(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】ジシクロペンタジエン系樹脂、ジシクロペンタジエン系水添樹脂およびこれを含む接着樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 145/00 20060101AFI20231120BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20231120BHJP
C08F 8/04 20060101ALI20231120BHJP
C08F 232/08 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
C09J145/00
C09J11/08
C08F8/04
C08F232/08
(21)【出願番号】P 2021531980
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 KR2019014534
(87)【国際公開番号】W WO2020116788
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0154896
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501014658
【氏名又は名称】ハンワ ソリューションズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン, ヒョノク
(72)【発明者】
【氏名】ビュン, ド ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン, キョンジュン
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-046788(JP,A)
【文献】特表2004-515618(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156555(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0036630(KR,A)
【文献】特表2007-523979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F、C09J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジシクロペンタジエン系水添樹脂および熱可塑性樹脂を含む接着樹脂組成物であって、
前記ジシクロペンタジエン系水添樹脂は、ジシクロペンタジエン系単量体とビニルアミド系単量体を共重合して製造されるジシクロペンタジエン系樹脂に対して水素添加反応を行って製造され、
前記接着樹脂組成物は、混合メチルシクロヘキサンアニリン曇り点が60℃以下であり、ジアセトン曇り点が60℃以下である、接着樹脂組成物。
【請求項2】
前記接着樹脂組成物は、オイルをさらに含む、請求項1に記載の接着樹脂組成物。
【請求項3】
前記オイルは、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルおよび芳香族系オイ
ルから選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含む、請求項2に記載の接着樹脂組成物。
【請求項4】
前記接着樹脂組成物は、全重量に対して、ジシクロペンタジエン系水添樹脂50~90重量%および熱可塑性樹脂10~50重量%を含む、請求項1に記載の接着樹脂組成物。
【請求項5】
前記接着樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン系水添樹脂と熱可塑性樹脂100重量部に対して、オイルを1~60重量部含む、請求項2に記載の接着樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々なベース樹脂との相溶性に優れたジシクロペンタジエン系樹脂、ジシクロペンタジエン系水添樹脂およびこれを含む接着樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
石油樹脂は、代表的な粘着剤または接着剤として、接着テープやペイント、インク、ゴム、タイヤなどの製品に粘着性または接着性を有するようにする物質として主に使用される。前記石油樹脂は、常温で液相または固相で透明な半流動体の液体から淡黄色および透明無色の固体まで様々な形態であり得る。
【0003】
前記石油樹脂のうち、ジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、DCPD)樹脂は、非晶性ポリアルファオレフィン(amorphous polyalphaolefin、APAO)、エチレンビニルアセテート(EVA、Ethylenevinyl acetate)およびスチレン系ブロック共重合体(SBCs、Styrenic block copolymers)など、様々なベース樹脂と混合され、水素添加反応により粘着剤または接着剤の粘着付与樹脂として使用される。
【0004】
ジシクロペンタジエン水添樹脂は、原料および樹脂の構造的限界によって相溶性の調節が難しいため、スチレン系‐イソプレン‐スチレン共重合体のようなベース樹脂には高い相溶特性を示すが、スチレン系‐ブタジエン‐スチレン共重合体のようなベース樹脂には使用が適しない。そのため、様々なベース樹脂との相溶性を高めるためには、水添樹脂の極性度を調節できる技術が必要である。
【0005】
これを解決するために、従来、スチレン系およびインデン系などから選択されるC9系単量体またはピペリレンなどのC5系単量体をジシクロペンタジエンと共重合して提供した。
【0006】
このように、C9系単量体またはC5系単量体をジシクロペンタジエン単量体と共重合する際、ジシクロペンタジエン単量体の含量が高いと、逆に、最終のジシクロペンタジエン水添樹脂の溶融粘度が増加し、ベース樹脂との相溶性が弱化するため、過量のC9系単量体またはC5系単量体が求められ、選択水添などの高技術が求められて製造が容易でなかった。また、接着テープに適用する際、凝集力や180゜剥離強度が良好である一方、初期粘着力が相対的に劣るという問題があった。
【0007】
そのため、ベース樹脂との相溶性に優れ、初期粘着力、180゜剥離強度および凝集力の均衡をなして優れた粘着特性を具現することができるジシクロペンタジエン水添樹脂を含む粘着剤の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような問題点を解決するための本発明は、様々なベース樹脂との相溶性に優れたジシクロペンタジエン系樹脂およびその水添樹脂を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、ビニルアミド系単量体を含んで製造されたジシクロペンタジエン系水添樹脂を様々なベース樹脂と混合した接着樹脂組成物を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、接着剤として提供し、より優れた接着力を有する接着樹脂組成物を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、本発明によるジシクロペンタジエン系樹脂は、ジシクロペンタジエン系単量体およびビニルアミド系単量体を含む単量体組成物を共重合して製造される。
【0012】
本発明の一様態による前記ビニルアミド系単量体は、下記化学式1を満たすことができる。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1中、
Aは、飽和または不飽和環状炭化水素である。
【0013】
本発明の一様態による前記ジシクロペンタジエン系単量体およびビニルアミド系単量体は、99:1~50:50の重量比で含むことができる。
【0014】
本発明による他の様態であるジシクロペンタジエン系水添樹脂は、上述のジシクロペンタジエン系樹脂に対して水素添加反応を行ったものである。
【0015】
本発明によるさらに他の様態である接着樹脂組成物は、上述のジシクロペンタジエン系水添樹脂および熱可塑性樹脂を含む。
【0016】
本発明の一様態による前記接着樹脂組成物は、オイルをさらに含むことができる。
【0017】
本発明の一様態による前記オイルは、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルおよび芳香族系オイルなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含むことができる。
【0018】
本発明の一様態による前記接着樹脂組成物は、全重量に対して、ジシクロペンタジエン系水添樹脂50~90重量%および熱可塑性樹脂10~50重量%を含むことができる。
【0019】
本発明の一様態による前記接着樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン系水添樹脂と熱可塑性樹脂100重量部に対して、オイルを1~60重量部含むことができる。
【0020】
本発明の一様態による前記接着樹脂組成物は、混合メチルシクロヘキサンアニリン曇り点(MMAP、Mixed methylcyclohexane aniline cloud point)が60℃以下であってもよく、ジアセトン曇り点(DACP、Diacetone alcohol cloud point)が60℃以下であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるジシクロペンタジエン系樹脂は、様々なベース樹脂との優れた相溶性を有し、著しく向上した接着力を具現することができる接着樹脂組成物として提供可能であるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態により、本発明によるジシクロペンタジエン系樹脂、ジシクロペンタジエン系水添樹脂およびこれを含む接着樹脂組成物についてより詳細に説明する。ただし、下記の実施形態は、本発明を詳細に説明するための参照であって、本発明はこれに制限されるものではなく、様々な形態に具現され得る。
【0023】
また、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本願で説明に使用される用語は、単に特定の実施例を効果的に記述するためであって、本発明を制限することを意図しない。
【0024】
本明細書において、「減圧接着剤」は、室温で設定された乾燥フィルムが永久に粘着性であり、接着力を維持し、様々な基材に弱く加えられた圧力によって結合可能な粘弾性接着剤であると理解される。
【0025】
前記目的を達成するための本発明は、様々なベース樹脂との相溶性に優れたジシクロペンタジエン系樹脂、ジシクロペンタジエン系水添樹脂およびこれを含む接着樹脂組成物に関する。
【0026】
本発明を具体的に説明すると、以下のとおりである。
【0027】
本発明によるジシクロペンタジエン系樹脂は、ジシクロペンタジエン系単量体およびビニルアミド系単量体を含む単量体組成物を共重合して製造される。
【0028】
従来のジシクロペンタジエン系樹脂は、オレフィン系、スチレン系およびアクリル系などのベース樹脂との相溶性が足りず、接着または粘着樹脂組成物として提供した時、180゜剥離強度およびループタックテストにおける接着力が低いか、使用されるベース樹脂の種類に制限されるなどの欠点があった。
【0029】
これを解決するために、従来、ジシクロペンタジエン系樹脂を、スチレン系およびインデン系などから選択されるC9系単量体またはピペリレンおよびイソプレンなどから選択されるC5系単量体をジシクロペンタジエン系単量体と共重合して提供する方法を提示した。前記C9系単量体およびC5系単量体などのオレフィン系単量体を共重合して提供する場合、ジシクロペンタジエンホモ樹脂に比べて、ベース樹脂との相溶性は向上するが、目標軟化点に逹するための反応時間が長くなるか、水素添加反応での過剰な負担が発生し得る。
【0030】
これとは異なり、本発明によるジシクロペンタジエン系樹脂は、ジシクロペンタジエン系単量体およびビニルアミド系単量体を含む単量体組成物を共重合して製造することで、水素添加反応後にも極性領域を維持し、且つベース樹脂との相溶性をより向上させることができる。
【0031】
また、従来のジシクロペンタジエン系樹脂は、スチレン系共重合体の中でもスチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体に対しては相溶性を有する一方、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体に対しては相溶性が著しく低い。このように、従来のジシクロペンタジエン系樹脂は、スチレン系共重合体でもベース樹脂として使用される種類が制限されるが、本発明によるジシクロペンタジエン系樹脂は、スチレン系共重合体の種類に特に制限されず、様々なベース樹脂との混和性および相溶性に優れる。また、接着樹脂組成物として提供した時に、著しく向上した180゜剥離強度およびループタックテストにおける接着力を具現することができる。
【0032】
本発明の一様態によって、前記ジシクロペンタジエン系単量体は、非置換または置換されたジシクロペンタジエン(Dicyclopentadiene)から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含むことができる。前記置換されたジシクロペンタジエンは、メチルジシクロペンタジエン(1‐Methyldicyclopentadiene)などのC1‐C5アルキル基で置換されたものであり得るが、これに制限されるものではない。前記ジシクロペンタジエン系単量体は、エンド(endo)またはエキソ(exo)形態であり得る。
【0033】
本発明の一様態によって、前記ビニルアミド系単量体は、アミド基およびビニル基を含む化合物である。具体的には、前記ビニル基は、二重結合を含む官能基であれば特に制限されるものではないが、具体的には、例えば、前記ビニル基は、エテニル基(ethenyl、‐CH=CH2)およびアクリレート基(acrylate、‐O(C=O)CH=CH2)などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含むことができる。
【0034】
好ましくは、前記ビニルアミド系単量体は、脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素構造を含むことができる。より好ましくは、下記化学式1を満たすことができる。
【0035】
【0036】
前記化学式1中、
Aは、飽和または不飽和環状炭化水素である。
具体的には、前記化学式1は、アミド基を含み、且つ前記Aを構成することで、飽和または不飽和ヘテロ環状炭化水素であってもよい。好ましくは、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基から誘導されてもよい。例えば、前記Aは、ピロール基、ピリジン基、ピリミジン基、アゼピン基、イミダゾール基、ピラダジン基、インドール基およびジアジン基などから選択される不飽和ヘテロ環状炭化水素であるヘテロアリール基から誘導され得る。または、前記Aは、ピロリジン基、ピロリドン基、ピペリジン基およびラクタム基などから選択される飽和ヘテロ環状炭化水素であるヘテロシクロアルキル基から誘導され得る。
【0037】
ベース樹脂との相溶性の向上および接着力の向上のために、より好ましくは、本発明の一様態によって、前記ビニルアミド系単量体は、アミド基を含むラクタム系ビニル化合物である脂環族ビニルアミド系単量体であってもよい。具体的には、前記脂環族ビニルアミド系単量体は、下記化学式2を満たすことができる。
【0038】
【0039】
前記化学式2中、nは、1~15から選択される整数である。
【0040】
前記化学式2を満たす化合物として、具体的には、例えば、前記脂環族ビニルアミド系単量体は、N‐ビニルカプロラクタム(N‐Vinylcaprolactam)、N‐ビニルピロリドン(N‐vinylpyrrolidone)、N‐ビニルピペリドン(N‐vinylpiperidone)およびN‐ビニルラウロラクタム(N‐vinyllaurolactam)などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含むことができる。前記のような脂環族ビニルアミド系単量体を含んで共重合する場合、様々なベース樹脂との相溶性は言うまでもなく、接着力を著しく向上させることができる。また、ジシクロペンタジエン系樹脂を水素添加反応した時に、本特性を維持するとともに、ベース樹脂との相溶性を著しく向上させることができる。
【0041】
本発明の一様態によって、前記ジシクロペンタジエン樹脂は、ビニルアミド系単量体である共単量体を含むにもかかわらず、接着樹脂組成物として適用可能な低い分子量および低い分子量分布を有し、優れた接着力の具現が可能であり、接着剤または粘着剤として卓越している。
【0042】
本発明の一様態によって、前記ジシクロペンタジエン樹脂は、ジシクロペンタジエン系単量体およびビニルアミド系単量体を99:1~50:50の重量比で含むことができる。好ましくは99:1~70:30の重量比で含むことができる。より好ましくは99:1~80:20の重量比で含むことができる。前記のような含量で含む場合、過量の共単量体を使用しなくてもベース樹脂との相溶性を向上させることができ、接着力を著しく向上させることができる。
【0043】
本発明の一様態によって、ジシクロペンタジエン系樹脂は、数平均分子量(Mn)が200~1,200g/molであり、重量平均分子量(Mw)が250~4,000g/mol、Z平均分子量(Mz)が300~5,000g/molであり得る。好ましくは数平均分子量が250~1,000g/molであり、重量平均分子量が300~3,000g/mol、Z平均分子量が350~4,000g/molであり得る。より好ましくは数平均分子量が200~800g/molであり、重量平均分子量が300~3,000g/mol、Z平均分子量が400~4,000g/molであり得る。前記のような分子量を有する場合、水素添加反応後にも低分子量の有機物放出などの表面汚染を防止することができ、優れた接着力を発現することができる。
【0044】
本発明によるジシクロペンタジエン系樹脂は、ジシクロペンタジエン系単量体およびビニルアミド系単量体でも目的とする上述の効果を達成することができるが、その他の単量体をさらに含むことを除くものと制限解釈してはならない。
【0045】
本発明の一様態によって、前記単量体組成物は、ジシクロペンタジエン系単量体およびビニルアミド系単量体の他にも、オレフィン系単量体および芳香族ビニル系単量体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0046】
本発明の一様態によって、前記オレフィン系単量体は、具体的には、例えば、ピペリレン、イソプレン、エチレン、プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテン、1‐オクテン、1‐デセン、1‐ウンデセン、1‐ドデセン、1‐テトラデセン、1‐ヘキサデセン、および混合C5留分などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができる。好ましくは、C4‐C10オレフィン系単量体を含むことができる。具体的には、例えば、ピペリレン、イソプレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテン、1‐オクテンおよび1‐デセンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0047】
前記混合C5留分は、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン、1‐ペンテン、2‐メチル‐2‐ブテンおよびn‐ペンタンなどの混合物で構成されたものである。具体的には、混合C5留分は、イソプレン10~20重量%、ピペリレン10~20重量%、シクロペンタジエン0.5~1.5重量%、1‐ペンテン2~4重量%、2‐メチル‐2‐ブテン1~3重量%およびn‐ペンタン25~35重量%で構成され得る。より具体的には、全世界で使用されるC5留分のほとんどは、ピペリレンが主な単量体であるピペリレン濃縮留分であり得る。
【0048】
本発明の一様態によって、前記芳香族ビニル系単量体は、好ましくは、芳香族ビニル系単量体を含むことができ、具体的には、例えば、スチレン、アルファ‐メチルスチレン、パラ‐メチルスチレン、インデン、メチルインデン、ビニルトルエン、混合C9留分およびこれらの誘導体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
前記混合C9留分は、スチレン、ビニルトルエン、インデン(Indene)、アルファ‐メチルスチレン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン(BTX)などの混合物で構成されたものである。具体的には、混合C9留分は、スチレン10~20重量%、ビニルトルエン10~20重量%、インデン(Indene)10~20重量%、アルファ‐メチルスチレン1~7重量%およびキシレン40~60重量%で構成され得る。
【0050】
本発明の一様態によって、前記単量体組成物は、溶媒に溶解された状態で使用可能であり、前記溶媒は、本発明が属する技術分野において通常使用されるものを使用することができる。具体的には、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合溶媒であり得るが、これに制限されるものではない。
【0051】
本発明の一様態によって、前記ジシクロペンタジエン系樹脂の製造方法は、通常のジシクロペンタジエン系樹脂の製造方法を使用すれば、特に制限されるものではないが、好ましくは、a)連続撹拌槽型反応器(CSTR)で石油樹脂の1次重合物を1次熱重合するステップと、b)前記1次重合物をプラグフロー反応器(PFR)で2次熱重合するステップとを含んで製造され得る。
【0052】
具体的に説明すると、前記ジシクロペンタジエン系樹脂の製造方法は、2ステップに分けて行われ、先ず、反応物を連続撹拌槽型反応器(Continuous Stirred Tank Reactor、CSTR)で1次熱重合させることができる。次に、これにより製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器に連結されたプラグフロー反応器(Plug Flow Reactor、PFR)に供給して2次熱重合を行って製造することができる。このように、ステップ別の重合によって製造されることで、重合反応熱を容易に制御することができ、単量体の転化率または重合率が著しく向上し、分子量分布が狭く均一な物性を有するジシクロペンタジエン系樹脂を提供することができる。
【0053】
本発明の一様態によって、前記a)ステップでの反応温度(T1)は210~270℃であってもよく、好ましくは220~270℃であってもよい。前記反応温度で行う場合、単量体の転化率または重合率に優れ、架橋反応などの副反応の発生を抑制して低い多分散脂数を有することができ、狭い分子量分布で均一な物性を具現することができる。
【0054】
本発明の一様態によって、前記a)ステップでの反応圧力は1~40barであってもよく、好ましくは5~35bar、より好ましくは10~30barであってもよい。前記反応圧力で行う場合、安全事故の恐れが発生しない線で単量体の反応性を高めることができる。
【0055】
本発明の一様態によって、前記a)ステップでの反応時間は、10~180分であってもよく、好ましくは20~150分、より好ましくは30~100分であってもよい。前記反応時間で行う場合、原料混合による副反応を抑制することができ、狭い分子量分布を提供することができる。
【0056】
本発明の一様態によって、前記b)ステップでの反応温度(T2)は、180~300℃であってもよく、好ましくは180~290℃、より好ましくは180~280℃であってもよい。さらに具体的には、前記b)ステップでの反応温度(T2)は、a)ステップの反応温度(T1)±30℃であってもよく、好ましくは、a)ステップの反応温度(T1)±20℃、より好ましくはa)ステップの反応温度(T1)±10℃であってもよい。すなわち、T1-30℃~T1+30℃であってもよく、好ましくはT1-20℃~T1+20℃、より好ましくはT1-10℃~T1+10℃であってもよい。前記反応温度で行う場合、副反応を抑制することができ、生産性を高めることができる。
【0057】
また、前記のような反応温度のように、a)ステップとb)ステップの温度差が10~30℃に調節されることで、未反応オリゴマーの生成を最小化することができ、分子量分布が狭いジシクロペンタジエン系樹脂を製造することができる。
【0058】
本発明の一様態によって、前記b)ステップでの反応圧力は、1~40barであってもよく、好ましくは5~35bar、より好ましくは10~30barであってもよい。前記反応圧力で行う場合、安全事故の恐れが発生しない線で気化した単量体によってデッドゾーン(dead zone)の発生を抑制することができる。
【0059】
本発明の一様態によって、前記b)ステップでの反応時間は、10~360分であってもよく、好ましくは20~240分、より好ましくは30~140分であってもよい。より具体的には、前記b)ステップでの反応時間は、a)ステップの反応時間の1~4倍、好ましくは1~3倍、より好ましくは1~2倍であってもよい。前記反応時間で行う場合、副反応を抑制し、分子量分布が狭いジシクロペンタジエン系樹脂を製造することができる。
【0060】
本発明によるさらに他の様態は、上述のジシクロペンタジエン系樹脂として、水素添加反応を行ったジシクロペンタジエン系水添樹脂を提供するものである。
【0061】
本発明の一様態によって、前記水素添加反応は、特に制限されるものではないが、本発明が属する技術分野において周知の方法にしたがって行われ得る。前記水素添加反応は、不飽和状態の二重結合に水素が添加されて単一結合を形成する反応であり、ジシクロペンタジエン系樹脂に水素添加反応により二重結合がすべて消えたジシクロペンタジエン系水添樹脂として製造することができる。
【0062】
本発明の一様態によって、前記水素添加反応は、50~150barの圧力の下で、150~300℃で行うことができるが、これに制限されるものではない。前記のような圧力および温度で行う場合、分子構造の破壊を防止することができる。
【0063】
本発明の一様態によって、前記水添触媒は、特に制限されるものではないが、公知の水添触媒であれば、いずれも使用可能である。具体的には、例えば、Ni、Fe、Cu、Co、Mo、Pd、Rh、Pt、Nb、Au、RdおよびRaney Niなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であってもよい。
【0064】
本発明の一様態によって、前記水添触媒は、反応性の向上のために石油樹脂の単量体1モルに対して、0.001~0.5、好ましくは0.05~0.2モル比で含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0065】
本発明の一様態によって、前記のように水素添加反応を経たジシクロペンタジエン系水添樹脂は、ホットメルト接着剤または減圧型接着剤などとして使用されるか、様々なベース樹脂に配合されて接着剤または粘着剤として使用され得る。また、インク、ペイント、ロードマーキング用ペイントなどに粘着または接着付与樹脂として機能をすることができ、様々な技術分野に使用されると期待される。
【0066】
本発明によるさらに他の様態は、上述のジシクロペンタジエン系水添樹脂および熱可塑性樹脂を含む接着樹脂組成物を提供するものである。
【0067】
本発明による前記ジシクロペンタジエン系水添樹脂は、熱可塑性樹脂との相溶性に優れ、これと配合されて著しく向上した接着力を有する接着樹脂組成物を提供することができる。
【0068】
本発明の一様態によって、前記熱可塑性樹脂は、接着樹脂組成物のベース樹脂として提供され、接着樹脂組成物に使用可能な樹脂であれば、特に制限されるものではないが、好ましくは、前記熱可塑性樹脂は、オレフィン系共重合体およびスチレン系共重合体などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含むことができる。本発明によるジシクロペンタジエン系水添樹脂は、ビニルアミド系単量体から誘導された繰り返し単位を含むことで、非極性を有する熱可塑性樹脂だけでなく、極性を有する熱可塑性樹脂との相溶性にも優れ、接着力を著しく向上させることができる。
【0069】
具体的には、例えば、前記オレフィン系共重合体は、エチレン‐ビニルアセテート共重合体(EVA、Ethylene vinyl acetate)、エチレン‐エチルアクリレート共重合体(EEA、Ethylene ethyl acrylate)、エチレン‐アクリル酸共重合体(EAA、Ethylene acrylic acid)、エチレン‐メタアクリル酸共重合体(EMAA、Ethylene methacryliic acid)、エチレン‐メチルアクリレート共重合体(EMA、Ethylene methyl acrylate)、エチレン‐ブチルアクリレート共重合体(EBA、Ethylen butyl acrylate)、エチレン‐プロピレン共重合体(EPR、Ethylene propylene rubber)、非晶性ポリアルファオレフィン(APAO、Amorphous poly alpha olefin)などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含むことができるが、これに制限されるものではない。前記スチレン系共重合体は、スチレン‐イソプレン共重合体(SI、Styrene‐isoprene copolymer)、スチレン‐イソプレン‐スチレン共重合体(SIS、Styrene‐isoprene‐styrene copolymer)、スチレン‐ブタジエン共重合体(SB、Styrene‐butadiene copolymer)、スチレン‐ブタジエン‐スチレン共重合体(SBS、Styrene‐butadiene‐styrene copolymer)、スチレン‐エチレン‐プロピレン‐スチレン共重合体(SEPS、Styrene‐ethylene‐propylene‐styrene copolymer)、スチレン‐イソプレン‐ブタジエン‐スチレン共重合体(SIBS、Styrene‐isoprene‐butadiene‐styrene copolymer)およびスチレン‐エチレン‐ブチルレン‐スチレン共重合体(SEBS、Styrene‐ethylene‐butylene‐styrene copolymer)などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0070】
本発明の一様態によって、前記ジシクロペンタジエン系水添樹脂は、ビニルアミド系単量体から誘導された繰り返し単位を含むことで、好ましくは、極性基を有する熱可塑性樹脂との相溶性に著しく優れ、熱可塑性樹脂の全重量に対して、極性基を5~40重量%、好ましくは10~35重量%含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0071】
本発明の一様態によって、前記接着樹脂組成物は、全重量に対して、ジシクロペンタジエン系水添樹脂50~90重量%および熱可塑性樹脂10~50重量%を含むことができる。好ましくは、ジシクロペンタジエン系水添樹脂50~80重量%および熱可塑性樹脂20~50重量%を含むことができる。より好ましくは、ジシクロペンタジエン系水添樹脂55~75重量%および熱可塑性樹脂25~45重量%を含むことができるが、これに制限されるものではない。前記のような含量で含む場合、熱可塑性樹脂との著しく向上した相溶性を具現することができ、優れた180゜剥離強度およびループタックテストにおける接着力を具現することができる。
【0072】
本発明によるジシクロペンタジエン系水添樹脂は、前記のように、様々な熱可塑性樹脂と配合しても優れた相溶性および接着力を有する接着樹脂組成物を提供することができる。
【0073】
本発明の一様態によって、前記接着樹脂組成物は、オイルをさらに含むことができる。具体的には、例えば、前記オイルは、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルおよび芳香族系オイルなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上であってもよい。
【0074】
本発明の一様態によって、前記接着樹脂組成物は、酸化防止剤およびUV安定剤などの本発明が属する技術分野において通常使用される添加剤をさらに含むことができる。
【0075】
本発明の一様態によって、前記接着樹脂組成物は、硬化後、軟化点50~100℃、好ましくは50~80℃、より好ましくは50~70℃であってもよい。前記のように、低い軟化点を有する場合、低温でも使用が可能であり、且つ優れた接着力を具現することができる。
【0076】
本発明の一様態によって、前記接着樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン系水添樹脂と熱可塑性樹脂100重量部に対して、オイルを1~60重量部含むことができる。好ましくは、ジシクロペンタジエン系水添樹脂と熱可塑性樹脂100重量部に対して、オイルを1~40重量部含むことができる。より好ましくは、ジシクロペンタジエン系水添樹脂と熱可塑性樹脂100重量部に対して、オイルを5~35重量部含むことができるが、これに制限されるものではない。前記のような含量で含む場合、著しく向上した接着力を具現するだけでなく、低分子量の有機物が表面に放出され、時間の経過に伴う接着表面の汚染や周辺の汚染の発生を防止することができる。
【0077】
本発明の一様態によって、前記接着樹脂組成物は、混合メチルシクロヘキサンアニリン曇り点(MMAP、Mixed methylcyclohexane aniline cloud point)が60℃以下であってもよく、ジアセトン曇り点(DACP、Diacetone alcohol cloud point)が60℃以下であってもよい。好ましくは、混合メチルシクロヘキサンアニリン曇り点が58℃以下であってもよく、ジアセトン曇り点が58℃以下であってもよい。より好ましくは、混合メチルシクロヘキサンアニリン曇り点が57℃以下であってもよく、ジアセトン曇り点が55℃以下であってもよい。前記のような混合メチルシクロヘキサンアニリン曇り点およびジアセトン曇り点を有する場合、ベース樹脂との混和性に優れ、特に、極性を有するベース樹脂との高い混和性を有することで、優れた相溶性を具現し、向上した接着力を提供することができる。
【0078】
前記混合メチルシクロヘキサンアニリンの曇り点は、修正されたASTM D 611に準じて測定するものである。メチルシクロヘキサンを標準試験方法で使用されたヘプタン用に使用した。この方法は、1/2/1(重量/体積/体積)の比率で樹脂/アニリン/メチルシクロヘキサンを使用し、加熱された前記3種類の成分の透明な混合物が完全に濁るまで冷却させることで完全に濁っている点を曇り点として測定する。
【0079】
前記ジアセトン曇り点は、修正されたASTM D 611に準じて測定するものである。5g樹脂、5gキシレンおよび5gジアセトンアルコールの溶液が濁って変わる曇り点に達するまで冷却することで完全に濁っている点を曇り点として測定する。
【0080】
本発明の一様態によって、前記接着樹脂組成物は、180゜剥離強度が下記式1を満たすことができる。
【0081】
【0082】
前記式1中、PeelAは、本発明によるビニルアミド系単量体から製造されたジシクロペンタジエン系樹脂およびベース樹脂を含む接着樹脂組成物の180゜剥離強度(kgf/25mm)であり、PeelBは、本発明によるビニルアミド系単量体を含まずに製造されたジシクロペンタジエンホモ樹脂およびベース樹脂を含む接着樹脂組成物の180゜剥離強度(kgf/25mm)である。
【0083】
好ましくは、前記式1において、前記接着樹脂組成物は、ベース樹脂として、スチレン系共重合体をさらに含んで測定されたものであってもよく、より好ましくは、ベース樹脂として、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体をさらに含んで測定されたものであってもよい。これを満たす場合、前記式1は110%以上を満たすことができる。
【0084】
本発明の一様態によって、前記接着樹脂組成物は、タック力(tack force)が下記式2を満たすことができる。
【0085】
【0086】
前記式2中、TackAは、本発明によるビニルアミド系単量体から製造されたジシクロペンタジエン系樹脂およびベース樹脂を含む接着樹脂組成物のタック力(kgf)であり、TackBは、本発明によるビニルアミド系単量体を含まず製造されたジシクロペンタジエンホモ樹脂およびベース樹脂を含む接着樹脂組成物のタック力(kgf)である。
【0087】
好ましくは、前記式2において、前記接着樹脂組成物は、ベース樹脂として、スチレン系共重合体をさらに含んで測定されたものであってもよく、より好ましくは、ベース樹脂として、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体をさらに含んで測定されたものであってもよい。これを満たす場合、前記式2は、200%以上、より好ましくは300%以上を満たすことができる。
【0088】
本発明による前記接着樹脂組成物は、前記のような物性を有する場合、優れたループタックおよびピール特性を有する接着剤として提供することができる。
【実施例】
【0089】
以下、本発明を実施例を参照して詳細に説明する。しかし、これらは、本発明をより詳細に説明するためのものであって、本発明の権利範囲が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0090】
また、明細書において、特に記載していない添加物の単位は、重量%であり得る。
【0091】
[物性測定方法]
1.分子量
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Infinity1260)によってポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)および数平均分子量(Mn)を測定した。測定するジシクロペンタジエン系樹脂は、0.05重量%の濃度になるようにテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)に溶解してGPCに10μlを注入した。GPCの移動相は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)を使用し、1mL/分の流速で流入し、分析は35℃で行った。カラムは、Guard column1個とPL gel 5μm 50A、PL gel 5μm 100A、oligopore 300A3個を直列に連結した。検出器としては屈折率検出器(RID)を用いて35℃で測定した。
【0092】
2.軟化点
Ring and ball softening method(ASTM E 28)を用いて測定した。環状の型に樹脂を溶解して投入し、グリセリンで満たされたビーカに載置した後、樹脂で満たされた環にボールを乗せて温度を1分当たり2.5℃ずつ昇温し、樹脂が溶けてボールが落ちる時の温度(軟化点)を測定した。
【0093】
3.接着性評価
断面コロナ処理された50μm PETフィルムに自動塗工器で36μm(Bar coater number 16)のwetting thicknessで接着樹脂組成物を塗布した。塗布されたフィルムを100℃で30分間乾燥して溶媒を除去し、LLOYD社製のFT‐1万能材料試験機を使用して180゜の剥離強度(Peel strength)とループタックテスト(loop tack test)の測定を行った。
【0094】
4.相溶性
混合メチルシクロヘキサンアニリンの曇り点は、修正されたASTM D 611に準じて測定するものである。メチルシクロヘキサンを標準試験方法で使用されたヘプタン用に使用した。この方法は、1/2/1(重量/体積/体積)の比率で樹脂/アニリン/メチルシクロヘキサンを使用し、加熱された前記3種類の成分の透明な混合物が完全に濁るまで冷却することで、完全に濁っている点を曇り点として測定した。
【0095】
ジアセトン曇り点は、修正されたASTM D 611に準じて測定するものである。5g樹脂、5gキシレンおよび5gジアセトンアルコールの溶液が濁って変わる曇り点に達するまで冷却することで、完全に濁っている点を曇り点として測定した。
【0096】
エチレン‐ビニルアセテート共重合体(EVA)相溶性は、樹脂40重量%、EVA40重量%およびパラフィンワックス20重量%(融点:20℃、DONGNAMYUHWA株式会社製)を200℃の熱を加えて溶解した後、溶解した内容物の温度が下がると、石油樹脂とEVAの各分子の相溶性が低下して内容物が白濁するが、この時の温度を測定した。
【0097】
この際、相溶性の測定に使用された樹脂は、実施例または比較例で製造されたジシクロペンタジエン系水添樹脂を使用して測定したものである。
【0098】
[実施例1]
‐ジシクロペンタジエン系樹脂の製造
ジシクロペンタジエン、N‐ビニルピロリドンおよびキシレンを45:5:50の重量比で混合した単量体組成物を準備した。前記単量体組成物を内部体積が0.416Lである連続撹拌槽型反応器(CSTR)に連続して供給するとともに、温度260℃および圧力25barの条件下で30分間撹拌しながら反応させて1次重合物を製造した。
【0099】
前記のように製造された1次重合物を前記連続撹拌槽型反応器と連結された内部体積が0.590Lであるプラグフロー反応器(PFR)に連続して供給するとともに、温度272℃および圧力25barの条件下で45分間重合した。重合が完了した生成物を180℃で30分間減圧し、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD‐VP)を製造した。この際、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD‐VP)の物性は、重量平均分子量(Mw)481g/mol、数平均分子量(Mn)357g/mol、z平均分子量(Mz)879g/mol、多分散指数(PDI)1.35および軟化点65℃であった。
【0100】
‐ジシクロペンタジエン系水添樹脂の製造
前記ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD‐VP)の全重量に対してパラジウム触媒0.5重量%、水素量4NL/minを使用して、温度250℃、圧力100barの条件下で2回水素添加反応を行って、ジシクロペンタジエン系水添樹脂(H‐DCPD‐VP)を取得した。
【0101】
‐接着樹脂組成物の製造
先ず、ベース樹脂としてスチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS、Kraton D1161)を選定し、SIS25重量%、ジシクロペンタジエン系水添樹脂57重量%およびパラフィンオイル(Merck社製、Paraffinic oil)18重量%混合し、トルエンに溶解して組成物を製造した。
【0102】
他のベース樹脂としては、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS、LCY globalprene 3546)を選定し、SBS25重量%、ジシクロペンタジエン系水添樹脂57重量%およびパラフィンオイルを18重量%混合し、トルエンに溶解して組成物を製造した。
【0103】
前記接着樹脂組成物は、自動塗工器(applicator)を用いて断面コロナ処理された50μm PETフィルムの上に36μmのwetting thicknessで塗布する。次に、110℃で30分間乾燥して溶媒を除去した後、テープ試験片を製造した。
【0104】
[実施例2]
前記実施例1で、ジシクロペンタジエン系樹脂の製造時に、N‐ビニルピロリドンの代わりにN‐ビニルカプロラクタムを使用した以外は、同様に実施してジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD‐VC)を製造した。この際、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD‐VC)の物性は、重量平均分子量(Mw)490g/mol、数平均分子量(Mn)366g/mol、z平均分子量(Mz)888g/mol、多分散指数(PDI)1.34および軟化点61℃であった。
【0105】
前記のように製造されたジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD‐VC)を前記実施例1で水添樹脂および接着樹脂組成物を製造する方法と同様に実施して製造した。
【0106】
[比較例1]
前記実施例1で、単量体組成物をジシクロペンタジエン:キシレンを50:50の重量比で混合した単量体組成物を使用した以外は、同様に実施してジシクロペンタジエン樹脂(DCPD)を製造した。この際、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD)の物性は重量平均分子量(Mw)459g/mol、数平均分子量(Mn)339g/mol、z平均分子量(Mz)864g/mol、多分散指数(PDI)1.35および軟化点60℃であった。
【0107】
前記のように製造されたジシクロペンタジエン樹脂(DCPD)を前記実施例1で水添樹脂および接着樹脂組成物を製造する方法と同様に実施して製造した。
【0108】
実施例1、2および比較例1により、本発明によるジシクロペンタジエン系樹脂は、狭い分子量分布を有することができ、均一な物性を具現することができることを確認することができた。
【0109】
【0110】
前記表1に示しているように、本発明によるジシクロペンタジエン系水添樹脂を含む接着樹脂組成物は、エチレン‐ビニルアセテート共重合体の相溶性に著しく優れ、混合メチルシクロヘキサンアニリンの曇り点およびジアセトン曇り点により、様々なベース樹脂との相溶性に優れていることを確認した。さらに、比較例1は、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体に対しては向上した接着力を示すが、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体に対しては著しく低減した接着力を示すことを確認することができた。これに対し、本発明による実施例1および2は、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体だけでなく、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体でも著しく向上した接着力を示し、比較例1に比べて著しく優れたエチレン‐ビニルアセテート共重合体に対する相溶性を有することを確認することができた。
【0111】
したがって、本発明による接着樹脂組成物は、様々なベース樹脂との優れた相溶性を有するジシクロペンタジエン系水添樹脂を含んで著しく向上した接着力を具現することができ、様々なベース樹脂との配合が求められる接着剤または粘着剤として適用可能である。
【0112】
以上で説明している本発明は、例示的なものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形および均等な他の実施例が可能であるという点をよく知ることができる。したがって、本発明は、前記の詳細な説明で言及する形態にのみ限定されるものではないことをよく理解することができる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められなければならない。
【0113】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等であるか等価的な変形があるすべてのものなどは、本発明の思想の範疇に属すると言える。