(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】熱可塑性サンドイッチパネルを現場で製造するためのプレス
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20231120BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20231120BHJP
B29C 44/24 20060101ALI20231120BHJP
B29C 44/34 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
B29C43/32
B29C44/00 C
B29C44/24
B29C44/34
(21)【出願番号】P 2021531324
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 NL2019050795
(87)【国際公開番号】W WO2020117048
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-30
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】507257068
【氏名又は名称】フィッツ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】デ グルート マルティン テオドール
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-510471(JP,A)
【文献】特表2017-505243(JP,A)
【文献】特開2000-289043(JP,A)
【文献】特開平06-143311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/32
B29C 44/00
B29C 44/24
B29C 44/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンドイッチパネルを製造するためのプレス(10)であって、互いに移動可能に構成された第1および第2のプレスプレート(12;14)を含み、プレスは、プレスプレートを加熱および冷却するための流体循環ループを有し、
流体循環ループは、
流体供給導管(24)に接続された出口(21)と、流体戻り導管(26)に接続された入口(25)とを有する加熱流体を生成するための加熱器(22)を含み、流体供給導管(24)は、各プレスプレート(12;14)の少なくとも1つの内部流路(16)の入口(18)と流体連通しており、流体戻り導管(26)は、各プレスプレート(12、14)の少なくとも1つの内部流路(16)の出口(20)と流体連通しており、
流体循環ループは、プレスプレート(12、14)を冷却するために高温加圧水を蒸気に変換するように構成された制御膨張弁(34)と、水源(38)とを備え、水源(38)の出口(39)は、水供給導管(40)を介して各プレスプレート(12;14)の少なくとも1つの内部流路(16)の入口(18)と流体連通している、
プレス(10)。
【請求項2】
加熱器(22)は、高温加圧水を生成するように構成されている、請求項1に記載のプレス。
【請求項3】
加熱器(22)は、蒸気を生成するように構成され、流体循環ループは、各プレスプレート(12、14)の少なくとも1つの内部流路(16)に高温加圧水を導入するための熱水源に接続されたベンチュリ接続を備える、請求項1に記載のプレス。
【請求項4】
制御膨張弁(34)は、蒸気から熱を回収するための凝縮器(36)に接続されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレス。
【請求項5】
各プレスプレート(12;14)の少なくとも1つの内部流路(16)の出口(20)と水源(38)との間の水戻り導管(41)をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のプレス。
【請求項6】
プロセッサ(44)と、プロセッサによって実行されると、
流体循環ループに高温流体を流すことにより、プレスプレートを予熱すること、
予熱されたプレスプレートを互いに向かって移動し、製造されるサンドイッチパネルの出発構造に圧力を加えることにより、プレスを閉じること、
流体循環ループに高温流体を流すことによりプレスプレートを加熱し続け、それにより、出発構造に圧力を加えながら、出発構造を発泡温度まで加熱すること、
発泡中の構造への圧力を維持しながら、プレスプレートを所定の距離だけ離して移動させることにより、発泡温度で出発構造を発泡させること、
流体循環ループを通る高温流体の流れを遮断すること、
制御された膨張弁を作動させてプレスプレートを冷却し、それにより高温加圧水を蒸気に変換すること、および
制御された温度の水をプレスプレートの内部流路に流すことにより、プレスプレートを冷却すること、
を含むプロセスを実行するコンピュータ可読命令を記憶するメモリ(46)と、を含むコントローラ(42)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のプレス。
【請求項7】
コンピュータ可読命令は、完成したサンドイッチパネルを取り出すためにプレスを開くことも含む、請求項6に記載のプレス。
【請求項8】
追加の減圧のために流路(16)に接続された真空ポンプ(90)をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のプレス。
【請求項9】
プレスプレート(12、14)を有するプレス(10)でサンドイッチパネルを製造する方法であって、サンドイッチ構造は、第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つのフォーム層(52)とカバー層(54、56)とを含み、方法は、
a)第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層(52)と、2つのカバー層(54、56)とを含む出発構造(50)を提供するステップであって、第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層(52)は、物理的発泡剤を含む、ステップと、
b)プレスプレート(12、14)により出発構造(50)への圧力を維持しながら、プレス(10)のプレスプレート(12、14)間で出発構造(50)を発泡温度まで接触加熱するステップと、
c)発泡温度において、発泡中の構造物への圧力を維持しながら、プレスプレートを所定の距離だけ離して動かすことにより、物理的発泡剤を含む第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層(52)を発泡させるステップであって、最終体積まで増加させ、次に一定に保ち、それによりサンドイッチパネルを得る、ステップと、
d)プレスプレート(12、14)の高温加圧水を
制御膨張弁(34)により蒸気に変換することにより、物理的発泡剤を含む第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満の温度まで冷却するために、プレスプレート(12、14)と接触して加圧されている間、一定の最終体積でサンドイッチパネルを最初に冷却するステップと、
e)ステップd)で最初に冷却されたサンドイッチパネルを最後に冷却するステップと、
f)プレス(10)を開き、ステップe)で冷却されたサンドイッチパネルをプレス(10)から取り出すステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
プレスプレート(12、14)を有するプレス(10)でサンドイッチパネルを製造する方法であって、サンドイッチパネルは、第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つのフォーム層(52)とカバー層(54、56)とを含み、方法は、
a)第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層(52)と、2つのカバー層(54、56)とを含む出発構造(50)を提供するステップであって、第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層(52)は、第1の熱可塑性樹脂の溶融温度または溶融範囲を上回る分解温度を有する化学的発泡剤を含む、ステップと、
b)プレスプレート(12、14)により出発構造(50)への圧力を維持しながら、プレス(10)のプレスプレート(12、14)間で出発構造(50)を化学的発泡剤の分解温度よりも高い温度まで接触加熱するステップであって、そのため、化学的発泡剤の分解が起こることにより、分解された化学的発泡剤が第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層(52)に存在する中間構造が得られる、ステップと、
c)化学的発泡剤の分解に続いて、このようにして得られた中間構造を、プレスプレート(12、14)により中間構造への圧力を維持しながら、プレスプレート(12、14)内の高温加圧水を
制御膨張弁(34)により蒸気に変換することにより、発泡温度まで冷却するステップと、
d)発泡温度において、発泡される構造物に圧力を加えながら、プレスプレートを所定の距離だけ離して移動させることにより、分解された化学的発泡剤を含む第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層(52)を発泡させるステップであって、最終体積まで増加させ、次に一定に保ち、それによりサンドイッチパネルを得る、ステップと、
e)プレスプレート(12、14)と接触して加圧されている間、プレスプレート(12、14)の高
温加圧水を
制御膨張弁(34)により蒸気に変換することにより、一定の最終体積でのサンドイッチパネルを第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度または融解温度または範囲よりも低い温度までさらに冷却するステップと、
f)ステップe)のサンドイッチパネルを最後に冷却するステップと、
g)プレス(10)を開き、ステップf)で冷却されたサンドイッチパネルをプレス(10)から取り出すステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
高温加圧水を蒸気に変換することにより冷却するステップは、減圧下で行われる、請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともフォームコアおよび少なくとも1つのスキン層を含む熱可塑性サンドイッチパネルをその場で製造するためのプレスに関する。
【背景技術】
【0002】
出発構造からのサンドイッチパネルのその場での製造は、当技術分野で知られている。例えば、特許文献1は、そのような方法を開示している。特許文献1による現場製造は、物理的発泡剤、特に膨潤剤が組み込まれ、少なくとも1つの表面がスキン層で覆われた熱可塑性樹脂のコア層を含む出発構造を提供するステップを少なくとも含む。典型的には、コア層は2つのスキン層の間に配置され、繊維強化熱可塑性スキン層が有利である。出発構造は、下部プレスプレートと上部プレスプレートの間の加熱されたプレス内に配置される。その後、プレスが閉じられ、プレスプレートが出発構造に圧力を加える。時期尚早の発泡を防ぐために出発構造に圧力を加え続けながら、出発構造を熱可塑性樹脂の発泡温度(膨潤剤の沸騰温度よりも高い)まで加熱する。加熱すると、熱可塑性樹脂によるコア層と各スキン層との間の接着が発生する。発泡温度に達したら、制御された方法でプレスプレートを所定の距離まで離間させることによって発泡が行われ、コア層の熱可塑性樹脂が膨張し、物理的発泡剤によって発泡セルが形成される。したがって、発泡と接着が同じプレスにおいて発生する。発泡した構造に圧力が維持され、プレスプレートが冷却される。それ以上の発泡が起こらないように十分に冷却されたとき、典型的には膨潤剤の沸騰温度よりも低い温度(例えば周囲温度)に達したとき、圧力が完全に解放されてよく、こうして得られたサンドイッチパネルをプレスから取り出すことができる。物理的発泡剤を有する熱可塑性サンドイッチパネルの製造では、特に発泡体とスキン層との界面での発泡体の崩壊を防ぐために、および、存在する場合は繊維強化熱可塑性スキンの熱可塑性樹脂への物理的発泡剤のさらなる移行を防ぐために、高速冷却が必要である。
【0003】
特許文献2に記載されている化学的発泡剤の場合、出発構造は、コア中の熱可塑性樹脂の溶融温度または範囲よりも十分に高い温度まで加熱された加熱プレス内に配置される。コア層内の化学的発泡剤は分解され、その後、得られた中間構造は、中間冷却工程において、コア層のそれぞれの熱可塑性樹脂の融点の通常すぐ上の温度まで冷却される。その後、制御された方法でプレスプレートを離間させることによって発泡が行われ、必要な所定の発泡厚さに達したときに、プレスプレートはさらに冷却される。
【0004】
最終的なサンドイッチパネルの品質に影響を与える可能性のあるプレスプレート全体の大きな温度差を防ぐために、生産性の理由から、加熱、発泡、および冷却のさまざまなプロセスステップは、特に冷却中は、均一であるだけでなく、例えば、数十秒からせいぜい数分の範囲で、高速である必要がある。このようにして得られたサンドイッチパネルの機械的特性に深刻な影響を与える、後発泡、特に形成されたセルの崩壊を防ぐためにも、急速冷却が必要である。
【0005】
物理的発泡剤を使用して熱可塑性サンドイッチパネルを製造するために今日使用されているプレスでは、プレスプレートに設けられた内部流路に蒸気を循環させることによって、プレスプレートが加熱される。冷却は、プレスプレートの内部流路に水を流すことによって行われ、内部流路は、通常、逆流配置で配置される。
【0006】
このようなプレスでの冷水による冷却は、いくつかの理由で不十分であるように思われる。第1に、このプレスの冷却能力はその最大であるため、冷却速度が遅すぎる可能性がある。さらに、プレスプレートの内部流路の長さ、プレスプレートの熱伝導率、および一般に必要とされる高い冷却速度のため、プレスプレートの寸法全体にわたって大きな温度差が観察された。これらの温度差の結果として、サンドイッチの発泡コアの密度が局所的に変化する可能性があり、セル壁を通しておよび発泡とスキンとの境界面で物理的発泡剤の流れが誘導されるため、局所的に異なるセル寸法だけでなく、セル壁の破裂および/または溶解が発生する可能性があり、これは局所的に異なる機械的特性と外観に反映される。したがって、このようにして得られた最終的なサンドイッチパネルの品質には、まだ不十分な点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第EP636463号
【文献】国際公開WO2015/065176A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、特に冷却の一次段階中に、プレスプレートの表面全体の温度の均一性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、サンドイッチパネルを製造するためのプレスであって、互いに移動可能に構成された第1および第2のプレスプレートを含み、プレスは、プレスプレートを加熱および冷却するための流体循環ループを有し、流体循環ループは、
流体供給導管に接続された出口と、流体戻り導管に接続された入口とを有する、加熱流体(heated fluid)を生成するための加熱器を含み、流体供給導管は、各プレスプレートの少なくとも1つの内部流路の入口と流体連通しており、流体戻り導管は、各プレスプレートの少なくとも1つの内部流路の出口と流体連通しており、
流体循環ループは、プレスプレートを冷却するために高温加圧水(hot pressurized water)を蒸気に変換するように構成された制御膨張弁と、
水源と、を備え、水源の出口は、水供給導管を介して各プレスプレートの少なくとも1つの内部流路の入口と流体連通している、
プレスが提供される。
【0010】
本発明によるプレスは、典型的には互いに上に配置され、垂直方向の動きを実行可能な下プレスプレートおよび上プレスプレートである、互いに移動可能なプレスプレート(プレスツールとも呼ばれる)を含む。通常、プレスプレートの一方または両方は、サンドイッチの出発構造を配置できるキャビティを有する。一般に、制御された発泡段階中に厚さ(垂直)方向の膨張のみが発生可能であるように、キャビティの周囲は、出発構造の周囲と係合する。本発明によるプレスは、加熱および冷却システムを有する。加熱システムは、高温加圧水などの加熱流体を生成するための加熱器、例えば、水を加圧するための適切なポンプを備えた、必要な温度(範囲)まで水を加熱する電気加熱器、ボイラ、またはその他の熱交換器を含む。プレスプレートの加熱に蒸気も使用可能である。加熱器は、流体供給導管を介して各プレスプレートの流路の入口端に接続され、戻り導管を介して流路の出口端に接続されている。典型的には、プレスプレートは、流体供給導管および流体戻り導管にそれぞれ接続するための適切なマニホルドが端部に設けられた複数の流路を有する。プレスプレートを加熱するために、加熱器は加圧下で高温水(hot water)または蒸気を準備し、高温流体(hot fluid)は、加熱器から供給導管を介してプレスプレートの流路に循環し、プレスプレートから戻り導管を介して加熱器に戻る。供給される熱水または蒸気の温度と圧力は、通常、それぞれ170~190℃および8~13バールの範囲である。有利には、プレスプレートの本体内の流路の分布、および動作中の両方のプレスプレートのすべてのチャネルを通る流量は、プレスプレートの内面の均一な温度(分布)が達成されるようなものである。冷却目的のために、本発明によるプレスは、プレスの内部流路システム内の高温加圧水の蒸気への変換に必要な蒸発熱を利用する。プレスの加熱に蒸気が使用されている場合、内部流路に高温加圧水が含まれるように、冷却前に例えばベンチュリ接続を使用して、高温の加圧水が導入される。この種の冷却を考慮して、循環ループには制御された膨張弁が設けられており、プレスプレートの流路を通る高温加圧水の流れを遮断した後、高温加圧水を蒸気に変換することができる。この変換に必要な蒸発熱は、プレスプレートから取り出される。プレスプレートは、発泡構造を冷却する。この蒸気への変換によるプレスプレートからの熱の除去は、冷水による冷却よりも均一であるが、それでも必要な冷却速度を可能にするのに十分速いようである。また、均一な冷却により、プレスプレート表面の温度が表面全体により均一になり、最終的なサンドイッチパネルの密度とセル寸法の局所的な変化が少なくなるようである。したがって、サンドイッチパネルの品質が向上する。もう1つの利点は、例えば、冷却段階における異なる冷却速度を示す冷却曲線に従う要件に応じて、冷却条件を正確に調整できることである。例えば、冷却状態の開始時の冷却速度は、より速い冷却が望まれる後の瞬間よりも遅くなる可能性がある。このような冷却曲線に従う冷却は、物理的発泡剤の凝縮挙動にプラスの効果をもたらし、その結果、フォーム構造に影響を与える可能性がある。蒸発による冷却は、所定の温度、例えば発泡コアの熱可塑性樹脂の発泡温度よりも低い温度に達するまで行われる。蒸発熱の影響は、ある温度以下になると減少するので、例えば、140~110℃の範囲など、150℃未満に達した場合、高速冷却速度を維持して、プレスプレート全体の温度の均一性を維持するために、例えば40~90℃の水温など、徐々に減少する低下する制御された温度を有する水の流れによってさらに冷却が行われる。温度制御された水を使用するこの中間冷却ステップの後、プレスプレートを通る適切な温度制御された水の流れを使用して、周囲温度までさらにゆっくりと冷却することができる。このゆっくりとした冷却は、サンドイッチパネルの最終特性の開発にとってそれほど重要ではない。プレスプレート全体の温度の均一性は、内部流路を通る大量の水流によって維持されることが好ましい。
【0011】
通常、プレスプレートの温度(例えば、その面からわずかに(4mmなど、数mm)下の位置)が測定され、水温を調整するための制御パラメータとして使用される。
【0012】
別の実施形態では、蒸発熱の影響が小さくなるときに、蒸気の形成による圧力低下に加えて、流路内の圧力を意図的に低下させる。流路に接続された真空ポンプを使用して(部分的な)真空を適用するなど、追加の減圧により、蒸気の生成が発生する温度が低下する。これにより、水を蒸気に相転移(phase transformation)させることにより、より低い温度、例えば、上記の140~110℃の範囲と比較して、90℃未満まで冷却を継続することができ、プレスプレートの温度がより均一になる。この中間冷却ステップの後、上記のようにさらに徐冷することができる。
【0013】
流路内の高温加圧水の量が少なくなり、相転移による必要な冷却に不十分な場合、追加の、好ましくは高温加圧水を流路に導入することができる。このメークアップは、冷却動作中に行ってもよいし、冷却動作の短い中断中に行ってもよい。
【0014】
有利な実施形態において、制御された膨張弁を有する導管は、生成された蒸気から熱を回収するための凝縮器に接続される。冷却中に発生する(低圧)蒸気には、凝縮器で簡単に回収できるエネルギーが含まれている。発生した蒸気は、例えば、他の工業プロセスにおけるプロセス熱として、それ自体として利用することもできる。
【0015】
プレスの動作は、通常、PLCまたはPCを使用して制御される。一実施形態では、コントローラは、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、
流体循環ループに高温流体を流すことにより、プレスプレートを予熱すること、
予熱されたプレスプレートを互いに向かって移動し、製造されるサンドイッチパネルの出発構造に圧力を加えることにより、プレスを閉じること、
流体循環ループに高温流体を流すことによりプレスプレートを加熱し続け、それにより、出発構造に圧力を加えながら、出発構造を発泡温度まで加熱すること、
発泡中の構造への圧力を維持しながら、プレスプレートを所定の距離だけ離して移動させることにより、発泡温度で出発構造を発泡させること、
流体循環ループを通る高温流体の流れを遮断すること、
制御された膨張弁を作動させてプレスプレートを冷却し、それにより高温加圧水を蒸気に変換すること、および
制御された温度の水をプレスプレートの内部流路に流すことにより、プレスプレートを冷却すること、
を含むプロセスを実行するコンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を含む。
【0016】
通常、製造されたサンドイッチパネルを取り外すことができるようにするためのプレスの開放も、命令に含まれている。
【0017】
有利には、プレスには、出発構造をプレスに手動で配置する代わりに、出発構造をプレスに導入するための供給ユニットおよび/またはプレスから製造されたサンドイッチパネルを取り外すための排出ユニットが設けられる。次に、命令にはさらに、出発構造をプレスに導入すること、および該当する場合には、プレスから製造されたサンドイッチパネルを取り外すことが含まれる。
【0018】
上記の命令は、物理的発泡剤を使用してサンドイッチパネルを製造するための一般的なものである。物理的発泡剤は、膨潤剤(すなわち、それぞれの熱可塑性樹脂への可解性(solvability)が低い溶剤)または加熱すると揮発し、得られた気泡が発泡セルを生成する溶剤である。物理的発泡剤の例には、二酸化炭素や各種ペンタンなどの軽質炭化水素、アセトンなどの膨潤剤、塩化メチレンなどの溶剤が含まれる。
【0019】
化学的発泡剤を使用して製造された熱可塑性サンドイッチパネルの場合、例えば、特許文献2に記載されているように、発泡剤の分解温度(またはそれ以上)から発泡温度へ、および発泡温度から熱可塑性サンドイッチパネルの発泡コアの熱可塑性樹脂のTgまたはTm未満の温度への迅速かつ均一な冷却は、サイクルタイムを短縮するために有利である。このようにして、分解と発泡に最適な温度または範囲を個別に選択および設定できる。
【0020】
化学的発泡剤は、分解時に窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、アンモニアなどの低分子ガスを生成する化合物である。化学的発泡剤の例には、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン、クエン酸モノナトリウムおよびオキシビス(p-ベンゼンスルホニル)ヒドラジドが含まれる。アゾ、ヒドラジンおよび他の窒素ベースの化学的発泡剤は好ましい。アゾジカルボンアミドは、このカテゴリーの好ましい例である。他の例には、PU用のイソシアネートおよび重炭酸ナトリウムが含まれる。化学的発泡剤を含む第1の熱可塑性樹脂のコア層は、例えば、押し出し加工またはカレンダー加工によって、容易に製造することができる。
【0021】
本発明は、いずれのタイプの発泡剤にも使用できる。しかしながら、物理的発泡剤、特に膨潤剤を使用する上記のサンドイッチパネルの製造は、本発明によるプレスから最大の利益を得る。
【0022】
出発構造として、発泡剤を少なくとも1つのスキン層と組み合わせた熱可塑性樹脂のコア層が使用される。
【0023】
物理的発泡剤を使用してコア層を発泡させるのに適した熱可塑性樹脂には、結晶性熱可塑性樹脂とアモルファス熱可塑性樹脂の両方が含まれる。可解性の観点から、アモルファス熱可塑性樹脂が好ましい。
【0024】
化学的発泡剤を使用してコア層を発泡させるのに適した熱可塑性樹脂には、結晶性熱可塑性樹脂とアモルファス熱可塑性樹脂の両方が含まれる。結晶性熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度と融点の差が小さく、短い温度間隔で発泡すると熱可塑性樹脂を固化する可能性があるため、好ましい。
【0025】
スキン層(カバーまたは表面シートとも呼ばれる)の材料として、熱可塑性樹脂、特に繊維強化熱可塑性樹脂、および金属シート、例えばアルミ、が使用できる。下部および上部のカバー層は、同じ材料から作られることが好ましいが、例えば、アルミニウムのような金属の下部カバー層と、(繊維強化)熱可塑性樹脂の上部カバー層との組み合わせも考えられる。コア層およびスキンの材料の選択は、とりわけ、最終製品の用途に求められる特性に依存する。
【0026】
コア層およびカバー層用の熱可塑性樹脂は、異なるグレードを含め、同じでも異なっていてもよい。以下、表示の目的で、コア層の熱可塑性樹脂を第1の熱可塑性樹脂として示し、カバー層の熱可塑性樹脂を第2の熱可塑性樹脂と呼ぶ。例としては、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリケトン、PPSポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン(C1-C4モノマーから得られる)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、PAポリアミド、PCポリカーボネートなど、およびそれらの組み合わせ。PEI/PEEK、PPSU/PEEK、PEI/PCなどの異なるカバー層の組み合わせも考えられる。熱可塑性生体高分子も考慮される。スキンは、1つまたは複数の副層を含むことができ、例えば、ローカル専用の追加の施行を考慮して、その数は局所的に変化する可能性がある。局所的に異なるスキンの場合、熱容量および/または熱伝導率などの熱伝達特性も、通常、局所的に異なる。次に、熱伝達特性を均一にする非接着性の局所補償部品をプレスに装備することができる。
【0027】
有利には、スキンの少なくとも1つは、第2の熱可塑性樹脂の繊維強化層である。好ましくは、両方のスキンは、第2の熱可塑性樹脂の繊維強化層である。
【0028】
上記のように、第1および第2の熱可塑性樹脂に異なる熱可塑性樹脂の組み合わせを使用することもできる。例としては、とりわけ、PPSU、PS、PEEK、またはPCから作られた(繊維強化)スキンで覆われた少なくとも1つのコア層用のPEI、PSU(ポリスルホン)またはPCから作られた(繊維強化)カバー層で覆われた少なくとも1つのコア層用のPESまたはPPSU、ナイロンなどのポリアミド製の(繊維強化)層で覆われた少なくとも1つのコア層用のPP、が含まれる。
【0029】
適合性の観点から、有利には、第1の熱可塑性樹脂のタイプは、第2の熱可塑性樹脂のタイプと等しい。
【0030】
強化にはガラス繊維が適している。金属繊維、炭素繊維などの他の無機繊維、およびアラミド繊維、高分子繊維、前述の繊維のナノ繊維、天然繊維などの有機繊維も、それらが本発明による方法の作動中に受ける温度に耐えることができる限り、同じ方法で使用できる。繊維はマット、布地、細断繊維などの形で使用できる。方向性繊維、特に繊維方向が意図された用途に適合するように調整された一方向性繊維も有利に使用できる。繊維強化カバー層には、高強度、高伸びのスチールコードが含まれ得る。
【0031】
化学的または物理的発泡剤、特に膨潤剤が組み込まれている熱可塑性樹脂のコア層の副層間に補強材を適用することもできる。そのような補強材の例には、(ガラス)繊維補強層、金属層、スチールコードが含まれる。
【0032】
出発構造の別の好ましい実施形態は、無機繊維と熱可塑性繊維の両方で作られたマット、例えば、ガラス繊維とプロピレン繊維、または無機繊維と熱可塑性粉末から製造されたマット、である。。
【0033】
核剤、可塑剤、溶融強度向上剤、およびナノ粒子などの添加剤も、第1の熱可塑性層に存在し得る。
【0034】
本発明によるプレスのプレスプレートは、平坦な表面を有し得る。プレスプレートの一方または両方が2Dまたは3D曲面構成を有することも考えられる。
【0035】
本発明はまた、プレスプレートを有するプレスにおいてサンドイッチパネルを製造する方法に関し、このサンドイッチパネルは、第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つのフォーム層とカバー層とを含み、方法は、
a)第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層と、2つのカバー層とを含む出発構造を提供するステップであって、第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層は、物理的発泡剤を含む、ステップと、
b)プレスプレートにより出発構造への圧力を維持しながら、プレスのプレスプレート間で出発構造を発泡温度まで接触加熱するステップと、
c)発泡温度において、発泡中の構造物への圧力を維持しながら、プレスプレートを所定の距離だけ離して動かすことにより、物理的発泡剤を含む第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層を発泡させるステップであって、最終体積まで増加させ、次に一定に保ち、それによりサンドイッチパネルを得る、ステップと、
d)プレスプレートの高温加圧水を蒸気に変換することにより、物理的発泡剤を含む第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満の温度まで、例えば物理的発泡剤の沸点よりも20~40℃高い温度まで冷却するために、プレスプレートと接触して加圧されている間、一定の最終体積でサンドイッチパネルを最初に冷却するステップと、
e)ステップd)で最初に冷却されたサンドイッチパネルを最後に冷却するステップと、
f)プレスを開き、ステップe)で冷却されたサンドイッチパネルをプレスから取り出すステップと、を含む。
【0036】
第1の熱可塑性樹脂中の物理的発泡剤は、第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度を下げる。上記のステップd)において、ガラス転移温度は、物理的発泡剤を含む第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度である。ガイドラインとして、最初の冷却ステップの最終温度は、物理的発泡剤の沸点よりも数十℃上、例えば20~40℃の範囲上に設定することができる。
【0037】
本発明は、プレスプレートを有するプレスにおいてサンドイッチパネルを製造する方法にも関し、このサンドイッチパネルは、第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つのフォーム層とカバー層とを含み、この方法は、
a)第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層と、2つのカバー層とを含む出発構造を提供するステップであって、第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層は、第1の熱可塑性樹脂の溶融温度または溶融範囲を上回る分解温度を有する化学的発泡剤を含む、ステップと、
b)プレスプレートにより出発構造への圧力を維持しながら、プレスのプレスプレート間で出発構造を化学的発泡剤の分解温度よりも高い温度まで接触加熱するステップであって、そのため、化学的発泡剤の分解が起こることにより、分解された化学的発泡剤が第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層に存在する中間構造が得られる、ステップと、
c)化学的発泡剤の分解に続いて、このようにして得られた中間構造を、プレスプレートにより中間構造への圧力を維持しながら、プレスプレート内の高温加圧水を蒸気に変換することにより、発泡温度まで冷却するステップと、
d)発泡温度において、発泡される構造物に圧力を加えながら、プレスプレートを所定の距離だけ離して移動させることにより、分解された化学的発泡剤を含む第1の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの層を発泡させるステップであって、最終体積まで増加させ、次に一定に保ち、それによりサンドイッチパネルを得る、ステップと、
e)プレスプレートと接触して加圧されている間、プレスプレートの高温加圧水を蒸気に変換することにより、一定の最終体積でのサンドイッチパネルを第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度または融解温度または範囲よりも低い温度までさらに冷却するステップと、
f)ステップe)のサンドイッチパネルを最後に冷却するステップと、
g)プレスを開き、ステップf)で冷却されたサンドイッチパネルをプレスから取り出すステップと、を含む。
【0038】
発泡後の冷却の少なくとも1段階が高温加圧水の蒸気への変換によって行われる本発明による方法は、上で概説したプレスと同じ利点を提供する。プレスのさまざまな有利で好ましい実施形態は、熱回収のための凝縮器における蒸気の凝縮を含む、同様の仕方で方法に適用可能である。
【0039】
化学的発泡剤の場合、発泡温度は、アモルファス熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも高く、(半)結晶性熱可塑性樹脂の融点または範囲よりも高い。
【0040】
発泡は、互いに離れて移動するプレスプレートによって、出発構造との制御された圧力接触の下で発生する。発泡中、構造物の体積を最終体積、特に最終厚さまで増加させ、次に一定に保ち、それによりサンドイッチパネルが得られる。発泡ステップの動作温度と最終的な低温(通常は周囲温度)との違いにより、温度に依存した体積の減少(収縮)が発生する可能性がある。いずれにせよ、これ以上の膨張は行われない。上述したように、相転移を使用する冷却ステップは、減圧下で部分的に行うことができる。
【0041】
本発明は、添付の図面によってさらに説明される。図において、同様の構成要素および部品は、同じ参照番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明による第1の実施形態の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明による第2の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1において、サンドイッチパネルを製造するためのプレスの実施形態は、全体が参照番号10で示されている。プレス10は、それぞれ、互いに変位可能な2つのプレスプレート12、14を含む。例えば下部プレスプレート14は、固定位置を有し得る一方、上部プレスプレート12は、矢印で示すように、例えば油圧シリンダ(図示せず)により、垂直方向に移動可能である。各プレスプレート12、14は、入口18から出口20まで延びる少なくとも1つの内部流路16をその本体に有する。典型的には、多数の内部流路が、動作中に加えられる圧力に関して臨界値を超えてプレスプレートの強度を損なうことなく、本体内に分配される。入口18は、流体供給ライン24によって加熱器22の出口21に接続されている。加熱器22は、例えば、ボイラおよびポンプ(個別には表示されない)を使用して、高温加圧水を送給するように構成される。出口20は、流体戻りライン26を介して加熱器22の入口25に接続されている。加熱器22、流体供給ライン24、内部流路16および流体戻りライン26は共に、互いに流体連通し、プレスプレートに熱を供給するために使用される循環ループを形成する。流体供給ライン24および流体戻りライン26には、適切なバルブ28、30が設けられている。この実施形態に概略的に示されるように、流体戻りライン26は、圧力を逃がし、それによりプレスプレート12、14の流路16内に存在する高温加圧水から蒸気を発生させる膨張弁34を備えた分岐ライン32を有する。水を蒸気に変換するために使用される熱は、プレスプレートから取り出され、それによりプレスプレートを冷却し、その結果、サンドイッチ構造を冷却する。発生した蒸気は、蒸気から熱を回収するために凝縮器36で凝縮される。凝縮液(水)は、加熱器22に戻され得る。タップまたはタンクなどの出口39を有する温度制御された水源38は、給水ライン40を介してそれぞれのプレスプレート12、14を比較的ゆっくりと冷却するために、内部流路16の入口18と流体連通する。出口20は、加熱器22に、この場合は流体戻りライン26に接続され、蒸気発生により失われた水を補う。水戻りライン41を介して、水を循環させて水源38に戻すこともできる。プロセッサ44およびメモリ46を有するPCまたはPLCなどの制御装置42は、プレス10の開閉、(予)加熱および初期冷却のための供給された高温加圧水、蒸気の温度、圧力および流量などの条件、および、さらなる冷却のための温度制御された水の温度、圧力および流量などの条件、および、加熱器、制御弁、膨張弁、ベンチュリインジェクターなどの関連機器、を含むプレス10の動作を制御する。
【0044】
出発構造(二次元で示されている)は、参照番号50で示され、スキン54と56との間のコア層52を含む。この実施形態では、コア層52は、物理的発泡剤を含む熱可塑性樹脂で構成される。スキン54、56は、ガラス繊維強化熱可塑性層であることが有利であり、熱可塑性層は、コア層52の熱可塑性層と同じであることが好ましい。
【0045】
出発構造50は、横方向(水平方向)の膨張/発泡が防止されるように、予熱された下部プレスプレート14上にその周縁部が嵌合して配置される。プレスプレート12、14は、使用される熱可塑性樹脂に応じて、170~190℃の範囲などの発泡温度に予熱されている。プレス10は、プレスプレート12、14の両方が出発構造50に接触するように閉じられる。プレスプレート12、14によって圧力が加えられる前に、コア層52の時期尚早で制御不能な発泡を防止するために、プレスの閉鎖は迅速に行われる。出発構造50の均一な発泡温度(物理的発泡剤の沸騰温度以上)が得られると、プレスプレート12、14間の距離が制御された方法で増加し、スキン54、56がそれぞれのプレスプレート12、14とのそれらの接触を維持し、圧力が加えられる。距離がその所定値まで増加し、したがって出発構造、特にそのコア層、が対応する所定の厚さまで発泡したら、流路16を通る高温加圧水の流れは中断され、膨張弁34を作動することによって冷却が開始され、そして所定の低温、例えば110~150℃の範囲に達するまで冷却が継続される。この温度では、蒸気への変換による冷却の効果はそれほど顕著ではなく、発泡が起こらなくなる約80~95℃の温度までサンドイッチパネルを冷却するために、その後のプレスプレート12、14の冷却は、水源38からの水によって行われる。
【0046】
プレスプレート12、14を通して、より低い制御温度を有するソース38から得られた水を循環させることにより、プレス10内で周囲温度までさらに冷却することができる。
【0047】
化学的発泡剤の場合、プレスは、化学的発泡剤の分解温度よりも高い温度まで加熱される。
【0048】
典型的には、プレスプレート12、14は、使用される熱可塑性樹脂の溶融温度または溶融範囲よりも十分に高く、化学的発泡剤の分解温度よりも高い温度まで予熱されるあるいは、プレスプレート12、14は、発泡される熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度、したがって、前記溶融温度よりも高い化学的発泡剤の分解温度よりも低い温度に予熱される。プレス10を閉じた後、プレスプレート12、14を分解温度よりも高い温度まで加熱することにより、出発構造の温度をさらに上げる。発泡剤の分解後、流路16を通る高温加圧水の流れを遮断することにより、出発構造を熱可塑性樹脂の融点/範囲を上回る適切な温度まで急速に冷却され、膨張弁34を作動することにより冷却が開始され、熱可塑性樹脂の融解温度よりも上の所定の低温に達するまで冷却が継続される。まだ加圧下にある出発構造が、コア層で使用された熱可塑性樹脂の溶融温度のすぐ上の均一な温度に達したとき、プレスプレート12、14間の距離は制御された方法で増加し、スキン54、56は、それぞれのプレスプレート12、14との接触を維持し、したがって圧力が加えられる。距離がその所定の値まで増加し、したがって、出発構造が、特にそのコア層が、対応する所定の厚さまで発泡すると、膨張弁34を作動させることにより冷却が再開され、上記のように冷却が継続される。
【0049】
熱可塑性樹脂の分解温度から融解温度までの中間冷却は、省略してもよい。その後、比較的高い発泡温度で発泡を行う。
【0050】
図2は、加熱器22が蒸気を発生させるように構成され、プレス10が蒸気によって加熱されることを除いて、
図1のそれに類似する、本発明によるプレスの第2の実施形態を示す。冷却前に内部流路16を高温加圧水で満たすために、さらなる高温加圧水源82と入口18との間に、通常、内部流路16の各入口に、ベンチュリ接続80が設けられる。
【0051】
図1において、制御装置42によって制御される真空ポンプ90は、導管を介して流路16に流体的に接続された制御弁を備えており、適切な場合、内部流路16の圧力を下げるようにポンプ90を作動させることができる。この配置は、
図2の実施形態にも組み込むことができる。