(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】電力変換回路及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
H02M3/28 W
(21)【出願番号】P 2021032729
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】林 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】小山 将央
(72)【発明者】
【氏名】高尾 和人
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108173353(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111654116(CN,A)
【文献】特開2017-070013(JP,A)
【文献】特開2016-039643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧に応じた電圧を出力する第1ノード及び第2ノードを有するインバータ回路と、
前記第1ノード及び前記第2ノードに接続され、共振動作により生成される共振電圧を出力する第3ノード及び第4ノードを有する共振回路と、
前記第3ノード及び前記第4ノードに接続され、前記入力電圧に応じた直流電圧を出力する出力回路と、を有し、
前記共振回路は、
前記第3ノードに一端が接続される第1インダクタと、
前記第1ノードと前記第1インダクタの他端との間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続可能な第2キャパシタと、
前記第3ノードと前記第4ノードとの間に接続可能な第2インダクタと、
前記第3ノードと前記第4ノードとの間に前記第2インダクタを接続するか否かを切り換える第1切換器と、を有する、電力変換回路。
【請求項2】
前記共振回路は、前記第1切換器の切換制御により、共振動作を切り換える、請求項1に記載の電力変換回路。
【請求項3】
前記共振回路は、
前記第1切換器が第1切換状態のときには、前記第1キャパシタ、前記第1インダクタ、前記第2インダクタ、前記第2キャパシタ及び前記出力回路に共振電流を流す第1共振回路を生成し、
前記第1切換器が第2切換状態のときには、前記第1キャパシタ、前記第1インダクタ、前記出力回路、及び前記第2キャパシタに共振電流を流す第2共振回路を生成する、請求項2に記載の電力変換回路。
【請求項4】
前記第1共振回路又は前記第2共振回路により生成された共振電圧が前記第3ノード及び前記第4ノードに供給される、請求項3に記載の電力変換回路。
【請求項5】
前記出力回路の出力電力又は出力電流に基づいて、前記第1切換器を切換制御する制御部を備える、請求項3又は4に記載の電力変換回路。
【請求項6】
前記制御部は、前記出力回路の出力電力又は出力電流が、第1基準値以上かつ前記第1基準値よりも大きい第2基準値未満の範囲内では、前記第2共振回路が生成されるように前記第1切換器を切換制御し、前記第1基準値未満又は前記第2基準値以上の範囲内では、前記第1共振回路が生成されるように前記第1切換器を切換制御する、請求項5に記載の電力変換回路。
【請求項7】
前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続可能な第3キャパシタと、
前記第2キャパシタに前記第3キャパシタを付加するか否かを択一的に選択して、前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続する第2切換器と、を備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力変換回路。
【請求項8】
前記出力回路の出力電力又は出力電流に基づいて、前記第1切換器及び前記第2切換器を連動して切換制御する制御部を備える、請求項7に記載の電力変換回路。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1切換器にて前記第3ノードと前記第4ノードとの間に前記第2インダクタを接続する場合には、前記第2切換器にて前記第3キャパシタを選択せず第2キャパシタのみを前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続し、
前記第1切換器にて前記第3ノードと前記第4ノードとの間に前記第2インダクタを接続しない場合には、前記第2切換器にて前記第3キャパシタを選択して、第2キャパシタと第3キャパシタを前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続する、請求項8に記載の電力変換回路。
【請求項10】
前記共振回路は、
前記第1切換器が第1切換状態及び前記第2切換器が第2切換状態のときには、前記第1キャパシタ、前記第1インダクタ、前記第2インダクタ、前記第2キャパシタ及び前記出力回路に共振電流を流す第1共振回路を生成し、
前記第1切換器が第2切換状態及び前記第2切換器が第1切換状態のときには、前記第1キャパシタ、前記第1インダクタ、前記出力回路、前記第2キャパシタ及び前記第3キャパシタに共振電流を流す第2共振回路を生成する、請求項8又は9に記載の電力変換回路。
【請求項11】
前記第3キャパシタは、前記インバータ回路のスイッチング周波数において、前記第2共振回路の電圧に対する電流に位相遅れを生じさせる容量値を有する、請求項10に記載の電力変換回路。
【請求項12】
前記インバータ回路、前記共振回路、及び前記出力回路を有する電力変換器を複数備える、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電力変換回路。
【請求項13】
複数の前記電力変換器内の複数の前記出力回路のそれぞれの出力ノードは、直列に接続されている、請求項12に記載の電力変換回路。
【請求項14】
複数の前記電力変換器内の複数の前記出力回路のそれぞれの出力ノードは、並列に接続されている、請求項12に記載の電力変換回路。
【請求項15】
複数の前記電力変換器内の複数の前記インバータ回路のそれぞれの入力ノードは、直列に接続されている、請求項12に記載の電力変換回路。
【請求項16】
複数の前記電力変換器内の複数の前記インバータ回路のそれぞれの入力ノードは、並列に接続されている、請求項12に記載の電力変換回路。
【請求項17】
前記インバータ回路の入力ノードには、直流電圧又は全波整流電圧が入力される、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の電力変換回路。
【請求項18】
入力電圧が印加される第1入力ノード及び第2入力ノードと、
前記第1入力ノード及び前記第2入力ノードの間に直列に接続され、前記入力電圧を分圧した分圧入力電圧を電気的に絶縁した状態で電力変換を行う複数の電力変換回路と、を備え、
前記電力変換回路は、
前記分圧入力電圧に応じた電圧を出力する第1ノード及び第2ノードを有するインバータ回路と、
前記第1ノード及び前記第2ノードに接続され、共振動作により生成される共振電圧を出力する第3ノード及び第4ノードを有する共振回路と、
前記第3ノード及び前記第4ノードに接続され、前記入力電圧に応じた直流電圧を出力する出力回路と、を有し、
前記共振回路は、
前記第3ノードに一端が接続される第1インダクタと、
前記第1ノードと前記第1インダクタの他端との間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続可能な第2キャパシタと、
前記第3ノードと前記第4ノードとの間に接続可能な第2インダクタと、
前記第3ノードと前記第4ノードとの間に前記第2インダクタを接続するか否かを切り換える第1切換器と、を有する、電力変換装置。
【請求項19】
前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続可能な第3キャパシタと、
前記第2キャパシタに前記第3キャパシタを付加するか否かを択一的に選択して、前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続する第2切換器と、を備える、請求項18に記載の電力変換装置。
【請求項20】
前記出力回路の出力電力又は出力電流に基づいて、前記第1切換器及び前記第2切換器を連動して切換制御する制御部を備える、請求項19に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、電力変換回路及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスを用いた共振コンバータが知られている。この種の共振コンバータは、一次側にトランスの励磁インダクタと、漏れインダクタと、キャパシタとを含む共振回路を備えており、LLC共振コンバータとも呼ばれる。
【0003】
LLC共振コンバータは、電力変換効率がよいため、現在、幅広く利用されている。しかしながら、LLC共振コンバータは、トランスを備えており、電気エネルギから磁気エネルギに変換する際の電力損失が生じる。また、トランスは変圧比を任意に調整できるという利点がある一方で、トランスの設計には時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の一実施形態では、トランスを使用せずに電力変換を行うことで、電力損失を低減できるとともに、電力変換効率が高くて設計が容易な電力変換回路及び電力変換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、入力電圧に応じた電圧を出力する第1ノード及び第2ノードを有するインバータ回路と、
前記第1ノード及び前記第2ノードに接続され、共振動作により生成される共振電圧を出力する第3ノード及び第4ノードを有する共振回路と、
前記第3ノード及び前記第4ノードに接続され、前記入力電圧に応じた直流電圧を出力する出力回路と、を有し、
前記共振回路は、
前記第3ノードに一端が接続される第1インダクタと、
前記第1ノードと前記第1インダクタの他端との間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記第4ノードとの間に接続可能な第2キャパシタと、
前記第3ノードと前記第4ノードとの間に接続可能な第2インダクタと、
前記第3ノードと前記第4ノードとの間に前記第2インダクタを接続するか否かを切り換える第1切換器と、を有する、電力変換回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1の電力変換回路の前段にAC-DCコンバータを追加した回路図。
【
図3】
図1の電力変換回路に全波整流波形の電圧が印加された場合の波形を示す図。
【
図4】インバータ回路内のトランジスタを双方向スイッチング素子で構成する例を示す図。
【
図5A】電界結合型LLC共振コンバータの電流の向きを示す図。
【
図5B】電界結合型LLC共振コンバータの電流の向きを示す図。
【
図6A】直列共振コンバータの電流の向きを示す図。
【
図6B】直列共振コンバータの電流の向きを示す図。
【
図7】
図5Aおよび
図5Bの電界結合型LLC共振コンバータと
図6Aおよび
図6Bの直列共振コンバータの出力電力又は出力電流と電力変換効率との関係を示す図。
【
図10A】
図5Aおよび
図5Bの電界結合型LLC共振コンバータのインピーダンス特性及び位相特性を示す図。
【
図10C】
図6Aおよび
図6Bの直列共振コンバータの第2キャパシタの値を変化(増加)させた際のインピーダンス及び位相特性を示す図。
【
図11】
図1の電力変換回路の一変形例による回路図。
【
図12】
図9に
図11のキャパシタ、第1切換器及び第2切換器を追加した等価回路図。
【
図13A】ISOP構成の出力回路の一例を示すブロック図。
【
図13B】IPOS構成の出力回路の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、電力変換回路及び電力変換装置の実施形態について説明する。以下では、電力変換回路及び電力変換装置の主要な構成部分を中心に説明するが、電力変換回路及び電力変換装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0009】
図1は一実施形態による電力変換回路1の回路図である。
図1の電力変換回路1は、入力電圧Vikを電圧Vokに変圧するDC-DCコンバータである。入力電圧Vikの電圧振幅は問わない。また、入力電圧Vikは直流電圧に電圧リプルを含んだ整流波形であっても良い。例えば、入力電圧Vikは、100Vや200Vの商用交流電圧を半波または全波整流した波形でもよい。
【0010】
図1の電力変換回路1は、トランスを用いることなく、電力変換を行うことを特徴としている。トランスを省略することで、電気エネルギから磁気エネルギに変換する際の電力損失を低減できる。
【0011】
図1の電力変換回路1は、インバータ回路2と、共振回路3と、出力回路4とを備えている。
図1のインバータ回路2は、ハーフブリッジ回路の例を示しているが、フルブリッジ回路で構成してもよい。
図1のインバータ回路2は、入力電圧Vikが印加される第1入力ノードIN1と第2入力ノードIN2の間にカスコード接続される第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を有する。第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2は、例えばN型のパワーMOSFETである。第1トランジスタQ1のドレイン-ソース間にはダイオードD1が接続され、第2トランジスタQ2のドレイン-ソース間にはダイオードD1が接続されている。これらダイオードD1、D2は、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2に一体に形成されていてもよい。また、第1入力ノードIN1と第2入力ノードIN2の間には、キャパシタCikが接続されている。インバータ回路2の出力ノード(以下、第1ノードn1と第2ノードn2と呼ぶ)は、第2トランジスタQ2のドレインとソースに接続されている。
【0012】
共振回路3は、第1ノードn1及び第2ノードn2間に接続されている。共振回路3は、第3ノードn3及び第4ノードn4を有する。第3ノードn3及び第4ノードn4は、共振動作により生成される共振電圧を出力する。この他、共振回路3は、第1インダクタLrと、第1キャパシタCr1と、第2キャパシタCr2と、第2インダクタLmと、第1切換器SW1とを有する。
【0013】
第1インダクタLrの一端は第3ノードn3に接続されている。第1キャパシタCr1は、第1ノードn1と第1インダクタLrの他端との間に接続されている。第2キャパシタCr2は、第2ノードn2と第4ノードn4との間に接続されている。第2インダクタLmは、第3ノードn3と第4ノードn4との間に接続されている。第1切換器SW1は、第3ノードn3と第4ノードn4との間に第2インダクタLmを接続するか否かを切り換える。第1切換器SW1は、機械スイッチや例えばMOSトランジスタなど半導体素子により構成可能である。
【0014】
共振回路3は、第1切換器SW1の切換制御により、共振動作を切り換える。共振回路3は、第1切換器SW1が第1切換状態のとき、すなわち第1切換器SW1がオンのときには、第1キャパシタCr1、第1インダクタLr、第2インダクタLm、第2キャパシタCr2および出力回路4に共振電流を流す第1共振回路3aを生成する。また、共振回路3は、第1切換器SW1が第2切換状態のとき、すなわち第1切換器SW1オフのときには、第1キャパシタCr1、第1インダクタLr、出力回路4、及び第2キャパシタCr2に共振電流を流す第2共振回路3bを生成する。第1共振回路3a又は第2共振回路3bにより生成された共振電圧が第3ノードn3及び第4ノードn4に供給される。
【0015】
図1の出力回路4は、第3ノードn3及び第4ノードn4に接続されている。出力回路4は、入力電圧Vikに応じた電圧Vokを出力する。出力回路4の内部構成は任意であり、種々の構成を取りうる。例えば、
図1の出力回路4は、4つのダイオードD3~D6からなるフルブリッジ回路5と、キャパシタCokとを有し、入力電圧Vikに応じた電圧Vokを出力する。なお、本明細書における電圧Vokは、電圧レベルが一定の直流電圧とは限らず、基準レベルよりも高くて電圧レベルが周期的に変化する電圧や、基準レベルよりも低くて電圧レベルが周期的に変化する電圧の場合もある。
【0016】
第1キャパシタCr1と第2キャパシタCr2は、
図1に破線で示すように、インバータ回路2と出力回路4を電気的に絶縁する作用を行う。このように、
図1の電力変換回路1は、トランスの代わりに、第1キャパシタCr1と第2キャパシタCr2でインバータ回路2と出力回路4の電気的な絶縁を行う電界結合型のコンバータを構成することができる。
【0017】
この他、
図1の電力変換回路1は、制御部6を備えている。制御部6は、出力回路4の出力電力又は出力電流に基づいて、第1切換器SW1を切換制御する。また、制御部6は、第1切換器SW1の切換制御だけでなく、
図1のインバータ回路2内の第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のオン/オフ制御を行う。あるいは、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のオン/オフ制御と第1切換器SW1の切換制御を、互いに異なる制御部6で行ってもよい。
【0018】
制御部6は、出力回路4の出力電力又は出力電流が、第1基準値以上かつ第1基準値よりも大きい第2基準値未満の範囲内では、第2共振回路3bが生成されるように第1切換器SW1を切換制御し、第1基準値未満又は第2基準値以上の範囲内では、第1共振回路3aが生成されるように第1切換器SW1を切換制御する。
【0019】
このように、
図1の電力変換回路1は、第1切換器SW1にて、第3ノードn3と第4ノードn4との間に第2インダクタLmを接続するか否かを切り換える。そして、第3ノードn3と第4ノードn4との間に第2インダクタLmを接続した場合には、上述した第1共振回路3aにより共振を行わせる。また、第3ノードn3と第4ノードn4との間に第2インダクタLmを接続しない場合には、上述した第2共振回路3bにより共振を行わせる。
【0020】
図1のインバータ回路2の前段には、整流回路又はAC-DCコンバータが接続される。
図2は
図1の電力変換回路1の前段にAC-DCコンバータ7を追加した回路図である。
図2には、AC-DCコンバータ7の入力電圧の波形と、AC-DCコンバータ7の出力電圧すなわちインバータ回路2の入力電圧の波形と、共振回路3の出力電圧の波形と、出力回路4の出力電圧の波形の一例が図示されている。
【0021】
図2に示すように、AC-DCコンバータ7の入力電圧は、例えば商用電力(50Hz)の交流電圧である。AC-DCコンバータ7の出力電圧は、例えば直流電圧である。共振回路3の出力電圧は、AC-DCコンバータ7の入力電圧よりも周波数の高い交流電圧である。出力回路4の出力電圧は、例えば直流電圧である。AC-DCコンバータ7は、入力ノードIN1、IN2間に直列に接続されるスイッチング素子Q11、Q12と、スイッチング素子Q11、Q12に並列に接続されるスイッチング素子Q13、Q14と、これらスイッチング素子のドレイン-ソース間に接続されるダイオードD11~D14とを有する。入力電圧は、スイッチング素子Q11、Q12の間と、スイッチング素子Q13、Q14の間に入力される。
【0022】
図2では、
図1の電力変換回路1内のインバータ回路2に、AC-DCコンバータ7からの直流電圧を入力する例を示したが、
図3に示すように、不図示の整流回路で全波整流された電圧を入力してもよい。この場合、共振回路3の出力電圧は
図3に示すような共振波形になる。また、出力回路の出力電圧は、
図3に示すような全波整流波形になる。
【0023】
このように、
図1の電力変換回路1内のインバータ回路2の入力電圧は、基本的には交流電圧波形ではなく、直流電圧波形又は全波整流電圧波形であり、基準電圧よりも負側に振れる交流電圧波形ではない。ただし、
図1のインバータ回路2内の第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2のそれぞれが
図4のような双方向スイッチング素子Q1a、Q1bで構成される場合には、インバータ回路2に交流電圧を入力することも可能である。よって、
図1の電力変換回路1は、基本的にはDC-DCコンバータであり、インバータ回路2内に双方向スイッチング素子を用いた場合にはAC-DCコンバータである。
【0024】
図5A及び
図5Bは第1切換器SW1をオンして第3ノードn3と第4ノードn4との間に第2インダクタLmを接続した場合の回路図である。
図5Aは第1インダクタLrを流れる電流が正方向(ノードn1からノードn3の方向)の場合の電流経路を示し、
図5Bは第1インダクタLrを流れる電流が負方向の場合の電流経路を示している。
図5A及び
図5Bの破線は、第1共振回路3a内を流れる電流経路を示し、一点鎖線は共振回路3から出力回路4に流れる電流経路を示している。本明細書では、
図5Aおよび
図5Bの回路を電界結合型LLC共振コンバータ1aと呼ぶ。
【0025】
図6A及び
図6Bは第1切換器SW1をオフして第3ノードn3と第4ノードn4の間に第2インダクタLmを接続しない場合の回路図である。
図6Aは第1インダクタLrを流れる電流が正方向の場合の電流経路を破線で示し、
図5Bは第1インダクタLrを流れる電流が負方向の場合の電流経路を破線で示している。本明細書では、
図6Aおよび
図6Bの回路を直列共振コンバータ1bと呼ぶ。
【0026】
第1切換器SW1がオンの場合は、
図5A及び
図5Bに示すように、出力回路4には第1共振回路3aとは別の経路で第1インダクタLrから電流が流れる。一方、第1切換器SW1がオフの場合は、
図6A及び
図6Bに示すように、
図3の第2共振回路3bを流れる電流は、出力回路4にも流れる。
【0027】
このように、
図5A及び
図5Bの第1共振回路3aと
図6A及び
図6Bの第2共振回路3bでは、電流の流れる場所が異なるが、出力回路4内の電流の方向は共通であり、同じ電圧レベルの直流電圧Vokを生成できる。
【0028】
図5A、
図5B、
図6A及び
図6Bからわかるように、本実施形態による電力変換回路1は、ハーフブリッジ構成のインバータ回路2内のローサイド側のトランジスタQ2のドレインとソース間の電圧を共振回路3に供給している。従って、入力電圧Vikに対する、出力回路4から出力される電圧Vokの変圧比は2:1になり、この変圧比を変えることはできない。トランスを用いたLLC共振コンバータでは、トランスの巻線比を変えることで、変圧比を変えられるという利点があるが、トランスは設計が難しいことに加えて、電気エネルギを磁気エネルギに変換することによる損失があり、本実施形態による電力変換回路1の方が電力変換効率を向上できる。
【0029】
図7は、
図5Aおよび
図5Bの電界結合型LLC共振コンバータ1aと
図6Aおよび
図6Bの直列共振コンバータ1bの出力電力又は出力電流と電力変換効率との関係を示す図である。
図7の横軸は出力回路4の出力電力(出力電流)、縦軸は電力変換効率である。
図7のグラフgr1は電界結合型LLC共振コンバータ1aの特性を示し、グラフgr2は直列共振コンバータ1bの特性を示している。
【0030】
図7からわかるように、出力回路4の出力電力(出力電流)の値によって、
図2の電界結合型LLC共振コンバータ1aが
図3の直列共振コンバータ1bよりも電力変換効率が高くなる場合と、その逆に、
図3の直列共振コンバータ1bが
図2の電界結合型LLC共振コンバータ1aよりも電力変換効率が高くなる場合がある。例えば、
図7において、出力電力(出力電流)が第1基準値から第2基準値の間では、
図3の直列共振コンバータ1bが
図2の電界結合型LLC共振コンバータ1aよりも電力変換効率が高くなり、それ以外の出力電力(出力電流)では、
図2の電界結合型LLC共振コンバータ1aが
図3の直列共振コンバータ1bよりも電力変換効率が高くなる。
【0031】
そこで、制御部6は、出力電流が第1基準値以上で、かつ第1基準値よりも大きい第2基準値未満の範囲内では、第1切換器SW1をオフして
図6Aおよび
図6Bの直列共振コンバータ1bにて共振動作を行い、第1基準値未満又は第2基準値以上の範囲内では、第1切換器SW1をオンして
図5Aおよび
図5Bの電界結合型LLC共振コンバータ1aにて共振動作を行う。
【0032】
図8は
図1の電力変換回路1の動作タイミング図である。
図8は、第1切換器SW1をオンして
図2の電界結合型LLC共振コンバータ1aとして動作する場合の動作タイミングを示している。
図8には、インバータ回路2内の第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のゲート電圧波形w1、w2と、第1共振回路3a内の共振電流波形w3と、第2インダクタLmを流れる電流波形w4と、出力回路4を流れる電流波形w5、w6とが図示されている。
【0033】
時刻t1~t2では、インバータ回路2内のハイサイド側の第1トランジスタQ1がオンし、時刻t2~t3では、ローサイド側の第2トランジスタQ2がオンする。時刻t1~t3がスイッチング周波数に対応する1周期である。第1共振回路3a内の共振電流w3は、時刻t1~t2と時刻t2~t3では、流れる向きが逆になる。出力回路4はフルブリッジ回路を備えているため、時刻t1~t2とt2~t3では、流れる電流w5、w6の向きは同じになる。
【0034】
図9は
図1の電力変換回路1の等価回路図である。
図9の等価回路は、第1ノードn1及び第2ノードn2間に直列に接続される第1インダクタLr、第2インダクタLm、及びキャパシタCrと、第3ノードn3及び第4ノードn4間に接続される抵抗とを有する。キャパシタCrは
図1の第1キャパシタCr1と第2キャパシタCr2の合成容量に対応する。
図9では、第1ノードn1及び第2ノードn2間に入力電圧Viを入力し、第3ノードn3及び第4ノードn4間から出力電圧Voを出力する。
【0035】
入力電圧Viと出力電圧Voとの比率(変圧比)は、以下の式(1)で表される。
【数1】
【0036】
式(1)において、Zoは特性インピーダンス、Qはクオリティファクタ、Racは交流等価抵抗、Routは負荷抵抗である。
【0037】
式(1)からわかるように、例えば、キャパシタCr(第1キャパシタCr1と第2キャパシタCr2の合成)の容量を変えることにより、電圧変換比|Vo/Vi|を変えることができる。また、電圧変換比は、スイッチング周波数fswによっても変化する。
【0038】
図10Aは
図2の電界結合型LLC共振コンバータ1aのインピーダンス特性及び位相特性を示す図、
図10Bは
図3の直列共振コンバータ1bのインピーダンス及び位相特性を示す図である。
図10Aと
図10Bの横軸は周波数[kHz]、縦軸はインピーダンス[Ω(オーム)」、位相[deg]である。
【0039】
図10Aの波形w8と
図10Bの波形w10はインピーダンス特性、
図10Aの波形w9と
図10Bの波形w11は位相特性を表している。ソフトスイッチングを正常に行うには、共振周波数よりもスイッチング周波数fswを少し下げて、かつスイッチング周波数fswにおいて位相遅れが生じるようにするのが望ましい。なお、位相遅れとは、電圧の位相に対して電流の位相が遅れることを意味し、
図10A、
図10B、
図10Cでは位相が正の値をとることを意味する。
図2の電界結合型LLC共振コンバータ1aでは、
図10Aに示すように、スイッチング周波数fswにおける位相特性は0より大きく、位相遅れが生じている。このため、ソフトスイッチングを正常に行うことができる。一方、
図3の直列共振コンバータ1bでは、
図10Bに示すように、スイッチング周波数fswにおいて位相進みが生じている。このため、このままでは、ソフトスイッチングを正常に行えないおそれがある。そこで、
図3の直列共振コンバータ1b内の第2キャパシタCr2の容量を調整して、スイッチング周波数fswにおける位相特性を0以上にすることが考えられる。
【0040】
このように、
図1の電力変換回路1を、
図5Aおよび
図5Bの電界結合型LLC共振コンバータ1aとして動作させる場合と、
図6Aおよび
図6Bの直列共振コンバータ1bとして動作させる場合で、ソフトスイッチングを行うための第2キャパシタCr2の最適な容量値が異なる。そこで、第1切換器SW1の他に、後述する
図11に示すように第2キャパシタCr2の容量値を変化させる第2切換器SW2を設けてもよい。
図10Cは
図6Aおよび
図6Bの直列共振コンバータ1bの第2キャパシタCr2の容量値を変化させた場合のインピーダンス及び位相特性を示す図である。
図10Cの波形w12はインピーダンス特性、波形w13は位相特性を表している。
図10Bと
図10Cを比較すればわかるように、第2キャパシタCr2の容量値を変化させることにより、
図6Aおよび
図6Bの直列共振コンバータ1bとして動作させる場合の位相特性とインピーダンス特性を調整することができる。
【0041】
図11は
図1の電力変換回路1の一変形例による回路図である。
図11では、
図1と共通する構成部分には共通の符号を付しており、以下では、相違点を中心に説明する。
図11の電力変換回路1cは、
図1の電力変換回路1の構成に加えて、第3キャパシタCr3と第2切換器SW2とを備えている。第3キャパシタCr3は、第2ノードn2と第4ノードn4との間に接続されている。
【0042】
第2切換器SW2は、第2キャパシタCr2に第3キャパシタCr3を付加するか付加しないかを択一的に選択して、第2ノードn2と第4ノードn4との間に接続する。第2切換器SW2は、第1切換器SW1と連動して、切換制御を行う。第1切換器SW1がオンして、
図11の電力変換回路1を
図5Aおよび
図5Bの電界結合型LLC共振コンバータ1aとして動作させる場合は、第2切換器SW2は第2キャパシタCr2を選択する。また、第1切換器SW1がオフして、
図11の電力変換回路1を
図6Aおよび
図6Bの直列共振コンバータ1bとして動作させる場合は、第2切換器SW2は第3キャパシタCr3を第2キャパシタCr2に付加することを選択する。
【0043】
第2キャパシタCr2と第3キャパシタCr3の容量値は、ソフトスイッチングを正常に行えるような値に設定される。すなわち、スイッチング周波数において位相遅れが生じるような容量値に設定される。
【0044】
制御部6は、出力回路4の出力電力又は出力電流に基づいて、第1切換器SW1及び第2切換器SW2を連動して切換制御する。制御部6は、第1切換器SW1にて第3ノードn3と第4ノードn4との間に第2インダクタLmを接続する場合には、第2切換器SW2にて第3キャパシタCr3を選択せず第2キャパシタCr2のみを第2ノードn2と第4ノードn4との間に接続する。また、制御部6は、第1切換器SW1にて第3ノードn3と第4ノードn4との間に第2インダクタLmを接続しない場合には、第2切換器SW2にて第3キャパシタCr3を選択して第2キャパシタCr2と並列に第2ノードn2と第4ノードn4との間に接続する。
【0045】
共振回路3は、第1切換器SW1が第1切換状態(オン)及び第2切換器SW2が第2切換状態(オフ)のときには、第1キャパシタCr1、第1インダクタLr、第2インダクタLm、第2キャパシタCr2および出力回路4に共振電流を流す第1共振回路3aを生成する。また、共振回路3は、第1切換器SW1が第2切換状態(オフ)及び第2切換器SW2が第1切換状態(オン)のときには、第1キャパシタCr1、第1インダクタLr、出力回路4、第2キャパシタCr2及び第3キャパシタCr3に共振電流を流す第2共振回路3bを生成する。第3キャパシタCr3の容量は第2キャパシタCr2の容量と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0046】
図12は
図9に
図11のキャパシタCr1、Cr2、Cr3、第1切換器SW1、及び第2切換器SW2を追加した等価回路図である。キャパシタCr1、Cr2、Cr3の合成容量Crは、共振周波数frに影響する。
図12の第1切換器SW1をオンして第2切換器SW2をオフした場合の合成容量Crは、以下の式(2)で表される。
【数2】
【0047】
図12の第1切換器SW1と第2切換器SW2をともにオフした場合の合成容量Crも、上述した式(2)で表される。一方、
図12の第1切換器SW1をオフして、第2切換器SW2をオンした場合の合成容量Crは、以下の式(3)で表される。
【数3】
【0048】
このように、第2切換器SW2をオンすることで、電力変換回路1、1cの合成容量Crを変更できるため、共振周波数frを変えることができ、ソフトスイッチングの条件も変えることができる。
【0049】
図1又は
図11の電力変換回路1、1cは、トランスを備えていないため、変圧比の調整により出力電圧の電圧振幅を調整することはできない。ただし、電力変換回路1、1cを、ISOP(Input-Series Output-Parallel)又はIPOS(Input-Parallel Output-Series)にすることで、出力電圧の振幅を任意に調整可能である。
【0050】
ISOP構成の電力変換回路は、
図1又は
図11の回路1、1cを複数個設けて、各回路1、1c内のインバータ回路2の入力ノードIN1、IN2を直列に接続し、かつ各回路1、1c内の出力回路4の出力ノードn5、n6を並列に接続して構成される。IPOS構成の電力変換回路は、
図1又は
図11の回路1、1cを複数個設けて、各回路1、1c内のインバータ回路2の入力ノードIN1、IN2を並列に接続し、かつ各回路1、1c内の出力回路4の出力ノードn5、n6を直列に接続して構成される。
【0051】
図13AはISOP構成の電力変換回路1dの一例を示すブロック図である。
図13Aの電力変換回路1dは、
図1の電力変換回路1を複数個有し、各電力変換回路1内のインバータ回路2の入力ノードIN1、IN2を直列に接続している。これにより、
図1の電力変換回路1には、大きな電圧振幅の入力電圧を入力可能となる。また、
図13Aでは、各電力変換回路1内の出力回路4の出力ノードn5、n6を並列に接続している。これにより、
図13Aの電力変換回路1dは、入出力間で電圧振幅を大きく変換した電圧を出力できる。よって、電力変換回路1d内の電力変換回路1の接続数を任意に調整することで、任意の電圧振幅の入力電圧に適合するDC-DCコンバータを実現できる。
【0052】
図13BはIPOS構成の電力変換回路1eの一例を示すブロック図である。
図13Bの電力変換回路1eは、
図1の電力変換回路1を複数個有し、各電力変換回路1内のインバータ回路2の入力ノードIN1、IN2を並列に接続している。また、
図13Bでは、各電力変換回路1内の出力回路4の出力ノードn5、n6を直列に接続している。これにより、
図13Bの電力変換回路1eは、入力電圧よりも電圧振幅の大きい電圧を出力することができる。よって、電力変換回路1e内の電力変換回路1の接続数を任意に調整することで、任意の電圧振幅の出力電圧を生成可能なDC-DCコンバータを実現できる。
【0053】
図1又は
図11の電力変換回路1、1cは、トランスを備えていないため、入力電圧Vikの電圧振幅が数kVを超えるほどの大きさの場合、第1キャパシタCr1と第2キャパシタCr2の両端間に大きな電圧が印加されることから、第1キャパシタCr1と第2キャパシタCr2が絶縁破壊を起こすおそれがある。入力電圧Vikの電圧振幅が大きい場合には、
図1又は
図11の電力変換回路1を複数直列接続することで、個々の電力変換回路1の入力電圧Vikを下げることができる。
【0054】
図14は一実施形態による電力変換装置10の回路図である。
図14の電力変換装置10は、第1入力ノードIN1と第2入力ノードIN2の間に高電圧の入力電圧Vinを印加することができる。第1入力ノードIN1と第2入力ノードIN2の間には、複数の電力変換回路1が直列に接続されている。個々の電力変換回路1は、
図1又は
図11の回路構成を備えている。個々の電力変換回路1には、入力電圧Vinを複数の電力変換回路1の数により分圧した分圧入力電圧Vikが印加される。例えば、入力電圧Vinが1kVの場合に、10個の電力変換回路1を直列に接続することにより、個々の電力変換回路1に印加される分圧入力電圧Vikの電圧振幅を100Vにすることができる。
【0055】
図14の電力変換装置10は、複数の出力回路4を備えているが、これら出力回路4は、
図13A又は
図13Bに示したように、ISOP構成又はIPOS構成の接続にすることができる。また、個々の出力回路4をさらにISOP構成又はIPOS構成にすることも可能であり、これにより、
図14の電力変換装置10から出力される出力電圧の電圧振幅を任意に調整できる。
【0056】
このように、本実施形態では、トランスの代わりに、第1キャパシタCr1と第2キャパシタCr2でインバータ回路2と出力回路4の電気的絶縁を図る共振コンバータを構成するため、電気エネルギから磁気エネルギに変換する際の電力損失が生じなくなり、電力変換効率を向上できる。また、トランスのような設計の難しい回路部品を持たないため、電力変換回路1の設計が容易になる。
【0057】
また、本実施形態による電力変換回路1は、第1切換器SW1を切換制御することで、第1インダクタLrを含む第1共振回路3aを有する電界結合型LLC共振コンバータ1a、又は第1インダクタLrを含まない第2共振回路3bを有する直列共振コンバータ1bとして動作させることができる。電界結合型LLC共振コンバータ1aと直列共振コンバータ1bでは、出力電力(出力電流)により、電力変換効率が異なる。そこで、出力電力(出力電流)の大きさにより、第1切換器SW1を切換制御することで、出力電力(出力電流)の幅広い範囲で、電力変換効率を向上できる。
【0058】
さらに、ソフトスイッチングを正常に行えるように、第2キャパシタCr2に第3キャパシタCr3を付加するか付加しないかを択一的に選択できるようにすることで、電界結合型LLC共振コンバータ1aとして動作させる場合と、直列共振コンバータ1bとして動作させる場合の双方において、安定したソフトスイッチングを実現できる。
【0059】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 電力変換回路、1a 電界結合型LLC共振コンバータ、1b 直列共振コンバータ、1c 電力変換回路、2 インバータ回路、3 共振回路、3a 第1共振回路、3b 第2共振回路、4 出力回路、4a 直流変換回路、5 フルブリッジ回路、6 制御部、10 電力変換装置