(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】液体水素担体からの水素ガス抽出のためのバッチシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/06 20060101AFI20231120BHJP
B01J 23/745 20060101ALI20231120BHJP
C01B 3/16 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
C01B3/06
B01J23/745 M
C01B3/16
(21)【出願番号】P 2021506077
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(86)【国際出願番号】 IB2019000483
(87)【国際公開番号】W WO2019202391
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-11
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520407769
【氏名又は名称】エレクトリック-グローバル・エナジー・ソリューションズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】フテルマン,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】カラセンティ,エレズ
(72)【発明者】
【氏名】ジルバーマン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ギンズブルグ,デニス
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-508093(JP,A)
【文献】特開2009-242232(JP,A)
【文献】国際公開第2016/161955(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0155642(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 3/58
B01J 21/00 - 38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体水素担体を用いて水素ガスを抽出するためのシステムであって、
筐体を含み、筐体が液体水素担体を保持するように構成された、水素ガス反応器と、
水素ガス反応器中に液体水素担体が存在する場合、液体水素担体中に、およびその外に選択的に動いて、触媒と液体水素担体との間の接触に応答して、水素ガスを発生させるように構成された触媒と
を含
み、
生成する水素ガスの量を制御するために、触媒が選択的に動かされて、液体水素担体に曝露される触媒の表面積の量が制御される、システム。
【請求項2】
水素ガス反応器中に液体水素担体が存在する場合、触媒が、液体水素担体中に、およびその外に直線的に動くように構成された、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
触媒に取り付けられた機械的連結部と、
機械的連結部を介して、触媒の動きを制御するように構成されたモータと
をさらに含む、請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
触媒が、軸の周りを回転するように構成され、軸の周りの回転が、液体水素担体に曝露される触媒の表面積の量を増加または減少させるように構成された、請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
水素ガス反応器の筐体が、収縮可能な袋を含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
液体水素担体を水素ガス反応器中に、およびその外に送達するための液体水素担体導管と、
水素ガスを水素ガス反応器の外に流すための水素ガス導管と
をさらに含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
水素ガス反応器に関係する圧力を表す出力を発生させるように構成された圧力センサと、
圧力センサの出力によって指示されるように、目標圧力値と水素ガス反応器に関係する圧力との間の差に基づいて決定された量の、触媒の運動を生じるように構成された制御システムと
をさらに含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
水素ガス反応器に関係する温度を表す出力を発生させるように構成された温度センサと、
温度センサの出力によって指示されるように、目標温度値と水素ガス反応器に関係する温度との間の感知された差に応答して、水素ガス反応器の冷却を生じるように構成された制御システムと
をさらに含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
触媒を選択的に動かすことが、
触媒に対してピストンを動かすことを含み、ここで、前記ピストンは、第1の面と第2の面とを有
し、第1の面が液体水素担体に隣接し、
前記ピストンの動きが、第1の面における圧力と第2の面における圧力との間の圧力差によって発動される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項10】
触媒を選択的に動かすことが、
触媒に対してピストンを動かすことを含み、ここで、前記ピストンは、第1の面と第2の面とを有
し、第1の面が液体水素担体に隣接し、
前記ピストンが、
モータ駆動される機械的連結部の影響下で動くように構成さ
れる、請求項
1に記載のシステム。
【請求項11】
触媒を選択的に動かすことが、
触媒に対してピストンを動かすことを含み、ここで、前記ピストンは、第1の面と第2の面とを有
し、第1の面が液体水素担体に隣接し、
前記ピストンが、ばねの影響下で動くように構成された、請求項
1に記載のシステム。
【請求項12】
液体水素担体を用いて、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出するための方法であって、
水素ガス反応器からの水素ガスの流量を変化させる要求に関係する、少なくとも1つの指標を受信するステップと、
受信した少なくとも1つの指標に応答して、触媒と液体水素担体との間の相対的な動きを生じさせ、液体水素担体に接触される触媒の表面積の量を変化させる
ことによって、生成する水素ガスの量を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
受信した少なくとも1つの指標に基づいて、水素ガスの流量を変化させる要求を満たすために、触媒と液体水素担体との間で接触する表面積のレベルを提供するのに必要な、触媒と液体水素担体との間の相対的な動きの量を決定するステップと、
決定された量の相対的な動きを、触媒と液体水素担体との間に生じさせるステップと
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
相対的な動きを生じさせるステップが、液体水素担体中へ、およびその外へ、触媒を直線的に動かすステップを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
相対的な動きを生じさせるステップが、触媒に対して液体水素担体を動かすため、水素ガス反応器の筐体の少なくとも1つの壁を動かすステップを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項16】
水素ガスの目標流量を決定するステップと、
観測される水素ガス流量と、水素ガスの目標流量との間の差を低減するように構成されたフィードバックループに基づいて、液体水素担体に対する触媒の動きを制御するステップと
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
水素ガス反応器中の水素ガスの目標圧力を決定するステップと、
水素ガス反応器内の水素ガスの観測圧力と、目標圧力値との間の差に基づいて、液体水素担体に対する触媒の動きを制御するステップと
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項18】
圧力センサを用いて、水素ガス反応器中の水素ガスの圧力の変化の速度を決定するステップと、
決定された圧力の変化の速度が閾値を下回る場合、水素ガス反応器中の液体水素担体から、水素を抽出することによって形成される、使用済液体水素担体の一部を除去するステップと、
液体水素担体を水素ガス反応器中に流し込むステップと
をさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年4月17日出願の米国特許仮出願第62/658,635号、および2018年8月27日出願の米国特許仮出願第62/723,331号の利益を主張する。前述の出願のそれぞれは、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[001]本開示は一般に、液体水素担体から水素を抽出するためのシステムに関する。特に、本開示は、水素ガス反応器に配置された触媒を用いて、液体水素担体から水素を得るためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[002]化石燃料の限られた供給、ならびに気候および環境に対する悪影響によって、清浄、豊富、かつ持続可能なエネルギーの代替供給源を探求することは、世界的な優先事項となっている。太陽光、風、および水素のような供給源は、世界のエネルギー需要を満たすことができるが、エネルギーを効率的に貯蔵および/または変換することができる材料を見つけるために、かなりの課題が残っている。
【0004】
[003]水素は近年、ますます魅力的な、クリーンエネルギー生成のための供給源となっている。水素は、あらゆる燃料の中で最も高い質量当たりのエネルギーを有し、自動車、自転車、航空機、または他の電動の乗り物のような移動装置のための、高効率なゼロエミッションエネルギー源を提供しうる。しかしながら、輸送目的のために水素を用いるためには、液体水素担体からの水素抽出に関する多くの課題に対処することが、依然として必要である。
【0005】
[004]周囲条件において、水素は揮発性ガスである。1kgの水素は11.2m3(約100g/m3)を占めるが、一定の水素系エネルギー用途のためには非実用的に大きな体積である。そのため、水素利用における1つの目標は、圧縮、液化、高表面積材料への吸着、または固体化合物中への包埋のいずれかによる、水素の体積の低減である。固体状態の水素貯蔵は、液体水素の体積密度を超える、例えば2倍超の高い水素体積密度をもたらしうる。材料の観点からの他の課題としては、輸送産業において用いるために必要となりうる、体積水素密度および重量水素密度の組み合わせ(例えば、それぞれ5.5質量%H2および40kgH2/m3)、運転温度(例えば、-40~200℃)についての好適な熱力学的安定性、ならびに急速な水素の取り込みおよび送達を可能にする十分に速い反応速度(例えば、数分間に5kgのH2の燃料補給)が挙げられうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[005]金属水素化物および水素化ホウ素金属は、水素貯蔵媒体を提供しうる。水素化ホウ素金属は、水等の液体に溶解し、液体水素担体をもたらしうる。水素化ホウ素金属は、1リットルの液体担体当たり100gのH2の目標レベルで、水素を貯蔵することができうる。適当な温度および圧力条件下では、水素化ホウ素金属は、燃料として用いることができる(例えば、燃料電池のための)水素を放出しうる。しかしながら、このような液体担体から効率的に水素を放出すること、および/または液体担体に貯蔵した水素の大部分もしくはすべてを利用できるようにすることは、一定の課題を提示しうる。したがって、液体水素担体から効率的に水素を生成し、低濃度の水素を含有する使用済液体水素担体をもたらすための方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[006]開示される実施形態に整合して、液体水素担体から水素ガスを抽出するためのシステムが提供される。システムは、液体水素担体への曝露後に、水素ガスを発生させるように構成された触媒を含む水素ガス反応器と、水素ガス反応器に液体水素担体を流し込むための液体水素担体チャネルと、発生した水素ガスが水素ガス反応器から流れるために通る水素ガス排出口とを含んでもよい。システムは、水素ガス排出口を通る水素ガス流量の増加に応答して、水素ガス反応器内の液体水素担体の体積が増加するように構成されてもよく、システムは、水素ガス排出口を通る水素ガス流量の減少に応答して、水素ガス反応器内の液体水素担体の体積が減少するように構成されてもよい。
【0008】
[007]別の開示される実施形態に整合して、水素ガス反応器と、液体水素担体チャネルによって水素ガス反応器に流体接続された液体水素担体リザーバとを用いて、液体水素担体から水素ガスを抽出するための方法が提供される。この方法は、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間の圧力差に応答して、液体水素担体リザーバと水素ガス反応器との間で、液体水素担体チャネルを通して液体水素担体を流すステップを含んでもよい。この方法は、触媒の表面を、液体水素担体に曝露することによって、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出するステップであって、触媒が水素ガス反応器内に配置されている、抽出するステップと、水素ガス排出口を経由して、水素ガス反応器から水素ガスを流すステップとをさらに含んでもよい。
【0009】
[008]別の開示される実施形態に整合して、水素ガス反応器と、水素ガス反応器に流体接続された液体水素担体リザーバとを用いて、液体水素担体から水素ガスを抽出するための方法が提供される。この方法は、重力に応答して、第1の液体水素担体チャネルを通して、液体水素担体リザーバから水素ガス反応器に、液体水素担体を流し込むステップを含んでもよい。この方法は、触媒の表面を液体水素担体に曝露するステップであって、触媒が水素ガス反応器内に配置されている、曝露するステップと、触媒の表面の液体水素担体への曝露に応答して、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出するステップと、ガス接続チャネルを経由して、水素ガス反応器から液体水素担体リザーバに、水素ガスを流し込むステップとをさらに含んでもよい。この方法は、水素ガス排出口を経由して、水素ガス反応器から水素ガスを流すステップ、および水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間の圧力差に応答して、液体水素担体リザーバと水素ガス反応器との間で、第2の液体水素担体チャネルを通して液体水素担体を流すステップをさらに含んでもよい。
【0010】
[009]別の開示される実施形態に整合して、液体水素担体を用いて水素ガスを抽出するためのシステムが提供される。システムは、筐体を含み、筐体が液体水素担体を保持するように構成された、水素ガス反応器と、水素ガス反応器中に液体水素担体が存在する場合、液体水素担体中に、およびその外に選択的に動いて、触媒と液体水素担体との間の接触に応答して、水素ガスを発生させるように構成された触媒とを含んでもよい。
【0011】
[010]別の開示される実施形態に整合して、液体水素担体を用いて水素ガスを抽出するためのシステムが提供される。システムは、筐体を含む水素ガス反応器と、筐体内に配置された触媒と、液体水素担体に曝露される触媒の表面積を変化させるために、触媒に対して液体水素担体を選択的に動かすように構成された、少なくとも1つの可動式要素とを含んでもよい。
【0012】
[011]別の開示される実施形態に整合して、液体水素担体を用いて、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出するための方法が提供される。この方法は、水素ガス反応器からの水素ガスの流量を変化させる要求に関係する、少なくとも1つの指標を受信するステップと、受信した少なくとも1つの指標に応答して、触媒と液体水素担体との間の相対的な動きを生じさせ、液体水素担体に接触される触媒の表面積の量を変化させるステップとを含んでもよい。
【0013】
[012]別の開示される実施形態に整合して、液体水素担体から水素ガスを抽出するためのシステムが提供される。このシステムは、第1の水素ガス排出口を有する第1の水素ガス反応器と、第2の水素ガス排出口を有する少なくとも第2の水素ガス反応器と、第1の水素ガス排出口から受け入れた水素ガスを逆止弁に運ぶように構成された第1の枝管、第2の水素ガス排出口から受け入れた水素ガスを逆止弁に運ぶように構成された第2の枝管、および流出末端を含む、水素ガス流導管とを含んでもよい。第1および第2の水素ガス反応器は、液体水素担体を触媒に曝露することによって水素ガスを抽出するように構成されてもよい。さらに、逆止弁は、第1の枝管における水素ガス圧力が、第2の枝管における水素ガス圧力よりも高い場合に、第1の枝管から流出末端に水素ガスを流し、第2の枝管から流出末端への水素ガスの流れを閉鎖するように構成されてもよく、逆止弁は、第2の枝管における水素ガス圧力が、第1の枝管における水素ガス圧力よりも高い場合に、第2の枝管から流出末端に水素ガスを流し、第1の枝管から流出末端への水素ガスの流れを閉鎖するように構成されてもよい。
【0014】
[013]別の開示される実施形態に整合して、液体水素担体を用いて水素ガスを抽出するためのシステムが提供される。システムは、第1のガス排出口を有し、第1のガス排出口が、第1の流入側および第1の流出側を有する第1の逆止弁を含む、第1の水素ガス反応器と、第2のガス排出口を有し、第2のガス排出口が、第2の流入側および第2の流出側を有する第2の逆止弁を含む、第2の水素ガス反応器とを含んでもよい。システムは、水素ガス流導管をさらに含んでもよい。水素ガス流導管は、第1のガス排出口から受け入れた水素ガスを運ぶように構成された第1の枝管、第2のガス排出口から受け入れた水素ガスを運ぶように構成された第2の枝管、および流出末端とを含んでもよい。第1および第2の水素ガス反応器は、液体水素担体を触媒に曝露することによって水素ガスを抽出するように構成されてもよい。さらに、第1の逆止弁は、第1の流入側と第1の流出側との間の圧力差が正であり、かつ閾値を上回る場合に、第1の水素ガス反応器から流出末端への水素ガスの流れを可能にするように構成されてもよく、第2の逆止弁は、第2の流入側と第2の流出側との間の圧力差が正であり、かつ閾値を上回る場合に、第2の水素ガス反応器から流出末端への水素ガスの流れを可能にするように構成されてもよい。
【0015】
[014]別の開示される実施形態に整合して、液体水素担体から水素ガスを抽出するための方法が提供される。この方法は、第1の水素ガス反応器中の第1の液体水素担体を第1の触媒に曝露することによって、第1の水素ガス反応器中で水素ガスを発生させるステップと、発生した水素ガスを、第1の水素ガス反応器から、第1の水素ガス反応器に関係する第1の水素ガス排出口と流体連通した逆止弁に供給するステップと、第2の水素ガス反応器中の第2の液体水素担体を第2の触媒に曝露することによって、第2の水素ガス反応器中で水素ガスを発生させるステップとを含んでもよい。この方法は、発生した水素ガスを、第2の水素ガス反応器から逆止弁に供給するステップをさらに含んでもよい。逆止弁は、第2の水素ガス反応器に関係する第2の水素ガス排出口と流体連通してもよい。この方法は、第1の水素ガス反応器の第1の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力が、第2の水素ガス反応器の第2の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力よりも高い場合、発生した水素ガスを、第1の水素ガス反応器から逆止弁を通して流し、第2の水素ガス反応器からの逆止弁を通る水素ガスの流れを閉鎖するステップをさらに含んでもよい。この方法は、第2の水素ガス反応器の第2の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力が、第1の水素ガス反応器の第1の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力よりも高い場合、発生した水素ガスを、第2の水素ガス反応器から逆止弁を通して流し、第1の水素ガス反応器からの逆止弁を通る水素ガスの流れを閉鎖するステップをさらに含んでもよい。
【0016】
[015]添付の図面は、必ずしも原寸または網羅的ではない。代わりに、一般に、本明細書に記載される発明の原理を図示することに重点が置かれる。この明細書に組み込まれ、その一部を構成するこれらの図面は、本開示に整合する複数の実施形態を図示し、発明を実施するための形態とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[016]開示される実施形態に整合する、水素抽出のための例示的なシステムを示す図である。
【
図2】[017]液体水素担体のライン壁の例示的な断面図である。
【
図3】[018]
図3Aは、開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムのための濾過材の概略図である。
図3Bは、開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムのための濾過材の概略図である。
【
図4】[019]開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムのための触媒サブユニットの概略図である。
【
図5】[020]開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムの例示的実施形態を示す図である。
【
図6】[021]開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムの例示的実施形態を示す図である。
【
図7】[022]
図7Aは、開示される実施形態に整合する、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとを含む、水素抽出のためのシステムの例示的実施形態を示す図である。
図7Bは、開示される実施形態に整合する、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとを含む、水素抽出のためのシステムの例示的実施形態を示す図である。
【
図8】[023]開示される実施形態に整合する、水素ガス反応器と、液体水素担体リザーバと、ガス接続チャネルとを含む、水素抽出のためのシステムの例示的実施形態を示す。
【
図9A】[024]
図9Aおよび
図9Bは、開示される実施形態に整合する、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとを含む、水素抽出のためのシステムの例示的実施形態を示す図である。
【
図9B】
図9Aおよび
図9Bは、開示される実施形態に整合する、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとを含む、水素抽出のためのシステムの例示的実施形態を示す図である。
【
図10】[025]開示される実施形態に整合する、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとを含む、水素抽出のためのシステムの実施形態を示す図である。
【
図11】[026]開示される実施形態に整合する、使用済液体水素担体導管を含む、水素抽出のためのシステムの例示的実施形態を示す図である。
【
図12A】[027]
図12A~12Eは、開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムを開始するための例示的プロセスを示す図である。
【
図12B】
図12A~12Eは、開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムを開始するための例示的プロセスを示す図である。
【
図12C】
図12A~12Eは、開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムを開始するための例示的プロセスを示す図である。
【
図12D】
図12A~12Eは、開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムを開始するための例示的プロセスを示す図である。
【
図12E】
図12A~12Eは、開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムを開始するための例示的プロセスを示す図である。
【
図13】[028]開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムを用いて水素ガスを抽出するための例示的なメインサイクルプロセスを示す図である。
【
図14】[029]開示される実施形態に整合する、水素抽出のためのシステムのための例示的な補充プロセスを示す図である。
【
図15】[030]開示される実施形態に整合する、可動式触媒を有する例示的な水素ガス反応器を示す図である。
【
図16】[031]開示される実施形態に整合する、可動式触媒を有する別の例示的な水素ガス反応器を示す図である。
【
図17】[032]開示される実施形態に整合する、回転式触媒を有する例示的な水素ガス反応器を示す図である。
【
図18】[033]開示される実施形態に整合する、液体水素担体を動かすための可動式ピストンを有する例示的な水素ガス反応器を示す図である。
【
図19】[034]開示される実施形態に整合する、液体水素担体を動かすための可動式ピストンを有する別の例示的な水素ガス反応器を示す図である。
【
図20】[035]開示される実施形態に整合する、液体水素担体表面に対する触媒の位置の例示的なグラフである。
【
図21】[036]
図21Aは、開示される実施形態に整合する、液体水素担体表面に対する触媒の位置の例示的なグラフ、および水素ガス反応器中の水素ガス圧力の変動のグラフである。
図21Bは、開示される実施形態に整合する、液体水素担体表面に対する触媒の位置の例示的なグラフ、および水素ガス反応器中の水素ガス圧力の変動のグラフである。
【
図22】[037]開示される実施形態に整合する、液体水素担体に対する触媒の動きを制御する例示的なプロセスを示す図である。
【
図23】[038]
図23Aは、開示される実施形態に整合する、液体水素担体に対する触媒の動きを制御する例示的なプロセスを示す図である。
図23Bは、開示される実施形態に整合する、液体水素担体に対する触媒の動きを制御する例示的なプロセスを示す図である。
図23Cは、開示される実施形態に整合する、水素ガス反応器を補充する例示的なプロセスを示す図である。
【
図24】[040]開示される実施形態に整合する、2つの水素ガス反応器の例示的なシステムを示す図である。
【
図25】[041]開示される実施形態に整合する、2つの水素ガス反応器の別の例示的なシステムを示す図である。
【
図26】[042]開示される実施形態に整合する、2つの水素ガス反応器と、反応器のうちの一方と接続された液体水素担体リザーバとの例示的なシステムを示す図である。
【
図27】[043]開示される実施形態に整合する、2つの水素ガス反応器と、両方の反応器と接続された使用済液体水素担体導管との例示的なシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[044]ここに例示的実施形態が詳細に言及され、添付図面に関して論じられる。いくつかの例では、同じまたは同様の部分を指すため、図面および以下の記載を通じて同じ参照番号が用いられる。別途定義されない限り、技術用語および/または科学用語は、当業者によって通常理解される意味を有する。開示される実施形態は、開示される実施形態を当業者が実施できるように、十分に詳細に記載される。他の実施形態が利用されてもよいこと、および開示される実施形態の範囲から逸脱することなく、変更がなされうることを理解されたい。したがって、材料、方法、および例は、説明のためのものであるに過ぎず、必ずしも限定するものであることは意図されない。
【0019】
[045]本開示は、液体水素担体からの水素ガスの生成のためのシステムおよび方法に関する。開示される方法およびシステムは、例えば、要求に応じた水素の供給源を提供し、例えば、要求に応じた水素生成を必要とする燃料電池システムを支えるために用いられうる。いくつかの実施形態では、開示されるシステムおよび方法は、自動車、トラック、自転車、モペッド、ゴルフカート、航空機、または宇宙船のような、電動の乗り物に給電するための水素を供給するために用いられうる。開示されるシステムは、携帯電話もしくは他のモバイル装置、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、カメラ、ウェアラブル電子装置、IoT装置、医療用装置、遠隔制御自動車もしくはドローン、または任意の他の電子装置のような電子装置に、給電するための水素を供給するためにも用いられうる。上の用途は例示的なものに過ぎず、開示されるシステムは、多様な他の用途において水素を発生させるために用いられてもよい。
【0020】
[046]
図1は、水素発生システム10の例示的実施形態を示す。水素発生システム10は、水素液体担体を貯蔵するための貯蔵システム20を含んでもよい。貯蔵システム20は、液体水素担体タンク100、担体排出ライン113(矢印114は液体水素担体の流れを示す)、および使用済液体水素担体導入ライン115(矢印116は使用済液体水素担体の流れを示す)を含んでもよい。液体水素担体タンク100はまた、液体水素担体を受け入れるための液体水素担体導入口131を含んでもよい。液体水素担体タンク100は、開示される実施形態に従って、水素の抽出のために液体水素担体を貯蔵するように構成されてもよい。液体水素担体タンク100は、下にさらに詳細に記載されるように、水素ガス反応器120内で水素を抽出するため、担体排出ライン113を通して、液体水素担体を水素ガス反応器(水素ガス反応器)120に供給しうる。いくつかの実施形態では、
図1に示されるように、液体水素担体タンク100が、2つのチャンバ(例えば、チャンバ101および102)を含んでもよい。このような実施形態では、チャンバ101は、水素ガス反応器120に供給するために、液体水素担体111を貯蔵するように構成されてもよい。
図1に示されるように、チャンバ102は、使用済液体水素担体ライン115を通して受け入れられうる、水素抽出プロセス中に生成した使用済液体水素担体112を貯蔵するように構成されてもよい。あるいは、液体水素担体タンク100が単一のチャンバを含んでもよく、貯蔵システム20が、液体水素担体と使用済液体水素担体112とを貯蔵するために別々のタンクを有してもよい。液体水素担体タンク100は、液体水素担体111の極端なアルカリ性条件(例えば、pH>14)に対して、比較的高い耐性を有する材料で作製されてもよい。例えば、液体水素担体タンク100は、ポリオレフィンプラスチック、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ポリフッ化ビニリデン等のような、耐アルカリ性ポリマーで作製またはコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、液体水素担体タンク100はまた、316ステンレス鋼、Monel(登録商標)、Inconel(登録商標)、Incoloy(登録商標)、またはHastelloy(登録商標)等のような、耐アルカリ性金属で作製されてもよい。加えて、または代わりに、液体水素担体タンク100は、PTFE、PTFA、FEP、およびHiperflon(登録商標)等のような、フルオロポリマー層を含んでもよい。液体水素担体タンク100はまた、タンクから流体を追い出すためのパージ管142を含んでもよい。
【0021】
[047]液体水素担体111は、触媒に接触して配置された場合に、水素を生成するのに好適な任意の液体であってよい。液体水素担体111は、水素化ホウ素金属、または水素に好適な他の材料を含んでもよい。説明のための実施形態では、水素化ホウ素金属としては、式M1-BH4[式中、M1は、International Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC)によって定義される元素周期表の第1族から選択される金属、または元素周期表の第1族から選択される金属の合金でありうる]によって記載されうる任意の化学化合物が挙げられうる。説明のための実施形態では、金属M1としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、およびFrが挙げられうる。しかしながら、いくつかの実施形態では、金属M1は、周期表の第2族から選択されてもよく、MgおよびBeを含んでもよい。あるいは、M1金属としては、Al、Ti、Be、Zn、Sc、Ca、または他の好適な金属も挙げられうる。
【0022】
[048]いくつかの実施形態では、液体水素担体111は、2種以上の金属を含有する化学化合物を含んでもよい。説明のための実施形態では、液体水素担体111は、式M1aM1b-H4[式中、M1aおよびM1bは金属でありうる]によって記載される化学化合物による三元水素化物を含んでもよい。例となる実施形態では、M1aとしては、Li、Na、K、Rb、Cs、Ti、Be、Zn、Fr、または他の好適な金属が挙げられうる。例となる実施形態では、M1bとしては、B、Al、Ni、Zn、Be、Ca、Sc、Ti、または他の好適な金属が挙げられうる。加えて、または代わりに、液体水素担体は、Li-B-N-H、または式M1aM1bM1c-H4によって記載される他の好適な四元水素化物のような、四元水素化物を含んでもよい。
【0023】
[049]液体水素担体111は、水素化ホウ素金属の水溶液以外の、他の化学化合物を含んでもよい。例えば、液体水素担体は、溶解性金属水酸化物(例えば、水酸化カリウム)のような、溶解性を増強する化学物質または安定剤を含んでもよい。他の使用可能な安定剤としては、とりわけ、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムを挙げることができる。液体水素担体の液体成分は、任意の好適な液体を含んでもよい。このような液体としては、水またはアルコールが挙げられうる。液体水素担体111はまた、安定剤としての水酸化カリウム、および界面活性剤またはゲル化剤または増粘剤のような、添加剤、安定剤、または他の反応増強剤を含んでもよい。液体水素担体111は、Electriq Global(EG)E-Fuelのような、市販の液体水素化ホウ素であってもよい。
【0024】
[050]液体水素担体111は、水素化金属または水素化ホウ素金属の水溶液以外の、他の化学化合物を含んでもよい。例えば、液体水素担体111は、溶解性金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)のような、溶解性を増強する化学物質または安定剤を含んでもよい。他の使用可能な安定剤としては、とりわけ、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムを挙げることができる。液体水素担体111の液体成分は、任意の好適な液体を含んでもよい。このような液体としては、水またはアルコールが挙げられうる。液体担体はまた、安定剤としての水酸化ナトリウム、界面活性剤としてのポリグリコール、または多くの他のもののような、添加剤、安定剤、または他の反応増強剤を含んでもよい。本明細書において用いられる場合、液体は、任意の流体、または流れて一定の(またはほぼ一定の)体積を有する物質を含んでもよい。液体は、容器の形状に適合する、流動可能な媒体を含んでもよい。開示される実施形態の液体は、広い範囲の粘度を呈しうる。いくつかの場合では、開示される液体は、水と同様の、または水未満の粘度を有しうる。他の場合では、開示される液体は、水より大きい粘度を有しうる。開示される液体は、1cP以下の粘度を有してもよい。しかしながら、他の場合では、開示される液体は、1cP超、10cP超、100cP超、または1000cP超の粘度を有しうる。いくつかの実施形態では、開示される液体は、水のような粘稠度を含みうる。他の場合では、開示される液体は、ペースト状の粘稠度を呈しうる。開示される液体は、ペースト、コロイド溶液、ビンガム塑性流体、および懸濁液等のような、流動可能な媒体を含んでもよい。
【0025】
[051]様々な実施形態では、システム10は触媒121を含んでもよく、触媒121としては、水素生成を促進するのに好適な任意の触媒が挙げられうる。例えば、触媒121は、Fe、Co、Cu、Ni、Ru、Pt、Bのような遷移金属、合金、およびこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、触媒121は、III族金属、コバルト-P、コバルト-B、コバルト-Ni,P、およびコバルト-NIB、またはElectriq Global(商標)E-Switchを含んでもよい。本開示に従って、触媒は、金属構造体、および金属構造体上の触媒コーティングを含んでもよい。コーティングは、液体水素担体111に接触している場合に水素の生成を促進するのに好適な、任意の材料を含んでもよい。例えば、コーティングは、Niを含む層を含んでもよい。いくつかの場合では、コーティングは、内層上に配置された外層を含んでもよい。外層は、水素生成プロセスに対して触媒性の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外層は、III族金属(例えば、コバルト-P、コバルト-B、コバルト-Ni,P、およびコバルト-NIB)を含んでもよい。外層は、様々なコーティングまたはめっき方法を用いて適用されうる。
【0026】
[052]水素生成の必要事項に応じて、一定のコーティング材料および技法が用いられうる。例えば、他の技法と比較して相対的に均一なクラスターサイズおよび分散を有する均質なコーティングを達成するため、誘導定電位条件下、ニッケルカソード上にコバルト-Pが堆積されうる。誘導定電位におけるコバルト-Pの堆積によって調製される触媒はまた、他の技法を用いてめっきされた触媒と比較して、経時的により多くの水素流を生成し、より高い耐性を呈しうる。しかしながら、無電解めっきまたは電着のような、他のコーティングまたはめっき技法を用いてもよいことを理解されたい。
【0027】
[053]いくつかの実施形態では、触媒の金属構造体は、ステンレス鋼から構成されてもよい。金属構造体上の触媒コーティング(例えば、Ni系コーティング)は、一定の粗さ値または一定の範囲の粗さ値を含んでもよく、これによって、触媒材料と液体水素担体との間の相互作用が促進されうる。いくつかの実施形態では、Ni層を含む触媒コーティングは、粗さ平均(Ra)として計算される、6.3~25μmの間の粗さ値を有してもよい。本開示は例示的な粗さ値の例を提供するが、最も広い意味における本開示の態様は、これらの特定の値に限定されないことに留意するべきである。
【0028】
[054]液体水素担体111は、触媒に流体接触して配置された場合に、液体水素担体111が分解して水素を放出するように構成されうる。様々な実施形態では、M1BH4と水とのような反応物質同士の間の化学反応は、反応物質が水中に溶解した場合に実行されうる。M1BH4系担体は、著しく分解することなく、長期間貯蔵されうる。しかしながら、触媒121の存在下、広い温度範囲において、担体は水素を発生させうる。例えば、反応は、次の例示的な式:M1BH4+2H2O→MBO2+4H2によって記載されうる。発生した水素(4H2)は、次いで、燃料電池または別の装置による消費に用いられうる。様々な実施形態では、使用済水素担体112は、液体水素担体から水素が放出される場合、反応中に形成される。説明のための実施形態では、M1-BH4の水溶液は、液体水素担体として用いることができ、化学反応によって水素を放出し、使用済液体水素担体112を形成しうるが、これは金属ホウ酸塩の水溶液であってもよい。金属ホウ酸塩の水溶液は使用済液体水素担体112の1つの例であるが、担体112は様々な他の化学化合物を含んでもよい。説明のためのプロセスでは、液体水素担体として水素化金属が用いられる場合、得られる使用済液体水素担体112は、金属とメタホウ酸塩とを含みうる。
【0029】
[055]水素発生システム10は、水素を生成するための水素ガス反応器120をさらに含んでもよい。例えば、上に記載されるように、液体水素担体111は、触媒121と接触している場合に、水素ガス反応器120内で水素を放出しうる。水素ガス反応器120は、例えば、水素ガス反応器120内の担体の量に基づいて、触媒121の表面積を調整する、または変化させることによって、水素の抽出を促進するように構成されうる。例えば、水素ガス反応器120は、触媒の湿潤化表面積を増加させ、それによって水素ガス生成を増加させるため、触媒121同士の間の間隔を低減するように構成されてもよい。水素ガス反応器120は、圧力調整器144、安全弁143、および/または熱電対センサ145のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。水素ガス反応器120は、液体水素担体111の極端なアルカリ性条件(例えば、pH>14)に対して、比較的高い耐性を有し、かつ/または比較的高い伝熱特性を有する材料で作製、またはコーティングされてもよい。例えば、水素ガス反応器120は、316ステンレス鋼、Monel(登録商標)、Inconel(登録商標)、Incoloy(登録商標)、Hastelloy(登録商標)、または他の耐アルカリ性材料で作製されてもよい。水素ガス反応器120はまた、反応器120から液体水素担体(または使用済液体水素担体)を追い出すためのパージ管141を含んでもよい。
【0030】
[056]
図1に示されるように、水素流出ライン125A(矢印122は水素の流れの方向を示す)は、水素ガス反応器120から水素ガス貯蔵チャンバ126に、水素を送達しうる。チャンバ126は、次いで、水素ライン125Bを経由して、燃料電池130に水素を送達しうる。水素ガス反応器120は、下の
図3Aおよび
図3Bにより詳細に記載されるような濾過材146をさらに含んでもよい。
図3Aは濾過材146の上面図を示し、
図3Bは濾過材146の3次元図を示す。濾過材146は、燃料電池130を損傷から保護するため、水素からガスミスト混合物(例えば、水素ガス反応器120内で触媒的加水分解反応中に生成される)を濾過するように配列されてもよい。濾過材146は、例えば、水素排出口125Aに隣接して、水素ガス反応器120内に包埋されてもよい。いくつかの実施形態では、濾過材146は、水素ガス反応器120の被覆内に包埋されてもよい。
【0031】
[057]様々な実施形態では、発生した水素は、流出ライン125Aを経由して水素貯蔵チャンバ126に、続いて燃料電池130に送達されうる。様々な実施形態では、システム10は、圧力センサと、液体水素担体、使用済液体水素担体112の流れ、ならびにライン113、115、125A、および125Bを通る水素の流れを促進する圧力ポンプ(
図1には示されていない)とを含んでもよい。例えば、ポンプは、加圧された水素ガス反応器120に液体水素担体111をポンプ注入するために用いられうる。いくつかの実施形態では、液体水素担体111は、水素が水素ガス反応器120から放出され、水素チャンバ126に貯蔵されるにつれて、水素ガス反応器120に流れ込みうる。例となる実施形態では、ポンプは、水素ガス反応器120からチャンバ126に、水素を移送するために用いられうる。
【0032】
[058]システム10はまた、
図1に模式的に示される、コンピューティングシステム15によって操作されうる、制御部を含んでもよい。コンピューティングシステム15は、プロセッサ140による実行のためのデータおよびプログラム指示を維持および記憶することができる、コンピュータ可読記憶媒体150を含んでもよい。記憶媒体150としては、例えば、電子的記憶装置、磁気的記憶装置、光学的記憶装置、電磁的記憶装置、またはこのような装置もしくは他の好適な電子的記憶装置の任意の好適な組み合わせが挙げられうる。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストとしては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能、プログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROMもしくはフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、および/またはメモリスティック等が挙げられうる。
【0033】
[059]コンピュータ可読記憶媒体150に記憶されるプログラム指示としては、アセンブラ指示、機械依存指示、ファームウェア指示、オブジェクト指向プログラミング言語、手続き型プログラミング言語、または関数型プログラミング言語を含めた1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせによって書かれたソースコードまたはオブジェクトコードが挙げられうる。プログラミング言語は、Fortran、Lisp、またはC++等でありうる。プログラム指示は、コンピューティングシステム15のプロセッサ140によって実行されうる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステムは、ユーザー11がデータを修正すること、プログラム指示をアップデートすること、またはプログラム指示によって用いられる様々なパラメータを入力することができるように構成された、ユーザーインターフェース16を提供してもよい。
【0034】
[060]様々な実施形態では、コンピューティングシステム15のプロセッサ140は、水素ガスに対する要求を指示する信号(指標とも呼ばれる)を受信するように構成されてもよい。応答において、プロセッサ140は、水素ガスに対する要求を満たすように、1つまたは複数の弁を制御して、液体水素担体111の流れの速度を調整してもよい。説明のための実施形態では、水素ガスに対する要求を指示する信号は、燃料の供給源として水素を用いるように構成された任意の電力消費システムによって発生してもよい。例えば、乗り物に実装されたシステム10について、水素ガスに対する要求を指示する信号は、様々な乗り物のシステム(例えば、電力制御プロセッサ、加速器システム、水素燃焼制御システム、先進運転支援システム(ADAS)、自動運転型乗り物制御システム等)から生じてもよく、または様々な乗り物のシステムに関係してもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ140は、フィードバック制御システムも採用して、液体水素担体111の流量を調整してもよい。プロセッサ140は、システムに関係する測定されたパラメータ値を受信し、液体水素担体111の流量を制御して、測定されたパラメータ値とパラメータについての目標値との間の差を低減または排除してもよい。例えば、プロセッサは、水素ガス反応器120中で生成される水素によって給電される装置に関係するスピード、電力出力、または別のパラメータを測定してもよく、パラメータに基づいて液体水素担体111を調整してもよい。このような実施形態では、プロセッサ140は、フィードバック制御プロセスを促進するため、PIDコントローラ等のようなロジックコントローラを採用してもよい。
【0035】
[061]液体水素担体111の流れの速度を制御して、水素ガスに対する要求を満たすため、コンピューティングシステム15以外の様々な他の技法が用いられてもよいことに留意するべきである。例えば、いくつかの実施形態では、液体水素担体111の流れの速度は、自動式であってもよく、例えば、水素ガス反応器120と、液体水素担体タンク100のチャンバ101との間の圧力低下に応答して行われてもよい。
【0036】
[062]担体排出ライン113は、様々な構成を有しうる。
図2は、担体排出ライン113の領域200の構成の一例を示す。例えば、いくつかの実施形態では、担体排出ライン113は、外側保護層201、断熱層202、構造層203、および化学不活性層204を含んでもよい。様々な実施形態では、記載される層は説明のためのものに過ぎず、様々な他の好適な層が存在してもよく、または上に記載された層のうちのいくつかが省略されてもよい。例えば、2つ以上の好適な構造層が存在してもよい。いくつかの実施形態では、排出ライン113の一部が、ライン113の第1の部分を形成する第1のセットの層を含有してもよく、別の部分が、ライン113の第2の部分を形成する第2のセットの層を含有してもよく、第1のライン部分と第2のライン部分は接合部において接続される。
【0037】
[063]いくつかの実施形態では、外側保護層201は、周囲環境による相互作用から排出ライン113を保護しうる任意の層を含んでもよい。例となる実施形態では、外側保護層は、プラスチック層(例えば、ポリ塩化ビニルもしくはポリテトラフルオロエチレン層)、または金属亜鉛層、および/もしくは酸化物層(例えば、酸化アルミニウム)等として形成されうるさび保護層を含んでもよい。様々な実施形態では、断熱層202は、液体水素担体の特性に対する環境温度の変動の効果を低減または最小化するため、ガスを含有する多孔質層を含んでもよい。例となる実施形態では、断熱層に用いられる材料としては、発泡ポリスチレンフォームのような、様々な好適な材料から形成されるフォームが挙げられうる。
【0038】
[064]様々な実施形態では、構造層203は、排出ライン113内の圧力に起因するライン113の破裂または漏出のリスクを、低減または阻止することができる材料から形成されてもよい。例となる実施形態では、構造層203は、銅、アルミニウム、および/またはステンレス鋼等を含んでもよい。いくつかの実施形態では、構造層203は、内部機械構造を含有してもよい(例えば、構造層は、強度強化繊維または強度強化充填材料を有する複合材料で形成されてもよい)。
【0039】
[065]様々な実施形態では、排出ライン113の様々な層が液体水素担体111と反応するリスクを低減または阻止するため、化学不活性層204が液体水素担体に隣接して堆積されてもよい。様々な説明のための実施形態では、内層204は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはポリブテン-1(PB-1)のような、熱可塑性ポリオレフィンから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、内層204は、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(M-クラス)、またはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDMゴム)から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、内層204は、限定されるものではないが、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、および/またはエチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー(ETFE)等を含めた、フルオロポリマーから形成されてもよい。
【0040】
[066]様々な実施形態では、排出ライン113について
図2に示される構造と同様に、使用済液体水素担体導入ライン115(
図1に示される)も、複数の層で構築されてもよい。このような層は、
図2に示されるように、外側保護層201、断熱層202、構造層203、および化学不活性層204を含んでもよい。加えて、または代わりに、システム20のチャンバ101および/または102は、上に記載される、外側保護層201、断熱層202、構造層203、および化学不活性層204を含みうる、複数の層から形成されてもよい。様々な実施形態では、導入ライン115のための不活性層204の組成は、液体水素担体を形成する化学化合物と比較して異なる、使用済液体水素担体112の化学化合物を考慮するため、排出ライン113のための不活性層204の組成と異なってもよい。
【0041】
[067]様々な実施形態では、使用済液体水素担体導入ライン115の壁を形成する記載される層は、説明のためのものに過ぎず、様々な他の好適な層が存在してもよく、または上に記載された層のうちのいくつかが省略されてもよい。いくつかの実施形態では、導入ライン115の一部が、ライン115の第1の部分を形成する第1のセットの層を含有してもよく、導入ライン115の別の部分が、ライン115の第2の部分を形成する第2のセットの層を含有してもよく、第1の部分と第2の部分は接合部において接続される。様々な実施形態では、ライン115は、1つまたは複数の部分を含有してもよい。
【0042】
[068]
図3Bは、濾過材146の例示的実施形態を示す。濾過材146は、反応器被覆147に除去可能に取り付け可能なニッケルメッシュ146A、膜146B、ならびに/または反応器被覆147に膜146Bおよび/もしくはニッケルメッシュ146aを固定するための膜ホルダ146Cのうちの少なくとも1つを含んでもよい。膜146Bは、高度に疎水性の材料で作製されてもよく、かつ/または所定の細孔サイズ(例えば、0.2μm)を有してもよい。膜146Bの材料および/または細孔サイズは、水素からガスミスト混合物を効率的に濾過するように決定されうる。
【0043】
[069]いくつかの実施形態では、
図4に示されるように、水素ガス反応器120は、触媒サブユニット400を含んでもよい。触媒サブユニット400は、
図4に示されるように、触媒金属化合物が分散した複数のニッケルメッシュシート401を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のニッケルシート401のそれぞれは、室温の液体水素担体に接触した際に、約0.5リットル/分の水素を生成しうる。触媒サブユニット400は、ベース402をさらに含んでもよい。ベース402は、複数のニッケルメッシュシート401を収容しうる。ベース402は、水素ガス反応器120内の所望/所定の位置に、ニッケルメッシュシート401を位置付けるために用いられうる。触媒サブユニット400は、様々な形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、触媒サブユニット400は、円錐形状を有してもよい。
【0044】
[070]ニッケルシート401のメッシュ構造体は、触媒金属化合物の表面積、および/または液体水素担体111との接触面積を増加させうる。ニッケルはシート401に、所望の電流(合成)および熱(反応)の伝導性を提供しうる。ニッケルはシート401に、所望の電気化学的特性(合成)、および液体水素担体111の極端なアルカリ性条件に対する所望の耐性(反応)をさらに提供しうる。
【0045】
[071]
図5は、液体水素担体タンク100、水素ガス反応器120、水素供給排出口125A、触媒121、ならびに反応器停止弁501、メイン担体レール507、排液弁503、および担体供給弁505を含むシステム10の説明のための実施形態を示す。様々な実施形態では、担体供給弁505は、外部供給源から液体水素担体タンク100に液体水素担体を供給してもよく、排液弁503は、反応器120から使用済液体水素担体112を排液してもよく、反応器停止弁501は、液体水素担体タンク100から反応器120への液体水素担体の流れを制御してもよい。説明のための実施形態では、
図5に描かれるシステム10は、不連続で周期的なサイクルにおいて、液体水素担体から水素を生成してもよい。このような実施形態では、メイン担体レール507は、液体水素担体タンク100から水素ガス反応器120に液体水素担体を供給するために、および水素ガス反応器120から排液弁503を経由して、使用済液体水素担体112を吐出するために用いられてもよい。例となる実施形態では、システム10はまず、担体リザーバ100からレール507を経由して水素ガス反応器120に、液体水素担体111を流すことによって動作しうる。そこで、液体水素担体111は、触媒121と反応して水素を放出しうるが、これは水素ガス反応器120から、水素供給排出口125Aによって運ばれうる。水素生成サイクルの完了後、または任意の他の好適な時点で、使用済液体水素担体112は、水素ガス反応器120から収集され、担体レール507を通して流れてもよく、排液弁503を経由してシステム10から出ていってもよい。
【0046】
[072]
図5の周期的水素発生システム10とは対照的に、
図6に示される実施形態は、より連続的な方法で水素を発生させるように動作してもよい。例えば、液体水素担体は、例えば矢印601によって示される上部シリンダヘッドから流れ、使用済液体水素担体112としてチャンバ120の底部で収集されてもよい。様々な実施形態では、触媒121は、水素ガス反応器120の壁上に堆積されてもよく、これは担体が壁の近傍を通過する際に、液体水素担体111からの水素放出を促進しうる。様々な実施形態では、水素は、例えば、水素貯蔵チャンバ126に流すための、または燃料電池130に(または任意の他の水素貯蔵ユニットもしくは水素消費ユニットに)流すための水素マニホールド615で、水素ガス反応器120の上部において収集されてもよい。
【0047】
[073]様々な実施形態では、水素ガス反応器120は、例えば、
図6に示される冷却水ジャケット625のような、液体冷却システムを含んでもよい。ジャケット625は、水素ガス反応器120の壁を冷却するように構成されうる。冷却ジャケットは、ジャケット内に配置された液体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、冷却ジャケットは、熱管理を推進するための冷却流体を含有してもよい。冷却流体としては、水、グリコール、もしくはいくつかの他の気体もしくは液体冷却材、またはこれらの組み合わせが挙げられうる。冷却ジャケットは、伝熱を推進するため、ジャケットの内部に複数のフィンまたはバッフルを含有してもよい。あるいは、冷却ジャケットは、シェル型および管型の熱交換器、または他の公知の伝熱装置を含んでもよい。冷却ジャケットは、様々な代替的構造によって、水素ガス反応器120の壁内に含まれてもよい。
【0048】
[074]下に記載される様々な実施形態は、要求に応じて水素ガスを発生させるためのバッチシステムに関する。このような実施形態は、上に記載されるように、液体水素担体を貯蔵するためのリザーバを含んでもよく、触媒を含む水素ガス反応器も含んでもよい。水素ガス反応器に液体水素担体を流し込むことは、液体水素担体が触媒に接触した際の水素ガス発生を誘起しうる。システムのバッチ態様とは、システムが、液体水素担体(例えば、有限量の液体水素担体)のバッチを供給されることができ、そこから一定体積の水素ガスが放出されうるという特徴を指しうる。液体水素担体のバッチから合計体積の水素ガスが放出された時点で、使用済液体水素担体がバッチシステムから除去されることができ、別のバッチの液体水素担体が、燃料補給プロセスの一部として、システムに供給されうる。当然のことながら、バッチの概念は、水素ガスを発生させるために、開示されるシステムがどのように採用されうるかについての、説明のための一例に過ぎない。記載される実施形態のいずれかはまた、少なくともローカルシステムレベルにおいて、システムに液体水素担体を燃料補給する必要性を排除しうる、液体水素担体のより連続的な供給を可能にする一定の構造および制御を含むように組み合わせられ、または修正されてもよい。
【0049】
[075]
図7Aおよび7Bは、液体水素担体チャネル711を介して互いに接続された、水素ガス反応器120および液体水素担体リザーバ701の例となる実施形態を示す。液体水素担体リザーバ701と、接続された水素ガス反応器120とは、
図7Aにおいて示されるシステム700、および
図7Bにおいて示されるシステム710と呼ばれる場合がある。液体水素担体チャネル711は、液体水素担体リザーバ701と枝管接続部746との間のリザーバ枝管741、および枝管接続部746を水素ガス反応器120に接続する反応器枝管743のような、複数のセグメントから形成されてもよい。様々な実施形態では、液体水素担体チャネル711は、水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との間で、液体水素担体111を流すように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、リザーバ枝管741および反応器枝管743は、対応するリザーバ枝管弁744および反応器枝管弁745を含んでもよい。弁744および745は開かれ/閉じられて、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間の、液体水素担体111の流れを可能に/終了させうる。いくつかの実施形態では、少なくとも一方の弁(弁744または弁745のいずれか)が閉じられて、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間で、液体水素担体111の流れを阻止しうる。弁744および745は、ユーザー11により(例えば、ユーザー11が弁744または745のうちの一方を回すことにより)、制御部(例えば、コンピューティングシステム15からの電気信号のような指示を受信する機械装置)またはその組み合わせによって操作されるように構成されてもよい。例となる実施形態では、コンピューティングシステム15は、ユーザー11が、インターフェースシステム16を介して、弁744および745を制御することを可能にしてもよい。本明細書において、別段の注記がない限り、弁に関する「制御」という用語は、弁による任意の操縦(弁を開くこと、弁を閉じること、弁を部分的に開くこと、または弁を部分的に閉じること等)を指す。
【0050】
[076]様々な実施形態では、液体水素担体111は、流入液体水素担体チャネル747を経由して、液体水素担体リザーバ701に送達されてもよい。
図7Aに示される、例となる実施形態では、チャネル747は、
図7Aに示される液体水素担体チャネル711への液体水素担体111の流れを可能にする、弁749を含んでもよい。例となる実施形態では、弁745を閉じるように位置する(例えば、反応器枝管743の流れ方向に対して垂直に向けられた)ハンドル要素748によって、
図7Aに示されるように、弁745が閉じられ、液体水素担体111が水素ガス反応器120に入ることを阻止してもよい。例となる実施形態では、弁744が開かれ、チャネル747および枝管741を経由する、液体水素担体111の液体水素担体リザーバ701への流れをもたらしてもよい。
図7Bは、流入液体水素担体チャネル747が、液体水素担体リザーバ701に直接接続されたシステム710を図示する。このような構成では、弁745(
図7Bに示される)が、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間の流れを制御しうるため、弁744の存在を必要としない場合がある。例となる実施形態では、チャネル747および弁749は、液体水素担体タンク100から液体水素担体111を送達するように構成されてもよい。
【0051】
[077]例となる実施形態では、弁749と745とは、同時に開かれてもよく、同時に閉じられてもよい。加えて、弁745が閉じられている間に弁749が開かれてもよく、または弁745が開かれている間に弁749が閉じられてもよい。いくつかの実施形態では、弁749および745のうちの一方が部分的に開かれてもよく、弁749と745との両方が部分的に開かれてもよい。様々な実施形態では、弁744および745と同様に、弁749は、ユーザー11により、制御部(例えば、コンピューティングシステム15からの電気信号のような指示を受信する機械装置)によって、またはその組み合わせによって操作されるように構成されてもよい。例となる実施形態では、コンピューティングシステム15は、ユーザー11が、インターフェースシステム16を介して、弁749、744および745を制御することを可能にしてもよい。
【0052】
[078]様々な実施形態では、液体水素担体リザーバ701は、液体水素担体111を含有するように構成された筐体を含む。いくつかの実施形態では、液体水素担体111は、液体水素担体リザーバ701の筐体の体積全体を占めてもよく、いくつかの実施形態では、液体水素担体111は、液体水素担体リザーバ701の筐体を部分的に占めてもよい。液体水素担体111が液体水素担体リザーバ701の筐体の一部のみを占める場合、液体水素担体リザーバ701の筐体の別の部分は、ガス774によって占められてもよい。例となる実施形態では、ガス774は、水素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンのような不活性ガス、これらの組み合わせ、もしくは水素ガスと反応しない任意の他のガスであってもよい。
【0053】
[079]様々な実施形態では、水素ガス反応器120は、水素ガス反応器120内に位置付けられた液体水素担体111に浸漬されうる触媒121を含有する、筐体を含む。例えば、触媒121は、液体水素担体111によって湿潤化されうる表面を含む。様々な実施形態では、液体水素担体111が水素ガス反応器120の筐体の一部を占めてもよく、水素ガス反応器120の筐体の別の部分は、水素ガス773によって占められてもよい。触媒121が液体水素担体111と相互作用する場合、水素ガス反応器120内部の液体水素担体111から水素ガス773が抽出され、水素ガス反応器120内の圧力増加をもたらす。
図7Aに示される例となる実施形態では、弁741と745とが開かれている場合、液体水素担体リザーバ701中の圧力と水素ガス反応器120中の圧力との間の圧力差に応答して、液体水素担体111は、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間を流れることが可能になりうる。例えば、水素ガス反応器120中の圧力が、液体水素担体リザーバ701中の圧力よりも高い場合、液体水素担体111は、水素ガス反応器120からチャネル711を経由して、液体水素担体リザーバ701に流れうる。あるいは、水素ガス反応器120中の圧力が、液体水素担体リザーバ701中の圧力よりも低い場合、液体水素担体111は、水素担体リザーバ701からチャネル711を経由して、液体水素ガス反応器120に流れうる。様々な実施形態では、液体水素担体チャネル711を経由して、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間を液体水素担体111が流れる速度は、液体水素担体リザーバ701の圧力と水素ガス反応器120の圧力との間の圧力差に応答性であってもよい。例えば、圧力差の関数としての液体水素担体111の流れの速度は、ベルヌーイの式によって記述されうる。例となる実施形態では、正の圧力差(例えば、液体水素担体リザーバ701の圧力が、水素ガス反応器120の圧力よりも大きい)は、液体水素担体111の正の流量をもたらしうる(すなわち、液体水素担体111が水素ガス反応器120に流れ込む)一方、負の圧力差は、液体水素担体111の負の流量をもたらしうる(すなわち、液体水素担体111が水素ガス反応器120の外へ流れる)。
【0054】
[080]上に記載されるように、「自律調整システム」という用語は、本明細書において、様々な開示される実施形態を記載するために用いられうる。いくつかの場合では、例えば、「自律調整システム」という用語は、液体水素担体チャネル711によって接続された、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120とのシステム(
図7Aまたは7Bに示される)を記載するために用いられうる。下により詳細に示されるように、このような自律調整システムは、例えば、いくつかの場合では圧力差に応答して自動的に動作し、一定の要求を満たす速度で水素ガスを発生させるように、適当な量の液体水素担体を、触媒の適当な表面積に確実に接触させる。いくつかの場合では、下に論じられるように、水素の要求が増加し、反応器120から水素ガスが流れるにつれて、変化する水素ガスに対する要求を満たすために、液体水素担体と触媒との間の表面積接触レベルを増加させる(または少なくとも維持する)ため、反応器への液体水素担体(例えば、流量、合計体積等)が増加しうる。反応器からの水素ガスに対する要求が減少するにつれて、液体水素担体と触媒との間の表面積接触レベルが低減するように、液体水素担体(例えば、流量、合計体積等)が減少しうる。このような低減は、水素ガスの要求の低減に応答する、対応する水素ガス生成の低減を生じうる。
【0055】
[081]自律調整システムの一定の実施形態では、水素ガス反応器120における水素ガス773抽出の速度は、液体水素担体リザーバ701中のガスの圧力に対する、水素ガス反応器120中に位置付けられた水素ガス773の圧力、および水素ガス773抽出時の水素ガス反応器120中の液体水素担体111の体積に依存しうる。例えば、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間の圧力差が正である(すなわち、液体水素担体リザーバ701中の圧力が、水素ガス反応器120中の圧力よりも高い)場合、液体水素担体111は、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120に流れ込み、水素ガス反応器120内部により大きい体積の液体水素担体111をもたらす。水素ガス反応器120中の液体水素担体111の体積がより大きいことは、液体水素担体111によって湿潤化される触媒121の面積がより大きくなる(例えば、触媒121の液体水素担体111への曝露の増加をもたらす)ことに起因して、水素ガス抽出速度の上昇を生じうる。液体水素担体リザーバ701中の圧力に対する、水素ガス反応器120中の水素ガス773の圧力が増加するにつれて、液体水素担体111は、水素ガス反応器120から液体水素担体リザーバ701に流れうるが、これによって、水素ガス抽出のために利用可能な液体水素担体111の体積が低減する。液体水素担体111の体積の低減は、液体水素担体111によって湿潤化された触媒の面積の低減を生じうる(例えば、触媒121の液体水素担体111への曝露の減少を生じうる)が、これによって、次に水素ガス抽出速度の低減を生じる。水素ガス反応器120から液体水素担体111が流れるにつれて、水素ガス773の膨張に起因して、水素ガス反応器120中の圧力は減少しうる(水素ガス773の膨張は、水素ガス反応器120中の液体水素担体111の体積が低減するため、ガス773の利用可能な空間が増加することによるものである)。水素ガス反応器120から液体水素担体リザーバ701に液体水素担体111が流れるにつれて、液体水素担体リザーバ701中の圧力が増加し(液体水素担体111が液体水素担体リザーバ701に流れ込む際に、液体水素担体リザーバ701中に位置付けられたガスが圧縮を受けることに起因して)、液体水素担体リザーバ701中と水素ガス反応器120中との圧力の平衡をもたらしうる。
【0056】
[082]様々な実施形態では、記載されるシステム700の動作は、自律終了特性に起因する「自律調整」である。例えば、プロセスが制御(例えば、抽出された水素ガス773の一部を、水素ガス反応器120から除去することによって)されない場合、抽出速度は、(例えば、水素ガス反応器120中の圧力上昇に応答して)液体水素担体111を水素ガス反応器120の外に追いやることによって、ゼロに漸近して減少し続けるであろう。例となる実施形態では、システム700は、水素ガス反応器120中の水素ガス773の圧力が水素ガス反応器120についての最大圧力許容値(すなわち、水素ガス反応器120が破裂するまでに耐えうる最大圧力)よりも低い場合、液体水素担体111が触媒121の表面を湿潤化しないように、液体水素担体111を水素ガス反応器120から追いやるように構成されてもよい。
【0057】
[083]様々な実施形態では、システム700は、液体水素担体111から水素ガス773を抽出するために用いられ、外部負荷(例えば、燃料電池、燃焼機関等)のための燃料としてガス773を利用する。したがって、様々な実施形態では、水素ガス反応器120は、抽出された水素ガス773が水素ガス反応器120から流れる、水素ガス排出口752を含んでもよい。様々な実施形態では、水素ガス排出口752は、水素ガス排出口752を経由する水素ガス反応器120からの水素ガス773の流れを制御しうる、水素ガス排出弁751を含んでもよい。いくつかの実施形態では、燃料電池のような例示的な外部負荷を首尾よく操作するために、最小圧力が必要である。例えば、燃料電池は、数バールの圧力を必要としうる。このような最小圧力を得るため、水素ガス反応器120中の圧力が外部負荷によって必要とされる最小圧力を超える場合、または水素ガス反応器120中の圧力が、任意の好適な圧力値でありうる必要圧力値を超える場合、弁751は、水素ガス反応器120中の圧力を構築するため閉じた位置に維持されてもよく、水素ガス773を水素ガス反応器120の外に流すために開かれてもよい。
【0058】
[084]他の弁(例えば、744、745、および747)と同様に、弁751は、ユーザー11により、制御部(例えば、コンピューティングシステム15からの電気信号のような指示を受信する機械装置)またはその組み合わせによって操作されるように構成されてもよい。例となる実施形態では、コンピューティングシステム15は、ユーザー11が、インターフェースシステム16を介して、弁751の動作の態様を制御することを可能にしてもよい。
【0059】
[085]様々な実施形態では、水素ガス排出口752の流出の圧力753、水素ガス反応器120中の水素ガス773の圧力、および弁751の位置は、水素ガス排出口752を経由して水素ガス反応器120を出る水素ガスの流量764を決定するために用いられうる。圧力753は、ポンプによって制御されてもよく、周囲圧力(すなわち、環境中の圧力、または例示的な外部負荷内の圧力)に対応してもよい。様々な実施形態では、水素ガス排出口752を通る水素ガス流量764の増加に応答して、水素ガス反応器120内の圧力が、液体水素担体リザーバ701の圧力に対して減少しうるが、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120への液体水素担体111の流れを生じ、これによって、水素ガス反応器120内の液体水素担体111の体積の増加をもたらす。同様に、水素ガス排出口752を通る水素ガス流量764の減少に応答して、水素ガス反応器120内の圧力が、液体水素担体リザーバ701の圧力に対して増加しうるが、水素ガス反応器120から液体水素担体リザーバ701への液体水素担体111の流れを生じ、これによって、水素ガス反応器120内の液体水素担体111の体積の減少をもたらす。
【0060】
[086]液体水素担体リザーバ701の圧力の変化は、水素ガス反応器120に入る/出る液体水素担体111の流れを生じる1つの方法であるが、他の手法が用いられてもよいことに留意するべきである。例えば、液体水素担体111は、水素ガス排出口752を通る水素ガス流量764の増加/減少に応答して、ポンプを用いて、液体水素担体タンク100から/に流れてもよい。様々な実施形態では、ポンプはコンピューティングシステム15によって制御されてもよいが、一般に、液体水素担体タンク100と、ポンプと、コンピューティングシステム15との組み合わせが、水素ガス反応器120から/に液体水素担体111を流すための液体水素担体リザーバ701と同様の機能を可能にしてもよい。
【0061】
[087]
図7Aは、液体水素担体リザーバ701が圧力センサ734を有してもよく、水素ガス反応器120が圧力センサ754を有してもよいことを示す。これらの圧力センサによって測定される圧力データは、処理のためにコンピューティングシステム15に伝達されてもよい。例となる実施形態では、センサによって得られた圧力データは、ユーザーインターフェース16によって、ユーザー11のために表示されてもよい。いくつかの場合では、水素ガス773は、安全水素ガス導管758を経由し、安全弁759を用いて、水素ガス反応器120から放出されてもよい。例えば、水素ガス773は、水素ガス反応器120内の圧力が、最大許容圧力レベル等の閾値を上回る場合に放出されてもよい。様々な実施形態では、コンピューティングシステム15は、圧力センサ754から得たデータを用いて水素ガス反応器120内の圧力を評価し、弁759を開いて、閉じて、または部分的に開いて、水素ガス反応器120の外に水素ガス773を放出してもよい。様々な実施形態では、コンピューティングシステム15は、モータによって作動する機械的作動部のような制御部によって、弁759を制御してもよい。様々な実施形態では、システム700は、水素ガス773を水素ガス反応器120の外に、安全で制御された方法で放出するように構成されてもよい(例えば、水素ガスが酸素ガスと混合する場合に、制御できない燃焼の可能性を回避するために放出されてもよい)。例えば、水素ガスは、水素ガスタンクに貯蔵されてもよく、制御可能に燃やされ、または消費されてもよい。
【0062】
[088]
図7Aは、液体水素担体リザーバ701が、液体水素担体リザーバ701に含有されるガスを放出するため、リザーバガス導管730、弁724、および枝管728を含んでもよいことを示す。例となる実施形態では、液体水素担体リザーバ701が窒素のような不活性ガスを含有する場合、そのガスは、大気または周囲環境に放出されてもよい。いくつかの実施形態では、液体水素担体リザーバ701が水素を含有する場合、システム700は、水素ガス反応器120について記載される水素放出と同様に、安全で制御された方法で水素を放出するように構成されてもよい。様々な実施形態では、液体水素担体リザーバ701からのガスの放出は、液体水素担体リザーバ701内の圧力を変化させるために実施されてもよい。例えば、圧力を低下させることは、液体水素担体111を、水素ガス反応器120から液体水素担体リザーバ701に流れ込ませ、水素ガス反応器120内の圧力の低減を生じうる。いくつかの実施形態では、液体水素担体リザーバ701が水素ガスを含有する場合、そのガスは、水素ガス貯蔵タンクに流れ込んでもよい。加えて、または代わりに、液体水素担体リザーバ701からの水素ガスは、外部負荷のための電力源として用いられてもよい。
【0063】
[089]いくつかの実施形態では、弁722および枝管726は、ガスを液体水素担体リザーバ701に流し込むために用いられてもよい。例えば、枝管726は、不活性ガスを液体水素担体リザーバ701に流し込み、液体水素担体リザーバ701内の圧力を増加させるために用いられてもよい。このような圧力上昇は、液体水素担体111を、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120に流れさせ、水素ガス反応器120内の圧力の増加を生じうる。このような圧力増加は、水素ガス排出口752を通って水素ガス反応器120から流れる水素ガス流量764を制御することを支援する。2つのガス弁722と724とが
図7Aに示されるが、液体水素担体リザーバ701は、より多くのガス弁を有してもよく、より少ないガス弁を有してもよいことに留意するべきである。例えば、ガス弁724が存在しなくてもよく、ガス弁722が、対応する枝管728を経由して、液体水素担体リザーバ701の中に、およびその外にガスを流すために用いられてもよい。
【0064】
[090]
図7Aおよび7Bに示される様々な実施形態では、異なる種類の弁が用いられてもよい。例えば、
図7Aに示される液体水素担体弁741、745、および749は、流れを停止する、流れを開始する、または流れを調整するために設計された、ゲート弁、グローブ弁、プラグ弁、およびボール弁等を含んでもよい。いくつかの実施形態では、弁741および745は、両方向への液体水素担体111の流れを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、弁749は、一方向(例えば、液体水素担体リザーバ701および/または水素ガス反応器120に向かう方向)への流れを可能にしてもよく、いくつかの実施形態では、弁749は全方向への流れを可能にしてもよい。弁722、724、751、および759のようなガス弁は、液体水素担体リザーバ701および水素ガス反応器120を出入りするガスの流れを制御するように構成される。例となる実施形態では、弁724および759は、圧力逃し弁のような安全弁であってもよい。弁751は、水素ガス773を水素ガス反応器120の外に流すように構成された逆止弁であってもよい。いくつかの実施形態では、弁722としては、ゲート弁、グローブ弁、プラグ弁、ボール弁、または逆止弁が挙げられうる。
【0065】
[091]
図8は、液体水素担体リザーバ701および水素ガス反応器120を含み、ガス接続チャネル(ガス接続チャネル)810およびガス接続チャネル弁820をさらに含む、説明のためのシステム800を示す。ガス接続チャネル810は、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間で圧力を等しくするために用いられうる。例えば、液体水素担体111が触媒121に接触した際に、液体水素担体111による水素ガス773の放出に起因して水素ガス反応器120内の圧力が上昇した場合、ガス接続チャネル810は、水素ガス反応器120から液体水素担体リザーバ701に水素ガス773を流して、液体水素担体リザーバ701中と水素ガス反応器120中とのガス圧力を等しくするように構成されてもよい。様々な実施形態では、ガス接続チャネル弁820は、システム700の起動中(すなわち、システム800が液体水素担体111から水素ガス773を抽出するプロセスを開始するとき)には開いていてもよく、水素ガス反応器120中と液体水素担体リザーバ701中との圧力が所望の目標値(運転圧力とも呼ばれる)を達成した時点で、ガス接続チャネル弁820が閉じられてもよい。様々な実施形態では、ガス接続チャネル弁820は、水素ガス反応器120から液体水素担体リザーバ701への水素ガスの流れを可能にする逆止弁を含んでもよい。様々な実施形態では、水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との両方は、水素ガス反応器120内および液体水素担体リザーバ701内に含有される水素ガスと、環境ガスが相互作用することを阻止するために、気密封止されてもよい。
【0066】
[092]様々な実施形態では、コンピューティングシステム15は、液体水素担体リザーバ701内および水素ガス反応器120内の圧力を監視し(例えば、センサ734および754によって得た圧力データを監視することによって)、弁820、751、722、724、および759を開くことおよび閉じること(または部分的に開くこと)を制御して、水素ガス反応器120内の圧力および液体水素担体リザーバ701内の圧力を制御するように構成されてもよい。例となる実施形態では、コンピューティングシステム15は、ユーザーインターフェース16を介してユーザー11から指示を受信し、1つまたは複数の弁(例えば、弁820、751、722、724、および759)を開くことまたは閉じることによって、水素ガス反応器120内の圧力および液体水素担体リザーバ701内の圧力を調整してもよい。システム800は、制御部(例えば、弁を開く、および閉じるためのモータ)を用いて、弁を開く、および閉じるように構成されてもよい。加えて、または代わりに、コンピューティングシステム15は、液体水素担体111からの水素ガス抽出の様々な段階中に、弁を閉じて、および開いて、水素ガス反応器120および液体水素担体リザーバ701中の目標圧力に調和させるように構成されてもよい。例えば、コンピューティングシステム15は、上に記載されるように、システム800の起動中に弁820を開閉して、水素ガス反応器120中および液体水素担体リザーバ701中の運転圧力を確立するように構成されてもよい。本明細書で言及される場合、別段の注記がない限り、「運転圧力」という用語は、システム700の開始圧力(例えば、起動プロセス中の一定時点におけるシステム700の圧力)を指しうる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム15は、センサ734および754から得た圧力データを受信し、水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との間の圧力差に応答して弁820を開く、または閉じるように構成されてもよい。例えば、水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との間の圧力差が、圧力差の閾値を上回るとコンピューティングシステム15が判定した場合、システム15は、弁820を開いて、水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との間の圧力差を低減するように、または水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との間で圧力を等しくするように構成されてもよい。
【0067】
[093]
図7Aから
図8に示される実施形態は、1つの液体水素担体リザーバ701に接続された1つの水素ガス反応器120を記載しているが、他の構成も可能である。例えば、複数の液体水素担体リザーバが、対応する液体水素担体チャネルを介して1つの水素ガス反応器に接続されてもよく、または複数の水素ガス反応器が、対応する液体水素担体チャネルを介して、1つの液体水素担体リザーバに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の水素ガス反応器と複数の液体水素担体リザーバとが、対応する液体水素担体チャネルのネットワークを通じて接続されてもよく、いくつかの実施形態では、複数の水素ガス反応器と複数の液体水素担体リザーバとが、複数の液体水素担体リザーバと複数の水素ガス反応器との間で圧力を等しくするように構成された、対応するガス接続チャネルのネットワークを通じて接続されてもよい。加えて、または代わりに、複数の液体水素担体リザーバ同士が、対応する液体水素担体チャネルを介して互いに接続されてもよく、いくつかの場合では、複数の液体水素担体リザーバ同士が、液体水素担体リザーバ同士の間でガスを流すように構成されたガス接続チャネルを介して、互いに接続されてもよい。加えて、または代わりに、複数の水素ガス反応器同士が、対応する液体水素担体チャネルを介して互いに接続されてもよく、いくつかの場合では、複数の水素ガス反応器同士が、接続された水素ガス反応器同士の間でガスを流すように構成された対応するガス接続チャネルを介して、互いに接続されてもよい。
【0068】
[094]
図9Aは、システム700に対していくつかの点で異なる、システム900の例となる実施形態を示す。システム900の例となる実施形態では、液体水素担体リザーバ701は水素ガス反応器120に対して、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120への液体水素担体111の流れが、重力によって促進される位置にある。例えば、液体水素担体リザーバ701は、水素ガス反応器120の上に位置してもよい。
図9Aに示される例となる実施形態では、液体水素担体チャネル711は、
図7Bに示される構成と同様に、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120とを接続しうるが、垂直セクションを含有してもよい。同様に、ガス接続チャネル810は、垂直セクションを含有してもよく、先に記載されるように、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間の圧力を制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、起動中、システム700は、少なくとも部分的には高さおよび重力の効果に起因して、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120に、液体水素担体111を流すように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、液体水素担体リザーバ701中および水素ガス反応器120中で運転圧力が確立された後、圧力水頭(例えば、液体水素担体111の単位体積の重量当たりの、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間の圧力差)は、水素ガス反応器120の上に位置する液体水素担体リザーバ701の高さによって生じる重力の効果と均衡するように選択されてもよい。
図9Bは、システム700の変形形態である、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120とが、単一構造システム910に組み込まれてもよい、
図9Aに示される実施形態の設計のバージョンを示す。例えば、上部セクション903は、液体水素担体リザーバを含んでもよく(本明細書ではこの実施形態について、液体水素担体リザーバ903と呼ばれる)、底部セクション905は、水素ガス反応器を含んでもよい(本明細書ではこの実施形態について、水素ガス反応器905と呼ばれる)。単一構造システム910は、液体水素担体チャネル711、システム700の様々な弁、ならびにガス接続チャネル810、水素ガス排出口752、触媒121、液体水素担体111、ならびに圧力センサ734および754のような、システム700の要素のすべてを含んでもよいことに留意するべきである。
【0069】
[095]
図10は、システム700の設計に対していくつかの点で異なるシステム1000を示す。
図10に示されるように、液体水素担体リザーバ701は、
図7Aおよび7Bに示される液体水素担体チャネルと同様に、第1の液体水素担体チャネル1011および第2の液体水素担体チャネル711を介して、水素ガス反応器120と接続される(したがって、第2の液体水素担体チャネル711と呼ばれる)。様々な実施形態では、第1の液体水素担体チャネル1011は、重力によって、液体水素担体リザーバ701から液体水素担体111を流すように構成されてもよい。様々な実施形態では、チャネル1011の流入口は、液体水素担体リザーバ701中の液体水素担体111内に位置付けられてもよく、チャネル1011の流出口は、ガスを含有する水素ガス反応器120の領域内に配置されてもよい。様々な実施形態では、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120への液体水素担体111の流れは、弁1013が開かれた場合には、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120への液体水素担体111の流れを可能にし、弁1013が閉じられた場合には、このような流れを阻止するようにして、弁1013によって制御されてもよい。様々な実施形態では、液体水素担体111が水素ガス反応器120に確実に流れ込むように、システム1000の起動中にチャネル1011が用いられてもよい(いくつかの場合には、チャネル1011の流出を、ガスを含有する水素ガス反応器120の領域内に位置させることは、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120に、液体水素担体111のすべてが流れることを確実にしうる)。
【0070】
[096]
図9Bに示されるシステム910のガス接続チャネル810と同様に、システム1000は、弁1020によって制御されるガス接続チャネル1010を含んでもよい。水素ガス反応器120および液体水素担体リザーバ701を形成する各筐体内にガス接続チャネル1010を経路設定することは、システム1000からのガス漏れを阻止するための追加の対策を提供しうる。例えば、ガス接続チャネル1010が水素ガス反応器120内または液体水素担体リザーバ701内に経路設定される場合、ガス接続チャネル1010の漏れは、水素ガス反応器120の封止された筐体または液体水素担体リザーバ701へのガス漏れをもたらしうる。システム1000に示される様々な他の要素は、システム700の対応する要素と同じまたは同様であってよい。
【0071】
[097]様々な実施形態では、システム700(ならびに関連するシステム710、800、900、910、および1000)は、使用済液体水素担体112の処分を必要としてもよい(例えば、水素ガス773の大部分またはすべてが、液体水素担体111から抽出された場合)。
図11は、
図7Aに示されるシステム700と同様の、システム1100の説明のための実施形態を示す。システム1100は、液体水素担体チャネル711を介して水素ガス反応器120に接続された、液体水素担体リザーバ701を含んでもよい。さらに、システム1100は、液体水素担体111のためのチャンバ101と、使用済液体水素担体112のためのチャンバ102とを有する液体水素担体タンク100を含んでもよい。
図11に示される例となる実施形態では、チャンバ102は、使用済液体水素担体112がチャンバ102に流れ込む場合に膨張しうる、収縮可能な袋であってもよい。様々な実施形態では、液体水素担体タンク100は、水素ガス反応器120から液体水素担体タンク100のチャンバ102に、使用済液体水素担体112を運ぶように構成された使用済液体水素担体導管1115を介して水素ガス反応器120に接続されてもよい。様々な実施形態では、使用済液体水素担体導管1115は、水素ガス反応器120とチャンバ102との間の使用済液体水素担体112の流れを開閉するように構成された、使用済液体水素担体導管弁1120を含む。様々な実施形態では、システム1100は、観測される水素ガス反応器120中の圧力に有意な変化がない場合、かつ水素ガス排出弁751が閉じている場合、水素ガス反応器120から液体水素担体タンク100のチャンバ102に、使用済液体水素担体112を流し込むように構成されてもよい。例えば、水素ガス反応器120からの水素ガス773の流れがない場合、水素ガス反応器120で抽出することができる水素ガスを液体水素担体111が含有していれば、水素ガス反応器120中の圧力は増加しうる。したがって、水素ガス反応器120中の圧力が増加していない(例えば、水素ガス反応器120中の圧力の変化の速度が、任意の好適な値であってよい閾値を下回る)場合、液体水素担体111および液体水素担体112は使用済でありうる。例となる実施形態では、水素ガス反応器120からの使用済液体水素担体112の除去中、弁745が閉じられ、かつ弁1120が開かれ、水素ガス反応器120からチャンバ102への使用済液体水素担体112の流れが促進されてもよい。例となる実施形態では、弁749と744とが開かれ、チャネル747および枝管741を経由する、液体水素担体タンク100のチャンバ101から液体水素担体リザーバ701への液体水素担体111の流れを可能にしてもよい。水素ガス反応器120から、使用済液体水素担体112のすべてを除去することが必要ではないかもしれないことに留意するべきである。例えば、水素ガス反応器120から使用済液体水素担体112を除去することによって、水素ガス反応器120中の水素ガスが膨張して、水素ガス反応器120中の圧力の低減を生じうる。さらに、水素ガス反応器120から使用済液体水素担体112の体積全体を除去することは、使用済液体水素担体導管1115を経由する、チャンバ102の中への水素ガスの流れを生じる。様々な実施形態では、例えば、チャンバ102中に存在しうる酸素ガスに水素ガスを曝露することを回避するため、使用済液体水素担体112のうちのいくらかの部分を、水素ガス反応器120内に維持することによって、水素ガスがチャンバ102に流れ込むことが阻止されうる。
【0072】
[098]十分な量の使用済液体水素担体112が、水素ガス反応器120から除去される場合、弁1120と弁749とが閉じられ、かつ弁744と745とが開かれ、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120への液体水素担体111の流れをもたらし、液体水素担体111が触媒121と相互作用することに起因して(例えば、上に記載されるプロセスによって)、水素ガス反応器120中に水素ガスを発生させうる。
【0073】
[099]様々な実施形態では、システム700の熱管理は、構成要素の中でも特に、水素ガス反応器120および液体水素担体リザーバ701を冷却することを含んでもよい。水素ガス反応器120内および液体水素担体リザーバ701内の目標温度値を維持するため、水素ガス反応器および液体水素担体リザーバの温度センサがそれぞれ、水素ガス反応器120中および/または液体水素担体リザーバ701中の温度を測定するために用いられてもよい。様々な実施形態では、測定された温度に関係するデータがコンピューティングシステム15に伝達されてもよく、コンピューティングシステム15は、水素ガス反応器120中および/または液体水素担体リザーバ701中の測定された温度値を、それぞれの目標温度値と比較してもよい。様々な実施形態では、水素ガス反応器120および/または液体水素担体リザーバ701の観測温度(それぞれの温度センサによって報告される)が、目標温度よりも高い場合、コンピューティングシステム15は、水素ガス反応器120および/または液体水素担体リザーバ701についての冷却速度を調整して、水素ガス反応器120(または液体水素担体リザーバ701)の観測温度と、水素ガス反応器120(または液体水素担体リザーバ701)についての目標温度値との間の差を低減してもよい。例となる実施形態では、コンピューティングシステム15は、水素ガス反応器120および液体水素担体リザーバ701から熱を除去するように設計された液体冷却システムを制御してもよい。例となる実施形態では、コンピューティングシステム15は、液体の流れを制御するためのポンプを用いて、液体冷却システム(例えば、
図6に示される冷却水ジャケット625)中を循環する液体の流量を調整してもよい。様々な実施形態では、コンピューティングシステム15は、水素ガス反応器120中の温度を、摂氏40~110度の範囲内に維持するように構成されてもよい。しかしながら、システム700の運転圧力、外部負荷、用いる液体水素担体の種類に応じて、水素ガス反応器120についての目標温度の範囲が異なってもよいことに留意するべきである。さらに、液体冷却システムは、水素ガス反応器120および液体水素担体リザーバ701を冷却することにおいては効果的でありうるが、強制空気冷却、伝導冷却、または熱電冷却のような他の冷却システムが用いられてもよい。
【0074】
[0100]様々な実施形態では、システム700は、起動プロセス中と、液体水素担体111から水素を抽出するためのメイン運転サイクル中と、水素ガス反応器120から使用済液体水素担体112が抽出される補充プロセス中とで、各様に操作されてもよい。起動プロセスの様々な実施形態が最初に記載され、メイン運転サイクルの記載が続き、補充プロセスの記載がさらに続く。本明細書に定義される場合、別段の注記がない限り、「メイン運転サイクル」、「メインサイクル」、または「メインプロセス」という用語は、液体水素担体111からの水素ガスの抽出のプロセスを指す。メインサイクルの継続時間は、水素ガス反応器120を出る水素ガス773の流れの平均速度に依存し、ひいては、様々な外部負荷の水素ガス消費の要求事項に依存しうる。
【0075】
[0101]
図12A~12Eは、液体水素担体111が触媒121と相互作用することを用いて、水素ガス反応器120中で水素ガスを発生させるサイクルを起動するための様々な実施形態を記載する。
図12Aは、システム700を開始するためのプロセス1200Aを示す。プロセス1200Aのステップ1202において、システム700のすべての弁(例えば、液体水素担体弁749、744、745、およびガス弁722、724、751、759、820)が閉じられてもよく、システム700が加圧されてもよい。例えば、水素ガス反応器120、液体水素担体リザーバ701、ならびにシステム700の様々な導管およびチャネルは、加圧されてもよい(すなわち、水素ガス反応器120、液体水素担体リザーバ701、および様々なチャネル中の圧力は、周囲圧力よりも高くてもよく、環境ガスが、システム700の要素のいずれにも入らないことが確実となる)。様々な実施形態では、水素ガス反応器120中および液体水素担体リザーバ701中に、液体水素担体111および/または使用済液体水素担体112が存在しないことに起因して、システム700内の圧力が、液体水素担体111および/または使用済液体水素担体112がシステム中に存在する場合よりも低くてもよい。それでも、システム内の圧力は、周囲圧力よりも高くてもよい。様々な実施形態では、システム700内の圧力は、様々な外部負荷(例えば、燃料電池)のために、水素ガス排出口752を通ってシステム700を出ていく水素ガスについての圧力要求事項によって決定されても(例えば、圧力要求事項を考慮して確立されても)よい。いくつかの実施形態では、システム700内の圧力は、1~数百psiの範囲内であってもよい。
【0076】
[0102]
図7Aに示されるシステム700に適用されるプロセス1200Aのステップ1204において、弁749および弁744は開かれてもよく、一方、弁745は閉じられてもよい。ステップ1204において、システム700は、液体水素担体タンク100から、チャネル747および液体水素担体チャネル711の枝管741を経由して、液体水素担体リザーバ701に、液体水素担体111を流すように構成される。
図7Bに示されるシステム710にステップ1204が適用される場合、弁749は開かれてもよく、弁745は閉じられてもよい。この実施形態について、ステップ1204において、システム700は、液体水素担体タンク100からチャネル747を経由して、液体水素担体リザーバ701に液体水素担体111を流し、
図7Bに示される液体水素担体リザーバ701に直接流し込んでもよい。
【0077】
[0103]
図12Aに示されるプロセス1200Aのステップ1206において、システム700は、液体水素担体タンク100から液体水素担体リザーバ701に、液体水素担体111を供給することを停止してもよい。例えば、ステップ1206において、弁749が閉じられ、液体水素担体111の流れを終了させてもよい。このステップは、水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との間で、液体水素担体111を流すための、液体水素担体チャネル711を開くステップと組み合わせられてもよい。
図7Aに示されるシステム700については弁744と745とを開くこと、または
図7Bに示されるシステム710については弁745を開くことによって、液体水素担体チャネル711が開かれうる。液体水素担体111は、液体水素担体リザーバ701中の圧力が、水素ガス反応器120の圧力よりも高い場合、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120に流れうる。
図12Bに示されるプロセス1200Bに記載されるように、液体水素担体111を流すために液体水素担体チャネル711を開く前に、液体水素担体リザーバ701の圧力を、水素ガス反応器120よりも確実に高くするため、液体水素担体リザーバ701が加圧されてもよい。
【0078】
[0104]プロセス1200Bはプロセス1200Aと同様であり、
図12Bに示されるように、ステップ1206の前に、液体水素担体リザーバ701を加圧する追加のステップ1216を有する。プロセス1200Bのステップ1202、1204、および1206は、プロセス1200Aの対応するステップと同じであってもよい。ステップ1216において、弁749は閉じられ、したがって、液体水素担体リザーバ701からの液体水素担体111の流入/流出を阻止する。
図7Aに示される弁722は、ガス(例えば、水素ガスまたは不活性ガス)を液体水素担体リザーバ701に流し込むために開かれ、液体水素担体リザーバ701中の圧力を増加させうる。例となる実施形態では、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120との間の圧力差が、液体水素担体111を水素ガス反応器120に流し込むのに十分であることを確実にするため、弁722を経由して、ガスが液体水素担体リザーバ701に流れ込んでもよい。加えて、液体水素担体リザーバ701内の圧力が、水素ガス反応器120に流れ込む液体水素担体111の体積を制御してもよく、したがって、水素ガス反応器120から水素を抽出または供給する速度、および水素ガス反応器120中の水素ガスの圧力を制御してもよい。
【0079】
[0105]
図12Cは、プロセス1200Aおよびプロセス1200Bと同様であってもよい、起動プロセス1200Cの例となる実施形態を示す。例となる実施形態では、プロセス1200Cのステップ1202、1204、および1206は、プロセス1200Aの対応するステップと同じまたは同様であってもよい。ステップ1202の完了後、ステップ1226において、弁724が開かれ、液体水素担体リザーバ701中に含有されるガスの一部が、液体水素担体リザーバ701から除去されること、したがって、液体水素担体リザーバ701を排気することを可能にしてもよい。様々な実施形態では、ガスはガス貯蔵タンクに導かれてもよく、または、液体水素担体リザーバ701が水素ガスを含有する場合、外部負荷に給電するために水素ガスを用いることができる。システム700を排気することによって、液体水素担体タンク100から液体水素担体リザーバ701に液体水素担体111を流し込むために、より小さい力(例えば、ポンプからの)が必要とされうる。
【0080】
[0106]ステップ1228において、十分な量の液体水素担体111が液体水素担体リザーバ701に流れる場合、液体水素担体111の流れは、弁749を閉じることによって(および/または液体水素担体111を液体水素担体リザーバ701の中に押し込む役割を担うポンプを停止することによって)停止されうる。ステップ1228中、液体水素担体リザーバ701のさらなる排気を阻止するため、弁724が閉じられてもよい。プロセス1200Cのステップ1230は、プロセス1200Bのステップ1216と同様であってもよい。例えば、ステップ1230において、
図7Aに示される弁722が、ガス(例えば、水素ガスまたは不活性ガス)を液体水素担体リザーバ701に流し込むために開かれ、液体水素担体リザーバ701中の圧力を増加させてもよい。
【0081】
[0107]
図12Dに示されるプロセス1200Dは、
図12Cに示されるプロセス1200Cと同様であってもよい。例えば、プロセス1200Dの1202、1226、1204、1228、および130は、プロセス1200Cの対応するステップと同じまたは同様であってもよい。プロセス1200Dは、
図8に示されるシステム800のようなシステムに適用されうる。プロセス1200Dのステップ1236において、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120への液体水素担体111の流れを開始するため、弁722が閉じられてもよく、液体水素担体チャネル711が開かれてもよい。水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との間で圧力を等しくするために、ステップ1237において弁820が開かれてもよい。例となる実施形態では、ステップ1236の後いくらか遅れてステップ1237を行ってもよい。例えば、水素ガス反応器120内の液体水素担体111の量が、液体水素担体111についての閾値を上回る場合、ステップ1236の後にステップ1237を行ってもよい。弁820を開くことは、水素ガス反応器120から液体水素担体リザーバ701に、抽出された水素ガスが流れること、したがって、システム800内の圧力を等しくすることを可能にしうる。ステップ1238において、システム800での圧力がシステム800についての運転圧力に達した場合、弁820が閉じられてもよい。
【0082】
[0108]
図12Dに示されるプロセス1200Eは、
図12Aに示されるプロセス1200Aと同様であってもよい。プロセス1200Eは、
図10に示されるシステム1000のようなシステムを対象としうる。ステップ1202および1204はプロセス1200Aの対応するステップと同じであってもよく、同様であってもよい。ステップ1261において、流入液体水素担体チャネル747は閉じられてもよい(例えば、弁749を閉じることによって)。ステップ1263において、弁1020を開くことは、重力に起因する、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120への、液体水素担体111の流れを生じうる。ステップ1264では、弁1020が開かれ、圧力を等しくするための、水素ガス反応器120から液体水素担体リザーバ701への水素ガスの流れを可能にしうる。様々な実施形態では、所定の量の液体水素担体111が水素ガス反応器120に流れ込んだ場合、ステップ1265において、弁1020が閉じられてもよい。ステップ1266において、システム1000内の圧力が運転圧力に達した場合、弁1020が閉じられてもよく、ステップ1267において、液体水素担体チャネル711が開かれて、液体水素担体111が、水素ガス反応器120と液体水素担体リザーバ701との間を流れることを可能にしてもよい。
【0083】
[0109]
図13は、起動プロセス(1200A~1200E)、およびシステム700から1000を操作するためのメインサイクル1301を含むプロセス1300を示す。メインサイクル1301のステップ1311において、プロセス1300は、液体水素担体リザーバ701から水素ガス反応器120に液体水素担体111を流すことを含んでもよい。ステップ1313において、水素ガス反応器120中の液体水素担体111は、触媒121と相互作用して、液体水素担体111からの水素ガスの抽出をもたらしうる。ステップ1315において、水素ガス反応器120中の水素ガスの圧力が目標値に達した場合、水素ガスは、水素ガス排出口752を経由して水素ガス反応器120の外に放出され、したがって、水素ガス反応器120中の圧力を低減しうる。ステップ1317において、水素ガス反応器120中の圧力が液体水素担体リザーバ701の圧力以下である場合(ステップ1317、はい)、プロセス1300はステップ1311に戻ってもよい。あるいは、水素ガス反応器120中の圧力が、液体水素担体リザーバ701の圧力よりも大きい場合(ステップ1317、いいえ)、ステップ1319に記載されるように、液体水素担体111は、水素ガス反応器120から液体水素担体チャネル711を経由して、液体水素担体リザーバ701に流れ込みうる。ステップ1319の完了後、またはステップ1319を完了させながら、プロセス1300はステップ1313に戻ってもよい。
【0084】
[0110]様々な実施形態では、
図14のステップ1400は、システム700を開始し、液体水素担体111から水素を抽出し、使用済液体水素担体112を処分するために用いられてもよい。1200A~1200Eの起動において、システム700は、上に論じられたように、液体水素担体からの水素ガスの抽出を開始する。ステップ1301において、システム700は、上に論じられたように、メインサイクルを実行する。メインサイクルステップ1301は、水素ガス反応器120中の水素ガスの圧力の変化を、時間の関数として評価することが関与する、ステップ1401において終了されうる。例えば、水素ガス反応器120中の水素ガスの圧力が実質的に変化していない場合(例えば、1分、2分等のような目標時間間隔にわたって測定される場合、圧力の変化が、5パーセント未満、または10パーセント未満)(ステップ1401、はい)、プロセス1400はステップ1403に進んでもよく、使用済液体水素担体112は、例えば使用済液体水素担体導管1115を用いて、処分または放出されてもよい。使用済液体水素担体導管1115を経由する使用済液体水素担体112の放出は、使用済液体水素担体導管弁1120を開くことによって促進されてもよい。ステップ1401において、水素ガス反応器120中の水素ガスの圧力が、変化していると判定される場合(例えば、目標時間間隔にわたって測定される場合、圧力の変化が5パーセント超)(ステップ1401、いいえ)、プロセス1400はステップ1301に進み、メインサイクルを継続してもよい。
【0085】
[0111]上に記載されるプロセス1200Aから1400は説明のためのものに過ぎず、これらのプロセスの変形形態が可能であることに留意するべきである。例えば、プロセス1200Eでは、ステップ1266が除去されてもよく、プロセス1200Eでは、ステップ1230が除去されてもよく、ステップ1236が修正され、液体水素担体チャネルを開くことのみを含んでもよい。様々な場合において、異なるプロセスのステップ同士の組み合わせは、液体水素担体111からの水素抽出の様々な態様を制御するための実用的なプロセスを与えうる。
【0086】
[0112]いくつかの実施形態では、上に記載されるように、水素発生システムが、水素ガス反応器に対して固定された触媒を含んでもよい。このような実施形態では、水素発生は、触媒に接触することが可能な液体水素担体の量を変化させることによって(例えば、液体水素担体を水素ガス反応器の中に、またはその外に流して、固定された触媒に対する液体水素担体のレベルを変化させることによって)制御されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、触媒は、水素ガス反応器内で可動であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、下により詳細に論じられるように、液体水素担体に接触することができる触媒の表面積の量を制御するため、触媒は、水素ガス反応器内で動くように構成されてもよい。この運動は、生成する水素ガスの量および/または水素ガス生成の速度を制御するため、電子的に(例えば、センサ出力およびフィードバックループに基づいて)制御されてもよい。代わりに、または加えて、触媒と液体水素担体との間の相対的な動きをもたらすために、1つまたは複数の他の可動構成要素が、水素ガス反応器中に含まれてもよい。水素ガス反応器120は、触媒121および/または液体水素担体111を互いに対して動かして、水素抽出を調整するための作動装置を含んでもよい。
図15は、可動構成要素を有する水素ガス反応器120の例示的実施形態を示す。
図15に示されるように、水素ガス反応器120は、1つまたは複数のロッド1520によって触媒121に接続された作動装置1510を含んでもよい。作動装置1510は、ロッド1520を通じて、または任意の他の好適な機械的連結部を介して、触媒121の動きを生じるように構成されてもよい。作動装置はまた、触媒121液体水素担体との間の相対的な動きを生じるため、反応器120内で、ピストン、パドル、壁、ロータ等のような、他の構成要素を動かすように構成されてもよい。作動装置1510は、例えば、水素ガス反応器120内で、触媒121および/または液体水素担体111を動かすように構成されたモータを含んでもよい。作動装置1510は、触媒121と液体水素担体との間の相対的な動きを生じるため、回転または別の種類の運動を、水素ガス反応器120に関係する触媒または他の構成要素の所望の運動に転換するための、ギア、レバー、カム、打ち込みねじ、チェーン、ベルト、プーリー、またはラックおよびピニオン等のような機構をさらに含んでもよい。代わりに、または加えて、作動装置1510は、空気圧式作動部、液圧式作動部、電子式作動部、ソレノイド、ばね、または磁気ドライブ等を含んでもよい。
【0087】
[0113]いくつかの例示的実施形態では、水素ガス反応器120は、液体水素担体111および触媒121を保持するように構成された筐体を含んでもよい。液体水素担体111が水素ガス反応器120中に存在する場合、触媒121は、水素ガスを発生させるため、液体水素担体111の中に、およびその外に選択的に動かされてもよい。例えば、触媒が液体水素担体111中に、およびその外に動くにつれて、触媒121と液体水素担体111との間の接触表面積は、増加または減少しうる。したがって、液体水素担体からの水素ガスの抽出の速度は、触媒121と液体水素担体111との間の接触表面積が変化することに応答して、増加または減少しうる。いくつかの実施形態では、水素ガス反応器中に液体担体が存在する場合、触媒は、液体担体中およびその外を直線的に動くように構成されてもよい。例えば、触媒は垂直に動いてもよく、水素ガス反応器中で降下する場合、液体担体中に沈められてもよい。
図16は、液体水素担体中に、およびその外に選択的に動くように構成された触媒121を有する水素ガス反応器120を含む、例示的なシステム1600を示す。水素ガス反応器120は、液体水素担体を、水素ガス反応器中に、およびその外に送達するための導管、および水素ガスを、水素ガス反応器の外に流すための導管を含んでもよい。例えば、
図16に示されるように、水素ガス反応器120は、液体水素担体111を受け入れるための導入口1613、および使用済液体水素担体を追い出すための排出口1615を含んでもよい。水素ガス反応器120は、液体水素担体から抽出された水素ガスを追い出すための水素ガス排出口122をさらに含んでもよい。導入口1613、排出口1615および122は、
図16において例示的な構成においてのみ示され、様々な他の構成および/または位置が用いられてもよいことを理解されたい。
【0088】
[0114]いくつかの実施形態では、上に述べられるように、触媒121の運動を促進するために、ロッドまたは他の形態の機械的連結部が、触媒121に取り付けられてもよい。システムはまた、機械的連結部を介して触媒の動きを制御するように構成された、モータまたは他の装置を含んでもよい。例えば、上に記載される作動装置1510は、触媒の動きを制御するため、機械的連結部に接続してもよい。
図16は、触媒121に接続している例示的な連結部1610を示す。連結部1610は、液体水素担体111と接触するように、およびしないように、触媒121を動かすように構成されてもよい。
図16は、水素ガス反応器120の上部を通って垂直に伸びるロッドとして、連結部1610を示すが、様々な他の構成が用いられてもよい。例えば、機械的連結部は、水素ガス反応器120の底部または側面を通って、触媒121に接続するように構成されてもよい。連結部1610はまた、レバーアーム、ケーブル、チェーン、ローラー、または触媒121の動きを生じるのに好適な任意の他の装置のような、多様な他の機構を含んでもよい。いくつかの実施形態では、水素ガス反応器120は、封止部1611、または連結部1610と連携して反応器内の圧力を維持するための他の手段をさらに含んでもよい。
【0089】
[0115]水素ガス反応器120は、水素抽出プロセスの監視および/または制御を促進するため、1つまたは複数のセンサをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、水素ガス反応器120は、水素ガス反応器120に関係する圧力を表す出力を発生させるように構成された、圧力センサを含んでもよい。
図16に示されるように、例えば、圧力センサ1620は、水素ガス反応器120の内部圧力を検知または測定するように構成されてもよい。圧力センサ1620は、上に記載される圧力調整器144と同じであっても、同様であってもよい。
図16に示される圧力センサ1620の位置および構成は、例として提供されるに過ぎず、様々な他の構成および位置が用いられてもよい。水素抽出システムは、圧力センサ1620の出力に基づいて触媒の運動を生じるように構成された、制御システムをさらに含んでもよい。例えば、
図16に示されるように、制御システム1640は、圧力センサ1620と電子的に通信してもよい。圧力センサ1620は、測定された圧力値を表す信号を、制御システム1640に伝達するように構成されてもよい。このような通信は、有線接続を通じて行われてもよく、無線通信法(例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、RFID、NFC、RF、赤外線等)を介して伝達されてもよい。したがって、圧力センサ1620は、通信モジュール、または信号を伝達するための他の装置をさらに備えてもよい。圧力センサ1620はまた、
図16に示されるように、測定された圧力値のアナログまたはデジタルディスプレイのような、ローカルディスプレイを含んでもよい。
【0090】
[0116]制御システム1640はさらに、触媒121の動きを制御するように構成されてもよい。例えば、制御システム1640は、モータまたは作動装置1510のような作動部と通信、またはこれを制御するように構成されてもよく、触媒121(または水素ガス反応器120の任意の他の可動式構成要素)の所望の動きを生じるため、1つまたは複数の制御信号を送信してもよい。次いで、作動装置は、例えば、機械的連結部1610を通じて、触媒121の動きを生じてもよい。制御システムは、有線または無線通信法(例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、RFID、NFC、RF、赤外線等)を通じて、作動装置と通信するように構成されてもよい。したがって、制御システム1640はまた、通信構成要素、または様々な装置との通信を可能にする他の装置を含んでもよい。制御システム1640は、
図1に示されるように、コンピューティングシステム15と関係してもよい。
【0091】
[0117]いくつかの実施形態では、制御システム1640は、圧力センサの出力によって指示されるように、目標圧力値と水素ガス反応器に関係する圧力との間の差に基づいて、触媒の運動を制御する(例えば、フィードバックループ配列において)ように構成されてもよい。例えば、触媒121が液体水素担体111に配置される場合、抽出された水素ガスは、水素ガス反応器120内の圧力の増加をもたらしうる。制御システム1640は、圧力センサ1620から、水素ガス反応器120の内部圧力を示す信号を受信してもよい。制御システムは、次いで、測定された内部圧力が、所定の目標圧力値と異なることを判定しうる。応答して、制御システムは、水素ガス生成の量または速度を変化させることによって、目標圧力値と観測圧力値との間のこの差を低減および/または排除するために動作してもよい。例えば、制御システムは、水素抽出の速度を増加または減少させ、それによって、水素ガス反応器120内の圧力を増加または減少させるために、液体水素担体内またはその外のいずれかへのさらなる触媒121の動きを生じるため、制御信号を、例えば作動装置1510に伝達してもよい。
【0092】
[0118]所定の目標圧力は、多様な方法で確立されうる。例えば、システムのユーザーまたはオペレータは、例えば、
図1に示されるインターフェースシステム16を用いて、圧力を設定してもよい。目標圧力はまた、他の変数に基づいて、例えば、水素ガス反応器120内で測定された温度または水素について設定された要求に基づいて計算された値を含んでもよい。いくつかの例示的実施形態では、制御システム1640は、受信した信号に基づいて、例えば、圧力または他の値の変化の速度に基づいて計算された値に対して、触媒の動きを制御するように構成されてもよい。いくつかの場合では、目標圧力は、水素消費物(例えば、燃料電池等)の特定の種類またはサイズの仕様に見合うように確立されてもよい。
【0093】
[0119]代わりに、または加えて、水素抽出システムは、水素ガス反応器に関係する温度を表す出力を発生させるように構成された、温度センサを含んでもよい。
図16に示されるように、例えば、温度センサ1630は、水素ガス反応器120の内部温度を検知または測定するように構成されてもよい。温度センサ1630は、上に記載される熱電対センサ145と同様であってもよく、同じであってもよい。例えば、温度センサ1630は、サーモウェル、サーミスタ、測温抵抗体(RTD)、熱電対、半導体系温度センサ、または様々な他の装置を含んでもよい。さらに、
図16に示される温度センサ1630の位置および構成は、例として提供されるに過ぎず、様々な他の構成および/または位置が用いられてもよい。水素抽出システムは、温度センサの出力に応答して、水素ガス反応器の冷却をもたらすように構成された、制御システムをさらに含んでもよい。例えば、
図16に示されるように、制御システム1640は、温度センサ1630と電子的に通信するように構成されてもよい。あるいは、温度センサ1630と通信するため、別個の制御システムが用いられてもよい(例えば、圧力センサ1620と通信するために用いられる制御システムと同じ、または異なる)。制御システム1640は、多様な方法で、温度センサ1630の出力に基づいて、水素ガス反応器120の冷却を生じる。いくつかの実施形態では、制御システム1640は、例えば、冷却ジャケットを通る水、グリコール、またはいくつかの他の気体もしくは液体クーラントの流量を制御することによって、冷却ジャケット625を通じて、水素ガス反応器120を冷却してもよい。水素ガス反応器120に関係する冷却効果を発生させるための、様々な他の手段が用いられてもよい。
【0094】
[0120]いくつかの実施形態では、制御システム1640は、目標温度値と温度センサの出力によって指示される水素ガス反応器に関係する温度との間で感知された差に応答して、水素ガス反応器の冷却を生じるように構成されてもよい。例えば、水素ガス反応器120内の水素抽出プロセスは、熱を発生させ、水素ガス反応器120内の温度が上昇しうる。制御システム1640は、温度センサ1630から、水素ガス反応器120の内部温度を表す信号を受信してもよい。制御システムは、次いで、測定された内部温度値が、所定の目標温度値を超えることを判定しうる。応答して、制御システムは、反応器を冷却するために構成された、1つまたは複数の電子的に制御される構成要素に、制御信号を伝達してもよい。電子的に制御される構成要素は、例えば、上に記載される冷却ジャケットを通る水、グリコール、またはいくつかの他の気体もしくは液体クーラントの流量を増加させることによって、制御信号に応答してもよい。当然のことながら、任意の他の好適な、制御可能な冷却システムまたは冷却構成要素も、開示される実施形態と連携して用いられてもよい。所定の目標温度は、多様な方法で確立されうる。例えば、システムのユーザーまたはオペレータは、例えば、
図1に示されるインターフェースシステム16を用いて、温度を設定してもよい。目標温度はまた、自動的に設定されてもよく、他の変数に基づいて、例えば、水素ガス反応器120内で測定された圧力に基づいて計算されてもよい。
【0095】
[0121]いくつかの例示的実施形態では、触媒は、軸の周りを回転するように構成されてもよい。このような実施形態では、軸の周りの触媒の回転は、液体水素担体に曝露される触媒の表面積の量を、増加または減少させるように構成されてもよい。
図17は、軸の周りを回転するように構成された触媒121を含む、例示的な水素ガス反応器120を示す。軸は、水素ガス反応器120を通って伸びるシャフト1701に対応しうる。触媒121は、シャフト1701の回転が、反応器内の触媒121の回転、および液体水素担体111に対する触媒121の運動を生じるように、シャフトに結合されてもよい。システムは、触媒の回転を促進するための、1つまたは複数の機械的装置を含んでもよい。例えば、水素ガス反応器120は、回転可能にシャフト1701に結合した、1つまたは複数のベアリング1702をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、触媒121は、水素ガス反応器120に対して固定された位置にあってもよく、反応器と触媒との両方が回転して、触媒121と液体水素担体111との間の接触を生じてもよい。シャフト1701はさらに、モータまたは作動部(例えば、
図15に示される作動装置1510)と結合されてもよい。モータは、シャフト1701(または触媒121)の回転を直接生じてもよく、様々な他の構成要素(例えば、ギア、駆動シャフト、ベルト、ケーブル、チェーン、プーリー等)を通じて間接的に生じてもよい。
【0096】
[0122]
図17は、回転触媒の実施形態の様々な段階の動作1710、1720、1730、および1740を示す。初期段階1710では、触媒121は、触媒121の表面が液体水素担体111と接触していない位置でありうる。これは、水素ガス抽出が必要とされない、または水素ガス反応器120内の圧力の低減が所望されるシステムの状態に対応しうる。段階1720では、触媒121の一部は、回転して液体水素担体111に接触しうる。これは、液体水素担体111からの水素ガスの生成/抽出の増加を生じうる。段階1730では、触媒はさらに回転し、液体水素担体111に接触している触媒121の表面積が増加しうる。これは、水素ガス反応器120内の水素ガスの生成の、さらなる増加をもたらしうる。段階1740は、触媒の全体が沈んだ位置を表し、システムについての水素の最高抽出速度に対応しうる。段階1710、1720、1730、および1740は、例として提供されるに過ぎず、様々な中間段階または代替段階が用いられてもよいことを理解されたい。
【0097】
[0123]様々な開示される実施形態では、システムは、触媒121を回転させて、システムに関係する1つまたは複数の変数を制御または調整してもよい。例えば、触媒121は、水素ガス反応器120内の水素ガスの抽出速度を調整するために、回転させられうる。このような実施形態では、液体水素担体111と接触している表面積を増加または減少させるため、触媒121が回転させられてもよく、それによって、水素の抽出速度が増加または減少しうる。触媒121の回転はまた、水素ガス反応器120の内部圧力のような、他の値に基づいて制御されてもよい。例えば、制御システム1640は、上に記載されるように、1620から受信した、水素ガス反応器120に関係する測定圧力を表す信号に基づいて、液体水素担体111と接触して、および離れて、触媒121を回転させるための信号を、モータまたは作動部に送信してもよい。
【0098】
[0124]いくつかの実施形態では、本開示による水素抽出システムは、触媒に対して液体水素担体を動かすように構成されてもよい。例えば、システムは、筐体と、筐体内に配置された触媒と、液体水素担体に曝露される触媒の表面積を変化させるために、触媒に対して液体水素担体を選択的に動かすように構成された、少なくとも1つの可動式要素とを含む水素ガス反応器を含んでもよい。上に述べられるように、水素の抽出を制御または調整するため、システムは、液体水素担体または触媒の一方または両方を動かすように構成されてもよい。
【0099】
[0125]
図18は、触媒121に対して液体水素担体111を動かすための可動式要素を有する、例示的なシステム1800を示す。
図18に示されるように、可動式要素は、一方の面が液体水素担体111と隣接または接触している、ピストン1801を含んでもよい。ピストン1801は、ピストン1801の運動が、水素ガス反応器120内の液体水素担体111を動かすように構成されてもよい。例えば、ピストン1801の運動は、液体水素担体111を含有する水素ガス反応器120の一部の体積を低減して、触媒121を液体水素担体111に接触させてもよい。システム1800は、駆動力を転換し、ピストン1801を動かすために、ピストン1801に固定されたピストンシャフト1810をさらに含んでもよい。システム1800は、ピストン1801を動かすためのモータまたは作動部をさらに含んでもよい。例えば、ピストンシャフト1810は、反応器内でピストン1801の直線的な動きを提供するように構成された作動装置(例えば、作動装置1510)に接続されてもよい。ピストン1801の動きは、限定するものではないが、モータ、空気圧式作動部、液圧式作動部、電子式作動部、ソレノイド、ばね、または磁気ドライブ等を含む様々な方法によって提供されうる。システム1800は、触媒を、水素ガス反応器120に対して固定された位置に保持するための機械的連結部1815をさらに含んでもよい。システム1600、または上に記載される様々な他の実施形態と同様に、水素ガス反応器120は、液体担体導入口1813、使用済担体排出口1816、および水素ガス排出口122を含んでもよい。
【0100】
[0126]
図18は垂直方向に動くピストン1801を示すが、液体担体を動かすための様々な他の構成が提供されてもよいことを理解されたい。例えば、ピストン1801は、水平方向に動き、水素ガス反応器120中の体積を低減し、触媒121に接触するように液体担体の液体水位を上昇させることができる。さらに、
図18ではピストン1801は円筒形ピストンとして示されるが、可動式要素はまた、反応器の構成に基づいて、正方形、長方形、または様々な他の形状であってもよい。可動式要素はまた、湾曲した経路または別の非直線的経路等において、回転して動くように構成されてもよい。例えば、可動式要素は、回転式パドル、膨張式もしくは折りたたみ式袋、または触媒に対する液体水素担体の動きを生じることができる任意の他の装置を含んでもよい。
【0101】
[0127]いくつかの実施形態では、システム1800は、ピストン1801の動作を促進するための様々な他の構成要素を含んでもよい。例えば、
図18に示されるように、システム1800は、ピストン封止部1852、およびピストンガイド封止部(またはウェア/ガイドリング)1851を含んでもよい。ピストン封止部1852は、水素ガス反応器120の内表面との封止部の接触を維持するように構成されてもよい。ピストン封止部1852は、ピストン1801と反応器の内表面との間に浸出する液体水素担体111の量を、最小化または排除しうる。ピストン封止部1852は、内部の円筒表面との封止部の接触を維持するため、付勢部またはスライドリング等のような、様々な構成要素を含んでもよい。ピストンガイドリング1851は、水素ガス反応器120内でピストン1801を案内するように構成されてもよく、ピストン1801と水素ガス反応器120の内表面との間の直接接触を阻止しうる。ピストンガイドリング1851は、
図18では斜視図によって示されるが、様々な他の設計または構成が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、ピストンガイドリング1851とピストン封止部1852とは、単一の構成要素に一体化されてもよい。システム1800は、ピストンシャフト1810と水素ガス反応器120の外側との間の封止接触を維持するため、ピストンシャフト封止部1811をさらに含んでもよい。
【0102】
[0128]システム1800は、ピストン1801を動かして、水素ガス反応器120内の水素の抽出を制御または調整するように構成されてもよい。ピストン1801が上方向に垂直に動く(
図18に示される実施形態に基づいて)につれて、液体水素担体111が動いて触媒121と接触しうる。したがって、触媒と液体担体111との間の表面積が増加することによって、反応器内の水素の抽出速度が上昇しうる。液体水素担体111の運動は、様々な手段によって制御されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、可動式要素(例えば、ピストン)の動きは、
図18に示される可動式要素の面1861(第1の面とも呼ばれる)における圧力と、可動式要素の面1863(第2の面とも呼ばれる)における圧力との間の圧力差によって発動されてもよい。例となる実施形態では、可動式要素の第1の面は、
図18に示されるように、液体水素担体111に隣接する面であってもよい。様々な実施形態では、液体水素担体111は、液体水素担体反応器120に入り、触媒121と相互作用しうる。水素ガスが生成されるにつれて、反応器内の圧力が増加し、ピストン1801を降下させる。したがって、液体水素担体111と接触している触媒121の表面積が減少し、ガス抽出速度を減少させうる。反応器から水素ガスが放出されるにつれて、圧力が減少し、ピストンを上昇させて、液体水素担体111に接触している触媒121の表面積が増加し、サイクルを再開始させうる。
【0103】
[0129]いくつかの実施形態では、ピストンの第1の側とピストンの第2の側との間の圧力差だけで、ピストンを動かすのに十分であってよい。例えば、ピストン1801は、反応器120内で自由に動いてもよく、ピストンの両側の圧力較差は、ピストン1801を上または下に動かしうる。いくつかの実施形態では、ピストンの両側の圧力較差は、導管1865を経由して、1863の側に/からガスを流すことによって制御されてもよい。他の実施形態では、可動式要素は、機械的制御部の影響下で動くように構成されてもよい。例えば、上に記載されるように、可動式装置を駆動するために、モータまたは作動部が用いられてもよい。いくつかの場合では、機械的制御部は、ピストンシャフト1810のような、モータ駆動される機械的連結部を含んでもよい。このような実施形態では、システム1800は、可動式要素の制御を促進するため、1つまたは複数の圧力センサ1820および1821をさらに含んでもよい。例えば、システム1800は、水素ガス反応器120中の圧力を測定および/または検知するように構成された、圧力センサ1820を含んでもよい。圧力センサ1820は、圧力センサ1620および制御システム1640を参照して上に記載されるように、制御システム1840と通信するように構成されてもよい。制御システム1840はまた、上に記載されるように、制御行動を表す信号を提供し、ピストンの運動を生じるように構成されてもよい。一定の実施形態では、システム1800は、圧力センサ1820からピストンの反対側に位置する、圧力センサ1821をさらに含んでもよい。したがって、制御システム1840はまた、ピストン1801の第1の側と第2の側との間で検知された圧力差に基づいて、ピストン1801の運動を制御してもよい。
【0104】
[0130]他の実施形態では、
図19に示されるように、可動式要素は、ばねの影響下で動くように構成されてもよい。例えば、上に記載されるように、触媒121が液体水素担体111と相互作用するにつれて、水素ガス反応器120内の圧力が増加(または減少)してもよく、したがって、ピストン1801に作用する力も増加(または減少)しうる。ピストンに作用する力は、ばねを収縮または展開させ、ピストンが下降または上昇することを可能にしうる。反応器から水素ガスが放出され、圧力が減少するにつれて、ばねがピストンを上に押し戻し、液体水素担体に接触している触媒の表面積を増加させうる。
図19は、ばね1910を含む例示的なシステム1900を示す。ばね1910は圧縮ばねとして示されるが、ピストンの構成に応じて、伸長ばね、ねじりばね、または定荷重ばね等のような、様々な他の形態のばねが用いられてもよい。任意の好適なばね定数kのばねが、特定の用途の要求事項の観点で選択されてもよい。ピストンに力を提供するため、空気圧式ピストン、液圧式ピストン、磁石、または圧縮性もしくは延伸性材料(例えば、ゴム等)等のような、様々な他の構成要素が用いられてもよい。
【0105】
[0131]いくつかの実施形態では、液体水素担体に対する触媒121の動きは、コンピューティングシステム15によって制御されてもよい。液体水素担体に対する触媒121の動きは、任意の適当な関数によって記載されうる。例となる実施形態では、触媒121は、液体水素担体に対する周期的な動きを実行してもよい。例えば、
図20は、液体水素担体に周期的に接触する触媒121を示す(すなわち、触媒121の表面の少なくとも一部が、液体水素担体によって湿潤化されている)。
【0106】
[0132]様々な実施形態では、触媒121と液体水素担体との間の接触面積の増加に続く、液体水素担体からの水素ガスの抽出の増加に関係する待ち時間があってもよい。本明細書に定義される場合、「待ち時間」という用語は、液体水素担体が、触媒121の表面と接触して配置される場合に、最大水素ガス抽出速度を得るために必要となる時間間隔(所与の湿潤化面積について)を指しうる。例えば、触媒121が液体水素担体中に浸漬される場合、最大抽出速度値(触媒の特定の湿潤化面積について)に達するまで、水素ガス抽出速度は経時的に増加しうる。待ち時間は、このような最大速度値に達するまでにかかる時間である。
【0107】
[0133]待ち時間は、液体水素担体に対する触媒121の動きの速度を決定するために用いられてもよい、特徴的な時間の長さの尺度に関係しうる。例えば、触媒121が急速に、浸漬され、液体水素担体から引き抜かれる場合(ここでは、急速にとは、動きの継続時間が待ち時間よりも短いことを示唆する)、実質的な水素ガスの抽出はない場合がある。例となる実施形態では、触媒121の液体水素担体への周期的な浸漬、それに続く触媒121の液体水素担体からの引き抜きは、このような周期的な動きの継続時間に基づいて、水素ガスの抽出速度を決定しうる。例えば、
図21Aは、液体水素担体に対して動く触媒についての、時間依存周期関数の例示的なプロット2106を示す。対応する水素ガスの抽出速度は、例示的なプロット2104によって示され、平均抽出速度R1は点線によって示される。
図21Bは、液体水素担体に対して動く触媒についての、時間依存周期関数の例示的なプロット2110を示す。対応する水素ガスの抽出速度は、例示的なプロット2108によって示され、平均抽出速度R2は点線によって示される。例となる実施形態では、プロット2110によって記述される周期的な動きの頻度は、プロット2106によって記述される周期的な動きの頻度よりも高く、速度R1よりも小さい速度R2をもたらす場合がある。周期的な動きは説明のためのものに過ぎず、任意の他の好適な、時間の関数としての触媒の動きが用いられてもよいことに留意するべきである。加えて、または代わりに、触媒121と液体水素担体111との両方が動かされてもよい(例えば、液体水素担体が、ピストン1801を用いて動かされてもよい)。
【0108】
[0134]
図22は、液体水素担体を用いて、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出するための例示的なプロセス2200を示す。プロセス2200は、例えば、上に記載されるシステム1600または1800を用いて実行されてもよい。ステップ2210において、プロセス2200は、反応器からの水素ガス流量の変化を要求する指示を受信するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、指示は、システムによって受信される電子的指標として受信されてもよい。例えば、システムのユーザー、またはシステムによって給電される装置(例えば、燃料電池130によって給電される装置)のユーザーは、水素ガスの流量を増加または減少させる必要性に基づいて、指標を伝達してもよい。例えば、ユーザー11(
図1)は、ユーザーインターフェース16を通じて指標を提供してもよく、ユーザーインターフェースは、システムによって給電される装置、モバイルフォン、または別の携帯用端末等に関係する。いくつかの実施形態では、指標は、例えばシステムによって給電される装置から、自動的に伝達されてもよい。例えば、指標は、装置の電力についての増加した要求に基づいて伝達されてもよく、したがって、水素の流量における増加した要求を指示しうる。他の実施形態では、指示は、水素ガス反応器120中、または任意の他の関連する構成要素もしくはシステム(例えば、水素発生システムによって給電される燃料電池、1つまたは複数の水素導管等)中の圧力または圧力の変化の速度のような、他の変数に基づいてもよい。
【0109】
[0135]プロセス2200のステップ2220において、水素ガス流量の変化を要求する指示に基づいて、触媒と液体水素担体との間の相対的な動きを生じさせて、液体水素担体に接触される触媒の表面積を変化させてもよい。いくつかの実施形態では、ステップ2220は、液体水素担体中に、および/またはその外に、触媒を直線的に動かすステップを含んでもよい。例えば、システム1600においては、触媒121を、水素ガス反応器120内で上昇または下降させて、液体水素担体111に接触される触媒121の表面積を変化させてもよい。触媒はまた、例えば
図17に示されるように、液体水素担体111と接触して、または離れて回転してもよい。液体水素担体111はまた、水素ガス流量を変化させる要求の指示に基づいて動かされてもよい。したがって、ステップ2220において、相対的な動きを生じさせるステップは、触媒に対して液体水素担体を動かすため、水素ガス反応器の筐体の少なくとも1つの壁または別の可動式要素を動かすステップを含んでもよい。例えば、システム1800(
図18)を用いる場合、ステップ2220は、ピストン1801を上昇または下降させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、触媒と液体水素担体111との両方を動かすことによって、指示に基づいて2つ以上の要素が動かされてもよい。
【0110】
[0136]プロセス2200はまた、水素ガスを抽出するための追加のステップまたはサブステップを含んでもよい。例えば、プロセス2200は、受信した水素ガスの流量の変化を要求する指示に基づいて、水素ガスの流量を変化させる要求を満たすために、触媒と液体水素担体との間で接触する表面積のレベルを提供するのに必要な、触媒と液体水素担体との間の相対的な動きの量を決定するステップ2212を含んでもよい。したがって、プロセス2211は、例えばシステムの設定または能力に基づいて、ステップ2212を含むかを決定する追加のサブステップを含んでもよい。必要な相対的な動きの量は、データ、設定、またはプロセス2200を実行するシステムが利用可能な他の情報に基づいて決定されてもよい。例えば、システムは、触媒または別の可動式要素の位置を得られる流量と関連付ける、事前にプログラムされたアルゴリズムまたはデータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、相対的な動きは、システムに関係する履歴データに基づいて、システムによって決定されてもよい。例えば、システムは、線形回帰アルゴリズム、機械学習もしくは深層学習技法、またはモデルを発展させて相対的な運動を得られる流量に関連付けるための他の方法を用いてもよい。システムはまた、圧力値、温度値、反応器中で液体水素担体から既に抽出された水素ガスの量、液体水素担体が反応器中にある時間、触媒のライフサイクル等のような、他の変数を考慮してもよい。ステップ2212の決定は、次いで、プロセス2220の実行において用いられてもよい。例えば、ステップ2220は、決定された量の相対的な動きを、触媒と液体水素担体との間に生じさせるステップを含んでもよい。
【0111】
[0137]
図23A、23B、および23Cは、液体水素担体を用いて、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出することに関係する、様々な他のプロセス2300A、2300B、および2300Cを示す。これらのプロセスは、互いに様々な組み合わせで、または開示される実施形態の他のプロセスとの組み合わせで、別々に実行されてもよい。例えば、プロセス2300A、2300B、および2300C、またはこれらのステップは、追加のステップ、サブステップ、またはサブプロセスとして、上に記載されるプロセス2200の一部として実行されてもよい。
【0112】
[0138]
図23Aは、目標水素ガス圧力に基づいて動きを制御するためのプロセス2300Aを示す。ステップ2310Aにおいて、プロセス2300Aは、目標水素ガス圧力を決定するステップを含んでもよい。目標圧力は、システム10に関係するデータまたは設定に基づいて決定されてもよい。例えば、目標圧力は、システム10内で固定された設定値であってもよく、または水素ガス反応器120に関係する温度または流量のような、他の変数に基づいて計算された値であってもよい。いくつかの実施形態では、目標圧力は、プロセス2200で指示されるように、水素ガスの流量を変化させる要求に基づいて決定されてもよい。
【0113】
[0139]ステップ2320Aにおいて、プロセス2300Aは、水素ガス反応器内の水素ガスの観測圧力と、目標圧力値との間の差に基づいて、液体水素担体に対する触媒の動きを制御するステップを含んでもよい。したがって、プロセス2300Aを実行するステップは、観測されるシステム内の水素ガス圧力を検知、またはこれにアクセスしてもよい。例えば観測圧力は、上に記載されるように、圧力センサ1620、1820、または1821から受信される1つまたは複数の信号に基づいて得られ、または決定されてもよい。この観測圧力は、ステップ2310Aにおいて決定された目標圧力と比較されてもよい。システムは、次いで、両圧力の間の差に基づいて、水素ガス反応器120中の要素(例えば、触媒、液体水素担体、または両方)を動かすことによって、液体水素担体に対する触媒の動きを制御してもよい。例えば、反応器120中の観測圧力が、目標圧力よりも大きい場合、ステップ2310Aは、液体水素担体と接触している触媒の表面積を減少させる方法で、触媒または別の要素を動かすステップを含んでもよい。このような制御は、観測される水素ガス圧力(またはガス流量、もしくは温度、要求指標、もしくは水素ガス反応器の動作に関係する任意の他の量)と、目標水素ガス圧力(またはガス流量、もしくは温度、要求指標、もしくは水素ガス反応器の動作に関係する任意の他の量)との間の差を低減、最小化、または排除するため、フィードバックループ配列において継続してもよい。
【0114】
[0140]
図23Bは、目標水素ガス流量に基づいて動きを制御するためのプロセス2300Bを示す。ステップ2310Bにおいて、プロセス2300Bは、水素ガスの目標流量を決定するステップを含んでもよい。プロセス2300Aの目標圧力と同様に、目標流量は、システムに関係するデータまたは設定に基づいて決定されてもよい。例えば、目標流量は、システム10内で固定された設定値を含んでもよく、または水素ガス反応器120の温度もしくは圧力のような、他の変数に基づいて計算された値を含んでもよい。いくつかの実施形態では、目標流量は、燃料電池(燃料電池130のような)、またはシステムによって(例えば、燃料電池によって)給電される装置の、水素流についての要求に基づいて決定されてもよい。
【0115】
[0141]ステップ2320Bにおいて、プロセス2300Bは、観測される水素ガス流量と、水素ガスの目標流量との間の差を低減するように構成されたフィードバックループに基づいて、液体水素担体に対する触媒の動きを制御するステップを含んでもよい。したがって、プロセス2300Bを実行するシステムは、観測流量を決定してもよく、またはこれへのアクセスを有してもよい。この観測流量は、例えば、水素ガス反応器120中、またはシステム内の他のところのセンサによって、測定されてもよい。いくつかの実施形態では、流量は、システムにおける1つまたは複数の測定圧力値および/または測定温度値のような、他の変数に基づいて(例えば、関連する導管および/または他の反応器構成要素の公知の幾何学的形状と組み合わせて)、計算または推定されてもよい。ステップ2320Bは、観測流量と目標流量との間の差を減少させるため、触媒または他の構成要素を動かして、液体水素担体と接触している触媒の表面積を増加または減少させることを含んでもよい。例えば、システムは、観測流量と目標流量との間の差を低減するためのフィードバックループ、または他の様々な制御ループもしくはシステムを含んでもよい。このようなフィードバックループは、
図21に対して上に記載されるフィードバックループと同様であってもよく、このようなフィードバック系制御は、任意の観測可能な量に基づいて、水素ガス反応器の動作を制御するために用いられうる。
【0116】
[0142]
図23Cは、水素ガス反応器中で抽出プロセス中に形成された使用済液体水素担体を、反応器中の圧力の変化の速度に基づいて、取り替えるためのプロセス2300Cを示す。プロセス2300Cは、水素ガス抽出を改善するために、例えば、プロセス2200と連携して用いられてもよい。ステップ2310Cにおいて、プロセス2300Cは、圧力センサを用いて、システム中の水素ガス圧力の変化の速度を決定するステップを含んでもよい。例えば、水素ガス反応器120の圧力センサ1620、1820、および/または1821から受信した信号は、反応器の圧力の変化の速度を決定するための時間間隔にわたって、追跡されてもよい。システムはまた、圧力の変化速度の閾値へのアクセスを有してもよく、この値は固定値(例えば、システムの制御設定に基づく)であってもよく、変数(例えば、水素流の要求、液体水素担体を形成する液体溶液中の水素化ホウ素金属の濃度等に基づく)であってもよい。この閾値を下回る圧力の変化の速度は、例えば、反応器中の液体担体の消耗に起因して、反応器が低効率で水素を抽出していることを示しうる。
【0117】
[0143]ステップ2320Cでは、システムは、決定された圧力の変化の速度が閾値を下回る場合、使用済液体水素担体の一部を除去してもよい。ステップ2330Cでは、プロセス2300Cは、液体水素担体を水素ガス反応器に流し込むステップを含んでもよい。このプロセスを用いて、使用済の、または消耗液体水素担体を取り替えて、水素ガス抽出速度を増加させてもよい。そのため、プロセス2200のような、上に記載される方法およびシステムは、より効率的に動作しうる。
【0118】
[0144]いくつかの実施形態では、外部負荷への水素ガスの連続的な流出が提供されうるように、2つ以上の水素ガス反応器が配列されてもよい。このような連続的な流出は、例えば、利用可能な水素ガス反応器のうちの1つまたは複数において、使用済液体水素担体が取り替えられている間に提供されうる。このような連続的な流出は、水素ガスを供給される外部システムの中断のない動作を可能にするため、外部負荷には重要でありうる。水素ガスの連続的な流出を提供するため、システムは、共用の出力または流出に水素ガスを供給するための複数の反応器の間で、切り替える、または交替するように構成されてもよい。本明細書において用いられる場合、水素ガスの連続供給は、主に第1の水素ガス反応器からの水素ガスの受け入れから、主に第2の水素ガス反応器からの水素ガスの受け入れまでの移行中に、水素ガス流量が連続したままであってよい、または実質的に連続したままであってよい、任意の水素ガスの供給を指しうる。いくつかの場合では、第1の水素ガス反応器からのガス流から、第2の水素ガス反応器からのガス流までの移行中、連続した、または実質的に連続したガス流量は、移行中、一定または実質的に一定であってもよい。他の場合では、水素ガスの連続した供給は、水素ガス流量の変化を含んでもよいが、水素ガス反応器のシステムからの全体的な水素ガス流量は、閾値(例えば、ゼロ流量、最大出力能力の25%、最大出力能力の50%等)よりも上に維持されうる。様々な実施形態では、システムは、外部負荷の要求に従った水素ガス流量で水素ガスを供給するように構成されてもよい。様々な実施形態では、水素ガス流は、反応器120内の圧力と、外部負荷に必要とされる圧力との間の圧力差に依存してもよい。外部負荷の要求に従った水素ガス流量で水素ガスを供給するため、反応器120内の圧力は、要求される水素ガス流量をもたらす、所定の制御値に維持されてもよい。
【0119】
[0145]様々な実施形態では、液体水素担体を用いて水素ガスを抽出するためのシステムは、第1の水素ガス反応器と、第2の水素ガス反応器とを含んでもよい。例えば、
図24は、水素ガス反応器120Aと、水素ガス反応器120Bとを含むシステム2400を図示する。様々な実施形態では、水素ガス反応器120Aは、逆止弁702Aを含みうる、ガス排出口752Aを有してもよい。逆止弁は、水素ガスが水素ガス反応器120Aから流れることを可能にしながら、反対方向における水素ガスの流れを阻止するように構成されうる。逆止弁702Aを記載する場合、逆止弁702Aの水素ガス反応器120A側は、逆止弁702Aの流入側と呼ばれ、逆止弁702Aの他方の側は、流出側と呼ばれる。同様に、水素ガス反応器120Bは、対応する流入側(すなわち、水素ガス反応器120Bに近接する側)と流出側とを有する逆止弁702Bを含みうる、ガス排出口752Bを有するように構成されてもよい。
【0120】
[0146]様々な実施形態では、ガス排出口752Aと752Bとは、水素ガス反応器120Aから枝管721Aを経由して水素ガスを受け入れ、水素ガス反応器120Bから枝管721Bを経由して水素ガスを受け入れるように構成された、水素ガス流導管720と接続されてもよい。水素ガス流導管720は、
図24に示されるように、水素ガスを流出末端723に流すように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、水素ガス流導管720は、水素ガス流導管720を通る水素ガス流量の追加の制御を可能にする弁729を、流出末端723の近傍に含んでもよい。いくつかの実施形態では、流出末端723における圧力を制御するため、流出末端723において、ポンプ727(または任意の他の種類の圧力調整構成要素、または圧縮機のようなシステム)が用いられてもよい。加えて、または代わりに、流出末端723における水素ガスの流量は、独立して、または流出末端723における圧力の制御と並行して(例えば、弁729を用いて)制御されてもよい。
【0121】
[0147]様々な実施形態では、水素ガス反応器120Aおよび120Bは、上に論じられるように、液体水素担体111を触媒121に曝露することによって、水素ガスを抽出するように構成されてもよい。様々な実施形態では、水素ガス反応器120Aおよび120Bは、
図7Aに示される水素ガス反応器を含めて、本明細書に記載される水素ガス反応器のいずれかと同様であってもよく、同じであってもよい。例えば、水素ガス反応器120A(120B)は、液体水素担体111によって湿潤化されうる、少なくともいくらかの表面積を有する触媒121A(121B)を含んでもよい。さらに、動作中、水素ガス反応器120A(120B)は、水素ガス反応器120の一部を占める水素ガス773A(773B)を含んでもよい。水素ガス反応器120A(120B)はまた、
図7Aに示される水素ガス反応器120の構成要素と同様の、様々な他の構成要素を含んでもよい。上に論じられる実施形態と同様に、液体水素担体111は、水素ガス反応器120A(120B)中に、またはその外に流れうる。液体水素担体111が水素ガス反応器120A(120B)に流れ込む場合、水素ガス773A(773B)によって占められる体積の低減に起因して、水素ガス反応器120A(120B)中の圧力は増加しうる。液体水素担体111が水素ガス反応器120A(120B)から流れる場合、水素ガス773A(773B)によって占められる体積の膨張に起因して、水素ガス反応器120A(120B)中の圧力は減少しうる。他の場合では、液体水素担体111は、液体水素担体リザーバと、それぞれの水素ガス反応器120A(120B)との間の圧力較差に応答して、水素ガス反応器120A(120B)中に、またはその外に流れうる。水素ガス反応器中の圧力が低下する場合、追加の液体水素担体が、その水素ガス反応器中に流れ込んで、圧力を等しくしてもよい。他の場合では、水素ガス反応器中の圧力が上昇する場合、液体水素担体が、その水素ガス反応器の外に流れて、圧力を等しくしてもよい。
【0122】
[0148]様々な実施形態では、システム2400は、液体水素担体111から水素ガス(例えば、水素ガス773A)を抽出するために用いられ、外部負荷(例えば、燃料電池、燃焼機関等)のための燃料としてガス773Aを利用する。したがって、様々な実施形態では、水素ガス反応器120Aは、
図7Aに示されるように、水素ガス反応器120から様々な外部負荷に、水素ガス773を流すように構成された、ガス排出口752Aを含んでもよい。様々な実施形態では、特定の外部負荷システムとの適合性のための最小圧力が、確立または維持されうる。例えば、一定の燃料電池用途は、動作のための最小水素ガス圧力を必要としうる。このような最小圧力、または任意の他の所望の圧力レベルを得るため、水素ガス反応器120A(120B)中の圧力が、外部負荷によって必要とされる最小圧力を超える場合(または水素ガス反応器120Aもしくは120B中の圧力が、水素ガス生成システムに関係する最小動作圧力を超える場合)、逆止弁702A(702B)は、水素ガス773A(773B)が、水素ガス反応器120A(120B)の外に流れることを可能にする。
【0123】
[0149]ガス排出口752Aは、ユーザー11により、制御部(例えば、コンピューティングシステム15からの電気信号のような指示を受信する機械装置)によって、またはその組み合わせによって操作されうる、追加の弁757Aを有してもよい。例となる実施形態では、コンピューティングシステム15は、ユーザー11が、インターフェースシステム16を介して、弁757の動作の態様を制御することを可能にしてもよい。
【0124】
[0150]様々な実施形態では、水素ガス流導管720の流出末端723における圧力、および水素ガス反応器120A中の水素ガス773Aの圧力が、ガス排出口752Aを経由する水素ガス反応器120Aの外への水素ガス流量764を決定するために用いられてもよい。加えて、弁757Aの位置は、全体的な水素ガス流量764を制御し/に影響を与えうる。圧力723は、ポンプによって制御されてもよく、周囲圧力(すなわち、環境中の圧力)に、または例示的な外部負荷(もしくは外部負荷に関係する1つまたは複数の構成要素)内の、もしくはこれに関係する圧力に対応してもよい。様々な実施形態では、ガス排出口752を通る水素ガス流量764の増加に応答して、水素ガス反応器120A(または120B)内の圧力が減少しうる。同様に、ガス排出口752を通る水素ガス流量764の減少に応答して、水素ガス反応器120A(または120B)内の圧力が増加しうる。
【0125】
[0151]様々な実施形態では、例えば
図7Aに示されるように、水素ガス反応器120A(120B)は、圧力センサ754A(754B)を含んでもよい。圧力センサ754A(754B)によって測定される圧力データは、処理のためにコンピューティングシステム15に伝達されてもよい。例となる実施形態では、センサ754A(754B)によって得られた圧力データは、ユーザーインターフェース16によって、ユーザー11のために表示されてもよい。いくつかの場合では、水素ガス773A(773B)は、安全水素ガス導管758A(758B)を経由し、安全弁759A(759B)を用いて、水素ガス反応器120A(120B)から放出されてもよい。例えば、水素ガス773A(773B)は、水素ガス反応器120A(120B)内の圧力が、最大許容圧力レベル等の閾値を上回る場合に放出されてもよい。水素ガス反応器120Aおよび120Bはまた、対応する反応器120A(120B)から液体水素担体111(または使用済液体水素担体112)を追い出すため、パージ排出口141Aおよび141Bを含んでもよい。例となる実施形態では、パージ排出口141A(141B)を経由して、反応器120A(120B)から部分的に、または完全に液体水素担体111を除去して、液体水素担体111からの水素抽出を減少または終了させうる。
【0126】
[0152]様々な実施形態では、コンピューティングシステム15は、圧力センサ754A(754B)から得たデータを用いて水素ガス反応器120A/120B中の圧力を評価し、弁759A(759B)を開いて、閉じて、または部分的に開いて、水素ガス反応器120の外に水素ガス773A(773B)を放出してもよい。様々な実施形態では、コンピューティングシステム15は、モータによって作動する機械的作動部のような制御部によって、弁759A(759B)制御してもよい。
【0127】
[0153]
図24および
図7Aに示される様々な実施形態では、異なる種類の弁が用いられてもよい。例えば、弁702Aおよび702Bは逆止弁を構成してもよく、弁759A(759B)は、圧力逃し弁のような安全弁を含んでもよい。いくつかの実施形態では、弁757A(757B)としては、ゲート弁、グローブ弁、プラグ弁、ボール弁、または逆止弁等が挙げられうる。
【0128】
[0154]様々な実施形態では、コンピューティングシステム15は、水素ガス反応器120A(120B)内の圧力を監視し(例えば、センサ754Aおよび754Bによって得た圧力データを監視することによって)、弁757A(757B)を開くことおよび閉じること(または部分的に開くこと)を制御して、水素ガス反応器120A(120B)内の圧力を制御するように構成されてもよい。様々な実施形態では、弁702A(702B)が逆止弁を含んでもよいため、このような弁は、逆止弁の流入側と流出側との間の圧力差によって制御されてもよい。コンピューティングシステム15は、弁702A(702B)の動作を、例えば、逆止弁を開くことおよび閉じることを制御する、弁の上流の圧力を制御することによって、間接的に制御してもよい。しかしながら、弁702A(702B)が、コンピューティングシステム15によってより直接的に制御されうる、いくらかのパラメータを含んでもよいことに留意するべきである。例えば、弁702A(702B)は、圧力閾値を制御する、調整可能なパラメータを有してもよい。本明細書で言及される場合、別段の注記がない限り、「圧力閾値」という用語は、逆止弁を開くために必要な、例示的な逆止弁の両側の最小圧力差(例えば、弁702Aまたは702Bについて、流入側と流出側との間の圧力差)を指す。例となる実施形態では、弁702A(702B)が、圧力閾値を制御する調整可能なパラメータを有するように構成される場合、コンピュータシステム15は、このパラメータを調整するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、弁702A(702B)は、コンピューティングシステム15によって調整されうる、他のパラメータを有してもよい。例えば、弁702A(702B)内を流れる水素ガスについて、利用可能な断面積が調整されてもよい。様々な実施形態では、逆止弁702Aおよび702Bとしては、スイング式逆止弁、リフト式逆止弁、およびボール式逆止弁(例えば、
図26に示されるボール式逆止弁702Aおよび702B)等が挙げられうる。
【0129】
[0155]様々な実施形態では、コンピューティングシステム15は、ユーザーインターフェース16を介してユーザー11から指示を受信し、1つまたは複数の弁(例えば、弁757A、および水素ガス反応器120Aについての759A)を開くことまたは閉じることによって、水素ガス反応器120A(120B)内の圧力を調整してもよい。加えて、または代わりに、コンピューティングシステム15は、水素ガス反応器120Aの1つまたは複数の弁を開閉して、水素ガス反応器120A内の圧力を、目標圧力値の範囲内に制御してもよく、または圧力を、水素ガス反応器120A中の目標圧力に調和するように制御してもよい。加えて、または代わりに、システム15は、上に記載されるように、逆止弁702Aのパラメータを調整してもよい。コンピューティングシステム15は、制御部(例えば、弁を開く、および閉じるためのモータ)を用いて、弁を開く、および閉じるように構成されてもよい。例えば、コンピューティングシステム15は、弁759Aを開いて、または閉じて、水素ガス反応器120A中の目標圧力に調和させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム15は、センサ754Aによって得た圧力データを受信し、受信した圧力に応答して、弁759Aおよび/または757Aを開く、または閉じるように構成されてもよい。
【0130】
[0156]
図24に示される実施形態は、2つの水素ガス反応器120Aおよび120Bを含む水素ガス生成システムを記載するが、他の構成が可能である。例えば、複数の水素ガス反応器が、水素ガス生成システム全体の中に含まれてもよい。このような場合では、任意の数の水素ガス反応器が、対応するガス排出口を介して、共通の水素ガス流導管720を共有してもよい。あるいは、2つ以上の水素ガス流導管が存在し、各水素ガス流導管が、複数の水素ガス反応器のガス排出口に接続されてもよい。例えば、複数の外部負荷が存在する場合、水素ガス流導管は、所与の外部負荷について選択されてもよい。選択された水素ガス流導管は、複数の水素ガス反応器から所与の外部負荷に、水素ガスを導くように構成されてもよい。
【0131】
[0157]
図24の実施形態では、システム2400は同調反応器を含んでもよく、「同調」という用語は、2つ以上の水素ガス反応器を含む水素ガス生成システムから、水素ガスが連続的に提供されるという動作上の特徴を指しうる。例えば、2つ以上の水素ガス反応器からのガス流の出力が同調して、連続的な、または実質的に連続的な、水素生成システムからの水素ガス流量(例えば、流出部723を通る)を提供しうる。このような同調は、所望の水素ガス流量を、主にまたはもっぱら1つの水素ガス反応器(例えば、120A)から供給し、続いて、1つまたは複数の水素ガス反応器が、所望の水素ガス流量をもはや維持できない場合に(またはこのように、所望の水素ガス流量を供給することができないことが、差し迫っていると判定される場合に)、所望の水素ガス流量を、主にまたはもっぱら別の利用可能な水素ガス反応器(例えば、120B)から供給することによって達成されうる。
【0132】
[0158]例となる実施形態では、システム2400は、反応器120Aを用いることと、反応器120Bを用いることとの間で、交替するように構成されてもよい。例えば、システム2400は、反応器120Aを用いて水素ガスを外部負荷に供給し、その間、反応器120Bが水素ガスを供給することを阻止(すなわち、反応器120Bを閉鎖)してもよい。本明細書に定義される場合、別段の注記がない限り、水素ガスを外部負荷に供給するために用いられる場合、反応器は「連動」し、水素ガスを外部負荷に供給するために用いられない場合、反応器は「解除」される。加えて、以前の連動から解除への移行の後に反応器が連動する場合、反応器が「再連動」するといわれる。例えば、反応器120Bは、弁757Bを閉じることによって、解除されうる。反応器120A(120B)は、逆止弁702A(702B)を閉じること、弁757A(757B)を閉じること、または両方の弁を閉じることのいずれかに起因して、解除されうる。反応器120A(120B)は、弁702A(702B)と弁757A(757B)との両方を開くことに起因して、連動しうる。
【0133】
[0159]反応器120Aは、逆止弁702Aの両側に十分な圧力差がある(すなわち、逆止弁702Aの両側の圧力差が、圧力閾値よりも大きい)限り、枝管721Aを経由して水素ガスを外部負荷に供給しうる。ある実施形態では、反応器120Bは、弁757Bを閉じることによって、解除されうる。逆止弁702Aの両側の圧力差が、およそ逆止弁702Aについての圧力閾値である(またはそれに近づいている)場合(例えば、逆止弁702Aの両側の圧力差が、圧力閾値よりも、5、10、20パーセント、または任意の他の好適な値だけ高くてもよい)、逆止弁702Aが閉じる前に(例えば、逆止弁702Aの両側の圧力差が、圧力閾値未満に低下することに起因して)、反応器120Bの弁757Bが開かれうる。弁757Bを開くことによって、反応器120Bは、枝管721Bを介して、水素ガスを外部負荷に供給することに連動しうる。例となる実施形態では、逆止弁702Aが閉じた後、弁757Aが閉じて、反応器120Aの解除をもたらしてもよい。
【0134】
[0160]様々な実施形態では、反応器120Bが連動する間、反応器120A中の水素ガス圧力は、反応器120Aの再連動を可能にしうるのに十分に高いレベルまで増加しうる。例えば、弁757Aが開かれる時点で、逆止弁702Aの両側の圧力差が圧力閾値を上回るように、反応器120A中の水素ガス圧力が増加しうる。例となる実施形態では、逆止弁702Aの両側の圧力差は、圧力閾値よりも、5、10、20パーセント、または任意の他の好適な値だけ高くてもよい。反応器120A中の水素ガス圧力が十分に高い場合(上に記載されるように)、反応器120Aは再連動し、弁757Bを閉じることによって、反応器120Bは解除されうる。様々な場合では、弁757Aを開くことによる反応器120Aの連動は、弁757Bを閉じることによる反応器120Bの解除を生じ、逆の場合も同様に、弁757Bを開くことによる反応器120Bの連動は、弁757Aを閉じることによる反応器120Aの解除を生じうる。
【0135】
[0161]代替的実施形態では、757Aと757Bとの両方の弁が両方とも開かれてもよく、逆止弁702Aと702Bとが、反応器120Aと120Bのいずれが連動するかを決定することをもたらしうる。例となる実施形態では、ガス排出口752Aに関係する水素ガス圧力が、所定の圧力値だけ、ガス排出口752Bに関係する水素ガス圧力よりも低い場合、反応器120Aが解除され、反応器120Bが連動してもよい。いくつかの実施形態では、反応器120Aと120Bとが両方とも連動して、水素ガスを外部負荷に供給してもよい。様々な実施形態では、選択された圧力値は、数psi~数barであってもよく、いくつかの実施形態では、所定の圧力値は、コンピューティングシステム15によって制御されうるパラメータであってもよい。いくつかの実施形態では、逆止弁702Aおよび702Bについての圧力閾値は、反応器120Aおよび反応器120Bの連動/解除、ならびに逆止弁702Aおよび702Bの流出側における圧力値を制御するために選択されてもよい。
【0136】
[0162]システム2400は、反応器のうちの一方(例えば、120A)が、所望のレベルの水素抽出を可能にするのに十分な液体水素担体111を含有しなくなってはじめて(例えば、液体水素担体が水素を放出し、使用済液体水素担体になる時点で)、反応器120Aの連動と反応器120Bの連動との間で、交替してもよい。例となる実施形態では、反応器120が水素ガスを外部負荷に放出していない場合、反応器120A中の水素ガス圧力が、十分に高いレベルまで増加できないのであれば、反応器120Aは、逆止弁の最小動作圧力を乗り越えること、水素ガスに対する要求を満たすこと、別の水素ガス反応器に関係する圧力を超えること等に十分な液体水素担体111を含有しない。例えば、反応器120A中の圧力が十分に低く、逆止弁702Aの両側の圧力差が圧力閾値を下回る場合もある。あるいは、反応器120A中の圧力が、逆止弁702Aの両側の圧力差を、圧力閾値をわずかに上回らせるのに十分であるに過ぎない高さでありうる場合(例えば、逆止弁の両側の圧力差が、圧力閾値よりも5、10、または20パーセント高い場合)、反応器120Aは、十分な液体水素担体111を含有しないと考えられる場合もある。
【0137】
[0163]様々な実施形態では、反応器120Aが十分な液体水素担体111を含有しない場合、さらに下に記載されるように、反応器は補充されてもよい(例えば、使用済液体水素担体112が反応器120Aから流され、液体水素担体111が、反応器120Aに流し込まれてもよい)。様々な実施形態では、反応器120Bは、十分な液体水素担体111を含有するように構成されてもよく、反応器120Aが補充されている間、連動して、水素ガスを外部負荷に供給してもよい。
【0138】
[0164]いくつかの場合、流出部723を通じた水素ガス出力の同調は、
図24に示される構成によって維持されてもよい。例えば、逆止弁702Aおよび702Bは、連続的な、または実質的に連続的な水素圧力/水素ガス流量を、出力部723において維持するため、同調して動作しうる。いくつかの場合、連続的な流量は、一定、または実質的に一定であってもよい。このような同調動作は、1つの逆止弁が開く(例えば、702A)一方、逆止弁の別の1つ(例えば、702B)が閉じて、流出部723において水素ガス圧力/流を維持することを含みうる。例えば、水素ガス反応器中120Aの圧力が、水素ガス反応器中120Bの圧力よりも、一定の圧力値だけ大きい場合、逆止弁702Aおよび702Bは、逆止弁702Aを開くこと、および逆止弁702Bを閉じることによって、この圧力の差に応答するように構成されてもよい。同様に、水素ガス反応器120B中の圧力が、水素ガス反応器120A中の圧力よりも、一定値だけ大きい場合、圧力の差が、逆止弁702Bを開くこと、および逆止弁702Aを閉じることを生じる。
図24は、逆止弁702Bが開かれ、逆止弁702Aが閉じられた場合の実施形態を示す。様々な実施形態では、逆止弁702A(702B)は、逆止弁702A(702B)の流入側と流出側との間の圧力差が正であり、かつ閾値を上回る場合、水素ガス反応器120A(120B)から、水素ガス流導管720の流出末端723へ向かう水素ガスの流れを可能にするように構成される。
【0139】
[0165]水素ガス反応器120Aもしくは水素ガス反応器120Bのいずれかから(または任意の他の利用可能なガス反応器から)、連続的な水素ガス出力を(一定であってもよく、実質的に一定であってもよい)維持する必要性がある条件に対して、上に記載される動作がなされる間、連続供給はシステムの目標でありうるが、水素ガスの流量が増加または減少しうる例がありうることに留意するべきである。例えば、いくつかの場合、2つ以上の水素ガス反応器が前後して(または一緒に)動作してもよく、それぞれは、それぞれの水素ガス反応器筐体内の一定の圧力レベル(または逆止弁702Aもしくは702Bのような、それぞれの逆止弁の上流末端における水素ガス圧力)に関係している。このような場合、それぞれの水素ガス反応器出力において、逆止弁(例えば、702Aおよび702B)は、流出部723における水素ガス流が、主にまたはもっぱら、最高瞬間圧力を有する水素ガス反応器から起こるように動作してもよい。換言すれば、それぞれの逆止弁が動作して、最高ガス圧力を有するガス反応器からの流れを可能にし、他の水素ガス反応器からの流れを閉鎖してもよい。流出部723における水素ガス流を増加させる必要性がある場合、このような増加は、いくつかの実施形態では、利用可能な水素ガス反応器からの水素ガス抽出の速度を増加させることによる影響を受けうる。特定の水素ガス反応器からの水素ガス抽出速度が増加するにつれて、それぞれの流出逆止弁の上流の圧力も増加するであろう。その圧力がそれぞれの逆止弁の下流側における圧力を超えた際に、その逆止弁が開くこととなり、流出部723から流れるシステム全体の水素ガス出力は、水素ガス抽出速度が増加した特定の水素ガス反応器によって供給されることとなる。
【0140】
[0166]様々な実施形態では、特定の動作上のスキームに関係なく、水素ガス反応器120Aのガス排出口752A内の水素ガス圧力が、水素ガス反応器120Bの752B内の水素ガス圧力よりも、選択された圧力値だけ高い場合、システム2400は、水素ガス反応器120Aから逆止弁702Aを通じて、抽出された水素ガスを流し、水素ガス反応器120Bからの逆止弁702Bを通る水素ガスの流れを閉鎖するように構成されてもよい。あるいは、水素ガス反応器120Bのガス排出口752B内の水素ガス圧力が、水素ガス反応器120Aの752A内の水素ガス圧力よりも、選択された圧力値だけ高い場合、システム2400は、水素ガス反応器120Bから逆止弁702Bを通じて、抽出された水素ガスを流し、水素ガス反応器120Aからの逆止弁702Aを通る水素ガスの流れを閉鎖するように構成されてもよい。このような出力逆止弁の間の同調動作は、開示される水素ガス生成システム全体としての、連続的な水素ガス出力(一定または一定でないレベルにおける)を可能にしうる。
【0141】
[0167]例となる実施形態では、反応器120Aがまず連動し、その間、反応器120Bは解除されてもよい。例えば、弁757Aおよび弁702Aが開かれて反応器120Aを連動させ、弁757Bが閉じられて反応器120Bを解除してもよい。反応器120Aは、ガス排出口752Aに関係する水素ガス圧力が、外部負荷に基づいてもよい、必要とされる圧力値よりも高い場合に、連動しうる。必要とされる圧力値は、外部負荷によって必要とされる圧力とすることができ、または任意の好適な必要とされる圧力値とすることもできる。例えば、必要とされる圧力値は、外部負荷によって必要とされる圧力よりも、5、10、20、50、60、または100パーセント高くすることができる。反応器120Aが連動し、水素ガスを外部負荷に供給する間、反応器120Aは消耗プロセスに加わる。本明細書に定義される場合、別段の注記がない限り、「消耗プロセス」という用語は、液体水素担体から水素ガスを抽出し、抽出された水素ガスを、外部負荷に供給するプロセスを指す。ガス排出口752Aにおける圧力が、必要とされる圧力値よりも低い場合、消耗プロセスは完了されてもよく、反応器120Aは解除されうる。反応器120Aが解除されるとき(または、その瞬間の直前に)、反応器120Bが連動しうる。反応器120Bが連動する間、反応器120Aは再生されてもよい。本明細書に定義される場合、別段の注記がない限り、「再生」という用語は、ガス排出口752Aにおける圧力が、再生の完了時点で、必要とされる圧力値よりも高くなるように、反応器120Aが水素ガス圧力を増加させることを指す。反応器120Bは、ガス排出口752Bに関係する水素ガス圧力が、必要とされる圧力値よりも高い場合に、連動しうる。ガス排出口752Bにおける圧力が、必要とされる圧力値よりも低い場合、反応器120Bが解除され、反応器120Aが、再生の完了後に再連動しうる。
【0142】
[0168]様々な実施形態では、反応器についての再生の速度(すなわち、反応器がどれほど急速に、再生することができるか)は、反応器内に存在する液体水素担体中に貯蔵された残存水素の濃度の量に依存する。様々な実施形態では、システム2400は、再生速度が十分に高い時点で動作するように構成されてもよい。例えば、2つの反応器を含有するシステム2400について、再生速度は、反応器120Aおよび120Bについての消耗速度(例えば、反応器について、どれほど急速に消耗を完了することができるか)よりも高くてもよい。複数の反応器を含有するシステム2400について、再生速度は、システム中に存在する他の反応器の数で除算した消耗速度よりも高くてもよい。様々な実施形態では、反応器120A(120B)は、反応器120A(120B)についての再生プロセスが完了した時点で、連動してもよい。反応器120A(120B)の再生速度が、必要とされる再生速度よりも低い場合、反応器120A(120B)は補充されてもよい。加えて、または代わりに、システム2400は、反応器120A(120B)についての補充速度が、他の反応器120B(120A)についての消耗速度よりも高い場合、反応器120A(120B)を補充するように構成されてもよい。
【0143】
[0169]様々な実施形態では、システム2400は、反応器120Bが消耗プロセスを完了する前に、反応器120Aを補充するように構成されてもよい。これは、システム2400が、水素ガスを外部負荷に供給することを中断せず、連続的に動作していることを確実にしうる。システム2400は、反応器120Aおよび120Bのような2つの反応器を用いるものとして記載されるが、3つ以上の反応器が用いられてもよいことに留意するべきである。様々な実施形態では、システム2400の反応器のうちの少なくとも1つは、システム2400の他の反応器のうちの1つの補充プロセス中に、水素ガスを外部負荷に供給してもよい。
【0144】
[0170]
図25は、2つの逆止弁702Aおよび702Bの代わりに1つの逆止弁703が用いられる、説明のためのシステム2500を示す。逆止弁703は、筐体713の内部で動くように設計されてもよく、筐体713は、水素ガス流導管720の一部であってもよい。単一の逆止弁703は、水素ガス反応器120Aまたは水素ガス反応器120Bから、水素ガスを選択的に導くために用いることができる、単一逆止弁配列の1つの例となる実施形態でありうる。例えば、逆止弁703は、反応器120Aからのガスの流れを可能にする場合があり、反応器120Bからのガスの流れを阻止する場合があり、逆の場合も同様である。逆止弁703が、反応器120Aと反応器120Bとの両方に対して少なくとも部分的に開く、少なくともいくらかの期間がありうることに留意するべきである(例えば、逆止弁703の状態の移行の間)。他の弁としては、デュアルチャネル切換弁等が挙げられうる。
図24に示される実施形態と同様に、
図25に示されるシステム2500は、水素ガス反応器120Aおよび水素ガス反応器120Bからの水素ガス流についての追加の制御を提供しうる、弁757Aおよび757Bとを有してもよい。
【0145】
[0171]
図26は、水素ガス反応器120Aと、水素ガス反応器120Bと、液体水素担体111を流すための、液体水素担体チャネル711を介して水素ガス反応器120Aに接続された液体水素担体リザーバ701とを含む、システム2600を示す。
図7Aに示されるシステム700の水素ガス反応器120と同様に、システム2600の水素ガス反応器120Aおよび水素ガス反応器120Bは、水素ガス反応器120の要素に対応する様々な要素を含んでもよい。例えば、水素ガス反応器120Aおよび水素ガス反応器120Bは、
図7Aに示されるガス排出口752に対応するガス排出口752Aおよび752B、ならびに圧力センサ754に対応する圧力センサ754Aおよび754B、触媒121に対応する触媒121Aおよび121Bを含んでもよい。加えて、
図26に示されるように、システム2600は、液体水素担体チャネル711、液体水素担体チャネル弁745、ならびにガス接続チャネル810、ガス接続チャネル弁820、圧力センサ734、弁722、および枝管726等のような、
図7Aに示されるシステム700の要素と同じであってもよい要素を含む。加えて、システム2600は、流入液体水素担体チャネル747Aおよび747B、ならびに弁749Aおよび749Bを含んでもよい。様々な実施形態では、システム2600はまた、水素ガス流導管720、ならびに逆止弁702Aおよび702Bを含む。システム2600とシステム700との同様の要素は、同様の方法で機能してもよいことに留意するべきである。例えば、同様のものの中でも、液体水素担体チャネル711は、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120Aとの間の圧力差に応答して、液体水素担体リザーバ701と水素ガス反応器120Aとの間で液体水素担体111を流すように構成されてもよい。
【0146】
[0172]水素ガス反応器の同調動作の1つの潜在的な利点としては、水素ガス流導管720の流出末端723において、水素ガスの連続流を提供する能力が挙げられうる。例えば、水素ガス反応器120Aまたは水素ガス反応器120Bの一方が動作可能でない場合に(例えば、反応器120Aもしくは120Bが液体水素担体111から水素ガスを抽出しない、または特定の水素ガスに対する要求を満たすのに十分な水素ガスを、液体水素担体から抽出しない(もしくはできない)場合に)、このような連続流が維持されうる。例えば、反応器のうちの一方がメンテナンス手順を受けてもよく、または反応器のうちの一方が燃料補給を必要としてもよい。1つまたは複数の反応器に対するこのような手順中、開示される実施形態は、切れ目なく連続的に、少なくとも1つの他の利用可能な水素ガス反応器から、水素ガスを供給することができる。
【0147】
[0173]
図27は、水素ガス反応器120A、水素ガス反応器120B、ガス流出部752Aおよび752B、逆止弁702Aおよび702B、水素ガス流導管720、圧力センサ754Aおよび754B、ならびに液体水素担体タンク100から、水素ガス反応器120Aおよび水素ガス反応器120Bのそれぞれに、液体水素担体111を流すための、液体水素担体チャネル780Aおよび780Bを含む、例となるシステム2700を示す。様々な実施形態では、チャネル780Aおよび780Bは、例えば、ポンプを用いることによって、液体水素担体タンク100のチャンバ101から、液体水素担体111を流すように構成されてもよい。
【0148】
[0174]様々な実施形態では、水素ガス反応器120Aまたは水素ガス反応器120Bは、水素ガス773の大部分またはすべてが、液体水素担体111から抽出された場合、使用済液体水素担体112を処分するように構成されてもよい。
図11に示されるシステム1100の実施形態と同様に、液体水素担体タンク100は、水素ガス反応器120Aおよび水素ガス反応器120Bのそれぞれから、液体水素担体タンク100のチャンバ102に、使用済液体水素担体112を運ぶように構成された、使用済液体水素担体チャネル1115Aおよび使用済液体水素担体チャネル1115Bを介して、それぞれ、水素ガス反応器120Aおよび水素ガス反応器120Bに接続されてもよい。様々な実施形態では、使用済液体水素担体チャネル1115Aおよび使用済液体水素担体チャネル1115Bは、水素ガス反応器120Aまたは水素ガス反応器120Bとチャンバ102との間の使用済液体水素担体112の流れを開く、または閉じるように構成された、使用済液体水素担体チャネル弁1120Aおよび使用済液体水素担体チャネル弁1120Bのような、対応する弁を含んでもよい。上に論じられるシステム1100に関する実施形態と同様に、システム2700は、逆止弁702が閉じているとき、観測される水素ガス反応器120中の圧力に有意な変化がないであろう場合、水素ガス反応器120から液体水素担体タンク100のチャンバ102に、使用済液体水素担体112を流し込むように構成されてもよい。
【0149】
[0175]様々な実施形態では、水素ガス反応器120Aと水素ガス反応器120Bとが、同時に使用済液体水素担体112を処分しないことを確実にするため、起動プロセス1200A~1200Eのいずれかを用いて、まず水素ガス反応器120Aが開始され、起動プロセス1200A~1200Eのいずれかを用いて、水素ガス反応器120Bの起動が続いてもよい。例となる実施形態では、水素ガス反応器120Aの起動と水素ガス反応器120Bの起動との間の時間的遅れは、水素ガス反応器120Aまたは水素ガス反応器120Bのメイン運転サイクル全体に必要な時間の約半分(ここではハーフタイムと呼ばれる)であってもよい。加えて、補充プロセス(すなわち、使用済液体水素担体112を処分し、液体水素担体111を、水素ガス反応器120Aもしくは水素ガス反応器120B、または液体水素担体チャネル711を介して反応器のうちの一方に接続されてもよい、液体水素担体リザーバ701に流し込むプロセス)が、水素ガス流導管720を経由する水素ガスの連続流を確保するため、ハーフタイムよりも短くなるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、補充プロセスに必要となる時間を低減するため、逆止弁702A(702B)が閉じている場合、水素ガス反応器120A(水素ガス反応器120B)中の観測圧力に、観測可能な(かつ場合によっては有意な)変化がある場合であっても、補充プロセスが発動されてもよい。例となる実施形態では、補充プロセスは、メイン運転サイクルのわずかな時間において発動されてもよく、水素ガスが部分的にのみ消耗されうる液体水素担体111のわずかな量を、処分することを含んでもよい。
【0150】
[0176]前述の記載は、説明の目的のために提示されている。これは網羅的なものではなく、開示される厳密な形態または実施形態に限定されない。実施形態の修正形態および適応形態は、明細書の検討および開示される実施形態の実施から明らかであろう。例えば、一定の構成要素が、互いに結合しているものとして記載されているが、このような構成要素は、互いに一体化されてもよく、または任意の好適な様式で分散されてもよい。
【0151】
[0177]さらに、説明のための実施形態が本明細書に記載されているが、その範囲は、本開示に基づく等価の要素、修正形態、省略形態、組み合わせ(例えば、様々な実施形態にわたる態様の組み合わせ)、適応形態、および/または変化形態を有する、任意のおよびすべての実施形態を含む。請求項中の要素は、請求項に採用される言語に基づいて広く解釈され、本明細書において記載される例、または出願の審査中に記載される例に限定されないものとし、例は、非網羅的なものとして解釈されるべきである。さらに、開示される方法のステップは、ステップの順序付け、および/またはステップの挿入もしくは削除を含めて、任意の方法で修正されることができる。
【0152】
[0178]本開示の特性および長所は、詳細な仕様から明らかであり、したがって、付属の請求項は、本開示の真の趣旨および範囲に含まれるすべてのシステムおよび方法を対象とすることが意図される。本明細書で用いられる場合、不定冠詞「a」および「an」は、「1つまたは複数」を意味する。同様に、複数形の使用は、与えられた文脈において一義的でない限り、必ずしも複数であることを表すものではない。「および」または「または」のような語は、特にその他の場合が導かれていない限り、「および/または」を意味する。さらに、本開示を研究することから、多数の修正形態および変形形態が容易に見出されるであろうため、本開示を、図示および記載される正確な構築および動作に限定することは望まれず、したがって、すべての好適な修正形態および等価物が、本開示の範囲内に含まれるものとして用いられうる。
【0153】
[0179]他の実施形態は、明細書の検討および本明細書に開示される実施形態の実施から明らかであろう。明細書および例は、例示に過ぎないものとして考えられることが意図され、開示される実施形態の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって指示される。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]
液体水素担体から水素ガスを抽出するためのシステムであって、
液体水素担体への曝露後に水素ガスを発生させるように構成された触媒を含む水素ガス反応器と、
水素ガス反応器に液体水素担体を流し込むための液体水素担体チャネルと、
発生した水素ガスが水素ガス反応器から流れるために通る水素ガス排出口と
を含み、
システムが、水素ガス反応器内部の圧力の増加に応答して、水素ガス反応器内の液体水素担体の体積を減少させるように構成され、
システムが、反応器内部の圧力の減少に応答して、水素ガス反応器内の液体水素担体の体積を増加させるように構成された、システム。
[2]
水素ガス発生の速度の増加が、液体水素担体への触媒の曝露の増加によって生じる、[1]に記載のシステム。
[3]
水素ガス発生の速度の減少が、液体水素担体への触媒の曝露の減少によって生じる、[1]に記載のシステム。
[4]
水素ガス排出口を通る水素ガス流量を制御するように構成されたガス流出弁をさらに含む、[1]に記載のシステム。
[5]
液体水素担体チャネルを通じて水素ガス反応器に流体接続された液体水素担体リザーバをさらに含む、[1]に記載のシステム。
[6]
液体水素担体リザーバと水素ガス反応器との間の正の圧力差に応答して、液体水素担体が、液体水素担体リザーバから水素ガス反応器に流れるように構成された、[5]に記載のシステム。
[7]
液体水素担体リザーバが水素ガス反応器に対して、液体水素担体リザーバから水素ガス反応器への液体水素担体の流れが、重力によって促進される位置にある、[5]に記載のシステム。
[8]
液体水素担体が、液体水素担体リザーバから液体水素担体チャネルを経由して、水素ガス反応器に流れる速度が、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間の圧力差に応答性である、[5]に記載のシステム。
[9]
液体水素担体リザーバが、液体水素担体タンクから液体水素担体を受け入れるように構成された、[5]に記載のシステム。
[10]
液体水素担体リザーバが、液体水素担体およびガスを含有するように構成された、[5]に記載のシステム。
[11]
液体水素担体リザーバ中のガスが水素ガスを含む、[10]に記載のシステム。
[12]
液体水素担体リザーバ中のガスが不活性ガスを含む、[10]に記載のシステム。
[13]
水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間で水素ガスを流すためのガス接続チャネルをさらに含み、ガス接続チャネルがガス接続弁を含む、[11]に記載のシステム。
[14]
ガス接続チャネルが、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間で圧力を等しくするように構成された、[13]に記載のシステム。
[15]
水素ガス反応器中の圧力を測定するように構成された反応器圧力センサと、液体水素担体リザーバ中の圧力を測定するように構成されたリザーバ圧力センサと、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間の圧力差に応答して、ガス接続弁を開閉するように構成された圧力制御部とをさらに含む、[13]に記載のシステム。
[16]
水素ガス反応器に関係する温度を表す出力を提供するように構成された反応器温度センサと、
水素ガス反応器に関係する温度と目標温度値との間の差を低減するため、反応器温度センサの出力に応答して、水素ガス反応器の冷却を生じるように構成された、制御システムと
をさらに含む、[1]に記載のシステム。
[17]
制御システムが、水素ガス反応器中の温度を、摂氏40~200度の温度範囲内に維持するように構成された、[16]に記載のシステム。
[18]
水素ガス反応器が、
使用済液体水素担体リザーバと、
水素ガス反応器から使用済液体水素担体リザーバに、使用済液体水素担体を運ぶように構成された使用済液体水素担体導管であって、使用済液体水素担体導管弁を含む使用済液体水素担体導管と
をさらに含む、[1]に記載のシステム。
[19]
使用済液体水素担体導管が、水素ガス反応器中の圧力の変化の速度が閾値を下回る場合に、水素ガス反応器から使用済液体水素担体を流すように構成された、[18]に記載のシステム。
[20]
水素ガス反応器と、液体水素担体チャネルによって水素ガス反応器に流体接続された液体水素担体リザーバとを用いて、液体水素担体から水素ガスを抽出するための方法であって、
水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間の圧力差に応答して、液体水素担体リザーバと水素ガス反応器との間で、液体水素担体チャネルを通して液体水素担体を流すステップと、
触媒の表面を、液体水素担体に曝露することによって、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出するステップであって、触媒が水素ガス反応器内に配置されている、抽出するステップと、
水素ガス排出口を経由して、水素ガス反応器から水素ガスを流すステップと
を含む方法。
[21]
ガスリザーバ導管を経由して、ガスを液体水素担体リザーバに流し込むことによって、液体水素担体リザーバ中の圧力を増加させるステップ
をさらに含む、[20]に記載の方法。
[22]
ガスリザーバ導管を経由して、ガスを液体水素担体リザーバの外に流すことによって、液体水素担体リザーバ中の圧力を低減するステップ
をさらに含む、[20]に記載の方法。
[23]
ガス接続チャネルのガス接続弁を開くステップであって、ガス接続チャネルが、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとを接続し、ガス接続弁を開くことが、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間に、ガス接続チャネルを経由する水素ガスの流れを生じる、ガス接続弁を開くステップと、
ガス接続弁を閉じて、水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間の、ガス接続チャネルを経由する水素ガスの流れを終了させるステップと
をさらに含む、[20]に記載の方法。
[24]
水素ガス反応器と、水素ガス反応器に流体接続された液体水素担体リザーバとを用いて、液体水素担体から水素ガスを抽出するための方法であって、
重力に応答して、第1の液体水素担体チャネルを通して、液体水素担体リザーバから水素ガス反応器に、液体水素担体を流し込むステップと、
触媒の表面を液体水素担体に曝露するステップであって、触媒が水素ガス反応器内に配置されている、曝露するステップと、
触媒の表面の液体水素担体への曝露に応答して、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出するステップと、
ガス接続チャネルを経由して、水素ガス反応器から液体水素担体リザーバに、水素ガスを流し込むステップと、
水素ガス排出口を経由して、水素ガス反応器から水素ガスを流すステップと、
水素ガス反応器と液体水素担体リザーバとの間の圧力差に応答して、液体水素担体リザーバと水素ガス反応器との間で、第2の液体水素担体チャネルを通して液体水素担体を流すステップと
を含む方法。
[25]
液体水素担体を用いて水素ガスを抽出するためのシステムであって、
筐体を含み、筐体が液体水素担体を保持するように構成された、水素ガス反応器と、
水素ガス反応器中に液体水素担体が存在する場合、液体水素担体中に、およびその外に選択的に動いて、触媒と液体水素担体との間の接触に応答して、水素ガスを発生させるように構成された触媒と
を含む、システム。
[26]
水素ガス反応器中に液体水素担体が存在する場合、触媒が、液体水素担体中に、およびその外に直線的に動くように構成された、[25]に記載のシステム。
[27]
触媒に取り付けられた機械的連結部と、
機械的連結部を介して、触媒の動きを制御するように構成されたモータと
をさらに含む、[26]に記載のシステム。
[28]
触媒が、軸の周りを回転するように構成され、軸の周りの回転が、液体水素担体に曝露される触媒の表面積の量を増加または減少させるように構成された、[25]に記載のシステム。
[29]
水素ガス反応器の筐体が、収縮可能な袋を含む、[25]に記載のシステム。
[30]
液体水素担体を水素ガス反応器中に、およびその外に送達するための液体水素担体導管と、
水素ガスを水素ガス反応器の外に流すための水素ガス導管と
をさらに含む、[25]に記載のシステム。
[31]
水素ガス反応器に関係する圧力を表す出力を発生させるように構成された圧力センサと、
圧力センサの出力によって指示されるように、目標圧力値と水素ガス反応器に関係する圧力との間の差に基づいて決定された量の、触媒の運動を生じるように構成された制御システムと
をさらに含む、[25]に記載のシステム。
[32]
水素ガス反応器に関係する温度を表す出力を発生させるように構成された温度センサと、
温度センサの出力によって指示されるように、目標温度値と水素ガス反応器に関係する温度との間の感知された差に応答して、水素ガス反応器の冷却を生じるように構成された制御システムと
をさらに含む、[25]に記載のシステム。
[33]
液体水素担体を用いて水素ガスを抽出するためのシステムであって、
筐体を含む水素ガス反応器と、
筐体内に配置された触媒と、
液体水素担体に曝露される触媒の表面積を変化させるために、触媒に対して液体水素担体を選択的に動かすように構成された、少なくとも1つの可動式要素と
を含む、システム。
[34]
可動式要素が、第1の面と第2の面とを有するピストンを含み、第1の面が液体水素担体に隣接し、可動式要素の動きが、第1の面における圧力と第2の面における圧力との間の圧力差によって発動される、[33]に記載のシステム。
[35]
可動式要素が、第1の面と第2の面とを有するピストンを含み、第1の面が液体水素担体に隣接し、可動式要素が、機械的制御部の影響下で動くように構成され、機械的制御部が、モータ駆動される機械的連結部を含む、[33]に記載のシステム。
[36]
可動式要素が、第1の面と第2の面とを有するピストンを含み、第1の面が液体水素担体に隣接し、可動式要素が、ばねの影響下で動くように構成された、[33]に記載のシステム。
[37]
液体水素担体を用いて、水素ガス反応器中で水素ガスを抽出するための方法であって、
水素ガス反応器からの水素ガスの流量を変化させる要求に関係する、少なくとも1つの指標を受信するステップと、
受信した少なくとも1つの指標に応答して、触媒と液体水素担体との間の相対的な動きを生じさせ、液体水素担体に接触される触媒の表面積の量を変化させるステップと
を含む、方法。
[38]
受信した少なくとも1つの指標に基づいて、水素ガスの流量を変化させる要求を満たすために、触媒と液体水素担体との間で接触する表面積のレベルを提供するのに必要な、触媒と液体水素担体との間の相対的な動きの量を決定するステップと、
決定された量の相対的な動きを、触媒と液体水素担体との間に生じさせるステップと
をさらに含む、[37]に記載の方法。
[39]
相対的な動きを生じさせるステップが、液体水素担体中へ、およびその外へ、触媒を直線的に動かすステップを含む、[37]に記載の方法。
[40]
相対的な動きを生じさせるステップが、触媒に対して液体水素担体を動かすため、水素ガス反応器の筐体の少なくとも1つの壁を動かすステップを含む、[37]に記載の方法。
[41]
水素ガスの目標流量を決定するステップと、
観測される水素ガス流量と、水素ガスの目標流量との間の差を低減するように構成されたフィードバックループに基づいて、液体水素担体に対する触媒の動きを制御するステップと
をさらに含む、[37]に記載の方法。
[42]
水素ガス反応器中の水素ガスの目標圧力を決定するステップと、
水素ガス反応器内の水素ガスの観測圧力と、目標圧力値との間の差に基づいて、液体水素担体に対する触媒の動きを制御するステップと
をさらに含む、[37]に記載の方法。
[43]
圧力センサを用いて、水素ガス反応器中の水素ガスの圧力の変化の速度を決定するステップと、
決定された圧力の変化の速度が閾値を下回る場合、水素ガス反応器中の液体水素担体から、水素を抽出することによって形成される、使用済液体水素担体の一部を除去するステップと、
液体水素担体を水素ガス反応器中に流し込むステップと
をさらに含む、[37]に記載の方法。
[44]
液体水素担体から水素ガスを抽出するためのシステムであって、
第1の水素ガス排出口を有する第1の水素ガス反応器と、
第2の水素ガス排出口を有する少なくとも第2の水素ガス反応器と、
第1の水素ガス排出口から受け入れた水素ガスを逆止弁に運ぶように構成された第1の枝管、第2の水素ガス排出口から受け入れた水素ガスを前記逆止弁に運ぶように構成された第2の枝管、および流出末端を含む、水素ガス流導管と
を含み、
第1および第2の水素ガス反応器が、液体水素担体を触媒に曝露することによって水素ガスを抽出するように構成され、
前記逆止弁が、第1の枝管における圧力と流出末端における圧力との間の圧力差が正であり、かつ閾値を上回る場合に、第1の枝管から流出末端に水素ガスを流し、第2の枝管から流出末端への水素ガスの流れを閉鎖するように構成され、
前記逆止弁が、第2の枝管における圧力と流出末端における圧力との間の圧力差が正であり、かつ閾値を上回る場合に、第2の枝管から流出末端に水素ガスを流し、第1の枝管から流出末端への水素ガスの流れを閉鎖するように構成された、システム。
[45]
前記逆止弁が、第1の水素ガス反応器または第2の水素ガス反応器の一方の燃料補給中に、流出末端において、水素ガスの連続流を提供するように構成された、[44]に記載のシステム。
[46]
液体水素担体が、水素化ホウ素金属の液体溶液を含む、[44]に記載のシステム。
[47]
第1の水素ガス反応器が、第1の水素ガス反応器に流体接続された第1の液体水素担体リザーバを含み、第1の液体水素担体リザーバと第1の水素ガス反応器との間の液体水素担体の流れが、第1の液体水素担体リザーバと第1の水素ガス反応器との間の圧力差に応答性である、[44]に記載のシステム。
[48]
第1の液体水素担体リザーバに関係する圧力を測定するための圧力センサをさらに含む、[47]に記載のシステム。
[49]
第1の液体水素担体リザーバが、第1の液体水素担体リザーバ中へ、およびその外へガスを流すように構成されたガスリザーバ導管を含む、[48]に記載のシステム。
[50]
リザーバガス導管が、ガスリザーバ導管弁を含む、[49]に記載のシステム。
[51]
圧力センサから受信した圧力値に基づいて、ガスリザーバ導管弁を開く、および閉じるための制御部をさらに含む、[50]に記載のシステム。
[52]
第1の水素ガス反応器と前記逆止弁との間の第1の枝管に位置付けられた第1の弁と、
第2の水素ガス反応器と前記逆止弁との間の第2の枝管に位置付けられた第2の弁と
をさらに含み、
第1および第2の弁が、第1および第2の枝管を通る、第1および第2の水素ガスの流れを制御するように構成された、[44]に記載のシステム。
[53]
液体水素担体を用いて水素ガスを抽出するためのシステムであって、
第1のガス排出口を有し、第1のガス排出口が、第1の流入側および第1の流出側を有する第1の逆止弁を含む、第1の水素ガス反応器と、
第2のガス排出口を有し、第2のガス排出口が、第2の流入側および第2の流出側を有する第2の逆止弁を含む、第2の水素ガス反応器と、
第1のガス排出口から受け入れた水素ガスを運ぶように構成された第1の枝管、
第2のガス排出口から受け入れた水素ガスを運ぶように構成された第2の枝管、および
流出末端
を含む水素ガス流導管と
を含み、
第1および第2の水素ガス反応器が、液体水素担体を触媒に曝露することによって水素ガスを抽出するように構成され、
第1の逆止弁が、第1の流入側と第1の流出側との間の圧力差が正であり、かつ閾値を上回る場合に、第1の水素ガス反応器から流出末端への水素ガスの流れを可能にするように構成され、
第2の逆止弁が、第2の流入側と第2の流出側との間の圧力差が正であり、かつ閾値を上回る場合に、第2の水素ガス反応器から流出末端への水素ガスの流れを可能にするように構成された、システム。
[54]
第1の液体水素担体チャネルを介して、第1の水素ガス反応器に流体接続された第1の液体水素担体リザーバをさらに含み、第1の液体水素担体リザーバと第1の水素ガス反応器との間の液体水素担体の流れが、第1の液体水素担体リザーバと第1の水素ガス反応器との間の圧力差に応答性である、[53]に記載のシステム。
[55]
第1の液体水素担体リザーバに関係する圧力を測定するための圧力センサをさらに含む、[54]に記載のシステム。
[56]
第1の液体水素担体リザーバが、第1の液体水素担体リザーバ中に、およびその外にガスを流すように構成されたガスリザーバ導管を含む、[55]に記載のシステム。
[57]
ガスリザーバ導管が、ガスリザーバ導管弁を含む、[56]に記載のシステム。
[58]
圧力センサから受信した圧力値に基づいて、ガスリザーバ導管弁を開く、および閉じるための制御部をさらに含む、[57]に記載のシステム。
[59]
第1の水素ガス反応器中の水素ガスの温度を測定するように構成された、反応器温度センサと、
第1の水素ガス反応器中の水素ガスの測定温度と、水素ガスの目標温度とに基づいて、いつ第1の水素ガス反応器が冷却を要求するかを決定し、
第1の水素ガス反応器内の水素ガスの温度を監視しながら、第1の水素ガス反応器を液体冷却する
ように構成された、制御システムと
をさらに含む、[57]に記載のシステム。
[60]
水素ガス流導管の流出末端に流出弁をさらに含み、流出弁が、流出末端における水素ガスの流量を制御するように構成された、[53]に記載のシステム。
[61]
水素ガス反応器のシステムを用いて、液体水素担体から水素ガスを抽出するための方法であって、
第1の水素ガス反応器中の第1の液体水素担体を第1の触媒に曝露することによって、第1の水素ガス反応器中で水素ガスを発生させるステップと、
発生した水素ガスを、第1の水素ガス反応器から、第1の水素ガス反応器に関係する第1の水素ガス排出口と流体連通した第1の逆止弁に供給するステップと、
第2の水素ガス反応器中の第2の液体水素担体を第2の触媒に曝露することによって、第2の水素ガス反応器中で水素ガスを発生させるステップと、
発生した水素ガスを、第2の水素ガス反応器から、第2の水素ガス反応器に関係する第2の水素ガス排出口と流体連通した第2の逆止弁に供給するステップと、
第1の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力が、外部負荷に基づいて必要とされる圧力値よりも高い場合、発生した水素ガスを、第1の水素ガス反応器から第1の逆止弁を通して流すステップと、
第1の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力が、外部負荷に基づいて必要とされる圧力値以下の場合、第1の水素ガス反応器からの第1の逆止弁を通る水素ガスの流れを閉鎖するステップと、
第2の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力が、外部負荷に基づいて必要とされる圧力値よりも高い場合、発生した水素ガスを、第2の水素ガス反応器から第2の逆止弁を通して流すステップと、
第2の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力が、外部負荷に基づいて必要とされる圧力値以下の場合、第2の水素ガス反応器からの第2の逆止弁を通る水素ガスの流れを閉鎖するステップと
を含み、
システムが、水素ガスを、第1の水素ガス反応器から流すステップと、第2の水素ガス反応器から流すステップとで、交替するように構成された、方法。
[62]
水素ガスを、第1の水素ガス反応器から流すステップと、第2の水素ガス反応器から流すステップとで交替するステップが、第1の水素ガス反応器の第1の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力が、選択された圧力値だけ、第2の水素ガス反応器の第2の水素ガス排出口に関係する水素ガス圧力よりも低い場合、水素ガスを、第1の水素ガス反応器から流すステップと、第2の水素ガス反応器から流すステップとで切り替えるステップを含む、[61]に記載の方法。
[63]
第1の水素ガス反応器または第2の水素ガス反応器の一方の燃料補給中に、逆止弁の流出末端において、水素ガスの連続流を提供するステップをさらに含む、[62]に記載の方法。