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  • 特許-光ファイバケーブル 図1
  • 特許-光ファイバケーブル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
G02B6/44 381
G02B6/44 366
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021575694
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(86)【国際出願番号】 JP2021001627
(87)【国際公開番号】W WO2021157334
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2020019604
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】向井 興泉
(72)【発明者】
【氏名】大野 正敏
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-176255(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221142(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0118295(US,A1)
【文献】特開2014-006376(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107340577(CN,A)
【文献】米国特許第04875757(US,A)
【文献】中国実用新案第2842458(CN,Y)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0065764(KR,A)
【文献】特開2018-189962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを有するコアと、
繊維が前記コアの周囲にSZ状に巻き付けられることで形成された介在層と、
前記介在層を覆う金属製の補強層と、
前記補強層を覆う外被と、を備え、
前記繊維が樹脂で固められている、光ファイバケーブル。
【請求項2】
複数の光ファイバを有するコアと、
繊維が前記コアの周囲にSZ状に巻き付けられることで形成された介在層と、
前記介在層を覆う金属製の補強層と、
前記補強層を覆う外被と、を備え、
前記繊維はガラス繊維である、光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記補強層と前記介在層との間に配置されたリップコードをさらに備える、請求項1または2に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記介在層が前記コアを覆う筒状に形成されている、請求項1からのいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記補強層における前記介在層を向く面に貼り付けられている第2接着フィルムをさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項6】
前記介在層全体は一体化されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【請求項7】
前記補強層と前記介在層との間に配置されたリップコードをさらに備え、
前記リップコードおよび前記介在層は、前記第2接着フィルムによって前記補強層に固定されている、請求項5に記載の光ファイバケーブル。
【請求項8】
前記補強層の前記外被を向く面に貼り付けられている第1接着フィルムをさらに備える、請求項5に記載の光ファイバケーブル。
【請求項9】
前記補強層では、周方向において金属製のシートが部分的に重なり、重なり部が形成されており、
前記重なり部において重ねられている前記金属製のシート同士は、前記第1接着フィルムおよび前記第2接着フィルムで固定されている、請求項8に記載の光ファイバケーブル。
【請求項10】
前記介在層は、金属製のシートおよび金属製のワイヤを含まない、請求項1から9のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルに関する。
本願は、2020年2月7日に日本に出願された特願2020-019604号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルは、一般的に、複数の光ファイバを有するコアと、コアを収容する外被と、を有している。光ファイバケーブルの設置環境によっては、外被がネズミやリスなどに噛まれて内部の光ファイバが損傷する。そこで、光ファイバを保護するために、コアと外被との間に金属製の補強層を設ける場合がある。
例えば特許文献1には、光ファイバと、介在層(充填材)と、金属製の補強層(波形管構造)と、アラミドなどからなる補強層と、外被と、を備えた光ファイバケーブルが開示されている。特許文献1では、湿気の進入から光ファイバを保護するために介在層を設けているが、この介在層がどのような態様で配置されているかについて、具体的な開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許第4105792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属製の補強層を備えた光ファイバケーブルにおいては、製造の容易性に加えて、内部の光ファイバを取り出す際の作業の容易性を高めることが求められている。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、製造の容易性および光ファイバを取り出す際の作業の容易性を向上させた光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る光ファイバケーブルは、複数の光ファイバを有するコアと、繊維が前記コアの周囲にSZ状に巻き付けられることで形成された介在層と、前記介在層を覆う金属製の補強層と、前記補強層を覆う外被と、を備える。
【0007】
また、本発明の第2の態様に係る光ファイバケーブルの製造方法は、複数の光ファイバを有するコアを用意する工程と、樹脂によって固められた繊維を加熱しながら、前記コアの周囲で前記繊維をSZ撚りすることで、介在層を形成する工程と、前記介在層を金属製の補強層で覆う工程と、前記補強層を外被で覆う工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、製造の容易性および光ファイバを取り出す際の作業の容易性を向上させた光ファイバケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る光ファイバケーブルの横断面図である。
図2】本実施形態に係る光ファイバケーブルの製造装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態の光ファイバケーブルおよびその製造方法について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、光ファイバケーブル1は、コア10と、介在層20と、補強ユニット30と、外被40と、2本の抗張力体50と、2本のリップコード60と、を備える。
【0011】
(方向定義)
本実施形態では、コア10の中心軸線を中心軸線Oという。また、光ファイバケーブル1の長手方向(コア10の長手方向)を単に長手方向という。長手方向に直交する断面を横断面という。横断面視(図1)において、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0012】
コア10は、複数の光ファイバユニット11と、これらの光ファイバユニット11を包む押さえ巻き12と、を有している。光ファイバユニット11はそれぞれ、複数の光ファイバ11aと、これらの光ファイバ11aを束ねる結束材11bと、を有している。押さえ巻き12は、吸水性を有していてもよい。
【0013】
本実施形態の光ファイバユニット11は、いわゆる間欠接着型テープ心線であり、複数の光ファイバ11aを長手方向に直交する方向に引っ張ると、網目状(蜘蛛の巣状)に広がるように互いに接着されている。詳しくは、ある一つの光ファイバ11aが、その両隣の光ファイバ11aに対して長手方向で異なる位置においてそれぞれ接着されており、かつ、隣接する光ファイバ11a同士は、長手方向で一定の間隔をあけて互いに接着されている。なお、光ファイバユニット11の態様は間欠接着型テープ心線に限られず、適宜変更してもよい。例えば、光ファイバユニット11は、複数の光ファイバ11aを単に結束材11bで束ねたものであってもよいし、複数の光ファイバテープ心線を束ねたものであってもよい。
【0014】
介在層20は、コア10の周囲に配置され、コア10(押さえ巻き12)に接している。介在層20は、繊維を含む複数のヤーンが、SZ状にコア10に巻き付けられることで形成されている。各ヤーンは、例えば繊維同士が撚り合わされたり織られたりすることで、1本の紐状あるいは1枚のシート状となっている。介在層20は、複数の紐状のヤーンあるいは複数のシート状のヤーンを、コア10を囲う筒状に配置することで形成されていてもよい。
介在層20を構成する繊維としては、低温化で収縮しにくいガラス繊維が好適である。ただし、介在層20を構成する繊維の具体的材質は適宜変更してもよい。
また、繊維(ヤーン)はマトリックスによって固められていてもよい。マトリックスとしては、熱硬化樹脂、光硬化樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム、エラストマなどを採用できる。繊維をマトリックスで固めることで、介在層20の強度を向上させたり、繊維が移動して偏ることを抑制したり、SZの状態を崩れにくくしたりすることができる。
また、例えばヤーンをコア10にSZ状に巻き付けた後、加熱などによりマトリックスを軟化させてから再び硬化させることで、ヤーン同士の間に隙間が生じることを抑制することも可能である。なお、繊維がマトリックスで固められていても、繊維が配向された方向に沿って介在層20を引き裂くことができるため、コア10を取り出しやすくすることができる。介在層20を形成するヤーンは、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)であってもよい。
【0015】
補強ユニット30は、長手方向に延びており、介在層20を囲う筒状に形成されている。補強ユニット30は、介在層20を全周にわたって囲うとともに、周方向の一部で重ねられている。本明細書では、補強ユニット30のうち重ねられた部分を重なり部30aという。重なり部30aは、周方向において、リップコード60および抗張力体50とは異なる位置に配置されている。また、補強ユニット30はコルゲート形状を有している。すなわち、補強ユニット30は、径方向外側に凸となる複数の山部と、径方向内側に凸となる複数の谷部と、を有しており、山部および谷部は長手方向に沿って交互に形成されている。
【0016】
補強ユニット30は、金属製の補強層31と、第1接着フィルム32と、第2接着フィルム33と、を有している。補強層31の材質としては、鉄、ステンレス鋼、銅、銅合金などの金属を用いることができる。なお、補強層31の材質は適宜変更可能である。補強層31は、例えばシート状とされ、長さ方向をコア10の長手方向に合わせて設けられることが望ましい。
【0017】
第1接着フィルム32は、補強層31における外被40を向く面に貼り付けられている。第2接着フィルム33は、補強層31における介在層20を向く面に貼り付けられている。第1接着フィルム32および第2接着フィルム33に用いられる接着剤としては、例えば熱硬化型やホットメルト型の接着剤を用いることができる。難燃特性や低発煙特性が求められる場合、接着剤に、難燃材や低発煙性の材料を添加物として添加してもよい。なお、接着剤の材質は適宜変更してもよい。
【0018】
第1接着フィルム32は、外被40を補強層31に固定する役割を有している。第2接着フィルム33は、リップコード60および介在層20を補強層31に固定する役割を有している。第1接着フィルム32および第2接着フィルム33のうち、重なり部30aにおいて補強層31同士の間に位置している部分は、重なり部30aで補強層31同士を固定する役割を有している。
【0019】
2本の抗張力体50は、径方向においてコア10を間に挟むように、外被40に埋設されている。なお、抗張力体50の数は適宜変更可能であり、1本または3本以上であってもよい。抗張力体50の材質としては、例えば金属線(鋼線など)、抗張力繊維(アラミド繊維など)、およびFRP(Fiber Reinforced Plastics)などを用いることができる。
【0020】
2本のリップコード60は、径方向において、補強層31(補強ユニット30)の内側かつコア10の外側に位置している。2本のリップコード60は、径方向においてコア10を間に挟むように配置されている。なお、リップコード60の数は適宜変更可能であり、1本または3本以上であってもよい。また、リップコード60は無くてもよい。リップコード60の材質としては、ポリエステル、アラミドなどの合成繊維からなる紐の他、PPやナイロン製の円柱状ロッドなどを用いることができる。
【0021】
本実施形態では、リップコード60は介在層20に対して径方向外側から埋没し、補強ユニット30の内面(第2接着フィルム33)に接している。リップコード60が第2接着フィルム33に接することで、リップコード60が補強ユニット30および外被40に対して固定され、リップコード60の位置を安定させることができる。
【0022】
外被40は、長手方向に延びる筒状に形成され、補強ユニット30を囲っている。外被40の材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂が使用可能である。外被40には、2つの印部41が形成されている。印部41は、外被40の外周面から径方向外側に突出した突起である。印部41の周方向における位置は、リップコード60と一致しており、印部41はリップコード60の位置を示している。なお、印部41は突起でなくてもよく、例えば着色部や凹部などであってもよい。また、印部41はなくてもよい。印部41の数は、リップコード60の数に合わせて、適宜変更可能である。
【0023】
次に、以上のように構成された光ファイバケーブル1の製造方法の一例について、図2を用いて説明する。なお、図2において、X軸方向は製造ラインの流れる方向であり、+X側が下流側、-X側が上流側である。X軸方向は光ファイバケーブル1の長手方向と一致している。
【0024】
製造装置100は、介在層形成部101と、補強層形成部102と、外被形成部103と、冷却部104と、を備えている。介在層形成部101、補強層形成部102、外被形成部103、および冷却部104は、上流側から下流側に向けてこの順に配置されている。
【0025】
介在層形成部101には、コア10と、介在層20となる複数のヤーンYと、が供給される。コア10は、介在層形成部101の上流側にて、予め複数の光ファイバユニット11が押さえ巻き12で巻かれることで形成される。ヤーンYは、介在層20となる繊維が撚られて形成された紐である。介在層形成部101では、コア10の周囲に、複数のヤーンYをSZ状に巻き付けることで、介在層20が形成される。ヤーンYは、予め樹脂によって固められていてもよい。ヤーンYが樹脂によって固められている場合、介在層形成部101においてヤーンYを加熱し、当該樹脂を軟化あるいは溶融させてもよい。樹脂を加熱することで、ヤーンYの剛性が低下してSZ状に撚りやすくしたり、ヤーンY同士の間に隙間が生じることを抑制したりすることができる。
【0026】
補強層形成部102には、介在層20によって包まれたコア10と、補強層31となる金属シート(不図示)と、が供給される。金属シートには、予め第1接着フィルム32および第2接着フィルム33が貼り付けられていてもよい。補強層形成部102は、金属シートをコルゲート加工するとともに円筒状に変形させ、介在層20の周囲に巻き付け、重なり部30aを加熱する。加熱により、重なり部30aにおいて第1接着フィルム32および第2接着フィルム33が金属シート(補強層31)の端部同士を接着固定する。なお、重なり部30aにおいて補強層31の端部同士を固定することは必須ではないため、補強層形成部102における加熱は省略してもよい。
【0027】
なお、光ファイバケーブル1がリップコード60を備える場合、介在層形成部101と補強層形成部102との間において、リップコード60が介在層20に縦添えされる。したがってこの場合は、補強層形成部102に、介在層20によって包まれ、かつリップコード60が介在層20の外側に縦添えされた状態のコア10が供給される。
【0028】
外被形成部103は、補強ユニット30(補強層31)の周囲に外被40を押し出し成形する。その際、印部41も外被40の外周面に形成され、抗張力体50(不図示)が外被40に埋設される。
冷却部104において、外被40を冷却して硬化させることで、光ファイバケーブル1が製造される。
【0029】
光ファイバケーブル1から光ファイバ11aを取り出す際には、印部41に刃などの工具を当て、外被40および補強ユニット30を部分的に切開することで、リップコード60の一部を外被40の外側に引き出す。そして、リップコード60を長手方向に沿って径方向外側に引っ張ることで、補強ユニット30および外被40を引き裂く。これにより、介在層20を露出させることができる。
【0030】
介在層20を構成する繊維(ヤーンY)は、コア10にSZ状に巻き付けられているため、例えば手指でSZ形状の反転部を摘まむことで、コア10から当該繊維を剥がすことができる。このように、本実施形態では、介在層20を工具によって切開したり、介在層20を引き裂くためのリップコードを介在層20の内側に配置したりする必要がない。
繊維(介在層20)をコア10から剥がした後は、押さえ巻き12を破ることなどにより、容易に光ファイバユニット11を露出させることができる。
また、仮にヤーンYがSZ状に巻き付けられておらず、直線状に延びている場合には、光ファイバケーブル1を曲げたときに、曲げの内側に位置するヤーンYと外側に位置するヤーンYとで線長差が生じる。このような線長差が生じると、ヤーンYが偏ってしまい、コア10が露出する場合がある。さらに加えて、ヤーンYが偏る際に、コア10にヤーンYが押しつけられることにより光ファイバの光学特性を悪化させてしまう可能性がある。これに対して、ヤーンYがSZ状に巻き付けられていることで、光ファイバケーブル1が曲げられてもヤーンY同士の線長差が生じにくく、コア10の露出を抑制するとともに光学特性を良好に保つことができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル1は、複数の光ファイバ11aを有するコア10と、繊維がコア10の周囲にSZ状に巻き付けられることで形成された介在層20と、介在層20を覆う金属製の補強層31と、補強層31を覆う外被40と、を備えている。この構成によれば、外被40がネズミなどに噛まれて破られたとしても、金属製の補強層31によって光ファイバ11aを保護することができる。また、金属製の補強層31のバリ等が光ファイバ11aに触れて、光ファイバ11aが損傷することを、介在層20によって抑制できる。
【0032】
また、介在層20となる繊維(ヤーンY)が、仮にコア10の周囲に螺旋状に巻かれている場合は、介在層形成部101に繊維を供給する供給部を、コア10に対して中心軸線O回りに回転させる必要が生じる。このように供給部を回転させると、製造装置100の構造が複雑になる。これに対して本実施形態では、介在層20は、繊維がコア10の周囲にSZ状に巻き付けられることで形成されている。このため、介在層形成部101に繊維を供給する供給部を、コア10に対して回転させる必要がなくなり、製造装置100の構造を簡素化することができる。したがって、光ファイバケーブル1の製造の容易性を高めることができる。
【0033】
また、仮に繊維がコア10に対して螺旋状に巻かれている場合は、光ファイバケーブル1から光ファイバ11aを取り出す際に、繊維を部分的に切除する必要が生じ、その際にファイバが誤って切断される可能性もある。これに対して本実施形態では、コア10に繊維がSZ状に巻き付けられているため、長手方向で繊維がSZ状に撚られているピッチ(SZ撚りの周期)よりも長い区間において外被40や補強ユニット30を除去することで、繊維を容易にほどくことができ、コア10を露出させることができる。また、コア10の周りにSZ状に巻き付けられた繊維をほどくと、コア10に対してヤーンYにたるみをつけた状態に容易にできるため、繊維を切断する際にファイバが誤って切断される危険性も少なくなる。したがって、光ファイバ11aを取り出す際の作業性も良好にすることができる。
【0034】
また、介在層20を構成する繊維が、樹脂で固められている場合には、介在層20の強度をより高めることができる。従って、より確実に光ファイバ11aを保護することができる。
また、介在層20を構成する繊維がガラス繊維である場合は、介在層20の低温環境化での収縮を小さくすることができる。したがって、介在層20が収縮することによって光ファイバ11aに生じる応力を低減することができる。
【0035】
また、光ファイバケーブルの製造方法として、複数の光ファイバ11aを有するコア10を用意する工程と、樹脂によって固められた繊維(ヤーンY)を加熱しながら、コア10の周囲で繊維をSZ撚りすることで、介在層20を形成する工程と、介在層20を金属製の補強層31で覆う工程と、補強層31を外被で覆う工程と、を採用できる。このように、介在層20を形成する際に、樹脂によって固められた繊維を加熱することで、ヤーンYの剛性が低下してSZ状に撚りやすくなったり、ヤーンY同士の間に隙間が生じることを抑制したりする効果が得られる。
【0036】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
例えば、前記実施形態では、いわゆるWTC(Wrapping Tube Cable)(登録商標)構造の光ファイバケーブル1について説明したが、光ファイバケーブル1の種類は適宜変更可能である。具体的には、光ファイバケーブル1はスロットケーブルやルースチューブケーブルであってもよい。
【0038】
また、前記実施形態では補強ユニット30が重なり部30aを有していたが、重なり部30aは無くてもよい。例えば、補強ユニット30の周方向における端部同士を突き当てて、突き当て面を溶接や接着などにより固定することで、重なり部30aが無くても補強ユニット30を筒状にすることができる。
また、前記実施形態では光ファイバケーブル1が補強ユニット30を有していたが、補強ユニット30は配置されていなくてもよい。この場合においても、介在層20がSZに撚られていることによって得られる、コア10の保護、良好な光学特性、コア取り出し作業性、製造容易性、などの前記効果は得られる。
【0039】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…光ファイバケーブル 10…コア 11a…光ファイバ 20…介在層 31…補強層 40…外被
図1
図2