B】KG1a-HLA-B*0702腫瘍を担持するNOGマウスへの養子移入後のTCR0078形質導入ヒト初代T細胞の抗腫瘍活性を示すグラフとフローサイトメトリープロットのセットである。20匹のマウスにそれぞれ100万個の腫瘍細胞(KG1a-HLA-B*0702)を皮下注射した。注射の1日後、20匹のマウスのうち10匹に500万個のTCR0078形質導入初代T細胞(「TCR0078を発現するT細胞」)を静脈内注射し、他の10匹のマウスは注射しなかった(「T細胞なし」)。
図21Aは、7日目~42日目まで3~5日ごとに測定されたマウスの2つの群(各n=10)における腫瘍体積(平均+/-SEM)を比較する。ボンフェローニ検定による二元ANOVAが使用された。「***」はp=0.001を意味する。
図21Bは、TCR0078を発現するT細胞を注射した10匹の個々のマウスの腫瘍体積を比較する。7日目に最初の測定の後、10匹のマウスのうちの2匹はT細胞注射およびホーミングを確認するために屠殺し、したがって、7日目以降、これら2匹のマウスのデータポイントは利用できなかった。
図21Bの各線は、42日間にわたる残りの8匹のマウスのうちの1匹の腫瘍体積を表す。大幅な腫瘍増殖を有する2匹のマウス(白丸)を除いて、8匹のマウスのうち6匹は最小限の腫瘍増殖を示した(黒丸)。
図21Cは、TCR0078形質導入T細胞を注射したマウスの脾臓におけるヒトT細胞および転移性腫瘍細胞を同定する一対のフローサイトメトリープロットを示す。腫瘍移植後41日目に全てのマウスを屠殺し、蛍光標識細胞分取(FACS)によるその後の検出のために、それらの脾臓を採取し、処理し、抗CD3および抗CD45抗体で染色した。
図21Cの左パネルは、
図21Bにおける大幅な腫瘍増殖を有する注射したマウスのT細胞(CD3+/CD45+、試料中の全細胞の0.027%)および腫瘍細胞(CD3-/CD45+、試料中の全細胞の0.25%)のパーセンテージを示す。
図21Cの右パネルは、
図21Bの最小限の腫瘍増殖の注射マウスの脾臓におけるT細胞(72.5%)および腫瘍細胞(0.037%)のパーセンテージを示す。各ゲート内の細胞のパーセンテージが示される。
【
図21C】KG1a-HLA-B*0702腫瘍を担持するNOGマウスへの養子移入後のTCR0078形質導入ヒト初代T細胞の抗腫瘍活性を示すグラフとフローサイトメトリープロットのセットである。20匹のマウスにそれぞれ100万個の腫瘍細胞(KG1a-HLA-B*0702)を皮下注射した。注射の1日後、20匹のマウスのうち10匹に500万個のTCR0078形質導入初代T細胞(「TCR0078を発現するT細胞」)を静脈内注射し、他の10匹のマウスは注射しなかった(「T細胞なし」)。
図21Aは、7日目~42日目まで3~5日ごとに測定されたマウスの2つの群(各n=10)における腫瘍体積(平均+/-SEM)を比較する。ボンフェローニ検定による二元ANOVAが使用された。「***」はp=0.001を意味する。
図21Bは、TCR0078を発現するT細胞を注射した10匹の個々のマウスの腫瘍体積を比較する。7日目に最初の測定の後、10匹のマウスのうちの2匹はT細胞注射およびホーミングを確認するために屠殺し、したがって、7日目以降、これら2匹のマウスのデータポイントは利用できなかった。
図21Bの各線は、42日間にわたる残りの8匹のマウスのうちの1匹の腫瘍体積を表す。大幅な腫瘍増殖を有する2匹のマウス(白丸)を除いて、8匹のマウスのうち6匹は最小限の腫瘍増殖を示した(黒丸)。
図21Cは、TCR0078形質導入T細胞を注射したマウスの脾臓におけるヒトT細胞および転移性腫瘍細胞を同定する一対のフローサイトメトリープロットを示す。腫瘍移植後41日目に全てのマウスを屠殺し、蛍光標識細胞分取(FACS)によるその後の検出のために、それらの脾臓を採取し、処理し、抗CD3および抗CD45抗体で染色した。
図21Cの左パネルは、
図21Bにおける大幅な腫瘍増殖を有する注射したマウスのT細胞(CD3+/CD45+、試料中の全細胞の0.027%)および腫瘍細胞(CD3-/CD45+、試料中の全細胞の0.25%)のパーセンテージを示す。
図21Cの右パネルは、
図21Bの最小限の腫瘍増殖の注射マウスの脾臓におけるT細胞(72.5%)および腫瘍細胞(0.037%)のパーセンテージを示す。各ゲート内の細胞のパーセンテージが示される。
【発明を実施するための形態】
【0090】
TCR(例えば、MLLホスホペプチドに結合するTCR)、これらのTCRを含む細胞および医薬組成物、これらのTCRをコードする核酸、これらのTCRを生成するための発現ベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらのTCRを使用して対象を治療する方法が提供される。本明細書に開示されるTCRは、細胞表面にMLLホスホペプチドを提示するがん細胞に対する免疫応答を誘導するために、したがって対象のMLL発現がんを治療するために特に有用である。
【0091】
5.1定義
本明細書で使用されるとき、「約」および「およそ」という用語は、数値または数値範囲を修飾するために使用されるとき、5%から10%上(例えば、5%から10%上まで)および5%から10%下(例えば、5%から10%下まで)の偏差を示し、値または範囲は、記載された値または範囲の意図された意味内に留まる。
【0092】
本明細書で使用されるとき、「MLL」という用語は、ヒトではKMT2A遺伝子によってコードされる混合系統白血病(ヒストン-リジンN-メチルトランスフェラーゼ2Aとしても知られる)を指す。
【0093】
本明細書で使用される「T細胞受容体」および「TCR」という用語は互換可能に使用され、αβまたはγδT細胞受容体からのCDRまたは可変領域を含む分子を指す。TCRの例には、全長TCR、TCRの抗原結合フラグメント、膜貫通領域および細胞質領域を欠く可溶性TCR、柔軟なリンカーによって結合されたTCRの可変領域を含む単鎖TCR、改変されたジスルフィド結合、単一のTCR可変ドメイン、単一のペプチドMHC特異的TCR、多重特異性TCR(二重特異性TCRを含む)、TCR融合体、共刺激領域を含むTCR、ヒトTCR、ヒト化TCR、キメラTCR、組換え産生TCR、および合成TCRが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、TCRは、全長α鎖および全長β鎖を含む全長TCRである。特定の実施形態では、TCRは、膜貫通領域および/または細胞質領域を欠く可溶性TCRである。特定の実施形態では、TCRは、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれるPCT公開:WO2003/020763、WO2004/033685、またはWO2011/044186に記載されているような構造を有するscTCRなどの、ペプチドリンカーにより連結されたVαおよびVβを含む単鎖TCR(scTCR)である。特定の実施形態では、TCRは膜貫通領域を含む。特定の実施形態では、TCRは共刺激シグナル伝達領域を含む。
【0094】
本明細書で使用されるとき、「全長TCR」という用語は、その各々がTCR可変領域とTCR膜貫通領域およびTCR細胞質領域を含むTCR定常領域とを含む第1および第2ポリペプチド鎖の二量体を含むTCRを指す。特定の実施形態では、全長TCRは、1つまたは2つの非修飾TCR鎖、例えば、非修飾α、β、γ、またはδTCR鎖を含む。特定の実施形態では、全長TCRは、キメラTCR鎖および/または非修飾TCR鎖と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換、挿入、または欠失を含むTCR鎖などの1つまたは2つの改変されたTCR鎖を含む。特定の実施形態では、全長TCRは、成熟した全長TCRα鎖および成熟した全長TCRβ鎖を含む。特定の実施形態では、全長TCRは、成熟した全長TCRγ鎖および成熟した全長TCRδ鎖を含む。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「TCR可変領域」という用語は、TCRα鎖の場合はTRAC遺伝子、TCRβ鎖の場合はTRBC1またはTRBC2遺伝子のいずれか、TCRδ鎖の場合はTRDC遺伝子、またはTCRγ鎖の場合はTRGC1またはTRGC2遺伝子のいずれかによってコードされていない成熟TCRポリペプチド鎖(例えば、TCRα鎖またはβ鎖)の部分を指す。いくつかの実施形態では、TCRα鎖のTCR可変領域は、TRAVおよび/またはTRAJ遺伝子によってコードされる成熟TCRα鎖ポリペプチドの全てのアミノ酸を包含し、TCRβ鎖のTCR可変領域はTRBV、TRBD、および/またはTRBJ遺伝子によってコードされる成熟TCRβ鎖ポリペプチド全てのアミノ酸を包含する(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるT cell receptor Factsbook,(2001) LeFranc and LeFranc,Academic Press,ISBN 0-12-441352-8を参照されたい)。TCR可変領域は一般に、フレームワーク領域(FR)1、2、3、および4と相補性決定領域(CDR)1、2、および3とをふくむ。
【0096】
本明細書で使用されるとき、「α鎖可変領域」および「Vα」という用語は互換可能に使用され、TCRα鎖の可変領域を指す。
【0097】
本明細書で使用されるとき、「β鎖可変領域」および「Vβ」という用語は互換可能に使用され、TCRβ鎖の可変領域を指す。
【0098】
TCRと関連して本明細書で使用されるとき、「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、TCR鎖(例えば、α鎖またはβ鎖)の可変領域内に見られる非隣接抗原結合部位を意味する。これらの領域は、Lefranc,(1999) The Immunologist 7:132-136,Lefranc et al.,(1999) Nucleic Acids Res 27:209-212,LeFranc(2001) T cell receptor Factsbook,Academic Press,ISBN 0-12-441352-8,Lefranc et al.,(2003) Dev Comp Immunol.27(1):55-77、およびKabat et al.,(1991) Sequences of protein of immunological interestに記載され、その各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、CDRは、前出のLefranc(1999)に記載されているIMGT付番システムに従って決定される。特定の実施形態では、CDRは、前出のKabatに記載されたKabat付番システムに従って決定される。特定の実施形態では、CDRは、例えば、TCRと同族抗原(例えば、ペプチドまたはペプチド-MHC複合体)との相互作用の構造分析に基づいて経験的に定義される。特定の実施形態では、TCRのα鎖およびβ鎖のCDRは、異なる慣例に従って(例えば、KabatまたはIMGTの付番システムに従って、または構造分析に基づいて経験的に)定義される。
【0099】
本明細書で使用されるとき、「フレームワークアミノ酸残基」という用語は、TCR鎖のフレームワーク領域(例えば、α鎖またはβ鎖)のアミノ酸を指す。本明細書で使用されるとき、「フレームワーク領域」または「FR」という用語は、TCR可変領域の一部であるがCDRの一部ではないアミノ酸残基を含む。
【0100】
本明細書で使用されるとき、TCRに関する「定常領域」という用語は、TRAC遺伝子(TCRα鎖の場合)、TRBC1もしくはTRBC2遺伝子のいずれか(TCRβ鎖の場合)、TRDC遺伝子(TCRδ鎖の場合)、またはTRGC1もしくはTRGC2遺伝子のいずれか(TCRγ鎖の場合)によってコードされるTCRの部分を指し、必要に応じて膜貫通領域の全てもしくは一部、および/または細胞質領域の全てもしくは一部を欠く。特定の実施形態では、TCR定常領域は、膜貫通領域および細胞質領域を欠く。TCR定常領域には、TRAV、TRAJ、TRBV、TRBD、TRBJ、TRDV、TRDD、TRDJ、TRGV、またはTRGJ遺伝子によってコードされるアミノ酸が含まれない(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、T cell receptor Factsbook,(2001) LeFranc and LeFranc,Academic Press,ISBN 0-12-441352-8を参照されたい)。
【0101】
本明細書で使用されるとき、「主要組織適合性複合体」および「MHC」という用語は互換可能に使用され、MHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子を指す。
【0102】
本明細書で使用されるとき、「MHCクラスI」という用語は、MHCクラスIα鎖とβ2ミクログロブリン鎖の二量体を指し、「MHCクラスII」という用語は、MHCクラスIIα鎖とMHCクラスIIβ鎖の二量体を指す。
【0103】
本明細書で使用されるとき、「ペプチド-MHC複合体」という用語は、MHCの当該技術分野で認識されているペプチド結合ポケットに結合したペプチドを含むMHC分子(MHCクラスIまたはMHCクラスII)を指す。いくつかの実施形態では、MHC分子は細胞表面に発現する膜結合タンパク質である。いくつかの実施形態では、MHC分子は、膜貫通領域または細胞質領域を欠く可溶性タンパク質である。
【0104】
本明細書で使用されるとき、「[pS]」および「(pS)」という用語は互換可能に使用され、ホスホセリンを指す。
【0105】
本明細書で使用されるとき、TCRに関連する「細胞外」という用語は、細胞の外側に位置する組換え膜貫通タンパク質の一部または複数の部分を指す。
【0106】
本明細書で使用されるとき、TCR鎖に関連する「膜貫通」という用語は、細胞の原形質膜に埋め込まれたTCR鎖の一部または複数の部分を指す。
【0107】
本明細書で使用されるとき、TCR鎖に関連する「細胞質」という用語は、細胞の細胞質に位置するTCR鎖の一部または複数の部分を指す。
【0108】
本明細書で使用されるとき、「共刺激シグナル伝達領域」という用語は、細胞内シグナル伝達事象の媒介に関与する共刺激分子の細胞内部分を指す。
【0109】
「結合親和性」は、分子(例えば、TCR)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、ペプチド-MHC複合体)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書において使用されるとき、「結合親和性」は、結合対の構成員(例えば、TCRとペプチド-MHC複合体)の間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xのその相手Yに対する親和性は、一般的に解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、平衡解離定数(KD)および平衡会合定数(KA)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の多くの方法で測定および/または表現することができる。KDはkoff/konの商から計算されるが、KAはkon/koffの商から計算される。konは、例えば、ペプチド-MHC複合体へのTCRの会合速度定数を指し、koffは、例えば、ペプチド-MHC複合体へのTCRの解離速度定数を指す。konおよびkoffは、BIAcore(登録商標)またはKinExAの使用など、当業者に知られている技術によって決定することができる。本明細書で使用されるとき、「親和性が低い」とは、より大きなKDを指す。
【0110】
本明細書で使用されるとき、「特異的に結合する」という用語は、特定の抗原(例えば、特定のペプチドまたは特定のペプチド-MHC複合体の組み合わせ)に優先的に結合するTCRの能力を指し、そのような結合は、当業者によって理解される。例えば、抗原に特異的に結合するTCRは、一般に、例えばBIAcore(登録商標)、または当該技術分野で知られている他のイムノアッセイにより決定される低い親和性で、他の抗原に結合できる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Savage et al.,Immunity.1999,10(4):485-92を参照されたい)。特定の実施形態では、抗原に特異的に結合するTCRは、TCRが別の抗原に結合するときのKaよりも、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または10,000倍大きい会合定数(Ka)で抗原に結合する。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する。
【0111】
いくつかの実施形態では、TCRは、TCRが別の抗原に結合するときのKaよりも、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または10,000倍小さい会合定数(Ka)で抗原に結合するとき、抗原に実質的に結合しない。いくつかの実施形態では、TCRは、TCRと抗原との間の結合が、TCRと別の抗原との間の結合よりも、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または10,000倍弱いとき、抗原に実質的に結合しない。
【0112】
本明細書で使用されるとき、試験TCRと第1の抗原との間の結合は、試験TCRと第1の抗原との間の結合が、例えば、所定の実験において、または複数の実験からの平均値を使用して、試験TCRと第2の抗原との間の結合と比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、または80%減少する場合、試験TCRと第2の抗原との間の結合と比較して「実質的に弱められる」。
【0113】
いくつかの実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞をペプチドを提示する第2の細胞と共培養するとき、T細胞の活性化が、T細胞を別のペプチドを提示する第3の細胞と共培養するときのT細胞の活性化よりも、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または10,000倍弱い場合、T細胞は実質的に活性化されない。
【0114】
本明細書で使用されるとき、試験TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞を第1のペプチドを提示する第2の細胞と共培養するときのT細胞の活性化は、T細胞を第1のペプチドを提示する第2の細胞と共培養するときのT細胞の活性化が、例えば、所定の実験において、または複数の実験からの平均値を使用して、例えば、(a)IL-2-(NFAT)3-EGFPレポーターコンストラクトを含むT細胞で試験TCRを発現する、(b)HLA-B*0702陽性T2細胞(「T2-B7細胞」)に第1のペプチドまたは第2のペプチドでパルスする、(c)TCR発現T細胞をペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞と1:2の比率で37℃、10%CO2で16時間共培養する、(d)フローサイトメトリーを使用してTCRおよびEGFPの発現を分析する、(e)TCR+EGFP+細胞のパーセンテージを決定する、(f)TCR+EGFP+細胞のそれぞれのパーセンテージに基づいて、第2のペプチドを提示するT2-B7ターゲット細胞と共培養するときと比較して、第1のペプチドを提示するT2-B7ターゲット細胞と共培養するときのT細胞の活性化の減少を決定する、ステップを含むアッセイによって、第2のペプチドを提示する第3の細胞と共培養するときのT細胞の活性化と比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、または80%減少する場合、T細胞を第2のペプチドを提示する第3の細胞と共培養するときのT細胞の活性化と比較して、「実質的に弱められる」。
【0115】
本明細書で使用されるとき、「エピトープ」は、当該技術分野での用語であり、TCRが結合できる抗原(例えば、ペプチドまたはペプチド-MHC複合体)の局所領域を指す。特定の実施形態では、TCRが結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)、フローサイトメトリー分析、変異導入マッピング(例えば、部位特異的変異導入マッピング)、および/または構造モデリングによって決定され得る。X線結晶学の場合、結晶化は、当該技術分野で知られている方法のいずれかを使用して達成することができる(例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Giege R et al.,(1994) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt 4):339-350;McPherson A(1990) Eur J Biochem 189:1-23;Chayen NE(1997) Structure 5:1269-1274;McPherson A(1976) J Biol Chem 251:6300-6303)。TCR:抗原の結晶は、よく知られたX線回折技術を使用して研究することができ、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、X-PLOR(Yale University,1992、Molecular Simulations,Inc.によって配布される、例えば、Meth Enzymol(1985) volumes 114 & 115,eds Wyckoff HW et al.,;U.S.2004/0014194を参照されたい)およびBUSTER(Bricogne G(1993) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt 1):37-60;Bricogne G(1997) Meth Enzymol 276A:361-423,ed Carter CW;Roversi P et al.,(2000) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 56(Pt 10):1316-1323)のようなソフトウェアを使用して精密化し得る。変異導入マッピング研究は、当業者に知られている任意の方法を使用して達成することができる。例えば、アラニンスキャニング変異導入技術を含む変異導入技術の説明について、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Champe M et al.,(1995) J Biol Chem 270:1388-1394およびCunningham BC & Wells JA(1989) Science 244:1081-1085を参照されたい。特定の実施形態では、抗原のエピトープは、アラニンスキャニング変異導入研究を使用して決定される。特定の実施形態では、抗原のエピトープは、質量分析と組み合わせた水素/重水素交換を使用して決定される。特定の実施形態では、抗原はペプチド-MHC複合体である。特定の実施形態では、抗原は、MHC分子によって提示されるペプチドである。
【0116】
本明細書で使用されるとき、「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語は、本明細書に記載の治療的または予防的手段を指す。いくつかの実施形態では、「治療」の方法は、疾患または障害を有する、またはそのような疾患または障害を有する素因を有する対象に対し、疾患もしくは障害または再発性の疾患もしくは障害を、予防、治癒、遅延、その重症度の軽減、またはその1つ以上の症状の改善のため、あるいは、そのような治療の非存在下で予想されるものを超えて対象の生存を延長するために、TCRまたはTCRを発現する細胞の投与を採用する。
【0117】
本明細書で使用されるとき、対象への療法の投与の文脈における「有効量」という用語は、所望の予防または治療効果を達成する療法の量を指す。
【0118】
本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。一実施形態では、対象はヒトまたは非ヒト哺乳動物である。一実施形態では、対象はヒトである。
【0119】
2つの配列(例えば、アミノ酸配列または核酸配列)間の「同一性パーセント」の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つの配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの特定の非限定的な例は、Karlin S & Altschul SF(1993) PNAS 90:5873-5877に記載されるように修正された、Karlin S & Altschul SF(1990) PNAS 87:2264-2268のアルゴリズムであり、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなアルゴリズムは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Altschul SF et al.,(1990) J Mol Biol 215:403のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれる。NBLASTヌクレオチドプログラムパラメーターセット、例えばスコア=100、ワード長=12でBLASTヌクレオチド検索を実施して、本明細書に記載の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。XBLASTヌクレオチドプログラムパラメーターセット、例えばスコア=50、ワード長=3でBLASTタンパク質検索を実施して、本明細書に記載のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較の目的でギャップ付きのアライメントを得るには、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Altschul SF et al.,(1997) Nuc Acids Res 25:3389-3402に記載されているように、ギャップ付きBLASTを利用できる。代替的に、PSI BLASTを使用して、分子間の遠い関係を検出する反復検索を実行できる。(同上)。BLAST、ギャップ付きBLAST、およびPSI Blastプログラムを利用するとき、それぞれのプログラム(XBLASTおよびNBLASTなど)のデフォルトパラメーターを使用できる(ワールドワイドウェブ、ncbi.nlm.nih.govのNational Center for Biotechnology Information(NCBI)を参照されたい)。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の特定の非限定的な例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Myers and Miller,1988,CABIOS 4:11-17,のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用するとき、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを使用できる。
【0120】
2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを許可するかどうかにかかわらず、上記と同様の手法を使用して決定できる。同一性パーセントの計算では、通常、完全一致のみが計数される。
【0121】
本明細書で使用されるとき、「エフェクター部分」という用語は、分子の自然な活性を増加または減少させるか、または分子に新規活性を付与する、分子の成分または官能基を指す。特定の実施形態では、エフェクター部分は結合部分である。一実施形態では、結合部分は細胞表面タンパク質に結合する。特定の実施形態では、結合部分は抗体である。
【0122】
本明細書で使用されるとき、「抗体」および「複数の抗体」という用語には、全長抗体、全長抗体の抗原結合フラグメント、および抗体のCDR、VH領域またはVL領域を含む分子が含まれる。抗体の例には、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖および2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、細胞内抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、抗体-薬物コンジュゲート、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体)、および上記のいずれかの抗原結合フラグメントが含まれる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、もしくはIgA2)、またはサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、IgG抗体、またはそのクラス(例えば、ヒトIgG1もしくはIgG4)またはそのサブクラスである。特定の実施形態では、抗体はヒト化モノクローナル抗体である。別の特定の実施形態では、抗体はヒトモノクローナル抗体である。
【0123】
5.2 T細胞受容体
一態様では、本開示は、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)のアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCRを提供する。特定の実施形態では、TCRは、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)のアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する。特定の実施形態では、TCRは、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)のアミノ酸配列からなるペプチドを含むペプチド-MHC複合体に結合する。特定の実施形態では、TCRは、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを含むペプチド-MHC複合体に特異的に結合する。一態様では、本開示は、主要組織適合性複合体(MHC)分子によって提示されるEPR[pS]PSHSM(配列番号45)に結合するTCRを提供する。一態様では、本開示は、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCRを提供する。例示的なTCRのアミノ酸配列は、本明細書の表1に示される。
【0124】
一態様では、本開示は、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)のアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCRを提供する。特定の実施形態では、TCRは、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)のアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する。特定の実施形態では、TCRは、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)のアミノ酸配列からなるペプチドを含むペプチド-MHC複合体に結合する。特定の実施形態では、TCRは、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを含むペプチド-MHC複合体に特異的に結合する。一態様では、本開示は、主要組織適合性複合体(MHC)分子によって提示されるRVR[pS]PTRSP(配列番号47)に結合するTCRを提供する。一態様では、本開示は、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCRを提供する。例示的なTCRのアミノ酸配列は、本明細書の表1に示される。
【0125】
【表1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
本明細書で開示されるTCRのCDRは、当該技術分野で認識されている任意の付番規則を使用して定義することができる。追加的または代替的に、CDRは、例えば、TCRと同族抗原(例えば、ペプチドまたはペプチド-MHC複合体)との相互作用の構造分析に基づいて経験的に定義できる。
【0131】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)、または配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、本明細書の表1に開示されたVαまたはVβのCDRのうちの1つ、2つ、または3つ全てを含み、CDRは、例えば、Lefranc M-P(1999)前出およびLefranc M-P et al.,(1999)前出に記載されるような、IMGT付番システムに従って定義される。
【0132】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)、または配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、本明細書の表1に開示されたVαまたはVβのCDRのうちの1つ、2つ、または3つ全てを含み、CDRは、例えば、Kabat前出に記載されるような、Kabat付番システムに従って定義される。
【0133】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)、または配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、本明細書の表1に開示されたVαまたはVβのCDRのうちの1つ、2つ、または3つ全てを含み、CDRは、例えば、TCRと同族抗原(例えば、ペプチド-MHC複合体)との相互作用の構造分析に基づいて経験的に決定される。
【0134】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に結合するTCR(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)、または配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、本明細書の表1に開示されたVαまたはVβのCDRのうちの1つ、2つ、または3つ全てを含み、各CDRは、IMGTまたはKabat付番システムに従って定義されるか、または例えばTCRと同族抗原(例えば、ペプチド-MHC複合体)との相互作用の構造分析に基づいて経験的に決定される。
【0135】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号1のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号2のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号86のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号87のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号3のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号4のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号88のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号89のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号5のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号6のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号106のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号107のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号7のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号8のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号7のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号108のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを含むVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを含むVβとを含み、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αは、それぞれ配列番号9のCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を含み、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ配列番号10のCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を含む。一実施形態では、各CDRは、IMGT付番システムに従って定義される。一実施形態では、各CDRは、Kabat付番システムに従って定義される。一実施形態では、各CDRは、例えば、TCRと同族抗原(例えば、ペプチドまたはペプチド-MHC複合体)との相互作用の構造分析に基づいて経験的に定義される。一実施形態では、各CDRは、IMGTまたはKabat付番システムに従って独立して定義されるか、または例えばTCRと同族抗原(例えばペプチド-MHC複合体)との相互作用の構造分析に基づいて経験的に決定される。
【0136】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR1α、および/または
(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR2α、および/または
(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR3α、および/または
(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR1β、および/または
(e)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR2β、および/または
(f)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR3β、を含む。
【0137】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR1α、および/または
(b)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR2α、および/または
(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3α、および/または
(d)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR1β、および/または
(e)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR2β、および/または
(f)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR3β、を含む。
【0138】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR1α、および/または
(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2α、および/または
(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR3α、および/または
(d)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR1β、および/または
(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2β、および/または
(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3β、を含む。
【0139】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR1α、および/または
(b)配列番号109のアミノ酸配列を含むCDR2α、および/または
(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR3α、および/または
(d)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR1β、および/または
(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2β、および/または
(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3β、を含む。
【0140】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR1α、および/または
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2α、および/または
(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR3α、および/または
(d)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR1β、および/または
(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR2β、および/または
(f)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR3β、を含む。
【0141】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR1α、および/または
(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2α、および/または
(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR3α、および/または
(d)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR1β、および/または
(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR2β、および/または
(f)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR3β、を含む。
【0142】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR3αおよび/または配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR3βを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3αおよび/または配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR3βを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR3αおよび/または配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3βを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR3αおよび/または配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR3βを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR3αおよび/または配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR3βを含む。
【0143】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号11、16、および21、12、17、および22、13、18、および23、13、109、および23、または14、19、および24に示されるCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を有するVαを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号11、16、および21に示されるCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を有するVαを含む。
【0144】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号26、31、および36、27、32、および37、28、33、および38、または29、34、および39に示されるCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を有するVβを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号26、31、および36に示されるCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を有するVβを含む。
【0145】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号15、20、および25に示されるCDR1α、CDR2α、およびCDR3αアミノ酸配列を有するVαを含む。
【0146】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号30、35、および40に示されるCDR1β、CDR2β、およびCDR3βアミノ酸配列を有するVβを含む。
【0147】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを有するVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを有するVβと、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ、配列番号11、16、21、26、31、および36、12、17、22、27、32、および37、13、18、23、28、33、および38、13、109、23、28、33、および38、または14、19、24、29、34、および39に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを有するVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを有するVβと、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ、配列番号11、16、21、26、31、および36に示されるアミノ酸配列を含む。
【0148】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、CDR1α、CDR2α、およびCDR3αを有するVαと、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βを有するVβと、を含み、CDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、およびCDR3βは、それぞれ、配列番号15、20、25、30、35、および40に示されるアミノ酸配列を含む。
【0149】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号1、3、5、7、86、88、または106に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVαを含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号1、3、5、7、86、88、または106に示されるアミノ酸配列を有するVαを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号86に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVαを含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号86に示されるアミノ酸配列を有するVαを含む。
【0150】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号2、4、6、8、87、89、107、または108に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVβを含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号2、4、6、8、87、89、107、または108に示されるアミノ酸配列を有するVβを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号87に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVβを含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号87に示されるアミノ酸配列を有するVβを含む。
【0151】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVαを含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するVαを含む。
【0152】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVβを含む。特定の実施形態では、TCRは、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するVβを含む。
【0153】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、配列番号1、3、5、7、86、88、または106に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVαと、配列番号2、4、6、8、87、89、107、または108に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVβと、を含む。特定の実施形態では、TCRは、それぞれ配列番号1および2、3および4、5および6、7および8、86および87、88および89、106および107、7および108に示されるアミノ酸配列を含むVαおよびVβを含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、配列番号86に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVαと、配列番号87に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVβと、を含む。特定の実施形態では、TCRは、それぞれ配列番号86および87に示されるアミノ酸配列を含むVαおよびVβを含む。
【0154】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRは、配列番号9に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVαと、配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を有するVβと、を含む。特定の実施形態では、TCRは、それぞれ配列番号9および10に示されるアミノ酸配列を含むVαおよびVβを含む。
【0155】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRAV27生殖系列配列(例えば、配列番号73のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRAV27生殖系列配列(例えば、配列番号73のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αは全て、ヒトTRAV27生殖系列配列(例えば、配列番号73のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRAV27生殖系列配列(例えば、配列番号73のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαと、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有するCDR3αと、を含む。
【0156】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRBV27生殖系列配列(例えば、配列番号74のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRBV27生殖系列配列(例えば、配列番号74のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βは全て、ヒトTRBV27生殖系列配列(例えば、配列番号74のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRBV27生殖系列配列(例えば、配列番号74のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβと、配列番号36に示されるアミノ酸配列を有するCDR3βと、を含む。
【0157】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRAV10生殖系列配列(例えば、配列番号75のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRAV10生殖系列配列(例えば、配列番号75のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αは全て、ヒトTRAV10生殖系列配列(例えば、配列番号75のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRAV10生殖系列配列(例えば、配列番号75のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαと、配列番号22に示されるアミノ酸配列を有するCDR3αと、を含む。
【0158】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRBV12-3生殖系列配列(例えば、配列番号76のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRBV12-3生殖系列配列(例えば、配列番号76のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βは全て、ヒトTRBV12-3生殖系列配列(例えば、配列番号76のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRBV12-3生殖系列配列(例えば、配列番号76のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβと、配列番号37に示されるアミノ酸配列を有するCDR3βと、を含む。
【0159】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRAV8-4生殖系列配列(例えば、配列番号77のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRAV8-4生殖系列配列(例えば、配列番号77のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αは全て、ヒトTRAV8-4生殖系列配列(例えば、配列番号77のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRAV8-4生殖系列配列(例えば、配列番号77のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαと、配列番号23に示されるアミノ酸配列を有するCDR3αと、を含む。
【0160】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRBV9生殖系列配列(例えば、配列番号78のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRBV9生殖系列配列(例えば、配列番号78のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βは全て、ヒトTRBV9生殖系列配列(例えば、配列番号78のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRBV9生殖系列配列(例えば、配列番号78のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβと、配列番号38に示されるアミノ酸配列を有するCDR3βと、を含む。
【0161】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRAV20生殖系列配列(例えば、配列番号79のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRAV20生殖系列配列(例えば、配列番号79のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αは全て、ヒトTRAV20生殖系列配列(例えば、配列番号79のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRAV20生殖系列配列(例えば、配列番号79のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαと、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するCDR3αと、を含む。
【0162】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRBV7-9生殖系列配列(例えば、配列番号80のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRBV7-9生殖系列配列(例えば、配列番号80のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βは全て、ヒトTRBV7-9生殖系列配列(例えば、配列番号80のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRBV7-9生殖系列配列(例えば、配列番号80のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβと、配列番号39に示されるアミノ酸配列を有するCDR3βと、を含む。
【0163】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRAV21生殖系列配列(例えば、配列番号81のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRAV21生殖系列配列(例えば、配列番号81のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1α、およびCDR2αは全て、ヒトTRAV21生殖系列配列(例えば、配列番号81のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRAV21生殖系列配列(例えば、配列番号81のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVαと、配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するCDR3αと、を含む。
【0164】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはTRBV5-1生殖系列配列(例えば、配列番号82のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβを含む。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βから選択される1つ以上の領域(例えば、これらの領域の2つ、3つ、4つ、または5つ)は、ヒトTRBV5-1生殖系列配列(例えば、配列番号82のアミノ酸配列を含む)に由来し得る。特定の実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDR1β、およびCDR2βは全て、ヒトTRBV5-1生殖系列配列(例えば、配列番号82のアミノ酸配列を含む)に由来する。特定の実施形態では、TCRは、ヒトTRBV5-1生殖系列配列(例えば、配列番号82のアミノ酸配列を含む)に由来するアミノ酸配列を有するVβと、配列番号40に示されるアミノ酸配列を有するCDR3βと、を含む。
【0165】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号249および250、251および252、253および254、255および256、または257および258に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号249および250、251および252、253および254、255および256、または257および258に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0166】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号58および59に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号58および60に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖およびβ鎖は、それぞれ配列番号236および237に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、α鎖は、配列番号58、236、259、260、272、および261からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、β鎖は、それぞれ配列番号59、237、262、263、264、273、および60からなる群から選択されるアミノ酸配列をさらに含む。
【0167】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号61および62に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号61および63に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0168】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号64および65に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号64および66に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0169】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号67および68に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号67および69に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0170】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号70および71に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、本開示は、配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合するTCR(例えば、単離されたTCR)(例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702複合体に結合するTCR)を提供し、TCRはそれぞれ、配列番号70および72に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPG(配列番号93)のアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含むか、またはβ鎖はC末端にGSのアミノ酸配列をさらに含む。特定の実施形態では、α鎖は、C末端にGSのアミノ酸配列をさらに含み、およびβ鎖は、C末端にGSGATNFSLLKQAGDVEENPGのアミノ酸配列(配列番号93)をさらに含む。
【0171】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、上述のTCRのように、配列番号45または47に示されるアミノ酸配列を含むペプチドの同一のエピトープ(例えば、同じアミノ酸残基)に結合するTCRである。特定の実施形態では、ペプチドは、上述のように、MHCと複合体を形成している(例えば、HLA-B*0702)。特定の実施形態では、TCRは、in vivoで動物または哺乳動物(例えば、ヒト)のTCR生殖系列レパートリー内に天然に存在しない配列を含む。
【0172】
一態様では、本明細書に提供されるのは、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびiv)配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドのうちの1つ、2つ、3つ、または4つ全てに結合するTCRである。一実施形態では、TCRは、例えば、フローサイトメトリーまたはBiacore分析において測定されるとき、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号49、50、52、53、54、55、もしくは57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはiii)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはiv)それらの任意の組み合わせに結合しないか、または実質的に結合しない。一実施形態では、TCRは、例えば、フローサイトメトリーまたはBiacore分析において測定されるとき、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号49に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号50に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号52に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号55に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびix)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドに結合しないか、または実質的に結合しない。一実施形態では、TCRと、配列番号46、49、50、52、53、54、55、57、または47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドとの間の結合は、例えば、フローサイトメトリーまたはBiacore分析において測定されるとき、TCRと、配列番号45、51、56、117、128、135、192、または233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドとの間の結合と比較して実質的に弱められている(例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%弱められる)。
【0173】
一態様では、本明細書で提供されるのは、TCRがT細胞の表面で発現する場合、例えば、IL-2-(NFAT)3-EGFPレポーターコンストラクトを使用して測定されるとき、T細胞が、i)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞と共培養されるとき、ii)配列番号51に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞と共培養されるとき、iii)配列番号56に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞と共培養されるとき、または配列番号117、128、135、192、および233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞と共培養されるとき、またはv)それらの任意の組み合わせのときに、活性化されるTCRである。一実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、例えば、IL-2-(NFAT)3-EGFPレポーターコンストラクトを使用して測定されるとき、T細胞が、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞と共培養されるとき、ii)配列番号49、50、52、53、54、55、もしくは57に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞と共培養されるとき、またはiii)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞と共培養されるとき、またはiv)それらの任意の組み合わせのときに、活性化されないか、または実質的に活性化されない。一実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、例えば、IL-2-(NFAT)3-EGFPレポーターコンストラクトを使用して測定されるとき、T細胞が、i)配列番号46に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、ii)配列番号49に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iii)配列番号50に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、iv)配列番号52に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、v)配列番号53に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vi)配列番号54に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、vii)配列番号55に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、viii)配列番号57に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、およびix)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、のうちのいずれかを提示する第2の細胞と共培養されるとき、活性化されないか、または実質的に活性化されない。一実施形態では、TCRがT細胞の表面で発現する場合、TCRがT細胞の表面で発現する場合、T細胞を配列番号46、49、50、52、53、54、55、57、または47に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第2の細胞と共培養するときに、T細胞の活性化は、例えば、(a)IL-2-(NFAT)3-EGFPレポーターコンストラクトを含むT細胞で試験TCRを発現する、(b)HLA-B*0702陽性T2細胞(「T2-B7細胞」)に第1のペプチドまたは第2のペプチドでパルスする、(c)TCR発現T細胞をペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞と1:2の比率で37℃、10%CO2で16時間共培養する、(d)フローサイトメトリーを使用してTCRおよびEGFPの発現を分析する、(e)TCR+EGFP+細胞のパーセンテージを決定する、(f)TCR+EGFP+細胞のそれぞれのパーセンテージに基づいて、第2のペプチドを提示するT2-B7ターゲット細胞と共培養するときと比較して、第1のペプチドを提示するT2-B7ターゲット細胞と共培養するときのT細胞の活性化の減少を決定する、のステップを含むアッセイによって測定されるとき、T細胞を配列番号45、51、56、117、128、135、192、または233に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを提示する第3の細胞と共培養するときのT細胞の活性化と比較して、実質的に弱められる(例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%弱められる)。
【0174】
任意の種由来の任意のTCR定常領域を、本明細書で開示されるTCRにおいて使用することができる。特定の実施形態では、TCRは、ヒトα、β、γ、またはδTCR定常領域を含む。特定の実施形態では、TCRは野生型定常領域を含む。特定の実施形態では、TCRは、野生型定常領域と比較して、キメラ定常領域または1つ以上のアミノ酸置換、挿入、または欠失を含む定常領域などの改変された定常領域を含む。いくつかの実施形態では、TCRは、配列番号41のα鎖定常領域を含むα鎖を含む。いくつかの実施形態では、TCRは、配列番号42のα鎖定常領域を含むα鎖を含む。いくつかの実施形態では、TCRは、配列番号43または44のβ鎖定常領域を含むβ鎖を含む。特定の実施形態では、TCRはマウスTCR定常領域を含む。特定の実施形態では、TCRは野生型マウス定常領域を含む。特定の実施形態では、TCRは、野生型マウス定常領域と比較して、キメラ定常領域または1つ以上のアミノ酸置換、挿入、または欠失を含む定常領域などの改変されたマウス定常領域を含む。いくつかの実施形態では、TCRは、配列番号247のα鎖定常領域を含むα鎖を含む。いくつかの実施形態では、TCRは、配列番号248のβ鎖定常領域を含むβ鎖を含む。
【0175】
本明細書で開示されるTCRは、任意のTCR構造形式で使用することができる。例えば、特定の実施形態では、TCRは、全長α鎖および全長β鎖を含む全長TCRである。膜貫通領域(および必要に応じて細胞質領域も)を全長TCRから除去して、可溶性TCRを生成することができる。したがって、特定の実施形態では、TCRは、膜貫通および/または細胞質領域を欠く可溶性TCRである。可溶性TCRを生成する方法は、当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、可溶性TCRは、二量体化を促進する改変されたジスルフィド結合を含み、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,329,731号を参照されたい。いくつかの実施形態では、可溶性TCRは、本明細書に記載のTCRの細胞外ドメインを他のタンパク質ドメイン、例えばマルトース結合タンパク質、チオレドキシン、ヒト定常カッパドメイン、またはロイシンジッパーに融合することにより生成され、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Loset et al.,Front Oncol.2014;4:378を参照されたい。ペプチドリンカーによって連結されたVαおよびVβを含む単鎖TCR(scTCR)も生成され得る。そのようなscTCRは、それぞれTCR定常領域に連結されたVαおよびVβを含むことができる。代替的に、scTCRはVαおよびVβを含むことができ、Vα、Vβのいずれか、またはVαとVβの両方がTCR定常領域に連結されていない。例示的なscTCRは、PCT公開WO2003/020763、WO2004/033685、およびWO2011/044186に記載されており、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書に開示されるTCRは、鎖間ジスルフィド結合を形成できるシステイン残基を鎖がそれぞれ有するように改変された2つのポリペプチド鎖(例えば、α鎖およびβ鎖)を含むことができる。したがって、特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、改変されたジスルフィド結合により連結された2つのポリペプチド鎖を含む。改変されたジスルフィド結合を有する例示的なTCRは、米国特許第8,361,794号および同第8,906,383号に記載されており、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0176】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、膜貫通領域を有する1つ以上の鎖(例えば、α鎖および/またはβ鎖)を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、膜貫通領域を有する2つの鎖(例えば、α鎖およびβ鎖)を含む。膜貫通領域は、そのTCR鎖の内因性膜貫通領域、内因性膜貫通領域のバリアント、または異種膜貫通領域であり得る。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、内因性膜貫通領域を有するα鎖およびβ鎖を含む。
【0177】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、細胞質領域を有する1つ以上の鎖(例えば、α鎖および/またはβ鎖)を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、それぞれ細胞質領域を有する2つの鎖(例えば、α鎖およびβ鎖)を含む。細胞質領域は、そのTCR鎖の内因性細胞質領域、内因性細胞質領域のバリアント、または異種細胞質領域であり得る。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、両方の鎖が膜貫通領域を有するが1つの鎖が細胞質領域を欠く2つの鎖(例えば、α鎖およびβ鎖)を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、両方の鎖が内因性膜貫通領域を有するが内因性細胞質領域を欠く2つの鎖(例えば、α鎖およびβ鎖)を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、両方の鎖が内因性膜貫通領域を有するが内因性細胞質領域を欠くα鎖およびβ鎖を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCRは、共刺激分子からの共刺激シグナル伝達領域を含み、例えば、その全ての全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開番号WO1996/018105、WO1999/057268、およびWO2000/031239、ならびに米国特許第7,052,906号を参照されたい。
【0178】
特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRは、配列番号45または47に示されるアミノ酸配列を有するペプチドを含むペプチド-MHC複合体に結合し、MHCは任意のMHCであり得る。特定の実施形態では、MHCはヒトMHCである。特定の実施形態では、MHCは、MHCクラスI重鎖(例えば、任意の多型形態の任意のサブタイプを含むHLA-A、HLA-B、またはHLA-C)およびβ2-ミクログロブリン軽鎖を含むMHCクラスI分子である。特定の実施形態では、MHCはHLA-B*0702である。特定の実施形態では、ペプチド-MHC複合体は、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702である。特定の実施形態では、ペプチド-MHC複合体はRVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702である。特定の実施形態では、MHCは、MHCクラスIIα鎖(例えば、任意の多型形態の任意のサブタイプを含む、HLA-DR、HLA-DQ、またはHLA-DPのα鎖)およびMHCクラスIIβ鎖(例えば、任意の多型形態の任意のサブタイプを含む、HLA-DR、HLA-DQ、またはHLA-DPのβ鎖)を含むMHCクラスII分子である。特定の実施形態では、MHCクラスIIα鎖およびMHCクラスIIβ鎖は同一のタイプ(例えば、HLA-DR、HLA-DQ、またはHLA-DP)に由来する。
【0179】
特定の実施形態では、本開示は、一緒に融合されたTCRのα鎖可変領域(Vα)およびβ鎖可変領域(Vβ)を含むポリペプチドを提供する。例えば、そのようなポリペプチドは、VαとVβ、またはVβとVαを順番に含み、必要に応じて2つの領域の間にリンカー(例えばペプチドリンカー)を含むことができる。例えば、フューリンおよび/または2A切断部位(例えば、表7の配列の1つ)、またはそれらの組み合わせを、Vα/Vβ融合ポリペプチドのリンカーにおいて使用することができる。
【0180】
特定の実施形態では、本開示は、一緒に融合されたTCRのα鎖およびβ鎖を含むポリペプチドを提供する。例えば、そのようなポリペプチドは、α鎖とβ鎖、またはβ鎖とα鎖を順番に含み、必要に応じて2つの鎖の間にリンカー(例えばペプチドリンカー)を含むことができる。例えば、フューリンおよび/または2A切断部位(例えば、表7の配列の1つ)、またはそれらの組み合わせを、α/β融合ポリペプチドのリンカーにおいて使用することができる。例えば、融合ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのα鎖、フューリン切断部位、2A切断部位、およびTCRのβ鎖を含み得る。TCR0078の場合の例示的なα鎖-フューリン-P2A-β鎖融合TCR配列には、配列番号268および269が含まれる。特定の実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのβ鎖、フューリン切断部位、2Aエレメント、およびTCRのα鎖を含む。例示的なβ鎖-フューリン-P2A-α鎖融合TCR配列には、配列番号265(TCR0080の場合)、266(TCR0078の場合)、および267(TCR0078の場合)が含まれる。特定の実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのα鎖、2A切断部位、およびTCRのβ鎖を含む。TCR0078の場合の例示的なα鎖-P2A-β鎖融合TCR配列には、配列番号270および271が含まれる。特定の実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのβ鎖、2Aエレメント、およびTCRのα鎖を含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのα鎖、フューリン切断部位、およびTCRのβ鎖を含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのβ鎖、フューリンエレメント、およびTCRのα鎖を含む。例示的なβ鎖-P2A-α鎖融合TCR配列には、配列番号83(TCR0078の場合)、91(TCR0080の場合)、および92(TCR0086の場合)が含まれる。
【0181】
5.3 T細胞受容体を提示する細胞
別の態様では、本開示は、細胞表面上に本明細書に開示されるTCRを提示する哺乳動物細胞(例えば、改変された哺乳動物細胞)またはその集団を提供する。本明細書に開示されるTCRを提示するために、任意の哺乳動物細胞を使用することができる。特定の実施形態では、哺乳動物細胞はCD3(例えば、CD3γ鎖、CD3δ鎖、および2つのCD3ε鎖)を発現する。特定の実施形態では、哺乳動物細胞はヒト細胞である。細胞免疫系のエフェクター細胞は、細胞表面TCRがこれらのエフェクター細胞をMLLポリペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を発現する腫瘍細胞に誘導することができ、これにより腫瘍細胞の殺傷が促進されるので、本明細書に開示されるTCRを提示するのに特に有用である。したがって、特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞などのリンパ球(例えば、ヒトリンパ球)である。特定の実施形態では、リンパ球はT細胞である。任意の発生段階の任意のT細胞を使用して、本明細書に開示されるTCRを提示することができる。例えば、特定の実施形態では、T細胞は、CD8+細胞傷害性T細胞、CD4+細胞傷害性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞(例えば、Th1またはTh2細胞)、CD4/CD8二重陽性T細胞、腫瘍浸潤T細胞、胸腺細胞、メモリーT細胞、ナイーブT細胞、およびナチュラルキラーT細胞、例えばインバリアントナチュラルキラーT細胞からなる群から選択される。細胞免疫系の前駆細胞(例えば、Tリンパ球の前駆細胞)も、エフェクター細胞に分化、発達、または成熟する可能性があるため、本明細書に開示されるTCRの提示に有用である。したがって、特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、多能性幹細胞(例えば、胚性幹細胞、誘導多能性幹細胞)、造血幹細胞、またはリンパ球前駆細胞である。特定の実施形態では、造血幹細胞またはリンパ球前駆細胞は、例えば、骨髄、臍帯血、または末梢血から単離および/または濃縮される。
【0182】
細胞は、腫瘍、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または別の組織もしくは体液、またはアフェレーシス製品を含むが、これらに限定されない多数の供給源から取得できる。特定の実施形態では、細胞は、対象に機能性T細胞を残す治療の直後に患者から得られる。この点に関し、特定のがん治療後、特に、免疫系を損傷する薬物による特定の治療に続いて、患者が通常治療から回復する期間中に治療直後に、得られるT細胞の質は、ex vivoで増殖する能力に関して最適であるか、または改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載される方法を使用したex vivo操作に続いて、これらの細胞は、強化された生着およびin vivo増殖のための好ましい状態であり得る。したがって、特定の実施形態では、細胞は、この回復段階の間に、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または別の組織もしくは体液、またはアフェレーシス製品から収集される。
【0183】
特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、細胞表面上に本明細書に開示されるTCRを提示する細胞の集団である。細胞の集団は、不均一でも均一でもよい。特定の実施形態では、集団のうちの少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%、または99.9%)が本明細書に記載の細胞である。特定の実施形態では、集団は実質的に純粋であり、集団の少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%、または99.9%)が均一である。特定の実施形態では、集団は不均一であり、細胞の混合集団を含む(例えば、細胞は、異なる細胞型、発達段階、起源を有し、異なる方法により単離、精製、または濃縮され、異なる薬剤で刺激され、および/またはさまざまな方法で改変されている)。特定の実施形態では、細胞は、末梢血単核球(PBMC)(例えば、ヒトPBMC)の集団である。
【0184】
必要に応じて、細胞の集団を濃縮または精製できる。特定の実施形態では、例えば、ビーズ、粒子、または細胞などの表面に結合した抗CD25抗体を使用することにより、制御性T細胞(例えば、CD25+T細胞)を集団から枯渇させる。特定の実施形態では、抗CD25抗体は、蛍光色素にコンジュゲートされる(例えば、蛍光標識細胞分取で使用するため)。特定の実施形態では、チェックポイント受容体(例えば、CTLA-4、PD-1、TIM-3、LAG-3、TIGIT、VISTA、BTLA、TIGIT、CD137、またはCEACAM1)を発現する細胞を、例えば、ビーズ、粒子、細胞などの表面に結合したチェックポイント受容体に特異的に結合する抗体を使用することにより、集団から枯渇させる。特定の実施形態では、T細胞集団は、IFNγ、TNFα、IL-17A、IL-2、IL-3、IL-4、GM-CSF、IL-13、グランザイム(例えば、グランザイムB)、およびパーフォリン、または他の適切な分子、例えば他のサイトカインのうちの1つ以上を発現するように選択することができる。そのような発現を判定する方法は、例えば、PCT公開番号:WO2013/126712に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
細胞をex vivoで刺激して、生存率、増殖、および/または活性を高めることができる。いくつかの実施形態では、誘導は規定の抗原をまったく含まず、したがって抗原反応性に関してポリクローナルである細胞集団を提供する。特定の実施形態では、細胞は、TCR/CD3複合体関連シグナル(例えば、抗CD3抗体)を誘導または活性化する第1の薬剤と接触させられる。特定の実施形態では、細胞は、T細胞表面上のアクセサリー分子(例えば、CD28のリガンドまたは抗CD28抗体)を刺激する第2の薬剤と接触させられる。特定の実施形態では、細胞は、CD3とCD28の両方と相互作用する分子または複合体と接触し、分子または複合体は表面(例えば、ビーズ、粒子、または細胞)上に提示され得る。特定の実施形態では、細胞は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を提示する表面(例えば、ビーズ、粒子、または細胞)と接触させられる。特定の実施形態では、細胞は、細胞表面受容体に結合してT細胞の生存率、増殖、および/または活性を増加させる1つ以上の薬剤(例えば、IL-2またはIL-7)と接触させられる。特定の実施形態では、細胞をフィトヘマグルチニンと接触させる。特定の実施形態では、細胞を、Ca2+放出などの1つ以上の細胞内シグナルを刺激する薬剤(例えば、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセテートおよび/またはイオノマイシン)と接触させる。代替的に、誘導は、提示されたTCRに結合するペプチド(例えば、MLLポリペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド))を含む抗原を含んでもよく、したがって、抗原反応性に関して濃縮された(例えば、モノクローナル)細胞集団を提供する。抗原は、ペプチドと複合体を形成したMHC分子(例えばHLA分子)をさらに含んでもよい。抗原は、可溶性形態として提示されるか、膜に結合されるか、または表面に提示され得る。上述の薬剤は、任意の組み合わせで使用することができ、エフェクター細胞またはその前駆体と同時または逐次的に接触させることができる。細胞が増加した生存率、増殖、および/または活性の状態にとどまり得る間に、接触を終了することができる。長期間にわたるT細胞の持続的な増殖により、元のT細胞集団と比較して数倍増加した細胞数をもたらす可能性がある。いくつかの実施形態では、生物エネルギー燃料源の提供を通じて代謝適合性を促進するために活性化を実施することができ、これにより、最適な生物活性および生存のためにT細胞の調整が可能になる。
【0186】
特定の実施形態では、哺乳動物細胞(例えば、リンパ球)は、細胞に導入された導入遺伝子から本明細書に開示されるTCRを発現し、細胞表面にTCRを提示する。TCRは、細胞表面に構成的に提示される。代替的に、細胞は、TCRの条件付き発現および/または提示が可能であってもよい。例えば、TCRの発現または提示は、外因性の刺激または細胞の分化によって誘導される。特定の実施形態では、導入遺伝子は、TCRα鎖および/またはβ鎖、またはその断片(例えば、Vα、Vβ、CDR3αおよび/またはCDR3β)をコードする。特定の実施形態では、導入遺伝子は、外因性の転写および/または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、および/またはコザック配列)に作動可能に連結されている。特定の実施形態では、導入遺伝子は、その天然のゲノム遺伝子座ではなく、内因性の転写および/または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、および/またはコザック配列)に作動可能に連結される(例えば、ベクターによって導入される)。特定の実施形態では、導入遺伝子は、その天然ゲノム遺伝子座で内因性の転写および/または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、および/またはコザック配列)に作動可能に連結される(例えば、導入遺伝子を天然ゲノム遺伝子座に挿入することにより)。
【0187】
特定の実施形態では、導入遺伝子は、宿主細胞ゲノムに組み込まれたDNAであり、この組み込みは、部位特異的組み込み(例えば、相同組換え)またはDNAのランダム挿入により生じる。特定の実施形態では、導入遺伝子は、宿主細胞ゲノムに組み込まれていないDNAである(例えば、非組み込みウイルスゲノムとしてまたはエピソームDNAとして維持される)。特定の実施形態では、導入遺伝子は、本明細書に開示されるTCRを発現するために転写および/または翻訳され得るポリヌクレオチド(DNA、RNA、修飾DNA、および修飾RNAを含むがこれらに限定されない)である。特定の実施形態では、導入遺伝子は、5’末端にキャップおよび/または3’末端にポリ(A)テールを有するRNAであり、キャップおよびポリ(A)テールは、リボソーム結合、翻訳の開始、および細胞内のRNAの安定性を調節し得る。
【0188】
特定の実施形態では、導入遺伝子は第1および第2の配列を含み、第1の配列は、TCRα鎖またはその断片(例えば、VαまたはCDR3α)を含むポリペプチドをコードし、第2の配列はTCRβ鎖またはその断片(例えば、VβまたはCDR3β)を含むポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、第1および第2の配列はそれぞれ、転写および/または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、および/またはコザック配列)に作動可能に連結されている。特定の実施形態では、第1および第2の配列は、異なるポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、修飾DNA、または修飾RNA)分子内にある。特定の実施形態では、導入遺伝子の第1および第2の配列は、同一のポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、修飾DNA、または修飾RNA)分子内にある。特定の実施形態では、第1および第2の配列は、2つの別個のポリペプチドの生成を促進するリンカー配列(例えば、配列内リボソーム進入部位(IRES)、自己切断ペプチド(例えば、2Aペプチド)、または細胞内または細胞外プロテアーゼによって認識されるペプチド配列)によって作動可能に連結される。特定の実施形態では、第1および第2の配列は、独立して転写および/または翻訳され得る。特定の実施形態では、第1および第2の配列はそれぞれ宿主細胞ゲノムに組み込まれる。特定の実施形態では、第1および第2の配列はそれぞれ、宿主細胞ゲノムの異なる領域に組み込まれる。
【0189】
代替的に、特定の実施形態では、細胞はTCRを発現しないが、代わりにTCRは化学的手段またはTCRの細胞表面抗原への結合によって細胞の外側表面に付着する。したがって、特定の実施形態では、TCRは細胞表面抗原に結合する結合部分に連結している。任意のタイプの結合部分を、本明細書に開示されているTCRに(共有結合または非共有結合で)連結させることができる。特定の実施形態では、TCRは、細胞の細胞表面抗原(例えば、リンパ球)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントに(化学的または遺伝的に)融合される。
【0190】
特定の実施形態では、細胞は、細胞死を誘導することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、多量体化(例えば、二量体化またはオリゴマー化)領域および細胞死誘導領域を含むキメラポリペプチドであり、細胞死誘導領域は多量体化により活性化される。特定の実施形態では、細胞死誘導領域は、プロテアーゼ活性を有するカスパーゼ(例えば、カスパーゼ-9)の配列を含む。特定の実施形態では、細胞死誘導領域は、全長ヒトカスパーゼ-9ポリペプチドを含む。特定の実施形態では、細胞死誘導領域は、切断型ヒトカスパーゼ-9ポリペプチド(例えば、カスパーゼ-9のCARDドメインが欠失している)を含む。
【0191】
特定の実施形態では、細胞は、T細胞活性化を誘導することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開番号WO2015/123527に記載されているように、誘導性キメラ刺激分子である。特定の実施形態では、ポリペプチドは多量体化(例えば、二量体化またはオリゴマー化)領域を含み、ポリペプチドは多量体化時にT細胞活性化を誘導する。
【0192】
例えば、細胞死を誘導可能なポリペプチドまたはT細胞活性化を誘導可能なポリペプチドに存在する多量体化領域は、リガンド(例えば、合成リガンド)への結合時に多量体化するリガンド結合ドメインを含むことができる。リガンドは2つ以上の結合部位を有してもよく、各結合部位はキメラポリペプチドのリガンド結合ドメインに結合することができる。特定の実施形態では、リガンドは2つの結合部位を有し、キメラポリペプチドの二量体化を誘導することができる。さまざまな合成リガンドおよび対応するリガンド結合ドメインを使用することができる。例えば、多量体(例えば、二量体)FK506を使用して、FK506結合タンパク質(FKBP;例えば、FKBP12またはそのバリアント)を多量体化することができ、多量体(例えば、二量体)シクロスポリンAを使用して、シクロフィリン受容体を多量体化することができ、多量体(例えば、二量体)エストロゲンを使用して、エストロゲン受容体を多量体化することができ、多量体(例えば、二量体)グルココルチコイドを使用して、グルココルチコイド受容体を多量体化することができ、多量体(例えば、二量体)テトラサイクリンを使用して、テトラサイクリン受容体を多量体化することができ、多量体(例えば、二量体)ビタミンDを使用して、ビタミンD受容体を多量体化することができる。リガンド結合ドメインは、コンストラクトの性質とリガンドの選択に応じて、細胞膜の内部または外部に存在し得る。リガンドおよび対応するリガンド結合ドメインの非限定的な例は、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,089,520号;Kopytek,S.J.,et al.,Chemistry & Biology 7:313-321(2000);Gestwicki,J.E.,et al.,CombinatorialChem.& High Throughput Screening 10:667-675(2007);Clackson T Chem Biol Drug Des 67:440-2(2006);およびSchreiber,et al.,Chemical Biology From Small Molecules to Systems Biology and Drug Design(Wiley,2007)に記載されている。
【0193】
特定の実施形態では、細胞死を誘導できるポリペプチドは、FKBP12ポリペプチドおよび完全長または切断型カスパーゼ-9(例えば、ヒトカスパーゼ-9)ポリペプチドを含むキメラポリペプチドである。特定の実施形態では、FKBP12ポリペプチドは36位にバリンを含む。特定の実施形態では、FKBP12ポリペプチドは、配列番号94に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、FKBP12多量体化を誘導することができるリガンドは、AP1903(CAS登録番号:195514-63-7、分子式:C78H98N4O20、分子量:1411.65)である。特定の実施形態では、リガンドはAP20187またはAP20187類似体(例えばAP1510)である。特定の実施形態では、カスパーゼ-9ポリペプチドは、配列番号95に示されるアミノ酸配列を含む。
【0194】
【0195】
特定の実施形態では、細胞死を誘導できるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、転写および/または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、および/またはコザック配列)に作動可能に連結される。ポリヌクレオチドは、宿主細胞ゲノムに組み込まれ得る。代替的に、ポリヌクレオチドは、非組み込みウイルスゲノムとして、またはエピソームDNAとして維持されてもよい。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、2つの別個のポリペプチドの生成を促進するリンカー配列(例えば、配列内リボソーム進入部位(IRES)、自己切断ペプチド(例えば、2Aペプチド)、または細胞内または細胞外プロテアーゼによって認識されるペプチド配列)によって、TCRをコードする第1および/または第2の配列に作動可能に連結される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、第1および/または第2の配列から独立して転写および/または翻訳される。
【0196】
特定の実施形態では、細胞は溶液で提供される。特定の実施形態では、細胞は、約-80℃以下で凍結保存される(例えば、液体窒素貯蔵タンク内)。凍結保存の方法は、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,580,714号および同第6,740,484号に記載されているように、当該技術分野で周知である。凍結保存された細胞は、解凍により回復することができ、上述のようなTCRの単離、精製、濃縮、刺激、および提示のいずれかが、凍結保存の前または回復後に行われ得る。
【0197】
5.4 使用方法
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞(例えば、異種および/または組換え核酸を含む細胞)、または医薬組成物を使用して対象を治療する方法を提供する。TCRのMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)への標的化から利益を得るであろう対象のいずれかの疾患または障害は、本明細書に開示されるTCRを強い王して治療できる。本明細書に開示されるTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、および医薬組成物は、MLLペプチド(例えば、MLLペプチドを含むペプチド-MHC複合体、例えばMLLホスホペプチドを含むペプチド-MHC複合体、例えば、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702またはRVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702)を提示する腫瘍に対する免疫を誘導するのに特に有用であり、したがって、MLL陽性がん(例えば、MLLホスホペプチド陽性がん)を有する対象に対する免疫療法として使用できる。例えば、特定の実施形態では、本開示は、対象において、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)に応答して細胞性免疫を誘導する方法を提供し、方法は、本明細書に記載の有効量のTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物を対象に投与することを含む。特定の実施形態では、本開示は、対象においてがんを治療する方法を提供し、方法は、有効量の本明細書に開示されるような、TCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0198】
特定の実施形態では、方法は、本明細書に開示されるような有効量の細胞またはその集団を対象に投与することを含む。特定の実施形態では、細胞は、細胞表面上に本明細書に開示されるようなTCRを構成的に提示するように改変される。特定の実施形態では、細胞は、誘導事象に応答して細胞表面上に本明細書に開示されるようなTCRを条件的に提示するように改変される。この誘導事象は、細胞の投与の前、同時、または後に投与された外因性物質による刺激のいずれかであり得る。追加または代替として、誘導事象は、対象の細胞、組織、または病変による刺激であり得る。
【0199】
特定の実施形態では、細胞は、リガンド結合多量体化(例えば、二量体化またはオリゴマー化)領域および細胞死誘導領域を含むキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、方法は、多量体化領域のリガンドを投与するステップをさらに含む。特定の実施形態では、キメラポリペプチドは、FKBP12ポリペプチドおよびカスパーゼ-9(例えば、ヒトカスパーゼ-9)ポリペプチドを含み、方法は、FKBP12リガンド(例えば、AP1903)を投与するステップをさらに含む。特定の実施形態では、FKBP12リガンドは、疾患の改善の兆候(例えば、がんの縮小、がんマーカーの減少、および/またはがん症状の改善)を観察した後、または耐容できない副作用(例えば、高レベルの炎症性サイトカイン、および/または宿主による投与細胞の拒絶)を同定した後に投与される。
【0200】
上記で開示したように、対象に投与される細胞は自家または同種であり得る。特定の実施形態では、自己細胞は、がん治療の直後の患者から得られる。この点に関し、特定のがん治療後、特に、免疫系を損傷する薬物による特定の治療に続いて、患者が通常治療から回復する期間中に治療直後に、得られるT細胞の質は、ex vivoで増殖する能力に関して最適であるか、または改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載される方法を使用したex vivo操作に続いて、これらの細胞は、強化された生着およびin vivo増殖のための好ましい状態であり得る。したがって、特定の実施形態では、細胞は、この回復段階の間に、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または別の組織もしくは体液、またはアフェレーシス製品から収集される。更に、特定の態様では、動員および前処置レジメンを使用して、特に治療後の定義された時間範囲の間に、特定の細胞型の再集団、再循環、再生、および/または増殖が好ましい状況を対象においてもたらすことができる。動員剤は、CXCL12相互作用ヘパリノイド、GM-CSF、G-CSF(例えば、非修飾、グリコシル化、またはPEG化)、IL-2(例えば、非修飾、グリコシル化、またはPEG化)、CXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサフォル)、インテグリンα4β1アンタゴニスト(例えば、BIO5192)、シクロホスファミド、5-フルオロウラシル、シスプラチン、エトポシド、イホスファミド、シタラビン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0201】
使用される細胞の数は、細胞の寿命、使用されるプロトコール(例えば、投与回数)、細胞が増殖する能力、組換えコンストラクトの安定性などを含む多くの状況に依存するであろう。特定の実施形態では、細胞は、一般に、目的の部位またはその近傍に注射される分散液として投与される。細胞は、生理学的に許容される任意の媒体で投与されてもよい。
【0202】
本明細書に開示されるTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物で治療できるがんは、MLLを発現する任意の腫瘍(例えば、細胞表面にMLLホスホペプチド/MHC複合体を提示する任意の腫瘍)であり得る。MLLを発現する腫瘍(例えば、細胞表面にMLLホスホペプチド/MHC複合体を提示する腫瘍)の例は、例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Cobbold et al.,Sci Transl Med.2013 Sep 18;5(203):203ra125;Rao et al.,Nat Rev Cancer.2015 Jun;15(6):334-46;Li et al.,Exp Hematol.2014 Dec;42(12):995-1012;およびKrivtsov et al.,Nat Rev Cancer.2007 Nov;7(11):823-33に開示されている。
【0203】
特定の実施形態では、がんは白血病(例えば、混合系統白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、または慢性骨髄性白血病)、肺胞横紋筋肉腫、骨癌、脳癌(例えば、膠芽腫)、乳癌、肛門癌、肛門管癌、または肛門直腸癌、眼癌、肝内胆管癌(例えば、肝内胆管細胞癌)、関節癌、首癌、胆嚢癌、胸膜癌、または鼻癌、鼻腔癌、または中耳癌、口腔癌、外陰部癌、骨髄腫(例えば、慢性骨髄性癌)、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、胃腸カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、腎臓癌、喉頭癌、肝癌(例えば、肝細胞癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、腹膜癌、網癌、腸間膜癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌(例えば、腎細胞癌(RCC))、胃癌、小腸癌、軟部癌、胃癌、がん腫、肉腫(例えば、滑膜肉腫、横紋筋肉腫)、精巣癌、甲状腺癌、頭頸部癌、尿管癌、および膀胱癌である。特定の実施形態では、がんは黒色腫、乳癌、肺癌、前立腺癌、甲状腺癌、卵巣癌、または滑膜肉腫である。一実施形態では、がんは滑膜肉腫または脂肪肉腫(例えば、粘液様/円形細胞脂肪肉腫)である。
【0204】
特定の実施形態では、これらの方法は、追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。特定の実施形態では、追加の治療薬は、化学療法薬、放射線治療薬、またはチェックポイント標的薬である。特定の実施形態では、化学療法剤は低メチル化剤(例えば、アザシチジン)である。特定の実施形態では、チェックポイント標的薬は、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体、アンタゴニスト抗PD-L1抗体、アンタゴニスト抗PD-L2抗体、アンタゴニスト抗PD-1抗体、アンタゴニスト抗TIM-3抗体、アンタゴニスト抗LAG-3抗体、アンタゴニストVISTA抗体、アンタゴニストCD96抗体、アンタゴニスト抗CEACAM1抗体、アンタゴニスト抗TIGIT抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アゴニスト抗GITR抗体、およびアゴニスト抗OX40抗体からなる群から選択される。
【0205】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、本明細書に開示される方法で使用される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、Bristol-Myers Squibbによって開発された、BMS-936558またはMDX1106としても知られている、ニボルマブである。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、Merck & Coによって開発された、ランブロリズマブまたはMK-3475としても知られるペンブロリズマブである。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、CureTechによって開発された、CT-011としても知られるピディリズマブである。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、Medimmuneによって開発された、AMP-514としても知られるMEDI0680である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、Novartis Pharmaceuticalsによって開発されたPDR001である。特定の態様では、抗PD-1抗体は、Regeneron Pharmaceuticalsによって開発されたREGN2810である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、Pfizerによって開発されたPF-06801591である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、BeiGeneによって開発されたBGB-A317である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、AnaptysBioおよびTesaroによって開発されたTSR-042である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、Hengruiによって開発されたSHR-1210である。
【0206】
本明細書に開示される治療方法において使用され得る抗PD-1抗体のさらなる非限定的な例は、以下の特許および特許出願に開示されており、それらは全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第6,808,710号、米国特許第7,332,582号、米国特許第7,488,802号、米国特許第8,008,449号、米国特許第8,114,845号、米国特許第8,168,757号、米国特許第8,354,509号、米国特許第8,686,119号、米国特許第8,735,553号、米国特許第8,747,847号、米国特許第8,779,105号、米国特許第8,927,697号、米国特許第8,993,731号、米国特許第9,102,727号、米国特許第9,205,148号、米国公開番号US2013/0202623A1、米国公開番号US2013/0291136A1、米国公開番号US2014/0044738A1、米国公開番号US2014/0356363A1、米国公開番号US2016/0075783A1、ならびにPCT公開番号WO2013/033091A1、PCT公開番号WO2015/036394A1、PCT公開番号WO2014/179664A2、PCT公開番号WO2014/209804A1、PCT公開番号WO2014/206107A1、PCT公開番号WO2015/058573A1、PCT公開番号WO2015/085847A1、PCT公開番号WO2015/200119A1、PCT公開番号WO2016/015685A1、およびPCT公開番号WO2016/020856A1。
【0207】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、本明細書に開示される方法で使用される。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、Genentechによって開発されたアテゾリズマブである。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、AstraZeneca、Celgene、およびMedimmuneによって開発されたデュルバルマブである。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、Merck SeronoおよびPfizerにより開発された、MSB0010718Cとしても知られるアベルマブである。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、Bristol-Myers Squibbによって開発されたMDX-1105である。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、AmplimmuneおよびGSKによって開発されたAMP-224である。
【0208】
本明細書に開示される治療方法に使用され得る抗PD-L1抗体の非限定的な例は、以下の特許および特許出願に開示されており、それらは全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第7,943,743号、米国特許第8,168,179号、米国特許第8,217,149号、米国特許第8,552,154号、米国特許第8,779,108号、米国特許第8,981,063号、米国特許第9,175,082号、米国公開番号US2010/0203056A1、米国公開番号US2003/0232323A1、米国公開番号US2013/0323249A1、米国公開番号US2014/0341917A1、米国公開番号US2014/0044738A1、米国公開番号US2015/0203580A1、米国公開番号US2015/0225483A1、米国公開番号US2015/0346208A1、米国公開番号US2015/0355184A1、ならびにPCT公開番号WO2014/100079A1、PCT公開番号WO2014/022758A1、PCT公開番号WO2014/055897A2、PCT公開番号WO2015/061668A1、PCT公開番号WO2015/109124A1、PCT公開番号WO2015/195163A1、PCT公開番号WO2016/000619A1、およびPCT公開番号WO2016/030350A1。
【0209】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCR、細胞、または医薬組成物は、IDO(インドールアミン-(2,3)-ジオキシゲナーゼ)および/またはTDO(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ)などの免疫調節酵素を標的とする化合物と組み合わせて対象に投与される。特定の実施形態では、そのような化合物は、エパカドスタット(Incyte Corp;例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開番号WO2010/005958を参照されたい)、F001287(Flexus Biosciences/Bristol-Myers Squibb)、インドキシモド(NewLink Genetics)、およびNLG919(NewLink Genetics)からなる群から選択される。一実施形態では、化合物はエパカドスタットである。別の実施形態では、化合物はF001287である。別の実施形態では、化合物はインドキシモドである。別の実施形態では、化合物はNLG919である。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCR、細胞、または医薬組成物は、がんを治療するためのIDO阻害剤と組み合わせて対象に投与される。がんの治療に使用する本明細書に記載のIDO阻害剤は、錠剤、丸剤またはカプセルなどの医薬組成物の固体剤形で存在し、医薬組成物はIDO阻害剤および薬学的に許容される賦形剤を含む。したがって、本明細書に記載のTCR、細胞、または医薬組成物および本明細書に記載のIDO阻害剤は、別々の剤形として別々に、逐次的に、または同時に投与することができる。一実施形態では、細胞または医薬組成物は非経口投与され、IDO阻害剤は経口投与される。特定の実施形態では、阻害剤は、エパカドスタット(Incyte Corporation)、F001287(Flexus Biosciences/Bristol-Myers Squibb)、インドキシモド(NewLink Genetics)、およびNLG919(NewLink Genetics)からなる群から選択される。エパカドスタットは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO2010/005958号に記載されている。一実施形態では、阻害剤はエパカドスタットである。別の実施形態では、阻害剤はF001287である。別の実施形態では、阻害剤はインドキシモドである。別の実施形態では、阻害剤はNLG919である。
【0210】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCR、細胞、または医薬組成物は、ワクチンと組み合わせて対象に投与される。ワクチンは、例えば、ペプチドワクチン、DNAワクチン、またはRNAワクチンであり得る。特定の実施形態では、ワクチンは、熱ショックタンパク質ベースの腫瘍ワクチンまたは熱ショックタンパク質ベースの病原体ワクチンである。特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCR、細胞、または医薬組成物は、熱ショックタンパク質ベースの腫瘍ワクチンと組み合わせて対象に投与される。熱ショックタンパク質(HSP)は、全ての種にわたって遍在する高度に保存されたタンパク質のファミリーである。それらの発現は、熱ショックまたは毒素への曝露、酸化ストレス、またはグルコース欠乏などの他の形態のストレスの結果として、はるかに高いレベルに強力に誘導され得る。分子量に応じて、HSP-110、-90、-70、-60、および-28の5つのファミリーに分類されている。HSPは、マクロファージおよび樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞(APC)の交差提示経路を介して免疫原性ペプチドを送達し、T細胞の活性化をもたらす。HSPは、腫瘍特異的免疫を誘導できる複合体を形成する腫瘍関連抗原ペプチドのシャペロンキャリアとして機能する。死にかけている腫瘍細胞から放出されると、HSP-抗原複合体は抗原提示細胞(APC)に取り込まれ、そこで抗原はMHCクラスIおよびクラスII分子に結合して抗腫瘍CD8+およびCD4+T細胞の活性化をもたらすペプチドへと加工される。腫瘍調製物に由来するHSP複合体によって誘発される免疫は、各対象のがんによって発現する固有の抗原ペプチドレパートリーに対して特異的なものである。
【0211】
熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)は、抗原ペプチドと非共有結合的に複合体化した熱ショックタンパク質からなるタンパク質ペプチド複合体である。HSPPCは自然免疫応答と適応免疫応答の両方を誘発する。特定の実施形態では、抗原性ペプチドは、治療されているがんに対して抗原性を示す。HSPPCは、膜受容体(主にCD91)を介して、またはToll様受容体に結合することにより、APCによって効率的に捕捉される。HSPPCの内在化により、ケモカインおよびサイトカイン産生を伴うAPCの機能的成熟がもたらされ、ナチュラルキラー細胞(NK)、単球、Th1およびTh-2を介した免疫応答が活性化される。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法で使用されるHSPPCは、抗原ペプチドと複合体化したストレスタンパク質のhsp60、hsp70、またはhsp90ファミリー由来の1つ以上の熱ショックタンパク質を含む。特定の実施形態では、HSPPCは、hsc70、hsp70、hsp90、hsp110、grp170、gp96、カルレティキュリン、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0212】
特定の実施形態では、熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)は、組換え抗原ペプチドと複合体化した組換え熱ショックタンパク質(例えば、hsp70もしくはhsc70)またはそのペプチド結合ドメインを含む。組換え熱ショックタンパク質は、例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Dworniczak and Mirault,Nucleic Acids Res.15:5181-5197(1987)ならびにGenBank受託番号P11142および/またはY00371に記載されるような、ヒトhsc70配列を使用して、組換えDNA技術によって生成できる。特定の実施形態では、Hsp70配列は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82(19),6455-6459(1985)ならびにGenBank受託番号P0DMV8および/またはM11717に記載されるようなものである。抗原性ペプチドはまた、当該分野で公知の組換えDNA方法によって調製され得る。
【0213】
特定の実施形態では、抗原性ペプチドは修飾アミノ酸を含む。特定の実施形態では、修飾アミノ酸は翻訳後修飾を含む。特定の実施形態では、修飾アミノ酸は、翻訳後修飾の模倣物を含む。特定の実施形態では、修飾アミノ酸は、側鎖ヒドロキシルまたはアミンでリン酸化されたTyr、Ser、Thr、Arg、Lys、またはHisである。特定の実施形態では、修飾アミノ酸は、側鎖ヒドロキシルまたはアミンでリン酸化されたTyr、Ser、Thr、Arg、Lys、またはHisアミノ酸の模倣物である。
【0214】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCR、細胞、または医薬組成物は、熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)、例えば熱ショックタンパク質ペプチド複合体-96(HSPPC-96)と組み合わせて対象に投与されてがんを治療する。HSPPC-96は、抗原ペプチドと複合体化した96kDaの熱ショックタンパク質(Hsp)、gp96を含む。HSPPC-96は、対象の腫瘍から製造されたがん免疫療法であり、がんの抗原性「指紋」を含む。特定の実施形態では、この指紋は、特定の対象の特定のがん細胞にのみ存在する固有の抗原を含み、ワクチンの注射は、対象の免疫系を刺激して、特定のがんの指紋を持つ細胞を認識および攻撃することを意図する。
【0215】
特定の実施形態では、HSPPC、例えばHSPPC-96は、対象の腫瘍組織から生成される。特定の実施形態では、HSPPC(例えば、HSPPC-96)は、治療されているがんまたはその転移のタイプの腫瘍から生成される。別の特定の実施形態では、HSPPC(例えば、HSPPC-96)は、治療されている対象に対して自家性のものである。特定の実施形態では、腫瘍組織は非壊死性腫瘍組織である。特定の実施形態では、少なくとも1グラム(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10グラム)の非壊死性腫瘍組織を使用して、ワクチンレジメンを生成する。特定の実施形態では、外科的切除後、ワクチン調製物で使用する前に非壊死性腫瘍組織を凍結する。いくつかの実施形態では、HSPPC、例えばHSPPC-96は、精製技術により腫瘍組織から単離され、濾過され、注射可能なワクチン用に調製される。特定の実施形態では、対象は、HSPCC、例えばHSPCC-96の6~12用量を投与される。そのような実施形態では、HSPPC、例えば、HSPPC-96の用量は、最初の4回の投与については毎週投与され、その後、2~8の追加の投与については隔週で投与され得る。
【0216】
本明細書に記載される方法に従って使用され得るHSPPCのさらなる例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,391,306号、同第6,383,492号、同第6,403,095号、同第6,410,026号、同第6,436,404号、同第6,447,780号、同第6,447,781号、および同第6,610,659号、の特許および特許出願に開示されている。
【0217】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCR、細胞、または医薬組成物は、アジュバントと組み合わせて対象に投与される。治療状況に応じて、さまざまなアジュバントを使用できる。適切なアジュバントの非限定的な例には、フロイント完全アジュバント(CFA)、フロイント不完全アジュバント(IFA)、モンタニドISA(Seppic不完全アジュバント)、Ribiアジュバントシステム(RAS)、Titer Max、ムラミルペプチド、Syntex Adjuvant Formulation(SAF)、ミョウバン(水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウム)、アルミニウム塩アジュバント、Gerbu(登録商標)アジュバント、ニトロセルロース吸収抗原、カプセル化または封入された抗原、3 De-O-アシル化モノホスホリル脂質A(3 D-MPL)、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、toll様受容体(TLR)リガンド、マンナン結合レクチン(MBL)リガンド、STINGアゴニスト、サポニン、Quil A、QS-21、QS-7、ISCOMATRIXなどの免疫刺激複合体、などが含まれるが、これらに限定されない。他のアジュバントには、CpGオリゴヌクレオチドおよびpoly(A)やpoly(U)などの二本鎖RNA分子が含まれる。上述のアジュバントの組み合わせも使用され得る。例えば、その全ての全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,645,495号、同第7,029,678号、および同第7,858,589号を参照されたい。一実施形態では、本明細書で使用されるアジュバントは、QS-21STIMULONである。
【0218】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物は、腫瘍微小環境(TME)調整剤と組み合わせて対象に投与される。特定の実施形態では、TME調節剤はサイトカイン(例えば、インターロイキン-2、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14))である。特定の実施形態では、サイトカインはケモカイン(例えば、(C-Cモチーフ)リガンド21(CCL21)およびC-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10))である。特定の実施形態では、TME調整剤は、パターン認識受容体(PRR)のアゴニストである。特定の実施形態では、アゴニストは、TLR9の合成アゴニスト(例えば、CpG)である。特定の実施形態では、アゴニストは、STINGの合成アゴニスト(例えば、cGAMP)である。
【0219】
TCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物、および追加の治療薬(例えば、化学療法薬、放射線治療薬、チェックポイント標的薬、IDO阻害剤、ワクチン、アジュバント、および/またはTME調整剤)は、別々の剤形として、別々に、逐次的に、または同時に投与できる。一実施形態では、TCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物は非経口投与され、IDO阻害剤は経口投与される。
【0220】
本明細書に記載のTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物は、様々な経路で対象に送達され得る。これらには、非経口、鼻腔内、気管内、経口、皮内、局所、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、腫瘍内、結膜、髄腔内、および皮下経路が含まれるが、これらに限定されない。肺内投与もまた、例えば、吸入器またはネブライザーの使用、およびスプレーとしての使用のためのエアロゾル化剤による製剤化により使用され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物は、静脈内送達される。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物は皮下送達される。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物は、腫瘍内送達される。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物は、腫瘍流入領域リンパ節に送達される。
【0221】
状態の治療および/または予防に有効であるTCR、ポリヌクレオチド、ベクター、改変された細胞、または医薬組成物の量は、疾患の性質に依存し、標準的な臨床技術により決定することができる。
【0222】
組成物に使用される正確な用量は、投与経路、およびそれによって引き起こされる感染または疾患の重篤度にも依存し、開業医の判断および各対象の状況に従って決定されるべきである。例えば、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態(年齢、体重、健康を含む)、患者がヒトか動物か、投与された他の薬物、または治療法が予防的であるかまたは治療的であるかに応じて、有効用量が異なり得る。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック動物を含む非ヒト哺乳動物もまた治療できる。治療用量は、安全性と有効性を最適化するために最適に調整される。
【0223】
本明細書に記載のTCRを使用して、生体試料中の、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体のレベル、および/またはMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体を提示する細胞の数を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫沈降法、またはウェスタンブロット法などの免疫測定法を含む、当業者に知られている古典的な免疫組織学的方法を用いてアッセイすることもできる。適切なTCRアッセイ標識は当該技術分野で知られており、グルコースオキシダーゼなどの酵素標識、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(121In)、およびテクネチウム(99Tc)などの放射性同位体、ルミノールなどの発光ラベル、フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光ラベル、ならびにビオチンが含まれる。そのようなラベルを使用して、本明細書に記載のTCRを標識することができる。代替的に、本明細書に記載のTCRを認識する分子を標識し、本明細書に記載のTCRと組み合わせて使用して、生体試料中の、MLLペプチド(例えばMLLホスホペプチド、例えば配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体および/またはMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体を提示する細胞の数を検出することができる。
【0224】
MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体のレベルのアッセイは、第1の生体試料中のMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体のレベルを、直接的(例えば、絶対タンパク質レベルを決定もしくは推定することにより)または相対的(例えば、第2の生体試料の疾患関連タンパク質レベルと比較することにより)のいずれかで、定性的または定量的の測定または推定を含むことを意図している。第1の生体試料中のMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体のレベルは、測定または推定および標準レベルと比較することができ、標準は、病気にかかっていない個人から得られた第2の生体試料から取得されるか、または病気にかかっていない個人の集団のレベルを平均することによって決定される。当該技術分野で理解されるように、「標準」レベルが分かると、比較のための標準として繰り返し使用することができる。
【0225】
本明細書で使用される「生体試料」という用語は、対象、細胞株、組織、またはMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45もしくは47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体を潜在的に提示する他の細胞供給源から得られる任意の生体試料を指す。動物(例えば、ヒト)から組織生検および体液を得る方法は、当該技術分野で周知である。生体試料には、末梢血単核球が含まれる。
【0226】
本明細書に記載のTCRは、本明細書に基づいて、当業者に周知かつ標準的なin vitroおよびin vivo用途を含む、予後、診断、モニタリング、およびスクリーニング用途に使用することができる。免疫系の状態および/または免疫応答のin vitro評価および評価のための予後診断、診断、モニタリングおよびスクリーニングアッセイおよびキットを使用して、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体を提示する細胞に関連する障害を有することが知られているかまたは疑われるものを含む患者の試料を予測、診断、およびモニターすることができる。生体内用途には、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45もしくは47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体を提示する細胞、組織、または臓器の指向性細胞療法および免疫系調節およびラジオイメージングが含まれる。
【0227】
一実施形態では、本明細書に記載のTCRを、生検試料の免疫組織化学中の、MLLペプチド(例えばMLLホスホペプチド、例えば配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体および/またはMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体を提示する細胞の数を検出するのに使用することができる。本明細書に記載のTCRは、検出可能な、または機能的標識を担持していてもよい。蛍光標識が使用されるとき、現在利用可能な顕微鏡検査および蛍光活性化セルソーター分析(FACS)または当該技術分野で知られている両方の方法の組み合わせを利用して、特異的結合メンバーを特定および定量することができる。本明細書に記載されるTCRは、蛍光標識を担持してもよい。例示的な蛍光標識には、例えば、反応性および共役プローブ、例えば、アミノクマリン、フルオレセインおよびテキサスレッド、Alexa Fluor色素、Cy色素、およびDyLight色素が含まれる。本明細書に記載されるTCRは、同位体3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、90Y、99Tc、111In、117Lu、121I、124I、125I、131I、198Au、211At、213Bi、225Ac、および186Reなどの放射性標識を担持してもよい。放射性標識を使用するとき、当該技術分野で知られている現在利用可能な計数手順を利用して、MLLポリペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体へのTCRの特異的結合を特定および定量することができる。標識が酵素である場合、検出は、現在利用されている当該技術分野で知られている比色法、分光光度法、蛍光分光光度法、電流測定法、またはガス測定法のいずれかによって達成することができる。これは、TCRとMLLペプチド(例えばMLLホスホペプチド、例えば配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体との複合体形成を可能にする条件下で、本明細書に記載のTCRと、試料または対照試料を接触させることによって達成できる。TCRとペプチド-MHC複合
体との間に形成された複合体は、試料と対照とで検出され、比較される。MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体について本明細書に記載のTCRの特異的結合に照らして、TCRを、MLLポリペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体を提示する細胞を検出するために使用することができる。本明細書に記載のTCRは、免疫親和性精製を介してそのような複合体または細胞を精製するためにも使用できる。本明細書にさらに含まれるのは、例えばMLLペプチド(例えばMLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体、またはペプチド-MHC複合体を含む複合体の存在の程度の半定量的または定量的分析のための試験キットの形態で調製され得るアッセイシステムである。システムまたは試験キットは、標識成分、例えば標識TCR、および1つ以上の追加の免疫化学試薬を含んでもよい。
【0228】
5.5 ポリヌクレオチド、ベクター、およびTCRの生成方法
別の態様では、本明細書で提供されるのは、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)に結合する本明細書に記載のTCR(例えば、α鎖、β鎖、Vαドメイン、および/またはVβドメイン)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ならびにベクター、例えば宿主細胞(例えばE.coliおよび哺乳動物細胞)における組換え発現のためのそのようなポリヌクレオチドを含むベクターである。本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されるTCRのいずれかのα鎖および/またはβ鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ならびにそのようなポリヌクレオチド配列を含むベクター、例えば、哺乳動物細胞などの宿主細胞におけるそれらの効率的な発現のための発現ベクターである。
【0229】
特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたは核酸分子は単離または精製されている。一般的に、単離されたポリヌクレオチドまたは核酸分子は、核酸分子の天然の供給源(例えば、マウスまたはヒト)に存在する他の核酸分子から分離されたものである。追加的にまたは代替的に、単離されたポリヌクレオチドまたは核酸分子(例えば、cDNA分子)は、組換え技術により産生される場合、他の細胞物質または培地を実質的に含まず、または化学合成される場合、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。例えば、「実質的に含まない」という言葉には、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満(特に約10%未満)の他の物質、例えば、細胞物質、培地、他の核酸分子、化学前駆体、および/または他の化学物質を有する、ポリヌクレオチドまたは核酸分子の調製物を含む。
【0230】
特定の態様では、本明細書において提供されるのは、上述のTCRとして、配列番号45または47に示されるアミノ酸配列を含むペプチドの同一のエピトープに結合するTCRをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。特定の実施形態では、ペプチドは、上述のように、MHCと複合体を形成している(例えば、HLA-B*0702)。特定の実施形態では、TCRは、in vivoで動物または哺乳動物(例えば、ヒト)のTCR生殖系列レパートリー内に天然に存在しない配列を含む。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、in vivoで動物または哺乳動物(例えば、ヒト)のTCRをコードするDNAの生殖系列レパートリー内に天然に存在しない配列を含む。
【0231】
特定の態様では、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載のTCRのα鎖および/またはβ鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載のTCRのα鎖FRおよびCDRを含むα鎖をコードするヌクレオチド配列(例えば、表1を参照されたい)または本明細書に記載のTCRのβ鎖FRおよびCDRを含むβ鎖をコードするヌクレオチド配列(例えば、表1を参照されたい)を含み得る。
【0232】
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載のTCRのα鎖およびβ鎖をコードする。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのα鎖、2A切断部位、およびTCRのβ鎖を含むポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのβ鎖、2A切断部位、およびTCRのα鎖を含むポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのα鎖、フューリン切断部位、2A切断部位、およびTCRのβ鎖を含むポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、N末端からC末端に向けて、TCRのβ鎖、フューリン切断部位、2A切断部位、およびTCRのα鎖を含むポリペプチドをコードする。フューリン切断部位は、一般にRX1X2Rのコンセンサス配列を有し、配列中、X1は任意のアミノ酸であり得、X2はKまたはRである(配列番号96)。特定の実施形態では、X1はKまたはRである。特定の実施形態では、フューリン切断部位はRAKRの配列(配列番号97)を有する。特定の実施形態では、フューリン切断部位は、第2のアルギニン残基の後ろで切断される。2A切断部位は一般に、X1X2EX3NPGPのコンセンサス配列を含み、配列中、X1はDまたはGであり、X2はVまたはIであり、X3は任意のアミノ酸である(配列番号99)。特定の実施形態では、2A切断部位は、C末端プロリン残基と先行するグリシン残基との間で切断される。特定の実施形態では、2A切断部位は、配列番号100~105および239~246から選択されるアミノ酸配列を含む(表7)。特定の実施形態では、2A切断部位は、配列番号100に示されるアミノ酸配列を有するブタテッショウウイルス-1 2A(P2A)切断部位である。特定の実施形態では、2A切断部位は、配列番号239に示されるアミノ酸配列を有するブタテッショウウイルス-1 2A(P2A)切断部位である。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号90をコードする核酸配列を含む。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号238をコードする核酸配列を含む。
【0233】
【0234】
また、本明細書に記載のTCRをコードするポリヌクレオチドは、例えば、コドン/RNA最適化、異種シグナル配列との置換、およびmRNA不安定性要素の除去により最適化される。コドン変化を導入し、および/またはmRNAの阻害領域を除去することにより、組換え発現のためのTCR(例えば、α鎖、β鎖、Vαドメイン、および/またはVβドメイン)をコードする最適化された核酸を生成する方法は、例えば、米国特許第5,965,726号、同第6,174,666号、同第6,291,664号、同第6,414,132号、および同第6,794,498号に記載されている最適化方法を適応することによって実施できる。例えば、RNA内の潜在的なスプライス部位と不安定要素(例えば、A/TまたはA/Uリッチエレメント)は、核酸配列によってコードされるアミノ酸を改変せずに変異させて、組換え発現のためのRNAの安定性を高めることができる。改変は、例えば、同一のアミノ酸の代替コドンを使用して、遺伝暗号の縮重を利用する。いくつかの実施形態では、1つ以上のコドンを改変して保存的変異、例えば元のアミノ酸と類似の化学構造および特性および/または機能を有する類似のアミノ酸をコードすることが望ましい場合がある。そのような方法は、最適化されていないポリヌクレオチドによってコードされるTCRの発現と比較して、TCRの発現を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍、またはそれ以上増加させることができる。
【0235】
特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRをコードする最適化ポリヌクレオチド配列(例えば、α鎖、β鎖、Vαドメインおよび/またはVβドメイン)は、本明細書に記載のTCRをコードする非最適化ポリヌクレオチド配列(例えば、α鎖、β鎖、Vαドメイン、および/またはVβドメイン)のアンチセンス(例えば、相補的)ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRをコードする非最適化ポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドに対して高ストリンジェンシー条件下で本明細書に記載のTCRをコードする最適化ヌクレオチド配列。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRをコードする最適化ヌクレオチド配列は、本明細書に記載のTCRをコードする非最適化ヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドに高ストリンジェンシー、中または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション条件に関する情報が記載されており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0048549号(例えば、段落72~73)を参照されたい。
【0236】
当該技術分野で公知の任意の方法によって、ポリヌクレオチドが得られ得、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定され得る。本明細書に記載のTCR、例えば表1~4に記載のTCR、およびこれらのTCRの修飾バージョンをコードするヌクレオチド配列は、当該技術分野で周知の方法を使用して決定でき、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンは、そのようなTCRをコードする核酸を生成するように組み立てられる。TCRをコードするそのようなポリヌクレオチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから組み立てることができ(例えば、Kutmeier G et al.,(1994),BioTechniques 17:242-6に記載されているように)、簡潔に述べると、TCRをコードする配列の部分を含むオーバーラップするオリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、そしてPCRによるライゲーションされたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
【0237】
代替的に、本明細書に記載のTCRをコードするポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の方法(例えば、PCRおよび他の分子クローニング法)を使用して、適切な供給源(例えば、Tリンパ球)由来の核酸から生成することができる。例えば、既知の配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用したPCR増幅は、目的のTCRを発現するT細胞から得られたゲノムDNAを使用して実施できる。そのようなPCR増幅法を使用して、TCRのα鎖および/またはβ鎖をコードする配列を含む核酸を得ることができる。そのようなPCR増幅法を使用して、TCRのVαドメインおよび/またはVβドメインをコードする配列を含む核酸を得ることができる。増幅された核酸は、例えばキメラおよびヒト化TCRを生成するために、宿主細胞での発現およびさらなるクローニングのためにベクターにクローニングすることができる。
【0238】
特定のTCRをコードする核酸を含むクローンが利用できないが、TCR分子の配列がわかっている場合、TCRをコードする核酸を化学的に合成するか、適切な供給源(例えば、本明細書に記載のTCRを発現するように選択されたTリンパ球などのTCRを発現する任意の組織または細胞から単離された生成されたTCR cDNAライブラリーまたはcDNAライブラリー、または核酸、例えばポリA+RNA)から配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズする合成プライマーを使用するPCR増幅によって、または、例えば、TCRをコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定するための、特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって取得することができる。次いで、PCRにより生成された増幅された核酸は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して複製可能なクローニングベクターにクローニングされ得る。
【0239】
本明細書に記載のTCRをコードするDNAは、従来の手順を用いて、例えば、TCRのα鎖およびβ鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することのできるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって、容易に単離してシーケンシングすることができる。Tリンパ球は、このようなDNAの供給源として機能する。単離されたDNAは発現ベクターに入れられ、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS System(商標)(Lonza))、または他の方法でTCRタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされ、組換え宿主細胞でのTCRの合成をもたらす。
【0240】
TCR全体を生成するために、VαまたはVβヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、VαまたはVβ配列を増幅して、クローン、例えば個々のVαまたはVβヌクレオチド配列のクローン、または柔軟なリンカーによって接続されたTCRの可変領域を含む単鎖TCRのクローンとすることができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅Vαドメインをα鎖定常領域を発現するベクターにクローニングし、PCR増幅Vβドメインをβ鎖定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。特定の実施形態では、VαまたはVβドメインを発現するためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変領域のクローニング部位、定常ドメイン、およびネオマイシンなどの選択マーカーを含む。次いで、α鎖およびβ鎖ベクターを細胞株に同時または逐次的に共トランスフェクトして、当業者に公知の技術を使用してTCR全体を発現する安定または一過性の細胞株を生成する。VαまたはVβドメインは、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。次いで、ベクターを細胞株にトランスフェクトして、当業者に公知の技術を使用してTCR全体を発現する安定または一過性の細胞株を生成する。
【0241】
DNAはまた、例えば、マウス配列の代わりにヒトα鎖およびβ鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより、またはTCRコード配列を非TCRポリペプチドのコード配列の全てまたは一部に共有結合することにより、修飾することができる。
【0242】
また、高、中、または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載のTCRをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドが提供される。特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、高、中、または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書で提供されるVαドメインおよび/またはVβドメインをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。
【0243】
ハイブリダイゼーション条件は当該技術分野で記載されており、当業者に知られている。例えば、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションには、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーションと、その後に約50~65℃で0.2×SSC/0.1%SDSで1回以上洗浄されるものが含まれ、高度にストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションには、約45℃で6×SSCのフィルター結合核酸へのハイブリダイゼーションと、その後に約68℃で0.1×SSC/0.2%SDSで1回以上洗浄されるものが含まれる。他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは当業者に知られており、例えば、Ausubel FM et al.,eds.,(1989) Current Protocols in Molecular Biology,Vol.I,Green Publishing Associates,Inc.およびJohn Wiley & Sons,Inc.,New York(6.3.1-6.3.6および2.10.3ページ)に記載されており、参照されたい。
【0244】
特定の態様では、本明細書に提供されるのは、MLLポリペプチド(例えばMLLホスホペプチド、例えば配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)に結合する本明細書に記載のTCRを(例えば組換えにより)発現する細胞(例えば宿主細胞)、ならびに関連するポリヌクレオチドおよび発現ベクターである。本明細書で提供されるのは、宿主細胞、例えば哺乳動物細胞での組換え発現のためのそのようなTCRをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば発現ベクター)である。本明細書でさらに提供されるのは、本明細書に記載のTCR(例えば、ヒトまたはヒト化TCR)を組換え発現するためのそのようなベクターを含む宿主細胞である。特定の態様では、本明細書に提供されるのは、宿主細胞からこのようなTCRを発現させることを含む、本明細書に記載のTCRを生成する方法である。
【0245】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の改変された細胞(例えば、異種および/または組換え核酸を含む細胞)を生成する方法である。特定の実施形態では、方法は、細胞へのベクターの導入を可能にする条件下で、細胞を本明細書に記載のベクターと接触させることを含む。特定の実施形態では、条件は、ベクターによる細胞のトランスフェクションを可能にする(例えば、リポソームまたはエレクトロポレーションによる)。一実施形態では、この条件により、エレクトロポレーションによるmRNAベクターによる細胞のトランスフェクションが可能になる。特定の実施形態では、ベクターはウイルスベクターであり、条件は細胞にウイルスベクターを形質導入することを可能にする。特定の実施形態では、ベクターは、in vitroまたはex vivoで細胞に導入される。特定の実施形態では、ベクターはin vivoで細胞に導入される。
【0246】
MLLポリペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)に結合する本明細書に記載のTCR(例えば、全長TCR、TCRのα鎖および/またはβ鎖、本明細書に記載の単鎖TCR)の組換え発現は、TCRをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を含む。本明細書に記載のTCRをコードするポリヌクレオチドが得られると、TCR分子の産生のためのベクターは、当該技術分野で周知の技術を使用する組換えDNA技術によって産生することができる。したがって、ヌクレオチド配列をコードするTCRを含むポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を調製する方法が本明細書に記載されている。当業者に周知の方法を使用して、TCRコード配列および適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えが含まれる。さらに提供されるのは、プロモーターに作動可能に連結された、本明細書に記載のTCR分子(例えば、全長TCR、TCRのα鎖もしくはβ鎖、TCRのVαもしくはVβ、またはαもしくはβ鎖CDR)をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターである。
【0247】
ベクターは、一本鎖または二本鎖であり、合成または天然供給源から部分的に得られ、天然、非天然、または改変したヌクレオチドを含むことができる任意のタイプのヌクレオチド(DNAおよびRNAを含むがこれらに限定されない)を含むことができる。組換え発現ベクターは、天然に存在するかまたは天然に存在しないヌクレオチド間結合、または両方のタイプの結合を含むことができる。一実施形態では、天然に存在しないかまたは改変されされたヌクレオチドまたはヌクレオチド間結合は、ベクターの転写または複製を妨げない。発現ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはバキュロウイルスベクター)であり得る。特定の実施形態では、レトロウイルスベクターは、レンチウイルスベクター(例えば、HIV-1ゲノムの遺伝エレメントを含むベクター)またはウマ伝染性貧血ウイルスベクターである。特定の実施形態では、ベクターは、ウイルス粒子を提供するために、1つ以上のウイルスキャプシドタンパク質とともにパッケージされる。
【0248】
発現ベクターは、従来の技術によって細胞(例えば、宿主細胞)に導入され得、次いで、得られた細胞は、本明細書に記載のTCRを生成するために従来の技術によって培養され得る。したがって、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載のTCR分子(例えば、TCRの完全長TCR、α鎖もしくはβ鎖、TCRのVαもしくはVβ、またはαもしくはβ鎖CDR)をコードする、宿主細胞におけるそのような配列の発現のためのプロモーターに作動可能に連結されているポリヌクレオチドを含む宿主細胞である。特定の実施形態では、二本鎖TCRの発現のために、以下に詳述するように、TCR分子全体の発現のために、α鎖とβ鎖の両方を個別にコードするベクターを宿主細胞で共発現させることができる。特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載のTCRのα鎖とβ鎖の両方をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は2つの異なるベクター、本明細書に記載のTCRのα鎖またはα鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター、および本明細書に記載のTCRのβ鎖またはβ鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。他の実施形態では、第1の宿主細胞は、本明細書に記載のTCRのα鎖またはα鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターを含み、第2の宿主細胞は、本明細書に記載のTCRのβ鎖またはβ鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。特定の実施形態では、第1の細胞により発現するα鎖またはα鎖可変領域は、第2の細胞により発現するβ鎖またはβ鎖可変領域と会合して本明細書に記載のTCRを形成する。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、そのような第1の宿主細胞およびそのような第2の宿主細胞を含む宿主細胞の集団である。
【0249】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載のTCRのα鎖またはα鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1ベクター、および本明細書に記載のTCRのβ鎖またはβ鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2ベクターを含むベクターの集団である。
【0250】
様々な宿主発現ベクター系を利用して、本明細書に記載のTCR分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照されたい)。そのような宿主発現系は、目的のコード配列を産生し、その後精製することができる媒体を表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトすると、本明細書に記載のTCR分子をin situで発現できる細胞も表す。これらには、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはTCRコード配列を含むコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis)などの微生物、TCRコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces Pichia)、TCRコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(バキュロウイルスなど)に感染した昆虫細胞系、TCRコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したか、またはTCRコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系(例えば、クChlamydomonas reinhardtiiなどの緑藻)、または哺乳類細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳類ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターを含む組換え発現コンストラクトを担持する哺乳類細胞システム(例、COS(例、COS1またはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、およびNIH 3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、およびBMT10細胞)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRを発現するための細胞はCHO細胞、例えばCHO GS System(商標)(Lonza)からのCHO細胞である。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRを発現するための細胞は、ヒト細胞、例えばヒト細胞株である。特定の実施形態では、哺乳動物発現ベクターはpOptiVEC(商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に組換えTCR分子全体の発現のために、Escherichia coliなどの細菌細胞、または真核細胞(例えば、哺乳類細胞)が組換えTCR分子の発現のために使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な最初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと組み合わせて、TCRの効果的な発現システムである(Foecking MK & Hofstetter H(1986) Gene 45:101-5;およびCockett MI et al.,(1990) Biotechnology 8(7):662-7)。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRは、CHO細胞またはNS0細胞によって産生される。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRをコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターにより調節される。
【0251】
特定の実施形態では、哺乳動物宿主細胞は、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞などのリンパ球(例えば、ヒトリンパ球)である。特定の実施形態では、リンパ球はT細胞である。任意の発生段階の任意のT細胞を使用して、本明細書に開示されるTCRを発現することができる。例えば、特定の実施形態では、T細胞は、CD8+細胞傷害性T細胞、CD4+細胞傷害性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞(例えば、Th1またはTh2細胞)、CD4/CD8二重陽性T細胞、腫瘍浸潤T細胞、胸腺細胞、メモリーT細胞、ナイーブT細胞、およびナチュラルキラーT細胞(例えばインバリアントナチュラルキラーT細胞)からなる群から選択される。細胞免疫系の前駆細胞(例えば、Tリンパ球の前駆細胞)も、エフェクター細胞に分化、発達、または成熟する可能性があるため、本明細書に開示されるTCRの提示に有用である。したがって、特定の実施形態では、哺乳動物宿主細胞は、多能性幹細胞(例えば、胚性幹細胞、誘導多能性幹細胞)、リンパ球前駆細胞、または造血幹細胞(例えば、骨髄、臍帯血、または末梢血から単離および/または濃縮される)である。
【0252】
細胞は、腫瘍、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または別の組織もしくは体液、またはアフェレーシス製品を含むが、これらに限定されない多数の供給源から取得できる。特定の実施形態では、細胞は、対象に機能性T細胞を残す治療の直後に患者から得られる。この点に関し、特定のがん治療後、特に、免疫系を損傷する薬物による特定の治療に続いて、患者が通常治療から回復する期間中に治療直後に、得られるT細胞の質は、ex vivoで増殖する能力に関して最適であるか、または改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載される方法を使用したex vivo操作に続いて、これらの細胞は、強化された生着およびin vivo増殖のための好ましい状態であり得る。したがって、特定の実施形態では、細胞は、この回復段階の間に、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または別の組織もしくは体液、またはアフェレーシス製品から収集される。
【0253】
特定の実施形態では、哺乳動物宿主細胞は、細胞表面上に本明細書に開示されるTCRを提示する細胞の集団である。細胞の集団は、不均一でも均一でもよい。特定の実施形態では、集団のうちの少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%、または99.9%)が本明細書に記載の細胞である。特定の実施形態では、集団は実質的に純粋であり、集団の少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%、または99.9%)が均一である。特定の実施形態では、集団は不均一であり、細胞の混合集団を含む(例えば、細胞は、異なる細胞型、発達段階、起源を有し、異なる方法により単離、精製、または濃縮され、異なる薬剤で刺激され、および/またはさまざまな方法で改変されている)。特定の実施形態では、細胞は、末梢血単核球(PBMC)(例えば、ヒトPBMC)の集団である。
【0254】
細菌系では、発現するTCR分子の用途に応じて、多くの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、TCR分子の医薬組成物の生成のために、そのようなTCRを大量に産生する場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を誘導するベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターには、TCRコード配列を、融合タンパク質が産生されるようにlac Zコード領域とフレームを合わせて、ベクターに個別にライゲーションできる、E.coli発現ベクターpUR278(Ruether U & Mueller-Hill B(1983) EMBO J 2:1791-1794);pINベクター(Inouye S & Inouye M(1985) Nuc Acids Res 13:3101-3109;Van Heeke G & Schuster SM(1989) J Biol Chem 24:5503-5509)などが含まれるが、これに限定されない。例えば、pGEXベクターを使用して、外来ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合に続く遊離グルタチオンの存在下での溶離により溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターはトロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されているため、クローニングされた標的遺伝子産物はGST部分から放出される。
【0255】
昆虫系では、例えば、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して、外来遺伝子を発現させることができる。ウイルスはSpodoptera frugiperda細胞で増殖する。TCRコード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローン化され、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれ得る。
【0256】
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルスベースの発現系を利用できる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、目的のTCRコード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび3個に分割された(tripartite)リーダー配列に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝子は、in vitroまたはin vivo組換えによりアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)に挿入すると、感染宿主で生存でき、TCR分子を発現することのできる組換えウイルスが生成される(例えば、Logan J & Shenk T(1984) PNAS 81(12):3655-9を参照されたい)。挿入されたTCRコード配列の効率的な翻訳には、特定の開始シグナも必要になる場合がある。これらのシグナルには、ATG開始コドンと隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと一致しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然と合成の両方のさまざまな起源のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることにより高めることができる(例えば、Bitter G et al.,(1987) Methods Enzymol.153:516-544参照されたい)。
【0257】
加えて、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾および加工する宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)および加工(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後加工および修飾のための特徴的かつ特定のメカニズムを有する。適切な細胞株または宿主システムを選択して、発現された外来タンパク質の正しい修飾および加工を保証することができる。この目的のために、遺伝子産物の一次転写物の適切なプロセシング、グリコシル化、およびリン酸化のための細胞機構を保有する真核生物宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、NIH 3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0(内因的にいずれの免疫グロブリン鎖も産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10、およびHsS78Bst細胞が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCR分子は、CHO細胞などの哺乳動物細胞で産生される。
【0258】
組換えTCRの長期発現のために、安定した発現細胞を生成できる。例えば、本明細書に記載のTCRを安定して発現する細胞株を改変することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供される細胞は、会合して本明細書に記載のTCRを形成するα鎖またはα鎖可変領域およびβ鎖またはβ鎖可変領域を安定に発現する。
【0259】
特定の態様では、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによって制御されるDNAで形質転換することができる。外来DNA/ポリヌクレオチドの導入後、改変された細胞を濃縮培地で1~2日間増殖させ、その後選択培地に切り替える。組換えプラスミドの選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドを染色体に安定して組み込み、増殖して、結果的に細胞株にクローニングして増殖させることのできるフォーカスを形成できるようにする。この方法は、本明細書に記載のTCRを発現する細胞株を改変するために有利に使用することができる。そのような改変された細胞株は、TCR分子と直接または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価に特に有用であり得る。
【0260】
それぞれ、tk-、hgprt-、またはaprt-細胞における、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler M et al.,(1977) Cell 11(1):223-32)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska EH & Szybalski W(1962) PNAS 48(12):2026-2034)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy I et al.,(1980) Cell 22(3):817-23)の遺伝子を含むがこれらに限定されない多くの選択システムを使用することができ、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、代謝拮抗剤耐性は、以下の遺伝子に対する選択の基礎として使用できる:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler M et al.,(1980) PNAS 77(6):3567-70;O’Hare K et al.,(1981) PNAS 78:1527-31);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan RC & Berg P(1981) PNAS 78(4):2072-6);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Wu GY & Wu CH(1991) Biotherapy 3:87-95;Tolstoshev P(1993) Ann Rev Pharmacol Toxicol 32:573-596;Mulligan RC(1993) Science 260:926-932;およびMorgan RA & Anderson WF(1993) Ann Rev Biochem 62:191-217;Nabel GJ & Felgner PL(1993) Trends Biotechnol 11(5):211-5);ならびにハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre RF et al.,(1984) Gene 30(1-3):147-56)、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。組換えDNA技術の技術分野で一般的に知られている方法は、所望の組換えクローンを選択するために日常的に適用でき、そのような方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel FM et al.,(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler M,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);およびChapters 12 and 13,Dracopoli NC et al.,(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994);Colbere-Garapin F et al.,(1981) J Mol Biol 150:1-14に記載される。
【0261】
TCR分子の発現レベルは、ベクター増幅によって高めることができる(総説については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Bebbington CR & Hentschel CCG,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3(Academic Press,New York,1987)を参照されたい)。TCRを発現するベクター系のマーカーが増幅可能であるとき、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルが増加すると、マーカー遺伝子のコピー数が増加した宿主細胞が選択される。増幅された領域はTCR遺伝子に関連しているため、TCRの産生も増加する(その全体が参照により本明細書に組み込まれるCrouse GF et al.,(1983) Mol Cell Biol 3:257-66)。
【0262】
他の態様では、宿主細胞は、本明細書に記載のTCRをコードする配列を含むウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはバキュロウイルスベクター)で形質導入することができる。特定の実施形態では、レトロウイルスベクターは、レンチウイルスベクター(例えば、HIV-1ゲノムの遺伝エレメントを含むベクター)またはウマ伝染性貧血ウイルスベクターである。特定の実施形態では、ベクターは、ウイルス粒子を提供するために、1つ以上のウイルスキャプシドタンパク質とともにパッケージされる。
【0263】
特定の実施形態では、ベクターは、本明細書に記載のTCRをコードする配列に作動可能に連結された転写および/または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、および/またはコザック配列)をさらに含む。代替的に、TCRをコードする配列は、転写および/または翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、および/またはコザック配列)に作動可能に連結されなくてもよいが、宿主細胞ゲノムの遺伝子座に隣接する配列に相同な配列が隣接し、TCRコード配列の組み込みにより、ゲノム遺伝子座またはその近傍の転写および/または翻訳制御配列からのコードされたTCRの発現が可能になる。
【0264】
宿主細胞は、本明細書に記載の2つ以上の発現ベクター、α鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクター、およびβ鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターで、共導入(例えば、共トランスフェクトまたは共形質導入)できる。2つのベクターは、α鎖およびβ鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含むことができる。宿主細胞は、異なる量の2つ以上の発現ベクターで共導入することができる。例えば、宿主細胞は、第1の発現ベクターと第2の発現ベクターの1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、または1:50の以下の比率のうちのいずれか1つで、共導入できる。いくつかの実施形態では、α鎖およびβ鎖のコード配列はDNAである。いくつかの実施形態では、α鎖およびβ鎖のコード配列はRNAである。
【0265】
代替的に、α鎖ポリペプチドとβ鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現できる単一のベクターを使用することができる。α鎖およびβ鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含むことができる。発現ベクターは、モノシストロン性またはマルチシストロン性であり得る。マルチシストロン性核酸コンストラクトは、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上、または2~5、5~10、もしくは10~20個の範囲の遺伝子/ヌクレオチド配列でコードすることができる。例えば、バイシストロン性核酸コンストラクトは、以下の順序で、プロモーター、第1の遺伝子(例えば、本明細書に記載のTCRのβ鎖)、および第2の遺伝子(例えば、本明細書に記載のTCRのα鎖)を含むことができる。このような発現ベクターでは、両方の遺伝子の転写はプロモーターによって駆動され、一方、第1の遺伝子からのmRNAの翻訳はキャップ依存性スキャン機構によって開始され、第2の遺伝子からのmRNAの翻訳はキャップに依存しないメカニズム、例えば、IRESによってなされる。代替的に、2つの遺伝子は、自己切断ペプチド(例えば、2Aペプチド)または細胞内もしくは細胞外プロテアーゼにより認識されるペプチド配列により作動可能に連結され得る。
【0266】
本明細書に記載のTCR分子が組換え発現により産生されると、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野で公知の任意の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、および選別カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の違い、またはタンパク質精製のための他の標準的な手法によって精製することができる。さらに、本明細書に記載のTCRは、精製を促進するために、本明細書に記載の、または当該技術分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合することができる。
【0267】
特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRは単離または精製されている。一般に、単離されたTCRは、単離されたTCRとは異なる抗原特異性を持つ他のTCRを実質的に含まないものである。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRの調製物は、細胞物質および/または化学前駆体を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という言葉には、TCRが単離または組換え産生された細胞の細胞成分からTCRが分離されているTCRの調製物が含まれる。したがって、細胞物質を実質的に含まないTCRには、約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%(乾燥重量で)未満の異種タンパク質(本明細書では「混入タンパク質」とも呼ばれる)および/またはTCRのバリアント、例えば、TCRの異なる翻訳後修飾形態もしくはTCRの他の異なるバージョン(例えばその断片)を有する、TCRの調製物が含まれる。TCRが組換え産生されるとき、それはまた一般に培地を実質的に含まない、すなわち、培地はタンパク質調製物の体積の約20%、10%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満を占める。TCRが化学合成により生成される場合、一般に化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、TCRの合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離される。したがって、そのようなTCRの調製物は、約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量による)未満の目的のTCR以外の化学前駆体または化学物質を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRは単離または精製されている。
【0268】
MLLポリペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)に結合するTCRは、TCRの合成について当該技術分野で公知の任意の方法、例えば、化学合成または組換え発現技術によって生成され得る。本明細書に記載の方法は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子分析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成および修飾、核酸ハイブリダイゼーション、および当業者の範囲内の関連分野における従来の技術を使用する。これらの技術は、例えば、本明細書に引用された参考文献に記載されており、文献に完全に説明されている。例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Maniatis T et al.,(1982) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J et al.,(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J et al.,(2001) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel FM et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987および年次改訂);Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(1987および年次改訂) Gait(ed.)(1984) Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein(ed.)(1991) Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press;Birren B et al.,(eds.)(1999) Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0269】
特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRは、例えばDNA配列の合成、遺伝子工学を介した創出を含む任意の手段により調製、発現、創出、または単離されたTCR(例えば組換えTCR)である。特定の実施形態では、そのようなTCRは、in vivoで動物または哺乳動物(例えば、ヒト)のTCR生殖系列レパートリー内に天然に存在しない配列(例えば、DNA配列、RNA配列、またはアミノ酸配列)を含む。
【0270】
一態様では、本明細書に提供されるのは、MLLポリペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)に結合するTCRを生成する方法であって本明細書に記載の細胞または宿主細胞を培養することを含む方法である。特定の態様では、本明細書に提供されるのは、MLLポリペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)に結合するTCRを生成する方法であって、本明細書に記載の細胞または宿主細胞(例えば、本明細書に記載のTCRをコードするポリヌクレオチドを含む細胞または宿主細胞)を使用してTCRを発現(例えば、組換え発現)することを含む、方法である。特定の実施形態では、細胞は単離された細胞である。特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドが細胞に導入されている。特定の実施形態では、本方法は、細胞または宿主細胞から得られたTCRを精製するステップをさらに含む。
【0271】
本明細書に記載のTCRは、当該技術分野で知られている様々なファージディスプレイ法を使用して生成することができる。ファージディスプレイ法では、機能的TCRドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を運ぶファージ粒子の表面に提示される。特に、VαおよびVβドメインをコードするDNA配列は、動物のcDNAライブラリー(例えば、罹患組織のヒトまたはマウスのcDNAライブラリー)から増幅される。VαおよびVβドメインをコードするDNAは、PCRによってペプチドリンカーに連結され、ファージミドベクターにクローニングされる。ベクターを大腸菌にエレクトロポレーションし、大腸菌にヘルパーファージを感染させる。これらの方法で使用されるファージは、典型的には、fdおよびM13を含む繊維状ファージであり、VαおよびVβドメインは通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換えにより融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、例えば、細胞の表面に提示されるか、固体表面またはビーズに捕捉されるそのような複合体を使用して、ペプチドまたはペプチド-MHC複合体で選択または同定することができる。本明細書に記載のTCRを生成するために使用できるファージディスプレイ法の例には、その全体が参照により本明細書に組み込まれるZhao Y et al.,(2007) J Immunol 179:5845-54に開示されるものが含まれる。
【0272】
上述の参考文献に記載されているように、ファージ選択後、ファージからのTCRコード領域を単離し、ヒトTCRを含むTCR全体を生成し、例えば、以下に記載されているように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の望ましい宿主で発現させることができる。
【0273】
特定の実施形態では、TCR全体を生成するために、VαまたはVβヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、テンプレート、例えばペプチドリンカーによって接続されたTCRの可変領域を含む単鎖TCRのクローンからVαまたはVβ配列を増幅することができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅VαドメインをVα定常領域を発現するベクターにクローニングし、PCR増幅VβドメインをVβ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。次いで、α鎖およびβ鎖ベクターを細胞株に同時または逐次的に共トランスフェクトして、当業者に公知の技術を使用してTCR全体を発現する安定または一過性の細胞株を生成する。VαまたはVβドメインは、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。次いで、ベクターを細胞株にトランスフェクトして、当業者に公知の技術を使用してTCR全体を発現する安定または一過性の細胞株を生成する。
【0274】
特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRのα鎖およびβ鎖をコードするポリヌクレオチド、またはそれを含むベクターからTCR全体を生成するために、TCRのα鎖およびβ鎖を含むポリペプチドをポリヌクレオチドまたはベクターから発現する。ポリペプチドは、必要に応じて、単離および/または精製される。ポリペプチドをフューリン酵素と接触させる。フューリン切断部位がRX1X2Rのアミノ酸配列を有し、配列中、X1がKまたはRであり、X2がKまたはR(配列番号98)である特定の実施形態では、ポリペプチドは、同時またはその後のいずれかでカルボキシペプチダーゼと接触させられ、カルボキシペプチダーゼがポリペプチドのC末端から塩基性アミノ酸KまたはRを除去する。
【0275】
キメラTCRは、TCRの異なる部分が異なるTCR分子、例えば異なる種のTCRに由来する分子である。
【0276】
特定の実施形態では、本明細書に記載のTCRとして配列番号45または47に示されるアミノ酸配列を含むペプチドの同一のエピトープに結合する本明細書に記載のTCRは、ヒトTCRである。ヒトTCRは、当該技術分野で公知の任意の方法を使用して産生され得る。例えば、機能的な内因性TCRを発現できないが、ヒトTCR遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを使用できる。特に、ヒトαおよびβ鎖TCR遺伝子は、ランダムに、または相同組換えによりマウス胚性幹細胞に導入することができる。マウスのαおよびβ鎖TCR遺伝子は、相同組換えによるヒトTCR遺伝子座の導入と別個に、または同時に非機能的とすることができる。特に、JH領域のホモ接合性の欠失により、内因性TCRの産生が妨げられる。改変された胚性幹細胞を増殖し、胚盤胞に微量注入して、キメラマウスを作成する。次いで、キメラマウスを交配させて、ヒトTCRを発現するホモ接合の子孫を生成する。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば、抗原(例えば、MLLペプチド、例えばMLLホスホペプチド)の全てまたは一部で通常の方法によって免疫される。抗原に対するTCRを含むTリンパ球は、免疫されたトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスが担持するヒトTCR導入遺伝子は、T細胞分化中に再配列する。したがって、そのような技術を使用して、in vivo免疫化から生じる治療的に有用なTCRを生成することが可能である。
【0277】
MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)に結合するヒトTCRは、ヒトTCR配列から派生したTCRライブラリーを使用したファージディスプレイ法または哺乳類ディスプレイを含む当該技術分野で知られている様々な方法により生成することができる。
【0278】
5.6 キット
さらに提供されるのは、本明細書に記載の1つ以上のTCR、その医薬組成物またはコンジュゲート、本明細書に記載の1つ以上のTCRをコードするポリヌクレオチド(例えば発現ベクター)、または本明細書に記載の1つ以上のTCRを発現する細胞を含むキットである。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される1つ以上のTCR、ポリヌクレオチド、または細胞など、本明細書に記載の医薬組成物の成分の1つ以上で満たされた1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットである。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の医薬組成物および本明細書に記載のものなどの任意の予防薬または治療薬を含む。特定の実施形態では、キットは、例えば、フィトヘマグルチニン(PHA)および/またはホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)などのT細胞マイトジェン、または抗CD3抗体および抗CD28抗体などのTCR複合体刺激抗体を含み得る。このような容器に必要に応じて付随するのは、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知であり得、この通知はヒトの投与のために製造、使用、または販売の代理店による承認を反映している。
【0279】
さらに提供されるのは、上述の方法で使用できるキットである。一実施形態では、キットは、本明細書に記載のTCR、例えば精製TCRを1つ以上の容器内に含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、対照抗原としてMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含む実質的に単離されたペプチド-MHC複合体を含む。別の特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体と反応しない対照TCRをさらに含む。別の特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号NO:45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体へのTCRの結合を検出するための1つ以上の要素を含む(例えば、TCRは、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物または発光化合物などの検出可能な基質にコンジュゲートすることができるか、またはTCRを認識する結合分子は、検出可能な基板にコンジュゲートすることができる)。特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含む、組換えにより生成または化学合成されたペプチド-MHC複合体を含むことができる。キットで提供されるMLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体は、固体支持体(例えば、固体表面またはビーズ)に結合され得るかまたは脂質膜(例えば、リポソーム、または固定細胞)に組み込み得る。より具体的な実施形態では、上述のキットの検出手段は、MLLペプチド(例えば、MLLホスホペプチド、例えば、配列番号45または47のアミノ酸配列からなるペプチド)を含むペプチド-MHC複合体が結合する固体支持体を含む。そのようなキットは、TCRを認識する非結合レポーター標識結合分子も含むことができる。この実施形態では、ペプチド-MHC複合体へのTCRの結合は、上記レポーター標識結合分子の結合により検出され得る。
【実施例】
【0280】
このセクション(すなわち、セクション6)の例は、例示のために提供されるものであり、限定のためのものではない。
【0281】
6.1 実施例1:新規MLL TCRの発見
MLLホスホペプチドに結合する新規TCRは、2つの独自のプラットフォームを使用して特定された。第1のプラットフォームは、機能的スクリーニングとNGSベースの配列決定により、ホスホペプチド特異的同族TCRαβ対が特定された初代T細胞増殖プラットフォームである。第2のプラットフォームは、TCRディスプレイプラットフォームであり、αおよびβ鎖ライブラリーがドナーPBMCから生成され、必要に応じて以前の標的特異的刺激なしで、標的特異的ホスホペプチド結合のためのTCR濃縮のラウンドが続く。
【0282】
6.1.1 細胞の調製
ヒト樹状細胞(DC)およびCD8+T細胞は、健康なドナーHLA-B*0702+PBMC(Cellular Technologies Ltd.,Shaker Heights,OH)から単離された。
【0283】
簡潔に述べると、CD14+単球は、製造者の取扱説明書(Miltenyi Biotech,Bergisch Gladbach,Germany、カタログ番号:130-050-201)に従って、抗CD14マイクロビーズを使用した磁気分離によるポジティブ選択によりPBMCから単離され、DCへの分化を誘導するために、5%ヒト血清(Sigma、カタログ番号:H3667-100mL)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Amimed Direct,London,UK、カタログ番号:4-01F00-H)、800U/mLのGM-CSF(Miltenyi Biotech、カタログ番号:130-095-372)、および10ng/mLのIL-4(Miltenyi Biotech、カタログ番号:130-093-917)を補充したCellGro(登録商標)DC-培地(Cell Genix、カタログ番号:20801-05500)からなる増殖培地で3日間培養された。10ng/mLのEscherichia coliのLPS(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,#L4391-1MG)、100U/mLのIFNγ(Peprotech,Rocky Hill,NJ、カタログ番号:300-02)、ならびに20μg/mLのMLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)またはFLUおよびCMV対照ペプチドを補充した増殖培地でさらに16時間インキュベートした後の完全な分化に続いて、DCは、50μg/mLのマイトマイシン(Sigma、カタログ番号:M05053-2MG)の存在下で60分間インキュベートし、樹状細胞の増殖を阻害した。抗原ペプチドの非存在下でインキュベートしたDCを対照試料として調製した。
【0284】
CD8+T細胞は、製造者の取扱説明書(Miltenyi Biotech、カタログ番号:130-096-495)に従って、磁気ビーズヒトCD8+T細胞分離キットを使用したネガティブ選択によりCD14+単球枯渇PBMCから単離された。CD8+T細胞は、抗CD8-PerCP(eBioscience,Thermo Fisher,Waltham,MA、カタログ番号:9043-0087-120)、抗CD45RA-PE-Cy7(eBiosciences、カタログ番号:25-0458-42)、抗CD45RO-FITC(eBioscience、カタログ番号:11-0457-42)、抗CD57-PE(Biolegend,San Diego,CA、カタログ番号:322312)、抗CCR7-BV421(BD horizon、カタログ番号:562555)、および抗CD62L-APC(eBioscience、カタログ番号:17-0629-42)試薬のカクテルで表面染色した後に、FACSAriaIII(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)セルソーターを使用して、CD45RO+/CD57-メモリーT細胞およびCD45RA+/CCR7+/CD62L+ナイーブT細胞集団に分離された。
【0285】
6.1.2 ヒトCD8+T細胞のホスホペプチド特異的刺激と染色
5μg/mLのIL-7(Miltenyi Biotech、カタログ番号:130-093-937)で16時間処理したメモリーおよびナイーブCD8+T細胞サブセット(1.0×106細胞/mL)を、30ng/mLのIL-21(Peprotech、カタログ番号:200-21)を補充した増殖培地中で、ペプチドでパルスした、またはパルスしていないDC(2.5×105細胞/mL)と、4:1のT細胞:DC比で10時間共インキュベートした。3、6、8、および10日後、5ng/mL(10日目に10ng/mL)のIL-15(BioLegend、カタログ番号:570302)およびIL-7を補充した新鮮な増殖培地を共培養に添加した。
【0286】
MLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)、Flu対照ペプチドQPEWFRNVL(配列番号84)、またはCMV対照ペプチドTPRVTGGGAM(配列番号85)をロードした10μLのHLA-B*0702五量体を添加した前に、共培養からの1.0×106個の細胞を1μMのダサチニブ(Cell Signaling Technology、カタログ番号:9052S)で処理した。抗CD8-Per-CP試薬の添加後、FACSCantoIIサイトメーターを使用したフローサイトメトリーにより、CD8+T細胞の五量体結合を評価した。その後、MLL-pMペプチドに結合するメモリーまたはナイーブCD8+T細胞を含む共培養の最大1.0×106個の細胞をモネンシン(1:1000)(eBioscience、カタログ番号:00-4505-51)およびブレフェルジンA(1:1000)(eBioscience、カタログ番号:004506-61)で処理し、上述のようにpMHC五量体で染色した。抗CD8-FITC、抗KLGR1-PerCP-eFluor710(eBioscience、カタログ番号:46-9488-49)、抗4-1BB-BV421、抗CD69-PE-Cy7(eBioscience、カタログ番号:25-069942)、抗IFNγ-APC(eBioscience、カタログ番号:17-7319-82)または抗IFNγ-PE(eBioscience、カタログ番号:12-7319-82)、および抗TNFα-BV510(BioLegend、カタログ番号:502950)を含むカクテルを使用して、T細胞活性化マーカーの表面および細胞内発現を検出した。細胞は、製造者の取扱説明書に従ってCytofix/Cytoperm(BD、カタログ番号:51-2090KZ)およびPermWash Buffer(BD、カタログ番号:51-2091KZ)を使用して、透過処理された。ペプチド五量体結合は、FACSCantoIIサイトメーターを使用して再評価され、MLL-pMペプチドに結合および/またはMLL-pM刺激に応答するメモリーおよびナイーブCD8+T細胞サブセットは、FACSAriaIIサイトメーターを使用して取得された。
【0287】
6.1.3 スクリーニングプロセスからの例示的なデータ
第1の研究では、17人のHLA-B*0702健常ドナーからのPBMCをMLL-pMペプチド(EPR[pS]PSHSM;配列番号45)またはMLL-pPペプチド(RVR[pS]PTRSP;配列番号47)によって7日間刺激し、その後IFNγおよびTNFαの細胞内サイトカイン染色(ICS)を実施した。ウイルスT細胞エピトープから選択された32個のペプチドのプールを陽性対照として使用した。
図1に示されているのは、ペプチドなしの陰性対照よりもTNFα産生が増加した3人のドナーからの代表的なデータである。
【0288】
第2の研究では、メモリーCD8+T細胞サブセットをペプチドでパルスしたか、またはパルスしていないDCと10日間共培養した。共培養からの細胞を、MLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)および抗CD8抗体をロードしたHLA-B*0702五量体で染色し、その後フローサイトメトリーによる結合評価を実施した。
図2に示されるように、細胞のCD8+五量体+集団は、MLL-pMペプチドでパルスしたDCと共培養した後に検出された。
【0289】
6.1.4 TCRサブライブラリーの生成とレトロウイルスの形質導入
TCRαおよびβ鎖用に個別のライブラリーが生成された。RNAは、RNeasy(登録商標)Midiキット(Qiagen、カタログ番号:75142)またはAllPrep(商標)DNA/RNAマイクロキット(Qiagen、カタログ番号:80204)を使用して、MLL-pMでパルスしたDCでの刺激により濃縮された健全なドナーのHLA-B*0702+PBMC-由来CD8+T細胞またはCD8+T細胞から単離された。単離されたRNAは、製造者の取扱説明書に従って、2100 Bioanalyzer(Agilent、カタログ番号:DE13701147)を使用したRNA6000 Picoアッセイ(Agilent、カタログ番号:5067-1513)で分析された。RNAはSMARTer(登録商標)RACE5’/3’キット(Clontech Laboratories、カタログ番号:634860)を使用してcDNAに転写され、可変TCRα(TRAVおよびTRAJ遺伝子)ならびにβ鎖(TRBVおよびTRBJ遺伝子)はマルチプレックスPCRによって別々に増幅された。
【0290】
得られた可変鎖TCRαおよびTCRβ遺伝子ライブラリーは、マウスCD3との相互作用およびマウスT細胞におけるシグナル伝達を可能にする膜貫通および細胞内ドメインを含むマウス非可変αまたはβ領域を含むレトロウイルス発現ベクター(MIGR1、Addgene、カタログ番号:27490に由来)に別々にクローニングされた。αおよびβ鎖発現ベクターは、それぞれ発現マーカーCD6およびCD7も含む。得られたプラスミドライブラリーの多様性は、次世代シーケンシング(NGS)によって評価された。安定した細胞TCRαβライブラリーを得るために、TCRαおよびTCRβライブラリープラスミドをマウス細胞株AK-D10R3に連続的に導入した。AK-D10R3はマウス胸腺腫由来マウスTCR陰性、マウスCD8陰性細胞株であり、キメラCD8(対応するマウスCD8αおよびβ膜貫通および細胞内領域に融合したヒトCD8αおよびβ細胞外領域)ならびにEGFPに作動可能に連結された3つのNFAT結合部位を含む最小IL-2プロモーターを含むT細胞活性化レポーター受容体コンストラクト(「IL-2-(NFAT)3-EGFP」レポーターコンストラクト)を発現する。αおよびβ鎖の発現は、抗ヒトCD6-bio(Antibodies Online、カタログ番号:ABIN609887)(1:1000)および抗マウスTCRβ-PE(BD Bioscience、カタログ番号:553172)(1:1000)試薬で染色した後にフローサイトメトリーで確認され、NGSによって最終的な鎖の分布と多様性が決定された。
【0291】
6.2 実施例2:マウス細胞における新規MLL TCRの特性評価
MLLホスホペプチドに結合する5つの新規TCRは、独自の哺乳類細胞TCRディスプレイプラットフォームを使用して開発された。これらのTCRの4つ、TCR0077、TCR0079、TCR0081、およびTCR0083は、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)-HLA-B*0702に結合する。これらのTCRの1つであるTCR0085は、RVR[pS]PTRSP(配列番号47)-HLA-B*0702に結合する。2つのホスホペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)およびRVR[pS]PTRSP(配列番号47)は、それぞれMLL-pMおよびMLL-pPペプチドと呼ばれた。これら5つのTCRのα鎖可変領域(Vα)およびβ鎖可変領域(Vβ)の配列を表4に示す。これらのTCRは、上述のマウス細胞株AK-D10R3の表面上で、ヒト可変領域がマウス定常領域に融合したキメラタンパク質として発現した。マウス定常領域は、マウスCD3との適切な固定と相互作用、およびマウスシグナル伝達経路の適切な誘発を保証する。
【0292】
6.2.1 TCR発現AK-D10R3細胞のペプチド-MHC五量体への結合
AK-D10R3細胞は、キメラTCRの、TCR0077、TCR0079、TCR0081、TCR0083、またはTCR0085を発現するように形質導入され、SF-IMDM培地(BioConcept、カタログ番号:1-28S07-1)を使用して37℃、10%CO2で3日間増殖させた。TCR陰性AK-D10R3細胞を陰性対照として含めた。1.0×105個のAK-D10R3細胞を96ウェルアッセイプレートのウェルごとに播種し、300×g、4℃で5分間遠心分離し、200μLのアッセイ緩衝液(2%FCSを補充した1×PBS)を使用して2回洗浄し、1.0×105個の細胞/100μLの濃度でアッセイ緩衝液に再懸濁した。染色には、20μLの抗マウスTCRβ鎖APC抗体(BD、カタログ番号:553174、クローンH57-597)(1:500)およびMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)(5μL/ウェルもしくは0.5μL/ウェル)、MLL-pPペプチドRVR[pS]PTRSP(配列番号47)(5μL/ウェル)、または非リン酸化対照ペプチドMLL-M EPRSPSHSM(配列番号46)(5μL/ウェル)をロードしたPE標識HLA-B*0702五量体(Proimmune)のストック溶液をウェルごとに添加した。室温で30分間インキュベートした後、細胞を2回洗浄し、BD FACSCanto IIサイトメーターを使用してフローサイトメトリーで分析した。TCR発現(APC+)対pMHC結合(PE+)について細胞を分析した。FlowJoソフトウェアを使用して、ドットプロットを生成し、TCR+pMHC+細胞のパーセンテージ(%)を決定した。
【0293】
図3に示すように、キメラTCRの、TCR0077、TCR0079、TCR0081、およびTCR0083は全てMLL-pM/HLA-B*0702五量体に結合するが、キメラTCRのTCR0085はMLL-pP/HLA-B*0702五量体に結合する。5つのTCRのいずれも、非リン酸化対照ペプチドMLL-MをロードしたHLA-B*0702五量体に結合しない。
【0294】
6.2.2 ペプチドでパルスしたHLA-B*0702 T2細胞によるTCR発現AK-D10R3細胞の活性化
IL-2-(NFAT)3-EGFPレポーターコンストラクトおよびキメラTCRのTCR0077、TCR0079、TCR0081、TCR0083、またはTCR0085を発現するAK-D10R3細胞を上述のようにSF-IMDM培地で培養した。並行して、HLA-B*0702陽性T2ターゲット細胞(「T2-B7細胞」)をMLLペプチドでパルスした。簡潔に述べると、T2-B7細胞を300×g、4℃で5分間遠心分離し、1×PBSで洗浄し、50μg/mLもしくは5μg/mLのMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)、50μg/mLのMLL-pPペプチドRVR[pS]PTRSP(配列番号47)、または50μg/mLの非リン酸化対照ペプチドMLL-M EPRSPSHSM(配列番号46)を補充した1×PBSで、1.0×106細胞/250μLの最終濃度に再懸濁した。細胞を37℃で3時間インキュベートし、1×PBSを使用して2回洗浄し、SF-IMDM培地を使用して5.0×106細胞/20mLの最終濃度に再懸濁した。200μL(5.0×104細胞)のTCR発現AK-D10R3細胞を96ウェルアッセイプレートのウェルごとに添加し、300×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。次いで、100μL(2.5×104細胞)のT2-B7ターゲット細胞懸濁液を各ウェルに添加し、37℃、10%CO2で16時間共インキュベートした。
【0295】
染色のために、細胞懸濁液を300×gで10分間遠心分離し、アッセイ緩衝液を使用して2回洗浄し、20μL/ウェルの染色溶液(1:500APC標識抗マウスTCRβ鎖抗体を補充した1×PBS)を使用して再懸濁し、室温で30分間インキュベートした。続いて、アッセイ緩衝液を使用して細胞を2回洗浄し、80μLのアッセイ緩衝液に再懸濁し、BD FACSCanto IIサイトメーターを使用したフローサイトメトリーにより分析した。TCRの発現(APC+)対T細胞の活性化(EGFP+)について、細胞をゲートした。FlowJoソフトウェアを使用して、ドットプロットを生成し、APC+EGFP+細胞のパーセンテージ(%)を決定した。T2-B7ターゲット細胞の非存在下で培養されたAK-D10R3、またはTCR発現AK-D10R3細胞と非パルスT2-B7細胞の共培養は陰性対照として機能した。
【0296】
キメラTCRの、TCR0077、TCR0079、TCR0081、またはTCR0083を発現するAK-D10R3細胞は、ホスホペプチドMLL-pMでパルスしたT2-B7細胞と共培養した後、IL-2-NFATレポーターコンストラクトの活性化を示したが、非リン酸化対照ペプチドMLL-Mでは示さなかった(
図4A)。キメラTCRのTCR0085は、ホスホペプチドMLL-pPでパルスしたT2-B7細胞と共培養した後、IL-2-NFATレポーターコンストラクトの活性化を媒介した(
図4A)。AK-D10R3細胞の活性化はMLL TCRとその同族ペプチド-MHC複合体間の相互作用に依存していたが、それは、AK-D10R3細胞を単独で試験したとき、またはTCR発現AK-D10R3細胞をペプチドでパルスしなかったT2-B7細胞とインキュベートしたとき、そのような活性化が観察されなかったからである(
図4B)。
【0297】
6.2.3 細胞毒性アッセイ
次に、同様の共培養試験において、TCR発現AK-D10R3細胞を、ペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞におけるアポトーシスを誘導する潜在能力について評価した。簡潔に述べると、T2-B7ターゲット細胞に5μg/mLもしくは50μg/mLのMLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)、50μg/mLのMLL-pPペプチドRVR[pS]PTRSP(配列番号47)、または50μg/mLの非リン酸化対照ペプチドMLL-M EPRSPSHSM(配列番号46)でパルスした。キメラTCRのTCR0077、TCR0079、TCR0081、TCR0083、またはTCR0085を発現するAK-D10R3細胞を、上述のように、500ng/mLの抗FAS試薬(Biolegend#305702、クローンEOS9.1)および10μMカンポテシン(Sigma#C9911)を補充したSF-IMDM培地(Amimed#1-28507-I)中で、37℃、10%CO2で16時間ペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞と共培養した。次いで、細胞を抗マウスTCRβ-APCおよび抗カスパーゼ3-PE(BD Biosciences#550821)で染色し、FACSCantoIIサイトメーターを使用したフローサイトメトリーにより評価した。パルスされていないT2-B7細胞またはAK-D10R3細胞の非存在下でのT2-B7細胞を含む共培養は、対照として機能した。
【0298】
図5に示すように、キメラTCRのTCR0077、TCR0079、TCR0081、またはTCR0083を発現するAK-D10R3細胞は、MLL-pMホスホペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞においてカスパーゼ3発現レベルを増加させたが、非リン酸化対照ペプチドMLL-MでパルスしたT2-B7細胞ではそうならなかった。キメラTCRのTCR0085を発現するAK-D10R3細胞は、MLL-pPホスホペプチドでパルスしたT2-B7細胞のカスパーゼ3発現レベルを増加させた(
図5)。カスパーゼ3の発現は、パルスしていないT2-B7細胞またはTCR発現AK-D10R3細胞の非存在下でのT2-B7細胞を含む共培養では最小であった(
図5)。
【0299】
6.2.4 アラニンスキャニングを使用したTCR特異性の特性評価
MLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)の抗原認識を評価するため、IL-2-(NFAT)3-EGFPレポーターコンストラクトおよびキメラTCRのTCR0077またはTCR0085を発現するAK-D10R3細胞、またはTCR陰性AK-D10R3細胞を、MLL-pMペプチドまたはそのアラニン修飾バリアント:MLL-pM-A1 APR[pS]PSHSM(配列番号49)、MLL-pM-A2 EAR[pS]PSHSM(配列番号50)、MLL-pM-A3 EPA[pS]PSHSM(配列番号51)、MLL-pM-A4 EPRAPSHSM(配列番号52)、MLL-pM-A5 EPR[pS]ASHSM(配列番号53)、MLL-pM-A6 EPR[pS]PAHSM(配列番号54)、MLL-pM-A7 EPR[pS]PSASM(配列番号55)、MLL-pM-A8 EPR[pS]PSHAM(配列番号56)、もしくはMLL-pM-A9 EPR[pS]PSHSA(配列番号57)でパルスしたT2-B7ターゲット細胞と、2:1のターゲット:エフェクター比で、37℃、10%CO2において、16時間共培養した。抗マウスTCRβ-APC抗体で染色した後、IL-2-(NFAT)3-EGFPレポーターの発現をフローサイトメトリーで評価した。TCRの発現対T細胞の活性化(EGFP+)について、細胞をゲートした。FlowJoソフトウェアを使用して、ドットプロットを生成し、APC+EGFP+細胞のパーセンテージ(%)を決定した。データは、グラフ生成のためにペプチドでパルスしていないT2-B7細胞を含む共培養について決定された活性化値の減算によるバックグラウンド補正のためにMicrosoft Excelにコピーされた。
【0300】
図6Aに示すように、キメラTCRのTCR0077を発現するAK-D10R3細胞は、MLL-pMペプチド、MLL-pM-A3ペプチド、またはMLL-pM-A8ペプチドでパルスしたT2-B7細胞と共培養された後、IL-2-NFATレポーターコンストラクトの活性化を示した。TCR0077を発現するAK-D10R3細胞を、MLL-pMの他のアラニン修飾バリアント、MLL-M対照ペプチド、またはMLL-pP対照ペプチドでパルスしたT2-B7細胞とインキュベートすると、最小限の活性化が検出された(
図6A)。対照として、キメラTCRのTCR0085を発現するAK-D10R3細胞を同じ条件下で試験し、これらの細胞はMLL-pPでパルスしたT2-B7細胞の存在下でのみEGFP発現の増加を示したが、MLL-Mペプチド、MLL-pMペプチド、またはMLL-pMペプチドのアラニン修飾バリアントのいずれかでパルスしたT2-B7細胞ではそうならなかった(
図6B)。
【0301】
6.2.5 X-scanを使用したTCR特異性の特性評価
TCR0077およびTCR0081の標的特異性は、以下に記載されるように、ペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)のバリアントのライブラリーを使用する「xスキャン」アッセイにより評価された。
【0302】
ペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)のバリアントセットが調製され、配列番号45のアンカー位置P2(P)およびP9(M)を除く各ペプチドの各アミノ酸位置は、19の他の可能な天然に存在するアミノ酸うちのそれぞれと個別に置換され、位置P4([pS])は、非リン酸化セリンでさらに置換された。得られた134のバリアントペプチドを表8に列挙する。TCR0077とTCR0081の特異性プロファイルは、134のバリアントペプチドまたは親ペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)のうちの1つをロードしたT2-B7ターゲット細胞と共培養した後のTCRを発現するAK-D10R3エフェクター細胞の活性化を測定することによって評価された。
【0303】
AK-D10R3細胞を、キメラTCRのTCR0077またはTCR0081、キメラマウス/ヒトCD8、3つのNFAT結合部位(3×NFAT)を含む最小のIL-2プロモーターに連結されたEGFP-レポーターコンストラクトで安定に形質導入した。細胞は、3%ウシ胎仔血清(FCS;Amimed Direct)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(SIGMA-ALDRICH,St.Louis,MO)、および50μMのβ-メルカプトエタノール(Gibco,Fisher Scientific,UK)を補充したSF-IMDM(Amimed Direct,London,UK)中で、37℃、10%CO2で培養した。ATCC(CRL-1992(商標))からの抗原提示するタップ欠損T2(174×CEM.T2)細胞は、10%FCSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI 1640(SIGMA-ALDRICH)中で、37℃および5%CO2で維持された。
【0304】
ペプチド(Peptides and Elephants,Germanyから購入、または社内で製造)をDMSOに懸濁し、濃度を4mg/mlに調整した。
【0305】
T2-B7細胞をPBS(Gibco)で洗浄し、1×106個の細胞あたり134個の改変ペプチドのそれぞれの20μgとともに、37℃、5%CO2で3時間インキュベートした。インキュベーション後、T2-B7細胞をPBS/2%FCSで洗浄し、SF-IMDM培地に再懸濁した。目的のTCRを発現するエフェクター細胞をペプチドでパルスしたT2-B7細胞(96ウェルプレートのウェルあたり合計150,000個の細胞)と1:2比で、SF-IMDM培地中で、37℃および10%CO2で、16時間共培養した。細胞を2%FCS/PBSで2回洗浄し、1:500希釈の抗マウスTCR-β鎖抗体(クローンH57-597;BD Pharmingen,San Jose,CA)で、室温で30分間染色した。細胞を2回洗浄した後、BD FACSCanto(商標)IIフローサイトメーター(Becton Dickinson)を使用してFACS分析を実施した。
【0306】
データ分析は、FlowJo V10ソフトウェアを使用して実施された。TCR活性化は、AK-D10R3集団におけるEGFP発現細胞のパーセンテージとして計算された(AK-D10R3細胞はTCR発現に基づいて同定された)。バックグラウンドの活性化(アッセイのT2-B7細胞にペプチドがロードされていない場合)は、ペプチドがロードされた全ての試料(改変された天然配列)から差し引かれた。バックグラウンドを差し引いた値の平均および平均の標準誤差(SEM)は、全ての複製(各TCRに対して少なくとも3回の複製)から計算され、値はペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)のものに対して正規化され、表示目的で正規化された値が最小0.0(ヒートマップのみ)および最大1.0(ヒートマップのみ)にトリミングされた。正規化された値は、
図7A(TCR0077)および7B(TCR0081)のヒートマップ形式、ならびに
図8A(TCR0077)および8B(TCR0081)の棒グラフ形式で示される。
【0307】
ヒートマップと棒グラフは、試験された各TCRの明確な特異性プロファイルを明らかにする。一般に、白の大きいパーセンテージ(正規化値が低い)は、上述のアッセイと関連してMLL-pM同族ペプチドの変異に対する耐性が低く、MLL-pM同族ペプチドに対する特異性が高いことを示す。
図7Aおよび7Bに示すように、TCR0077とTCR0081は両方ともMLL-pM同族ペプチドの各残基位置に対して様々な程度の特異性を示した。
【0308】
【0309】
6.3 実施例3:初代ヒトT細胞における新規MLLTCRの特性評価
この実施例では、上述のキメラTCRのTCR0077およびTCR0085は、それぞれTCR0078およびTCR0086と呼ばれる完全ヒトTCRとして発現した。TCR0078は、可変領域のフレームワーク4の少数の変異を除き、可変領域配列をTCR0077と共有し、ヒト定常領域を含む。具体的には、TCR0078は、それぞれ配列番号58および59に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。TCR0086は可変領域配列をTCR0085と共有し、ヒト定常領域を含む。TCR0086は、それぞれ配列番号70および71に示されるアミノ酸配列を含むα鎖およびβ鎖を含む。この実施例に記載されるような、TCR0078またはTCR0086の例示的な発現コンストラクトは、TCRβ鎖、P2A自己切断部位、およびTCRα鎖を順番にコードする融合タンパク質をコードする。表1に列挙されているように、例示的な未成熟TCR0078またはTCR0086融合タンパク質(α鎖とβ鎖の両方のためのシグナルペプチドを含む)は、それぞれ配列番号83または92に示されるアミノ酸配列を有する。発現後、融合タンパク質はP2A部位で切断され、TCR0078(それぞれ配列番号236および237)またはTCR0086の成熟αおよびβ鎖を生成する。配列番号236に示されるように、TCR0078の例示的な成熟α鎖は、融合タンパク質上のクローニングの傷に起因する、そのコア配列(配列番号58)のC末端へのGSアミノ酸残基伸長を含む。配列番号237に示されるように、TCR0078の例示的な成熟β鎖は、融合タンパク質のP2A切断から生じる、そのコア配列(配列番号59)のC末端への短いペプチド伸長(GSGATNFSLLKQAGDVEENPG、配列番号93)を含む。さらなる例示的な未成熟TCR0078融合タンパク質(α鎖とβ鎖の両方のためのシグナルペプチドを含む)は、表1に示されるように、配列番号266~271に示されるアミノ酸配列を有する。
【0310】
6.3.1 形質導入されたT細胞の表面でのTCR0078の発現
初代T細胞は、1×106細胞/mlの濃度で、CD3/CD28Dynabeads(登録商標)(Thermo Fisher,Waltham,MA)と、1:1のT細胞:ビーズ比で、37℃48時間の共インキュベーションにより刺激された。次いで、T細胞に、レンチゲン(Gaithersburg,MD)によって作製された、TCR0078(配列番号83)のβ鎖、P2A切断部位、およびα鎖を順番にコードするレンチウイルスを形質導入した。形質導入のために、8μg/mlポリブレン(EMD,Millipore)を含む新鮮なT細胞培地にT細胞/ビーズを1×106細胞/mlで再懸濁した。細胞懸濁液をレンチウイルス(MOI10:1)と混合し、形質導入を促進するために、32℃、1200gで90分間遠心分離した。細胞/ビーズ懸濁液を37℃で4時間インキュベートし、その後1容量のT細胞培地を添加し、細胞/ビーズを37℃で一晩さらにインキュベートした。翌日、細胞を洗浄し、T細胞培地に1×106細胞/mlで再懸濁した後、37℃でさらにインキュベートした。形質導入後3日目に、DynaMagマグネット(Thermo Fisher)を使用して細胞培養からビーズを除去した。形質導入後5日目に、TCR0078発現をフローサイトメトリーにより評価した。具体的には、製造者の取扱説明書に従って、細胞を最初にZombie NIR(商標)(Biolegend)で染色して、死細胞から生細胞を区別した。次いで、細胞を洗浄し、MLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45;ProImmune,Inc,Oxford,UK)をロードしたPE結合HLA-B*0702五量体、ならびに抗CD3-FITC、抗CD4-PerCp/Cy5.5、および抗CD8-PE/Cy7抗体(Biolegend)を含む抗体カクテルで、光から保護して室温で30分間染色した。非形質導入T細胞を陰性対照として使用した。染色されたT細胞を洗浄し、BD FACSCanto(商標)IIサイトメーターを使用したフローサイトメトリーで分析した。
【0311】
TCR0078は、無傷の生きた一重項T細胞で効率的に発現した。
図9Aに示されるように、対照細胞については、検出された細胞の62.8%が無傷であった(左パネル)。これらの無傷の細胞のうち、99.2%が生細胞であった(中央のパネル)。これらの生細胞のうち、81.3%が一重項であった(右パネル)。TCR0078で形質導入された細胞については同一のフローサイトメトリーゲートが使用され、同様のデータが得られた(データ示さず)。残りの実験で使用するために、無傷の生きた一重項細胞を選択した。対照T細胞については、CD3と五量体染色の両方で陽性であったのは1.11%のみであった(
図9B、左パネル)。TCR0078で形質導入された細胞では、58.1%がCD3と五量体の両方で陽性であった(
図9B、右パネル)。TCR0078形質導入細胞における高レベルの五量体染色は、刺激されたT細胞におけるTCR0078の陽性発現の指標であった。
【0312】
対照とTCR0078を発現する刺激されたT細胞との両方は、主に2つの集団:CD8+/CD4-細胞集団とCD8-/CD4+細胞集団のうちの1つに存在した。対照T細胞は、44.6%CD8+/CD4-および49.1%CD8-/CD4+であった(
図9C、左パネル)。TCR0078形質導入細胞の全集団(
図9C、中央パネル)および五量体染色により決定されたTCR0078発現細胞(
図9C、右パネル)について同様の結果が得られた。また、CD8+またはCD4+集団は、五量体染色のレベルを示すために提示されたフローサイトメトリーデータで識別できた(
図9D、両方のパネル)。
【0313】
6.3.2 KG1aターゲット細胞と共培養されたMLLTCRを発現するヒトT細胞の特性評価
初代ヒトT細胞をTCR0078またはTCR0086をコードするmRNAと混合し、0日目にエレクトロポレーションした。2つのTCRは、TCRβ鎖、P2A切断部位、およびTCRα鎖を順番にコードするベクターから発現した。1日目に、MLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)またはMLL-pPペプチドRVR[pS]PTRSP(配列番号47)をロードしたHLA-B*0702五量体で染色した後、フローサイトメトリーによりターゲットTCR発現を評価した。次いで、Celltrace Violet細胞増殖キット(Life Technologies、カタログ番号:C34557)を使用して、T細胞を標識した。並行して、KG1a細胞(内因的にMLLを発現し、HLA-B*0702(「KG1a-B7細胞」)またはHLA-A*0201(「KG1a-A2細胞」を過剰発現する骨髄性白血病細胞株)は、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)(Biolegend、カタログ番号:423801)で標識された。Celltrace Violet標識T細胞は、CFSE標識KG1a-B2細胞またはKG1a-A2細胞と4:1~0.25:1の範囲のエフェクター:ターゲット比で共培養された。抗CD3および抗CD28抗体とともにインキュベートしたT細胞を陽性対照として使用した。2日目に、フローサイトメトリーを使用して、細胞をCD25発現、CD107a発現、T細胞増殖、およびターゲット細胞の特異的殺傷について評価した。モックmRNA(対照TCRをコードするmRNA)をエレクトロポレーションした初代ヒトT細胞を陰性対照として使用した。
【0314】
2:1のエフェクター:ターゲット比での代表的な実験を
図10に示す。MLL TCR TCR0078またはTCR0086を発現するT細胞は、CD25発現、CD107a発現、およびT細胞増殖によって測定されるとき、HLA-B*0702を発現するKG1a細胞によってのみ活性化されたが、HLA-A*0201を発現するKG1a細胞によっては活性化されなかった。モックmRNAでエレクトロポレーションされたT細胞は同じ条件下では活性化されなかったため、T細胞の活性化はMLL TCRの発現に依存していた(
図10)。
【0315】
MLL TCR TCR0078またはTCR0086を発現するT細胞は、低いエフェクター:ターゲット比でもKG1-B7ターゲット細胞を特異的に殺傷することができたが、モックmRNAでエレクトロポレーションされたT細胞は、ターゲット細胞を殺傷しなかった(
図11)。
【0316】
6.3.3 IL-2-NFATルシフェラーゼレポーター発現T細胞株を使用したTCR0078の特性評価
この研究では、IL-2-NFATルシフェラーゼレポーターT細胞株を使用して、さまざまな腫瘍細胞株と共培養した際にTCR0078を発現するT細胞の活性化の特異性を評価する。具体的には、IL-2-NFAT応答エレメントと短いCMV最小プロモーターの制御下でルシフェラーゼレポーターを安定して発現するJurkat細胞株J.RT3-T3.5(ATCC(登録商標)カタログ番号:TIB-153(商標))は、セクション6.3.1で記載したのと同じレンチウイルスで形質導入された。簡潔に述べると、対照(形質導入されていない)またはTCR0078形質導入されたJurkat細胞は、さまざまなJurkat:腫瘍(エフェクター:ターゲット)細胞比(0.1:1~2:1の範囲)で、HLA-B*0702を安定的に発現するKG1a、HLA-B*0702を安定的に発現するK562細胞(MLLを内因的に発現する骨髄性白血病細胞株)、Loucy細胞(MLLおよびHLA-B*0702を内因的に発現するリンパ芽球性白血病細胞株)、またはNamalwa細胞(MLLおよびHLA-B*0702を内因的に発現するバーキットリンパ腫細胞株)と37℃で24時間共培養した。次いで、製造者の取扱説明書に従って、細胞を洗浄し、溶解し、Nano-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega,Madison,WI)と混合した。Jurkat細胞活性化の程度を表す、発現したIL-2-NFAT-ルシフェラーゼレポーターからの発光が記録された。製造者の取扱説明書に従って、IL-2-NFATレポーターの活性化の陽性対照として、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセテート(PMA)、およびイオノマイシン(Biolegend)を使用して、対照およびTCR0078で形質導入されたJurkatエフェクター細胞で最大のNFAT-ルシフェラーゼ発現を誘導した。
【0317】
図12Aに示されるように、TCR0078を発現するJurkat細胞は、HLA-B*0702を安定的に発現するKG1a細胞またはK562細胞と様々な比率で共培養するときに大幅に活性化された。Namalwa細胞は、試験した全てのエフェクター:ターゲット比でTCR0078発現Jurkat細胞を活性化した。Loucy細胞は、
図12Bに示す対照Jurkat細胞活性化レベルと比較して、より高いエフェクター:ターゲット比でTCR0078発現Jurkat細胞を活性化した。予想どおり、PMA/ロノマイシンはJurkat細胞で最大のレポーター活性化を誘導した(
図12C)。
【0318】
前述のレポーター活性化アッセイは、他の腫瘍ターゲット細胞でも実施された。H929細胞およびU266B1細胞(どちらもHLA-B*0702を内因的に発現する)、ならびにHLA-B*0702を過剰発現するTHP-1細胞(HLA-B*0702陰性)は全て、Jurkatエフェクター細胞を活性化した(
図13Aおよび13C)。Raji細胞(ATCC(登録商標)CCL-86(商標)、HLA-B*0702陰性細胞株)とLCL721.221細胞(MHC-I陰性ヒト細胞株)の両方は、HLA-B*0702を過剰発現しているときに、KG1a-HLA-B*0702細胞よりも強力に、Jurkatエフェクター細胞(
図13Bおよび13C)を大幅に活性化した。対照的に、YT-Indy細胞(HLA-B*0702陰性)、J.RT3-T3.5細胞(HLA-B*0702陰性)、Raji細胞、THP-1細胞、およびLCL721.221細胞はJurkatエフェクター細胞を活性化しなかった(
図13A-13C)。
【0319】
6.3.4 T細胞活性化およびターゲット細胞殺傷に対するペプチド用量漸増の影響
次に、MLL特異的TCRの感受性を評価する研究が実施された。簡潔に述べると、0日目に、初代ヒトT細胞を上述のようにモックmRNA(対照TCRをコードするmRNA)またはTCR0078 mRNAでエレクトロポレーションした。1日目に、HLA-B*0702を発現するT2細胞(「T2-B7細胞」)をCelltrace Violet細胞増殖キット(Life Technologies、カタログ番号:C34557)を使用して標識し、MLL-pMペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)または非リン酸化MLL-M対照ペプチドEPRSPSHSM(配列番号46)の用量漸増でパルスした。次いで、T2-B7ターゲット細胞を、1:1のエフェクター:ターゲット比でCFSE(Biolegend、カタログ番号:423801)で標識されたエレクトロポレーションされたT細胞と共培養した。抗CD3および抗CD28抗体とともにインキュベートしたT細胞を陽性対照として使用した。2日目に、フローサイトメトリーを使用して、細胞をCD25発現、CD107a発現、およびターゲット細胞の特異的殺傷について評価した。
【0320】
図14に示すように、MLL TCR TCR0078を発現するT細胞は、低用量のペプチドでも、ホスホペプチドMLL-pMでパルスしたT2-B7ターゲット細胞によって活性化された。非リン酸化MLL-M対照ペプチドはT細胞を活性化しないため、T細胞の活性化はホスホセリル部分の存在に依存していた(
図14、右上および右下のパネル)。モックmRNAでエレクトロポレーションされたT細胞は、ターゲット細胞によって活性化されなかった(
図14)。
【0321】
T細胞活性化の観察と一致して、MLL TCR TCR0078を発現するT細胞はMLL-pMペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞を効果的に殺傷したが、非リン酸化MLL-M対照ペプチドでパルスしたT2-B7ターゲット細胞を殺傷しなかった(
図15)。モックmRNAでエレクトロポレーションされたT細胞は、ターゲット細胞を殺傷しなかった(
図15)。
【0322】
MLLホスホペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)に対するTCRの感受性を評価する同様の研究が、TCR0078を安定に発現する初代T細胞を使用して実施された。簡潔に述べると、セクション6.3.1に記載されているように、TCR0078(配列番号83)をコードするレンチウイルスで初代T細胞を形質導入した。13日後、MLLホスホペプチドの存在下で、形質導入されたT細胞の活性化およびターゲット細胞に対する細胞傷害活性を試験した。HLA-B*0702を発現するT2細胞(「T2-B7細胞」)をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)(Biolegend、カタログ番号:423801)で標識し、EPR[pS]PSHSM(配列番号45)ホスホペプチドまたはEPRSPSHSM(配列番号:46)ペプチドのいずれかの用量漸増で2.5時間パルスした。次いで、パルスしたT2-B7細胞(ターゲット)を、Cell Trace(商標)Violet細胞増殖キット(Life Technologies,Carlsbad,CA、カタログ番号:C34557)を使用してあらかじめ標識した、TCR0078(エフェクター)を発現する初代T細胞と、1:1のエフェクター:ターゲット比で、37℃において20時間共培養した。翌日に、細胞傷害活性(T2-B7細胞の殺傷により測定)およびエフェクター初代T細胞のCD25およびIFN-γ発現を、フローサイトメトリーにより評価した。Cell Trace(商標)Violet染色で検出された生T2-B7細胞の数を計数した。死滅したT2-B7細胞のパーセンテージ(エフェクター初代T細胞と共培養していない総T2-B7細胞数から共培養後の生T2-B7細胞数を引き、次いで共培養していない総T2-B7細胞数で割って計算された)は、エフェクター初代T細胞の細胞傷害活性を表す。CD25の検出では、製造者の取扱説明書に従って、最初に細胞をZombie NIR(商標)(Biolegend)で染色して生細胞を識別し、次いで抗CD25-PE/Cy7抗体(Biolegend)で染色した。IFN-γ発現の検出のために、染色の前に細胞をブレフェルジンAおよびモネンシン(Biolegend)とともに5時間インキュベートした。前述のように、細胞生存率染色ならびにCD25-PE/Cy7、CD4-PerCP/Cy5.5、およびCD8/PEに対する表面染色の後、製造者の取扱説明書に従って、細胞を固定および透過処理(Biolegned)してから、抗IFN-γ-FITC抗体(バイオレジェンド)によって染色した。測定された蛍光は、CD25およびIFN-γの発現レベルを示した。
【0323】
図16A~16Cに示されるように、細胞傷害活性、CD25発現、およびIFN-γ発現の増加が、ホスホペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)濃度の増加とともに用量依存的な様式でエフェクター初代T細胞で観察された。対照的に、非修飾MLL-Mペプチドは、T細胞の細胞傷害活性、CD25発現、またはIFN-γ発現を増加させなかった(
図16A~16C)。これらの結果は、TCR0078がホスホペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)に特異的であることを示す。
【0324】
HLA-B*0702およびホスホペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)に対するTCR0078特異性をさらに特性評価するため、TCR0078で形質導入された初代T細胞を、HLA-B*0702またはHLA-A*02.01のいずれかを発現するペプチドでパルスしたT2細胞と共培養した。次いで、細胞を染色し、CD25およびIFN-γT細胞の発現を、上述と同一の方法を使用してフローサイトメトリーで分析した。
【0325】
図17Aおよび17Bに示すように、ホスホペプチドEPR[pS]PSHSM(配列番号45)でパルスしたT2-HLA-B*0702と共培養すると、初代T細胞が活性化された。対照的に、ホスホペプチドまたは非修飾ペプチドのいずれかでパルスしたT2-HLA-A*02.02と共培養したとき、初代T細胞は活性化されなかった。
【0326】
6.4 実施例4:がん治療としてのTCR0078の特性評価
6.4.1 ターゲット細胞として腫瘍細胞を使用したTCR0078の特性評価
腫瘍細胞株に対するTCR0078の有効性を評価するために、TCR0078で形質導入するかまたは形質導入されていない初代T細胞をKG1a細胞(内因的にMLLを発現し、HLA-B*0702またはHLA-A*02.02を過剰発現する)と、実施例3で説明されているように、さまざまなエフェクター:ターゲット比で20時間共培養した。細胞を染色し(例えば、Zombie NIR(商標)、抗CD25抗体、および抗IFN-γ抗体により)、細胞傷害活性およびエフェクター初代T細胞の活性化を、実施例3に記載のようにフローサイトメトリーで分析した。
【0327】
さまざまなエフェクター:ターゲット比での、HLA-A*02.01を発現するKG1a細胞ではなく、HLA-B*0702を安定的に発現するKG1a細胞によるTCR0078発現初代T細胞の活性化は、ターゲットKG1a細胞の殺傷の増加(図.18A)、ならびにエフェクター初代T細胞におけるCD25(
図18B)およびIFN-γ(
図18C)発現の増加によって確認された。対照的に、形質導入されていない初代T細胞(陰性対照)は、前述のKG1a細胞株のいずれによっても活性化されなかった。
【0328】
内因性または組換えHLA-B*0702を発現する様々な腫瘍細胞(KG1a細胞、K562細胞、SK-MEL-5細胞、U266B1細胞、およびNamalwa細胞)と、さまざまなエフェクター:ターゲット比で共培養した初代T細胞(TCR0078形質導入を有するかまたは有さない)を使用して、同様のアッセイを実施した。初代T細胞の活性化は、実施例3に記載されているようなプロトコールおよびフローサイトメトリー法を使用して、ターゲット腫瘍細胞の殺傷により測定された。
図19に示すように、TCR0078を発現する初代T細胞は、さまざまなエフェクター:ターゲット比で、組換えHLA-B*0702を安定に発現するターゲットKG1a(
図19A)およびK562(
図19B)細胞、ならびにSK-MEL-5細胞(
図19C)およびU266B1細胞(
図19D)の殺傷を大幅に促進したが、TCR0078を発現しない対照T細胞ではそうならなかった。エフェクター初代T細胞の細胞傷害活性はそれほど強力ではなかったが、ターゲットNamalwa細胞に対して統計的に有意であった(
図19E)。
【0329】
6.4.2 TCR0078のin vivo抗がん活性
TCR0078発現初代T細胞のin vivoでの有効性を評価するために、KG1a-HLA-B*0702腫瘍を担持する免疫抑制NOGマウス(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)でのT細胞養子移入実験を実施した。
【0330】
養子移入の前に、TCR0078で形質導入された初代T細胞をin vitroで試験して、KG1a-HLA-B*0702腫瘍細胞に対する活性化と細胞傷害活性を確認した。前述のように、対照およびTCR0078で形質導入されたT細胞は、さまざまなエフェクター:ターゲット比で腫瘍細胞と共培養された。実施例3に記載されるように、殺細胞効率およびT細胞活性化をフローサイトメトリーにより分析した。
【0331】
図20Aに示すように、TCR0078を発現するT細胞は、HLA-B*0702を発現するターゲットKG1a細胞の様々なエフェクター:ターゲット比での殺傷を有意に促進したが、対照T細胞ではそうならなかった。TCR0078を発現する初代T細胞におけるCD25発現も、対照T細胞のCD25レベルと比較して大幅に増加した(
図20B)。したがって、TCR0078を発現する初代T細胞は、in vitroでKG1a-HLA-B*0702細胞によって活性化され、それに対する細胞傷害活性を有していた。
【0332】
養子移入のために、0日目に、100万個のKG1a-HLA-B*0702腫瘍細胞を20匹のマウスのそれぞれに皮下注射した。15日前にTCR0078で形質導入した5×106個の初代T細胞を、1日目に10匹のマウスに静脈内注射した。他の10匹のマウスは、対照として注射しなかった。T細胞の注入とホーミングを確認するために、腫瘍の長さと幅を測定し、腫瘍の体積を計算した(測定された長さと幅を掛け、次いで0.52を掛けることにより)後に、注射した10匹のマウスのうち2匹を7日目に屠殺した。他の注射および対照マウスの腫瘍の体積は、7日目とその後42日目まで3~5日ごとに同一の方法で計算された。その後、腫瘍移植後42日目に全てのマウスを屠殺し、T細胞および腫瘍細胞を検出するために、脾臓を採取、処理、およびZombie NIR(商標)試薬、抗CD3抗体、および抗CD45抗体(Biolegend)で染色した。
【0333】
図21Aに示すように、TCR0078発現T細胞を注射したマウスは、注射していないマウスと比較して、平均して大幅に遅い腫瘍増殖を示した。42日間生存している8匹全ての注射マウスのうち、2匹のみが大幅な腫瘍増殖を示し(
図21Aの注射していないマウスの腫瘍体積に匹敵する
図21Bの白い円)、他の6匹は最小の腫瘍増殖を示し(
図21Bの黒丸)、大幅な腫瘍抑制を示している。フローサイトメトリーにより検出するとき、
図21Bで大幅な腫瘍増殖を示す1匹のマウスは、注射されたヒトT細胞として0.027%の脾臓細胞(CD45+/CD3+)および転移性腫瘍細胞として0.25%の脾臓細胞(CD45+/CD3-)を有していた(
図21C、左パネル)。対照的に、
図21Bで腫瘍増殖が最小の1匹のマウスは、CD45+/CD3+T細胞としての脾臓細胞のパーセンテージが大きく(72.5%)、転移性CD45+/CD3-腫瘍細胞としての脾臓細胞のパーセンテージが小さく(0.037%)(
図21C、右パネル)、TCR0078を発現するT細胞の注射が転移および腫瘍体積を阻害したことを示している。
* * *
【0334】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、説明されたものに加えて、本発明の様々な修正が、上述の説明および添付の図面から当業者に明らかになるであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0335】
本明細書に引用された全ての参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)は、あたかも個々の参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)が具体的かつ個別にあらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれていることが示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0336】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【配列表】