(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】磁気軸受アセンブリおよび1つ以上のそのような磁気軸受アセンブリを実装するリニアガイドウェイアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16C 32/04 20060101AFI20231120BHJP
F16C 29/02 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
F16C32/04 A
F16C29/02
(21)【出願番号】P 2020543455
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 NL2018050713
(87)【国際公開番号】W WO2019083369
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-15
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520147360
【氏名又は名称】ブイディーエル イネーブリング テクノロジーズ グループ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ペイネンブルグ、アントニウス テオドルス アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】バーデ、リック
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-516495(JP,A)
【文献】米国特許第05196745(US,A)
【文献】特開2004-055787(JP,A)
【文献】特表2013-533810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 32/00-32/06
F16C 29/00-31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線変位経路に沿った、ある剛体の別の剛体に対する非接触の直線変位のための磁気軸受アセンブリであって、
前記剛体の一方に取り付けられ、少なくとも、強磁性コア、前記強磁性コアの第1の面に配置された第1の磁気要素、および前記強磁性コアに巻かれたコイルからなる少なくとも1つの磁気軸受モジュールと、
前記剛体の他方に取り付けられ、使用中に、前記少なくとも1つの磁気軸受モジュールの1つから或る第1ギャップ距離に配置される少なくとも1つの第1の静的バック鉄心と、
を備え、
前記磁気軸受モジュールは前記強磁性コアの前記第1の面とは反対側の別の面に配置された設定モジュールさらに含み
、
前記設定モジュールは、
制御可能であって、前記磁気軸受モジュールと前記剛体の他方に取り付けられたさらなる静的バック鉄心との間に或る第2ギャップ距離を空けるものであり、
前記設定モジュールは
、第2の磁気要素と、前記強磁性コアの前記別の面と前記第2の磁気要素との間に配置された制御可能な調整機構と、を含み、当該調整機構は、前記第2ギャップ距離を事前設定するように構成される磁気軸受アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の静的バック鉄心は前記強磁性コアの前記第1の面側に配置される請求項1に記載の磁気軸受アセンブリ。
【請求項3】
前記強磁性コアはベース、中央脚および2つの外側脚を有するEコアである請求項1または2に記載の磁気軸受アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の磁気要素は前記中央脚に配置されている請求項3に記載の磁気軸受アセンブリ。
【請求項5】
前記コイルは前記中央脚に巻かれている請求項3に記載の磁気軸受アセンブリ。
【請求項6】
前記Eコアは積層Eコアである請求項3から5のいずれかに記載の磁気軸受アセンブリ。
【請求項7】
前記第1の磁気要素は永久磁石である請求項1から6のいずれかに記載の磁気軸受アセンブリ。
【請求項8】
前記第2の磁気要素は永久磁石である請求項1から7のいずれかに記載の磁気軸受アセンブリ。
【請求項9】
直線変位経路を定義するリニアガイドウェイとして形成される剛体と、前記リニアガイドウェイに沿って変位可能な製品キャリアとして形成される1つ以上の剛体とから構成されるリニアガイドウェイアセンブリであって、
請求項1から8のいずれかに記載の1つ以上の磁気軸受アセンブリをさらに備えるリニアガイドウェイアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線変位経路に沿って剛体を別の剛体に対して非接触で直線変位させるための磁気軸受アセンブリに関する。
【0002】
本発明はまた、1つ以上のそのような磁気軸受アセンブリを実装するリニアガイドウェイアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
磁気軸受アセンブリまたは短い磁気軸受は、従来の転動体軸受に代わる利点がある。磁気軸受は非接触であるため、機械的な摩擦がなく、したがってパーティクルの発生が非常に少ない。さらに、潤滑の必要性がないため、分子汚染を大幅に放出することなく、真空中での運転が可能である。これらの点から、汚染シールを省略できる。ハイテク真空システムに磁気軸受を適用する際の主な課題は、コイルの放熱の最小化、過電流効果の最小化、安定した制御システムの実装、典型的に非直線特性の直線化にある。
【0004】
磁気軸受技術はすでに工業用途に利用されている。回転磁気軸受は、市販されており、例えば医療システム、ターボ分子真空ポンプ、極低温システム、工作機械に応用されている。別のカテゴリーは、ベアリングレスモータで、ロータが磁気浮上している。磁気浮上はステージの作動に広く使用され、典型的にはローレンツ力に基づく。磁気軸受の別のタイプは、リラクタンス力に基づいており、同様の概念をアクチュエータとして使用することもできる。
【0005】
他の分野でも利用されているが、例えば高清浄度の基板ハンドリングロボット工学における商業規模での磁気軸受アプリケーションのさらなる開発は、技術的および構造的な制約に悩まされている。一般に知られている磁気軸受アプリケーションは、設計寸法が限られていることが特徴であるが、磁気軸受アプリケーションの大規模な実装には、かなりの重量、サイズ、およびコストの磁気軸受の開発が必要であり、従来の転動体軸受も同様の目的で利用できる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記で特定された問題の解決策を提供することを目的としており、直線変位経路に沿った、ある剛体の別の剛体に対する直線変位を可能にし、特に、ある剛体の別の剛体に対する並進自由度の制御を可能にし、前記磁気軸受アセンブリは、前記剛体の一方に取り付けられ、少なくとも、強磁性コア、前記強磁性コアの第1の面に配置される第1の磁気要素、前記強磁性コアに巻かれるコイルからなる少なくとも1つの磁気軸受モジュールと、前記剛体の他方に取り付けられ、使用中に、前記磁気軸受モジュールの1つからあるギャップ距離に配置される少なくとも1つの第1の静的バック鉄心と、を備える。
【0007】
磁気軸受アセンブリの例では、前記第1の静的バック鉄心は、強磁性コアの第1の面に配置される。
【0008】
さらに有利な実施形態では、磁気軸受モジュールはさらに、強磁性コアの第1の面とは反対の別の面に配置される設定モジュールからなる。アクティブな軸受モジュールは、Eコア、永久磁石およびコイルからなる。第2の磁気要素は、予圧と静圧のバランスを提供するために、磁力がアクティブな軸受モジュールの反対方向に作用する剛体に配置される。ここで、両方の要素のうちの一方は、定常状態の力のバランスの調整し、交差(例えば、永久磁石の交差)を補正するのために、他方の要素に対して機械的に調整可能である。この構成のさらなる利点は、定常状態での電力損失がないことである。これにより、強磁性コアと第1の磁気要素によって生成される第1の静的バック鉄心に向かう引力とは反対方向に一定の予圧をかけることにより、磁気軸受モジュールのさらなる設定が可能となり、それにより、両剛体間のギャップ距離を制御し、したがって、放熱なしで前記剛体の互いに対する非接触直線変位を制御することができる。特に、設定モジュールの実装により、磁気軸受モジュールに静的な状態で作用する正味の力を制御でき、それによって、磁気軸受モジュール(一方の剛体)の他方の剛体に対する位置(ギャップ距離)も制御できる。
【0009】
特に、前記設定モジュールは、磁気軸受モジュールに作用する正味の力の強化された制御を可能にする第2の磁気要素を含み、それによってもまた、磁気軸受モジュール(一方の剛体)の他方の剛体に対する位置(ギャップ位置)を制御できる。
【0010】
本発明による磁気軸受アセンブリのさらなる例では、前記少なくとも軸受モジュールは、前記剛体の他方に取り付けられ、使用中に、前記設定モジュールからあるギャップ距離に配置されるさらなる静的バック鉄心を含み、前記設定モジュールは、軸受モジュールと前記剛体の他方に取り付けられている前記さらなる静的バック鉄心との間の前記ギャップ距離を設定するように配置される。
【0011】
特に、前記設定モジュールは、制御可能な設定モジュールであり、それにより、強磁性コアおよび第1の磁気要素によって生成される、第1の静的バック鉄心に向かう引力とは反対方向に一定の予圧を事前設定することを可能にする。これにより、両方の剛体間のギャップ距離のさらなる制御が可能になり、したがって、前記剛体の互いに対する非接触直線変位が可能になる。特に、設定モジュールの事前設定の実装により、磁気軸受モジュールに作用する正味の力は、磁気軸受モジュールが実装される用途または構造に依存してさらに制御でき、それにより、磁気軸受モジュール(一方の剛体)の他方の剛体に対する位置(ギャップ距離)も制御でき、力を静的にバランスさせ、エネルギー散逸を最小限に抑えることができる。
【0012】
さらなる例では、強磁性コアは、ベースと、中央脚と、2つの外側脚と、を有するEコアであり、第1の磁気要素は、中央脚に配置され、コイルは中央脚に巻かれる。
【0013】
特に、Eコアは積層Eコアであり、第1の磁気要素は永久磁石である。また、第2の磁気要素は、永久磁石であってもよい。
【0014】
本発明による1以上の磁気軸受アセンブリの適用または実装の例は、直線変位経路を規定するリニアガイドウェイとして形成される剛体と、前記リニアガイドウェイに沿って変位可能な製品キャリアとして形成される1つ以上の剛体とから構成されるリニアガイドウェイアセンブリであってもよく、前記リニアガイドウェイアセンブリは、1つ以上の磁気軸受アセンブリをさらに備えてもよい。
【0015】
添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による磁気軸受アセンブリ実施形態の概略例である。
【
図2a】本発明による磁気軸受アセンブリの別の実施形態の概略例である。
【
図2b】本発明による磁気軸受アセンブリのさらに別の実施形態の概略例である。
【
図3a】本発明による複数の磁気軸受アセンブリを実装するリニアガイドウェイアセンブリの実施形態の概略例の図である。
【
図4】磁気軸受モジュールの例のコンパクトな構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のより良い理解のために、図面中の同様の部分は、同様の参照番号で示される。添付の図面に示されている磁気軸受アセンブリの提案された概念は、小さな軸受要素からなり、この軸受要素は、ある剛体の別の剛体に対する単一の並進自由度を拘束する。例えば
図3aおよび3bの実施形態に示されるように、複数の自由度を拘束または制御するために、複数の軸受要素を組み合わせることができることに留意されたい。
【0018】
本発明による可変リラクタンス磁気軸受アセンブリの第1の概略例を
図1に示す。
図1の例の磁気軸受アセンブリは、参照符号10(
図2a~2bでは参照符号10’)で示され、直線変位経路に沿ったある剛体の別の剛体に対する非接触の直線変位(または単一の並進自由度)を可能にする。
図1では、前記複数の剛体のうちの一方は参照符号30(
図2a~2bにおいても参照符号30、
図3a~3bでは参照番号300)で示され、他方の剛体は参照符号20(
図2a、2bでは参照符号20a、20b、
図3a、3bでは参照符号110、120)で示される。
【0019】
磁気軸受アセンブリ10は、前記複数の剛体のうちの一方の剛体30に取り付けられ、少なくとも1つの強磁性コア31からなる少なくとも1つの軸受モジュール31~34を含む。本発明を理解するために、任意の強磁性体コア設計を実施できることに留意されたい。しかしながら、この好ましい例では、強磁性コア31は、ベース31a、中央脚33および2つの外側脚32a~32bを有するEコアである。強磁性コア31の第1の面には、第1の磁気要素34が配置され、この例では、強磁性コア31の第1の端部は、中央脚33の自由端面33aに位置するように規定される。また、この例では、コイル35はEコアの中央脚33の周りに巻かれている。
【0020】
しかしながら、そのコア要素の周りに巻かれたコイルと、強磁性コアの第1の面に配置された磁気要素とを有する任意の強磁性コア設計が、本発明による磁気軸受アセンブリ10において実施され得ることに留意されたい。
【0021】
さらに、磁気軸受アセンブリ10は、前記複数の剛体のうちの他方の剛体20に取り付けられ(またはその一部であり)、使用中に、前記軸受モジュール31~34の1つから
図1においてg1で示されているあるギャップ距離40に配置される、少なくとも1つの第1の静的バック鉄心またはバック支持面20を示す。
【0022】
必ずしもそうではないが好ましくは、Eコア31として設計される強磁性コアは積層Eコアからなり、第1の磁気要素34は永久磁石34として構成される。
【0023】
使用中または動作中、第1の静的バック支持面またはバック鉄心20は、Eコアアセンブリ31-34-35からキャップ距離40(g1)に配置される。この構成は低リラクタンス経路を定義し、ギャップ距離40によって定義されるエアギャップg1に結果として生じる磁束密度は、第1の静的バック支持面(バック鉄心)20として概略的に示されている他方の剛体に対するEコアアセンブリ31-34-35(およびそのような一方の剛体30)の間のギャップに依存した引力をもたらす。
【0024】
Eコア31の中央脚または歯35に巻かれているコイル35は、コイル35を流れる電流の方向および大きさに基づいて、エアギャップg1(40)内の磁束密度を拡大または減少させるために使用される。磁気軸受アセンブリ10(実際には少なくとも1つの軸受モジュール31-34-51)は、Eコア31と第1の静的バック支持面(バック鉄心)20との間に引力のみを発生させ、反発力を発生させないことに留意されたい。
【0025】
図2a~2bには、磁気軸受アセンブリ(10’で示される)の別の例が示されている。この実施形態では、磁気軸受アセンブリ10’は、設定モジュール50をさらに備え、この設定モジュール50は、Eコア33の第1の磁気要素側33a、34の反対に配置される。必ずしもそうではないが好ましくは、設定モジュール50は、第2の磁気要素51を備える。
【0026】
設定モジュール50は、Eコア31および第1の磁石34によって生成される引力の方向と反対の方向に、磁気軸受アセンブリ10’に一定の予圧を提供または加える。その結果、磁気軸受モジュール31-34-50に生じる正味の力を制御することができ、それによって、前記複数の剛体のうちの他方の1つ(20a~20b)に取り付けられているかまたはその一部であるさらなる静的バック鉄心20bに対する、磁気軸受モジュール31-34-50が取り付けられている剛体30の位置(実際には距離g1)も制御することができる。
【0027】
図2a~2bでは、両方の参照符号20a、20bは、係属中の請求項に定義されているように、1つの同じ剛体の一部である構造要素を表すと見なされ、参照符号30はもう一方の剛体を構成し、本明細書に記載の磁気軸受アセンブリは、前記複数の剛体(20a~20bまたは30)のうちの一方の剛体の、もう一方の剛体(30または20a~20b)に対する直線変位経路に沿った非接触直線変位を可能にする。
【0028】
前記複数の剛体(20a~20b、30)うちの1つの剛体30に取り付けられている軸受モジュール31-34-50の向きに応じて、(磁気軸受モジュール31-34-50の重量に基づく)重力は、この予圧の少なくとも一部を提供しうる。
【0029】
このように、参照符号20aは、第1の静的バック支持面またはバック鉄心を定義し、参照符号20bは、さらなる静的バック支持面またはバック鉄心を定義する。
【0030】
図2aに示すように、前記設定モジュール50を第2の磁石51として構成し、前記設定モジュール50がEコア/スポイル/第1の磁石構成33-35-34の反対側に配置されることによって、予圧を高めることができる。特に、永久磁石51でありうる第2の磁石51は、Eコア31の他方の面、特にベース31aの他方の面に取り付けられうる。
【0031】
この第2の(永久)磁石51は、複数の剛体のうちの一方の剛体30に取り付けられた磁気軸受モジュール31-34-35-50と複数の剛体のうちの他方の1つの剛体20bとの間にあるエアギャップg2(41)に、予圧力を発生させる。軸受モジュールのエネルギー散逸は、すべての静的力がバランスされるように設定モジュール51によって発揮される磁気予圧力を調整することによって最小化することができる。この場合、電磁石(Eコア31およびスポイル35)は、一方の剛体30が他方の剛体20a~20bに対して直線変位している間の動的外乱を打ち消すためにのみ必要とされる。製造公差および永久磁石の寸法と磁気モーメントの比較的大きな変動は、製造公差、および永久磁石の寸法と磁気モーメントの比較的大きな変動は、この静的な力のバランスから逸脱させる場合がある。
【0032】
本発明による磁気軸受アセンブリのさらなる例10”では(
図2b参照)、設定モジュール50は、第2の永久磁石51の隣に、Eコア31のベース31aと第2の(永久)磁石51との間に配置される制御可能な調整機構52を含む。これにより、複数の剛体のうちの一方の剛体30に取り付けられた磁気軸受モジュール31-34-35-50と複数の剛体のうちの他方の1つの剛体20bとの間の距離またはエアギャップg2(41)の事前設定が可能であり、それにより、第1および第2の磁石34、51の両方によって加えられる静的な力がバランスされ、任意のエネルギー散逸が最小化されるように、予圧力を調整することができる。
【0033】
この例を、位置センサ(または磁束センサ)および電流制御ループと位置制御ループとで構成される運動制御ソフトウェア(図示せず)と組み合わせると、磁気軸受モジュール31-34-35と前記複数の剛体のうちの他方の1つの剛体に取り付けられる第1の静的バック鉄心20との間のエアギャップ40(g1)は、電磁石33-35を流れる電流を調節することにより、複数の剛体(30、20a~20b)のうちの一方が他方の1つに対して直線変位している間に発生する動的外乱力を補償するようにアクティブに制御できる。
【0034】
コンパクトな構造と粒子汚染の回避(清浄度)のため、磁気軸受モジュール31-34-35-50全体を非磁性材料(
図4参照)、例えばステンレス鋼や樹脂で囲むことができ、その後、例えば
図3a~3bの応用実施形態に示されるように、複数の剛体20a~20b、30のいずれかに取り付けられる。
【0035】
図3a~3bには、複数の磁気軸受アセンブリの実装または用途の例が示されている。この非限定的な例では、合計5つの磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3、30-4および50-4、30-5および50-5が示されており、これらは剛体110~120および300と相互作用している。
【0036】
図3a~3bでは、両方の参照符号110、120(および20a、20b)は、係属中の請求項で定義されているように、1つの同じ剛体の一部である構造要素を表すと見なされ、参照符号300はもう一方の剛体を構成し、本明細書に記載の磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3、30-4および50-4、30-5および50-5は、前記複数の剛体(20a~20b、110~120または300)のうちの一方の剛体のもう一方の剛体(300または20a~20b、110~120)に対する直線変位経路に沿った非接触直線変位を可能にする。
【0037】
このように、参照符号20a-X(5つの磁気軸受アセンブリのこの例では、Xは1,2,3,4,5である)は、第1の静的バック支持面またはバック鉄心を定義し、参照符号20b-X(Xは1,2,3,4,5である)は、磁気軸受アセンブリ30-Xおよび50-X(5つの磁気軸受アセンブリのこの例では、Xは1,2,3,4または5を表す)ごとのさらなる静的バック支持面またはバック鉄心を定義する。
【0038】
特に、この例は、直線変位経路を定義するリニアガイドウェイとして形成された剛体110、120と、前記リニアガイドウェイ110、120に沿って、またはそれらの間で変位可能な製品キャリアとして形成された1つ以上の剛体300とから構成されるリニアガイドウェイアセンブリ100の上面図(
図2a)と正面図(
図2b)を示している。リニアガイドウェイアセンブリは、
図1、2a~2bのいずれか1つ以上の例による1つ以上(ここでは5つ)の磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3、30-4および50-4、30-5および50-5をさらに含む。
【0039】
リニアガイドウェイアセンブリ100は、互いに平行にかつある程度離れた位置に配置された2つのガイドレール110、120を含む。この非限定的な例では、各ガイドレール110、120には、各ガイドレール110、120の長手方向に延びる案内凹部111、121が設けられている。両方の案内凹部111、121は、互いに対向するように配置されている。両方の案内凹部111、121は、1つ以上(ここでは3つ)の磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3を収容するように機能し、これらの磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3は
図4に示されるように取り囲まれたモジュールとして収容され、これらの磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3は製品キャリア300のキャリア支持体300-1、300-2、300-3に取り付けられており、この製品キャリア300は、両方のガイドレール110、120によって形成されるリニアガイドウェイの間に取り付けられ、それらに沿って案内される。
【0040】
製品キャリア300は、剛体の一方を構成し、ガイドレール110、120は、係属中の請求項で定義されるように、
図2a~2bの例に関して明確にされるように、複数の剛体のうちの他方を構成する。
【0041】
特に、リニアガイドウェイアセンブリ100のこの例では、いくつかの軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3、30-4および50-4、30-5および50-5は、高清浄度の基板ハンドリング環境における基板キャリアのハンドリングロボットの一部として、例えば600mmの変位ストロークの直線ガイドウェイにより実装されている。リニアガイドは、ロボットの進行リンクまたはアームの一部である変位ビーム(図示せず)に対してキャリアの5自由度を拘束する必要がある。この例では、1または2つの従来のプロファイルされたガイドまたはレールを含む概念の代替として、5つの磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3、30-4および50-4、30-5および50-5が適用されている。
【0042】
3つの磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3は、ガイドレール110~120に対するキャリア300の面外の自由度、すなわちz,ΦおよびΨ方向を拘束する。2つの追加の磁気軸受アセンブリ30-4および50-4、30-5および50-5は、残りの面内自由度yおよびΘを課す。
【0043】
3つの面外磁気アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3について上述したような予圧は、それぞれのEコア31の底部側31aに設けられたそれぞれの設定モジュール50-1、50-2、50-3で実行される。また、この例では、予圧は、それぞれ調整機構52に取り付けられた(永久)磁石51-1、51-2、51-3からなる。調整機構52は、(剛体または製品キャリア300に取り付けられた)各磁気アセンブリと、他方の剛体(ガイドレール)110、120、特にガイド凹部111、121を囲むガイドフランジ20b-2、20b-3との間のエアギャップ距離g2(41-1、41-2、41-3)を事前設定するための機械的設定機構であり得る。
【0044】
同様に、各磁気アセンブリ30-1、30-2、30-3のEコア31およびコイル35によって形成される電磁石は、それぞれの第1永久磁石34-1、34-2、34-3とともに、製品キャリア300とガイドレール110、120との間のエアギャップ距離g1(40b-1、40b-2、40b-3)を予め設定し、制御する。
【0045】
面内自由度は、2つの磁気アセンブリ30-4および50-4、30-5および50-5によって予圧されている。ここで、設定モジュール50-4、50-5および磁気軸受モジュール30-4、30-5(それぞれEコア31、コイル35および第1永久磁石34-4、34-5から構成される)は、製品キャリアと各ガイドレール111、121との間の所望のエアギャップ20b-5、20a-5をそれぞれ制御または維持するように、製品キャリア300の両側に取り付けられている。
【0046】
5自由度が拘束されている従来の転動体リニア軸受とは対照的に、拘束される5つの自由度は、アクティブに制御可能な磁気軸受アセンブリ30-1および50-1、30-2および50-2、30-3および50-3、30-4および50-4、30-5を用いてアクティブに制御することができ、それによって、リニアガイドウェイアセンブリ100の2つのガイドレール110、120の間で製品キャリア300を変位させているロボットの望ましくない動的挙動を修正する。
【0047】
係属中のクレームで定義されている磁気軸受アセンブリの上記の例は、高清浄度の基板ハンドリングロボットアプリケーションにおける商業規模での実装に非常に適している。本発明の磁気軸受アセンブリは、限られた寸法で、かつ、低コストで構築でき、品質保証の目的のために一方の剛体(基板キャリア300)のもう一方の剛体(ガイドウェイアセンブリ110、120)に対する安定し、かつ、良好に制御された直線変位が不可欠な基板ウエハー処理用途などの熱的に重要なシステムおよび真空環境で容易に実装することができ、
【0048】
特に、提案されている磁気軸受アセンブリは、一般に知られている転がり軸受では不可能な、熱的に重要なシステムや真空環境での変位安定性、剛性、エネルギー散逸を可能にする。