(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】二重変調レーザ投影システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 26/08 20060101AFI20231120BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20231120BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20231120BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20231120BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
G02B26/08 E
G03B21/00 D
G03B21/14 D
H04N5/74 B
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2021551580
(86)(22)【出願日】2020-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020022867
(87)【国際公開番号】W WO2020190823
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-25
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルティエラ ジュアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ マーティン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ハイダロフ ジャカンギル ヴィー.
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532152(JP,A)
【文献】特表2010-520515(JP,A)
【文献】特開2000-347137(JP,A)
【文献】特開2007-183456(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0004219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08
G03B 21/00
G03B 21/14
H04N 5/74
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重変調レーザ投影システムであって、
相互に直交する偏光を有する第1及び第2の偏光ビームにレーザ光を分割する偏光ビームスプリッタと、
前記第2の偏光ビームをビームステアリングする位相空間光変調器(SLM)と、
前記位相SLMによってステアリングされるビームとして、(i)前記第1の偏光ビームと(ii)前記第2の偏光ビームとの組み合わせを振幅変調するメカニカル振幅SLMと、
前記第1及び第2の偏光ビームの振幅変調された組み合わせから、前記メカニカル振幅SLMによって導入される複数の回折次数の1つ以上を削除し、フィルタリングされた変調出力光を生成するフィルタ
であって、前記複数の回折次数の1つ以上は、同一の回折次数と伝搬方向との対応するON回折ビーム及びOFF回折ビームのペアの光パワーの比として規定される回折次数コントラスト比(DOCR)に基づいて特定される、フィルタと、
を有する二重変調レーザ投影システム。
【請求項2】
前記第1及び第2の偏光ビームの組み合わせを形成し、前記メカニカル振幅SLMに向ける偏光ビーム合成器を更に含む、請求項1に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項3】
前記偏光ビーム合成器によって前記メカニカル振幅SLMに向けられる前記第1の偏光ビームの部分を調整するため、前記第1の偏光ビームの偏光を変更するために前記偏光ビームスプリッタと前記偏光ビーム合成器との間の波長板を更に含む、請求項2に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項4】
前記メカニカル振幅SLMは、前記第1及び第2の偏光ビームの組み合わせを形成するため、2つの異なる各々の方向から前記第1及び第2の偏光ビームを受光するよう構成される、請求項1に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項5】
前記第1及び第2の偏光ビームが前記メカニカル振幅SLMによって受光される際に同じ偏光を有するように、前記メカニカル振幅SLM上での合成前に前記第1及び第2の偏光ビームの1つの偏光を回転する半波長板を更に含む、請求項4に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項6】
前記フィルタがコリメート光として前記出力光を生成するよう構成されるか、又は、前記二重変調レーザ投影システムが更にコリメートレンズを含む、請求項1から5の何れか一項に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項7】
コントローラへの外部入力によって指定される所望される出力光を生成するため、前記位相SLM、前記メカニカル振幅SLM及び前記フィルタの動作を制御するよう構成されるコントローラを更に含む、請求項1から6の何れか一項に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項8】
前記フィルタは、
前記回折次数を空間フーリエ変換するレンズと、
前記レンズのフーリエ面に配置され、前記回折次数の少なくとも1つを透過し、前記回折次数の残りを遮断するマスクと、
を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項9】
前記メカニカル振幅SLMは、前記第1及び第2の偏光ビームの組み合わせの各々の空間コンポーネントの振幅を変調するミラーアレイを含む、請求項1から8の何れか一項に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項10】
前記位相SLMは、前記第2の偏光ビームの前記ビームステアリングを引き起こすため前記第2の偏光ビームの各々の空間コンポーネントの位相を変調するための液晶アレイを含む、請求項1から9の何れか一項に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項11】
非偏光光として前記レーザ光を出力する照明モジュールを更に含む、請求項1から10の何れか一項に記載の二重変調レーザ投影システム。
【請求項12】
相互に直交する偏光を有する第1及び第2の偏光ビームにレーザ光を分割するステップと、
前記第2の偏光ビームをビームステアリングするため前記第2の偏光ビームを空間的に不均一に位相変調するステップと、
前記第2の偏光ビームを変調するステップの後、
前記第1及び第2の偏光ビームを合成光に合成するステップと、
前記合成光を空間的に不均一にメカニカルに振幅変調するステップと、
前記振幅変調された合成光から、前記合成光をメカニカルに振幅変調するステップにおいて導入される複数の回折次数の1つ以上を削除し、フィルタリングされた変調出力光を生成するステップ
であって、前記複数の回折次数の1つ以上は、同一の回折次数と伝搬方向との対応するON回折ビーム及びOFF回折ビームのペアの光パワーの比として規定される回折次数コントラスト比(DOCR)に基づいて特定される、生成するステップと、
を有する、二重変調レーザ投影方法。
【請求項13】
前記メカニカルに振幅変調するステップは、ミラーアレイの複数のミラーの向きを調整することを含む、請求項12に記載の二重変調レーザ投影方法。
【請求項14】
前記分割するステップにおいて、前記相互に直交する偏光の各々はリニアである、請求項12又は13記載の二重変調レーザ投影方法。
【請求項15】
前記合成するステップの前に、前記第1の偏光ビームの偏光を回転し、前記第1の偏光ビームの第1のリニア偏光コンポーネントのパワーを調整するステップを更に含み、
前記合成するステップは、前記第2の偏光ビームを前記第1の偏光ビームの前記第1のリニア偏光コンポーネントのみと合成することを含む、請求項14に記載の二重変調レーザ投影方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の偏光ビームが前記メカニカルに振幅変調のステップの間に同じ偏光を有するように、前記第1及び第2の偏光ビームの1つの偏光を回転するステップを更に含む、請求項14に記載の二重変調レーザ投影方法。
【請求項17】
コリメート光として前記出力光を生成するステップを更に含む、請求項12から16の何れか一項に記載の二重変調レーザ投影方法。
【請求項18】
前記削除するステップは、
前記回折次数の角度をフーリエ面における前記回折次数の位置に空間フーリエ変換するステップと、
前記フーリエ面において、前記回折次数の第1のサブセットに対応する前記フーリエ面における位置を有する前記合成光の部分のみを透過し、前記合成光の残りの部分を遮断するステップと、
を含む、請求項12から17の何れか一項に記載の二重変調レーザ投影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、それぞれが参照によりその全体が援用される、2019年3月15日に出願された米国仮特許出願第62/818,934号及び2019年3月15日に出願された欧州特許出願第19163175.3号からの優先権の利益を主張する。
[技術分野]
本出願は、レーザプロジェクタ及びデジタルシネマに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大部分の映画はデジタル形式で配信されており、映画館はデジタルプロジェクタを使用してデジタル画像を映画スクリーン上に投影する。デジタルプロジェクタは、テレビディスプレイの優れた代替物として、ホームシアタにおいて一部の消費者によっても使用されている。デジタルプロジェクタは、明るい光源(又は複数の明るい光源)、デジタル空間光変調器(SLM)及び投影レンズを利用する。SLMは、変調された光が、投影レンズによってスクリーン上に投影されるとき、所望の画像を形成するように、光源によって発光される光を空間変調する。SLMは、液晶アレイ又はマイクロミラーアレイであってもよい。
【0003】
最も簡単なデジタルプロジェクタでは、SLMの各ピクセルは、当該ピクセルからプロジェクタに向かって伝搬する光の振幅を調整する。このようなデジタルプロジェクタでは、光源によって発生される光の大部分がSLMにおいて失われる。一部のデジタルプロジェクタは、この光の損失にもかかわらず、強力な光源を使用して明るい画像を生成する。レーザは、少なくとも部分的には、レーザ光が光源から収集され、例えば、白熱光源又は発光ダイオードからの光などより効率的にデジタルプロジェクタの光学系を通して伝搬可能であり、従って、より高い輝度を生成するため、特に魅力的な解決策と考えられる。
【発明の概要】
【0004】
実施例では、二重変調レーザ投影システムは、偏光ビームスプリッタ、位相空間光変調器(SLM)、メカニカル振幅SLM及びフィルタを含む。偏光ビームスプリッタは、相互に直交する偏光を有する第1及び第2の偏光ビームにレーザ光を分割するよう構成される。位相SLMは、前記第2の偏光ビームをビームステアリングするよう構成される。メカニカル振幅SLMは、前記位相SLMによってステアリングされるビームとして、(i)前記第1の偏光ビームと(ii)前記第2の偏光ビームとの組み合わせを振幅変調するよう構成される。フィルタは、前記第1及び第2の偏光ビームの振幅変調された組み合わせから、前記メカニカル振幅SLMによって導入される複数の回折次数の1つ以上を削除し、フィルタリングされた変調出力光を生成する。
【0005】
実施例では、二重変調レーザ投影方法は、(a)相互に直交する偏光を有する第1及び第2の偏光ビームにレーザ光を分割するステップと、(b)前記第2の偏光ビームをビームステアリングするため前記第2の偏光ビームを空間的に不均一に位相変調するステップと、(c)前記第2の偏光ビームを変調するステップの後、前記第1及び第2の偏光ビームを合成光に合成するステップと、前記合成光を空間的に不均一にメカニカルに振幅変調するステップと、前記合成光から、前記合成光をメカニカルに振幅変調するステップにおいて導入される複数の回折次数の1つ以上を削除し、フィルタリングされた変調出力光を生成するステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施例によるスクリーン上に画像を形成するためスクリーン上に投影されうる光フィールドを生成するためのレーザ光を変調する二重変調システムを示す。
【
図2】実施例による2つの反射型空間光変調器(SLM)と、これら2つの反射型SLMの第1のものによる2つの偏光経路の1つのビームステアリング後であって、2つの反射型SLMの第2のものによる合成光の空間振幅変調前の2つの偏光経路を合成する偏光ビーム合成器とを備える二重変調システムを示す。
【
図3】実施例による2つの異なる偏光経路が反射型SLMの第1のものによる偏光経路の1つのビームステアリング後に反射型SLMの第2のものにおいて直接合成される2つの反射型SLMを備える他の二重変調システムを示す。
【
図4】実施例によるデジタルマイクロミラー(DMD)のそれぞれの正面図及び断面側面図である。
【
図5】実施例によるデジタルマイクロミラー(DMD)のそれぞれの正面図及び断面側面図である。
【
図6】実施例によるメカニカル振幅SLMから受信した変調光を空間フィルタリングするよう構成されるフーリエフィルタを断面側面図で示す。
【
図9】一例となるフラウンホーファ回折パターンの強度プロットである。
【
図10】一例となるフラウンホーファ回折パターンの強度プロットである。
【
図11】
図6のフーリエフィルタのマスクの具体例の正面図である。
【
図12】
図6のフーリエフィルタのマスクの具体例の正面図である。
【
図13】
図6のフーリエフィルタのマスクの具体例の正面図である。
【
図14】
図6のフーリエフィルタのマスクの具体例の正面図である。
【
図15】
図6のフーリエフィルタのマスクの具体例の正面図である。
【
図16】
図6のフーリエフィルタのマスクの具体例の正面図である。
【
図17】実施例による異なるカラーの組み合わせ前の個別の各カラーチャネルにおける二重変調と回折次数フィルタリングとを有する多色レーザプロジェクタを示す。
【
図18】実施例による二重変調レーザ投影方法を示す。
【
図19】実施例による多色二重変調レーザ投影方法を示す。
【
図20】実施例による入力レーザ光の双方の偏光コンポーネントの結果としてプレビームステアリングと分離位相変調とを備える二重変調システムを示す。
【
図21】実施例による他の二重変調システムを示す。
【
図22】実施例による単一の変調経路のみを有する二重変調システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、スクリーン152上に画像を形成するためスクリーン152上に投影されうる光フィールド192を生成するため、レーザ光180を変調するための1つの二重変調システム102を示す。
図1は、一例の利用シナリオにおける二重変調システム102を示す。このシナリオでは、二重変調システム102は、二重変調システム102に加えて、スクリーン照明194としてスクリーン152に光フィールド192を投影するためのプロジェクション光学系150を含む二重変調デジタルレーザプロジェクタ100に実装される。スクリーン照明194は、スクリーン152上に画像を生成する。レーザプロジェクタ100は、レーザ光180を生成するためのレーザベース照明モジュール160を更に含んでもよい。
【0008】
レーザ光180は、実質的に単色であってもよい。多色レーザプロジェクタは、それぞれが異なるカラー(例えば、赤、緑、及び青)を有する複数の各自の単色光フィールド192を生成するための複数のレーザプロジェクタ100を含んでもよい。この多色レーザプロジェクタでは、複数のレーザプロジェクタ100は、共通のプロジェクション光学系150を共有してもよい。
【0009】
二重変調システム102は、従来の単一段階変調システムと比較して、レーザプロジェクタ100におけるプロジェクション光学系150によってスクリーン152上に投影される画像の改良されたコントラスト及び輝度を可能にする。単一段階変調システムを利用する高性能レーザプロジェクタによってさえ達成可能な最大コントラスト比は、一般に約2000:1より大きくなく、これは、人間の視覚系によって検出可能な輝度の範囲よりも数オーダ小さい。従って、このようなレーザプロジェクタは、人間の視聴者によって知覚されるような真に黒である領域と高輝度の領域との双方を含む画像を生成することができない。二重変調システム102を使用するレーザプロジェクタ100は、200,000:1以上のコントラスト比を生成しうる。
【0010】
二重変調システム102は、2段階の変調を有する。しかしながら、二重変調システム102は、レーザ光180の1つの偏光コンポーネントのみを変調の第1及び第2の段階の双方に施す一方、直交偏光コンポーネントは、変調の第1の段階をバイパスする。変調の第2の段階は、双方の偏光コンポーネントに共通する。二重変調システム102は、偏光ビームスプリッタ(PBS)110、デジタル位相空間光変調器(SLM)120、デジタルメカニカル振幅SLM130及びフィルタ140を含む。PBS110は、レーザ光180を相互に直交する偏光を有する2つの偏光ビーム182及び184に分割する。位相SLM120は、メカニカル振幅SLM130が偏光ビーム182と186との組み合わせの振幅を変調して、合成変調光190を生成する前に、偏光ビーム184の位相を変調し、生成された偏光ビーム186をビームステアリングする。メカニカル振幅SLM130は、合成変調光190が複数の回折次数を含むように、偏光ビーム182及び186の回折を引き起こす。フィルタ140は、合成変調光190からこれらの回折次数の1つ以上を除去し、光フィールド192を形成するフィルタリングされた変調出力光を生成する。
【0011】
二重変調システム102は、位相SLM120及びメカニカル振幅SLM130の動作を制御して、所望の光フィールド192を生成するコントローラ170を含んでもよい。フィルタ140が調節可能である二重変調システム102の実施例では、コントローラ170は、フィルタ140の動作を更に制御してもよい。コントローラ170は、非一時的メモリに符号化された機械可読命令とプロセッサとを含んでもよい。プロセッサによって機械可読命令が実行されると、コントローラ170は、位相SLM120及びメカニカル振幅SLM130(及び任意選択的には、フィルタ140)を制御して、コントローラ170への外部入力によって指定される所望の光フィールド192を生成する。
【0012】
メカニカル振幅SLM130の各画素は、画素に入射する光の振幅を変調するようメカニカルに作動される。二重変調システム102において実現されるように、メカニカル振幅SLM130の各画素は、偏光ビーム182及び186の組み合わせの対応する空間部分を変調して、それらの所望の割合を合成変調光190に転送する。この割合が1未満であるとき、残りの割合は失われる(例えば、ビームダンプに向けられる)。従って、メカニカル振幅SLM130によって実行される振幅変調は、二重変調システム102において光の損失をもたらす。対照的に、位相SLM120の画素によって実行される位相変調は、偏光ビーム184内の光の空間分布と比較して、偏光ビーム186内で光を空間的に再配分(すなわち、ビームステアリング)する。このプロセスは、本質的に光の損失をもたらさないが、位相SLM120における非理想性(画素間のギャップなど)は、小さな光損失をもたらしうる。
【0013】
動作中、二重変調システム102は、位相SLM120のビームステアリング能力を利用して、メカニカル振幅SLM130に入射する偏光ビーム186の空間分布を最適化してもよい。例えば、位相SLM120は、任意の所与の時間において、(a)入射光の小さな部分のみ(又は何れの部分もない)を合成変調光190に転送するよう構成されたメカニカル振幅SLM130の画素上でより少ない光をステアリングし、(b)入射光の大きな部分(又は全部)を合成変調光190に転送するよう構成されたメカニカル振幅SLM130の画素上でより多くの光をステアリングしてもよい。従って、位相SLM120は、メカニカル振幅SLM130による振幅変調によって生じる光損失を低減するよう動作されてもよい。この光損失の低減により、二重変調システム102は、レーザ光180の所与のパワーに対して、レーザプロジェクタ100のプロジェクション光学系によってスクリーン152上に投影されるより高い輝度の画像を可能にする。さらに、位相SLM120は、より少ない光が所望されるメカニカル振幅SLM130の画素から離れて光をステアリングするのを助けるため、二重変調システム102は、暗くなることが意図されるレーザプロジェクタ100のプロジェクション光学系150によってスクリーン152上に投影される画像の領域における改良された光の消光を可能にする。従って、二重変調システム102はまた、レーザプロジェクタ100のプロジェクション光学系150によってスクリーン152上に投影される画像の改良されたコントラストを可能にする。
【0014】
偏光ビーム186の光フィールド192への寄与は、メカニカル振幅SLM130上の偏光ビーム186の振幅分布だけでなく、メカニカル振幅SLM130上に入射する偏光ビーム186の伝搬方向分布の機能であることが理解される。
【0015】
位相SLM120は、偏光に敏感である。それに入射する光に対する位相SLM120の画素によって課される位相シフトは、光の偏光に依存する。従って、位相SLM120による位相変調を非偏光又は部分偏光された光に対して最適化することは困難である。二重変調システム102は、1つの偏光コンポーネント(偏光ビーム184)のみを位相SLM120に指向し、それによって位相SLM120によって提供されるビームステアリング制御を最大化することによって、この問題を解決する。
【0016】
ここで、“非偏光”の光とは、2つの直交偏光コンポーネントに分解される際、2つの直交偏光コンポーネントの向きにかかわらず、各偏光コンポーネントの約50%を含む光を指し、“偏光”された光とは、全て同じ偏光である光を指し、“部分偏光”された光とは、非偏光と偏光との組み合わせを含む光を指す。
【0017】
レーザ光180が非偏光であるとき、レーザ光180の半分のみが二重段階変調を受ける。にもかかわらず、位相SLM120によって提供される制御の度合いは、そこに入射する光が偏光されることによって、二重変調システム102が、そのような非偏光のレーザ光180の全てが位相SLM120に向けられた場合より高いコントラスト比を生成することを可能にしうる。実施例において、レーザベース照明モジュール160は、レーザ光180を生成するためのファイバレーザを含む。本実施例では、レーザ光180は、非偏光又は部分非偏光であってもよい。
【0018】
位相SLM120は、液晶SLMであってもよい。このような一実施例において、位相SLM120は、反射型LCOS(Liquid-Crystal-On-Silicon)変調器を含む。このような他の実施例では、位相SLM120は、液晶ディスプレイに見られるものと同様の透過型液晶パネルを含む。これら2つの実施例のそれぞれにおいて、液晶SLMの各画素は、調節可能な屈折率を有し、液晶SLMは、画素によって出力される光の位相を空間変調するように、液晶SLMの画素の屈折率を空間変調することによって偏光ビーム186をステアリングする。
【0019】
メカニカル振幅SLM130は、ミラーアレイを含んでもよい。このような一実施例において、メカニカル振幅SLM130は、例えば、MOEMS(Micro-Opto-Electromechanical System)SLMなどのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。
【0020】
メカニカル振幅SLM130による回折は、フィルタ140がない場合、レーザプロジェクタ100のプロジェクタコントラスト比(PCR)を低減しうる。プロジェクタのPCRは、ここでは、プロジェクタによって照射される投影スクリーン(スクリーン152など)において測定されるOFFに対するONの光度(又は等価的には、第1及び第2の光度測定輝度)の比として定義される。ON及びOFFの光度は、プロジェクタがそれの最も明るい出力(例えば、白)とそれの最も暗い出力(例えば、黒)とをそれぞれ出力するよう制御される際に生成される。レーザプロジェクタ100のON及びOFF光度は、メカニカル振幅SLM130の全ての画素がそれぞれON位置及びOFF位置に設定されるとき、スクリーン152に向けられる光度として定義される。二重変調システム102のPCRは、二重変調システム102によって出力されるONとOFFの光度の比として同様に定義され、二重変調システム102がレーザプロジェクタ100に実装される際、プロジェクション光学系150に向けられる。回折次数の一部のみをプロジェクション光学系150に転送することによって、フィルタ140は、フィルタ140を含まない類似のシステムと比較して、二重変調システム102及びレーザプロジェクタ100のPCRを改良するよう構成されてもよい。
【0021】
一実施例では、フィルタ140は、コリメート光として光フィールド192を出力するよう構成される。別の実施例では、光フィールド192は、フィルタ140の出力において、コリメートされず、例えば、発散する。本実施例では、二重変調システム102は更に、コリメートレンズ(
図1には示されていない)を更に含んでもよい。あるいは、二重変調システム102は、非コリメート光として光フィールド192を出力してもよい。レーザ光180は、二重変調システム102への入力において実質的に平行にされてもよい。レーザ光180は、二重変調システム102への入力において0.2未満の開口数によって特徴付けされてもよい。
【0022】
図2は、2つの反射型SLMと、2つの偏光経路のうちの1つを反射型SLMの第1のものによってビームステアリングした後と、2つの反射型SLMの第2のものによって合成された光の空間振幅変調の前との2つの偏光経路を合成する偏光ビーム合成器とを備えた1つの二重変調システムを示す。二重変調システム200は、(a)LCOS SLM220として位相SLM120を実現し、(b)DMD230としてメカニカル振幅SLM130を実現し、(c)偏光ビーム合成器222を含む、二重変調システム102の実施例である。
【0023】
LCOS SLM220は、偏光ビーム184の位相を変調して、得られた偏光ビーム286をビームステアリングする。偏光ビーム合成器222は、偏光ビーム286を偏光ビーム182と合成し、合成ビーム288を形成する。DMD230は、偏光ビーム182と286との組み合わせの振幅を変調して、合成変調光290を生成する。DMD230は、合成変調光290が複数の回折次数を含むように、合成ビーム288の回折を引き起こす。フィルタ140は、合成された変調光290からこれら回折次数の1つ以上を除去し、
図1を参照して上述したように、光フィールド292を形成するフィルタリングされた変調出力光を生成する。
【0024】
ある実施例では、LCOS SLM220によって出力される光は、偏光ビーム286に関連する主要な回折次数に加えて、少なくとも1つの回折次数が無視できない量の光を含むように、複数の回折次数にわたって分布される。このような回折は、例えば、LCOS SLM220の画素間の小さなギャップ及び/又はLCOS SLM220の異なるインタフェースからの反射によって引き起こされる。一実施例では、主要な回折次数は、他の無視できない回折次数がビームダンプによって遮断されうるのに十分な角度だけ、互いに無視できない回折次数から分離される。
図2に示される具体例では、LCOS SLM220は、偏光ビーム286として偏光ビーム合成器222に向けられる主要な回折次数を生成する。偏光ビーム286として使用される主要な回折次数は、LCOS SLM220の0番目の回折次数であってもよい。一例では、LCOS SLM220によって出力される光の少なくとも90%は、支配的な回折次数にある。一実施例では、LCOS SLM220のフィルファクタは、LCOS SLM220によって出力される光の少なくとも90%が支配的な回折次数にあることを保証するため、約95%など、少なくとも90%である。
【0025】
1つのシナリオでは、LCOS SLM220は、LCOS SLM220からのゼロ番目の次数の鏡面反射に対して角度262において偏光ビーム286をステアリングする。このシナリオでは、二重変調システム200は、LCOS SLM220のカバーガラス及び/又は他のインタフェースによって反射される偏光ビーム184の一部など、LCOS SLM220からの鏡面反射光を遮断するビームダンプ228を含んでもよい。角度262は、1~5度の範囲内にあってもよい。
図2に示されていない別のシナリオでは、LCOS SLM220は、LCOS SLM220の偏光ビーム184の鏡面反射方向と同じ方向への偏光ビーム286のステアリングを抑制するが、鏡面反射方向から離れた複数の他の方向又は方向範囲への偏光ビーム286のステアリングを可能にするよう変調される。このシナリオでは、二重変調システム200は、LCOS SLM220とDMD230との間に中継光学系を含んでもよく、中継光学系は、LCOS SLM220から鏡面反射された光を遮断する空間フィルタにおいてフーリエ面を有する。
【0026】
DMD230の各ミラーは、ON方向とOFF方向との2つの異なる向きの間で調整可能である。DMD230は、それのミラーを適切に方向付けすることによって、合成ビーム288の振幅を空間変調する。DMD230の異なる回折次数にわたるパワーの分布は、DMD230のミラーの向きに依存する。
【0027】
二重変調システム200の一実現形態において、LCOS SLM220は、各次元の画素間で8ミクロンピッチにより構成された1920×1200正方画素アレイを有し、DMD230は、各次元のミラー間で7~8ミクロンピッチで構成された4096×2160正方ミラーアレイを有する。この実現形態の変形例では、LCOS SLM220の画素アレイの解像度は、長い次元において少なくとも3500画素、7ミクロン未満の画素間のピッチ、及びDMD230のミラーアレイのアスペクト比に類似しているが、必ずしも同一ではないアスペクト比を有するように増加される。LCOS SLM220及びDMD230のアスペクト比は、互いに20%以内であってもよい。他の実現形態では、LCOS SLM220は、各次元の画素間で8ミクロンピッチで構成された1920×1200正方画素アレイを有し、DMD230は、各次元のミラー間に10~14ミクロンピッチで構成された2048×1080正方ミラーアレイを有する。LCO SLM220の画素解像度を超えるDMD230の画素解像度によって特徴付けされる二重変調システム200の実施例は、光フィールド292から形成される画像におけるハローの出現を低減又は防止するのに役立ちうる。そのようなハローは、LCOS SLM220によるビームステアリングによって導入された空間的特徴がDMD230のミラーよりも小さい場合に現れうる。
【0028】
二重変調システム200は、PBS110と偏光ビーム合成器222との間の偏光ビーム182の経路に調光光学系212を含んでもよい。一実施例では、調光光学系212は、可変的な中性濃度フィルタである。他の実施例では、調光光学系212は、偏光ビーム合成器222と連携して、合成ビーム288に結合される偏光ビーム182の割合を規定する可変的な偏光回転子である。この可変的な偏光回転子は、ファラデー回転子、又は調整可能な向きを備える半波長板であってもよい。ここの範囲から逸脱することなく、調光光学系212は、偏光ビーム182の経路内ではなく偏光ビーム286の経路内にあってもよく、あるいは、1つの調光光学系212は、他の調光光学系212が偏光ビーム286の経路内にありながら、偏光ビーム182の経路内にあってもよい。
【0029】
二重変調システム200は、偏光ビーム182及び286を偏光ビーム合成器222に向けるための1つ以上のミラー及び/又は他のビームステアリング要素を含んでもよい。
図2に示される具体例では、二重変調システム200は、偏光ビーム286の経路内に折り畳みミラー224及び226と共に、合成ビーム288の経路内に折り畳みミラー225を含む。
図2には示されていないが、二重変調システム200は、偏光ビーム182、偏光ビーム286及び合成ビーム288の何れか1つのサイズを変更するためのレンズ及び/又は他の屈折素子を含んでもよい。ここの範囲から逸脱することなく、PBS110及び偏光ビーム合成器222の一方が偏光ビーム182を反射し、PBS110及び偏光ビーム合成器222の他方が偏光ビーム182を透過するように、二重変調システム200は、(a)偏光ビーム182に関連する経路、及び(b)偏光ビーム184及び286に関連する経路のそれぞれにおける偏光回転(例えば、半波長板)を備えて構成されてもよい。
【0030】
図3は、2つの異なる偏光経路が反射型SLMの第1のものへの偏光経路の1つのビームステアリング後に反射型SLMの第2のものに直接合成される2つの反射型SLMを備えた他の二重変調システム300を示す。二重変調システム300は、(a)LCOS SLM220として位相SLM120を実装し、(b)DMD230としてメカニカル振幅SLM130を実装する二重変調システム102の実施例である。二重変調システム300は、二重変調システム300が偏光ビーム182及び286をDMD230上で直接合成することを除いて、二重変調システム200と同様である。偏光ビーム182及び286のDMD230への入射角は、10度未満の角度364だけ互いに異なっていてもよい。
【0031】
任意選択的な調光光学系212の置換として、二重変調システム300は、調光ユニット310を含んでもよい。偏光ビーム182の経路に示されているが、任意選択的な調光ユニット310は、偏光ビーム286の経路内にあってもよいし、あるいは、二重変調システム300は、偏光ビーム182及び286の経路内にそれぞれ配置された2つの調光ユニット310を含んでもよい。調光ユニット310は、可変的な中性濃度フィルタであってもよい。あるいは、調光ユニット310は、DMD230に送達される偏光ビーム182の割合を調整するよう連携する可変的な偏光回転子312及び偏光子314を含む。可変的な偏光回転子312は、例えば、調整可能な向きによる半波長板又はファラデー回転子である。
【0032】
実施例において、二重変調システム300は、偏光ビーム182及び286がDMD230に入射したときに同じ偏光を有するように、2つの偏光経路の1つにおいて90度の偏光を有するように構成される。本実施例は、偏光ビーム182及び286上のDMD230によって課される回折における偏光誘起差を除去する。例えば、偏光子314は、偏光子314の後の偏光ビーム182の偏光方向が、PBS110の出力において偏光ビーム182の偏光方向と比較して90度回転されるように構成されてもよい。他の例では、半波長板は、(a)偏光ビーム182の経路、又は(b)偏光ビーム184及び286の1つの経路の何れかに挿入される。
【0033】
これの範囲から逸脱することなく、DMD230は、
図2及び
図3に示されたものとは別の実施例の二重変調システム102に実装されてもよい。
【0034】
図4及び
図5は、それぞれDMD230の正面図及び断面側面図である。
図4及び
図5は、以下の説明において一緒に最もよく見られる。DMD230は、2次元矩形アレイに配置された複数のマイクロミラー420を含む。マイクロミラー420は、
図4に示されるように、正方形であってもよい。簡単化のため、
図4は、DMD230のコーナー及び中心にある代表的なマイクロミラー420のみを示し、全てのマイクロミラー420が
図5に示されているとは限らない。各マイクロミラー420の向きは、例えば、静電作動によって入力光480をステアリングするように調整可能である。入力光480は、(a)
図1に示される偏光ビーム182及び186の組み合わせ、(b)
図2に示される合成ビーム288、及び(c)
図3に示される偏光ビーム182及び286の組み合わせの何れか1つの具体例である。
【0035】
一実現形態では、各マイクロミラー420は、回転軸430の周りに傾斜されてもよい。回転軸430は、
図4に示されるように、x軸に対して-45度で方向付けされてもよい。ここの範囲から逸脱することなく、回転軸430の向き及び位置は、
図4に示すものとは異なっていてもよい。DMD230は、テキサスインスツルメンツからのデジタルライトプロセッサ(DLP)であってもよい。
【0036】
マイクロミラー420は、x-y平面に横たわる基板410上に取り付けられてもよい(右手座標系490を参照されたい)。簡単化のために、マイクロミラー420を基板410に物理的に結合するメカニカル構造は、
図4及び
図5には示されない。
【0037】
図5は、入力光480をステアリングするため傾斜されたマイクロミラー420を示す。マイクロミラー420(1)は、z軸に平行なON反射光582に入力光480を鏡面反射させるためON位置で作動される(座標系490を参照されたい)。マイクロミラー420(2)は、OFF反射光584を入力光480に鏡面反射させるためON位置で作動される。二重変調システム102、200及び300のいずれか1つに適用可能である1つの利用シナリオにおいて、コントローラ170は、各マイクロミラー420に対して、特定のマイクロミラー420の向きをON位置及びOFF位置の所望の1つに設定することによって、DMD230に入射する光を振幅変調する。マイクロミラー420(3)は、作動されず、平坦状態でx-y平面(例えば、基板410と平行)に存在する。あるいは、DMD230は、マイクロミラー420が、作動されていないときに、x-y平面に対してある角度をなすように構成されてもよい。例えば、ON位置及びOFF位置の選択された1つは、マイクロミラー420が作動されないことに対応してもよい。
【0038】
各マイクロミラー420の前面522は、入射光480を反射するための反射面として作用する蒸着金属(例えば、アルミニウム)のレイヤで被覆されてもよい。マイクロミラー420の間のギャップ524は、吸収性であってもよい。例えば、ギャップ524に入る入力光480は、基板410によって吸収されてもよい。ここの範囲から逸脱することなく、DMD230は、ON反射光582及びOFF反射光584を、
図5に示すものとは異なるそれぞれの方向に向けるように実現されてもよい。
【0039】
マイクロミラー420及びその間のギャップ524は、入力光480を回折する2次元格子を形成するよう連携する。従って、DMD230から離れて伝搬する変調光は、DMD230の遠視野領域、又はDMD230の後に搭載されるレンズの焦点面において、フラウンホーファ回折パターン(それぞれ、
図9及び
図10の回折パターン900及び1000を参照されたい)として観測可能な複数の回折次数を形成してもよい。各回折次数は、DMD230から離れて固有のそれぞれの方向に伝搬する1つの光ビームに対応する。設計上、DMD230からの変調光の光パワーの大部分は、鏡面反射されるON反射光582及びOFF反射光584に対応するゼロ番目の回折次数であってもよい。
【0040】
DMD230による入力光480の回折は、DMD230(例えば、フィルタ140なしのレーザプロジェクタ100)を使用するレーザプロジェクタのPCRを低減しうる。DMD230がどのように入力光480を回折するかは、(1)入力光480の波長、(2)入力光480の方向、(3)DMD230のピッチ464、(4)ギャップ524の幅462、及び(5)マイクロミラー420のON及びOFF傾斜角度など、様々なパラメータによって決定されてもよい。x及びyの双方のサイズにおいて、ピッチ464は、yのサイズについて
図4に示されるように、幅462とマイクロミラーエッジ長460との和に等しい。ピッチ464は、5~15ミクロンであってもよい。幅462は、1ミクロン未満であってもよい。一例では、ピッチ464は7~8ミクロンであり、幅462は、0.7~0.9ミクロンである。
【0041】
ここの範囲から逸脱することなく、DMD230は、不規則なアレイにマイクロミラー420を配置してもよく、1つ以上のマイクロミラー420は、他のマイクロミラー420と異なるサイズ及び/又は形状を有してもよく、及び/又は、幅462は、DMD230のない場所に依存してもよい。メカニカル振幅SLM130の他の実施例は、DMD230のものと同様の回折挙動を示してもよい。
【0042】
図6は、レーザプロジェクタ100の実施例のPCRを増加させるため、メカニカル振幅SLM130から受け取った変調光602を空間フィルタリングするよう構成された1つのフーリエフィルタ600を断面側面図において示す。フーリエフィルタ600は、フィルタ140の実施例であり、合成変調光190又は290をフィルタリングするため二重変調システム102、200及び300の何れか1つにおいて実現されてもよい。
【0043】
フーリエフィルタ600は、レンズ604及びマスク612を含む。レンズ604は、変調光602をフーリエ面608上に集束させることによって、変調光602を空間フーリエ変換する。レンズ604は、焦点距離610を有し、フーリエ面608は、レンズ604の焦点面と一致する。変調光602は、
図6において、それぞれが各回折次数に対応し、回折次数がそれに沿って伝搬する特有の方向を指す複数の矢印として示される。レンズ604によって課される空間フーリエ変換は、変調光602の各回折次数の伝搬角度をフーリエ面608上のそれぞれの空間位置に変換する。それによって、レンズ604は、所望の回折次数の選択と、所望されない回折次数の拒絶とを可能にする。従って、フーリエ面608のマスク612は、レンズ604によってフーリエ変換された変調光602を空間フィルタリングして、変調光602の残りの回折次数を遮断しながら、変調光602の1つ以上の回折次数を選択する。フーリエ面608における変調光602の空間フーリエ変換は、変調光602のフラウンホーファ回折パターンと等価である。
【0044】
レンズ604は、光軸622を規定する。一実現形態では、メカニカル振幅SLM130は、
図6に示すように、光軸622の中心に位置する。他の実現形態では、メカニカル振幅SLM130は、光軸622から中心が外れている。
【0045】
マスク612は、少なくとも1つの回折次数の変調光602をフィルタリングされた光614としてマスク612を介して完全又は部分的に透過するよう構成される少なくとも1つの透過領域616を有する。ある実施例では、マスク612は、所望されない回折次数の変調光602が入射する場所では実質的に不透明である。いくつかの実施例では、マスク612は、マスク612が透過領域616を有しない場所では実質的に不透明である。他の実施例では、マスク612は、所望されない回折次数から所望の回折次数を空間分離するため、所望の回折次数を透過するのとは対照的に反射するよう構成される。
【0046】
マスク612は、アルミニウム又はステンレス鋼などの金属から形成されてもよい。金属は、マスク612によってブロックされた光の吸収を高めるため陽極酸化又は黒化されてもよい。あるいは、マスク612は、シリコンなどの半導体基板から形成されてもよく、その中に透過領域616がエッチング又はグリッドされる。他の実施例では、マスク612は、光吸収材(例えば、黒色塗料)でコーティングされた光学的に透明な基板(例えば、ガラス)から形成され、透過領域616と一致しない領域の光を遮断する。他の実施例では、マスク612は、電子制御ミラーアレイなど、動的に構成可能な透過領域616を有する能動マスクである。
【0047】
実施例において、フーリエフィルタ600は、フィルタリングされた光614をコリメート光620にコリメートするコリメートレンズ618を備えて構成される。コリメートレンズ618は、フーリエフィルタ600と他の光学素子又は光学系との統合を容易にしうる。例えば、コリメートレンズ618は、フーリエフィルタ600(例えば、プロジェクション光学系150又は
図17を参照して後述するビーム合成器1704)の後に位置する付加的な光学系にフィルタリングされた光614を光学的に結合してもよい。コリメートレンズ618は、焦点距離624を有し、コリメートレンズ618の焦点面がフーリエ面608と一致するように位置決めされる。焦点距離610及び624は、
図6では等しいものとして示されているが、焦点距離610及び624は、特定の実施例では互いに異なっていてもよい。
【0048】
明確化のため、
図6は、1次元(例えば、x次元)で回折する回折ビームのみを示す。しかしながら、メカニカル振幅SLM130は、変調光602がまたメカニカル振幅SLM130によって回折された回折ビームを、光軸622に垂直な第2の次元(例えば、y次元)において含むように、2次元で回折する。二次元の回折パターンにおける各回折ビームは、2つの次元の各々について回折ビームの回折次数を特定する整数のペアによってラベル付けされてもよい。ここで、“0次”とは、2つの次元の双方において次数0を有する1つの回折ビームを指す。
【0049】
図7及び
図8は、DMD230による例示的な回折挙動を示す。
図7及び
図8は、以下の説明において一緒に最もよく見られる。
図7及び
図8は、例えば、DMD230によって出力される変調光の回折次数が、フィルタ140を備えていないレーザプロジェクタのPCRをどのように低減するかを示す。
【0050】
図7は、DMD230の全てのマイクロミラー420をON位置において作動させることによって、ON光度を出力するDMD230を側面図において示す(拡大
図716のマイクロミラー420(1)を参照されたい)。
図8はまた、DMD230の全てのマイクロミラー420をOFF位置において作動させることによって、OFF光度を出力するDMD230を側面図において示す(拡大
図816のマイクロミラー420(2)を参照されたい)。
【0051】
図7において、DMD230は、複数のON回折ビーム704を有するON変調光702に入力光480を回折する。
図8において、DMD230は、複数のOFF回折ビーム804を有するOFF変調光802に入力光480を回折する。DMD230の遠視野領域において、各ON回折ビーム704は、ON変調光702によって形成されるフラウンホーファ回折パターンの1つの回折次数又はピークに対応し、各OFF回折ビーム804は、OFF変調光802によって形成されるフラウンホーファ回折パターンの1つの回折次数又はピークに対応する。DMD230の遠視野領域において、ON及びOFF回折ビーム704、804の各々は、複数の伝搬方向710の1つを有するkベクトルに対応する。
図7及び
図8の具体例では、伝搬方向710は破線として表され、ON及びOFF回折ビーム704、804の各々は、伝搬方向710の1つと揃えられ、回折ビームのパワー又は強度に対応する長さを有する実線の矢印によって表される。
【0052】
入力光480の固定方向について、DMD230のマイクロミラー420がON位置とOFF位置との間で切り替えられるとき、ON及びOFF回折ビーム704、804のパワーが変化する一方、DMD230のマイクロミラー420がON位置とOFF位置との間で切り替えられるとき、ON及びOFF回折ビーム704、804の伝搬方向710は同じままである。換言すれば、DMD230の設定及び入力光480の方向は、ON回折ビーム704及びOFF回折ビーム804の可能な伝搬方向710のセットを規定し、マイクロミラー420の位置は、伝搬方向710を横切るDMD230の出力光のパワー分布を決定する。
【0053】
図7及び
図8は、プロジェクション光学系150がDMD230からの出力光を収集し、結果として生じるスクリーン照明を投影スクリーン上に投影する利用シナリオを示す。より具体的には、プロジェクション光学系150は、プロジェクション光学系150のクリアアパーチャ708内に入るDMD230によって出力される光を収集する。全ての可能な伝搬方向710がクリアアパーチャ708内に入るとは限らない。
図7及び
図8に示されるこの利用シナリオは、DMD230を実現するが、フィルタ140を省略したレーザプロジェクタ100の変形例において行われてもよい。
【0054】
図7及び
図8に示される具体例では、ON変調光702は複数のON回折ビーム704において有意なパワーを有し、OFF変調光は複数のOFF回折ビーム804において有意なパワーを有する。有意なパワーを搬送するON回折ビーム704の一部のみがクリアアパーチャ708内に入る一方、その他はクリアアパーチャ708外に入る。例えば、支配的なON回折ビーム704(1)はクリアアパーチャ708内に入る一方、2つの強力でないON回折ビーム704(2)及び704(3)はそれぞれ、クリアアパーチャ708内及び外に入る。反対に、有意なパワーを搬送するOFF回折ビーム804の一部のみがクリアアパーチャ708外に入る一方、その他はクリアアパーチャ708内に入る。例えば、支配的なOFF回折ビーム804(3)はクリアアパーチャ708外に入る一方、2つの強力でないOFF回折ビーム804(1)及び804(2)は共に、クリアアパーチャ708内に入る。要するに、ON変調光702の100%未満が、ON光度を生じさせるON投影光714としてプロジェクション光学系150によって投影され、OFF変調光802の非ゼロの割合は、非ゼロOFF光度を生じさせるOFF投影光814としてプロジェクション光学系150によって投影される。これら2つの要因の各々が、この利用シナリオのレーザプロジェクタのPCRを低下させる。一般に、非ゼロのOFF光度は、PCRに対して最も有害な影響を及ぼすと予想される。
【0055】
明確化のため、
図7及び
図8は、1次元(x次元)で回折する回折ビーム704、804のみを示す。しかしながら、DMD230は、変調光702及び802がまた光軸722(y次元)に垂直な第2の次元においてDMD230によって回折された回折ビームを含むように、入力光480を2つの次元で回折する。
【0056】
次に、
図1、
図7及び
図8を組合せて参照すると、メカニカル振幅SLM130の他の実施例は、
図7及び
図8によって図示されるものと同様の回折挙動を示してもよく、フィルタ140は、何れの伝搬方向710がプロジェクション光学系150に転送されるかを選択する。適切な回折次数選択によって、フィルタ140は、フィルタ140を含まないシステムと比較して、二重変調システム102のPCRを増加させ、その結果、レーザプロジェクタ100のPCRを増加させうる。
【0057】
フィルタ140を用いてフィルタリングすう回折次数を特定するため、回折次数コントラスト比(DOCR)が利用されてもよい。クリアアパーチャ708を通過する各伝搬方向710に対して、DOCRは、同じ回折次数及び伝搬方向の対応するON回折ビーム及びOFF回折ビームのペアの光パワーの比として規定されてもよい。例えば、
図7及び
図8のON及びOFF回折ビーム704(1)及び804(1)に対応する回折次数は、高いDOCRを有する。高いDOCRを有する回折次数は、PCRを増加させるのに有益であり、投影スクリーンへの投影のために効果的に選択することができる。一方、ON及びOFF回折ビーム704(2)及び804(2)は、低いDOCRを有する回折次数に対応する。低いDOCRを有する回折次数は、PCRを減少させ、効果的にはPCRを増加させるためフィルタ除去されうる。
【0058】
図9及び
図10はそれぞれ、ON及びOFF変調光702及び802の一例となるフラウンホーファ回折パターン900及び1000の強度プロットである。回折パターン900及び1000は、フーリエ面608におけるフーリエフィルタ600(
図6)のレンズ604の一例によって生成されるフーリエ変換に対応する。回折パターン900及び1000は、フーリエフィルタ600が二重変調システム102、200又は300に実装される際、フーリエ面608において生成される回折パターンの具体例である。従って、回折パターン900及び1000は、例えば、フーリエフィルタ600のマスク612がPCRを改良するためどのように構成されてもよいかを示す。
【0059】
回折パターン900及び1000の各々は、それぞれ
図7及び
図8の回折ビーム704又は804のそれぞれ1つに対応する複数の等間隔の回折ピークを含む。
図9及び
図10の水平軸904及び垂直軸906は、それぞれ座標系490のx及びy軸に対する回折ピークの方向余弦を示す。
図9及び
図10は、強度スケール908による回折パターン900及び1000の強度を示す。
【0060】
図9及び
図10のサークル902は、
図7及び
図8のクリアアパーチャ708を表す。サークル902内にある回折ピークは、フーリエフィルタ600又はフィルタ140の別の実施例が存在しない場合、プロジェクション光学系150によってON及びOFF投影光714及び814としてそれぞれ投影される回折ビーム718、818を表す。
図9において、サークル902の中心における最も明るい(例えば、最高強度の)回折ピーク910は、
図7のON回折ビーム704(1)及び/又は0次のON変調光702に対応する。サークル902の外側にある回折ピークは、投影スクリーン上に投影されない。
【0061】
図10において、OFF回折ビーム804(3)に対応する最も明るい回折ピーク1010は、サークル902の外側の方向余弦のより高い値にあり、従って、投影スクリーン上には投影されない。しかしながら、少なくともフーリエフィルタ600又は別の実施例のフィルタ140がない場合、サークル902内の複数の低電力回折ピーク1012は、OFF投影光814として投影スクリーン上に投影され、OFF光度を増加させ、PCRを減少させる。
【0062】
PCRを増加させるため、フーリエフィルタ600は、ON光度よりもOFF光度に比較的多く寄与するサークル902内にある回折次数を遮断することによって、OFF光度を減少させてもよい。フラウンホーファ回折パターン900及び800は、変調光602のフーリエ変換を表し、マスク612が投影に対して所望の回折次数を透過するように、また、そうでない場合、投影される他の全ての所望されない回折次数をブロックするように、透過領域616がどのように構成されうるかを示す。具体的には、レンズ604のパラメータを使用して、所望される各回折ピークに関連する方向余弦は、マスク612を介し所望の回折ピークを透過するように、透過領域616が配置されうるマスク612上の空間位置に変換されてもよい。同様に、所望されない各回折ピークに関連する方向予言は、所望されない回折ピークを遮断(例えば、フィルタリング)するために、マスク612が不透明であるマスク612上の空間位置に変換されてもよい。
【0063】
フーリエフィルタ600の一実施例では、マスク612は、二重変調システム102及びレーザプロジェクタ100のPCR及び/又は光パワー効率を最適化するように選択されたサイズ、ジオメトリ、位置及び向きを有する1つの透過領域616を含む。フーリエフィルタ600の他の実施例では、マスク612は、複数の透過領域616を有し、サイズ、ジオメトリ、位置及び向きが、二重変調システム102及びレーザプロジェクタ100のPCR及び/又は光パワー効率を最適化するため各透過領域616に対して選択される。
【0064】
図11~16は、
図6のマスク612の具体例の正面図であり、透過領域616の例示的な構成を示す。
図11~
図16の各々において、対応するON回折ビーム704及びOFF回折ビーム804の異なるペアに関連する回折次数などの回折次数の複数の位置が、Xが二次元グリッドを形成することによって示される。例えば、
図11において、位置1102(2)はマスク1100によって遮断された1つの回折次数を示す一方、位置1102(1)はマスク1100によって透過された1つの回折次数を示す。
【0065】
図11及び
図12は、円形の透過領域1104及び1204をそれぞれ有する例示的なマスク1100及び1200を示す。円形の透過領域1104及び1204のそれぞれは、少なくとも部分的に光を透過的である穴又は材料であってもよい。円形の透過領域1104及び1204は、透過領域616の具体例である。円形の透過領域1104は、マスク1100を介して1つの回折次数を透過するような大きさにされる。円形の透過領域1204は、
図12に示されるように、マスク1200を介して複数の回折次数、例えば、3×3のグリッドを形成する9つの回折次数を透過するような大きさにされる。
図11及び
図12は、円形の透過領域1104及び1204をそれぞれマスク1100及び1200の中心にあるものとして示しているが、円形の透過領域1104及び1204は、ここの範囲から逸脱することなく中心から外れていてもよい。
【0066】
図13及び
図14は、正方形の透過領域1304及び1404をそれぞれ有する例示的なマスク1300及び1400を示す。正方形の透過領域1304及び1404のそれぞれは、少なくとも部分的に光に対して透過的な穴又は材料であってもよい。正方形の透過領域1304及び1404は、透過領域616の具体例である。正方形の透過領域1304は、マスク1300の中心に位置し、
図13に示されるように、3×3のグリッドを形成する9つの回折次数など、マスク1300を介し複数の回折次数を透過させるような大きさにされる。正方形の透過領域1404は、マスク1400の中心からずれており、2×2のグリッドを形成する4つの回折次数など、マスク1400を介し複数の回折次数を透過するような大きさにされる。
【0067】
図15は、マスク1500を介し3つの隣接する回折次数を透過するよう構成された不規則な多角形の透過領域1504を有するマスク1500の一例を示す。不規則な多角形の透過領域1504は、透過領域616の一例であり、少なくとも部分的に光を透過する穴又は材料であってもよい。
【0068】
図16は、それぞれが4つの透過領域1604などのマスク1600を介し1つの回折次数を透過するように位置及び大きさが決められた複数の円形の透過領域1604を有するマスク1600の一例を示す。円形の透過領域1604は、複数の透過領域616の一例である。
【0069】
透過領域616は、ここの範囲から逸脱することなく、
図11~16の具体例に示されるものとは別の形状、サイズ及び位置を有してもよい。1つのクラスの実現形態では、
図11~16に示される透過領域616の各具体例は、マスク612に形成された穴である(例えば、ドリル加工、ミリング加工又はエッチングによって)。別のクラスの実現形態では、
図11~
図16に示される透過領域616の各具体例は、マスク612に物理的に結合される、又はマスク612内に埋め込まれる光学的に透過なウィンドウ、光学的に半透過なウィンドウ又はカラーフィルタ(例えば、ダイクロイックフィルタ又は薄膜フィルタ)である。
図11~16の具体例では、マスク(例えば、マスク1100)は円形である。これらのマスクの各々は、代わりに、本発明の範囲から逸脱することなく、別の形状(例えば、正方形又は長方形)を有してもよい。フーリエフィルタ600に実装される際、
図11~
図16のマスクは、光軸622上を中心とするか、又は光軸622から中心が外れるようにしてもよい。
【0070】
図17は、異なる色の組み合わせの前に個別の各カラーチャネルにおいて二重変調及び回折次数フィルタリングを有する1つの多色レーザプロジェクタ1700を示す。レーザプロジェクタ1700は、複数のカラーを処理し、多色光を出力するよう構成されたレーザプロジェクタ100の拡張型である。
図17は、3つのカラーチャネル1710(1)、1710(2)及び1710(3)を有するものとしてレーザプロジェクタ1700を示す。これら3つのカラーチャネルは、赤、緑及び青であってもよい。しかしながら、ここの範囲から逸脱することなく、レーザプロジェクタ1700は、2つのカラーチャネル1710のみ、又は3より多くのカラーチャネル1710を用いて構成されてもよい。各カラーチャネル1710は、二重変調システム102のそれぞれのインスタンスを含む。従って、レーザプロジェクタ1700の個々の各カラーチャネル1710は、二重変調システム102によって提供される二重変調及びフィルタリングから利益を得る。各カラーチャネル1710は、それぞれのコリメートレンズ1720を更に含むか、あるいは、各二重変調システム102のフィルタ140は、コリメートレンズ(例えば、コリメートレンズ618)を含む。従って、各カラーチャネル1710は、コリメートされる単色のフィルタリングされた変調光1780を出力する。ある実施例では、各カラーチャネル1710は更に、二重変調システム102の対応するインスタンスにレーザ光180を提供するそれぞれのレーザベース照明モジュール160を更に含む。あるいは、レーザプロジェクタ1700は、第三者のレーザベース照明源からレーザ光180を受光するよう構成される。
【0071】
レーザプロジェクタ1700はまた、ビーム合成器1704と、プロジェクション光学系150の単一インスタンスとを含む。ビーム合成器1704は、各カラーチャネル1710からの光1780を合成して、多色光1782を生成する。プロジェクション光学系150は、スクリーン152など、
図17に示されていないスクリーン上に多色光1782を投影する。断面ダイクロイック(又はx-キューブ)プリズムとして
図17に示されるが、ビーム合成器1704は、2つのカラーチャネル1710を合成する第1のダイクロイックビーム合成器と、続いて第3のカラーチャネル1710内で更に結合する第2のダイクロイックビーム合成器など、当該技術分野において既知の他のタイプのビーム合成器であってもよい。レーザプロジェクタ1700は、光1780をビーム合成器1704に向けるためのミラー1730又は他のビームステアリング要素を更に含んでもよい。
【0072】
各カラーチャネル1710は、具体的には、それの各カラーの処理のため最適化されてもよい。一実施例では、フィルタ140の各インスタンスは、具体的には、回折の波長敏感性を考慮するため、フィルタ140の当該インスタンスによって処理されるカラーの回折次数をフィルタリングするよう構成される。例えば、二重変調システム102の各インスタンスにおいてフーリエフィルタ600を実装する際、マスク612の対応する各インスタンスは、カラーチャネルによって処理される特定のカラーの回折次数を最適にフィルタリングするよう構成されてもよい。
【0073】
ここの範囲から逸脱することなく、二重変調システム102の特定の機能は、二重変調システム102の個々のインスタンスから移動され、代わりにビーム合成器1704とプロジェクション光学系150との間に配置されてもよい。このような1つの実施例では、各二重変調システム102は、メカニカル振幅SLM130及びフィルタ140を省略し、単一のメカニカル振幅SLM130及び単一のフィルタ140が、ビーム合成器1704とプロジェクション光学系150との間の合成光路に配置され、3つのカラー全てを一緒に処理する。また、ここの範囲から逸脱することなく、多色レーザプロジェクタ1700は、フィルタ140の何れかのインスタンスなしに設けられてもよい。
【0074】
図18は、1つの二重変調レーザ投影方法1800を示す。方法1800は、二重変調システム102又はレーザプロジェクタ100によって実行されてもよい。方法1800は、ステップ1810、1820、1850、1860及び1870を含む。
【0075】
ステップ1810は、相互に直交する偏光を有する第1及び第2の偏光ビームにレーザ光を分割する。ステップ1810の一例では、PBS110は、
図1を参照して上述したように、レーザ光180を偏光ビーム182及び184に分割する。
【0076】
ステップ1820は、第2の偏光ビームを空間的に不均一に位相変調し、第2の偏光ビームをプレビーム(pre-beam)ステアリングする。ステップ1820の一例では、位相SLM120は、
図1を参照して上述したように、偏光ビーム184を変調して、プレビームステアリング偏光ビーム186を生成する。
【0077】
ステップ1850は、第1及び第2の偏光ビームを合成光に合成する。ステップ1850の一例では、二重変調システム102は、
図1を参照して上述したように、メカニカル振幅SLM130上又は前に偏光ビーム182及び186を合成する。ステップ1850の他の具体例では、偏光ビーム合成器222は、
図2を参照して上述したように、偏光ビーム182及び286を合成して、合成ビーム288を生成する。更なる他の実施例では、偏光ビーム182及び286は、
図3を参照して上述したように、DMD230上で直接合成される。
【0078】
ステップ1860は、ステップ1850において形成される合成光を空間的に不均一にメカニカルに振幅変調する。ステップ1860の一例では、メカニカル振幅SLM130は、
図1を参照して上述したように、偏光ビーム182及び186の組み合わせを変調して、合成変調光190を生成する。ステップ1860の他の具体例では、DMD230は、
図2及び
図3を参照して上述したように、偏光ビーム182及び286の組み合わせを変調して、合成変調光290を生成する。
【0079】
ステップ1870は、ステップ1850で生成された合成光から、ステップ1860で導入される複数の回折次数のうちの1つ以上を除去し、フィルタリングされた変調出力光を生成する。ステップ1870の一例では、フィルタ140は、
図1を参照して上述したように、また、
図7及び
図8を参照して更に詳述したように、合成変調光190から1つ以上の回折次数を除去する。ステップ1870の他の具体例では、フーリエフィルタ600は、
図6を参照して上述したように、また、
図7~
図16を参照して更に詳述したように、変調光602を空間フィルタリングして、フィルタリングされた光614を生成する。
【0080】
一実施例では、ステップ1870は、ステップ1872及び1874を含む。ステップ1872は、回折次数の角度をフーリエ面における回折次数の位置に空間フーリエ変換する。ステップ1872の一例では、レンズ604は、
図6を参照して上述したように、また、
図9及び
図10を参照してさらに詳述したように、変調光602をフーリエ面608上にフーリエ変換する。ステップ1874は、フーリエ面において、回折次数の第1のサブセットに対応するフーリエ面における位置を有する合成光の一部のみを透過し、合成光の残りの部分を遮断する。ステップ1874の一例では、マスク612は、(a)
図6を参照して上述したように、また、
図9~
図16を参照して更に詳述したように、全てではないが1つ以上の伝搬方向710に関連する回折次数を透過し、(b)残りの回折次数を遮断する。
【0081】
方法1800は、ステップ1870で生成されたフィルタリングされた変調出力光をスクリーンに投影するステップ1890を更に含んでもよい。ステップ1890の一例では、プロジェクション光学系150は、光フィールド192をスクリーン152上に投影する。方法1800はまた、ステップ1870で生成されたフィルタリングされた変調出力光をコリメートするステップ1880を含んでもよい。ステップ1880の一例では、コリメートレンズ618は、
図6を参照して上述したように、フィルタリングされた光614をコリメートする。ステップ1880の他の例では、光フィールド192は、
図1を参照して上述されたように、フィルタ140に組み込まれたコリメートレンズによってコリメートされるか、あるいは、フィルタ140とプロジェクション光学系150との間に配置される。
【0082】
ある実施例では、方法1800はステップ1830を更に含み、ステップ1850はステップ1852を実施する。ステップ1830は、第1の偏光ビームの偏光を回転し、第1の偏光ビームの第1のリニア偏光コンポーネントのパワーを調整する。ステップ1852は、第2の偏光ビームを第1の偏光ビームの第1のリニア偏光コンポーネントのみと合成する。ステップ1830及び1852の一例では、調光光学系212は、ステップ1830において偏光ビーム182の偏光を回転し、ステップ1852において偏光ビーム合成器222の前の偏光ビーム182の第1のリニア偏光コンポーネントのパワーを調整し、偏光選択性であることによって、
図2を参照して上述したように、偏光ビーム286を偏光ビーム182の第1のリニア偏光コンポーネントのみと合成する可変的な偏光回転子として実現される。ステップ1830及び1852の他の例では、可変的な偏光回転子312は、ステップ1830において偏光ビーム182の偏光を回転し、ステップ1852において、偏光子314が、
図3を参照して上述したように、偏光ビーム182の第1のリニア偏光コンポーネントのみをDMD230に透過する前に、偏光ビーム182の第1のリニア偏光コンポーネントのパワーを調整する。
【0083】
方法1800は、例えば、
図18に示すように、必ずしもステップ1820と1850との間である必要はないが、ステップ1810の後であって、ステップ1850の前に実行されるステップ1840を含んでもよい。ステップ1840は、第1及び第2の偏光ビームがステップ1860の間に同じ偏光を有するように、第1及び第2の偏光ビームの1つの偏光を回転する。ステップ1840の一例では、二重変調システム300の偏光子314は、偏光子314の後の偏光ビーム182の偏光方向が、
図3を参照して上述したように、PBS110の出力における偏光ビーム182の偏光方向と比較して90度だけ回転されるように構成される。ステップ1840の他の例では、二重変調システム300は、
図3を参照して上述されるように、(a)偏光ビーム182の経路、又は(b)偏光ビーム184及び286の1つの経路の何れかにおいて半波長板を実装する。
【0084】
図19は、1つの多色二重変調レーザ投影方法1900を示す。方法1900は、方法1800の拡張型であり、例えば、多色レーザプロジェクタ1700によって実行される。方法1900は、ステップ1910及び1930を含む。ステップ1910は、3つの異なるカラーのレーザ光に対して別々に方法1800の実施例を実行し、3つの異なるカラーのそれぞれのフィルタリングされた変調出力光を生成する。ステップ1910で実行される方法1800の実施例は、ステップ1870で終了し、ステップ1880及び1890を含まない。ステップ1910は、ステップ1830及び1840の一方又は両方を含んでもよい。ステップ1910の一例では、二重変調システム102の各インスタンスは、
図17を参照して上述したように、3つのカラーのそれぞれの光1780に対して、3つのカラーのそれぞれのレーザ光180を変調及びフィルタリングする。
【0085】
ステップ1930は、(ステップ1910で生成されるように)3つの異なるカラーのフィルタリングされた変調出力光を合成し、多色出力光を形成する。ステップ1930の一例では、ビーム合成器1704は、カラーチャネル1710から受け取った3つの異なるカラーの光1780を合成して、
図17を参照して上述したように、多色光1782を形成する。
【0086】
一実施例では、方法1900はステップ1920を含む。ステップ1920は、3つのカラーのそれぞれに対してフィルタリングされた変調出力光を別々にコリメートする。ステップ1920の一例では、光1780の各カラーは、
図17を参照して上述したように、コリメートレンズ1720の各インスタンスによって、又は、二重変調システム102の各インスタンスに含まれるコリメートレンズによってコリメートされる。
【0087】
方法1900は、多色出力光をスクリーン上に投影するステップ1940をさらに含むことができる。ステップ1940の一例では、プロジェクション光学系150は、
図17を参照して上述されるように、多色光1782をスクリーン上に投影する。
【0088】
方法1900は、2つのみの異なるカラー又は3より多くの異なるカラーの処理に容易に拡張される。
【0089】
図20は、入力レーザ光の偏光コンポーネントの双方の別々の位相変調と結果としてのプレビームステアリングとを備える1つの二重変調システム2002を示す。二重変調システム2002は、偏光ビーム182の経路に第2の位相SLM2020を更に含む二重変調システム102の拡張である。位相SLM2020は、位相SLM120に類似し、メカニカルに振幅SLM130が偏光ビーム2082と186との組み合わせの振幅を変調する前に、偏光ビーム182の位相を変調して、得られた偏光ビーム2082をビームステアリングする。位相SLM120及び2020の各々は、偏光された入力光を受け取り、二重変調システム2002は、それによって、単一位相SLMを使用して、偏光されていない又は部分的に偏光された光の位相変調に関連する問題を回避しながら、レーザ光180の双方の偏光コンポーネントのプレビームステアリングを達成する。
【0090】
図20は、一例となる利用シナリオにおける二重変調システム2002を示す。このシナリオでは、二重変調システム2002は、二重変調システム2002に加えて、スクリーン照明194としてスクリーン152上に光フィールド192を投影するためのプロジェクション光学系150を含む二重変調デジタルレーザプロジェクタ2000において実現される。スクリーン照明194は、スクリーン152上に画像を生成する。レーザプロジェクタ2000は、レーザ光180を生成するためのレーザベース照明モジュール160を更に含んでもよい。
【0091】
二重変調システム102と比較して、二重変調システム2002は、レーザ光180の双方の偏光コンポーネントが位相変調されるため、より高い程度のビームステアリングを提供する。しかしながら、より低コスト及び/又はシンプルさが望ましいとき、二重変調システム102は、二重変調システム2002よりも好ましいかもしれない。
【0092】
二重変調システム2002は、二重変調システム102の任意的なコントローラ170を、位相SLM2020を更に制御することを除くコントローラ170に類似した任意的なコントローラ2070と置換する。
【0093】
図21は、他の二重変調システム2102を示す。二重変調システム2102は、(a)フィルタ140がいくつかの実施例では省略されてもよく、(b)メカニカル振幅変調SLM130がメカニカル又は非メカニカルであってもよい振幅SLM2130によって置換されることを除いて、二重変調システム102と同様である。
【0094】
非メカニカルであるとき、振幅SLM2130は、振幅変調のために構成されるLCOS又は透過型LCパネルなどの液晶SLMであってもよい。振幅SLM2130の非メカニカルな実施例は、メカニカル振幅SLM130よりも少ない回折を生じさせうる。従って、二重変調システム2102の一実施例では、振幅SLM2130は非メカニカルであり、フィルタ140は省略され、二重変調システム2102は合成変調光190を出力する。二重変調システム2102の他の実施例では、振幅SLM2130は、メカニカル振幅SLM130として実装され、フィルタ140は、にもかかわらず、例えば、より低いPCRが許容可能である際、コスト及び/又は複雑さを低減するため省略される。二重変調システム2102の更なる他の実施例では、振幅SLM2130は非メカニカルであり、二重変調システム2102は、合成変調光190から1つ以上の回折次数を除去するためのフィルタ140を含む。
【0095】
図21は、二重変調システム2102に加えて、スクリーン照明194としてスクリーン152上に光フィールド192又は合成変調光190を投影するためのプロジェクション光学系150を含む二重変調デジタルレーザプロジェクタ2100において二重変調システム2102が実現される1つの利用シナリオにおいて二重変調システム2102を示す。スクリーン照明194は、スクリーン152上に画像を生成する。レーザプロジェクタ2100は、レーザ光180を生成するためのレーザベース照明モジュール160を更に含んでもよい。
【0096】
図22は、単一の変調経路のみを有する1つの二重変調システム2202を示す。二重変調システム2202は、PBS110を省略し、任意的にPBS110を偏光子2210で置き換えることとは別に、二重変調システム102に類似する。
【0097】
偏光子2210を含まない二重変調システム2202の実施例では、位相SLM120は、レーザ光180を位相変調して、位相変調光2286を生成する。次に、メカニカル振幅SLM130は、位相変調光2286を振幅変調して、二重変調光2290を生成する。次いで、フィルタ140は、二重変調光2290の回折次数をフィルタリングして、フィルタリングされた二重変調光フィールド2292を出力する。レーザ光180が偏光されていないとき、又は部分的に偏光されているとき、位相SLM120によって達成される位相変調制御は、最適でないかもしれない。しかしながら、ある適用については、最適位相変調制御未満で十分であり、その場合、二重変調システム2202は、二重変調システム102よりもシンプルな解決策である。
【0098】
偏光されていない光又は部分的に偏光された光と共に使用するのに特に適した特定の実施例では、二重変調システム2202は、偏光子2210を含む。このような実施例では、偏光子2210は、偏光ビーム184を形成するため、レーザ光180の単一偏光コンポーネントを選択する。次に、偏光ビーム184は、位相SLM120によって位相変調を受けて偏光ビーム186を形成し、偏光ビーム186は、メカニカル振幅SLM130によって振幅変調を受けて光フィールド2292を形成する。次に、光フィールド2292は、合成変調光190について、
図1を参照して上述したように、フィルタ140によってフィルタリングされる。
【0099】
レーザ光180が偏光されるシナリオでは、位相SLM120の位相変調制御は、PBS110の省略によって損なわれず、偏光子2210は、二重変調システム2202の性能に影響を与えることなく省略されてもよい。
【0100】
図22は、二重変調システム2202が、二重変調システム2202に加えて、スクリーン照明194としてスクリーン152上に光フィールド2292を投影するためのプロジェクション光学系150を含む二重変調デジタルレーザプロジェクタ2200において実現される1つの利用シナリオにおいて二重変調システム2202を示す。スクリーン照明194は、スクリーン152上に画像を生成する。レーザプロジェクタ2200は、レーザ光180を生成するためのレーザベース照明モジュール160を更に含んでもよい。
【0101】
[特徴の組み合わせ]
上述された特徴は、以下で請求されるものと共に、それの範囲から逸脱することなく各種方法で組み合わされてもよい。例えば、ここで説明される1つの二重変調システム、レーザプロジェクタ又は関連する方法の態様が、ここに説明される他の二重変調システム、レーザプロジェクタ又は関連する方法の特徴を搭載又は置換してもよいことが理解されるであろう。以下の具体例は、上述した実施例のいくつかの可能な非限定的組み合わせを示す。他の多くの変更及び修正が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくここでの方法、製品及びシステムに行われてもよいことは明確である。
【0102】
(A1)二重変調レーザ投影システムは、相互に直交する偏光を有する第1及び第2の偏光ビームにレーザ光を分割する偏光ビームスプリッタと、前記第2の偏光ビームをビームステアリングする位相SLMと、前記位相SLMによってステアリングされるビームとして、(i)前記第1の偏光ビームと(ii)前記第2の偏光ビームとの組み合わせを振幅変調するメカニカル振幅SLMと、前記第1及び第2の偏光ビームの組み合わせから、前記メカニカル振幅SLMによって導入される複数の回折次数の1つ以上を削除し、フィルタリングされた変調出力光を生成するフィルタと、を有してもよい。
【0103】
(A2)(A1)に記載の二重変調レーザ投影システムは、前記第1及び第2の偏光ビームの組み合わせを形成し、前記メカニカル振幅SLMに向ける偏光ビーム合成器を更に含んでもよい。
【0104】
(A3)(A2)に記載の二重変調レーザ投影システムは、前記偏光ビーム合成器によって前記メカニカル振幅SLMに向けられる前記第1の偏光ビームの部分を調整するため、前記第1の偏光ビームの偏光を変更するために前記偏光ビームスプリッタと前記偏光ビーム合成器との間の波長板を更に含んでもよい。
【0105】
(A4)(A1)に記載の二重変調レーザ投影システムにおいて、前記メカニカル振幅SLMは、前記第1及び第2の偏光ビームの組み合わせを形成するため、2つの異なる各々の方向から前記第1及び第2の偏光ビームを受光するよう構成されてもよい。
【0106】
(A5)(A4)に記載の二重変調レーザ投影システムは、前記第1及び第2の偏光ビームが前記メカニカル振幅SLMによって受光される際に同じ偏光を有するように、前記メカニカル振幅SLM上での合成前に前記第1及び第2の偏光ビームの1つの偏光を回転する半波長板を更に含んでもよい。
【0107】
(A6)(A5)に記載の二重変調レーザ投影システムにおいて、前記半波長板は、前記第1の偏光ビームの経路に配置されてもよい。
【0108】
(A7)(A1)~(A6)に記載の二重変調レーザ投影システムの何れかにおいて、前記フィルタは、(a)前記回折次数を空間フーリエ変換するレンズと、(b)前記レンズのフーリエ面に配置され、前記回折次数の少なくとも1つを透過し、前記回折次数の残りを遮断するマスクと、を含んでもよい。
【0109】
(A8)(A7)に記載の二重変調レーザ投影システムは、前記マスクの後で前記第1及び第2の偏光ビームの組み合わせをコリメートするコリメートレンズを更に含んでもよい。
【0110】
(A9)(A1)~(A8)に記載の二重変調レーザ投影システムの何れかにおいて、前記メカニカル振幅SLMは、前記第1及び第2の偏光ビームの組み合わせの各々の空間コンポーネントの振幅を変調するミラーアレイを含んでもよい。
【0111】
(A10)(A9)に記載の二重変調レーザ投影システムは、前記ミラー上への前記第1及び第2の偏光ビームの入射角は、通常の入射に対して10度以下である。
【0112】
(A11)(A1)~(A10)に記載の二重変調レーザ投影システムの何れかにおいて、前記位相SLMは、前記第2の偏光ビームの前記ビームステアリングを引き起こすため前記第2の偏光ビームの各々の空間コンポーネントの位相を変調するための液晶アレイを含んでもよい。
【0113】
(A12)(A11)に記載の二重変調レーザ投影システムにおいて、前記位相SLMは、前記メカニカル振幅SLMに対して前記第2の偏光ビームを反射するよう構成されるLCOS(Liquid-Cryctal-On-Silicon)デバイスにおいて実現されてもよい。
【0114】
(A13)(A11)に記載の二重変調レーザ投影システムでは、前記液晶アレイは、前記メカニカル振幅SLMに対して前記第2の偏光ビームを透過するよう構成される液晶パネルにおいて実現されてもよい。
【0115】
(A14)(A1)~(A13)に記載の二重変調レーザ投影システムの何れかは、非偏光光として前記レーザ光を出力する照明モジュールを更に含んでもよい。
【0116】
(A15)多色二重変調レーザプロジェクタは、(a)(A1)~(A14)に記載される二重変調レーザ投影システムの何れか1つの3つのインスタンスであって、各インスタンスは3つの異なるカラーの各々のレーザ光を処理し、フィルタリングされた変調出力光を生成する、インスタンスと、(b)3つの異なるカラーの各々のフィルタリングされた変調出力光をコリメートし、コリメートされた出力光を生成するよう各々が構成される3つのコリメートレンズと、(c)3つの異なるカラーのコリメートされた出力光を合成するビーム合成器と、を含んでもよい。
【0117】
(B1)二重変調レーザ投影方法は、相互に直交する偏光を有する第1及び第2の偏光ビームにレーザ光を分割するステップと、前記第2の偏光ビームをビームステアリングするため前記第2の偏光ビームを空間的に不均一に位相変調するステップと、前記第2の偏光ビームを変調するステップの後、(i)前記第1及び第2の偏光ビームを合成光に合成するステップと、(ii)前記合成光を空間的に不均一にメカニカルに振幅変調するステップと、(iii)前記合成光から、前記合成光をメカニカルに振幅変調するステップにおいて導入される複数の回折次数の1つ以上を削除し、フィルタリングされた変調出力光を生成するステップと、を有してもよい。
【0118】
(B2)(B1)に記載の二重変調レーザ投影方法において、前記メカニカルに振幅変調するステップは、ミラーアレイの複数のミラーの向きを調整することを含んでもよい。
【0119】
(B3)(B1)及び(B2)に記載の二重変調レーザ投影方法において、前記分割するステップにおいて、前記相互に直交する偏光の各々はリニアであってもよい。
【0120】
(B4)(B3)に記載の二重変調レーザ投影方法は、前記合成するステップの前に、前記第1の偏光ビームの偏光を回転し、前記第1の偏光ビームの第1のリニア偏光コンポーネントのパワーを調整するステップを更に含み、前記合成するステップは、前記第2の偏光ビームを前記第1の偏光ビームの前記第1のリニア偏光コンポーネントのみと合成することを含んでもよい。
【0121】
(B5)(B3)に記載の二重変調レーザ投影方法は、前記第1及び第2の偏光ビームが前記メカニカルに振幅変調のステップの間に同じ偏光を有するように、前記第1及び第2の偏光ビームの1つの偏光を回転するステップを更に含んでもよい。
【0122】
(B6)(B1)~(B5)に記載の二重変調レーザ投影方法の何れかにおいて、前記削除するステップは、前記回折次数の角度をフーリエ面における前記回折次数の位置に空間フーリエ変換するステップと、前記フーリエ面において、(a)前記回折次数の第1のサブセットに対応する前記フーリエ面における位置を有する前記合成光の部分のみを透過し、(b)前記合成光の残りの部分を遮断するステップと、を含んでもよい。
【0123】
(B7)多色二重変調レーザ投影方法は、(I)3つの異なるカラーのそれぞれのレーザ光に対して、(a)(B1)~(B5)に記載される二重変調レーザ投影方法の何れか1つを実行し、前記3つの異なるカラーの各々を有するフィルタリングされた変調出力光を生成するステップと、(b)前記3つの異なるカラーの各々を有するフィルタリングされた変調出力光をコリメートするステップと、(II)前記3つの異なるカラーの各々に対してコリメートするステップの後、前記3つの異なるカラーのフィルタリングされた変調出力光を合成するステップと、を含んでもよい。
【0124】
ここの範囲から逸脱することなく、上記のシステム及び方法に変更がなされてもよい。従って、上記説明に含まれ、添付した図面に示される主題は限定的な意味でなく例示として解釈されるべきであることが留意されるべきである。以下の請求項は、言語の問題として、そこに属すると言われうる本システム及び方法の範囲の全ての説明と共に、ここに説明される汎用的及び具体的な特徴をカバーすることが意図される。