(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】イオン化源およびそれらを使用する方法ならびにシステム
(51)【国際特許分類】
H01J 49/14 20060101AFI20231120BHJP
H01J 49/00 20060101ALI20231120BHJP
H01J 49/06 20060101ALI20231120BHJP
H01J 49/26 20060101ALI20231120BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20231120BHJP
【FI】
H01J49/14 700
H01J49/00 400
H01J49/06 300
H01J49/26
G01N27/62 G
(21)【出願番号】P 2021573872
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020036968
(87)【国際公開番号】W WO2020252002
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-06-09
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505359506
【氏名又は名称】パーキンエルマー・ヘルス・サイエンシズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER HEALTH SCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトキン,アダム
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-339812(JP,A)
【文献】特開平06-096727(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086393(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 40/00-49/48
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化源であって、
多極ロッドアセンブリであって、前記多極ロッドアセンブリから、前記多極ロッドアセンブリのロッドの実質的に平行な配置によって形成されたイオンボリューム内に磁場および無線周波場の各々を提供するように構成された多極ロッドアセンブリと、
前記多極ロッドアセンブリの前記イオンボリューム内に電子を提供して、前記イオンボリューム内に導入された分析物をイオン化するように構成された電子源と、
前記電子源と共線状に配置され、前記電子源から電子を受け取るように構成された電子反射器と、を備える、イオン化源。
【請求項2】
前記多極ロッドアセンブリを取り囲むか、または前記多極ロッドアセンブリの内側にあるエンクロージャを備え、前記エンクロージャが、入口で前記電子源に流体結合されて、前記電子源からの前記電子が前記入口を通って前記イオンボリューム内に入ることを可能にする開口部を備える、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項3】
入口開口部および出口開口部を備えるイオン化ブロックをさらに備え、前記多極ロッドアセンブリの各ロッドの長手方向軸が、前記イオン化ブロックの長手方向軸と実質的に平行であり、前記入口開口部が、前記イオンボリュームに流体結合され、前記イオンボリューム内の分析物をイオン化するために、前記入口開口部を通した前記イオンボリューム内への電子の導入を可能とし、前記出口開口部が、前記イオン化ブロックからイオン化された分析物が出るのを可能にするように構成されている、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項4】
前記電子源と共線状に配置された電子リペラーをさらに備える、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項5】
前記多極ロッドアセンブリが、少なくとも4本のロッドを備える、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項6】
前記多極ロッドアセンブリが、四極ロッドアセンブリ、六極ロッドアセンブリ、八極ロッドアセンブリ、十極ロッドアセンブリまたは十二極ロッドアセンブリのうちの1つを含む、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項7】
前記多極ロッドアセンブリの各ロッドが、磁化可能な材料を含み、各ロッドが磁化されて同等の場強度を提供する、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項8】
前記多極ロッドアセンブリの各ロッドが、磁化可能な材料を含み、前
記多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、前記少なくとも1本のロッドおよび前記多極ロッドアセンブリの別のロッドが磁化されたときに、前記別のロッドとは異なる場強度を提供する、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項9】
前記多極ロッドアセンブリが、複数のロッドを備え、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの4本を使用して四極モードで動作するように構成され、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの6本を使用して六極モードで動作するように構成され、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの8本を使用して八極モードで動作するように構成されている、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項10】
前
記多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、前
記多極ロッドアセンブリの別のロッドとは異なる長さを備えるか、または前記多極ロッドアセンブリの別のロッドと非平行である、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項11】
前記多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドの断面幅が、前記少なくとも1本のロッドの長さに沿って変化する、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項12】
前記多極ロッドアセンブリの各ロッドの形状が、独立して、円錐形、丸形、先細り形、正方形、長方形、三角形、台形、放物線形、双曲線形または他の幾何学的形状である、請求項1に記載のイオン化源。
【請求項13】
前記多極ロッドアセンブリの少なくとも2本のロッドが、異なる形状を備える、請求項12に記載のイオン化源。
【請求項14】
質量分析計であって、
イオン化源であって、
多極ロッドアセンブリであって、前記多極ロッドアセンブリから、前記多極ロッドアセンブリのロッドの実質的に平行な配置によって形成されたイオンボリューム内に磁場および無線周波場の各々を提供するように構成された多極ロッドアセンブリと、
前記多極ロッドアセンブリの前記イオンボリュームに流体結合された電子源であって、前記電子源から前記イオンボリューム内に電子を提供して、前記イオンボリューム内に導入された分析物をイオン化する、電子源と、
前記電子源と共線状に配置され、前記電子源から電子を受け取るように構成された電子反射器と、を備える、イオン化源と、
前記イオンボリュームに流体結合され、かつ前記イオンボリュームから出るイオン化された分析物を受け取るように構成されている質量分析器と、を備える、質量分析計。
【請求項15】
電源に電気的に結合されたプロセッサをさらに備え、前記プロセッサが、前記多極ロッドアセンブリのロッドに前記電源から無線周波電圧を提供して、前記無線周波場を提供するように構成されている、請求項14に記載の質量分析計。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記多極ロッドアセンブリのロッドにDC電圧を提供するようにさらに構成されている、請求項15に記載の質量分析計。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記無線周波電圧を、四極モードで前
記多極ロッドアセンブリの4本のロッドに、六極モードで前
記多極ロッドアセンブリの6本のロッドに、および八極モードで前
記多極ロッドアセンブリの8本のロッドに提供する、請求項15に記載の
質量分析計。
【請求項18】
イオン化源であって、
多極ロッドアセンブリであって、前記多極ロッドアセンブリから、前記多極ロッドアセンブリのロッドの実質的に平行な配置によって形成されたイオンボリューム内に磁場および無線周波場の各々を提供するように構成された多極ロッドアセンブリを備え、前記多極ロッドアセンブリの各ロッドが、磁化可能な材料を含み、各ロッドが磁化されて同等の場強度を提供し、前記イオン化源はさらに、
前記多極ロッドアセンブリの前記イオンボリューム内に電子を提供して、前記イオンボリューム内に導入された分析物をイオン化するように構成された電子源
と、
前記電子源と共線状に配置され、前記電子源から電子を受け取るように構成された電子反射器とを備える、イオン化源。
【請求項19】
前記多極ロッドアセンブリを取り囲むか、または前記多極ロッドアセンブリの内側にあるエンクロージャを備え、前記エンクロージャが、入口で前記電子源に流体結合されて、前記電子源からの前記電子が前記入口を通って前記イオンボリューム内に入ることを可能にする開口部を備える、請求項18に記載のイオン化源。
【請求項20】
入口開口部および出口開口部を備えるイオン化ブロックをさらに備え、前記多極ロッドアセンブリの各ロッドの長手方向軸が、前記イオン化ブロックの長手方向軸と実質的に平行であり、前記入口開口部が、前記イオンボリュームに流体結合され、前記イオンボリューム内の分析物をイオン化するために、前記入口開口部を通した前記イオンボリューム内への電子の導入を可能とし、前記出口開口部が、前記イオン化ブロックからイオン化された分析物が出るのを可能にするように構成されている、請求項18に記載のイオン化源。
【請求項21】
前記電子源と共線状に配置された電子リペラーをさらに備える、請求項18に記載のイオン化源。
【請求項22】
前記多極ロッドアセンブリが、四極ロッドアセンブリ、六極ロッドアセンブリ、八極ロッドアセンブリ、十極ロッドアセンブリまたは十二極ロッドアセンブリのうちの1つを含む、請求項18に記載のイオン化源。
【請求項23】
前記多極ロッドアセンブリが、複数のロッドを備え、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの4本を使用して四極モードで動作するように構成され、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの6本を使用して六極モードで動作するように構成され、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの8本を使用して八極モードで動作するように構成されている、請求項18に記載のイオン化源。
【請求項24】
前
記多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、前
記多極ロッドアセンブリの別のロッドとは異なる長さを備えるか、または前記多極ロッドアセンブリの別のロッドと非平行である、請求項18に記載のイオン化源。
【請求項25】
前記多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドの断面幅が、前記少なくとも1本のロッドの長さに沿って変化する、請求項18に記載のイオン化源。
【請求項26】
前記多極ロッドアセンブリの各ロッドの形状が、独立して、円錐形、丸形、先細り形、正方形、長方形、三角形、台形、放物線形、双曲線形または他の幾何学的形状である、請求項18に記載のイオン化源。
【請求項27】
イオン化源であって、
多極ロッドアセンブリであって、前記多極ロッドアセンブリから、前記多極ロッドアセンブリのロッドの実質的に平行な配置によって形成されたイオンボリューム内に磁場および無線周波場の各々を提供するように構成された多極ロッドアセンブリを備え、前記多極ロッドアセンブリの各ロッドが、磁化可能な材料を含み、前
記多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、前記少なくとも1本のロッドおよび前記多極ロッドアセンブリの別のロッドが磁化されたときに、前記別のロッドとは異なる場強度を提供し、前記イオン化源はさらに、
前記多極ロッドアセンブリの前記イオンボリューム内に電子を提供して、前記イオンボリューム内に導入された分析物をイオン化するように構成された電子源
と、
前記電子源と共線状に配置され、前記電子源から電子を受け取るように構成された電子反射器とを備える、イオン化源。
【請求項28】
前記多極ロッドアセンブリを取り囲むか、または前記多極ロッドアセンブリの内側にあるエンクロージャを備え、前記エンクロージャが、入口で前記電子源に流体結合されて、前記電子源からの前記電子が前記入口を通って前記イオンボリューム内に入ることを可能にする開口部を備える、請求項27に記載のイオン化源。
【請求項29】
入口開口部および出口開口部を備えるイオン化ブロックをさらに備え、前記多極ロッドアセンブリの各ロッドの長手方向軸が、前記イオン化ブロックの長手方向軸と実質的に平行であり、前記入口開口部が、前記イオンボリュームに流体結合され、前記イオンボリューム内の分析物をイオン化するために、前記入口開口部を通した前記イオンボリューム内への電子の導入を可能とし、前記出口開口部が、前記イオン化ブロックからイオン化された分析物が出るのを可能にするように構成されている、請求項27に記載のイオン化源。
【請求項30】
前記電子源と共線状に配置された電子リペラーをさらに備える、請求項27に記載のイオン化源。
【請求項31】
前記多極ロッドアセンブリが、四極ロッドアセンブリ、六極ロッドアセンブリ、八極ロッドアセンブリ、十極ロッドアセンブリまたは十二極ロッドアセンブリのうちの1つを含む、請求項27に記載のイオン化源。
【請求項32】
前記多極ロッドアセンブリが、複数のロッドを備え、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの4本を使用して四極モードで動作するように構成され、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの6本を使用して六極モードで動作するように構成され、前記多極ロッドアセンブリが、前記複数のロッドのうちの8本を使用して八極モードで動作するように構成されている、請求項27に記載のイオン化源。
【請求項33】
前
記多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、前
記多極ロッドアセンブリの別のロッドとは異なる長さを備えるか、または前記多極ロッドアセンブリの別のロッドと非平行である、請求項27に記載のイオン化源。
【請求項34】
前記多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドの断面幅が、前記少なくとも1本のロッドの長さに沿って変化する、請求項27に記載のイオン化源。
【請求項35】
前記多極ロッドアセンブリの各ロッドの形状が、独立して、円錐形、丸形、先細り形、正方形、長方形、三角形、台形、放物線形、双曲線形または他の幾何学的形状である、請求項27に記載のイオン化源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イオン化源の特定の構成が記載されている。より詳細には、磁場および無線周波場を提供するロッドアセンブリを備えるイオン化源が開示されている。
【背景技術】
【0002】
試料中の分析物化学種は、質量分析によって検出される前にイオン化される。既存のイオン化源では、イオン化効率が低いことが多く、多くの分析物のトレース検出を制限している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
磁場および無線周波(RF)場を提供することができるロッドアセンブリを備えるイオン化源の特定の態様が記載されている。いくつかの場合では、ロッドアセンブリは、4本、6本、8本、10本、12本またはそれ以上のロッドを含んでもよい。各ロッドは、磁化されるか、または磁化可能であることができる。ロッドアセンブリは、分析物種をイオン化するために使用され得る1つ以上のイオン化源を提供するために、他の構成要素と組み合わせて存在することができる。
【0004】
ある態様において、イオン化源は、多極ロッドアセンブリであって、多極ロッドアセンブリのロッドの実質的に平行な配置によって形成されたイオンボリューム内に磁場および無線周波場を提供するように構成された多極ロッドアセンブリと、多極ロッドアセンブリのイオンボリューム内に電子を提供して、イオンボリューム内に導入された分析物をイオン化するように構成された電子源とを備える。
【0005】
特定の例では、イオン化源は、多極ロッドアセンブリを取り囲むか、または多極ロッドアセンブリの内側にある任意選択のエンクロージャを備え、エンクロージャは、入口で電子源に流体結合されて、電子源からの電子が入口を通ってイオンボリューム内に入ることを可能にする開口部を備える。他の例では、イオン化源は、入口開口部および出口開口部を備え、多極ロッドアセンブリの各ロッドの長手方向軸が、イオン化ブロックの長手方向軸と実質的に平行であり、入口開口部が、イオンボリュームに流体結合され、イオンボリューム内の分析物をイオン化するために、入口開口部を通したイオンボリューム内への電子の導入を可能とし、出口開口部が、イオン化ブロックからイオン化された分析物が出るのを可能にするように構成されている。
【0006】
いくつかの例では、イオン化源は、電子源と共線形に配置された電子リペラーおよび/または電子源と共線形に配置され、電子源から電子を受け取るように構成された電子反射器のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0007】
他の実施例では、多極ロッドアセンブリは、少なくとも4本のロッドを備える。例えば、多極ロッドアセンブリは、四極ロッドアセンブリ、六極ロッドアセンブリ、八極ロッドアセンブリ、十極ロッドアセンブリ、または十二極ロッドアセンブリのうちの1つを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、多極ロッドアセンブリの各ロッドは、磁化可能な材料を含み、各ロッドが磁化されて同等の場強度を提供する。他の実施形態では、多極ロッドアセンブリの各ロッドは、磁化可能な材料を含み、多極アセンブリのロッド、例えば、少なくとも1本のロッドが、1本のロッドおよび多極アセンブリの別のロッドが磁化されたときに、別のロッドとは異なる場強度を提供する。
【0009】
いくつかの実施例では、電子源は、フィラメント、場エミッタまたは他の電子源を含む。
【0010】
特定の例では、多極ロッドアセンブリは、複数のロッドを含む。例えば、多極ロッドアセンブリは、複数のロッドのうちの4本を使用して四極モードで動作し、複数のロッドのうちの6本を使用して六極モードで動作し、複数のロッドのうちの8本を使用して八極モードで動作するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、多極アセンブリの少なくとも1本のロッドが、多極アセンブリの別のロッドとは異なる長さを備える。他の例では、多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、他のロッドと非平行である。いくつかの例では、多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドの断面幅が、少なくとも1本のロッドの長さに沿って変化する。他の実施例では、多極ロッドアセンブリの各ロッドの形状が、独立して、円錐形、丸形、先細り形、正方形、長方形、三角形、台形、放物線形、双曲線形または他の幾何学的形状である。いくつかの実施形態では、多極ロッドアセンブリの少なくとも2本のロッドが、異なる形状を備える。
【0012】
別の態様では、質量分析計は、イオン化源であって、多極ロッドアセンブリであって、多極ロッドアセンブリのロッドの実質的に平行な配置によって形成されたイオンボリューム内に磁場および無線周波場を提供するように構成された多極ロッドアセンブリと、多極ロッドアセンブリのイオンボリュームに流体結合された電子源であって、電子源からイオンボリューム内に電子を提供して、イオンボリュームに内に導入された分析物をイオン化する、電子源と、を備える、イオン化源を備える。質量分析計はまた、イオンボリュームに流体結合され、かつイオンボリュームから出るイオン化された分析物を受け取るように構成されている質量分析器を備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、質量分析計が、イオン化源の多極ロッドアセンブリと質量分析器の入口との間に位置付けされたイオン光学系を備える。追加の例では、質量分析計が、電源に電気的に結合されたプロセッサを備え、プロセッサが、多極ロッドアセンブリのロッドに電源から無線周波電圧を提供して、無線周波場を提供するように構成されている。場合によっては、プロセッサが、多極ロッドアセンブリのロッドにDC電圧を提供するようにさらに構成されているが、必要に応じて、AC電圧またはRF電圧(またはその両方)も提供することができる。
【0014】
いくつかの実施例では、プロセッサが、無線周波電圧を、四極モードで多極アセンブリの4本のロッド、六極モードで多極アセンブリの6本のロッド、および八極モードで多極アセンブリの8本のロッドに提供する。他の例では、2本以上のロッドが単一のロッドとして機能するように、ロッドを対にまたはグループ化することができる。いくつかの実施形態では、無線周波電圧は、アナログ制御を使用して多極ロッドアセンブリのロッドに提供される。
【0015】
いくつかの実施例では、多極ロッドアセンブリが、四極ロッドアセンブリ、六極ロッドアセンブリ、八極ロッドアセンブリ、十極ロッドアセンブリ、または十二極ロッドアセンブリのうちの1つを含む。ある特定の実施形態では、多極ロッドアセンブリの各ロッドが、磁化可能な材料を含み、各ロッドが磁化されて同等の場強度を提供する。他の例では、多極ロッドアセンブリの各ロッドが、磁化可能な材料を含み、多極アセンブリの少なくとも1本のロッドが、多極アセンブリの別のロッドとは異なる場強度を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、多極アセンブリの少なくとも1本のロッドが、多極アセンブリの別のロッドとは異なる長さを備える。他の実施形態では、多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドの断面幅が、少なくとも1本のロッドの長さに沿って変化する。いくつかの実施例では、多極ロッドアセンブリの各ロッドの形状が、独立して、円錐形、丸形、先細り形、正方形、長方形、三角形、台形、放物線形、双曲線形、または他の幾何学的形状である。
【0017】
他の実施形態では、質量分析計が、クロマトグラフィーシステムをさらに備え、クロマトグラフィーシステムが、クロマトグラフィーシステムから試料をイオンボリューム内に導入するように、イオンボリュームに流体結合されている。他の実施形態では、質量分析計が、質量分析器に結合された検出器を備える。追加の例では、質量分析計が、プロセッサと、命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体とを備えるデータ分析システムをさらに備え、命令が、プロセッサによって実行されると、多極ロッドアセンブリのロッドに提供される電圧を制御する。
【0018】
追加の態様では、分析物をイオン化する方法が、多極ロッドアセンブリのロッドの実質的に平行な配置から形成されたイオンボリューム内に分析物を導入することを含み、イオンボリュームが、電子源から電子を受け取るように構成され、多極ロッドアセンブリが、電子源から受け取られた電子を使用して、イオンボリューム内に磁場および無線周波場を提供し、分析物のイオン化効率を高める。
【0019】
いくつかの実施例では、方法は、多極ロッドアセンブリに提供された無線周波電圧を選択して、イオンボリューム内で生成されるイオンをイオンボリュームの内部領域に拘束することを含む。他の例では、多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、多極ロッドアセンブリの別のロッドとは異なる磁化可能な材料を含む。様々な実施形態では、本方法が、多極ロッドアセンブリの4本のロッドに無線周波電圧を提供して、イオンボリューム内に四極場を提供することを含む。いくつかの例では、各ロッドが、同等の場強度に磁化されるか、または少なくとも1本のロッドが、異なる場強度に磁化される。
【0020】
別の態様では、多極ロッドアセンブリを含むイオン化源を組み立てる方法が説明される。複数のロッドが、互いに実質的に平行に配置されて、ロッドの配置からイオンボリュームを形成することができる。イオンボリュームが、多極ロッドアセンブリの第1の端部で電子源から電子を受け取り、イオン量からイオン化された分析物を多極ロッドアセンブリの第2の端部で質量分析器に提供するように構成される。多極ロッドアセンブリの各ロッドは、各ロッドが組み立てられて多極ロッドアセンブリのイオンボリュームを形成した後に磁化される。いくつかの例では、多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、多極ロッドアセンブリの別のロッドの場強度とは異なる場強度に磁化される。
【0021】
追加の態様では、多極ロッドアセンブリを備えるイオン化源を組み立てる方法であって、複数のロッドが互いに実質的に平行に配置されて、ロッドの配置からイオンボリュームを形成し、イオンボリュームが、多極アセンブリの第1の端部で電子源から電子を受け取り、イオンボリュームからイオン化された分析物を多極ロッドアセンブリの第2の端部で質量分析器に提供するように構成され、多極ロッドアセンブリの各ロッドが、各ロッドが組み立てられて多極ロッドアセンブリのイオンボリュームを形成する前に磁化される、方法。いくつかの例では、多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドが、多極ロッドアセンブリの別のロッドの場強度とは異なる場強度に磁化される。
【0022】
追加の態様、実施例、実施形態、および構成も説明される。
本明細書に開示される技術の特定の例示は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】いくつかの例による、4本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図2】特定の例による、6本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図3】いくつかの例による、4本のロッドが使用されている6本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、8本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図5】特定の実施形態による、4本のロッドが使用されている8本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図6】特定の実施形態による、6本のロッドが使用されている8本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図7】特定の例による、10本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図8】いくつかの例による、4本のロッドが使用されている10本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図9】特定の実施形態による、6本のロッドが使用されている10本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図10】特定の例による、8本のロッドが使用されている10本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図11】特定の例による、12本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図12】いくつかの例による、4本のロッドが使用されている12本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図13】特定の例による、6本のロッドが使用されている12本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図14】いくつかの例による、8本のロッドが使用されている12本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図15】特定の例による、10本のロッドが使用されている12本のロッドを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図16】特定の例による、2つの別個のロッドアセンブリを含む多極ロッドアセンブリの図である。
【
図17】いくつかの実施形態による、電子源とロッドアセンブリとを備えるイオン化源の図である。
【
図18】特定の例による、エンクロージャまたはイオン化ブロックを備えるイオン化源の図である。
【
図19】いくつかの実施形態による、イオンリペラーおよび電子反射器を備えるイオン化源の別の図である。
【
図20】いくつかの実施形態による、長さが変化している少なくとも1本のロッドを有するロッドアセンブリの図である。
【
図21】特定の例による、少なくとも1本の傾斜しているロッドを有するロッドアセンブリの図である。
【
図22A】いくつかの例による、ロッドの異なる領域で異なる幅を含むロッドの図である。
【
図22B】いくつかの例による、ロッドの異なる領域で異なる幅を含むロッドの図である。
【
図23A】特定の実施形態による、ロッドの様々な断面形状を示す図である。
【
図23B】特定の実施形態による、ロッドの様々な断面形状を示す図である。
【
図23C】特定の実施形態による、ロッドの様々な断面形状を示す図である。
【
図23D】特定の実施形態による、ロッドの様々な断面形状を示す図である。
【
図23E】特定の実施形態による、ロッドの様々な断面形状を示す図である。
【
図23F】特定の実施形態による、ロッドの様々な断面形状を示す図である。
【
図23G】特定の実施形態による、ロッドの様々な断面形状を示す図である。
【
図24】いくつかの例による、少なくとも1本のロッドが異なる断面形状を有するロッドアセンブリを示す図である。
【
図25】いくつかの実施例による、イオン化源に結合されたガスクロマトグラフィーシステムの図である。
【
図26】いくつかの実施例による、イオン化源に結合された液体クロマトグラフィーシステムの図である。
【
図27】特定の例による、2つのイオン化源に結合された上流構成要素の図である。
【
図28】いくつかの実施形態による、質量分析計の特定の構成要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
特定の実施形態は、イオン化源について記載される。ロッドの正確な数、ロッドの形状、およびイオン化源内に存在する他の構成要素の数およびタイプは、様々であり得る。加えて、イオン化源を備え得る正確なシステムまたはデバイスは様々であり得、イオン化源は通常、質量分析計およびクロマトグラフィーシステムと使用される。イオン化源、それらを含むシステム、およびそれらを使用する方法の概観図は、技術のより良い理解を容易にするために提供され、イオン化源に存在し得る正確な配置または構成要素を限定することを意図しない。
【0025】
ある特定の構成では、本明細書に記載のイオン化源は、概して、多極ロッドアセンブリと、電子源とを備える。多極ロッドアセンブリは、ロッドアセンブリを使用して磁場および無線周波(RF)場を提供するように構成されてもよい。例えば、ロッドは、互いに実質的に平行に配置される(または他の様式で配置される)ことができ、ロッド配置によって形成されるイオンボリュームを有する。電子源からの電子は、イオンボリュームに提供され、イオンボリューム内に導入された1つ以上の分析物をイオン化するために使用され得る。以下でより詳細に説明するように、ロッドは、個々に使用することができ、または2つ以上のロッドが多極ロッドアセンブリ内で単一のロッドとして機能するように、対にされるか、またはグループ化されることができる。電子は、通常、ロッドの長手方向軸に実質的に平行な方向に導入されるが、電子は、必要に応じて、他の角度および他の方向に導入されることができる。任意の1つの特定の理論または作用機構に束縛されることを望まないが、磁場は主に、電子運動をロッドアレイの中心領域に拘束し、RF場は主に、結果として生じるイオンをロッドアレイの中心に拘束する。いくつかの構成では、磁場およびRF場は、イオン化源を使用して生成されたイオンを濾過または選択することなく、分析物試料をイオン化するために使用され得る。
【0026】
いずれかの1つの構成に束縛されることを望まないが、ロッドからの磁場成分は、電子源からの電子を拘束するように使用されて、イオン化源内のロッドアレイの中心を縦断させることができ、RF場成分は、イオン化源内で生成されたイオンを拘束するように使用され得る。しかしながら、他の例では、磁場およびRF場の場強度は、磁場がイオンを拘束することができ、RF場が電子を拘束することができるように選択されることができる。
【0027】
いくつかの実施例では、本明細書に記載のイオン化源は、
図1の上面図に示されるように、多極ロッドアセンブリ100内に4本のロッドを含み得る。ロッドは、本明細書の多くの図において円形の断面を有するように示されているが、この形状は、単に例示の便宜のために提供されている。ロッドの正確な形状は、以下でより詳細に述べるように、異なり得、先細り、異なる、またはそうでなければ、ロッドの長さおよび/もしくは幅に沿って非円形および/もしくは非対称であり得る。ロッド112、114、116および118はそれぞれ、ロッドアセンブリ100によって形成されるイオンボリューム105内に磁場を提供してもよく、またイオンボリューム105内に無線周波場を提供してもよい。例えば、ロッド112、114、116、および118の各々は、イオンボリューム105内に磁場を提供するために磁性であっても、または磁化可能であってもよい。いくつかの構成では、ロッド112、114、116および118の各々は、永久磁化または少なくともある期間、磁化され得る材料を含み得る。ロッド112、114、116および118の各々はまた、無線周波発生器に電気的に結合され、それにより各ロッドが、イオンボリューム105内に無線周波場を提供してもよい。ロッド112、114、116および118の各々は、共通の無線周波発生器に電気的に結合されてもよく、またはそれぞれの無線周波発生器に電気的に結合されてもよい。代替的に、任意の2本以上のロッドを無線周波発生器に電気的に結合することができる。無線周波場および磁場はそれぞれ、ロッド112、114、116および118によって提供される。この配置は、本明細書に記載のイオン化源を簡略化し、必要に応じて、既存のイオン化源のイオン化チャンバの外部に典型的に存在する永久磁石の省略を可能にすることができる。
【0028】
いくつかの実施例では、本明細書に記載のイオン化源は、
図2の上面図に示されるように、多極ロッドアセンブリ200内に6本のロッドを含み得る。ロッド212、214、216、218、220および222はそれぞれ、ロッドアセンブリ200によって形成されるイオンボリューム205内に磁場を提供してもよく、また、イオンボリューム205内に無線周波場を提供してもよい。例えば、ロッド212、214、216、218、220および222の各々は、イオンボリューム205内に磁場を提供するために磁性であっても、または磁化可能であってもよい。いくつかの構成では、ロッド212、214、216、218、220および222の各々は、永久磁化または少なくともある期間、磁化され得る材料を含み得る。ロッド212、214、216、218、220および222の各々はまた、無線周波発生器に電気的に結合されてもよく、そのため、各ロッドは、イオンボリューム205内に無線周波場を提供する。ロッド212、214、216、218、220および222の各々は、共通の無線周波発生器に電気的に結合されてもよく、またはそれぞれの無線周波発生器に電気的に結合されてもよい。代替的に、ロッド212、214、216、218、220および222のうちの任意の2つ以上は、無線周波発生器に電気的に結合され得る。無線周波場および磁場はそれぞれ、ロッド212、214、216、218、220および222によって提供される。
【0029】
ロッドアセンブリが6本のロッドを含む特定の実施形態では、ロッドのうちの4本のみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図3を参照すると、ロッド312、314、316、318、320および322を含むロッドアセンブリ300が示されている。陰影化によって示されるように、ロッド314、316、320および322のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。代わりに、必要に応じて、4本の異なるロッドをアクティブにするか使用することができる。残りの2本のロッドは、ロッドアセンブリ300内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられても、またはアクティブにされてもよい。例えば、4本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、6本のロッド312、314、316、318、320および322のすべてからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本のロッドによって提供されるRF場をオンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0030】
ある特定の構成において、本明細書に記載されるイオン化源は、
図4の上面図に示されるように、多極ロッドアセンブリ400内に8本のロッドを含み得る。ロッド412、414、416、418、420、422、424および426はそれぞれ、ロッドアセンブリ400によって形成されるイオンボリューム405内に磁場を提供してもよく、また、イオンボリューム405内に無線周波場を提供してもよい。例えば、ロッド412、414、416、418、420、422、424および426の各々は、イオンボリューム405内に磁場を提供するために磁性であっても、または磁化可能であってもよい。いくつかの構成では、ロッド412、414、416、418、420、422、424および426の各々は、永久磁化または少なくともある期間、磁化され得る材料を含み得る。ロッド412、414、416、418、420、422、424および426の各々はまた、無線周波発生器に電気的に結合されてもよいため、各ロッドは、イオンボリューム405内に無線周波場を提供する。ロッド412、414、416、418、420、422、424および426の各々は、共通の無線周波発生器に電気的に結合されてもよく、またはそれぞれの無線周波発生器に電気的に結合されてもよい。代替的に、ロッド412、414、416、418、420、422、424および426のうちの任意の2本以上は、無線周波発生器に電気的に結合されてもよい。無線周波場および磁場はそれぞれ、ロッド412、414、416、418、420、422、424および426によって提供される。この配置は、本明細書に記載のイオン化源を簡略化し、必要に応じて、既存のイオン化源のイオン化チャンバの外部に典型的に存在する永久磁石の省略を可能にすることができる。
【0031】
ロッドアセンブリが8本のロッドを含む特定の実施形態では、4本のロッドのみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図5を参照すると、ロッド512、514、516、518、520、522、524および526を備えるロッドアセンブリ500が示されている。
図5にて陰影化によって示されるように、ロッド512、518、520および526のみがイオン化中にアクティブであるか、または使用される。必要に応じて、異なる4本のロッドをアクティブにすることもできる。例えば、必要に応じて、他のすべてのロッドは、アクティブであってもよい。残りの4本のロッドは、ロッドアセンブリ500内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられてもよく、またはアクティブにされてもよい。例えば、4本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、8本のロッド512、514、516、518、520、522、524および526(または6本のロッド)のすべてからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、4本のロッドによって提供されるRF場をオンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0032】
ロッドアセンブリが8本のロッドを含む特定の例では、4本のロッドのみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図6を参照すると、ロッド612、614、616、618、620、622、624および626を備えるロッドアセンブリ600が示されている。
図6にて陰影化によって示されるように、ロッド612、616、618、620、624および626のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。必要に応じて、6本の異なるロッドをアクティブにすることができる。残りの2本のロッドは、ロッドアセンブリ600内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられてもよく、またはアクティブにされてもよい。例えば、6本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、8本のロッド612、614、616、618、620、622、624および626のすべてからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本または4本のロッドによって提供されるRF場をオンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0033】
ある特定の例では、本明細書に記載されるイオン化源は、
図7の上面図に示されるように、多極ロッドアセンブリ700内に10本のロッドを含み得る。ロッド712、714、716、718、720、722、724、726、728および730はそれぞれ、ロッドアセンブリ700によって形成されるイオンボリューム705内に磁場を提供してもよく、また、イオンボリューム705内に無線周波場を提供してもよい。例えば、ロッド712、714、716、718、720、722、724、726、728および730の各々は、イオンボリューム705内に磁場を提供するために磁性であっても、または磁化可能であってもよい。いくつかの構成では、ロッド712、714、716、718、720、722、724、726、728および730の各々は、永久磁化または少なくともある期間、磁化され得る材料を含み得る。ロッド712、714、716、718、720、722、724、726、728および730の各々はまた、無線周波発生器に電気的に結合されてもよく、そのため各ロッドは、イオンボリューム705内に無線周波場を提供する。ロッド712、714、716、718、720、722、724、726、728および730の各々は、共通の無線周波発生器に電気的に結合されてもよく、またはそれぞれの無線周波発生器に電気的に結合されてもよい。代替的に、ロッド712、714、716、718、720、722、724、726、728および730のうちの任意の2本以上は、無線周波発生器に電気的に結合され得る。無線周波場および磁場はそれぞれ、ロッド712、714、716、718、720、722、724、726、728および730によって提供される。この配置は、本明細書に記載のイオン化源を簡略化し、必要に応じて、既存のイオン化源のイオン化チャンバの外部に典型的に存在する永久磁石の省略を可能にすることができる。
【0034】
ロッドアセンブリが10本のロッドを含む特定の例では、4本のロッドのみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図8を参照すると、ロッド812、814、816、818、820、822、824、826、828および830を含むロッドアセンブリ800が示されている。
図8にて陰影化によって示されるように、ロッド814、818、824および828のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。必要に応じて、他の4本のロッドをアクティブにすることも、使用することもできる。残りの6本のロッドは、ロッドアセンブリ800内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられてもよく、またはアクティブにされてもよい。例えば、4本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、10本のロッド812、814、816、818、820、822、824、826、828および830のすべてからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本または4本または6本のロッドによって提供されるRF場は、オンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0035】
ロッドアセンブリが10本のロッドを含む特定の実施形態では、ロッドのうちの6本のみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図9を参照すると、ロッド912、914、916、918、920、922、924、926、928および930を含むロッドアセンブリ900が示されている。
図9にて陰影化によって示されるように、ロッド914、918、920、924、928および930のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。代わりに、必要に応じて、他の6本のロッドをアクティブにすることも、使用することもできる。残りの4本のロッドは、ロッドアセンブリ900内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられてもよく、またはアクティブにされてもよい。例えば、6本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、10本のロッド912、914、916、918、920、922、924、926、928および930のすべてからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本または4本のロッドによって提供されるRF場をオンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0036】
ロッドアセンブリが10本のロッドを含む特定の実施形態では、8本のロッドのみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図10を参照すると、ロッド1012、1014、1016、1018、1020、1022、1024、1026、1028および1030を含むロッドアセンブリ1000が示されている。
図10にて陰影化によって示されるように、ロッド1012、1014、1018、1020、1022、1024、1028および1030のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。代わりに、必要に応じて、他の10本のロッドを使用するか、またはアクティブにすることができる。残りの2本のロッドは、ロッドアセンブリ1000内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられてもよく、またはアクティブにされてもよい。例えば、8本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、10本のロッド1012、1014、1016、1018、1020、1022、1024、1026、1028および1030のすべてからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本のロッドによって提供されるRF場をオンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0037】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のイオン化源は、
図11の上面図に示すように、多極ロッドアセンブリ1100内に12本のロッドを含み得る。ロッド1112、1114、1116、1118、1120、1122、1124、1126、1128、1130、1132および1134はそれぞれ、ロッドアセンブリ1100によって形成されるイオンボリューム1105内に磁場を提供してもよく、また、イオンボリューム1105内に無線周波場を提供してもよい。例えば、ロッド1112、1114、1116、1118、1120、1122、1124、1126、1128、1130、1132および1134の各々は、イオンボリューム1105内に磁場を提供するために磁性であっても、または磁化可能であってもよい。いくつかの構成では、ロッド1112、1114、1116、1118、1120、1122、1124、1126、1128、1130、1132および1134の各々は、永久磁化または少なくともある期間、磁化され得る材料を含んでもよい。ロッド1112、1114、1116、1118、1120、1122、1124、1126、1128、1130、1132および1134の各々はまた、無線周波発生器に電気的に結合されてもよく、そのため各ロッドは、イオンボリューム1105内に無線周波場を提供する。ロッド1112、1114、1116、1118、1120、1122、1124、1126、1128、1130、1132および1134の各々は、共通の無線周波発生器に電気的に結合されてもよく、またはそれぞれの無線周波発生器に電気的に結合されてもよい。代替的に、ロッド1112、1114、1116、1118、1120、1122、1124、1126、1128、1130、1132および1134のうちの任意の2本以上は、無線周波発生器に電気的に結合され得る。無線周波場および磁場はそれぞれ、ロッド1112、1114、1116、1118、1120、1122、1124、1126、1128、1130、1132および1134によって提供される。この配置は、本明細書に記載のイオン化源を簡略化し、必要に応じて、既存のイオン化源のイオン化チャンバの外部に典型的に存在する永久磁石の省略を可能にすることができる。
【0038】
ロッドアセンブリが12本のロッドを含む特定の実施形態では、4本のロッドのみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図12を参照すると、ロッドアセンブリ1200は、ロッド1212、1214、1216、1218、1220、1222、1224、1226、1228、1230、1232および1234を含むことが示されている。
図12にて陰影化によって示されるように、ロッド1214、1220、1226および1232のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。代わりに、必要に応じて、他の4本のロッドをアクティブにすることも、使用することもできる。残りの8本のロッドは、ロッドアセンブリ1200内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられても、またはアクティブにされてもよい。例えば、4本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、12本のロッド1212、1214、1216、1218、1220、1222、1224、1226、1228、1230、1232および1234のすべてからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本、4本、6本または8本のロッドによって提供されるRF場は、オンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0039】
ロッドアセンブリが12本のロッドを含む特定の例では、ロッドのうちの6本のみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図13を参照すると、ロッド1312、1314、1316、1318、1320、1322、1324、1326、1328、1330、1332および1334を含むロッドアセンブリ1300が示されている。
図13にて陰影化によって示されるように、ロッド1314、1318、1320、1326、1330および1332のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。代わりに、必要に応じて、他の6本のロッドを使用するか、またはアクティブにすることができる。残りの6本のロッドは、ロッドアセンブリ1300内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられてもよく、またはアクティブにされてもよい。例えば、6本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、12本のロッド1312、1314、1316、1318、1320、1322、1324、1326、1328、1330、1332および1334のすべてからの無線周波場を、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本、4本または6本のロッドによって提供されるRF場は、オンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0040】
ロッドアセンブリが12本のロッドを含む他の例では、8本のロッドのみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図14を参照すると、ロッド1412、1414、1416、1418、1420、1422、1424、1426、1428、1430、1432および1434を備えるロッドアセンブリ1400が示されている。
図14にて陰影化によって示されるように、ロッド1412、1414、1418、1420、1424、1426、1430および1432のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。必要に応じて、他の8本のロッドをアクティブにすることも、使用することもできる。残りの4本のロッドは、ロッドアセンブリ1400内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられてもよく、またはアクティブにされてもよい。例えば、8本のロッドのみからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、12本のロッド1412、1414、1416、1418、1420、1422、1424、1426、1428、1430、1432および1434のすべてからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本または4本のロッドによって提供されるRF場をオンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0041】
ロッドアセンブリが12本のロッドを含む追加の例では、10本のロッドのみを使用して分析物をイオン化することが望ましい場合がある。
図15を参照すると、ロッド1512、1514、1516、1518、1520、1522、1524、1526、1528、1530、1532および1534を含むロッドアセンブリ1500が示されている。
図15にて陰影化によって示されるように、ロッド1512、1514、1518、1520、1522、1524、1526、1530、1532および1534のみが、イオン化中にアクティブであるか、または使用される。代わりに、必要に応じて、他の10本のロッドをアクティブにすることも、使用することもできる。残りの2本のロッドは、ロッドアセンブリ1500内の場を変更するために、イオン化中のある期間にオンに切り替えられてもよく、またはアクティブにされてもよい。例えば、10本のみのロッドからの無線周波場は、第1の期間のイオン化中に使用することができ、次いで、ロッド1512、1514、1516、1518、1520、1522、1524、1526、1528、1530、1532および1534のすべての12本のロッドからの無線周波場は、第2の期間に、または異なる分析物のために使用することができる。必要に応じて、2本のロッドによって提供されるRF場をオンおよびオフにパルス化または切り替えることができる。
【0042】
2本、4本、6本、8本、10本および12本の個々のロッドを含む多極ロッドアセンブリを記載したが、12本を超える個々のロッドがイオン化源に存在し得る。さらに、イオン化源は、任意の1つのイオン化源に存在する単一の多極ロッドアセンブリより多くを含んでもよい。異なるロッドアセンブリに存在するロッドの数は、同じであり得るか、または異なることができる。例示は、
図16に示され、4本のロッドを含む第1の多極ロッドアセンブリ1610は、6本のロッドを含む第2の多極ロッドアセンブリ1620と組み合わせて存在する。各それぞれのロッドアセンブリは、独自の電子源を備えてもよく、または共通の電子源を使用して、アセンブリ1610、1620の各々に電子を提供してもよい。アセンブリ1610、1620は、ハウジングまたはエンクロージャ1605に存在するように示されているが、必要に応じてこのハウジングを省略することができる。
【0043】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される多極ロッドアセンブリは、電子源と共に使用され得る。電子源は、概して、ロッドのアセンブリによって形成される空間内に自由電子を提供する。質量分析計の検出限界(「感度」)を制御する1つの要因は、イオン源におけるイオンへの分子の変換の効率(イオン化された分子の割合)である。検出限界を改善できる1つの方法は、「より明るい」イオン源を提供することである。本明細書に記載されるロッドアセンブリからの磁場およびRF場は、次いで、電子によって占有される空間内に導入された分析物分子をイオン化するために使用され得る、電子の集束を制限、誘導、拘束するために使用され得る。試料分子のこの同軸イオン化は、電子ビームがイオンビームに垂直であり、比例的に高いイオン化効率を提供することができる、従来の「Nier」型イオン源よりも大きな電子および分子の相互作用ボリュームをもたらすことができる。イオンボリュームの前後のリペラーおよびレンズ素子の電圧の適切な選択は、イオンボリュームを通じて電子の前後反射を可能にし、有効な電子源の明るさおよびイオン化効率をさらに高めることができる。得られるイオン生成物は、ロッドアセンブリから出て、例えば、イオンガイド、質量分析器、検出器などの下流構成要素に提供されることができる。いくつかの実施形態では、電子源は、ワイヤ、コイル、リボン、場エミッタ、フィラメント、またはそれらの組み合わせとして構成され得る。
【0044】
いくつかの例では、本明細書に記載されるロッドアセンブリのロッドで使用される材料は、磁性、磁化可能、または磁化され得る。例えば、ロッドアセンブリを組み立て、次いで様々なロッドを磁化することが望ましい場合がある。しかしながら、必要に応じて、ロッドは、個々に磁化され、次いで、多極ロッドアセンブリ内に組み立てられることができる。いくつかの実施例では、磁化されると、ロッドは、ロッドアセンブリの寿命の間、磁性を維持することができる。他の例では、ロッドの周期的な再磁化が実行され得る。例えば、ロッドのクリーニング中に、ロッドは再磁化され得る。ロッドに使用することができる例示的な材料としては、ニッケル、コバルト、アルミニウム、または他の材料のうちの1つ以上を含む鉄合金が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、ロッドに使用される材料は、アルミニウム、ニッケル、コバルト、銅、チタン、および任意選択で他の材料を含むアルミニウム合金であってもよい。例えば、アルニコ材料が、本明細書に記載されるロッドで使用され得る。必要に応じて、希土類材料を代わりに、本明細書に記載されるロッドアセンブリにおいて使用することができる。例えば、本明細書に記載されるロッドアセンブリは、イットリウム、サマリウム、ネオジムを含むが、これらに限定されない希土類金属を含み得、さらに例えば、ホウ素、鉄、コバルト、銅、ジルコニウム、または他の金属および非金属を含む他の元素を任意選択で含み得る。ロッドによって提供される正確な場強度は様々であり、各ロッドに対して同じである必要はない。提供される正確な残留は、温度によって変化し得るが、ロッドが磁化された後の例示的な場の強度としては、0.005テスラ~約1.5テスラ、より具体的には、0.6テスラ~約1.2テスラ、または約0.8テスラ~約1テスラが挙げられるが、これらに限定されない。温度は、イオン化源が存在する特定のデバイスまたはシステムに応じて変化し得るが、ロッドアセンブリは、典型的には、摂氏350度までの作業温度で使用されるが、より高い温度でも使用され得る。
【0045】
ある特定の実施形態では、ロッドアセンブリは、磁化の前に組み立てられ得、次いで、組み合わされたロッドは、多くの異なるタイプの磁石から提供され得る外部磁場を使用して磁化され得る。代替的に、各ロッドは磁化され、次いでロッドアセンブリに追加され得る。ロッドアセンブリは、磁化が経時的に失われる場合、ロッドアセンブリを再磁化するために外部磁場に周期的に曝露することができる。代替的に、ロッドアセンブリを異なる外部磁場に曝露することによって、場強度を変更することができる。
【0046】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のイオン化源は、ロッドの配置によって形成された空間またはイオンボリュームに電子を提供することができる電子源を含み得る。
図17を参照すると、電子源1710および多極ロッドアセンブリ1720を備えるイオン化源1700が示され、この場合、多極ロッドアセンブリ1720は、4本の正方形ロッドとして構成されている。4本のロッドがアセンブリ1720に示されているが、6本、8本、10本、12本またはそれ以上のロッドが代わりに存在し得、ロッド形状は正方形である必要はない。電子源1710は、電子源1710から提供された電子がイオンボリュームに入り、イオンボリューム内に導入された分析物種をイオン化することができるように、ロッドアセンブリ1720によって形成された内部空間またはイオンボリューム内に流体結合される。例えば、分析物は、ロッドアセンブリ1720の最上部の開いた空間を通って、またはロッド間の側面を通って導入され、ロッドアセンブリ1720内に閉じ込められてもよい。電子進入の方向は、概して、アセンブリ1720のロッドの長手方向軸に平行である。無線周波発生器1730は、ロッドアセンブリ1720のロッドの各々に電気的に結合されて、各ロッドに個々の無線周波電圧を提供することができ、またはいくつかのロッドに同じ電圧を提供してもよい。本明細書に記載されているように、ロッドアセンブリのロッドの各々はまた、典型的には磁化されるか、または磁化可能であるため、磁場はイオンボリューム内に存在する。イオン化源1700は、エンクロージャまたはイオン化ブロックを有する必要はないが、以下に記載されるように、1つを有することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、ロッドアセンブリは、それ自体が所望のように帯電または磁化され得るエンクロージャまたはイオン化ブロック内に位置付けられ得る。
図18を参照すると、入口開口部1806および出口開口部1807を含むエンクロージャまたはイオン化ブロック1805が示される。ロッドアセンブリ1820は、イオン化ブロック1805内に示される。入口開口部1806は、電子源1810からの電子と、任意選択で試料を、イオン化ブロック1805の長手方向軸に概ね平行である、イオンボリューム、例えば、ロッドアセンブリ1810内の空間に流体結合される方向に、導入することを可能にし、これにより、電子源1805からの電子(および任意選択で分析物試料)がロッドアセンブリ1820に長手方向に導入される。必要に応じて、別個の試料開口部またはポート(図示せず)を使用して、分析物試料をロッドアセンブリ1820内に導入することができる。いくつかの実施形態では、ロッドアセンブリ1820は磁場およびRF場の各々を提供することができるため、外部永久磁石をイオン化ブロック1805と共に使用しなくてもよい。例えば、RF発生器1830は、ロッドアセンブリ1820のロッドの各々に電気的に結合され得、各ロッドはまた、磁性であっても、または磁化可能であってもよい。
【0048】
別の実施形態では、ガラスまたは溶融石英管などの、低電気性であるが高RF伝導性を有する要素を、ロッドアセンブリを通して挿入して、イオンボリュームとして作用させることができ、両方とも、ロッドからの分析物を分離し、ロッドの汚染または分析物の分解を防止し、ロッド間で拡散した場合よりも高い圧力で分析物を含有し、それによって、分子濃度および電子-分子衝突の可能性を増加させる。
【0049】
別の実施形態(
図23Gを参照)では、ロッド間の間隔を設計して、外部への拡散速度を制御することによって、ロッドアセンブリの中心における分析物の圧力を制御することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のイオン化源は、ロッドアセンブリ、電子源、電子またはイオンリペラー、および出口レンズまたは反射器を含み得る。アセンブリの1つの簡略化された例示を
図19に示す。代わりに、必要に応じて、6本、8本、10本、12本、またはそれ以上のロッドを使用したロッドアセンブリを使用することができる。イオン化源1900は、4本のロッドを含むロッドアセンブリ1920、ロッドアセンブリ1920によって形成されたイオンボリューム内に電子を提供することができる電子源1910、電子またはイオンリペラー1930およびレンズまたは反射器1940を含む。図示されていないが、ロッド1910は、電子源1910と共に電子源1910を通って延在することができる。リペラー1930は、電子が放出されるにつれて、電子源1910から電子を遠ざけるように強制することができる。電子レンズ1940は、イオンボリューム内の電子またはイオンを電子レンズ1940に向かって引き寄せることができる。代替的に、好適な電圧をレンズ/反射器1940に印加して、電子をイオンボリューム内に反射して戻し、電子トラップを提供することができる。図示されていないが、レンズ、ガイド、または他の構成要素はレンズ/反射器1940に隣接して、またはその近くに存在して、イオンボリュームからのイオンの抽出およびイオン化源1900の外部の輸送を促進することができ、そのため、他の構成要素が下流構成要素に提供されてもよい。
【0051】
ある特定の実施形態では、多極ロッドアセンブリのロッドは、同じ長さ、形状、または寸法を有する必要はない。
図20を参照すると、ロッド2012および2016が、ロッド2014および2018とは異なる長さを有する例が示される。さらに、ロッドは互いに平行である必要はない。
図21に示されるように、1本以上のロッドを傾斜させることができ、ロッド2114および2118が、ロッド2112および2116と比較してわずかに傾斜しているように示されている。任意の1つの構成に束縛されることを望むものではないが、1本以上のロッドの傾斜は、電子および/または任意のイオンの集束効果を提供することができ、イオン化源を出るイオンビームの中心領域に、増加した量のイオンが存在することを可能にし得る。特定の実施形態では、多極ロッドアセンブリの少なくとも1本のロッドの断面幅は、少なくとも1本のロッドの長さに沿って変化し得る。
図22Aを参照すると、ロッド2210が、ロッドの出口端に向かって、入口端に向かってより大きな幅を含む例示が示される。別の例示が
図22Bに示され、ロッド2260は、その長さに沿って可変幅を備える。
【0052】
いくつかの実施例では、ロッドの断面形状は、所望の通りに同じであり得るか、または異なることができる。ロッドのための多数の異なる種類の形状を求めることができ、任意の1つのロッドアセンブリのロッドが同じ形状を有する必要はない。
図23A~23Gは、これらの形状のいくつかを図示するために、4本のロッドを有するロッドアセンブリの上面図を示す。例示的な形状としては、丸型(
図23A)、先細り型(
図23B)、正方形(
図23C)、長方形(
図23D)、三角形(
図23E)、台形(
図23F)、放物線形、双曲線形、円錐形、または他の幾何学的形状が挙げられるが、これらに限定されない。
図23Gに示すように、ロッドの内側形状は、ロッドの外側形状とは異なることができる。本明細書で指摘されるように、ロッドは同じ形状を有する必要はない。
図24を参照すると、6本のロッドアセンブリが示され、ロッド2412および2418は、ロッド2414、2416、2420および2422とは異なる断面形状を含む。
【0053】
特定の例では、本明細書に記載されるイオン化源は、1つ以上の他の構成要素を含むシステムで使用され得る。例えば、イオン化源は、分析物をイオン化源の入口または入口開口部に提供することができる上流構成要素に流体結合されてもよく、および/または下流構成要素に流体結合されて、分析またはさらなる使用のために下流構成要素にイオンを提供することができる。
【0054】
図25を参照すると、イオン化源2530は、ガスクロマトグラフィーシステムに流体結合されているように示される。ガスクロマトグラフィーシステムは、オーブン2515に位置付けされたカラム2510に流体結合されたインジェクタ2505を備える。インジェクタ2505および/またはカラム2510はまた、移動相2525、すなわち、導入された試料中の2つ以上の分析物を分離するためにカラム2510の固定相と共に使用され得るガスに流体結合され得る。個々の分析物がカラム2510から溶出するとき、それらは、イオン化のためにイオン化源2530の入口に提供され得る。カラム2510は、イオン化源2530の入口に直接結合されるように示されているが、代わりに、1本以上の転送ライン、インターフェース等を使用することができる。例えば、転送ライン2540を使用して、カラム2510をイオン化源2530の入口に流体結合することができる。転送ライン2540は、ガス相中の分析物を維持するために加熱されてもよい(所望される場合、または必要とされる場合)。追加の構成要素、例えば、インターフェース、スプリッタ、光学検出セル、濃度チャンバ、フィルタなどはまた、カラム2510とイオン化源2530との間に存在し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のイオン化源は、液体クロマトグラフィー(LC)システムに流体結合され得る。
図26を参照すると、LCシステムは、1つ以上のポンプ2657を介してカラム2660に流体結合されたインジェクタ2655を備える。インジェクタ2655および/またはカラム2660はまた、移動相、すなわち、液体、およびLCシステムを加圧するために使用することができる1つ以上のポンプ2657に流体結合される。カラム2660は、典型的には、導入された試料中の2つ以上の分析物を分離するように選択された固定相を含む。個々の分析物がカラム2660から溶出するとき、それらは、イオン化のためにイオン化源2670の入口に提供され得る。カラム2660は、イオン化源2670の入口に直接結合されるように示されているが、代わりに、1本以上の転送ライン、インターフェース等を使用することができる。例えば、必要に応じてフロースプリッタを使用することができる。追加の構成要素、例えば、インターフェース、スプリッタ、光学検出セル、濃度チャンバ、フィルタなども、カラム2660とイオン化源2670との間に存在し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーシステムまたは他の上流構成要素は、2つ以上のイオン化源に流体結合され得る。
図27を参照すると、上流構成要素2710が、同じであり得るか、または異なることができるイオン化源2720およびイオン化源2730のそれぞれに流体結合され得る例示が示されている。例えば、イオン化源のうちの1つは、本明細書に記載されるようなロッドアセンブリを備え得、他のイオン化源は、質量分析計に関連して以下に記載されるようなイオン化源のうちの1つ以上を含み得る。代替的に、イオン化源2720、2730はそれぞれ、本明細書に記載されるように1本以上のロッドで構成され得るが、異なる数のロッド、異なる形状を有するロッド、または異なるRF電圧を使用してロッドが動作されるが同じ形状を有する同じロッドを含み得る。
【0057】
いくつかの実施例では、イオン化源は、質量分析計内に存在することができる。例えば、本明細書に開示されるイオン化源は、質量分析器において、または質量分析器と共に使用されてもよい。特に、質量分析計は、質量分析器の入口に直接結合された、または質量分析器の入口から空間的に分離された1つ以上のイオン化源チャンバを含み得る。例示的なMSデバイスを
図28に示す。MSデバイス2800は、試料導入デバイス2810、イオン化源2815、質量分析器2820、検出デバイス2830、プロセッサ2840、および任意選択のディスプレイ(図示せず)を含む。質量分析器2820および検出デバイス2830は、以下でより詳細に記述されるように、1つ以上の真空ポンプおよび/または真空ポンプステージを使用して、減圧下で動作することができる。試料導入デバイス2810は、GCシステム、LCシステム、噴霧器、エアゾライザー、スプレーノズルもしくはヘッド、またはガスもしくは液体試料をイオン化源2815に提供することができる他のデバイスであってもよい。固体試料が使用される場合、試料導入デバイス2810は、固体試料から分析物種を導入することができる直接試料分析(DSA)デバイスまたは他のデバイスを含み得る。排出チャンバ2815は、本明細書に記載されるもの、または他の好適な排出チャンバのいずれであってもよい。質量分析器2820は、概して試料の性質、所望の分解能などに応じて多数の形態をとることができ、例示的な質量分析器は、以下でさらに考察される。検出デバイス2830は、既存の質量分析計、例えば、電子増倍管、ファラデーカップ、被覆された写真プレート、シンチレーション検出器などと共に使用され得る任意の好適な検出デバイス、および本開示の利点が所与される、当業者によって選択される他の好適なデバイスであり得る。プロセッサ2840は、典型的には、マイクロプロセッサおよび/またはコンピュータ、ならびにMSデバイス2800内に導入されたサンプルの分析に適したソフトウェアを含む。必要に応じて、MSデバイス2800内に導入された種の化学的同一性の判定のために、1つ以上のデータベースがプロセッサ2840によってアクセスされ得る。当技術分野で既知の他の適切な追加のデバイスは、限定されないが、PerkinElmer Health Sciences,Inc.から市販されているClarus GCオートサンプラーなどのオートサンプラーを含むMSデバイス2800と共に使用され得る。
【0058】
ある特定の実施形態では、MSデバイス2800の質量分析器2820は、所望の分解能および導入された試料の性質に応じて、多数の形態をとることができる。特定の実施例では、質量分析器は、走査質量分析器、磁気セクタ分析器(例えば、単一および二重焦点MSデバイスで使用するためのもの)、四極質量分析器、イオントラップ分析器(例えば、サイクロトロン、四極イオントラップ)、飛行時間分析器、および異なる質量対電荷比で種を分離することができる他の好適な質量分析器であり得る。以下でより詳細に述べるように、質量分析器は、イオン化源2815から受け取られるイオンを選択および/または識別するために、直列に配置された2つ以上の異なるデバイス、例えば、タンデムMS/MSデバイスまたは三重四極デバイスを含んでよい。
【0059】
特定の他の実施例では、本明細書に開示されるイオン化源は、質量分析で使用される既存のイオン化方法と共に使用され得る。例えば、源の一方が本明細書に記載のイオン化源を含み、他方の源が異なるイオン化源である、二重源を有するMS機器を組み立てることができる。異なるイオン化源は、例えば、電子イオン化源、化学イオン化源、場イオン化源、脱着源、例えば、高速原子衝撃、場脱着、レーザー脱着、プラズマ脱着、熱脱着、電気流体イオン化/脱着などのために構成されたそれらの源、熱噴霧またはエレクトロスプレーイオン化源、または他のタイプのイオン化源などであり得る。単一の機器に2つの異なるイオン化源を含めることによって、ユーザは、どの特定のイオン化方法が使用され得るかを選択することができる。
【0060】
特定の他の実施例によれば、本明細書に開示されるイオン化源を含むMSシステムは、1つ以上の他の分析技術でハイフン化することができる。例えば、MSシステムは、熱重量分析、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、および他の適切な分離技術を実行するための1つ以上のデバイスをハイフン化することができる。MSデバイスをガスクロマトグラフに結合する場合、ガスクロマトグラフからMSデバイス内に試料を導入するための適切なインターフェース、例えば、トラップ、ジェットセパレータなどを含むことが望ましい場合がある。MSデバイスを液体クロマトグラフに結合する場合、液体クロマトグラフィーおよび質量分析に使用されるボリュームの差を考慮するための適切なインターフェースを含むこともまた望ましい場合がある。例えば、液体クロマトグラフから出る少量の試料のみがMSデバイス内に導入されるように、スプリットインターフェースを使用することができる。液体クロマトグラフから出る試料は、MSデバイスの排出チャンバに輸送するために適切なワイヤ、カップ、またはチャンバに堆積してもよい。ある特定の例では、液体クロマトグラフは、加熱されたキャピラリーチューブを通過する際に試料を気化およびエアゾール化するように構成されたエレクトロスプレーを含んでもよい。液体クロマトグラフからMSデバイスまたは他のデバイス内に液体試料を導入するための他の適切なデバイスは、本開示の利点を考慮すると、当業者によって容易に選択されるであろう。
【0061】
特定の例では、本明細書に記載されるイオン化源を含むMSデバイスは、タンデム質量分析のために、本明細書に記載される独自のイオン化源または他の適切なイオン化源を含んでいてもいなくてもよい、少なくとも1つの他のMSデバイスにハイフン化されてもよい。例えば、1つのMSデバイスは、第1のタイプの質量分析器を含むことができ、第2のMSデバイスは、第1のMSデバイスとは異なるかまたは類似の質量分析器を含むことができる。他の実施例では、第1のMSデバイスは、特定のイオンを分離するように動作可能であってもよく、第2のMSデバイスは、分離されたイオンを断片化/検出するように動作可能であってもよい。ハイフン化MS/MSデバイスを設計することは、本開示の利点を考慮すると、当業者の能力の範囲内であり得、少なくとも1つは、本明細書に記載されるイオン化源を含む。いくつかの例では、MSデバイスの質量分析器は、同じまたは異なる構成が可能な2つ以上の四極を含み得る。例えば、二重または三重の四極アセンブリを使用して、イオン化源から出るイオンビームからイオンを選択することができる。
【0062】
特定の例では、本明細書の方法およびシステムは、プロセッサを備えるか、または使用することができ、プロセッサは、システムまたは器具の一部であるか、または器具と共に使用される、例えば、コンピュータ、ラップトップ、モバイルデバイスなどの関連するデバイスに存在することができる。例えば、プロセッサは、イオン化源内の多極ロッドアセンブリのロッドに提供される無線周波電圧および/または周波数を制御するために使用され得、質量分析器を制御することができ、および/または検出器によって使用され得る。そのようなプロセスは、ユーザの介入を必要とせずにプロセッサによって自動的に実行されてもよく、またはユーザは、ユーザインターフェースを介してパラメータを入力してもよい。例えば、プロセッサは、1つ以上の較正曲線と共に信号強度および断片ピークを使用して、同一性および各分子のどの程度が試料中に存在するかを判定することができる。特定の構成では、プロセッサは、例えばマイクロプロセッサおよび/またはシステムを動作させるための適切なソフトウェアを含む1つ以上のコンピュータシステムおよび/または共通のハードウェア回路に存在してもよく、例えば、試料導入デバイス、イオン化源、質量分析器、検出器などを制御する。いくつかの実施例では、検出デバイス自体は、独自のそれぞれのプロセッサ、オペレーティングシステム、および他の特徴を備えて、様々な分子の検出を可能にする。プロセッサは、システムに組み込まれてもよく、またはシステムの構成要素に電気的に結合された1つ以上のアクセサリ基板、プリント回路基板、またはコンピュータ上に存在してもよい。プロセッサは、典型的には、1つ以上のメモリユニットに電気的に結合されて、システムの他の構成要素からデータを受信し、必要に応じて、または所望の様々なシステムパラメータの調整を可能にする。プロセッサは、UNIX(登録商標)、Intel PENTIUM(登録商標)型プロセッサ、Intel Core(商標)プロセッサ、Intel Xeon(商標)プロセッサ、AMD Ryzen(商標)プロセッサ、AMD Athlon(商標)プロセッサ、AMD FX(商標)プロセッサ、Motorola PowerPC、Sun UltraSPARC、Hewlett-PackardPA-RISCプロセッサ、Apple A12プロセッサを含むApple設計プロセッサ、Apple A11プロセッサおよび他の任意の他のタイプのプロセッサなどの汎用コンピュータの一部であってもよい。技術の様々な実施形態に従って、任意のタイプのコンピュータシステムのうちの1つ以上を使用することができる。さらに、システムは、単一のコンピュータに接続されてもよく、または通信ネットワークによって取り付けられた複数のコンピュータ間に分散されてもよい。ネットワーク通信を含む他の機能を実行することができ、技術は任意の特定の機能または機能セットを有することに限定されないことを理解されたい。様々な態様は、汎用コンピュータシステムで実行する専用ソフトウェアとして実装されてもよい。コンピュータシステムは、データを記憶するためのディスクドライブ、メモリ、またはデータ記憶用の他のデバイスなどの1つ以上のメモリデバイスに接続されたプロセッサを含み得る。メモリは、典型的には、本明細書に記載のイオン化源およびイオン化源を含む任意の機器の動作中に、プログラム、較正曲線、無線周波電圧値およびデータ値を記憶するために使用される。コンピュータシステムの構成要素は、1つ以上のバス(例えば、同じマシン内に統合された構成要素間)および/またはネットワーク(例えば、別個の離散マシン上に存在する構成要素間)を含んでもよい相互接続デバイスによって結合されてもよい。相互接続デバイスは、システムの構成要素間で交換される通信(例えば、信号、データ、命令)を提供する。コンピュータシステムは、典型的には、処理時間内、例えば、数ミリ秒、数マイクロ秒以下でコマンドを受信および/または発行することができ、システムの迅速な制御を可能にする。例えば、コンピュータ制御は、サンプル導入、各ロッドに提供されるロッドRF電圧および/または周波数、検出器パラメータなどを制御するために実装することができる。プロセッサは、典型的には、例えば、直流電源、交流電源、電池、燃料電池、または他の電源、または電源の組み合わせであり得る電源に電気的に結合される。電源は、システムの他の構成要素と共有することができる。システムはまた、1つ以上の入力デバイス、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、マイクロフォン、タッチスクリーン、手動スイッチ(例えば、オーバーライドスイッチ)、および1つ以上の出力デバイス、例えば、印刷デバイス、ディスプレイ画面、スピーカを含んでもよい。さらに、システムは、コンピュータシステムを通信ネットワークに接続する1つ以上の通信インターフェースを含んでよい(相互接続デバイスに追加するか、または代替として)。システムに存在する様々な電気デバイスから受信した信号を変換するための適切な回路を含み得る。そのような回路は、プリント基板上に存在することができるか、または適切なインターフェース、例えば、シリアルATAインターフェース、ISAインターフェース、PCIインターフェース、USBインターフェース、ファイバチャネルインターフェース、ファイアワイヤインターフェース、M.2コネクタインターフェース、PCIEインターフェース、mSATAインターフェースなどを介して、または1つ以上の無線インターフェース、例えば、Bluetooth、Wi-Fi、近接通信もしくは他の無線プロトコルおよび/もしくはインターフェースを介して、プリント基板に電気的に結合される別個の基板またはデバイス上に存在することができる。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムで使用される記憶システムは、典型的には、プロセッサによって実行されるプログラムによって使用されることができるソフトウェアのコード、またはプログラムによって処理される媒体上または媒体内に記憶される情報を記憶することができるコンピュータ可読かつ書き込み可能な不揮発性記録媒体を含む。媒体は、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブまたはフラッシュメモリであってもよい。プロセッサによって実行されるプログラムまたは命令は、ローカルまたはリモートに配置されてよく、必要に応じて相互接続機構、通信ネットワーク、または他の手段を介してプロセッサによって取得されてよい。典型的には、動作中、プロセッサは、不揮発性記録媒体から別のメモリにデータを読み取らせ、これは、媒体よりもプロセッサによる情報への高速なアクセスを可能にする。このメモリは、典型的には、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)または静的メモリ(SRAM)などの揮発性ランダムアクセスメモリである。記憶システム内またはメモリシステム内に配置されてもよい。プロセッサは、一般に、集積回路メモリ内のデータを操作し、処理が完了した後にデータを媒体にコピーする。媒体と集積回路メモリ素子との間のデータ移動を管理するための様々な機構が知られており、技術はこれらに限定されない。本技術はまた、特定のメモリシステムまたは記憶システムに限定されない。ある特定の実施形態では、システムはまた、特別にプログラムされた専用ハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサユニット(MPU)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはそれらの組み合わせを含んでもよい。技術の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。さらに、そのような方法、作用、システム、システム要素および構成要素は、上述のシステムの一部として、または独立した構成要素として実装されてもよい。特定のシステムは、技術の様々な態様が実践され得る1つのタイプのシステムとして例として説明されるが、態様は、説明されたシステム上に実装されることに限定されないことを理解されたい。様々な態様は、異なるアーキテクチャまたは構成要素を有する1つ以上のシステム上で実施され得る。システムは、高レベルのコンピュータプログラミング言語を使用してプログラミング可能である汎用コンピュータシステムを含み得る。システムは、特別にプログラムされた専用ハードウェアを使用して実装することもできる。システムでは、プロセッサは、典型的には、Intel、AMD、Appleなどから入手可能な周知のマイクロプロセッサなどの市販のプロセッサである。他の多くのプロセッサも市販されている。そのようなプロセッサは、通常、例えば、Microsoft Corporationから利用可能なWindows7、Windows8またはWindows10オペレーティングシステム、MACOSX、例えば、Snow Leopard、Lion、Mountain Lion、Mojave、High Sierra、El Capitan、またはAppleから利用可能な他のバージョン、Sun Microsystemsから利用可能なSolarisオペレーティングシステム、または様々なソースから利用可能なUNIXまたはLinux(登録商標)オペレーティングシステムであり得るオペレーティングシステムを実行する。他の多くのオペレーティングシステムが使用されてもよく、特定の実施形態では、単純なコマンドまたは命令のセットがオペレーティングシステムとして機能してもよい。さらに、プロセッサは、1つ以上のクイットを使用して1つ以上の機能を実行するように設計された量子プロセッサとして設計され得る。
【0064】
特定の例では、プロセッサおよびオペレーティングシステムは、ハイレベルプログラミング言語でアプリケーションプログラムが書き込まれ得るプラットフォームを一緒に定義し得る。技術が特定のシステムプラットフォーム、プロセッサ、オペレーティングシステム、またはネットワークに限定されないことを理解されたい。また、本開示の利点を考えると、本技術が特定のプログラミング言語またはコンピュータシステムに限定されないことは、当業者には明らかであるべきである。さらに、他の適切なプログラミング言語および他の適切なシステムも使用され得ることを理解されたい。特定の例では、ハードウェアまたはソフトウェアは、認知アーキテクチャ、ニューラルネットワークまたは他の適切な実装形態を実装するように構成することができる。所望される場合、コンピュータシステムの1つ以上の部分は、通信ネットワークに結合された1つ以上のコンピュータシステムにわたって分散されてもよい。これらのコンピュータシステムはまた、汎用コンピュータシステムであってもよい。例えば、様々な態様は、1つ以上のクライアントコンピュータにサービス(例えば、サーバ)を提供するように、または分散システムの一部として全体的なタスクを実行するように構成された1つ以上のコンピュータシステムの間で分散され得る。例えば、様々な態様は、様々な実施形態に従って様々な機能を実行する1つ以上のサーバシステム間に分散された構成要素を含むクライアントサーバまたは多層システム上で実行され得る。これらのコンポーネントは、通信プロトコル(例えばTCP/IP)を使用して通信ネットワーク(例えばインターネット)を介して通信する、実行可能な、中間的な(例えばIL)または解釈された(例えばJAVA(登録商標))コードであってもよい。技術は、任意の特定のシステムまたはシステムのグループで実行することに限定されないことも理解されたい。また、本技術は、任意の特定の分散型アーキテクチャ、ネットワーク、または通信プロトコルに限定されないことを理解されたい。
【0065】
いくつかの例では、様々な実施形態は、例えば、SQL、SmallTalk、Basic、Java、Javascript、PHP、C++、Ada、Python、iOS/Swift、Ruby on RailsまたはC#(C-Sharp)などのオブジェクト指向プログラミング言語を使用してプログラムされ得る。他のオブジェクト指向プログラミング言語も使用され得る。代替的に、機能、スクリプト、および/または論理プログラミング言語を使用してもよい。様々な構成は、プログラムされていない環境(例えば、ブラウザプログラムのウィンドウで見ると、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の態様をレンダリングするか、または他の機能を実行するHTML、XMLまたは他のフォーマットで作成されたドキュメント)で実装されてもよい。特定の構成は、プログラムされたまたはプログラムされていない要素、またはそれらの任意の組み合わせとして実施されてもよい。場合によっては、システムは、モバイルデバイス、タブレット、ラップトップコンピュータ、または他のポータブルデバイス上に存在するものなどのリモートインターフェースを含んでもよく、有線インターフェースまたは無線インターフェースを介して通信し、必要に応じてリモートでのシステムの動作を可能にすることができる。
【0066】
ある特定の例では、プロセッサはまた、分子、その断片化パターンなどに関する情報のデータベースを含んでもよく、またはそれにアクセスしてもよく、これは、分子量、質量対電荷比、および他の共通情報を含んでもよい。メモリに記憶された命令は、システムのためのソフトウェアモジュールまたは制御ルーチンを実行することができ、これは、効果的にシステムの制御可能なモデルを提供することができる。プロセッサは、プロセッサ内で実行される1つ以上のソフトウェアモジュールと共にデータベースからアクセスされた情報を使用して、システムの異なるコンポーネント、例えば、異なるRF電圧、異なる質量分析パラメータなどの制御パラメータまたは値を決定することができる。入力インターフェースを使用して、システム内の異なるシステム構成要素にリンクされた制御命令および出力インターフェースを受信すると、プロセッサは、システムに対してアクティブ制御を実行することができる。例えば、プロセッサは、検出デバイス、サンプル導入デバイス、イオン化源、およびシステムの他の構成要素を制御することができる。
【0067】
特定の例では、本明細書に記載されるロッドアセンブリは、イオントラップで使用され得て、磁場およびRF場を使用してイオンをトラップする。イオンは、検出限界を改善するために使用することができ、例えば、質量分析または他の用途のためのイオン標準として、イオン注入、表面衝撃において後で使用するために保管することができる。例えば、ロッドアセンブリは、ロッドアセンブリからの磁場およびRF場を使用して、イオンを螺旋状または円形の経路にトラップすることができ、ロッドアセンブリに補足的なRF場、および保管期間中にイオンをロッドアセンブリに戻して反射させるレンズが追加される可能性がある。イオントラップは、必要に応じて外部永久磁石を含まないことがあり、構成要素が少なく、フットプリントが小さいイオントラップを提供する。
【0068】
特定の例では、本明細書に記載されるロッドアセンブリ内の任意の2つ以上のロッドは、2本のロッドがともに単一のロッドとして機能するように「結合される」ことができる。例えば、2つ以上のロッドは同じRF電圧を受け取ることができるため、2本のロッドは単一の大きなロッドとして機能するように見える。ロッドを一緒にグループ化して、イオンボリューム内の全体的なRF場を変化させることが望ましい場合がある。場合によっては、3本のロッドをグループ化することができ、4本のロッドをグループ化することができ、または4本以上のロッドをグループ化することができる。
【0069】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるイオン化源は、分析物分子をイオン化するために使用され得る。例えば、分析物をイオン化する方法は、多極ロッドアセンブリのロッドの実質的に平行な配置から形成されたイオンボリューム内に分析物を導入することを含み、イオンボリュームは、電子源から電子を受け取るように構成され、多極ロッドアセンブリは、電子源から受け取った電子を使用して、イオンボリューム内に磁場および無線周波場を提供し、分析物のイオン化効率を高める。本明細書に記載されるように、磁場およびRF場のそれぞれに対して使用されるまたは選択される場強度に応じて、磁場は、電子を制限または拘束するために使用され得、RF場は、生成されたイオンを制限または拘束するために使用され得る。いくつかの実施形態では、磁場およびRF場の組み合わせは、生成されたイオンをより制限されたまたは狭いビームに集束させながら、またはビームの中心領域内に存在するイオンの数を増加させることによって、イオン化効率を増加させることができる。例えば、磁場は、主に電子をロッドの中心付近の螺旋経路に拘束することができる。RF場は、イオンをロッドの中心周りの振動に拘束することができる。ロッドの出口にあるレンズは、電圧に依存して、電子をロッドに反射させることができ、そこでそれらは、フィラメントとイオンボリュームとの間のレンズ(リペラー)によって再び反射されることができ、したがって、電子の複数の反射を発生し、イオンボリュームにおける電子の正味密度を増加させる。いくつかの実施例では、イオンを拘束するために使用されるRF電圧は、約20ボルト~約3500ボルトで変化し得る。電圧は、AC電圧、またはDC電圧であり得、またはAC電圧を特定のロッドに提供することができ、DC電圧を他のロッドに提供することができる。いくつかの実施例では、電圧は、約100kHz~約3MHzで変化し得る周波数を有するRF電圧である。
【0070】
いくつかの実施形態では、異なる磁化材料または磁化可能材料を使用して、イオン/電子をイオン化および/または集束することができる。例えば、イオン化源内の磁場の全体的な形状を変化させるために、異なる磁化可能な材料で異なるロッドを生成することができる。
【0071】
いくつかの実施例では、本明細書に記載のイオン化源もまた、化学イオン化源として構成され得る。例えば、化学イオン化源は、本明細書に記載されるように、ガス源、電子源、および多極ロッドアセンブリを含み得る。電子は、ガス源のガスをイオン化するために使用することができ、イオン化されたガスは、次いで、分析物分子をイオン化するために使用することができる。例示的な化学イオン化ガスとしては、アンモニア、メタン、イソブテン、または他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、十分な高圧では、イオンがイオン源に長期間閉じ込められる可能性があるため、ヘリウムまたは別の不活性ガスも化学イオン化ガスとして使用され得る。
【0072】
本明細書に開示される実施例の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、1つ以上の要素が存在することを意味することが意図される。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、オープンエンドであることが意図され、列挙される要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。当業者は、本開示の利点を考慮すれば、実施例の様々な構成要素が、他の実施例において様々な構成要素と交換または置換され得ることを認識するであろう。
【0073】
特定の態様、実施例、および実施形態が上述されてきたが、本開示の利点を考慮すると、開示される例示的な態様、実施例、および実施形態の追加、置換、修正、および変更が可能であることが当業者に認識されるであろう。