(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】計測装置、計測システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01F 23/00 20220101AFI20231120BHJP
G01F 23/18 20060101ALI20231120BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20231120BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20231120BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20231120BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20231120BHJP
E03F 7/00 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
G01F23/00 Z
G01F23/18
G08C15/00 E
G08C15/06 H
G08C17/00 Z
H04M11/00 301
E03F7/00
(21)【出願番号】P 2022026631
(22)【出願日】2022-02-24
(62)【分割の表示】P 2020554321の分割
【原出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年8月1日 下水道情報「下水道展’19横浜」臨時増刊号 第43頁における公開 〔刊行物等〕 令和元年8月6日 「下水道展’19横浜」における公開 〔刊行物等〕 令和元年8月22日 「https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1908/22/news007.html」における公開 〔刊行物等〕 令和2年1月15日 月刊下水道 3月号 通巻618号 Vol.43 No.3 第49~56頁における公開
(73)【特許権者】
【識別番号】501054551
【氏名又は名称】株式会社NJS
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】大西 明和
(72)【発明者】
【氏名】柴田 敬介
(72)【発明者】
【氏名】田辺 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 謙介
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-070998(JP,A)
【文献】国際公開第2016/024352(WO,A1)
【文献】特開2014-016701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00-23/80 等
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖性空間の内部において水位を測定する、水位センサと、
前記水位センサの測定値を示す信号を前記水位センサから繰り返し取得する、測定値取得部と、
前記信号から得られる計測値を時刻と関連付けて記憶する記憶部であって、該記憶を繰り返すことにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶する、記憶部と、
前記計測値と時刻とを示すデータを無線通信によりアンテナから前記閉鎖性空間の外部に送信する、通信部と、
前記記憶部と前記通信部との動作を制御する制御部と、
前記制御部に電力を供給する電源部と
を備え、
前記記憶部は、前記計測値の時刻と関連付けた記憶を、第1の計測時間間隔と該第1の計測時間間隔よりも短い第2の計測時間間隔とのいずれか一方へと前記制御部により制御される計測時間間隔で繰り返し、
前記制御部は、前記通信部の動作を第1のモードと第2のモードとの間で切り替え、
前記第1のモードにおいて、前記通信部は、蓄積データ受信器からの信号受信に応答して、前記蓄積データを前記アンテナから該蓄積データ受信器に対して送信し、
前記第2のモードにおいて、前記通信部は、前記測定値取得部が前記水位センサから取得した前記信号から得られる計測値を示すデータを、第1の通報時間間隔と該第1の通報時間間隔よりも短い第2の通報時間間隔とのいずれか一方へと前記制御部により制御される通報時間間隔で前記アンテナから繰り返し外部に送信し、
前記第1のモードにおいて、
前記計測時間間隔が前記第1の計測時間間隔に等しいとき、前記制御部は、計測された最新の水位と、切り換え水位とを比較し、該最新の水位が該切り換え水位よりも高い場合、該計測時間間隔を前記第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を前記第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断して変更し、該最新の水位が該切り換え水位よりも低い場合、該計測時間間隔を該第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断し、
前記計測時間間隔が前記第2の計測時間間隔に等しいとき、前記制御部は、計測された最新の水位と、前記切り換え水位よりも低い戻り水位とを比較し、該最新の水位が該戻り水位よりも低い場合、該計測時間間隔を前記第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を前記第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断して変更し、該最新の水位が該戻り水位よりも高い場合、該計測時間間隔を該第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断し、
前記第2のモードにおいて、
前記計測時間間隔が前記第1の計測時間間隔に等しく、前記通報時間間隔が前記第1の通報時間間隔に等しいとき、前記制御部は、計測された最新の水位と、
前記切り換え水位とを比較し、該最新の水位が該切り換え水位よりも高い場合、該計測時間間隔を前記第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を前記第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断して変更し、該最新の水位が該切り換え水位よりも低い場合、該計測時間間隔を該第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断し、
前記計測時間間隔が前記第2の計測時間間隔に等しく、前記通報時間間隔が前記第2の通報時間間隔に等しいとき、前記制御部は、計測された最新の水位と、
前記戻り水位とを比較し、該最新の水位が該戻り水位よりも低い場合、該計測時間間隔を前記第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を前記第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断して変更し、該最新の水位が該戻り水位よりも高い場合、該計測時間間隔を該第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断する、
計測装置。
【請求項2】
前記測定値取得部と、前記記憶部と、前記通信部と、前記制御部と、前記電源部とが、管渠に通じるマンホールの蓋に取り付けられており、
前記水位センサが、ケーブルによって前記測定値取得部と接続されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の計測装置と、
前記計測装置から無線通信により前記蓄積データを受信する、可搬型の蓄積データ受信器と、
前記蓄積データをネットワーク上のコンピュータへと送信する、蓄積データ送信装置と、
前記蓄積データを前記ネットワーク上のコンピュータから受信する、受信端末装置と
を備えた、計測システム。
【請求項4】
水位センサが、閉鎖性空間の内部において水位を測定することと、
測定値取得部が、前記水位センサの測定値を示す信号を前記水位センサから取得することと、
制御部の制御により、記憶部が、前記信号から得られる計測値を時刻と関連付けて記憶することと、
前記制御部の制御により、通信部が、前記計測値と時刻とを示すデータを無線通信によりアンテナから前記閉鎖性空間の外部に送信することと
を含み、前記測定値を示す信号の取得を繰り返し、前記計測値の時刻と関連付けた記憶を繰り返すことにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶する、方法であって、
前記記憶部による前記記憶は、第1の計測時間間隔と該第1の計測時間間隔よりも短い第2の計測時間間隔とのいずれか一方へと前記制御部により制御される計測時間間隔で繰り返され、
前記通信部の動作は、前記制御部により第1のモードと第2のモードとの間で切り替えられ、
前記第1のモードにおいて、前記通信部は、蓄積データ受信器からの信号受信に応答して、前記蓄積データを前記アンテナから該蓄積データ受信器に対して送信し、
前記第2のモードにおいて、前記通信部は、前記測定値取得部が前記水位センサから取得した前記信号から得られる計測値を示すデータを、第1の通報時間間隔と該第1の通報時間間隔よりも短い第2の通報時間間隔とのいずれか一方へと前記制御部により制御される通報時間間隔で前記アンテナから繰り返し外部に送信し、
前記第1のモードにおいて、
前記計測時間間隔が前記第1の計測時間間隔に等しいとき、前記制御部は、計測された最新の水位と、切り換え水位とを比較し、該最新の水位が該切り換え水位よりも高い場合、該計測時間間隔を前記第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を前記第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断して変更し、該最新の水位が該切り換え水位よりも低い場合、該計測時間間隔を該第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断し、
前記計測時間間隔が前記第2の計測時間間隔に等しいとき、前記制御部は、計測された最新の水位と、前記切り換え水位よりも低い戻り水位とを比較し、該最新の水位が該戻り水位よりも低い場合、該計測時間間隔を前記第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を前記第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断して変更し、該最新の水位が該戻り水位よりも高い場合、該計測時間間隔を該第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断し、
前記第2のモードにおいて、
前記計測時間間隔が前記第1の計測時間間隔に等しく、前記通報時間間隔が前記第1の通報時間間隔に等しいとき、前記制御部は、計測された最新の水位と、
前記切り換え水位とを比較し、該最新の水位が該切り換え水位よりも高い場合、該計測時間間隔を前記第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を前記第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断して変更し、該最新の水位が該切り換え水位よりも低い場合、該計測時間間隔を該第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断し、
前記計測時間間隔が前記第2の計測時間間隔に等しく、前記通報時間間隔が前記第2の通報時間間隔に等しいとき、前記制御部は、計測された最新の水位と、
前記戻り水位とを比較し、該最新の水位が該戻り水位よりも低い場合、該計測時間間隔を前記第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を前記第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断して変更し、該最新の水位が該戻り水位よりも高い場合、該計測時間間隔を該第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断する、
方法。
【請求項5】
閉鎖性空間の内部において水位を測定する、水位センサと、
前記水位センサの測定値を示す信号を前記水位センサから繰り返し取得する、測定値取得部と、
前記信号から得られる計測値を時刻と関連付けて記憶する記憶部であって、該記憶を繰り返すことにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶する、記憶部と、
前記計測値と時刻とを示すデータを無線通信によりアンテナから前記閉鎖性空間の外部に送信する、通信部と、
前記記憶部と前記通信部との動作を制御する制御部と、
前記制御部に電力を供給する電源部と
を備えた計測装置の、前記制御部として機能するプロセッサに、
前記記憶部に前記計測値を時刻と関連付けて記憶させる手順であって、該記憶を繰り返させることにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶させる、記憶部制御手順と、
前記通信部に、前記計測値と時刻とを示すデータを無線通信により前記アンテナから前記閉鎖性空間の外部に送信させる、通信部制御手順と
を実行させるためのプログラムであって、
前記プロセッサに前記記憶部を制御させることにより、該記憶部に、前記計測値の時刻と関連付けた記憶を、第1の計測時間間隔と該第1の計測時間間隔よりも短い第2の計測時間間隔とのいずれか一方へと前記制御部により制御される計測時間間隔で繰り返させ、
前記プロセッサに、前記通信部の動作を第1のモードと第2のモードとの間で切り替えさせ、
前記第1のモードにおいて、前記プロセッサに前記通信部を制御させることにより、該通信部に、蓄積データ受信器からの信号受信に応答して、前記蓄積データを前記アンテナから該蓄積データ受信器に対して送信させ、
前記第2のモードにおいて、前記プロセッサに前記通信部を制御させることにより、該通信部に、前記測定値取得部が前記水位センサから取得した前記信号から得られる計測値を示すデータを、第1の通報時間間隔と該第1の通報時間間隔よりも短い第2の通報時間間隔とのいずれか一方へと前記制御部により制御される通報時間間隔で前記アンテナから繰り返し外部に送信させ、
前記第1のモードにおいて、
前記計測時間間隔が前記第1の計測時間間隔に等しいとき、前記プロセッサに、
計測された最新の水位と、切り換え水位とを比較させ、該最新の水位が該切り換え水位よりも高い場合、前記計測時間間隔を前記第2の計測時間間隔へと、前記通報時間間隔を前記第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断させて変更させ、該最新の水位が該切り換え水位よりも低い場合、該計測時間間隔を該第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断させ、
前記計測時間間隔が前記第2の計測時間間隔に等しいとき、前記プロセッサに、
計測された最新の水位と、前記切り換え水位よりも低い戻り水位とを比較させ、該最新の水位が該戻り水位よりも低い場合、前記計測時間間隔を前記第1の計測時間間隔へと、前記通報時間間隔を前記第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断させて変更させ、該最新の水位が該戻り水位よりも高い場合、該計測時間間隔を該第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断させ、
前記第2のモードにおいて、
前記計測時間間隔が前記第1の計測時間間隔に等しく、前記通報時間間隔が前記第1の通報時間間隔に等しいとき、前記プロセッサに、
計測された最新の水位と、
前記切り換え水位とを比較させ、該最新の水位が該切り換え水位よりも高い場合、前記計測時間間隔を前記第2の計測時間間隔へと、前記通報時間間隔を前記第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断させて変更させ、該最新の水位が該切り換え水位よりも低い場合、該計測時間間隔を該第2の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第2の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断させ、
前記計測時間間隔が前記第2の計測時間間隔に等しく、前記通報時間間隔が前記第2の通報時間間隔に等しいとき、前記プロセッサに、
計測された最新の水位と、
前記戻り水位とを比較させ、該最新の水位が該戻り水位よりも低い場合、前記計測時間間隔を前記第1の計測時間間隔へと、前記通報時間間隔を前記第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきであると判断させて変更させ、該最新の水位が該戻り水位よりも高い場合、該計測時間間隔を該第1の計測時間間隔へと、該通報時間間隔を該第1の通報時間間隔へと、それぞれ変更すべきではないと判断させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道等の管渠をはじめとする閉鎖性空間の内部で水位等を計測する測定装置、測定システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、局所的な豪雨の多発、下水道管路の老朽化などにより下水道氾濫や処理水質の悪化等の被害が甚大化する傾向にある。これに鑑み、リアルタイムな水位情報の通知や、雨天時侵入水(以下、「不明水」)の発生源の特定により、浸水対策、老朽化対策、不明水対策のレベルアップが求められている。
【0003】
リアルタイムな水位情報の通知は、浸水が発生する可能性のある地点等、常時計測を必要とする箇所に水位センサを設置し、水位を常時計測することで可能となる。また不明水の発生源の特定は、発生源と予想される多地点をスポット的に(常時ではなく、特定のタイミングで)計測することで行われている。
【0004】
上記常時計測とスポット計測とは、どちらも下水道管路の水位計測であるにも関わらず従来、これらは別々の装置を用いて行われてきた。常時計測の一例が、特許文献1に記載されている。
【0005】
常時計測の一例としては以下の構成によるものがある。
1.常時計測の水位計測装置の取付け例(
図1)
(1)水位計で計測した水位を無線通信機部よりクラウド側に通知する。
(2)無線通信機部には、電源として1次電池又は2次電池を搭載している。
(3)水位計測の周期とクラウド通知は、以下の方法がある。
・設置前にあらかじめ設定した周期。(例:5分周期)
・クラウド側からの天気情報などにより周期を可変。(例:晴れ、曇り:1時間、雨:5分)
【0006】
スポット計測の一例としては以下の構成によるものがある。
2.スポット水位計測取付け例(
図2)
(1)水位計にメモリとバッテリを搭載し計測したデータを蓄積する。大気開放弁がついていないため、地上で大気圧測定する。
(2)水位計測の周期は、設置前にあらかじめ設定した周期で計測。(例:5分周期)
(3)計測データは、装置を撤去後に編集、確認する。地上で計測した大気圧と大気補正する必要がある。
(4)上記(1)の水位計を不明水の発生源と考えられる多地点に設置する。(設置期間は、出水期の3~5ヵ月程度)
【0007】
特にスポット計測においては、計測データの編集、確認をするために水位計を回収しなければならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に鑑み、本発明は、閉鎖性空間内部でのスポット計測において水位計等のセンサを回収せずに計測データの確認等を行うことを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するべく、本発明は、閉鎖性空間の内部において測定する、センサと、センサの測定値を示す信号をセンサから繰り返し取得する、測定値取得部と、信号から得られる計測値を時刻と関連付けて記憶する記憶部であって、記憶を繰り返すことにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶する、記憶部と、計測値と時刻とを示すデータを無線通信によりアンテナから閉鎖性空間の外部に送信する、通信部と、記憶部と通信部との動作を制御する制御部と、制御部に電力を供給する電源部とを備えた、計測装置を提供する。
【0011】
記憶部は、計測値の時刻と関連付けた記憶を、制御部により制御される計測時間間隔で繰り返すものであってよい。
【0012】
通信部は、蓄積データ受信器からの信号受信に応答して、蓄積データを蓄積データ受信器に対してアンテナから送信するものであってよい。
【0013】
制御部は、通信部の動作を第1のモードと第2のモードとの間で切り替えるものであってよく、第1のモードにおいて、通信部は、蓄積データ受信器からの信号受信に応答して、蓄積データをアンテナから蓄積データ受信器に対して送信するものであってよく、第2のモードにおいて、通信部は、測定値取得部がセンサから取得した信号から得られる計測値を示すデータを、制御部により制御される通報時間間隔でアンテナから繰り返し外部に送信するものであってよい。
【0014】
センサは、閉鎖性空間内部の水位を測定する水位センサであってよく、制御部は、通報時間間隔を、計測された水位に応じて変更するものであってよい。
【0015】
制御部は、計測時間間隔を、計測された水位に応じて変更するものであってよい。
【0016】
測定値取得部と、記憶部と、通信部と、制御部と、電源部とが、管渠に通じるマンホールの蓋に取り付けられていてよく、センサが、ケーブルによって測定値取得部と接続されていてよい。
【0017】
また本発明は、上述の計測装置と、計測装置から無線通信により蓄積データを受信する、可搬型の蓄積データ受信器と、蓄積データをネットワーク上のコンピュータへと送信する、蓄積データ送信装置と、蓄積データをネットワーク上のコンピュータから受信する、受信端末装置とを備えた、計測システムを提供する。
【0018】
また本発明は、センサが、閉鎖性空間の内部において測定することと、測定値取得部が、センサの測定値を示す信号をセンサから取得することと、記憶部が、信号から得られる計測値を時刻と関連付けて記憶することと、通信部が、計測値と時刻とを示すデータを無線通信によりアンテナから閉鎖性空間の外部に送信することとを含み、測定値を示す信号の取得を繰り返し、計測値の時刻と関連付けた記憶を繰り返すことにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶する、方法を提供する。
【0019】
また本発明は、閉鎖性空間の内部において測定する、センサと、センサの測定値を示す信号をセンサから繰り返し取得する、測定値取得部と、信号から得られる計測値を時刻と関連付けて記憶する記憶部であって、記憶を繰り返すことにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶する、記憶部と、計測値と時刻とを示すデータを無線通信によりアンテナから閉鎖性空間の外部に送信する、通信部と、記憶部と通信部との動作を制御する制御部と、制御部に電力を供給する電源部とを備えた計測装置の、制御部として機能するプロセッサに、記憶部に計測値を時刻と関連付けて記憶させる手順であって、記憶を繰り返させることにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶させる、記憶部制御手順と、通信部に、計測値と時刻とを示すデータを無線通信によりアンテナから閉鎖性空間の外部に送信させる、通信部制御手順とを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、閉鎖性空間の内部での測定により得られた計測データを計測装置内に蓄積しつつ、計測装置から閉鎖性空間の外部へと計測データを送信することにより、スポット計測において、センサを回収することなくデータ確認等を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図7】常時計測(オンラインモード)の構成を示す図。
【
図8】スポット計測(オフラインモード)の構成を示す図。
【
図9】ネットワーク上のコンピュータの構成を示すブロック図。
【
図10】ゲートウェイ装置の構成を示すブロック図。
【
図12】蓄積データ受信器の構成を示すブロック図。
【
図13】蓄積データ送信装置の構成を示すブロック図。
【
図14】オンラインモードにおける動作フローを示すフローチャート。
【
図15】オンラインモードにおける、センサノード、ゲートウェイ、クラウドサーバ間の通信のシーケンスを示す図。
【
図16】水位計測、ゲートウェイ通知タイミングの水位に応じた変更を示す図。
【
図17】オフラインモードにおける動作フローを示すフローチャート。
【
図18】
図17のフローチャート中、水位計測、データ蓄積記憶のフローを示すフローチャート。
【
図19】オフラインモードにおける、センサノード、蓄積データ受信器間の通信のシーケンスを示す図。
【
図20】蓄積データから生成される複数のログファイルをコンピュータにより比較表示するときの画面イメージを示す図。
【
図21】センサとして水圧計を用い、センサノードを消火栓蓋に取り付けた、計測装置の実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態である計測装置、計測システム、方法、及びプログラムを、図面を参照しつつ説明する。ただし本発明による計測装置、計測システム、方法、及びプログラムが以下に説明する具体的態様に限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能であることに留意する。以下の実施形態においては、計測装置がオンラインモード(常時計測)とオフラインモード(スポット計測)の両方のモードで動作可能であるとして説明する(2種類のプログラムを記憶部に記憶しておき、制御部によるモード切り換えによってどちらのプログラムを実行するかを切り替える。)が、計測装置が2つのモードを備えることは必須ではない。その他にも、例えば、センサは水位センサに限らず、流量、流向、ガス、温度、水質、音、水質等、任意のセンサであってよいし、また各装置、コンピュータ等の構成も、各ブロック図に示されるものに限らず、同様の機能又は動作が可能であれば任意であり、例えば通信部の機能を制御部に統合する等、複数の構成要素が実行すべき動作を単独の構成要素により実行してもよいし(すなわち、例えば通信部と制御部とが同一のハードウェアにより構成されてもよいのであり、請求の範囲に記載された各構成要素は、1つ1つが別個のハードウェアである必要はない。)、あるいは制御部の機能を複数の演算回路に分散する等、図示される単独の構成要素の実行すべき動作を複数の構成要素により実行してもよい(すなわち、請求の範囲に記載された各構成要素は、複数のハードウェアの集合体であってもよい。)。各機能は、プロセッサ等がプログラムを実行することにより実現されてもよいし、マイコン等を用いた組み込み型のシステムによって同様の動作が実行されてもよい。以下の実施形態で示される全ての構成要素を本発明に係る計測装置が備える必要はなく(例えば、大気開放弁を備えることは必須ではなく、地上に大気圧計を設定して、水位計の測定値を補正してもよいし、要求される計測精度等、種々の状況に応じて各要素の有無は任意に選択してよい。)、また示される方法ステップの全てを本発明に係る方法が備える必要もない。計測システム、プログラムにおいても、実施形態で示される個々の要素の有無は任意に選択してよい。なお、閉鎖性空間が完全に閉鎖されている必要はなく、少なくとも部分的に閉鎖された空間であればよい。例えば、以下の実施形態に示すようにマンホールを介して外部と接続されている下水道管路内の管状空間も閉鎖性空間である。また、「水」、「水位センサ」、「水位」等として用いられる「水」とは純水に限られるわけではなく、下水等、任意の不純物を含む水も含む。
【0023】
図3は、マンホールの蓋に取り付けられた計測装置の一例を示す図であり、
図4は計測装置の別の一例を示す図である。また、水位センサの一例を
図5に示すとともに、
図6において計測装置の構成をブロック図で示す。
【0024】
図3の例において、下水道管路1内に通じるマンホール2の蓋3には、防水ケースに収容されたセンサノード4が取り付けられており、センサノード4は、中空ケーブル5(大気開放弁6が設けられている。)を介して、水位センサ7と接続されている。水位センサ7は、下水道管路1内の水8の中に置かれ(一例において、水位センサ7は、運用時には水8中に沈められる。
図7,
図8参照)、水8の水位を測定し、測定値を示す信号(電気信号、電流信号、光信号等、水位センサ7の態様に応じて信号の態様は変わり得る。)をセンサノード4のインタフェース部21へと送る。センサノード4のインタフェース部21はセンサからの信号を繰り返し取得し、記憶部19は、取得した信号から得られる計測値(計測値とは上記測定値であってよいが、例えば水位センサ7からは水圧を示す信号を取得し、これを水位に変換してから記憶する場合には、「測定値」とは水圧であり「計測値」とは水位であってよい。)を時刻と関連付けて記憶する(計測値と関連する「時刻」は、当該計測値を記憶するタイミングで、記憶部19に記憶された時間管理プログラムを制御部18が実行することで現在時刻として取得してもよいし(センサノード4内部のデバイスで時間管理してもよいし、通信部20による通信で外部から時刻情報を受信してもよい。)、或いは水位センサ7側で測定時刻を取得してインタフェース部21に信号として送ってもよい。)。記憶部19はこのような記憶を繰り返すことにより、複数の計測値と複数の時刻とを関連付けて蓄積データとして記憶する。蓄積データの一例は、
図6に示すとおり、当該水位センサ7の識別情報(ここでは「ID1」とし、一例においては番号である。)と、日付時刻(一例においては、「YYYYMMDD:HHMMSS」の形式で、日付と時刻を特定する情報である。)と、当該時刻に関連する計測値(水位の数値でもよいし、水位レベル等、水位に対応する何らかの指標でもよい。)と、をデータ項目として含むレコードの集合である。またマンホール2の蓋3には、アンテナ9が取り付けられており、センサノード4の通信部20とアンテナ9とはアンテナ線10で接続されている。通信部20は、計測値と時刻とを示すデータを無線通信によりアンテナ9から下水道管路1の外部に送信する。センサノード内の各要素の動作は、制御部18により制御される(インタフェース部21の入出力機器が制御を必要としない場合等、少なくとも一部の要素については制御不要としてもよい。)。またセンサノード4には電源部22も含まれ、制御部に(及び、必要に応じて他の要素に)電力を供給する。なお、
図4に示すとおり、センサノード4やアンテナ9をマンホールの蓋3に取り付けることは必須ではなく、例えば、アンテナ9をセンサノード4に対して固定した上で、センサノード4をマンホール2の壁面に対して固定(作業員がマンホール内で下に降りたり上に登ったりするためのステップ(足掛け用の器具)に固定する等)してもよい。
【0025】
水位センサ7の一例としては、
図5に示すタイプの水位センサ7(投込圧力式)が挙げられる。
図5の水位センサ7は、保護カバー7a内に、ダイヤフラム11、圧力変換素子12、増幅変換回路13を備え(保護カバー7aは筒状の形状であり、ダイヤフラム11の側が開いている)、中空ケーブル5によりインタフェース部21の入出力機器と接続されている。ダイヤフラム11が水8の圧力を受け、この液圧を圧力変換素子12が電気信号(電圧)に変換し、導線14,15を介して圧力変換素子12に接続される増幅変換回路13がこの電圧を増幅して電流に変換し、導線16,17を介してこの電流信号がセンサノード4のインタフェース部21に送られる。この電流信号は、ダイヤフラム11の位置における水圧に対応する信号であり、水圧は水8の水位に対応するため、電流信号から水位を決定することができる(具体的な水位の決定は、センサノード4側で、制御部18が記憶部19に記憶された制御プログラムを実行することにより行ってもよいし、水位センサ7側に水位計算をするための回路を配置し、水圧から水位を決定した上で、水位を表す信号をインタフェース部21に送ってもよい。)。なお、中空ケーブル5には大気開放弁6が設けられており、中空ケーブル5から大気開放弁6を通じて空気を放出することにより、大気圧の影響を排して水圧(これに対応する水位)を測定することができる。
【0026】
計測装置の全体構成は
図6のブロック図に示すとおりである。計測装置100は、センサノード4と、水位センサ7と、アンテナ9とを備え、センサノード4は、制御部18と、記憶部19と、通信部20と、インタフェース部21と、電源部22とを備える。センサノード4と水位センサ7とは中空ケーブル5を介して接続されており、中空ケーブル5には既に述べたとおり大気開放弁6が設けられている。通信部20の通信回路とアンテナ9とは、既に述べたとおりアンテナ線10で接続されている。
【0027】
制御部18は、中央処理装置(CPU: Central Processing Unit)、一時記憶メモリ(RAM:Random access memory)を備え、インタフェース部21を介した外部からの信号取得、及び、記憶部19に記憶された各種制御プログラム等を実行することによるセンサノード4の各要素の動作制御を行う。記憶部19は、各種記憶回路、或いはSSD(Solid State Drive)等の記憶デバイスを用いて構成され、各種の制御プログラムからなる制御プログラム群、その他の各種プログラム(OS:Operating System:オペレーティングシステム等)、データ等(後述の計測時間間隔、通報時間間隔を含む。)を記憶するとともに、上述の蓄積データを記憶する。通信部20は通信回路を備え、アンテナ9から下水道管路1の外部へと、水位の計測値や関連する時刻を示すデータを無線通信により送信する。ここにおいて通信回路は、一例においてはLPWA(Low Power, Wide Area)技術による無線通信を行うための通信回路である。インタフェース部21は、水位センサ7からの電流信号を取得し、必要に応じてデジタル信号に変換するための変換回路等を含む入出力機器を備えており、インタフェース部21を介して制御部18へと、水位センサ7の測定値を示す信号が送られる。既に述べたとおり、一例において、この信号は水圧を示す信号であり、制御部18が記憶部19に記憶された制御プログラムを実行することにより水圧から水位(計測値)を決定する。水位センサ7からの信号が水位を示す場合、制御部18は、この水位の値(測定値)を「計測値」として記憶部19に記憶させる。電源部22は1次電池又は2次電池を備え、制御部18等に電力を供給する。
【0028】
図7は、計測装置100を用いて行うことができる常時計測(オンラインモード)の構成を示す図であり、
図8は、計測装置100を用いて行うことができるスポット計測(オフラインモード)の構成を示す図である。
図9は、計測データをネットワーク経由で受信する、ネットワーク上のコンピュータの構成を示すブロック図であり、
図10は、計測装置100からネットワーク上のコンピュータへと計測データを送信するときにゲートウェイ処理を行うゲートウェイ装置の構成を示すブロック図である。
図11は、ネットワーク経由で計測データを受信する受信端末装置の構成を示すブロック図である。
図12は、スポット計測においてセンサノード4から蓄積データを受信する蓄積データ受信器の構成を示すブロック図である。
図13は、蓄積データ受信器が受信した蓄積データを外部に送信する蓄積データ送信装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
計測装置100は、常時計測(オンラインモード)とスポット計測(オフラインモード)の両モードで動作可能であり、どちらのモードで動作するかは、記憶部19に記憶された制御プログラムを制御部18が実行することに切り替えられる(典型的には、外部コンピュータからのモード切り換え信号を通信部20がアンテナ9で受信し、このモード選択信号に応じて制御部18が動作モードを切り替える。)。以下、常時計測とスポット計測の具体的動作を説明する。
【0030】
常時計測(オンラインモード)
図7に示すオンラインモードにおいて、計測装置100は下水道管路1内の水位を計測し、水位、時刻を示すデータを随時ゲートウェイ装置26経由で(適宜、中継器25を経由してもよい。)コンピュータネットワーク27上のコンピュータ43(
図9)に送信する。受信端末装置28,55のユーザは、このコンピュータ43から水位、時刻データを受信することにより、随時(リアルタイムで)下水道管路1内の水位の変化を監視することができる。
【0031】
コンピュータネットワーク27上のコンピュータ43はサーバ装置(クラウドサーバであってもよい。)であり、
図9に示すとおり、制御部44、記憶部45、通信部46、インタフェース部47、電源部48、アンテナ49を備える。制御部44は、中央処理装置、一時記憶メモリを備え、記憶部45に記憶された各種制御プログラム等を実行することにより、コンピュータ43の各要素の動作を制御する。記憶部45は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、或いはSSD等の記憶デバイスを用いて構成され、各種の制御プログラムからなる制御プログラム群、その他の各種プログラム(OS等)、データ等を記憶するとともに、計測装置100から受信した上述の蓄積データを記憶する。
図7に示すとおり、複数の計測装置から蓄積データを受信する場合は、異なる識別情報(
図9中、「ID1」,「ID2」)にて区別される、さまざまな計測装置に対応する蓄積データを記憶することができる。通信部46は通信回路を備え、アンテナ49を介して無線通信によりデータを送受信する。ここにおいて通信回路は、一例においてはインターネット通信、3G/LTE(Long Term Evolution)等の技術による無線通信等を行うための通信回路である。インタフェース部47は、表示装置による情報の表示、キーボード等を介した管理者50からの命令の受け付け、その他、入出力機器を介した信号の入出力を行う。コンピュータ43は、典型的には外部電源により動作するサーバ装置であるため電源を有しなくともよいが、電源部48として予備バッテリ等を備えていてもよい。
【0032】
ゲートウェイ装置26は、センサノード4とコンピュータネットワーク27上のコンピュータ43との間の通信におけるゲートウェイ処理(通信プロトコル変換等)を行う装置であり、
図10に示すとおり、ゲートウェイ処理を制御するゲートウェイ制御部51と、センサノード4、及びコンピュータネットワーク27上の両方と通信するための通信部52-1,52-2(複数の通信部であり、LPWA通信と3G/LTE通信にそれぞれ対応する。)、アンテナ54-1,54-2(複数のアンテナであり、LPWA通信と3G/LTE通信にそれぞれ対応する。)と、ゲートウェイ制御部51等に電力を供給する電源部53とを備える。
【0033】
受信端末装置28は、タブレット端末、モバイル端末等であってよく、一例においてはシンクライアント端末であってもよいが、ここではパーソナルコンピュータであるとする。パーソナルコンピュータとしての受信端末装置55は、
図11に示すとおり、制御部56、記憶部57、通信部58、インタフェース部59、電源部60、アンテナ61を備える。制御部56は、中央処理装置、一時記憶メモリを備え、記憶部57に記憶された各種制御プログラム等を実行することにより、受信端末装置55の各要素の動作を制御する。記憶部57は、ハードディスクドライブ、或いはSSD等の記憶デバイスを用いて構成され、各種の制御プログラムからなる制御プログラム群、その他の各種プログラム(OS等)、データ等を記憶する。なお、記憶部57には、コンピュータネットワーク27経由で受信した上述の蓄積データを記憶してもよいが、蓄積データを記憶せず、表示装置への表示等を行うのみとしてもよい。通信部58は通信回路を備え、アンテナ61を介して無線通信によりデータを送受信する。ここにおいて通信回路は、一例においてはインターネット通信、3G/LTE等の技術による無線通信等を行うための通信回路である。インタフェース部59は、表示装置による情報の表示、キーボード等を介したユーザ62からの命令の受け付け、その他、入出力機器を介した信号の入出力を行う。受信端末装置55は、典型的には外部電源により動作するクライアントマシンであるため電源を有しなくともよいが、電源部60として予備バッテリ等を備えていてもよい。
【0034】
図14は、オンラインモードにおける動作フローを示すフローチャートである。また
図15は、オンラインモードにおける、センサノード、ゲートウェイ、クラウドサーバ間の通信のシーケンスを示す。
【0035】
なお、センサノード4の記憶部19には、以下のデータが予め記憶されている。
・計測時間間隔1(「10分」とする。),計測時間間隔2(「1分」とする。)
・通報時間間隔1(「60分」とする。),通報時間間隔2(「1分」とする。)
・切り換え水位(「50cm」とする。)
・戻り水位(「30cm」とする。)
これらのデータは、例えばクラウドから設定することができる(シンクライアント端末から設定値データを送信し、クラウドサーバ経由でセンサノード4が受信して記憶部19が記憶する。)。
【0036】
オンラインモードの動作においては、計測時間間隔1(平常時),計測時間間隔2(緊急時)のうちいずれかの計測時間間隔を空けつつ計測を繰り返し、通報時間間隔1(平常時),通報時間間隔2(緊急時)のうちいずれかの通報時間間隔を空けつつ、計測データの外部への通報を繰り返す。それぞれどちらの計測時間間隔、通報時間間隔に従って動作するかは、現在の計測時間間隔、通報時間間隔として記憶部19に記憶されて制御部18により管理される。なお、
図14のフローの開始時においては、計測時間間隔1,通報時間間隔1が現在の計測時間間隔、現在の通報時間間隔として記憶部19に記憶されているとする(平常時と仮定する。)。
【0037】
オンラインモードが開始されると、計測装置100は、水位の計測を行う(ステップS1401)。計測により得られた計測値、及び関連する時刻とは、蓄積データとして記憶部19に蓄積記憶される。なお、水位センサ7からは、水8の水位を示す信号が設定された計測間隔でセンサノード4へと送られるが(消費電力を抑えるため、水位センサ7は設定された計測間隔でのみ起動し、水位を示す信号を送信する。起動制御等を行う制御回路は
図5において図示していない。)、センサノード4の制御部18は、当該信号からの水位の決定を上記計測時間間隔で繰り返し(後述のステップS1404の条件判断で「NO」と判断された場合にステップS1401を再度行うこととなるが、ここでは前回の計測から、現在の計測時間間隔だけ経過したことを待ってから、ステップS1401を行う。)、決定された水位の計測値を、関連する時刻(及び当該計測装置の識別情報。適宜記載を省略する。)とともに蓄積データとして記憶部19に蓄積記憶する。
【0038】
ステップS1401で計測した水位について、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行する制御部18は、現在の計測時間間隔、及び現在の通報時間間隔を変更すべきか否かの判定を行う(ステップS1402)。この判定は、
図16に示すとおり、計測された水位を「切り換え水位」と「戻り水位」と比較することにより行われる。
【0039】
具体的に、現在の計測時間間隔が計測時間間隔1であり、現在の通報時間間隔が通報時間間隔1である場合(平常時)、制御部18は、ステップS1401により計測された最新の水位と、切り換え水位とを比較し、最新の水位が切り換え水位に到達した場合(最新の水位が切り換え水位と等しいか、切り換え水位よりも高い場合)には、現在の計測時間間隔1、通報時間間隔1を緊急時の計測時間間隔2、通報時間間隔2へと変更すべきであると判断し(ステップS1402の分岐の「YES」)、ステップS1403においてそのように変更し、緊急時の計測時間間隔2、通報時間間隔2を現在の計測時間間隔、通報時間間隔として記憶部19に記憶させる。平常時の上記比較において、最新の水位が切り換え水位に到達していない場合(最新の水位が切り換え水位よりも低い場合)には、制御部18は、現在の計測時間間隔1、通報時間間隔1を変更すべきではないと判断し(ステップS1402の分岐の「NO」)、処理はステップS1404へと進む。
【0040】
また、
図14のフロー中のループ処理が繰り返されて、仮に現在の計測時間間隔が計測時間間隔2であり、現在の通報時間間隔が通報時間間隔2である場合(緊急時)、制御部18は、ステップS1401により計測された最新の水位と、戻り水位とを比較し、最新の水位が戻り水位に到達した場合(最新の水位が戻り水位と等しいか、戻り水位よりも低い場合)には、現在の計測時間間隔2、通報時間間隔2を平常時の計測時間間隔1、通報時間間隔1へと変更すべきであると判断し(ステップS1402の分岐の「YES」)、ステップS1403においてそのように変更し、平常時の計測時間間隔1、通報時間間隔1を現在の計測時間間隔、通報時間間隔として記憶部19に記憶させる。緊急時の上記比較において、最新の水位が戻り水位に到達していない場合(最新の水位が戻り水位よりも高い場合)には、制御部18は、現在の計測時間間隔2、通報時間間隔2を変更すべきではないと判断し(ステップS1402の分岐の「NO」)処理はステップS1404へと進む。このような判定処理、及び計測・通報時間間隔の変更により、水位が上がって切り換え水位に到達した場合(緊急時)には計測、通報を短い時間間隔で頻繁に行い、その後水位が下がって戻り水位に到達した場合(平常時)には、計測・通報を長い時間間隔で行うという運用がなされることとなるため、平常時の電力消費を低く抑えることができる。
【0041】
ステップS1404において、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行する制御部18は、前回の通報から現在の通報時間間隔だけの時間が経過したか否かを判断する(このような時間管理は記憶部19に記憶された制御プログラムを実行する制御部18により行われる。また、オンラインモード開始から一度も通報がされていない場合は、オンラインモードの開始時点から現在の通報時間間隔だけの時間が経過したか否かを判断する。)。現在の通報時間間隔だけの時間が、未だ経過していない場合(ステップS1404の分岐の「NO」)、処理はステップS1401へと戻り、再び水位計測を行う。現在の通報時間間隔だけの時間が経過した場合(ステップS1404の分岐の「YES」)、処理はステップS1405へと進む。
【0042】
ステップS1405において、通信部20は、水位データ(計測装置の識別情報、水位の計測値、関連する時刻をデータ項目として含むレコードの集合体である、蓄積データ)をアンテナ9からゲートウェイ装置26に送信し、蓄積データはゲートウェイ装置26からネットワーク27上のコンピュータ43に送信される。ネットワーク27上のコンピュータ43は受信した蓄積データを記憶部45に記憶し、受信端末装置28,55はネットワーク27上のコンピュータ43にアクセスして蓄積データを受信することにより、水位の時間変化を監視することができる。なお、
図7に示すとおり、ネットワーク27上のコンピュータ43はさまざまな計測装置から蓄積データを受信し、
図9に示すとおり、各々の計測装置の識別情報(「ID1」,「ID2」)で分類される蓄積データを記憶するため、受信端末装置28,55は、ネットワーク27上のコンピュータ43にアクセスして、さまざまな場所に設置された計測装置の計測結果を監視できる(さまざまな場所の水位を監視できる。)。
【0043】
ステップS1406において、制御プログラムを実行する制御部18は、計測装置100がオンラインモードの動作を継続すべきか否かを判断する。一例として、センサノード4がオフラインモード(スポット計測)へのモード切り換えを指示する信号を受信した場合(ステップS1406の分岐の「NO」)、制御部18はオンラインモードの動作を終了し、動作を「オフラインモード」へと切り換える(
図17のフローチャートで示される動作に移行する。)。またスリープ指示等、オンラインモードを終了させるべき何らかの指示信号をセンサノード4が受信した場合(ステップS1406の分岐の「NO」)も、同様に制御部18はオンラインモードの動作を終了させる。オンラインモードの終了を指示する信号を受信しない場合、制御部18はオンラインモードを継続すべきであると判断し(ステップS1406の分岐の「YES」)、処理はステップS1401へと戻る。なお、オンラインモードの動作を継続すべきか否かの判断はあらゆるタイミングで行ってよい。
【0044】
スポット計測(オフラインモード)
図8に示すオフラインモードにおいて、計測装置100は下水道管路1内の水位を計測し、水位、時刻を示すデータを蓄積データとして蓄積し続ける。蓄積データ受信器29のユーザは、計測装置100が設置された場所の近くまで移動し、マンホール2の外から(地上から)、LPWA技術による無線通信で蓄積データを受信し、蓄積データ送信装置(コンピュータ)30を用いて、受信した蓄積データをネットワーク27上のコンピュータ43に送信する。受信端末装置28,55のユーザは、このコンピュータ43から水位、時刻データを受信することにより、下水道管路1内の水位の変化を監視することができる。
【0045】
蓄積データ受信器29は、蓄積データ送信装置30の制御を受けつつ、センサノード4から蓄積データを受信するための持ち運び可能な(可搬型)装置である。
図12に示すとおり、蓄積データ受信器29は、アンテナ31、通信回路32、制御回路33、入出力機器34を備え(その他に、受信した蓄積データを記憶しておくためのメモリデバイスを備えてもよい。)、蓄積データ送信装置30とはUSB(Universal Serial Bus)ケーブル35により接続される。入出力機器34は、USBケーブル35経由で受信されたデータを適宜処理して制御回路33に送る回路、及び、アンテナ31で受信したデータを制御回路33の制御の下でUSBケーブル35経由で蓄積データ送信装置30へと送信するための回路等を備える。制御回路33は、蓄積データ送信装置30から入力された制御命令に従い通信回路32の動作を制御する。通信回路32は、一例においては、アンテナ31を用いてLPWA技術による無線通信を行うための通信回路である。
【0046】
蓄積データ送信装置30は、蓄積データ受信器29による蓄積データ受信を制御するとともに、受信した蓄積データをネットワーク27上のコンピュータ43に送信するための装置であり、典型的には可搬型のコンピュータである。蓄積データ送信装置30は、
図13に示すとおり、制御部36、記憶部37、通信部38、インタフェース部39、電源部40、アンテナ41を備える。制御部36は、中央処理装置、一時記憶メモリを備え、記憶部37に記憶された各種制御プログラム等を実行することにより、蓄積データ送信装置30の各要素の動作を制御する。記憶部37は、ハードディスクドライブ(HDD)、或いはSSD等の記憶デバイスを用いて構成され、各種の制御プログラムからなる制御プログラム群、その他の各種プログラム(OS等)、データ等を記憶するとともに、計測装置100から蓄積データ受信器29経由で受信した上述の蓄積データを記憶する。
図13に示すとおり、複数の計測装置から蓄積データを受信する場合は、異なる識別情報(
図13中、「ID1」,「ID2」)にて区別される、さまざまな計測装置に対応する蓄積データを記憶することができる。通信部38は通信回路を備え、アンテナ41を介して無線通信によりデータを送受信する。ここにおいて通信回路は、一例においてはインターネット通信、3G/LTE等の技術による無線通信等を行うための通信回路である。インタフェース部39は、表示装置による情報の表示、キーボード等を介したユーザ42からの命令の受け付け、その他、入出力機器を介した信号の入出力を行う。蓄積データ送信装置30は、典型的には外部電源により動作するコンピュータであるが、電源部48として予備バッテリ等を備えておくことにより、外部電源のない場所(屋外のマンホール付近)においても動作することができる。
【0047】
図17は、オフラインモードにおける動作フローを示すフローチャートであり、
図18は、
図17のフローチャート中、水位計測、データ蓄積記憶のフローを示すフローチャートである。また
図19は、オフラインモードにおける、センサノード、蓄積データ受信器間の通信のシーケンスを示す。
【0048】
なお、センサノード4の記憶部19には、オンラインモードの動作に関して説明したとおり、以下のデータが予め記憶されている。
・計測時間間隔1(「10分」とする。),計測時間間隔2(「1分」とする。)
・通報時間間隔1(「60分」とする。),通報時間間隔2(「1分」とする。)
・切り換え水位(「50cm」とする。)
・戻り水位(「30cm」とする。)
さらにセンサノード4の記憶部19には、後述の定期発報タイミングを示すデータ(定期発報を繰り返す際の時間間隔であってもよいし、特定の日時に定期発報すべきことを示す日時データであってもよい。)が予め記憶されている。
これらのデータは、例えばクラウドから設定することができる(シンクライアント端末から設定値データを送信し、クラウドサーバ経由でセンサノード4が受信して記憶部19が記憶する。)。
【0049】
オフラインモードの動作においては、計測時間間隔1(平常時),計測時間間隔2(緊急時)のうちいずれかの計測時間間隔を空けつつ水位計測を繰り返し、センサノード4の記憶部19に計測データを蓄積データとして蓄積しつつ、定期発報タイミングが来るたびに、外部に対して定期発報を行う。定期発報に対して蓄積データ受信器からの応答があれば、当該蓄積データ受信器に対して蓄積データを送信し、再び水位計測を繰り返して計測データを蓄積させる。応答がなければ、所定時間だけ待機する。なお、
図17のフローの開始時においては、計測時間間隔1が現在の計測時間間隔として記憶部19に記憶されているとする(平常時と仮定する。)。
【0050】
オフラインモードが開始されると、計測装置100は、定期発報タイミングが来るまでの間に水位計測を繰り返し、蓄積データとして記憶部19に蓄積させる(ステップS1701)。ステップS1701の詳細は、
図18のフローチャートに示すとおりである。
【0051】
ステップS1801において、計測装置100は、水位の計測を行う。計測により得られた計測値、及び関連する時刻とは、蓄積データとして記憶部19に蓄積記憶される(ステップS1802)。
【0052】
ステップS1802で蓄積記憶した水位について、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行する制御部18は、現在の計測時間間隔を変更すべきか否かの判定を行う(ステップS1803)。この判定は、オンラインモードと同様に、
図16に示すとおり、計測された水位を「切り換え水位」と「戻り水位」と比較することにより行われる。
【0053】
具体的に、現在の計測時間間隔が計測時間間隔1である場合(平常時)、制御部18は、ステップS1801により計測された最新の水位と、切り換え水位とを比較し、最新の水位が切り換え水位に到達した場合(最新の水位が切り換え水位と等しいか、切り換え水位よりも高い場合)には、現在の計測時間間隔1を緊急時の計測時間間隔2へと変更すべきであると判断し(ステップS1803の分岐の「YES」)、ステップS1804においてそのように変更し、緊急時の計測時間間隔2を現在の計測時間間隔として記憶部19に記憶させる。平常時の上記比較において、最新の水位が切り換え水位に到達していない場合(最新の水位が切り換え水位よりも低い場合)には、制御部18は、現在の計測時間間隔1を変更すべきではないと判断し(ステップS1803の分岐の「NO」)、処理はステップS1805へと進む。
【0054】
また、
図18のフロー中のループ処理が繰り返されて、仮に現在の計測時間間隔が計測時間間隔2である場合(緊急時)、制御部18は、ステップS1801により計測された最新の水位と、戻り水位とを比較し、最新の水位が戻り水位に到達した場合(最新の水位が戻り水位と等しいか、戻り水位よりも低い場合)には、現在の計測時間間隔2を平常時の計測時間間隔1へと変更すべきであると判断し(ステップS1803の分岐の「YES」)、ステップS1804においてそのように変更し、平常時の計測時間間隔1を現在の計測時間間隔として記憶部19に記憶させる。緊急時の上記比較において、最新の水位が戻り水位に到達していない場合(最新の水位が戻り水位よりも高い場合)には、制御部18は、現在の計測時間間隔2を変更すべきではないと判断し(ステップS1803の分岐の「NO」)処理はステップS1805へと進む。このような判定処理、及び計測時間間隔の変更により、水位が上がって切り換え水位に到達した場合(緊急時)には計測を短い時間間隔で頻繁に行い、その後水位が下がって戻り水位に到達した場合(平常時)には、計測を長い時間間隔で行うという運用がなされることとなるため、平常時の電力消費を低く抑えることができる。なお、オフラインモードにおいて通報時間間隔は用いられないが、オンラインモードの場合と同様に計測水位に応じて通報時間間隔を変更しておけば、オフラインモードからオンラインモードに移行した時の処理が最新の水位に適応したものとなる。
【0055】
ステップS1805において、センサノード4は、前回の水位計測から現在の計測時間間隔が経過するまで待機する(このような時間管理は記憶部19に記憶された制御プログラムを実行する制御部18により行われる。)。ステップS1806において、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行する制御部18は、定期発報タイミングが来たか否かを判断する(このような時間管理は記憶部19に記憶された制御プログラムを実行する制御部18により行われる。)。一例において、制御部18は、前回の発報から、記憶部に記憶された発報時間間隔だけの時間が経過したか否かを判断する(オフラインモード開始から一度も発報がされていない場合は、オフラインモードの開始時点から発報時間間隔だけの時間が経過したか否かを判断する。)。発報時間間隔だけの時間が未だ経過していない場合等、発報タイミングがまだ来ていない場合(ステップS1806の分岐の「NO」)、処理はステップS1801へと戻り、再び水位計測を行う。発報時間間隔だけの時間が経過した場合等、発報タイミングが来た場合(ステップS1806の分岐の「YES」)、処理は
図17のステップS1702へと進む。なお、ここでは定期発報タイミングが一定であるとしたが、定期発報タイミングも、オンラインモードにおける通報タイミングと同様に計測水位に応じて可変であるとしてもよい(例えば発報時間間隔1(「60分」とする。)と発報時間間隔2(「1分」とする。)を定義し、ステップS1804で現在の計測時間間隔が計測時間間隔2に切り替えられるタイミングで現在の発報時間間隔も発報時間間隔2に切り換え、ステップS1804で現在の計測時間間隔が計測時間間隔1に戻されるタイミングで現在の発報時間間隔も発報時間間隔1に戻すという制御が可能である。発報時間間隔1,2や現在の発報時間間隔は、通報時間間隔1,2や現在の通報時間間隔と同様に記憶部19に記憶されて制御部18により制御される。)。
【0056】
通信部20は、ステップS1702においてアンテナ9から外部への定期発報を行い、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行する制御部18は、発報に対する応答があったか否かをステップS1703において判定する(ステップ1703)。応答があった場合(ステップ1703の分岐における「YES」)、通信部20は、応答信号に含まれる蓄積データ受信器29の識別情報により特定される当該蓄積データ受信器29へと、記憶部19に記憶された蓄積データをアンテナ9から送信し、蓄積データ受信器29から応答信号を受信する(ステップS1704)。このときに蓄積データ受信器29に送信する蓄積データは、記憶部19に記憶された蓄積データ全てであってもよいし、過去の一定期間において計測された、水位の計測値、関連する時刻を、計測装置100の識別情報とともに送信してもよい。蓄積データ送信器30は、蓄積データを受信した蓄積データ受信器29から当該蓄積データを取得し、ログファイルとして記憶部37に記憶する。蓄積データ受信器29は可搬型であるから、さまざまなマンホールの蓋に設置されたさまざまな計測装置から、当該計測装置の識別情報とともに蓄積データを受信し、この蓄積データを取得した蓄積データ送信器30は、さまざまな計測装置に対応する蓄積データを、計測装置の識別情報(
図13中、「ID1」,「ID2」)と関連付けて記憶部37に記憶し、ネットワーク上のコンピュータ43に送信する。ステップS1705において、通信部20は蓄積データ受信器29に対して送信完了を通知する信号をアンテナ9から送信し、応答を受信すると、再びステップS1701の水位計測、データの蓄積記憶へと処理は戻る。
【0057】
ステップS1703において、センサノード4からの発報に対して応答がなかった場合(ステップS1703の分岐における「NO」)、センサノード4は所定時間(記憶部19に予め記憶されている。)だけ待機する(ステップS1706)。待機後、ステップS1707において、制御プログラムを実行する制御部18は、計測装置100がオフラインモードの動作を継続すべきか否かを判断する。一例として、センサノード4がオンラインモード(常時計測)へのモード切り換えを指示する信号を受信した場合(ステップS1707の分岐の「NO」)、制御部18はオフラインモードの動作を終了し、動作を「オンラインモード」へと切り換える(
図14のフローチャートで示される動作に移行する。)。またスリープ指示等、オフラインモードを終了させるべき何らかの指示信号をセンサノード4が受信した場合(ステップS1707の分岐の「NO」)も、同様に制御部18はオフラインモードの動作を終了させる。オフラインモードの終了を指示する信号を受信しない場合、制御部18はオフラインモードを継続すべきであると判断し(ステップS1707の分岐の「YES」)、処理はステップS1701へと戻る。なお、オフラインモードの動作を継続すべきか否かの判断はあらゆるタイミングで行ってよい。
【0058】
図20は、蓄積データから生成される複数のログファイルをコンピュータにより比較表示するときの画面イメージを示す図である。ステップS1704において、センサノード4から蓄積データ受信器29に蓄積データが送信され、蓄積データが蓄積データ送信装置30によって取得されると、蓄積データ送信装置30の制御部36は、記憶部37に記憶された制御プログラムを、ユーザのキーボード等からの入力に応じて実行することにより、取得した蓄積データからログファイルを作成して記憶部37に記憶する。蓄積データ送信装置30からネットワーク上のコンピュータ43への蓄積データの送信は、このログファイルを送信することにより行われる。
図20においては、記憶部37に複数のログファイルが記憶されている状態で、今回作成されたログファイル(20191113_111649_GetLog.csv)と、前回作成されたログファイル(20191113_103448_GetLog.csv)が比較表示されている(制御部36が、記憶部37に記憶された表示プログラム等を実行することにより、このような表示が行われる。)。今回と前回とで取得したそれぞれの蓄積データについて、計測期間、時間、取得及び欠損件数、シーケンス番号、計測時刻、水位値が表示される。両ログファイル間で重複したデータ(前回のログファイル中、シーケンス番号277-289,296-297、今回のログファイル中、シーケンス番号が290,295-304)や、受信できなかったデータ(前回のログファイル中、シーケンス番号291~294、今回のログファイル中、シーケンス番号306~309)がわかるよう、色分け表示がされている。なお、現場でデータ取得した時は、画面右側の「今回結果」が、受信したばかりのデータであり、直前に受信したデータが「前回結果」として比較表示される。その場合、ログファイル選択部の一番上のファイルが「今回結果」のデータからなるログファイルであり、そのひとつ下のファイルが「前回結果」のデータからなるログファイルである。
【0059】
以上の実施形態によれば、従来、水位の常時計測とスポット水位計測でそれぞれの装置が必要であったのに対し、1つの装置で両方の計測を行うことができる。また、スポット水位計測において、従来、装置を撤去するまで蓄積したデータを確認できなかったのであり、長期間の計測データの為、編集作業に時間がかかり、また大気圧計測用のセンサーとの大気補正が必要という問題があったが、上述の実施形態においてはそのような問題も起こらない。また、計測周期に関しても、従来は、必要のない計測、クラウドへの通知が多い為、電力消費が多くなり電池交換タイミングが早くなるか、或いは、電池容量が増大する為、装置形状が大きくなるという問題があったが、上述の実施形態においてはそのような問題も解消される。
【0060】
すなわち、上述の実施形態によれば、1つの装置で水位の常時計測とスポット水位計測を可能とするのであり、ここにおいて、スポット水位計測において計測データをいつでも取り出せるし、また無駄な計測、通知(クラウド側へのデータ送信)を減らし消費電力の抑制による装置の高寿命化と小型化も行うことができる。このように、下水管内の水位を常時計測し通知する機能とスポット水位計測を一つの装置で可能としたことにより、不明水の調査後に常時計測として使用することが可能である。さらに、スポット水位計測中の蓄積データを無線取得できることで測定点の見極めが早くできる。また、水位によって計測周期を変えることでバッテリの長時間稼働、装置の小型化が可能となる。
【0061】
図21は、センサとして水圧計を用い、センサノードを消火栓蓋に取り付けた、計測装置の実施例を示す図である。このような構成においても、既に説明した下水道管路内の水位計測と同様に消火栓内の水圧計測、及びデータの蓄積、送受信等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、下水道管路内の水位計測をはじめとして、任意の閉鎖性空間内における任意の計測に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 閉鎖性空間(管渠、下水道管路)
2 マンホール
3 マンホール蓋
4 センサノード(防水ケース内)
5 中空ケーブル
6 大気開放弁
7 水位センサ(水位計)
7a 保護カバー
8 水
9 アンテナ
10 アンテナ線
11 ダイヤフラム
12 圧力変換素子
13 増幅変換回路
14~17 導線
18 制御部
19 記憶部
20 通信部
21 インタフェース部
22 電源部
23 別のマンホール蓋
24 別の水位センサ
25 中継器
26 ゲートウェイ装置
27 コンピュータネットワーク(インターネット網)
28 受信端末装置(タブレット端末、モバイル端末)
29 蓄積データ受信器
30 蓄積データ送信装置(コンピュータ)
31 アンテナ
32 通信回路
33 制御回路
34 入出力機器
35 USBケーブル
36 制御部
37 記憶部
38 通信部
39 インタフェース部
40 電源部
41 アンテナ
42 ユーザ
43 ネットワーク上のコンピュータ
44 制御部
45 記憶部
46 通信部
47 インタフェース部
48 電源部
49 アンテナ
50 管理者
51 ゲートウェイ制御部
52-1,52-2 通信部
53 電源部
54-1,54-2 アンテナ
55 受信端末装置(パーソナルコンピュータ)
56 制御部
57 記憶部
58 通信部
59 インタフェース部
60 電源部
61 アンテナ
62 ユーザ
100 測定装置