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特許7387740リバースライトによるトレーラヒッチアシスト
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  • 特許-リバースライトによるトレーラヒッチアシスト 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】リバースライトによるトレーラヒッチアシスト
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/24 20060101AFI20231120BHJP
   B60Q 1/22 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
B60Q1/24 C
B60Q1/22
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021535864
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 US2019068061
(87)【国際公開番号】W WO2020132573
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】62/783,874
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/721,270
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1 Continental Drive, Auburn Hills, Michigan 48326-1581, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ノア ジョセフ ゲドリマス
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0345939(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0345938(US,A1)
【文献】米国特許第5719552(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0012465(US,A1)
【文献】特開2016-193703(JP,A)
【文献】特開2018-144526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/24
B60Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に支持されている車両照明システムの1つもしくは複数のライトを制御する方法であって、該方法が、
データ処理ハードウェアで、前記車両内の運転者の状態を示す運転者データを受信するステップと、
前記データ処理ハードウェアで、前記車両に支持されているセンサシステムからのセンサシステムデータを受信するステップであって、前記センサシステムデータは、前記車両の側方から前記車両の後方への前記運転者の移動を示す移動状態を含む、ステップと、
前記データ処理ハードウェアで、前記車両照明システムの前記1つもしくは複数のライトに関連する現在状態を判別するステップと、
前記運転者の状態が、前記運転者が前記車両内にいないことを示し、かつ、前記移動状態が、前記運転者が前記車両の後方へ移動したことを示すときには、
前記データ処理ハードウェアで、前記車両照明システムの前記1つもしくは複数のライト更新すべき状態を判別するステップと、
前記データ処理ハードウェアから前記データ処理ハードウェアと通信する前記車両照明システムへ、前記更新すべき状態に基づいて前記1つもしくは複数のライトにその現在状態を調整させるための命令を送信するステップと、
を実行するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つもしくは複数のライトは、前記車両に対して後進方向を向いており、かつ前記車両の後進方向環境を照明するように構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1つもしくは複数のライトは、テールライト、ブレーキライト、リバースライトおよびストップライトのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記センサシステムデータは、前記車両の後進方向環境を向くように配置された1つもしくは複数のカメラによって捕捉された画像を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記センサシステムデータは、前記車両の後進方向環境を向くように配置された1つもしくは複数のセンサによって捕捉されたセンサデータを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記センサシステムデータは、運転席ドア状態が開放であるかまたは閉鎖であるかを示すドアセンサからのデータを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記方法がさらに、
前記車両の後進方向操縦マヌーバ中のステアリングホイールデータを受信するステップと、
前記センサシステムデータおよび前記ステアリングホイールデータに基づいて、トレーラへの前記車両の接近を示す車両挙動を判別するステップと、
を含み、
前記車両照明システムの前記1つもしくは複数のライト前記更新すべき状態は、前記車両挙動に基づく、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記更新すべき状態は、予め定められた期間にわたって続く、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
車両に支持されている車両照明システムの1つもしくは複数のライトを制御するシステムであって、該システムが、
1つもしくは複数のライトを含む車両照明システムと、
前記車両照明システムと通信するデータ処理ハードウェアと、
前記データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアと、
を備え、
前記メモリハードウェアは、前記データ処理ハードウェア上で実行される際に、前記データ処理ハードウェアに、
前記車両内の運転者の状態を示す運転者データを受信することと、
前記車両に支持されているセンサシステムからのセンサシステムデータを受信させることであって、前記センサシステムデータは、前記車両の側方から前記車両の後方への前記運転者の移動を示す移動状態を含む、ことと
前記車両照明システムの前記1つもしくは複数のライトに関連する現在状態を判別させることと
前記運転者の状態が、前記運転者が前記車両内にいないことを示し、かつ、前記移動状態が、前記運転者が前記車両の後方へ移動したことを示すときには、
記車両照明システムの前記1つもしくは複数のライト更新すべき状態を判別させ、
前記更新すべき状態に基づいて前記1つもしくは複数のライトにその現在状態を調整させるための命令を前記車両照明システムへ送信させる
ことと、
を含む動作を実行させるための命令を記憶している、
システム。
【請求項10】
前記1つもしくは複数のライトは、前記車両に対して後進方向を向いており、かつ前記車両の後進方向環境を照明するように構成されている、請求項記載のシステム。
【請求項11】
前記1つもしくは複数のライトは、テールライト、ブレーキライト、リバースライトおよびストップライトのうちの少なくとも1つを含む、請求項9または10記載のシステム。
【請求項12】
前記センサシステムデータは、前記車両の後進方向環境を向くように配置された1つもしくは複数のカメラによって捕捉された画像を含む、請求項9から11までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項13】
前記センサシステムデータは、前記車両の後進方向環境を向くように配置された1つもしくは複数のセンサによって捕捉されたセンサデータを含む、請求項9から12までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項14】
前記センサシステムデータは、運転席ドア状態が開放であるかまたは閉鎖であるかを示すドアセンサからのデータを含む、請求項9から13までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項15】
前記動作がさらに、
前記車両の後進方向操縦マヌーバ中のステアリングホイールデータを受信させることと、
前記センサシステムデータおよび前記ステアリングホイールデータに基づいて、トレーラへの前記車両の接近を示す車両挙動を判別させることと、
を含み、
前記車両照明システムの前記1つもしくは複数のライト前記更新すべき状態は、前記車両挙動に基づく、
請求項9から14までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項16】
前記更新すべき状態は、予め定められた期間にわたって続く、請求項9から15までのいずれか1項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレーラに取り付けられるように構成された牽引車両に関する。牽引車両は、牽引車両が駐車されているときに後部照明を行い、牽引車両にトレーラを連結する際にまたは牽引車両からトレーラを連結解除する際に運転者がトレーラを見ることができるようにする。
【0002】
背景
トレーラは通常、動力牽引車両に牽引される無動力車両である。トレーラは、とりわけ、ユーティリティトレーラ、ポップアップキャンピングカー、走行トレーラ、家畜用トレーラ、フラットベッドトレーラ、密閉型自動車運搬車およびボートトレーラであってよい。牽引車両は、自動車、クロスオーバ、トラック、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)、レクリエーショナルビークル(RV)、またはトレーラに取り付けてトレーラを牽引するように構成された他の任意の車両であってよい。トレーラは、トレーラヒッチを使用して動力車両に取り付けることができる。レシーバヒッチが牽引車両に取り付けられており、トレーラヒッチに接続されて接続を形成する。トレーラヒッチは、ボールおよびソケット、第5輪およびグースネック、またはトレーラジャックであってよい。その他の取り付け機構が使用されてもよい。幾つかの例では、トレーラと動力車両との間の機械的接続に加えて、トレーラは、牽引車両に電気的に接続される。このように、電気的接続により、トレーラは、動力車両のリアライト回路から給電を受けることができ、これにより、動力車両のライトと同期するテールライト、ウィンカ、およびブレーキライトを有することができる。
【0003】
夜間のトレーラへのバックアップのために、牽引車両のリバースライトを使用して、トレーラのトレーラカプラの下方に牽引車両のレシーバヒッチを位置決めすることができる。いったん位置決めされると、牽引車両はそのリバースライトをオフにして駐車される。運転者は、牽引車両を降りて牽引車両とトレーラとの取り付けまたは取り外し(例えば暗い中でのチェーン、電気的接続部、レシーバ、ライトなどの取り付けまたは取り外し)を行うことになるが、これは不便であり、危険をまねきかねない。したがって、現行の障害を克服することのできる牽引車両が提供されることが望ましい。
【0004】
概要
開示の一態様により、車両(例えば牽引車両)に支持されている照明システムの1つもしくは複数のライトを制御する方法が提供される。当該方法は、データ処理ハードウェアで、車両に支持されているセンサシステムからセンサシステムデータを受信することを含む。当該方法は、データ処理ハードウェアで、車両照明システムの1つもしくは複数のライトに関連する現在状態(例えばオン状態またはオフ状態)を判別することを含む。当該方法は、データ処理ハードウェアで、センサシステムデータに基づいて、車両照明システムの1つもしくは複数のライトに関連する更新された状態を判別することを含む。当該方法は、データ処理ハードウェアからこれと通信する照明システムへ、更新された状態に基づいて1つもしくは複数のライトにその現在状態を調整させるための命令を送信することを含む。
【0005】
開示の構成は、次のような任意手段としての特徴のうち1つもしくは複数を含むことができる。幾つかの構成では、1つもしくは複数のライトは、車両に対して後進方向を向いており、かつ車両の後進方向環境(rearward environment)を照明するように構成されている。1つもしくは複数のライトは、テールライト、ブレーキライト、リバースライトおよびストップライトのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。付加的に、1つもしくは複数のライトは、車両側部に配置された車両側部ライトを含んでいてもよい。
【0006】
幾つかの構成では、センサシステムデータは、車両の後進方向環境を向くように配置された1つもしくは複数のカメラによって捕捉された画像を含む。付加的にもしくは代替的に、センサシステムデータは、車両の後進方向環境を向くように配置された1つもしくは複数のセンサによって捕捉されたセンサデータを含むことができる。付加的にもしくは代替的に、幾つかの実施例では、センサシステムデータは、車両内の運転者の状態を示す運転者データを含む。運転者データは、運転者および運転席に関連するデータを捕捉するように配置された座席センサ(図示せず)、1つもしくは複数のカメラ、または1つもしくは複数のセンサによって捕捉可能である。幾つかの実施例では、センサシステムデータは、運転席ドア状態が開放であるかまたは閉鎖であるかを示すドアセンサからのデータを含む。幾つかの実施例では、更新された状態は予め定められた期間にわたって続く。
【0007】
幾つかの構成では、方法は、車両の後進方向操縦マヌーバ(rearward maneuver)中のステアリングホイールデータを受信することと、センサシステムデータおよびステアリングホイールデータに基づいて、トレーラへの当該車両の接近を示す車両挙動(vehicle behavior)を判別することとを含む。幾つかの実施例では、車両挙動は、トレーラが車両の後方にあることを示すセンサデータとステアリングホイールデータとにより判別される。車両照明システムの1つもしくは複数のライトに関連する更新された状態は、車両挙動に基づく。
【0008】
開示の他の態様によれば、車両に支持されている照明システムの1つもしくは複数のライトを制御するシステムが提供される。当該システムは、1つもしくは複数のライトを含む車両照明システムと、当該車両照明システムと通信するデータ処理ハードウェアとを備える。システムはさらに、データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアを備える。メモリハードウェアは、データ処理ハードウェア上で実行される際に、データ処理ハードウェアに、上述した方法を含む動作を実行させるための命令を記憶している。
【0009】
開示の1つもしくは複数の構成の詳細を、添付の図および以下の説明に記載する。他の態様、特徴および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】トレーラの前面に位置する例示的な牽引車両を示す斜視図である。
図1B】トレーラに連結された図1Aに示されている例示的な牽引車両を示す斜視図である。
図2】例示的な牽引車両を示す概略図である。
図3】車両照明システムの1つもしくは複数のライトを制御するための動作の例示的構成を示す概略図である。
【0011】
種々の図面における同様の参照符号は同様の要素を示している。
【0012】
詳細な説明
牽引車両、例えば以下に限定されるものではないが、自動車、クロスオーバ、トラック、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)およびレクリエーショナルビークル(RV)は、トレーラを牽引するように構成可能である。牽引車両は、トレーラヒッチを介してトレーラに接続される。例えば牽引車両をトレーラに連結する間、運転者を補助するため、または牽引車両をトレーラから連結解除する間、運転者を補助するための後進方向照明を提供する牽引車両が設けられることが望ましい。
【0013】
図1A図1Bおよび図2を参照すると、幾つかの構成では、車両‐トレーラシステム100が車両ヒッチ106によってトレーラ104に連結された牽引車両102を含む。牽引車両102は、例えば、x成分、y成分およびz成分を有する運転操縦マヌーバまたは運転コマンドに基づいて、路面にわたって牽引車両102ひいては車両‐トレーラシステム100を操作する、牽引車両102に関連付けられた運転システム110を含む。図示のように、運転システム110は、右前輪112、112a、左前輪112、112b、右後輪112、112cおよび左後輪112、112dを含む。さらに、運転システム110は、トレーラ104に関連付けられた車輪(図示せず)を含みうる。運転システム110は、同様に、他の車輪構成を含んでもよい。運転システム110は、ある形態のエネルギを、牽引車両102を移動させることのできる機械的エネルギに変換するモータまたはエンジンを含みうる。運転システム110は、牽引車両102を移動させることができ、これにより牽引車両102がトレーラ104に取り付けられている場合にトレーラ104をも移動させることのできる他のコンポーネント(図示せず)を含む。運転システム110はまた、各車輪112、112a~112dに関連付けられたブレーキ(図示せず)を含むブレーキシステム114を含むことができ、ここで、各ブレーキは、車輪112a~112dに関連付けられており、車輪112a~112dの回転を減速または停止させるように構成されている。幾つかの実施例では、ブレーキシステム114は、トレーラ104に支持されている1つもしくは複数のブレーキに接続されている。車両‐トレーラシステム100は、他のシステムも同様に含みうる。
【0014】
牽引車両102は、牽引車両102によって定義される相互に垂直な3つの軸、すなわち横軸X、前後軸Yおよび中央垂直軸Zに関する運動の様々な組み合わせによって路面にわたって移動することができる。横軸Xは、牽引車両102の右側Rと左側との間に延在する。前後軸Yに沿った前進運転方向は、前進運動とも称されるFとして示されている。さらに、前後方向Yに沿った後退運転方向または後進運転方向は、後進運動とも称されるRとして示されている。幾つかの実例例では、牽引車両102は、サスペンションシステム(図示せず)を含み、当該サスペンションシステムは、調整されると、牽引車両102をX軸および/またはY軸に関して傾斜させるか、または中央垂直軸Zに沿って運動させる。牽引車両102が移動すると、トレーラ104は牽引車両102の経路に沿って追従する。
【0015】
さらに、トレーラ104は、当該トレーラ104によって定義される相互に垂直な3つの軸、すなわちトレーラ横軸Χ、トレーラ前後軸Yおよびトレーラ中央垂直軸Ζに関する運動の様々な組み合わせによって路面にわたって牽引車両102に追従する。トレーラ横軸Χは、トレーラ104の右側Rと左側との間に延在する。トレーラ前後軸Yに沿った前進運転方向は、前進運動とも称されるFとして示されている。さらに、前後方向Yに沿ったトレーラの後退運転方向または後進運転方向は、後進運動とも称されるRとして示されている。したがって、車両‐トレーラシステム100の移動には、牽引車両102の、横軸X、前後軸Yおよび中央垂直軸Zに沿った運動と、トレーラ104の、トレーラ横軸Χ、トレーラ前後軸Yおよびトレーラ中央垂直軸Ζに沿った運動とが含まれる。
【0016】
幾つかの構成では、牽引車両102は、牽引車両102がトレーラ104に近づく方向で後退することまたは牽引車両102の後方にトレーラ104が位置していることの判別に使用可能なセンサシステムデータ122を供給するセンサシステム120を含む。幾つかの実施例では、車両102は自律型または半自律型であってよく、これにより、センサシステム120は、信頼性が高くロバストな自律運転を提供する。センサシステム120は、センサシステムデータ122を供給し、かつ牽引車両の環境またはその一部(例えば牽引車両102の後進方向環境)の認識を作成するために別個にまたは相互に使用可能な種々のタイプのセンサ124,126を含むことができ、これは、その環境内の対象物、例えば牽引車両の前方および/または側方に位置する対象物、または牽引車両102の後方に位置するトレーラ104を識別するために、車両102によって使用される。幾つかの実施例では、センサシステム120は、牽引車両102の後部に支持されている1つもしくは複数のセンサ124,126を含み、対象物および牽引車両102の後方に位置するトレーラ104に関連するセンサシステムデータ122を提供する。牽引車両102はセンサシステム120を支持することができるが、他の実施例では、センサシステム120が車両102およびトレーラ104によって支持されていてもよい。
【0017】
センサシステム120は、牽引車両102の環境に関連するデータを供給するセンサ124,126、例えば牽引車両102の環境のデータを捕捉するように配置されたセンサを含むことができる。幾つかの実施例では、センサシステム120は、牽引車両102の後方環境に関連するデータを捕捉するように配置されたセンサ124,126を含む。幾つかの実施例では、センサ124,126はまた、牽引車両102および/または牽引車両102の内室に関連するデータも供給する。例えば、センサ124,126は、牽引車両102内の運転者の存在を検出するデータを捕捉することができる。
【0018】
センサシステム120は、以下に限定されるものではないが、1つもしくは複数の撮像デバイス124、124a~124n(例えばカメラ)、ならびにセンサ126、126a~126n、例えば以下に限定されるものではないが、レーダー、ソナー、LiDAR(Light Detection and Ranging:散乱光の特性を測定して遠くのターゲットの距離および/またはその他の情報を見出すための光学リモートセンシングが必要となりうる)、LADAR(Laser Detection and Ranging)、超音波センサなどを含むことができる。センサシステム120は、1つもしくは複数のカメラ124からの画像125、および1つもしくは複数のセンサ126、126a~126nからのセンサデータ127を含むセンサシステムデータ122を供給する。幾つかの実施例では、センサシステム120は、運転席の占有を判別する運転席センサ126を含む。幾つかの構成では、センサシステム120は、センサシステムデータ122を処理するコントローラ(図示せず)を含むが、他の実施例では、センサシステム120は、受信したセンサシステムデータ122を車両制御装置150へと送信し、当該車両制御装置150が受信したセンサシステムデータ122を(図2に示すように)処理する。
【0019】
牽引車両102は、後ろ向きライト132,132a~132d、例えば、これらに限定されるものではないが、テールライト132a、ブレーキライト132b、リバースライト132c、およびセンタハイマウントストップライト(CHMSL)132dを含む車両照明システム130を含む。さらに、車両照明システム130は、他のライト132,132e~132n、例えば前向きライトおよび横向きライトも含む。幾つかの構成では、運転者は、車両102がパーキング位置にあるときに、車両照明システム130の1つもしくは複数のライト132a~132nがオンとなっていることを判別可能である。こうした判別は、ユーザインタフェース140によるメニューの設定において行うことができる。
【0020】
牽引車両102は、ユーザインタフェース140、例えばディスプレイを含むことができる。ユーザインタフェース140は、運転者に情報を表示するように構成されている。幾つかの実施例では、ユーザインタフェース140は、1つもしくは複数の入力機構またはタッチパネルディスプレイを介して運転者から1つもしくは複数のユーザコマンドを受信し、かつ/または1つもしくは複数の通知を運転者に表示するように構成されている。幾つかの実施例では、ユーザインタフェース140はタッチパネルディスプレイである。他の実施例では、ユーザインタフェース140はタッチパネルでなく、運転者が、入力デバイスを使用して、例えばこれらに限定されるものではないが回転ノブもしくはマウスを使用して、選択を行うことができるものであってよい。幾つかの実施例では、運転者は、ユーザインタフェース140とのインタラクションにより、車両102がパーキング位置にあるときにオンとなるよう、車両照明システム130の1つもしくは複数のライト132a~132nをオンオフすることができる。付加的に、幾つかの実施例では、ユーザインタフェース140は、車両102がパーキング位置にあるときに車両照明システム130の予め選択された1つもしくは複数のライト132a~132nをオンオフするために、スイッチボタンをトグルするように構成可能である。
【0021】
センサシステム120、車両照明システム130、およびユーザインタフェース140は、車両制御装置150と通信する。車両制御装置150は、コンピューティングプロセッサ上で実行可能な命令を記憶することのできる非一時性メモリまたはハードウェアメモリ154(例えばハードディスク、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ)と通信するコンピューティングデバイス(またはデータ処理ハードウェア)152(例えば1つもしくは複数のコンピューティングプロセッサを含む中央処理ユニット)を含む。幾つかの実施例では、非一時性メモリ154は、コンピューティングデバイス152上で実行される際に、車両制御装置150に車両照明システム130への信号またはコマンド156を供給させるための命令を記憶しており、当該信号またはコマンドにより、車両照明システム130が1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nをオンにするか、または1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nのオン状態を維持する。言い換えれば、信号またはコマンド156により、車両照明システム130が1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nの状態を更新する。
【0022】
図示されているように、車両制御装置150は牽引車両102によって支持されているが、車両制御装置150は、牽引車両102から分離され、ネットワーク(図示せず)を介して牽引車両102と通信するものであってもよい。
【0023】
車両制御装置150は、センサシステムデータ122を受信し、受信したセンサシステムデータ122に基づいて、車両照明システム130に1つもしくは複数のライト132,132a~132nのオン状態の変更または維持の指示がなされたかどうかを判別して、運転者が容易にかつより安全にトレーラ104の連結または連結解除を行えるようにする。幾つかの実施例では、制御装置150は車両運転挙動を分析し、分析した車両運転挙動に基づいて、車両照明システム130に1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nのオン状態の変更または維持の指示がなされたかどうかを判別する。制御装置150から車両照明システム130への命令158は、車両ライト132,132a~132nに対し、運転者が車両シフトレバーをパーキングに入れた後、かつ/または運転者がドアを開放した後の予め定められた期間にわたって車両ライト132,132a~132nをオン状態で維持するように指示することを含む。幾つかの実施例では、当該予め定められた期間は、運転者によって車両設定として決定される。
【0024】
車両制御装置150は、1つもしくは複数のセンサ124~126に基づいて、車両照明システム130に1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nのオン状態の変更または維持を指示するかどうかを判別する。幾つかの実施例では、車両制御装置150は、牽引車両102が後進方向Rへマヌーバ操縦されたときに、牽引車両102のステアリングホイール(図示せず)からセンサデータ127を受信する。制御装置150は、ステアリングホイールから受信したセンサデータ127を分析し、牽引車両102がトレーラ104に接近しているかどうかを判別する。トレーラ104への牽引車両102の接近を制御装置150が判別した場合、当該制御装置150は、1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nの状態をオン状態へ更新させるための命令156を車両照明システム130へと送信する。
【0025】
幾つかの実施例では、トレーラ104への牽引車両102の接近を制御装置150が判別した場合、制御装置150は、表示命令158aをユーザインタフェース140に送信して、運転者が車両照明システム130の1つもしくは複数のライト132a~132nをオン状態で維持することを望むかどうかを運転者に尋ねるメッセージをユーザインタフェース140に表示させることができる。幾つかの実施例では、当該メッセージ158aは、運転者が車両シフトレバーをパーキングに入れたときに表示される。運転者は、ユーザインタフェース140により、選択158bを行うことができる。幾つかの実施例では、運転者は、どのライト132a~132nをオン状態に維持するかを選択することができる。運転者がその選択158bにおいて1つもしくは複数のライト132a~132nのオン状態の維持を望むことを示した場合、制御装置150は、車両照明システム130に対し、(例えば運転者によって予め選択された)1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nのオン状態を変更または維持するように指示する。
【0026】
幾つかの実施例では、制御装置150は、(例えばステアリングホイールから受信されたセンサシステムデータ122の分析により)牽引車両102がトレーラ104へ接近し、運転者が車両シフトレバーをパーキングに入れたことが判別された後に運転席ドア(図示せず)が開放されたことを示すセンサシステムデータ122を受信する。この場合、制御装置150は、(例えば運転者によって予め選択された)1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nのオン状態を変更または維持させるための命令156を車両照明システム130へ送信する。
【0027】
前述したように、幾つかの構成では、センサシステム120の1つもしくは複数のカメラ124および/または1つもしくは複数のセンサ126が牽引車両102の後部に支持されている。ここで、後ろ向きカメラおよび/または後進方向センサ126が、牽引車両102の後進方向環境のセンサシステムデータ122(すなわち画像125および/またはセンサデータ127)を捕捉する。制御装置150は、後ろ向きカメラおよび/または後進方向センサ126からセンサシステムデータ122を受信し、その後、受信したセンサシステムデータ122を分析して、連結または連結解除のためにトレーラ104が牽引車両102の後方に位置しているかどうかを判別することができる。トレーラ104が牽引車両102の後方に位置していることを制御装置150が判別した場合、制御装置150は、(例えば運転者によって予め選択された)1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nにそのオン状態を変更または維持させるための命令156を車両照明システム130へと送信する。
【0028】
幾つかの構成では、制御装置150は、牽引車両102の後部に配置されたかつ/または牽引車両102の側部に配置されたカメラ124および/またはセンサ126から受信されたセンサシステムデータ122を分析して、運転者が牽引車両102の側方から牽引車両の後方へ移動したことまたは運転者が牽引車両102の後方に位置していることを判別する。運転者が牽引車両の後方へ向かって移動していることまたは牽引車両102の後方に位置していることを制御装置150が判別した場合、当該制御装置150は、(例えば運転者によって予め選択された)1つもしくは複数のライト132,132a~132nにそのオン状態を変更または維持させるための命令156を、車両照明システム130へと送信する。
【0029】
幾つかの実施例では、制御装置150は、運転者が運転席に位置しているかどうかを検出するために、牽引車両102内に配置された1つもしくは複数のカメラ124および/またはセンサ126からセンサシステムデータ122を受信する。運転者が運転席に着席しておらず運転席ドアが開放されていること、または運転者が牽引車両102の後方へ移動したこと、または運転者が牽引車両102の後方にいることを制御装置150が判別した場合、当該制御装置150は、(例えば運転者によって予め選択された)1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nにそのオン状態を変更または維持させるための命令156を車両照明システム130へと送信する。
【0030】
幾つかの実施例では、牽引車両102は、1つもしくは複数の車両ライト132,132a~132nのオン状態を変更または維持するスイッチボタン(図示せず)を含む。当該ボタンは、牽引車両102内で、例えばダッシュボード上にまたはユーザインタフェース140の一部として配置可能である。幾つかの実施例では、ボタンは車両102の後部に配置されている。運転者がボタンを押圧または選択すると、制御装置150は、(例えば運転者によって予め選択された)1つもしくは複数のライト132,132a~132nにそのオン状態を変更または維持させるための命令156を車両照明システム130へと送信する。
【0031】
図3には、図1A図1Bおよび図2に記載されているように、車両102(例えば牽引車両102)に支持されている照明システム130の1つもしくは複数のライト132a~132nを制御するための方法300の動作の例示的構成が提示されている。ブロック302にて、方法300は、データ処理ハードウェア152で、車両102に支持されているセンサシステム120からセンサシステムデータ122を受信することを含む。制御装置150は、データ処理ハードウェア152およびこれと通信するメモリハードウェア154を含む。ブロック304にて、方法300は、データ処理ハードウェア152で、車両照明システム130の1つもしくは複数のライト132a~132nに関連する現在状態(例えばオン状態またはオフ状態)を判別することを含む。ブロック306にて、方法300は、データ処理ハードウェア152で、センサシステムデータ122に基づいて、車両照明システム130の1つもしくは複数のライトに関連する更新された状態を判別することを含む。ブロック308にて、方法300は、データ処理ハードウェア152からこれと通信する照明システム130へ、更新された状態に基づいて1つもしくは複数のライト132a~132nにその現在状態を調整させるための命令156を送信することを含む。
【0032】
幾つかの実施例では、1つもしくは複数のライト132a~132nは、車両102に対する後進方向を向いており、車両102の後進方向環境を照明するように構成されている。当該1つもしくは複数のライト132a~132nは、テールライト132a、ブレーキライト132b、リバースライト132cおよびストップライト132dのうちの少なくとも1つを含むことができる。付加的に、1つもしくは複数のライト132a~132nは、車両の側部に配置された車両側部ライトを含んでもよい。
【0033】
幾つかの構成では、センサシステムデータ122は、車両の後進方向環境を向くように配置された1つもしくは複数のカメラ124,124a~124nによって捕捉された画像125を含む。付加的にもしくは代替的に、センサシステムデータ122は、車両102の後進方向環境を向くように配置された1つもしくは複数のセンサ126,126a~126nによって捕捉されたセンサデータ127を含んでもよい。付加的にもしくは代替的に、幾つかの実施例では、センサシステムデータ122は、車両内の運転者の状態を示す運転者データを含む。運転者データは、運転者および運転席に関連するデータを捕捉するように配置された座席センサ(図示せず)、1つもしくは複数のカメラ124,124a~124n、または1つもしくは複数のセンサ126,126a~126nによって捕捉可能である。幾つかの実施例では、センサシステムデータ122は、運転席ドア状態が開放であるかまたは閉鎖であるかを示すドアセンサからのデータを含む。幾つかの実施例では、更新された状態は、予め定められた期間にわたって続く。
【0034】
幾つかの構成では、方法300は、車両102の後進方向操縦マヌーバ中のステアリングホイールデータを受信することと、センサシステムデータ122およびステアリングホイールデータ127に基づいて、車両102がトレーラ104に接近していることを示す車両挙動を判別することとを含む。幾つかの実施例では、車両挙動は、トレーラ104が車両102の後方にあることを示すセンサデータとステアリングホイールデータとによって判別される。車両照明システムの1つもしくは複数のライトに関連する更新された状態は、車両挙動に基づく。
【0035】
ここで説明したシステムおよび技術の様々な構成は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはこれらの組み合わせとして実現可能である。これらの様々な構成は、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、またこれらにデータおよび命令を送信するように結合された、特殊目的または汎用目的のものであってよい、少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサを含むプログラミング可能なシステム上で実行可能なかつ/または解釈可能な1つもしくは複数のコンピュータプログラムでの構成を含みうる。
【0036】
これらのコンピュータプログラム(すなわちプログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られる)は、プログラミング可能なプロセッサ用の機械命令を含み、かつ高水準の手続き型および/またはオブジェクト指向型プログラミング言語および/またはアセンブリ/機械言語で実装可能である。本明細書で使用される場合、「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」なる用語は、プログラミング可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指し、機械可読信号としての機械命令を受信する機械可読媒体を含む。「機械可読信号」なる用語は、プログラミング可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意の信号を指す。
【0037】
本明細書で説明する主題および機能動作の構成は、本明細書に開示した構造およびその構造的等価物を含む、デジタル電子回路、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアまたはこれらの1つもしくは複数の組み合わせで実装することができる。さらに、本明細書で説明する主題は、1つもしくは複数のコンピュータプログラム製品、すなわちデータ処理装置による実行のための、またはデータ処理装置の動作を制御するためのコンピュータ可読媒体に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つもしくは複数のモジュールとして実装可能である。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝搬信号をもたらす物質の組成物、またはこれらの1つもしくは複数の組み合わせであってよい。「データ処理装置」、「コンピューティングデバイス」および「コンピューティングプロセッサ」なる用語は、例として、プログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するための全ての装置、デバイス、および機械を包含する。当該装置は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらの1つもしくは複数の組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝搬信号は、人工的に生成された信号、例えば、適切なレシーバ装置へ送信される情報を符号化するために生成される機械生成の電気信号、光学信号、または電磁信号である。
【0038】
同様に、図面に特定の順序で動作を示しているが、望ましい結果を達成するために、こうした動作を特定の順序でまたは順次に実行すること、または例示した全ての動作を実行することを要求するものとして理解されるべきではない。所定の状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利となりうる。さらに、上述した実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてこうした分離を必要とすると理解されるべきではなく、説明したプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品として統合可能であり、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化可能であることを理解されたい。
【0039】
多数の構成を説明した。それにもかかわらず、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行いうることが理解されよう。したがって、その他の構成も以下の特許請求の範囲内に該当する。
図1A
図1B
図2
図3