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特許7387638ポリスクシンイミド誘導体ベースのマイクロカプセルを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】ポリスクシンイミド誘導体ベースのマイクロカプセルを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/16 20060101AFI20231120BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20231120BHJP
   C08G 18/64 20060101ALI20231120BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/00 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
B01J13/16
C11D3/50
C08G18/64 038
A61Q13/00 102
A61K8/11
A61K8/88
A61K8/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020562211
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019074949
(87)【国際公開番号】W WO2020058305
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】18195506.3
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ パレ
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ベルティエ
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/115330(WO,A1)
【文献】特開2007-161716(JP,A)
【文献】特表2018-507298(JP,A)
【文献】特開2007-246423(JP,A)
【文献】特開平08-030040(JP,A)
【文献】特開2004-025099(JP,A)
【文献】特開2000-159888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0049055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/00-13/22
C11D 3/50
C08G 18/64
A61Q 13/00
A61K 8/11
A61K 8/88
A61K 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
a) 少なくとも1つの多官能性モノマーを、疎水性材料中で溶解して、油相を形成するステップ、
b) ステップa)において得られた油相をポリスクシンイミド誘導体を含む水溶液中で溶解して、水中油形エマルションを形成するステップ、及び
c) 硬化ステップを実施して、スラリーの形でコアシェルマイクロカプセルを形成するステップ
を含む、コアシェルマイクロカプセルスラリーを製造するための方法。
【請求項2】
ポリスクシンイミド誘導体が、少なくとも1つのアミンを少なくとも1つのスクシンイミド繰り返し単位にグラフトさせることによって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミンが、1-ドデシルアミン(DDA)、1-デシルアミン、ドーパミン、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノ-プロパン-1-オール、6-アミノ-ヘキサン-1-オール及びそれらの混合物からなる群において選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ポリスクシンイミド誘導体が、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-エチルアスパルタミド)、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ブチルアスパルタミド)、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ヘキシルアスパルタミド)、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)-コ-ポリ(3,4-ジヒドロキシベンジルアスパルタミド)、及びそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ポリスクシンイミド誘導体が、ステップb)において得られるエマルションの全質量に対して、0.1~5質量%である量で使用される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
多官能性モノマーを0.5~10%の量で使用することを特徴とし、ここでそれらパーセンテージが油相の全質量に対する質量によって定義される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
油相中の多官能性モノマーが、少なくとも1つのポリイソシアネート、ポリ無水物、ポリ塩化アシル、ポリエポキシド、アクリレートモノマー、ポリアルコキシシラン、及びそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
モノマーが、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
水相が、ポリアミン、ポリオール、又はそれらの混合物からなる群において選択される反応物を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
以下、
- 疎水性材料を含む油状物ベースのコア、及び
- 多官能性モノマーとポリスクシンイミド誘導体との反応から形成されるシェル
を含むコアシェルマイクロカプセル。
【請求項11】
マイクロカプセルのゼータ電位が、-50~-120mVである、請求項10に記載のマイクロカプセル。
【請求項12】
以下、
(i)求項10又は11において定義したマイクロカプセルであって、水性材料が香料を含む香料マイクロカプセル、
(ii) 香料キャリヤー及び香料ベースからなる群から選択される成分の少なくとも1つ、並びに
(iii) 任意に香料補助剤の少なくとも1つ
を含む、付香組成物。
【請求項13】
以下、
(a) パーソナルケア活性ベース、及び
(b) 請求項10又は11において定義したマイクロカプセル又は請求項12において定義した付香組成物
を含む消費者製品であって、パーソナルケア組成物の形である、消費者製品。
【請求項14】
以下、
(a) ホームケア又は布地ケア活性ベース、及び
(b) 請求項10又は11において定義したマイクロカプセル又は請求項12において定義した付香組成物
を含む消費者製品であって、ホームケア又は布地ケア組成物の形である、消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスクシンイミド誘導体ベースのマイクロカプセルの製造のための新規の方法に関する。マイクロカプセルは本発明の目的でもある。前記マイクロカプセルを含有する付香組成物及び消費者製品、特にホームケア製品又はパーソナルケア製品の形での着香消費者製品も、本発明の一部である。
【0002】
背景技術
香料業界により直面する問題の1つに、芳香性化合物の揮発性、特に「トップノート」の揮発性による、芳香性化合物によって提供される嗅覚に関する利益の比較的早い損失がある。揮発分の放出速度を調整するために、デリバリーシステム、例えば香料を含有するマイクロカプセルは、トリガーとなった場合にコアペイロードを保護し、そして後に放出することを要求する。それらのシステムに関する香料業界からの重要な要求は、物理的に分離又は分解することなく、厳しいベースにおいて懸濁液を維持することである。これは、デリバリーシステムについての安定性と言われる。例えば、高レベルの強い界面活性洗剤を含有するフレグランス付与した個人用クレンザー及び家庭用クレンザーは、マイクロカプセルの安定性について非常に厳しい。
【0003】
ポリウレア及びポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーは、例えば種々の気体に適用した後に長続きする心地よい嗅覚効果を提供するために、例えば香料業界において広く使用されている。それらのマイクロカプセルは、先行技術において広く開示されている(例えば、出願人による国際公開第2007/004166号(WO2007/004166)、又は欧州特許第2007/004166号明細書(EP 2300146)を参照されたい)。
【0004】
したがって、マイクロカプセルの性能を損なうことなく、特に興味深い媒体、例えば消費者製品ベースにおける安定性の観点から、並びに堆積又は活性成分の送達に関して良好な性能、例えば付香成分の場合に嗅覚性能を提供するという観点から、新規のマイクロカプセルを提供する必要が依然としてある。
【0005】
本発明は、ポリスクシンイミド誘導体が界面重合中に多官能性モノマーと反応するマイクロカプセルを製造するための新規のプロセスに基づいて、前記した問題に対する解決策を提案している。
【0006】
発明の要旨
驚くべきことに、疎水性材料、好ましくは活性成分をカプセル化したコアシェルマイクロカプセルを、界面重合中に多官能性モノマーをポリスクシンイミド誘導体と反応させることによって得ることができることが見出された。したがって、本発明のプロセスは、特に堆積に関して、良好な性能を備えたマイクロカプセルを製造することを可能にして、前記した問題に対する解決策を提供する。
【0007】
第一の態様において、本発明は、以下のステップ:
a) 少なくとも1つの多官能性モノマーを、疎水性材料、好ましくは香料中で溶解して、油相を形成するステップ、
b) ステップa)において得られた油相をポリスクシンイミド誘導体を含む水溶液中で溶解して、水中油形エマルションを形成するステップ、及び
c) 硬化ステップを実施して、スラリーの形でコアシェルマイクロカプセルを形成するステップ
を含む、コアシェルマイクロカプセルスラリーの製造方法に関する。
【0008】
第二の態様において、本発明は、前記で定義した方法により得られるコアシェルマイクロカプセルスラリーに関する。
【0009】
本発明の第三の態様は、
- 疎水性材料を含む油状物ベースのコア、及び
- 多官能性モノマーとポリスクシンイミド誘導体との反応から形成されるシェル
を含むコアシェルマイクロカプセルである。
【0010】
以下、
(i) 油状物が香料を含む、前記で定義したマイクロカプセル、
(ii) 香料キャリヤー及び香料補助成分からなる群から選択される成分の少なくとも1つ、並びに
(iii) 任意に香料補助剤の少なくとも1つ
を含む付香組成物は、本発明の他の目的である。
【0011】
以下、
- 活性のあるベース、及び
- 前記で定義したマイクロカプセル又は付香組成物
を含む消費者製品であって、それぞれパーソナルケア組成物又はホームケア組成物の形である消費者製品も、本発明の一部である。
【0012】
発明の詳細な説明
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、カプセルHのUVフィルターを使用した光学顕微鏡観察を示す。
図2図2は、洗剤粉末における本発明によるマイクロカプセルの堆積性能を示す。
【0014】
特に明記されない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の質量百分率を示すことを意味する。
【0015】
「多官能性モノマー」は、単位として、化学的に反応又は結合してポリマー又は超分子ポリマーを形成する分子を意味する。本発明の多官能性モノマーは、マイクロカプセルシェルを形成することができる少なくとも2つの官能基を有する。
【0016】
「ポリスクシンイミド誘導体」は、アスパラギン酸の重縮合物の誘導体を意味する。
【0017】
好ましくは、ポリスクシンイミド誘導体は、少なくとも1つのアミンを少なくとも1つのスクシンイミド繰り返し単位にグラフトさせ、続いて任意に加水分解することによって得られる。
【0018】
「スクシンイミド繰り返し単位」は、以下の式における括弧内の単位により示される:
【化1】
【0019】
ポリスクシンイミド誘導体の置換度は、好ましくは5~95mol%、より好ましくは5~60mol%、さらにより好ましくは5~40mol%の範囲である。
【0020】
本発明に従って、「アミン」又は「アミン化合物」という用語は、区別なく使用される。
【0021】
「疎水性材料」に関しては、水と混合した場合に二相分散液を形成する材料を意味する。本発明に従って、疎水性材料は、溶媒又は活性成分のような「不活性」材料であってよい。
【0022】
「活性成分」に関しては、単一の化合物又は成分の組み合わせを意味する。
【0023】
「香油又はフレーバー油」に関しては、単一の付香もしくはフレーバー付与する化合物、又はいくつかの付香もしくはフレーバー付与する化合物の混合物を意味する。
【0024】
「消費者製品」又は「最終製品」に関しては、消費者により配布、販売及び使用するために準備された製造した製品を意味する。
【0025】
明確性の理由から、本発明における「分散剤」の表現に関しては、粒子が、種々の組成物の連続相中で分散される、特に懸濁液又はエマルションを包含する系を意味する。
【0026】
多官能性モノマーが界面重合中にポリスクシンイミド誘導体と反応する場合に、全体的に良好な性能、すなわち異なる表面への活性成分の良好な堆積を有するコアシェルマイクロカプセルが得られることが見出された。
【0027】
マイクロカプセルスラリーの製造方法
したがって、本発明は、第一の態様における、
a) 少なくとも1つの多官能性モノマーを、疎水性材料、好ましくは香料中で溶解して、油相を形成するステップ、
b) ステップa)において得られた油相をポリスクシンイミド誘導体を含む水溶液中で溶解して、水中油形エマルションを形成するステップ、及び
c) 硬化ステップを実施して、スラリーの形でコアシェルマイクロカプセルを形成するステップ
を含む、コアシェルマイクロカプセルスラリーの製造方法に関する。
【0028】
前記方法の1つのステップにおいて、油相を、少なくとも1つの疎水性材料と少なくとも1つの多官能性モノマーとを混合することによって形成する。
【0029】
多官能性モノマー:一実施形態に従って、多官能性モノマーは、少なくとも1つのポリイソシアネート、ポリ無水物、例えばポリ無水マレイン酸;ポリ塩化アシル;ポリエポキシド;アクリレートモノマー、例えばポリアクリレートモノマー、ポリメタクリレート;ポリアルコキシシラン、及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0030】
ポリ酸クロリド(poly acid chloride)及びポリアシルクロリドを、本発明において区別なく使用する。
【0031】
本発明による方法において使用される多官能性モノマーは、油相の合計量に対して、0.1~15質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.8~6質量%、さらにより好ましくは1~3質量%に相当する量で存在する。
【0032】
特定の実施形態に従って、ステップa)において添加されるモノマーは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートである。
【0033】
本発明によって使用される適したポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及びそれらの混合物を含む。前記ポリイソシアネートは、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、しかし6つまで、又はさらに4つのみのイソシアネート官能基を含む。特定の実施形態に従って、トリイソシアネート(3つのイソシアネート官能基)を使用する。
【0034】
一実施形態に従って、前記ポリイソシアネートは芳香族ポリイソシアネートである。
【0035】
「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、ここでは、芳香族部分を含むあらゆるポリイソシアネートを包含することを意味する。好ましくは、芳香族部分は、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチル又はジフェニル部分であり、より好ましくは、トルイル又はキシリル部分である。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ビウレット、ポリイソシアヌレート、及びジイソシアヌレートのトリメチロールプロパン付加物であり、より好ましくは、前記特定の芳香族部分の1つを含有する。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(商標名Desmodur(登録商標)RCでBayer社から市販されている)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商標名Desmodur(登録商標)L75でBayer社から市販されている)、キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商標名Takenate(登録商標)D-110NでMitsui Chemicals社から市販されている)である。最も好ましい実施形態において、芳香族ポリイソシアネートは、キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0036】
他の実施形態に従って、前記ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、あらゆる芳香族部分を含まないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Mitsui Chemicals社から市販されている)又はヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(商標名Desmodur(登録商標)N 100でBayer社から市販されている)であり、中でもヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがさらにより好ましい。
【0037】
他の実施形態に従って、少なくとも1つのポリイソシアネートは、双方とも少なくとも2つ又は3つのイソシアネート官能基を含む、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物の形である。最も好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。好ましくは、混合物として使用される場合に、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとのモル比は、80:20~10:90の範囲である。
【0038】
一実施形態に従って、本発明の方法において使用される少なくとも1つのポリイソシアネートは、油相の合計量に対して、0.1~15質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.8~6質量%、さらにより好ましくは1~3質量%に相当する量で存在する。
【0039】
疎水性材料:一実施形態に従って、疎水性材料は、活性成分である。
【0040】
本発明において使用される活性成分は、好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、昆虫防除剤、殺生物活性剤(biocide actives)及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
「活性成分」に関しては、溶媒、例えば水と混合した場合に二相の分散液を形成する任意の活性成分(単一成分又は成分の混合物)を意味する。本発明の活性成分は疎水性である。
【0042】
活性成分は、好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、有害生物防除剤、殺生物活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
特定の実施形態に従って、活性成分は、香料と、機能性食品、化粧品、有害生物防除剤及び殺生物活性剤からなる群から選択される他の成分との混合物である。
【0044】
特定の実施形態に従って、活性成分は、殺生物活性剤と、香料、機能性食品、化粧品、有害生物防除剤からなる群から選択される他の成分との混合物である。
【0045】
特定の実施形態に従って、活性成分は、有害生物防除剤と、香料、機能性食品、化粧品、殺生物活性剤からなる群から選択される他の成分との混合物である。
【0046】
特定の実施形態に従って、活性成分は、香料を含む。
【0047】
特定の実施形態に従って、疎水性活性成分は、香料からなる。
【0048】
特定の実施形態に従って、活性成分は、殺生物活性剤からなる。
【0049】
特定の実施形態に従って、活性成分は、有害生物防除剤からなる。
【0050】
「香料」(又は「香油」)に関して、ここでは、約20℃で液体である成分又は組成物を意味する。前記実施形態のいずれか1つに従って、前記香油は、付香組成物の形での付香成分のみ又は付香成分の混合物であってよい。「付香成分」としては、ここでは、においを付与又は調整する主な目的のために使用される化合物を意味する。言い換えれば、付香成分であると考えられるべきかかる成分は、ポジティブ又は好ましい方法で組成物のにおいを少なくとも付与又は改質することができ、単に1つのにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。本発明の目的のために、香油は、共に付香成分の送達を改善する、高める又は改質する物質を有する付香成分、例えば香料前駆体、エマルション又は分散液の組み合わせ物、及びにおいを改質又は付与する以上の追加の利点、例えば長続きすること、ブルーミング、悪臭中和、抗菌効果、微生物の安定性、有害生物の制御を付与する組み合わせ物も含む。
【0051】
いずれにしても網羅的とはならないであろう油相中に存在する付香成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果に従って、前記ベースを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ該付香補助成分は、天然又は合成由来のものであってよい。これらの補助成分の多くは、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。前記成分は、制御された方法で種々のタイプの付香成分を放出することが公知の化合物であってもよいとも解される。
【0052】
付香成分は、香料産業において現在使用している溶媒中で溶解されてよい。前記溶媒は好ましくはアルコールではない。かかる溶媒の例は、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastman社から入手可能)、ベンジルベンゾエート、エチルシトレート、リモネン又は他のテルペン、もしくはイソパラフィンである。好ましくは、前記溶媒は、非常に疎水性であり、高次に立体障害されているもの、例えばAbalyn(登録商標)又はベンジルベンゾエートである。好ましくは、香料は、30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、香料は、20%未満、及びさらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、全てのこれらのパーセンテージは、香料の全質量に対する質量で定義される。より好ましくは、香料は実質的に溶媒を有さない。
【0053】
「殺生物剤」という用語は、生物(例えば、微生物)を殺すか、又はそれらの成長及び/又は蓄積を低減又は防止することができる化学物質をいう。殺生物剤は、医学、農業、林業において、並びに例えば水、種子を含む農産物、及び石油パイプラインの汚れを防ぐ産業において慣用的に使用される。殺生物剤は、殺菌剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤及び殺鼠剤を含む殺虫剤;並びに/又は抗菌剤、例えば殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤及び/又は抗寄生虫剤であってよい。
【0054】
本明細書において使用されるように、「有害生物駆除剤」は、有害生物を忌避又は誘引して、それらの成長、発達又はそれらの活性を減少、阻害又は促進するのに役立つ物質を示す。有害生物は、動物、植物又は真菌に関わらず、植物又は動物に侵襲性又は厄介であるあらゆる生物を示し、有害生物は、昆虫、特に節足動物、ダニ、クモ、真菌、雑草、細菌、及び他の微生物を含む。
【0055】
好ましい付香成分は、高次立体障害を有するもの、及び特に次の群の1つからのものである:
- 群1:少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖のC1~C4アルキル又はアルケニル置換基で置換された、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサノン環又はシクロヘキセノン環を含む付香成分;
- 群2:少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖のC4~C8アルキル又はアルケニル置換基で置換された、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロペンタノン環又はシクロペンテノン環を含む付香成分;
- 群3:フェニル環を含む付香成分、又は少なくとも1つの直鎖又は分枝鎖のC5~C8アルキル又はアルケニル置換基でもしくは少なくとも1つのフェニル置換基及び任意に1つ以上の直鎖又は分枝鎖のC1~C3アルキル又はアルケニル置換基で置換された、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサノン環又はシクロヘキセノン環を含む付香成分;
- 群4:少なくとも2つの縮合した又は連結したC5環及び/又はC6環を含む付香成分;
- 群5:樟脳のような環構造を含む付香成分;
- 群6:少なくとも1つのC7~C20環構造を含む付香成分;
- 群7:logP値約3.5を有し、少なくとも1つのtert-ブチル又は少なくとも1つのトリクロロメチル置換基を含む付香成分。
【0056】
それぞれの上記群からの成分の例は以下である:
- 群1: 2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、Romascone(登録商標)(メチル 2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボキシレート、供給源:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルペニルアセテート、ジヒドロテルペニルアセテート、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、Perycorolle(登録商標)((S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、Doremox(登録商標)(テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、シクロヘキシルアセテート、シクラノールアセテート、Fructalate(登録商標)(1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Koumalactone(登録商標)((3ARS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Natactone(登録商標)((6R)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;
- 群2: (E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(供給元:Givaudan SA、Vernier、Switzerland)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Polysantol(登録商標)((1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、フルーラモン(fleuramone)、Hedione(登録商標)HC(メチル-シス-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Veloutone(登録商標)(2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Nirvanol(登録商標)(3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(供給元:Givaudan SA、Vernier、Switzerland);
- 群3: ダマスコン、Neobutenone(登録商標)(1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、ネクタラクトン((1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン)、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、ダマスセノン、Dynascone(登録商標)(1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンとの混合物、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Dorinone(登録商標)ベータ(1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Romandolide(登録商標)((1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(供給元:International Flavors and Fragrances、USA)、Limbanol(登録商標)(1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、テルペニルイソブチレート、Lorysia(登録商標)(4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、8-メトキシ-1-p-メンテン、Helvetolide(登録商標)((1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、パラtert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アリルシクロヘキシルプロピオネート、シクロヘキシルサリチレート、2-メトキシ-4-メチルフェニルメチルカーボネート、エチル2-メトキシ-4-メチルフェニルカーボネート、4-エチル-2-メトキシフェニルメチルカーボネート;
- 群4: メチルセドリルケトン(供給元:International Flavors and Fragrances、USA)、ベルジレート(Verdylate)、ベチベロール、ベチベロン、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(供給元:International Flavors and Fragrances、USA)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン及び(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(供給元:International Flavors and Fragrances、USA)、Hivernal(登録商標)(3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Rhubofix(登録商標)(3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデセ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、9/10-エチリジン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、Polywood(登録商標)(ペルヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、オクタリノール、Cetalox(登録商標)(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセ-3-エン-8-イルアセテート及びトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセ-4-エン-8-イルアセテート並びにトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセ-3-エン-8-イルプロパノエート及びトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセ-4-エン-8-イルプロパノエート、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン;
- 群5: 樟脳、ボルネオール、イソボルニルアセテート、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクテ-5-エン-2-カルバルデヒド、カンフォピネン、セドランバー(8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、セドレン、セドレノール、セドロール、Florex(登録商標)(9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンとの混合物、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland);
- 群6: Cedroxyde(登録商標)(トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Ambrettolide LG((E)-9-ヘキサデセン-16-オリド、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Habanolide(登録商標)(ペンタデセノリド、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、ムセノン(3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、ムスコン(供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Exaltolide(登録商標)(ペンタデカノリド、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、Exaltone(登録商標)(シクロペンタデカノン、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland)、アストロトン(Astrotone)、4,8-シクロドデカジエン-1-オン;
- 群7: Lilial(登録商標)(供給元:Givaudan SA、Vernier、Switzerland)、ロジノール。
【0057】
好ましくは、香料は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の、上記で定義された群1~7から選択される成分を含む。より好ましくは、前記香料は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%の、上記で定義された群3~7からの成分を含む。最も好ましくは、前記香料は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%の、上記で定義された群3、4、6又は7からの成分を含む。
【0058】
他の好ましい実施形態に従って、前記香料は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の、3超、好ましくは3.5超、さらにより好ましくは3.75超のlogPを有する成分を含む。
【0059】
好ましくは、本発明において使用される香料は、それ自体の質量の10%未満の第一級アルコール、それ自体の質量の15%未満の第二級アルコール、及びそれ自体の質量の20%未満の第三級アルコールを含有する。有利には、本発明において使用される香料は、あらゆる第一級アルコールを含有せず、かつ、15%未満の第二級及び第三級アルコールを含有する。
【0060】
他の実施形態に従って、油状物ベースのコアは、
- Log T<-4を有する少なくとも15質量%の耐衝撃性の香料原料を含む香油25~100質量%、及び
- 1.07g/cm3超の密度を有する密度平衡材料0~75質量%
を含む。
【0061】
付香化合物のにおい閾値濃度を、ガスクロマトグラフ(「GC」)を使用することによって決定する。具体的に、ガスクロマトグラフを較正して、シリンジによって注入された香油成分の正確な量、正確な分割比、並びに公知の濃度及び鎖長分布の炭化水素標準を使用した炭化水素応答を決定する。空気流量を正確に測定し、人間の吸入が12秒間続くと仮定して、サンプリングした量を算出する。任意の時点での検出器での正確な濃度が分かっているため、吸入した体積あたりの質量が分かり、したがって付香化合物の濃度が分かる。閾値濃度を決定するために、溶液を、逆算した濃度でにおいを嗅ぐための受け口に送る。パネリストがGC流出液のにおいを嗅ぎ、においに気付いた場合に保持時間を特定する。全てのパネリストの平均は、付香化合物のにおい閾値濃度を決定する。におい閾値の決定は、C. Vuilleumierら、Multidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development, Perfume & Flavorist, Vol. 33, September,, 2008, pages 54-61において詳細に記載されている。
【0062】
Log T<-4を有する耐衝撃性香料原料及び1.07g/cm3超の密度を有する密度平衡材料の性質は、国際公開第2018115250号(WO2018115250)に記載されており、その内容は参照をもって組み込まれる。
【0063】
一実施形態に従って、Log T<-4を有する耐衝撃性香料原料は、以下の表Aにおけるリストから選択される。
【0064】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0065】
一実施形態に従って、Log T<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリル及びそれらの混合物からなる群で選択される少なくとも1つの香料原料を含む。
【0066】
一実施形態に従って、Log T<-4を有する香料原料は、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリル及びそれらの混合物からなる群において選択される少なくとも1つの化合物を、好ましくはLog T<-4を有する香料原料の合計量に対して20~70質量%の量で含む。
【0067】
一実施形態に従って、Log T<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、及びそれらの混合物を、Log T<-4を有する香料原料の合計量に対して20~70質量%含む。
【0068】
したがって、油状物ベースのコアにおいて含まれる残りの香料原料は、Log T>-4を有してよい。
【0069】
Log T>-4を有する香料原料の限定されない例を以下の表Bに示す。
【0070】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0071】
一実施形態に従って、油状物ベースのコアは、1.07g/cm3超の密度を有する密度平衡材料2~75質量%、及びLog T>-4を有する耐衝撃性香料原料の少なくとも15質量%を含む香油25~98質量%を含む。
【0072】
構成成分の密度は、その質量と体積との比率(g/cm3)として定義される。
【0073】
構成成分の密度を決定するために、いくつかの方法がある。
【0074】
例えば、精油のd20密度を測定するためのISO 298:1998法を参照してよい。
【0075】
一実施形態に従って、密度平衡材料は、ベンジルサリチレート、ベンジルベンゾエート、シクロヘキシルサリチレート、ベンジルフェニルアセテート、フェニルエチルフェノキシアセテート、トリアセチン、メチルサリチレート及びエチルサリチレート、ベンジルシンナメート、及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0076】
特定の実施形態に従って、密度平衡材料は、ベンジルサリチレート、ベンジルベンゾエート、シクロヘキシルサリチレート、及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0077】
他の実施形態に従って、疎水性材料は、あらゆる活性成分(例えば香料)を有さない。この特定の実施形態において、疎水性材料は、好ましくは、疎水性溶媒、好ましくはイソプロピルミリステート、トリグリセリド(例えばNeobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱油、及びそれらの混合物からなる群において選択される疎水性溶媒、任意に、1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、トリエチルシトレート、トリアセチン、ベンジルアセテート、エチルアセテート、プリピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテル及びそれらの混合物からなる群において選択される疎水性溶媒を含む。
【0078】
本発明の実施形態のいずれか1つに従って、疎水性材料は、ステップb)の後に得られたエマルションの全質量に対して、約10質量%~60質量%(w/w)、又はさらに20質量%~45質量%(w/w)を示す。
【0079】
特定の実施形態に従って、油相は、実質的に、少なくとも3つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、及び香料又はフレーバー油からなる。
【0080】
本発明による方法の他のステップにおいて、油相を、ポリスクシンイミド誘導体を含む水溶液中に分散させて、水中油型エマルションを形成する。本発明によるポリスクシンイミド誘導体は、乳化剤として使用される。
【0081】
エマルションの平均液滴サイズは、好ましくは1~1000ミクロン、より好ましくは1~500ミクロン、及びさらにより好ましくは5~50ミクロンである。
【0082】
本発明において使用されるポリスクシンイミド誘導体は、好ましくは、少なくとも1つのアミンを少なくとも1つのスクシンイミド繰り返し単位にグラフトさせることによって得られる。
【0083】
特定の実施形態に従って、ポリスクシンイミド誘導体は、2つのアミンをポリスクシンイミドに連続的にグラフトすることによって得られる。
【0084】
少なくともアミンをポリスクシンイミドにグラフトさせて、得られたポリスクシンイミド誘導体を、水中に導入して水相を形成する前に、及び/又は水中に導入して水相を形成する時に、加水分解に供してよい。
【0085】
特定の実施形態に従って、加水分解ステップは、ポリスクシンイミドを水と接触させて水相を形成する場合に実施する。
【0086】
任意の官能性アミン、好ましくは単官能性アミン又はアミノ酸をグラフトして、架橋を妨げてよい。
【0087】
一実施形態に従って、スクシンイミド繰り返し単位にグラフトできる官能性モノアミン又はポリアミンは、以下の構造を有する:
【化2】
【0088】
アミノ酸を、クシンイミド繰り返し単位にグラフトしてもよい。本発明において使用できるアミノ酸は、以下の構造を有する:
【化3】
ここで、
【化4】
である。
【0089】
一実施形態に従って、アミンは、n-アルキルアミン、ヒドロキシルアルキルアミン、M型Jeffamine(登録商標)、アミノ酸、ドーパミン、DOPA及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0090】
特定の実施形態に従って、アミンは、1-ドデシルアミン(DDA)、1-デシルアミン、ドーパミン、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノ-プロパン-1-オール、6-アミノ-ヘキサン-1-オール及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0091】
特定の実施形態に従って、ポリスクシンイミドは、少なくとも2つのアミン、好ましくは1-ドデシルアミン(DDA)、1-デシルアミン、ドーパミン、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノ-プロパン-1-オール、及び6-アミノ-ヘキサン-1-オールからなる群において選択される少なくとも2つのアミンで改質される。
【0092】
ポリスクシンイミド誘導体は、好ましくは、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-エチルアスパルタミド)、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ブチルアスパルタミド)、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ヘキシルアスパルタミド)、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)-コ-ポリ(3,4-ジヒドロキシベンジルアスパルタミド)、及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0093】
前記化合物を水に溶解した場合に、それぞれ、ポリ(アスパラギン酸)-コ-ポリ(n-エチルアスパルタミド)、ポリ(アスパラギン酸)-コ-ポリ(n-ブチルアスパルタミド)、ポリ(アスパラギン酸)-コ-ポリ(n-ヘキシルアスパルタミド)、ポリ(アスパラギン酸)-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)、ポリ(アスパラギン酸)-co-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)-コ-ポリ(3,4-ジヒドロキシベンジルアスパルタミド)及びそれらの混合物からなる群において選択される化合物を形成することに注意すべきである。
【0094】
一実施形態に従って、ポリスクシンイミド誘導体は、次のプロセス:
a) 酸触媒の存在下でアスパラギン酸を重縮合してポリスクシンイミドを得るステップ、
b) 少なくとも1つのアミンをステップa)のポリスクシンイミドに添加して、ポリスクシンイミド誘導体を得るステップ、
c) 任意に、ポリスクシンイミド誘導体を水中で加水分解するステップ
によって得られる。
【0095】
特定の実施形態に従って、酸触媒は、リン酸又はアジピン酸である。
【0096】
特定の実施形態に従って、ポリスクシンイミド誘導体は、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)であり、かつ次のプロセス:
a) 酸触媒の存在下でアスパラギン酸を重縮合してポリスクシンイミドを得るステップ、
b) n-ドデシルアミンをステップa)のポリスクシンイミドに添加して、ポリスクシンイミド誘導体を得るステップ、
c) 任意に、ポリスクシンイミド誘導体を水中で加水分解するステップ
によって得られる。
【0097】
特定の実施形態に従って、ポリスクシンイミド誘導体は、ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)-コ-ポリ(3,4-ジヒドロキシベンジルアスパルタミド)であり、かつ次のプロセス:
a) 酸触媒の存在下でアスパラギン酸を重縮合してポリスクシンイミドを得るステップ、
b) n-ドデシルアミンをステップa)のポリスクシンイミドに添加して、ポリ(スクシンイミド-コ-n-ドデシルアスパルタミド)を得るステップ、
c) ステップb)において得られた化合物にドーパミンを添加して、ポリスクシンイミド誘導体を得るステップ、及び
d) 任意に、ポリスクシンイミド誘導体を水中で加水分解するステップ
によって得られる。
【0098】
ポリスクシンイミドは、好ましくは脂肪族二酸、例えばアジピン酸の存在下での反応性の押出しによっても得られてよい。
【0099】
一実施形態に従って、ポリスクシンイミド誘導体がポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)-コ-ポリ(3,4-ジヒドロキシベンジルアスパルタミド)である場合に、ドーパミンと1-ドデシルアミンとの間のモル比は、0.5~8、好ましくは1~4である。
【0100】
ポリスクシンイミド誘導体は、好ましくは、ステップb)において得られるエマルションの全質量に対して、0.1~5質量%、より好ましくは0.5~2.5質量%の量で使用される。
【0101】
シェルの性質は、油相に存在するモノマーの性質、及び水相に存在する任意の反応物の性質に依存する。
【0102】
したがって、一実施形態に従って、本発明によるマイクロカプセルは、ポリウレアベースのカプセルである。本発明のポリスクシンイミド誘導体は、驚くべきことに、マイクロカプセルのポリウレアシェルと非常に適合性があった。実際に、発明者の知る限りでは、ポリウレア及びポリスクシンイミドは、熱力学的に適合性がない。
【0103】
この特定の実施形態に従って、界面重合は、水相にポリアミン反応物を添加して、油相に存在するポリイソシアネートとポリウレア壁を形成することによって誘導されうる。アミンは、好ましくは、グアニジン塩、トリス-(2-アミノエチル)アミン、N,N,N’,N’-テトラキス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、グアナゾール、アミノ酸、例えばリジン、アミノアルコール、例えば2-アミノ-1,3-プロパンジオール、エタノールアミン及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0104】
他の実施形態に従って、ポリウレアベースのカプセルは、ポリアミン反応物の添加なしで形成され、少なくとも1つのポリイソシアネートの自己重合からのみ生じる。
【0105】
他の実施形態に従って、本発明によるマイクロカプセルは、ポリウレタンベースのカプセルである。この特定の実施形態に従って、界面重合は、水相中のポリオールの存在によって誘導される。
【0106】
好ましくは、ポリオール反応物は、反応のために利用可能な複数のヒドロキシル基を有するモノマー及びポリマーポリオール、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0107】
他の実施形態に従って、本発明によるカプセルは、ポリウレア/ポリウレタンベースである。その場合、界面重合は、双方の先行する実施形態の下で言及された反応物の混合物の添加によって誘導される。さらに、アミノ基及びヒドロキシル基の双方を有する架橋剤を使用して、ポリウレア/ポリウレタン材料を生成できる。さらに、尿素及びウレタンの双方の官能性を有するポリイソシアネートを使用して、ポリウレア/ポリウレタン材料を生成できる。
【0108】
他の実施形態に従って、本発明によるマイクロカプセルは、ポリアミドベースのカプセルである。この特定の実施形態に従って、界面重合は、水相にポリアミン反応物を添加して、油相に存在するポリ酸クロリドとポリアミド壁を形成することによって誘導される。
【0109】
これに続いて硬化ステップc)を実施し、スラリーの形でのマイクロカプセルになる。特定の実施形態に従って、前記ステップを、60~80℃である温度で、おそらく圧力下で、1~4時間実施する。より詳述すれば、50~90℃で30分~4時間実施される。
【0110】
本発明に従って、モノマーは、界面重合(硬化ステップ)中にポリスクシンイミド誘導体と反応して、スラリーの形でマイクロカプセルを形成する。
【0111】
本発明の特定の実施形態に従って、ステップc)の終わりで、カチオン性ポリマー及びそれらの混合物から選択されるポリマーを本発明のスラリーに添加して、マイクロカプセルに外側のコーティングを形成してもよい。
【0112】
カチオン性ポリマーは、当業者に周知である。好ましいカチオンポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gの、しかし好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオンポリマーのカチオン電荷密度を、窒素測定のための化学試験下でUS薬局方において記載されているKjeldahl法によって測定してよい。好ましいカチオンポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成し、又は直接それらに連結された副置換基によって運ばれてよい、第一級、第二級、第三級及び/又は第四級アミン基を含む単位を含むものから選択される。カチオンポリマーの質量平均(Mw)分子量は、好ましくは、10000~3.5Mダルトン、より好ましくは50000~1.5Mダルトンである。特定の実施形態に従って、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド又はポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを基礎とするカチオン性ポリマーを使用する。好ましくは、コポリマーは、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド又はポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択されるべきである。市販の製品の特定の例として、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオンコポリマー、供給元:BASF)又はLuviquat(登録商標)、例えばPQ 11N、FC 550又はStyle(ポリクォータニウム-11~68又はビニルピロリドンの四級化コポリマー、供給元:BASF)、又はJaguar(登録商標)(C13S又はC17、供給元:Rhodia)を挙げてよい。
【0113】
本発明の前記実施形態のいずれかに従って、約0%~5%(w/w)、又はさらに約0.1%~2%(w/w)の前記ポリマー量を添加し、その際パーセンテージは、ステップc)の後に得られるスラリーの全質量に対するw/wで示される。前記添加したポリマーの一部のみが、マイクロカプセルのシェル中に導入される/該シェル上に堆積することは、当業者に明確に理解される。
【0114】
本発明の他の目的は、前記で定義されたステップ、及びステップc)で得られたスラリーを噴霧乾燥のような乾燥に供してマイクロカプセル自体を、すなわち粉末状で提供することからなる追加のステップd)を含むマイクロカプセルスラリーを製造するための方法である。かかる乾燥を実施するための当業者に公知のあらゆる標準の方法も適用できることが理解される。特に、好ましくは、ポリマー性キャリヤー材料、例えばポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然又は加工デンプン、植物ゴム、ペクチン、キサンタン、アルギネート、カラゲナン、又はセルロース誘導体の存在下でスラリーを噴霧乾燥させて、粉末形でのマイクロカプセルを提供してよい。
【0115】
しかしながら、他の乾燥方法、例えば押出し、表面被覆(plating)、噴霧造粒、流動床、又は国際公開第2017/134179号(WO2017/134179)に開示される特定の基準を満たす材料(キャリヤー、乾燥剤)を使用する室温での乾燥も挙げてよい。
【0116】
特定の実施形態に従って、キャリヤー材料は、マイクロカプセルのコアからの香料と同一又は異なっていてもよい遊離香油を含む。
【0117】
マイクロカプセルスラリー/マイクロカプセル粉末
前記で定義した方法により得られるマイクロカプセルスラリー及びマイクロカプセル粉末も、本発明の目的である。
【0118】
本発明の他の目的は、疎水性材料を含む油状物ベースのコアと、多官能性モノマーとポリスクシンイミド誘導体との反応から形成されるシェルとから構成される少なくとも1つのマイクロカプセルを含むコアシェルマイクロカプセルスラリーである。
【0119】
コアシェルマイクロカプセルは、前記で定義したように、マイクロカプセルスラリー中で水中に分散されていることを理解すべきである。
【0120】
本発明の他の目的は、
- 疎水性材料を含む油状物ベースのコア、及び
- 多官能性モノマーとポリスクシンイミド誘導体との反応から形成されるシェル
を含むコアシェルマイクロカプセルである。
【0121】
前記方法について前述した全ての実施形態は、前記で定義したマイクロカプセルにも適用される。
【0122】
本発明の方法によって得られたマイクロカプセルは、負のゼータ電位を有し、好ましくは-50~-120mVである。ゼータ電位を測定するための適した装置は、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments)である。あらゆる理論に拘束されることなく、本発明者らは、負のゼータ電位は、シェル内のアニオン性ポリスクシンイミド誘導体の存在に由来し、マイクロカプセルの表面上に負の電荷をもたらすとの意見である。マイクロカプセルの負の表面は、カチオン性ポリマーのより良い堆積の利点を示す。
【0123】
付香組成物/消費者製品
本発明の他の目的は、
(i) 前記で定義したマイクロカプセルであって、油状物が香料を含むマイクロカプセル、
(ii) 香料キャリヤー、香料補助成分及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分
(iii) 任意に少なくとも1つの香料補助剤
を含む付香組成物である。
【0124】
液体香料キャリヤーとしては、制限のない例として、乳化系、すなわち溶剤及び界面活性剤系、又は香料において通常使用される溶剤を挙げてよい。香料において通常使用される溶剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅できない。しかしながら、最も通常使用される溶剤、例えばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール又はクエン酸エチルを挙げられるが、これらに制限されない。しかしながら、最も通常使用される溶剤、例えばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール又はクエン酸エチルを挙げられるが、これらに制限されない。香料キャリヤー及び香料補助成分の双方を含む組成物に関して、前記したものよりも適した他の香料キャリヤーは、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン、又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標名Isopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば商標名Dowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)で公知のものであってもよい。さらに、「香料補助成分」に関しては、ここでは、心地よい効果を付与するための付香調製物又は組成物において使用され、前記で定義されたようにマイクロカプセルではない化合物を意味する。言い換えれば、付香補助成分であると考えられるべきかかる補助成分は、ポジティブな又は好ましい方法で組成物のにおいを少なくとも付与又は改質することができ、かつ単に1つのにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。
【0125】
いずれにしても網羅的とはならないであろう前記付香組成物中に存在する付香補助成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果に従って、前記ベースを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ該付香補助成分は、天然又は合成由来のものであってよい。これらの補助成分の多くは、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。前記補助成分は、制御された方法で種々のタイプの付香化合物を放出することが公知の化合物であってもよいとも解される。
【0126】
「香料補助剤」に関しては、ここで、追加の付加効果、例えば色、特定の耐光性、化学安定性等を付与することができる成分を意味する。付香ベースにおいて慣用的に使用される補助剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅的なものにはなりえないが、しかし該成分が当業者に周知であることを挙げるべきである。
【0127】
好ましくは、本発明による付香組成物は、0.1~30質量%の前記で定義したマイクロカプセルを含む。
【0128】
本発明のマイクロカプセルは、多くの適用分野において有利に使用することができ、かつ消費者製品中で使用することができる。マイクロカプセルは、液体消費者製品に適用可能な液体の形で、及び粉末消費者製品に適用可能な粉末の形で使用することができる。
【0129】
本発明の別の目的は、以下
a) パーソナルケア活性ベース、及び
b) 前記で定義したマイクロカプセル又は前記で定義した付香組成物
を含む消費者製品であり、ここで、消費者製品はパーソナルケア組成物の形である。
【0130】
本発明のマイクロカプセルに導入されうるパーソナルケア活性ベースは、かかる製品に関する豊富な文献において見出される。それらの調製物は、本明細書の詳細な記載を保証せず、あらゆる場合に網羅されていない。かかる消費者製品を配合する当業者は、当業者の一般の知識及び入手可能な文献に基づいて適した成分を完全に選択することができる。
【0131】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、染毛剤又はヘアスプレー)、化粧品配合物(例えば、バニシングクリーム、ボディローション又はデオドラントもしくは制汗剤)、又はスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはゲル、バスソルト、又は衛生製品)、又は精製したフレグランス製品(例えばオードトワレ-EdT)からなる群において選択される。
【0132】
本発明の別の目的は、以下
a) ホームケア又は布地ケア活性ベース、及び
b) 前記で定義したマイクロカプセル又は前記で定義した付香組成物
を含む消費者製品であり、ここで、消費者製品はホームケア又は布地ケア組成物の形である。
【0133】
本発明のマイクロカプセルに導入されうるホームケア又は布地ケア活性ベースは、かかる製品に関する豊富な文献において見出される。それらの調製物は、本明細書の詳細な記載を保証せず、あらゆる場合に網羅されていない。かかる消費者製品を配合する当業者は、当業者の一般の知識及び入手可能な文献に基づいて適した成分を完全に選択することができる。ホームケア又は布地ケア組成物は、好ましくは、布地用柔軟剤、液体洗剤、粉末洗剤、液体加香剤(liquid scent booster)、固体加香剤からなる群において選択される。
【0134】
特定の実施形態に従って、前記で定義される消費者製品は、液体であり、かつ
a) 前記消費者製品の全質量に対して、2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b) 水又は水混和性親水性有機溶剤、及び
c) 前記で定義したマイクロカプセル
d) 任意に、カプセル化していない香料
を含有する。
【0135】
特定の実施形態に従って、前記で定義される消費者製品は、粉末の形であり、かつ
(a) 前記消費者製品の全質量に対して、2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
(b) 前記で定義したマイクロカプセル粉末、
(c) 任意に、前記で定義したマイクロカプセルとは異なる香料粉末
を含有する。
【0136】
香油ベースのコアを含むマイクロカプセルの場合に、本発明の製品は、特に、着香消費者製品、例えば精製したフレグランス又は「機能性」香料に属する製品に使用することができる。機能性香料は、特にヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアを含むパーソナルケア製品、並びにランドリーケア及びやエアケアを含むホームケア製品を含む。したがって、本発明の他の目的は、付香成分として、前記で定義したマイクロカプセル又は前記で定義した付香組成物を含む着香消費者製品からなる。前記消費者製品の香料要素は、前記で定義した香料マイクロカプセル、及び遊離又はカプセル化していない香料、並びに本明細書で開示したもの以外の他のタイプの香料マイクロカプセルの組み合わせであってよい。
【0137】
特に、以下、
a) 前記消費者製品の全質量に対して、2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b) 水又は水混和性親水性有機溶剤、及び
c) 前記で定義した付香組成物
を含有する液体消費者製品が、本発明の他の目的である。
【0138】
以下、
a) 前記消費者製品の全質量に対して、2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、及び
b) 前記で定義した付香組成物
を含有する粉末消費者製品も、本発明の一部である。
【0139】
本発明のマイクロカプセルは、したがって、そのままで、又は着香消費者製品中で本発明の付香組成物の一部として添加されうる。
【0140】
明確性の理由から、「着香消費者製品」に関しては、種々の利点の中で付香効果を、付香効果が適用される表面(例えば皮膚、髪、織物、紙、又は家の表面)に又は空気中(エアフレッシュナー、デオドライザー等)に提供することが期待された消費者製品を意味することに注意すべきである。言い換えれば、本発明による着香消費者製品は、本発明によるマイクロカプセルの有効量内で、有効物質と一緒に、「ベース」とも言われる機能的な調合物を含む製品である。
【0141】
いずれにしても網羅的とはならないであろう着香消費者製品の他の構成成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般的な知識に基づいて、及び該製品の性質及び所望の効果に従って、着香消費者製品の成分の性質及びタイプを選択することができる。本発明のマイクロカプセルに導入されうる消費者製品のベース調製物は、かかる製品に関する豊富な文献において見出される。それらの調製物は、本明細書の詳細な記載を保証せず、あらゆる場合に網羅されていない。かかる消費者製品を調製する当業者は、当業者の一般の知識及び入手可能な文献に基づいて適した成分を完全に選択することができる。
【0142】
適した着香消費者製品の制限のない例は、香料、例えば精製した香料、コロン、アフターシェービングローション、ボディスプラッシュ;布地用ケア製品、例えば液体又は固形洗剤、錠剤及びポッド、布地用柔軟剤、ドライヤーシート、布地用リフレッシャー、アイロン水、又は漂白剤;パーソナルケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、染毛料又はヘアスプレー)、化粧品配合物(例えばバニシングクリーム、ボディローション、又はデオドラント又は発汗抑制剤)、又はスキンケア製品(例えば着香石鹸、シャワー又はバスムース、ボディウォッシュ、オイル又はゲル、バスソルト、又は衛生製品);エアケア製品、例えばエアフレッシュナー又は“すぐ使用できる”粉末エアフレッシュナー;又はホームケア製品、例えば全ての目的のクレンザー、液体又は粉末又は錠剤の皿洗い用製品、トイレクレンザー又は種々の表面を洗浄する製品、例えば布地用又は硬質表面(床、タイル、石床等)の処理/リフレッシュを目的としたスプレー及びワイプ;衛生製品、例えばサニタリーナプキン、おむつ、トイレットペーパーであってよい。好ましくは、消費者製品は、0.05~15質量%、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.2~5質量%の本発明のマイクロカプセルを含み、その際、これらの全てのパーセンテージは、消費者製品の全質量に対する質量として定義される。もちろん、前記濃度は、それぞれの製品において所望される利益のある効果に従って適合されてよい。
【0143】
布地用柔軟剤
本発明の目的は、以下、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは85~99.95質量%である量で布地用柔軟剤活性ベース;好ましくは、ジアルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキルエステル第四級アンモニウム塩(エステルクアット)、ハンブルグエステルクアット(HEQ)、TEAQ(トリエタノールアミンクアット)、シリコーン及びそれらの混合物からなる群において選択される布地用柔軟剤活性ベース、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%である量で、前記で定義したマイクロカプセルスラリー
を含む、布地用柔軟剤組成物の形での消費者製品である。
【0144】
液体洗剤
本発明の目的は、以下、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは85~99.95質量%である量で液体洗剤活性ベース;好ましくは、アニオン性界面活性、例えばアルキルベンゼンスルホネート(ABS)、第二級アルキルスルホネート(SAS)、第一級アルコールスルフェート(PAS)、ラウリルエーテルスルフェート(LES)、メチルエステルスルホネート(MES)、並びに非イオン性界面活性剤、例えばアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される液体洗剤活性ベース、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%である量で、前記で定義したマイクロカプセルスラリー
を含む、液体洗剤組成物の形での消費者製品である。
【0145】
固体洗剤
本発明の目的は、以下、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは85~99.95質量%である量で固体洗剤活性ベース;好ましくは、アニオン性界面活性、例えばアルキルベンゼンスルホネート(ABS)、第二級アルキルスルホネート(SAS)、第一級アルコールスルフェート(PAS)、ラウリルエーテルスルフェート(LES)、メチルエステルスルホネート(MES)、並びに非イオン性界面活性剤、例えばアルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される固体洗剤活性ベース、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%である量で、前記で定義したマイクロカプセル粉末又はマイクロカプセルスラリー
を含む、固体洗剤組成物の形での消費者製品である。
【0146】
シャンプー/シャワーゲル
本発明の目的は、以下、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは85~99.95質量%である量でシャンプー又はシャワーゲル活性ベース;好ましくは、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホアセテート、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシド及びアミノ酸ベースの界面活性剤、並びにそれらの混合物からなる群において選択されるシャンプー又はシャワーゲル活性ベース、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%である量で、前記で定義したマイクロカプセルスラリー
を含む、シャンプー又はシャワーゲル組成物の形での消費者製品である。
【0147】
リンスオフコンディショナー
本発明の目的は、以下、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは85~99.95質量%である量でリンスオフコンディショナー活性ベース;好ましくは、セチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド及びそれらの混合物からなる群において選択されるリンスオフコンディショナー活性ベース、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%である量で、前記で定義したマイクロカプセルスラリー
を含む、リンスオフコンディショナー組成物の形での消費者製品である。
【0148】
染毛剤
本発明の目的は、以下、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは85~99.95質量%である量で、酸化剤を含む酸化相、及びアルカキン剤、染料前駆体、及びカップリング化合物を含むアルカリ相、ここで、前記染料前駆体及び前記カップリング化合物は、酸化剤の存在下で酸化性毛髪染料を形成する、
- 組成物の全質量に対して、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%である量で、前記で定義したマイクロカプセルスラリー
を含む、染毛剤組成物の形での消費者製品である。
【0149】
「酸化性染毛剤組成物」に関しては、無色の染料分子の2つの群、すなわち染料前駆体及びカップリング剤を含む組成物を意味する。酸化プロセスを介して互いに反応すると、それらは広範囲の着色分子(染料)を形成し、それらはその大きさにより髪に捕捉される。言い換えれば、染料前駆体及びカップリング化合物は、酸化剤の存在下で酸化性毛髪染料を形成する。
【0150】
「染料前駆体」及び「酸化性染料前駆体」は、本発明において区別なく使用される。
【0151】
染料前駆体は、容易に酸化の特性を付与するために、パラ位又はオルト位で少なくとも2つの電子供与基、例えばNH2及びOHで置換したベンゼンに由来する芳香族化合物であってよい。
【0152】
一実施形態に従って、染料前駆体は、p-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノトルエン、N,N-ビス(2-ヒドロキシメチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、1,4-ジアミノベンゼン、及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0153】
一次色素前駆体は、カップリング剤と組み合わせて使用される。カップリング剤は、好ましくは、ベンゼンに由来し、かつメタ位でNH2及びOHのような基で置換された芳香族化合物であり、単独では色を生成しないが、染料前駆体によって発色する色、色合い、又は強度を変更する。
【0154】
一実施形態に従って、カップリング剤は、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4-クロロレゾルキノール、2,5-ジアミノトルエン、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノフェノキシエタノールHCl、2-アミノ-ヒドロキシエチルアミノアニソール硫酸塩、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、及びそれらの混合物からなる群において選択される。
【0155】
酸化性染料前駆体は、好ましくは、組成物の全質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~4質量%である量で使用される。
【0156】
染毛剤配合物における酸化染料前駆体およびカップリング剤の使用は、先行技術において広く開示されており、当業者からよく知られている。例えば、欧州特許出願公開第0946133号明細書(EP0946133A1)(参照をもってその内容を組み込んだものとする)を引用してよい。
【0157】
アルカリ相は、好ましくは水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、エタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエタノールアミン及びそれらの混合物からなる群において選択されるアルカリ剤を含む。
【0158】
アルカリ剤は、好ましくは、組成物の全質量に対して、1質量%~10質量%、好ましくは3質量%~9質量%である量で使用される。
【0159】
本発明に従って、アルカリ性媒体中のカップリング剤及び染料前駆体は、酸化剤の存在下で酸化性毛髪染料を形成する。
【0160】
酸化剤は、色の分子を発達させ、かつ毛髪の色に変化を生じるために必要な酸素ガスを供給する。
【0161】
酸化剤は、本明細書における組成物において使用するために安全かつ効果的でなければならない。
【0162】
好ましくは、本明細書における使用のために適した酸化剤は、液体の形及び/又は使用されることが意図された形である場合に、本発明による組成物に可溶である。
【0163】
好ましくは、本明細書における使用のために適した酸化剤は、水溶性である。本明細書において使用するために適した酸化剤は、無機過酸素酸化剤、予め形成された有機過酸酸化剤及び有機過酸化物酸化剤又はそれらの混合物から選択される。
【0164】
酸化剤は、好ましくは、組成物の全質量に対して、5質量%~30質量%、好ましくは5質量%~25質量%である量で使用される。
【0165】
化粧品組成物において慣用的に使用される成分を、本発明において定義した染毛剤組成物に添加してよい。例えば、界面活性剤、カチオン性ポリマー、油性物質、シリコーン誘導体、遊離香料、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、殺菌剤、噴射剤、増粘剤をあげてよい。
【0166】
特定の実施形態に従って、染毛剤組成物は、ヘアコンディショナーの利益を付与するために、好ましくはセチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、及びそれらの混合物からなる群において選択される、1つ以上の第四級アンモニウム化合物を含む。
【0167】
付香組成物
特定の実施形態に従って、消費者製品は、付香組成物の全質量に基づいて、
- 前記で定義したマイクロカプセル0.1~30質量%、好ましくは0.1~20質量%、
- 香料0~40質量%、好ましくは3~40質量%、及び
- エタノール20~90質量%、好ましくは40~90質量%
を含む付香組成物の形である。
【0168】
本発明を、実施例によりさらに説明する。請求される本発明は、これらの実施例により何ら制限されるものではないことを理解する。
【0169】
実施例
実施例1
ポリスクシンイミド誘導体の製造
ポリスクシンイミド(PSI、1)の製造
【化5】
【0170】
250mLビーカー中に、オルトリン酸(10g、0.114mmol)及びL-アスパラギン酸(100g、751mmol)をそれぞれ添加し、そして乳鉢で混合して白色の固体を得た。固体を、3つ首の反応器中で真空下で120℃で1時間加熱した。固体を乳鉢で粉砕し、真空下でさらに2時間30分200℃で加熱した。得られた粉末を、水500mLで3回洗浄し、そしてNaOH 30質量%で洗浄して、濾過後、pH4の水相を得た。そして、固体を真空下で50℃で少なくとも24時間乾燥させた。
【0171】
ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)(2)の製造
【化6】
【0172】
250mLの丸底フラスコ中で、1(15g、155mmolの繰り返し単位)を、NMP(150mL)中に溶解し、80℃で加熱して黄橙色の溶液を得た。1-ドデシルアミン(DDA)(PSI繰り返し単位に対して5mol%、10mol%又は20mol%)をいくつかの画分で溶液に添加した。その溶液を80℃で24時間加熱した。ポリマーを沈殿させ、ジエチルエーテル(600mL)で洗浄した。その固体を50℃で真空下で24時間乾燥させた。DDAのモルグラフト比を意味するPSI-X(X=5、10、又は20)としてのコードは、第1表の試料を示した。
【0173】
ポリスクシンイミド-コ-ポリ(n-ドデシルアスパルタミド)-コ-ポリ(3,4-ジヒドロキシベンジルアスパルタミド)(3)の製造
【化7】
【0174】
100mLの3つ首フラスコ中で、2(5g)を、NMP(50mL)中に添加し、80℃で加熱して黄橙色の溶液を得た。DBU(10mol%)及びトリエチルアミン(10~30mol%)を窒素流下で添加した。NMP(10mL)中でドーパミン(10~30mol%のPSI繰り返し単位)の溶液を滴加し、その反応混合物を80℃で20時間撹拌した。その反応混合物を室温まで撹拌下でゆっくりと冷却した。ポリマーを、n-ヘプタン(350mL)で洗浄して二相混合物を得た。下方の相を、無水エタノール(350mL)又はジエチルエーテル(350mL)で沈殿させ、濾過して固体を得て、これを50℃で真空下で乾燥させた。DDAのモルグラフト比及びドーパミンのモルグラフト比を意味するPSI-X-Y(Y=10、20又は30)としてのコードは、第1表の試料を示した。
【0175】
【表3】
【0176】
光学顕微鏡観察のために、蛍光マーカー(1-ピレンメチルアミン)を、上記で調製したポリスクシンイミド誘導体(2)及び(3)にグラフトさせる。
【0177】
25mLの丸底の3つ首フラスコ中で、異なるコポリマー(0.5g)を、NMP(5mL)に溶解し、80℃で加熱して、橙-茶色の溶液を得た。トリエチルアミン(0.1mL)をその溶液に添加した。1-ピレンメチルアミンヒドロクロリド(7.65mg、0.029mmol)を最小のNMPに溶解し、そして反応混合物に添加した。その溶液を80℃で10時間加熱した。その反応混合物を室温まで撹拌下でゆっくりと冷却した。ポリマーを、n-ヘプタン(100mL)で洗浄して二相混合物を得た。下方の相を、無水エタノール又はジエチルエーテルで沈殿させ、濾過して固体を得て、これを50℃で真空下で乾燥させた。
【0178】
実施例2
本発明によるマイクロカプセルの製造
Desmodur(登録商標)N-100(4.76g、24.5mmolのNCO)及びアクリジン(0.25g - 堆積に続いて添加する化合物)を、香油(20.74g、第2表)中に希釈した。コポリマー2又は3(0.7g)を、pH7での緩衝水溶液(31.57g)に希釈した。油相及び水相を一緒に混合し、そしてUltra Turaxで3分間24000rpmで分散させた。そのエマルションを250mLのガラス製二重ジャケット反応器中に注ぎ、350rpmで室温でかき混ぜた。pH7での緩衝水溶液(10.85g)中にグアニジンカーボネート(24.5mmol)の溶液を、エマルションになるまで1時間滴加した。そして、反応混合物の温度を、室温から70℃まで15分毎4回で(RT;40℃;50℃;60℃;70℃)ゆっくりと上昇させ、そして2時間70℃で維持した。最終的に、撹拌を100rpmに変え、そして分散液を室温まで冷却させた。
【0179】
【表4】
a) メチル 2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボキシレート、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
b) 2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート;International Flavors & Fragrances、USAからの商標
c) 供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
d) (2Z)-2-フェニル-2-ヘキセンニトリル、供給元:Firmenich SA、Geneva、Switzerland。
【0180】
実施例3
比較マイクロカプセルXの製造
水中でポリ(ビニルアルコール)の溶液(45g、0.5質量%、Mowiol 18-88、供給元:Aldrich、Switzerland)をビーカーに導入した。香油A(第1表を参照されたい、38g)及びポリイソシアネート(0.27g、Takenate(登録商標)D-110N、供給元:Mitsui Chemicals、日本)の溶液をビーカーに導入した。反応混合物を、Ultra Turraxを使用して24000rpmで室温(RT)で2分間撹拌した。水(4g)中でグアニジンカーボネート(0.88g、供給元:Aldrich、Switzerland)の溶液を、シリンジポンプを使用して室温で1時間にわたって滴加した。得られたエマルションを、1時間にわたって70℃まで温めた。温度を70℃で2時間維持し、そしてRTまで冷却して白色の分散液(pH=9.7)を得た。
【0181】
実施例4
マイクロカプセルのゼータ電位の測定
実施例2及び3に従って製造したマイクロカプセルのゼータ電位を、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments)を使用して測定した。このデバイスは、5nm~10μmの範囲のサイズのコロイド粒子についてのゼータ電位を測定できた。ゼータ電位測定は、周囲の溶液との境界における粒子の電荷を定義することを可能にした。この境界内で、イオンは、粒子に強く結合し、かつ電界を印加させると粒子と共に移動したが、拡散層のイオンは移動しなかった。本発明のマイクロカプセルのゼータ電位を第3表に挙げる。
【0182】
【表5】
【0183】
ゼータ電位の変化は、シェル内にポリスクシンイミド誘導体が存在することを示す。
【0184】
マイクロカプセルは非常に負の電位であることが理解できる。
【0185】
図1から、シェル内の1-ピレンメチルアミンの蛍光により、ポリスクシンイミド誘導体がマイクロカプセルのシェル内にあることが分かる。
【0186】
実施例5
本発明によるマイクロカプセルの堆積性能
綿上でのポリマー堆積のための手法
洗濯機における布地のプロセスを、実験室規模に移した。蛍光トレーサーとしてアクリジンを含むマイクロカプセルを、蒸留水に添加して、脱塩した冷純水で希釈した。水(5mL)で希釈したカプセル分散液(0.1g)をビーカー(1L)に導入し、そして脱塩した冷純水(600g)で希釈した。1枚の綿シート(Eidgenssische Materialpreufanstalt(EMPA Switzerland)、綿テストクロスNr.221、約12×12cm2シート(平均質量約3.2g)にカットし、未着香の洗剤粉末(古典的な粉末洗剤ベース(界面活性剤8~12%、3ソーダ灰0~35%、ゼオライト0~2%、ケイ酸ナトリウム0~4%、塩化ナトリウム0~30%、ポリマー0~2%、水分5~8%、硫酸ナトリウム)で予め洗浄した)を、ビーカーに添加し、手動で3分間撹拌し、2分間放置した後、手で絞り、秤量し(平均質量約7g)、残った水の量を推定した。次に、綿シートの添加前後のカプセルの溶液から蛍光強度を測定した。10回のスキャンの平均スペクトルを470~500nmで、励起波長240nm、増分1nm、積分時間0.1秒、ダークオフセットオン、R検出器のソフトウェア補正、バンドパス励起5nm、及びバンドパス発光5nmで記録した。全ての測定値を、アクリジンを含まず、界面活性剤としてPVOH(0.4g)を含むマイクロカプセルに対応するブランク溶液(綿シートの撹拌の前後)を使用して補正した。データを485nmで分析した。
【0187】
図2は、水中の布地への異なるマイクロカプセルの堆積について得られたデータを表わす。これらのデータから、本発明によるマイクロカプセルは、堆積に関して良好な性能を示すと結論付けることができる。スクシンイミド繰り返し単位上にDDA及びドーパミンをグラフトすることによって得られるポリスクシンイミド誘導体を含むマイクロカプセルについても、最良の結果が得られると結論付けることができる。
【0188】
実施例6
布地用柔軟剤の適用
本発明のマイクロカプセルA~Lを、第4表に記載した布地用柔軟剤ベース中に分散させて、0.22%でカプセル化した香油の濃度を得る。
【0189】
【表6】
【0190】
実施例7
液体洗剤組成物
本発明のマイクロカプセルA~Lを、第5表に記載した液体洗剤ベース中に分散させて、0.22%でカプセル化した香油の濃度を得る。
【0191】
【表7】
1) Hostapur SAS 60;供給元:Clariant
2) Edenor K 12-18;供給元:Cognis
3) Genapol LA 070;供給元:Clariant
4) Aculyn 88;供給元:Dow Chemical。
【0192】
実施例8
リンスオフコンディショナー
本発明のマイクロカプセルA~Lを、第6表に記載したリンスオフコンディショナーベース中に分散させて、0.5%でカプセル化した香油の濃度を得る。
【0193】
【表8】
1) Genamin KDM P、Clariant
2) Tylose H10 Y G4、Shin Etsu
3) Lanette O、BASF
4) Arlacel 165-FP-MBAL-PA-(RB)、Croda
5) Incroquat Behenyl TMS-50-MBAL-PA-(MH) HA4112、Croda
6) SP Brij S20 MBAL-PA(RB)、Croda
7) Xiameter DC MEM-0949 Emulsion、Dow Corning
8) Alfa Aesar。
【0194】
実施例9
シャンプー組成物
本発明のマイクロカプセルA~Lを秤量し、シャンプー組成物中で混合して、香料0.2%当量を添加する。
【0195】
【表9】
1) Ucare Polymer JR-400、Noveon
2) Schweizerhall
3) Glydant、Lonza
4) Texapon NSO IS、Cognis
5) Tego Betain F 50、Evonik
6) Amphotensid GB 2009、Zschimmer&Schwarz
7) Monomuls 90 L-12、Gruenau
8) Nipagin Monosodium、NIPA。
【0196】
実施例10
制汗性ロールオンエマルション組成物
本発明のマイクロカプセルA~Lを秤量し、制汗性ロールオンエマルション組成物中で混合して、香料0.2%当量を添加する。
【0197】
【表10】
1) BRIJ 72;供給元:ICI
2) BRIJ 721;供給元:ICI
3) ARLAMOL E;供給元:UNIQEMA-CRODA
4) LOCRON L;供給元:CLARIAN。
【0198】
パートA及びパートBを別々に75℃に加熱する;パートAを撹拌しながらパートBに添加し、そしてその混合物を10分間均質化する。次に、その混合物を撹拌しながら冷却する;そして混合物が45℃に達した時にパートCをゆっくりと添加し、混合物が35℃に達した時にパートDを撹拌しながら添加した。次に、その混合物を室温まで冷却する。
【0199】
実施例11
シャワーゲル組成物
本発明のマイクロカプセルA~Lを秤量し、次の組成物中で混合して、香料0.2%当量を添加する。
【0200】
【表11】
1) EDETA B POWDER;商標及び供給元:BASF
2) CARBOPOL AQUA SF-1 POLYMER;商標及び供給元:NOVEON
3) ZETESOL AO 328 U;商標及び供給元:ZSCHIMMER&SCHWARZ
4) TEGO-BETAIN F 50;商標及び供給元:GOLDSCHMIDT
5) KATHON CG;商標及び供給元:ROHM&HASS
図1
図2