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特許7387752脅威検出及び区別の機能を有する人員検査
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】脅威検出及び区別の機能を有する人員検査
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/10 20060101AFI20231120BHJP
   G01R 33/12 20060101ALI20231120BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20231120BHJP
   G01V 3/08 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
G01V3/10 J
G01R33/12 Z
G01R33/02 L
G01R33/02 D
G01V3/08 E
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021547668
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2019058179
(87)【国際公開番号】W WO2020087019
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】62/751,490
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521177496
【氏名又は名称】エボルブ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evolv Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】エレンボーゲン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,アレック
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ケイヒル,クリストファー
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-534644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0137420(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0006552(US,A1)
【文献】特開平10-111363(JP,A)
【文献】米国特許第05119028(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
G01R33/00-33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1000ヘルツ(Hz)未満の周波数において磁界送信機を駆動するための1つ又は複数の信号を生成することで第1の磁界を生成することと、
磁気センサを含む複数の磁界受信機から、上記複数の磁界受信機によって取得されるサンプルであって、上記第1の磁界と、上記第1の磁界及び対象物の相互作用に起因する第2の磁界との組み合わせのサンプルを特徴付けるデータを受信することと、
上記受信されたデータを用いて、上記対象物の磁気分極率特性を特徴付ける上記対象物の分極率を決定することと、
上記決定された分極率を用いて、上記対象物を脅威又は非脅威として分類することと、
上記分類を提供することとを含み、
上記第1の磁界を生成することは、上記磁界送信機を第1の周波数及び第2の周波数において駆動するための1つ又は複数の信号を生成することを含み、上記磁界送信機は上記第1の周波数及び上記第2の周波数において駆動され、
上記第1の周波数は5Hz及び100Hzの間にあり、上記第2の周波数は100Hz及び1000Hzの間にある、
方法。
【請求項2】
上記対象物の分極率は、少なくとも、上記対象物の形状、透磁率、及び導電率を特徴付ける、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記対象物の分極率は、送信システムによって使用される1つ又は複数の周波数における上記対象物の方向性分極率成分を特徴付ける少なくとも6個の要素を含む複素テンソルを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記分極率を決定することは、予め計算された擬似逆行列を用いて一組の試行解を解くことと、上記試行解の各々について余りを決定することと、余りが最小になる試行解を選択することとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記分極率を決定することは、
場所及び速度をそれぞれ含む一組の試行解を定義することと、
各試行解について関連付けられた分極率及び関連付けられた余りを計算することと、
最小の余りに関連付けられた試行解の集合のうちの試行解を含む最終的な試行解を選択することとを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
検査対象である体積の内部において上記対象物の位置を推定することをさらに含み、
上記位置を推定することは、対象物の速度と、対象物の位置とを決定することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
上記複数の磁界受信機は、上記複数の磁界受信機の場所において、上記第1の磁界及び上記第2の磁界の組み合わせの大きさ及び位相を少なくとも3軸で測定するフラックスゲートセンサを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記複数の磁界受信機によって取得されるサンプルは、大きさ及び位相を特徴付け、
上記分極率を用いて上記対象物を脅威又は非脅威として分類することは、予め決められた脅威シグネチャのライブラリに対して、大きさ、位相、及び分極率を比較することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
上記第1の磁界は、少なくとも第1の磁界送信機及び第2の磁界送信機によって生成され、
上記第1の磁界送信機及び上記第2の磁界送信機は、第1の方向に向けられ、
上記第1の磁界送信機及び上記第2の磁界送信機は、上記対象物の予め決められた動きの方向に交わりかつ上記第1の方向に交わるように空間的にオフセットされる、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
第1の磁界を生成するように構成された磁界送信機と、
磁気センサを含む複数の磁界受信機であって、上記第1の磁界と、上記第1の磁界及び対象物の相互作用に起因する第2の磁界との組み合わせをサンプリングするように構成された複数の磁界受信機と、
少なくとも1つのデータプロセッサとを備えたシステムであって
上記少なくとも1つのデータプロセッサは、
上記複数の磁界受信機によって取得されたサンプルを特徴付けるデータを受信し、
上記受信されたデータを用いて、上記対象物の磁気分極率特性を特徴付ける上記対象物の分極率を決定し、
上記分極率を用いて、上記対象物を脅威又は非脅威として分類し、
上記分類を提供するように少なくとも構成され
上記システムは、上記磁界送信機に接続された送信ドライバであって、1000ヘルツ(Hz)未満の周波数において上記磁界送信機を駆動するための1つ又は複数の信号を生成するように構成された送信ドライバをさらに備え、
上記送信ドライバは、上記磁界送信機を第1の周波数及び第2の周波数において駆動するための1つ又は複数の信号を生成するように構成され、上記磁界送信機は上記第1の周波数及び上記第2の周波数において駆動され、
上記第1の周波数は5Hz及び100Hzの間にあり、上記第2の周波数は100Hz及び1000Hzの間にある、
システム。
【請求項11】
第2の磁界送信機をさらに備え、
上記送信ドライバは、
上記磁界送信機を駆動する第1の駆動電子回路と、
上記第2の磁界送信機を駆動する第2の駆動電子回路とをさらに含む、
請求項10記載のシステム。
【請求項12】
上記複数の磁界受信機によって取得されるサンプルは、大きさ及び位相を特徴付け、
上記分極率を用いて上記対象物を脅威又は非脅威として分類することは、予め決められた脅威シグネチャのライブラリに対して、大きさ、位相、及び分極率を比較することを含む、
請求項10記載のシステム。
【請求項13】
上記複数の磁界受信機は、上記複数の磁界受信機の場所において、上記第1の磁界及び上記第2の磁界の組み合わせの大きさ及び位相を少なくとも3軸で測定するフラックスゲートセンサを含む、
請求項10記載のシステム。
【請求項14】
上記複数の磁界受信機に接続されたデータ取得基地局であって、上記複数の磁界受信機によって取得されたサンプルをフィルタリングし、復調し、ディジタル化するように構成されたデータ取得基地局をさらに備え、
上記データ取得基地局は、上記第2の磁界を特徴付ける同相及び直交位相データを決定するようにさらに構成される、
請求項10記載のシステム。
【請求項15】
上記分極率を決定することは、分極率テンソルを決定することを含む、
請求項10記載のシステム。
【請求項16】
上記分極率を決定することは、予め計算された擬似逆行列を用いて一組の試行解を解くことと、上記試行解の各々について余りを決定することと、余りが最小になる試行解を選択することとを含む、
請求項15記載のシステム。
【請求項17】
上記少なくとも1つのデータプロセッサは、検査対象である体積の内部において上記対象物の位置を推定するようにさらに構成され、
上記位置を推定することは、対象物の速度と、対象物の位置とを決定することを含む、
請求項10記載のシステム。
【請求項18】
上記分極率を決定することは、
場所及び速度をそれぞれ含む一組の試行解を定義することと、
各試行解について関連付けられた分極率及び関連付けられた余りを計算することと、
最小の余りに関連付けられた試行解の集合のうちの試行解を含む最終的な試行解を選択することとを含む、
請求項10記載のシステム。
【請求項19】
第1の柱及び第2の柱に連結されるように構成されたベースプレートをさらに備え、
上記磁界送信機は上記第1の柱に連結され、上記複数の磁界受信機は上記第2の柱に連結される、
請求項10記載のシステム。
【請求項20】
上記ベースプレートは、上記ベースプレートが位置する表面に対して上記ベースプレートを連結するように構成されたモジュール式装着システムを含み、
上記モジュール式装着システムは、複数の吸盤、複数の把持機構、複数の穿孔機構、及び複数のオーガー機構からなるグループから選択された少なくとも1つの連結装置を含む、
請求項19記載のシステム。
【請求項21】
上記ベースプレートは、上記ベースプレートの内部に隠れたベースプレートフレームを含み、
上記ベースプレートフレームは、上記システムが配備される場所に上記ベースプレートを永続的に設置するように構成された、
請求項19記載のシステム。
【請求項22】
上記第1の柱の近位端及び上記第2の柱の近位端は、上記ベースプレートに連結され、
上記第1の柱の遠位端及び上記第2の柱の遠位端は、上記第1の柱の遠位端を上記第2の柱の遠位端に連結するアーチウェイに接続されない、
請求項19記載のシステム。
【請求項23】
上記第1の柱及び/又は上記第2の柱に加速度計又は傾斜計の少なくとも1つが連結される、
請求項19記載のシステム。
【請求項24】
上記少なくとも1つのデータプロセッサは、上記システムが配備される場所に存在する金属の量に基づいて上記第2の磁界の歪みの尺度を決定するようにさらに構成される、
請求項10記載のシステム。
【請求項25】
第1の柱又は第2の柱に連結された少なくとも1つのカメラであって、上記対象物の画像及び/又はビデオデータを取り込むように構成された少なくとも1つのカメラをさらに備え、
上記カメラは、深度カメラ、背面カメラ、魚眼カメラ、赤外線カメラ、サーマルカメラ、表面マップカメラ、電気光学カメラ、及びステレオカメラを含むグループから選択される、
請求項10記載のシステム。
【請求項26】
上記第1の柱に連結された第1のカメラ及び上記第2の柱に連結された第2のカメラをさらに備え、
上記第1のカメラは、第1の視角において画像データを取り込むように構成され、
上記第2のカメラは、上記第1の視角とは異なる第2の視角において画像データを取り込むように構成される、
請求項25記載のシステム。
【請求項27】
上記第1のカメラ及び上記第2のカメラによって取り込まれた画像データは、上記システムの座標系内に登録される、
請求項26記載のシステム。
【請求項28】
上記対象物を脅威として分類することに応答して、上記少なくとも1つのデータプロセッサは、上記対象物の場所を識別するグラフィカル表示を生成し、ディスプレイにおいて上記画像データの上に上記グラフィカル表示を描画するようにさらに構成される、
請求項27記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願は、2019年10月26日に出願された米国仮特許出願62/791490号の、米国特許法第119条による利益及び優先権を主張し、その内容の全体は参照によって本願で明示的に援用される。
【0002】
[技術分野]
本願で説明した主題は、人員検査システムに関し、いくつかの例示的な実施例では、個人の物品を遠ざけることなく脅威検出及び区別を実行しうる人員検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
空港セキュリティは、任意の脅威又は潜在的に危険な状況が発生すること又は国内に侵入することの防止を試みる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗客スクリーニングのために空港セキュリティによって利用されるもののような、いくつかの既存の無線周波数(RF)イメージングシステムは、大きく、高価であり、また、画像を取り込むためにアンテナが個人の回りに回転している間に当該個人が静止したままであることを必要とする。さらに、これらの既存のRFイメージングシステムは、検査されている個人のそばにあるセルラー電話機、鍵、財布などのような個人の物品を遠ざけておくことを必要とする可能性がある。そのような、遠ざけることの要件の存在は、イメージングシステムのスループット及び有用性を低下させる可能性がある。
【0005】
通り抜け式の金属探知器のような、いくつかの既存の検査システムは、磁界を通過する磁気又は導体材料(例えば金属)によって引き起こされる磁界の変化を生成及び測定するためのコイルを含みうる。これらの既存の検査システムは、境界を通過する金属対象物を測定しうるが、セルラー電話機、ラップトップ、鍵、ベルトバックルなどのような個人の物品を、小火器又は簡易爆発物のような脅威から区別する能力を欠く可能性がある。従って、これらの例示的な既存の検査システムは、個人の物品を遠ざけることを必要とし、それによって、そのスループット及び有用性を制限している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本方法は、磁気センサを含む複数の磁界受信機から、上記複数の磁界受信機によって取得されるサンプルであって、第1の磁界と、上記第1の磁界及び対象物の相互作用に起因する第2の磁界との組み合わせのサンプルを特徴付けるデータを受信することと、上記受信されたデータを用いて、上記対象物の磁気分極率特性を特徴付ける上記対象物の分極率を決定することと、上記決定された分極率を用いて、上記対象物を脅威又は非脅威として分類することと、上記分類を提供することとを含む。
【0007】
以下の特徴のうちの1つ又は複数は、任意の実施可能な組み合わせで含まれてもよい。例えば、上記対象物の分極率は、少なくとも、上記対象物の形状、透磁率、及び導電率を特徴付けることができる。上記対象物の分極率は、送信システムによって使用される1つ又は複数の周波数における上記対象物の方向性分極率成分を特徴付ける少なくとも6個の要素を含む複素テンソルを含んでもよい。上記分極率を決定することは、予め計算された擬似逆行列を用いて一組の試行解を解くことと、上記試行解の各々について余りを決定することと、余りが最小になる試行解を選択することとを含んでもよい。上記分極率を決定することは、場所、速度、及び時間シフトをそれぞれ含む一組の試行解を定義することと、各試行解について関連付けられた分極率及び関連付けられた余りを計算することと、最小の余りに関連付けられた試行解の集合のうちの試行解を含む最終的な試行解を選択することとを含んでもよい。本方法は、検査対象である体積の内部において上記対象物の位置を推定することを含んでもよく、上記位置を推定することは、対象物の速度と、対象物の位置と、予め決められた平面に対する対象物の時間オフセットとを決定することを含む。本方法は、1000ヘルツ(Hz)未満の周波数において磁界送信機を駆動するための1つ又は複数の信号を生成することをさらに含んでもよい。
【0008】
上記複数の磁界受信機は、上記複数の磁界受信機の場所において、上記第1の磁界及び上記第2の磁界の組み合わせの大きさ及び位相を少なくとも3軸で測定するフラックスゲートセンサを含んでもよい。上記複数の磁界受信機によって取得されるサンプルは、大きさ及び位相を特徴付けてもよい。上記分極率を用いて上記対象物を脅威又は非脅威として分類することは、予め決められた脅威シグネチャのライブラリに対して、大きさ、位相、及び分極率を比較することを含んでもよい。上記第1の磁界は、少なくとも第1の磁界送信機及び第2の磁界送信機によって生成されてもよい。上記第1の磁界送信機及び上記第2の磁界送信機は、第1の方向に向けられてもよい。上記第1の磁界送信機及び上記第2の磁界送信機は、動きの予め定義された方向に交わりかつ上記第1の方向に交わるように空間的にオフセットされてもよい。
【0009】
もう1つの態様において、システムは、第1の磁界を生成するように構成された磁界送信機と、磁気センサを含む複数の磁界受信機であって、上記第1の磁界と、上記第1の磁界及び対象物の相互作用に起因する第2の磁界との組み合わせをサンプリングするように構成された複数の磁界受信機と、少なくとも1つのデータプロセッサとを含むことができ、上記少なくとも1つのデータプロセッサは、上記複数の磁界受信機によって取得されたサンプルを特徴付けるデータを受信し、上記受信されたデータを用いて、上記対象物の磁気分極率特性を特徴付ける上記対象物の分極率を決定し、上記分極率を用いて、上記対象物を脅威又は非脅威として分類し、上記分類を提供するように少なくとも構成される。
【0010】
以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。例えば、送信ドライバは、上記磁界送信機に接続され、1000ヘルツ(Hz)未満の周波数において上記磁界送信機を駆動するための1つ又は複数の信号を生成するように構成されてもよい。上記送信ドライバは、上記磁界送信機を第1の周波数及び第2の周波数において駆動するための1つ又は複数の信号を生成するように構成されてもよい。上記磁界送信機は上記第1の周波数及び上記第2の周波数において駆動されてもよい。上記第1の周波数は5Hz及び40Hzの間にあってもよく、上記第2の周波数は100Hz及び1000Hzの間にあってもよい。第2の磁界送信機を含んでもよい。送信ドライバは、上記磁界送信機を駆動する第1の駆動電子回路と、上記第2の磁界送信機を駆動する第2の駆動電子回路とを含んでもよい。サンプルは、上記複数の磁界受信機によって取得されてもよく、また、大きさ及び位相を特徴付けてもよい。上記分極率を用いて上記対象物を脅威又は非脅威として分類することは、予め決められた脅威シグネチャのライブラリに対して、大きさ、位相、及び分極率を比較することを含んでもよい。
【0011】
上記複数の磁界受信機は、上記複数の磁界受信機の場所において、上記第1の磁界及び上記第2の磁界の組み合わせの大きさ及び位相を少なくとも3軸で測定するフラックスゲートセンサを含んでもよい。上記複数の磁界受信機に接続されたデータ取得基地局であって、上記複数の磁界受信機によって取得されたサンプルをフィルタリングし、復調し、ディジタル化するように構成されたデータ取得基地局を含んでもよい。上記データ収集基地局は、上記第2の磁界を特徴付ける同相及び直交位相データを決定するようにさらに構成されてもよい。上記分極率を決定することは、分極率テンソルを決定することを含んでもよい。上記分極率を決定することは、予め計算された擬似逆行列を用いて一組の試行解を解くことと、上記試行解の各々について余りを決定することと、余りが最小になる試行解を選択することとを含んでもよい。
【0012】
上記少なくとも1つのデータプロセッサは、検査対象である体積の内部において上記対象物の位置を推定するようにさらに構成されてもよく、上記位置を推定することは、対象物の速度と、対象物の位置と、予め決められた平面に対する対象物の時間オフセットとを決定することを含む。上記分極率を決定することは、場所、速度、及び時間シフトをそれぞれ含む一組の試行解を定義することと、各試行解について関連付けられた分極率及び関連付けられた余りを計算することと、最小の余りに関連付けられた試行解の集合のうちの試行解を含む最終的な試行解を選択することとを含んでもよい。上記少なくとも1つのデータプロセッサは、上記システムが配備される場所に存在する金属の量に基づいて上記第2の磁界の歪みの尺度を決定するようにさらに構成されてもよい。
【0013】
本システムは、第1の柱及び第2の柱を連結するように構成されたベースプレートをさらに含んでもよい。上記磁界送信機は上記第1の柱に連結されてもよく、上記複数の磁界受信機は上記第2の柱に連結されてもよい。上記ベースプレートは、上記ベースプレートが位置する表面に対して上記ベースプレートを連結するように構成されたモジュール式装着システムを含んでもよい。上記モジュール式装着システムは、複数の吸盤、複数の把持機構、複数の穿孔機構、及び複数のオーガー機構のうちの少なくとも1つを含んでもよい。上記ベースプレートは、上記ベースプレートの内部に隠れたベースプレートフレームを含んでもよい。上記ベースプレートフレームは、上記システムが配備される場所に上記ベースプレートを永続的に設置するように構成されてもよい。上記第1の柱の近位端及び上記第2の柱の近位端は、上記ベースプレートに連結されてもよい。上記第1の柱の遠位端及び上記第2の柱の遠位端は、上記第1の柱の遠位端を上記第2の柱の遠位端に連結するアーチウェイに接続されない。上記第1の柱及び/又は上記第2の柱に加速度計又は傾斜計の少なくとも1つが連結されてもよい。
【0014】
本システムは、上記第1の柱又は上記第2の柱に連結された少なくとも1つのカメラをさらに含んでもよい。上記少なくとも1つのカメラは、上記対象物の画像及び/又はビデオデータを取り込むように構成されてもよい。上記カメラは、深度カメラ、背面カメラ、魚眼カメラ、赤外線カメラ、サーマルカメラ、表面マップカメラ、電気光学カメラ、及びステレオカメラを含むグループから選択されてもよい。本システムは、上記第1の柱に連結された第1のカメラ及び上記第2の柱に連結された第2のカメラを含んでもよい。上記第1のカメラは、第1の視角において画像を取り込むように構成されてもよく、上記第2のカメラは、第2の視角において画像データを取り込むように構成されてもよい。上記第1のカメラ及び上記第2のカメラによって取り込まれた画像データは、上記システムの座標系内に登録される、上記対象物を脅威として分類することに応答して、上記プロセッサは、上記対象物の場所を識別するグラフィカル表示を生成し、ディスプレイにおいて上記画像データの上に上記グラフィカル表示を描画するようにさらに構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】個人の物品を遠ざけることなく脅威検出及び区別を実行しうる例示的な人員検査システムのシステムブロック図である。
図2】送信機の空間的配置の4つの例示的なプロットを示す図である。
図3】いくつかの実施例に係る例示的な人員検査システムの配置を示す図である。
図4】本主題のいくつかの態様に係る例示的な検査システムの例示的な処理を示す処理ブロック図である。
図5】本主題のいくつかの態様に係る例示的な検査システムにおいて、対象物の分極率を決定する例示的な処理を示す処理ブロック図である。
図6】本主題のいくつかの態様に係る例示的な検査システムにおいて、人々の大きなグループ内の個人における対象物を検出する例示的な処理を示す処理ブロック図である。
図7】人員検査システムの例示的な実施例を示す図である。
図8】異なる複数の場所において複数のセンサ及び送信機を含む人員検査システムの例示的な構成を示す図である。
図9】複数のカメラを含む人員検査システムの例示的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願で説明する主題の1つ又は複数の変形例に係る詳細事項は、添付の図面及び以下の発明の詳細な説明において説明される。本願で説明する主題の他の特徴及び利点は、発明の詳細な説明及び図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0017】
様々な図面における類似の参照記号は類似の構成要素を示す。
【0018】
人員検査システムは、当該検査システムが保護しようとする特定のエリアにもたらされうる脅威を検出するために使用される。一般的な人員検査システムは、例えば、裁判所又は競技場の入口に構成された金属探知器、又は空港におけるボディースキャナを含みうる。これらの検査システムは、脅威の不在を決定するために処理可能であるデータを生成するように構成される。脅威は、システムを通過する任意の個人、物体、又は要素であって、保護されたエリアへの侵入を許すと、損害を引き起こしたり、セキュリティ上の問題をもたらしたり、及び/又は、保護されたエリアで生じるイベント又は活動を混乱させたりする可能性があるものとみなすことができる。例えば、小火器は、空港又は競技場において人員検査システムが検出しようとする脅威である。典型的には、人員検査システムは、金属対象物を含む脅威を検出するように構成される。
【0019】
従来の人員検査システムは多数の欠点を有する。人員検査システムは、一般的には、空港のセキュリティエリアにおける個人の待ち行列(キュー)のように、一度に、単一の個人に関連付けられたデータをスキャン又は評価するように構成される。各個人は、他の個人が脅威検出のためにスキャン又は処理可能になる前に、スキャン又は処理されなければならず、このことは、遅延をもたらしたり、保護されたエリアに入るまでの長い待機時間をもたらしたりする可能性がある。従来の人員検査システムにおいて潜在的な脅威の存在を評価する場合、一般的に、個人は上昇したレベルの不安及び疑念を経験する。
【0020】
従来の人員検査システムはまた、検査システムが配備されているエリアに入る前に、任意の金属対象物のような、すべての潜在的なクラッター物体を除去することを個人に要求する。このように、従来の検査システムは、検査システムを通過する個人に留まっている可能性がある任意の検出された金属対象物を、対象物のサイズ、タイプ、又は組成を区別することなく、潜在的な脅威として広く識別する可能性がある。この種の広い2値の区別しきい値を用いることは、高確率で偽警報をもたらし、脅威対象物であると不正確に識別された対象物を取り除く後検査処理を受けることを個人に要求する可能性がある。例えば、従来の検査システムは、典型的には、ベルトバックルの対象物及び材料特性を小火器のものと一意的に区別することができない。従来の検査システムでは、両方の対象物が同様に検出されて潜在的な脅威であると特徴付けられるが、ベルトバックルは、小火器に比較して、ずっと小さな脅威となるか、まったく脅威とはならない。個人は、典型的には、その身体に、従来の検査システムでは脅威として誤って識別されうる多数の金属対象物を有する。靴又はブーツの鳩目、ベルトバックル、眼鏡、セルラー電話機、ラップトップ、補聴器、及びペースメーカーはすべて、検出された脅威として従来の検査システムによって誤って識別されうる金属を含む。その結果、人員検査システムは、検査システムを通過する個人から、すべての潜在的な脅威対象物を除去又は遠ざけることを必要とする。
【0021】
本主題は、改善された人員検査システムを含むことができ、これは、いくつかの例示的な実施例では、個人がセルラー電話機及びラップトップのような個人の物品を所持している可能性がある高クラッター環境において、また、個人の物品を遠ざけることなく、脅威検出及び区別を実行しうる。いくつかの実施例では、人員検査システムは、高スループットで脅威検出及び区別を実行することができ、これにより、個人が通常の歩行速度で検出器を通過することを可能にし、検査のために個人が速度を落とすことを要求されることがない。いくつかの実施例では、検査境界は、複数の個人が互いに並んで(例えば、2人以上が並んで)当該境界を通過することを許容してもよい。
【0022】
この改善された人員検査システムの利点は、評価対象である個人のより高いスループットと、金属対象物を脅威又は非脅威としてより正確に区別することにより低減された偽警報の発生率と、改善された人員検査システムを用いて評価されている個人に係る低減されたストレスレベル及び改善された感情的応答とを含みうる。さらに、改善された人員検査システムは、改善された検査システムを通過する個人に存在する金属対象物を、個人の身体から金属対象物を除去することを個人に要求することなく、脅威又は非脅威として、より正確に識別することができる。改善された検査システムによって収集、処理、及び生成されるデータはまた、他のセキュリティに焦点を当てた動作のコンテキストにおいて同様に使用可能である。この動作は、例えば、検出された脅威対象物を所有している個人をシステムオペレータに通知することと、検査システムのオペレータ又は監督者の訓練演習と、改善された検査システムを用いて個人がスクリーニング又は評価される前又は後に生じうるセキュリティ手順の全体処理の改善とを含む。
【0023】
本願で開示した改善された検査システムのいくつかの例示的な実施例は、その送信磁界において最大で10000分の1の妨害を検出することができる、高感度の連続波磁気検出システムを含みうる。意図されていないシステムノイズによって引き起こされる磁気妨害を、金属対象物によって引き起こされる磁気妨害と区別することは非常に困難である可能性があるので、この感度を促進するために、本システムは、安定な磁界を送信し、送信された磁界を低ノイズの方法を用いて測定するように構成されてもよい。このコンテキストにおいて、システムノイズは、意図された信号間における高調波の不一致と、アナログ/ディジタル変換に関連付けられたサンプリングレートとによってもたらされうる多数の信号干渉を包含する可能性があり、例えば、従来の電子的ノイズ、送信磁界における振幅変動、及び/又はディジタル誤差を含む。
【0024】
いくつかの例示的な実施例は、アクティブ磁気システムを含んでもよい。アクティブ磁気システムは、観測領域の一連の磁界測定値を取得し、磁界測定値の同相及び直交位相成分を決定し、観測領域に存在する対象物の分極率の尺度(例えば、分極率テンソル、分極率指数)を決定し、対象物の速度、位置、及び時間オフセットを決定することで対象物の位置を推定し、磁界測定値、分極率、及び/又は位置推定情報を用いてクラッター(ノイズ)が存在する状態で脅威検出及び/又は対象物の区別を実行することができる。いくつかの実施例では、本システムは、小火器及び/又は簡易爆発物(improvised explosive devices:IED)を検出するように構成されてもよい。
【0025】
いくつかの実施例では、本システムは、検査対象である対象物の分極率を決定することができ、対象物の分極率を用いて脅威検出及び区別(例えば分類)を実行することができる。対象物の分極率を決定及び利用することによって、小火器及び簡易爆発物のような所定の脅威をより正確に検出することができ、改善された人員検査システムをもたらすことができる。
【0026】
磁界検出を用いて小火器のような違法又は脅威となる対象物を検出するように構成された人員検査システムにおいて、信号対雑音比(SNR)を最適化するように使用される周波数帯は、脅威及び非脅威の対象物の間の区別を最適化するように使用される周波数帯と同じではない。さらに、最適化された周波数帯のうちの一方又は両方は、システムの受信機によって有効に検出するには低すぎることがある。磁界検出を用いて構成された人員検査システムにおける課題は、最適化された両方の周波数帯によって提供される利点を保持しながら、適切な周波数帯において検出された脅威対象物をどの程度最良に測定できるのかを決定することを含みうる。
【0027】
本願で説明した改善された検査システムは、第1の周波数帯において良好なSNR特性で情報を取得し、第1の周波数帯とは別個の第2の周波数帯において良好な区別特性で情報を取得するような方法で対象物に問いあわせ信号を送信するように構成されてもよい。誘導コイル受信機に加えて、又はその代わりにフラックスゲートを使用することで、本願で開示したシステムが、非常に低い周波数(例えば、1kHzより下)の磁界を測定することを可能にする。SNR特性を有する第1の周波数帯から周波数帯測定値を用いることで、良好な区別特性を有する第2の周波数帯を介して対象物の追加の特性を復元する前に、場所、速度、向きなどのような、対象物の所定の特性が決定される。本願で説明した磁気検出アルゴリズム及びシステムのいくつかの例示的な実施例は、両方の周波数帯の利点を同時に利用することができる。
【0028】
例えば、多くの小火器が鋼のような鉄金属を含む一方、多くの家庭用電気製品がアルミニウム及び銅のような非鉄金属を含む。渦電流が周波数に応じてスケーリングするという事実に起因して、非常に低い周波数(1kHzより下)の磁界で対象物を励振させることで、鉄金属及び非鉄金属の間の最大の区別を達成することができる。そのような低い周波数は、誘導コイルと比較すると、フラックスゲート受信機を用いて効率的に測定することができる。誘導コイルは、より高い周波数において簡単化かつ製造容易になる。しかしながら、フラックスゲート受信機(及びそれらのディジタル化電子回路)は、多くの場合、より高い周波数においてより良好になるノイズ特性を有する。本願で説明したシステム及び磁気検出アルゴリズムは、低周波数(例えば、最大で30Hzまで)及びより高い周波数(例えば、最大で230Hzまで)における周波数測定値を利用する。例えば、本願で説明したシステム及び磁気検出アルゴリズムは、約5及び100Hzの周波数測定値と、約100及び1000Hzの間の周波数測定値とを利用することで、低周波数の向上した区別特性と、高周波数の優れたSNRとを同時に利用し、金属対象物の検出及び区別を改善することができる。従って、いくつかの実施例では、本システムは、セルラー電話機のような一般的な個人の物品が存在する状態において小火器を検出及び識別する性能を改善するために、1kHzより下の周波数において動作してもよい。比較的より低い周波数(例えば、1kHz未満)では、分極率の大きさに対する磁気寄与分は、分極率の大きさに対する導体寄与分に優越しうる。その結果、ある脅威の合計金属含有量から信号の大きさが受ける影響は、多くの脅威の特性に固有の材料であって、典型的な家庭用電気製品には存在しない材料から受ける影響よりも小さくなる可能性がある。
【0029】
本願で説明した検査システム及び磁気検出アルゴリズムによって実行された処理の上述の説明は、検査システムを通過する単一の対象物に関してさらに考慮されてもよい。単一の対象物は、材料特性、磁気双極子モーメント、及び/又は分極率テンソル要素のような、周波数に応じて変化するいくつかの特性を有し、また、場所、向き、及び速度のような、複数の周波数帯にわたって共有されるいくつかの特性を有する。本願で説明した検査システム及び磁気検出アルゴリズムは、対象物の周波数不変特性を決定するための測定値を用いることで、また、主として分類のために良好な区別特性を用いることで、向上した検出能力を提供する。
【0030】
いくつかの実施例では、本願で説明した磁気検出アルゴリズムは、最初に、好ましいSNR特性を有する周波数帯において、場所、向き、及び速度について解く検索動作を実行するように構成され、続いて、他の周波数帯において、対象物の材料特性、磁気双極子モーメント、及び/又は分極率テンソル又は指数のような、対象物のシグネチャを検索する。最初の検索動作から決定された情報は、第2の検索を拘束して全体的な検出精度を改善するために使用される。
【0031】
本願で説明した磁気検出アプローチの他の実施例において、磁気検出アルゴリズムは、周波数不変特性についてより高い周波数においてより精密に評価する重み付けられたコスト関数を用いることで、対象物のすべての特性を単一ステップで検索することができる。両方の実施例において、より容易に区別できる周波数帯における対象物の特性は、それらが独立して復元された場合より高い忠実度で復元される。続いて、これらの特性は、対象物が小火器又は消費者電子装置のような特定のカテゴリに属するか否かを決定する分類ステップにおいて使用可能である。
【0032】
図1は、個人の物品を遠ざけることなく脅威検出及び区別を実行しうる例示的な検査システム100のシステムブロック図である。
【0033】
図1に示すように、システム100は、データ取得基地局115に接続された複数の磁気受信機105を含む。データ取得基地局115は、受信機105から受信された磁界測定データをフィルタリングし、復調し、かつディジタル化するように構成されてもよい。複数の送信機106及び複数の磁気受信機105は、境界又は他の定義された領域のような、時々「シーン」と呼ばれることがある、観測領域(observational domain:OD)107を調査するように配置されてもよい。OD107は、体積を定義するボクセルを含むとみなされてもよい。OD107は、単一の連続的な領域又は複数の別個の領域であってもよい。システム100は、送信ドライバ160に接続された複数の送信機106も含む。送信ドライバ160は、送信機106を駆動する信号を生成するように構成されてもよい。システム100は、さらに受信された磁界測定を分析するように構成された処理システム120を含む。処理システム120は、データ取得モジュール130、較正モジュール135、再構成物モジュール140、自動脅威認識モジュール145、レンダリングモジュール150、及びメモリ155を含む。システム100はまた、出力を提供するディスプレイ165と、システム100への追加の入力を提供するセンサ125とを含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施例では、本システムは、同期ホモダインディジタルデュアル位相復調技術を用いてシステムの特定の送信周波数から同相(I)及び直交位相(Q)情報を正確に抽出する、分散型ロックイン増幅器として動作するように構成されてもよい。復調は、所望信号に基準信号をディジタル的に混合又は乗算し、続いて、その結果を、低域通過フィルタを用いてフィルタリングすることで達成されてもよい。基準信号は、送信機において使用された駆動信号に関する又は駆動信号から導出された、直接的に測定された信号であってもよく、又は、合成アナログ信号であってもよい。2つのバージョンの基準信号、すなわち、一方が他方に対して移相又は時間遅延された基準信号を利用することによって、測定信号の振幅、位相、及び/又はI及びQを再構成してもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、送信ドライバ160は、ディジタル的に制御された高精度の直接ディジタル合成(direct digital synthesis:DDS)波形生成器と、ディジタル的に制御された総和プログラマブル利得増幅器(programmable-gain amplifier:PGA)回路と、向上した電源除去比(power supply rejection ratio :PSRR)を有する閉ループDクラスパワー増幅器との組み合わせた集合を含んでもよい。そのようなシステムは、測定データにおいて必要な信号対雑音比を満たすために要求される送信磁界における高い安定性を達成しながら、送信波形の周波数及び振幅における柔軟性を提供する。システム100は、送信磁界の振幅及び周波数をディジタル的に制御してもよい。送信磁界の振幅及び周波数をディジタル的に制御することは、動的な方法で、また、任意のアドホックな方法で実行されてもよい。いくつかの実施例では、本システムは、送信磁界の周波数ごとの振幅を測定して動的に調整するように構成された、閉ループのマイクロコントローラに基づくフィードバックシステムを含んでもよく、これにより、システムの安定性及び予測可能性を向上させる。
【0036】
送信機106は、所定の動作(例えば特性)周波数(例えば変調周波数)を有する駆動信号に従って磁界を生成することができる、少なくとも2つのワイヤループ送信機を含んでもよい。送信機106は、例えば、30Hz及び130Hzにおいて動作することができる。概して、ワイヤループは、所定の主面内に存在するとみなされてもよい。いくつかの実施例では、システム100は、OD107の全体にわたって主要なすべての方向(例えばデカルト座標)を調べるのに十分なダイバーシティを有して磁界を生成するように配置された複数の送信機を含んでもよい。検査対象である対象物が静止している静止系において、互いに直交した向きにある(例えば、3つの送信機の各々の主面は互いに直交した向きにあってもよい)か、又は、空間的にオフセットされている、少なくとも3つの送信機を含んでもよい。検査システム100を通過する対象物のように、対象物が特定の方向への動きを経験している場合、各送信機が動きの方向に直交した向きにあるか、又は、動きの方向とそれらに共有される向きとの両方を横切って空間的にオフセットされているならば、2つの送信機を使用してもよい。この構成は、対象物の動きに対する(例えば1つの方向における)妥当な拘束条件を表し、さらに、所与の対象物を詳しく調べるために十分な磁界のダイバーシティを実現することができる送信機コイルの最小個数を表すことができる。
【0037】
図1に示すように、送信機ドライバ160は、複数の送信機106を駆動するための1つ又は複数の信号を生成してもよい。いくつかの実施例では、複数の送信機106は、所望のすべての測定値が取り込まれるまで、複数の送信機を1つずつ駆動することを時間的に繰り返すことにより駆動されてもよい。そのようなアプローチの利点は、すべての送信機106にわたって駆動電子回路を共用できることを含みうる。しかしながら、このアプローチは、各送信機106に対して所定のデューティサイクルを課し、その信号対雑音比を低減する可能性がある。そのような構成において、複数の送信機106は同じ瞬間に測定されなくてもよいが、この場合、対象物が移動中であると、動きによって生じるアーティファクトを導入する可能性がある。
【0038】
いくつかの実施例では、複数の送信機106は、同時に、ただしわずかに(例えば10ヘルツ(Hz))オフセットされた周波数で駆動されてもよい。複数の周波数は、後処理においてそれらを明確に復調できるように十分にオフセットされてもよく、それは、対象物の動きを所定の分解能定特性するために必要な帯域幅によって設定可能であり、それは、毎秒1.3メートル(m/s)の典型的な歩行速度で移動する対象物の場合には約5~10Hzであってもよい。同時に、複数の周波数は、分極率の分散を無視できるように、十分に類似して選択されてもよい。いくつかの実施例では、オフセットは10Hzであってもよく、これは、まったく無視できる差であり、消滅する周波数であるとみなすことができる。この例示的な周波数多重化アプローチでは、送信ドライバ160は、各送信機を別々に駆動するために別個の駆動電子回路を含んでもよく、それは、モーションブラーのリスクなしに(及び/又はそのリスクを低減して)改善された信号対雑音比を可能にしうる。
【0039】
いくつかの実施例では、送信ドライバ160は、複数の送信機106に配信されうる複数の駆動信号を生成可能であってもよく、それは、すべての受信・送信ペアにわたって完全に位相コヒーレントな測定システムを確立することができる。さらに、駆動信号は、送信機ドライバ160からデータ取得基地局115にルーティングされる基準信号として提供されてもよく、これは、以下でより詳しく説明するように、復調のために利用可能である。
【0040】
磁気受信機105は、フラックスゲートセンサを含んでもよい。これは、磁界の変化率を測定するワイヤコイルと比較すると、磁界(例えば大きさ及び位相)を直接的に測定することができる。いくつかの実施形態では、受信機105のうちの1つ又は複数は、3軸フラックスゲート磁力計を含んでもよい。いくつかの実施形態では、受信機105のうちの1つ又は複数は、2軸フラックスゲート磁力計を含んでもよい。フラックスゲート磁力計は、コイル受信機と比較して、高い感度、高い線形性、及び低いノイズフロアで動作可能であるという点で有利になりうる。受信機105は、従来の方法にとっては低すぎる周波数において、正確な磁気測定を行うことができる。
【0041】
フラックスゲートセンサは、フラックスゲートセンサの場所において3つの軸(例えば、x、y、及びz)で磁界の振幅を測定してもよい。フラックスゲートセンサは、ミューメタルのような、高い透磁率を有するコア材料のまわりに近接して巻回される内側駆動コイルを包囲する検出コイルを含んでもよい。駆動巻線に交流電流を印加してもよく、これにより、飽和及び不飽和の連続的な繰り返しサイクルでコアを駆動することができる。外部磁界が存在する状態で、高い透磁率を有する状態にあるコアを用いると、そのような磁界は、検出巻線を介して局所的に引きつけられるかゲート制御される。検出巻線の内外に向けて外部磁界を連続的にゲート制御することは、検出巻線における信号を誘導し、その主要周波数は駆動周波数の2倍であり、その強度及び位相の向きは、外部磁界の大きさ及び極性に正比例して変化する。
【0042】
いくつかの実施例では、フラックスゲートセンサは、130Hz及び30Hzのような、1kHz未満の動作する周波数で利用されてもよい。これらの比較的低い動作周波数において、フラックスゲートセンサは、改善されたノイズフロアで動作可能であり、例えば、いくつかのフラックスゲートは、20マイクロボルト/ナノテスラのオーダーの電圧対磁界比を達成可能である。
【0043】
データ取得基地局115は、受信機105から受信されたデータを復調し、フィルタリングし、ディジタル化することができる。データ取得基地局115は、受信されたデータを集約し、受信されて集約されたディジタル化されたデータから同相及び直交位相データ(それぞれI及びQデータ)を決定し、集約されたデータを同相及び直交位相データとして処理システム120に送信してもよい。データ取得モジュール130に提供された未処理の磁力計信号の濾波及び増幅を行うことにより、本システムは、周囲における大きな直流(DC)磁気信号を阻止することで、関心対象の周波数、例えば、130Hz及び30Hzのような、1kHz未満の周波数において高いダイナミックレンジを達成することが可能になる。システム100のハードウェア及び/又はソフトウェアにおいて使用されるフィルタの帯域幅及び設計は、対象物の動きを復元するために復調信号において十分な帯域幅を保持しながら、交流(AC)ラインによって生成される50及び60Hzの信号のような、環境における非所望信号を阻止するように選択されてもよい。
【0044】
センサ125は、赤外線(infrared:IR)カメラ、サーマルカメラ、超音波距離センサ、ビデオカメラ、電気光学(electro-optical:EO)カメラ、及び/又は表面/深度マップカメラを含んでもよい。センサ125は、少なくともOD107の追加情報画像又はビデオ、例えば光学画像を生成する。いくつかの実施例では、センサ125は、画像又はビデオをさらなる分析のために処理システム120に送信する。システム100は、複数のセンサ125を含んでもよい。センサ125は、OD107における目標物の存在を検出するために使用されてもよい。OD107における目標物の存在を検出することは、システム100によるスキャンをトリガするために使用されてもよい。いくつかの実施例では、センサ125は、無線周波数識別(radio frequency identification:RFID)リーダーを含んでもよい。
【0045】
本システムはまた、ディスプレイ165を介してオペレータへの画像を提示してもよく、ここにおいて、訪問者及び/又はそれらの付属物の可視部分であって、1つ又は複数の対象物を含む可能性が最も高い部分は、強調されるか、セグメント化されるか、そうでなければ、オペレータに通知を提供してオペレータの応答を支援するようにされる。さらに、対象物の態様は、深度カメラから得られた画像に基づいて決定されてもよい。取得された態様は、対象物の分類に関連付けられてもよい。例えば、対象物が平坦な外観を有する場合、磁気検出アルゴリズムは、対象物がラップトップ又は傘であると決定するように、対象物のクラスを決定してもよい。対象物が隠蔽されている場合、磁気検出アルゴリズムは、人の衣類のポケット、人のくるぶし又は手首、又は人が所持している可能性があるバッグのような、対象物が隠蔽されている人体の部分又は場所を決定してもよい。これらの場所に関連付けられたデータは、分類ステップにおいて、磁界データから導出された情報と組み合わされてもよい。ここで、分類ステップは、利用可能なすべての情報を使用することで、脅威検出中に、より大きな予測精度を達成する。
【0046】
処理システム120は、データ取得モジュール130、較正モジュール135、再構成モジュール140、自動脅威認識モジュール145、レンダリングモジュール150、及びメモリ155を含む、OD107のセンサ125からの磁界データ及び追加情報画像を処理するための多数のモジュールを含む。
【0047】
データ取得モジュール130は、DAS基地局115からの磁界測定値と、センサ125からの追加情報画像とを表す電圧測定値の時系列を取得する。いくつかの実施例では、データ取得モジュール130のサンプリングレートは、送信機106を介して送信磁界を生成するために使用したものと同じマスタークロックから導出される。各受信機105について、データ取得モジュール130は、後処理において、付随する基準信号による復調を行って、この時系列からI及びQデータを導出する。I及びQデータのタイミングは、複数の受信機105にわたって同期されてもよく、データ取得モジュール130は、同期されたデータを、システム100によるさらなる分析のために複数のフレーム(例えばタイムスライス)として発行してもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、システム100のマスタークロックは、低ジッタかつ低歪クロックファンアウト及び低電圧差動信号方式(low voltage differential signaling:LVDS)変換器の内部ネットワークを用いて、システムにおける複数メートルの空間にわたって分散されてもよい。この構成により、サンプリングレートをすべての送信された周波数の整数倍の高調波にすることができ、システムの感度を損ないうるディジタル化誤差を除去することができる。データ取得処理130における各装置を同じクロック領域において構成することによって、受信機105は、互いに数メートルずつ離れて配置されることが可能になり、また、周波数の不一致に起因するドリフトなしに、同じ時間間隔においてサンプルを受信していると正しく仮定されることが可能になる。従って、所与のフレームについて、データ取得モジュール130は、各受信機105及びセンサ125のために一組のデータを発行する。いくつかの実施例では、搬送周波数を所定の分解能で特定するのに十分なレートで、データが取得されてもよく、また、フレームが発行されてもよい。
【0049】
いくつかの実施例では、データ取得モジュール130は、静的なバックグラウンド信号(例えば1次磁界)を除去する。いくつかの実施例では、データ取得基地局115は、I及びQデータが1次磁界ではなく2次磁界を特徴付けるように、静的なバックグラウンド信号(例えば1次磁界)を除去してもよい。
【0050】
較正モジュール135は、発行されたデータに対して較正補正を適用する。較正補正は、発行されたデータをシリアル時間サンプリングについて補償することを含んでもよい。さらに、較正モジュール135は、測定された1次磁界を、1つ又は複数の磁界モデル予測と比較し、任意の差を補償してもよい。いくつかの実施例では、較正は、通常の損耗、製造時の変動、又は温度変化に起因して生じる、送信機の振幅及び相変化に対処することができる。
【0051】
再構成モジュール140は、較正されたデータを画像及び/又は特徴マップに変換する。画像は、各受信機105について生成されてもよく、及び/又は、複数の受信機105によって取得された測定値の合成物に基づいて生成されてもよい。再構成モジュール140は、対象物の分極率の尺度(例えばテンソル)を決定すること及び対象物の位置を決定することを含んでもよい。
【0052】
分極率は、それを誘導した1次磁界に対する対象物の遠距離場の応答に関連する比例定数として特徴付けられてもよい。それは、体積の単位を有してもよく、また、印加された磁界の周波数に依存するとともに、対象物の形状、透磁率、及び導電率に依存してもよい。分極率を決定するために、いくつかの実施例では、最小余りの整合フィルタを実装するために最良適合アルゴリズムが利用されてもよい。
【0053】
送信機の磁界は、矩形コイルのモデルから計算されてもよい。受信機の磁界は、3軸受信機ノードが3つの独立かつ直交したダイポールとして取り扱われるように、センサの特定の軸に沿ったダイポール磁界から計算されてもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、センサ125からの画像データは、OD107を占有しうる物品又は主体についてのアプリオリな知識によって供給されるものを越えて、疎らさの拘束条件をさらに強化するために使用されてもよい。具体的には、センサ125によって取得されたOD107の画像は、目標物の空間的場所(例えば、目標物がOD107のどのボクセルに存在するか、また、OD107のどのボクセルが空であるか)を決定するために使用されてもよい。空のボクセルは対象物を含まず、従って、圧縮した検出(例えば、劣決定線形系の解をより良好及び/又はより迅速に推定することを可能にする)のためにゼロとみなされてもよい。
【0055】
さらに、適切なサイズを有するOD107は、圧縮した検出には十分な疎らさを有するシーンをもたらしうる。例えば、OD107が、2メートル×1メートル×0.5メートルの体積を有し、8000000個の5mmのボクセルに分割される場合、このOD107の内部に位置した典型的なヒトは、任意の瞬間においてボクセルの約10%(例えば、約800000個のボクセル)しか占有しないであろう。センサ125からの一組の検索された分極可能な対象物は、OD107の体積の内部において三次元面を決定し、従って、どのボクセルの中に個人が存在するかを決定するために使用されてもよい。空のボクセルは、一組の分極可能な対象物を検索するときに強制的にゼロに設定されてもよく、一方、非ゼロ値を有するボクセルは、再構成中に変更されてもよい(例えば、劣決定線形系の再構成された最適解を発見するための変数とみなされてもよい)。
【0056】
再構成モジュール140は、分極可能な対象物からなる1つ又は複数の磁気検索された集合を再構成してもよい。さらに、再構成モジュール140は、分極可能な対象物からなる複数の独立な検索された集合を組み合わせることで、分極可能な対象物からなる検索及び集約された集合を生成することができる。いくつかの実施例では、再構成モジュール140は、すべての受信機105を1つの大きな疎らな開口として取り扱い、この単一の開口におけるすべての受信機105から取得された情報を用いて、分極可能な対象物からなる単一の検索された集合を再構成することができる。
【0057】
再構成モジュール140は、複数のタイムスライスを用いて対象物の位置推定を実行してもよい。そのようなアプローチは、対象物のために場所(例えばx、y、及びt-交差)、速度、及び分極率テンソルについて解く単一モデルあてはめアプローチを使用してもよい。以下、例示的な位置推定アプローチについてより詳しく説明する。
【0058】
再構成モジュール140は、再構成された画像から特徴マップを生成してもよい。特徴マップは、磁気測定値の特性値づけ又は特徴を含んでもよい。複数の画像にわたって統計的な分析を実行してもよい。いくつかの例示的な特徴は、磁界の大きさ、磁界の位相、及び分極率テンソル特性(詳細後述)を含む。他の特徴もまた可能である。
【0059】
自動脅威認識モジュール145は、脅威対象物の有無について画像及び/又は特徴マップを分析する。脅威対象物は、個人が身につけて隠蔽しているかもしれない危険な物品、例えば小火器及び爆発物を含んでもよい。自動脅威認識モジュール145は、例えば、再構成モジュール140によって生成された特徴マップを評価する分類器を用いて、脅威を識別してもよい。分類器は、既知の脅威特徴に基づいてトレーニングしてもよい。いくつかの実施例では、脅威認識処理は、決定された画像を、予め決められた分極率シグネチャのライブラリに対して比較してもよい。
【0060】
いくつかの実施例では、特徴(例えば分類変数)は、1つ又は複数の動作周波数における磁界の大きさ、位相、及び分極率テンソル特性を含んでもよい。
【0061】
レンダリングモジュール150は、脅威認識モジュール145によって実行された脅威認識分析の結果を特徴付ける画像を生成又はレンダリングする。画像は、ディスプレイ165上にレンダリングされてもよい。例えば、レンダリングモジュール150は、スキャンされた人のアバター及び任意の識別された脅威を表示してもよい。レンダリングモジュール150は、自動脅威認識モジュール145がいかなる脅威も検出しなかった特性値を表示してもよい。
【0062】
図2は、送信機の空間的配置の4つの例示的なプロットを示す図である。プロット205において、互いに直交して向きになるように3つの送信機が配置され、従って、205の構成は、静的な(例えば、静止した)対象物のすべての寸法を測定することができる。プロット210において、同じ平面内において方向付けられているが空間的にオフセットされるように4つの送信機が配置され、従って、静的な対象物のすべての寸法を測定することができる。プロット215において、2つの送信機は互いに直交するように配置され、従って、移動中の対象物のすべての寸法を測定することができる。同様に、プロット220において、同じ平面内において方向付けられているが空間的にオフセットされるように2つの送信機が配置され、従って、移動中の対象物のすべての寸法を測定することができる。以下でさらに詳細に議論するように、いくつかの実施例では、システム100は、プロット220に示した構成に従って配置された送信機106を含んでもよい。そのような構成は、いくつかの実施例では、望ましいフォームファクタ及び低減したコストをもたらすことができる。
【0063】
図3は、いくつかの実施例に係る例示的な人員検査システム300の配置を示す図である。同じ平面内において方向付けられているが空間的にオフセットされるように2つの送信機106が配置され、従って、移動中の対象物のすべての寸法を測定することができる。実施例において、送信機106は、20及び1000Hzの間で送信することができるコイルであり、同時に動作するように、周波数についてオフセットされた複数の信号を送信するように構成されてもよい。例えば、送信機106は、30Hz及び130Hzにおいて動作してもよい。他のオフセットされた周波数、例えば5~10Hzもまた可能である。いくつかの実施例では、送信機106は、20Hz及び40Hzの間の第1の周波数と、120Hz及び140Hzの間の第2の周波数とにおいて動作してもよい(例えば、駆動されてもよい)。周波数を選択する際の考慮事項は、より低い周波数では、非鉄金属に比較して鉄の相対的な大きさが増大することと、より高い周波数では、所定のフラックスゲートセンサについてより良好なノイズフロアを有しうることと、典型的な環境における干渉に起因する特定の周波数(例えば、50及び60Hz、高調波)を完全に回避できることとを含んでもよい。受信機105は、送信機の両側における柱(例えば、垂直ポール)において垂直に配置され、検査対象の個人が本システムを通過することを可能にするデュアルレーンを提供する。
【0064】
対象物の場所及び向きとは独立に、検出された対象物の磁気シグネチャを復元するために、互いに直交する複数の方向から対象物へ送信される磁界にさらされている間に、対象物の測定値を収集することが望ましい可能性がある。
図3に示す送信機106を直交する構成で配置することによって、コイルの合計個数及び検査システム全体の複雑性を低減することができ、これにより、検査システムの物理的フットプリントのサイズに加えて、全体的な動作及び保守のコストを低減することができる。
【0065】
図3に示す送信機106の構成によれば、本願で開示したいくつかの例示的なシステムは、対象物の場所及び向きに概して独立して磁気シグネチャを決定できるように、概して直交した方向において磁界によって問いあわせ信号を送信しながら、対象物の測定値を収集することが可能になる。同時に、コスト及び物理的フットプリントのために、コイルの合計個数及びシステムの複雑性を最小化することができる。送信機を通過した対象物の動きを利用することで、最小構成の送信機、例えば2つの送信機を備えたシステムにおいて、磁界のダイバーシティを達成することができる。さらに、システムの複雑性は、時間的に変化する互いに直交した複数のパターン、例えば、わずかにオフセットされた周波数を有する2つの正弦波を介して2つの送信機に同時に電力を供給することで、さらに低減することができる。複数の周波数は、分極率のばらつきが無視できるように、十分に類似したものであってもよい。
【0066】
図4は、本主題のいくつかの態様に係る例示的な検査システムの例示的な処理400を示す処理ブロック図である。
【0067】
405において、処理システム120は、複数の磁界受信機105によって取得されたサンプルを特徴付けるデータを受信してもよい。例えば、磁界のサンプルは、受信機105によって取得されてもよく、画像(例えば、ビデオ)は、カメラ又は他のセンサ125によって取得されてもよい。イベント(例えば、人が接近していること及び/又は観測領域に入ったことを識別するイベント)を識別することができる。例えば、イベントは、カメラ供給の視界におけるシステムの占有又は動きをテストするフォトセルから受信されたイベントデータ信号に基づいて識別されてもよい。受信されたイベントデータは、対象物の検出をシステムに開始させてもよく、又は代替として、システムは、イベントデータがない状態で対象物を検索するように構成されてもよい。
【0068】
410において、データ取得モジュール130は、後の構成要素によって処理するために所定量の磁界データを集約する。例えば、データ取得モジュール130は、システムにおける複数の受信機からの磁界時間サンプルを含む円形バッファのコピーを送信してもよい。較正モジュール135は、振幅、位相、又は環境特性を含む予め準備されたモデルと比較して、磁界データにおけるずれに対処するように構成されてもよい。再構成モジュール140は、最も適合した1つ又は複数の対象物を決定するように構成されてもよく、これらの対象物は、位置、速度、時間オフセット、及び分極率を含む一組の属性によって定義されてもよい。最良の適合は、実際の測定値とモデルによって予測されたものとの間の差(例えば余り)を測定するコスト関数であって、分極率の等方性のような、解のもっともらしさを提案しうる他の属性を含んでもよいコスト関数によって決定されてもよい。分極率は、送信機106によって送信される1つ又は複数の周波数における対象物の方向性分極率成分を特徴付ける1~6個の固有の要素を含む複素テンソルを含んでもよい。分極率を含むこれらの属性は、勾配降下法アルゴリズム又は入れ子パラメータ検索のような最適化ルーチンを用いて、同時に、又は連続的に決定されてもよい。モデルは、例えば、スキャンゾーンを介して一様又は非一様に移動する、等方性又は異方性のモデルであってもよい。いくつかの実施形態では、対象物の分極率から導出される特徴は、単位体積内における対象物の形状、透磁率、及び導電率を特徴付けてもよい。
【0069】
420において、自動脅威認識モジュール145は、対象物を脅威又は非脅威として分類してもよい。脅威/非脅威の決定は物理的属性に基づいてもよく、例えば、銃身又はナイフのような以前に決定された脅威からの既知の分極率の例に対して、分極率又はその成分の部分集合を一致させることを含んでもよい。代替として、脅威/非脅威の決定は、機械学習処理でトレーニングされた分類器を使用してもよく、この処理では、新たに検出された対象物が脅威であると特徴付けられるべきか、それとも非脅威であると特徴付けられるべきかを決定するように磁気検出アルゴリズムをトレーニングするために、脅威及び非脅威の多数のラベル付けされた例が使用される。分類は、周波数及び形状の情報を用いて、脅威/非脅威を決定することを含んでもよい。
【0070】
(例えば空間的又は時間的に)同じ領域において複数の対象物を発見することは、本願で開示した検査システムを通過する訪問者に関連付けられた検出イベントを示すことがある。磁気検出アルゴリズムは、各対象物に対して独立して動作する分類器と比較して、組み合わせ情報を追加的に利用可能である集約的分類器による分類のために、これらの対象物を組み合わせてもよい。例えば、分類器は、基礎となる大きな及び/又は分散型の対象物であって、全体として考えることが最良となる対象物を構成するかのように、互いに隣接した複数の対象物のいくつかの特性をともに追加してもよい。
【0071】
425において、分類を提供してもよい。分類は、例えばディスプレイ165のようなディスプレイを介して提供されてもよい。いくつかの実施例では、分類は、複数の資産(例えばスクリーニング又は検査装置)を協調動作させることができるバックエンドセキュリティ管理システムに提供されてもよい。いくつかの実施例では、分類は、処理システム120のメモリ155に格納されてもよい。いくつかの実施例では、分類は、決定された脅威及び非脅威に関連付けられた分極率を格納する検査システム内に構成されたデータベースに格納されてもよい。
【0072】
430において、システム100は、処理400の各ステップを反復的に繰り返してもよい。
【0073】
図5は、本主題のいくつかの態様に係る例示的なシステム100において、対象物の分極率を決定する例示的な処理500を示す処理ブロック図である。いくつかの実施例では、処理500への入力として、一組の磁界サンプルが提供されてもよい。一組の磁界サンプルは、一組の送信磁界により対象物を調べながら、同時に収集されてもよい。処理500は、一組の試行解を導入することを含んでもよい。これらの試行解は、擬似逆行列を用いて独立して解くことができ、それらから、最小の余りを有する試行解を選択することができる。処理500は、等方性及び異方性の分極率を決定するために実行されてもよい。処理500は、対象物がシステム100に対する相対的な動きを体験する間に、所定時間にわたって収集されたサンプルを含むように延長されてもよい。
【0074】
ステップ505において、自動脅威認識モジュール145は、一組の試行解を定義してもよい。一連の試行解に対して、対象物が存在しうる可能な場所に関連付けられた磁界サンプルを含むようにインデックスを付与してもよい。各場所について、自動脅威認識モジュール145は、磁界サンプルの各々について転送行列及び擬似逆行列を計算することに基づいて対応する分極率を決定することで、一組の試行解を決定してもよい。いくつかの実施例では、転送行列及び擬似逆行列は、予め決められてメモリ155に格納されてもよい。
【0075】
ステップ510において、自動脅威認識モジュール145は、各試行解について関連付けられた分極率及び関連付けられた余りを計算してもよい。例えば、磁界サンプルに最も適合した試行解を選択することに基づいて、等方性の分極率が決定されてもよい。異方性の分極率を決定する場合、分極率は、6つの固有の分極率要素によって定義される複素対称テンソルとみなすことができる。擬似逆行列を適用してもよく、6つの固有の分極率要素の各々に関連付けられた分極率を計算してもよい。
【0076】
ステップ515において、自動脅威認識モジュール145は、最終的な試行解を選択してもよい。最終的な試行解は、最小又は最低の余りを有する試行解として選択されてもよい。動作中に、自動脅威認識モジュール145は、磁界サンプルをリアルタイムで取り込んでもよい。一組の擬似逆行列は、行列乗算により適用されてもよい。続いて、余りを計算するために転送行列が適用されてもよい。次いで、最低又は最小の余りを有する試行解が選択されてもよい。
【0077】
520において、自動脅威認識モジュール145は、処理500の各ステップを反復的に繰り返してもよい。
【0078】
図6は、本主題のいくつかの態様に係る例示的な検査システムを用いて、人々の大きなグループ内の個人における対象物を検出する例示的な処理600を示す処理ブロック図である。本願で説明した検査システムは、グループとなってともに歩く人々が身につけた金属対象物の正確な検出を可能にすることもでき、また、一度に検査システムを通過する1人をスキャンすることに限定された従来のシステムと比較して、一度で多くの人々が身につけた金属対象物を検出するように構成されてもよい。人々の大規模なグループが未組織の方法で集められていると、いつスキャンを開始及び/又は停止するのか検査システムにより決定することが困難になる可能性があるので、本願で説明したシステムにおいて使用される磁気検出アルゴリズムは、多数の対象物が同時に検出される可能性があって、対象物が時間的に重複する方法でシステムを介して移動し、明確なスキャンの開始又は停止が存在しない状態をもたらす可能性がある状態に動的に適応化することができる。
【0079】
ステップ605において、処理システム120は、磁気検出アルゴリズムを用いてストリーミングによりセンサ125から受信されたセンサデータを処理してもよく、これにより、磁気検出アルゴリズムは、1つ又は複数の対象物がシステムを偶然に通過したときは常に対象物を発見することができ、対象物に関して不十分なデータが収集された場合を認識する。処理システム120は、実際のデータに対するモデルの適合度に基づいて、又は、データバッファの末尾(例えば現在時間)に対する発見された対象物の近接度によって、十分な量のデータが収集されたと決定してもよい。不十分なデータが発見されたと処理システム120が決定した場合、何も実行されず、磁気検出アルゴリズムは、単に、利用可能な次の瞬間に、又は、割り当てられた追加のデータ量が収集された後に、再び実行する。
【0080】
次いで、ステップ610において、処理システム120は、同じ対象物を何度も繰り返して検出することを回避するために、発見された対象物を格納及び計上してもよい。例えば、発見された1つ又は複数の対象物に関連付けられたモデリングされた信号が再計算され、次の対象物を検索する前に、測定されたデータから減算されてもよい。以前に発見された対象物から離れて位置した対象物を検索するために、例えば、既に格納された対象物の近傍で発見された対象物にペナルティを与えるように再構成モジュール140におけるコスト関数を変更することで、磁気検出アルゴリズムにバイアスをかけてもよい。
【0081】
処理システム120及び磁気検出アルゴリズムは、対象物についての十分なデータが収集され、その対象物を発見するために磁気検出アルゴリズムが実行されてからの経過時間の長さを最小化できるように、等間隔に実行するように構成されてもよい。磁気検出アルゴリズムは、例えば、対象物データが収集されてそこまで処理された時点(これが利用可能なデータに最も適合する場合)を越えて、未来に向かってわずかに延びる時間期間内において、発見すべき対象物を検出してもよく、このシナリオを、より多くのデータを待機すべきなのはいつであるのかを知るための基準として使用する。
【0082】
ステップ615において、処理システム120の磁気検出アルゴリズムは、保持されたバッファを適宜に処理して「静粛時間」を決定することで、後の実行における背景ノイズを再評価してもよい。ここで、静粛時間は、処理された信号が隣接時間期間に比較してほとんど変化しない時間期間として定義されてもよい。「静粛時間」のデータは、センサの近くに対象物が存在しない状態の代用物として使用されてもよい。異なる時点において1つ又は複数の対象物がいくつかのセンサの近くあるかもしれないが他のセンサの近くではない場合の状態を考慮すると、すべてのセンサについて、「静粛時間」のサンプルからなる異なる最適な集合が発見されうる。ある対象物が発見された場合、それは、処理システム120のバッファ又はメモリ155に格納されてもよい。このバッファデータは、磁気検出アルゴリズムの次の反復を実行するときに処理されてもよく、ここで、アルゴリズムは、現在の対象物の検索において汚染/歪みを回避するように、利用可能なデータから以前に発見されたすべての対象物を減算する。
【0083】
図7は、本願で開示した主題に係る人員検査システム700の例示的な実施例を示す図である。システム700は、図1図3の議論に関して説明した構成要素と同様の機能を実行する同様の構成要素を含む。
【0084】
従来の人員検査システムは、一般に、脅威評価及び検出のために個人が通過しなければならないアーチウェイを含む。これらの従来の検査システムにおいて、アーチウェイ又は他の何らかの高架部材は、検査システムの1つ又は複数の構成要素間において有線により電力及びデータ信号を伝送してもよく、検査システムの構成要素の表面又は内部に構成されたセンサの整列を保証してもよく、また、風などの環境条件又は平坦ではない装着面に関して検査システムの全体構造に対する安定性を追加する。しかしながら、アーチウェイ又は他の高架要素を含む従来の検査システムは、多くの場合、審美的には魅力がなく、また、アーチウェイを通過する個人に疑念、不安、及び閉所恐怖症を感じさせるおそれがある。
【0085】
図7に関して説明した改善された検査システムは、様々な検査システムの構成要素に電力及びデータ信号を伝送する利点を提供し、検査システムの構成要素の整列を保証し、個人が検査システムのアーチウェイ又は高架要素を通過することを必要とすることなしに個人の感情的応答を低減する。
【0086】
本願で開示した改善された人員検査システムが取り組むさらなる考慮事項は、システムが配置されうる動作環境の不均一性である。動作環境は、タイル床、アスファルト面、又はコンクリート床のような、硬いがやや滑らかな面を含んでもよく、また、海岸の入口における砂で覆われた面,又は、屋外の音楽祭の入口における草深い野原の面のような、非一様でありうるより軟らかい表面を含んでもよい。
【0087】
本願で開示したシステム700は、さまざまな異なる場所、屋内及び屋外に配備されてもよく、本システムが位置しうる異なる種類の面に基づいて構成されてもよい。例えば、ベースプレート710は、システム700が配置される現場及び/又は面に依存してさまざまなモジュール式装着システムが取り付けられうる汎用ベースプレートとして構成されてもよい。モジュール式装着システムは、本システムが動作のために配備される場所の表面に対する位置決め、水平化、連結、又は付着を可能してもよい。例えば、ベースプレート710は、ベースプレート710をタイル又は大理石のような硬い面に固定するために、底部側(システムが配備される場所の表面に対向する側)における吸盤を有して構成されてもよい。いくつかの実施例では、ベースプレート710は、カーペットのような軟らかい面に対してベースプレート710を決定することができる把持又は穿孔機構を含んでもよい。いくつかの実施例では、ベースプレート710は、土又は地面に対してベースプレート710を連結するためのねじ又はオーガー(auger)状の機構を含んでもよい。いくつかの埋め込みでは、ベースプレート710は、ベースプレート710内に隠蔽されたベースプレートフレームを有して構成され、本システムの永続的な設置を行ってもよい。
【0088】
従来技術のセキュリティーシステムは、検出用ポータルを通過することを訪問者に要求し、この検出用ポータルにおいてアーチウェイを使用することで、本システムの各部分へ/からデータ信号及び電力を伝送し、様々なセンサの適切な整列を保証し、全体構造に対する安定性を追加する。不適当な整列は、例えば強風を含みうる環境において、本システムの性能における不要なバイアスと、アーチウェイ構造物の動きとを生じる可能性がある。不適当な整列は、所望信号から分離困難である不要な歪みを生じる可能性がある。しかしながら、アーチウェイは視覚的に美しくなく、それらを通過する訪問者のための疑念及び不快感を覚えさせるおそれがある。
【0089】
図7に示すように、本願で開示したシステム700は、図1及び図3に関して説明した受信機105を備えてもよい柱705の適切な場所を提供し、また、柱705の適切な向き/水平性を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、ベースプレート710は、柱705を受けて、適切かつ予め決められた場所において柱の適切な整列を保証するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、図7に示すシステム700は、水平化手順においてオペレータに指示するように構成された傾斜計を含んでもよい。いくつかの実施例では、傾斜計は、既知の誤整列を補償するために磁気検出アルゴリズムによって使用されてもよい。いくつかの実施例では、システム700は、本システムにおける構造的なの不安定を補償し、また、システム構成要素の動きを追跡するために、加速度計を含んでもよい。加速度計データは、磁気検出アルゴリズムに提供されてもよい。いくつかの実施例では、傾斜計及び/又は加速度計によって生成された信号と、傾斜計及び/又は加速度計への電力とは、ベースプレート710を介してルーティングされてもよい。いくつかの実施例では、傾斜計及び/又は加速度計によって生成された信号は、システム100に無線送信されてもよい。いくつかの実施例では、ベースプレート710は、柱705を受ける複数のスロットを含むか、1つ又は複数のセンサ125を装着することに適した他の構造物を含んでもよい。
【0090】
ベースプレート710は、Rx及びTxの柱705の基部の場所及び向きを正確に位置決めするように構成された半剛式かつ低背のマットであってもよい。傾斜計415は、設置時にRx及びTxの柱705の間の相対傾斜角を決定してもよい。相対傾斜角が何らかのしきい値より大きいとシステム700が決定する場合、オペレータは、柱705の水平化を改善又は修正するために警告又は問いあわせを受けてもよい。
【0091】
例えば、いくつかの実施例では、傾斜角は、センサの場所及び向きを訂正するために使用されてもよい。センサの場所及び向きは、再構成モジュール140によって依存及び利用されるセンサモデルを生成するためにさらに使用されてもよい。
【0092】
いくつかの実施例では、加速度計720は、傾斜角を動的に追跡するように構成されてもよく、これにより、本システムは、システム内の様々なセンサの動きを追跡できるようになる。例えば、様々なセンサの動きに関して決定されうる既知の磁界勾配と組み合わせたとき、較正モジュール135は、測定された動きについて期待される歪みを予測することができる。次いで、この予測値は、測定された信号から除去され、あたかも動きがないかのように、測定された信号のより正確な表現を復元することができる。この例では、モデリング及び除去される磁界は、センサの変位又は傾斜のような測定された動きに対して、動きの各方向/タイプについての磁界勾配を乗算したものになりえる。
【0093】
磁界に基づく人員検査システムは、本システムによって、例えば送受信機106によって送信された磁界と、検査システムが配備される環境における金属の存在によって影響されうる対象物の2次磁界とを検出又は受信してもよい。環境の磁界、例えば、検査システムの近傍における金属、例えば検査システムが位置した金属床によって反射されうる磁界は、正確に脅威対象物を識別及び検出する検査システム性能に対して否定的に影響する可能性がある。検査システムが位置したすべての環境における金属の量を決定して特徴付けることは困難であり、高コストであり、多くの場合において不可能となりうる。
【0094】
図7にさらに示すように、システム700は、金属床のような、本システムが配備される場所に存在しうる物理的な金属構造物を考慮するように構成されてもよい。受信機105は、送信機106によって生成された送信磁界730と、検出されている対象物の2次磁界735とを検出してもよい。2次磁界は、本システムの下方の床725のような、本システムの近傍に存在しうる環境中の金属の存在によって影響を受ける可能性がある。床における金属の存在は、本システムの検出性能及び精度に対して否定的に影響を与える可能性がある。各環境において金属を位置決め及び特徴付けることは、困難かつ高コストになりうる。環境中の金属の存在を考慮するために、システム700は、金属床725から送信された磁界735は既知のモデルに対してどのように歪められるかを決定することに基づいて、環境中に存在する金属の適切にパラメータ化されたモデルをあてはめてもよい。システム700は画像モデルを含んでもよく、それによって、床725における金属は、送信機106及び受信機105を含むシステム全体の複素重み付けられた鏡像として説明される。例えば、画像モデルは完全導体をモデル化してもよい。完全導体は、非常に予測可能かつ解析的に記述可能な方法で磁界を変更することが知られている。次いで、画像モデルは、センサ座標系に関する深度と、1以下の大きさの全体的な複素重み係数とによってパラメータ化されてもよい。送信磁界730の測定は、鏡像の複素重み係数と鏡像の面の深度とをあてはめることで、最適化ルーチンを実行するために使用されてもよい。そのような最適化ルーチンは、測定されたデータに最も適合するモデルパラメータを(例えば、様々なあらかじめ定義された解法を試すことによって、又は、勾配降下法を用いて)検索してもよい。例えば、最適化ルーチンは、以前に定義された解法を試みるか又は勾配降下法最適化を用いることで、検索を実行してもよい。これらのモデルパラメータは、その後、本システムの動作において、脅威/非脅威の検出中に使用されてもよい。その結果、システム700は、システムの近傍において金属を含むかもしれず、含まないかもしれない配備された環境において、対象物をより正確に、かつ自動的に検出することができる。
【0095】
図8は、いくつかの実施例に係る異なる複数の場所においてセンサ及び送信機106を含む、本願で開示した人員検査システム800の例示的な構成を示す図である。図示した実施例において、システム800は、2つの送信機106と、2つの垂直の柱805A及び805Bとを含み、各柱805A及び805Bは、複数の3軸フラックスゲート受信機810を含む。各3軸フラックスゲート受信機は、「x」として示し、柱805A及び805Bの表面又は内部に構成される。システム800は、2つの送信機106に隣接して位置した、垂直方向の柱805Cをさらに含む。柱805Cは、複数の2軸フラックスゲート受信機815を含む。送信機106及び/又はフラックスゲート受信機105など、各タイプの構成要素の個数は、追加構成要素のコスト及び複雑さと、その追加構成要素が磁気検出アルゴリズムの忠実度を増加させる限界利得とのバランスを考慮することで決定されてもよい。
【0096】
システム800は、システム800に一体化されたカメラ820をさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、カメラ820は、柱805A、805B、及び805Cのうちの1つ又は複数の表面又は内部において構成されてもよく、また、送信機106の表面又は内部において構成されてもよい。カメラ820は、ストリーミング又は記録による方法で画像及びビデオを生成してもよい。一体化されたカメラ820は、適切な視角を有して構成されてもよい。例えば、いくつかの実施例では、カメラ820は背面カメラであってもよい。
【0097】
人員検査システムが脅威を検出することに応答してアラームが生成される場合、検査システムオペレータ又は他のセキュリティチームメンバーによってアラームを解消しなければならない。アラームの解消は、オペレータ又はセキュリティチームメンバーが個人と対話し、セキュリティプロトコルに従って個人を検索することを必要とする。セキュリティプロトコルは、オペレータ又はセキュリティチームメンバーが常に適切に従うとは限らない。セキュリティチーム又は検査システムオペレータのマネージャは、適切なセキュリティ及び検索プロトコルに従っているか否かを確認できない可能性がある。図8に関して説明する改善された人員検査システムは、これらの問題に取り組む。
【0098】
例えば、検査システムオペレータの監督者が、アラーム又は検出された対象物に対する検査システムオペレータの応答を評価できるように、カメラ820は、十分な視野を有する画像又はビデオを提供してもよい。このように、システム800内に一体化されたカメラ820は、検査システムオペレータの監督者又はマネージャが、スクリーニング手順又はポリシーをオペレータが順守しているかを評価すること、トレーニングのフィードバックを提供すること、証拠の目的で画像又はビデオを提供すること、及び、オペレータによって講じられたアラーム解消動作を記録することを可能にしうる。いくつかの実施例では、カメラ820からの画像又はビデオは、システムによって生成された、検出された対象物の画像と組み合わされ、検査システムオペレータによる不適当な取り扱いの主張に反駁又は支持するために使用されてもよい。
【0099】
磁気検出を用いる人員検査システムは、検査システムを通過する個人が身につけた金属を検出することに限定され、検査システムを通過する個人の身体又は物理的特性を検出することはできない。このように、人員検査システムは、検査システムを通過する人の概念をもたず、従って、検査システムオペレータに対して個人に関する限られた情報を生成することができる。
【0100】
本願で説明しかつ図8に示す改善された検査システムは、検査システム800を通過する人を検出するためのカメラ820を含んでもよい。いくつかの実施例では、カメラ820は深度カメラであってもよい。深度カメラは、深度カメラによって取得される画像における深度を計算するためにステレオビジョンを使用するように構成されたカメラを含んでもよい。深度カメラは、深度センサ及び赤外線プロジェクタを含んでもよい。いくつかの実施例では、深度カメラは、赤、緑、及び青(RGB)のスケールにおいて光を検出するように構成されたカラーセンサ、RGBセンサとしても知られているものを含んでもよい。深度カメラの出力は、検出された対象物の場所、向き、又は配置と、検査システムを通過する対象物の速度又は足取りとを決定するために使用されてもよい。深度カメラの出力は、検査システムが、検査システムを通過する対象物又は個人の個数をカウントすることと、検査システムを通過する1人又は複数の個人を追跡することとを可能にしてもよい。本願で開示した検査システムは、深度カメラを含むように構成されたとき、深度カメラを含まなくてもよい検査システムに比較して、多数の利点を提供することができる。そのような利点は、脅威対象物又は個人のより迅速な識別と、脅威対象物又は個人を識別するために提供されるより頑健な通知又はアラームデータとを含んでもよい。
【0101】
そのような実施例では、深度カメラ820は、その座標系を、図1に示すような検査システム100内に構成された自動脅威認識サブシステム145に登録してもよい。
【0102】
このように、本システムは、訪問者の場所/配置と、彼らが身につけた任意の金属対象物とについての、共通の座標系における同時的な知識を有してもよい。そのような実施例は、磁気検出アルゴリズムの対象を、訪問者によって、及び/又は、訪問者における特定のエリア(例えば、ポケット、バッグ、及びくるぶし)によって占有されるボクセルへ設定することを可能にする。例えば、OD107のボクセルを、深度カメラを介して取得された画素と比較することで、どのボクセルが占有され(例えば、ボクセルに十分に近い座標を有する画素が存在する)、どのボクセルが占有されず(例えば、ボクセルに十分に近い座標を有する画素が存在せず、オクルージョンの可能性がない)、又は、どのボクセルが未知であるか(例えば、対象物がこのボクセルに存在するか否かについてOD107を不明瞭にしうる画素が発見されている)を決定してもよい。次いで、磁気検出アルゴリズムは、占有されたボクセル及び/又は未知のボクセルにおける対象物のみを検索するように制限されてもよい。
【0103】
さらに、磁気検出アルゴリズムにおいて訪問者の速度及び足取りについての知識を用いることで、その精度を改善することができ、また、統計的な報告のために本システムに出入りする訪問者をカウントして追跡することができる。最適化ルーチンの精度は、通常、解かなければならない変数の個数を低減又は拘束できる場合に改善される。訪問者の速度及び場所についての知識は、最適化ルーチンが解こうとしている対象物に対してこれらの属性の拘束又は賦課を可能にするであろう。
【0104】
そのような実施例では、深度カメラ820(又は、構造化した光学カメラ又はステレオカメラのような、様々な画素におけるRGB値及び深度値の両方を提供することができる任意のセンサ125、又はセンサの組み合わせ)は、図1のシステム100へ直接的に一体化されてもよい。このように、深度カメラによって取得された画像データは、磁気検出アルゴリズムに利用可能になりうる。深度カメラの場所、向き、及びレンズ特性についての知識が与えられると、深度カメラを用いて取得された画素は、図1の自動脅威認識サブシステム145の座標系に登録されてもよく、これにより、返された深度値を与えられた各画素が、一連の変換によって、磁気サブシステムの3次元座標系に変換されてもよい。
【0105】
そのため、深度カメラ820は、与えられた瞬間において、磁気サブシステムのスキャンゾーンにおけるどのボクセルが占有されているか、及び/又は占有されていないかを識別してもよく、それに応じて、磁気検出アルゴリズムの対象を設定してもよい。磁気検出アルゴリズムでは、任意の隠蔽された対象物をより正確に識別するために、被験者の速度及び足取りを推定及び使用してもよい。対象物は、特定の3D座標を用いて、磁気検出アルゴリズムにより発見されてもよい。次いで、対象物は、簡単な距離しきい値に基づいて、1つ又は複数の深度カメラ画像における画素の部分集合に関連付けられてもよい。
【0106】
さらに、画素のこの部分集合は、深度カメラ820から識別及びセグメント化された、より大きな接触する対象物に対して、その深度値によって、又はそのRGB値によって、又はそれらの両方によって関連付けられてもよい。例えば、本システムは、発見された対象物を所持している可能性が最も高い人の輪郭を識別することができる。対象物の近傍の特性、又は対象物を保持していると識別された人の特性を、その分類において使用してもよい。例えば、人の顔は、顔認識アルゴリズムを用いて監視リストを比較されてもよく、また、対象物を分類する際に、この人の過去の履歴又は知識を使用してもよい。同時に、RGB画像の上に脅威を重畳することで作られた脅威重畳画像は、対象物の可視のコンテナ、対象物を保持する人、又はそれらの両方を強調表示することで、オペレータ認識を支援するように向上されてもよい。このことは、システムによってトリガされたアラームを解消する際にオペレータの反応時間及び精度を改善する助けとなりうる。
【0107】
図9は、いくつかの実施例に係る複数のカメラを含む、本願で開示されたような人員検査システム900の例示的な構成を示す図である。複数のカメラを備えた検査システム900を構成することによって、検査システムは、どの特定の個人を検索するのか、また、特定の個人におけるどこを検索するのかを、より良好に決定することができる。複数のカメラを用いて複数の視角を生成することで脅威の位置推定を行う機能をもたない人員検査システムは、個人のスクリーニングのための待つ行列を形成することなく、大きな未組織の個人の集団がスクリーニングされることを可能にし、三次元空間内で推定された潜在的な脅威を識別することができる。さらに、検出された脅威に関連付けられたアラームが生成される場合、複数の視角を生成する複数のカメラを使用することで、システムが、取り込まれた画像を用いて、検出された脅威に関連付けられた個人を視覚的に識別することを可能にし、これにより、検出された脅威について識別された個人を検索するべき場所を検査システムオペレータ又は他のセキュリティ人員に通知することを容易にする。代替策は、検出された脅威に関連付けられた個人を識別するために、光を用いてもよく、又は静止画像のみを用いてもよく、単一のカメラから隠蔽された視角のみを提供してもよい。単一の視角は、検査システムを通過する個人の集団から、ある個人における検出された脅威を安全かつ効率的に識別するには不十分である可能性がある。
【0108】
図9に示すように、システム900は、柱905A及び905Bを含む。柱905A及び905Bは、複数の3軸フラックスゲート受信機910を含む。柱905Cは、複数の2軸フラックスゲート受信機915を含む。柱905Cは送信機106も含む。
【0109】
いくつかの実施例では、複数の個人は、柱905A、905B、及び905Cの間で任意の時点において通過する可能性がある。例えば、2名の人々が柱905A及び905Bを同時に通過する可能性があり、これにより、図1に関して説明したセンサ125のような単一のセンサの視界を不明瞭にする可能性がある。その結果、単一のセンサを含む実施例において、センサの視界は隠蔽される可能性がある。いくつかの実施例では、単一のセンサにおける視界の隠蔽を回避し、また、複数の視点を提供するために、検査システムに複数のセンサが含まれてもよい。
【0110】
図9に示すように、人員検査システム900内に、カメラ905A及び905Bのような複数のカメラが構成されてもよい。カメラ905A及び905Bは、複数の視点からの脅威の位置推定を実行するために、OD107の座標を表す本システムの座標系に登録されてもよい。対象物が所定時間にわたって追跡されるとき、各カメラは、複数のタイムスライスにわたって、又は、複数のタイムスライスの内部で、脅威の場所を決定してもよい。従って、単一のカメラ905Aからの視角がある瞬間において隠蔽されても、第2のカメラ905Bの視角もまた利用可能なすべての瞬間において隠蔽される可能性は非常に低い。本システムは、すべての視角から検査システムオペレータ画像及び/又はビデオを提供してもよく、1つ又は複数のカメラからの画像及び/又はビデオを利用して実際の脅威の場所を決定してもよい。いくつかの実施例では、レンダリングモジュール150は、検出された脅威に対するオペレータの認識及び応答を支援するために、提示するための最適な視角及び/又はタイムスライスを自動的に選択するようにさらに構成されてもよい。例えば、発見された対象物の近傍において占有された最大個数の画素を有する画像は、対象物についての妥当かつ隠蔽されていない視界を提示するであろう。
【0111】
例えば、図9に示すように、システム900は、2つの魚眼カメラ905A及び905Bを含む。各カメラは、2つのまさに別個の視角からスキャンゾーンを取り込むために、互いに対向する柱905A及び905Cに装着される。両方のカメラによって生成された画像及び/又はビデオにおける各画素は、柱905A及び905Cの間に形成されたレーンを通過する対象物又は人の方向に沿った複数の平面において、システム900の座標系にマッピングされる。システム900は、カメラ905A又は905Bに関連付けられた特定の観測面において位置決めされたアラームを生成するように構成されてもよい。視覚的な表現又は脅威の表示は、各カメラによって生成された画像及び/又はビデオの上に描画され、検出された脅威に対応する適切に登録された画素を中心としてもよい。システム900は、対象物又は人がシステムを通過するとき、各カメラから脅威重畳画像又はビデオを生成するように、複数の視野平面についてこれらの動作を繰り返すように構成されてもよい。
【0112】
1つ又はすべてのカメラからのビデオ及び/又は画像は、ディスプレイを備えて構成されたラップトップ、タブレット、又は他のモバイル計算装置のような、システム900に通信可能に連結された計算装置を介してオペレータに示されてもよい。いくつかの実施例では、本システムは、カメラのうちの1つの視角が隠蔽されるか否かを決定するためのしきい値基準を利用してもよい。システム900は、例えば、ビデオストリームにおける動きを評価することで、又は、深度カメラの組み込むことで、問題となっている画素の深度推定値を決定することによって、オクルージョンを決定することができる。深度推定値が本システムによって返された3D座標に合っていないとシステム900が決定した場合、視角は隠蔽されたとみなされるべきであり、本システムは、オペレータの応答をガイドするために画像が有用にではないと決定してもよい。
【0113】
いくつかの実施例では、検査システム900は、ビデオ又は画像のような追加のセンサデータを処理してもよく、分類結果とともに、又は、分類結果に重畳して、被験者の画像、ビデオ、又はビデオフレームを中継してもよい。例えば、検査システム900は、画像の上にグラフィカル表示を重畳してもよく、グラフィカル表示は、検出された脅威又は対象物を識別してもよい。いくつかの実施例では、グラフィカル表示が重畳された画像には、個人、検出された対象物、又はシステムパラメータに関する追加のメタデータが提供されてもよい。いくつかの実施例では、グラフィカル表示が重畳された画像は、検査システムを用いて検査されている対象物又は個人のシーケンスにおけるさらなる下流側に位置してもよい検査システムオペレータ又は警備員のような個人に提供されてもよい。このように、検査システムは、検出された対象物、脅威、又は個人についての追加のモニタリング及び/又は傍受のために、グラフィカル表示が重畳された画像を検査システムオペレータ又は警備員に提供してもよい。
【0114】
少数の変形例について詳細に上述したが、他の変更又は追加も可能である。例えば、受信機の個数は限定されず、いくつかの実施例は任意個数の受信機を含んでもよい。送信機は特定の周波数に限定されず、例えば、異なる特性(動作周波数、場所など)を備えたコイルを使用してもよい。異なる再構成アルゴリズムが使用されてもよく、脅威検出のために、異なる特徴が使用されてもよい。
【0115】
以下に現れる請求項の範囲、解釈、又は適用をいかなる方法でも制限することなく、本願で開示された例示的な実施例の1つ又は複数の技術的な効果は、以下のもののうちの1つ又は複数を含んでもよい、例えば、本主題に係るいくつかの例示的な実施例では、個人がセルラー電話機及びラップトップのような個人の物品を所持している可能性がある高クラッター環境において、また、個人の物品を遠ざけることなく、脅威検出及び区別を実行することができる。いくつかの実施例では、人員検査システムは、高スループットで脅威検出及び区別を実行することができ、これにより、個人が通常の歩行速度で金属検出器を通過することを可能にし、検査のために個人が速度を落とすことを要求されることがない。いくつかの実施例では、検査境界は、複数の個人が互いに並んで(例えば、2人以上が並んで)当該境界を通過することを許容してもよい。いくつかの構成において、近傍を歩く個人がスクリーニングされてもよく、それによって、スクリーニング処理の間に、スクリーニングされる個人が静止したままである必要性が除去される。
【0116】
本願で説明した内容の1つ又は複数の態様又は特徴は、ディジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。これらの様々な態様又は特徴は、ストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信するように、及びそれらにデータ及び命令を送信するように接続された、特定用途又は汎用であってもよい少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能である、1つ又は複数のコンピュータプログラムの実装を含んでもよい。プログラマブルシステム又は計算システムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアント及びサーバは、概して、互いから遠隔して設けられ、典型的には通信ネットワークを介して相互に対話する。クライアント及びサーバの関係は、各コンピュータにおいて実行され、互いにクライアント・サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって発生する。
【0117】
これらのコンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、構成要素、あるいはコードと呼ばれてもよく、これらのコンピュータプログラムは、プログラミング可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準の手続き型言語、オブジェクト指向型のプログラミング言語、関数型のプログラミング言語、論理プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械語で実装可能である。ここで使用されるように、用語「機械可読媒体」は、機械命令及び/又はデータをプログラミング可能なプロセッサへ提供するために使用される、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラム可能論理回路(PLD)のような任意のコンピュータプログラム製品、装置、及び/又は機器を示し、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含む。用語「機械可読信号」は、機械命令及び/又はデータをプログラミング可能なプロセッサへ提供するために使用される任意の信号を示す。機械可読媒体は、例えば、非一時的なソリッドステートメモリ又は磁気ハードドライブ又は任意の等価な記憶媒体のように、そのような機械命令を非一時的に格納してもよい。機械可読媒体は、代替として又は追加として、例えば、1つ又は複数の物理的プロセッサコアに関連付けられたプロセッサキャッシュ又は他のランダムアクセスメモリーのように、そのような機械命令を一時的に格納してもよい。
【0118】
ユーザとの対話を行うために、本願で開示した主題の1つ又は複数の態様又は特徴は、ユーザへ情報を表示するためのディスプレイ装置、例えば陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)モニタなどを有し、また、ユーザがコンピュータへ入力するために使用してもよいキーボードとマウス又はトラックボールのようなポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実装可能である。同様にユーザとの対話を行うために、他の種類の装置も使用可能である。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックのような、任意の形式の知覚フィードバックであってもよい。ユーザからの入力は、音声、スピーチ、又は触覚の入力を含むが、これらに限定されない任意の形式で受信されてもよい。他の可能な入力装置は、一点又は多点の抵抗性又は容量性トラックパッドのようなタッチスクリーン又は他の接触感応装置、音声認識ハードウェア及びソフトウェア、光学スキャナ、光学ポインタ、ディジタル画像取り込み装置及び関連付けられた解釈ソフトウェア、など含むが、これらに限定されない。
【0119】
上述の発明の詳細な説明及び請求項において、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数の」のような語句が、構成要素又は特徴の接続詞によるリストの後に現れることがある。用語「及び/又は」が、2つ以上の構成要素又は特徴のリストに現れることがある。これらの語句は、それを使用した文脈で暗黙的に又は明示的に否定されていない限り、列挙された構成要素又は特徴のうちの任意のものを個別に意味すること、又は、記載した構成要素又は特徴のうちの任意のものを他の記載した構成要素又は特徴のうちの任意のものと組み合わせたものを意味することを意図している。例えば、語句「A及びBの少なくとも1つ」、「A及びBの1つ又は複数」、及び「A及び/又はB」は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」をそれぞれ意味する。3つ以上の物を含むリストについて同様の解釈が意図される。例えば、語句「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの1つ又は複数」、及び「A、B、及び/又はC」は、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、又はA及びB及びCのすべて」をそれぞれ意味することを意図する。さらに、上記及び請求項における用語「基づいて」の使用は、記載していない特徴又は構成要素があってもよいように、「少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図する。
【0120】
本願で説明した内容は、所望の構成に依存して、システム、装置、方法、及び/又は物として具体化されてもよい。以上の説明で示した実施例は、本願で説明した対処に該当するすべての実施例を表すわけではない。代わりに、それらは、説明した対処に関連する態様に該当するいくつかの例示にすぎない。少数の変形例について詳細に上述したが、他の変更又は追加も可能である。特に、ここに説明されたものに加えて、別の特徴及び/又は変形例も提供することができる。例えば、上述した実施例は、開示した特徴の様々な組み合わせ及び部分的な組み合わせに関してもよく、上に開示したいくつかの別の特徴の組み合わせ及び部分的な組み合わせに関してもよい。さらに、添付の図面に示され、及び/又は本願で説明した、複数の論理フローは、望ましい結果を達成するために、図示した特定の順序又は逐次的順序を必ずしも必要としない。他の実施例が、添付の請求項の範囲内にあってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9