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特許7387658シャッタゲート及びシャッタゲートの施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】シャッタゲート及びシャッタゲートの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/02 20060101AFI20231120BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
E04H6/02 G
E04F13/08 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021004528
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022109158
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2022-10-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 施工実績一覧 施工日 令和2年1月23日 物件名 針原・武蔵野会 邸 千葉県松戸市殿平賀 173-2 他 89カ所 別紙1及び別紙2の通り
(73)【特許権者】
【識別番号】518282185
【氏名又は名称】松岡 洋良
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】松岡 洋良
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-282121(JP,A)
【文献】実開昭52-088421(JP,U)
【文献】特開平08-151765(JP,A)
【文献】特開2009-155800(JP,A)
【文献】特開2006-037558(JP,A)
【文献】特開2014-058855(JP,A)
【文献】実開昭62-107017(JP,U)
【文献】実開昭59-000013(JP,U)
【文献】実開昭61-041754(JP,U)
【文献】特開2009-167778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両や人の出入口となる正面の開口部と、該開口部を開閉可能なシャッタと、を備えるシャッタゲートであって、
設置面から立設され、該開口部の外周を囲み、金属製のフレームからなる門構部材を備え、
該門構部材の上部に、該シャッタを収容するシャッタ収容部が接合され、
該門構部材の正面が軽量パネルによって装飾され
該設置面から立設され、該軽量パネルを支持する支持部材を備えることを特徴とするシャッタゲート。
【請求項2】
前記門構部材の上部の前記シャッタ収容部の正面が前記軽量パネルで装飾され、該軽量パネル内の横方向に、該軽量パネルを吊設する吊設部材が挿通され、該吊設部材の端部が、前記支持部材に連結されていることを特徴とする請求項に記載のシャッタゲート。
【請求項3】
前記門構部材の側面が前記軽量パネルによって装飾され、該軽量パネルと、その前後方向の一方に配置される該軽量パネルとが接合され、
該2つの軽量パネルの接合する突合せ面に、それぞれ、上下方向に沿った切欠凹部を備え、
該2つの軽量パネルの該突合せ面を突き合わせることにより、対向する該切欠凹部から貫通孔が形成され、
該貫通孔に、前記支持部材が配置され、該軽量パネル同士と該支持部材とを接合する接合セメント成形物が充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッタゲート。
【請求項4】
請求項に記載のシャッタゲートを施工する施工方法であって、
前記設置面に、前記門構部材及び前記支持部材を設置する設置工程と、
立設させた複数の該支持部材に沿って前記軽量パネルをそれぞれ設置し、設置された該軽量パネル間に形成される前記貫通孔に該支持部材を挿通させる、設置工程と、
該貫通孔に、前記接合セメント成形物を形成する接合セメント組成物のスラリーを充填する、充填工程と、
を有することを特徴とする施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工が簡便なシャッタゲート及びシャッタゲートの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両や人の出入り口となるシャッタゲートは、例えば、特許文献1に記載されたシャッタゲートのように、正面側に車両や人が出入りする開口部を備え、開口部の上に、上下動により開口部を開閉するシャッタを収容するシャッタ収容部が備えられている。開口部の左右の支柱や開口部から連接される壁面は、装飾のために、重厚な金属製パネルが貼付されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-204843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシャッタゲートは、開口部の支柱や壁面に、重厚に装飾された金属製パネルが貼付されているため、全体に高い強度が必要とされ、全体が重量物で構成されている。このため、従来のガレージは、簡便に施工することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、装飾を施すことが可能であり、簡便に施工することができるシャッタゲートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャッタゲートは、車両や人の出入口となる正面の開口部と、該開口部を開閉可能なシャッタと、を備えるシャッタゲートであって、
設置面から立設され、該開口部の外周を囲み、金属製のフレームからなる門構部材を備え、
該門構部材の上部に、該シャッタを収容するシャッタ収容部が接合され、
該門構部材の正面が軽量パネルによって装飾されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のシャッタゲートによれば、門構部材の正面が軽量パネルによって装飾されている。門構部材の正面を被覆する材料が軽量パネルであるため、シャッタゲートは、簡便に施工することができ、装飾を施すことができる。
【0008】
ここで、上記シャッタゲートにおいて、前記設置面から立設され、前記軽量パネルを支持する支持部材を備えるものとすることができる。
【0009】
これによれば、軽量パネルが支持部材によって支持されるため、軽量パネルの強度を高めることができる。
【0010】
ここで、上記シャッタゲートにおいて、前記門構部材の上部の前記シャッタ収容部の正面が前記軽量パネルで装飾され、該軽量パネル内の横方向に、該軽量パネルを吊設する吊設部材が挿通され、該吊設部材の端部が、前記支持部材に連結されているものとすることができる。
【0011】
これによれば、シャッタ収容部の正面を装飾する軽量パネルを固定することができる。
【0012】
また、上記シャッタゲートにおいて、前記門構部材の側面が前記軽量パネルによって装飾され、該軽量パネルと、その前後方向の一方に配置される該軽量パネルとが接合され、
該2つの軽量パネルの接合する突合せ面に、それぞれ、上下方向に沿った切欠凹部を備え、
該2つの軽量パネルの該突合せ面を突き合わせることにより、対向する該切欠凹部から貫通孔が形成され、
該貫通孔に、前記支持部材が配置され、該軽量パネル同士と該支持部材とを接合する接合セメント成形物が充填されているものとすることができる。
【0013】
これによれば、貫通孔に、接合セメント成形物を成形する接合セメント組成物のスラリーを充填することにより、軽量パネル同士と支持部材を接合することができるため、簡便に施工することができる。
【0014】
本発明に係るシャッタゲートの施工方法は、上記のシャッタゲートを施工する施工方法であって、
前記設置面に、前記門構部材及び前記支持部材を設置する設置工程と、
立設させた複数の該支持部材に沿って前記軽量パネルをそれぞれ設置し、設置された該軽量パネル間に形成される前記貫通孔に該支持部材を挿通させる、設置工程と、
該貫通孔に、前記接合セメント成形物を形成する接合セメント組成物のスラリーを充填する、充填工程と、
を有することを特徴とする。
【0015】
実施形態のシャッタゲートの施工方法によれば、軽量パネル間に貫通孔が形成され、この貫通孔に接合セメント組成物のスラリーを充填することによって、軽量パネル同士と支持部材を接合することができるため、施工性に優れるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装飾を施すことが可能であり、簡便に施工することができるシャッタゲートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態のシャッタゲートの縦断面のイメージ図である。
図2図1のII-II線端面図である。
図3図1のIII-III線端面図である。
図4】壁材の接合部を示す斜視図である。
図5】壁材の接合部の施工途中の平面図である。
図6】門構部材の配置を示すシャッタゲートの斜視図である。
図7】軽量パネルの配置を示すシャッタゲートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るシャッタゲートの実施形態について説明する。本発明のシャッタゲート100は、建築物を囲む自立壁に連接されるシャッタゲート100や、建築物に接続されるシャッタゲート100や、車両の車庫となるガレージのシャッタゲート100などとして使用することができるものである。実施形態では、車両の出入口となるシャッタゲート100を備えるガレージを例として説明する。
【0019】
本明細書において、ガレージのシャッタゲート100の向きは、図6に示すように、シャッタゲート100の開口部34を有する側を前とする。上下左右は、ガレージを前側から見た際の上下左右とし、図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。また、ガレージの内部を基準に、内側又は外側と表現することがあり、前を正面と表現することがある。
【0020】
実施形態のガレージは、図7に示すように、前方に、車両や人が出入りする開口部34を有するシャッタゲート100と、ガレージの設置領域を区切る軽量パネル1からなる側壁と、シャッタゲート100より後方の天井を覆う屋根部材(図示せず)を備えている。
【0021】
シャッタゲート100は、図1及び図6に示すように、車両や人が出入りする開口部34の外周を囲み、金属製のフレームからなる門形の門構部材3と、門構部材3の上部に接合された、開口部34を開閉するシャッタ4を出し入れするシャッタ収容部41と、門構部材3とシャッタ収容部41の前面側を装飾する軽量パネル1と、から構成されている。つまり、門構部材3とシャッタ収容部41が軽量パネル1によって装飾されて、シャッタゲート100が形成される。なお、装飾とは、門構部材3とシャッタ収容部41を、飾り整えることのみならず、覆い被せることであっても良い。
【0022】
門構部材3は、ガレージの土台となるコンクリートから成形された基礎部位Fから立設され、車両や人が出入りする開口部34の外周を囲む構造部材であり、上部に、シャッタ収容部41が接合される。門構部材3は、図1及び図6に示すように、開口部34の左右に、支柱フレーム31が基礎部位Fからそれぞれ立設され、左右の支柱フレーム31の上部を結ぶように、上下に間隔をあけて2本の梁フレーム32がそれぞれ溶接によって接合され、一体化されている。2本の梁フレーム32の間には、上下に沿う3本の補助フレーム33が溶接によって接合されて配置され、門構部材3を補強している。梁フレーム32には、シャッタ4を出し入れするシャッタ収容部41が螺子によって接合され、梁フレーム32の後側に配置されている。
【0023】
門構部材3は、金属製のフレーム(支柱フレーム31、梁フレーム32及び補助フレーム33)によって形成され、金属製のフレームとして、一辺が100mmの角型鋼管が使用されている。門構部材3は、金属製のフレーム同士が溶接によって接合され、一体化されている。このため、門構部材3は、高い強度を有し、シャッタ収容部41の重量を支える。
【0024】
門構部材3を形成する金属製のフレームは、汎用の切断機などで容易に長さを調節して切断することができるため、門構部材3の大きさの調整を容易に行うことができる。このため、車両や人が出入りする開口部34の大きさを、自由に設定することができる。
【0025】
軽量パネル1は、門構部材3とシャッタ収容部41を装飾する壁材であり、門構部材3とシャッタ収容部41が軽量パネル1によって装飾されて、シャッタゲート100が形成される。また、軽量パネル1は、ガレージの設置領域を区切る側壁にも使用される。軽量パネル1は、使用する部位に応じて、詳しくは、次に述べる、役物パネル10と、内側パネル11と、後方パネル12と、ゲートパネル13と、天井パネル14と、側壁パネル15として使用される。
【0026】
役物パネル10は、図1図3及び図7に示すように、門構部材3の左右の支柱フレーム31の前方と左右方向の外側をそれぞれ覆い、設置面Gから支柱フレーム31の上端の高さまで配置される。役物パネル10の水平方向の断面は略L字形状をなし、L字の短手方向(左右方向)の先端内側に、支柱フレーム31を入れるように上下方向に切り欠かれた切欠部10aが形成されている(図2及び図3)。
【0027】
内側パネル11は、長尺矩形板状をなし、図3に示すように、役物パネル10の断面の略L字形状の短手方向の先端に接合され、支柱フレーム31の前後方向の内側を覆い、図1及び図7に示すように、設置面Gから下側の梁フレーム32の下端の高さまで配置される。
【0028】
後方パネル12は、長尺矩形板状をなし、図3に示すように、短手方向(左右方向)の一方が内側パネル11の後端に接合され、短手方向の他方が役物パネル10の後側に接合され、支柱フレーム31の後方を覆い、設置面Gから支柱フレーム31の上端の高さまで配置される。つまり、支柱フレーム31の下部は、周方向が、役物パネル10、内側パネル11及び後方パネル12によって閉塞される。
【0029】
ゲートパネル13は、長尺矩形板状をなし、図2及び図7に示すように、門構部材3の上下2本の梁フレーム32を正面から覆うように、左右方向に沿って長く配置される。ゲートパネル13の左右両端は、役物パネル10に連結される。
【0030】
天井パネル14は、長尺矩形板状をなし、図1及び図7に示すように、門構部材3とシャッタ収容部41(図6)と、これを水平方向から覆う、役物パネル10、ゲートパネル13及び後方パネル12を上から覆うように左右方向に沿って長く配置される。
【0031】
側壁パネル15は、図2図3及び図7に示すように、役物パネル10の後端部に連結され、ガレージの側壁を形成するパネルである。
【0032】
軽量パネル1は、図4及び図5に示すように、隣り合う軽量パネル1の突合せ面16どうしが接合されて連続した壁面を形成する。軽量パネル1は、それぞれが接合される突合せ面16(但し、役物パネル10と内側パネル11との突合せ面、役物パネル10と後方パネル12との突合せ面を除く。)に、上下方向に沿った切欠凹部17が形成され、軽量パネル1の突合せ面16同士を突き合わせることにより、対向する切欠凹部17からパネル間貫通孔18が形成される。なお、壁面としての角部にあたる部分の軽量パネル1の接合は、一方の軽量パネル1の面(厚み方向に直交する面)の端部の突き合わせる部位に、上下方向に沿って切欠凹部17を設ける。
【0033】
切欠凹部17は、接合セメント成形物23を形成する接合セメント組成物のスラリーを容易に充填できる大きさとし、厚み方向の幅Wは50mm、面方向の深さDは60mmとした(図5)。
【0034】
パネル間貫通孔18には、設置面Gから立設された支持部材21が挿通され、接合セメント組成物のスラリーが充填され、接合セメント組成物のスラリーが硬化して接合セメント成形物23が形成されることによって、軽量パネル1同士と支持部材21は、それぞれが接合される。
【0035】
役物パネル10は、断面の略L字形状の長手方向の厚みの中心方向の前後に、支持部材21aを挿通させる2本の縦貫通孔10bが上下方向に貫通されている。縦貫通孔10bの水平方向の断面形状は、1辺が50mmの正方形である。前側の縦貫通孔10bは、短手方向の先端の切欠部10aに切り欠かれた部分の厚みの中心方向との交点に配置される。後に述べる横貫通孔10cと役物パネル10内で交差させるためである。縦貫通孔10bには、設置面Gから立設された支持部材21aが挿通され、接合セメント組成物のスラリーが充填され、接合セメント組成物のスラリーが硬化して接合セメント成形物23が形成されることによって、役物パネル10が固定される。
【0036】
図2及び図7に示すように、門構部材3の上部の2本の梁フレーム32を正面から覆い隠すように、ゲートパネル13が左右方向に沿って長く配置される。ゲートパネル13の左右両端は、役物パネル10の断面略L字形状の短手方向の先端に連結される。ゲートパネル13の短手方向(上下方向)を二分する位置に、長手方向(左右方向)に沿って、後述する吊設部材22を挿通する横貫通孔13cが設けられている。ゲートパネル13が役物パネル10に連結された状態で、横貫通孔13cの延長上にあたる左右それぞれの役物パネル10の部位に、横貫通孔10cが設けられている。ゲートパネル13が設置された状態で、ゲートパネル13と役物パネル10に、それぞれ連通する横貫通孔10c、13c及び10cが設けられることになる。役物パネル10の左右の横貫通孔10cは、上下方向の縦貫通孔10bと、役物パネル10内で交差している。横貫通孔10c及び横貫通孔13cには、金属棒からなる吊設部材22が挿通され、ゲートパネル13は、左右の役物パネル10に接続される。ゲートパネル13と左右の役物パネル10との間は、シリコーン系のコーキング材51が塗布されて、一体化される。吊設部材22は、横貫通孔10c内で、縦貫通孔10b内の支持部材21aに、螺子を用いて固定される。
【0037】
役物パネル10の後端部は、図2図3及び図7に示すように、ガレージの左右の側壁を形成する側壁パネル15と連結され、一体化される。
【0038】
天井パネル14は、図1及び図7に示すように、門構部材3とシャッタ収容部41(図6)と、役物パネル10、ゲートパネル13及び後方パネル12を上から覆うように配置される。天井パネル14は、天井パネル14と、天井パネル14の下方に配置された軽量パネル1とをコ字形状の留金具によって打ち付けることにより、固定される。
【0039】
軽量パネル1には、ビーズ発泡により成型が容易なポリスチレン発泡体(EPS(expandable polystyrene beads))を使用し、厚みが200mm、発泡倍率が50倍であるものを使用した。軽量パネル1は、カッターナイフなどで容易に切断することができるため、軽量パネル1の大きさの調整を容易に行うことができる。このため、門構部材3に形成される開口部34の大きさに合わせて設定することができる。

【0040】
パネル間に使用する支持部材21は、一辺の長さが50mmの鉄製のL型アングルを使用した。支持部材21は、軽量パネル1を設置する設置面Gに、長手方向(長さ方向)が設置面Gに対して垂直となるように、かつ、図4及び図5に示すように、L型アングルの短手方向(水平方向)の断面における両端部を結ぶ仮想ラインが、軽量パネル1の接続方向と平行になるように、固定する。
【0041】
パネル内に使用する支持部材21aは、一辺の長さが50mmの鉄製のL型アングルを使用した。支持部材21aは、図2及び図3に示すように、軽量パネル1を設置する設置面Gに、L型アングルの辺が、軽量パネル1の接続方向と平行になるように、かつ、設置面Gに対して長手方向が垂直となるように、固定する。
【0042】
接合セメント組成物は、セメント系無収縮グラウト材に、セメント及び骨材をブレンドしたものを使用した。セメント系無収縮グラウト材だと、スラリーの流動性が高く、軽量パネル1間の隙間からスラリーが漏れ出すおそれがあるため、セメント及び骨材をブレンドすることによって、スラリーの流動性を低下させたものである。また、接合セメント組成物は、セメント系無収縮グラウト材の無収縮性が維持されており、パネル間貫通孔18に接合セメント組成物のスラリーが充填され硬化する際の収縮がほとんどない。このため、接合セメント組成物のスラリーから成形された接合セメント成形物とパネル間貫通孔18との間に、収縮による隙間が生じることがなく、雨水が軽量パネル1からなる壁材に侵入することを防止することができる。セメント系無収縮グラウト材は、市販されているセメント系無収縮グラウト材であれば使用することができる。
【0043】
セメントは、JIS R 5210:2019に規定されるポルトランドセメント(普通ポルトランドセメント)を使用し、骨材には、市販の珪砂(珪砂6号(平均粒径(d50):約0.37mm))を用いた。
【0044】
接合セメント組成物の配合比率は、セメント系無収縮グラウト材:100、普通ポルトランドセメント:50、珪砂:150とし、接合セメント組成物のスラリーの100mm塩ビフロー試験値(JASS 15 M-103)が125~250mmとなるように、加水量を調整する。より好ましくは、接合セメント組成物のスラリーの100mm塩ビフロー試験値が150~200となるように、加水量を調整する。
【0045】
100mm塩ビフロー試験値(mm)(JASS 15 M-103「セルフレベリング材の品質基準」)の試験方法は、以下の通りである。厚さ5mmのみがき板ガラスの上に、内径50mm、高さ100mmの塩化ビニル製パイプ(内容積196mL)を置き、セメント組成物のスラリーを充填した後、パイプを引き上げ、スラリーの広がりが静止してから、直角2方向の直径を測定し、その平均をフロー試験値(mm)とした。
【0046】
なお、セメント組成物とは、セメント、骨材及びその他添加剤が均一に混合された粉体状の材料である。セメント組成物が水と混錬されることにより流動性を有し、塗工や充填が可能なスラリー(塗料)となる。スラリーのセメントが水和反応によって硬化することにより、セメント組成物のスラリーは、硬化体としてのセメント成形物となるものである。
【0047】
ガレージのシャッタゲート100が配置された部分より後方の天井部分は、屋根部材(図示せず)によって覆われている。屋根部材には、波型のポリカーボネート板を使用した。屋根部材は、シャッタ収容部41の下側(内側)から、後方に延設される。
【0048】
実施形態のガレージの施工方法は、門構部材3及び支持部材21、21aを設置しつつ設置面Gを打設する打設工程と、門構部材3にシャッタ収容部41を接合する接合工程と、設置された支持部材21、21aに沿って軽量パネル1を設置する設置工程と、設置された軽量パネル1間に継目張り補強を施す継目張り工程と、軽量パネル1間のパネル間貫通孔18に接合セメント組成物のスラリーを充填する充填工程と、天井パネル14設置工程と、屋根部材設置工程と、の順に行なった。
【0049】
打設工程では、開口部34とする箇所に、構造物の基礎となる基礎部位Fをコンクリートで設け、門構部材3を基礎部位Fに設けられた孔に立設し、軽量パネル1を設置する箇所に合わせて、支持部材21、21aを基礎部位Fに設けられた孔に立設した。門構部材3は、予め支柱フレーム31と梁フレーム32と補助フレーム33を溶接によって接合した。軽量パネル1間に配置する支持部材21は、一辺の長さが50mmのL型アングルを使用し、L型アングルの上記仮想ラインが設置する軽量パネル1の接続方向と平行になるように配置した。軽量パネル1内に配置する支持部材21aは、一辺の長さが50mmのL型アングルを使用し、L型アングルの辺が設置する軽量パネル1の面と平行又は直角になるように配置した。支持部材21、21aは、ガレージを設置する場所に対して長手方向が垂直となるようにそれぞれ配置した。その後、ガレージの設置面Gとなる範囲に、コンクリートスラリーを打設した。コンクリートスラリーが硬化することによって、設置面Gが形成される。
【0050】
接合工程では、コンクリートスラリーの硬化後、最初に、シャッタ収容部41を、門構部材3の上下の梁フレーム32の後面に、螺子によって接合する。
【0051】
軽量パネル1の設置工程は、第1の工程として、図3に示すように、門構部材3の支柱フレーム31を周方向に覆うように、役物パネル10、内側パネル11及び後方パネル12を設置する。役物パネル10は、支持部材21aを役物パネル10の縦貫通孔10bに挿入するよう、上から配置する。役物パネル10が配置されたとき、支柱フレーム31が役物パネル10の切欠部10aに当接する。内側パネル11は、前側の面が役物パネル10の面と合うように、かつ、支持部材21に合わせて、前側から配置する。後方パネル12は、支柱フレーム31の後方から、支柱フレーム31を周方向に閉塞するように、かつ、支持部材21に合わせて、後側から配置する。
【0052】
設置工程の第2の工程は、ゲートパネル13を配置する。ゲートパネル13は、図7に示すように、ゲートパネル13を上下の梁フレーム32の前に、左右の役物パネル10に挟持されるように配置する(図2)。このとき、左右の役物パネル10のそれぞれの横貫通孔10cとゲートパネル13の横貫通孔13cとが左右に連通するように配置する。次に、連通した横貫通孔10cと横貫通孔13cに、吊設部材22を挿通させ、吊設部材22の左右両端部を、役物パネル10内で交差する縦貫通孔10b内に挿通されている支持部材21に螺子止めする。螺子止めによって、ゲートパネル13が固定される。
【0053】
設置工程の第3の工程は、図2図3及び図7に示すように、ガレージの側壁となる側壁パネル15を支持部材21に合わせて配置する。配置された軽量パネル1は、突合せ面16の上下方向に沿って、切欠凹部17を設けているため、軽量パネル1が設置されたとき、軽量パネル1の突合せ面16のそれぞれの切欠凹部17からパネル間貫通孔18が形成される。支持部材21を挟んで2枚の軽量パネル1が設置されるため、支持部材21は、切欠凹部17から形成されたパネル間貫通孔18に挿通される。
【0054】
継ぎ目張り工程では、パネル間貫通孔18の隙間を埋める。パネル間貫通孔18の継ぎ目となる軽量パネル1間の突合せ面16(役物パネル10と内側パネル11との突合せ面、役物パネル10と後方パネル12との突合せ面を含む。)には、図6に示すように、シリコーン系のコーキング材51を塗布し、軽量パネル1間を接着させた。また、軽量パネル1と設置面Gとの間にも、コーキング材51を塗布し、軽量パネル1と設置面Gとを接着させた。これにより、軽量パネル1間の隙間がコーキング材51で埋められ、パネル間貫通孔18は、上下に亘って隙間が埋められる。図6に示すように、次の充填工程で充填される接合セメント組成物のスラリーがコーキング材51の接着の弱い箇所から流出するのを防ぐため、軽量パネル1間に、布製粘着テープなどの補強テープ52を貼付した。次に、軽量パネル1間を跨いだ上端部の両幅に、パネル間貫通孔18の上端部側が開くのを防止する板状の支保工材53を当接させ、クランプ(図示せず)で固定した。
【0055】
充填工程では、パネル間貫通孔18と役物パネルの縦貫通孔10bに、接合セメント組成物のスラリーを充填した。接合セメント組成物のスラリーは、100mm塩ビフロー試験値が125~250mmとなるように、加水量を調整した。100mm塩ビフロー試験値が125~250mmである接合セメント組成物のスラリーは、適度な流動性を有しているため、パネル間貫通孔18への充填を容易にすることができる。このため、実施形態のガレージは、施工時の作業性に優れるものとすることができる。接合セメント組成物のスラリーが硬化して接合セメント成形物23が形成され、ガレージの軽量パネル1からなる壁材が形成される。なお、実施形態では、接合セメント組成物のスラリーは、以下の配合のものを使用した。
【0056】
グラウト材 100質量部
普通ポルトランドセメント(JIS R 5210:2019) 50質量部
珪砂6号(平均粒径(d50):約0.37mm) 150質量部
混練水 39.1質量部
グラウト材には、プレユーロックススーパー(太平洋マテリアル株式会社製セメント系無収縮グラウト材)を使用した。接合セメント組成物のスラリーの100mm塩ビフロー試験値(JASS 15 M-103)は、172mmであった。
【0057】
充填工程の後、接合セメント組成物のスラリーが硬化して接合セメント成形物23が成型されたことを確認し、補強テープ52や支保工材53などの副資材を外す。
【0058】
天井パネル14設置工程では、図1及び図7に示すように、門構部材3とシャッタ収容部41(図6)と、これを水平方向から覆う、役物パネル10、ゲートパネル13及び後方パネル12を上から覆うように、天井パネル14を配置する。天井パネル14は、天井パネル14と、役物パネル10、ゲートパネル13及び後方パネル12とをコ字形状の留金具で打ち付けることにより、固定する。
【0059】
天井材設置工程では、シャッタゲート100から後方のガレージの天井部に、ポリカーボネート板からなる屋根部材を設置することによって、ガレージの躯体が完成する。
【0060】
シャッタゲート100を備えるガレージの軽量パネル1には、塗料などによって化粧を施すことができ、化粧は、以下の化粧工程によって施すことができる。化粧工程を施すことにより、シャッタゲート100を備えるガレージの軽量パネル1に、装飾を施すことができる。化粧工程は、ガレージの軽量パネル1の不陸を調整する下地調整工程と、下地調整工程の後に行われる化粧材を施工する仕上工程とから構成される。
【0061】
下地調整工程では、軽量パネル1の表面を、グラスファイバーメッシュで覆い、グラスファイバーメッシュの上(表面側)から左官ゴテなどでセメント系下地調整材を全面に塗布し、グラスファイバーメッシュをセメント系下地調整材中に埋没させる。グラスファイバーメッシュをセメント系下地調整材中に埋設させることにより、ガレージの軽量パネル1の強度を高めることができる。
【0062】
仕上工程では、下地調整された軽量パネル1に、建築物外壁に施す塗料や化粧シートを施工することにより、軽量パネル1に美観や耐候性を付与することができる。塗料や化粧シートの施工は、使用する塗料や化粧シートの標準施工仕様に従って行なう。
【0063】
なお、実施形態のシャッタゲート100は、その構成を以下のような形態に変更しても実施することができる。
【0064】
実施形態のシャッタゲート100は、車両を保管するガレージのシャッタゲート100として使用したが、建築物を囲む自立壁に連接される門としてのシャッタゲート100としても使用することができる。
【0065】
実施形態のシャッタゲート100では、門構部材3を形成する金属製のフレーム(支柱フレーム31、梁フレーム32)に、一辺が100mmの角型鋼管を使用したが、門構部材3を形成するフレームは、門構部材3がシャッタ収容部41を支える強度を有するものであれば使用することができ、例えば、材質、形状又はサイズが異なる金属製のフレーム、木材柱、合成樹脂材柱などであっても使用することができる。
【0066】
実施形態のシャッタゲート100では、門構部材3に、設置面Gからそれぞれ立設された支柱フレーム31と、上下に間隔をあけて2本の梁フレーム32とが接合され、一体化されたものを使用したが、設置面Gからそれぞれ立設された支柱フレーム31に、シャッタ収容部41の左右の端部を直接接合させ、梁フレーム32を省いた、支柱フレーム31とシャッタ収容部41からなる門構部材3であっても使用することができる。
【0067】
実施形態のシャッタゲート100では、軽量パネル1は、ビーズ発泡により成型が容易なポリスチレン発泡体(EPS)を使用したが、軽量化されたパネルであれば使用することができる。軽量化されたパネルの材質として、高分子発泡体、無機質発泡体を使用することができる。高分子発泡体として、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリフェノール発泡体、ポリオレフィン発泡体(ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体)などを使用することができる。無機質発泡体として、水酸化アルミニウム系発泡体(タルボセル)、セメント系発泡体(ALC(autoclaved lightweight aerated concrete))などであっても使用することができる。
【0068】
実施形態のシャッタゲート100では、軽量パネル1は、EPSの発泡倍率が50倍であるものを使用したが、発泡倍率は、30~60倍であれば、軽量パネル1のEPSとして使用することができる。発泡倍率が30倍未満のEPSである場合には、樹脂(ビーズ)を多く要し、不経済となるおそれがある。一方、発泡倍率が60倍を超えるEPSである場合には、強度が弱く、衝撃を受けた際に、塑性変形してしまうおそれがある。より好ましくは、EPSの発泡倍率は、40~55倍である。
【0069】
実施形態の軽量パネル1に設けた切欠凹部17は、厚み方向の幅Wを50mm、面方向の深さDを60mmとしたが、幅Wと深さDは、それぞれ、30~100mmとすることができる。幅Wと深さDが30~100mmであれば、切欠凹部17からなるパネル間貫通孔18に、接合セメント成形物23を形成する接合セメント組成物のスラリーを容易に充填することができるためである。幅Wと深さDがそれぞれ30mm未満である場合には、パネル間貫通孔18が細く、接合セメント組成物のスラリーの充填性が劣るおそれがある。一方、幅Wと深さDがそれぞれ100mmを超える場合には、接合セメント組成物のスラリーの充填性に優れるものの、接合セメント組成物の使用量が多くなり、不経済となるおそれがある。より好ましくは、幅Wと深さDは、それぞれ40~90mmであり、さらに好ましくは、50~80mmである。
【0070】
実施形態の支持部材21には、一辺の長さが50mmのL型アングルを使用したが、一辺の長さが40~50mmのL型アングルを使用することができる。また、支持部材21は、これに限定されるものではなく、フラットバーであっても良いし、鉄筋、異形鉄筋、鉄骨など、接合セメント成形物23を補強するものであれば使用することができる。
【0071】
実施形態のシャッタゲート100の軽量パネル1では、接合させる軽量パネル1同士を接合させ、コーキング材51を用いて軽量パネル1間を閉塞させたが、接合させる軽量パネル1間に隙間がある場合には、軽量パネル1と同じ材質のパネルをその隙間を埋める大きさに加工して、軽量パネル1間を閉塞させることができる。
【0072】
実施形態のシャッタゲート100では、門構部材3及び支持部材21を設置しつつ設置面Gを打設したが、門構部材3を設置して設置面Gを打設した後に、支持部材21を設置することもできる。この場合、設置面Gの軽量パネル1を設置する箇所に、振動ドリルなどを用いて支持部材21を埋設する埋設穴を設け、埋設穴に支持部材21を立設させる。支持部材21の固定には、セメント組成物のスラリーを使用することができる。また、設置面Gの軽量パネル1を設置する箇所に、空洞コンクリートブロックを並べて、空洞に支持部材21を立設させることもできる。
【0073】
実施形態のシャッタゲート100の門構部材3の上部の上側と後側、つまり、シャッタ収容部41の上側(天井側)と後側に、鋼板を貼付することができる。これによれば、ガレージの耐水性を高めることができる。
【0074】
以下に、実施形態のシャッタゲート100から把握されるその他の技術的思想について記載する。
【0075】
実施形態のシャッタゲート100において、前記接合セメント成形物を形成する接合セメント組成物のスラリーの100mm塩ビフロー試験値(JASS 15 M-103)が125~250mmであるものとすることができる。
【0076】
これによれば、貫通孔に充填される接合セメント組成物のスラリーの100mm塩ビフロー試験値が125~250mmであるため、接合セメント組成物のスラリーは、適度な流動性を有し、貫通孔への充填を容易にすることができる。このため、施工時の作業性に優れるものとすることができる。
【0077】
また、実施形態のシャッタゲート100において、前記接合セメント組成物は、セメント系無収縮モルタル100質量部、セメント20~100質量部、骨材100~200質量部、を含有する組成物とすることができる。
【0078】
これによれば、接合セメント組成物のスラリーが適度な流動性を有しているため、貫通孔への充填を容易にすることができる。このため、施工時の作業性に優れるものとすることができる。
【0079】
実施形態のシャッタゲート100の施工方法において、前記充填工程の前工程として、前記軽量パネル間に、コーキング材、又は、補填パネル及びコーキング材、を埋入させる埋入工程、を有するものとすることができる。
【0080】
これによれば、軽量パネル間の隙間、すなわち、貫通孔の隙間を埋めることができるため、貫通孔に接合セメント組成物のスラリーを充填する際に、接合セメント組成物のスラリーが漏れるのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0081】
1…軽量パネル、3…門構部材、4…シャッタ、10…役物パネル、10a…切欠部、10b…縦貫通孔、10c…横貫通孔、11…内側パネル、12…後方パネル、13…ゲートパネル、13c…横貫通孔、14…天井パネル、15…側壁パネル、16…突合せ面、17…切欠凹部、18…パネル間貫通孔、21…支持部材、21a…支持部材、22…吊設部材、23…接合セメント成形物、31…支柱フレーム、32…梁フレーム、33…補助フレーム、34…開口部、41…シャッタ収容部、51…コーキング材、52…補強テープ、53…支保工材、100…シャッタゲート、F…基礎部位、G…設置面。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7