(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】標的タンパク質を安定して発現できる組換えウイルス
(51)【国際特許分類】
C12N 15/869 20060101AFI20231120BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20231120BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231120BHJP
A61K 35/763 20150101ALI20231120BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20231120BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231120BHJP
A61K 39/135 20060101ALI20231120BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231120BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231120BHJP
C12N 15/38 20060101ALN20231120BHJP
C12N 15/42 20060101ALN20231120BHJP
【FI】
C12N15/869 Z
C12N7/01 ZNA
C12N5/10
A61K35/763
A61K38/02
A61K48/00
A61K39/135
A61P37/04
A61P31/04 171
C12N15/38
C12N15/42
(21)【出願番号】P 2020551267
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2019078057
(87)【国際公開番号】W WO2019179345
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/079410
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520359778
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ (チャイナ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】マー グアンガン
(72)【発明者】
【氏名】ユアン セン
【審査官】菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-502403(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107723281(CN,A)
【文献】特開平05-207877(JP,A)
【文献】Journal of Virology,2003年,Vol. 77,p.5598-5606,DOI: 10.1128/jvi.77.10.5598-5606.2003
【文献】Journal of Biotechnology,2006年,Vol. 123,p.13-21,DOI: 10.1016/j.jbiotec.2005.10.022
【文献】Archives of Virology,2010年,Vol. 155,p.723-731,DOI: 10.1007/s00705-010-0648-6
【文献】AIDS Research and Human Retroviruses,2010年,Vol. 26,p.A-122,P19.09,DOI: 10.1089/aid.2010.9998
【文献】Antiviral Research,2012年,Vol. 96,p.288-295,DOI: 10.1016/j.antiviral.2012.09.019
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 1/00- 7/08
A61K 35/76
A61K 35/761
A61K 38/02
A61K 48/00
A61K 39/00
A61P 37/04
A61P 31/04
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えウイルスのゲノム中に発現カセットを含む組換えウイルスであって、発現カセットは、少なくとも1つの目的のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド、および組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに機能的に連結されており、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドの上流に位置しており、前記第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルス中で活性な、前記必須の遺伝子またはその機能的な断片の唯一のコピーであ
り、
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが、同じORF内にあり、
組換えウイルスが、EHV-1由来であり、第1のポリヌクレオチドが、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含み、必須の遺伝子が、EHV-1 ORF43遺伝子またはEHV-1 ORF54遺伝子である、組換えウイルス。
【請求項2】
(i)第1のポリヌクレオチドが、リンカーを介して第2のポリヌクレオチドに連結されており;好ましくはリンカーが、フレキシブルなリンカー、またはFMDVの2A遺伝子であってもよく、好ましくはFMDVの2A遺伝子であり;又は
(ii)第1のポリヌクレオチドが、第2のポリヌクレオチドに直接連結されている、請求項1に記載の組換えウイルス。
【請求項3】
発現カセットが、調節エレメント、例えばプロモーター、好ましくはCMV5プロモーターをさらに含む、請求項1
または2に記載の組換えウイルス。
【請求項4】
発現カセットが、P1-2A-3C-2A-ORF43コンストラクトまたはP1-2A-3C-2A-ORF54コンストラクト、好ましくは、CMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトまたはCMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクト、より好ましくは、配列番号8で示されるCMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトまたは配列番号9で示されるCMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクトを含
み、
「P1」、「2A」、および「3C」がそれぞれFMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を表し、「ORF43」および「ORF54」がそれぞれEHV-1 ORF43遺伝子およびEHV-1 ORF54遺伝子を表し、「CMV」がCMVプロモーターを表し、「BGH」がBGHポリAシグナルを表す、請求項1~3のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
【請求項5】
組換えウイルス内の目的のポリペプチドの発現安定性を増加させるための方法であって、組換えウイルスのゲノム中に発現カセットを構築することを含み、発現カセットは、少なくとも1つの目的のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド、および組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに機能的に連結されており、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドの上流に位置しており、前記第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルス中で活性な、前記必須の遺伝子またはその機能的な断片の唯一のコピーであ
り、
第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが、同じORF内にあり、
組換えウイルスが、EHV-1由来であり、第1のポリヌクレオチドが、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含み、必須の遺伝子が、EHV-1 ORF43遺伝子またはEHV-1 ORF54遺伝子である、
方法。
【請求項6】
(i)第1のポリヌクレオチドが、リンカーを介して第2のポリヌクレオチドに連結されている;好ましくは
リンカーが、フレキシブルなリンカー、または2A遺伝子であってもよく、好ましくは2A遺伝子であり;又は
(ii)第1のポリヌクレオチドが、第2のポリヌクレオチドに直接連結されている、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
発現カセットが、他の調節エレメント、例えばプロモーター、ポリAなど、好ましくはプロモーター、より好ましくはCMV5プロモーターをさらに含む、請求項
5または6に記載の方法。
【請求項8】
発現カセットが、P1-2A-3C-2A-ORF43コンストラクトまたはP1-2A-3C-2A-ORF54コンストラクト、好ましくは、CMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトまたはCMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクト、好ましくは、配列番号8で示されるCMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトまたは配列番号9で示されるCMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクトを含
み、
「P1」、「2A」、および「3C」がそれぞれFMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を表し、「ORF43」および「ORF54」がそれぞれEHV-1 ORF43遺伝子およびEHV-1 ORF54遺伝子を表し、「CMV」がCMVプロモーターを表し、「BGH」がBGHポリAシグナルを表す、請求項
5~
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の組換えウイルスを含む宿主細胞であって、好ましくは、宿主細胞は、真核宿主細胞株であり;より好ましくは、宿主細胞株は、哺乳類細胞株または昆虫細胞株であり;最も好ましくは、宿主細胞株は、RK13細胞株、MDBK細胞株、ST細胞株、AI-ST細胞株、VERO細胞株、Sf9細胞株、Sf21、MDCK細胞株、および/またはそれらの派生株である、宿主細胞。
【請求項10】
a.請求項1~
4のいずれか1項に記載の組換えウイルス、および/または
b.請求項1~
4のいずれか1項に記載の組換えウイルスによって発現された目的のポリペプチドを含み、
c.医薬的または獣医学的な許容できる担体または賦形剤を含んでいてもよい、
免疫原性組成物、医薬組成物またはワクチン組成物であって、好ましくは、前記担体は、経口、皮内、筋肉内または鼻腔内適用に好適である、組成物。
【請求項11】
動物における病原体の感染によって引き起こされる臨床徴候または疾患を低減もしくは防止する方法で使用するための、または動物における病原体の感染を処置もしくは防止する方法で使用するための、請求項1~
4のいずれか1項に記載の組換えウイルスまたは請求項
10に記載の免疫原性組成物、医薬組成物もしくはワクチン組成物であって、好ましくは、前記動物は、食物生産動物、例えばブタである、組換えウイルスまたは組成物。
【請求項12】
動物、好ましくは食物生産動物、例えばブタまたはウシに、動物における病原体に関連する疾患に対してワクチン接種をするための、および/または動物における病原体に関連する、またはそれによって引き起こされる1つまたは複数の臨床徴候の発生率または重症度を低減させるためのキットであって、
a.前記動物に、請求項1~
4のいずれか1項に記載の組換えウイルスまたは請求項
10に記載の免疫原性組成物、医薬組成物もしくはワクチン組成物を投与することが可能なディスペンサー;および
b.請求項1~
4のいずれか1項に記載の組換えウイルスまたは請求項
10に記載の免疫原性組成物、医薬組成物もしくはワクチン組成物
を含み、
c.指示リーフレット
を含んでいてもよいキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学の分野に関し、特に標的タンパク質を安定して発現できる組換えウイルス、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
口蹄疫ウイルス(FMDV)は、ピコルナウイルス科のアフトウイルス属に属するリボ核酸(RNA)ウイルスである(Cooper et al., Intervirology, 1978, 10, 165-180)。直径約25nmの裸の正二十面体ウイルスとして、FMDVは、正極性を有する約8500ヌクレオチドからなる一本鎖RNA分子を含有する。このRNA分子は、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、これは、とりわけタンパク質P1としても公知のキャプシド前駆体を含有する単一のポリタンパク質をコードする。タンパク質P1は、そのアミノ末端でミリスチル化されている。成熟プロセス中、タンパク質P1は、プロテアーゼ3Cによって、VP0、VP1およびVP3として公知の3つのタンパク質に切断される(Belsham G. J., Progress in Biophysics and Molecular Biology, 1993, 60, 241-261)。ビリオン中で、タンパク質VP0は次いで、2つのタンパク質、VP4およびVP2に切断される。タンパク質VP0がVP4およびVP2に変換されるメカニズム、および成熟ビリオン形成のメカニズムは、わかっていない。タンパク質VP1、VP2およびVP3は、約26,000Daの分子量を有するが、タンパク質VP4は、それより小さく、約8,000Daである。
FMDが流行している地域では、ワクチン接種が、疾患を制御するための有効かつ主要な手段である。現在の商業的なFMDVに対するワクチンは、主として、不活性化された全FMDVワクチンである。このようなワクチンの生産は、高度な封じ込め施設における大量の毒性FMDVの増殖を必要とするが、これは、維持に費用がかかり、生きたFMDVを放出する潜在的なリスクを有する。加えて、一部の野外株は、浮遊BHK細胞に適合させ、高い力価を達成することが難しい。全不活性化ワクチンの別の問題は、このようなワクチンは、特にブタにおいて、免疫応答を効果的に刺激できないことがあり、したがって定期的なブースター注射を必要とすることである。
【0003】
新規のFMDワクチンの1つは、ウイルス様粒子(VLP)ベースのワクチンである。VLPは、前駆タンパク質P1-2Aに由来するため、無傷のウイルス上に提示される免疫原性部位のレパートリー全体を含有し、動物においてビリオンと同等に免疫原性である。VLPは、核酸を欠失しており、感染性ではないため、VLPベースのワクチンは、動物における生産および使用の観点で高い安全性プロファイルを有する。FMDVのVLPは、異なる発現系およびベクターを使用して発現させることができ、サブユニットワクチンとして送達することができる(Luis L. Rodriguez and Marvin J. Grubman, Foot and mouth disease virus vaccines, Vaccine 27 (2009) D90-D94)。安全性および簡単な調製にもかかわらず、VLPベースのサブユニットワクチンは、疾患に対する長期にわたる免疫性をうまく誘導できないことがある。生ワクチンは、1または2回の投与で免疫性を付与できるが、それに対してVLPベースのサブユニットワクチンは、特定された期間にわたり繰り返しの投与が必要になる可能性がある。
【0004】
VLPベースの生きたベクターを用いたワクチンは、FMDV制御のための有望なワクチン候補として期待される。FMDV VLPベースの生きたベクターを用いたワクチンを開発するために、VLPをコードする遺伝子を含有する組換えウイルスを構築すべきである。VLPをコードする遺伝子は、組換えウイルスの複製中にVLPが発現され自動的に集合できるように、P1-2A前駆遺伝子および3Cプロテアーゼ遺伝子で構成されるべきである。残念なことに、P1-2A遺伝子は、組換えウイルス、例えばアデノウイルスの連続的な継代中に安定して維持できないことが見出され、それゆえに、VLPの収量およびワクチン効能に悪影響を与えると予想される。(L. Robinson, T. J. D. Knight-Jones, B. Charleston. Global Foot-and-Mouth Disease Research Update and Gap Analysis: 3 - Vaccines. Transboundary and Emerging Diseases (2016) P30-41)。
インビトロでのその連続的な継代中に、組換えウイルス中でVLPをコードする遺伝子を安定して維持することを可能にする、VLPをコードする遺伝子を含有する組換えウイルスを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
上述した技術的な問題の解決法は、説明と特許請求の範囲で特徴付けられる実施形態によって達成され、その異なる態様の発明は、特許請求の範囲に従って実行される。
一般的に、本発明は、標的遺伝子の発現安定性を増加させるための、組換えウイルスおよび関連方法を提供する。
【0006】
上述の組換えウイルスにおいて、標的遺伝子は、標的遺伝子と必須の遺伝子とが共発現できるように、組換えウイルスの必須の遺伝子に機能的に連結され、必須の遺伝子の上流に位置するように設計される。例えば、標的遺伝子は、同じORF内で組換えウイルスの必須の遺伝子の上流に挿入でき、したがって標的遺伝子は、組換えウイルスが複製できる限り必須の遺伝子と共に安定して共発現されることになる。標的遺伝子発現がない、または標的遺伝子中に何らかのアウトオブフレーム突然変異がある組換えウイルスは、複製できないことになる。一実施形態において、組換えウイルスは、ヘルペスウイルス科由来であり、特にウマアルファヘルペスウイルス1(EHV-1)由来である。一実施形態において、標的遺伝子は、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含む。本発明の説明の文脈中で、用語「標的遺伝子」および「第1のポリヌクレオチド」は、交換可能であり、用語「必須の遺伝子」および「第2のポリヌクレオチド」は、交換可能である。
【0007】
上述の組換えウイルスを使用することによって、標的遺伝子は、それを含有する組換えウイルスによって安定して発現され得る。
本発明はまた、本発明の組換えウイルスを含む宿主細胞、およびその調製方法も提供する。
本発明はまた、本発明の組換えウイルスおよび/または本発明の組換えウイルスによって発現される目的のポリペプチドを含む、免疫原性組成物、医薬組成物、もしくはワクチン組成物、ならびにその調製方法も提供する。本発明はまた、免疫原性/医薬/ワクチン組成物の調製における本発明の組換えウイルスの使用も提供する。
本発明はまた、動物に、本発明の組換えウイルスまたは本発明の免疫原性/医薬/ワクチン組成物を投与することによる、動物におけるウイルスによって引き起こされる臨床徴候の処置および/または予防のための方法も提供する。
本発明はさらに、動物、例えばブタなどの食物生産動物を免疫化するための方法であって、このような動物に、本発明の組換えウイルスまたは本発明の免疫原性/医薬/ワクチン組成物を投与することを含む方法に関する。
【0008】
条項
本明細書には下記条項を記載する。
本発明は以下の条項を提供する。
1.組換えウイルスのゲノム中に発現カセットを含む組換えウイルスであって、発現カセットは、少なくとも1つの目的のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド、および組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに機能的に連結されており、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドの上流に位置しており、前記第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルス中で活性な、前記必須の遺伝子またはその機能的な断片の唯一のコピーである、組換えウイルス。
2.第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが、同じORF内である、条項1に記載の組換えウイルス。
3.第2のポリヌクレオチドが、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子である、条項1または2に記載の組換えウイルス。
4.第2のポリヌクレオチドが、外因性であり、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子が、サイレンシングされている、条項1または2に記載の組換えウイルス。
5.第1のポリヌクレオチドが、抗原性のポリペプチドまたは治療用ポリペプチドをコードする、条項1~4のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
6.抗原性のポリペプチドが、FMDV抗原、PRRSV抗原、DEV抗原、およびPRV抗原からなる群から選択され、好ましくはFMDV抗原である、条項5に記載の組換えウイルス。
7.第1のポリヌクレオチドが、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含む、条項1~4のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
8.組換えウイルスが、ヘルペスウイルス科、例えばウマアルファヘルペスウイルス1(EHV-1)、ウマアルファヘルペスウイルス4(EHV-4)、ならびに他のワリセロウイルス属、例えば仮性狂犬病ウイルス(PrV)およびウシヘルペスウイルス1(BHV-1)、アデノウイルス科(AdV)、例えばイヌアデノウイルス(CAdV)、アデノ随伴ウイルス科、レンチウイルス科、例えばレトロウイルス、ならびにポックスウイルス科からなる群から選択されるウイルス由来である、条項1~7のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
9.ウイルスが、ヘルペスウイルス科のメンバー、好ましくはアルファヘルペスウイルス属のメンバー、より好ましくはワリセロウイルス亜属のメンバー、最も好ましくはウマアルファヘルペスウイルス1(EHV-1)のメンバーである、条項8に記載の組換えウイルス。
10.組換えウイルスが、EHV-1由来であり、第1のポリヌクレオチドが、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含む、条項1に記載の組換えウイルス。
11.必須の遺伝子が、キャプシドタンパク質、DNA複製関連のタンパク質、DNAヘリカーゼ、DNAレプリカーゼ、受容体結合タンパク質、およびEgress関連タンパク質からなる群から選択されるタンパク質をコードする、条項1~10のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
12.組換えウイルスが、EHV-1由来であり、第1のポリヌクレオチドが、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含み、必須の遺伝子が、EHV-1 ORF43遺伝子またはEHV-1 ORF54遺伝子である、条項11に記載の組換えウイルス。
13.第1のポリヌクレオチドが、リンカーを介して第2のポリヌクレオチドに連結されている、条項1~12のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
14.リンカーが、フレキシブルなリンカー、または2A遺伝子であってもよく、好ましくは2A遺伝子である、条項13に記載の組換えウイルス。
15.第1のポリヌクレオチドが、第2のポリヌクレオチドに直接連結されている、条項1~13のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
16.発現カセットが、調節エレメント、例えばプロモーター、好ましくはCMV5プロモーターをさらに含む、条項1~15のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
17.発現カセットが、P1-2A-3C-2A-ORF43コンストラクトまたはP1-2A-3C-2A-ORF54コンストラクト、好ましくは、CMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトまたはCMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクト、より好ましくは、配列番号8で示されるCMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトまたは配列番号9で示されるCMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクトを含む、条項1~16のいずれか1項に記載の組換えウイルス。
18.条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスを調製するための方法であって、組換えウイルスのゲノム中に発現カセットを構築することを含み、発現カセットは、少なくとも1つの目的のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド、および組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに機能的に連結されており、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドの上流に位置しており、前記第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルス中で活性な、前記必須の遺伝子またはその機能的な断片の唯一のコピーである、方法。
19.組換えウイルス内の目的のポリペプチドの発現安定性を増加させるための方法であって、組換えウイルスのゲノム中に発現カセットを構築することを含み、発現カセットは、少なくとも1つの目的のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド、および組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに機能的に連結されており、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドの上流に位置しており、前記第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルス中で活性な、前記必須の遺伝子またはその機能的な断片の唯一のコピーである、方法。
20.第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドが、同じORF内である、条項19に記載の方法。
21.第2のポリヌクレオチドが、組換えウイルスのゲノム中に天然に存在する必須の遺伝子である、条項19または20に記載の方法。
22.第2のポリヌクレオチドが、外因性であり、組換えウイルスのゲノム中に天然に存在する必須の遺伝子が、サイレンシングされている、条項19または20に記載の方法。
23.第1のポリヌクレオチドが、抗原性のポリペプチドまたは治療用ポリペプチドをコードする、条項19~22のいずれか1項に記載の方法。
24.抗原性のポリペプチドが、FMDV抗原、PRRSV抗原、DEV抗原、およびPRV抗原からなる群から選択され、好ましくはFMDV抗原である、条項23に記載の方法。
25.第1のポリヌクレオチドが、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含む、条項19~22のいずれか1項に記載の方法。
26.組換えウイルスが、ヘルペスウイルス科、例えばウマアルファヘルペスウイルス1(EHV-1)、ウマアルファヘルペスウイルス4(EHV-4)、ならびに他のワリセロウイルス属、例えば仮性狂犬病ウイルス(PrV)およびウシヘルペスウイルス1(BHV-1)、アデノウイルス科(AdV)、例えばイヌアデノウイルス(CAdV)、アデノ随伴ウイルス科、レンチウイルス科、例えばレトロウイルス、ならびにポックスウイルス科からなる群から選択されるウイルス由来である、条項19~22のいずれか1項に記載の方法。
27.ウイルスが、ヘルペスウイルス科のメンバー、好ましくはアルファヘルペスウイルス属のメンバー、より好ましくはワリセロウイルス亜属のメンバー、最も好ましくはウマアルファヘルペスウイルス1(EHV-1)のメンバーである、条項26に記載の方法。
28.組換えウイルスが、EHV-1由来であり、第1のポリヌクレオチドが、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含む、条項19に記載の方法。
29.必須の遺伝子が、キャプシドタンパク質、DNA複製関連のタンパク質、DNAヘリカーゼ、DNAレプリカーゼ、受容体結合タンパク質、およびEgress関連タンパク質からなる群から選択されるタンパク質をコードする、条項19~28のいずれか1項に記載の方法。
30.組換えウイルスが、EHV-1由来であり、第1のポリヌクレオチドが、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含み、必須の遺伝子が、EHV-1 ORF43遺伝子またはEHV-1 ORF54遺伝子である、条項29に記載の方法。
31.第1のポリヌクレオチドが、リンカーを介して第2のポリヌクレオチドに連結されている、条項19~30のいずれか1項に記載の方法。
32.リンカーが、フレキシブルなリンカー、または2A遺伝子であってもよく、好ましくは2A遺伝子である、条項31に記載の方法。
33.第1のポリヌクレオチドが、第2のポリヌクレオチドに直接連結されている、条項19~30のいずれか1項に記載の方法。
34.発現カセットが、他の調節エレメント、例えばプロモーター、ポリAなど、好ましくはプロモーター、より好ましくはCMV5プロモーターをさらに含む、条項19~30のいずれか1項に記載の方法。
35.発現カセットが、P1-2A-3C-2A-ORF43コンストラクトまたはP1-2A-3C-2A-ORF54コンストラクト、好ましくは、CMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトまたはCMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクト、好ましくは、配列番号8で示されるCMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトまたは配列番号9で示されるCMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクトを含む、条項19~31のいずれか1項に記載の方法。
36.条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスを含む宿主細胞であって、好ましくは、宿主細胞は、真核宿主細胞株であり;より好ましくは、宿主細胞株は、哺乳類細胞株または昆虫細胞株であり;最も好ましくは、宿主細胞株は、RK13細胞株、MDBK細胞株、ST細胞株、AI-ST細胞株、VERO細胞株、Sf9細胞株、Sf21、MDCK細胞株、および/またはそれらの派生株である、宿主細胞。
37.条項36に記載の宿主細胞を調製する方法であって、以下:
a.宿主細胞株を、条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスに感染させる工程、および
b.感染細胞を、好適な条件下で培養する工程
を特徴とし、
c.前記宿主細胞を回収する工程
を特徴としてもよい方法。
38.
a.条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルス、および/または
b.条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスによって発現された目的のポリペプチド
を含み、
b.医薬的または獣医学的な許容できる担体または賦形剤
を含んでいてもよい免疫原性組成物、医薬組成物またはワクチン組成物であって、好ましくは、前記担体は、経口、皮内、筋肉内または鼻腔内適用に好適である、組成物。
39.免疫原性組成物、医薬組成物またはワクチン組成物を調製するための方法であって、以下:
a.条項36に記載の宿主細胞を、条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスに感染させる工程、
b.感染細胞を、好適な条件下で培養する工程、および
c.感染細胞を回収する工程
を含み、
d.工程c)の回収物を精製する工程
を含んでいてもよく、
e.前記回収物を、医薬的に許容される担体と混合する工程
を含んでいてもよい方法。
40.回収物が、感染細胞によって生産された組換えウイルスであるか、または回収物が、組換えウイルスによって発現された目的のポリペプチドである、条項39に記載の方法。
41.動物における病原体の感染によって引き起こされる臨床徴候または疾患を防止および/もしくは処置するための、または動物における病原体の感染を処置もしくは防止する方法で使用するための、免疫原性組成物、医薬組成物またはワクチン組成物の調製における条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスの使用であって、好ましくは、前記動物は、食物生産動物、例えばブタである、使用。
42動物における病原体の感染によって引き起こされる臨床徴候または疾患を低減もしくは防止する方法で使用するための、または動物における病原体の感染を処置もしくは防止する方法で使用するための、条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスまたは条項38に記載の免疫原性組成物、医薬組成物もしくはワクチン組成物であって、好ましくは、前記動物は、食物生産動物、例えばブタである、組換えウイルスまたは組成物。
43.動物、例えば食物生産動物、例えばブタまたはウシを、前記動物における病原体によって引き起こされる疾患に対して免疫化、処置または防止する方法であって、動物に、条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスまたは条項38に記載の免疫原性組成物、医薬組成物もしくはワクチン組成物を投与する工程を含む方法。
44.動物、好ましくは食物生産動物、例えばブタまたはウシに、動物における病原体に関連する疾患に対してワクチン接種をするための、および/または動物における病原体に関連する、またはそれによって引き起こされる1つまたは複数の臨床徴候の発生率または重症度を低減させるためのキットであって、
a.前記動物に、条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスまたは条項38に記載の免疫原性組成物、医薬組成物もしくはワクチン組成物を投与することが可能なディスペンサー;および
b.条項1~17のいずれか1項に記載の組換えウイルスまたは条項38に記載の免疫原性組成物、医薬組成物もしくはワクチン組成物
を含み、
c.指示リーフレット
を含んでいてもよいキット。
以下の図面は、明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに実証するために含まれる。これらの図面の1つまたは複数を、本明細書で示された具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて参照することによって、本発明をよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】必須の遺伝子のトランスロケーションの概念の図解である。A:必須の遺伝子を欠失させ、標的遺伝子と共にトランスロケーションさせる;およびB:標的遺伝子はまた、元の位置の必須の遺伝子の上流に挿入されてもよい。
【
図2】FMDV P12A3Cカセットの設計を示す図である。
【
図3】トランスファープラスミドの構築手順を例示する図である。標的遺伝子P12A3Cを合成し、ベクターpUC19-CMV5-ORF1/3-リンカーにクローニングして、pUC19-CMV5-P12A3Cを得た。EHV-1の必須の遺伝子ORF43またはORF54も合成し、pUC19-CMV5-P12A3Cにクローニングして、最終的なトランスファープラスミドを得て、これを使用して組換えEHV-1を生成した。
【
図4】CMV5-P12A3C2AORF43-BGHのゲル電気泳動の結果を示す図である。トランスファープラスミドの制限酵素I-CeuIでの消化。消化後、約7kbの標的断片が放出され、これを組換えに使用した。
【
図5】遺伝子ORF43またはORF54をEHV-1ベクターから欠失させたところ、欠失突然変異ウイルスは、インビトロで複製できなかった。対照として、EHV-1野生型は、容易に救出され、トランスフェクションの2日後によく増殖することができた。救出されたウイルスがEGFP遺伝子を含有するため、プラークは緑色蛍光を示す。
【
図6】ORF43遺伝子がトランスロケーションした組換えEHV-1の遺伝子構造を示す図である。ORF43遺伝子をその元の位置から欠失させ、FMDV P12A3C遺伝子の下流にトランスロケーションさせた。
【
図7】IFAによるFMDVタンパク質発現およびEHV-1 ORF71回復の確認を示す図である。EHV-1 ORF43またはORF54がトランスロケーションした組換えウイルスは、トランスフェクション後に救出することができた。FMDV標的タンパク質の発現は、IFAによって確認された。EHV-1gp2を染色したところ、EHV-1プラークの存在が示された。
【
図8】一連の組換えEHV-1を標準的な設計を用いて構築したが、標的タンパク質を安定して発現できないことを示す図である。(A)二重のIFAによって、陰性EHV-1プラークが見出された;(B)陰性プラークのシーケンシングは、結果として下流の遺伝子のアウトオブフレーム突然変異を引き起こす単一のヌクレオチド酸欠失を含むランダムな遺伝学的変化を示した。
【
図9】標的FMDVタンパク質とEHV-1タンパク質の両方を発現できるプラークを示す代表的な二重のIFAの結果の図解を示す図である。
【
図10】組換えウイルスの異なる継代レベルからのFMDV VLPの検出を示す図である。
【
図11】A:標的遺伝子発現カセットおよびプライマーの位置の図解;B:組換えウイルスの異なる継代レベルからのPCR結果を示す図である。
【
図12】親のEHV-1と比較した組換えEHV-1のインビトロにおける一段階の増殖速度論を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、組換えウイルスのゲノム中に発現カセットを含む組換えウイルスであって、発現カセットは、少なくとも1つの目的のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド、および組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに機能的に連結されており、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドの上流に位置しており、前記第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルス中で活性な、前記必須の遺伝子またはその機能的な断片の唯一のコピーである、組換えウイルスに関する。
本発明はまた、組換えウイルスを調製するための方法であって、組換えウイルスのゲノム中に発現カセットを構築することを含み、発現カセットは、少なくとも1つの目的のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド、および組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに機能的に連結されており、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドの上流に位置しており、前記第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルス中で活性な、前記必須の遺伝子またはその機能的な断片の唯一のコピーである、方法にも関する。
【0011】
本発明はさらに、組換えウイルス内の目的のポリペプチドの発現安定性を増加させるための方法であって、組換えウイルスのゲノム中に発現カセットを構築することを含み、発現カセットは、少なくとも1つの目的のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド、および組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに機能的に連結されており、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドの上流に位置しており、前記第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルス中で活性な、前記必須の遺伝子またはその機能的な断片の唯一のコピーである、方法に関する。
【0012】
本発明の組換えウイルスは、標的遺伝子と組換えウイルスの必須の遺伝子との共発現という新しい概念に基づいて構築される。標的遺伝子と組換えウイルスの必須の遺伝子との共発現は、標的タンパク質の安定な発現に有用であることが期待される。組換えウイルスの複製は、標的遺伝子の発現に依存し、順に標的遺伝子の発現を安定にすると予想される。組換えウイルスが標的遺伝子の発現を喪失しているか、または標的遺伝子中に何らかのアウトオブフレーム突然変異を有する場合、下流の必須の遺伝子は、どちらも機能的に発現されないと予想され、結果として組換えウイルスは、複製できないと予想される。すなわち、機能的に一緒に組み合わせることによって、標的遺伝子は、複製選択圧力下で安定して発現されると予想される。
【0013】
標的遺伝子と組換えウイルスの必須の遺伝子との共発現は、標的遺伝子を必須の遺伝子に機能的に連結させることによって達成することができる。例示的な実施形態において、標的遺伝子および必須の遺伝子は、同じORF内に位置するように設計することができる。したがって、一実施形態において、本発明の組換えウイルスの第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドは、同じORF内である。
標的遺伝子の必須の遺伝子への機能的な連結を達成するための2つの例示的な選択肢がある。第1の選択肢は、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子(すなわち組換えウイルスのゲノム中に天然に存在する必須の遺伝子)を欠失させるかまたはサイレンシングし、標的遺伝子が必須の遺伝子に機能的に連結されるように、標的遺伝子の下流に外因的に導入される同じ必須の遺伝子を挿入することである。したがって、一実施形態において、第2のポリヌクレオチドは、外因性であり、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子は、サイレンシングされている。第2の選択肢は、標的遺伝子が必須の遺伝子に機能的に連結されるように、ウイルスの内因性の必須の遺伝子の上流に標的遺伝子を挿入することである。したがって、一実施形態において、第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子である。
【0014】
一実施形態において、第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子である。別の実施形態において、第2のポリヌクレオチドは、外因性であり、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子は、サイレンシングされている。
一実施形態において、第1のポリヌクレオチドは、抗原性のポリペプチドまたは治療用ポリペプチドをコードする。抗原性のポリペプチドは、例えば、FMDV抗原、PRRSV抗原、DEV抗原、およびPRV抗原からなる群から選択することができ、好ましくはFMDV抗原である。一実施形態において、第1のポリヌクレオチドは、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含む。一実施形態において、P1遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号1によって示される。一実施形態において、2A遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号2によって示される。一実施形態において、3C遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号3によって示される。一実施形態において、P1-2A-3C遺伝子カセットのヌクレオチド配列は、配列番号4によって示される。
【0015】
一実施形態において、第2のポリヌクレオチドは、組換えウイルスの必須の遺伝子またはその機能的な断片である。必須の遺伝子は、その複製にとって重要であると考えられる生物の遺伝子である。ウイルスに関して、必須の遺伝子としては、これらに限定されないが、キャプシドタンパク質、DNAヘリカーゼ、DNAレプリカーゼなどをコードする遺伝子が挙げられる。一実施形態において、必須の遺伝子は、例えば、キャプシドタンパク質、DNA複製関連のタンパク質、DNAヘリカーゼ、DNAレプリカーゼ、受容体結合タンパク質、およびEgress関連タンパク質からなる群から選択されるタンパク質をコードする。一実施形態において、必須の遺伝子は、EHV-1のゲノム由来である。一実施形態において、必須の遺伝子は、EHV-1 ORF43遺伝子またはEHV-1 ORF54遺伝子である。一実施形態において、ORF43遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号5によって示される。一実施形態において、ORF54遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号6によって示される。
一実施形態において、第1のポリヌクレオチドは、リンカーを介して第2のポリヌクレオチドに連結されている。一実施形態において、リンカーは、フレキシブルなリンカー、例えば(GGGGS)nリンカー、または2A遺伝子であってもよく、好ましくは2A遺伝子である。一実施形態において、第1のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドに直接連結されている。一実施形態において、発現カセットは、「第1のポリヌクレオチド-リンカー-第2のポリヌクレオチド」の構造により示されるコンストラクトを含む。
【0016】
一実施形態において、組換えウイルスは、例えばヘルペスウイルス科、例えばウマアルファヘルペスウイルス1(EHV-1)、ウマアルファヘルペスウイルス4(EHV-4)およびウシアルファヘルペスウイルス1(ウシヘルペスウイルス1、BHV-1)から選択されるウイルス由来である。一実施形態において、組換えウイルスは、ヘルペスウイルス科のメンバー、好ましくはアルファヘルペスウイルス属のメンバー、より好ましくはワリセロウイルス亜属のメンバーから選択されるウイルス由来であり、最も好ましくは前記組換えウイルスは、ウマアルファヘルペスウイルス1(EHV-1)由来である。
【0017】
一実施形態において、組換えウイルスは、EHV-1由来であり、第1のポリヌクレオチドは、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含む。一実施形態において、P1遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号1によって示される。一実施形態において、2A遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号2によって示される。一実施形態において、3C遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号3によって示される。一実施形態において、P1-2A-3C遺伝子カセットのヌクレオチド配列は、配列番号4によって示される。一実施形態において、組換えウイルスは、EHV-1由来であり、必須の遺伝子は、EHV-1 ORF43遺伝子またはEHV-1 ORF54遺伝子である。一実施形態において、ORF43遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号5によって示される。一実施形態において、ORF54遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号6によって示される。一実施形態において、組換えウイルスは、EHV-1由来であり、必須の遺伝子は、EHV-1 ORF43遺伝子またはEHV-1 ORF54遺伝子であり、第1のポリヌクレオチドは、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含む。
【0018】
一実施形態において、発現カセットは、例えば調節エレメント、例えばプロモーター、ターミネーターなどをさらに含む。一実施形態において、プロモーターは、CMVプロモーターである。一実施形態において、ターミネーターは、ポリA(ポリアデニル化)シグナルであり、好ましくはBGH(ウシ成長ホルモン(Bovine Grouth Hormone))ポリAシグナルである。一実施形態において、BGHポリAシグナルのヌクレオチド配列は、配列番号7によって示される。
【0019】
一実施形態において、発現カセットは、「プロモーター-第1のポリヌクレオチド-第2のポリヌクレオチド-ターミネーター」の構造により示されるコンストラクトを含む。一実施形態において、発現カセットは、「プロモーター-第1のポリヌクレオチド-リンカー-第2のポリヌクレオチド-ターミネーター」の構造により示されるコンストラクトを含む。一実施形態において、プロモーターは、CMVプロモーター、好ましくはCMV5プロモーターである。一実施形態において、第1のポリヌクレオチドは、標的遺伝子であり、FMDVのP1遺伝子、2A遺伝子および3C遺伝子を含むかまたはからなる。一実施形態において、第2のポリヌクレオチドは、必須の遺伝子であり、EHV-1 ORF43遺伝子またはEHV-1 ORF54遺伝子である。一実施形態において、ターミネーターは、BGHである。一実施形態において、リンカーは、2A遺伝子である。一実施形態において、発現カセットは、CMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトを含むかまたはからなる。一実施形態において、発現カセットは、CMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクトを含むかまたはからなる。一実施形態において、CMV-P1-2A-3C-2A-ORF43-BGHコンストラクトのヌクレオチド配列は、配列番号8を含むか、またはそれによって示される。一実施形態において、CMV-P1-2A-3C-2A-ORF54-BGHコンストラクトのヌクレオチド配列は、配列番号9を含むか、またはそれによって示される。
【0020】
本発明はさらに、本発明の組換えウイルスを含む宿主細胞に関する。本発明の宿主細胞は、本発明による組換えウイルスの複製を許容することを特徴とする真核宿主細胞株を含む。一実施形態において、前記宿主細胞株は、哺乳類細胞株または昆虫細胞株であり、最も好ましくは、RK13細胞株、MDBK細胞株、ST細胞株、AI-ST細胞株、VERO細胞株、Sf9細胞株、Sf21、MDCK細胞株、および/またはそれらの派生株である。一実施形態において、宿主細胞株は、MDBK細胞株である。
本発明はさらに、宿主細胞を調製する方法であって、以下:a).真核宿主細胞株を本発明の組換えウイルスに感染させる工程;およびb).感染細胞を、好適な条件下で培養する工程を特徴とし、c).前記宿主細胞を回収する工程を特徴としてもよい方法に関する。
上記で列挙したような哺乳類宿主細胞株は、一般的に、イーグル塩類およびウシ胎児血清が補充された最小必須培地(MEM)などの哺乳類細胞培養のための培地中に浸されたプラスチック組織培養容器中で培養される。哺乳類細胞株は、37℃で、5%CO2が補充された通例の雰囲気およびおよそ80%の湿度中で、インキュベーター中で維持される。昆虫細胞株は、昆虫細胞培養培地中に浸されたプラスチック組織培養容器中で培養され、27℃で、通例の雰囲気中、インキュベーター中で維持される。
【0021】
本発明はさらに、本発明の組換えウイルスおよび/または本発明の組換えウイルスによって発現される目的のポリペプチドを含む、免疫原性組成物、医薬組成物、もしくはワクチン組成物に関する。一実施形態において、免疫原性/医薬/ワクチン組成物は、a).本発明の組換えウイルス;および/またはb).本発明の組換えウイルスによって発現される目的のポリペプチドを含み;c).医薬的または獣医学的な許容できる担体または賦形剤を含んでいてもよく、好ましくは、前記担体は、経口、皮内、筋肉内または鼻腔内適用に好適である。
本発明はさらに、免疫原性/医薬/ワクチン組成物を生産するための方法であって、以下:a).本発明の宿主細胞株を、本発明の組換えウイルスに感染させる工程;b).感染細胞を、好適な条件下で培養する工程;およびc).感染細胞を回収する工程を含み;d).工程c)の回収物を精製する工程を含んでいてもよく;e).前記回収物を、医薬的に許容される担体と混合する工程を含む方法に関する。一実施形態において、回収物は、感染細胞によって生産された組換えウイルスであるか、または回収物は、組換えウイルスによって発現された目的のポリペプチドである。
本発明はさらに、免疫原性/医薬/ワクチン組成物の調製における本発明の組換えウイルスの使用に関する。一実施形態において、免疫原性/医薬/ワクチン組成物は、動物における病原体の感染によって引き起こされる臨床徴候または疾患を防止および/もしくは処置するために、または動物における病原体の感染を処置もしくは防止する方法で使用するために使用され、好ましくは、前記動物は、食物生産動物、例えばブタである。
本発明はさらに、動物における病原体の感染によって引き起こされる臨床徴候または疾患を低減もしくは防止する方法で使用するための、または動物における病原体の感染を処置もしくは防止する方法で使用するための、本発明の組換えウイルスまたは本発明の免疫原性/医薬/ワクチン組成物に関し、好ましくは、前記動物は、食物生産動物、例えばブタである。
【0022】
本発明はさらに、動物、例えばブタなどの食物生産動物を免疫化するための方法であって、このような動物に、本発明の組換えウイルスまたは本発明の免疫原性/医薬/ワクチン組成物を投与することを含む方法に関する。
本発明はさらに、動物、例えばブタなどの食物生産動物を、前記動物における病原体によって引き起こされる臨床疾患に対して免疫化する方法であって、動物に、本発明の組換えウイルスまたは本発明の免疫原性/医薬/ワクチン組成物を投与する工程を含み、それによって、前記組換えウイルスまたは前記免疫原性/医薬/ワクチンは、感染の臨床徴候を引き起こさず、しかし前記病原体の病原性の形態に対して動物を免疫化する免疫応答を誘導することが可能である、方法に関する。
【0023】
一実施形態において、免疫化は、獣群における特定のウイルス感染の発生率を低くすること、または特定のウイルス感染によって引き起こされるかまたはそれに関連する臨床徴候の重症度を低減することをもたらす。
さらに、その必要がある食物生産動物の、本明細書で提供される免疫原性組成物での免疫化は、食物生産動物のウイルス感染の防止をもたらす。さらにより好ましくは、免疫化は、前記ウイルス感染に対する有効な長期にわたる免疫応答をもたらす。その期間は、2カ月より長く、好ましくは3カ月より長く、より好ましくは4カ月より長く、より好ましくは5カ月より長く、より好ましくは6カ月より長く続くことが理解されると予想される。免疫化は、免疫化された全ての動物/対象で有効ではない可能性があることが理解されると予想される。しかしながら、この用語は、獣群の動物/対象のかなりの部分が効果的に免疫化されることを必要とする。
【0024】
本発明はさらに、その必要がある動物、例えば食物生産動物におけるウイルスによって引き起こされる臨床徴候の処置または予防のための方法であって、動物に、治療有効量の本発明の組換えウイルスまたは本発明の免疫原性/医薬/ワクチン組成物を投与することを含む方法に関する。
好ましくは、臨床徴候は、処置または防止されていない(免疫化されていない)が、その後ウイルスに感染させた動物と比較して、少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%低減される。
一実施形態において、上述したような臨床徴候または疾患は、アフトウイルス属およびアルファヘルペスウイルス属のウイルスによって引き起こされる、好ましくはFMDVによって引き起こされる。
【0025】
本発明はさらに、動物、好ましくは食物生産動物、例えばブタまたはウシに、動物における病原体に関連する疾患に対してワクチン接種をするための、および/または動物における病原体に関連する、またはそれによって引き起こされる1つまたは複数の臨床徴候の発生率または重症度を低減させるためのキットに関する。本発明のキットは、a).前記動物に、ワクチンを投与することが可能なディスペンサー;およびb).本発明の免疫原性/医薬/ワクチン組成物を含み、c).指示リーフレットを含んでいてもよい。
【0026】
一般的な定義
別段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての専門用語や科学用語は、出願時において本発明が属する分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。用語の意味および範囲は明確であるべきであるが、何らかの潜在的なあいまいさがある場合、本明細書で提供される定義が、いずれの辞書または外部の定義より優先される。さらに、文脈上別段の要求がなされない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書において、「または」の使用は、別段の指定がない限り「および/または」を意味する。さらに、用語「含むこと」、加えて「含む」および「含まれる」などの他の形態の使用は、非限定的である。本明細書で言及された全ての特許および公報は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0027】
本発明の実施は、別段の指定がない限り、当業界の技術の範囲内の、ウイルス学、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、タンパク質化学および免疫学の従来の技術を採用すると予想される。このような技術は、文献で詳細に説明されている。例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols. I, II and III, Second Edition (1989);DNA Cloning, Vols. I and II (D. N. Glover ed. 1985);Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed. 1984);Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984);Animal Cell Culture (R. K. Freshney ed. 1986);Immobilized Cells and Enzymes (IRL press, 1986);Perbal, B., A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);the series, Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Protein purification methods-a practical approach (E.L.V. Harris and S. Angal, eds., IRL Press at Oxford University Press);およびHandbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell eds., 1986, Blackwell Scientific Publications)を参照されたい。
【0028】
また、本明細書において使用される用語は、単に本発明の特定の実施形態を説明する目的のためであり、限定することを意図しないことも理解されるものとする。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容が明らかにそうではないことを指示しない限り、複数形の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「抗原(an antigen)」への言及は、2種またはそれより多くの抗原の混合物を含み、「賦形剤(an excipient)」への言及は、2種またはそれより多くの賦形剤の混合物を含み、他も同様である。
【0029】
分子生物学の定義
用語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」、「RNA配列」または「DNA配列」は、本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドならびにそれらの断片および部分、ならびにゲノムまたは合成起源のDNAまたはRNAを指し、これらは、一本鎖または二本鎖であってもよく、センスまたはアンチセンス鎖を表す。配列は、非コード配列、コード配列またはその両方の混合物であってもよい。本発明の核酸配列は、当業者周知の標準的な技術を使用して調製することができる。
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」はまた、5種の生物学的に存在する塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシル)以外の塩基で構成される核酸を含む場合もある。
【0030】
用語「ポリペプチド」は、ペプチド(アミド)結合によって連結されたアミノ酸単量体の生物学的に存在する短鎖である。本発明の文脈において、指定がない限り、用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、交換可能である。
用語「目的のポリペプチド」は、目的の生成物をコードするあらゆる長さのポリヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドを指す。具体的な態様において、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、外因性である。定義によれば、組換えウイルスに含有される全てのポリヌクレオチド配列または全ての遺伝子、およびそれによってコードされたそれぞれのタンパク質またはRNAは、特にそれが異なる(ウイルス)種に由来する場合、「外因性」、「外因性配列」、「外因性遺伝子」、「外因性コード配列」または「導入遺伝子」と称される。具体的な態様において、目的のポリペプチドは、抗原性のポリペプチドまたは治療用ポリペプチドである。具体的な態様において、目的のポリペプチドは、FMDV抗原である。本発明の文脈において、指定がない限り、用語「目的のポリペプチド」および「標的タンパク質」は、交換可能である。
【0031】
用語「ベクター」は、当業界において公知の通り、遺伝物質を宿主細胞に送るのに使用されるポリヌクレオチドコンストラクト、典型的には、プラスミドまたは細菌人工染色体を指す。ベクターは、例えば、細菌、ウイルス、ファージ、細菌人工染色体、コスミド、またはプラスミドであり得る。本明細書で使用されるベクターは、DNAまたはRNAのいずれかで構成されていてもよいし、またはそれらを含有していてもよい。一部の実施形態において、ベクターは、DNAで構成される。一部の実施形態において、ベクターは、感染性ウイルスである。このようなウイルスベクターは、細胞培養物中でも宿主動物中でもウイルスベクターの複製における機能を有さない外来遺伝子を有するように操作されたウイルスゲノムを含有する。具体的な態様において、ベクターは、単なる遺伝物質の伝達、宿主細胞もしくは生物のトランスフェクション、標的遺伝子の発現、ワクチン、例えばDNAワクチンとしての使用、または遺伝子発現の目的などの様々な目的のために使用することができる。遺伝子発現は、遺伝子と呼ばれる具体的なポリヌクレオチド配列の指示に従った細胞におけるタンパク質の生合成のことを記述する用語である。具体的な態様において、ベクターは、「発現ベクター」であってもよく、これは、それが適切な環境中に存在する場合、ベクターによって運搬される1つまたは複数の遺伝子によってコードされたタンパク質の発現を指示することが可能なベクターである。
【0032】
ベクターおよび発現のためにベクター(または組換え体)を作製および/または使用するための方法は、以下で開示された方法であってもよいし、またはそれらに類似したものであってもよい:米国特許第4,603,112号、第4,769,330号、第5,174,993号、第5,505,941号、第5,338,683号、第5,494,807号、第4,722,848号、第5,942,235号、第5,364,773号、第5,762,938号、第5,770,212号、第5,942,235号、第382,425号、PCT公報WO94/16716、WO96/39491、WO95/30018;Paoletti, "Applications of pox virus vectors to vaccination: An update," PNAS USA 93: 11349-11353, October 1996;Moss, "Genetically engineered poxviruses for recombinant gene expression, vaccination, and safety," PNAS USA 93: 11341-11348, October 1996;Smithら、米国特許第4,745,051号(組換えバキュロウイルス);Richardson, C. D. (Editor), Methods in Molecular Biology 39, "Baculovirus Expression Protocols" (1995 Humana Press Inc.);Smith et al., "Production of Human Beta Interferon in Insect Cells Infected with a Baculovirus Expression Vector", Molecular and Cellular Biology, December, 1983, Vol. 3, No. 12, p. 2156-2165;Pennock et al., "Strong and Regulated Expression of Escherichia coli B-Galactosidase in Infect Cells with a Baculovirus vector, "Molecular and Cellular Biology March 1984, Vol. 4, No. 3, p. 406;EPA0 370 573;1986年10月16日に出願された米国特許出願第920,197号;欧州特許公報第265785号;米国特許第4,769,331号(組換えヘルペスウイルス);Roizman, "The function of herpes simplex virus genes: A primer for genetic engineering of novel vectors," PNAS USA 93:11307-11312, October 1996;Andreansky et al., "The application of genetically engineered herpes simplex viruses to the treatment of experimental brain tumors," PNAS USA 93: 11313-11318, October 1996;Robertson et al., "Epstein-Barr virus vectors for gene delivery to B lymphocytes", PNAS USA 93: 11334-11340, October 1996;Frolov et al., "Alphavirus-based expression vectors: Strategies and applications," PNAS USA 93: 11371-11377, October 1996;Kitson et al., J. Virol. 65, 3068-3075, 1991;米国特許第5,591,439号、第5,552,143号;WO98/00166;両方とも1996年7月3日に出願された、許諾された米国特許出願第08/675,556号、および08/675,566号(組換えアデノウイルス);Grunhaus et al., 1992, "Adenovirus as cloning vectors," Seminars in Virology (Vol. 3) p. 237-52, 1993;Ballay et al. EMBO Journal, vol. 4, p. 3861-65, Graham, Tibtech 8, 85-87, April, 1990;Prevec et al., J. Gen Virol. 70, 42434;PCT WO91/11525;Felgner et al. (1994), J. Biol. Chem. 269, 2550-2561, Science, 259: 1745-49, 1993;およびMcClements et al., "Immunization with DNA vaccines encoding glycoprotein D or glycoprotein B, alone or in combination, induces protective immunity in animal models of herpes simplex virus-2 disease", PNAS USA 93: 11414-11420, October 1996;ならびに米国特許第5,591,639号、第5,589,466号、および第5,580,859号、加えて、WO90/11092、WO93/19183、WO94/21797、WO95/11307、WO95/20660;Tang et al., Nature, and Furth et al., Analytical Biochemistry, relating to DNA expression vectors, inter alia. See also WO 98/33510;Ju et al., Diabetologia, 41: 736-739, 1998 (lentiviral expression system);Sanfordら、米国特許第4,945,050号;Fischbachet al. (Intracel);WO90/01543;Robinson et al., Seminars in Immunology vol. 9, pp. 271-283 (1997), (DNA vector systems);Szokaら、米国特許第4,394,448号(生きた細胞にDNAを挿入する方法);McCormickら、米国特許第5,677,178号(細胞変性ウイルスの使用);ならびに米国特許第5,928,913号(遺伝子送達のためのベクター);加えて本明細書において引用された他の文書。
【0033】
用語「ウイルスベクター」は、その宿主細胞への侵入が、結果として具体的な生物学的活性、例えばベクターによって運搬される外来標的遺伝子の発現をもたらすことが可能になるような方法で組換えDNA技術によって操作された遺伝子改変されたウイルスのことを述べている。ウイルスベクターは、標的細胞、組織、または生物中で、複製能を有していてもよいし、または有していなくてもよい。ウイルスベクターは、あらゆる公知の生物のゲノム由来の配列を取り込んでいてもよい。その配列は、その天然型で取り込まれていてもよいし、または所望の活性を得るあらゆる方法で改変されていてもよい。例えば、その配列は、挿入、欠失または置換を含んでいてもよい。ウイルスベクターはまた、外因性ポリヌクレオチド配列のための挿入部位を取り込んでいてもよい。具体的な態様において、ウイルスベクターは、ヘルペスウイルス科であり、例えばEHV-1である。
ウイルスベクターの生成は、当業界において周知のあらゆる好適な遺伝子工学技術、例えば、これらに限定されないが、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミド精製、DNAシーケンシング、細胞培養でのトランスフェクションの標準的な技術など、例えばSambrook et al.(Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y. (1989))またはK. MaramoroschおよびH. Koprowski(Methods in Virology Volume VIII, Academic Press Inc. London, UK (2014))に記載されたようなものを使用して達成することができる。
【0034】
用語「組換えウイルス」は、ウイルスゲノムの人工操作、すなわち組換えDNA技術によって、そのゲノム中に外因性配列を含むウイルスのことを記述するために使用される。具体的な態様において、外因性抗原をコードする配列などの外因性配列を含むウイルスは、組換えウイルスである。具体的な態様において、組換えウイルスは、目的のポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチド配列を含有するウイルスとみなすことができる。具体的な態様において、組換えウイルスは、ヘルペスウイルス科、例えばEHV-1由来であり、標的遺伝子を含む。
組換えウイルスを調製するための組換えDNA技術は、当業者周知であり、通常、ウイルスゲノムの全長の相補的なDNAコピー(感染性クローン)の構築を採用し、次いでこれは、DNA組換えおよび操作方法によって改変することができる。
【0035】
用語「機能的に連結された」または「作動可能に連結した」は、調節エレメントと遺伝子またはそのコード領域との接続を記述するために使用される。典型的には、遺伝子発現は、1つまたは複数の調節エレメント、例えば、これらに限定されないが、構成的または誘導性プロモーター、組織特異的調節エレメント、およびエンハンサーの制御下に配置される。遺伝子またはコード領域は、調節エレメント「に作動可能に(operably)連結した」または「に作動可能に(operatively)連結した」または「と作動可能に会合した」または「に機能的に連結した」と言われ、遺伝子またはコード領域が、調節エレメントによって制御されるかまたは影響を受けることを意味する。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現を実行する場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結されている。
さらに、本発明の説明の文脈において、用語「機能的な連結」、「機能的に連結した」、「作動可能に連結した」または「作動可能に連結した」は、2つまたはそれより多くの核酸配列が、所望の方式での正しい形態および機能でそれらそれぞれの発現が許容されるように配置されていることを意味する。例えば、必須の遺伝子配列の転写または翻訳がポリヌクレオチドの正しい発現に依存する場合、ポリヌクレオチドは、必須の遺伝子配列に機能的に連結されている。
【0036】
「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、翻訳開始シグナルまたは開始コドン、例えばATGまたはAUG、および終止コドンを含み、ポリペプチド配列に翻訳される可能性がある、所定の長さのDNAまたはRNAのいずれかである核酸配列を指す。
「2つのポリヌクレオチドは、同じORF内である」は、2つのポリヌクレオチドが同じ転写分子内であり、同じ翻訳開始シグナルまたは開始コドンおよび同じ終止コドンを共有していることを意味することを指す。具体的な態様において、標的遺伝子および必須の遺伝子は、同じ転写分子内であり、同じ翻訳開始シグナルまたは開始コドンおよび同じ終止コドンを共有する。
【0037】
用語「発現」は、本明細書で使用される場合、核酸配列の転写および/または翻訳を指す。本発明の具体的な態様によれば、用語「発現」は、外因性核酸配列の転写および/または翻訳を指す。
用語「発現カセット」または「転写単位」は、転写しようとする1つまたは複数の遺伝子を含有する組換えウイルスのゲノム内の領域を定義する。具体的な態様において、発現カセットに含有される遺伝子は、組換えウイルスの標的遺伝子および内因性の必須の遺伝子であり得る。具体的な態様において、発現カセットに含有される遺伝子は、標的遺伝子および外因性の必須の遺伝子であり得る。転写された遺伝子に加えて、発現カセット内に含有される調節エレメントを含有するポリヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列は、互いに作動可能に連結されている。これらは、プロモーターから転写され、転写は、少なくとも1つのポリアデニル化シグナルによって終結される。1つの具体的な態様において、これらは、1つの単一のプロモーターから転写される。結果として、異なる遺伝子が、少なくとも転写により連結される。1種より多くのタンパク質または生成物は、各転写単位(多シストロン性転写単位)から転写および発現させることができる。各転写単位は、単位内に含有される選択された配列のいずれかの転写および翻訳に必要な調節エレメントを含むと予想される。さらに各転写単位は、同一または異なる調節エレメントを含有していてもよい。例えば、各転写単位は、同じターミネーターを含有していてもよく、またはIRESエレメントもしくはイントロンを、転写単位内の遺伝子の機能的な連結に使用することもできる。
【0038】
用語「必須の遺伝子」は、生物の複製に必要不可欠な遺伝子を意味し、それゆえに生命の基礎とみなされる。必須の遺伝子の「機能的な断片」または「機能的な誘導体」という用語は、断片または誘導体でもなお必須の遺伝子の活性を実行することを意味する。ウイルスの場合、一段階または複数段階の増殖曲線のいずれかで、ある遺伝子の欠失が10分の1を下回るウイルス力価の減少を引き起こす場合、その遺伝子も必須である(すなわち、細胞培養において役割を有する)とみなされる。必須の遺伝子のほとんどは、中枢代謝を維持する、DNAを複製する、遺伝子をタンパク質に翻訳する、基礎的な細胞構造を維持する、および細胞への、および細胞からの輸送プロセスを媒介するためのタンパク質をコードする。ウイルスの場合、また、被包されたビリオンの生産、アクチンテール形成、および細胞外のビリオン放出に関与する全ての遺伝子も必須とみなされる。2つの主要な戦略、すなわち、誘導された遺伝子欠失、およびトランスポゾンを使用するランダム変異誘発が、ゲノム全般に基づき必須の遺伝子を同定するために採用されてきた。第1のケースでは、個々の遺伝子(またはORF)を、系統的な方式でゲノムから完全に欠失させる。トランスポゾン媒介変異誘発では、標的化された遺伝子を不活性化することを目的として、トランスポゾンが、ゲノム中の可能な限り多くの位置にランダムに挿入される。それでもなお生存または増殖が可能な挿入突然変異体は、必須の遺伝子中にない。(Zhang, R., 2009 & Gerdes, S., 2006)。
【0039】
用語「内因性」は、本明細書で使用される場合、種において天然に存在するポリヌクレオチドまたはタンパク質を指す。必須の遺伝子は、「ウイルスの内因性の必須の遺伝子」であると言われ、これは、必須の遺伝子がウイルスのゲノム中に天然に存在することを意味する。具体的な態様において、標的遺伝子は、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子の上流に挿入され、それに機能的に連結されている。
用語「外因性」は、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドまたはタンパク質が、外来の種に由来するかもしくはそれから生産されたものであることを指し、または同じ種由来の場合、その元の形態から操作されていることを指す。具体的な態様において、組換えウイルスの内因性の必須の遺伝子は、サイレンシングされており、同じ外因性の必須の遺伝子は、標的遺伝子の下流に挿入され、それに機能的に連結されている。
【0040】
用語「コンストラクト」は、本明細書で使用される場合、組換え核酸、例えば人工的に生成したプラスミドを指す。
【0041】
用語「調節エレメント」、「調節核酸」「発現制御エレメント」は、交換可能に使用され、特定の宿主生物における作動可能に連結したコード配列の発現に影響を与えることができる核酸分子を指す。これらの用語は、プロモーター、プロモーター配列、RNAポリメラーゼと転写因子との基礎的な相互作用に必要なコアエレメント、上流エレメント、エンハンサー、および応答エレメントなどの、転写を促進または調節する全てのエレメントに広義に使用され、それらを網羅する。原核生物における例示的な調節エレメントとしては、プロモーター、オペレーター配列およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞で使用される調節エレメントとしては、これらに限定されないが、宿主細胞中でのコード配列の発現および/またはコードされたポリペプチドの生産をもたらす、および/またはそれらを調節する、転写および翻訳制御配列、例えばプロモーター、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、タンパク質分解シグナル、内部リボソーム進入部位(IRES)、ピコルナウイルス2A配列などを挙げることができる。
【0042】
用語「プロモーター」または「プロモーター配列」は、本明細書で使用される場合、RNAポリメラーゼの結合を許容し、遺伝子の転写を指示するヌクレオチド配列を意味する。典型的には、プロモーターは、遺伝子の転写開始部位の近位の、遺伝子の5’非コード領域に位置する。転写開始において機能するプロモーター内の配列エレメントはしばしば、コンセンサスヌクレオチド配列によって特徴付けられる。プロモーターの例としては、これらに限定されないが、細菌、酵母、植物、ウイルス、および動物、例えば哺乳動物(ウマ、ブタ、ウシおよびヒトを含む)、トリまたは昆虫由来のプロモーターが挙げられる。プロモーターは、誘導性、抑制性、および/または構成的プロモーターであり得る。誘導性プロモーターは、温度の変化などの培養条件における何らかの変化に応答して、それらの制御下におけるDNAからの転写レベルの増加を開始させる(Ptashne, 2014)。当業者周知のプロモーターの例は、例えばCMV-5.SV40ラージT、HCMVおよびMCMV前初期遺伝子1、ヒト伸長因子アルファプロモーターである。
【0043】
用語「エンハンサー」は、シスの位置でプロモーターの活性に作用して、このプロモーターに機能的に接続された遺伝子またはコード配列の転写を刺激するポリヌクレオチド配列を意味する。プロモーターとは異なり、エンハンサーの作用は、位置および方向から独立しており、それゆえにそれらは、イントロン内で、またはコード領域内でさえも、転写単位の前または後に位置することができる。エンハンサーは、転写単位のすぐ隣の位置と、プロモーターから顕著に離れた位置のいずれに位置していてもよい。またエンハンサーは、プロモーターと物理的および機能的なオーバーラップを有することも考えられる。当業者であれば、様々な源由来の多数のエンハンサー(さらに、GenBankなどのデータバンクに寄託されたもの、例えばSV40エンハンサー、CMVエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、アデノウイルスエンハンサー)を認識していると予想され、これらは、独立したエレメントまたはポリヌクレオチド配列内にクローニングされたエレメント(例えばATCCに寄託された、または商業的な源および個人的な源からの)として入手可能である。また多数のプロモーター配列は、頻繁に使用されるCMVプロモーターなどのエンハンサー配列も含有する。ヒトCMVエンハンサーは、これまでに同定されたなかでも最も強いエンハンサーの1つである。誘導性エンハンサーの一例は、メタロチオネインエンハンサーであり、これは、グルココルチコイドまたは重金属によって刺激され得る。
【0044】
「転写調節エレメント」は通常、発現させる遺伝子配列の上流のプロモーター、転写開始および終結部位、ならびにポリアデニル化シグナルを含む。
用語「転写開始部位」は、一次転写物、すなわちmRNA前駆体に取り込まれる第1の核酸に対応するコンストラクト中の核酸を指す。転写開始部位は、プロモーター配列とオーバーラップしていてもよい。
【0045】
「終結シグナル」または「ターミネーター」または「ポリアデニル化シグナル」または「ポリA」または「転写終結部位」または「転写終結エレメント」は、真核mRNAの3’末端における特異的な部位を切断し、切断された3’末端に約100~200個のアデニンヌクレオチド(ポリAテール)の配列を転写後に取り込むことにより、RNAポリメラーゼの転写を終わらせるシグナル配列である。ポリアデニル化シグナルは、切断部位の上流に配列AATAAAの約10~30ヌクレオチド、および下流に位置する配列を含む。tkポリA、SV40後期および初期ポリA、BGHポリA(例えば米国特許第5,122,458号に記載されている)またはハムスター成長ホルモンポリA(WO2010010107)などの様々なポリアデニル化エレメントが公知である。
【0046】
「翻訳調節エレメント」は、発現させるそれぞれ個々のポリペプチドにつき、翻訳開始部位(AUG)、停止コドンおよびポリAシグナルを含む。内部リボソーム進入部位(IRES)が、一部のコンストラクトに含まれていてもよい。発現を最適化するために、発現させる核酸配列の5’および/または3’-非翻訳領域を除去する、付加する、または変更して、存在し得るあらゆる余分の不適切な代替翻訳開始コドン、または転写レベルもしくは翻訳レベルのいずれかで発現に干渉するかもしくは発現を低減する可能性がある他の配列を消去することが望ましい場合がある。翻訳を強化する、したがって発現を強化するために、開始コドンのすぐ上流に、コンセンサスリボソーム結合部位(コザック配列)を挿入することができる。このリボソーム結合部位周辺におけるA/U含量の増加はさらに、より効率的なリボソーム結合をもたらす。
【0047】
用語「アウトオブフレーム突然変異」は、フレーミングエラーまたはリーディングフレームシフトとも称され、3で割り切れないDNA配列におけるヌクレオチド数のインデル(挿入または欠失)によって引き起こされる遺伝子突然変異を指す。ORF内のアウトオブフレーム突然変異は、ORF内の遺伝子の異常な発現を引き起こすと予想される。
用語「遺伝子サイレンシング」は、遺伝子を「オフ」にし、それによってタンパク質生産の形態で、または他の発現形態でそれが発現されることを防止するプロセスである。遺伝子を無効にすることが、その遺伝子の目的を決定する極めて有効な方法であるため、遺伝子サイレンシングは重要な実験技術である。遺伝子は、様々な方法で、多くの様々なメカニズムの1つを介してサイレンシングすることができる。遺伝子サイレンシングはしばしば、遺伝子ノックアウトと同じとみなされる。すなわち、遺伝子がノックアウトされると、それらは生物のゲノムから完全に消去され、したがって発現は起こらない。本発明の文脈において、遺伝子サイレンシングはまた、遺伝子の残りの活性がその機能を達成するには不十分であるようなレベルに遺伝子発現を低減させることも含む。例えば、具体的な態様において、ウイルスの内因性の必須の遺伝子は、必須の遺伝子の残りの活性が、外因的に導入され標的遺伝子に機能的に連結されている必須の遺伝子の標的遺伝子による制御に影響を与えることができないようなレベルにサイレンシングされている。
「宿主細胞」は、組換えウイルスが複製できる細胞を指す。具体的な態様において、宿主細胞は、真核宿主細胞株であってもよく、好ましくは哺乳類細胞株または昆虫細胞株である。宿主細胞は、これらに限定されないが、RK13細胞株、MDBK細胞株、ST細胞株、AI-ST細胞株、VERO細胞株、Sf9細胞株、Sf21、MDCK細胞株、および/またはそれらの派生株を含む。
【0048】
用語「安定な発現」または「発現安定性」は、本明細書で使用される場合、組換えウイルスが、外因性ポリヌクレオチドを損なうことも、または外因性ポリヌクレオチド中の何らかのアウトオブフレーム突然変異を伴うこともなく、その継代中に外因性ポリヌクレオチドを正確に発現することが可能であることを意味する。本発明の文脈において、外因性ポリヌクレオチドの安定な発現は、外因性ポリヌクレオチドを組換えウイルスの必須の遺伝子に機能的に連結させ、必須の遺伝子の上流に位置させることによって達成される。外因性ポリヌクレオチドを失っている、または外因性ポリヌクレオチド中の何らかのアウトオブフレーム突然変異を有する組換えウイルスは複製しないと予想され、したがって組換えウイルス培養液からなくなると予想される。したがって、培養液中に存在する優勢な組換えウイルスは、外因性ポリヌクレオチドと必須の遺伝子とを正確に共発現することが可能なものになる。
外因性ポリヌクレオチドの発現は、様々な方法によって、例えばELISAによって、ウェスタンブロッティングによって、ラジオイムノアッセイによって、免疫沈降によって、タンパク質の生物学的活性をアッセイすることによって、またはタンパク質の免疫染色とそれに続くFACS分析によって決定することができる。具体的な態様において、外因性ポリヌクレオチドの発現は、ウェスタンブロッティングによって決定される。
【0049】
EHV-1の定義
「ヘルペスウイルス」または「ヘルペスウイルスベクター」は、ヘルペスウイルス目ヘルペスウイルス科の種を指す。
用語「ウマヘルペスウイルスベクター」または「ウマヘルペスウイルス」または「EHV」は、ウマに影響を及ぼすヘルペスウイルス科のメンバーを意味する。これまで、ウマヘルペスウイルスの8つの異なる種が同定され、そのうち5つは、アルファヘルペスウイルス亜科(EHV-1、EHV-3、EHV-4、EHV-8およびEHV-9)に属し、3つはガンマヘルペスウイルス亜科に属する。(http://www.ictvonline.org/virustaxonomy.asp Virus Taxonomy:2015 Release EC 47, London, UK, July 2015; Email ratification 2016 (MSL #30)。
用語「ウマ科動物」または「ウマ科の」または「ウマ科」は、ウマ科であることを意味するか、またはウマ科に属することを意味し、その例としては、ウマ、ロバ、およびシマウマが挙げられ、好ましくはウマである。加えて、用語「ウマ科動物」または「ウマ科の」または「ウマ科」は、ウマ科のメンバーの交雑種(例えばラバ、ケッテイなど)も包含する。
【0050】
用語「EHV-1」は、ウマアルファヘルペスウイルス1を意味し、これは、ヘルペスウイルス科アルファヘルペスウイルス属のワリセロウイルス亜属のメンバーである。EHV-1の非限定的な参照配列は、例えば野生型EHV-1株ab4(Genbank受託番号AY665713.1)またはRacH(Hubert 1996)と予想される。具体的な態様において、組換えウイルスは、ヘルペスウイルス科由来であり、例えばEHV-1またはEHV-4であり、好ましくはEHV-1である。
EHV-1 ORF43遺伝子は、カプソメア間の三重鎖の成分であるVP23として公知のキャプシドタンパク質をコードする(Elizabeth A. R. Telford, et al, Journal of General Virology, 1998, 79, 1197-1203)。一実施形態において、EHV-1 ORF43遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号5によって示される。
EHV-1 ORF54遺伝子は、DNAヘリカーゼ-プライマーゼ複合体の成分であるタンパク質をコードする(Elizabeth A. R. Telford, et al, Journal of General Virology, 1998, 79, 1197-1203)。一実施形態において、EHV-1 ORF54遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号6によって示される。
【0051】
FMDVの定義
「口蹄疫ウイルス」または「FMDV」は、ピコルナウイルス科アフトウイルス属の種を指す。
用語「P1タンパク質」または「タンパク質P1」は、4つのキャプシドタンパク質、VP4、VP2、VP3およびVP1を含有する前駆タンパク質を意味する。成熟プロセス中、タンパク質P1は、プロテアーゼ3CによってVP0、VP1およびVP3として公知の3つのタンパク質に切断される。ビリオンにおいて、タンパク質VP0は次いで、2つのタンパク質、VP4およびVP2に切断される。一実施形態において、P1遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号1によって示される。
【0052】
用語「2Aペプチド」または「ペプチド2A」は、自己切断ペプチドであり、数々のウイルス科で、最も知られているものとしてピコルナウイルス科のFMDVで、複数のポリペプチドを生産するために使用されている。FMDVにおいて、2Aペプチドは、P1-2A前駆体のC末端に位置している。一実施形態において、2A遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号2によって示される。
用語「プロテアーゼ3C」または「3Cプロテアーゼ」は、ピコルナウイルスに見出されるプロテアーゼおよびエンドペプチダーゼ酵素であって、非末端配列のペプチド結合を切断するものを意味する。3Cプロテアーゼは、P3前駆体中に位置し、P1前駆タンパク質をVP0(VP4およびVP2の前駆体)、VP3およびVP1にプロセシングすることができる。一実施形態において、3C遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号3によって示される。
P1-2A-3Cカセットは、2Aペプチド遺伝子を含有する配列によって連結されたP1遺伝子および3C遺伝子を含有する単一のORFを意味する。一実施形態において、P1-2A-3C遺伝子カセットのヌクレオチド配列は、配列番号4によって示される。
【0053】
ワクチンの定義
「免疫原性または免疫学的な組成物」は、細胞の宿主における免疫応答または組成物に対する抗体媒介性免疫応答を惹起する、少なくとも1つの抗原、またはその免疫原性部位を含む、物質の組成物を指す。
本明細書において使用される用語「抗原」は、当業界においてよく理解されており、免疫原性の物質、すなわち免疫原、加えて免疫学的な不応答、またはアネルギー、すなわち外来物質に対する体の防御機構による反応の欠如を誘発する物質を含む。用語「抗原」は、本明細書で使用される場合、全長タンパク質に加えて、エピトープを含有するかまたは含むそのペプチド断片を意味することが意図される。
【0054】
用語「食物生産動物」は、ヒトの消費のために使用される動物、例えばブタ、ウシ、トリなどを意味し、好ましくは、食物生産動物は、ブタおよびウシを意味し、最も好ましくはブタを意味する。本発明の具体的な態様において、「食物生産動物」は、ウシ、ヒツジ、ヤギおよびブタなどの双蹄獣であり、好ましくはブタである。
【0055】
「免疫原性組成物」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される免疫応答を惹起する、ポリペプチドまたはタンパク質、例えばウイルス表面タンパク質などを指す場合がある。用語「免疫原性断片」または「免疫原性部位」は、1つまたは複数のエピトープを含み、したがって本明細書に記載される免疫応答を惹起する、タンパク質またはポリペプチドの断片または短縮化および/もしくは置換された形態を指す。一般的に、このような短縮化および/もしくは置換された形態、または断片は、全長タンパク質からの少なくとも6つの連続するアミノ酸を含むと予想される。このような断片は、当業界において周知の様々なエピトープマッピング技術を使用して同定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66 (Glenn E. Morris, Ed., 1996) Humana Press, Totowa, New Jerseyを参照されたい。例えば、線状エピトープは、固体支持体上の膨大な数の、タンパク質分子の一部に対応するペプチドを同時に合成し、ペプチドを支持体に結合させたままでペプチドを抗体と反応させることによって決定することができる。このような技術は公知であり、当業界において説明されている。例えば、米国特許第4,708,871号;Geysen et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998-4002;およびGeysen et al. (1986) Molec. Immunol. 23:709-715を参照されたい。同様に、コンフォメーショナルエピトープは、例えば、X線結晶学および2次元核磁気共鳴などによりアミノ酸の空間的なコンフォメーションを決定することによって容易に同定される。上記のEpitope Mapping Protocolsを参照されたい。合成抗原は、定義内にも含まれているが、例えば、エピトープの端にあるポリエピトープ、および他の組換え抗原または合成的に誘導された抗原。例えば、Bergmann et al. (1993) Eur. J. Immunol. 23:2777-2781;Bergmann et al. (1996), J. Immunol. 157:3242-3249;Suhrbier, A. (1997), Immunol. and Cell Biol. 75:402-408;およびGardner et al., (1998) 12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland, June 28-July 3, 1998を参照されたい。(これらの教示および内容は、全て参照により本明細書に組み入れられる。)
【0056】
用語「ワクチン」は、本明細書で使用される場合、動物において免疫応答を誘導する少なくとも1種の免疫学的に活性な成分、および場合によっては、ただし必ずではないが、活性成分の免疫学的活性を強化する1つまたは複数の追加の成分を含む医薬組成物を指す。ワクチンは、加えて、医薬組成物に典型的なさらなる成分を含んでいてもよい。区別する目的で、ワクチンの免疫学的に活性な成分は、その元の形態で、またはいわゆる改変生ワクチン(MLV)における弱毒化した粒子として、もしくはいわゆる不活化ワクチン(KV)における適切な方法によって不活性化された粒子としてのいずれかでの完全ウイルス粒子を含んでいてもよい。別の形態において、ワクチンの免疫学的に活性な成分は、生物の適切なエレメントを含んでいてもよく(サブユニットワクチン)、その場合、これらのエレメントは、粒子全体の破壊またはこのような粒子を含有する増殖培養、および任意に、それに続く所望の構造を得るための精製工程によって、または例えば細菌、昆虫、哺乳類、または他の種に基づく好適なシステムの使用による適切な操作、加えて、任意に、それに続く単離および精製手順を含む合成プロセスによって、または好適な医薬組成物を使用した遺伝物質の直接の取り込み(ポリヌクレオチドのワクチン接種)によるワクチンを必要とする動物における合成プロセスの誘導のいずれかによって生成される。ワクチンは、上述したエレメントのうち1つ、または同時に1つより多くを含んでいてもよい。本発明の具体的な態様で使用される場合、「ワクチン」は、組換えワクチンとも称される生ワクチンまたは生ウイルスを指す。本発明の別の具体的な態様において、「ワクチン」は、ウイルス様粒子(VLP)を含む不活性化または不活化ウイルスを指す。したがって、ワクチンは、サブユニットワクチンまたは不活化(KV)もしくは不活性化ワクチンであり得る。
【0057】
「医薬組成物」は、それが投与される生物の、またはその生物中もしくはその上で生きる生物の、生理学的な、例えば免疫学的な機能を改変することが可能な1つまたは複数の成分から本質的になる。この用語は、これらに限定されないが、抗生物質または駆虫薬、加えて、特定の他の目的、例えばこれらに限定されないが、処理上の特性、滅菌、安定性、経腸または非経口経路、例えば経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、または他の好適な経路を介した組成物投与の実行可能性、投与後の耐性、または制御放出特性などを達成するのに一般的に使用される他の成分を含む。このような医薬組成物の1つの非限定的な例は、単に実証する目的で与えられる場合、以下のように調製することができる:感染細胞培養物の細胞培養上清を、安定剤(例えば、スペルミジンおよび/またはウシ血清アルブミン(BSA)と混合し、その後、混合物を凍結乾燥するか、または他の方法によって脱水する。次いで、ワクチン接種の前に、混合物を水性溶液(例えば、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または非水性溶液(例えば、油乳濁液、アルミニウムベースのアジュバント)で再水和する。
【0058】
「医薬的または獣医学的な許容できる担体」は、本明細書で使用される場合、様々な溶媒、分散媒、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤などを含む。一部の好ましい実施形態において、特に、凍結乾燥した免疫原性組成物を含む実施形態において、本発明で使用するための安定化剤としては、凍結乾燥またはフリーズドライのための安定剤が挙げられる。
【0059】
一部の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、アジュバントを含有する。「アジュバント」としては、本明細書で使用される場合、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム、サポニン、例えば、Quil A、QS-21(Cambridge Biotech Inc.、Cambridge MA)、GPI-0100(Galenica Pharmaceuticals,Inc.、Birmingham、AL)、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、水中油中水型エマルジョンを挙げることができる。エマルジョンは、特に、軽質流動パラフィン油(欧州薬局方タイプ);イソプレノイド油、例えばスクアランまたはスクアレン;アルケンのオリゴマー化、特にイソブテンまたはデセンのオリゴマー化の結果生じる油;酸の、または直鎖状アルキル基を含有するアルコールのエステル、より特定すると植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ(カプリレート/カプレート)またはプロピレングリコールジオレエート;分岐状脂肪酸またはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステルをベースとしたものでもよい。これらの油を乳化剤と組み合わせて使用して、エマルジョンを形成する。乳化剤は、好ましくは非イオン界面活性剤であり、特に、ソルビタンのエステル、マンニドのエステル(例えばアンヒドロマンニトールオレエート)、グリコールのエステル、ポリグリセロールのエステル、プロピレングリコールのエステル、およびオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸またはヒドロキシステアリン酸のエステルであり、これらは任意にエトキシ化されていてもよく、さらに、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にPluronic製品、特にL121である。Hunter et al., the theory and Practical Application of Adjuvants (Ed.Stewart-Tull, D. E. S.), JohnWiley and Sons, NY, pp51-94 (1995)およびTodd et al., Vaccine 15:564-570 (1997)を参照されたい。例示的なアジュバントは、「Vaccine Design, the Subunit and Adjuvant Approach」、M. PowellおよびM. Newman編, Plenum Press, 1995の147頁に記載されたSPTエマルジョン、およびこれと同じ本の183頁に記載されたエマルジョンMF59である。
【0060】
アジュバントのさらなる例は、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマー、および無水マレイン酸とアルケニル誘導体とのコポリマーから選択される化合物である。有利なアジュバント化合物は、特に糖または多価アルコールのポリアルケニルエーテルで架橋されているアクリル酸またはメタクリル酸のポリマーである。これらの化合物は、カルボマーという用語で知られている(Phameuropa Vol. 8, No. 2, June 1996)。当業者はまた、米国特許第2,909,462号を参照してもよく、これは、少なくとも3個のヒドロキシル基、好ましくは8個以下のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル化された化合物で架橋されたこのようなアクリル系ポリマーであって、少なくとも3個のヒドロキシルの水素原子が、少なくとも2個の炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカルで置き換えられているものを記載している。好ましいラジカルは、2~4個の炭素原子を含有するもの、例えばビニル、アリルおよび他のエチレン性不飽和基である。不飽和のラジカルは、それ自体が他の置換基、例えばメチルを含有していてもよい。CARBOPOL(登録商標);(BF Goodrich、Ohio、USA)という名称で販売される製品が、特に適切である。これらは、アリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋されている。次いで、そのなかでも、Carbopol 974P、934Pおよび971Pを挙げることができる。最も好ましくは、CARBOPOL(登録商標)971Pの使用である。無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマーとしては、コポリマーEMA(Monsanto)が挙げられ、これは、無水マレイン酸とエチレンとのコポリマーである。これらのポリマーを水中に溶解させると、酸溶液が生じ、これは、免疫原性組成物、免疫学的組成物またはワクチン組成物そのものが取り込まれているアジュバント溶液を得るために、好ましくは生理学的なpHに中和されることになる。
【0061】
さらなる好適なアジュバントとしては、これらに限定されないが、他の多くのもののなかでも、RIBIアジュバントシステム(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx、Atlanta GA)、SAF-M(Chiron、Emeryville CA)、モノホスホリルリピドA、アブリジンリピド-アミンアジュバント、E.coli由来の易熱性エンテロトキシン(組換えまたはそれ以外の方法で)、コレラ毒素、IMS1314もしくはムラミールジペプチド、または天然に存在する、もしくは組換えサイトカインもしくはそれらの類似体、または内因性サイトカイン放出の刺激因子が挙げられる。
アジュバントは、1用量当たり約100μg~約10mgの量、好ましくは1用量当たり約100μg~約10mgの量、より好ましくは1用量当たり約500μg~約5mgの量、さらにより好ましくは1用量当たり約750μg~約2.5mgの量、最も好ましくは1用量当たり約1mgの量で添加することができる。代替として、アジュバントは、最終産物の体積に対して、約0.01~50%の濃度、好ましくは約2%~30%の濃度、より好ましくは約5%~25%の濃度、さらにより好ましくは約7%~22%の濃度、最も好ましくは10%~20%の濃度であってもよい。
【0062】
「希釈剤」としては、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを挙げることができる。等張剤としては、なかでも、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを挙げることができる。安定剤としては、なかでも、アルブミンおよびエチレンジアミン四酢酸(ethylendiamintetracetic acid)のアルカリ塩が挙げられる。
「単離された」は、「人の手によって」その天然状態から変更されていることを意味し、すなわち、それが天然に存在する場合、その元の環境から変化または除去されている、またはその両方であることを意味する。例えば、この用語が本明細書で採用される場合、生物中に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離されていない」が、その天然状態の共存する物質から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離されている」。
【0063】
製剤
組成物が投与される対象は、好ましくは、これらに限定されないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、トリ(例えばニワトリ)、ヤギ、ネコ、イヌ、ハムスター、マウスおよびラットなどの動物であり、最も好ましくは、哺乳動物は、ブタである。
本発明の製剤は、有効な免疫化量の1種または複数の免疫原性組成物および生理学的に許容されるビヒクルを含む。ワクチンは、有効な免疫化量の1種または複数の免疫原性組成物および生理学的に許容されるビヒクルを含む。製剤は、投与様式に合ったものであるべきである。
免疫原性組成物はまた、必要に応じて、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有していてもよい。免疫原性組成物は、液状溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出製剤、または粉剤であり得る。経口製剤は、標準的な担体、例えば医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含んでいてもよい。
【0064】
処置方法
好ましい投与経路としては、これらに限定されないが、鼻腔内、経口、皮内、および筋肉内が挙げられる。飲用水での、最も好ましくは単回用量での投与が望ましい。当業者であれば、本発明の組成物はまた、1つ、2つまたはそれより多くの用量で、加えて他の投与経路によっても投与できることを認識していると予想される。例えば、このような他の経路としては、皮下、皮内、腹腔内、皮内が挙げられ、本発明による組成物は、処置の所望の持続時間および有効性に応じて、1回または数回で、また間欠的に、例えば数日間、数週間または数カ月にわたり毎日、異なる投薬量で、例えば約103~108TCID50(上記のウイルス力価を参照)で投与してもよい。
【0065】
組成物は、必要に応じて、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス中に存在していてもよい。パックは、例えば金属またはプラスチック箔を含んでいてもよく、例えばブリスターパックである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための、好ましくは哺乳動物、特にブタへの投与のための指示書が付属していてもよい。このようなコンテナーに、ヒト投与のための製造、使用または販売の政府機関による承認を反映する、医薬品または生物学的な製品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態での通告が付随していてもよい。
【0066】
配列の概要
本発明において、以下の配列を詳述し、ここに開示する:
配列番号1 P1遺伝子のヌクレオチド配列、
配列番号2 2A遺伝子のヌクレオチド配列、
配列番号3 3C遺伝子のヌクレオチド配列、
配列番号4 P1-2A-3C遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列、
配列番号5 EHV-1 ORF43遺伝子のヌクレオチド配列、
配列番号6 EHV-1 ORF54遺伝子のヌクレオチド配列、
配列番号7 BGHポリAシグナルのヌクレオチド配列、
配列番号8 CMV5-P12A3C2AORF43-BGHカセットのヌクレオチド配列、
配列番号9 CMV5-P12A3C2AORF54-BGHカセットのヌクレオチド配列、
配列番号10 プライマー配列、および
配列番号11 プライマー配列。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために記載される。以下に記載される実施例で開示された技術は、本発明の実施で十分機能することが発明者らによって発見された技術を表し、したがって、その実施について好ましい様式を構成するとみなすことができることを当業者は理解しているはずである。しかしながら、当業者は、本発明の開示の観点から、開示された具体的な実施形態に多くの変更を施すことができ、それでもなお本発明の本質および範囲から逸脱することなく同様の、または類似した結果が得られることを理解しているはずである。
研究において、何らかの例外が特記されない限り、全ての材料が商業的に入手可能であり、それらはQIAGEN、Promega、thermo FisherおよびBIO-RADから購入した。
【0068】
(実施例1)
FMDV抗原を安定して発現できる本発明の組換えEHV-1の構築
1.1 FMDV P1-2A-3C遺伝子発現カセットの構築
FMDV VLPを発現させるため、FMDV血清型O株(GenBank番号:JN998085)由来の遺伝子発現カセットP1-2A-3Cを設計した。この研究において、FMDV P1-2A-3C遺伝子発現カセットは、P1遺伝子(配列番号1)、2A遺伝子(配列番号2)および3C遺伝子(配列番号3)のヌクレオチド配列に基づき、Genscriptによって化学合成された。研究で使用した合成P1-2A-3C遺伝子発現カセットのヌクレオチド配列は、配列番号4によって示される。P1-2A-3Cカセットの設計を、
図2に例示した。
【0069】
1.2 トランスファープラスミドの構築
2工程のRed媒介組換えのための相同なフランキング領域、カナマイシン耐性遺伝子、加えてプロモーターおよびBGHポリAシグナルを含有するトランスファーベクターpUC19-CMV5-ORF1/3-リンカー(Genscript)を、研究に使用した。
トランスファープラスミドを生成するために、P1-2A-3C遺伝子(配列番号4)を、ORF1/3の部位でトランスファーベクターに挿入した。次いで、ORF43遺伝子(配列番号5)およびORF54遺伝子(配列番号6)を化学合成し、P1-2A-3C遺伝子(配列番号4)の下流にクローニングして、それぞれトランスファープラスミドpUC19-CMV5-P12A3C2AORF43およびpUC19-CMV5-P12A3C2AORF54を得た。トランスファープラスミドpUC19-CMV5-P12A3C2AORF43の構築手順を、
図3に例示した。
トランスファープラスミドを制限酵素I-CeuI(NEB)によって消化して、それぞれCMV5-P12A3C2AORF43-BGH(配列番号8)およびCMV5-P12A3C2AORF54-BGH(配列番号9)を含有する約7kbの2つの断片を放出させ、これらを次いでゲル精製し(Invitrogen)、ゲル電気泳動によって確認した。さらなる組換えに、放出された断片を使用した。CMV5-P12A3C2AORF43-BGHのゲル電気泳動結果を、
図4に例示した。
【0070】
1.3 EHV-1ウイルスベクターの構築
この研究において、EHV-1ワクチン株RacH(Patel, JR and Heldens, J, 2005)を、血清型OのFMDV遺伝子P12A3Cを発現させるためのウイルスベクターとして使用した。RacH株は、天然宿主、すなわちウマにおけるその毒性を喪失させたものであり、それ以降、欧州と米国の両方で改変生ワクチン(MLV)として使用されている(Patel, JR and Heldens, J, 2005)。RacHウイルスゲノムを、ORF71遺伝子の大部分(gp2をコードする)をミニ-Fレプリコン配列で置き換えることによって細菌人工染色体(BAC)として構築し、バクミドをpRacHと名付けた(Rudolph and Osterrieder, 2002, Virology 293, 2002, 356-367;US7482441B2)。
【0071】
この研究において、必須の遺伝子ORF43遺伝子およびORF54遺伝子をそれぞれpRacHから欠失させ、ORF43遺伝子が欠失したpRacH(
図5においてEHV-1-delORF43P1として示される)およびORF54遺伝子が欠失したpRacH(
図5においてEHV-1-delORF54P1として示される)を制限酵素断片長多型(RFLP)分析によって同定した。
EHV-1-delORF43P1およびEHV-1-delORF54P1をMDBK細胞にトランスフェクトすることによって、欠失突然変異体が細胞培養中に複製できないことが確認された。以下の
図5に結果を示す。
【0072】
1.4 本発明の組換えEHV-1の構築
本発明の組換えEHV-1を、2工程のRed媒介組換え戦略を介して構築した(Tischer BK et al, BioTechniques 2006 (40), 191-197)。特に、工程1.2で得られたトランスファープラスミドを消化して、それぞれCMV5-P12A3C2AORF43-BGH(配列番号8)およびCMV5-P12A3C2AORF54-BGH(配列番号9)の断片を放出させた。2つの放出された断片を、それぞれEHV-1-delORF43P1およびEHV-1-delORF54P1を含有するE.coliコンピテント細胞にエレクトロポレーションした。
図6に、組換えウイルスの遺伝子構造を例示した。次いでクロラムフェニコールおよびカナマイシンの二重耐性LB寒天プレート上で組換えクローンを選択した。組換えバクミドDNAを抽出し、PCRおよびRFLP方法の両方によって分析した。Red組換えの第2の工程において、1%アラビノースを使用して、ホーミングエンドヌクレアーゼI-SceIの発現を誘導し、カナマイシン遺伝子の上流におけるI-SceI制限部位の切断を起こし、最終的にカナマイシンカセットを切り出した。
【0073】
1.5 ウイルスの救出および精製
組換えEHV-1を救出するために、組換えバクミドDNAを抽出し、リポフェクトアミン3000(Thermo Fisher)を使用して6-ウェルプレート中のMDBK細胞(Sigma)にトランスフェクトした。トランスフェクションの後、細胞を毎日観察して、GFP陽性および陰性プラークの両方の形成をチェックした。トランスフェクトされた細胞を、培養上清と共に凍結および融解を2回行い、遠心分離によって清澄化し、継代1と定義された組換えウイルスを後の分析のために-80℃で貯蔵した。限界希釈またはプラーク精製を実行して、GFP陰性組換えウイルスを分離し、そこでEGFP遺伝子を含有するミニ-Fを除去し、分子内相同組換えメカニズムを介して失われたORF71を回復した。限界希釈の各ラウンドは、1継代として認識された。
【0074】
(実施例2)
FMDVタンパク質の発現および検出
2.1 IFA、スクロース勾配遠心分離およびウェスタンブロット
FMDVタンパク質の発現を確認するために、間接蛍光アッセイ(IFA)を、FMDV VP1に対するモノクローナル抗体(Jeno-Biotech、カタログ番号9172)を使用して実行した。MDBK細胞を感染させ、1.5%のメチルセルロース上に載せた。感染から3日後に、細胞を1×PBSで洗浄し、4%ホルムアルデヒドで固定し、0.1%Trition X-100によって透過化し、対応する抗体で染色した。FMDVタンパク質の発現をIFAによって確認した(
図7)。
【0075】
ウェスタンブロット分析のために、感染細胞のペレットを溶解させ、4×LDSサンプル緩衝液(Invitrogen)およびNupage 10×還元試薬(Invitrogen)と混合した。85℃で5分加熱した後、タンパク質をNuPAGEゲル(Invitrogen)で分離し、PVDF膜(Lifetech)に転写した。膜のブロッキングの後、膜を抗FMDV VP1 mAb(第1の抗体、Jeno-Biotech)と共に1時間インキュベートし、次いで洗浄した後、抗マウスIgG-HRP(第2の抗体、Santa-Cruz)と共に1時間インキュベートした。膜にSupersignal West Femto Maximum Sensitivity基質(Thermo Scientific)を適用した後、画像を現像した。
FMDV VLPの形成を確認するために、感染細胞の培養物を遠心分離によって前もって清澄化し、Amicon Ultra-15mL遠心分離フィルター(Merk、Ultracel-100KDa)を使用した限外ろ過によって濃縮し、次いで、10%~60%スクロース勾配超遠心分離に、10℃で、53,720gで22時間適用した。スクロース勾配を、上から下に14画分に分離した。各画分中のタンパク質を、上述したように抗FMDV VP1 mAbを使用したウェスタンブロットによって分析した。
【0076】
(実施例3)
FMDVタンパク質発現の安定性の研究
3.1 FMDV P1-2A-3C遺伝子は標準的な設計で安定して発現させることができない
EHV-1ウイルスベクターにFMDV P1-2A-3C遺伝子を直接導入する標準的な設計を用いて、対照としての異なる組換えEHV-1(異なるプロモーターおよび挿入部位を有する)を構築した。以下の表に、異なる組換えEHV-1の遺伝学的安定性試験の結果を要約する。
【表1】
二重のIFAによって示された通り(
図8A)、標準的な設計を使用することによって、連続的な継代中に、FMDV P1-2A-3C遺伝子は安定した維持が可能ではなく、標的タンパク質発現を喪失する傾向があったことがわかる。またシーケンシング分析は、挿入物中にランダムな欠失があったことも示した(
図8B)。
【0077】
3.2 遺伝学的な安定性の問題を解決するための必須の遺伝子のトランスロケーション
本発明の組換えEHV-1によってFMDVタンパク質が安定して発現され得るかどうかを評価するために、本発明の組換えEHV-1を、0.01のMOIで、MDBK細胞で連続的に継代した。各継代の後、新しいMDBK細胞単層を、適切に希釈した組換えウイルスに感染させ、1.5%メチルセルロースを上に載せた。感染から3日後、二重のIFAを、抗FMDV VP1 mAbおよびヤギ抗EHV-1 pAb(VMRD)の混合物を使用して実行した。個々のプラークを蛍光顕微鏡法下で検査した。FMDV VP1およびEHV-1抗体の両方で染色されるプラークを陽性として認識し、一方でEHV-1染色のみを示すものは、陰性である。陽性プラーク率を計算し、異なる継代レベル間で比較した。
図9に、代表的な二重のIFAの結果を示す。
5回の継代毎に(P5、P10、P15およびP20)、ウイルスDNAを感染細胞から抽出し、全挿入物を、高忠実度Accuprime pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を使用してPCR増幅した(フォワードプライマー:taacaccatggcaggcctgttg(配列番号10)、リバースプライマー:gagcgattcgcacctcatctcc(配列番号11))。次いでPCR産物をシーケンシングした。加えて、VLPの発現を、5回の継代毎にスクロース勾配遠心分離およびウェスタンブロットを使用して検出した(Rational Engineering of Recombinant Picornavirus Capsids to Produce Safe, Protective Vaccine Antigen. PLOS Pathogens.2013 Mar; 9(3):e1003255)。
図10に、組換えEHV-1の異なる継代レベルからのFMDV VLPの結果を示す。
【0078】
全EHV-1プラークのうちのFMDVタンパク質陽性プラークのパーセンテージを計算し、表2に示した。結果から明らかに、FMDVタンパク質は、継代中、少なくともP20まで安定して発現できることが示された。
【表2】
5つの継代それぞれからのウイルスDNAを組換えEHV-1から抽出し、PCRを使用して、全挿入物を増幅した。結果から、全挿入物は、断片長さの明白な差を生じることなく増幅できることが示され(
図11)、これは、連続的なウイルス継代中に遺伝学的変化が起こらなかったことを示す。PCR産物もシーケンシングし、遺伝学的変化がないことが解明された。
【0079】
(実施例4)
インビトロにおける組換えウイルスの増殖速度論
インビトロにおける組換えウイルスの増殖特性を評価するために、24-ウェルプレート中のMDBK細胞を、5のMOIで親ウイルスおよび組換えウイルスに感染させた。37℃で2時間接触させた後、細胞をクエン酸緩衝液(pH3.0)で洗浄した。異なるタイムポイントで、培養上清を回収し、滴定した。
ORF43またはORF54がトランスロケーションした組換えウイルスの両方での一段階の増殖速度論を決定し、親ウイルスと比較した。
図12からわかるように、組換えウイルスは、親ウイルスと類似の増殖速度論を有し、感染後36時間でピーク力価に到達することができるが、ピークが親ウイルスより約1logTCID50/mL低く、これは、外来タンパク質の発現はウイルスの増殖に影響を与えるはずなので、予測されたものであった。
【0080】
上記の実験データから、(1)標準的な設計を用いた場合、FMDV標的タンパク質を安定して発現できなかったこと;(2)EHV-1 ORF43またはORF54は、EHV-1複製に必須の遺伝子であること;および(3)本発明のrEHV-1/FMDコンストラクトは、親のEHV-1に匹敵する増殖能力を維持しながら安定性を顕著に改善して、標的タンパク質を発現できたことを決定することができる。
【0081】
本明細書において開示された、および特許請求された組成物および方法の全ては、本発明の開示に照らして、余計な実験を行うことなく作製および実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態に関して記載してきたが、本発明の概念、本質および範囲から逸脱することなく、組成物および方法に、さらに本明細書に記載される方法の工程または一連の工程にバリエーションを適用できることが当業者には明らかであると予想される。より具体的には、同じまたは類似の結果を達成しながら、本明細書に記載される物質を化学的および生理学的の両方で関連する特定の物質で置き換えてもよいことが明らかであると予想される。このような全ての当業者に明白な類似の置き換えおよび改変は、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の本質、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
【配列表】