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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】調光フィルムおよび液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
G02F1/13357
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020516231
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2019015928
(87)【国際公開番号】W WO2019208261
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2018087509
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100150212
【弁理士】
【氏名又は名称】上野山 温子
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅徳
(72)【発明者】
【氏名】武本 博之
(72)【発明者】
【氏名】平井 真理子
(72)【発明者】
【氏名】吉川 仁
(72)【発明者】
【氏名】杉野 昌子
【審査官】小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-071953(JP,A)
【文献】特開2007-212816(JP,A)
【文献】特開2010-032821(JP,A)
【文献】特開2013-164434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
G02F 1/1334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルと、該液晶セルの視認側に配置された視認側偏光板と、該液晶セルの視認側と反対側に配置された背面側偏光板とを備える液晶パネルと;調光フィルムと;該調光フィルムに対向する出光面から略法線方向に指向性を有し、かつ、特定方向に振動する直線偏光成分を高い比率で含む光を出射する面光源装置と;を視認側からこの順に備え、該直線偏光成分の振動方向が、該背面側偏光板の透過軸と略平行である、液晶表示装置において、該調光フィルムとして用いられ、
第1の透明基材と;第1の透明電極層と;液晶化合物を含み、印加される電圧に応じて光透過状態と光散乱状態とを切り替え可能な調光層と;第2の透明電極層と;第2の透明基材と;をこの順に備え
該第1の透明基材の正面位相差が、50nm以下であり、
該第2の透明基材の正面位相差が、50nm以下であり、
光透過状態において、85%~99%の全光線透過率を有する、調光フィルム。
【請求項2】
前記第1の透明基材と前記第1の透明電極層との間および/または前記第2の透明基材と前記第2の透明電極層との間に、屈折率調整層が設けられている、請求項1に記載の調光フィルム。
【請求項3】
前記第1の透明基材の前記第1の透明電極層が配置される側と反対側および/または前記第2の透明基材の前記第2の透明電極層が配置される側と反対側に、反射防止層が設けられている、請求項1または2に記載の調光フィルム。
【請求項4】
前記第1の透明基材および前記第2の透明基材が、シクロオレフィン系樹脂を含む、請求項1から3のいずれかに記載の調光フィルム。
【請求項5】
光透過状態におけるヘイズが、15%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の調光フィルム。
【請求項6】
光透過状態における全光線透過率および光散乱状態における全光線透過率がいずれも、85%~99%である、請求項1から5のいずれかに記載の調光フィルム。
【請求項7】
液晶セルと、該液晶セルの視認側に配置された視認側偏光板と、該液晶セルの視認側と反対側に配置された背面側偏光板とを備える液晶パネルと;
請求項1から6のいずれかに記載の調光フィルムと;
該調光フィルムに対向する出光面から略法線方向に指向性を有し、かつ、特定方向に振動する直線偏光成分を高い比率で含む光を出射する面光源装置と;
を、視認側からこの順に備え
該直線偏光成分の振動方向が、前記背面側偏光板の透過軸と略平行である、液晶表示装置。
【請求項8】
前記面光源装置が、光源部と、該光源部からの光を、該光源部に対向する側面から入射させ、視認側表面から出射する導光板と、を備え、
前記直線偏光成分が、該導光板の光の導光方向と略平行な面内で振動する、請求項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光フィルムおよび該調光フィルムを用いた広視野角と狭視野角とを切り替え可能な液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、液晶表示装置は、視認者の位置が固定されずあらゆる角度から視認される場面(例えば、電子広告、通常使用のテレビ、パソコン等)で用いられる場合、広視野角が求められる。広視野角の実現のため、拡散シート、プリズムシート、広視野角液晶パネル、広視野角偏光板等を用いた様々な技術が検討されている。その一方で、視認者の位置が狭い範囲に限定されている場合、のぞき見を防止する等の目的から、狭い視野角での画像表示が可能な液晶表示装置(例えば、携帯電話、公共の場で用いるノートパソコン、現金自動預け払い機、乗り物のシートモニター等に用いられる液晶表示装置)も求められている。
【0003】
広視野角と狭視野角とを切り替え可能な液晶表示装置として、特許文献1では、液晶パネルと、視野角制御手段と、プリズムシートと、導光板とを視認側からこの順に備える液晶表示装置が提案されている。特許文献1の液晶表示装置においては、プリズムシートが導光板から出光した光を視野角制御手段に集光し、かつ、視野角制御手段が光の透過状態を変化させることにより、視野角の広狭を制御することができる。
【0004】
しかしながら、近年のプライバシーや情報管理に対する意識の高まりに伴い、狭視野角表示時の視野角をより狭くすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-310085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、広視野角と狭視野角とを切り替え可能な液晶表示装置であって、狭視野角表示時により狭い視野角を実現できる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの局面によれば、第1の透明基材と;第1の透明電極層と;液晶化合物を含み、印加される電圧に応じて光透過状態と光散乱状態とを切り替え可能な調光層と;第2の透明電極層と;第2の透明基材と;をこの順に備える調光フィルムが提供される。該第1の透明基材の正面位相差が、50nm以下であり、該第2の透明基材の正面位相差が、50nm以下であり、該調光フィルムは、光透過状態において、85%~99%の全光線透過率を有する。
1つの実施形態において、上記第1の透明基材と上記第1の透明電極層との間および/または上記第2の透明基材と上記第2の透明電極層との間に、屈折率調整層が設けられている。
1つの実施形態において、上記第1の透明基材の上記第1の透明電極層が配置される側と反対側および/または上記第2の透明基材の上記第2の透明電極層が配置される側と反対側に、反射防止層が設けられている。
1つの実施形態において、上記第1の透明基材および上記第2の透明基材が、シクロオレフィン系樹脂を含む。
1つの実施形態において、光透過状態におけるヘイズが、15%以下である。
1つの実施形態において、光透過状態における全光線透過率および光散乱状態における全光線透過率がいずれも、85%~99%である。
本発明の別の局面によれば、液晶表示装置が提供される。該液晶表示装置は、液晶セルと、該液晶セルの視認側に配置された視認側偏光板と、該液晶セルの視認側と反対側に配置された背面側偏光板とを備える液晶パネルと;上記調光フィルムと;上記調光フィルムに対向する出光面から略法線方向に指向性を有する光を出射する面光源装置と;を、視認側からこの順に備える。
1つの実施形態において、上記面光源装置が、上記調光フィルムに対向する出光面の略法線方向に指向性を有し、かつ、特定方向に振動する直線偏光成分を高い比率で含む光を出射し、該直線偏光成分の振動方向が、上記背面側偏光板の透過軸と略平行である。
1つの実施形態において、上記面光源装置が、光源部と、該光源部からの光を、該光源部に対向する側面から入射させ、視認側表面から出射する導光板と、を備え、上記直線偏光成分が、該導光板の光の導光方向と略平行な面内で振動する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の調光フィルムを用いることにより、広視野角と狭視野角との切り替え性能を有する液晶表示装置において、狭視野角表示時により狭い視野角を実現することができる。また、本発明の1つの実施形態によれば、高い解像度を有する液晶表示装置において、高い輝度を維持しつつ、広視野角と狭視野角とを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態による調光フィルムの概略断面図である。
図2】本発明の1つの実施形態による液晶表示装置の概略断面図である。
図3】本発明の1つの実施形態による液晶表示装置に用いられる面光源装置を説明する概略図である。
図4】電圧無印加時および電圧印加時における液晶表示装置Aの表示画面の水平方向(a)および垂直方向(b)における輝度の極角依存性を示すグラフである。
図5】狭視野角設定時の液晶表示装置AおよびBに関して、表示画面の水平方向における輝度の極角依存性を示すグラフ(a)とその要部拡大図(c)ならびに表示画面の垂直方向における輝度の極角依存性を示すグラフ(b)とその要部拡大図(d)である。
図6】各電圧印加時において、正面方向(極角0°)の輝度に対して1、2、3、5または10%未満の輝度となる角度(極角)とその際の調光フィルムのヘイズとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、本明細書において、第1の透明基材および第2の透明基材を透明基材と総称すること、および、第1の透明電極層および第2の透明電極層を透明電極層と総称することがある。また、透明基材と透明電極層とを含む積層体を、透明導電性フィルムと称することもある。さらに、本明細書において単に「直交」というときは、実質的に直交または略直交な状態を含み得るものとする。具体的には、本明細書において、「直交」、「実質的に直交」および「略直交」という表現は、2つの方向のなす角度が90°±10°である場合を包含し、好ましくは90°±7°であり、さらに好ましくは90°±5°である。同様に、本明細書において単に「平行」というときは、実質的に平行または略平行な状態を含み得るものとする。具体的には、本明細書において、「平行」、「実質的に平行」および「略平行」という表現は、2つの方向のなす角度が0°±10°である場合を包含し、好ましくは0°±7°であり、さらに好ましくは0°±5°である。
【0011】
A.調光フィルム
A-1.調光フィルムの全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態における調光フィルムの概略断面図である。調光フィルム100は、第1の透明基材10aと、第1の透明電極層20aと、調光層30と、第2の透明電極層20bと、第2の透明基材10bとをこの順に備える。第1の透明基材10aと第1の透明電極層20aとの間および第2の透明基材10bと第2の透明電極層20bとの間にそれぞれ、屈折率調整層40a、40bが設けられている。屈折率調整層40aおよび/または40bは、本発明の効果が得られる限りにおいて、省略されてもよい。また、図示しないが、第1の透明基材10aの外側(換言すれば、第1の透明電極層20aが配置される側と反対側)および/または第2の透明基材10bの外側(換言すれば、第2の透明電極層20bが配置される側と反対側)に、反射防止層が設けられてもよい。
【0012】
調光フィルムの全体厚みは、例えば50μm~250μm、好ましくは80μm~200μmである。
【0013】
調光フィルムは、光透過状態において、好ましくは80%~99%の平行光線透過率、より好ましくは83%~99%の平行光線透過率を有する。光透過状態における平行光線透過率が上記範囲内である場合、調光フィルムが液晶表示装置に組み込まれた際に、バックライト側から入射した指向性を有する光をその指向性を維持した状態で透過させることができるので、より狭い視野角を実現することができる。
【0014】
調光フィルムは、代表的には、光透過状態において85%~99%の全光線透過率を有する。また、調光フィルムは、光透過状態および光散乱状態の両方において、好ましくは85%~99%の全光線透過率、より好ましくは88%~95%の全光線透過率を有する。全光線透過率が上記範囲内である場合、調光フィルムが高精細(例えば、解像度150ppi以上)の液晶表示装置に組み込まれた場合であっても、輝度の低下を抑制しつつ、広視野角と狭視野角とを切り替えることができる。
【0015】
調光フィルムは、光透過状態において、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下のヘイズを有し得る。光透過状態におけるヘイズが上記範囲内である場合、調光フィルムが液晶表示装置に組み込まれた際に、より狭い視野角表示を実現することができる。
【0016】
調光フィルムは、光散乱状態において、好ましくは30%以上、より好ましくは50%~99%のヘイズを有し得る。光散乱状態におけるヘイズが上記範囲内である場合、調光フィルムが液晶表示装置に組み込まれた際に、バックライト側から入射した指向性を有する光を散乱させることができるので、広視野角を好適に実現することができる。
【0017】
後述するとおり、調光フィルムの光の拡散度合い(結果として、ヘイズ)は、印加される電圧に応じて変化する。1つの実施形態においては、調光フィルムのヘイズが所定の値以上(例えば30%以上、好ましくは50%以上)である場合を光散乱状態とし、該ヘイズが所定の値未満(例えば15%以下、好ましくは10%以下)である場合を光透過状態ということができる。光の透過状態(散乱状態)を制御するために調光フィルムに印加される電圧(駆動電圧)は、例えば100V以下、好ましくは50V以下である。
【0018】
A-2.第1の透明基材
第1の透明基材は、50nm以下、好ましくは0nm~30nm、より好ましくは0nm~10nmの正面位相差を有する。位相差値が上記範囲内である場合、後述のB項に記載されるとおり、広視野角と狭視野角とを切り替え可能な液晶表示装置に用いられた際に、より狭い視野角表示を実現することができる。なお、本明細書において正面位相差(R)は、23℃下において、面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率をnxとし、面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率をnyとし、位相差フィルムの厚みをd(nm)としたとき、R=(nx-ny)×dによって求められる値であり、特に明記しなければ波長590nmにおける値をいう。
【0019】
第1の透明基材は、代表的には、熱可塑性樹脂を主成分とする高分子フィルムである。高分子フィルムは、平滑性および透明電極層形成用組成物に対する濡れ性に優れ、また、ロールによる連続生産により生産性を大幅に向上させ得る。
【0020】
上記熱可塑性樹脂としては、所望の正面位相差を得る観点から、ポリノルボルネン等のシクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂等が好ましく用いられる。なかでも耐熱性に優れているシクロオレフィン系樹脂が好ましい。
【0021】
上記ポリノルボルネンとは、出発原料(モノマー)の一部または全部に、ノルボルネン環を有するノルボルネン系モノマーを用いて得られる(共)重合体をいう。当該ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5-メチル-2-ノルボルネン、5-ジメチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3-ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6-メチル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-エチル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-エチリデン-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-クロロ-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-シアノ-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-ピリジル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-メトキシカルボニル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3~4量体、例えば、4,9:5,8-ジメタノ-3a,4,4a,5,8,8a,9,9a-オクタヒドロ-1H-ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9-トリメタノ-3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a-ドデカヒドロ-1H-シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
【0022】
上記ポリノルボルネンとしては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR社製の商品名「アートン(Arton)」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学社製の商品名「APEL」が挙げられる。
【0023】
第1の透明基材の厚みは、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは5μm~100μmであり、さらに好ましくは20μm~80μmである。
【0024】
A-3.第1の透明電極層
第1の透明電極層は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)等の金属酸化物を用いて形成され得る。あるいは、第1の透明電極層は、銀ナノワイヤ(AgNW)等の金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ(CNT)、有機導電膜、金属層またはこれらの積層体によって形成され得る。第1の透明電極層は、目的に応じて、所望の形状にパターニングされ得る。
【0025】
第1の透明電極層の全光線透過率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。
【0026】
第1の透明電極層の表面抵抗値は、好ましくは0.1Ω/□~1000Ω/□であり、より好ましくは0.5Ω/□~500Ω/□であり、さらに好ましくは1Ω/□~250Ω/□である。
【0027】
第1の透明電極層の厚みは、例えば、0.01μm~0.10μm、好ましくは0.01μm~0.06μmであり、より好ましくは0.01μm~0.045μmである。このような範囲であれば、導電性および光透過性に優れる電極層を得ることができる。
【0028】
第1の透明電極層は、スパッタ等の方法を用いて、必要に応じて屈折率調整層が形成された第1の透明基材上に直接設けられ得る。代替的に、第1の透明電極層は、スパッタ等の方法を用いて支持基材上に形成され、該支持基材を介して第1の透明基材の片側に配置されてもよい。
【0029】
A-4.調光層
調光層は、液晶化合物を含む。液晶化合物を含む調光層は、代表的には、高分子マトリクス中に液晶化合物を分散させて構成される。該調光層においては、電圧印加状態により、液晶化合物の配向度を変化させることにより光の散乱度合いを変化させ、これにより、光透過状態と光散乱状態とを切り替えることができる。
【0030】
1つの実施形態において、調光層は、電圧が印加された状態で光透過状態となり、電圧が印加されていない状態で光散乱状態となる(ノーマルモード)。この実施形態においては、電圧無印加時においては液晶化合物が配向していないために光散乱状態となり、電圧の印加によって液晶化合物が配向して液晶化合物の屈折率と高分子マトリクスの屈折率とが揃う結果、光透過状態となる。
【0031】
別の実施形態において、調光層は、電圧が印加された状態で光散乱状態となり、電圧が印加されていない状態で光透過状態となる(リバースモード)。この実施形態においては、透明電極層表面に設けられた配向膜によって電圧無印加時に液晶化合物が配向して光透過状態となり、電圧の印加によって液晶化合物の配向が乱れて光散乱状態となる。
【0032】
上記のような調光層としては、高分子分散型液晶を含む調光層、高分子ネットワーク型液晶を含む調光層等が挙げられる。高分子分散型液晶は、高分子マトリクス中に液滴状の液晶化合物が分散された構造を有する。高分子ネットワーク型液晶は、高分子ネットワーク中に液晶化合物が分散された構造を有しており、高分子ネットワーク中の液晶は、連続相を有する。
【0033】
高分子分散型液晶の場合、液晶化合物の液滴の平均粒子径は、例えば2μm~10μmであり得る。高分子ネットワーク型液晶の場合、高分子ネットワークによって形成される液晶ドメインの平均径は、例えば3μm~10μmである。当該平均径が小さすぎると、広視野角表示時に長波長側の散乱性が不十分となりニュートラルな色相にならないという問題が生じ得る。一方、当該平均径が大きすぎると、後方への反射散乱が大きくなる結果、光透過率が低下し得る。
【0034】
上記液晶化合物としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な非重合型液晶化合物が用いられ得る。例えば、波長589nmにおいて0.05~0.30の複屈折Δn(=n-n;nは液晶化合物分子の長軸方向の屈折率、nは液晶化合物分子の短軸方向の屈折率)を有する非重合型液晶化合物が好ましく用いられ得る。液晶化合物の複屈折が小さすぎると、広視野角表示時に十分な散乱性が得られないという問題が生じ得る。また、液晶化合物の複屈折が大きすぎると、後方への反射散乱が大きくなる結果、光透過率が低下し得る。液晶化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.05~0.12である。
【0035】
上記液晶化合物の誘電異方性は、正でも負でもよい。液晶化合物は、例えば、ネマティック型、スメクティック型、コレステリック型液晶化合物であり得る。光透過状態において優れた透明性を実現できることから、ネマティック型液晶化合物を用いることが好ましい。上記ネマティック型液晶化合物としては、ビフェニル系化合物、フェニルベンゾエート系化合物、シクロヘキシルベンゼン系化合物、アゾキシベンゼン系化合物、アゾベンゼン系化合物、アゾメチン系化合物、ターフェニル系化合物、ビフェニルベンゾエート系化合物、シクロヘキシルビフェニル系化合物、フェニルピリジン系化合物、シクロヘキシルピリミジン系化合物、コレステロール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
【0036】
調光層中における液晶化合物の含有量は、例えば30重量%~95重量%、好ましくは35重量%~95重量%であり、より好ましくは40重量%~90重量%である。
【0037】
高分子マトリクスを形成する樹脂は、光透過率、上記液晶化合物の屈折率等に応じて適切に選択され得る。光等方性樹脂であってもよく、光異方性樹脂であってもよい。1つの実施形態において、当該樹脂は、活性エネルギー線硬化型樹脂であり、例えば、重合型液晶化合物の硬化によって得られる液晶ポリマー、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド樹脂等が好ましく用いられ得る。
【0038】
調光層中における高分子マトリクスの含有量は、好ましくは1重量%~60重量%であり、より好ましくは5重量%~50重量%である。高分子マトリクスの含有量が1重量%未満であると、透明導電性フィルムとの密着性が低くなる等の問題が生じ得る。一方、高分子マトリクスの含有量が60重量%を超えると、駆動電圧が高くなる、調光機能が低下する等の問題が生じ得る。
【0039】
A-5.第2の透明基材
第2の透明基材については、第1の透明基材と同様の説明が適用できる。第2の透明基材は、第1の透明基材と同様の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。
【0040】
A-6.第2の透明電極層
第2の透明電極層については、第1の透明電極層と同様の説明が適用できる。第2の透明電極層は、第1の透明電極層と同様の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。
【0041】
A-7.屈折率調整層
本発明においては、透明基材と透明電極層との間に屈折率調整層が設けられ得る。屈折率調整層を設けることにより、透明基材-透明電極層間における界面反射が抑制されるので、液晶表示装置に組み込まれた際に、バックライト側への反射散乱の低減(結果として、光透過率の向上)に寄与し得る。屈折率調整層は、単層からなってもよく、2層以上の積層体であってもよい。
【0042】
屈折率調整層の屈折率は、1.3~1.8であることが好ましく、1.35~1.7であることがより好ましく、1.40~1.65であることが更に好ましい。これにより、透明基材-透明電極層間における界面反射を好適に低減できる。
【0043】
屈折率調整層は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。屈折率調整層を形成する材料としては、NaF、NaAlF、LiF、MgF、CaF2、SiO、LaF、CeF、Al、TiO、Ta、ZrO、ZnO、ZnS、SiO(xは1.5以上2未満)等の無機物や、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー等の有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。
【0044】
屈折率調整層は、平均粒径が1nm~100nmのナノ微粒子を含んでいてもよい。屈折率調整層中にナノ微粒子を含有することによって、屈折率調整層自体の屈折率の調整を容易に行うことができる。屈折率調整層に用いられるナノ微粒子の平均粒径は、好ましくは5nm~30nmである。
【0045】
屈折率調整層中のナノ微粒子の含有量は0.1重量%~90重量%であることが好ましい。また、屈折率調整層中のナノ微粒子の含有量は10重量%~80重量%であることがより好ましく、20重量%~70重量%であることがさらに好ましい。
【0046】
ナノ微粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、中空ナノシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が挙げられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化ニオブが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
屈折率調整層の厚みは、10nm~200nmであることが好ましく、20nm~150nmであることがより好ましく、30nm~130nmであることがさらに好ましい。屈折率調整層の厚みが過度に小さいと連続被膜となりにくい。また、屈折率調整層の厚みが過度に大きいと、光透過状態における調光層の透明性が低下したり、クラックが生じ易くなる傾向がある。
【0048】
屈折率調整層は、上記の材料を用いて、ウエット法、グラビアコート法やバーコート法等の塗工法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成できる。
【0049】
A-8.反射防止層
本発明においては、調光フィルムの表面、すなわち、透明基材の透明電極層が設けられる側と反対側に反射防止層が設けられ得る。反射防止層を設けることにより、液晶表示装置に組み込まれた際に、バックライト側への反射散乱の低減(結果として、光透過率の向上)に寄与し得る。反射防止層は、反射率に大きな影響を与えない範囲において、フッ素基含有のシラン系化合物、フッ素基含有の有機化合物等を含む防汚層をその表面に有していてもよい。
【0050】
反射防止層の波長550nmの光の反射率は、好ましくは0.1%~1.0%であり、より好ましくは0.1%~0.5%である。
【0051】
反射防止層の形成においては、一般に、入射光と反射光の逆転した位相が互いに打ち消し合うように、薄膜の光学膜厚(屈折率と厚みの積)が調整される。反射防止層は、単層の薄膜からなってもよく、2層以上の薄膜の積層体であってもよい。反射防止層を、屈折率の異なる2層以上の薄膜の積層体とすることにより、可視光の広帯域の波長範囲において、反射率を小さくできる。
【0052】
反射防止層を構成する薄膜の材料としては、金属の酸化物、窒化物、フッ化物、フッ素樹脂、中空シリカを分散した樹脂等が挙げられる。例えば、屈折率1.25~1.55程度の低屈折率材料として、中空ナノシリカ分散フッ素樹脂、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等、屈折率1.80~2.40程度の高屈折材料として、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等が挙げられる。また、低屈折率層と高屈折率層に加えて、屈折率1.50~1.85程度の中屈折率層として、例えば、酸化チタンや、上記低屈折率材料と高屈折材料の混合物(酸化チタンと酸化ケイ素との混合物等)からなる薄膜を形成してもよい。
【0053】
反射防止層の積層構成としては、光学膜厚240nm~260nm程度の高屈折率層と、光学膜厚120nm~140nm程度の低屈折率層との2層構成;光学膜厚170nm~180nm程度の中屈折率層と、光学膜厚60nm~70nm程度の高屈折率層と、光学膜厚135nm~145nm程度の低屈折率層との3層構成;光学膜厚25nm~55nm程度の高屈折率層と、光学膜厚35nm~55nm程度の低屈折率層と、光学膜厚80nm~240nm程度の高屈折率層と、光学膜厚120nm~150nm程度の低屈折率層との4層構成;光学膜厚15nm~30nm程度の低屈折率層と、光学膜厚20nm~40nm程度の高屈折率層と、光学膜厚20nm~40nm程度の低屈折率層と、光学膜厚240nm~290nm程度の高屈折率層と、光学膜厚100nm~200nm程度の低屈折率層との5層構成等が挙げられる。反射防止層を構成する薄膜の屈折率や膜厚の範囲は上記例示に限定されない。また、反射防止層は、6層以上の薄膜の積層体でもよい。
【0054】
反射防止層の形成方法は特に限定されず、ウェットコーティング法、ドライコーティング法のいずれでもよい。膜厚の均一な薄膜を形成し得ること、および膜厚の調整が容易であることから、真空蒸着、CVD,スパッタ、電子線蒸等のドライコーティング法が好ましい。
【0055】
A-9.調光フィルムの作製方法
上記調光フィルムは、任意の適切な方法により形成され得る。例えば、透明基材とその片側に設けられた透明電極層および必要に応じて屈折率調整層および/または反射防止層とを有する一対の透明導電性フィルムを準備し、一方の透明導電性フィルムの透明電極層面に、調光層形成用組成物を塗布して塗布層を形成し、該塗布層上に他方の透明導電性フィルムを透明電極層が塗布層に対向するようにして積層して積層体を形成し、活性エネルギー線ないし熱により塗布層を硬化させることにより、調光フィルムを得ることができる。このとき、調光層形成用組成物は、例えば、高分子マトリクスを形成するためのモノマー(好ましくは、活性エネルギー線硬化型モノマー)および液晶化合物を含む。
【0056】
あるいは、高分子マトリクスとなる樹脂と液晶化合物とを共通溶媒に溶解して調光層形成用溶液を作製し、上記と同様の透明導電性フィルムの透明電極層面に、該調光層形成用溶液を塗布し、乾燥により溶媒を除去して高分子マトリクスと液晶とを相分離させること(溶媒乾燥相分離)により調光層を形成し、その後、該調光層上に別途の透明導電性フィルムを透明電極層が調光層に対向するように積層することにより、調光フィルムを得ることができる。なお、上記調光層形成用溶液の代わりに、高分子マトリクス樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液もしくは高分子マトリクスをエマルション化した水系樹脂エマルション液中に液晶化合物を分散させた液晶エマルション液を用いてもよい。
【0057】
B.液晶表示装置
B-1.液晶表示装置の全体構成
図2は、本発明の1つの実施形態による液晶表示装置1を説明する図である。本実施形態の液晶表示装置1は、液晶セル210と、液晶セル210の視認側に配置された視認側偏光板220と、液晶セル210の視認側と反対側に配置された背面側偏光板230とを備える液晶パネル200と;調光フィルム100と;調光フィルム100に対向する出光面の略法線方向に指向性を有する光を出射する面光源装置300と;を視認側からこの順に備える。ここで、「略法線方向」とは、法線方向から所定の角度内の方向、例えば、法線方向から±10°の範囲内の方向を包含する。また、「略法線方向に指向性を有する光」とは、出光面に直交する1つの平面において輝度の強度分布の最大強度のピークが該出光面に対して略法線方向にある強度分布を有する光であって、例えば、極角40°以上の輝度が、法線方向(極角0°)の輝度に対して2%以下であることが好ましく、極角50°以上の輝度が法線方向(極角0°)の輝度に対して1%以下であることがより好ましい。ここで、極角とは液晶表示装置の法線方向(正面方向)と液晶表示装置からの出射光とのなす角をいう。なお、液晶表示装置1には、説明等は省略するが、この他に、液晶表示装置として動作するために必要とされる通常の配線、回路、部材などの機器が備えられている。
【0058】
上記液晶表示装置1において、調光フィルム100は、A項に記載の調光フィルムである。出光面の略法線方向に指向性を有する光を出射する面光源装置300と高い透過率を有する調光フィルム100とを組み合わせて用いることにより、調光フィルムが光透過状態下では、指向性を有する光がその指向性を維持したまま調光フィルムを透過できる結果、狭視野角表示を好適に実現することができる。また、調光フィルムを光散乱状態とすることにより、透過光を散乱させて広視野角表示に切り替えることができる。
【0059】
B-2.液晶パネル
液晶パネルは、代表的には、液晶セルと、該液晶セルの視認側に配置された視認側偏光板と、該液晶セルの背面側に配置された背面側偏光板とを備える。視認側偏光板および背面側偏光板は、それぞれの吸収軸が実質的に直交または平行となるようにして配置され得る。
【0060】
液晶セルは、一対の基板と、当該基板間に挟持された表示媒体としての液晶層とを有する。一般的な構成においては、一方の基板に、カラーフィルター及びブラックマトリクスが設けられており、他方の基板に、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線及びソース信号を与える信号線と、画素電極及び対向電極とが設けられている。上記基板の間隔(セルギャップ)は、スペーサー等によって制御できる。上記基板の液晶層と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜等を設けることができる。
【0061】
1つの実施形態においては、液晶層は、電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を含む。このような液晶層(結果として、液晶セル)は、代表的には、nx>ny=nzの3次元屈折率を示す。なお、本明細書において、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、nyとnzとが実質的に同一である場合も包含する。このような3次元屈折率を示す液晶層を用いる駆動モードの代表例としては、インプレーンスイッチング(IPS)モード、フリンジフィールドスイッチング(FFS)モード等が挙げられる。なお、上記のIPSモードは、V字型電極又はジグザグ電極等を採用した、スーパー・インプレーンスイッチング(S-IPS)モードや、アドバンスド・スーパー・インプレーンスイッチング(AS-IPS)モードを包含する。また、上記のFFSモードは、V字型電極又はジグザグ電極等を採用した、アドバンスド・フリンジフィールドスイッチング(A-FFS)モードや、ウルトラ・フリンジフィールドスイッチング(U-FFS)モードを包含する。
【0062】
別の実施形態においては、液晶層は、電界が存在しない状態でホメオトロピック配列に配向させた液晶分子を含む。このような液晶層(結果として、液晶セル)は、代表的には、nz>nx=nyの3次元屈折率を示す。電界が存在しない状態でホメオトロピック配列に配向させた液晶分子を用いる駆動モードとしては、例えば、バーティカル・アライメント(VA)モードが挙げられる。VAモードは、マルチドメインVA(MVA)モードを包含する。
【0063】
視認側偏光板および背面側偏光板はそれぞれ、代表的には、偏光子と、その少なくとも片側に配置された保護層とを有する。偏光子は、代表的には吸収型偏光子である。
【0064】
上記吸収型偏光子の波長589nmの透過率(単体透過率ともいう)は、好ましくは41%以上であり、より好ましくは42%以上である。なお、単体透過率の理論的な上限は50%である。また、偏光度は、好ましくは99.5%~100%であり、更に好ましくは99.9%~100%である。上記の範囲であれば、液晶表示装置に用いた際に正面方向のコントラストをより一層高くすることができる。
【0065】
上記偏光子としては、任意の適切な偏光子が用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素等の二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く、特に好ましい。偏光子の厚みは、好ましくは、0.5μm~80μmである。
【0066】
上記保護層としては、任意の適切なフィルムが用いられる。このようなフィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、(メタ)アクリル系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。上記ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0067】
B-3.面光源装置
出光面の略法線方向に指向性を有する光を出射する面光源装置としては、薄型化の観点から、光源部と;該光源部からの光を、該光源部に対向する側面(入光面)から入射させ、視認側表面(出光面)から出射する導光板と;を備えるエッジライト方式の面光源装置が好ましく用いられる。エッジライト方式の面光源装置は、光源部を導光板の1つの側面に沿って配置した1灯式と呼ばれる面光源装置であってもよく、光源部を導光板の対向する2つの側面に沿ってそれぞれ配置した2灯式と呼ばれる面光源装置であってもよい。
【0068】
光源部は、導光板の側面に沿って配列された複数の点光源から構成され得る。点光源としては、指向性の高い光を出射する光源が好ましく、例えば、LEDを用いることができる。
【0069】
導光板は、上記指向性を有する光を出射可能な構成を有し得る。このような導光板としては、例えば特開2000-171798号公報、特開2005-128363号公報等に記載の導光板を用いることができる。あるいは、導光板は、米国特許第5396350号、米国特許第5555329号、特開2001-305306号公報、特許3071538号等に示すように、プリズムシート、ルーバーシート等の他の光学部材と協働して上記指向性を有する光を出射可能な構成とされてもよい。
【0070】
面光源装置は、輝度向上等を目的として、反射板等の任意の適切な光学部材をさらに含んでもよい。
【0071】
1つの実施形態において、上記面光源装置は、出光面から該出光面の略法線方向に指向性を有する光であって、特定方向に振動する直線偏光成分を高い比率で含む光を出射する。このように指向性を有する偏光または部分偏光を、その振動方向が背面側偏光板の透過軸と平行となるように液晶パネルに入射させることにより、光の利用効率を向上させることができるとともに、狭視野角設定時の視野角をより狭くすることができる。
【0072】
上記特定方向に振動する直線偏光成分は、例えば、導光板の光の導光方向と略平行な面内で振動する偏光成分(例えば、P偏光成分)または該面に垂直な方向に振動する偏光成分(例えば、S偏光成分)であり得、P偏光成分であることがより好ましい。上記指向性を有し、かつ、P偏光成分を高い比率で含む光を、P偏光成分の振動方向と背面側偏光板の透過軸方向とを一致させて液晶パネルに入射させることにより、S偏光成分を高い比率で含む光を用いる場合に比べて狭視野角設定時の視野角をさらに狭くすることができる。なお、本発明においては、正面位相差が小さい透明基材を用いて構成され、かつ、高い透過率を有する調光フィルムを用いることから、面光源装置から出射される光を、その指向性および偏光状態を実質的に変化させることなく液晶パネルに入射させることができる。これにより、本発明の効果が好適に得られ得る。
【0073】
面光源装置から出射される光は、上記特定方向に振動する直線偏光成分を好ましくは52%以上、より好ましくは55%以上含んでもよい。該直線偏光成分の比率の上限は、理想的には100%であり、1つの実施形態においては60%であり、別の実施形態においては57%であり得る。なお、面光源装置から出射される光における上記直線偏光成分の割合は、例えば、特開2013-190778号公報に記載の方法に従って求めることができる。
【0074】
図3は、出光面から該出光面の略法線方向に指向性を有し、かつ、特定方向に振動する直線偏光成分(代表的には、P偏光成分)を高い比率で含む光を出射する面光源装置の一例を説明する概略図である。図3に例示する面光源装置300は、側面から光を入射させ、視認側表面から出射する導光板310と、導光板310の側面(入光面)に沿って所定の間隔で配置されている複数の点光源321を含む光源部320と、導光板310の視認側に配置され、背面側に凸部を有するプリズムシート330と、導光板310の背面側に配置される反射板340と、を備える。上記面光源装置300においては、導光板310が、横方向からの光を厚さ方向に偏向するとともに、特定方向に振動する直線偏光成分(代表的には、P偏光成分)を高い比率で含む光として出射し、背面側に凸部を有するプリズムシート330が、該光の偏光状態を実質的に変化させることなく、その進行方向を出光面の法線方向に近づけることができる。
【0075】
なお、図3において、導光板の光の導光方向と直交する方向(点光源の配列方向)をX方向、導光板の光の導光方向をY方向、出光面の法線方向をZ方向とすると、YZ面内で振動する偏光成分をP偏光成分、YZ面に垂直な方向に振動する偏光成分をS偏光成分ということができる。
【0076】
導光板310は、光源部320からの光を、光源部320に対向する側面(入光面)から入射させ、視認側表面(出光面)から光の導光方向と略平行な面内において該出光面の法線方向から所定の角度をなす第1の方向に最大強度の指向性を有し、かつ、該面内で振動する偏光成分の比率が高い偏光光である第1指向性光を出射するように構成されている。なお、図示例においては、導光板の背面側および視認側にライン状のレンズパターンが形成されているが、所望の光を出射できる限りにおいて、いずれか一方の側だけにレンズパターンが形成されてもよい。また、レンズパターンも、ライン状に限定されず、例えば、柱体状または錐体状の突起が点在したパターンであり得る。
【0077】
プリズムシート330は、導光板310側に凸となる柱状の単位プリズムが複数配列されたプリズム部を備え、上記第1指向性光を、その偏光状態を実質的に維持しつつプリズムシート330の出光面の略法線方向に指向性を有する第2指向性光として出光するように構成されている。
【0078】
反射板340は、導光板310の背面側等から放出される光を反射して、導光板310内に戻すように構成されている。
【0079】
導光板310、プリズムシート330および反射板340の詳細は、例えば特開2013-190778号公報および特開2013-190779号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0080】
また、出光面から該出光面の略法線方向に指向性を有し、かつ、特定方向に振動する直線偏光成分を高い比率で含む光を出射する面光源装置としては、上記図示例に限定されず、任意の適切な面光源装置を用いることができる。例えば、特開平9-54556号公報に記載の面光源装置、偏光ビームスプリッター、偏光変換素子等を用いた面光源装置(例えば、特開2013-164434号公報、特開2005-11539号公報、特開2005-128363号公報、特開平07-261122号公報、特開平07-270792 号公報、特開平09-138406号公報、特開2001-332115号公報等に記載のもの)等を用いることができる。
【0081】
B-4.液晶表示装置の作製方法
上記液晶表示装置は、例えば、液晶パネル、調光フィルム、面光源装置等の光学部材を所定の構成となるように筐体内に配置することによって作製され得る。例えば、出光面から該出光面の略法線方向に指向性を有し、かつ、特定方向に振動する直線偏光成分を高い比率で含む光を出射する面光源装置を用いる場合、該面光源装置は、該直線偏光成分(好ましくはP偏光成分)の振動方向が液晶パネルの背面側偏光板の透過軸と平行になるように配置される。これにより、光利用効率の向上および更なる狭視野角表示が実現され得る。具体的には、図3に例示した面光源装置は、好ましくは導光板の光の導光方向(換言すれば、出射されるP偏光成分の振動方向またはY方向)が液晶表示パネルの背面側偏光板の透過軸と平行になるように配置される。
【0082】
なお、液晶表示装置の作製において、各光学部材は、接着層を介して互いに貼り合わせられることなく、近接または接触して配置され得る。あるいは、隣接する光学部材は、必要に応じて接着層を介して貼り合わせられていてもよい。接着層は、代表的には、接着剤層または粘着剤層である。
【0083】
1つの実施形態においては、予め面光源装置の視認側に調光フィルムを配置してバックライトユニットを作製し、該バックライトユニットの視認側(調光フィルム側)に液晶パネルを配置することにより、液晶表示装置を得ることができる。
【0084】
別の実施形態においては、予め液晶パネルの背面側に調光フィルムを貼り合わせて一体化しておき、該調光フィルム一体型液晶パネルの背面側(調光フィルム側)に面光源装置を配置することにより、液晶表示装置を得ることができる。
【0085】
B-5.液晶表示装置の視野角特性
1つの実施形態において、上記液晶表示装置は、狭視野角設定時において、斜め方向の輝度が正面方向の輝度に対して3%未満であることが望ましく、さらには2%未満であることが望ましく、さらには1%未満であることが望ましい。例えば、液晶表示装置の出射面(表示画面)に関して、導光板の光の導光方向と平行な方向を垂直方向、直交する方向を水平方向とした場合、出射面内の水平・垂直方向のいずれかもしくは両方の方向において、極角40°以上の輝度が、正面方向(極角0°)の輝度に対して2%以下となることが好ましく、出射面内の水平方向において、極角50°以上の輝度が正面方向(極角0°)の輝度に対して1%以下となることがより好ましい。一方、広視野角設定時には、極角40°における輝度が、正面方向の輝度に対して、5%以上であることが好ましく、さらには、狭視野角設定時の2倍以上20倍以下であることがより好ましい。広視野角設定時の輝度がこのような範囲であれば、覗き見等を考慮しなくてよい状況において実用上許容可能な視認性および広視野角特性を確保することができる。
【0086】
C.バックライトユニット
バックライトユニットは、上記B項に記載の面光源装置を含む。1つの実施形態においては、バックライトユニットは、A項に記載の調光フィルムをさらに含み、面光源装置の出光面側に調光フィルムが配置された構成を有する。このとき、調光フィルムは、面光源装置の出光面(例えば、プリズムシートの視認側表面)に接着層を介して貼り合わせられていてもよい。
【実施例
【0087】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。実施例における試験および評価方法は以下のとおりである。また、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
【0088】
(1)輝度
実施例および比較例で得られた液晶表示装置に白画面を表示させ、輝度計(AUTRONIC-MELCHERS社製、商品名「Conoscope」)を用いて測定した。
(2)平行光線透過率
下記の全光線透過率、ヘイズを測定する際に、平行線透過率=全光線透過率×(1-ヘイズ)により算出する。
(3)全光線透過率
日本電色社製 製品名「MDH-4000」を用い、JIS K 7361に基づいて測定した。
(4)正面位相差
Axometrics社製 製品名「Axoscan」を用いて、波長590nm、23℃で測定した。
(5)ヘイズ
日本電色社製 製品名「MDH-4000」を用い、JIS K 7136に基づいて測定した。
(6)厚み
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
【0089】
[実施例1]
(第1の透明導電性フィルム)
透明基材(ノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、製品名「ZF-16」)、厚み:40μm、正面位相差:5nm)の一方の面に、厚み3nmのSiOx(x=1.5)層と、SiOx層上に形成された厚み17nmのSiO層とをスパッタ法によりこの順で形成して、屈折率調整層を設けた。次に、該屈折率調整層上にスパッタ法により0.08μm厚みの透明電極層(ITO層)を形成し、その後150℃でアニールし結晶化させた。こうして、[COP基材/屈折率調整層/透明電極層]の構成を有する透明導電性フィルムAを得た。
【0090】
(第2の透明導電性フィルム)
第2の透明導電性フィルムとして、上記透明導電性フィルムAを用いた。
【0091】
(調光層)
第1の透明導電性フィルムの透明電極層側表面に、液晶化合物(HCCH社製、製品名「HPC854600-100」、複屈折Δn=0.232) 40部と、UV硬化型樹脂(Norland社製、製品名「NOA65」) 60部(固形分)とを含む塗工液を塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層上に、透明電極層が塗布層に対向するように第2の透明導電性フィルムを積層した。得られた積層体に紫外線を照射してUV硬化型樹脂を硬化させ、これにより、10μmの厚みを有する調光層(ノーマルモード)を形成した。以上のようにして、調光フィルムAを得た。
【0092】
エヌエフ回路設計ブロック社製の交流電源「EC750SA」を用いて、調光フィルムAに交流電圧を20Vまで昇圧しながら印加し、種々の電圧印加時のヘイズ、平行光線透過率および全光線透過率を観察した。結果を表1に示す。
【表1】
【0093】
[比較例1]
(第1の透明導電性フィルム)
透明基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、製品名「A4300」、厚み:188μm、正面位相差12000nm)の一方の面に、スパッタ法により0.08μm厚みの透明電極層(ITO層)を形成することにより、[PET基材/透明電極層]の構成を有する透明導電性フィルムBを得た。
【0094】
(第2の透明導電性フィルム)
第2の透明導電性フィルムとして、上記透明導電性フィルムBを用いた。
【0095】
(調光層)
実施例1と同様にして、調光層を形成した。以上のようにして、調光フィルムBを得た。
【0096】
エヌエフ回路設計ブロック社製の交流電源「EC750SA」を用いて、調光フィルムBに交流電圧を20Vまで昇圧しながら印加し、種々の電圧印加時のヘイズ、平行光線透過率および全光線透過率を観察した。結果を表2に示す。
【表2】
【0097】
[実施例2]
(液晶パネル)
ノートパソコン(Dell社製、製品名「Inspiron13 7000」)に搭載されていた[視認側偏光板/IPSモードの液晶セル(解像度167ppi)/背面側偏光板]の構成を有する13.3インチ液晶パネルから、視認側偏光板、背面側偏光板を剥がし、代わりに、日東電工社製の偏光板(製品名「CVT1764FCUHC」)を、視認側偏光板の透過軸がパネル長辺軸と平行になるように、背面側偏光板の透過軸がパネルの短辺軸と平行になるように貼り付けて、液晶パネルを得た。
(調光フィルム)
実施例1で作製した調光フィルムAを用いた。
(面光源装置)
ノートパソコン(HP社製、製品名「EliteBook x360」)から面光源装置を抜き出した。抜き出された面光源装置は、導光板と、導光板の一方の長辺側側面に沿って所定の間隔で配置された複数のLED光源を含む光源部と、導光板の視認側に配置され、背面側に向かって凸となるプリズム形状を有し、視認側表面がマット処理されたプリズムシートと、導光板の背面側に配置された反射板と、を備えていた。該面光源装置に組み込まれていたプリズムシートに対して、最表面のマット処理を溶剤により除去後、再び導光板上に配置して、面光源装置を得た。得られた面光源装置は、出光面(プリズムシートの視認側表面)から該出光面の略法線方向に指向性を有し、かつ、導光板の光の導光方向(導光板の短辺軸方向)と平行な方向に振動する直線偏光成分を高い比率で含む光を出射するように構成されている。
(液晶表示装置)
上記液晶パネルと、調光フィルムAと、上記面光源装置とを視認側からこの順に配置して液晶表示装置Aを作製した。得られた液晶表示装置において、液晶パネルの背面側偏光板の透過軸と面光源装置からの出射光に含まれる直線偏光成分の振動方向とは互いに平行であった。
【0098】
[比較例2]
調光フィルムAの代わりに調光フィルムBを用いたこと以外は、実施例2と同様にして液晶表示装置Bを作製した。
【0099】
[比較例3]
調光フィルムを配置しなかったこと以外は、実施例2と同様にして液晶表示装置Cを作製した。
【0100】
<表示特性評価>
得られた液晶表示装置AおよびBにおいて、調光フィルムに電圧を100Vまで昇圧しながら印加し、種々の電圧印加時における表示画面の輝度を測定した。
【0101】
電圧無印加時(広視野角設定時)および100Vの電圧印加時(狭視野角設定時)における液晶表示装置Aの表示画面の輝度の視野角特性を図4(a)および(b)に示す。具体的には、図4(a)は、導光板の光の導光方向と直交する方向(換言すると、LED光源の配列方向に平行な方向、以下、「水平方向」と称する)における輝度の極角依存性を示し、図4(b)は、導光板の光の導光方向と平行な方向(換言すると、LED光源の配列方向と直交する方向、以下、「垂直方向」と称する)における輝度の極角依存性を示す。
【0102】
図4(a)および(b)によれば、液晶表示装置Aは、電圧の印加状態を変化させることにより、広視野角表示と狭視野角表示とを切り替え可能であることがわかる。
【0103】
また、100Vの電圧印加時(すなわち、狭視野角設定時)における液晶表示装置AおよびBの表示画面の輝度の視野角依存性を示すグラフを図5(a)~(d)に示す。具体的には、図5(a)は、水平方向における輝度の極角依存性を示し、図5(c)はその要部を拡大したグラフである。また、図5(b)は垂直方向における輝度の極角依存性を示し、図5(d)はその要部を拡大したグラフである。
【0104】
図5(a)~(d)に示されるとおり、液晶表示装置Aによれば、液晶表示装置Bよりも狭い視野角表示が実現できる。
【0105】
また、各電圧印加時の液晶表示装置AおよびBに関して、水平方向および垂直方向において正面方向(極角0°)の輝度に対して1%未満、2%未満、3%未満、5%未満および10%未満の輝度となる角度(極角)を求め、該角度と各電圧印加時における調光フィルムAおよびBのヘイズとの関係をグラフに示した。結果を図6に示す(図中、「●」が液晶表示装置Aの結果を示し、「■」が液晶表示装置Bの結果を示す)。なお、図中、ヘイズ0%に対する極角(「×」で示される)は、液晶表示装置Cにおいて正面方向(極角0°)の輝度に対して上記所定の輝度となる角度(極角)である。
【0106】
一般に、斜め方向からのディスプレイ画面ののぞき見を防止するためには、斜め方向の輝度を正面方向の輝度に対して3%未満、より好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%未満とすることが望まれるところ、10%未満となる角度および5%未満となる角度については、液晶表示装置A(調光フィルムA)と液晶表示装置B(調光フィルムB)と間に大きな差は認められなかった。一方、3%未満となる角度、2%未満となる角度および1%未満となる角度については、調光フィルムAの方が調光フィルムBより大きなヘイズを有する場合であっても、液晶表示装置Aの方が液晶表示装置Bよりも狭い狭視野を実現できた。
【0107】
さらに、光透過状態(印加電圧:50V)および光散乱状態(印加電圧:0V)における液晶表示装置AおよびBの正面輝度(cd/m)を表3に示す。表3に示されるとおり、液晶表示装置Aは、液晶表示装置Bよりも高い正面輝度を実現できる。なお、光散乱状態における輝度の増大率((液晶表示装置Aの0V印加時の輝度-液晶表示装置Bの0V印加時の輝度)/液晶表示装置Bの0V印加時の輝度×100=21.4(%))は、調光フィルムの透過率の増大率((調光フィルムAの0V印加時の全光線透過率-調光フィルムBの0V印加時の全光線透過率)/調光フィルムBの0V印加時の全光線透過率×100=13.9(%))以上の効果である。
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、携帯電話、ノートパソコン等の液晶表示装置に好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0109】
1 液晶表示装置
10 透明基材
20 透明電極層
30 調光層
40 屈折率調整層
100 調光フィルム
200 液晶パネル
300 面光源装置
310 導光板
320 光源部
330 プリズムシート
340 反射板

図1
図2
図3
図4
図5
図6