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特許7387636DRX動作中のアイドルモードでの同期シグナリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】DRX動作中のアイドルモードでの同期シグナリング方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20231120BHJP
   H04W 8/22 20090101ALI20231120BHJP
   H04W 68/00 20090101ALI20231120BHJP
   H04W 72/23 20230101ALI20231120BHJP
【FI】
H04W52/02 110
H04W8/22
H04W68/00
H04W72/23
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020560227
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 SE2019050399
(87)【国際公開番号】W WO2019216808
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】1850552-9
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マズロウム,ナフィセ
(72)【発明者】
【氏名】ユング,リカード
(72)【発明者】
【氏名】プリヤント,バスキ
(72)【発明者】
【氏名】バーグレン,アンデシュ
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】Sony,Considerations of using WUS in efeMTC[online],3GPP TSG RAN WG1 #92b R1-1804604,2018年04月06日,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_92b/Docs/R1-1804604.zip>
【文献】Huawei, HiSilicon,Wake-up signal in NB-IoT and eMTC[online],3GPP TSG RAN WG2 #101bis R2-1805082,2018年04月05日,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_101bis/Docs/R2-1805082.zip>
【文献】Qualcomm Incorporated,Efficient monitoring of DL control channels[online],3GPP TSG RAN WG1 #92b R1-1804914,2018年04月07日,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_92b/Docs/R1-1804914.zip>
【文献】Intel Corporation,Power Saving Signal for efeMTC[online],3GPP TSG RAN WG1 #92b R1-1804694,2018年04月07日,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_92b/Docs/R1-1804694.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 -H04B 7/26
H04W 4/00 -H04W 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末をアイドルモードで動作させて、無線ネットワークのアクセスノードからのシグナリングを検出するための方法であって、
前記アクセスノードから情報を受信することと、前記情報は、各ページング時点に先行するタイムアドバンス持続時間を識別、前記タイムアドバンス持続時間は、不連続受信DRX周期と関連する送信周期であって同期信号の送信周期に依存し、前記送信周期は前記DRX周期の分数1/kであり、前記kは整数であり、
前記情報に基づいて、前記各ページング時点に先立って、前記タイムアドバンス持続時間の間、前記端末内の無線信号受信機を起動させることと、
前記情報に基づいて、前記タイムアドバンス持続時間内において、前記同期信号を検出することと、を含む方法。
【請求項2】
前記同期信号は、前記ページング時点において、ウェイクアップ信号WUSまたは制御チャネルを検出するために使用できる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タイムアドバンス持続時間内において、WUSを検出することと、
前記タイムアドバンス持続時間に続くページング時点において、ページングメッセージを検出することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
端末の能力を前記無線ネットワークに送信し、前記端末にWUS検出用の個別の受信機がさらに含まれるかどうかを示すことを含む、請求項1~3の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクセスネットワークおよび1つまたは複数の無線端末を備えた、無線通信システムにおける方法および装置に関する。具体的には、アクセスネットワークのアクセスノードからアイドルモードにある端末にシグナル伝達することに関するソリューションが提供され、ここでの端末は、不連続受信下でのページング時点を検出するように設定される。
【背景技術】
【0002】
無線通信システム、例えば第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project:3GPP)を通じて提供されるさまざまな世代では、無線端末とネットワークノードの間の無線インターフェース、および種々のレベルのネットワーク動作の両方を設定および操作するための、共通ルールを設定する種々の仕様が提供されている。3GPPの文書において端末は一般にユーザー機器(User Equipment:UE)と呼ばれるが、ここでは一般に端末と呼ぶ。そのような端末は、セル内にある端末への無線アクセスを提供するように動作する1つまたは複数のネットワークノードを含む無線アクセスネットワークRANによって、コアネットワークに接続可能である。そのようなネットワークノードは、アクセスノードまたは基地局と呼ばれることもあり、異なるタイプのシステムまたは仕様について、3GPPではさまざまな用語が使用されている。ロングタームエボリューション(Long-Term Evolution:LTE)とも呼ばれるいわゆる4G仕様では、ネットワークノードを表すためにeノードB(eNodeB:eNB)の用語が使用される。
【0003】
4G通信システムの実装および使用が成功した後に、改良された5G通信システムまたはプレ5G通信システムを開発するための努力が行われてきた。このため、5G通信システムまたはプレ5G通信システムは、4Gネットワークを超える通信システムと呼ばれ、新無線(New Radio:NR)とも呼ばれる。5G無線アクセスネットワークで動作するように構成されたネットワークノードは、gNBと呼ばれる場合もある。
【0004】
マシンタイプ通信の技術仕様およびフレームワークの導入により、今後数年間で端末数は急増すると予想される。3GPPは、リリース13において、2つの補完的な狭帯域LTE-IoT技術を既に導入している。すなわち、eMTC(Enhanced Machine-Type Communication:拡張型マシンタイプ通信)およびNB-IoT(Narrowband Internet Of Things:狭帯域モノのインターネット)である。両者とも、通常のモバイルブロードバンドなどの他のLTEサービスとシームレスに共存しながら、複雑さ/電力の削減、カバレッジの拡大、装置密度の向上のために最適化される。
【0005】
2つの新しい信号、すなわち、拡張型同期信号(Enhanced Synchronization Signal:eSS)およびウェイクアップ信号(Wake-Up Signal:WUS)が、UEの全エネルギーコストを低減する目的で、進行中の3GPPのrel.15においてMTCに導入されることが合意された。拡張型同期信号の最初のサブフレームの周期性は、160、320、640、および1280msに設定できる。あるいは、拡張型同期信号は、再同期信号(Resynchronization Signal:RSS)として示され得る。WUSは、物理データ制御チャネル(Physical Data Control Channel:MPDCCH)のページングインジケータの前に送信されることが予想され、UEは、UEに関連する特定の情報を運ぶWUSを検出した場合にのみ、制御チャネルおよび後続のデータ共有チャネルをデコードする。eSSの利用はネットワークによって制御され、その使用は、セル固有のブロードキャスト情報を介してUEに通知される。セル内においてeSSをアクティブ化することは必須ではなく、そのような場合、UEは他の手段で、例えばLTEにおける既存の1次および2次同期信号(Primary and Secondary Synchronization Signals:PSS/SSS)および共通参照信号(Common Reference Signal:CRS)のような他の参照信号を介して、同期を実行する必要がある。WUSで利用可能な構造および情報によっては、WUSの検出を介してネットワークとの同期を実行する可能性もある。WUSは、「eSS様の」信号として構築できる。
【0006】
WUSを検出するために、さまざまな端末が別個の低電力受信機と共に構成され得ることが想定される。このように、メイン無線受信機は、WUSが検出された後にのみアクティブ化されればよい。追加された受信機はメイン受信機よりも消費電力が少なくなるように構成されるので、この目的は消費電力を削減することである。本明細書では、例えば、ページング時点POの際に制御信号または制御チャネルを検出するために使用されるメイン無線受信機が、WUS検出にも使用される端末はConfig.1と呼ばれるのに対して、WUS検出のための低電力受信機を備えた端末はConfig.2と呼ばれる。このUE受信機の構成に応じて、同期の目的で使用されるeSSのデコード化は、図1に示すように、WUS検出の前または後で実行するのにより適している。メイン受信機がWUS検出のために使用されるならば(Config.1)、UEは先ず、新たに導入された信号eSSをデコード化して同期を得るよう、かつWUSをデコード化/検出できるようにして、WUSが検出された場合には、続いてページング時点(Paging Occasion:PO)におけるページング表示をデコード化できるようにする必要がある。これを図1Aに示す。別の低電力受信機がWUS検出のために使用されるならば(Config.2)、UEは、POにおける制御チャネルおよびメッセージ交換の更なる検出のために、WUSが検出された場合にのみ、eSSをデコード化する必要がある。これを図1Bに示す。
【0007】
eSSの周期性、eSSおよびWUSの持続時間、ならびにeSS、WUSおよびPOの間の持続時間に応じて、UEにおいて実現可能なエネルギー節減の量は異なる。
【0008】
例-1:Config.1におけるタイムギャップTgap1が大きい場合、UEの回路の幾つかの部分、例えばチャネルエスティメータなどを、UEとセルとの同期を維持するためにオンのままにする必要がある。その結果、これは余分なエネルギーコストにつながる。他方、Config.2においては、Tgap1_LPが短すぎてeSSが長い(またはTgap3_LPが小さすぎる)と、UEは、WUSを受信した後にウェイクアップするための十分な時間がないため、WUS動作の機能が低下する可能性がある。
【0009】
例-2:Config.1の場合、セル内の異なるUEが同じ不連続受信(Discontinuous Reception:DRX)サイクルに従うが、異なるPOを有すると仮定する。eSSの周期性を1つの特定の値に構成することは、図2の上部に示される1つのUE1にとっては有益であり得るが、別のUE2では余分なエネルギーにつながる可能性がある。これは、図2の下部に示されており、ここでは、Tgap3がUE2について非常に長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
結局のところ、DRXで動作し、かつWUSを使用してページングを開始する端末に関連して、シグナリングの構成を改善する必要性が依然として存在する。したがって、PO、eSS、およびWUSの間での時間関係を考慮して、これらのタイプのシグナリングを使用する場合は可能な限り高いエネルギー節約を実現することが提案される。提案された解決策は、独立請求項に記載されている。さまざまな実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0011】
第1の態様によれば、端末をアイドルモードで動作させて、無線ネットワークのアクセスノードからのシグナリングを検出するための方法であって、
前記アクセスノードから構成を受信し、不連続受信DRX周期に関連付けられたページング時点およびウェイクアップ信号時点を識別することと、
前記アクセスノードから情報を受信し、タイムアドバンス持続時間を識別することと、
各ページング時点に先立って、前記タイムアドバンス持続時間の間、前記端末内の無線信号受信機を起動することと、を含む方法が提供される。
【0012】
一実施形態において、前記方法は、
前記タイムアドバンス持続時間内において、同期信号およびウェイクアップ信号を検出することと、
前記タイムアドバンス持続時間に続くページング時点において、ページングメッセージを検出することと、を含む。
【0013】
一実施形態において、前記方法は、
端末の能力を前記無線ネットワークに送信し、前記端末にWUS検出用の個別の受信機が含まれるかどうかを示すことを含む。
【0014】
第2の態様によれば、無線ネットワークのアクセスノードからアイドルモードにある端末に信号を送るための方法であって、
不連続受信DRX周期を有する端末の反復ページング時点を決定することと、
前記ページング時点に関連付けられたウェイクアップ信号WUS時点を決定することと、
前記端末内におけるページング時点において前記WUSまたは制御チャネルの検出を支援するために使用可能な同期信号を送信することと、を含み、
前記同期信号は、前記DRX周期に関連付けられた送信周期で反復送信される、方法が提供される。
【0015】
一実施形態において、前記送信周期は前記DRX周期の分数1/kであり、ここでのkは整数である。
【0016】
一実施形態において、前記方法は、
同期信号の決定された必要な端末受信に応じて、ページング時点に先行するタイムアドバンス持続時間を決定することを含む。
【0017】
一実施形態において、前記同期信号の決定された必要な端末受信は、前記同期信号の送信周期および持続時間に関連付けられている。
【0018】
一実施形態において、前記タイムアドバンス期間は、同期信号の決定された必要な端末受信に関連付けられた期間と、WUSの決定された期間との合計を含む。
【0019】
一実施形態において、前記タイムアドバンス持続時間は、動作状態を変更するための端末時間に関連付けられた遷移時間の合計をさらに含む。
【0020】
一実施形態において、前記方法は、
端末受信のためのシステム情報を送信し、前記タイムアドバンス期間を識別することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面を参照して以下のとおりさまざまな実施形態を説明する。
【0022】
図1A図1Aは、メイン受信機がウェイクアップ信号受信およびページング信号受信の両方のために動作する構成による、同期信号送信ならびにページングおよびウェイクアップの時点を示す。
図1B図1Bは、別の受信機がウェイクアップ信号受信のために動作し、メイン受信機がページング信号受信のために動作する構成による、同期信号送信ならびにページングおよびウェイクアップの時点を示す。
図2図2は、DRXサイクルを共有しているがページング時点は異なる、2つの端末の同期信号の送信ならびにページングおよびウェイクアップの時点を示す。
図3A図3Aは、メイン受信機がウェイクアップ信号受信およびページング信号受信の両方のために動作する構成による、ページング時点に先立つタイムアドバンス期間の定義を示す。
図3B図3Bは、別の受信機がウェイクアップ信号受信のために動作し、メイン受信機がページング信号受信のために動作する設定による、ページング時点に先立つタイムアドバンス期間の定義を示す。
図4A図4Aは、同期信号送信がDRX周期の半分の期間で提供される、ページング時点に先立つタイムアドバンス期間を示す。
図4B図4Bは、同期信号送信がDRX周期の期間の4分の1の期間で提供される、ページング時点に先立つタイムアドバンス期間を示す。
図5図5は、さまざまな実施形態に従って構成された端末に含まれる要素を概略的に示す。
図6図6は、さまざまな実施形態に従って構成されたアクセスノードに含まれる要素を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態が示された添付の図面を参照して、本発明をより完全に説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具体化し得るものであり、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は本開示が十分かつ完全であるように、かつ本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。
【0024】
ある要素が別の要素に「接続されている」と呼ばれる場合、それは他の要素に直接接続でき、または介在する要素が存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続されている」と呼ばれる場合は、介在する要素は存在しない。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指称する。さらに、本明細書では、さまざまな要素を記載するために第1、第2などの用語が使用され得るが、これら要素は、これらの用語によって限定されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、「および/または」の用語は、関連して列挙された項目の1つまたは複数のあらゆるすべての組み合わせを含むものである。
【0025】
周知の機能または構造は、簡潔さおよび/または明確さのために、詳細には説明されない場合がある。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書において定義されているような用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化された、または本明細書で明示的に定義されている過度に形式的な意味には解釈されないであろうことが理解される。
【0026】
本発明の実施形態は、本明細書では、本発明の理想化された実施形態の概略図を参照して記載されている。したがって、例えば、製造技術および/または公差の結果として、図の形状および相対的な寸法からの変動が予想されるべきである。こうして、本発明の実施形態は、本明細書に示される領域の特定の形状および相対的寸法に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、異なる操作上の制約および/または製造上の制約から生じる形状および/または相対的寸法の偏差をも含むべきである。したがって、図に示された要素は本質的に概略的なものであり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を説明することを意図しておらず、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0027】
本明細書では、マシンタイプ通信用の3GPP無線通信システムで用いるために一般に適したさまざまな実施形態が概説されるが、ページングの開始に使用可能なウェイクアップ信号で動作する如何なるタイプの無線通信システムも、提案された解決策を使用することができる。このため、端末またはUEという用語は、一般に、例えば、アクセスネットワークとの無線通信によって接続可能な無線装置を示すために使用され、またアクセスノードまたは基地局の用語は、特定のセルまたはカバレッジエリア内の端末への無線アクセスを提供するように構成されたアクセスネットワークのノードを示すために使用される。
【0028】
大まかに言えば、無線ネットワークのアクセスノードからアイドルモードにある端末に信号を送るためのソリューションが提供され、ここでの端末は不連続受信(DRX)で動作するように構成され、またDRXサイクルのページング時点(PO)でページングが予定されている場合は、ネットワーク端末からのウェイクアップ信号(WUS)に反応し得る。より詳細に言えば、この提案は、同期信号、例えば端末におけるページング時点においてWUSまたは制御チャネルを検出するために使用できるeSS、WUS、およびPOの間の時間関係を制御するために、3GPP仕様に新しい機能を追加することである。これには、DRX周期またはサイクルに関連付けられた送信周期で、同期信号を反復送信することが含まれる。
【0029】
さまざまな実施形態において、eSSの周期性は、POサイクルまたはDRX持続時間の関数であり、例えば、eSS周期性はPOサイクルの倍数、言い換えれば、DRX持続時間の一部である。さまざまな実施形態において、反復される同期信号の送信周期は、DRX周期の分数1/kであり、ここでのkは整数、例えば、k=1、2、3、…、nである。換言すれば、DRX周期ごとにkeSS周期が存在する。さまざまな実施形態において、3GPP仕様は、セル固有のDRX持続時間の関数であるeSS周期性の上限を含み得ることが提案されている。一実施形態において、同期信号eSSの送信周期は、DRX周期に等しいか、またはそれよりも短い。このようにして、この仕様は、UEが少なくとも所与の期間、例えばPOに先立つページングサイクルの持続時間内に、eSS送信を見つけ得ることを保証するであろう。
【0030】
図3Aおよび3Bは、さまざまな実施形態によるシグナリングの構成を示しており、ここではタイムアドバンス期間が定義されている。タイムアドバンスは、端末が受信をアクティブにする必要がある場合、UEが潜在的なページングメッセージを受信してデコードする準備を完全に整えるように、ページングの前の期間を定義する。我々は、このタイムアドバンス期間Tadvを制御するパラメータが、3GPP技術仕様において指定できることを提案する。詳細に言えば、eSS周期性およびWUSタイミングのネットワーク構成が最小タイムアドバンス値Tadvを保証することをUEが期待できる旨を記載するように、3GPP仕様は制限を含み得る。
【0031】
一実施形態において、タイムアドバンス持続時間Tadvは、少なくとも最大eSS長および最大WUS長の合計を含む関数である。一実施形態において、Tadvは、遷移時間Ttrも追加する関数であり得るものであり、ここでの遷移時間には、端末が1つの動作状態から別の動作状態に変化するのに必要な時間、すなわち、Tgapsが含まれる。さまざまな実施形態において、タイムアドバンス持続時間は、
【0032】
【数1】
【0033】
によって与えられる。
【0034】
eSSを検出するために必要な最大持続時間maxlength(TeSS)は、例えば、アクセスノードによる特定のシナリオに基づいた、同期信号の決定された必要な端末受信に依存する値であり得る。これは、最悪の場合のシナリオでのように、そのアクセスノードがサービスを提供するセルの特定の標的カバレッジエリアに基づき得る。前記最大持続時間maxlength(TeSS)は、少なくともeSSの周期性に依存し、好ましくは各eSS同期信号送信の持続時間にも依存する。eSSは、eNBによって定期的に送信される信号である。実装の観点からは、UEが、必要とする数のeSSを使用することに対する制限はない。ここでのmaxlength(TeSS)は、UEが消費電力を最小化すると予想される最大期間を指す。DRX周期の整数の分数など、DRX周期に関連付けられた送信周期でeSSが反復される実施形態では、maxlength(TeSS)もまた、DRX周期性と相関している。最大持続時間max(Twus)は、端末に対してSIBで構成され、ネットワークによってまたは仕様によって構成され得る。eSSが送信されない場合でも、例えば、セルがeSS送信を用いて構成されていない場合、例えば、UEがWUSおよび/またはPSS/SSS、CRSなどの他のダウンリンク信号に基づいて同期を実行する場合には、同期のための信号を検出するのに必要な時間が存在する可能性がある。したがって、eSSがなくても、例えばWUSとPOにおけるページング表示(MPDCCH送信)との間のタイミング構成に対する持続時間および制限を決定する必要がある。このタイミング構成は、例えば、システム情報の一部としてUEに通知される必要がある。
【0035】
Congig.1およびConfig.2の2つの構成に応じて、遷移時間Ttrは異なることがあり得る。
【0036】
Config.1において、Ttrはsum(Tgap1+Tgap2)を含み得るものであり、ここでのTgap1およびTgap2は、UEが1つの動作状態から別の動作状態に変化するために必要な最小値である。
【0037】
Config.2において、Ttrは、sum(Tgap1_LP+Tgap3_LP)を含み得る。タイムギャップTgap1_LPおよびTgap3_LPは、同じ値に設定され得る。タイムギャップTgap1_LPは、Tgap1と比較して、UEが新無線、すなわちメイン受信器をオンにする必要があるので、より高い値に設定する必要がある。
【0038】
さらに、Ttrは、無線受信機の状態を「オフ」から「オン」に変更する時間だけでなく、微周波数同期、チャネル推定、MPDCCH受信前のドップラー推定(この文脈でのページング表示)などに必要な時間も考慮した値を表し得る。一実施形態において、Ttrは、指定されたパラメータに基づいて、および設定(設定1または2)に基づいて、eNBによって決定され得る。別の実施形態では、Ttrは、3GPP仕様によって事前に決定され得る。
【0039】
ネットワークが適切なタイムアドバンスTadvを構成するために、ネットワークには、Config.1または2に関して、UE実装のタイプを知るという利点があるであろう。何故なら、このような構成に応じて異なる時間ギャップが必要になるからである。これは、例えば、UEがその能力を、例えば特定のUE機能として、または他のRRCシグナリングを介して当該ネットワークに示した場合に実現することができる。PO、WUS時点、およびeSS送信の構成が、WUS構成およびその後のeSS送信との間に十分な時間があるとみなされるようなものでなければ、ネットワークは当該端末に対して、そのConfig.2が動作していないことを通知し得る。あるいは、アクセスノードは、Config.1とConfig2の両方が当該セルにおいて動作するように、その構成を更新し得る。
【0040】
図4Aおよび4Bは、Config.1の下で動作する端末のDRXアイドルモードでの動作を概略的に示しており、MPDCCHページング時点POは、端末のアクセスノードによって決定される。この図は、タイムアドバンス持続時間Tadvと、DRX周期を示している。さらに、eSS送信の時点は、DRX周期に関連付けられた送信周期を有する最も狭いボックスとして示されるが、WUS時点は、各POに関連して示される。決定されたmaxlength(TeSS)、WUS持続時間、および場合によっては追加の遷移時間を考えると、タイムアドバンス持続期間には3つのeSS送信が含まれ、これらは適切なeSS検出がWUSをデコード化できるようにするために必要とみなされる。
【0041】
図4Aの例では、eSS送信周期は、係数2、または分数1/2でDRX周期に関連付けられている。すなわち、eSS周期はDRX周期の1/2倍である。タイムアドバンスTadvはDRX周期よりも大きいので、信号が受信されたら、WUSを安全にデコードできるようにするために、端末はやはり、すべてのeSS信号を受信するように受信機をアクティブ化することを必要とされる可能性がある。
【0042】
図4Bの例では、eSS送信周期は、係数4、または分数1/4でDRX周期に関連付けられている。すなわち、eSS周期はDRX周期の1/4倍である。3つのeSS信号のみが必要とみなされ、タイムアドバンス持続時間Tadvを有する期間をカバーするので、端末は、信号が受信されたら、やはりWUSをデコードするために、WUSとPOの間で発生するeSS信号を受信するために受信機をアクティブにする必要はない。さらに短いeSS送信周期については、端末がこれら送信の多くを無視する可能性がある。ある時点において、TadvはWUSおよびTtrの持続時間によって制限され、eSS周期をさらに短縮しても、端末の消費電力には何のメリットもない。
【0043】
アクセスノードから信号を受信する端末が、本明細書で提案される解決策に従ってその受信機の起動を適切に設定するために、ネットワークは、端末受信のためのシステム情報を送信するように構成されてもよく、そのシステム情報は、前記タイムアドバンス持続時間を識別する。当該端末は、例えばSIBで構成される。このシステム情報は、さまざまな方法のうちの1つで提供されてもよく、その幾つかの例は本明細書で提供される。一実施形態では、Tadv、またはTadvを識別するコードを具体的に提供され得る。Tadvは、特定の時点、例えばPOに関連付けられた開始時点または別の時点より前に適用される持続時間として提供され、または識別される場合がある。あるいは、Tadvは、そこから当該端末がその受信機を起動できる時間スロットまたは時点として提供され得る。
【0044】
他の実施形態では、maxlength(TeSS)、またはこの持続時間を識別するコードが具体的に提供され得る。さらに別の実施形態において、アクセスノードは、eSSを検出するために受信する幾つかのeSS信号の表示およびeSSの周期性、例えば送信周期は、SIBで構成することもでき、その他の方法、例えばRRCにおいて通知することもできる。これらの例の任意の組み合わせもまた可能である。前述のように、WUS持続時間もSIBで構成されることが好ましく、Ttrは、仕様によって事前に決定でき、したがって、端末において事前に構成された値、またはSIBでも構成できる。この情報を用いて、当該端末は、計算またはテーブルへのマッピングによりTadvを決定するように構成できる。
【0045】
図5は、本明細書に提示したような無線通信システムで使用するための端末1を概略的に示している。端末1は、3GPPのeMTCまたはNb-IoTに関連付けられた仕様の下で動作する端末のような、マシンツーマシンタイプの装置として構成され得る。当該端末が、少なくとも1つのアンテナ、電源、ケーシングのような図面に示されたもの、または本明細書に記載されたもの以外の特徴および要素を含み得ることが明らかである。
【0046】
端末1は、例えば、無線アクセスネットワークRANのアクセスノード10と通信するように構成され得るものであり、少なくとも、エアインターフェースを介してネットワークノード10と通信するための、無線受信機および送信機のようなトランシーバ2を具備する。さまざまな実施形態において、端末1は、WUS検出のための低電力受信機として動作するように構成された追加の受信機2Aを含み得る。端末1は、コンピュータプログラムコードを保持する不揮発性メモリ等のデータメモリ4と、マイクロプロセッサ等の処理装置5とを含む制御ユニット3をさらに具備する。これにより、処理装置5は、メモリ4からのコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、制御ユニット3は端末1を制御して、本明細書で提供される方法ステップの何れかを実行するように構成される。
【0047】
一実施形態において、前記端末は、無線ネットワークのアクセスノードからの信号を検出するためにアイドルモードで動作するように構成され得るものであり、
アクセスノードから構成を受信し、不連続受信DRX周期に関連付けられたページング時点およびウェイクアップ信号時点を識別することと、
前記アクセスノードから情報を受信し、タイムアドバンス持続時間を識別することと、
各ページング時点に先立って、前記タイムアドバンス持続時間の期間に亘って、前記端末における無線信号受信機を起動することと、を含む。
【0048】
さまざまな実施形態において、前記端末は、ウェイクアップ信号が検出されない場合、前記タイムアドバンス持続時間の期間内には前記無線信号受信機を選択的に起動し、前記タイムアドバンス期間の期間外には前記無線受信機を選択的に起動解除するように構成され得る。
【0049】
さまざまな実施形態において、前記端末は、前記タイムアドバンス持続時間の期間内において同期信号を選択的に検出し、前記タイムアドバンス持続時間の期間外では同期信号を無視するように構成され得る。
【0050】
前記タイムアドバンス持続時間中にウェイクアップ信号が検出された場合、前記端末は、前記タイムアドバンス持続時間に続くページング時点において、ページングメッセージを検出するように構成され得る。
【0051】
前述のように、同期信号、ウェイクアップ信号、およびページング信号の検出は、Config.1ではメイン受信器によって実行され得るのに対して、Config2では、少なくとも前記ウェイクアップ信号は補助受信機によって受信され得る。
【0052】
端末1の処理装置5は、1つまたは複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、データプロセッサ、コプロセッサ、および/または、命令および/またはデータを解釈および/または実行する他のタイプのコンポーネントを含み得る。処理装置5は、ハードウェア(例えば、マイクロプロセッサなど)として、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせ(例えば、システムオンチップ(System-On-Chip:SOC)、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit:ASIC)など)として実装され得る。処理装置5は、オペレーティングシステムおよび/またはさまざまなアプリケーションまたはプログラムに基づいて、1つまたは複数の操作を実行するように構成され得る。
【0053】
データメモリ4は、1つまたは複数のメモリおよび/または1つまたは複数の他のタイプの記憶媒体を含み得る。例えば、データメモリ4は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory:DRAM)、キャッシュ、読み取り専用メモリ(Read Only Memory:ROM)、プログラム可能な読み取り専用メモリ(Programmable Read Only Memory:PROM)、フラッシュメモリ、および/または他のタイプのメモリを含み得る。データメモリ4は、ハードディスク(例えば、磁気ディスク、光ディスク、磁気光学ディスク、ソリッドステートディスク等)を含み得る。
【0054】
前記コンピュータプログラムコードによって定義されるソフトウェアは、機能および/またはプロセスを提供するアプリケーションまたはプログラムを含み得る。ソフトウェアは、装置ファームウェア、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、または制御ユニット3で実行され得るさまざまなアプリケーションを含み得る。
【0055】
図6は、本明細書に提示される無線通信システムで使用するための、3GPP下の無線ネットワークなどの無線ネットワークのアクセスノード10を概略的に示す。したがって、アクセスノード10は、無線アクセスネットワークRANの一部を形成し、好ましくは、コアネットワークへのインターフェース13を有する。アクセスノード10は、例えば、無線による端末通信のために少なくとも無線インターフェース17を備える。当該アクセスノードは、コンピュータプログラムコードを保持する不揮発性メモリ等のデータメモリ15、および処理装置16、例えばコンピュータプログラムコードを実行するように構成された1つまたは複数のマイクロプロセッサをさらに含む。これにより、制御ユニット14はネットワークノード10を制御して、本明細書で概説するステップのすべてを実行するように構成される。具体的に言えば、前記アクセスノードは、そのカバレッジエリア内における端末のDRX周期性に従って、DRX周期性およびページング時点を決定するように構成され得る。アクセスノード10は、前記ページング時点に関連付けられたWUS時点をさらに決定し、端末のページング時点においてWUSまたは制御チャネルを検出するために使用可能な同期信号eSSを送信するように構成することができ、この同期信号は、前記DRX周期に関連付けられた送信周期で反復送信される。
【0056】
処理装置16およびデータメモリ15は、例えば、処理装置5およびデータメモリ4についてそれぞれ概説した特徴に従って構成され得る。
【0057】
特許請求の範囲の用語の範囲内にある方法および装置を実現するさまざまな方法を説明するために、例として、さまざまな実施形態を本明細書において開示してきた。したがって、示唆されたソリューションは、eSSのような同期信号送信およびページング送信のタイミング関係を制御する方法を提供し、eSS送信の間の期間はDRX間隔または期間の関数である。このようにして、サポートされたeSS周期性およびDRX間隔のマッピングが導入される。さらに、持続時間ウィンドウTadvが提供され、eSS、WUS、およびMPDCCHページング送信の間に、それぞれタイムギャップを形成することが可能になる。特に断りのない限り、記載された実施形態、またはそれら実施形態に関連する特徴は、組み合わせることができる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6