(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】ファブリック設置システム、及びファブリックを設置して延ばす方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/07 20060101AFI20231120BHJP
E04B 9/30 20060101ALI20231120BHJP
F16B 2/20 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
E04F13/07 Z
E04B9/30 Z
F16B2/20 A
(21)【出願番号】P 2020549807
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2019057300
(87)【国際公開番号】W WO2019180233
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519005510
【氏名又は名称】クヴァドラ ソフト セルズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン、イェスペル
(72)【発明者】
【氏名】コルスゴルド、ミカエル トールダム
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0084719(KR,A)
【文献】特表平02-500993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁又は天井(3)の少なくも一部分を覆うようにファブリック(2)を延ばすように適合されたファブリック設置システム(1)であって、長手方向(L)を有し且つ前記壁又は天井(3)に設置されるように適合された第1の設置プロフィール(4)と、前記第1の設置プロフィール(4)と係合し且つ前記ファブリック(2)の第1の縁部(6)を保持するように適合された少なくとも1つの第1のファブリック保持要素(5)とを少なくとも有し、前記第1のファブリック保持要素(5)が、互い
に対して弾性的に付勢される第1の脚部(7)及び第2の脚部(8)を有し、それにより前記第1の脚部(7)が前記第1の設置プロフィール(4)の第1の支持面(9)に対して付勢され、また前記第2の脚部(8)が前記第1の設置プロフィール(4)の第2の支持面(10)に対して付勢される、ファブリック設置システム(1)において、
前記第1の設置プロフィール(4)の前記第1の支持面(9)及び前記第2の支持面(10)は、前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第1の脚部(7)及び前記第2の脚部(8)の前記弾性的な付勢が、前記第1の脚部(7)及び前記第2の脚部(8)を前記第1の支持面(9)及び前記第2の支持面(10)に沿ってそれぞれ摺動させるようにテーパ方向(T)に相互にテーパ状になっており、それにより前記テーパ方向(T)に概ね反する方向に、且つ前記第1の設置プロフィール(4)の前記長手方向(L)に対して横向きのファブリック引張方向(F)に前記第1のファブリック保持要素を変位させて、前記ファブリック(2)をその保持位置で伸ばすこと
、
前記第1のファブリック保持要素(5)は略V形であり、且つ前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第1の脚部(7)及び前記第2の脚部(8)を接続する湾曲縁部(20)を形成しており、前記湾曲縁部(20)と前記第1の脚部(7)の自由端(11)との両方が前記第1の設置プロフィール(4)の前記第1の支持面(9)に当接し、それにより前記第1の支持面(9)と共に前記ファブリック(2)の前記第1の縁部(6)を挟むように適合されており、前記第2の脚部(8)の自由端(12)は前記第1の設置プロフィール(4)の前記第2の支持面(10)に当接すること、及び
前記ファブリック引張方向(F)は、前記湾曲縁部(20)から前記第1の脚部(7)の前記自由端(11)の方向に概ね向けられていること
を特徴とする、ファブリック設置システム(1)。
【請求項2】
前記第1のファブリック保持要素(5)は、該第1のファブリック保持要素(5)が前記第1の設置プロフィール(4)内で着脱自在に保持されたファブリック取り付け位置から、前記ファブリックの前記保持位置において引っ張られた前記ファブリック(2)の力が、前記第1のファブリック保持要素(5)を前記テーパ方向に概ね反する方向に、且つ前記ファブリック引張方向(F)に摺動させる前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第1の脚部(7)及び前記第2の脚部(8)の弾性的な付勢と釣り合うファブリック引張位置まで、前記テーパ方向(T)に概ね反する方向に変位可能である、請求項1に記載のファブリック設置システム。
【請求項3】
前記第1のファブリック保持要素(5)は、前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第1の脚部(7)又は前記第2の脚部(8)の自由端(11、12)が前記第1の設置プロフィール(4)の凹部(13)に当接することで、前記ファブリック取り付け位置で着脱自在に保持される、請求項2に記載のファブリック設置システム。
【請求項4】
前記第1のファブリック保持要素(5)は、前記ファブリック(2)の第1の縁部(6)を前記第1のファブリック保持要素(5)と前記第1の設置プロフィール(4)との間に挟むことによって前記ファブリック(2)の前記第1の縁部(6)を保持するように適合されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載のファブリック設置システム。
【請求項5】
前記第1のファブリック保持要素(5)は、前記ファブリック(2)の第1の縁部(6)を前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第1の脚部(7)又は前記第2の脚部(8)と前記第1の設置プロフィール(4)の対応する前記第1の支持面(9)又は前記第2の支持面(10)との間に挟むことによって前記ファブリック(2)の前記第1の縁部(6)を保持するように適合されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載のファブリック設置システム。
【請求項6】
前記第1の設置プロフィール(4)の前記第1の支持面(9)及び前記第2の支持面(10)が互いに向き合っている、請求項1から5までのいずれか一項に記載のファブリック設置システム。
【請求項7】
前記第1の設置プロフィール(4)の前記第1の支持面(9)及び前記第2の支持面(10)は、前記第1のファブリック保持要素(5)が前記第1の設置プロフィール(4)内で保持されるチャネル(16)の第1の側壁(14)及び第2の側壁(15)によってそれぞれ形成される、請求項1から6までのいずれか一項に記載のファブリック設置システム。
【請求項8】
前記第1の設置プロフィール(4)の前記チャネル(16)の前記第1の側壁(14)及び前記第2の側壁(15)は前記チャネル(16)の底部壁(17)から延び、前記チャネル(16)の前記第1の側壁(14)は、前記チャネル(16)の前記第2の側壁(15)と比較して前記底部壁(17)からさらに離れるところまで延び、且つ前記第1の側壁(14)の自由縁部(19)のところに前記ファブリック(2)を案内するように適合された円形縁部(18)を形成している、請求項7に記載のファブリック設置システム。
【請求項9】
前記チャネル(16)の前記第1の側壁(14)は、前記チャネル(16)の前記底部壁(17)に対して鋭角(A)を形成している、請求項8に記載のファブリック設置システム。
【請求項10】
前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第1の脚部(7)は、前記第1の脚部(7)の前記自由端(11)と前記湾曲縁部(20)との間において、前記第1の設置プロフィール(4)の前記第1の支持面(9)から離れるように湾曲している(21)、請求項
1から9までのいずれか一項に記載のファブリック設置システム。
【請求項11】
前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第1の脚部(7)は、前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第2の脚部(8)より長い、請求項
1から
10までのいずれか一項に記載のファブリック設置システム。
【請求項12】
前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第2の脚部(8)は、前記第2の脚部(8)の前記自由端(12)と前記湾曲縁部(20)との間において、前記第1の設置プロフィール(4)の前記第2の支持面(10)から離れるように湾曲している(22)、請求項
1から
11までのいずれか一項に記載のファブリック設置システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1のファブリック保持要素(5)は板ばね(23)の形態を有し、前記板ばね(23)は、前記第1の設置プロフィール(4)の前記長手方向(L)に延びる長手方向(l)を有し、且つ前記第1の脚部(7)を形成する第1の長手方向フランジ(24)と、前記第2の脚部(8)を形成する第2の長手方向フランジ(25)とを有し、前記第1の長手方向フランジ(24)及び前記第2の長手方向フランジ(25)は湾曲縁部(26)に沿って接続されている、請求項1から
12までのいずれか一項に記載のファブリック設置システム。
【請求項14】
複数の相互に離間した切欠部(27)が、前記板ばね(23)の前記湾曲縁部(26)に形成されている、請求項
13に記載のファブリック設置システム。
【請求項15】
壁又は天井(3)の少なくとも一部分を覆うファブリック(2)を設置し且つ延ばす方法であって、
長手方向(L)を有する少なくとも第1の設置プロフィール(4)を前記壁又は天井(3)上に設置するステップと、
第1のファブリック保持要素(5)のファブリック取り付け位置において、前記第1のファブリック保持要素(5)と前記第1の設置プロフィール(4)との間に前記ファブリック(2)の第1の縁部(6)を挟むステップと
を含み、
前記第1のファブリック保持要素(5)は前記第1の設置プロフィール(4)に係合し、且つ互いに対して弾性的に付勢される第1の脚部(7)及び第2の脚部(8)を有しており、それにより前記第1の脚部(7)は前記第1の設置プロフィール(4)の第1の支持面(9)に対して付勢され、前記第2の脚部(8)は前記第1の設置プロフィール(4)の第2の支持面(10)に対して付勢される、方法において、
前記第1のファブリック保持要素(5)をそのファブリック取り付け位置から解放するステップであって、それにより、前記第1のファブリック保持要素(5)の前記第1の脚部(7)及び前記第2の脚部(8)の前記弾性的な付勢が、前記第1のファブリック保持要素(5)を、テーパ方向(T)に概して反する方向に、且つ前記第1の設置プロフィール(4)の前記長手方向(L)に対して横向きのファブリック引張方向(F)に、前記第1の支持面(9)及び前記第2の支持面(10)に沿って摺動させ、それにより前記ファブリック(2)が伸ばされるステップを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁又は天井の少なくも一部分を覆うファブリックを延ばすように適合されたファブリック設置システムに関し、このファブリック設置システムは、少なくとも、壁又は天井に設置されるように適合された、長手方向を有する第1の設置プロフィールと、ファブリックの縁部を保持するように適合された、第1の設置プロフィールに係合する少なくとも1つの第1のファブリック保持要素とを有し、第1のファブリック保持要素は、互い対して弾性的に付勢される第1の脚部及び第2の脚部を有し、第1の脚部は、第1の設置プロフィールの第1の支持面に対して付勢され、第2の脚部は、第1の設置プロフィールの第2の支持面に対して付勢される。
【背景技術】
【0002】
NL2015439B1は、細長い受けスペースを画定するレールと、ロック部材とレールとの間でシート部分をクランプするための細長いくさび形状のロック部材とを有する、可撓性シートを伸張状態にするための又は設置するためのシステムを開示している。このシステムは、受けスペース内でロック部材が第1の端位置から第2の端位置に向かって少なくとも部分的に傾斜するのを可能にするように、構成され、第1の端位置では、ロック部材の第1の外側表面が受けスペースの第1の壁表面に実質的に平行であり及び/又はそれに実質的に当接し、また、ロック部材の第2の外側表面が第1の壁表面とは反対側の第2の壁表面から実質的に離間されており、第2の端位置では、第2のロック部材の外側表面が第2の壁表面に実質的に平行であり及び/又はそれに実質的に当接し、また、第1のロック部材の外側表面が第1の壁表面から実質的に離間される。それにより、ロック部材がその第1の端位置すなわちロック位置から中間位置を介してその第2の端位置まで枢動させられ得、中間位置では、ロック部材の2つの外側表面、及び/又はロック部材を囲むシート材料が、それぞれの壁表面から実質的に離れて配置され、その結果、シート材料が受けスペース内でロック部材に沿う形で比較的に容易に移動又は通過させられ得る。受けスペースの第1及び第2の壁表面が平行であり、ロック部材の第1及び第2の外側表面がテーパ状になっており、それによりロック部材のくさび形状を形成する。このシステムは設置手順中に可撓性シートを適切な伸張状態にすることを目的として可撓性シートを調整するのを容易にするが、このシステムでは可撓性シートが適切な伸張状態で維持されることが保証されないことが不利である可能性がある。したがって、可撓性シート及び/又は可撓性シートを設置するところのレールが例えば温度変化を原因として又は他の環境を原因として寸法を変化させる可能性がある場合、また例えば、取り扱いなどの結果としてレールが意図されずにわずかに変形する場合、可撓性シートがそのテンションを失う可能性があり、外観が損なわれる可能性がある。また、可撓性シートが弾性の性質を有さない場合、このシステムによりシートに適切に張力を加えた状態を維持することが困難となる可能性があるか又はさらには不可能となる可能性がある。
【0003】
DE202009005753U1は、ファブリックなどのための同様の設置システムを開示している。このシステムは、ベース成形品及びクランプ部材から構成される。ベース成形品は、クランプ部材のための平行な支持面を有する受けスペースを形成する。クランプ部材は2つ弾性脚部を有するV形であり、2つの弾性脚部は、受けスペースの中にクランプ部材を挿入するときに、互いの方に押圧される。設置されることになるファブリックは、受けスペースの中にクランプ部材を挿入する前にクランプ部材の上に緩んだ状態で配置され、その結果、受けスペースの中にクランプ部材を挿入するときにファブリックがクランプ部材の脚部と受けスペースの平行な支持脚部との間に挟まれる。クランプ部材は最初にそのV形の頂部のところで受けスペースの中に挿入され、それによりへら又は同様のものがクランプ部材の2つの脚部の間に配置され得、受けるためのスペースの中にクランプ部材を押圧するのに使用され得る。クランプ部材の設置位置においてクランプ部材の一方の脚部が受けスペースの突出部に当接し、その結果、クランプ部材がその設置位置で保持される。上記脚部から延在するファブリックなどの縁部を引くことにより、クランプ部材の脚部が互いの方に押圧され得、それによりクランプ部材及びファブリックをベース成形品から再び外すことが可能となる。しかし、このシステムでは、上で説明したものと同じ理由で、ファブリック又はシートに適切に張力を加えた状態を、少なくとも長時間にわたっては、維持することが困難となる可能性があるか又はさらには不可能となる可能性がある。
【0004】
特開2010-268736号公報は、フィルム屋根構造(film roof structure)で使用されるフィルム固定具を開示している。フィルム固定具は、フィルム取り付け部材と、フィルム取り付け部材の中に形成されるチャネルの中に挿入部材を挿入することによりフィルムをフィルム取り付け部材に固定するように適合される挿入部材と、を有する。挿入部材はV形であり、そのV形の頂部が最初にチャネルの中に挿入され、設置時に挿入方向のチャネルの中の方を指している。チャネルの開口部のところに突出部が構成されており、挿入部材の設置位置においてこの突出部の上で挿入部材の一方の脚部の自由端が静止し、それにより挿入部材がチャネル内で保持される。実施例では、チャネルの側壁がチャネルの挿入方向においてテーパ状になっている。しかし、このシステムでは、すぐ上で説明したものと同じ理由で、ファブリック又はシートに適切に張力を加えた状態を、少なくとも長時間にわたっては、維持することが困難となる可能性があるか又はさらには不可能となる可能性がある。
【0005】
KR101018730B1は、照明器具のストレッチ・シート布設構造を開示している。シートは、その縁部のところに固定部材を装備し、固定部材は、例えば溶接又は接着によりシートに永久的に固定される。固定部材は2つの弾性脚部を有するV形であり、2つの弾性脚部は、固定プロフィールのチャネルの中に挿入されるときに、互いの方に押圧される。チャネルは、固定部材の挿入方向においてテーパ状になっており、固定プロフィールのチャネルの中に固定部材が配置されるときに固定部材のV形がやはり挿入方向にテーパ状になる。固定部材の脚部のうちの一方の脚部は、固定部材をチャネルの中に配置するときにチャネルの突出部に係合する凹部を有し、その結果、固定部材がチャネル内で保持される。しかし、このシステムでは、すぐ上で説明したものと同じ理由で、ファブリック又はシートに適切に張力を加えた状態を、少なくとも長時間にわたっては、維持することが困難となる可能性があるか又はさらには不可能となる可能性がある。さらに、設置手順が複雑となる可能性があるため、ストレッチ・シートがその縁部のところに永久的に固定される固定部材を装備する必要があることは、不利である可能性がある。
【0006】
KR100932957B1は、延性を有さないシートに張力を加えた状態で維持するために設けられる天井仕上げシート(ceiling finishing sheet)の布設構造を開示している。シートは、その縁部のところに固定部材を装備し、固定部材は、例えば溶接又は接着によりシートに永久的に固定される。固定部材は2つの弾性脚部を有し、2つの弾性脚部は、固定プロフィールのチャネルの中に挿入されるときに、互いの方に押圧される。チャネルは、固定部材のそれぞれの脚部のための対向する平行な2つの支持面を有する。固定部材の設置位置において固定部材の一方の脚部の自由端がチャネルの突出部に当接し、その結果、固定部材がチャネルの中でその設置位置で保持される。実施例では、固定部材の上記脚部の自由端は、固定部材の挿入方向において、チャネルの対応する支持面上に規則的に形成される複数の異なる窪みに当接し得る。窪みが小さい支持壁部分を形成し、これらの小さい支持壁部分の各々が、固定部材の挿入方向において、チャネルの対向する支持面を基準としてテーパ状となる。それにより、固定部材を適切に配置することにより、延性を有さないシートに張力が加えられ得る。しかし、このシステムでは、上で説明したものと同じ理由で、ファブリック又はシートに適切に張力を加えた状態を、少なくとも長時間にわたっては、維持することが困難となる可能性があるか又はさらには不可能となる可能性がある。さらに、設置手順が複雑となる可能性があるため、シートがその縁部のところに永久的に固定される固定部材を装備する必要があることは、不利である可能性がある。
【0007】
EP0043466A2は、少なくとも部分的に伸縮性を有するシートを有するクランプインの天井のデザインを開示しており、少なくとも部分的に弾性を有するシートの縁部領域にクランプ・フランジが固定され、クランプ・フランジがプラスチックで作られており、壁上に位置する壁ストリップの溝の中に挿入されて確実に係止され得る。クランプ・フランジは実質的にアンカー形状の断面を有し、したがって、シートに永久的に固定される中央ウェブと、上側保持ビードと、下側保持ビードとを有する。溝は、少なくとも1つの上側の又は少なくとも1つの下側のリング・ショルダを装備し、クランプ・フランジの2つの保持ビードは、壁ストリップの溝の中に挿入されるときに変形させられて溝の内部でのその係止位置にくるように、成形されている。しかし、このシステムでは、上で説明したものと同じ理由で、ファブリック又はシートに適切に張力を加えた状態を、少なくとも長時間にわたっては、維持することが困難となる可能性があるか又はさらには不可能となる可能性がある。さらに、設置手順が複雑となる可能性があるため、シートがその縁部のところに永久的に固定される固定部材を装備する必要があることは、不利である可能性がある。
【0008】
WO2004/061251A1は、ボディと、ボディに結合されるファブリック握持用あご部構成と、を有するファブリック保持構造を開示している。あご部構成は、円鋸歯状の歯を有する円鋸歯状のあご部と、鋸歯状の歯を有する鋸歯状のあご部と、を有する。円鋸歯状のあご部は、鋸歯状のあご部に対向するように配置される。しかし、このシステムでは、ファブリック又はシートに適切に張力を加えた状態を、少なくとも長時間にわたって、維持することが困難となる可能性があるか又は不可能となる可能性がある。
【0009】
WO2017/083181A1は、すぐ上で説明した種類のファブリック保持構造を組み込む、内部スペース内で吊り下げられる天井構造を有する天井システムを開示している。
【0010】
KR20110084719Aは、天井のところにストレッチ・シートを設置することに関連する。ストレッチ・シートは伸縮性及び弾性を有する材料で作られ、その縁部のところに、シートに固定される固定部材を装備し、固定部材は2つの弾性脚部を有し、2つの弾性脚部は、固定プロフィールのチャネルの中に挿入されるときに互いの方に押圧される。チャネルは、固定部材の設置位置において、固定部材のそれぞれの脚部に当接するための第1の支持面及び第2の支持面を有する。第1の支持面及び第2の支持面は平行である。第1の支持面は、シートの延在位置においてシートを支持する縁部を有する下方に延在する傾斜部分を装備する。固定プロフィールのチャネル内でのその保持位置では、第2の支持面の固定用突出部が固定部材の第2の脚部上に溝に係合することにより、固定部材が固定位置で維持される。
【0011】
WO99/24722は、固定装置に設置されるように構成されるフォーク手段であって、上記フォーク手段が、接合手段によって接合される少なくとも2つのアームを有し、上記アームが、上記接合手段から一定の領域で離間される、フォーク手段と、維持手段と上記フォーク手段との間でシート材料の一部分を保持するために上記フォーク手段の中に挿入可能である、実質的に弾性を有する維持手段と、を有するシート材料固定具を開示している。さらに、上記フォーク手段内で上記維持手段を再配置することにより上記シート材料内の張力を制御するのを可能にするためのテンション制御手段が提供される。
【0012】
WO88/03231は、固定装置に設置されるフォーク部材であって、上記フォーク部材が一対の外側に分岐するアームを有し、一方のアームが、アームの間の接合部を基準としてアームに沿って遠位側に配置される内側を向くフック手段内に設けられる、フォーク部材と、アームの間のロック位置を取ることができる、アームの間でフォーク部材の中に配置される維持手段と、を有する被覆材料のための固定手段を開示している。
【0013】
FR2317537は、C形断面の支持具内でシート材料を保持する長い挿入具を開示している。挿入具自体は、湾曲ウェブによって接合される1つの長いフランジ及び1つの短いフランジを有するC形である。支持具の縁部がその対応するウェブの方に湾曲するのと同様に、短いフランジが長いフランジの方へ内側に湾曲している。フランジに跨る挿入具の幅は、少なくとも、支持フランジとウェブとの間の最小の内部の隙間に等しくなるように作られ、組み立て時に挿入具が可撓性材料を保持する。この材料は支持セクションを横断するように定位置に配置され、挿入具の短いフランジにより溝の中へ下方に押圧される。次いで、挿入具が、その長いフランジを支持具のウェブに接触させるまで、回転させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】NL2015439B1
【文献】DE202009005753U1
【文献】特開2010-268736号公報
【文献】KR101018730B1
【文献】KR100932957B1
【文献】EP0043466A2
【文献】WO2004/061251A1
【文献】WO2017/083181A1
【文献】KR20110084719A
【文献】WO99/24722
【文献】WO88/03231
【文献】FR2317537
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、簡素なファブリック設置システムを提供することであり、それにより、任意の長さのファブリック又はシートが壁又は天井のところに容易に設置されて延ばされ得、さらには、ファブリック又はシートに適切に張力を加えることが長時間にわたって保証される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を鑑みて、第1の設置プロフィールの第1及び第2の支持面は、第1のファブリック保持要素の第1及び第2の脚部を弾性的に付勢することにより第1及び第2の支持面にそれぞれ沿わせて摺動させるように第1及び第2の脚部を付勢することになるようなテーパ方向において、相互にテーパ状になっており、それにより、テーパ方向に概して逆らう方向において、及び第1の設置プロフィールの長手方向に対して横向きであるファブリック引張方向において、第1のファブリック保持要素を変位させ、それによりファブリックをその保持位置において伸張状態にする。
【0017】
このようにして、例えば設置プロフィールがわずかに変形することの結果としてファブリックの初期のテンションが低下する場合に、第1のファブリック保持要素の第1及び第2の脚部を弾性的に付勢することの影響下で、ファブリックの保持位置において、第1のファブリック保持要素は、テーパ方向の概して反対側に、及びファブリック引張方向に、移動することができる。一方、伸張状態のファブリックの表面に対して例えば何らかの物体が意図されずに押圧されることの結果としてファブリックのテンションが増大する場合、第1のファブリック保持要素は、第1のファブリック保持要素の第1及び第2の脚部を弾性的に付勢することに逆らってファブリック引張方向の反対方向に移動することができる。それにより、製品の寿命の間においては永続的に、ファブリックに適切に張力を加えることが保証され得る。
【0018】
実施例では、第1のファブリック保持要素を第1の設置プロフィール内で着脱自在に保持する位置であるファブリック取り付け位置から、テーパ方向に概して逆らう方向において及びファブリック引張方向において第1のファブリック保持要素を摺動させるように付勢する第1のファブリック保持要素の第1及び第2の脚部の弾性的な付勢に対して、ファブリックの保持位置において張力を加えられるファブリックの力を釣り合わせる位置であるファブリック引張位置まで、第1のファブリック保持要素がテーパ方向に概して逆らう方向に変位可能である。それにより、ファブリックに大きいテンションを加えることなく第1のファブリック保持要素によりファブリックが設置プロフィールに取り付けられ得、次いで、ファブリックに比較的大きいテンションを加えることを目的として第1のファブリック保持要素がファブリック取り付け位置から解放され得、それによりファブリックが適切な伸張状態にされ得る。大きいテンションを直接に加えることなく、例えばファブリックの長さを調整することにより、ファブリックを正確に設置して配置することが容易になり得る。さらに、こうすることで、ファブリックの比較的大きい張力を得ることが可能となり得る。
【0019】
構造的に特に有利な実施例では、第1のファブリック保持要素の第1又は第2の脚部の自由端が第1の設置プロフィールの凹部に当接することで、第1のファブリック保持要素がファブリック取り付け位置で着脱自在に保持される。それにより、第1の設置プロフィールの上記凹部に当接している第1のファブリック保持要素の脚部を押圧して脚部の自由端を上記凹部から離すように変位させることにより、第1のファブリック保持要素がファブリック取り付け位置から容易に解放され得る。
【0020】
実施例では、第1のファブリック保持要素は、ファブリックの第1の縁部を第1のファブリック保持要素と第1の設置プロフィールとの間に挟むことによりファブリックの第1の縁部を保持するように適合される。それにより、設置手順中に、ファブリックを適切な長さに切断してファブリック設置システムの中に正確に設置することができ、それにより、第1のファブリック保持要素と第1の設置プロフィールとの間にファブリックの第1の縁部を押圧することによりファブリックの正確な配置が無段階的に調整できるので、ファブリックの長さが壁又は天井のサイズに合うように容易にカスタマイズされ得る。
【0021】
構造的に特に有利な実施例では、第1のファブリック保持要素は、第1のファブリック保持要素の第1又は第2の脚部と第1の設置プロフィールの対応する第1又は第2の支持面との間にファブリックの第1の縁部を挟むことによりファブリックの第1の縁部を保持するように適合される。
【0022】
実施例では、第1の設置プロフィールの第1及び第2の支持面が互いの方を向いている。それにより、第1のファブリック保持要素が有利には第1の支持面と第2の支持面との間に少なくとも部分的に隠され得る。
【0023】
実施例では、第1の設置プロフィールの第1及び第2の支持面は、第1の設置プロフィールの中で第1のファブリック保持要素を保持するところであるチャネルの第1及び第2の側壁によりそれぞれ形成される。それにより、第1のファブリック保持要素が有利にはチャネル内で少なくとも部分的に隠され得る。
【0024】
実施例では、第1の設置プロフィールのチャネルの第1及び第2の側壁がチャネルの底部壁から延在し、チャネルの第1の側壁が、チャネルの第2の側壁と比較して底部壁からさらに離れるところまで延在し、第1の側壁の自由縁部のところでファブリックを誘導するように適合された円形縁部を形成する。それにより、ファブリックは、チャネルの幾何形状により得られるファブリック引張方向とは別の方向に延ばされ得る。例えば、ファブリックは、壁又は天井に平行に延ばされ得、チャネルがファブリックにより少なくとも部分的に隠されるように配置され得る。
【0025】
実施例では、チャネルの第1の側壁がチャネルの底部壁を基準として鋭角を形成する。それにより、底部壁が壁又は天井に平行に設置される場合、ファブリックによりチャネルをより良好に隠すことが可能となり得る。
【0026】
実施例では、第1のファブリック保持要素は略V形であり、その第1及び第2の脚部を接続する湾曲縁部を形成し、湾曲縁部と第1の脚部の自由端との両方が第1の設置プロフィールの第1の支持面に当接し、それにより第1の支持面と共にファブリックの第1の縁部を挟むように適合され、第2の脚部の自由端が第1の設置プロフィールの第2の支持面に当接する。それにより、湾曲縁部と第1の脚部の自由端との両方が挟み込み作用に寄与することができるので、ファブリックの第1の縁部が挟み込み作用によりより良好に保持され得る。
【0027】
構造的に特に有利な実施例では、ファブリック引張方向は、少なくとも、実質的に湾曲縁部から第1の脚部の自由端の方向を向く。
【0028】
実施例では、第1のファブリック保持要素の第1の脚部は、その自由端と湾曲縁部との間において、第1の設置プロフィールの第1の支持面から離れるように湾曲している。それにより、第1の脚部の自由端が第1の支持面上のファブリックを基準として鋭角を形成することができ、それにより第1の脚部の自由端の縁部の形態で比較的小さい面積に作用する集中的な比較的大きい圧力を生じさせることができるので、間にファブリックを置いた状態で第1の支持面に当接する第1の脚部の自由端により特に有利な挟み込み効果が得られ得る。
【0029】
実施例では、第1のファブリック保持要素の第1の脚部は、第1のファブリック保持要素の第2の脚部より長い。それにより、第1のファブリック保持要素が第1の設置プロフィールのチャネル内の有利な安定位置においてそれ自体で適切にバランスをとることができ、その結果、間にファブリックを置いた状態で湾曲縁部と第1の脚部の自由端との両方が第1の設置プロフィールの第1の支持面に当接し、その結果、ファブリックの第1の縁部が第1の支持面のところで強く挟まれることになる。
【0030】
実施例では、第1のファブリック保持要素の第2の脚部は、その自由端と湾曲縁部との間において、第1の設置プロフィールの第2の支持面から離れるように湾曲している。それにより、第2の脚部の自由端が適切な角度で第2の支持面に当接することができので第2の支持面に沿ってより容易に摺動することができ、その結果、設置システムのセルフテンショニング効果を向上させることが保証され得る。
【0031】
構造的に特に有利な実施例では、少なくとも1つの第1のファブリック保持要素は、第1の脚部を形成する第1の長手方向フランジと、第2の脚部を形成する第2の長手方向フランジと、を有する、第1の設置プロフィールの長手方向に延びる長手方向を有する板ばねの形態を有し、第1の長手方向フランジ及び第2の長手方向フランジが湾曲縁部に沿って接続される。
【0032】
実施例では、複数の相互に離間される切欠部が板ばねの湾曲縁部の中に形成される。それにより、特には、板ばねが比較的長い場合では、切欠部が板ばねに一定の可撓性を付与することができ、それにより、例えば第1の長手方向フランジを第2の長手方向フランジの方向に押圧することにより板ばねをそのファブリック取り付け位置から解放するのを容易にし、その結果、第1の長手方向フランジが第1の設置プロフィールの中の適切な凹部との当接状態から飛び出す。その長手方向軸を中心として捻じれるための板ばねの能力により、有利には、この作業が容易となり得る。
【0033】
本発明は、壁又は天井の少なくとも一部分を覆うようにファブリックを設置して延ばす方法にさらに関連し、この方法は、長手方向を有する少なくとも第1の設置プロフィールを壁又は天井の上に設置するステップと、第1のファブリック保持要素のファブリック取り付け位置において、第1のファブリック保持要素と第1の設置プロフィールとの間にファブリックの第1の縁部を挟むステップと、を含み、第1のファブリック保持要素は第1の設置プロフィールに係合し、互いに対して弾性的に付勢される第1の脚部及び第2の脚部を有し、第1の脚部は、第1の設置プロフィールの第1の支持面に対して付勢され、第2の脚部は、第1の設置プロフィールの第2の支持面に対して付勢される。
【0034】
この方法は、第1のファブリック保持要素をそのファブリック取り付け位置から解放することを特徴とし、その結果、第1のファブリック保持要素の第1及び第2の脚部が弾性的に付勢されることにより、第1のファブリック保持要素が、テーパ方向に概して逆らう方向において、及び第1の設置プロフィールの長手方向に対して横向きであるファブリック引張方向において、第1及び第2の支持面に沿って摺動するように付勢され、その結果、ファブリックが伸張状態にされる。
【0035】
次に、以下で、非常に概略的である図面を参照して、実施例の実例により本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明によるファブリック設置システムの第1の実施例を示す断面図である。
【
図2】
図1のファブリック設置システムを示す分解斜視図である。
【
図3A】
図1のファブリック設置システムによりファブリックが延ばされ得る設置手順のステップを示す図である。
【
図3B】
図1のファブリック設置システムによりファブリックが延ばされ得る設置手順のステップを示す図である。
【
図3C】
図1のファブリック設置システムによりファブリックが延ばされ得る設置手順のステップを示す図である。
【
図3D】
図1のファブリック設置システムによりファブリックが延ばされ得る設置手順のステップを示す図である。
【
図4A】本発明によるファブリック設置システムの第2の実施例によりファブリックが延ばされ得る設置手順のステップを示す図である。
【
図4B】本発明によるファブリック設置システムの第2の実施例によりファブリックが延ばされ得る設置手順のステップを示す図である。
【
図5A】本発明によるファブリック設置システムの第3の実施例によりファブリックが延ばされ得る設置手順のステップを示す図である。
【
図5B】本発明によるファブリック設置システムの第3の実施例によりファブリックが延ばされ得る設置手順のステップを示す図である。
【
図6】本発明によるファブリック設置システムの第4の実施例を示す断面図である。
【
図7】本発明によるファブリック設置システムの第5の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明によるファブリック設置システム1の実施例を示しており、ファブリック設置システム1によりファブリック2又はテキスタイルが延ばされる。
図3Aから
図3Dに示されるように、ファブリック2は壁又は天井3を覆うことができる。図では、説明のために、ファブリック2が壁又は天井3の上方で延びている状態で示されるが、天井が覆われる事例では、ファブリックがもちろん壁又は天井3の下方に配置されることになる、ことに留意されたい。
【0038】
ファブリック設置システム1は、少なくとも、
図2に示されるように長手方向Lを有する第1の設置プロフィール4を有し、第1の設置プロフィール4は、第1の設置プロフィール4の中の設置用孔29を通して挿入される設置用ねじにより
図3Aから
図3Dに示されるように壁又は天井3に設置されるように適合される。長手方向Lは直線であっても又は曲線であってもよい。別法として、第1の設置プロフィール4は、釘又は接着剤などの、また可能性としてその組み合わせなどの、他の任意適切な手段により、壁又は天井3に設置され得る。ファブリック設置システム1は、ファブリック2の第1の縁部6を保持するように適合された、第1の設置プロフィール4に係合する少なくとも1つの第1のファブリック保持要素5をさらに有する。第1のファブリック保持要素5は、互いに対して弾性的に付勢される第1の脚部7及び第2の脚部8を有し、第1の脚部7は、第1の設置プロフィール4の第1の支持面9に対して付勢され、第2の脚部8は、第1の設置プロフィール4の第2の支持面10に対して付勢される。
【0039】
第1の設置プロフィール4の第1の支持面9及び第2の支持面10は、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7及び第2の脚部8を弾性的に付勢することにより第1の脚部7及び第2の脚部8を付勢して第1の支持面9及び第2の支持面10にそれぞれ沿わせて摺動させることになるようなテーパ方向Tにおいて、相互にテーパ状になっており、それにより、テーパ方向に概して逆らう方向において、及び第1の設置プロフィール4の長手方向Lに対して横向きであるファブリック引張方向Fにおいて、第1のファブリック保持要素を変位させ、それにより
図1に示されるようにファブリック2をその保持位置において伸張状態にする。第1のファブリック保持要素5がその変位中に変形する、すなわち
図1の実施例では第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7及び第2の脚部8が互いから離れるように湾曲するので、第1のファブリック保持要素5の変位の方向が図では正確ではない、ことを理解されたい。むしろ、第1のファブリック保持要素5がテーパ方向Tに概して逆らう方向において及びファブリック引張方向Fにおいて変位させられる場合、第1のファブリック保持要素5は概して、少なくとも実質的にテーパ方向Tの反対の方向に全体として変位させられ、ファブリック保持要素5の少なくとも一部分がファブリック引張方向Fに変位させられる、ことを意味している、ことを理解されたい。
図1の実施例では、ファブリック保持要素5の上記一部分がファブリック引張方向Fにおいて変位させられる第1の脚部7であることが分かる。
【0040】
好適には、
図1から5の実施例に示されるように、第1のファブリック保持要素5は、第1の設置プロフィール4において第1のファブリック保持要素5が着脱自在に保持される位置である
図3B、
図3C、
図4A、及び
図5Aに示されるファブリック取り付け位置から、
図1、
図3D、
図4B、及び
図5Bに示されるファブリック引張位置まで、テーパ方向Tに概して逆らう方向に変位可能であり、ファブリック引張位置では、ファブリックの保持位置における張力を加えられるファブリック2の力は、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7及び第2の脚部8を、テーパ方向に概して逆らう方向において、及びファブリック引張方向Fにおいて、第1のファブリック保持要素5を摺動させるように付勢する第1のファブリック保持要素の第1及び第2の弾性的な付勢に釣り合っている。
【0041】
一方、
図6及び
図7に示される本発明による実施例では、第1のファブリック保持要素5はファブリック取り付け位置で保持可能ではない。むしろ、
図6の実施例では、第1のファブリック保持要素5は、ファブリック2の第1の縁部6を中に配置しているところの第1の設置プロフィール4のチャネル16の中に単純に挿入され得、それにより、第1のファブリック保持要素5がファブリック2の第1の縁部6を挟んで、同時に
図1に示される方向に対応するファブリック引張方向Fにそれ自体が変位することによりファブリック2を伸張状態にする。
図7の実施例では、ファブリック2の第1の縁部6が上で説明した任意適切な手段により第1のファブリック保持要素5に取り付けられており、次いで、第1のファブリック保持要素5が示されるように第1の設置プロフィール4を上から握持するように配置されており、これが、第1のファブリック保持要素5の脚部7及び8を変形させること、又は第1のファブリック保持要素5を、第1の設置プロフィール4の端部から第1の設置プロフィールの上を摺動させること、のいずれかによって行われる。ファブリック引張方向におけるファブリックの長さが適切であることにより、及び第1の設置プロフィール4を適切に配置することにより、第1のファブリック保持要素5は、図に示されるように第1の設置プロフィール4の上に概して配置され得、それにより、テーパ状の第1の支持面9及び第2の支持面10をそれぞれ押圧する第1の脚部7及び第2の脚部8の弾性的な付勢によりファブリック2に張力が加えられ得る。
【0042】
好適には、ファブリック設置システム1は、第1の設置プロフィール4から一定の距離のところで壁又は天井3のところに配置されて設置される示されない第2の設置プロフィールを有し、この第2の設置プロフィールは好適には、ファブリック2に対して垂直に延在する平面を基準として第1の設置プロフィールと対称であり、この平面は
図1では垂直平面である。この事例では、ファブリック設置システム1は、第1の設置プロフィール4及び第1のファブリック保持要素5の場合の
図1に示されるのと同様の手法でファブリック2の第2の縁部を保持するように適合された、第2の設置プロフィールに係合する少なくとも1つの第2のファブリック保持要素をさらに有する。この事例では、ファブリック2の第2の縁部がファブリック2の第1の縁部6の反対にあってよい。しかし、本発明によると、第1の設置プロフィールに対応する第2の設置プロフィールは必須ではない。その理由は、ファブリック2は、他の設置手段により、また可能性としてより単純な設置手段により、その縁部のうちの1つ又は複数の他の縁部のところにおいて壁又は天井3に設置されてよく、第1のファブリック保持要素5の引張作用のみによって伸張状態にされ得る、からである。例えば、ファブリック2のこれらの他の縁部は、ステープルにより壁又は天井3に単純に取り付けられ得る。第1のファブリック保持要素5が第1の設置プロフィール4のファブリック引張方向Fに摺動するように付勢されるので、ファブリック2の反対側の第2の縁部がどのように壁又は天井3に設置されているかとは無関係に、ファブリック2がその保持位置において伸張状態にされることになる。
【0043】
また、可能性として、第1及び第2の設置プロフィールは、建物の角部のいずれかの側に配置され得、それによりファブリックが角部に沿って延在することができ、ここでは、ファブリックが、好適には、例えば角部のところで壁又は天井に設置されるプロフィールの上に設けられる円形縁部により、支持され得る。
【0044】
ファブリック設置システム1は、長方形のファブリック部片を保持することができるフレームを一体に形成するような、各々が少なくとも1つのファブリック保持要素を有する4つの対応する設置プロフィールを有することができる。これらの設置プロフィールは、角部のところで、ファブリックを延ばすための滑らかな移行部分を形成する示されない適切な角部の部片によって接続され得る。同様の手法で、各々が少なくとも1つの保持要素を有する任意適切な数の対応する設置プロフィールが、対応するファブリック部片を保持することができるフレームを一体に形成することができる。例えば、フレームは、五角形、六角形、又は任意適切な他の多角形の形状を有することができる。さらに、設置プロフィールが湾曲していてもよく、それにより、対応するファブリック保持要素も対応する形で湾曲していてよい。例えば、1つの設置プロフィールは、円形、楕円形、又は他の閉じた形状を形成することができ、それにより対応する形状のファブリック部片を延ばすことができる。
【0045】
本発明によると、1つ又は複数の対応する第1のファブリック保持要素と共に、図に示されるファブリック設置システム1が1つの長さの又は複数の長さの第1の設置プロフィール4として販売され得ることが有利である可能性がある。建物の現場で、第1の設置プロフィール4の長さが、ファブリック2をその中で又はその上で延ばすことになる建物の実際の寸法に対応する適切なサイズの設置プロフィールとなるように切断され得る。このようにして、延ばされたファブリックは、建物の部屋に合うようにオーダーメードの形で配置され得る。第1のファブリック保持要素5が第1の設置プロフィール4と等しい長さを有するように適合されるような事例では、それに対応して、第1のファブリック保持要素が適切なサイズとなるように切断され得る。別法として、第1のファブリック保持要素は、設置プロフィールの長手方向Lにおいて順々に配置されるように適合される、第1の設置プロフィール4の長さよりも短い長さを各々が有する複数のファブリック保持要素として提供され得る。
【0046】
第1の設置プロフィール4は、
図3Bに示されるようにファブリック取り付け位置に既に設置された1つ又は複数の対応する第1のファブリック保持要素5と共に販売され得、第1の設置プロフィール4及び対応する第1のファブリック保持要素5が1つのユニットとして適切な長さとなるように切断され得る。
【0047】
図3Aに示されるように、別法として、第1の設置プロフィール4が1つ又は複数の対応する第1のファブリック保持要素5とは別個に提供されてもよく、次いで、これらの要素が設置手順中に組み立てられてよく、それにより第1の設置プロフィール4が壁又は天井3に設置される。
【0048】
建物の現場で壁又は天井の上に設置プロフィールを別個に設置することの代替形態として、天井又は壁の上に設置する準備の整ったパネルを提供することも可能であり、この場合、パネルがフレームを形成するように構成される設置プロフィールから構成され、本明細書で説明される本発明による設置プロフィール内に配置されるファブリック保持要素によりパネルの上で伸張状態のファブリックを装備する。
【0049】
図1から
図6に示される実施例では、第1のファブリック保持要素5は、第1のファブリック保持要素5と第1の設置プロフィール4との間にファブリック2の第1の縁部6を挟むことによりファブリック2の第1の縁部6を保持するように適合される。さらに、これらの実施例では、第1のファブリック保持要素5は、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7と第1の設置プロフィール4の対応する第1の支持面9との間にファブリック2の第1の縁部6を挟むことによりファブリック2の第1の縁部6を保持するように適合される。
【0050】
一方、
図7に示される実施例では、第1のファブリック保持要素5は、第1の縁部6と第1のファブリック保持要素5との間での単純な形での接続によりファブリック2の第1の縁部6を保持するように適合される。上記接続は、例えば、第1のファブリック保持要素5及び第1の縁部6のそれぞれの中にある糸で縫い付けられる貫通孔により、形成され得る。しかし、任意適切な接続手段が可能である。
【0051】
さらに、
図1から
図6に示される実施例では、第1の設置プロフィール4の第1の支持面9及び第2の支持面10は、第1の設置プロフィール4において第1の保持要素5をその中で保持するところのチャネル16の第1の側壁14及び第2の側壁15によってそれぞれ形成されることから、第1の設置プロフィール4の第1の支持面9及び第2の支持面10が互いの方を向いている、ことが分かる。第1の設置プロフィール4のチャネル16の第1の側壁14及び第2の側壁15がチャネル16の底部壁17から延在し、チャネル16の第1の側壁14がさらにチャネル16の第2の側壁15と比較して底部壁17からさらに離れるところまで延在し、第1の側壁14の自由縁部19のところでファブリック2を誘導するように適合された円形縁部18を形成する。このような誘導が必要ないような場合、示される円形縁部18がもちろん無くてもよく、このような事例では、チャネル16が、単純に、壁又は天井に沿って延ばされるときのファブリック2の概略の平面の方向を向いていてよい、ことに留意されたい。
【0052】
図3Bに示されるように、ファブリック保持要素5は、ファブリック取り付け位置に配置され得、ファブリック取り付け位置では、第1のファブリック保持要素5が第1の設置プロフィール4の中で脱着自在に保持される。
図1から
図3に示される実施例では、第1のファブリック保持要素5の第2の脚部8の自由端12が第1の設置プロフィール4の凹部13に当接することから、第1のファブリック保持要素5がファブリック取り付け位置で脱着自在に保持される。凹部13は、第1の設置プロフィール4のチャネル16の第2の側壁15内に形成される。第1のファブリック保持要素5の第2の脚部8を押圧することにより、第2の脚部8が凹部13から飛び出すことができ、それにより、第1のファブリック保持要素5がファブリック取り付け位置から解放される。
【0053】
図4A及び
図4Bに示される実施例では、第1のファブリック保持要素5の第2の脚部8の外側に湾曲するフラップ30が第1の設置プロフィール4のチャネル16の第2の側壁15の自由端に当接することから、第1のファブリック保持要素5がファブリック取り付け位置で脱着自在に保持される。
【0054】
図5A及び
図5Bに示される実施例では、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7の自由端11が第1の設置プロフィール4のチャネル16の第1の側壁14からの突出部31に当接することから、第1のファブリック保持要素5がファブリック取り付け位置で着脱自在に保持される。
【0055】
図1から
図6に示される実施例では、チャネル16の第1の側壁14がチャネル16の底部壁17を基準として鋭角Aを形成することが分かる。
【0056】
図1から
図6に示される実施例では、第1のファブリック保持要素5は略V形であり、その第1の脚部7及び第2の脚部8を接続する湾曲縁部20を形成する。
図1から
図5に示される実施例では、第1のファブリック保持要素5の湾曲縁部20が第1の設置プロフィール4のチャネル16の外側の方を向いており、つまり
図1に示されるテーパ方向Tの方向を向いている、ことが分かる。
図6に示される実施例では、第1のファブリック保持要素5の湾曲縁部20が第1の設置プロフィール4のチャネル16の内側の方を向いており、つまりテーパ方向Tの反対側を向いている、ことが分かる。
【0057】
図1から
図4、及び
図6に示される実施例では、湾曲縁部20と第1の脚部7の自由端11との両方が第1の設置プロフィール4の第1の支持面9に当接し、それにより第1の支持面9と共にファブリック2の第1の縁部6を挟むように適合される、ことと、第2の脚部8の自由端12が第1の設置プロフィール4の第2の支持面10に当接する、こととが分かる。
【0058】
図5A及び
図5Bに示される実施例では、湾曲縁部20と第1の脚部7の自由端11との両方が第1の設置プロフィール4の第1の支持面9に当接する、ことと、第2の脚部8の自由端12が第1の設置プロフィール4の第2の支持面10に当接する、こととが分かる。しかし、示される状況では、湾曲縁部20のみが第1の支持面9と共にファブリック2の第1の縁部6を挟む。これは、第1の脚部7の自由端11を突出部31に良好に当接させることを目的とする。
【0059】
図1から
図5に示される実施例では、ファブリック引張方向Fが、少なくとも、実質的に湾曲縁部20から第1の脚部7の自由端11の方を向いている、ことが分かる。さらに、これらの実施例では、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7は、その自由端11と湾曲縁部20との間において、第1の設置プロフィール4の第1の支持面9から離れるように湾曲しており(21)、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7が第1のファブリック保持要素5の第2の脚部8より長い。さらに、これらの実施例では、第1のファブリック保持要素5の第2の脚部8が、その自由端12と湾曲縁部20との間において、第1の設置プロフィール4の第2の支持面10から離れるように湾曲している(22)。
【0060】
図2に示されるように、少なくとも1つの第1のファブリック保持要素5は、有利には、第1の設置プロフィール4の長手方向Lに延びる長手方向lを有する板ばね23の形態を有する。この実施例では、第1のファブリック保持要素5は、第1の脚部7を形成する第1の長手方向フランジ24と、第2の脚部8を形成する第2の長手方向フランジ25とを有し、第1の長手方向フランジ24及び第2の長手方向フランジ25が湾曲縁部26に沿って接続される。好適には、複数の相互に離間される切欠部27が板ばね23の湾曲縁部26の中に形成される。それにより、特には、板ばねが比較的長い場合では、切欠部27が板ばね23に一定の可撓性を付与することができ、それにより、例えば第1の長手方向フランジ24を第2の長手方向フランジ25の方向に押圧することにより板ばねをそのファブリック取り付け位置から解放するのを容易にし、その結果、第1の長手方向フランジが
図1に示される凹部13などの第1の設置プロフィールの中の適切な凹部との当接状態から飛び出す。その長手方向軸を中心として捻じれるための板ばね23の能力により、有利には、この作業が容易となり得る。第1の設置プロフィール4は、任意適切な材料から任意適切な手法で形成され得る。適切なツールが1つ又は複数の切欠部27の中に挿入される得ることから、切欠部27は第1の設置プロフィール4から板ばね23を取り外すのを容易にするようにも機能することができる。例えば、第1の設置プロフィール4は押出しアルミニウムのプロフィールであってよい。
【0061】
図1から
図3に示されるファブリック設置システムが壁又は天井に設置され得、
図3Aから
図3Dの多様なステップで示されるようにファブリック2を延ばすのに使用され得る。最初に、
図3Aに示されるように、上で説明したように、少なくとも第1の設置プロフィール4が壁又は天井に設置される。第1のファブリック保持要素5は、チャネル16の中に配置されていない場合、上で説明したように、また
図3Bに示されるように、ファブリック取り付け位置において、第1の設置プロフィール4のチャネル16の中に挿入されてチャネル16に係合し得る。
図3Cに示されるように、ファブリック2の第1の縁部6は、へら32などの適切なツールにより、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7と第1の設置プロフィール4の第1の支持面9との間に押圧され得る。それにより、へら32を取り外すとき、ファブリック2の第1の縁部6が、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7と第1の設置プロフィール4の第1の支持面9との間に挟まれてそれにより保持され得る。次いで、
図3Dに示されるように、へら32又は他のツールにより、第1のファブリック保持要素5の第2の脚部8の自由端12が、チャネル16の第2の側壁15の凹部13との係合状態から外されるように押圧され得る。それにより、第1のファブリック保持要素5の第1の脚部7及び第2の脚部8が弾性的に付勢されることにより、第1のファブリック保持要素5は、第1の設置プロフィール4の長手方向Lに対して横向きである、
図1に示されるファブリック引張方向Fにおいて、第1の支持面9及び第2の支持面10に沿って摺動するように付勢され、その結果、ファブリック2が伸張状態にされる。
【0062】
上で説明及び例示される実例では、第1のファブリック保持要素5はV形又はU形であるが、第1のファブリック保持要素5は他の適切な形状を有してもよいことに留意されたい。例えば、第1の脚部7及び第2の脚部8は、それらの両端部のところで互いに接続されてもよく、その結果、閉じた形状が作られる。例として、第1の脚部7及び第2の脚部8の各々が管の半体を形成してもよく、ここでは、管が例えば円形又は楕円形の断面を有することができる。
【0063】
さらに、
図1から
図6に示される実施例では、挿入方向が、第1の設置プロフィール4のチャネル16の中に第1のファブリック保持要素5を挿入するように決められ得る、ことに留意されたい。この挿入方向は、概して、ファブリック引張方向Fの方向を、及び/又は
図1で定義されるテーパ方向Tの反対方向を、程度の差はあれ、向いていてよい。
【符号の説明】
【0064】
A チャネルの第1の側壁と底部壁との間の鋭角
F ファブリック引張方向
L 第1の設置プロフィールの長手方向
l 板ばねの長手方向
T テーパ方向
1 ファブリック設置システム
2 ファブリック
3 壁又は天井
4 第1の設置プロフィール
5 第1のファブリック保持要素
6 ファブリックの第1の縁部
7 第1のファブリック保持要素の第1の脚部
8 第1のファブリック保持要素の第2の脚部
9 第1の設置プロフィールの第1の支持面
10 第1の設置プロフィールの第2の支持面
11 第1のファブリック保持要素の第1の脚部の自由端
12 第1のファブリック保持要素の第2の脚部の自由端
13 第1の設置プロフィールの凹部
14 チャネルの第1の側壁
15 チャネルの第2の側壁
16 第1の設置プロフィールのチャネル
17 チャネルの底部壁
18 チャネルの第1の側壁の円形縁部
19 第1の側壁の自由縁部
20 第1のファブリック保持要素の湾曲縁部
21 第1のファブリック保持要素の第1の脚部の湾曲
22 第1のファブリック保持要素の第2の脚部の湾曲
23 板ばね
24 板ばねの第1の長手方向フランジ
25 板ばねの第2の長手方向フランジ
26 板ばねの湾曲縁部
27 切欠部
28 チャネルの第2の側壁からの突出部
29 第1の設置プロフィールの中の設置用孔
30 第1のファブリック保持要素の第2の脚部の外側に湾曲するフラップ
31 チャネルの第1の側壁からの突出部
32 へら
33 第1のファブリック保持要素の脚部接続部分
34 第1の設置プロフィールの設置部分