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特許7387655医療機器を製造するための生分解性ポリマーブレンド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】医療機器を製造するための生分解性ポリマーブレンド
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20231120BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20231120BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20231120BHJP
   D01F 6/62 20060101ALI20231120BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 29/06 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 29/12 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 29/14 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 29/18 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 29/02 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 31/18 20060101ALI20231120BHJP
   A61L 29/04 20060101ALI20231120BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20231120BHJP
【FI】
C08L67/04 ZBP
C08K3/30
C08K3/32
D01F6/62 305
C08J5/00 CFD
A61L29/06
A61L29/12 100
A61L29/14
A61L29/18
A61L29/02
A61L31/02
A61L31/04
A61L31/06
A61L31/12
A61L31/14
A61L31/18
A61L29/04 100
C08L101/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020573166
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019067325
(87)【国際公開番号】W WO2020002600
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】62/692,188
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100182545
【弁理士】
【氏名又は名称】神谷 雪恵
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーロク ダッゼタン
(72)【発明者】
【氏名】ホセ サンティアゴ-アナドン
(72)【発明者】
【氏名】バラジ プラブー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス カーラウ
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0093946(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01462124(EP,A1)
【文献】特表2017-505832(JP,A)
【文献】特開2017-179234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ポリマーブレンド組成物であって、以下:
ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、それらの異性体又はコポリマーであるベースポリマー材料の1つ;
ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド-co-ジオキサノン)、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド-co-ジオキサノン)、それらの異性体又はコポリマーである添加剤ポリマー材料の2
を含み、及び
ベースポリマー材料及び添加剤ポリマー材料が、
i)混和性であり、及び/又は
ii)溶融加工によって一緒にブレンドされて多成分材料となる、
生分解性ポリマーブレンド組成物。
【請求項2】
組成物が、
i)ベースポリマーよりも低い溶融温度を有する、及び/又は
ii)150℃~200℃の溶融温度を有する、及び/又は
iii)1.5dL/g~4.5dL/gの固有粘度を有する、及び/又は
iv)10%~200%の範囲の破断点伸びを有する、及び/又は
v)室温で冷間曲げできる特性を有する、及び/又は
vi)室温でデシケーター内で12週間のエイジング後に、その初期破断点伸び特性の少なくとも70%を保持する、及び/又は
vii)50℃のリン酸緩衝生理食塩水での加速分解を介してベースポリマーと比較した場合に、pH変化及び機械的特性の損失に対してより大きな耐性を有する、
請求項に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が、
i)延伸したモノフィラメント繊維及びマルチフィラメント繊維に加工できる、又は
ii)半製品又は完成した医療機器物品に成形される、又は
iii)ペレット、フィラメント、ロッド、又はシートに加工される、又は
iv)延伸することによりチューブ又はフィルムに加工される、又は
v)物品を形成するために使用され、ここで物品が焼き鈍しされる、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
物品が、焼き鈍しされるか、又はベースポリマーのガラス転移温度を超える温度で焼き鈍しされる、請求項に記載の組成物によって得られる物品。
【請求項5】
以下、
a. 請求項1に記載の組成物;及び
b. 粒子、繊維、ウィスカー、無機添加剤、放射線不透過性材料、バイオガラス又はそれらの組み合わせである添加剤材料
を含む、医療機器用途のための生分解性ポリマーブレンド複合材料組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物が50質量%~95質量%であり、添加剤材料が5質量%~50質量%である、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
添加剤材料が無機添加剤であり、無機添加剤が、アパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、無機塩、又はそれらの任意の組み合わせであり、添加剤材料の粒子サイズは、500~700nmである、請求項又はに記載の組成物。
【請求項8】
繊維強化した生分解性ポリマーブレンド複合材料組成物であって、以下:
a. 請求項1又はに記載の組成物;
b. ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン(PE)、シルク、キチン、コラーゲン、エラスチン、マグネシウム及びマグネシウム合金、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維
を含む、繊維強化した生分解性ポリマーブレンド複合材料組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物が50質量%~99質量%であり、繊維が1質量%~50質量%である、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
i)繊維が、連続繊維又はチョップドファイバーである、又は
ii)繊維が100μm未満の直径を有する、又は
iii)繊維が、1mm~30mmの長さを有するチョップドファイバーである、又は
iv)繊維が、溶融加工によって請求項1又はに記載の組成物とブレンドされる、又は
v)請求項1に記載の組成物と比較した場合に、繊維が複合材料の引張強度及び弾性率を増加させる、
請求項又はに記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、
i)完成又は半完成医療機器物品に製造される、又は
ii)ペレット、フィラメント、ロッド、又はシートに加工される、又は
iii)延伸することによりチューブ又はフィルムに加工される、又は
iv)モノフィラメント繊維又はマルチフィラメント繊維に延伸される、
請求項又はに記載の組成物。
【請求項12】
以下:
a. 請求項1、又はに記載の組成物;及び
b. 着色剤
を含む、生分解性カラーポリマーブレンド組成物。
【請求項13】
着色剤が、
i)0.001質量%以上である、及び/又は
ii)2-[(9,10-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-1-アントラセニル)アミノ]-5-メチル-ベンゼンスルホン酸のモノナトリウム塩((D&C Violet NO.2)、D&C Blue NO.6又はD&C Green NO.6である、
請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
以下:
a)1つのベースポリマー材料と2つの添加剤ポリマー材料を混合して混合物を形成するステップ;
b)混合物を二軸スクリュー押出機に供給するステップ;
c)二軸スクリュー押出機で混合物を溶融して押出物を形成するステップ;
d)押出物からペレットを形成するステップ;及び
e)押し出したペレットを物品に射出成形するステップ
を含む、請求項1、、又は12に記載の組成物を含む物品を製造するための方法。
【請求項15】
以下:
a)個々の成分を混合するステップ;
b)混合物を二軸スクリュー押出機に供給するステップ;
c)二軸スクリュー押出機で混合物を溶融して押出物を形成するステップ;
d)押出物を引っ張ってフィラメントを形成するステップ
を含む、請求項1、、又は12に記載の組成物を含むフィラメントを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多成分ポリマーブレンド及びそれらと無機添加剤との複合材料を含む新規のポリマー組成物に関する。前記ポリマーブレンドの繊維での強化も開示されている。これらのポリマーブレンドは、医療機器における使用に適した目的に合わせた機械的特性を提供する。
【0002】
関連技術の説明
生分解性ポリマーブレンド及び医療機器製造におけるそれらの使用は公知である。以下にいくつかの例を示す:米国特許第4844854号明細書;第5475063号明細書;第6583232号明細書;第6607548号明細書;第8486135号明細書。
【0003】
本発明におけるポリマーブレンドは、改善された延性、靭性及び耐衝撃性を有する新規の多成分ポリマーブレンドに関する。ポリマーマトリックスは、非晶質材料と半結晶性材料の双方から選択できる。マトリックスを半結晶性材料から選択する場合に、より高い結晶化度及び増加した弾性率が達せられる。さらに、多成分ブレンドにおいて使用される半結晶性マトリックスは、ポリマーブレンドの焼き鈍しを可能にしてポリマーブレンドの衝撃強度を向上する。本発明において、エイジングの影響は、相混和性を改善する第二のポリマー添加剤の導入で最小限になる。二成分ブレンドにおいて、破断点伸びは、鎖の再編成によるエイジングで低下する。これは、以前に開示された発明、例えば米国特許第6607548号明細書とは対照的である。現在開示されている本発明のポリマーブレンドは、押し出されて、改善された機械的特性を有するモノフィラメント繊維又はマルチフィラメント繊維になるか、又は3Dプリントのためにフィラメントに加工されうる。ポリマーブレンドは、整形外科における特定の用途のための強化剤として無機添加剤及び/又は繊維を組み込んでよい。また、軟組織修復において使用するための着色剤、例えばD&C Violet NO.2、D&C Green NO.6、D&C Blue NO.6の添加も記載する。
【0004】
発明の概要
ポリマーブレンド組成物は、ラクチド又はグリコリドベースのポリマー又はコポリマー(50~95%(w/w))に由来するベースポリマーと、ポリカプロラクトン及びポリエチレンカーボネートコポリマー(5~50%(w/w))を含む1つ以上の第二のポリマーとを含む多成分ポリマーブレンドである。前記ポリマーブレンドを、顆粒に配合し、機械的試験のために曲げ試験片及び引張試験片に、又は医療機器製造のために他の物品に射出成形してよい。これらのポリマーブレンドの延性は、ブレンド組成における変化で調整できる。ブレンド配合を変更して、約10%~約200%の範囲の破断点伸びが達せられる。さらに、引張試験片及び曲げ試験片の後処理焼き鈍し処理は、おそらく焼き鈍しプロセス後に観察された結晶化度における増加によって、ブレンドの強度及び弾性率についてさらに高い値を達成できることを示した。さらに、ポリマーブレンドは、改善された耐衝撃性及び靭性を示した。
【0005】
ポリマーブレンドと無機添加剤粒子との配合は、さらに高い機械的特性、例えば弾性率を達成できる手段としても記載される。以下でポリマーブレンド複合材料として公知の無機添加剤を含むこれらのポリマーブレンドは、整形外科の医療機器の製造において使用されうる。
【0006】
繊維強化は、耐荷重用途のためのポリマーブレンドの機械的特性を改善するために適用されている。繊維は、溶融加工アプローチを介して、連続繊維又はチョップドファイバーとして(1~50%(w/w))の濃度でマトリックスに添加されてよい。繊維は、生分解性繊維及び/又は非分解性繊維から選択される。分解性繊維は、これらに制限されないが、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDO)、及びそれらのコポリマーを含み、かつ非分解性繊維は、これらに限定されないが、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)を含みうる。以下、これらの繊維含有ポリマーブレンドを、繊維強化ポリマーブレンド複合材料として定義する。本明細書において開示される多成分ブレンド組成物の、強化複合材料及び押出フィラメント及び延伸繊維へのプロセスが記載されている。
【0007】
背景技術
移植可能な医療機器における生体吸収性の生体材料の使用についての関心が高まっている。ポリ乳酸(PLA)ホモポリマー、例えばPLLAや及びそのコポリマーは、その優れた生体適合性及び取り扱い特性によって移植可能な医療機器における使用に好適である。さらに、これらのポリマーは体内で分解し、そしてそれらの分解生成物は、クレブス回路を介して代謝される。PLAベースのポリマーは、医療機器における多くの用途に適した引張強度及び弾性率も有する。しかしながら、それらの用途は、その脆性により限られる。この脆性は、PLAベースのポリマーにおいて破壊靭性及び破壊点伸びを欠いていることから明らかであり、特定の用途、例えば整形外科用機器及び結紮クリップにおけるそれらの使用が妨げられる。整形外科用機器及び延性のある医療物品(例えば、結紮クリップ)の分野におけるPLAベースのポリマー材料をより望ましく選択するために、本明細書において提示する本発明は、かかる医療機器を製造するための適切な機械的特性を呈することを示す新規組成物を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、70%PLLA及び30%PCLの質量対質量のブレンドを含む非混和性ポリマーブレンドのそれぞれの成分についての2つの別個の融解曲線を示す示差走査熱量測定分析のサーモグラムを示す。
図1B図1Bは、70%PLLA及び30%PLLA-co-PCL 70:30の質量対質量のブレンドを含むポリマーブレンドの非混和性を検査する1つの融解曲線を示す示差走査熱量測定分析のサーモグラムを示す。
図1C図1Cは、70%PLLA及び30%PLLA-co-TMC 70:30の質量対質量のブレンドを含むポリマーブレンドの非混和性を検査する1つの融解曲線を示す示差走査熱量測定分析のサーモグラムを示す。
図1D図1Dは、75%PLLA、15%PLLA-co-TMC 70:30、及び10%PLLA-co-PCL 70:30の質量対質量のブレンドを含むポリマーブレンドの非混和性を検査する1つの融解曲線を示す示差走査熱量測定分析のサーモグラムを示す。
図2図2は、75%PLLA、15%PLLA-co-TMC、及び10%70:30 PLLA-co-PCLの質量対質量ブレンドを含む多相ポリマーブレンドにおけるコポリマー比のNMRスペクトルを示す。
図3A図3Aは、時間の関数としての複素粘度、貯蔵弾性率、及び損失弾性率における変化を伴う、PLLA+15%PLLA-co-TMC+10%PLLA-co-PCLを含むポリマーブレンドのレオロジー結果を示す。
図3B図3Bは、温度の関数としてのPLLA+15%PLLA-co-TMC+10%PLLA-co-PCLを含むポリマーブレンドのレオロジー結果を示す。
図4A図4Aは、ポリマーブレンドの弾性率に対する、PLLA及びPLLA-co-TMCを含む質量対質量ブレンドにおけるポリマー比の影響を示す。
図4B図4Bは、ポリマーブレンドの引張強度に対する、PLLA及びPLLA-co-TMCを含む質量対質量ブレンドにおけるポリマー比の影響を示す。
図4C図4Cは、ポリマーブレンドの破断点伸びに対する、PLLA及びPLLA-co-TMCを含む質量対質量ブレンドにおけるポリマー比の影響を示す。
図5A図5Aは、ポリマーブレンドの弾性率に対する、PLLA、PLLA-co-TMC及びPLLA-co-PCLを含む質量対質量ブレンドにおけるポリマー比の影響を示す。
図5B図5Bは、ポリマーブレンドの引張強度に対する、PLLA、PLLA-co-TMC及びPLLA-co-PCLを含む質量対質量ブレンドにおけるポリマー比の影響を示す。
図5C図5Cは、ポリマーブレンドの破断点伸びに対する、PLLA、PLLA-co-TMC及びPLLA-co-PCLを含む質量対質量ブレンドにおけるポリマー比の影響を示す。
図6A図6Aは、12週間のエイジング後の、PLLA-co-TMC 25質量%を有するPLLA二成分ブレンド、並びにPLLA-co-TMC 15質量%及びPLLA-co-PCL 10質量%を含むPLLA三成分ブレンドの引張強度を示す。
図6B図6Bは、12週間のエイジング後の、PLLA-co-TMC 25質量%を有するPLLA二成分ブレンド、並びにPLLA-co-TMC 15質量%及びPLLA-co-PCL 10質量%を含むPLLA三成分ブレンドの弾性率を示す。
図6C図6Cは、12週間のエイジング後の、PLLA-co-TMC 25質量%を有するPLLA二成分ブレンド、並びにPLLA-co-TMC 15質量%及びPLLA-co-PCL 10質量%を含むPLLA三成分ブレンドの破断点伸びを示す。
図7A図7Aは、焼き鈍しの前後で5質量%~20質量%で、変動するレベルのPLLA-co-TMC及びPLLA-co-PCLを有するPLLA三成分ブレンドと比較した、PLLA-co-TMC 25質量%を有するPLLA二成分ブレンド及びPLLA-co-PCL 25質量%を有するPLLA二成分ブレンドの塑性応力挙動を示す。
図7B図7Bは、焼き鈍しの前後で5質量%~20質量%で、変動するレベルのPLLA-co-TMC及びPLLA-co-PCLを有するPLLA三成分ブレンドと比較した、PLLA-co-TMC添加剤ポリマー 25質量%を有するPLLA二成分ブレンド及びPLLA-co-PCL 25質量%を有するPLLA二成分ブレンドについての破断点応力と降伏応力との差の割合を示す。
図8A図8Aは、50℃で12週間加速分解した後のPLLA二成分ブレンド及び三成分ブレンドの残りの質量を示す。
図8B図8Bは、50℃で12週間加速分解した後のPLLA二成分ブレンド及び三成分ブレンドの溶液のpH変化を示す。
図8C図8Cは、50℃で12週間加速分解した後のPLLA二成分ブレンド及び三成分ブレンドの固有粘度(IV)における変化を示す。
図8D図8Dは、50℃で12週間加速分解した後のPLLA二成分ブレンド及び三成分ブレンドの引張強度における変化を示す。
図8E図8Eは、50℃で12週間加速分解した後のPLLA二成分ブレンド及び三成分ブレンドの弾性率(剛性)における変化を示す。
図9A図9Aは、整形外科用途のためのポリマーの質量対質量のブレンドに無機添加剤であるβ-トリカルシウムホスフェートを添加した後の引張強度に対する影響を示す。
図9B図9Bは、整形外科用途のためのポリマーの質量対質量のブレンドに無機添加剤であるβ-トリカルシウムホスフェートを添加した後の弾性率に対する影響を示す。
図10A図10Aは、β-TCP 15%を組み込んだ同一の三成分ブレンドと比較した、PLLA-co-TMC 15質量%及びPLLA-co-PCL添加剤ポリマー 10質量%を含む3DプリントPLLA三成分ブレンドの引張強度を示す。
図10B図10Bは、β-TCP 15%を組み込んだ同一の三成分ブレンドと比較した、PLLA-co-TMC 15質量%及びPLLA-co-PCL添加剤ポリマー 10質量%を含む3DプリントPLLA三成分ブレンドの弾性率を示す。
図11A図11Aは、純粋なPLLA延伸繊維と比較した、PLLA 75質量%+のPLLA-co-TMC 15質量%+PLLA-co-PCL 10質量%から構成される押し出したブレンドの延伸繊維の引張弾性率を示す。
図11B図11Bは、純粋なPLLA延伸繊維と比較した、PLLA 75質量%+のPLLA-co-TMC 15質量%+PLLA-co-PCL 10質量%から構成される押し出したブレンドの延伸繊維の引張強度を示す。
図11C図11Cは、純粋なPLLA延伸繊維と比較した、PLLA 75質量%+のPLLA-co-TMC 15質量%+PLLA-co-PCL 10質量%から構成される押し出したブレンドの延伸繊維の破断点伸びを示す。
図12A図12Aは、ポリマー複合材料の弾性率に対する、PLLAマトリックスポリマーとブレンドしたポリビニルアルコール繊維濃縮の効果の効果を示す。
図12B図12Bは、ポリマー複合材料の引張強度に対する、PLLAマトリックスポリマーとブレンドしたポリビニルアルコール繊維濃縮の効果の効果を示す。
図12C図12Cは、ポリマー複合材料の破断点伸びに対する、PLLAマトリックスポリマーとブレンドしたポリビニルアルコール繊維濃縮の効果の効果を示す。
図13A図13Aは、10%PGA繊維と組み合わせる前後のPLLA-co-TMC 30質量%及びPLLA-co-PCL 10質量%を有するPLLA-co-PGA三成分ブレンドの引張強度を示す。
図13B図13Bは、10%PGA繊維と組み合わせる前後のPLLA-co-TMC 30質量%及びPLLA-co-PCL 10質量%を含むPLLA-co-PGA三成分ブレンドの弾性率を示す。
【0009】
発明の詳細な説明
現在開示されている発明の完全な理解を深める目的で、及び本明細書において開示される発明の潜在的な特徴の実施形態を限定せずに、以下に、特定の実施形態を参照して、本明細書において開示される発明の潜在的な実施形態の例を示し、特定の言語を使用してそれを説明する。したがって、本明細書において開示される発明の範囲の制限は、本明細書において記載される好ましい実施形態の例又は開示される発明のさらなる改変と解されてはならず、かかるさらなる改変及び/又は適用は、本明細書において開示される発明及び関連する研究分野の当業者に通常生じるものであることが理解されるべきである。
【0010】
用語の定義
特に定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的な用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。競合が生じた場合には、定義を含む現在の文献が優先される。本明細書において記載されているものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料を以下に記載する。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の文献は、参照をもってそれらの全体を組み込んだものとする。本明細書において開示される材料、方法、及び実施例は例示のみであり、限定することを意図しない。
【0011】
本明細書において使用される用語「含有する(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含む(contain(s))」、及びそれらの変形は、追加の行為又は構造の可能性を排除しない、制限のない変化する句、用語、又は単語を意味する。「a」及び「an」及び「the」の単数形は、文脈上明らかに示されていない限り、複数の指示物を含む。本開示は、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、本明細書において提示される実施形態又は要素を「含む」、それら「からなる」、及びそれら「から本質的になる」他の実施形態も熟慮する。
【0012】
接続語「又は」は、接続語によって関連付けられた1つ以上の列挙された要素のありとあらゆる組み合わせを含む。例えば、「A又はBを含む装置」という句は、Bが存在しないAを含む装置、Aが存在しないBを含む装置、又はAとBの双方が存在する装置を示してよい。「A、B、...及びNの少なくとも1つ」又は「A、B、...Nの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせ」の句は、最も広い意味で、A、B、...及びNを含む群から選択される1つ以上の要素、すなわち、任意の1つの要素を単独で含むか、又は組み合わせて列挙されていない追加の要素を含んでよい他の要素の1つ以上と組み合わせて含む、要素A、B、...又はNの1つ以上の任意の組み合わせを意味すると定義される。
【0013】
数量に関連して使用される修飾子「約」は、記載された値を含み、記載内容によって指示された意味を有する(例えば、少なくとも、特定の数量の測定に関連する誤差の程度を含む)。修飾子「約」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示していると見なされるべきでもある。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示している。「約」という用語は、示した数のプラスマイナス10%を示してよい。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示し、「約1」は0.9~1.1の範囲を示す。「約」の他の意味は、丸めのように記載内容から明らかであってよく、したがって、例えば「約1」は、0.5~1.4も意味しうる。
【0014】
「wt.%」という用語は質量パーセントを意味する。
【0015】
「w/w」という用語は質量あたりの質量を意味する。
【0016】
本発明の目的のために、「生分解性」という用語は、特定の治療状況において許容される期間内にin vivoで溶解又は分解するポリマーを示す。かかる溶解又は分解される生成物は、より小さな化学種を含んでよい。分解は、例えば、酵素的、化学的及び/又は物理的プロセスによって生じうる。生分解は、生理学的なpH及び温度、例えば6~9の範囲のpH及び22℃~40℃の範囲の温度への曝露後、典型的に5年未満、通常は1年未満かかる。
【0017】
本発明の目的のために、「添加剤製造」という用語は、バイオプロッター、溶融フィラメント製造(FFF)、選択的レーザー焼結(SLS)、及びステレオリソグラフィー(SLA)を含むが、これらに限定されない。3Dプリント部品は、バイオプリント部品であってもよい。
【0018】
本発明の目的のために、「混和性」という用語は、連続的な均質相を形成することを意味する。
【0019】
本発明の目的のために、「放射線不透過性」という用語は、X線によって視覚化されることを意味する。
【0020】
本発明は、生物学的特性を不利に変化させることなく、所望の機械的特性を増加させたブレンドポリマー組成物及びポリマー複合材料の製造に関し、ここで、前記ポリマー複合材料は、繊維及び/又は粒子を含みうる。本発明の特定の実施形態において、組成物は、未使用のポリマー成分のブレンドを含み、一方で、開示される発明の他の好ましい実施形態は、所望の機械的特性をさらに高めることができるポリマーブレンドと共に繊維性材料を含む。さらに、本開示の発明の実施形態は、ポリマーブレンド複合材料の機械的特性及び生物学的特性の双方の強化のために、ポリマーブレンド内に無機添加剤粒子を含んでよい。
【0021】
本明細書に開示される発明は、耐荷重適用を含む多くの適用のためのかかる材料の使用に対して制限されてきたポリラクチドホモポリマー(例えば、PLLA)及びポリラクチドコポリマー(例えば、PLGA、ポリ-L-ラクチド-co-DL-ラクチド、PLDLLA)を含む医療機器物品の脆性に対処することを目的とする。前述のように、ポリラクチドホモポリマー(例えばPLLA)及びコポリマー(例えばPLGA又はPLDLLA)の脆性は、より高い延性を有するポリマー又はコポリマー、例えばポリカプロラクトン(PCL)及びポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)とブレンドして低減できる。しかしながら、PCL及びPTMCは、ポリラクチドポリマー及びコポリマーと非混和性であり、熱的方法、例えば示差走査熱量測定で複数の融解ピークから定量的に確認できる相分離をもたらす。本開示は、ポリマーマトリックスと、ポリマー添加剤、例えばポリ(L-ラクチド-co-カプロラクトン)70:30(PLLA-co-PCL)及びポリ(L-ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)70:30(PLLA-co-TMC)との溶融混合によって形成され、ここで、これらのブレンドの混和性は、示差走査熱量測定における単一の融解曲線の存在として定量的に見ることができる(図1)。溶融ブレンド、溶媒ブレンド、乾燥粉末ブレンド、固体粉砕及び超臨界二酸化炭素ブレンドを含むポリマーのブレンドのために、さまざまな方法が利用できる。本開示の一態様において、二軸スクリュー押出機を使用して、全ての成分の溶融温度を超える温度(180℃~220℃)でベースポリマーマトリックスと添加剤ポリマーとをブレンドする方法が提供される。さらに、ポリマーを、タンブラーブレンダーを使用して約30分間、所望の比率で予備混合し、続いて質量分析フィーダーを使用して押出機に供給した。得られたブレンドを収集し、ブレンド中のポリマーのモル比を、H1NMRを使用して決定した(図2)。本発明におけるポリマーブレンドは、PLAホモポリマー、又はグリコール酸もしくはDL-ラクチド(50~95%)とポリラクチドコポリマー、例えば、PLLA-co-TMCもしくはPLLA-co-PCLから選択される少なくとも1つの二次ポリマー種(5~50%)とのコポリマーに基づくポリマーマトリックスからなる。ポリマーマトリックスは、半結晶性又は非晶性であってよい。前記二次ポリマー種は、ブレンド及び処理後に相分離することなく連続相を形成するポリマーマトリックスと混和性である。ポリマーブレンドの機械的特性は、ベースポリラクチドベースのポリマーと二次ポリマー種のブレンド比率の変化で変動する。同様に、二次添加剤ポリマー種に関連するベースポリマーの量は、二次ポリマー種のタイプと共に、得られるポリマーブレンドの分解特性を制御する。例えば、ポリマーマトリックスとしてPLAホモポリマーが選択されるポリマーブレンド組成物と比較して、PLGAがベースポリマー種として選択される場合に、より速い分解が期待される。ポリマーブレンドの分解速度は、PLLA-co-TMC及びPLA-co-PCLの含有量の変化によって変動する。前記したポリマー組成物は、ベースポリマーの従来の処理よりも低い温度で配合できる。PLLA-co-TMC 15質量%及びPLA-co-PCL添加剤ポリマー 10質量%を有するPLLAに基づく三成分ブレンドのレオロジー挙動を図3に示す。
【0022】
通常、ポリマーマトリックスの引張強度は、柔らかいポリマー、例えばPCL及び/又はPTMCとブレンドする場合に低下する。本開示において、PLLA-co-TMCの二次ポリマー種をPLLAベースポリマーに添加した場合にポリマーブレンドの引張強度におけるわずかな初期変化が見られたが、引張強度は、二次ポリマー種がポリマーブレンドの30%(w/w)に達するまでポリマーブレンドの全ての比率で同等のままであった(図4A)。さらに、二次ポリマー種としてのPLAベースのベースポリマー及びPLLA-co-TMCを含むポリマーブレンド組成物の弾性率は、二次ポリマー種の濃度が増加するにつれて減少するが、破断点伸びは、30% PLLA-co-TMCの添加で120%まで連続的に増加する(図4C)。
【0023】
さらに、ポリマーブレンドは、より優れた機械的、生物学的、及び/又は分解特性を達成するために、複数のポリマー種を含んでよい。例えば、PLAのベースポリマーマトリックスへのPLLA-co-TMC及びPLLA-co-PCLの添加は、ポリマーブレンドの破断点伸び(すなわち、延性)においてに大きな増加を示し、これは、PLLA-co-PCLの添加時に相連続性における改善に起因しうる(図5)。
【0024】
本発明のさらなる実施形態において、ポリマーマトリックスの結晶化度は、ポリマーブレンドの得られた機械的特性を増強するように改変されうる。例えば、ベースポリマーマトリックスとしてPLLAはマトリックス内に大きな球晶の形成をもたらし、最終的に引張強度及び弾性率が増加するが、ポリマーブレンドの延性は低下することが示されている。本発明の範囲内で、PLLA-co-TMCを含む二成分ブレンドへのPLLA-co-PCLの添加は、相連続性を改善して、PLLA-co-TMCを有する二成分PLLAブレンドのエイジング効果の低減をもたらすことが示されている(図6)。二成分及び三成分のPLLAブレンドの引張強度及び弾性率の双方は、エイジングと共に増加し、予測したとおり破断点伸びが減少した(図6A~C)。図6Cの結果は、10%のPLLA-co-PCLを添加した二成分ブレンドと比較して、三成分ブレンドの破断点伸びに対する最小化されたエイジング効果を示している。三成分ブレンドの破断点伸びは、二成分ブレンドの57%と比較して、約25%しか減少しなかった。これは、米国特許第6607548号明細書(US patent No. 6607548)に開示されているように、冷間曲げ特性を回復するために加熱する必要なしに、冷間曲げ性の三成分ブレンドの保持に寄与する。
【0025】
本明細書に開示されるポリマーブレンドの焼き鈍しプロセスは、焼き鈍し前の20%未満から焼き鈍し後の約40%への結晶化度の増加をもたらした。試験片の焼き鈍しを80℃で5時間実施し、続いて一晩ゆっくりと冷却した。表1は、焼き鈍しした試験片と焼き鈍ししていない試験片の機械的特性及び結晶化度を比較している。この表において見られるように、結晶化度は、双方のPLLAについてこの焼き鈍しプロセスを通して増加しており、ベースポリマーマトリックスとしてPLLAを含むポリマーブレンドを本明細書において開示した。
【0026】
さらに、本開示の発明の代わりの実施形態は、前記ポリマーブレンドの結晶化度の調整を可能にすることができる。例えば、より低い結晶化度は、25%(w/w)PLLA-co-TMCである二次ポリマー種を有するPLLAベースポリマーマトリックスを含むポリマーブレンドで達成されることが示されている。二次ポリマー種が15%(w/w)PLLA-co-TMC+10%(w/w)PLLA-co-PCL 70:30を含む場合も同様の結果を示した。
【0027】
焼き鈍しした試験片と焼き鈍ししていない試験片の引張特性、曲げ特性及び衝撃特性を以下の表において比較する。見て取れるように、弾性率、破断応力、衝撃強度及び引張強度は、焼き鈍しにより増加した。通常、半結晶性ポリマーの破断点伸びは、焼き鈍しにより減少する。しかしながら、25%PLLA-co-PCLとのブレンド及び双方の15%PLLA-co-TMCと10%PLLA-co-PCLとのブレンドの破断点伸びは、25%PLLA-co-TMCとのブレンドと比較してより少ない程度(3~4×)に減少した(6分の1の減少)。これは、PLLA-co-PCLとPLLAとの混和性、及びPLLA-co-TMCと一緒にブレンドした場合の相溶化剤としての役割による可能性がある。これらのポリマーブレンドのエイジングも同様の効果が見られる。PLLA/PLLA-co-TMCのブレンドへのPLLA-co-PCLの添加は、エイジングの影響の減少をもたらした(図6)。
【0028】
【表1】
【0029】
本発明の一実施形態において、焼き鈍しした試験片の機械的特性を、焼き鈍し前の試験片と比較した。75%PLLAと25%PLLA-co-TMC、及び75%PLLAと25%PLLA-co-PCLの二成分ブレンドは、それぞれ28%及び23%の降伏応力から減少した破断応力を有する著しいひずみ軟化を示す。75%PLLAと20%PLLA-co-TMCと5%PLLA-co-PCLとの三成分ブレンドは、9%の降伏応力から破断応力の低減を有するひずみ軟化挙動を改善した。70%PLLAと20%PLLA-co-TMCと10%PLLA-co-PCLとの、及び70%PLLAと15%PLLA-co-TMCと15%PLLA-co-PCLとの三成分ブレンドは、それぞれ-2.41%及び0.36%の降伏応力から破断応力のパーセント差を伴う弾塑性挙動を示した。65%PLLAと20%PLLA-co-TMCと15%PLLA-co-PCLとの三成分ブレンドは、7.03%の増加で降伏強度よりも高い破断応力を有するひずみ硬化挙動を示した(図7)。
【0030】
本発明の他の実施形態において、加速分解を、50℃で12週間実施した。わずかな質量損失があるように思われるPLLA-co-PCLを除いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で8週間後にポリマーの質量に変化は見られなかった(図8A)。12週間後、PLLA-co-PCLについては約33%の質量損失があり、PLLAベースポリマーについては1.5%の劣化があった。図Xaの傾向は、ベースポリマーにポリマー添加剤を添加すると質量損失が増加することを示す。図8Bにおいて示す固有粘度(IV)の変化は、本発明における全てのポリマーについてのバルク分解メカニズムを確認した。PLLA-co-PCLは、PLLA-co-TMCよりも速く分解し、50%PLLA-co-TMCとのポリマーブレンドが続いた。15%PLLA-co-TMC及び10%PLLA-co-TMCを使用した三成分ポリマーブレンドは、最大3週間で20%及び15%PLLA-co-TMCを使用した二成分ブレンドと同様の分解プロフィールを示し、その後より速く分解した。これらのデータは、ベースポリマーの劣化がポリマー添加剤の添加によって増加しうることを示す。図8Cの結果は、8週間後に7.4から3.3へ、12週間後に2.79へPLLA-co-PCLの急速なpH変化を示す。50%未満の添加剤ポリマーを有する二成分ブレンド及び三成分ブレンドについては、pHの変化が遅くなった。これは、より高い生体適合性に寄与しうる。機械的試験の結果は、50%PLLA-co-TMCを含む二成分ブレンドを除いて、全ての二成分ブレンド及び三成分ブレンドが、PLLAベースポリマーと比較してより大きな引張強度を最大8週間維持することを示した(図8D)。12週間後に、前記二成分ブレンド及び三成分ブレンドの引張強度は大幅に低下した。図8E弾性率は同様の傾向を示した。15%PLLA-co-TMC及び10%PLLA-co-PCLを有する三成分ブレンドは、分解8週間後に弾性率が急激に低下した。
【0031】
本発明の他の実施形態において、無機添加剤を、溶融ブレンドを介して二軸スクリュー押出機を使用してポリマーブレンドに添加できる。標準のPLLAと同様に、無機添加剤をポリマーブレンドPLLA+15質量%PLLA-co-TMC+10質量%PLLA-co-PCLに添加した場合に、機械的特性に変化があった。図9Aに示すように、ポリマーブレンドの引張強度は、15%マイクロ-β-TCP(D50 10μm)の添加で69MPaから減少し、そしてβ-TCP濃度が30%に増加して45MPaに変化した。より小さな粒子サイズ(500~700nm)を有するβ-TCPを添加した場合に、引張強度の低下は小さかった。予想したように、ポリマーブレンドの弾性率は、無機添加剤の添加で増加し、この増加は図9Bに示すように添加剤濃度の作用であった。
【0032】
15質量%PLLA-co-TMC及び10質量%PLLA-co-PCLを有する三成分PLLAブレンド、及び15%β-TCPを有するそれらの複合材料を、FFF印刷のために直径1.75mmのフィラメントに押し出した。3Dプリントしたドッグボーン試験片の機械的特性を図10に示す。β-TCPを使用した場合と使用しない場合のポリマーブレンドで同等の引張強度を観察した(図10A)。ブレンド複合材料の弾性率は、β-TCPを有さないブレンドよりも大きかった(図10B)。
【0033】
図11は、7.5%β-TCPを含むポリマーブレンド及びポリマーブレンド複合材料からなる延伸繊維の機械的特性を示す。機械的試験は、延伸ブレンド繊維については645MPa、延伸ブレンド複合繊維については613MPaの引張強度を示した(図11A)。弾性係数は、延伸繊維ブレンドについて6136、延伸ブレンド複合繊維について6939であり(図11B)、破断点伸びは、延伸繊維ブレンドについて35.4%、延伸ブレンド複合繊維について40.1%であった(図11C)。
【0034】
本発明の一態様において、繊維は、ポリラクチドポリマーマトリックスの強化、及びPLLA-co-TMCとPLLA-co-PCLとのそのブレンドに使用できる。分解性繊維及び非分解性繊維は、PLLA、PGA、PLGA、PEEK、PVA、PET、PBT及びPEを含むが、これらに限定されない。繊維は、絹、キトサン、キチン、ケラチン、及びコラーゲンを含むが、これらに限定されない天然繊維であってよい。加工は、二軸押出機を使用した配合及び圧縮成形を含む。溶融加工技術、例えば押出機、圧縮成形及び射出成形を適用するために、繊維及びポリマーマトリックスは、完全に異なる溶融温度(Tm)を有する必要がある。例えば、Tm 230℃を有するPGA繊維は、繊維の溶融温度より少なくとも50℃低い溶融温度を有するポリマーで処理されてよいが、Tm 230℃未満を有する繊維を使用することは不可能であろう。本発明のポリマーブレンドは、繊維加工に適したそれらのベースと比較して、より低い溶融温度を有する。
【0035】
図12は、溶融処理後のマトリックス内の繊維の残存を確認したPLAとのPVA繊維の複合材料を示す。機械的試験は、15%PVA繊維(60~96MPa)の添加でPLLAの引張強度が59%増加することを示す(図12A)。弾性係数は、3.2GPaから5.1GPaに変化し(図12B)、破断点伸びも2%から7%に増加した(図12C)。
【0036】
ベースポリマーとしてPLLA-co-PGA、30質量%PLLA-co-TMC及び15質量%PLLA-co-PCLを含む添加剤ポリマーの組み合わせからなる三成分ポリマーブレンドは、160℃の温度でのPGA繊維処理に適していることが見出された。繊維強化複合材料の機械的特性を図13に示す。非強化ポリマーブレンドの引張強度は74.06MPaであり、10%PGA繊維を組み込むと134.03MPaに増加し(図13A)、PGA強化ポリマーブレンドの弾性率は3942MPaから8778MPaに変化した(図13B)。この例は、低い粘度及び融点を有するブレンドを使用が、ブレンドした繊維を溶融せずにPGA繊維を組み込むことができることを示す。
【0037】
実施例
次の実施例は、本記載内容において請求されたどのように組成物、物品、及び/又は方法を製造するかの完全な開示及び記載で通常の技術を提供するために記載され、本発明の単純な例示を意図し、かつ発明者が本発明とみなす範囲を制限することを意図しない。数(例えば量、温度等)に関する正確さを確実にするために努力するが、しかしいくつかの誤差及び偏差は、説明すべきである。特に明記されない限り、部は質量部であり、温度は℃又は室温であり、かつ圧力は、大気又は大気付近である。
【0038】
実施例1
PLLAを、15質量%PLLA-co-TMC 70:30及び10質量%PLLA-co-PCLとブレンドし、タンブルミキサーを使用して1時間機械的に混合した。そして、混合した材料を約45℃の温度で乾燥させて、Arizona Computrac Vapor Pro水分計で測定して約300ppmの水分に到達させた。そして、乾燥させた混合物を、二軸スクリューコンパウンダーを介してホットメルト押出を使用して押し出し、その後、押し出し、続いてペレット化した。
【0039】
実施例2
組成物を、熱的方法を使用して製造した。Process11 Thermo Scientific二軸スクリュー配合押出機による溶融加工を使用して、多成分ブレンド及び複合材料を製造した。組成物を、300RPMのスクリュー速度で処理し、ゾーンを加熱し、ゾーン温度を60℃から200℃の範囲にした。その後に押し出した材料をフィラメントとして収集し、試験片への射出成形によるこの先の処理のために3mmのペレットにペレット化した。
【0040】
次に、ブレンドした材料ペレットを、ISO 527-2 1BAに記載されているように、断面5mm×2mm、試験長さ58mmを有するドッグボーン引張試験片に射出成形した。そして、製造した引張試料をデシケーター内で室温で48時間エイジングし、基準に従って試験した。
【0041】
示差走査熱量測定(DSC-TA機器Q2000)を使用して、吸熱及び発熱サイクルにおけるポリマーブレンドの熱挙動を試験した。DSCを、連続した加熱/冷却/加熱サイクルで3回実施した。それぞれの試料を、10℃ 分-1の加熱速度で室温から200℃に予熱し、20℃ 分-1の冷却速度で25℃に冷却した。最後の加熱サイクルを、10℃ 分-1の加熱速度で25℃から200℃まで実施した。TA機器Universal Analysisソフトウェアを使用して、ポリマーブレンドのTg、Tm及び結晶化度%を決定した。
【0042】
NMR試験について、試料をCDCl3に溶解し、そして400MHz分光計から1HNMRスペクトルを得た。
【0043】
実施例3
実施例2と全て同様のままであるが、ブレンドの機械的特性のいくつかをさらに高めるために追加の後処理ステップを行った。室温でデシケーター内でエイジングした後に、ブレンド組成物の射出成形しドッグボーン試料を、80℃の温度で5時間焼き鈍しした。この時点で、試料を4℃/時間の速度で冷却した。試料を、以下に説明するように機械的に試験した。
【0044】
実施例4
材料のデータ評価を、実施例1及び実施例2に示したものと同様の方法を使用して製造した。それぞれの材料の引張試験を実施した。ISO 527-1 Plastics-引張特性の決定に従って、試験したそれぞれの試料を、引張強度、伸び、及び材料の弾性率を決定するために、10kNロードセル及び空気圧グリップを有するInstronデュアルカラム万能試験機Model 3366にロードした。基準により、弾性率を決定するための試験速度は0.2mm/分であり、弾性率の計算を0.05%~0.25%のひずみ範囲にわたって行った。残りの試験についての試験速度は、失敗するまで5mm/分であった。射出成形したドッグボーン試料を、23℃±℃の室温で試験した。ドッグボーンをゲージ長58mmのクランプに配置し、弾性係数の計算の最初の0.3%ひずみについて0.2mm/分のクロスヘッド速度で荷重をかけ、その後、残りの引張特性について5mm/分の荷重をかけた。
【0045】
実施例5
さまざまな濃度のPLLA-co-TMC(15~20質量%)及びPLLA-co-PCL(5~15質量%)を有するPLLAの混和性ブレンドを、前記実施例で概説した方法を使用してホットメルト押出によって押し出した。引張試験片を、押し出した材料を射出成形することによって製造した。それぞれのブレンドについて、射出成形した試験片の半分を80℃で5時間焼き鈍しした。試験片を2日間エイジングし、引張試験をした。焼き鈍しした試験片の機械的特性を、焼き鈍し前の試験片と比較した。
【0046】
実施例6
分解を加速するために、PLLA、PLLA-co-TMC、PLLA-co-PCLを含む純粋なポリマー、並びにPLLAとさまざまな量のPLLA-co-TMC(15~50質量%)及びPLLA-co-PCL(10質量%)を含むポリマーブレンドを、断面2.5mm×1mm及び試験長27.5mmを有する引張試験片(ISO 20753 A14)に射出成形した。前記引張試験片を、10mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む15mLの遠心分離管に入れ、50℃でインキュベートした。それぞれ特定の時点で、試験片をPBS溶液から取り出し、溶液のpHを測定した。湿った試験片に対して機械的試験を実施し、試験した試験片を一晩真空炉に入れて質量損失及びIV測定を行った。
【0047】
実施例7
75%PLLA+15%PLLA-co-TMC+10質量%PLLA-co-PCLを含むポリマーブレンドを、30質量%β-リン酸三カルシウムと配合した。得られたポリマーブレンド複合材料を、射出成形により、機械的試験用のための物品及び医療機器のプロトタイプにさらに加工した。これにより、機械的特性を向上させるための無機添加剤を含むポリマーブレンドを得た。
【0048】
実施例8
75%PLLA、15%PLLA-co-TMC、10%PLLA-co-PCLブレンドを含むモノフィラメント繊維、及び7.5%β-リン酸三カルシウム(β-TCP)と同一のブレンドの複合材料の製造を、実施例1に記載のブレンドペレットを使用して処理した。このプロセスにおいて、溶融したポリマーストランドを、制御した温度下で巻き取り機構を介して延伸して、延伸繊維を製造する。これらの繊維の機械的特性をさらに試験した。
【0049】
実施例9
75%PLLAと15%PLLA-co-TMC及び10%PLLA-co-PCLとのブレンドを、前記実施例で概説した方法を使用してホットメルト押出によって押し出した。押出物を、材料が押出機から出てくる時点でスプーラーの引張速度を調整することにより、1.75mmのフィラメントに成形した。スプールしたフィラメントを、溶融フィラメント製造(FFF)3Dプリンターで使用し、実現可能性試料を作成した。試料を、220℃のノズル温度を使用して作成した。プリンターのベッドを、60℃に加熱して第一層の接着性を改善し、そしてチャンバーを30℃に維持した。
【0050】
実施例10
質量で85:15%(PLLA:PVA)の比率で測定した場合に、PLLA(1.5dpf×3.18mm)及びPVA(1.8dpf×6.35mm)の繊維は同様の嵩密度を有する。そして、高速ミキサーを使用して繊維を固体状態でブレンドした。そして、繊維ブレンドを射出成形機に供給し、断面5mm×2mm及び試験長58mmを有するISO 527-11BA試験片に射出成形した。射出成形を、PVA繊維の融点(237℃)より低いが、PLLA繊維の融点(180℃)より高い温度で実施した。得られた試験片を室温で2日間エイジングさせた。試験片も、強化PVAを有さないPLLA繊維のみを使用して同様の方法で製造した。非強化試験片の弾性係数は3420MPaであったが、PVA強化試験片の値は5128MPaであった。引張強度は、96.3MPaの値を有するPVA強化PLLAと比較して、PLLA試験片について60.48MPaであった。最後に、破断点伸びは、PLLA及びPLLA-PVA強化でそれぞれ2.265%及び6.88%であった。
【0051】
実施例11
55%PLLA-co-PGAと30%PLLA-co-TMCと15%PLLA-co-PCLとのポリマー混合物を、二軸スクリューを使用したホットメルト押出によりブレンドした。そのブレンドを、PGA繊維の溶融温度より70℃低い温度160℃で、配合プロセスに組み込まれたPGAマルチフィラメント繊維で再押出した。押し出した材料は、PGA濃度10%を有した。引張試験片を、180℃で押出物を射出成形することによってこの材料から作成し、その後、ISO527規格に従って試験した。基準により、弾性率を決定するための試験速度は0.2mm/分であり、弾性率の計算を0.05%~0.25%のひずみ範囲にわたって行った。残りの試験についての試験速度は、失敗するまで5mm/分であった。
【0052】
実施例12
D&C#2染料を、75質量%PLGA、15質量%PLLA-co-TMC、及び10質量%PLLA-co-PCLを含むポリマーブレンドに約0.01質量%の濃度で添加した。着色剤のブレンドを、着色剤の粉末材料としての物理的ブレンド及び続く混合によって得た。得られた着色ポリマーブレンドを、二軸スクリュー押出機を使用して、自由製造の3Dプリントに適した1.75mmフィラメントに溶融加工し、医療機器のプロトタイプに射出成形するために3mmペレットにペレット化した。
【0053】
項目1は、生分解性ポリマーブレンド組成物であって、以下:
ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、それらの異性体又はコポリマーであるベースポリマー材料の少なくとも1つ;及び
ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド-co-ジオキサノン)、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド-co-ジオキサノン)、それらの異性体又はコポリマーである添加剤ポリマー材料の少なくとも1つ
を含む組成物である。
【0054】
項目2は、ベースポリマー材料が1質量%~50質量%であり、かつ添加剤ポリマー材料が50質量%~99質量%である、請求項1に記載の組成物である。
【0055】
項目3は、ベースポリマー材料及び添加剤ポリマー材料が混和性である、請求項1又は2に記載の組成物である。
【0056】
項目4は、ベースポリマーよりも低い溶融温度を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0057】
項目5は、約150℃~約200℃の溶融温度を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0058】
項目6は、約1.5dL/g~約4.5dL/gの固有粘度を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0059】
項目7は、10%~200%の範囲の破断点伸びを有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0060】
項目8は、ベースポリマー材料及び添加剤ポリマー材料を、溶融加工によって一緒にブレンドして多成分材料にする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0061】
項目9は、室温で冷間曲げできる特性を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0062】
項目10は、12週間のエイジング後に、その初期破断点伸び特性の少なくとも70%を保持する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0063】
項目11は、加速分解を介してベースポリマーと比較した場合に、pH変化及び機械的特性の喪失に対してより大きな耐性を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0064】
項目12は、ブレンドした多成分材料を、配合二軸スクリュー押出プロセスを介して均質化する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0065】
項目13は、延伸モノフィラメント及びマルチフィラメント繊維に加工することができる、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0066】
項目14は、半製品又は完成した医療機器物品に成形される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0067】
項目15は、ペレット、フィラメント、ロッド、又はシートに加工される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0068】
項目16は、延伸することによりチューブ又はフィルムに加工される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0069】
項目17は、組成物が物品を形成するために使用され、物品を焼き鈍しする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0070】
項目18は、焼き鈍しが、基材からなる物品の特性と比較して、物品の弾性率、引張強度、及び衝撃強度を増加させる、請求項17に記載の組成物である。
【0071】
項目19は、焼き鈍しが、荷重下での材料の塑性変形挙動を、ひずみ軟化挙動を示すものからひずみ硬化へと変化させる、請求項17に記載の組成物である。
【0072】
項目20は、焼き鈍しが、40%を超えて破断応力を増加させる、請求項17に記載の組成物である。
【0073】
項目21は、焼き鈍しが、ベースポリマーの降伏強度を超えて引張強度を増加させる、請求項17に記載の組成物である。
【0074】
項目22は、ベースポリマーのガラス転移温度を超える温度で焼き鈍しされる、請求項17に記載の物品である。
【0075】
項目23は、以下、
a. 請求項1に記載の組成物;及び
b. 粒子、繊維、ウィスカー、無機添加剤、放射線不透過性材料、バイオガラス又はそれらの組み合わせである添加剤材料
を含む、医療機器用途のための生分解性ポリマーブレンド複合材料組成物である。
【0076】
項目24は、請求項1に記載の組成物が50質量%~95質量%であり、添加剤材料が5質量%~50質量%である、請求項23に記載の組成組成物である。
【0077】
項目25は、添加剤材料が無機添加剤であり、無機添加剤が、アパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、無機塩、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項23又は24に記載の組成物である。
【0078】
項目26は、リン酸カルシウム塩がドーパントを含み、ドーパントが、フッ素、ストロンチウム、マグネシウム、亜鉛、又はそれらの組み合わせである、請求項25に記載の組成物である。
【0079】
項目27は、放射線不透過性材料が硫酸バリウム又はタンタルである、請求項23又は24に記載の組成物である。
【0080】
項目28は、バイオガラスがBioglass 45Sである、請求項23又は24に記載の組成物である。
【0081】
項目29は、モノフィラメント繊維及びマルチフィラメント繊維に延伸できる、請求項23から28までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0082】
項目30は、延伸した繊維が、ベースポリマーから延伸した繊維よりも少なくとも1.5倍高い引張強度を有する、請求項29に記載の組成物である。
【0083】
項目31は、請求項1に記載の組成物の特性と比較して、ポリマーブレンド複合材料の弾性率が増加している、請求項23から28に記載の組成物である。
【0084】
項目32は、無機添加剤が組成物の骨伝導性を増加させる、請求項23、24、25、又は28に記載の組成物である。
【0085】
項目33は、(a)及び(b)が溶融加工によって一緒にブレンドされる、請求項23又は24に記載の組成物である。
【0086】
項目34は、繊維強化した生分解性ポリマーブレンド複合組成物であって、以下:
a. 請求項1又は23に記載の組成物;
b. ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン(PE)、シルク、キチン、コラーゲン、エラスチン、マグネシウム及びマグネシウム合金、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維
を含む、繊維強化した生分解性ポリマーブレンド複合組成物である。
【0087】
項目35は、請求項1の組成物が50質量%~99質量%であり、繊維が1質量%~50質量%である、請求項34に記載の組成物である。
【0088】
項目36は、繊維が、連続繊維又はチョップドファイバーである、請求項34又は35に記載の組成物である。
【0089】
項目37は、繊維が100μm未満の直径を有する、請求項36に記載の組成物である。
【0090】
項目38は、チョップドファイバーが約1mm~30mmの長さを有する、請求項36に記載の組成物である。
【0091】
項目39は、繊維が、溶融加工によって請求項1又は23に記載の組成物とブレンドされる、請求項34又は35に記載の組成物である。
【0092】
項目40は、請求項1の組成物と比較した場合に、繊維が複合引張強度及び弾性率を増加させる、請求項34又は35に記載の組成物である。
【0093】
項目41は、完成又は半完成医療機器物品に製造される、請求項34又は35に記載の組成物である。
【0094】
項目42は、ペレット、フィラメント、ロッド、又はシートに加工される、請求項34又は35に記載の組成物である。
【0095】
項目43は、延伸することによりチューブ又はフィルムに加工される、請求項34又は35に記載の組成物である。
【0096】
項目44は、モノフィラメント繊維又はマルチフィラメント繊維に延伸される、請求項34又は35に記載の組成物である。
【0097】
項目45は、以下:
a. 請求項1、23又は34の組成物;及び
b. 着色剤
を含む生分解性カラーポリマーブレンド組成物である。
【0098】
項目46は、着色剤が0.001質量%以上である、請求項45に記載の組成物である。
【0099】
項目47は、着色剤が、2-[(9,10-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-1-アントラセニル)アミノ]-5-メチル-ベンゼンスルホン酸のモノナトリウム塩((D&C Violet NO.2)、D&C Blue NO.6又はD&C Green NO.6である、請求項45又は46に記載の組成物である。
【0100】
項目48は、(a)及び(b)を溶融加工によって一緒にブレンドして多成分材料にする、請求項45又は46に記載の組成物である。
【0101】
項目49は、着色剤を、適用中の追跡を向上させるために添加する、請求項45から48までのいずれか1項に記載の組成物である。
【0102】
項目50は、付加製造によって加工される、請求項1、23、34、及び45に記載の組成物である。
【0103】
項目51は、付加製造が、バイオプロッター、溶融フィラメント製造(FFF)、又は選択的レーザー焼結(SLS)を含む、請求項50に記載の組成物である。
【0104】
項目52は、以下:
a)ベースポリマー材料と添加剤ポリマー材料を混合して混合物を形成するステップ;
b)混合物を二軸スクリュー押出機に供給するステップ;
c)二軸スクリュー押出機で混合物を溶融して押出物を形成するステップ;
d)押出物からペレットを形成するステップ;及び
e)押し出したペレットを物品に射出成形するステップ
を含む、請求項1、23、34、又は45に記載の組成物を含む物品を製造するための方法である。
【0105】
項目53は、以下:
a)個々の成分を混合するステップ;
b)混合物を二軸スクリュー押出機に供給するステップ;
c)二軸スクリュー押出機で混合物を溶融して押出物を形成するステップ;
d)押出物を引っ張ってフィラメントを形成するステップ
を含む、請求項1、23、34、又は45に記載の組成物を含むフィラメントを製造するための方法である。
【0106】
項目54は、前記フィラメントを、溶融フィラメント製造を使用して物品に印刷できる、請求項53に記載の組成物である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B