IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 資生堂の特許一覧

<>
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図1
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図2
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図3
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図4
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図5
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図6
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図7
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図8
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図9
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図10
  • 特許-油水分離組成物及び物品 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】油水分離組成物及び物品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20231120BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/03 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231120BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20231120BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
A61K8/34
A45D34/00 510Z
A61K8/03
A61K8/20
A61K8/37
A61K8/44
A61Q1/14
A61Q19/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020558230
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2019043087
(87)【国際公開番号】W WO2020110608
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2018220596
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 智行
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-285047(JP,A)
【文献】特開2006-241150(JP,A)
【文献】特開2002-003339(JP,A)
【文献】国際公開第2011/052674(WO,A1)
【文献】特開2019-006725(JP,A)
【文献】特開2019-156755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A45D 34/00-34/06
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相、及び静置状態において前記水相と分離している油相を備える油水2層分離組成物と、
前記油水2層分離組成物を収容した容器と、を備え、
前記容器の少なくとも一部は、内部を視認可能な透明性を有し、
前記油水2層分離組成物が、組成物の質量に対して、
0.08質量%~1.8質量%のポリオール誘導体と、
0.01質量%~0.1質量%のアルキルベタイン型界面活性剤と、
0.1質量%~5質量%の塩と、を含有し、
前記ポリオール誘導体は、化1に示すグリセリン誘導体及び化2に示すグリコール誘導体のうちの少なくとも一方である、物品。
【化1】
(化1に示す化学式において、R、R及びRのうち、いずれか1つは炭素数4~15のアルキル基、アルケニル基又はアシル基であり、いずれか2つは水素原子である。)
【化2】
(化2に示す化学式において、R及びRのうち、一方は炭素数10~20のアルキル基、アルケニル基又はアシル基であり、他方は水素原子であり、Rは炭素数1~4のアルキル基、アルケニル基、アシル基又は水素原子である。)
【請求項2】
前記油水2層分離組成物において、界面活性剤の含有率が前記組成物の質量に対して0.02質量%~0.2質量%である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記グリセリン誘導体がエチルヘキシルグリセリン及びヘキシルグリセリンのうちの少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記グリコール誘導体がラウリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、及びイソステアリン酸プロピレングリコールのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品
【請求項5】
前記油相の含有率は前記組成物の質量に対して20質量%~80質量%であり、
前記水相の含有率は前記組成物の質量に対して20質量%~80質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
使用者が前記組成物の一時的乳化状態を形成して使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記油水2層分離組成物が化粧料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記油水2層分離組成物が化粧料用洗浄剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記油水2層分離組成物がリーブオンタイプである、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記容器はポリエステルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本発明は、日本国特許出願:特願2018-220596号(2018年11月26日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、静置状態において油相と水相が分離した油水分離型の組成物に関する。また、本開示は、該組成物を有する物品に関する。
【背景技術】
【0003】
静置状態において油相と水相とが二層に分離した油水分離型化粧料(洗浄剤)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような油水分離型化粧料は、使用者が容器を振盪することによって一時的に乳化させた状態で使用される。使用後は、容器を静置しておくと、乳化状態が解消されて、再度、油相と水相は分離状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-213724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本開示の観点から与えられる。
【0006】
特許文献1に記載のような油水分離組成物を使用する場合、上述のように、一時的な乳化状態を形成する必要がある。したがって、使用時に乳化状態が形成されていることを使用者が確認できるように、油水分離組成物を入れる容器には一般的には透明な容器が使用される。また、液体が入った容器を女性でも容易に振盪できるように、容器には、軽量な樹脂(例えばポリエステル樹脂)が使用される。
【0007】
一時的乳化状態にするために振盪処理を行うと、このような樹脂製容器の内面には内容物が接触する。これまでの油水分離組成物によれば、容器内面に接触した内容物が液面より上の容器内面全体に液滴(玉状の液体)として残存してしまう。この液滴は、静置するだけは解消されず、容器の内壁面に長時間とどまることになる。容器が透明であるため、このような液滴が透けて見えてしまい、容器を含めた製品の外観が損なわれてしまう。
【0008】
また、一時的な乳化後、容器を静置しておくと、油水分離組成物における油相と水相は再度分離する。しかしながら、再分離が不十分であると、油相と水相の界面は不鮮明になってしまい、これによっても製品の外観が損なわれてしまう。
【0009】
油水分離組成物が、例えば、化粧品のような製品である場合には、製品の美観も重要視される。そこで、製品の美観を良好に保つために、容器内面への液滴の付着が長時間継続せず、また、乳化後に油相と水相の界面が鮮明となる油水分離組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1視点によれば、水相と、静置状態において水相と分離している油相と、を備える油水分離組成物が提供される。油水分離組成物は、組成物の質量に対して0.06質量%~1.8質量%のポリオール誘導体を含有する。ポリオール誘導体は、化1に示すグリセリン誘導体及び化2に示すグリコール誘導体のうちの少なくとも一方である。
【0011】
【化1】
【0012】
化1に示す化学式において、R、R及びRのうち、いずれか1つは炭素数4~15のアルキル基、アルケニル基又はアシル基であり、いずれか2つは水素原子である。
【0013】
【化2】
【0014】
化2に示す化学式において、R及びRのうち、一方は炭素数10~20のアルキル基、アルケニル基又はアシル基であり、他方は水素原子である。Rは炭素数1~4のアルキル基、アルケニル基、アシル基又は水素原子である。
【0015】
本開示の第2視点によれば、第1視点に係る組成物と、該組成物を収容した容器と、を備える物品が提供される。容器の少なくとも一部は、内部を視認可能な透明性を有する。
【発明の効果】
【0016】
本開示の油水分離組成物は、容器の内壁面における液滴の残存が抑制されている。また、一時的な乳化後に油相と水相が再分離する際に油相と水相の界面が鮮明となる。これにより、油水分離組成物が入っている容器の良好な外観を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】試験例における液滴残存評価の基準例を示すサンプルの写真。
図2】試験例における液滴残存評価の基準例を示すサンプルの写真。
図3】試験例における液滴残存評価の基準例を示すサンプルの写真。
図4】試験例における界面評価の基準例を示すサンプルの写真。
図5】試験例における界面評価の基準例を示すサンプルの写真。
図6】試験例1~3におけるサンプルの写真。
図7】試験例1、3及び4における振盪後のサンプルの写真。
図8】試験例5、7及び8における振盪後のサンプルの写真。
図9】試験例6、9及び10における振盪後のサンプルの写真。
図10】試験例1及び11~13における振盪後のサンプルの写真。
図11】試験例2、3、14及び15における振盪後のサンプルの写真。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記各視点の好ましい形態を以下に記載する。
【0019】
上記第1視点の好ましい形態によれば、油水分離組成物は、0.01質量%~0.1質量%のアルキルベタイン型界面活性剤をさらに含有する。
【0020】
上記第1視点の好ましい形態によれば、界面活性剤の含有率が組成物の質量に対して0.2質量%以下である。
【0021】
上記第1視点の好ましい形態によれば、油水分離組成物は、組成物の質量に対して0.1質量%~5質量%の塩をさらに含有する。
【0022】
上記第1視点の好ましい形態によれば、グリセリン誘導体がエチルヘキシルグリセリン及びヘキシルグリセリンのうちの少なくとも一方を含む。
【0023】
上記第1視点の好ましい形態によれば、グリコール誘導体がラウリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、及びイソステアリン酸プロピレングリコールのうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
上記第1視点の好ましい形態によれば、油相の含有率は組成物の質量に対して20質量%~80質量%である。水相の含有率は組成物の質量に対して20質量%~80質量%である。
【0025】
上記第1視点の好ましい形態によれば、油水分離組成物は、使用者が組成物の一時的乳化状態を形成して使用される。
【0026】
上記第1視点の好ましい形態によれば、油水分離組成物は化粧料である。
【0027】
上記第1視点の好ましい形態によれば、油水分離組成物は化粧料用洗浄剤である。
【0028】
上記第1視点の好ましい形態によれば、油水分離組成物はリーブオンタイプである。
【0029】
上記第2視点の好ましい形態によれば、容器はポリエステルを含む。
【0030】
以下の説明において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンの略記で、POE又はPOPの後ろのカッコ内の数字は当該化合物中におけるPOE基又はPOP基の平均付加モル数を表す。
【0031】
本開示において「実質量」とは、その化合物の添加による作用効果が生じ得る量をいう。
【0032】
本開示の第1実施形態に係る油水分離組成物について説明する。
【0033】
第1実施形態に係る油水分離組成物は、液状の油相と、液状の水相と、を有する。油水分離組成物を十分な時間静置した状態(不使用時)において、油相の主たる部分と水相の主たる部分とは上下に2層に分離している(乳化していない)。
【0034】
第1実施形態に係る油水分離組成物は、ポリオール誘導体を含有する。ポリオール誘導体は、グリセリン誘導体及びグリコール誘導体のうちの少なくとも一方を含有する。
【0035】
グリセリン誘導体としては、例えば、アルキルグリセリルエーテル及び/又はグリセリンエステル、特にモノアルキルグリセリルエーテル、を使用することができる。グリセリン誘導体は、化3に示す化合物とすることができる。化3に示す化学式において、R、R及びRのうち、いずれか1つは炭素数4~15のアルキル基、アルケニル基又はアシル基とすることができ、いずれか2つは水素原子とすることができる。アルキル基、アルケニル基又はアシル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。アルキル基、アルケニル基又はアシル基の炭素数は4以上であると好ましい。アルキル基、アルケニル基又はアシル基の炭素数は15以下であると好ましく、12以下であるとより好ましい。
【0036】
グリセリン誘導体の例としては、エチルヘキシルグリセリン(オクトキシグリセリン)、ヘキシルグリセリン、イソオクタン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル-2、モノオクタン酸グリセリル等を挙げることができる。このうち、容器内面に付着する液滴解消の観点から2-エチルヘキシル基を有するエチルヘキシルグリセリン及び/又はヘキシル基を有するヘキシルグリセリンが好ましい。エチルヘキシルグリセリンの市販品としては、例えば、Sensiva SC50(Schulke & Mayr社製)等が挙げられる。
【0037】
【化3】
【0038】
グリコール誘導体としては、例えば、グリコールエステル及び/又はグリコールエーテルを使用することができる。グリコール誘導体としては、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコールエーテル、特にプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、を使用することができる。グリコール誘導体は、化4に示す化合物とすることができる。化4に示す化学式において、R及びRのうち、一方は炭素数10~20のアルキル基、アルケニル基又はアシル基とすることができ、他方は水素原子とすることができる。Rは炭素数1~4のアルキル基、アルケニル基、アシル基又は水素原子とすることができる。アルキル基、アルケニル基又はアシル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
【0039】
グリコール誘導体の例としては、ラウリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコール等を挙げることができる。
【0040】
【化4】
【0041】
グリセリン誘導体及びグリコール誘導体は、油相と水相のいずれに存在していてもよい。
【0042】
ポリオール誘導体の含有率は、組成物の質量に対して、0.06質量%以上であると好ましく、0.07質量%以上であるとより好ましく、0.08質量%以上であるとさらに好ましい。ポリオール誘導体の含有率は、組成物の質量に対して、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.5質量%以上とすることができる。ポリオール誘導体が0.06質量%未満では、上述の作用を十分に得ることができない。ポリオール誘導体の含有率は、組成物の質量に対して、1.8質量%以下であると好ましく、1.5質量%以下であるとより好ましく、1.2質量%以下であるとさらに好ましい。ポリオール誘導体の含有率は、組成物の質量に対して、1質量%以下、0.8質量%以下、又は0.5質量%以下とすることができる。ポリオール誘導体が1.8質量%を超えると、油相と水相の界面が不鮮明になってしまう。
【0043】
ポリオール誘導体を配合することにより、油水分離組成物が液体上部の容器内面に液滴として継続して付着することを抑制することができる。容器内壁に液滴が形成されたとしても、短時間で液滴が自然消失することができる。これにより、容器内面に付着した液滴が透けて見えることを抑制し、製品の美観を改善することができる。ポリオール誘導体による液滴解消の効果は、樹脂製容器、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂を含む容器に対して特に効果があると考えられる。
【0044】
また、ポリオール誘導体は、一時的乳化後の静置による油相と水相の再分離時に、油相と水相の界面を明確にする作用も有する。これにより、容器から透けて見える油水分離組成物の外観をさらに改善することができる。
【0045】
油水分離組成物が洗浄剤である場合、化3に示す化合物は洗浄性を高めることもできる。
【0046】
第1実施形態に係る油水分離組成物における油相は、油水分離組成物の目的に応じて適宜設定することができる。例えば、油相は、油水分離組成物に配合させた油溶性成分を溶解できるような油性成分とすることができる。油水分離組成物が洗浄剤として使用される場合には、油相は、被洗浄物(例えば化粧料)を落とすのに有用な油性成分とすることができる。油相は、室温において液状であると好ましい。
【0047】
油相中の油性成分としては、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油等を使用することができる。
【0048】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0049】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0050】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0051】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、n-ヘキサン、イソへキサン、シクロへキサン、n-オクタン、イソオクタン、n-ノナン、n-デカン、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
【0052】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0053】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等を使用することができる。
【0054】
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0055】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等のシリコーン化合物等が挙げられる。
【0056】
上記油性成分のうち、炭化水素油、エステル油、シリコーン油等が、油性化粧料の洗浄性の観点により好ましい。
【0057】
油相の含有率は、組成物の質量に対して、20質量%以上であると好ましく、30質量%以上であるとより好ましく、40質量%以上であるとさらに好ましい。油相が20質量%未満であると、水相の量とのバランスが悪くなってしまう。油相の含有率は、組成物の質量に対して、例えば、80質量%以下であると好ましく、70質量%以下であるとより好ましく、60質量%以下であるとさらに好ましい。油相が80質量%を超えると、水相の量とのバランスが悪くなってしまう。
【0058】
水相は水を含有する。水相中の水としては、化粧料、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
【0059】
水相は水溶性アルコールをさらに含有することができる。水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0060】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0061】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジペート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトール、デンプン分解糖還元アルコール等);グリコリド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0062】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-プシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプツロース等)、八炭糖(例えば、オクツロース等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0063】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオース、ベルバスコース類等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0064】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0065】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0066】
上記のうち、水溶性アルコールとしては、乳化の調整及び防腐性の観点により、エタノール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等がより好ましい。
【0067】
水相の含有率は、組成物の質量に対して、20質量%以上であると好ましく、30質量%以上であるとより好ましく、40質量%以上であるとさらに好ましい。水相が20質量%未満であると、油相の量とのバランスが悪くなってしまう。水相の含有率は、組成物の質量に対して、例えば、80質量%以下であると好ましく、70質量%以下であるとより好ましく、60質量%以下であるとさらに好ましい。水相が80質量%を超えると、油相の量とのバランスが悪くなってしまう。
【0068】
油水分離組成物は、界面活性剤をさらに含有することができる。界面活性剤は、使用時に振盪によって油相と水相とを一時的な乳化状態とするために添加することができる。また、油水分離組成物が洗浄剤である場合には、洗浄性を高めるために界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の例としては、以下の界面活性剤を挙げることができる。
【0069】
[アニオン性界面活性剤]
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N‐ステアロイル‐N‐メチルタウリンナトリウム、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等を使用することができる。
【0070】
[カチオン性界面活性剤]
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);ジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム);塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;アミノ酸系カチオン界面活性剤(例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩)等が挙げられる。
【0071】
[両性界面活性剤]
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0072】
[親水性非イオン性界面活性剤]
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POE-ソルビット脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0073】
[親油性非イオン性界面活性剤]
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0074】
油水分離組成物をリーブオンタイプの皮膚用洗浄剤として使用する場合、皮膚への低刺激性の観点から、界面活性剤は、アルキルベタイン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩(ココイルアルギニンエチルPCA)、塩化ベンザルコニウム等がより好ましい。
【0075】
界面活性剤の含有率は、組成物の質量に対して、0.02質量%以上であると好ましく、0.05質量%以上であるとより好ましく、0.07質量%以上であるとさらに好ましい。界面活性剤が0.02質量%未満であると、一時的な乳化状態を形成することができない。界面活性剤の含有率は、組成物の質量に対して、0.3質量%以下であると好ましく、0.2質量%以下であるとより好ましく、0.15質量%以下であるとさらに好ましい。界面活性剤の含有率が0.3質量%を超えると、振盪による一時的な乳化後に、乳化状態が解消されずに、油水2層状態に戻らなくなってしまう。また、油水分離組成物を皮膚用リーブオンタイプ洗浄剤とする場合には、皮膚への刺激が強くなり、また、べとつきが生じてしまう。
【0076】
油水分離組成物は、塩をさらに含有することができる。
【0077】
塩は、無機塩であっても、有機塩であってもよい。塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0078】
塩の含有率は、組成物の質量に対して、0.1質量%以上であると好ましく、0.2質量%以上であるとより好ましく、0.3質量%以上であるとさらに好ましい。塩が0.1質量%未満では、上述の作用を十分に得ることができない。塩は、組成物の質量に対して、2質量%以下であると好ましく、1.5質量%以下であるとより好ましく、1質量%以下であるとさらに好ましい。塩が2質量%を超えると、振盪後の乳化が不十分となってしまう。
【0079】
油水分離組成物は、トリアルキルアミンオキシドをさらに含有することができる。トリアルキルアミンオキシドは、皮膚を着色している染料を皮膚から落とすために添加することができる。例えば、トリアルキルアミンオキシドは、皮膚のタンパク質と化学的相互作用(例えば、イオン的相互作用)によって結合している酸性染料を落とすために添加することができる。トリアルキルアミンオキシドは、洗い流しが不要なリーブオンタイプの洗浄剤として使用することもできる。
【0080】
トリアルキルアミンオキシドは、水溶性であってもよいし、非水溶性(油溶性)であってもよい。トリアルキルアミンオキシドは、水溶性のトリアルキルアミンオキシドと油溶性のトリアルキルアミンオキシドの混合物であってもよい。水ないし油性成分への溶解性は、トリアルキルアミンオキシドのアルキル基の長さによって調整することができる。
【0081】
トリアルキルアミンオキシドは、油相及び水相のいずれにも溶解させてもよい。例えば、トリアルキルアミンオキシドが油溶性である場合には、トリアルキルアミンオキシドを水溶性アルコールに溶解させることによって水相に添加することができる。
【0082】
トリアルキルアミンオキシドは、化5に示す構造を有することができる。R、R及びRは、それぞれ、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐鎖アルキル基であってもよい。例えば、R、R及びRのうち、いずれか2つ(例えば、R及びR)は炭素数1~4のアルキル基とすることができる。R、R及びRのうち、残り1つ(例えば、R)は、炭素数12~26のアルキル基とすることができる。炭素数12~26のアルキル基は、例えば、ドデシル基(ラウリル基)、オクタデシル基(ステアリル基)及びデシルテトラデシル基うちの少なくとも1つとすることができる。例えば、トリアルキルアミンオキシドは、例えば、化6に示すように、R及びRはメチル基とすることができる。Rは、デシルテトラデシル基とすることができる。
【0083】
【化5】
【0084】
【化6】
【0085】
トリアルキルアミンオキシドの含有率は、組成物の質量に対して、0.01質量%以上であると好ましく、0.02質量%以上であるとより好ましく、0.05質量%以上であるとより好ましく、0.08質量%以上であるとより好ましく、0.1質量%以上であるとより好ましく、0.12質量%以上であるとより好ましく、0.15質量%以上であるとより好ましく、0.18質量%以上であるとさらに好ましい。成分(A)が0.01質量%未満であると、染料成分に対する洗浄性が低下してしまう。トリアルキルアミンオキシドの含有率は、組成物の質量に対して、例えば、2質量%以下、1質量%以下、0.8質量%以下、0.6質量%以下、又は0.4質量%以下とすることができる。
【0086】
本開示の油水分離組成物は、本開示の効果を阻害しない範囲において、他の成分、例えば、粉体、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜含有することができる。
【0087】
本明細書において使用する用語「粉体」は「粉末」と同義である。粉体は、化粧料用途等、一般に用い得るものであれば特に限定されるものではない。粉末としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、焼成雲母、焼成タルク、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、ガラス、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂粉末、シルクパウダー、ウールパウダー、ウレタンパウダー等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等を使用することができる。
【0088】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0089】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0090】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0091】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0092】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸、タウレート系合成高分子、アクリレート系合成高分子等が挙げられる。
【0093】
皮膜剤としては、例えば、アニオン性皮膜剤(例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸高重合体等)、カチオン性皮膜剤(例えば、カチオン化セルロース、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体等)、ノニオン性皮膜剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリルアミド、高分子シリコーン、シリコーンレジン、トリメチルシロキシケイ酸等)が挙げられる。
【0094】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノン;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン等が挙げられる。
【0095】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0096】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0097】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0098】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0099】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0100】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0101】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0102】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0103】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0104】
さらに、本開示の組成物は、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、も適宜含有することができる。
【0105】
水相のpHは、5以上であると好ましく、5.5以上であるとより好ましい。pHが5未満であると、振盪後の乳化が不十分となってしまう。水相のpHは、8以下でると好ましく、7.5以下であるとより好ましい。pHが8を超えると、皮膚への刺激が強くなってしまう。
【0106】
[外観]
水相と油相との界面は鮮明であると好ましい。水相及び油相がともに濁りがないと好ましく、透明性を有するとより好ましい。
【0107】
[使用性]
本開示の油水分離組成物の使用方法について説明する。油水分離組成物は、例えば、化粧料、洗浄剤等に好適に使用することができる。
【0108】
洗浄剤としては、例えば、化粧料除去洗浄剤、ハンドソープ、ボディソープ、毛髪洗浄剤、台所用洗浄剤等に好適に適用することができる。化粧料用洗浄剤としては、ウォータプルーフタイプの化粧料(メーキャップ)を落とすための洗浄剤とすることができる。洗浄剤組成物は、水で洗い流して使用する洗浄剤とすることもできれば、水で洗い流さないタイプ(リーブオンタイプ)として使用する洗浄剤とすることもできる。リーブオンタイプである場合、例えば、洗浄対象物(例えば皮膚)に洗浄剤組成物を塗布、滴下等して、パッド等の繊維体でふき取ってもよいし、洗浄剤組成物を浸み込ませた繊維体で洗浄対象物(例えば皮膚)をふいてもよい。
【0109】
本開示の油水分離組成物は、容器から出す前に容器を振って一時的な乳化状態(乳化類似状態含む)にしてから容器から出すと好ましい。乳化状態にするための容器の振盪回数は、例えば、20回以下であると好ましく、15回以下であるとより好ましく、10回以下であるとさらに好ましい。振盪操作によって形成された一時的な乳化状態は、一定時間継続すると好ましい。例えば、一時的な乳化状態は10秒以上継続すると好ましく、15秒以上継続すると好ましく、20秒以上継続すると好ましい。また、乳化状態は、静置によって元の油水分離状態に戻ると好ましい。一時的な乳化状態から、静置によって油水2層分離状態に戻った場合に、油水分離組成物は、白濁しておらず、透明性を有すると好ましく、また、油相と水相の界面が鮮明であると好ましい。
【0110】
本開示の油水分離組成物によれば、液面より上の容器の内壁面に液滴が付着した状態が長時間継続することを抑制することができる。すなわち、本開示の油水分離組成物は、容器内壁面に液滴が形成されたとしても、液滴は短時間自然消失することができる。これにより、油水分離組成物が入った容器の美観を良好に保つことができる。
【0111】
[製造方法]
【0112】
本開示の油水分離組成物の製造方法について説明する。本開示の油水分離組成物は特定の方法にされることなく、一般に公知の方法によって作製することができる。例えば、上記各成分を混合することによって油水分離組成物を作製することができる。水相と油相とを別個に作成し、水相と油相を混合することによって油水分離組成物を製造することができる。この場合、ポリオール誘導体は油相に添加することができる。また、油相と水相を別個に作成せずに、すべての成分を一括にして混合してもよい。
【0113】
本開示の油水分離組成物において、相構造等が、組成によって直接特定することが困難であるか、又はおよそ実際的ではない場合がある。このような場合には、本開示の油水分離組成物は、その製造方法によって特定することが許されるべきものである。
【0114】
第2実施形態に係る物品について説明する。
【0115】
本開示の物品は、第1実施形態に係る油水分離組成物と、油水分離組成物が入った容器と、を備える。容器の少なくとも一部は、内部が視認できるような透明性を有する。特に、容器は、油水分離組成物の分離状態や乳化状態を外側から目視で確認できるような透明性を有すると好ましい。容器は、無色であってもよいし、有色であってもよい。
【0116】
容器の材質は、樹脂、ガラス等とすることができる。容器の材質は、手による振盪処理が容易となるように、軽量である樹脂であると好ましい。容器は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルを基本骨格として有する樹脂を含むと好ましい。
【0117】
容器は、油水分離組成物が入った状態で振盪させても、液漏れが生じない構造を有すると好ましい。容器は、油水分離組成物を収容し、油水分離組成物を取出し可能な開口を有する本体と、開口を開閉可能な蓋ないしキャップと、を備えると好ましい。
【0118】
本開示の物品によれば、第1実施形態に係る油水分離組成物の乳化状態を確認してから油水分離組成物を容器から取り出すことができる。これにより、油水分離組成物をより好適な状態で使用することができる。また、樹脂製の容器を用いることによって、手による浸透操作によって容易に油水分離組成物を乳化させることができる。
【0119】
本開示の物品においては、油水分離組成物上方における容器内面への液滴の付着が抑制されている。油水分離組成物の分離状態における油相と水相との界面を鮮明にすることができる。
【実施例
【0120】
本開示の油水分離組成物について、以下に例を挙げて説明する。しかしながら、本開示の油水分離組成物は以下の例に限定されるものではない。また、以下の実施例では、各試験例の油水分離組成物を化粧料用洗浄剤に適用した例について説明するが、本開示の組成物は化粧料用洗浄剤に限定されるものでもない。各表に示す各成分の含有率の単位は質量%である。
【0121】
[試験例1~3]
油水2層分離型の洗浄剤組成物を作製した。表1に、各試験例において作製した洗浄剤組成物の組成及びその評価を示す。洗浄剤組成物は、油相及び水相をそれぞれ作製した後、両者を混合して、油水2層型洗浄剤組成物を作製した。以下の表に示す油相及び水相は、洗浄剤組成物作製時に各成分を配合した相を示している。したがって、振盪処理及び/又は静置時に、油相に配合した成分が水相に移行し、及び/又は、水相に配合した成分が油相に移行する可能性はある。
【0122】
作製した油水分離型洗浄剤組成物は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明サンプル管に入れた。3時間静置した状態において、サンプル管中の洗浄剤組成物は、上層が油相、下層が水相と2層に分離していた。油相と水相が2層に分離している状態において、容器を鉛直方向に手で8回振盪させて、油相と水相とを乳化させた。乳化後、3時間放置して、油相と水相を再度分離させた。乳化前及び乳化後において、液面上部の容器の内壁面における液滴の付着状況目視で確認し、以下の基準で評価した。乳化前及び乳化後において、界面及び各相の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。図1図3に、液滴の残存評価についての各評価の状態例を示すサンプル管の写真を示す。図4及び図5に、油相と液相の界面評価についての各評価の状態例を示すサンプル管の写真を示す。また、乳化状態の継続時間について、以下の基準で評価した。
【0123】
[液滴付着]
A:容器の内壁面に液滴が残存していない(図1参照);
B:容器の内壁面に液滴がわずかに残存している(図2参照);
C:容器の内壁面に大きな液滴が残存している(図3参照)。
【0124】
[界面の状態及び各層の濁りの有無]
A:油相と相の界面が鮮明であり(図4参照)、かつ油相及び水相に濁りはない;
B:油相と相の界面がやや不鮮明であるか、又は油相もしくは水相に少し濁りがある;
C:油相と相の界面に明らかに不鮮明である(図5参照)か、又は油相もしくは水相に明らかな濁りがある。

【0125】
[乳化時間]
A:乳化状態の継続時間が10秒以上である;
B:乳化状態の継続時間が10秒未満である。
【0126】
図6に、試験例1~3のおける油水2層型洗浄剤組成物の写真を示す。図6に示すサンプルは、振盪処理後に、3時間静置して2層に分離した状態にある洗浄剤組成物である。
【0127】
ポリオール誘導体が添加されていない試験例1においては、容器の内壁面全体に液滴が分散してかつ継続して付着していることが確認された。一方、ポリオール誘導体が添加された試験例2及び3においては、内壁面に付着した液滴は確認できなかった。振盪処理直後には容器内壁面に液滴の形成が確認されたが、数秒間の放置ですぐに液滴は自然消滅した。これより、ポリオール誘導体には、油水分離組成物における液滴の付着を防止する作用があると考えられる。
【0128】
また、試験例1においては乳化後に、油相と水相の界面が不鮮明となった。一方、試験例2及び3は、乳化前において、油相と水相の界面も鮮明であると共に、各相に白濁等の濁りは確認されなかった。振盪処理によって形成された乳化状態も、使用にするのに十分な時間乳化状態が継続させることができた。乳化状態から再分離した状態においても、界面は鮮明であると共に、各相に濁りはなく、振盪処理前と同様の状態に戻ることができた。これより、ポリオール誘導体には、油水分離組成物の一時的な乳化状態後の界面を鮮明にする作用もあると考えられる。
【0129】
【表1】
【0130】
[試験例4~10]
試験例4~10においては、エチルヘキシルグリセリン以外の化合物に、液滴付着抑制効果及び界面鮮明化効果があるかを確認した。評価方法は、試験例1~3と同様である。液滴付着の評価基準は、上記評価基準と同じである。界面の鮮明さの評価基準は、評価Bを用いず、評価A又はCを用いた以外は、上記評価基準と同じである。表2に、組成及び評価を示す。図7~9に、試験例1及び3~10のおける振盪後の油水2層型洗浄剤組成物の写真を示す。
【0131】
ヘキシルグリセリンを用いた試験例4においては、試験例2及び3と同様に、容器内壁面への液滴の付着を防止することができると共に、油相と水相の界面を鮮明にすることができた。これより、上記化3に示すグリセリン誘導体には、液滴付着抑制効果及び界面鮮明化効果があると考えられる。
【0132】
ラウリン酸プロピレングリコール及びイソステアリン酸プロピレングリコールを用いた試験例5及び6においても、液滴付着抑制効果及び界面鮮明化効果が確認された。これより、上記化4に示すようなプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルにも液滴付着抑制効果及び界面鮮明化効果があると考えられる。
【0133】
【表2】
【0134】
[試験例11~16]
試験例11~16においては、ポリオール誘導体の含有率を変化させた。評価方法は、試験例1~3と同様である。液滴付着の評価基準は、上記評価基準と同じである。界面の鮮明さの評価基準は、評価Bを用いず、評価A又はCを用いた以外は、上記評価基準と同じである。表3に、組成及び評価を示す。図10及び11に、試験例1~3及び11~15のおける振盪後の油水2層型洗浄剤組成物の写真を示す。
【0135】
ポリオール誘導体の添加率が低い試験例11及び12においては、容器内壁に液滴の残存が確認されると共に、油相と水相の界面の不鮮明さも確認された。一方、ポリオール誘導体を0.1質量%以上添加した試験例2~3及び13~16においては、容器内壁への液滴の付着は確認されなかった。しかしながら、ポリオール誘導体を2質量%以上添加した試験例15及び16においては、再分離時に3層に分離していることが確認された。
【0136】
これより、ポリオール誘導体の含有率は、組成物の質量に対して、0.06質量%以上であると好ましく、0.07質量%以上であるとより好ましく、0.08質量%以上であるとさらに好ましいと考えられる。また、ポリオール誘導体の含有率は、組成物の質量に対して、1.8質量%以下であると好ましく、1.5質量%以下であるとより好ましく、1.2質量%以下であるとさらに好ましいと考えられる。
【0137】
【表3】
【0138】
[試験例17~20]
試験例17~18においては、両性界面活性剤を添加していない組成物について上記試験例と同様の試験を行った。試験例19~20においては、無機塩添加していない組成物について上記試験例と同様の試験を行った。評価方法及び評価基準は、試験例4~10と同様である。表4に、組成及び評価を示す。
【0139】
試験例1と試験例17とを比較すると、両性界面活性剤を添加すると、液滴が容器内壁面に付着しやすくなる。また、油相と水相の界面も濁りやすくなる。しかしながら、試験例18に示すように、グリセリン誘導体を添加すると、両性界面活性剤を添加していない試験例17の組成物よりも液滴の付着を改善することができた。これより、液滴付着抑制効果は、ポリオール誘導体によるものであることが明らかになった。
【0140】
試験例1と試験例19とを比較すると、無機塩を添加すると、液滴が容器内壁面に付着しやすくなる。しかしながら、試験例20に示すように、グリセリン誘導体を添加すると、無機塩を添加していない試験例19の組成物よりも液滴の付着及び界面の鮮明さを改善することができた。これより、液滴付着抑制効果は、ポリオール誘導体によるものであることが明らかになった。
【0141】
【表4】
【0142】
[試験例21~24]
試験例21~24においては、染料に対する洗浄性を高めるため、試験例2に係る組成物に対して、トリアルキルアミンオキシドであるデシルテトラデシルジメチルアミンオキシドを添加した。試験例21及び22においては、デシルテトラデシルジメチルアミンオキシドを油相に添加し、試験例23及び24においてはデシルテトラデシルジメチルアミンオキシドを水相に添加した。また、試験例24においては、両性界面活性剤であるラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインを油相に添加した。表4に、洗浄組成物の組成及びその評価を示す。評価基準は試験例1~3と同様である。
【0143】
ポリオール誘導体を配合していない試験例21においては、試験例1と同様にして容器内壁への液滴の付着が確認された。しかしながら、ポリオール誘導体を配合した試験例22~24においては液滴の付着は確認されなかった。これより、トリアルキルアミンオキシドを配合しても、ポリオール誘導体の液滴抑制効果は変わりないことが分かった。
【0144】
また、試験例21においては、乳化処理後に水相の白濁が生じたが、試験例22~23においては白濁は生じなかった。試験例21において白濁が生じたのは、ポリオール誘導体の不存在又はエタノール量不足のためと考えられる。
【0145】
【表5】
【0146】
本発明の油水分離組成物及び物品は、上記実施形態及び実施例に基づいて説明されているが、上記実施形態及び実施例に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0147】
本発明のさらなる課題、目的及び形態(変更形態含む)は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【0148】
本書に記載した数値範囲については、別段の記載のない場合であっても、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし範囲が本書に具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0149】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の記載には限定されない。各付記は、特許請求の範囲に記載の各請求項と組み合わせることもできる。
[付記1]
化粧料に適用する本開示の洗浄剤組成物の使用方法。
[付記2]
肌の洗浄に適用する本開示の洗浄剤組成物の使用方法。
[付記3]
化粧料を落とすために使用する本開示の洗浄剤組成物の使用方法。
[付記4]
リーブオンタイプとして使用する本開示の洗浄剤組成物の使用方法。
[付記5]
洗浄剤組成物を振盪し、乳化状態にしてから使用する本開示の洗浄剤組成物の使用方法。
[付記6]
トリアルキルアミンオキシドを含有する洗浄剤組成物を用いて、皮膚から染料を落とすために使用する本開示の洗浄剤組成物の使用方法。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本開示の油水分離組成物は、肌に適用する化粧料、洗浄料等に適用することができる。特に、本開示の油水分離組成物は、肌上の化粧料を落とすための洗浄に好適に用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11