IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特許7387727油状分散体中のアクリル系無水物ポリマー及びアミン化合物を使用してケラチン物質を処置するための方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】油状分散体中のアクリル系無水物ポリマー及びアミン化合物を使用してケラチン物質を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20231120BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20231120BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20231120BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/06
A61K8/31
A61K8/898
A61Q1/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021519580
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019077630
(87)【国際公開番号】W WO2020074720
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】1859443
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ポルタル
(72)【発明者】
【氏名】シモン・トパン
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538736(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第03030256(FR,A1)
【文献】特開2011-126885(JP,A)
【文献】特開昭60-240749(JP,A)
【文献】国際公開第2017/108593(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/108594(WO,A1)
【文献】特表2018-501240(JP,A)
【文献】特表2017-501171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
唇を処置するための方法であって、
1)前記唇への、
i)エチルアクリレートと無水マレイン酸からなるエチレン系コポリマーからなる粒子;及び
ii)イソボルニルアクリレートとエチルアクリレートとのコポリマーからなる安定剤;及び
iii)イソドデカンである炭化水素ベースの油
を含む、無水である油状分散体(A)の塗布;
2)前記唇への、
iv)ポリ(ジメチルシロキサン)、ビス(3-アミノプロピル)末端(PDMS-diNH)、又はビス-セテアリルアモジメチコーン、2-[(2-アミノエチル)アミノ]プロピルMe、ジ-Me、[(C14-20アルキルジメチルシリル)オキシ]-末端から選択される1つ又は複数のアミン化合物;及び
v)イソドデカンである炭化水素ベースの油
を含む、無水である組成物(B)の塗布
を含み、
- 前記方法は、a)顔料、及びc)UV-遮断剤、並びにまたd)それらの混合物から選択されるvi)1つ又は複数の化粧用活性剤を使用し、成分a)、c)及びd)は、組成物(A)中、及び/又は組成物(B)中に見出され;及び
- 組成物(A)及び(B)は、合わせて塗布され得るか又は個別に塗布され得る、方法。
【請求項2】
vi)前記化粧用活性剤は、カーボンブラック、黒色酸化鉄、及び酸化鉄でコーティングされたマイカ、トリアリールメタン顔料、アゾ顔料、リソールレッドのアルカリ金属塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ1)とステップ2)との間にすすぎ洗いがなく、及び前記唇は、ステップ1)中の分散体(A)の塗布後に自然乾燥され、組成物(B)を塗布する前に、1分~6時間の待ち時間がある、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
キットであって、
・第一の区画において:請求項1から3のいずれか一項に規定される分散体(A)、及び
・第二の分離している区画において:請求項1から3のいずれか一項に規定される組成物(B)
を含むいくつかの分離している区画を有するキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、好ましくはヒトの皮膚、特に唇を処置するための方法であって、好ましくは少なくとも2つのステップにおいて、第一の段階での、前記物質への、i)アルキルアクリレートと無水アクリル系化合物とのコポリマーの粒子と、ii)安定剤と、iii)1つ又は複数の炭化水素ベースの油とを含む油状分散体(A)の塗布;及び次いで、第二の段階での、前記物質への、iv)1つ又は複数のアミン化合物を含む組成物(B)の塗布を伴い、本発明の方法は、a)顔料、b)ケラチン物質、好ましくは皮膚をケアするための活性剤、及びc)UV-遮断剤、並びにまたd)それらの混合物から選択されるv)1つ又は複数の化粧用活性剤を使用し、成分a)~d)は、場合により、組成物(A)中、及び/又は組成物(B)中、及び/又は別の組成物(C)中に見出されることが理解される、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老化の過程中、皮膚に各種の徴候が現れ、それらは、この老化において極めて特徴的なものであり、皮膚の構造及び機能における変化を顕著に反映する。皮膚の老化の主な臨床的徴候は、特に微細な線及び深い皺が出現することであり、それらは、年齢と共に増える。
【0003】
老化に対処することが可能な活性剤、例えばα-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸及びレチノイドを含む化粧品的又は皮膚科学的な組成物を使用して、それらの老化の徴候を処置することは、公知の慣行である。それらの活性剤は、死んだ皮膚細胞を除去し、且つ細胞の更新過程を加速することによって皺に作用する。しかしながら、それらの活性剤は、ある程度の塗布時間が経過してのみ、皺の処置に有効となるという欠点を有する。現在、皺及び微細な線を急速に滑らかにし、疲労の徴候を消すように、使用した活性剤から直ちに効果が得られることが一層求められている。
【0004】
化粧用製品では、多くの場合、良好な美容的性能を有する製品をケラチン物質上に析出させるために皮膜形成性ポリマーを使用することが必要とされる。具体的には、皮膜形成性の析出には、特にその析出物が指又は布との接触中に移行しないことと、また、水、特に雨との接触時又はシャワー中若しくは発汗中及びまた食用の脂肪分、特に食用油に対して良好な抵抗性を有することとが必要とされる。
【0005】
有機媒体、例えば炭化水素ベースの油中において、ナノメートルサイズのポリマー粒子の分散体を使用することは、公知の慣行である。ポリマーは、メイクアップ製品、例えばマスカラ、アイライナー、アイシャドー又は口紅における皮膜形成剤として特に使用されている。(特許文献1)は、その実施例において、ポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマーを用いて安定化されたアクリル系ポリマーの、炭化水素ベースの油(流動パラフィン、イソドデカン)中での分散体を記載している。その分散体を皮膚に対して塗布した後に得られる膜は、光沢がほとんどない。(特許文献2)は、唇及びまつ毛をメイクアップするための、炭化水素ベースの油を含む表面安定化ポリマー粒子の分散体の使用を記載している。(特許文献3)は、安定化ポリマーを用いて安定化されたアクリル系ポリマーの、イソドデカン中の分散体を記載している。可逆的な連鎖移動調節ラジカル重合で調製されたものにおいて。(特許文献2)は、唇及びまつ毛をメイクアップするための、炭化水素ベースの油を含む表面安定化ポリマー粒子の分散体の使用を記載している。加えて、特に唇の上での光沢効果も常に満足がいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第A-749 747号明細書
【文献】仏国特許出願公開第1362795号明細書
【文献】国際公開第A2010/046229号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚、より好適には顔の皮膚を処置するための方法であって、伸張、ケア又は紫外線(UV)保護効果などの化粧用活性剤の作用の、外部からの攻撃因子及び時間経過に関する良好な抵抗性を有するが、唇のメイクアップなどのメイクアップの良好な持続性も有する、方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この技術的課題は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
1)前記物質への、
i)1つ又は複数の粒子であって、
a)(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレート、好ましくは(C~C)アルキル(メタ)アクリレート;及び
b)エチレン性不飽和無水化合物、好ましくは無水マレイン酸
の1つ又は複数のエチレン系コポリマーからなる1つ又は複数の粒子;及び
ii)1つ又は複数の安定剤であって、
c)(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートモノマーのポリマー;及び
d)(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートと(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレートとのコポリマー
から選択されるエチレン系ポリマーからなる1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の炭化水素ベースの油
を含む、好ましくは無水である油状分散体(A)の塗布;
2)前記物質への、
iv)1つ又は複数のアミン化合物であって、
e)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン化合物、及び
f)アミノアルコキシシラン
から選択される1つ又は複数のアミン化合物
を含む、好ましくは無水である組成物(B)の塗布
を含み、
- 本発明の方法は、a)顔料、b)ケラチン物質、好ましくは皮膚をケアするための活性剤、及びc)UV-遮断剤、並びにまたd)それらの混合物から選択されるv)1つ又は複数の化粧用活性剤を使用し、成分a)~d)は、場合により、組成物(A)中、及び/又は組成物(B)中、及び/又は別の組成物(C)中に見出され;及び
- 組成物(A)、(B)及び(C)は、合わせて塗布され得るか又は個別に塗布され得ることが理解される、方法である本発明の方法によって解決された。
【0009】
より好適には、本発明の方法は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚、より好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
1)前記物質への、
i)1つ又は複数の粒子であって、
a)(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレート、好ましくは(C~C)アルキル(メタ)アクリレート;及び
b)エチレン性不飽和無水化合物、好ましくは無水マレイン酸
の1つ又は複数のエチレン系コポリマーからなる1つ又は複数の粒子;及び
ii)1つ又は複数の安定剤であって、
c)(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートモノマーのポリマー;及び
d)(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートと(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレートとのコポリマー
から選択されるエチレン系ポリマーからなる1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の炭化水素ベースの油
を含む、好ましくは無水である油状分散体(A)の塗布、その後、
2)前記物質への、
iv)1つ又は複数のアミン化合物であって、
e)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン化合物、及び
f)アミノアルコキシシラン
から選択される1つ又は複数のアミン化合物
を含む、好ましくは無水である組成物(B)の塗布
を含み、
本発明の方法は、v)a)顔料、b)ケラチン物質、好ましくは皮膚をケアするための活性剤、及びc)UV-遮断剤、並びにまたd)それらの混合物から選択される1つ又は複数の化粧用活性剤を使用し、成分a)~d)は、場合により、組成物(A)中、及び/又は組成物(B)中、及び/又は別の組成物(C)中に見出されることが理解される、方法である。
【0010】
第一のステップ中、先に定義された通りの油状分散体(A)と、次いで続くステップ中、先に定義された通りの1つ又は複数のアミン化合物を含む組成物(B)及び任意選択的に組成物(C)とを少なくとも2つの連続のステップにおいて使用する、ケラチン物質を処置するためのこの方法により、汗、シャワージェル、水及び脂肪物質、特に植物性又は動物性の食用油及びより特に植物油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、クルミ油、ハシバミ油などに対して顕著な抵抗性を有する、前記ケラチン物質の処置を得ることが可能となる。
【0011】
本特許出願のケラチン物質の処置方法は、皮膚又は唇のメイクアップ、例えばファンデーション及び口紅にも適している。
【0012】
本特許出願の主題は、皮膚又は唇、より特に顔の皮膚、特に皺がよった皮膚をケア又はメイクアップするための方法、特に美容的方法であって、皮膚又は唇に、先に説明したような組成物、特に化粧用組成物(A)及び(B)並びに任意選択的に(C)を局所的に塗布することを含む方法、特に美容的方法でもある。
【0013】
本発明の主題は、皮膚、より特に顔の皮膚、特に皺がよった皮膚をケアするための方法、特に美容的方法であって、皮膚に、先に説明したような組成物、特に化粧用組成物(A)及び(B)並びに任意選択的に(C)を局所的に塗布することを含む方法、特に美容的方法でもある。
【0014】
本特許出願の方法は、特に、ヒトの顔の皮膚及び/又は身体の皮膚を滑らかにすること、並びに/又は皮膚の老化の徴候を減少又は消失させるために特に皮膚の皺及び/又は微細な線を減少又は消失させることを目的としている。
【0015】
本発明の主題は、先に説明したような組成物、特に化粧用組成物(A)及び(B)並びに任意選択的に(C)の、皮膚伸張剤としての、特に皺がよった皮膚のための美容的使用でもある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「伸張剤」という用語は、顕著な伸張効果を有する、すなわち皮膚を滑らかにし、且つ直ちに皺及び微細な線を減少させるか、又はさらにそれらを目立たなくさせることが可能な化合物を意味する。
【0017】
その伸張効果は、インビトロでの収縮試験によって特徴付けることができる。
【0018】
本発明の目的のため且つ特に断らない限り、
・「アルキル基」は、直鎖状又は分岐状で飽和のC~C、特にC~C、好ましくはC~C炭化水素ベースの基、例えばメチル、エチル、イソプロピル及びtert-ブチルであり;
・「アルキレン基」は、直鎖状又は分岐状で二価の飽和C~C、特にC~C、好ましくはC~C炭化水素ベースの基、例えばメチレン、エチレン又はプロピレンであり;
・「シクロアルキル」基は、1~3つの環、好ましくは2つの環を含み、且つ3~13個の炭素原子、好ましくは5~10個の炭素原子を含む環状で飽和の炭化水素ベースの基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル又はイソボルニルであり、そのシクロアルキル基は、場合により、1つ又は複数の(C~C)アルキル基、例えばメチルで置換され得、好ましくは、そのシクロアルキル基は、イソボルニル基であり;
・「環状」基は、1~3つの環、好ましくは1つの環を含み、且つ3~10個の炭素原子を含む、環状で飽和又は不飽和、芳香族又は非芳香族の炭化水素ベースの基、例えばシクロヘキシル又はフェニルであり;
・「アリール」基は、6~12個の炭素原子を含み、単環又は二環の、縮合又は非縮合である、環状で不飽和の芳香族炭化水素ベースの基であり;好ましくは、そのアリール基には、1つの環及び6つまでの炭素原子を含む、例えばフェニルであり;
・「アリールオキシ」基は、先に定義された通りのアリールを含む、アリール-オキシ、すなわちアリール-O-基、好ましくはフェノキシであり;
・「アリール(C~C)アルコキシ」基は、アリール-(C~C)アルキル-O-基、好ましくはベンゾキシである。
【0019】
油状分散体(A)
本発明の方法には、好ましくは、無水の媒体中において、ii)少なくとも1つの安定剤を用いて表面安定化されたi)少なくとも1つのポリマーの粒子を含み、iii)少なくとも1つの炭化水素ベースの油も含む油状分散体(A)を含む。
【0020】
さらに、本発明における分散体は、非水性媒体中の、少なくとも1つの表面安定化されたポリマーの、一般的には球状である粒子で構成される。
【0021】
i)ポリマー粒子
本発明の方法の分散体の粒子は、1つ又は複数の、a)(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレート、及びb)エチレン性不飽和無水化合物のエチレン系コポリマーで構成される。
【0022】
「エチレン系コポリマー」という用語は、2つのモノマー、すなわちモノマーa)である(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレートと、モノマーb)であるエチレン性不飽和無水化合物とを重合させることによって得られるポリマーを意味する。
【0023】
「エチレン性不飽和無水化合物」という用語は、少なくとも1つのエチレン性不飽和である、-(R)C=C(R)-、-C(R)=C(R)-R又は>C=C(R)-Rを含むカルボン酸無水化合物を意味し、ここで、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C~C)アルキル基、例えばメチル、好ましくは水素を表す。具体的には、そのエチレン性不飽和無水化合物は、好ましくは、5員又は6員であり、エチレン性不飽和を含む環状化合物である。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、その粒子i)を構成するポリマーは、以下のアクリレートのコポリマーである:
a)式HC=C(R)-C(O)-O-R’(ここで、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基、例えばメチルを表し、及びR’は、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状の(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル基、例えばメチル又はエチルを表す)、好ましくは直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状のC~Cアルキル(メタ)アクリレート、特にC~Cアルキル(メタ)アクリレート;及び
b)エチレン性不飽和無水物モノマー。
【0025】
特に、その粒子のポリマーは、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状のC~Cアルキル(メタ)アクリレート、特に直鎖状のC~Cアルキル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和無水物モノマーとのポリマーである。
【0026】
そのモノマーa)は、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート及びtert-ブチル(メタ)アクリレートから選択される。
【0027】
直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状のC~Cアルキルアクリレート、特に(C~C)アルキルアクリレートのモノマーを使用することが有利である。a)をメチルアクリレート及びエチルアクリレートから選択することが好適である。
【0028】
その粒子のポリマーは、エチレン性不飽和無水物モノマーb)も含む。
【0029】
本発明のエチレン性不飽和無水化合物b)は、無水マレイン酸(Ib)の誘導体及び無水イタコン酸(IIb)の誘導体:
【化1】
(式(Ib)及び(IIb)中、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;好ましくは、R、R及びRは、水素原子を表す)
から選択されることが好適である。
【0030】
より好適には、本発明のエチレン性不飽和無水物モノマーは、式(Ib)であり、さらにより好適には無水マレイン酸である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、その粒子i)のポリマーは、ポリマーの全質量を基準にして80質量%~99.99質量%のモノマーa)及び0.01質量%~20質量%のモノマーb)を含むか又はそれらから実質的になる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、その分散体(A)の粒子i)のコポリマーは、コポリマー又は粒子の全質量を基準にして80質量%~99.99質量%の成分a)及び0.01質量%~20質量%の成分b)を含む。a)の好ましい量は、コポリマー(又は粒子)の全質量を基準にして80質量%~99.99質量%、特に85質量%~98質量%、より好適には、コポリマーの全質量を基準にして87質量%~94質量%である。
【0033】
それらの粒子のポリマーは、以下から選択され得る:
- メチルアクリレート/無水マレイン酸のコポリマー;
- エチルアクリレート/無水マレイン酸のコポリマー;及び
- メチルアクリレート/エチルアクリレート/無水マレイン酸のコポリマー。
【0034】
その粒子のポリマーは、非架橋のポリマーであることが有利である。
【0035】
その分散体の粒子のポリマーは、2000~10000000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。
【0036】
その粒子のポリマーは、その分散体中において、分散体(A)の全質量を基準にして20質量%~60質量%の範囲、特に分散体(A)の全質量を基準にして21質量%~58.5質量%、好ましくは分散体(A)の全質量を基準にして30質量%~50質量%の範囲、より好適には分散体(A)の全質量を基準にして36質量%~42質量%の範囲の量で存在し得る。
【0037】
その粒子は、前記粒子のコアを構成するコポリマーa)及びb)からなることが好ましい。
【0038】
本発明の特定の実施形態では、その粒子i)は、コポリマーa)及びb)からなり、a)/b)の質量比は、両端を含めて、5.5~20、好ましくは6.5~16、さらにより好適には6.6~15.6である。
【0039】
ii)安定剤
本発明における分散体(A)は、1つ又は複数の安定剤ii)も含む。本発明では、1つのみのタイプの安定剤ii)が使用されることが好ましい。
【0040】
本発明の安定剤は、c)(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートモノマーのポリマー;並びにd)(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートと、(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレートとのコポリマーから選択されるエチレン系ポリマーで構成される。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、その安定剤ii)は、以下から選択されるエチレン系ポリマーで構成される:
c)式HC=C(R)-C(O)-O-R’’のモノマーのポリマー(ここで、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基、例えばメチルを表し、及びR’’は、(C~C10)シクロアルキル基、例えばノルボルニル又はイソボルニル、好ましくはイソボルニルを表す);及び
d)HC=C(R)-C(O)-O-R’と、HC=C(R)-C(O)-O-R’’とのコポリマー(ここで、R、R’及びR’’は、先に定義されたものである)。
【0042】
特に、その安定剤ii)は、以下から選択されるイソボルニル(メタ)アクリレートポリマーである:4超のイソボルニル(メタ)アクリレート/C~Cアルキル(メタ)アクリレート質量比において存在する、イソボルニル(メタ)アクリレートのホモポリマー及びイソボルニル(メタ)アクリレートとC~Cアルキル(メタ)アクリレートとのランダムコポリマー。有利には、前記質量比は、4.5~19の範囲である。
【0043】
それらのランダムコポリマーでは、規定された質量比にすることにより、安定である、特に室温で7日間貯蔵した後でも安定であるポリマー分散体を得ることが可能となる。
【0044】
有利には、その安定剤は、上述の質量比による、
- イソボルニルアクリレートのホモポリマー、
- イソボルニルアクリレート/メチルアクリレートのランダムコポリマー、
- イソボルニルアクリレート/エチルアクリレートのランダムコポリマー、及び
- イソボルニルアクリレート/メチルアクリレート/エチルアクリレートのランダムコポリマー
から選択される。
【0045】
分散体(A)中に存在するii)安定剤+i)ポリマー粒子の合計は、ii)安定剤+i)ポリマー粒子の合計の全質量を基準にして10質量%~50質量%のコポリマーd)と、50質量%~90質量%のポリマーc)とを含むことが有利である。
【0046】
分散体中に存在するii)安定剤+ii)ポリマー粒子の合計は、ii)安定剤+i)ポリマー粒子の合計の全質量を基準にして15質量%~30質量%のコポリマーd)と、70質量%~85質量%のポリマーc)とを含むことが好適である。
【0047】
iii)炭化水素ベースの油
本発明における分散体(A)は、1つ又は複数の、同一であるか又は異なる、好ましくは同一の炭化水素ベースの油を含む。「油」という用語は、室温(25℃)、大気圧で液体である脂肪物質を意味する。
【0048】
「炭化水素ベースの油」という用語は、炭素原子及び水素原子並びに任意選択的に酸素原子及び窒素原子から形成されるか又はさらにそれらから構成され、且つケイ素原子又はフッ素原子を全く含まない油を意味する。それに含まれるのは、ヒドロキシル、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミドの基である。
【0049】
その炭化水素ベースの油は、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、その炭化水素ベースの油は、揮発性であるか又は複数の揮発性油の混合物であり、より好適にはイソドデカン及びオクチルドデカノールから選択される。
【0051】
特定の実施形態では、その炭化水素ベースの油は、揮発性油と不揮発性油との混合物である。
【0052】
「揮発性油」という用語は、室温、大気圧下で、皮膚と接触させてから1時間以内に蒸発することが可能な油(又は非水性媒体)を意味する。その揮発性油は、揮発性の化粧品用油であって、室温では液状であり、特に室温、大気圧下ではゼロでない蒸気圧を有し、特に0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、好適には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する。
【0053】
「不揮発性油」という用語は、0.13Pa未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0054】
揮発性のシリコーン油としては、以下が挙げられる:揮発性の直鎖状又は環状のシリコーン油、特に8センチストークス(cSt)(8×10-6/s)以下の粘度を有し、特に2~10個のケイ素原子、特に2~7つのケイ素原子を含むものであり、それらのシリコーンは、任意選択的に、1~10個の炭素原子を含むアルキル基又はアルコキシ基を含む。本発明において使用可能な揮発性のシリコーン油としては、特に以下が挙げられる:5及び6cStの粘度を有するジメチコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルへキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物。
【0055】
不揮発性シリコーン油としては、以下を挙げることができる:直鎖状又は環状の不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);シリコーン鎖にペンダントするか又は末端に、アルキル、アルコキシ及び/又はフェニル基(これらの基は、2~24個の炭素原子を含む)を含むポリジメチルシロキサン、;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート及びペンタフェニルシリコーン油。
【0056】
その炭化水素ベースの油は、以下から選択することができる:
8~14個の炭素原子を含む炭化水素ベースの油、特に、
- 分岐状のC~C14アルカン、例えば石油由来のC~C14イソアルカン(イソパラフィンとも呼ばれる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとも呼ばれる)、イソデカン及び例えばIsopar又はPermethylの商品名で販売されているもの、
- 直鎖状のアルカン、例えばn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)(SasolからそれぞれParafol 12-97及びParafol 14-97の名称で販売)及びそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、n-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物(国際公開第2008/155059号パンフレット(Cognis社)の実施例1及び2で得られる)並びにそれらの混合物、
- (合計して3~8つの炭素原子を含む)短鎖エステル、例えばエチルアセテート、メチルアセテート、プロピルアセテート又はn-ブチルアセテート、
- 植物由来の炭化水素ベースの油、例えばグリセロールの脂肪酸エステルで構成されるトリグリセリドであり、それらの脂肪酸は、C~C24の範囲の鎖長を有し得、それらの鎖は、直鎖状又は分岐状及び飽和又は不飽和であり得;これらの油は、特に、ヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリドであるか、又は代わりに以下である:コムギ胚種油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、トウモロコシ油、アンズ油、ヒマシ油、シアバター油、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ハシバミ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、インゲンマメ油、ナタネ油、クロフサスグリ油、オオマツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、サフラワー油、ククイ油、トケイソウ油又はジャコウバラ油;シアバター;又は他にカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearinerie Dubois社から販売されているもの又はDynamit Nobel社からMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているもの、
- 10~40個の炭素原子を含む合成エーテル、
- 鉱物由来又は合成由来の直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、スクアラン及び流動パラフィン並びにそれらの混合物、
- 合成エステル、例えば式RC(O)-O-Rの油(ここで、Rは、1~40個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状の脂肪酸残基を表し、及びRは、特に、1~40個の炭素原子を含む分岐状の炭化水素ベースの鎖を表し、但し、R+R≧10である)、例えばパーセリン油(セトステアリルオクタノエート)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、C12~C15アルキルベンゾエート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、アルコール若しくはポリアルコールのヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート又はリシノレエート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、ジイソステアリルマレート及び2-オクチルドデシルラクテート;ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、
- 12~26個の炭素原子を含み、分岐状及び/又は不飽和の炭素ベースの鎖を有する、室温で液状である脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール及び2-ウンデシルペンタデカノール。
【0057】
炭化水素ベースの油に加えて、分散体(A)は、シリコーン油を含み得る。シリコーン油が分散体(A)中にある場合、それは、好ましくは、分散体(A)の質量を基準にして10質量%を超えない量、より特に5質量%未満、好適には2質量%未満の量であることが好ましい。「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子と、特に少なくとも1つのSi-O基とを含む油を意味する。そのシリコーン油は、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0058】
特定の実施形態では、その分散体(A)は、その組成物中に存在する油の全質量を基準にして60質量%~100質量%の範囲の含量にある炭化水素ベースの油と、0~40質量%のシリコーン油とを含む。本発明の好ましい実施形態では、その組成物は、油として炭化水素ベースの油のみを含む。
【0059】
本発明の炭化水素ベースの油は、無極性である、すなわち炭素と水素原子のみから形成されることが有利である。
【0060】
その炭化水素ベースの油は、好ましくは、8~14個の炭素原子を含む炭化水素ベースの油から選択され、それらは、先に述べたように、特に揮発性であり、より特に無極性の油である。
【0061】
本発明の炭化水素ベースの油は、イソドデカンであることが好適である。
【0062】
本発明の別の有利な実施形態では、その炭化水素ベースの油は、不揮発性油と揮発性油との混合物であり、好ましくは、その混合物は、揮発性油としてイソドデカンを含む。特に、その混合物中での不揮発性油は、フェニルシリコーン油であり、好ましくはペンタフェニルシリコーン油から選択される。
【0063】
本発明の特定の実施形態では、その方法で使用される組成物の(B)及び(C)は、先に定義された通りの少なくとも1つの油、特に炭化水素ベースの油も含む。
【0064】
その分散体のポリマー粒子は、好ましくは、5~500nmの範囲、特に10~400nmの範囲、さらにより良好には20~300nmの範囲の数平均サイズを有する。
【0065】
分散体(A)を調製するための方法
本発明における分散体は、これらに限定されないが、一般的に、以下の方法で調製することができる。
【0066】
重合は、「分散体」の形態、すなわち1つ又は複数の安定剤、好ましくは1つの安定剤を用いて、形成された粒子を保護しながら、形成されたポリマーを沈降させることにより実施される。
- 第一のステップでは、安定化ポリマーc)又はd)の構成成分のモノマーを、iv)フリーラジカル開始剤と共に、合成溶媒として公知の溶媒中で混合し、それらのモノマーを重合させることにより、安定化ポリマー(又は安定剤ii))を調製し;
- 第二のステップでは、粒子i)のポリマーの構成成分のモノマーを、先行するステップで形成させた安定化ポリマーに添加し、フリーラジカル開始剤の存在下において、これらの展開したモノマーの重合を実施する。
【0067】
非水性媒体が不揮発性の炭化水素ベースの油iii)である場合、その重合は、無極性の有機溶媒(合成溶媒)中で実施され得、続けて不揮発性炭化水素ベースの油(これは、前記合成溶媒と混和性がなければならない)を添加し、且つ合成溶媒を選択的に留去する。
【0068】
その第一ステップ中、化粧用薬剤、好ましくは顔料を添加する。別の変形形態では、その化粧用薬剤、好ましくは顔料を第二ステップの途中又は第二ステップ後に添加する。
【0069】
したがって、安定化ポリマーのモノマーとフリーラジカル開始剤がその中に可溶性であり、且つ得られたポリマー粒子がその中に非溶性であって、それらが形成されている間にその中で沈降しなければならないような合成溶媒が選択される。
【0070】
具体的には、選択される合成溶媒は、無極性で有機のものであり、好ましくはアルカン、例えばヘプタン又はシクロヘキサンから選択される。
【0071】
その非水性媒体が揮発性の炭化水素ベースの油iii)である場合、その重合は、前記油(したがって、合成溶媒としても機能する)中で直接実施することができる。モノマー類も、フリーラジカル開始剤と同様に、その中に可溶性でなければならず、及びその中で得られる粒子のポリマーは、その中に不溶性でなければならない。
【0072】
その第一ステップ中、化粧用薬剤v)、好ましくは顔料を添加し得る。別の変形形態では、色素及び/又は顔料を、第二ステップの途中又は第二ステップ後に添加する。
【0073】
したがって、安定化ポリマーのモノマーとフリーラジカル開始剤がその中に可溶性であり、且つ得られたポリマー粒子がその中に非溶性であって、それらが形成されている間にその中で沈降しなければならないような、合成溶媒が選択される。
【0074】
具体的には、選択される合成溶媒は、無極性で有機のものであって、好ましくはアルカン、例えばヘプタン又はシクロヘキサンから選択される。
【0075】
その非水性媒体が揮発性の炭化水素ベースの油iii)である場合、その重合は、前記油(したがって、合成溶媒としても機能する)中で直接実施することができる。モノマー類も、フリーラジカル開始剤と同様に、その中に可溶性でなければならず、及びその中で得られる粒子のポリマーは、その中に不溶性でなければならない。
【0076】
モノマーは、重合前に合成溶媒中に5質量%~45質量%の比率で存在することが好ましい。反応が開始される前にモノマーの全量が溶媒中に存在し得るか、又は重合反応の進行に伴って徐々にモノマーが少しずつ添加され得る。
【0077】
その重合は、1つ又は複数のvi)フリーラジカル開始剤、特に以下のタイプのものの存在下で実施されることが好適である:
- ペルオキシド、特にtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート:Trigonox21S;2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン:Trigonox141;tert-ブチルペルオキシピバレート:Trigonox25C75(AkzoNobel製)から選択されるもの;又は
- アゾ、特にAIBN:アゾビスイソブチロニトリル;V50:2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリドから選択されるもの。
【0078】
重合は、70~110℃の温度範囲で大気圧下において実施されることが好ましい。
【0079】
ポリマー粒子i)は、それらが重合で形成される際に、安定剤ii)の手段によって表面安定化される。
【0080】
その安定化は、各種公知の手段、特に重合中に安定剤ii)を直接添加することによって実施することができる。
【0081】
安定剤ii)は、粒子i)のポリマーのモノマーを重合させる前から、混合物中に存在させておくのも好ましい。しかしながら、特に粒子i)のポリマーのモノマーを連続的に添加するような場合、安定剤を連続的に添加することも可能である。
【0082】
使用されるモノマー(安定剤ii)+ポリマー粒子i))の全質量を基準にして10質量%~30質量%、好ましくは15質量%~25質量%の安定剤を使用し得る。
【0083】
そのポリマー粒子の分散体(A)は、有利には、前記分散体の全質量を基準にして30質量%~65質量%、好ましくは前記分散体の全質量を基準にして40質量%~60質量%の固形分を含む。
【0084】
本発明における組成物には、好ましくは、組成物(A)の全質量を基準にして1質量%~50質量%の範囲、好ましくは2質量%~30質量%の範囲の、粒子i)のポリマー+分散ポリマーii)の含量を含む。
【0085】
本発明の好ましい実施形態では、その本発明における分散体(A)は、無水の組成物である。
【0086】
「無水の」分散体又は組成物という用語は、2質量%未満の水、さらに0.5質量%未満の水のみを含むか、又は特に水を全く含まない分散体又は組成物を指す。適切な場合、そのような少量の水は、特に、残存量の水を含む可能性のある組成物の成分から、導入される可能性もある。
【0087】
本特許出願の別の実施形態では、その分散体(A)は、逆相エマルション、すなわち油中水(W/O)タイプにおけるものである。この場合、その組成物は、1つ又は複数の界面活性剤を含み、それは、好ましくは、ノニオン性である。メイクアップ、特にマスカラでは、(A)の逆相エマルションを選択することが好ましい。
【0088】
組成物(B)
本発明の方法の組成物Bは、1つ又は複数のアミン化合物iv)を含む。
【0089】
iv)アミン化合物:
本発明の方法において使用されるアミン化合物は、以下から選択される:
e)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン、及び
f)アミノアルコキシシラン。
【0090】
本発明における方法で使用されるアミン化合物は、特に、アミノアルコキシシラン化合物、ジアミン化合物及びトリアミン化合物から選択される。
【0091】
本発明の特定の実施形態では、そのポリアミン化合物は、特に2~20個の炭素原子を含み、及びそのポリアミン化合物は、特にポリマー性ではない。
【0092】
「ポリマー性ではない」という用語は、モノマーの重合反応を介して直接得られない1つ又は複数の化合物を指す。
【0093】
ポリアミン化合物としては、特に以下が挙げられる:N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N-プロピル-1,3-ジアミノプロパン、N-イソプロピル-1,3-ジアミノプロパン、N-シクロヘキシル-1,3-ジアミノプロパン、2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、N-(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N,N-ジメチルジプロピレントリアミン、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、リシン、シスタミン、キシレンジアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン及びスペルミジン。
【0094】
本発明の別の特定の実施形態では、そのアミン化合物iv)は、例えば、式(IVa)のものなどのf)アミノアルコキシシランから選択される:
R’-Si(OR’(R’ (IVa)
(式(IVa)中、
・R’は、以下の群:
- 一級アミンNH又は二級アミンN(H)R(ここで、Rは、(C~C)アルキル基を表す)、
- アミノ基若しくは(C~C)アルキルアミノ基で又はC~Cアミノアルキル基で置換されたアリール又はアリールオキシ、及び
- アルデヒド-C(O)-H、カルボキシル-C(O)-OH、アミド-C(O)-NH又は尿素-NH-C(O)-NH
から選択される1つ又は複数の基で置換された直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和、環状又は非環状のC~C10炭化水素ベースの鎖であり;
R’は、任意選択的に、その炭化水素ベースの鎖において、1つ又は複数のヘテロ原子(特にO、S、NH)、カルボニル基(CO)又はそれらの組合せ、例えばエステルの-C(O)-O-又はアミドの-C(O)-NH-で中断され;R’は、炭素原子を介してケイ素原子に結合されており;
・R’及びR’は、同一であるか又は異なり得、1~6つの炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、
・zは、1~3の範囲の整数を表し、及び
・xは、0~2の範囲の整数を表し、ここで、z+x=3である)。
【0095】
R’は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を表すことが好ましい。
【0096】
R’は、1~4つの炭素原子を有する直鎖のアルキル基を表すことが好ましい。
【0097】
R’は、エチル基を表すことが好ましい。
【0098】
R’は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を表すことが好ましい。
【0099】
R’は、1~4つの炭素原子を有する直鎖のアルキル基を表すことが好ましい。
【0100】
R’は、メチル基又はエチル基を表すことが好ましい。
【0101】
R’は、非環状の鎖であることが好ましい。
【0102】
好ましくは、R’は、アミンNH基又はN(H)R基で置換された直鎖状又は分岐状で飽和又は不飽和のC~C炭化水素ベースの鎖であり、ここで、Rは、C~Cアルキル基、C~Cシクロアルキル基又はC芳香族基である。
【0103】
R’は、アミン基NHで置換された飽和で直鎖状のC~C炭化水素ベースの鎖であることが好適である。
【0104】
R’は、アミン基NHで置換された飽和で直鎖状のC~C炭化水素ベースの鎖であることがより好適である。
【0105】
R’は、アミン基NHで置換された飽和で直鎖状のC~C炭化水素ベースの鎖であることが好ましい。
【0106】
R’は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0107】
R’は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0108】
好ましくは、zは、3に等しい。
【0109】
式(IVa)のアミノアルコキシシランは、以下から選択されることが好ましい:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-アミノエチルトリエトキシシラン(AETES)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、p-アミノフェニルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン。
【0110】
アミノアルコキシシラン(IVa)は、以下から選択されることが好ましい:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3-アミノエチルトリエトキシシラン(AETES)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン。
【0111】
アミノアルコキシシラン(IVa)は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)であることが好ましい。
【0112】
アミン化合物は、以下から選択されることが好ましい:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N-プロピル-1,3-ジアミノプロパン、N-イソプロピル-1,3-ジアミノプロパン、N-シクロヘキシル-1,3-ジアミノプロパン、2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、N-(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N,N-ジメチルジプロピレントリアミン、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン及びリシン。
【0113】
アミン化合物は、以下から選択されることが好適である:エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン及び3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)。
【0114】
アミン化合物は、エチレンジアミン又は3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)であることがより好適である。
【0115】
アミン化合物は、e)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン、特にアミンポリマー、特に500~1000000の範囲、好ましくは500~500000の範囲、好適には500~100000の範囲の質量平均分子量を有するものからも選択され得る。
【0116】
アミンとして又はポリアミンポリマーe)としては、ポリ((C~C)アルキレンイミン)を使用し得、特に以下を使用できる:
- ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミン、特にポリ(エチレンイミン)(例えば、Aldrich Chemical社から商品番号46,852-3として販売されている製品);
- ポリ(アリルアミン)(例えば、Aldrich Chemical社から商品番号47,913-6として販売されている製品);
- ポリビニルアミン及びそのコポリマー、特にビニルアミドを含むもの;特に例を挙げれば、ビニルアミン/ビニルホルムアミドのコポリマー、例えばBASF社からLupamin(登録商標)9030の名称で販売されているもの;
- 例えばポリリシンのような、NH基を含むポリアミノ酸、例えばJNC株式会社(JNC Corporation)(旧、チッソ(Chisso))から販売されている製品;アミノデキストラン、例えばCarboMer Inc社から販売されている製品;
- アミノポリビニルアルコール、例えばCarboMer Inc社から販売されている製品のアクリルアミドプロピルアミンをベースとするコポリマー;
- キトサン;及び
- ポリジ(C~C)アルキルシロキサン、特に鎖末端又は側鎖にアミン基、特に末端又は側鎖にアミノ(C~C)アルキル基、例えばアミノプロピルを含むポリジメチルシロキサン、より特に式(IVb)、又は(IVc)、又は(IVd):
【化2】
(式(IVb)中、
及びRは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C~C)アルキル、例えばメチル、(C~C)アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニル、アリールオキシ、例えばフェノキシ、アリール(C~C)アルキル、例えばベンジル又はアリール(C~C)アルコキシ、例えばベンゾキシ、好ましくは(C~C)アルキル、例えばメチルの中からの基を表し;
及びR’は、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、水素原子、(C~C)アルキル基、アミノ(C~C)アルキル基又は(C~C)アルキルアミノ(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子又はアミノ(C~C)アルキル基、例えばアミノエチルを表し;
Xは、共有結合又は酸素原子、好ましくは共有結合を表し;
ALK及びALK’は、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C~C)アルキレン基、好ましくは(C~C)アルキレン基、例えばプロピレンを表し;
nは、2超の整数を表し、より特に、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500~55000であるようなものである)
のものである。
【0117】
式(IVb)のポリジ(C~C)アルキルシロキサンは、以下の式(IV’b)又は(IV’’b)であることが好適である:
【化3】
(式(IVb)中、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500~55000であるようなものである)。アミノシリコーン(IVb)又は(IV’b)の例としては、Gelest社からDMS-A11、DMS-A12、DMS-A15、DMS-A21、DMS-A31、DMS-A32及びDMS-A35の名称で販売されているものを挙げることができる;
式(IV’’b)におけるR、R’、ALK、ALK’及びnは、(IVb)で先に定義された通りのものである。好ましくは、ALK及びALK’が同一であり、(C~C)アルキレン基、例えばプロピレンを表し、R及びR’が同一であり、アミノ(C~C)アルキル基、例えばアミノエチルを表す)。
【0118】
特に挙げることができるのは、Genesee Polymersから商品名GP-RA-157として販売されている、ジメトキシシリルエチレンジアミノプロピルジメチコーン(RN:71750-80-6)である。
【化4】
(式(IVc)中、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C~C)アルキル、例えばメチル、(C~C)アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニル、アリールオキシ、例えばフェノキシ、アリール(C~C)アルキル、例えばベンジル又はアリール(C~C)アルコキシ、例えばベンゾキシ、好ましくは(C~C)アルキル、例えばメチルの中からの基を表し、Rは、(C~C)アルキルアミノ基又はアミノ基で置換された(C~C)アルキル基も表し得、
は、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;
ALKは、(C~C)アルキレン基、好ましくは(C~C)アルキレン、例えばプロピレンを表し;
n及びmは、同一であるか又は異なり得、2超の整数を表し、より特に、m及びnの値は、シリコーンの質量平均分子量が1000~55000であるようなものである)。
【0119】
式(IVc)のポリジ(C~C)アルキルシロキサンは、以下の式(IV’c)を有することが好適である:
【化5】
(式(IV’c)中、n及びmの値は、シリコーンの質量平均分子量が1000~55000であるようなものである)。シリコーン(IVc)の例としては、Gelest社からAMS-132、AMS-152、AMS-162、AMS-163、AMS-191及びAMS-1203の名称で販売されているものを挙げることができる:
【化6】
(式(IVd)中、R及びRは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C~C)アルキル、例えばメチル、(C~C)アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニル、アリールオキシ、例えばフェノキシ、アリール(C~C)アルキル、例えばベンジル又はアリール(C~C)アルコキシ、例えばベンゾキシ、好ましくは(C~C)アルキル、例えばメチルの中からの基を表し、及びRは、任意選択的に、(C~C)アルキルアミノ基又はアミノ基で置換された(C~C)アルキル基、好ましくは(C~C)アルキル、例えばイソブチル、tert-ブチル又はn-ブチルを表し、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;
ALKは、(C~C)アルキレン基、好ましくは(C~C)アルキレン、例えばプロピレンを表し、nは、2超の整数を表し、より特に、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500~5000であるようなものである)。
【0120】
式(IVd)のポリジ(C~C)アルキルシロキサンは、以下の式(IV’d)を有することが好適である:
NCHCHCH-Si(CH-O-[Si(CH-O]n-Si(CH (IV’d)
(式(IV’d)中、nの値は、シリコーンの質量平均分子量が500~3000であるようなものである)。シリコーン(IVd)の例としては、Gelest社からMCR-A11及びMCR-A12の名称で販売されている製品を挙げることができる;
- 式(IVe)のアモジメチコーン:
【化7】
(式(IVe)中、
及びRは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C~C)アルキル、例えばメチル、(C~C)アルコキシ、例えばメトキシ、アリール、例えばフェニル、アリールオキシ、例えばフェノキシ、アリール(C~C)アルキル、例えばベンジル又はアリール(C~C)アルコキシ、例えばベンゾキシ、好ましくは(C~C)アルキル、例えばメチルの中からの基を表し、
は、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;
は、ヒドロキシル、(C~C)アルコキシ、アミノ又は(C~C)アルキルアミノ基を表し、
は、(C~C)アルキル基、例えばメチル、(C~C)アルコキシ基、例えばメトキシ、ヒドロキシル又は-O-(SiRR’基(Rは、(C~C)アルキル基又は(C~C)アルコキシ基を表し、及びR’は、C~C)アルコキシ基又はヒドロキシル基を表す)を表し、好ましくは、Rは、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ又は-O-(SiRR’基(Rは、(C~C)アルキル基、例えばメチルを表し、及びR’は、ヒドロキシル基又は(C~C)アルコキシ基、例えばメトキシを表す)を表し;
は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、
ALK及びALK’は、同一であるか又は異なり得、(C~C)アルキレン基、好ましくは(C~C)アルキレン、例えばエチレン又はプロピレンを表し;
n及びmは、同一であるか又は異なり得、2超の整数を表し、p及びxは、0以上の整数を表し、好ましくは、pは、2~20であり、より特に、m、n、p及びxの値は、シリコーンの質量平均分子量が2000~700000、好適には5000~500000であるようなものである)。
【0121】
式(IVe)のアモジメチコーンは、以下の式(IV’e)であることが好適である:
【化8】
(式(IV’e)中、ALKは、(C~C)アルキレン基、好ましくはエチレンを表し、ALK’は、(C~C)アルキレン基、好ましくはプロピレンを表し、及びm、n及びpは、2超を表し、ここで、m、n及びpは、化合物の質量平均分子量が約5000~500000であるようなものであり、好ましくは、pは、8~20の整数を表す)。
【0122】
別の好ましい実施形態では、式(IVe)のアモジメチコーンは、以下の式の化合物から選択される:
【化9】
(式(IV’’e)中、
及びRは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C~C)アルキル基、例えばメチル、(C~C)アルコキシ基、例えばメトキシ、好ましくは(C~C)アルキル基、例えばメチルを表し、
は、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;
は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;
は、(C~C)アルキル基、例えばメチル、(C~C)アルコキシ基、例えばメトキシ又は-O-(SiR-R’(ここでRは、(C~C)アルキル基、例えばメチルを表し、及びR’は、ヒドロキシル又は(C~C)アルコキシ基、例えばメトキシを表す)を表し;
は、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、
ALKは、(C~C)アルキレン基、好ましくはエチレンを表し、
ALK’は、(C~C)アルキレン基、好ましくはプロピレンを表し、
n及びmは、同一であるか又は異なり得、2超の整数を表し、xは、0以上の整数であり;好ましくは、m、n及びxの値は、シリコーンの質量平均分子量が2000~700000、好適には5000~500000となるようにする)。
【0123】
より特に、(IV’’e)は、以下の式を表す:
【化10】
(式中、R、R、ALK、ALK’、m、nは、(IV’’e)で定義されたものである)。式(IV’’e)及び上記の式に属するアモジメチコーン及びトリメチルシロキシアモジメチコーンは、例えば、Wacker社から販売されているAMDタイプのアモジメチコーン及びトリメチルシロキシアモジメチコーン(Belsil(登録商標))であるが、アミノエチルアミノプロピル基を担持する、カチオン性60%水性エマルションとして、メトキシ及び/又はヒドロキシル官能基及びα-ωシラノールを担持するポリジメチルシロキサンも挙げられる(供給業者番号:Xiameter MEM-8299Emulsion(Dow Corning)又は供給業者番号:Belsil ADM 4000E(Wacker);
ノニオン性15%マイクロエマルションとして貯蔵されているアミノエチルイミノプロピル基を担持するポリジメチルシロキサン(供給業者番号:Belsil ADM Log1);
- ポリエーテルアミン、Huntsman社からの参照名Jeffamineとして知られているもの;及び特にポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールのα,ω-ジアミン(鎖末端にアミン官能基を担持している)、例えばJeffamine D-230、D-400、D-2000、D-4000、ED-600、ED-9000、ED-2003の名称で販売されているもの;
- ポリテトラヒドロフラン(すなわちポリテトラメチレングリコール)α,ω-ジアミン、ポリブタジエンα,ω-ジアミン;
- アミン末端基を有するポリアミドアミン(PANAM)デンドリマー;
- 一級又は二級アミンの側鎖官能基を担持するポリ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリルアミド、例えばポリ(3-アミノプロピル)メタクリルアミド又はポリ(2-アミノエチル)メタクリレート。
【0124】
ポリアミン化合物e)で、いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するアミノポリマーとしては、好ましくは、鎖末端又は側鎖に一級アミン基を含むポリジ(C~C)アルキルシロキサンが使用される。
【0125】
本発明における方法において使用されるそのポリアミン化合物e)は、鎖末端及び/又は側鎖に一級アミン基を含むポリジ(C~C)アルキルシロキサンから選択されることが有利である。
【0126】
より好適には、本発明の方法の組成物(B)中に含まれるアミン化合物iv)は、先に定義された通りの式(IVb)及び(IVe)、さらにより好適には先に定義された通りの(IV’b)及び(IV’e)のものから選択される。
【0127】
本発明の特定の実施形態では、組成物(B)は、1つ又は複数の先に定義された通りの炭化水素ベースの油iii)も含む。分散体(A)中及び組成物(B)中に含まれる炭化水素ベースの油は、同一であることが有利である。
【0128】
本発明の好ましい実施形態では、組成物(B)の炭化水素ベースの油は、8~14個の炭素原子を含む炭化水素ベースの油、特に先に説明したような無極性の油である。組成物(B)の炭化水素ベースの油は、イソドデカンであることがさらにより好適である。
【0129】
本発明の特定の実施形態では、組成物(B)は、水性又は水-アルコール性である。「水-アルコール性」という用語は、水と、直鎖状又は分岐状のC~Cアルカノール、好ましくはエタノールとの混合物を指す。
【0130】
本発明の1つの有利な実施形態では、組成物(B)は、水性又は水-アルコール性であって、好ましく、1つ又は複数のキトサン及び/又は1つ又は複数のポリアミノ酸、好ましくはポリリシンも含む。
【0131】
本発明の別の有利な実施形態では、組成物(B)が水性であって、水中のエマルションの形、特に油中水(W/O)タイプのエマルションの形態において、1つ又は複数の先に定義された通りのアルコキシシランf)を含む。
【0132】
本発明のさらに別の有利な実施形態では、組成物(B)が水性であって、水中油(O/W)型のエマルションの形で、1つ又は複数の先に定義された通りのポリアミンを含む。
【0133】
本発明における方法において使用されるアミン化合物は、アミン化合物iv)のアミン基/先に定義された通りの無水物b)のエチレン性不飽和無水化合物のモル比は、有利には0.01~10の範囲、好ましくは0.1~5の範囲、好適には0.1~2の範囲、より好適には0.1~1の範囲で使用される。
【0134】
本発明の少なくとも2段のステップの方法により、ケラチン物質が受ける可能性がある外部からの攻撃因子に対する良好な抵抗性、特に水及びセッケン、シャワージェル並びに食用油に対する良好な抵抗性を有する化粧用薬剤、特に顔料の析出物を得ることが可能となる。
【0135】
加えて、本発明の方法により、例えば化粧品特性を改良するか、又はケラチン物質、好ましくは皮膚、特に顔の皮膚、例えば唇に艶を与え、且つ外部からの攻撃因子に対する抵抗性があるような方法でそのようにする目的で、不揮発性化合物、特に油を捕捉することが可能となる。
【0136】
不揮発性油としては、以下が挙げられる:動物由来の炭化水素ベースの油、例えばペルヒドロスクアレン;炭化水素ベースの植物油、例えば4~10個の炭素原子の脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリド又は代わりにヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、グレープシード油、ゴマ油、アンズ油、マカダミア油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、ホホバ油、シアバター油;鉱物由来又は合成由来の直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば流動パラフィン及びそれらの誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam;特に脂肪酸の合成エステル及びエーテル、例えばプルセリン油、イソプロピルミリステート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルドデシルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルサイトレート、脂肪族アルキルのヘプタノエート、オクタノエート又はデカノエート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、ジエチレングリコールジイソノナノエート;及びペンタエリスリトールエステル;12~26個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール;部分炭化水素ベース及び/又はシリコーンベースのフルオロ油;シリコーン油、例えば揮発性又は不揮発性、直鎖状又は環状のポリメチルシロキサン(PDMS)(それらは、室温では、液状又はペースト状であり得る)、例えばシクロメチコーン又はジメチコーン、任意選択的にフェニル基を含む例えばフェニルトリメチコーン、フェニルトリメチルジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン、ジフェニルジメチコーン、フェニルジメチコーン、ポリメチルフェニルシロキサン;それらの混合物。
【0137】
これらの油は、分散体(A)の全質量を基準にして0.01質量%~60質量%、さらに良好には0.1質量%~50質量%の範囲の含量で存在し得る。
【0138】
本発明における分散体(A)並びに組成物(B)及び(C)は、当業者に周知である、脂溶性色素及び微粉の色素、例えば顔料、真珠箔顔料及びグリッターフレークから選択される1つ又は複数の色素も含み得る。色素は、組成物中において、それらを含む分散体又は組成物の質量を基準にして0質量%~30質量%、好ましくは0質量%~10質量%の範囲の顔料で存在し得る。
【0139】
本発明における分散体(A)並びに組成物(B)及び(C)は、1つ又は複数の充填剤を、特にそれらを含む分散体又は組成物の質量を基準にして0.01質量%~30質量%の範囲の含量で含み得る。
【0140】
v)化粧用活性剤
本発明の化粧用活性剤は、a)顔料、b)ケラチン物質、好ましくは皮膚をケアするための活性剤、及びc)UV-遮断剤、さらにd)それらの混合物から選択される。
【0141】
本特許出願の好ましい実施形態では、本発明の化粧用活性剤は、a)顔料から選択される。
【0142】
本特許出願の特定の実施形態では、本発明の化粧用活性剤は、b)ケラチン物質をケアするための活性剤、好ましくはスキンケア活性剤から選択される。
【0143】
本特許出願の別の特定の実施形態では、本発明の化粧用活性剤は、c)UV-遮断剤から選択される。
【0144】
本発明の特定の実施形態では、本発明の分散体(A)及び/又は組成物(B)及び/又は組成物(C)は、v)1つ又は複数の化粧用活性剤を含む。
【0145】
本発明の特定の実施形態では、分散体(A)は、v)1つ又は複数の化粧用活性剤、好ましくは1つ又は複数の顔料を含む。
【0146】
本発明の別の特定の実施形態では、分散体(B)は、v)1つ又は複数の化粧用活性剤、好ましくは1つ又は複数の顔料を含む。
【0147】
本発明の好ましい実施形態では、組成物(C)は、v)1つ又は複数の化粧用活性剤、好ましくは1つ又は複数の顔料を含む。
【0148】
染髪料は、それらを含む組成物の全質量を基準にしてより特に0.001質量%~10質量%、好ましくは0.005質量%~5質量%を占めるようにする。
【0149】
本発明の特定の実施形態では、分散体(A)は、v)1つ又は複数の化粧用活性剤、特に1つ又は複数の顔料を含む。
【0150】
本発明の別の特定の実施形態では、分散体(B)は、v)1つ又は複数の化粧用活性剤、特に1つ又は複数の顔料を含む。
【0151】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、分散体(C)は、v)1つ又は複数の化粧用活性剤、特に1つ又は複数の顔料を含む。
【0152】
「顔料」という用語は、ケラチン物質を着色する、合成由来又は天然由来の各種の顔料を指す。それらの顔料の、25℃、大気圧(760mmHg)での水中への溶解度は、0.05質量%未満、好ましくは0.01質量%未満である。
【0153】
それらは、化粧料において通常使用される親水性及び親油性の液相には元々不溶性であるか、又は必要に応じてレーキの形態で配合することにより不溶性が付与された白色又は着色の固体粒子である。より特に、それらの顔料は、水-アルコール性媒体に貧溶性又は不溶性である。
【0154】
使用可能な顔料は、特に、当技術分野では公知の有機及び/又は鉱物質の顔料、特にKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology及びUllman’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されているものから選択される。顔料としては、特に有機顔料鉱物質顔料、例えば以下の文献に定義され、記載されているものが挙げられる:Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,“Pigments,organic”,2005,Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim 10.1002/14356007.a20 371及び同,“Pigments,Inorganic,1.General”,2009,Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim 10.1002/14356007.a20_243.pub3。
【0155】
これらの顔料は、顔料の粉体又はペーストの形状であり得る。それらは、コーティングされていてもいなくてもよい。
【0156】
それらの顔料は、例えば、鉱物質顔料、有機顔料、レーキ、特殊効果を有する顔料、例えば真珠箔顔料又はグリッターフレーク及びそれらの混合物から選択することができる。
【0157】
顔料は、鉱物質顔料であり得る。「鉱物質顔料」という用語は、Ullman’s encyclopediaの無機顔料の章における定義を満たす各種の顔料を指す。本発明において有用である鉱物質顔料としては、以下を挙げることができる:酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタン。
【0158】
顔料は、有機顔料であり得る。「有機顔料」という用語は、Ullman’s encyclopediaの有機顔料の章における定義を満たす各種の顔料を指す。有機顔料は、特に以下から選択され得る:ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体タイプ、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物。
【0159】
具体的には、白色及び着色有機顔料は、以下から選択することができる:カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Color Indexにおいて参照番号CI42090、69800、69825、73000、74100、74160でコード化されているブルー顔料、Color Indexにおいて参照番号CI11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005でコード化されているイエロー顔料。Color Indexにおいて参照番号CI61565、61570、74260でコード化されているグリーン顔料、Color Indexにおいて参照番号CI11725、15510、45370、71105でコード化されているオレンジ顔料、Color Indexにおいて参照番号CI12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470でコード化されているレッド顔料、仏国特許第2 679 771号明細書に記載されているような、インドール又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料。
【0160】
本発明の特定の実施形態では、使用される顔料は、有機顔料の顔料ペースト、例えばHoechst社から以下の名称で販売されている製品である:
- Cosmenyl Yellow IOG:Yellow 3 pigment(CI11710);
- Cosmenyl Yellow G:Yellow 1 pigment(CI11680);
- Cosmenyl Orange GR:Orange 43 pigment(CI71105);
- Cosmenyl Red R:Red 4 pigment(CI12085);
- Cosmenyl Carmine FB:Red 5 pigment(CI12490);
- Cosmenyl Violet RL:Violet 23 pigment(CI51319);
- Cosmenyl Blue A2R:Blue 15.1 pigment(CI74160);
- Cosmenyl Green GG:Green 7 pigment(CI74260);
- Cosmenyl Black R:Black 7 pigment(CI77266)。
【0161】
本発明における顔料は、欧州特許第1 184 426号明細書に記載されているような複合顔料の形態であり得る。それらの複合顔料は、特に以下を含む粒子で構成することができる:
- 鉱物質のコア、
- そのコアに有機顔料を固定するための、少なくとも1つのバインダー、及び
- そのコアを少なくとも部分的に被覆する少なくとも1つの有機顔料。
【0162】
「レーキ」という用語は、不溶性の粒子の上に吸着された色素を指し、そのため、そのようにして得られた複合物は、使用時にも、不溶性を残している。その上に色素を吸着させる鉱物質の物質は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸(Ca/Na)又はホウケイ酸(Ca/Al)及びアルミニウムである。有機色素の中でも、コチニールカルミンが挙げられる。
【0163】
レーキの例としては、以下の名称で公知の製品を挙げることができる:D&C Red 21(CI45380)、D&C Orange 5(CI45370)、D&C Red 27(CI45410)、D&C Orange 10(CI45425)、D&C Red 3(CI45430)、D&C Red 7(CI15850:1)、D&C Red 4(CI15510)、D&C Red 33(CI17200)、D&C Yellow 5(CI19140)、D&C Yellow 6(CI15985)、D&C Green(CI61570)、D&C Yellow 10(CI77002)、D&C Green 3(CI42053)又はD&C Blue 1(CI42090)。
【0164】
その上に色素を吸着させる鉱物質の物質は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸(Ca/Na)又はホウケイ酸(Ca/Al)及びアルミニウムである。
【0165】
色素の中でも、コチニールカルミンが挙げられる。以下の名称で公知の色素をさらに挙げることができる:D&C Red 21(CI45380)、D&C Orange 5(CI45370)、D&C Red 27(CI45410)、D&C Orange 10(CI45425)、D&C Red 3(CI45430)、D&C Red 4(CI15510)、D&C Red 33(CI17200)、D&C Yellow 5(CI19140)、D&C Yellow 6(CI15985)、D&C Green(CI61570)、D&C Yellow 10(CI77002)、D&C Green 3(CI42053)、D&C Blue 1(CI42090)。
【0166】
挙げることが可能なレーキの一例は、以下の名称で公知の製品である:D&C Red 7(CI15850:1)。
【0167】
顔料も、特定の効果を有する顔料であり得る。
【0168】
「特定の効果を有する顔料」という用語は、一般的には、(ある種のシェード、ある種のビバシティ及びあるレベルの輝度によって特徴付けられる)色表現を作り出す顔料を指し、その色は、均一ではなく、観察の条件(光、温度、観察角度など)の影響を受けて変化する。したがって、それらは、標準的で均質な、不透明、半透明又は透明なシェードを与える着色顔料と異なる。
【0169】
低い屈折率を有するもの、例えば蛍光顔料、フォトクロミック顔料又はサーモクロミック顔料や、高い屈折率を有するもの、例えば真珠箔顔料又はグリッターフレークなど、いくつかのタイプの、特定の効果を有する顔料が存在する。
【0170】
特定の効果を有する顔料の例としては、以下が挙げられる:真珠箔系の顔料、例えば酸化鉄を用いてコーティングしたチタンマイカ、酸化鉄を用いてコーティングしたマイカ、オキシ塩化ビスマスを用いてコーティングしたマイカ、酸化クロムを用いてコーティングしたチタンマイカ、有機色素、特に上述のタイプを用いてコーティングしたチタンマイカ及びさらにオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠箔系顔料。それらは、その表面で金属酸化物及び/又は有機色素の少なくとも2つの連続層が重ね合わされているマイカ粒子であり得る。
【0171】
その真珠箔顔料は、より特に、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、褐色、金色及び/又は銅色又は淡色を有する。
【0172】
本発明に関連して使用可能な真珠箔顔料の説明としては、特に以下が挙げられる:金色の真珠箔顔料としては、Engelhard社からGold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)の名称で販売されているもの;青銅色の真珠箔顔料は、特に、Merck社からBronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)の名称で、Eckart社からPrestige Bronzeの名称で、及びEngelhard社からSuper bronze(Cloisonne)の名称で販売されているもの;橙色の真珠箔顔料としては、特にEngelhard社からOrange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)の名称で、及びMerck社からPassion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)の名称で販売されているもの;ブラウン-チント色の真珠箔顔料としては、特にEngelhard社からNu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)の名称で販売されているもの;銅色のチントを有する真珠箔顔料としては、特にEngelhard社からCopper 340A(Timica)の名称で、及びEckart社からPrestige Copperの名称で販売されているもの;赤色のチントを有する真珠箔顔料としては、特にMerck社からSienna fine(17386)(Colorona)の名称で販売されているもの;黄色のチントを有する真珠箔顔料としては、特にEngelhard社からYellow(4502)(Chromalite)の名称で販売されているもの;金色のチントを有する赤色チントの真珠箔顔料として、特にEngelhard社からSunstone G012(Gemtone)の名称で販売されているもの;金色のチントを有する黒色の真珠箔顔料としては、特にEngelhard社からNu-antique bronze 240 AB(Timica)の名称で販売されているもの;青色の真珠箔顔料としては、特にMerck社からMatte blue(17433)(Microna)、Dark Blue(117324)(Colorona)の名称で販売されているもの;銀色のチントを有する白色の真珠箔顔料としては、特にMerck社からXirona Silverの名称で販売されているもの;並びにゴールデン-グリーンでピンキッシュ-オレンジ色の真珠箔顔料としては、特にMerck社からIndian summer(Xirona)の名称で販売されているもの並びにそれらの混合物。
【0173】
マイカの支持体の上の真珠箔顔料に加えて、合成物質、例えばアルミナ、シリカ、ホウケイ酸(Na/Ca)又はホウケイ酸(Ca/Al)及びアルミニウムをベースとする多層顔料も想定することができる。
【0174】
基材に付着されていない、干渉効果を有する顔料、例えば液晶(WackerからのHelicones HC)又は干渉ホログラフィックグリッターフレーク(SpectratekからのGeometric Pigments又はSpectra f/x)も挙げることも可能である。特定の効果を有する顔料としてはさらに、蛍光顔料(それらは、太陽光で蛍光を発する物質又は紫外蛍光を発するものであり得る)、燐光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料及び量子ドット(例えば、Quantum Dots Corporation社から販売されている)などが挙げられる。
【0175】
本発明で使用することが可能な各種の顔料により、幅広い範囲の色彩、さらに特定の光学効果、例えばメタリックな効果又は干渉効果を得ることが可能となる。
【0176】
本発明における化粧用組成物で使用される顔料のサイズは、一般的には10nm~200μm、好ましくは20nm~80μm、より好ましくは30nm~50μmである。
【0177】
顔料は、分散剤の手段によって製品中に分散させ得る。
【0178】
「分散剤」という用語は、分散させた粒子がアグロメレートしたりフロキュレートしたりすることを防ぐことができる化合物を指す。この分散剤は、分散させた粒子の表面に対する強い親和性を用いて1つ又は複数の機能を果たす、界面活性剤、オリゴマー、ポリマー又はそれらいくつかの混合物であり得る。具体的には、それらは、顔料の表面に対して、物理的又は化学的に付着することができる。これらの分散剤は、連続媒体と相溶性があるか、又はそれに溶解可能である少なくとも1つの官能基も含む。前記薬剤が電荷を有し得、それは、アニオン性、カチオン性、両性イオン性又は中性であり得る。
【0179】
本発明の特定の実施形態では、使用される分散剤は、以下から選択される:より特に12-ヒドロキシステアリン酸のエステル及びポリオール、例えばグリセロール又はジグリセロールのC~C20脂肪酸エステル、例えば分子質量約750g/molのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、例えばAvecia社からSolsperse 21000の名称で販売されている製品、Henkel社から参照名Dehymyls PGPHとして販売されているポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名称)又はポリヒドロキシステアリン酸、例えばUniqema社から参照名Arlacel P100として販売されている製品並びにそれらの混合物。
【0180】
本発明の組成物中で使用することが可能な他の分散剤としては、以下を挙げることができる:重縮合させた脂肪酸の四級アンモニウム誘導体、例えばAvecia社から販売されているSolsperse 17000及びポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物、例えばDow Corning社から参照番号DC2-5185及びDC2-5225Cとして販売されているもの。
【0181】
本発明における化粧用組成物において使用される顔料は、有機薬剤を用いて表面処理され得る。
【0182】
したがって、本発明に関連して有用である予め表面処理された顔料は、有機薬剤を用いて化学的、電子的、電気化学的、機械化学的又は機械的な性質の表面処理を、全面的又は部分的に施した顔料、例えばCosmetics and Toiletries,February 1990,Vol.105,p.53~64に記載されているようなものであり、そのような処理をした後、本発明における組成物に分散される。それらの有機薬剤は、例えば、以下から選択される:アミノ酸;ワックス、例えばカルナウバワックス及び蜜蝋;脂肪酸、脂肪アルコール及びそれらの誘導体、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール及びラウリン酸並びにそれらの誘導体;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜鉛又はアルミニウムの塩、例えばステアリン酸アルミニウム又はラウリン酸アルミニウム;金属のアルコキシド;多糖類、例えばキトサン、セルロース及びそれらの誘導体;ポリエチレン;(メタ)アクリル系ポリマー、例えばポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含むポリマー及びコポリマー;タンパク質;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、ポリジメチルシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン及びシロキシシリケート;有機フッ素化合物、例えばペルフルオロアルキルエーテル;フルオロシリコーン化合物。
【0183】
本発明における化粧用組成物で有用な表面処理された顔料は、これらの化合物の混合物を用いてさらに処理され得、且つ/又は複数の表面処理を施され得る。
【0184】
本発明に関連して有用な表面処理された顔料は、当業者に周知の表面処理方法を用いて処理され得るか、又は市販品をそのまま使用し得る。
【0185】
表面処理された顔料は、有機層を用いてコーティングされることが好ましい。
【0186】
それを用いて顔料を処理するための有機薬剤は、溶媒を蒸発させるか、表面処理剤の分子間で化学反応させるか、又は表面処理剤と顔料との間で共有結合を形成させることにより、顔料上に析出させることができる。したがって、その表面処理は、例えば、表面処理剤を顔料の表面と化学反応させ、且つその表面処理剤とその顔料又は充填剤との間に共有結合を形成させることによって実施することができる。この方法は、特に米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0187】
顔料に共有結合された有機薬剤を使用することが好ましい。
【0188】
表面処理するための薬剤は、表面処理される顔料の全質量を基準にして0.1質量%~50質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%、さらにより好適には1質量%~10質量%の量で存在し得る。
【0189】
顔料の表面処理は、以下の処理方法から選択されることが好ましい:
- PEG-シリコーン処理、例えばLCWから販売されているAQを用いた表面処理;
- キトサン処理、例えばLCWから販売されているCTSを用いた表面処理;
- トリエトキシカプリリルシラン処理、例えばLCWから販売されているASを用いた表面処理;
- メチコーン処理、例えばLCWから販売されているSIを用いた表面処理;
- ジメチコーン処理、例えばLCWから販売されているCavasil 3.05を用いた表面処理;
- ジメチコーン/トリメチルシロキシシリケート処理、例えばLCWから販売されているCavasil 4.05を用いた表面処理;
- ラウロイルリシン処理、例えばLCWから販売されているLLを用いた表面処理;
- ラウロイルリシンジメチコーン処理、例えばLCWから販売されているLL/SIを用いた表面処理;
- ミリスチン酸マグネシウム処理、例えばLCWから販売されているMMを用いた表面処理;
- ジミリスチン酸アルミニウム処理、例えば三好化成(Miyoshi)から販売されているMIを用いた表面処理;
- ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理、例えばLCWから販売されているFHCを用いた表面処理;
- イソステアリルセバケート処理、例えば三好化成から販売されているHSを用いた表面処理;
- ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム処理、例えば三好化成から販売されているNAIを用いた表面処理;
- ジメチコーン/ステアアロイルグルタミン酸ジナトリウム処理、例えば三好化成から販売されているSA/NAIを用いた表面処理;
- ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業(Daito)から販売されているPFを用いた表面処理;
- アクリレート/ジメチコーンコポリマー及びペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業から販売されているFSAを用いた表面処理;
- ポリメチルヒドロシロキサン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業から販売されているFS01を用いた表面処理;
- ラウリルリシン/三ステアリン酸アルミニウム処理、例えば大東化成工業から販売されているLL-StAlを用いた表面処理;
- オクチルトリエチルシラン処理、例えば大東化成工業から販売されているOTSを用いた表面処理;
- オクチルトリエチルシラン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業から販売されているFOTSを用いた表面処理;
- アクリレート/ジメチコーンコポリマー処理、例えば大東化成工業から販売されているASCを用いた表面処理;
- イソプロピルチタントリイソステアレート処理、例えば大東化成工業から販売されているITTを用いた表面処理;
- ミクロクリスタリンセルロース及びカルボキシメチルセルロース処理、例えば大東化成工業から販売されているACを用いた表面処理;
- セルロース処理、例えば大東化成工業から販売されているC2を用いた表面処理;
- アクリレートコポリマー処理、例えば大東化成工業から販売されているAPDを用いた表面処理;
- ペルフルオロアルキルホスフェート/イソプロピルチタントリイソステアレート処理、例えば大東化成工業から販売されているPF+ITTを用いた表面処理。
【0190】
- 本発明における組成物は、1つ又は複数の表面未処理の顔料を含み得る。
【0191】
- 本発明の特定の実施形態では、その顔料が鉱物質顔料である。
【0192】
- 本発明の別の特定の実施形態では、その顔料は、真珠箔顔料から選択される。
【0193】
本発明の特定の実施形態では、その分散剤は、分散体(A)、及び/又は組成物(B)、及び/又は(C)中の有機顔料と共に、又はサブミクロンサイズの粒子状の形態にある無機顔料と共に存在する。
【0194】
「サブミクロン」又は「サブミクロンの」という用語は、ミクロ化方法によってミクロ化され、1マイクロメートル(μm)未満、特に0.1~0.9μm、好ましくは0.2~0.6μmの平均粒子サイズを有する顔料を指す。
【0195】
1つの実施形態では、その分散剤及び顔料は、0.5:1~2:1、特に0.75:1~1.5:1、さらに0.8:1~1.2:1の(分散剤:顔料)量比で存在する。
【0196】
特定の実施形態では、その分散剤は、顔料を分散させるのに適しており、且つ縮合硬化性配合物と相溶性がある。
【0197】
「相溶性がある」という用語は、例えば、前記分散剤が、組成物の油性相中又は顔料を含む分散体中に混和することが可能であり、且つそれが効果を阻害又は低減しないことを意味する。その分散剤は、カチオン性であることが好ましい。
【0198】
したがって、分散剤は、シリコーン骨格、例えばシリコーンポリエーテルを有し、且つアミノシリコーンタイプの分散剤であり得る。好適な分散剤としては、以下が挙げられる:
- アミノシリコーン、すなわち1つ又は複数のアミノ基を含むシリコーン、例えばBYKからBYK LPX 21879の名称及び参照番号で販売されているもの並びにGenesee Polymersから販売されている、GP-4、GP-6、GP-344、GP-851、GP-965、GP-967及びGP-988-1、
- シリコーンアクリレート、例えばEvonikから販売されている、Tego(登録商標)RC902、Tego(登録商標)RC922、Tego(登録商標)RC1041及びTego(登録商標)RC1043、
- カルボキシル基を担持するポリジメチルシロキサン(PDMS)シリコーン、例えば信越(Shin-Etsu)からのX-22162及びX-22370;エポキシシリコーン、例えばGenesee PolymersからのGP-29、GP-32、GP-502、GP-504、GP-514、GP-607、GP-682及びGP-695又はEvonikからのTego(登録商標)RC1401、Tego(登録商標)RC1403、Tego(登録商標)RC1412。
【0199】
特定の実施形態では、その分散剤がアミノシリコーンタイプであり、正に荷電している。
【0200】
油性相の薬剤と反応することが可能で、そのため、アミノシリコーンによって形成される3Dネットワークを改良することが可能な化学基を担持する分散剤も挙げることができる。例えば、エポキシシリコーン顔料の分散剤は、アミノシリコーンプレポリマーのアミノ基と化学的に反応して、顔料を含むアミノシリコーン膜の凝集力を増大させることができる。
【0201】
本発明の顔料v)は、以下から選択されることが好ましい:カーボンブラック、酸化鉄、特に黒色酸化鉄及び酸化鉄でコーティングされたマイカ、トリアリールメタン顔料、特に青色及び紫色のトリアリールメタン顔料、例えばBlue 1 Lake、アゾ顔料、特に赤色アゾ顔料、例えばD&C Red 7、リソールレッドのアルカリ金属塩、例えばリソールレッドBのカルシウム塩。
【0202】
本発明の特定の実施形態では、その顔料の量は、組成物及びそれらを含む分散体の質量を基準にして0.5%~40%、好ましくは1%~20%の範囲である。
【0203】
vi)可塑剤
特定の実施形態では、方法において、1つ又は複数の可塑剤を使用する。前記可塑剤は、組成物(A)、及び/又は(B)、及び/又は(C)中に存在し得る。
【0204】
「可塑剤」又は「可塑化剤」という用語は、室温、大気圧下では固体又は液体の状態にあり、且つ各種のタイプの重合性成分(モノマー)を含む組成物に添加すると、そのポリマーを、よりしなやかにし、よりフレキシブルにし、且つ/又はその機械的強度を改良することができるような有機化合物を意味する。可塑剤は、当業者には公知であり、例えば以下の文献を挙げることができる:“Plasticizers”,Encyclopedia of polymer Science and Technology,Helmut Reinecke,Rodrigo Navarro,Monica Perez,https://doi.org/10.1002/0471440264.pst245.pub215,September 2011。
【0205】
本発明の目的のためには、その可塑剤は、200~1000g/mol、特に300~700g/mol、好ましくは350~600g/molの分子質量を有する。その薬剤は、炭素及び水素原子並びに酸素、硫黄及びケイ素原子から選択され、特に酸素及びケイ素原子から選択される1つ又は複数のヘテロ原子、好ましくは少なくとも3つのヘテロ原子、さらにより好適には4~10個のヘテロ原子からなる有機化合物でもあり、それは、1つ又は複数のアリール基、例えばベンジルも含み得る。具体的には、それらは、エステル、フタレート、ベンゾエート、スルホネート、サイトレート及びシロキサンから選択される1つ又は複数の基である。
【0206】
本発明の可塑剤は、フタレート、エステル、サイトレート、ベンゾエート、サイトレート及びシロキサンのファミリーのそれらから選択されることが好ましい。
【0207】
本発明の特定の実施形態では、その可塑剤は、下記の化合物(V)及び(VI)から選択される:
【化11】
(式(V)中、
- R及びRは、同一であるか又は異なり得、(C~C20)アルキル、アリール、例えばフェニル、アリール(C~C)アルキル、例えばベンジル、好ましくは(C~C)アルキル、例えばn-ブチルの中からの基を表し;
- nは、1、2又は3、好ましくは2であり;及び
- Lは、a)二価、三価若しくは四価のC~C10アルキル、好ましくは三価の(C~C)アルキルであって、前記の二価、三価若しくは四価のアルキルは、場合により、任意選択的に1つ又は複数のヒドロキシル基で置換されている、b)二価若しくは三価のシクロアルキル、又はc)二価、三価若しくは四価のアリール、好ましくは二価若しくは三価のフェニルの中からの基を表し、好ましくは、Lは、群a)を表す);
【化12】
(式(VI)中、
- Rは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C~C10)アルキル、アリール、例えばフェニル、アリール(C~C)アルキル、例えばベンジル、好ましくはアリール、例えばフェニルの中からの基を表し、
- Rは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、水素原子又はヒドロキシル、(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルコキシ基を表し、
- L’は、a)二価のC~C10アルキル、好ましくは二価の(C~C)アルキル(これらは、任意選択的に、1つ又は複数のヒドロキシル基で置換され、且つ/又は1つ又は複数の酸素原子で中断され、且つ/又は1つ又は複数の二価の基Si(R)(R)-(ここで、R及びRは、先に定義されたものである)で中断され得る)、b)二価若しくは三価のシクロアルキル、c)二価、三価若しくは四価のアリール、及びd)-Si(R)(R)-から選択される基であり、好ましくは、L’は、d)-Si(R)(R)-を表す)。
【0208】
本発明の特定の実施形態では、その式(V)の化合物は、式(V’)の化合物から選択される:
【化13】
(式(V)中、
- R及びRは、同一であるか又は異なり得、(C~C)アルキル、アリール(C~C)アルキル、例えばベンジル、好ましくは(C~C)アルキル、例えばn-ブチルの中からの基を表し;
- nは、1又は2、好ましくは2であり;及び
- Lは、a)二価、三価若しくは四価のC~Cアルキル、好ましくは三価の(C~C)アルキル(前記アルキルは、場合により、任意選択的に、1つ又は複数のヒドロキシル基で置換、好ましくは1つのヒドロキシル基で置換されている)の中からの基を表す)。
【0209】
本発明の特定の実施形態では、その式(VI)の化合物は、式(VI’)の化合物から選択される:
【化14】
(式(VI’)中、
- Rは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、アリール、例えばフェニル、アリール(C~C)アルキル、例えばベンジル、好ましくはアリール、例えばフェニルの中からの基を表し、
- Rは、同一であるか又は異なり得、好ましくは同一であり、(C~C)アルキル及び好ましくは(C~C)アルキル基、例えばメチルを表す)。
【0210】
具体的には、本発明の可塑剤は、以下から選択される:ジ-n-ヘキシルフタレート(DnHP)、ジイソヘプチルフタレート(DIHP)、ジヘプチルフタレート(DnHP)、ビス(2-エチルヘキシル)フタレート(DEHP)、ジヘプチルノニルフタレート(DnHNP)、ジ-n-オクチルデシルフタレート(DNODP)、ジヘプチルノニルウンデシルフタレート(DnHNUP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジノニルフタレート(DNP)、ジ-n-ノニルフタレート(DnNP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジ-n-ノニルデシルウンデシルフタレート(DnNDUP)、ジノニルウンデシルフタレート(DnNUP)、ジウンデシルフタレート(DUP)、ジイソウンデシルドデシルフタレート(UDP)、ジトリデシルフタレート(DTDP)、ビス(2-エチルヘキシル)テレフタレート(DOTP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジヘプチルノニルアジペート(DnHNA)、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート(DEHA)、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、トリヘプチルノニルトリメリテート(TnHNTM)、トリス(2-エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート(DOS)、ビス(2-エチルヘキシル)アゼレート(DOZ)、トリブチルサイトレート、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン;好ましくは、本発明の可塑剤は、以下から選択される:トリ(C~C)アルキルサイトレート、例えばトリブチルサイトレート及びトリメチルペンタフェニルトリシロキサン。
【0211】
本発明の可塑剤vi)は、組成物(A)中、及び/又は組成物(B)中、及び/又は別の組成物(C)中に存在し得る。本発明の可塑剤は、組成物(A)又は(C)中、好ましくは(A)中に存在することが好ましい。
【0212】
本発明の特定の実施形態では、その可塑剤を、粒子のポリマーa)~d)の全質量を基準にして5質量%~50質量%の量で存在させる。
【0213】
本発明の特定の実施形態では、可塑剤は、組成物(A)、及び/又は組成物(B)中、及び/又は別の組成物(C)中の全質量、好ましくは組成物(A)の全質量を基準にして0.5質量%~30質量%、特に1質量%~20質量%、好ましくは1.5質量%~10質量%の量で存在させる。
【0214】
本発明の方法:
本発明の特定の実施形態では、その方法は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
1)前記物質への、
i)1つ又は複数の粒子であって、
a)(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレート、好ましくは(C~C)アルキル(メタ)アクリレート;及び
b)エチレン性不飽和無水化合物、好ましくは無水マレイン酸
の1つ又は複数のエチレン系コポリマーからなる1つ又は複数の粒子;及び
ii)1つ又は複数の安定剤であって、
c)(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートモノマーのポリマー;及び
d)(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレート及び(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレートのコポリマー;及び
e)1つ又は複数の炭化水素ベースの油
から選択されるエチレン系ポリマーからなる1つ又は複数の安定剤
を含む、好ましくは無水である油状分散体(A)の塗布;
2)前記物質への、
f)1つ又は複数のアミン化合物であって、
g)いくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するポリアミン化合物、及び
h)アミノアルコキシシラン
から選択される1つ又は複数のアミン化合物
を含む、好ましくは無水である組成物(B)の塗布
を含み、
- 本発明の方法は、a)顔料、b)ケラチン物質、好ましくは皮膚をケアするための活性剤、及びc)UV-遮断剤、並びにまたd)それらの混合物から選択されるv)1つ又は複数の化粧用活性剤を使用し、成分a)~d)は、場合により、別の組成物(C)中に見出され;及び
- 前記物質に対して組成物(A)が塗布され、次いで前記物質に対して組成物(B)が塗布され、次いで前記物質に対して組成物(C)が塗布されることが理解される、方法である。
【0215】
本発明の別の特定の実施形態では、その方法は、組成物(A)、(B)及び(C)を使用して、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
- 本発明の方法は、a)顔料、b)ケラチン物質、好ましくは皮膚をケアするための活性剤、及びc)UV-遮断剤、並びにまたd)それらの混合物から選択されるv)1つ又は複数の化粧用活性剤を使用し、成分a)~d)、好ましくは、a)は、組成物(C)中に見出され;及び
- 前記物質に対して組成物(C)が塗布され、次いで前記物質に対して組成物(A)が塗布され、次いで前記物質に対して組成物(B)が塗布される、方法である。
【0216】
本発明のさらに別の実施形態では、その方法は、組成物(A)、(B)及び(C)を使用して、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
- 本発明の方法は、a)顔料、b)ケラチン物質、好ましくは皮膚をケアするための活性剤、及びc)UV-遮断剤、並びにまたd)それらの混合物から選択されるv)1つ又は複数の化粧用活性剤を使用し、成分a)~d)、好ましくは、a)は、組成物(C)中に見出され;及び
- 前記物質に対して組成物(C)が塗布され、次いで前記物質に対して組成物(A)及び(B)が同時に塗布されるか、又は他に前記物質に対して組成物(C)が塗布された後、組成物(A)+(B)の混合物が前記物質に塗布される、方法である。
【0217】
少なくとも2段のステップの塗布方法:
本発明の有利な変形形態では、本発明の方法は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
1)前記物質への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油;及び
v)1つ又は複数の化粧用薬剤、好ましくは顔料
を含む油状分散体(A)の塗布、続けて、
2)前記物質への、
iv)1つ又は複数の、先に定義された通りの、e)及びf)から選択されるアミン化合物
を含む組成物(B)の塗布
を含む方法である。
【0218】
本発明の別の有利な変形形態では、本発明の方法は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
1)前記物質への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油
を含む油状分散体(A)の塗布;続けて、
2)前記物質への、
iv)1つ又は複数の、先に定義された通りの、e)及びf)から選択されるアミン化合物;及び
v)1つ又は複数の化粧用薬剤、好ましくは顔料
を含む組成物(B)の塗布
【0219】
本発明のさらに別の変形形態では、本発明の方法は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
1)前記物質への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油
を含む油状分散体(A)の塗布;続けて、
2)前記物質への、
iv)1つ又は複数の、先に定義された通りの、e)及びf)から選択されるアミン化合物
を含む組成物(B)の塗布;続けて、
3)前記物質への、
v)1つ又は複数の化粧用活性剤、好ましくは顔料
を含む組成物(C)の塗布
を含む方法である。
【0220】
本発明のさらに別の有利な変形形態では、本発明の方法は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
1)前記物質への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油
を含む油状分散体(A)の塗布;続けて、
2)前記物質への、v)1つ又は複数の化粧用活性剤、好ましくは顔料を含む組成物(C)の塗布;続けて、
3)前記物質への、先に定義された通りの、e)及びf)から選択される、iv)1つ又は複数のアミン化合物を含む組成物(B)の塗布
を含む方法である。
【0221】
本発明の特に好ましい変形形態では、本発明の方法は、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくはヒトの皮膚及びより好適には顔の皮膚、例えば唇を処置するための方法であって、
1)前記物質への、v)1つ又は複数の化粧用活性剤、好ましくは顔料を含む組成物(C)の塗布;続けて、
2)前記物質への、
i)1つ又は複数の、先に定義された通りのエチレン系コポリマーa)及びb)で構成される1つ又は複数の粒子;及び
ii)先に定義された通りの、c)及びd)から選択されるエチレン系ポリマーで構成される1つ又は複数の安定剤;及び
iii)1つ又は複数の、先に定義された通りの炭化水素ベースの油
を含む油状分散体(A)の塗布;続けて、
3)前記物質への、先に定義された通りの、e)及びf)から選択される、iv)1つ又は複数のアミン化合物を含む、組成物(B)の塗布
を含む方法である。
【0222】
本発明の別の特定の変形形態では、先に定義された通りの、化粧用薬剤v)、特に顔料は、組成物(C)中に存在する。前記組成物は、組成物(A)と同時又は組成物(B)と同時に塗布され得る。ステップ1)後、すなわち組成物(A)を塗布した後、組成物(C)を塗布することが好ましく;より好適には、組成物(A)及び(B)にはいかなるヘアダイを含まず、且つ1つ又は複数の、先に定義された通りのヘアダイv)を含む組成物(C)を、本発明の方法のステップ1)後に塗布し、続けて組成物(B)をケラチン物質に塗布する。
【0223】
本発明の分散体の、分散体(A)並びに組成物(B)及び(C)は、化粧料であり、すなわち、それらは、化粧料として許容される成分のみを含む。
【0224】
本発明の好ましい実施形態では、分散体(A)並びに組成物(B)及び(C)が無水である。
【0225】
別の有利な実施形態では、分散体(A)及び組成物(B)が無水であり、組成物(C)が水性である。
【0226】
本発明の特定の実施形態では、組成物(B)が水性又は水-アルコール性である。
【0227】
本発明の別の特定の有利な実施形態では、組成物(C)が水性又は水-アルコール性である。
【0228】
さらに別の有利な実施形態では、分散体(A)が無水であり、及び組成物(B)及び組成物(C)が水性又は水-アルコール性、好ましくは水性である。
【0229】
本発明における組成物(B)及び(C)並びに分散体(A)は、以下から選択される化粧料用添加物を含み得る:水、香料、保存剤、充填剤、油、ワックス、界面活性剤、保湿剤、ビタミン、セラミド、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、ポリマー、増粘剤及び色素。
【0230】
本発明における組成物(B)及び(C)並びに分散体(A)は、他の色素、例えば脂溶性色素又は水溶性色素も含み得る。この色素は、それらを含む組成物の全質量を基準にして0.01質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~10質量%の範囲の含量で存在し得る。
【0231】
脂溶性色素としては、例えば、以下が挙げられる:Sudan Red、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロテン、ダイズ油、Sudan Brown、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエロー及びアナットー。水溶性色素は、例えば、ビートルートジュース又はメチレンブルーである。
【0232】
1つの実施形態では、本発明における分散体(A)並びに組成物(B)及び(C)は、無水の組成物である。
【0233】
本発明の方法の第一のステップにおいて、分散体(A)を1つ又は複数の揮発性で無極性の溶媒、特にイソドデカン中に適用することが好適である。
【0234】
別の変形形態では、ステップ1)後、中間のすすぎ洗い又は乾燥なしで、ステップ2)が続く。ステップ1)で分散体(A)を塗布した後、1分間~6時間、特に10分間~5時間、より特に30分間~4時間及び好ましくは約3時間の待ち時間を設けた後、組成物(B)を塗布することが好ましい。
【0235】
第一のステップは、組成物(C)を塗布するステップであり、続けて油状分散体(A)を塗布し、次いで組成物(C)の塗布(ステップ1)と分散体(A)を塗布するステップ(ステップ2)との間に組成物(A)を塗布するのなら、そのケラチン物質は、好ましくは、自然に乾燥する。
【0236】
第一のステップは、油状分散体(A)を塗布するステップであり、及び第二ステップは、組成物(C)を塗布するステップであり、及び第三のステップは、先に定義された通りの組成物(C)の塗布(ステップ2)と、組成物(B)の塗布のステップ(ステップ3)との間に、組成物(B)を塗布するステップであるならば、そのケラチン物質は、好ましくは、自然に乾燥する。
【0237】
第一のステップは、油状分散体(A)の塗布であり、続けて組成物(B)の塗布、次いで組成物(C)の塗布(ステップ3)と、組成物(B)を塗布するステップ(ステップ2)との間に組成物(C)を塗布するならば、そのケラチン物質は、好ましくは、自然に乾燥する。
【0238】
キット
本発明の主題は、
・第一の区画において:分散体(A)(先に定義された通りのもの)、
・第二の分離している区画において:組成物(B)(先に定義された通りのもの)、及び
・任意選択的に、他の2つから分離している第三の区画において:組成物(C)(先に定義された通りのもの)
を含むいくつかの独立した区画を有するキット又は機器でもある。
【0239】
組成物のパッケージアセンブリーは、公知のものであり、化粧用組成物を保存するのに適したもの(特にボトル、チューブ、スプレーボトル又はエアロゾルの缶)であれば、いずれのパッケージでもあり得る。
【0240】
本発明の主題は、先に定義された通りのv)化粧用薬剤を含む、先に定義された通りの油状分散体(A)でもあり、ここで、v)が1つ又は複数の顔料を表す場合、その分散体は、無水であり、且ついくつかの一級アミン基及び/又は二級アミン基を担持するいかなるポリアミン化合物も含まず、且ついかなるアミノアルコキシシランも含まない。
【0241】
本発明の主題は、先に定義された通りの逆相エマルション(W/O)の状態における油状分散体(A)でもある。
【0242】
以下の実施例において、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例
【0243】
実施例1:
[粒子i)+安定剤ii)]をまとめて、以下を含む油状分散体(A)を形成させる:
- 70質量%の、(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレートa)(例えば、エチルアクリレート)、
- 10質量%の、エチレン性不飽和無水化合物b)(例えば、無水マレイン酸)、及び
- 20質量%の、(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートモノマーc)(例えば、イソボルニルアクリレート)のポリマー。
【0244】
これらの油状分散体の調製は、1リットルのパイロット反応器で実施した。その合成は、二段のステップで実施する。
【0245】
第一のステップでは、イソボルニルアクリレートを、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)中、少量のエチルアクリレート及びラジカル重合開始剤(T21S)の存在下で重合させる。第一のステップでは、イソボルニルアクリレート/エチルアクリレートの質量比は、92/8である。
【0246】
第二のステップでは、残りのエチルアクリレート及び無水マレイン酸を、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)及びラジカル重合開始剤Trigonox21S(T21S)の存在下で添加する。
【0247】
ストリッピングさせた後、そのポリマーは、イソドデカン中52%の固形分含量である。安定剤及び粒子状のコアを得るために採用した比率を、以下の表にまとめた。
【0248】
【表1】
【0249】
薬剤の量:
ステップ1:
【0250】
【表2】
【0251】
2つのステップ間で添加したイソドデカン:
【0252】
【表3】
【0253】
ステップ2:
【0254】
【表4】
【0255】
実験のプロトコール:
イソドデカン/エチルアセテート(60/40)、イソボルニルアクリレート、エチルアクリレート及びT21Sを原料として反応器内に導入する。アルゴン下、撹拌しながら媒体を加熱して90℃とする。この第一のステップ中の固形分含量は、35.9%である。
【0256】
2時間加熱した後、NMRは、イソボルニルアクリレートの消費率が97%であることを示す(エチルアクリレートの消費率:97%)。
【0257】
2時間の反応後、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)を、原料に導入する。その媒体を加熱して、90℃とする。
【0258】
媒体が90℃に達したら、エチルアクリレート/無水マレイン酸、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)及びT21Sを分注しながら2時間かけて導入する。分注による導入が終わったとき、その媒体が乳状となる。その固形分含量は、40%である。
【0259】
7時間かけて合成した後、出発モノマーは、トレース量のみが残っている。
【0260】
次いで、1Lのイソドデカン及びエチルアセテートを留去する(NMRは、モノマーがもはや存在せず、エチルアセテートが分散体から完全に除去されていたことを示す)。その固形分含量は、約52%である。
【0261】
実施例2:
以下の方法で、粒子i)+安定剤ii)の組合せを調製した:
- 75質量%の、(C~C)アルキル(C~C)(アルキル)アクリレートa)(例えば、エチルアクリレート)、
- 5質量%の、エチレン性不飽和無水化合物b)(例えば、無水マレイン酸)、及び
- 20質量%の、(C~C12)シクロアルキル(C~C)(アルキル)アクリレートモノマーc)(例えば、イソボルニルアクリレート)のポリマー。
【0262】
その合成は、1リットルのパイロット反応器内において二段のステップで実施した。
【0263】
第一のステップでは、イソボルニルアクリレートを、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)中、少量のエチルアクリレート及びラジカル重合開始剤(T21S)の存在下で重合させる。第一のステップでは、イソボルニルアクリレート/エチルアクリレートの質量比は、92/8である。
【0264】
第二のステップでは、残りのエチルアクリレート及び無水マレイン酸を、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)及びラジカル重合開始剤Trigonox21S(T21S)の存在下で添加する。
【0265】
ストリッピングさせた後、そのポリマーは、イソドデカン中49%の固形分含量である。
【0266】
安定剤及び粒子状のコアを得るために採用した比率を、以下の表にまとめた。
【0267】
【表5】
【0268】
薬剤の量:
ステップ1:
【0269】
【表6】
【0270】
2つのステップ間で添加したイソドデカン:
【0271】
【表7】
【0272】
ステップ2:
【0273】
【表8】
【0274】
実験のプロトコール:
イソドデカン/エチルアセテート(60/40)、イソボルニルアクリレート、エチルアクリレート及びT21Sを原料として反応器内に導入する。アルゴン下、撹拌しながら媒体を加熱して90℃(公称中央温度)とする。この第一のステップ中の固形分含量は、35.9%である。
【0275】
2時間加熱した後、NMRは、イソボルニルアクリレートの消費率が98%であることを示す(エチルアクリレートの消費率:97%)。
【0276】
2時間の反応後、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)を、原料に導入する。その媒体を加熱して、90℃とする。
【0277】
媒体が90℃に達したら、エチルアクリレート/無水マレイン酸、イソドデカン/エチルアセテート(60/40)及びT21Sを分注しながら2時間かけて導入する。分注による導入が終わったとき、その媒体が乳状となる。その固形分含量は、40%である。
【0278】
7時間かけて合成した後、出発モノマーは、トレース量のみが残っている。
【0279】
次いで、1Lのイソドデカン及びエチルアセテートを留去する(NMRは、モノマーがもはや存在せず、エチルアセテートが分散体から完全に除去されていたことを示す)。その固形分含量は、約49%である。
【0280】
使用したアミン化合物:
【0281】
【表9】
【0282】
これらのアミン化合物がコポリマーの無水物官能基と反応することによって不揮発性油を捕捉するが、それにも関わらず、移行することがなく、粘着性がなく、食用油に対する抵抗性があり、及び光沢があり且つ快い析出物を得ることが可能となる。
【0283】
ケラチン物質へ塗布するための方法:
第一の段階において、粒子(A)の油状分散体を含む配合物を調製した(実施例1及び2)。評価は、BioSkin上又はコントラストカード上で実施する。
【0284】
この場合、そのコントラストカードの参照番号は、以下の通りである:Byk社-製品:Black スクラブパネルP121-10N、カテゴリー番号:5015-寸法165×432mm。次いで、それらの配合物を例えばByko-charts、ブラックスクラブパネル(Byk社製)のタイプのガラスサポートの上に塗布し、24時間放置して乾燥させた。
【0285】
第一の段階では、フィルムスプレッダーの手段により、それぞれの配合物の膜を、BioSkinのサンプルの上に析出させる。そのBioSkinのサンプルは、ほぼ以下の寸法を有する:(L:10cm;l:6cm;e:2.5mm)。湿時析出物の厚みは、50μmである。その膜を、室温で24時間かけて乾燥させる。BioSkinの上に析出した配合物の乾燥質量は、60~100mgの範囲である。膜が乾燥すれば、試験を実施することができる。
【0286】
24時間かけて乾燥させてから、アミン化合物(化合物1又は2)を含む配合物(B)を塗布した。
【0287】
24時間かけて乾燥させてから、その析出物の評価を実施する:
- その析出物の上に、0.5mLのオリーブ油又は水を5分間載せる。5分間の接触時間が過ぎたら、脱脂綿で15回拭い、且つ析出物の劣化を観察する。
- 析出物に手を触れて、粘着性と移行性を観察する。
【0288】
それぞれの組合せに対して、乾燥後の組成物(A)について且つ組成物(A)及び(B)を塗布した後に乾燥させてから評価を実施した。
【0289】
0.5mLのオリーブ油を、配合物の膜に塗布する。5分後、脱脂綿を用いて15回拭って、オリーブ油を除去する。次いで、オリーブ油と接触させた後の膜の劣化及び脱脂綿への移行を確かめる。
【0290】
析出が良好な抵抗性を示すのなら、脱脂綿は白いままであり、その析出物は劣化しない。逆に、物質の移行が認められたら、脱脂綿が赤くなり、膜が完全に劣化している。水を用いて、同じプロトコールを実施する。
【0291】
このようにして、オリーブ油/水に対する抵抗性、さらに移行に対する抵抗性について、以下の範囲でグレード付けをする:
・極めて良好な抵抗性:++~貧弱な抵抗性:--。
・移行抵抗性:移行無し:++~実質的に移行:--。
【0292】
下に、オリーブ油に対する極めて良好な抵抗性及び移行抵抗性を示す良好な候補物質と、貧弱な候補物質との、2つの例を示す。
【0293】
【表10】
【0294】
【表11】
【0295】
評価及びグレード付けは、以下の方式で実施する:
・極めて良好な抵抗性:++~貧弱な抵抗性:--。
・移行抵抗性:移行無し:++~実質的に移行:--。
【0296】
BioSkin上での配合物のフラグメンテーション試験
オリーブ油及びScotchに対する抵抗性を試験するために、BioSkinのサンプル上にのみ膜を塗布する。1日かけて乾燥させてから、そのBioSkinのプレートを手によって同じ方式で10回取り除く。
【0297】
次いで、それらの結果は、配合物の膜の上で観察することができる(フラグメンテーション等)。
【0298】
この場合、グレード分けの範囲は、フラグメンテーション無し:++~実質的にフラグメンテーション有り:--とする。
【0299】
次に、2つの応答例を示す。
【0300】
【表12】
【0301】
光沢を測定するためのプロトコール
湿時厚み50μmの膜を、コントラストカードの上に析出させる。
【0302】
そのコントラストカードの参照番号は、以下の通りである:Byk社-製品:Byko-charts opacity 2A、カテゴリー番号:2810-寸法140×254mm。
【0303】
次いで、その光沢を、標準光沢計を用いて測定する:Lange社-製品:REFO 3D Portable glossmeter(トリプルアングル測定)。
【0304】
実施例1:揮発性油のみを含む配合物 - 実施例1のポリマー+アミン化合物1
組成(A1)
【0305】
【表13】
【0306】
組成(B1)
【0307】
【表14】
【0308】
組成物(A1)及び(B1)を塗布した後、粘着性がなく(++)、移行性がなく、且つ日常的な攻撃因子、例えば食用油(オリーブ油)及び水に対する抵抗性がある(++)析出物が最終的に観察されたが、それに対して、組成物(B1)を塗布しないと、粘着性が極めて大きく、不満足である(--)。
【0309】
実施例2:揮発性油のみを含む配合物 - 実施例1のポリマー+アミン化合物2
組成(A2)
【0310】
【表15】
【0311】
組成(B2)
【0312】
【表16】
【0313】
組成物(A2)及び(B2)を塗布した後、粘着性がなく(++)、移行性がなく(++)、且つ日常的な攻撃因子、例えば食用油(オリーブ油)及び水に対する抵抗性がある(++)析出物が最終的に観察されたが、それに対して、組成物(B2)を塗布しないと、粘着性が極めて大きく、不満足である(--)。
【0314】
実施例3:揮発性油のみを含む配合物 - 実施例2のポリマー+アミン化合物1
組成(A3)
【0315】
【表17】
【0316】
組成(B3)
【0317】
【表18】
【0318】
組成物(A3)及び(B3)を塗布した後、粘着性がなく(++)、移行性がなく(++)、且つ日常的な攻撃因子、例えば食用油(オリーブ油)及び水に対する抵抗性がある(++)析出物が最終的に観察されたが、それに対して、組成物(B3)を塗布しないと、粘着性が極めて大きく、不満足であり(--)、且つ油に対する抵抗性は、より適切でない(-)。
【0319】
実施例4:不揮発性油を含む配合:実施例1のポリマー+アミン化合物1 - 不揮発性油:ペンタフェニルシリコーンDC 555
組成(A4)
【0320】
【表19】
【0321】
組成(B4)
【0322】
【表20】
【0323】
組成物(A4)及び(B4)を塗布した後、粘着性がなく(++)、移行性がなく(++)、且つ日常的な攻撃因子、例えば食用油(オリーブ油)及び水に対する抵抗性がある(++)析出物が最終的に観察されたが、それに対して、組成物(B4)を塗布しないと、粘着性が極めて大きく、不満足であり(--)、且つ油に対する抵抗性も満足のいくものではない(--)。
【0324】
実施例5:不揮発性油を含む配合:実施例2のポリマー+アミン化合物1 - 不揮発性油:ペンタフェニルシリコーンDC 555
組成(A5)
【0325】
【表21】
【0326】
組成(B5)
【0327】
【表22】
【0328】
組成物(A5)及び(B5)を塗布した後、粘着性がなく(++)、移行性がなく(++)、且つ日常的な攻撃因子、例えば食用油(オリーブ油)及び水に対する抵抗性がある(++)析出物が最終的に観察されたが、それに対して、組成物(B5)を塗布しないと、粘着性が極めて大きく、不満足であり(--)、且つ油に対する抵抗性も満足のいくものではない(--)。
【0329】
実施例6:不揮発性油を含む配合:実施例1のポリマー+アミン化合物1 - 不揮発性油:オクチルドデカノール及びイソドデカン
組成(A6)
【0330】
【表23】
【0331】
組成(B6)
【0332】
【表24】
【0333】
組成物(A6)及び(B6)を塗布した後、粘着性がなく(++)、移行性がなく(++)、且つ日常的な攻撃因子、例えば食用油(オリーブ油)及び水に対する抵抗性がある(++)析出物が最終的に観察されたが、それに対して、組成物(B6)を塗布しないと、粘着性が極めて大きく、不満足であり、且つ油に対する抵抗性も満足のいくものではない(--)。