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特許7387616PD-L1アンタゴニストとしてのインダン-アミン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】PD-L1アンタゴニストとしてのインダン-アミン
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/38 20060101AFI20231120BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20231120BHJP
   C07D 211/76 20060101ALI20231120BHJP
   C07D 211/46 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20231120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231120BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20231120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231120BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231120BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231120BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20231120BHJP
   C07C 229/22 20060101ALN20231120BHJP
【FI】
C07D211/38 CSP
C07D401/12
C07D211/76
C07D211/46
A61K31/198
A61K31/445
A61K31/454
A61K31/4545
A61P43/00 111
A61P37/04
A61P35/00
A61P35/02
A61P29/00
A61P31/00
C07C229/22
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020544264
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019018919
(87)【国際公開番号】W WO2019165043
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】62/633,973
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507416218
【氏名又は名称】ケモセントリックス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ランゲ
(72)【発明者】
【氏名】スリニバス パナ
(72)【発明者】
【氏名】ラジンダー シン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チュイ
(72)【発明者】
【氏名】ペングリー チャン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/005374(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0008554(US,A1)
【文献】国際公開第2017/042121(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0037040(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0194557(US,A1)
【文献】特開平10-007563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
は、式(IIb)から選択され:
【化2】
各R1a、R1b、R1c及びR1dは、H、ハロゲン、及び-Rからなる群から独立して選択され、ここで各Rは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル及びC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
Lは、以下からなる群から選択され:
【化3】
ここで、各下付文字qは、独立して1、2、3又は4であり、並びにLは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルキル、-O-C1-3アルキル、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3ハロアルキル及び-COHからなる群から選択される1もしくは2個の員により任意に更に置換され;
Zは、ピペリジニルであり、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルキル、-NH、-NHC1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-O-C1-3アルキル、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3ハロアルキル及び-COHから独立して選択された1~3個の基により置換されるか、
各R2a、R2b及びR2cは、H、ハロゲン、-CN、-R、-CO、-CONR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)、-NR-C(O)NR、-NR、-OR、-X-OR、-X-NR、-X-CO、-SF、及び-S(O)NRからなる群から独立して選択され、ここで各Xは、C1-4アルキレンであり;各R及びRは、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、その窒素原子と一緒に、環員としてN、O及びSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有し、並びにオキソにより任意に置換された、5もしくは6-員環を形成することができ;各Rは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、及びC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され
は、
【化4】
からなる群から独立して選択され;
は、O-C1-8アルキルであり;
各Rは、ハロゲン、-CN、-R、-CO、-CONR、-C(O)R、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)、-NR-C(O)NR、-NR、-OR、-O-X-OR、-O-X-NR、-O-X-CO、-O-X-CONR、-X-OR、-X-NR、-X-CO、-X-CONR、-SF、及び-S(O)NRからなる群から独立して選択され、ここで各Xは、C1-4アルキレンであり;各R及びRは、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、その窒素原子と一緒に、環員としてN、O及びSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有し、並びにオキソにより任意に置換された、5もしくは6-員環を形成することができ;各Rは、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
6aは、H、C1-4アルキル及びC1-4ハロアルキルからなる群から選択され;
各R6bは、F、C1-4アルキル、O-R、C1-4ハロアルキル、及びNRからなる群から独立して選択され、ここで各R及びRは、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、その窒素原子と一緒に、環員としてN、O及びSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有し、並びにオキソにより任意に置換された、5もしくは6-員環を形成することができ;
下付文字mは、0,1、2、3又は4であり;
下付文字nは、0,1、2又は3である)
の化合物又はその医薬として許容される塩。
【請求項2】
下記式(Ia):
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物又はその医薬として許容される塩。
【請求項3】
下記式(Ib):
【化6】
を有する、請求項1に記載の化合物又はその医薬として許容される塩。
【請求項4】
前記基Z-L-が、
【化7】
からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項5】
前記基Z-L-が、
【化8】
からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項6】
前記基Z-L-が、
【化9】
からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項7】
前記R2a、R2b及びR2cの各々が、水素、ハロゲン、CN、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項8】
前記Rが、
【化10】
からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項9】
前記Rが、
【化11】
からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項10】
前記Rが、
【化12】
からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項11】
前記Rが、
【化13】
からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項12】
前記nが、0である、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項13】
【化14】
が、
【化15】
化合物である、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項14】
下記:
【化16】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩、及び医薬として許容される賦形剤を含有する、医薬組成物。
【請求項16】
治療的有効量の、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩を含む、対象におけるPD-1シグナル伝達経路により媒介される免疫応答を調節するための医薬組成物。
【請求項17】
治療的有効量の、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩を含む、免疫応答を増強、刺激、調節及び/又は増大することを必要とする対象において、免疫応答を増強、刺激、調節及び/又は増大するための医薬組成物。
【請求項18】
治療的有効量の、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩を含む、癌細胞の成長、増殖、又は転移の阻害を必要とする対象において、癌細胞の成長、増殖、又は転移を阻害するための医薬組成物。
【請求項19】
治療的有効量の、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩を含む、PD-1シグナル伝達経路により媒介される疾患又は障害に罹患したもしくは易罹患性である対象を治療するための医薬組成物。
【請求項20】
前記対象が、感染症、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、固形癌、悪性血液疾患、免疫障害、炎症疾患、及び癌からなる群から選択される疾患又は障害に罹患している、請求項16~19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記疾患又は障害が、メラノーマ、膠芽細胞腫、食道腫瘍、鼻咽喉癌、ブドウ膜メラノーマ、リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、慢性骨髄性白血病、カポジ肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、滑液腫、髄膜腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、軟組織肉腫、肉腫、敗血症、胆管腫瘍、基底細胞癌、胸腺腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、子宮癌、副腎癌、肝臓感染症、メルケル細胞癌、神経腫瘍、濾胞中心リンパ腫、結腸癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、白血病、慢性又は急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、卵巣腫瘍、骨髄異形成症候群、皮膚又は眼球内悪性黒色腫、腎細胞癌、小細胞肺癌、肺癌、中皮腫、乳癌、扁平非小細胞肺癌(SCLC)、非扁平NSCLC、結腸直腸癌、卵巣癌、胃癌、肝細胞癌、膵臓癌腫、膵臓癌、膵管腺癌、頭頸部扁平上皮癌、頭頸部癌、消化管癌、胃の癌、HIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、インフルエンザ、骨癌、皮膚癌、直腸癌、肛門癌、精巣癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、陰門癌、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、尿道癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)腫瘍、血管新生腫瘍、脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮癌、石綿肺、癌腫、腺癌、乳頭状癌、嚢胞腺癌、気管支癌、腎細胞癌腫、移行上皮癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、多形腺腫、肝細胞乳頭腫、腎尿細管腺腫、嚢胞腺腫、乳頭腫、腺腫、平滑筋腫、横紋筋腫、血管腫、リンパ管腫、骨腫、軟骨腫、脂肪腫及び線維腫からなる群から選択される、請求項19記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
これは、2018年2月22日に出願された、米国特許仮出願第62/633,973号の、米国特許法119条(e)項の下での優先的恩恵を主張する出願であり、この仮出願は全ての目的に関して、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0002】
米連邦政府支援研究開発下から創出された発明の権利に関する陳述
該当なし
【0003】
コンパクトディスクで提出された「配列表」、表又はコンピュータプログラム表の添付物の言及
該当なし
【背景技術】
【0004】
開示の背景
プログラムされた細胞死タンパク質-1(PD-1)は、その2つのリガンドPD-L1又はPD-L2との相互作用時に、負のシグナルを送達する、CD28スーパーファミリーの一員である。PD-1及びそのリガンドは、広範に発現され、且つT細胞の活性化及び寛容において多種多様な免疫制御の役割を果たす。PD-1及びそのリガンドは、感染性免疫及び腫瘍免疫を弱め、且つ慢性の感染症及び腫瘍の進行を促進することに関与している。
【0005】
PD-1経路の調節は、様々なヒト疾患において治療的可能性を有する(Hyun-Tak Jinら、Curr Top Microbiol Immunol. (2011); 350:17-37)。PD-1経路の遮断は、癌療法の魅力的な標的になってきている。プログラムされた細胞死タンパク質-1(PD-1)免疫チェックポイント経路をブロックする治療的抗体は、T細胞ダウンレギュレーションを防止し、且つ癌に対する免疫応答を促進する。いくつかのPD-1経路インヒビターは、臨床試験の様々な相において強固な活性を示している(RD Harvey、Clinical Pharmacology and Therapeutics (2014); 96(2), 214-223)。
【0006】
PD-L1とPD-1又はCD80のいずれかとの相互作用をブロックする物質が望まれている。いくつかの抗体は、開発され販売されている。非ペプチド性小型分子を開示している小数の特許出願が、公開されている(BMSからのWO 2015/160641、WO 2015/034820、及びWO 2017/066227及びWO2018/009505;AurigeneからのWO 2015/033299及びWO 2015/033301;IncyteからのWO 2017/070089、US 2017/0145025、WO 2017/106634、US2017/0174679、WO2017/192961、WO2017/222976、WO2017/205464、WO2017/112730、WO2017/041899及びWO2018/013789;MaxinovelからのWO2018/006795;並びに、本発明者ChemoCentryxからのWO2018/005374)。しかし、PD-L1のインヒビターとしての小型分子などであり、且つ経口投与、安定性、生物学的利用能、治療係数、及び毒性に関して有利な特徴を有する、代わりの化合物の必要性が依然存在する。
【発明の概要】
【0007】
開示の簡単な概要
一態様において、下記式(I)を有する化合物:
【0008】
【化1】
【0009】
又はその医薬として許容される塩、又はそのプロドラッグもしくは生物学的等価体が、本明細書に提供され:式中、R、R2a、R2b、R2c、R、R4、、R6a、R6b、m及びnは、本明細書において定義されている。
【0010】
本明細書に提供される化合物に加え、本開示は更に、1又は複数のこれらの化合物を含有する医薬組成物、並びにそのような化合物の調製及び使用に関連する方法を提供する。一部の実施態様において、本化合物は、PD-1/PD-L1経路に関連した疾患を治療する治療的方法において使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示の詳細な説明
略語及び定義
本明細書において使用される用語「ある又はその(a、an又はthe)」は、1つのメンバーによる態様のみを含むのではなく、2以上のメンバーによる態様も含む。例えば、単数形(a、an及びthe)は、文脈が別に明確に指摘しない限りは、複数の言及も含む。従って例えば「ある細胞」の言及は、複数のそのような細胞を含み、且つ「その物質」の言及は、1又は複数の当業者に公知の物質の言及を含む、などである。
【0012】
用語「約」及び「およそ」は、概して所定の測定の性質又は正確さで測定された量の誤差の許容される程度を意味するものとする。典型的には、例証的誤差の程度は、所定の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。あるいは、及び特に生物系において、用語「約」及び「およそ」は、所定の値の一桁以内の、好ましくは5倍以内の、より好ましくは2倍以内の値を意味することができる。本明細書において与えられる数値量は、別に言及しない限りは、概算であり、これは用語「約」及び「およそ」は、明確に言及されなくとも、推定され得ることを意味する。
【0013】
用語「アルキル」は、それ自身又は別の置換基の一部として、別に指定しない限りは、指定された数の炭素原子を有する(すなわち、Cは、1~8個の炭素を意味する)、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられる。用語「アルケニル」とは、1又は複数の二重結合を有する、不飽和アルキル基を指す。同様に、用語「アルキニル」とは、1又は複数の三重結合を有する、不飽和アルキル基を指す。アルケニル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル及び3-(1,4-ペンタジエニル)が挙げられる。アルキニル基の例としては、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、並びにより高次の同族体及び異性体が挙げられる。用語「シクロアルキル」とは、指定された数の環原子を有し(例えば、C3-6シクロアルキル)、且つ完全に飽和されるか又は環頂点(ring vertices)間にただ1つの二重結合を有する、炭化水素環を指す。「シクロアルキル」はまた、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなど、二環式及び多環式炭化水素環を指すことも意味する。この二環式又は多環式環は、縮合された、架橋された、スピロ又はそれらの組合せであってよい。用語「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」とは、N、O、及びSから選択された1~5個のヘテロ原子を含む、シクロアルキル基を指し、ここで窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化され、且つ窒素原子(複数可)は任意に四級化される。ヘテロシクロアルキルは、単環系、二環系又は多環系であってよい。この二環式又は多環式環は、縮合された、架橋された、スピロ又はそれらの組合せであってよい。C4-12ヘテロシクリルの記述は、その環員の少なくとも1個はヘテロ原子である4~12個の環員を有する基を指すことは理解される。ヘテロシクロアルキル基の非限定的例としては、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、テトラゾロン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、その分子の残余に、環炭素又はヘテロ原子を介して、結合することができる。
【0014】
用語「アルキレン」は、それ自身又は別の置換基の一部として、-CHCHCHCH-により例証されるような、アルカン由来の二価の基を意味する。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は、1~12個の炭素原子を有し、8個以下の炭素原子を有するそれらの基が、本開示においては好ましい。同様に、「アルケニレン」及び「アルキニレン」は、各々、二重結合又は三重結合を有する「アルキレン」の不飽和型を指す。
【0015】
用語「ヘテロアルキル」は、それ自身又は別の用語の一部として、別に指定しない限りは、言及された数の炭素原子、並びにO、N、Si及びSからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子からなる、安定した直鎖もしくは分岐鎖、もしくは環状の炭化水素基、又はそれらの組合せを意味し、ここで窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化されてよく、且つ窒素ヘテロ原子は任意に四級化されてよい。ヘテロ原子(複数可)O、N及びSは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置されてよい。ヘテロ原子Siは、アルキル基がその分子の残余に結合されている位置を含む、ヘテロアルキル基の任意の位置に配置されてよい。例としては、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、及び-CH=CH-N(CH)-CHが挙げられる。例えば、-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CHなど、最大2個のヘテロ原子が連続してよい。同様に、用語「ヘテロアルケニル」及び「ヘテロアルキニル」は、それ自身又は別の用語との組合せにおいて、別に指定しない限りは、各々、言及された数の炭素原子からなり、並びにO、N、Si及びSからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、アルケニル基又はアルキニル基を意味し、ここで窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化されてよく、且つ窒素ヘテロ原子は任意に四級化されてよい。ヘテロ原子(複数可)O、N及びSは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置されてよい。
【0016】
用語「ヘテロアルキレン」は、それ自身又は別の置換基の一部として、ヘテロアルキル由来の、飽和又は不飽和又はポリ不飽和の、二価の基を意味し、例として、-CH-CH-S-CHCH-及び-CH-S-CH-CH-NH-CH-、-O-CH-CH=CH-、-CH-CH=C(H)CH-O-CH-及び-S-CH-C≡C-がある。ヘテロアルキレン基に関して、ヘテロ原子はまた、鎖末端のいずれかもしくは両方を占拠することができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。
【0017】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)は、それらの通常の意味で使用され、且つその分子の残余に、各々、酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して結合されたそれらのアルキル基を指す。加えて、ジアルキルアミノ基に関して、アルキル部分は、同じ又は異なることができ、且つまた一緒に、各々が結合している窒素原子と共に3-7員環を形成することもできる。従って、-NRとして表された基は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどを含むことを意味する。
【0018】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、それら自身又は別の置換基の一部として、別に指定しない限りは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語「Cハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことを意味する。
【0019】
用語「ヒドロキシアルキル」又は「アルキル-OH」とは、少なくとも1個(及び最大3個)の水素原子が、ヒドロキシ基により置き換えられている、先に定義されたようなアルキル基を指す。アルキル基について、ヒドロキシアルキル基は、C1-6などの、任意の好適な数の炭素原子を有することができる。例証的ヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル(ここでヒドロキシは、1-又は2-位にある)、ヒドロキシプロピル(ここでヒドロキシは、1-、2-又は3-位にある)、及び2,3-ジヒドロキシプロピルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0020】
用語「C1-3アルキル-グアニジニル」とは、少なくとも1個の水素原子が、グアニジニル基(-NHC(NH)NH)により置き換えられている、先に定義されたような、C1-3アルキル基を指す。
【0021】
用語「アリール」は、別に指定しない限りは、共に縮合されるか又は共有的に連結される、単環又は多環(最大三環)であることができる、ポリ不飽和の、典型的には芳香族、炭化水素基を意味する。用語「ヘテロアリール」とは、N、O、及びSから選択された、1~5個のヘテロ原子を含む、アリール基(又は環)を指し、ここで窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化されてよく、且つ窒素原子(複数可)は任意に四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して、その分子の残余に結合することができる。C5-10ヘテロアリールの記述は、少なくとも1個の環員はヘテロ原子である、5~10個の環員を有するヘテロアリール部分を指すことは理解される。アリール基の非限定的例としては、フェニル、ナフチル及びビフェニルが挙げられる一方で、ヘテロアリール基の非限定的例としては、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル(pyrimindinyl)、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアゾリル(benzothiaxolyl)、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどが挙げられる。先に注記したアリール及びヘテロアリール環系の各々に関する置換基は、以下に説明した許容される置換基の群から選択される。
【0022】
用語「炭素環」、「炭素環式」又は「カルボシクリル」は、環頂点として炭素原子のみを伴う、環状部分を指す。炭素環部分は、飽和又は不飽和であり、且つ芳香族であることができる。一般に、炭素環式部分は、3~10の環員を有する。複数の環構造(例えば二環式)を有する炭素環式部分は、芳香環に縮合されたシクロアルキル環を含むことができる(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)。従って、炭素環としては、シクロペンチル、シクロヘキセニル、ナフチル、及び1,2,3,4-テトラヒドロナフチルが挙げられる。用語「複素環」は、「ヘテロシクロアルキル」部分及び「ヘテロアリール」部分の両方を指す。従って、複素環は、飽和又は不飽和であり、且つ芳香族であることができる。一般に、複素環は、4~10の環員であり、且つピペリジニル、テトラジニル、ピラゾリル及びインドリルを含む。
【0023】
先の用語のいずれか(例えば、「アルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)が、その置換基について更なる注記を伴わずに「置換された」と称される場合、指定された基の置換された形は、以下に提供されるようなものであろう。
【0024】
アルキル基(時にはアルキレン、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルと称されるそのような基を含む)に関する置換基は、以下から選択される様々な基であることができ:-ハロゲン、-OR’、-NR’R”、-SR’、-SiR’R”R”’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NR”C(O)R’、-NH-C(NH)=NH、-NR’C(NH)=NH、-NH-C(NH)=NR’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R”、-NR’S(O)R”、-CN及び-NO;数は、0から(2m’+1)の範囲であり、ここでm’は、そのような基の炭素原子の総数である。R’、R”及びR”’は、各々独立して、水素、非置換C1-8アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換アリール、1~3個のハロゲンにより置換されたアリール、非置換C1-8アルキル、C1-8アルコキシもしくはC1-8チオアルコキシ基、又は非置換アリール-C1-4アルキル基を指す。R’とR”が同じ窒素原子に結合される場合、これらは、その窒素原子と一緒に、3-、4-、5-、6-、又は7-員環を形成することができる。例えば、-NR’R”は、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことを意味する。用語「アシル」は、それ自身又は別の基の一部として使用される場合、その基の結合点に最も近い炭素上の2個の置換基が、置換基=Oにより置き換えられているアルキル基(例えば、-C(O)CH、-C(O)CHCHOR’など)を指す。
【0025】
同様に、アリール基及びヘテロアリール基に関する置換基は変動し、且つ一般に以下から選択され:-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R”、-SR’、-R’、-CN、-NO、-COR’、-CONR’R”、-C(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NH-C(NH)=NH、-NR’C(NH)=NH、-NH-C(NH)=NR’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R”、-NR’S(O)R”、-N、ペルフルオロ(C-C)アルコキシ、及びペルフルオロ(C-C)アルキル;数は、0から芳香環系上のオープン価数(open valences)の総数までの範囲であり;並びに、ここでR’、R”及びR”’は、水素、C1-8 アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、非置換のアリール及びヘテロアリール、(非置換アリール)-Cアルキル、及び非置換アリールオキシ-Cアルキルから独立して選択される。他の好適な置換基は、1~4個の炭素原子のアルキレンテザーにより環原子に結合された先のアリール置換基の各々を含む。
【0026】
アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の2つの置換基は、式-T-C(O)-(CH-U-の置換基により、任意に置換えられてよく、式中T及びUは独立して、-NH-、-O-、-CH-又は単結合であり、並びにqは、0~2の整数である。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の2つの置換基は、式-A-(CH-B-の置換基により、任意に置き換えられてよく、式中A及びBは、独立して、-CH-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NR’-又は単結合であり、並びにrは、1~3の整数である。そのように形成された新規環の単結合の一つは、任意に二重結合により置き換えられてよい。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の2つの置換基は、式-(CH-X-(CH-により、任意に置き換えられてよく、式中、s及びtは、独立して、0~3の整数であり、並びにXは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、又は-S(O)NR’-である。-NR’-及び-S(O)NR’-中の置換基R’は、水素又は非置換C アルキルから選択される。
【0027】
本明細書において使用される用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)及びケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0028】
本明細書の開示は更に、そのプロドラッグ及び生物学的等価体に関する。好適な生物学的等価体は、例えば、カルボキシラート置導(ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及びテトラゾールなどの酸性ヘテロシクリル基)を含むであろう。好適なプロドラッグは、生理的条件下で加水分解及び/又は酸化し、式Iの化合物を提供することがわかっている、それらの慣習的群を含むであろう。
【0029】
用語「患者」及び「対象」は、霊長類(特にヒト)、飼い馴らされた伴侶動物(イヌ、ネコ、ウマなど)及び家畜(ウシ、ブタ、ヒツジなど)を含む。
【0030】
本明細書において使用される用語「治療する」又は「治療」は、疾患を変更する治療及び症候性治療の両方を包含しており、そのいずれも、予防的(すなわち、症状を防止、遅延又は重症度を軽減するために、症状の開始前に)又は治療的(すなわち、症状の重症度及び/又は持続期間を減少するために、症状の開始後に)であってよい。
【0031】
用語「医薬として許容される塩」は、本明細書記載の化合物上に認められる特定の置換基に応じて、比較的無毒の酸又は塩基により調製される、活性化合物の塩を含むことを意味する。本開示の化合物が、比較的酸性の官能基を含む場合、無希釈又は好適な不活性溶媒中のいずれかで、そのような化合物の中性型を、十分量の所望の塩基と接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。医薬として許容される無機塩基から誘導された塩の例は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、第一マンガン(manganous)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む。医薬として許容される有機塩基から誘導された塩の例は、置換されたアミン、環状アミン、天然のアミンなどを含む、第一級、第二級及び第三級アミンの塩、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペラディン(piperadine)、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを含む。本開示の化合物が、比較的塩基性の官能基を含む場合、無希釈又は好適な不活性溶媒中のいずれかで、そのような化合物の中性型を、十分量の所望の酸と接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。医薬として許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸などのような無機酸から誘導されたもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的無毒の有機酸から誘導された塩を含む。同じく、アルギネートなどのアミノ酸の塩、並びにグルクロン酸又はガラクツロン酸などのような有機酸の塩も含む(例えば、Berge、S.M.ら、“Pharmaceutical Salts”、Journal of Pharmaceutical Science、1977、66、1-19参照)。本開示の特定の具体的化合物は、化合物が塩基付加塩又は酸付加塩のいずれかに転換されることができるような、塩基性及び酸性の両方の官能基を含む。
【0032】
本化合物の中性型は、塩を塩基又は酸と接触させ、且つ慣習的方式で、親化合物を単離することにより、再生されることができる。この化合物の親は、極性溶媒中の溶解度などの特定の物理特性が様々な塩形とは異なるが、他方これらの塩は、本開示の目的に関して、その化合物の親型と同等である。
【0033】
本開示のいくつかの化合物は、非溶媒和型で、並びに水和型を含む、溶媒和型で存在することができる。概して、溶媒和型は、非溶媒和型と同等であり、且つ本開示の範囲内に包含されることが意図される。本開示のいくつかの化合物は、複数の結晶型又は非晶質型で存在してよい。概して、全ての物理的型は、本開示により企図された使用に関して同等であり、且つ本開示の範囲内であることが意図される。
【0034】
本発明のいくつかの化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体及び個別の異性体(例えば、分離(separate)エナンチオマー)は全て、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。立体化学的描写が示されている場合、これは、その異性体の一つが存在し、且つ実質的に他方の異性体は含まない化合物を指すことが意図される。別の異性体を「実質的に含まない」とは、2種の異性体の少なくとも80/20比、より好ましくは90/10、又は95/5以上を指摘している。一部の実施態様において、これらの異性体の一方は、少なくとも99%の量で存在するであろう。
【0035】
本開示の化合物はまた、そのような化合物を構成する1又は複数の原子で、非天然の割合の原子同位体を含むことができる。例えば、これらの化合物は、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)などの放射性同位体により、放射標識され得る。本開示の化合物の全ての同位体変化は、放射性であるかどうかにかかわらず、本開示の範囲内に包含されることが意図される。例えば、これらの化合物は、任意の数の水素原子が、重水素(H)同位体により置き換えられるように、調製されることができる。本開示の化合物はまた、そのような化合物を構成している1又は複数の原子で、原子同位体の非天然の割合を含むことができる。非天然の割合の同位体は、問題の原子の天然に認められる量から100%の量までの範囲として定義され得る。例えばこれらの化合物は、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)もしくは炭素-14(14C)などの放射性同位体、又は重水素(H)もしくは炭素-13(13C)などの非放射性同位体を、組み込んでよい。そのような同位体変化は、本出願内の別所記載の有用性に追加された有用性を提供することができる。例えば、本開示の化合物の同位体変種は、非限定的に診断及び/もしくは造影の試薬として、又は細胞毒性/放射能毒性の治療薬として含む、追加の有用性を認めることができる。加えて本開示の化合物の同位体変種は、治療時の増強された安全性、忍容性又は有効性に寄与し得る、改変された薬物動態及び薬力学の特徴を有することができる。本開示の化合物の全ての同位体変化は、放射性であるかどうかにかかわらず、本開示の範囲内に包含されることが意図される。
【0036】
化合物
一態様において、本開示は、式(I)の化合物:
【0037】
【化2】
【0038】
又はその医薬として許容される塩、又はそのプロドラッグもしくは生物学的等価体を提供する:
(式中、
は、式(IIa)又は式(IIb)から選択され:
【0039】
【化3】
【0040】
各置換基R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、H、ハロゲン、-CN、-R、-CO、-CONR、-C(O)R、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)、-NR-C(O)NR、-NR、-OR、-O-X-OR、-O-X-CO、-O-X-CONR、-X-OR、-X-NR、-X-CO、-X-CONR、-SF、及び-S(O)NRからなる群から独立して選択され、ここで各Xは、C1-4アルキレンであり;各R及びRは、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、その窒素原子と一緒に、環員としてN、OもしくはSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有する、5もしくは6-員環を形成することができ、ここで5又は6-員環は、任意にオキソにより置換されており;各Rは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル及びC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;並びに、任意に、2個の置換基が、ベンゼン環の隣接炭素原子上にある場合、これらは一緒に、ハロ、オキソ、C1-8ハロアルキル及びC1-8アルキルから独立して選択された1~3個の置換基により任意に置換された、縮合した5、6又は7-員の炭素環又は複素環を形成してよく;
Lは、以下からなる群から選択され:
【0041】
【化4】
【0042】
ここで、各下付文字qは、独立して1、2、3又は4であり、並びにLは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルキル、-O-C1-3アルキル、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3ハロアルキル及び-COHからなる群から選択される1もしくは2個の員により任意に更に置換され;
Zは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、グアニジニル、キヌクリジン、及び8-アザビシクロ[3.2.1]オクタンからなる群から選択され、その各々は任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルキル、-NH、-NHC1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-O-C1-3アルキル、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3ハロアルキル及び-COHから独立して選択された1~3個の基により置換されるか、又は
Zは、-COz1及び-NRz1z2からなる群から選択され;ここで、Rz1は、H、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル及びC1-8ヒドロキシアルキルからなる群から選択され;並びに、Rz2は、-C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C1-8アルキル-COOH、C1-8アルキル-OH、C1-8アルキル-CONH、C1-8アルキル-SONH、C1-8アルキル-PO、C1-8アルキル-C(O)NHOH、-C(O)-C1-8アルキル-OH、-C(O)-C1-8アルキル-COOH、C3-10シクロアルキル、-C3-10シクロアルキル-COOH、-C3-10シクロアルキル-OH、C4-8ヘテロシクリル、-C4-8ヘテロシクリル-COOH、-C4-8ヘテロシクリル-OH、-C1-8アルキル-C4-8ヘテロシクリル、-C1-8アルキル-C3-10シクロアルキル、C5-10ヘテロアリール及び-C1-8アルキル-C5-10ヘテロアリールから選択され;
各R2a、R2b及びR2cは、H、ハロゲン、-CN、-R、-CO、-CONR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)、-NR-C(O)NR、-NR、-OR、-X-OR、-X-NR、-X-CO、-SF、及び-S(O)NRからなる群から独立して選択され、ここで各Xは、C1-4アルキレンであり;各R及びRは、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、その窒素原子と一緒に、環員としてN、O及びSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有し、並びにオキソにより任意に置換された、5もしくは6-員環を形成することができ;各Rは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、及びC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
は、-NR及びC4-12ヘテロシクリルからなる群から選択され、ここでC4-12ヘテロシクリルは、1~6個のR3aにより任意に置換され;
各R3aは、ハロゲン、-CN、-R、-CO、-CONR、-CONHC1-6アルキル-OH、-C(O)R、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)、-CONHOH、-PO、-NR-X-C(O)、-NRC(O)NR、-NR、-OR、-S(O)NR、-O-X-OR、-O-X-NR、-O-X-CO、-O-X-CONR、-X-OR、-X-NR、-X-CO、-X-CONR、-X-CONHSO及びSFからなる群から独立して選択され;ここで、Xは、C1-6アルキレンであり、及び任意にOH、SONH、CONH、C(O)NHOH、PO、COO-C1-8アルキル又はCOHにより更に置換され、ここで各R及びRは、水素、OH、SONH、CONH、C(O)NHOH、PO、COO-C1-8アルキルもしくはCOHから選択される1~2個の置換基により任意に置換されたC1-8アルキル、並びにOH、SONH、CONH、C(O)NHOH、PO、COO-C1-8アルキルもしくはCOHから選択される1~2個の置換基により任意に置換されたC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、R及びRは、窒素原子と一緒に、環員としてN、OもしくはSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有し、並びにオキソにより任意に置換された、5もしくは6-員環を形成することができ;各Rは、その各々は、OH、SONH、CONH、C(O)NHOH、PO、COO-C1-8アルキルもしくはCOHにより任意に置換されてよい、-OH、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、及びC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
は、H、C1-8ハロアルキル及びC1-8アルキルからなる群から選択され;
は、-C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、C1-8ヒドロキシアルキル、C1-8アルキル-CO、C1-8アルキル-CONR、及びC1-8アルキル-CONHSO、C1-8アルキル-SONR、C1-8アルキル-PO、C1-8 アルキル-C(O)NHOH、C1-8アルキル-NRh1h2、-C(O)R、C3-10シクロアルキル、-C3-10シクロアルキル-COOR、-C3-10シクロアルキル-OR、C4-8ヘテロシクリル、-C4-8ヘテロシクリル-COOR、-C4-8ヘテロシクリル-OR、-C1-8アルキル-C4-8ヘテロシクリル、-C(=O)OC1-8アルキル-C4-8ヘテロシクリル、-C1-8アルキル-C3-10 シクロアルキル、C5-10ヘテロアリール、-C1-8アルキル-C5-10 ヘテロアリール、-C1-8アルキル-C6-10アリール、-C1-8アルキル-(C=O)-C6-10アリール、-CO-C1-8アルキル-OC-C1-8アルキル、-C1-8アルキル-NH(C=O)-C2-8アルケニル、-C1-8アルキル-NH(C=O)-C1-8アルキル、-C1-8アルキル-NH(C=O)-C2-8アルキニル、-C1-8アルキル-(C=O)-NH-C1-8アルキル-COOR、及び任意にCOHにより置換された-C1-8 アルキル-(C=O)-NH-C1-8 アルキル-ORから選択されるか;又は
は、それが結合したNと一緒に、1~3個の天然のアミノ酸及び0~2個の非天然のアミノ酸を含むモノ-、ジ-又はトリ-ペプチドであり、ここで
非天然のアミノ酸は、C2-4ヒドロキシアルキル、C1-3アルキル-グアニジニル、及びC1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択されるアルファ炭素置換基を有し、
各天然又は非天然のアミノ酸のアルファ炭素は、メチル基により、任意に更に置換され、並びに
モノ-、ジ-、もしくはトリ-ペプチドの末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C1-6アルキル、及びPOからなる群から選択され、ここで
h1及びRh2は、各々独立してH、C1-6アルキル、及びC1-4ヒドロキシアルキルからなる群から選択され;
のC1-8アルキル部分は、OH、COOH、SONH、CONH、C(O)NHOH、COO-C1-8アルキル、PO及び1~2個のC1-3アルキル置換基により任意に置換されたC5-6ヘテロアリールから独立して選択された1~3個の置換基により任意に更に置換され、
のC5-10ヘテロアリール及びC6-10アリール部分は、OH、B(OH)、COOH、SONH、CONH、C(O)NHOH、PO、COO-C1-8アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルキル-OH、C1-4アルキル-SONH、C1-4アルキルCONH、C1-4アルキル-C(O)NHOH、C1-4アルキル-PO、C1-4アルキル-COOH及びフェニルから独立して選択された1~3個の置換基により任意に置換され、並びに
のC4-8ヘテロシクリル及びC3-10シクロアルキル部分は、1~4個のR置換基により任意に置換され;
各R置換基は、C1-4アルキル、C1-4アルキル-OH、C1-4アルキル-COOH、C1-4アルキル-SONH、C1-4アルキルCONH、C1-4アルキル-C(O)NHOH、C1-4アルキル-POH、OH、COO-C1-8 アルキル、COOH、SONH、CONH、C(O)NHOH、PO及びオキソから独立して選択され;
は、O-C1-8アルキル、O-C1-8ハロアルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、-O-C1-4アルキル-C4-7ヘテロシクロアルキル、-O-C1-4アルキル-C6-10アリール及び-O-C1-4アルキル-C5-10ヘテロアリールからなる群から選択され、その各々は1~5個のR4aにより任意に置換され;
各R4aは、ハロゲン、-CN、-R、-CO、-CONR、-C(O)R、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)、-NR-C(O)NR、-NR、-OR、-O-X-OR、-O-X-NR、-O-X-CO、-O-X-CONR、-X-OR、-X-NR、-X-CO、-X-CONR、-SF、-S(O)、-S(O)NR、C3-7シクロアルキル及びC4-7ヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択され、ここでシクロアルキル環及びヘテロシクロアルキル環は、1~5個のRにより任意に置換され、ここで各Rは、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキル、-CO、-CONR、-C(O)R、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)、-NR-C(O)NR、-NR、-OR、-O-X-OR、-O-X-NR、-O-X-CO、-O-X-CONR、-X-OR、-X-NR、-X-CO、-X-CONR、-SF、及び-S(O)NRからなる群から独立して選択され;
ここで、各Xは、C1-6アルキレンであり;各R及びRは、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、その窒素原子と一緒に、環員としてN、OもしくはSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有し、並びにオキソにより任意に置換された、5もしくは6-員環を形成することができ;各Rは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、及びC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;並びに、任意に2個のR4a置換基が隣接原子上にある場合、これらは一緒に、オキソにより任意に置換された縮合した5又は6-員の炭素環又は複素環を形成し;
下付文字nは、0、1、2又は3であり;
各Rは、ハロゲン、-CN、-R、-CO、-CONR、-C(O)R、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)、-NR-C(O)NR、-NR、-OR、-O-X-OR、-O-X-NR、-O-X-CO、-O-X-CONR、-X-OR、-X-NR、-X-CO、-X-CONR、-SF、-S(O)NRからなる群から独立して選択され、ここで各Xは、C1-4アルキレンであり;各R及びRは、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、その窒素原子と一緒に、環員としてN、OもしくはSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有し、並びにオキソにより任意に置換された、5もしくは6-員環を形成することができ;各Rは、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
6aは、H、C1-4アルキル及びC1-4ハロアルキルからなる群から選択され;
下付文字mは、0、1、2、3又は4であり;
各R6bは、F、C1-4アルキル、O-R、C1-4ハロアルキル、NRからなる群から独立して選択され、ここで各R及びRは、水素、C1-8アルキル、及びC1-8ハロアルキルから独立して選択されるか、又は同じ窒素原子に結合された場合、その窒素原子と一緒に、環員としてN、OもしくはSから選択された0~2個の追加のヘテロ原子を有し、並びにオキソにより任意に置換された、5もしくは6-員環を形成することができる)。
【0043】
一部の実施態様において、本開示は、式(Ia)又は式(Ib)を有する化合物を提供する:
【0044】
【化5】
【0045】
一部の選択された実施態様において、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、式中、Rが以下からなる群から選択される、そのような化合物である:
【0046】
【化6】
【0047】
一部の選択された実施態様において、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、式中、Rが以下からなる群から選択される、そのような化合物である:
【0048】
【化7】
【0049】
一部の選択された実施態様において、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、式中、Rが、以下である、そのような化合物である:
【0050】
【化8】
【0051】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、又はその医薬として許容される塩に関して、式中、基Z-L-は、以下からなる群から選択される:
【0052】
【化9】
【0053】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、又はその医薬として許容される塩に関して、式中、基Z-L-は、以下からなる群から選択される:
【0054】
【化10】
【0055】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、又はその医薬として許容される塩に関して、式中、基Z-L-は、以下からなる群から選択される:
【0056】
【化11】
【0057】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、R2a、R2b及びR2cの各々が、水素、ハロゲン、CN、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択されるものである。
【0058】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、R2b及びR2cが、両方共Hであり、並びにR2aが、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C1-3ハロアルキル、-CN、-OMe及びOEtからなる群から選択されるものである。一部の実施態様において、R2b及びR2cは、両方共Hであり、並びにR2aは、ハロゲンである。一部の実施態様において、R2b及びR2cは、両方共Hであり、並びにR2aはClである。
【0059】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、Rが、NRであるものである。一部の実施態様において、Rは、以下からなる群から選択される:
【0060】
【化12】
【0061】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、Rが、NRであるものである。一部の実施態様において、Rは、以下からなる群から選択される:
【0062】
【化13】
【0063】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、Rが、NRであるものである。一部の実施態様において、Rは、以下からなる群から選択される:
【0064】
【化14】
【0065】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、Rが、-NRであり、並びにそれが結合されたNと組合せられたRが、1~3個の天然のアミノ酸及び0~2個の非天然のアミノ酸を含む、モノ-、ジ-又はトリ-ペプチドであるものであり、ここで非天然のアミノ酸は、C2-4ヒドロキシアルキル、C1-3アルキル-グアニジニル、及びC1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択される、アルファ炭素置換基を有し、天然又は非天然のアミノ酸の各々のアルファ炭素は、メチル基により更に置換され、並びにモノ-、ジ-、又はトリ-ペプチドの末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C1-6アルキル、及びPOからなる群から選択される。
【0066】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、Rの天然のアミノ酸の各々が、セリン、アラニン、グリシン、リジン、アルギニン(argining)、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、ヒスチジン、及びロイシンからなる群から独立して選択されるものである。
【0067】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、Rが、以下からなる群から選択されるものである:
【0068】
【化15】
【0069】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、Rが、以下からなる群から選択されるものである:
【0070】
【化16】
【0071】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、Rが、以下であるものである:
【0072】
【化17】
【0073】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、nが、0であるものである。
【0074】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は、式中、R6a及びR6bが、各々独立して、水素、ハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4ハロアルキルからなる群から選択されるものである。
【0075】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)及び(Ib)の各々、並びに先の更に選択された実施態様に関して、化合物又はその医薬として許容される塩は:
【0076】
【化18】
【0077】
が、
【0078】
【化19】
【0079】
であるものである。
【0080】
先に提供された化合物に加え、それらの化合物の医薬として許容される塩も提供される。一部の実施態様において、医薬として許容される塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペラディン(piperadine)、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、塩酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、アルギン酸、グルクロン酸及びガラクツロン酸から選択される。一部の実施態様において、医薬として許容される塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、塩酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、アルギン酸、グルクロン酸及びガラクツロン酸から選択される。一部の実施態様において、医薬として許容される塩は、ナトリウム又は塩酸である。
【0081】
塩形に加え、本開示は、プロドラッグ形である化合物を提供する。本明細書記載の化合物のプロドラッグは、生理的条件下で化学変化を容易に受け、本開示の化合物を提供するそれらの化合物である。加えてプロドラッグは、エクスビボ環境において化学的又は生化学的方法により、本開示の化合物へ転換され得る。例えば、プロドラッグは、好適な酵素又は化学試薬と共に、経皮貼付貯蔵器内に配置された場合、本開示の化合物へゆっくり転換され得る。
【0082】
エステルは、対応するカルボン酸のプロドラッグとして使用されることができる。C1-10アルキルエステル又はC1-10ハロアルキルエステルは、対応するカルボン酸のプロドラッグとして使用されることができる。以下のエステルが、使用されることができる:ter-ブチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル。より詳細には、エステルプロドラッグは、その分子の残余に、それらの窒素を介して連結されている、トレオニン又はセリンプロドラッグエステルなどの、R基として利用することができる。より詳細には、以下のプロドラッグを、Rについて使用することができる:
【0083】
【化20】
【0084】
より詳細には、以下のプロドラッグを、Rについて使用することができる:
【0085】
【化21】
【0086】
医薬組成物
本明細書に提供される化合物に加え、それらの化合物の組成物は、典型的には医薬担体又は希釈剤を含むであろう。
【0087】
本明細書に使用される用語「組成物」は、特定された成分を特定された量で含有する製品、並びに特定された成分の特定された量での組合せから直接又は間接に生じる任意の製品を包含することが意図される。「医薬として許容される」により、担体、希釈剤又は賦形剤は、その製剤の他の成分と相溶性があり、且つそのレシピエントに有害でないことを意味する。
【0088】
別の実施態様において、式(II)、(IIa)、(IIb)、(I)、(Ia)、もしくは(Ib)の化合物を含む本開示の化合物、又はそれらの医薬として許容される塩、並びに医薬として許容される賦形剤を含有する医薬組成物が、提供される。
【0089】
一部の実施態様において、この医薬組成物は、1又は複数の追加治療薬を更に含有する。一部の実施態様において、1又は複数の追加治療薬は、抗微生物薬、抗ウイルス薬、細胞毒性物質、遺伝子発現調節物質、化学療法薬、抗癌剤、血管新生阻害剤、免疫療法薬、抗ホルモン薬、抗線維化薬、放射線治療、放射線治療薬、抗悪性腫瘍薬、及び抗増殖薬からなる群から選択される。一部の実施態様において、1又は複数の追加治療薬は、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX3587、CCX3624、CCX2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、CCX168-M1、CCX3022及びCCX3384の1又は複数からなる群から選択される。
【0090】
本開示の化合物の投与のための医薬組成物は、好都合なことに、単位剤形で提供されてよく、且つ調剤及び薬物送達の技術分野において周知の任意の方法により調製されてよい。全ての方法は、活性成分を、1又は複数の付属的な成分を構成する担体と会合させる工程を含む。概して、この医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微細化された固形担体又は両方と均一且つ密接に会合させ、次に必要ならば、この製品を所望の製剤に成形するにより調製される。この医薬組成物中で、活性のある目的化合物は、疾患の過程又は状態に対し、所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。
【0091】
この活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形状、例えば、錠剤、トローチ剤、舐剤、水性又は油性懸濁剤、分散性散剤又は顆粒剤、乳剤及び米国特許出願第2002-0012680に記載されたような自己乳化剤(self-emulsifications)、硬又は軟カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤、液剤、口腔内貼付剤、経口ゲル剤、チューインガム、咀嚼錠、発泡散剤及び発泡錠であってよい。経口使用が意図された組成物は、医薬組成物の製造に関する技術分野において公知の任意の方法に従い調製することができ、且つそのような組成物は、医薬として洗練され且つ口当たりのよい調製品を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、抗酸化剤及び保存剤からなる群から選択される物質を1又は複数含んでよい。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適している無毒の医薬として許容される賦形剤と混合して含む。これらの賦形剤は、例えば、セルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの、不活性希釈剤;例えば、トウモロコシデンプン、又はアルギン酸などの、造粒剤及び崩壊剤;例えば、PVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン又はアカシアゴムなどの、結合剤;並びに、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクなどの、滑沢剤であってよい。錠剤は、コーティングされないか、又は、腸溶性に、もしくはそうでなければ胃腸管における崩壊及び吸収を遅延し、それにより長期間に渡る持続作用を提供するための公知の技術により、コーティングされることができる。例えば、グリセリルモノステアラート又はグリセリル時ステアラートなどの、時間遅延物質を、利用することができる。これらはまた、制御放出のための浸透圧治療用錠剤の形成に関する、米国特許第4,256,108号;第4,166,452号;及び、第4,265,874号に説明された技術により、コーティングされることもできる。
【0092】
経口使用のための製剤もまた、活性成分が、不活性固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン、様々な平均サイズのポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEG400、PEG4000)、並びにいくつかの界面活性剤、例えばクレモフォール又はソルトールなどと混合されている、硬ゼラチンカプセル剤として、あるいは活性成分が、水、又は油性媒体、例えば落花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油などと混合されている、軟ゼラチンカプセル剤として、提示されてよい。加えて、乳剤は、油のような、水非混和性成分と共に調製され、且つモノ-もしくはジ-グリセリド、PEGエステルなどの、界面活性剤により、安定化されることができる。
【0093】
水性懸濁剤は、活性物質を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して含有する。そのような賦形剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、トラガカントガム及びアカシアゴムなどの、懸濁化剤であり;分散剤又は湿潤剤は、天然のホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、例えば、ポリオキシ-エチレンステアレートなど、又はエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノールなど、又はエチレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなど、又はエチレンオキシドの脂肪酸及び無水ヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどであることができる。水性懸濁剤はまた、1又は複数の保存剤、例えば、エチルもしくはn-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸エステルなど、1又は複数の着色剤、1又は複数の香味剤、及び1又は複数の甘味剤、例えばショ糖又はサッカリンも含有してよい。
【0094】
油性懸濁剤は、活性成分を、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナツ油などの植物油、又は流動パラフィンなどの鉱油中に懸濁することにより、製剤化されてよい。油性懸濁剤は、例えば、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコールなどの増粘剤を含有してよい。先に記載したもののような甘味剤、及び香味剤を添加し、口当たりのよい経口調製品を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加により、保存され得る。
【0095】
水の添加による水性懸濁液の調製に適している分散性散剤及び顆粒剤は、活性成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1又は複数の保存剤と混合して提供する。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、先に既に言及したものにより例示される。追加の賦形剤、例えば甘味料、香味剤及び着色剤も、存在してよい。
【0096】
本開示の医薬組成物はまた、水中油型乳剤の形状であってもよい。油相は、例えばオリーブ油もしくは落花生油などの植物油、又は例えば流動パラフィンなどの鉱油、又はこれらの混合物であってよい。好適な乳化剤は、例えばアカシアゴム又はトラガカントガムなどの天然ゴム、例えば、大豆、レシチンなどの天然ホスファチド、並びに脂肪酸及び無水ヘキシトール由来のエステルもしくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエートなど、並びに該部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどであってよい。これらの乳剤はまた、甘味料及び香味剤も含有してよい。
【0097】
シロップ剤及びエリキシル剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖などの甘味剤と共に、製剤化されてよい。そのような製剤はまた、粘滑剤(demulcent)、保存剤及び香味剤及び着色剤を含有してよい。経口液剤は、例えば、シクロデキストリン、PEG及び界面活性剤と組合せて調製することができる。
【0098】
本医薬組成物は、無菌の注射用水性又は油性懸濁液の形状であってよい。この懸濁液は、先に言及しているそれらの好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用し、当該技術分野において公知のように製剤化することができる。無菌の注射用調製品はまた、無毒の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の、無菌の注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液などであることもできる。許容されるビヒクル及び溶媒中で、とりわけ使用することができるものは、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌の不揮発性油は、溶媒又は懸濁媒体として慣習的に利用される。この目的に関して、合成モノ-又はジグリセリドを含む、任意の刺激の少ない(bland)不揮発性油が、利用される。加えてオレイン酸などの脂肪酸は、注射用調製品における使用が認められる。
【0099】
本開示の化合物はまた、薬物の直腸投与のために、坐薬の形状で投与されてもよい。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、その結果直腸において融解し薬物を放出する、好適な無刺激の賦形剤と混合することにより、調製することができる。そのような物質は、カカオバター及びポリエチレングリコールを含む。加えて、本化合物は、溶液又は軟膏による、眼球送達により投与することができる。また更に、対象化合物の経皮送達は、イオントフォレシスパッチ(iontophoretic patch)などにより達成することができる。局所使用のためには、本開示の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などが利用される。本明細書において使用される局所適用はまた、洗口液及びうがい薬の使用を含むことも意味する。
【0100】
本開示の化合物はまた、標的化可能な薬物担体として好適なポリマーである担体と結合されてよい。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルタミド-フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジンを含むことができる。更に本開示の化合物は、薬物の制御放出を達成する際に有用である生分解性ポリマーのクラスである担体、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋したもしくは両親媒性ブロック共重合体などと結合されてよい。ポリマー及び半透過性ポリマーのマトリクスは、バルブ、ステント、チューブ、プロテーゼなど、成形された製品へと形成されてよい。本開示の一実施態様において、本開示の化合物は、ステント又はステント-グラフト装置として形成される、ポリマー又は半透過性ポリマーマトリクスに結合される。
【0101】
疾患及び障害の治療方法
本開示の化合物は、免疫調節物質として使用することができる。本開示の化合物は、インビトロ及びインビボの両方での、様々な状況における、PD-1及び/又はPD-L1のアゴニスト、アンタゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、インヒビターとして使用することができる。一部の実施態様において、本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用のインヒビターとして使用することができる。一部の実施態様において、本開示の化合物は、PD-L1のインヒビターとして使用することができる。一部の実施態様において、本開示の化合物は、CD80/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用のインヒビターとして使用することができる。一部の実施態様において、本開示の化合物は、インビトロ又はインビボにおいて、PD-1とPD-L1及び/又はPD-1とCD80及び/又はPD-1とPD-L2の間の相互作用を阻害するために使用することができる。一部の実施態様において、本開示の化合物は、VISTA及び/又はTIM-3を阻害するために使用することができる。一部の実施態様において、本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用のインヒビター並びにVISTA及び/又はTIM-3のインヒビターであることができる。一部の実施態様において、本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用のインヒビターであることに加え、CTLA-4及び/又はBTLA及び/又はLAG-3及び/又はKLRG-1及び/又は2B4及び/又はCD160及び/又はHVEM及び/又はCD48及び/又はE-カドヘリン及び/又はMHC-II及び/又はガレクチン-9及び/又はCD86及び/又はPD-L2及び/又はVISTA及び/又はTIM-3及び/又はCD80のインヒビターであることができる。
【0102】
本開示の化合物は、水性溶液中及びリガンドの受容体への結合に好適な他の条件下で、相互作用する受容体と接触されてよい。この受容体は、懸濁液中(例えば、単離された膜もしくは細胞の調製品中)、培養されたもしくは単離された細胞中、又は組織もしくは臓器中に存在することができる。
【0103】
好ましくは、この受容体と接触された本開示の化合物の量は、例えばELISAを用いて測定した際に、インビトロにおけるPD-1/PD-L1結合を阻害するのに十分でなければならない。この受容体は、溶液又は懸濁液中、培養されたもしくは単離された細胞調製品中、又は患者内に存在することができる。
【0104】
一部の実施態様において、本開示の化合物は、T細胞活性化の回復及び増大に有用である。一部の実施態様において、本開示の化合物は、患者における免疫応答の増強に有用である。一部の実施態様において、本開示の化合物は、癌及び感染症などの、様々な治療領域における疾患又は障害の治療、予防、又は進行の遅延に有用である。
【0105】
一部の実施態様において、本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用の調節に対し反応する状態に罹患した患者の治療に使用することができる。
【0106】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(IIa)もしくは(IIb)の化合物を含む本開示の化合物、又はそれらの医薬として許容される塩、又は式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物もしくはそれらの医薬として許容される塩を含有する組成物の治療的有効量を、対象へ投与することを含む、対象においてPD-1シグナル伝達経路により媒介された免疫応答を調節する方法が、提供される。
【0107】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(IIa)もしくは(IIb)の化合物を含む本開示の化合物、又はそれらの医薬として許容される塩、又は式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物を含む本開示の化合物もしくはそれらの医薬として許容される塩を含有する組成物の治療的有効量を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象において、免疫応答を増強、刺激、調節及び/又は増大する方法が、提供される。
【0108】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(IIa)もしくは(IIb)の化合物を含む本開示の化合物、又はそれらの医薬として許容される塩、又は式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物を含む本開示の化合物もしくはそれらの医薬として許容される塩を含有する組成物の治療的有効量を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象において、癌細胞の成長、増殖、又は転移を阻害する方法が、提供される。
【0109】
一部の実施態様において、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(IIa)もしくは(IIb)の化合物を含む本開示の化合物、又はそれらの医薬として許容される塩、又は式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(IIa)又は(IIb)の化合物を含む本開示の化合物もしくはそれらの医薬として許容される塩を含有する組成物の治療的有効量を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象を治療する方法が、提供される。
【0110】
一部の実施態様において、対象は、感染症、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、固形癌、悪性血液疾患、免疫障害、炎症疾患、及び癌からなる群から選択される疾患又は障害に罹患している。一部の実施態様において、この疾患又は障害は、メラノーマ、膠芽細胞腫、食道腫瘍、鼻咽喉癌、ブドウ膜メラノーマ、リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、慢性骨髄性白血病、カポジ肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、滑液腫、髄膜腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、軟組織肉腫、肉腫、敗血症、胆管腫瘍、基底細胞癌、胸腺腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、子宮癌、副腎癌、肝臓感染症、メルケル細胞癌、神経腫瘍、濾胞中心リンパ腫、結腸癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病を含む慢性又は急性白血病、多発性骨髄腫、卵巣腫瘍、骨髄異形成症候群、皮膚又は眼球内悪性黒色腫、腎細胞癌、小細胞肺癌、肺癌、中皮腫、乳癌、扁平非小細胞肺癌(SCLC)、非扁平NSCLC、結腸直腸癌、卵巣癌、胃癌、肝細胞癌、膵臓癌腫、膵臓癌、膵管腺癌、頭頸部扁平上皮癌、頭頸部癌、消化管癌、胃の癌、HIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、インフルエンザ、骨癌、皮膚癌、直腸癌、肛門癌、精巣癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、陰門癌、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、尿道癌、陰茎癌、膀胱癌、腎臓癌、尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)腫瘍、血管新生腫瘍、脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮癌、石綿肺、癌腫、腺癌、乳頭状癌、嚢胞腺癌、気管支癌、腎細胞癌腫、移行上皮癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、多形腺腫、肝細胞乳頭腫、腎尿細管腺腫、嚢胞腺腫、乳頭腫、腺腫、平滑筋腫、横紋筋腫、血管腫、リンパ管腫、骨腫、軟骨腫、脂肪腫及び線維腫からなる群から選択される。
【0111】
一部の実施態様において、1又は複数の追加治療薬の治療的有効量が、対象へ更に投与される。一部の実施態様において、1又は複数の追加治療薬は、抗微生物薬、抗ウイルス薬、細胞毒性物質、遺伝子発現調節物質、化学療法薬、抗癌剤、血管新生阻害剤、免疫療法薬、抗ホルモン薬、抗線維化薬、放射線治療、放射線治療薬、抗悪性腫瘍薬、及び抗増殖薬からなる群から選択される。一部の実施態様において、1又は複数の追加治療薬は、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、及びCCX168-M1の1又は複数からなる群から選択される。
【0112】
一部の実施態様において、本開示の化合物は、感染性疾患を阻害するために使用することができる。感染性疾患は、HIV、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア;肝炎ウイルス(A、B、及びC型)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-I、HAV-6、HSV-II、及びCMV、エプスタイン・バー・ウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナ(corno)ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、パピローマウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス及びアルボウイルス脳炎ウイルスによる病原性感染症;クラミジア菌、リケッチア菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌及び淋菌、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、大腸菌、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、バシルス、コレラ、破傷風、ボツリヌス、炭疽菌、ペスト、レプトスピラ症、及びライム病細菌による病原性感染症;真菌カンジダ(アルビカンス、クルセイ、グラブラタ、トロピカリスなど)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、アスペルギルス(フミガタス、ニジェールなど)、ケカビ属(ムコール、アブシディア、リゾプス)、スポロトリックス・シェンキイ、ブラストミセス・デルマチチジス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、コクシジオイデス・イミチス及びヒストプラスマ・カプスラーツムによる病原性感染症;並びに、寄生生物エントアメーバ・ヒストリチカ、大腸バランチジウム、フォーラーネグレリア、アカントアメーバ種、ランブル鞭毛虫(Giardia lambia)、クリプトスポリジウム種、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、プラスモジウム・ビバックス、バベシア・ミクロチ、トリパノソーマ・ブルセイ、トリパノソーマ・クルージ、リーシュマニア・ドノバニ、トキソプラズマ・ゴンディ、ブラジル鉤虫(Nippostrongylus brasiliensis)による病原性感染症を含むが、これらに限定されるものではない。
【0113】
一部の実施態様において、本開示の化合物は、HIV感染症を阻害、AIDS進行を遅延、HIVウイルス貯蔵庫を枯渇、又はHIV感染症及びAIDSの重篤な症状を軽減するために使用されてよい。
【0114】
本開示の化合物は、対象において癌及び前癌状態を治療するために使用されてよい。
【0115】
本明細書に提供される治療方法は、概して、1又は複数の本明細書に提供される化合物の有効量を患者へ投与することを含む。好適な患者は、本明細書において確定された障害又は疾患に罹患したか又は易罹患性である(すなわち、予防的治療)患者を含む。本明細書記載の治療のための典型的患者は、哺乳動物、特定すると霊長類、特にヒトを含む。他の好適な患者は、イヌ、ネコ、ウマなどの飼い馴らされた伴侶動物、又はウシ、ブタ、ヒツジなどの家畜動物を含む。
【0116】
概して、本明細書に提供される治療方法は、1又は複数の本明細書に提供される化合物の有効量を、患者へ投与することを含む。好ましい実施態様において、本開示の化合物(複数可)は、好ましくは、患者(例えばヒト)へ、静脈内、経口又は局所的に投与される。有効量は、PD-1/PD-L1相互作用を調節するのに十分な量、及び/又は患者により呈された症状を軽減もしくは緩和するのに十分な量であってよい。好ましくは、投与される量は、PD-1/PD-L1相互作用を調節するのに十分であるのに足りる程高い化合物(又は化合物がプロドラッグの場合、その活性代謝産物)の血漿濃度を生じるのに十分である。治療計画は、使用される化合物及び治療される特定の状態に応じて変動することができ;ほとんどの障害の治療に関して、1日4回以下の投与頻度が、好ましい。概して、1日2回の投薬計画が、より好ましく、1日1回の投薬が、特に好ましい。しかし、いずれか特定の患者に関する具体的投与量レベル及び治療計画は、利用される具体的化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、排泄率、併用薬(すなわち、患者へ投与される他の薬物)及び治療されている特定の疾患の重症度を含む様々な要因、並びに処方する医療行為者の判断に応じて変動することは理解されるであろう。概して、効果的療法を提供するのに十分な最小量の使用が、好ましい。患者は、一般に、治療又は予防される状態に関して適している、医学又は獣医学の判定基準を使用し、治療効果についてモニタリングされる。
【0117】
組合せ
本開示の化合物及び他の薬物を含む併用薬は、その中に両方の構成要素が単独の製剤中に含まれるか、又は個別の製剤として投与される、組合せ調製品として投与されてよい。個別の製剤による投与は、同時投与及びしばらくの間隔を伴う投与を含む。しばらくの間隔を伴う投与の場合、本開示の化合物は、最初に投与され、引き続き別の薬物が投与されることができるか、又は別の薬物が最初に、引き続き本開示の化合物が投与されることができる。それぞれの薬物の投与方法は、同じ又は異なってよい。
【0118】
他方の薬物の用量は、臨床使用される用量を基に、適切に選択することができる。本開示の化合物と他方の薬物の配合比は、投与される対象の年齢及び体重、投与方法、投与時刻、治療される障害、症状及びそれらの組合せに従い、適切に選択することができる。例えば、他方の薬物は、本開示の化合物の1質量部を基に、0.01~100質量部の量で使用されてよい。他方の薬物は、適切な割合の2種又はそれよりも多い任意の薬物の組合せてあってよい。
【0119】
本明細書記載の化合物は、抗微生物薬、抗ウイルス薬、細胞毒性物質、遺伝子発現調節物質、化学療法薬、抗癌剤、血管新生阻害剤、免疫療法薬、抗ホルモン薬、抗線維化薬、放射線治療、放射線治療薬、抗悪性腫瘍薬、及び抗増殖薬などの治療薬の1又は複数と共に使用又は組合せることができる。これらの治療薬は、化合物、抗体、ポリペプチド、又はポリヌクレオチドの形状であってよい。
【0120】
本明細書記載の化合物は、治療的抗体、二重特異性抗体及び「抗体-様」治療的タンパク質(DARTs(登録商標)、Duobodies(登録商標)、Bites(登録商標)、XmAbs(登録商標)、TandAbs(登録商標)、Fab誘導体など)、抗体-薬物複合体(ADC)、ウイルス、腫瘍溶解性ウイルス、CRISPR(CRISPR Cas9を含む)などの遺伝子モディファイヤー又はエディター、ジンクフィンガーヌクレアーゼ又は合成ヌクレアーゼ(TALENs)、CAR(キメラ抗原受容体)、T細胞免疫療法薬、又はそれらの任意の組合せの1又は複数と共に使用又は組合せることができる。
【0121】
化学療法薬の例は、アルキル化剤、ニトロソ尿素系薬、代謝拮抗薬、抗癌抗生物質、植物起源のアルカロイド、トポイソメラーゼインヒビター、ホルモン薬、ホルモンアンタゴニスト、アロマターゼインヒビター、P-糖タンパク質インヒビター、白金錯体誘導体、他の免疫治療薬及び他の抗癌剤を含む。
【0122】
本明細書記載の化合物は、同時に又は混合物の形状で、白血球減少症(好中球減少症)治療薬、血小板減少症治療薬、制吐薬及び癌性疼痛介在薬などの、癌補助治療(treatment adjunct)と共に使用又は組合せることができる。
【0123】
本明細書記載の化合物は、キナーゼインヒビターと共に使用又は組合せることができる。
【0124】
一実施態様において、本開示の化合物は、同時に又は混合物の形状で、他の免疫調節物質及び/又は増強物質と共に使用することができる。免疫調節物質の例は、様々なサイトカイン、ワクチン及びアジュバントを含む。免疫応答を刺激するこれらのサイトカイン、ワクチン及びアジュバントの例は、GM-CSF、M-CSF、G-CSF、インターフェロン-アルファ、ベータ、又はガンマ、IL-1、IL-2、IL-3、IL-12、ポリ(I:C)及びCPGを含むが、これらに限定されるものではない。増強物質は、シクロホスファミド及びシクロホスファミドのアナログ、抗-TGF及びイマチニブ(Gleevac)、有糸分裂阻害剤、例えばパクリタキセル、スニチニブ(スーテント)など、又は他の血管新生阻害剤、レトロゾールなどのアロマターゼインヒビター、A2aアデノシン受容体(A2AR)アンタゴニスト、血管新生インヒビター、アントラサイクリン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、TLR4アンタゴニスト、及びIL-18アンタゴニストを含む。
【0125】
一部の実施態様において、本明細書記載の化合物は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、ChemR23、C5aR、C5a、及びC5のモジュレーターの1又は複数と共に使用又は組合せることができる。一部の実施態様において、このモジュレーターは、アンタゴニストである。
【0126】
一部の実施態様において、本明細書記載の化合物は、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、及びCCX168-M1の1又は複数と共に使用又は組合せることができる。
【0127】
用量
約0.1mg~約140mg/kg体重/日の水準の用量レベルは、PD-1/PD-L1相互作用に関与する状態の治療又は予防において有用である(約0.5mg~約7g/ヒト患者/日)。単独の剤形を作製するために担体材料と組合せることができる活性成分の量は、治療される宿主及び特定の投与様式に応じて変動するであろう。単位剤形は、一般に活性成分約1mg~約500mgを含むであろう。経口、経皮、静脈内、又は皮下投与される化合物に関して、血清濃度5ng(ナノグラム)/mL~10μg(マイクログラム)/mL血清を達成するのに十分量の化合物が投与されることが好ましく、より好ましくは血清濃度20ng~1μg/ml血清を達成するのに十分な化合物が投与されるべきであり、最も好ましくは血清濃度50ng/ml~200ng/ml血清を達成するのに十分な化合物が投与されるべきである。滑膜への直接注射(関節炎の治療のため)に関して、十分な化合物は、およそ1マイクロモルの局所濃度を達成するように投与されるべきである。
【0128】
投薬頻度もまた、使用される化合物及び治療される特定の疾患に応じて変動し得る。しかし、ほとんどの障害の治療に関して、1日4回、1日3回又はそれ以下の投薬計画が好ましく、1日1回又は1日2回の投薬計画が特に好ましい。しかし、いずれか特定の患者に関する具体的投与量レベルは、利用される具体的化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、及び排泄率、併用薬(すなわち、患者へ投与される他の薬物)、治療される特定の疾患の重症度を含む様々な要因、並びに処方する医療行為者の判断を含む他の要因に応じて変動することは理解されるであろう。
【0129】
本開示の別の態様において、本開示の化合物は、様々な医薬ではないインビトロ及びインビボ適用において使用することができる。本開示の化合物はまた、PD-1/PD-L1相互作用活性に関するアッセイにおける陽性対照として、すなわちPD-1及び/又はPD-L1に結合する候補物質の能力を決定するための標準として、又はポジトロン放出断層撮影(PET)の造影のためもしくは単一光子放射断層撮影(SPECT)のための放射性トレーサーとして、使用することもできる。
【0130】
本開示の化合物又はその医薬として許容される塩、及び使用説明書を含むキットも、本開示の範囲内である。このキットは更に、少なくとも1種の追加試薬を含むことができる。キットは典型的には、キットの内容物の意図された用途を示すラベルを含む。用語ラベルは、キット上又はキットと共に提供された、書面によるもの、もしくは記録媒体、又はそれ以外にキットに付随するものを含む。
【実施例
【0131】
実施例
以下の実施例は、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物を含む、本開示の化合物を作製する様々な方法を例証している。以下の実施例は、例証のために提供され、請求された開示を限定するものではない。
【0132】
以下に使用される試薬及び溶媒は、Aldrich Chemical社(ミルウォーキー、ウイスコンシン州、米国)などの、商業的供給業者から得ることができる。H-NMRスペクトルは、Varian Mercury 400MHz NMR分析器上で記録した。顕著なピークは、TMSに対して供され、且つ以下の順で表にした:多重度(s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線)、及びプロトン数。質量分析の結果は、質量電荷比として報告した。実施例において、単独のm/z値は、最も一般的な原子同位体を含む、M+H(又は、注記したように、M-H)イオンについて報告される。同位体パターンは、全ての場合において予想された式に対応している。エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析は、試料送達のためにHP1100 HPLCを使用し、Hewlett-Packard MSDエレクトロスプレー質量分析器上で行った。通常検体は、メタノール又はCHCN中に、0.1mg/mLで溶解し、及び1マイクロリットルを、移動相溶媒と共に、質量分析器へ注入し、これを100ダルトンから1000ダルトンまで走査する。全ての化合物は、移動相溶媒として1%ギ酸を含むアセトニトリル/水を用い、ポジティブ又はネガティブESIモードで分析することができる。
【0133】
実施例において及び本開示の説明を通じて、以下の略語を使用する:TLCは、薄層クロマトグラフィーを意味する。
【0134】
本開示の範囲内の化合物は、当業者に公知の様々な反応を用いて、以下に説明したように合成することができる。当業者はまた、本開示の標的化合物を合成するために、代替法を利用することができること、及び本文書の本文内に説明されたアプローチは、網羅的ではないが、関心対象の化合物に広範に適用可能であり且つ実践的な経路を提供することを認めるであろう。
【0135】
この特許において請求されるいくつかの分子は、異なるエナンチオマー形及びジアステレオマー形で存在することができ、且つこれらの化合物のそのような変種は全て、具体的エナンチオマーが指定されない限り、主張される。
【0136】
この文書において重要化合物を合成するために使用される実験手順の詳細な説明は、それらを同定する物理的データにより、並びにそれらに関連した構造描写により説明される分子につながる。
【0137】
当業者は、有機化学の標準の後処理手順時に、酸及び塩基が頻繁に使用されることも認めるであろう。この特許内で説明された実験手順時に、それらが必要な固有の酸性度又は塩基度を保持する場合、時には親化合物の塩が生成される。
【0138】
実施例1:(2S)-2-[[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-(2-フルオロフェニル)インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メチルアミノ]-3-ヒドロキシ-プロパン酸の合成
【0139】
【化22】
【0140】
工程a:THF(100mL)中の4-ブロモインダン-1-オール(12g、54mmol)の溶液へ、N-エチル-N-(プロパン-2-イル))プロパン-2-アミン(50mL、290mmol)を添加し、この溶液を、0℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(5.0mL、65mmol)を滴加し、冷却槽を取り外し、この混合物を更に2時間撹拌した。その間、分別フラスコに、4-アミノ-5-クロロ-2-エトキシ安息香酸エチル塩酸塩(13g、46mmol)、炭酸セシウム(18g、55mmol)、ヨウ化ナトリウム(8.0g、53mmol)、及びDMF(100mL)を満たした。この混合物へ、インダノール調製品を添加し、生じる混合物を、70℃で2時間撹拌した。冷却後、反応混合物を、プラスチック製のフリット漏斗を通して濾過し、フィルターケーキを、ジクロロメタンで洗浄した。溶媒のほとんどを、減圧下で除去し、DMFの40mLのみが残った。残った混合物を、酢酸エチル(200mL)及び水(200mL)中に溶かした。水相を廃棄し、有機相を、ブラインで洗浄し、シリカゲル(60g)上に吸着させた。この混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中6~12%EtOAc)により精製し、粗4-[(4-ブロモインダン-1-イル)アミノ]-5-クロロ-2-エトキシ-安息香酸エチル(960mg)を得た。MS:C2022BrClNO [M+H]についての(ES)m/zの計算値438.0、実測値438.1。
【0141】
工程b:40mLバイアル内で、粗4-[(4-ブロモインダン-1-イル)アミノ]-5-クロロ-2-エトキシ-安息香酸エチル(960mg)、2-フルオロ(fluro)フェニルボロン酸(330mg、2.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(100mg、0.087mmol)、2M炭酸カリウム(2mL、4mmol)、及び1,2-ジメトキシエタン(8mL)を一緒にした。この混合物を、窒素流れで脱気し、密封したバイアル中で、80℃で1時間撹拌し、その後この混合物を、シリカゲル上に直接吸着させ、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-(2-フルオロフェニル)インダン-1-イル]アミノ]安息香酸エチル510mgを得た。MS:C2625ClFNO [M+H]についての(ES)m/zの計算値454.2、実測値454.1。
【0142】
工程c:40mLバイアル内で、5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-(2-フルオロフェニル)インダン-1-イル]アミノ]安息香酸エチル(260mg、0.57mmol)を、THF(4mL)中に溶解し、0℃に冷却した。この溶液へ、THF中の1.0M水素化リチウムアルミニウム(1.0mL、1.0mmol)を添加し、この混合物を1時間撹拌し、この時点で、硫化ナトリウム十水和物(1.0g、3.1mmol)を添加した。この混合物を12時間撹拌し、次にフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中0~20%EtOAc)により精製し、[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-(2-フルオロフェニル)インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メタノール(57mg、24%)を得た。MS:C2423ClFNNaO [M+Na]についての(ES)m/zの計算値434.1、実測値434.1。
【0143】
工程d:0℃に冷却したジクロロメタン(4mL)中の[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-(2-フルオロフェニル)インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メタノール(57mg、0.14mmol)の溶液へ、N-エチル-N-(プロパン-2-イル))プロパン-2-アミン(0.10mL、0.57mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.020mL、0.26mmol)を添加した。氷浴を取り外し、この混合物を1時間撹拌し、この時点で混合物を、L-セリンメチルエステル塩酸塩(213mg、1.4mmol)及び追加のN-エチル-N-(プロパン-2-イル))プロパン-2-アミン(0.24mL、1.4mmol)と一緒にし、50℃で1日加熱した。粗反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を、シリカゲル上に吸着させ、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、(2S)-2-[[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-(2-フルオロフェニル)インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メチルアミノ]-3-ヒドロキシ-プロパン酸メチル(9mg、13%)を得た。MS:C2830ClFNNaO [M+Na]についての(ES)m/zの計算値535.2、実測値535.1。
【0144】
工程e:(2S)-2-[[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-(2-フルオロフェニル)インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メチルアミノ]-3-ヒドロキシ-プロパン酸メチル(9mg、0.018mmol)を、MeOH(1mL)及びTHF(1mL)中に溶解し、水酸化リチウム水溶液(1mL)と共に12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、メタノール及び酢酸中に溶かし、逆相分取HPLC(0.1%TFAを含む、CHCN-HO)により精製し、(2S)-2-[[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-(2-フルオロフェニル)インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メチルアミノ]-3-ヒドロキシ-プロパン酸を得た。純粋な画分を、炭酸水素ナトリウムにより中和し;アセトニトリルを減圧下で除去し、生成物を、2:1のCHCl-2-プロパノールにより抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、且つ濃縮した。残渣を、アセトニトリル-水から凍結乾燥させ、自在形状(free form)の乾燥粉末を得た。MS:C2728ClFNNaO [M+Na]についての(ES)m/zの計算値521.2、実測値521.1。 1H NMR (400 MHz, メタノール-d) δ 7.47-7.15 (m, 9H), 6.47 (d, J = 2.4 Hz 1H), 5.27 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 4.31-4.13 (m, 2H), 4.10-3.95 (m, 3H), 3.90-3.85 (m, 1H), 2.92-2.85 (m, 2H), 2.65-2.56 (m, 1H), 2.04-1.94 (m, 1H), 1.41 (t, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0145】
実施例2:(2S)-2-[[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-[3-[3-(4-フルオロ-1-ピペリジル)プロポキシ]-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メチルアミノ]-3-ヒドロキシ-プロパン酸
【0146】
【化23】
【0147】
工程a:4-[(4-ブロモインダン-1-イル)アミノ]-5-クロロ-2-エトキシ-安息香酸メチルを、4-[(4-ブロモインダン-1-イル)アミノ]-5-クロロ-2-エトキシ-安息香酸エチルを調製するために使用したものと類似した手順により調製した。40mLバイアルに、4-[(4-ブロモインダン-1-イル)アミノ]-5-クロロ-2-エトキシ-安息香酸メチル(205mg、0.48mmol)、2-[3-(3-クロロプロポキシ)-2-メチル-フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(194mg、0.62mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(95mg、0.082mmol)、2M炭酸カリウム(0.75mL、1.5mmol)、及び1,2-ジメトキシエタン(7mL)を添加した。この混合物を、窒素により完全に脱気し、80℃で1日撹拌した。この混合物を、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、シリカゲル上に吸着させた。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc-ヘキサン)による精製は、175mgの5-クロロ-4-[[4-[3-(3-クロロプロポキシ)-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]-2-エトキシ-安息香酸メチル(69%)を生じた。
【0148】
工程b:DMF(2mL)中の5-クロロ-4-[[4-[3-(3-クロロプロポキシ)-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]-2-エトキシ-安息香酸メチル(175mg、0.33mmol)を含む40mLのバイアルへ、4-フルオロピペリジン塩酸塩(135mg、0.96mmol)、ヨウ化ナトリウム(36mg、0.24mmol)、及び炭酸カリウム(340mg、2.5mmol)を添加した。この混合物を短時間音波処理し、次に加熱しながら、70℃で2時間、その後80℃で2時間、撹拌した。この混合物を、2:1のクロロホルム-2-プロパノール及び水に溶かし、有機相を分離し、シリカゲル上に吸着させた。フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中2~20%メタノール)による精製は、5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-[3-[3-(4-フルオロ-1-ピペリジル)プロポキシ]-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]安息香酸メチルを定量的収率で提供し、これを特徴決定せずに、次工程で使った。この残渣を、0℃に冷却したTHF(2mL)中に溶解し、THF(2mL)中に懸濁した水素化リチウムアルミニウム(50mg、1.3mmol)の懸濁液に添加した。その後、氷浴を取り外し、スラリーを室温で1時間、及び45℃で30分間攪拌した。この反応を、最小量の水及び硫酸マグネシウムを慎重に添加することにより、クエンチし、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中4~100%アセトン)により精製し、[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-[3-[3-(4-フルオロ-1-ピペリジル)プロポキシ]-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メタノール(51mg、27%, 2工程)を得た。MS:C3341ClFN [M+H]についての(ES)m/zの計算値567.3、実測値567.5。
【0149】
工程c:THF(2mL)中の得られた[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-[3-[3-(4-フルオロ-1-ピペリジル)プロポキシ]-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メタノール(51mg、0.090mmol)の溶液を、0℃に冷却し、この溶液へ、N-エチル-N-(プロパン-2-イル))プロパン-2-アミン(0.10mL、0.57mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.040mL、0.52mmol)を添加した。氷浴を取り外し、この混合物を室温で撹拌した。90分後、この混合物を、DMF(2mL)中のL-セリンメチルエステル塩酸塩(150mg、0.96mmol)及びN-エチル-N-(プロパン-2-イル))プロパン-2-アミン(0.17mL、0.98mmol)の溶液へ添加し、70℃で16時間撹拌した。この混合物を、2:1のクロロホルム-2-プロパノール及び水に溶かし、有機相を分離し、シリカゲル上に吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(トルエン中2~80%エタノール)により精製し、(2S)-2-[[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-[3-[3-(4-フルオロ-1-ピペリジル)プロポキシ]-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メチルアミノ]-3-ヒドロキシ-プロパン酸メチルを得た。MS:C3747ClFNNaO [M+Na]についての(ES)m/zの計算値690.3、実測値690.5。
【0150】
工程d:THF(0.60mL)及びメタノール(0.60mL)中に溶解した(2S)-2-[[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-[3-[3-(4-フルオロ-1-ピペリジル)プロポキシ]-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メチルアミノ]-3-ヒドロキシ-プロパン酸メチルの溶液を含む8mLバイアルへ、水(0.60mL)中の水酸化リチウム一水和物(25mg、0.60mmol)の溶液を添加した。30分間攪拌した後、LCMSは、エステルの加水分解が完了したことを示した。この混合物を、酢酸により酸性とし、逆相分取HPLC(0.1%TFAを含むCHCN-HO)により精製し、(2S)-2-[[5-クロロ-2-エトキシ-4-[[4-[3-[3-(4-フルオロ-1-ピペリジル)プロポキシ]-2-メチル-フェニル]インダン-1-イル]アミノ]フェニル]メチルアミノ]-3-ヒドロキシ-プロパン酸を、ビストリフルオロ酢酸塩として供した。MS:C3646ClFN [M+H]についての(ES)m/zの計算値654.3、実測値654.3。 1H NMR (400 MHz, メタノール-d) δ 7.33-7.25 (m, 3H), 7.20 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.53 (d, J = 20 Hz, 1H), 5.31-5.19 (m, 1H), 5.00 (d, J = 48 Hz, 1H), 4.29 (d, J = 13 Hz, 1H), 4.21-4.13 (m, 3H), 4.13-3.96 (m, 4H), 3.91 (br s, 1H), 3.76-3.53 (m, 2H), 3.46-3.37 (m, 2H), 2.78-2.53 (m, 3H), 2.41-2.20 (m, 4H), 2.18-2.09 (m, 1H), 2.08-1.86 (m, 5H), 1.43 (t, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0151】
表1の化合物を、実施例に説明した方法により調製し、以下のアッセイに従い評価した。これらの化合物のIC50は、以下の表1に提示している:
+、20000nM≧IC50≧500nM;
++、500nM>IC50≧5nM;
+++、5nM>IC50
【0152】
特徴決定条件
表1において保持時間の決定に使用した逆相HPLC条件:
カラム:ZORBAX (SB-C18 2.1×50mm、5μm)
移動相A:95%HO、5%MeCN(0.1%ギ酸含有)
移動相B:5%HO、95%MeCN(0.1%ギ酸含有)
流量:1.0mL/分
勾配:3.5分間で20%から100%までのB
【0153】
生物学的実施例:酵素結合免疫吸着アッセイ-ELISA
プレートは、PBS中のヒトPD-L1(R&Dから入手)の1μg/mLと共に、4℃で一晩コーティングした。次にウェルを、0.05%TWEEN-20を含む、PBS中の2%BSA(W/V)により、37℃で1時間ブロックした。プレートを、PBS/0.05%TWEEN-20により3回洗浄し、試料をELISAプレート中の希釈媒体中に1:5で希釈した。ヒトPD-1及びビオチン0.3μg/mL(ACRO Biosystems)を添加し、37℃で1時間インキュベーションし、次にPBS/0.05%TWEEN-20により3回洗浄した。二次ブロックを、PBS中の2%SA(W/V)/0.05%TWEEN-20により、37℃で10分間添加し、PBS/0.05%TWEEN-20により3回洗浄した。ストレプトアビジン-HRPを、37℃で1時間添加し、その後PBS/0.05%TWEEN-20により3回洗浄した。TMB基質を添加し、37℃で20分間反応させた。停止溶液(2N水性HSO)を添加した。吸光度を、マイクロプレート分光光度計を用い、450nmで測定した。結果を表1に示す。
【0154】
【表1】