IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-光学的に検出するための光検出器 図1
  • 特許-光学的に検出するための光検出器 図2
  • 特許-光学的に検出するための光検出器 図3
  • 特許-光学的に検出するための光検出器 図4
  • 特許-光学的に検出するための光検出器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】光学的に検出するための光検出器
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0232 20140101AFI20231120BHJP
   H01L 31/08 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H01L31/02 D
H01L31/08 N
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089072
(22)【出願日】2022-05-31
(62)【分割の表示】P 2019522286の分割
【原出願日】2017-10-24
(65)【公開番号】P2022119939
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】16195456.5
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブルーダー,イングマル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,ヴィルフリート
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/120392(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0224046(US,A1)
【文献】特開2015-201647(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0124782(US,A1)
【文献】特開2002-202590(JP,A)
【文献】特開2016-014866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも第1の表面(116)と第2の表面(118)とを有する光フィルタ(114)であって、前記第2の表面(118)は前記第1の表面(116)に関して反対側に配置されており、該光フィルタ(114)は、前記第1の表面(116)によって受光された入射光束(120)が該光フィルタ(114)を通過して前記第2の表面(118)に達することができるように設計されており、それによって、前記入射光束(120)のスペクトル組成を変更することによって変更光束(122)を生成する光フィルタ(114)と;
- 前記光フィルタ(114)の前記第2の表面(118)上に堆積されている感光材料(130)を含むセンサ層(128)であって、前記変更光束(122)による前記センサ層(128)の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されたセンサ層(128)と;
- 前記センサ信号を評価することによって、前記入射光束(120)によって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置(140)と;
- 前記光フィルタ(114)と前記センサ層(128)の間に配置された中間層(170)と、を有し、
前記中間層(170)は、
- 前記光フィルタ(114)と前記センサ層(128)が第1の光センサと第2の光センサとして別々に動作可能であるように設計される厚い絶縁層(172)であって、前記第1の光センサと前記第2の光センサとの間の相互作用を妨げるように選択される厚さを有する、厚い絶縁層(172)、または、
- 前記光フィルタ(114)と前記センサ層(128)の間に相互作用が生じるように設計される薄い絶縁層(174)であって、該薄い絶縁層(174)を通じて前記光フィルタ(114)と前記センサ層(128)との間に電界効果が発生することを可能にするように選択された厚さを有する薄い絶縁層(174)、
のうちの一方を含む、検出器(110)。
【請求項2】
前記検出器(110)は、赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの区画内の少なくとも1つの波長を検出するように設計され、前記赤外スペクトル範囲が760nmから1000μmまでの範囲である、請求項1に記載の検出器(110)。
【請求項3】
前記光フィルタ(114)は、バンドパスフィルタ(124)、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、単色フィルタ、写真用フィルタ、偏光フィルタ、減光フィルタ、バンド阻止フィルタからなる群から選択される、請求項1または2に記載の検出器(110)。
【請求項4】
前記光フィルタ(114)は、ステンドグラスフィルタ、メタルメッシュフィルタ、または光学干渉フィルタのうちの1つである、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項5】
前記光フィルタ(114)は、前記入射光束(120)の伝播方向または偏光の種類の少なくとも1つをさらに変更するように適合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項6】
前記光フィルタ(114)は、少なくとも1つの非線形光学効果を適用することにより、前記入射光束(120)をさらに変更するように適合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項7】
少なくとも2つの個別の電気接点(136、136’)が前記センサ層(128)に接触し、前記電気接点(136、136’)は、前記センサ信号を前記評価装置(140)に送信するように設計されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項8】
前記感光材料(130)は、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素または化合物、第3族-第5族化合物、第2族-第6族化合物、カルコゲニド、プニクトゲニド、ハロゲン化物、ならびにそれらの固溶体および/またはドープ変形のうち1つまたは複数を含む無機光伝導性材料(130)である、請求項1から7のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項9】
前記カルコゲニドは、
硫化鉛(PbS)、銅インジウム硫化物(CIS)、銅インジウムガリウムセレン(CIGS)、銅亜鉛スズ硫化物(CZTS)、セレン化鉛(PbSe)、銅亜鉛錫セレン化物(CZTSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫セレン化鉛(PbSSe)、銅-亜鉛-硫化スズ-セレンカルコゲニド(CZTSSe)、ならびにそれらの固溶体および/またはドープ変形からなる群から選択される、請求項8に記載の検出器(110)。
【請求項10】
前記光フィルタ(114)は、電気絶縁基板(126)または半導体基板(162)のうちの1つであるかそれを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項11】
前記中間層(170)は、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、それらの混合物および/またはそれらの積層体の1つまたは複数を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項12】
前記中間層(170)は、接着層または光学反射防止層であるかまたはそれを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項13】
前記センサ層(128)の上に堆積されたカバー層(134)をさらに有している、請求項1から11のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項14】
前記センサ信号は縦方向センサ信号であって、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じ場合、前記センサ層(128)内の前記変更光束(122)のビーム断面積に依存し、前記評価装置(140)は、前記縦方向センサ信号を評価することによって、物体(112)の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項15】
光検出器(110)を製造する方法であって、
a)少なくとも第1の表面(116)と第2の表面(118)とを有する光フィルタ(114)を提供するステップであって、前記第2の表面(118)は前記第1の表面(116)に対して反対側に配置され、前記光フィルタ(114)は、前記第1の表面(116)によって受光された入射光束(120)が前記光フィルタ(114)を通過して前記第2の表面(118)に達することを可能にするように設計され、それによって、前記入射光束(120)のスペクトル組成を変更することによって変更光束(122)を生成するステップ;
b)前記光フィルタ(114)の前記第2の表面(118)に感光材料(130)を堆積することによってセンサ層(128)を生成するステップであって、前記センサ層(128)は、前記変更光束(122)による前記センサ層(128)の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されるステップ;
c)前記センサ信号を評価することによって、前記入射光束(120)によって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置(140)を提供するステップ;及び、
d)前記光フィルタ(114)と前記センサ層(128)の間に配置された中間層(170)を提供するステップ、を有し、
前記中間層(170)は、
- 前記光フィルタ(114)と前記センサ層(128)が第1の光センサと第2の光センサとして別々に動作可能であるように設計される厚い絶縁層(172)であって、前記第1の光センサと前記第2の光センサとの間の相互作用を妨げるように選択される厚さを有する、厚い絶縁層(172)、または、
- 前記光フィルタ(114)と前記センサ層(128)の間に相互作用が生じるように設計される薄い絶縁層(174)であって、該薄い絶縁層(174)を通じて前記光フィルタ(114)と前記センサ層(128)との間に電界効果が発生することを可能にするように選択された厚さを有する薄い絶縁層(174)、
のうちの一方を含む、方法。
【請求項16】
前記センサ層(128)は前記光フィルタ(114)の前記第2の表面(118)に直接的または中間層を介して間接的に適用され、前記センサ層(128)は、堆積方法を用いることによって適用され、前記堆積方法は、化学浴析出、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化無電解浸漬増殖、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、孔版印刷、スロットダイコーティング、およびドクターブレードからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
使用目的が、距離測定;位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;スキャニング用途;立体視;写真撮影用途;撮像用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップを生成するためのマッピング用途;車両用のホーミングまたは追跡ビーコン検出器;熱的特徴を有する物体の距離および/または位置測定;マシンビジョン用途;ロボット用途;物流用途;車両用途;飛行機用途;船用途;宇宙船用途医療用途;スポーツの用途;ビルディング用途;建設用途;製造用途飛行時間検出器、レーダー、ライダー、超音波センサ、干渉法から選択される少なくとも1つの検知技術と組み合わせての使用;赤外線検出用途;熱検出用途;温度計用途;熱探査用途;炎検出用途;火災検出用途;煙検出用途;温度感知用途;分光用途;コピー用途;ゼログラフィ用途;排ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業用プロセス監視用途;化学プロセス監視用途;食品加工プロセス監視用途;水質監視用途;大気質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;モーションコントロール用途;排気制御用途;ガス感知用途;ガス分析用途;動き感知用途;化学感知用途;からなる群から選択される、検出器(110)に関する請求項1から14のいずれか一項に記載の検出器(110)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に赤外線スペクトル範囲内の放射を光学的に検出するための、具体的には物体の少なくとも1つの光学的に想定できる特性を検出することに関して光学的に検出するための光検出器に関する。より具体的には、検出器は、透過率、吸収、放出、反射率、および/または少なくとも1つの物体の位置を決定するために使用され得る。さらに、本発明は、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、スキャニングシステム、追跡システム、立体視システムおよびカメラに関する。さらに、本発明は、光検出器を製造する方法、ならびに光検出器の様々な使用に関する。このような装置、方法および使用は、例えば日常生活、ゲーム、交通技術、空間マッピング、製造技術、セキュリティ技術、医療技術の様々な分野または科学分野において採用され得る。ただし、さらなる適用も可能である。
【背景技術】
【0002】
特に赤外スペクトル領域における検出用に設計された光検出器(IR検出器)、特に硫化鉛(PbS)光電導体またはセレン化鉛(PbSe)光電導体は、典型的に、特に所望の波長用のフィルタを使用することによって、紫外(UV)スペクトル範囲、可視(VIS)スペクトル範囲または近赤外(NIR)スペクトル範囲の少なくとも1つの迷光が、好ましくは、光検出器に入ることから取り除かれる用途に使用される。この目的のために、少なくとも1つのフィルタガラスを含むバッケージが一般的に使用される。より具体的には、いわゆる「TOパッケージ」であって、すなわち、トランジスタまたはダイオードなどの個別の電子素子に典型的に使用される小ピンカウントパッケージは、さらに、ロングパスフィルタを備えていてもよい。一般的に使用されているように、「ロングパスフィルタ」という用語は、より短い波長を減衰させるように、同時に、より長い波長を伝送するように設計された着色ガラスフィルタまたは光学干渉フィルタを指し、それによって、カットオフ波長が所望のスペクトル範囲のフィルタリングを達成する。用途によっては、多数のフィルタを使用することができる。例として、紙の水分測定のための用途では、4つの個別のフィルタを使用することができ、第1のフィルタは吸水率を測定するように適合され、第2のフィルタはセルロース吸収を決定するために適合されてもよく、その一方で残りの2つのフィルタは基準チャネルとして使用することができる。しかしながら、多数のフィルタを使用することは、それぞれの検出器間の相互干渉を排除することに関して非常に困難であり得る。
【0003】
WO2016/120392A1は、センサ領域の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計された縦方向光センサを開示している。いわゆる「FiP効果」によれば、照射の総出力が同じであるとした場合、センサ信号は、照射の幾何学形態、特にセンサ領域上の照射のビーム断面積に依存する。さらに、光検出器であって、センサ信号から少なくとも1つの幾何学的情報、特に照射および/または物体に関する少なくとも1つの幾何学的情報を生成するように指定された少なくとも1つの評価装置を有する光検出器が開示される。ここでは、縦方向光センサのセンサ領域は光伝導性材料を備え、該光伝導性材料の導電性は、照射の総出力が同じ場合、センサ領域の光束のビーム断面積に依存する。このように、縦方向光センサ信号は、光伝導性材料の導電性に依存する。好ましくは、光伝導性材料は、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、または硫化銅亜鉛スズ(CZTS)から成る群から選択され得る。さらに、固溶体および/またはそのドープ変形も適用可能である。さらに、センサ領域を有する横方向光センサが開示されており、該センサ領域は、2つの透明な導電性酸化物層の間に優先的に埋め込まれた光伝導性材料の層と、少なくとも2つの電極とを含んでいる。好ましくは、電極の少なくとも1つは、少なくとも2つの部分電極を有する分割電極であり、該部分電極によって提供される横方向センサ信号は、センサ領域内の入射光束のx位置および/またはy位置を示す。
【0004】
US4602158Aは、赤外線(IR)感知素子と多重変換装置の入力ステージとの間に個別に接合された導線を使用しないシリコン(Si)ウェハを提供することを開示している。ウェハは最初に第1の検出器アレイ領域内でセレン化鉛(PbSe)で被覆され、その後、第2の検出器アレイ領域内で硫化鉛(PbS)により被覆される。結果として、Siウェハ上へのセレン化鉛(PbSe)および硫化鉛(PbS)の直接的な化学的堆積により、個々のワイヤーボンディング、バンピング、フリップチップ化を排除し、Siチップ電気回路構成に検出器アレイ素子を接続する平面相互接続方法、例えばマルチプレクサのように、非常に長いアレイの容易な製造を可能にする。使用される電極構造は、従来の電極構成と比較して、所定の体積の検出器材料の電極間の電界勾配の増加を生じる。
【0005】
L.Pintilie、E.Pentia、I.Matei、I.Pintile、およびE.Ozbayによる、“Field-effect-assisted photoconductivity in PbS films deposited on silicon dioxide”,J.Appl.Phys.91,p.5782,2002は、化学浴からSiO/Si(n型)基板上に硫化鉛(PbS)薄膜を堆積することを記載している。擬似金属酸化物半導体デバイスは、ソース電極とドレイン金電極をPbS表面に蒸着し、アルミニウムゲート電極をSi基板に蒸着することによって得られた。PbS層の電界効果アシスト光伝導性は、ドレインとゲート電圧の異なる値と極性において800~2700nmの波長領域を室温で観察できる。両方の半導体が空乏化しているときに、正のゲートで最良の結果が得られた。ゲート電極が存在しない場合または使用されていない場合と比較して光伝導性信号の約25%の増強を得ることができた。
【0006】
US2014/124782A1は、基板上に第1の層を有する画像センサを開示しており、該第1の層はカルコゲニド含有材料を含む。画像センサはさらに検出部を有し、該検出部は第1の層に接続され、第1の層の電気特性の変動を検出するように構成されている。さらに、画像センサは、基板と第1の層との間に配置された介在層を含み、該介在層は、基板と第1の層の両方と接触している。特に、介在層は有限インパルス応答フィルタを含む。このタイプのフィルタの他に基板自体以外にフィルタは使用されず、基板は半導体材料(例えば、シリコンまたはゲルマニウム)を含み得、「より純粋な赤外光」を生成するために入射光をフィルタリングするために入射光の伝播経路上に配置される。
【0007】
US2006/065833A1は、約1600nmまで応答する赤外線検出器を開示している。検出器は、Si、GaAs、Ge、またはそれらの組み合わせから選択された基板と、基板上に配置されたフィルタリング層と、フィルタリング層上に配置され、放射アップコンバート材料を含む変換層と、アップコンバートされた放射を基板に向けるように構成され、アップコンバートされた放射に比例する電子信号を生成するダイバータを含む。ここで、フィルタリング層は、可視光透過性で紫外線減衰性の材料を含むことができる。この目的のために、金属酸化物、Ta、SnO、ZnO、およびInSbを使用することが好ましい。代替的に、フィルタリング層は、約1100nmを超える波長を透過する一方で、約1100nmを下回る入射放射をフィルタリングするように構成されたロングパスフィルタであってもよい。さらに、上述の変換層は、本明細書に示されているように多種多様な異なる材料から選択することができる。
【0008】
WO2014/12355A1は、波長可変分光計および製造方法を開示しており、該分光計は光フィルタと、少なくとも一方が熱光学材料を含む半波長スペーサーによって分離された第1の反射器スタックおよび第2の反射器スタックと、第1の反射器スタックと第2の反射器スタックと半波長スペーサーの少なくとも1つと接触するヒーターとヒートシンクと、検出器アレイを含む。ここで、光フィルタは、好ましくは、ファブリーペローキャビティーを有する単色または狭帯域干渉フィルタである。
【0009】
上述の装置によって教唆されるような利点にもかかわらず、特に赤外スペクトル領域における用途のために、単純で、費用効率がよく、そしてなお信頼できる光検出器に関する改良が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO2016/120392A1
【文献】US4602158A
【文献】US2014/124782A1
【文献】US2006/065833A1
【文献】WO2014/12355A1
【文献】L.Pintilie、E.Pentia、I.Matei、I.Pintile、およびE.Ozbayによる、“Field-effect-assisted photoconductivity in PbS films deposited on silicon dioxide”,J.Appl.Phys.91,p.5782,2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明によって解決される課題は、この種の既知の装置および方法の不利点を少なくとも実質的に回避する、光学的検出のための装置および方法を明示することである。
【0012】
特に、光放射を検出するための改良された、簡単で、費用効率がよく、それでもなお信頼性のある光検出器を提供することが、特に赤外スペクトル範囲内で、特に透過率、吸収、放出および反射率のうちの少なくとも1つを感知することに関して、望ましいであろう。これにより、光検出器は、迷光がセンサ層に入るのを可能な限り効果的に除去することができるように構成されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立特許請求項の特徴を有する本発明によって解決される。個別にまたは組み合わせて実現することができる本発明の有利な発展形態は、従属請求項および/または以下の明細書および詳細な実施形態によって提示される。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「有する」、「含む」、または「含有する」という表現ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な形で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現ならびに「AはBを含む」または「AはBを含有する」という表現は、AはBの他に1つまたは複数のさらなる成分および/または構成を含有するということと、AにおいてB以外に他の成分、構成または要素が存在しないということの両方を指し得る。
【0015】
本発明の第1の態様では、光検出器が開示されている。ここで、本発明に係る光検出器は、
- 少なくとも第1の表面と第2の表面とを有する光フィルタであって、第2の表面は第1の表面に対して反対側に配置されており、該光フィルタは、前記第1の表面によって受光された入射光束が該光フィルタを通過して第2の表面に通過させることができるように設計されており、それによって、入射光束のスペクトル組成を変更することによって変更光束を生成する光フィルタと;
- 光フィルタの第2の表面上に堆積されている感光材料を含むセンサ層であって、該センサ層は、変更光束によるセンサ層の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されているセンサ層と;
- センサ信号を評価することによって、入射光束によって提供される少なくとも1つの情報の項目を生成するように設計された評価装置と、
を含む。
【0016】
ここで、列挙された構成要素は分離された構成要素であってもよい。代替的に、上記に挙げた構成要素のうち複数は1つの構成要素に統合してもよい。好ましくは、前記評価装置は、他の光学要素から独立した別個の評価装置として形成されてもよいが、好ましくはセンサ信号を受信できるようにセンサ層に接続されてもよい。しかしながら、他の種類の構成も実現可能である。
【0017】
一般的に使用されるように、「光検出器」という用語は、特にスペクトル範囲の少なくとも一つの区画において少なくとも1つの波長を検出するように設計され、スペクトル範囲の所望の区画は、紫外線(UV)スペクトル範囲、可視(VIS)スペクトル範囲および/または赤外線(IR)スペクトル範囲から選択されてよい。本発明による光検出器あるいは単に検出器のために、IR範囲、すなわち760nmから1000μmのスペクトル範囲が特に好ましい。好ましい実施形態では、本発明による検出器は、特に、中赤外(MidIR)スペクトル範囲、すなわち1.5μmから15μmのスペクトル範囲の少なくとも1つの区画内の少なくとも1つの波長を検出するように設計されてよい。しかしながら、検出器は、少なくとも部分的に異なるスペクトル範囲にわたる波長範囲に対して特に設計されるように適合されてもよい。
【0018】
本発明によれば、検出器は光フィルタを含む。一般に使用されるように、「光フィルタ」という用語は、光学素子であって、入射光束が該光学素子を通過することを可能にするように設計され、それによって光束は、一般に、入射光束のスペクトル組成を変えることによって変更される光学素子を指す。本明細書で使用されるとき、「スペクトル組成の変更」という用語は、光フィルタを使用することによって入射光束の透過率対波長の関係を変更し、このように、入射光束とは異なる透過率対波長の関係を有する変更光束を生成することを指す。
【0019】
特に、光フィルタは、特に、入射光束のスペクトル組成の区画を減衰させるように設計することができる。ここで、光フィルタは、ロングパスフィルタから選択されることが好ましい。しかしながら、他の種類の光フィルタ、特にショートパスフィルタ、バンドパスフィルタ、単色フィルタ、写真用フィルタ、偏光フィルタ、またはバンド阻止フィルタも実現可能である。一般的に使用されるように、「ロングパスフィルタ」という用語は、カットオフ波長より下の第1の波長範囲を減衰させると同時にカットオフ波長より上の第2の波長範囲を透過させることによって変更光束を生成するように設計された光学素子を指し、ここで「カットオフ波長」という用語は、通常、ピーク透過率の50%が生じる波長を指す。結果として、ロングパスフィルタは、カットオフ波長より下のより短い波長を減衰させるように適合されているが、カットオフ波長より上のより長い波長は減衰させないか軽微な減衰を伴ってそれぞれの光学素子を通過させる。同様に、ショートパスフィルタは、カットオフ波長より上の第2の波長範囲を減衰させ、および同時に、カットオフ波長より下の第1の波長範囲を透過させることによって、変更光束を生成するように設計される。さらに、バンドパスフィルタは、2つのカットオフ波長間の波長帯域を透過させるがバンド外で減衰するように設計されている。特に、単色フィルタは、50nm未満または10nm未満のバンドのような、特に小さい2つのカットオフ波長間の波長帯域を通し、帯域外は減衰させるように設計されたバンドパスフィルタである。同様に、バンド阻止フィルタは、帯域内は減衰させ帯域外は通過させるように設計される。さらに、写真用フィルタは、写真の分野で知られているフィルタであり、例えば、減光フィルタ、目盛り付き減光フィルタ、偏光フィルタ、色補正フィルタ、目盛り付きカラーフィルタ、コントラスト強調フィルタ、減色フィルタ、色変換フィルタ、拡散フィルタ、軟化フィルタなど波長帯域の大部分を減衰させるようになっている。しかしながら、他の種類の光フィルタも実現可能であり得る。
【0020】
本発明による検出器は、好ましくは上述のように、IRスペクトル範囲、すなわち、760nmから1000μmまで、特に、MidIRスペクトル範囲内、すなわち1.5μmから15μmまでを検出するために使用されるので、光フィルタのカットオフ波長、特にロングパスフィルタは、近赤外スペクトル(NIR)範囲、すなわち、760nmから1.5μmまでのスペクトル範囲、あるいはMidIRスペクトル範囲、すなわち、1.5μm~15μmまでの波長から選択することができ、そこではNIRスペクトル範囲は特に好ましく、これにより、NIRスペクトル範囲のある区画とMidIRスペクトル範囲の全部にわたる検出を可能にする。
【0021】
ここで、光フィルタに使用される光学素子は、単一の光学部品、または代替の実施形態では、入射光束の透過率対波長の関係を変更する目的を達成するのに適した選択された光学部品の組み合わせを含むことができる。特に、光フィルタ、特にロングパスフィルタは、ステンドグラスフィルタまたは光学干渉フィルタから選択され得る。本発明の特定の実施形態では、光フィルタは、したがって、変更された光束に入射光束に対して異なる伝播方向を与えるために、入射光束の伝播方向を変更するように適合させることができる。言い換えれば、このように、光学素子は、適切な光学素子を通過する光束の角度を変更するように適合されてもよく、それによって角度の値は任意の方向に関して決定されてもよい。この目的のために、光学素子は、全体としてそれぞれの変更機構、たとえばプリズムまたは傾斜面、または、マイクロレンズ、マイクロ溝を採用することによる局所的な拡散板、または、ビーム整形器であり得るかまたはそれを含み得る。代替的または追加的に、1/4波長板、偏光子、または交差偏光子などの適切な光学素子を使用することによって、光フィルタを通過する光束の偏光の少なくとも1つのタイプを変更することが実現可能であり得る。代替的または追加的に、たとえば蛍光リン光体、蛍光集光器、またはアップコンバージョン蛍光体のようなアップコンバージョンまたはダウンコンバージョンを引き起こす可能性がある非線形光学効果のような、1つまたは複数の非線形光学効果を使用することにより、光の波長および/または伝播方向が変更され得る。しかし、さらなる実施形態もまた実現可能であり得る。
【0022】
一般に使用されるように、「ステンドグラスフィルタ」または「ステンドポリマーフィルタ」という用語は、光学的に透明な基材を有する一種の特定種類の光フィルタを示し、好ましくは基板上に均一に分布した、特に染料、顔料、塩などの有機または無機材料であって基材と共に所望の透過率対波長の関係を示す吸収性物質を含む。一般に、基板は広いスペクトル範囲にわたって高い透過率を示すことができ、一方吸収性物質は、特にロングパスフィルタのためには、1つまたは複数のカットオフ波長を規定するために使用され得る。したがって、同じ基板を異なる染料の範囲と共に使用することによって、異なるロングパスフィルタの範囲を提供することが実現可能であり得る。光学的に透明な基板は、ガラス、ポリマー、シリコーン、結晶材料などから選択することができる。ステンドグラスフィルタの非限定的な例としては、鉛ガラス、コバルトガラス、ミルクガラス、ウランガラスなどが挙げられる。
【0023】
これとは対照的に、「干渉フィルタ」、「反射フィルタ」、「薄膜フィルタ」、または「ダイクロイックフィルタ」という用語は、1つまたは複数の第1のスペクトル線または第1のスペクトル帯を反射し、第2のスペクトル線または第2のスペクトル帯を送るように設計されている光学素子を指す。この目的のために、それぞれが特定の厚さおよび特定の屈折率を有する誘電材料を含む少なくとも2つの層が基板上に堆積される。結果として、異なる屈折率を有する層の間の界面は反射を生じ、それによっていくつかの波長は選択的に増強され、したがって所望のスペクトル帯域を提供する。干渉フィルタは、ファブリーペロー干渉計、二色性ガラスフィルタ、またはリオフィルタとしても実現され得る。さらに、「干渉フィルタ」という用語はまたメタルメッシュフィルタを示すこともある。
【0024】
したがって、好ましい実施形態では、光フィルタは、電気絶縁基板、または代替実施形態では半導体基板を含むことができる。本明細書では、基板は、ガラス、石英、シリコン(Si)、シリコーン、透明有機ポリマー、臭化カリウム(KBr)などの結晶塩、または、透明導電性酸化物(TCO)であって、好ましくは、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(SnO:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、またはペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択される透明導電性酸化物(TCO)から選択される材料を含むことができる。しかしながら、他の種類の基板も実現可能であり得る。
【0025】
したがって、本明細書で使用される光フィルタは、第1の表面と第2の表面とを有し、第2の表面は第1の表面に対して反対側に配置されている。本発明の目的のために、光フィルタの「第1の表面」は、該光フィルタを通過して「第2の表面」に至る入射光束を受け取るように設計され、それによって、変更された光束は、光フィルタのスペクトル特性に従って入射光束の透過率対波長の関係を変えることによって生成される。一般に、光フィルタの第1の表面および第2の表面の少なくとも一方、好ましくは両方は、入射光束を受光するのに適した平面領域を有する平坦表面であり得る。
【0026】
代替実施形態では、光フィルタの第1の表面または第2の表面の少なくとも一方は曲面であってもよく、ここで「曲面」という用語は、その特性が平坦な平面であることから逸脱し得る範囲内で光束を通過させるのに適した領域を指す。したがって、特に、光フィルタは、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、およびメニスカスレンズからなる群から選択することができる。本明細書では、曲面は、特に、光束が検出器を通る経路に沿って受ける可能性がある任意の収差を補正できるように設計することができる。
【0027】
さらに本発明によれば、検出器は少なくとも1つの感光材料を含むセンサ層を含み、該センサ層は検出器のセンサ領域として機能することができる。本明細書で使用されるとき、「センサ領域」は、光束による検出器の照射を受けるように設計されている検出器の区画と考えられ、該センサ領域によって受けるような照射は、少なくとも1つのセンサ信号の生成を引き起こすことができ、該センサ信号の生成は、センサ信号とセンサ領域の照射の仕方の間の定義された関係によって支配されてよい。
【0028】
センサ信号は一般に、測定されるべき所望の光学特性、特に、入射光束の透過率、吸収、放出および反射率、または物体の位置を示す任意の信号であり得る。一例として、センサ信号は、デジタルおよび/またはアナログ信号であり得るか、またはそれを含み得る。一例として、センサ信号は、電圧信号および/または電流信号であり得るかまたはそれらを含み得る。追加的にまたは代替的に、センサ信号はデジタルデータであるか、またはそれを含むことができる。センサ信号は、単一の信号値および/または一連の信号値を含み得る。センサ信号は、2つ以上の信号を平均化、および/または2つ以上の信号の商を形成することによってなどして、2つ以上の個々の信号を組み合わせることによって導出される任意の信号をさらに含み得る。
【0029】
好ましい実施形態では、センサ層に使用される感光材料は、色素太陽電池、光伝導性材料、および量子ドットからなる群から選択することができ、光伝導性材料が特に好ましい。
【0030】
色素太陽電池に関するさらなる詳細について、WO2012/110924A1およびWO2014/097181A1を参照することができる。本明細書で使用されるとき、「光伝導性材料」という用語は、特にWO2016/120392A1によれば、電流を持続することができ、したがって、特定の導電性を示す材料を指し、具体的には、該導電性は材料の照射に依存する。電気抵抗率は、導電性の逆数値として定義されるため、代替的に、「光抵抗性材料」という用語もまた同じ種類の材料を示すために使用され得る。したがって、光伝導性材料は、好ましくは、無機光伝導性材料、特に、薄膜半導体またはナノ粒子状光伝導性材料、特に有機半導体の有機光伝導性材料、それらの組み合わせ、固溶体、および/またはドープ変形を含み得る。本明細書使用されるとき、「固溶体」という用語は、少なくとも1種の溶質が溶媒中に含まれ得る光伝導性材料の状態を指し、それによって均一相が形成され、溶媒の結晶構造が一般的に溶質の存在によって不変となり得る。例として、2成分のテルル化カドミウム(CdTe)をテルル化亜鉛(ZnTe)中で溶解させてCd1-xZnTeに至らしめることができ、式中、xの値は0から1の範囲で変動し得る。さらに本明細書使用されるとき、「ドープ変形」という用語は、材料自体の成分とは別に個別の原子が、非ドープ状態の固有原子によって占有される結晶内の部位に導入された光伝導性材料の状態を指し得る。例として、特にシリコン結晶の化学的および/または物理的性質を変更するために、純粋なシリコン結晶が、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、リン、ヒ素、アンチモン、ゲルマニウム、または他の原子のうちの1つまたは複数でドープされ得る。
【0031】
これに関して、無機光伝導性材料は、特に、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素または化合物、すなわち第4族に属する元素または少なくとも1種の第4族元素を有する化合物、第3族-第5族化合物、すなわち少なくとも1種の第3族元素と少なくとも1種の第5族元素とを有する化合物、第2族-第6族化合物、すなわち、一方で、少なくとも1種の第2族元素または少なくとも1種の第12族元素を有し、一方で、少なくとも1種の第6族元素を有する化合物、および/または、カルコゲニドを含み得る。しかしながら、他の無機光伝導性材料も同様に適切であり得る。
【0032】
上述のとおり、カルコゲニドは、好ましくは硫化物カルコゲニド、セレン化物カルコゲニド、テルル化物カルコゲニド、三元カルコゲニド、四元以上のカルコゲニドから成る群から選択され、好ましくは光センサのセンサ層としての使用に適切となり得る。一般に使用されるように、「カルコゲニド」という用語は、酸化物以外に第16族元素を含み得る化合物、すなわち硫化物、セレン化物、およびテルル化物を指す。特に、光伝導性材料は、硫化物カルコゲニド、好ましくは硫化鉛(PbS)、セレン化物カルコゲニド、好ましくはセレン化鉛(PbSe)、テルル化物カルコゲニド、好ましくはテルル化カドミウム(CdTe)、または三元カルコゲニド、好ましくは、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe;MZT)であるか、またはそれを含むことができる。少なくとも上記の好ましい光伝導性材料は、一般に、赤外線スペクトル範囲内で独特の吸収特性を示すことが知られているため、上記の光伝導性材料の1つを含むセンサ層は、好ましくは赤外線センサとして使用され得る。しかしながら、他の実施形態および/または他の光伝導性材料、特に後述の光伝導性材料もまた適している。
【0033】
特に、硫化物カルコゲニドは、硫化鉛(PbS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化水銀(HgS)、硫化銀(AgS)、硫化マンガン(MnS)、三硫化ビスマス(Bi)、三硫化アンチモン(Sb)、三硫化ヒ素(As)、硫化スズ(II)(SnS)、二硫化スズ(IV)(SnS)、硫化インジウム(In)、硫化銅(CuSまたはCuS)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化鉄(FeS)、および三硫化クロム(CrS)から成る群から選択され得る。
【0034】
特に、セレン化物カルコゲニドは、セレン化鉛(PbSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、三セレン化ビスマス(BiSe)、セレン化水銀(HgSe)、三セレン化アンチモン(SbSe)、三セレン化ヒ素(AsSe)、セレン化ニッケル(NiSe)、セレン化タリウム(TlSe)、セレン化銅(CuSeまたはCuSe)、二セレン化モリブデン(MoSe)、セレン化スズ(SnSe)、セレン化コバルト(CoSe)、およびセレン化インジウム(InSe)から成る群から選択され得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形もまた適している。
【0035】
特に、テルル化物カルコゲニドは、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化ビスマス(BiTe)、三テルル化ヒ素(AsTe)、三テルル化アンチモン(SbTe)、テルル化ニッケル(NiTe)、テルル化タリウム(TlTe)、テルル化銅(CuTe)、二テルル化モリブデン(MoTe)、テルル化スズ(SnTe)、テルル化コバルト(CoTe)、テルル化銀(AgTe)、およびテルル化インジウム(InTe)から成る群から選択され得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形もまた適している。
【0036】
特に、三元カルコゲニドは、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫化水銀カドミウム(HgCdS)、硫化鉛カドミウム(PbCdS)、硫化鉛水銀(PbHgS)、二硫化銅インジウム(CuInS2;CIS)、硫セレン化カドミウム(CdSSe)、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)、硫セレン化タリウム(TlSSe)、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS)、硫化カドミウムクロム(CdCr)、硫化水銀クロム(HgCr)、硫化銅クロム(CuCr)、セレン化カドミウム鉛(CdPbSe)、二セレン化銅インジウム(CuInSe)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、硫化一酸化鉛(PbOS)、セレン化一酸化鉛(PbOSe)、硫セレン化鉛(PbSSe)、セレン化テルル化ヒ素(AsSeTe)、亜セレンカドミウム(CdSeO)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)およびセレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、前述の2成分カルコゲニドおよび/または後述の2成分第3族-第5族化合物に属する化合物の適用によるさらなる組み合わせから成る群から選択され得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形もまた適している。
【0037】
四元以上のカルコゲニドに関して、この種の材料は適切な光導電特性を示すことが既に知られ得る四元以上のカルコゲニドから選択されてもよい。特に、Cu(In,Ga)S/SeまたはCuZnSn(S/Se)の組成を有する化合物はこの目的に対し適している。
【0038】
第3族-第5族化合物に関して、この種の半導体材料はアンチモン化インジウム(InSb)、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、およびアンチモン化ガリウム(GaSb)から成る群から選択され得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形もまた適している。
【0039】
第2族-第6族化合物に関して、この種の半導体材料は硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、およびセレン化水銀亜鉛(CdZnSe)から成る群から選択され得る。しかしながら、他の第2族-第6族化合物も適している。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体もまた該当し得る。
【0040】
金属酸化物に関して、この種の半導体材料は、光導電性を示し得る既知の金属酸化物、特に酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銀(AgO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化チタン(TiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(PbO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化カドミウム(CdO)、フェライト(Fe)、およびペロブスカイト酸化物(ABC、式中、Aは二価陽イオン、Bは四価陽イオン)から成る群から選択され得る。さらに、三元または四元以上の金属酸化物も適用し得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形であって、化学量論的化合物または非化学量論的化合物に該当し得るものも適している。後でより詳細に説明されるように、同時にまた透明または半透明の特性を示し得る金属酸化物を選択することが好ましいかもしれない。
【0041】
第4族の元素または化合物に関して、この種の半導体材料はドープダイヤモンド(C)、ドープシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、およびシリコンゲルマニウム(SiGe)から成る群から選択され、半導体材料は結晶質材料、微結晶質材料または好ましくは非晶質材料から選択され得る。一般的に使用されるように、「非晶質」という用語は、半導体材料の非結晶同素体相を指す。特に、光伝導性材料は、少なくとも1つの水素化非晶質半導体材料を含むことができ、非晶質材料はさらに、材料に水素を適用することによって不動態化され、これの適用により、理論に束縛されることを望むものではないが、材料内のダングリングボンドの数が数桁減少したように見える。特に、水素化非晶質半導体材料は、水素化非晶質シリコン(a-Si:H)、水素化非晶質シリコンカーボン合金(a-SiC:H)、または水素化非晶質ゲルマニウムシリコン合金(a-GeSi:H)からなる群から選択することができる。しかしながら、水素化微結晶シリコン(μc-Si:H)のような他の種類の材料もこれらの目的のために使用され得る。
【0042】
代替的にまたは追加的に、有機光伝導性材料は、特に有機化合物であるかまたはそれを含んでいてもよく、特に適切な光導電特性を有することで知られている有機化合物、好ましくはゼログラフィにおいて一般に使用される化合物であるポリビニルカルバゾールであってもよい。しかしながら、WO2016/120392A1においてさらに詳細に記載されている多数の他の有機分子もまた適している。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、光伝導性材料は量子ドットを含むコロイド膜の形態で提供され得る。同じ材料の均一層に関して少しまたは大幅に変更された化学的および/または物理的特性を示し得る光伝導性材料のこの特別な状態は、コロイド量子ドット(CQD)と表わすこともできる。本明細書で使用されるとき、「量子ドット」という用語は、光伝導性材料の状態であって、光伝導性材料が導電性粒子、3つの空間次元すべてにおいて通常「ドット」と呼ばれる小さい容積に閉じ込められる電子またはホールを含み得る状態を指す。
【0044】
本発明において、量子ドットは、簡単に言えば、前述の粒子容積とほぼ同じとなり得る球の直径と捉えることができるサイズを示し得る。この好ましい実施形態では、光伝導性材料の量子ドットは特に、1nmから100nm、好ましくは2nmから100nm、より好ましくは2nmから15nmの範囲のサイズを示すことができ、ただし、特定の薄膜に実際に含まれる量子ドットは特定の薄膜の厚さよりも小さいサイズを示し得る。実際、量子ドットは、界面活性剤分子に閉じられ、コロイド膜を形成するように溶液中で分散させることができるナノメートル規模の半導体結晶を含み得る。本発明において、界面活性剤分子は、特に選択された界面活性剤分子の近似空間拡張の結果としてコロイド膜内の個々の量子ドット間の平均距離を決定することを可能にするように選択され得る。さらに、配位子の合成に応じて、量子ドットは親水性または疎水性を示すことがある。CQDは気相、液相、または固相のアプローチの適用によって生成され得る。これにより、特に溶射、コロイド合成、またはプラズマ合成など既知のプロセスを使用することによってCQDの合成のための多様な方法が可能である。しかし、他の生産プロセスも実現可能である。
【0045】
さらにこの好ましい実施形態では、量子ドットに使用される光伝導性材料は、好ましくは、上述の光伝導性材料のうちの1つから、より具体的には、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ペロブスカイト構造材料ABC(式中、Aはアルカリ金属または有機陽イオンを表わし、BはPb、SnまたはCuであり、Cはハロゲン化物を表わす)、および銅亜鉛硫酸スズ(CZTS)を含む群から選択され得る。さらに、この種の上記の化合物または他の化合物の固溶体および/またはドープ変形も実現可能であり得る。この種の材料のコアシェル構造も実現可能であり得る。しかし、他の光伝導性材料等も実現可能であり得る。
【0046】
ここで、感光材料の層、特に、光伝導性材料の層は、化学浴析出、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着法、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬増殖、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、孔版印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレードおよび溶液-ガス界面技法から成る群から選択された少なくとも1つの被着法の適用によって製造され得る。結果として、感光材料の層、特に光伝導性材料の層は、10nmから100μmまで、好ましくは100nmから10μmまで、特に300nmから5μmまでの範囲の厚さを示すことができる。
【0047】
特に好ましい実施形態では、センサ層は、光フィルタとセンサ層との間に特に、隙間が残らないように、または隙間が生じないように、光フィルタの第2の表面に直接または間接的に塗布されてもよい。結果として、センサ層は、好ましくは、正に1つの連続センサ層であり得る。
【0048】
特定の実施形態では、本発明による検出器は、さらに、光フィルタとセンサ層との間に配置され得る中間層を含み得る。一般に使用されるように、「中間層」という用語は、中間層の2つの対向する表面に隣接する2つの個別の層の間に配置され得る追加の層を指す。ここで、中間層は、一方では光フィルタと中間層との間に、他方では中間層とセンサ層との間に、隙間が残らないようにまたは隙間が生じないように特に適用され得る。この場合もやはり、中間層は、好ましくは、センサ層に対して隣接して配置することができる正に1つの連続層とすることができる。
【0049】
追加の中間層を適用することは、光フィルタが半導体基板であるかまたは半導体基板を含むことができる特定の実施形態において特に興味深いものとなり得る。結果として、光フィルタに使用される半導体基板自体が、評価装置などによって評価されるセンサ信号を提供することができる光センサとして使用され得る。
【0050】
好ましい実施形態では、センサ層によって構成された第1の光センサと、光フィルタの半導体基板によって構成された第2の光センサとを有するタンデムセンサが提供される。この好ましい実施形態では、中間層は、特に、第1の光センサと第2の光センサとが別々に動作可能であるように設計され得る厚い絶縁層であり得るか、またはそれを含み得る。この目的のために、該厚い絶縁層は、特に、第1の光センサと第2の光センサとの間の電界効果の発生を回避することによって、第1の光センサと第2の光センサとの間の相互作用を妨げるために選択される厚さを有してよい。中間層のために選択された材料に依存して、厚い絶縁層の厚さは、従って、100nmから10μmまで、より好ましくは250nmから5μmまでであり得る。好ましくは、該厚い絶縁層は、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、それらの混合物および/またはそれらの積層体を含む。高誘電率を有する高k誘電体は、厚い層を提供しつつ、高電界を維持させることができるため好ましい。絶縁層は、様々な方法によって、特に原子層堆積(ALD)、物理気相堆積(PVD)、プラズマ化学気相堆積(PECVD)から選択される方法によって堆積することができる。
【0051】
代替実施形態では、中間層の厚さは、センサ層と光フィルタの半導体基板との間の相互作用が起こり得るように、特に、中間層を介してセンサ層と光フィルタの半導体基板との間に顕著な電界効果の発生を可能にすることにより、従って、電界効果フォトトランジスタを提供するように、選択されてもよい。一般に使用されるように、「電界効果フォトトランジスタ」は、チャネルとして作用するセンサ層を有するかまたはそれを含む中間層の導電性を制御するために電界を使用するトランジスタであり得る。ここで、中間層は、好ましくは、高い誘電率および高い絶縁破壊電圧を示すことでき、したがって、センサ層および光フィルタの半導体基板に高い電界をかけることを可能にすることができる。中間層のために選択された材料に依存して、薄い絶縁層の厚さは1nmから250nmだけ、好ましくは5nmから10nmだけであり得る。好ましくは、薄い絶縁層は、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、それらの混合物および/またはそれらの積層体を含む。高い誘電率を有する高k誘電体は高い電界を維持しながら薄い層を提供することを可能にするため、好ましい。絶縁層は、様々な方法、特に原子層堆積(ALD)、物理気相堆積(PVD)、ラズマ化学気相堆積(PECVD)から選択される方法によって堆積することができる。
【0052】
さらなる実施形態では、中間層は、代替的にまたは追加的に、光センサにとって有利であると判明し得る1つまたは複数の化学的または物理的特性を示すことができる。したがって、好ましい実施形態では、中間層は、特に、親水性または疎水性層などの、光フィルタ上のセンサ層をコーティングするのに適した接着層であるかそれを含むことによって、接着特性を有することができる。さらに好ましい実施形態では、中間層は、特に、光学反射防止層であるかまたはそれを含むことによって光フィルタとセンサ層との間の屈折率の差を減少させるように適合されることによって、反射防止光学特性を有し得る。さらなる特性もまた考えられる。
【0053】
さらに本発明によれば、検出器は、センサ信号を評価することにより入射光束によって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置を含む。本明細書で使用されるとき、「評価装置」という用語は一般的に、情報項目を生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価装置は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASICs)のような1つまたは複数の集積回路、および/または1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSPs)、および/または1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、および/または1つまたは複数のコンピュータ、好ましくは1つまたは複数のマイクロコンピュータおよび/またはマイクロコントローラのような1つもしくは複数のデータ処理装置であるか、またはこれらを備え得る。追加の構成要素、例えば1つまたは複数の前処理装置、および/または、例えば1つまたは複数のAD変換器および/または1つまたは複数のフィルタのようなセンサ信号を受信および/または前処理するための1つまたは複数の装置などのデータ収集装置、が含まれ得る。さらに、評価装置は、1つまたは複数のデータ記憶装置を含み得る。さらに、上記で概説したとおり、評価装置は、1つまたは複数の無線インターフェースおよび/または1つまたは複数の有線インターフェースなどの1つまたは複数のインターフェースを含み得る。
【0054】
少なくとも1つの評価装置は、少なくとも1つのコンピュータプログラム、例えば情報項目を生成する工程を実行または補助する少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するように適合され得る。一例として、センサ信号を入力変数として使用することにより、物体の位置への所定の変換を実行し得る1つまたは複数のアルゴリズムが実装され得る。
【0055】
評価装置は、特に少なくとも1つのデータ処理装置、特にセンサ信号を評価することによって情報項目を生成するように設計され得る電子データ処理装置を含むことができる。したがって、評価装置は、センサ信号を入力変数として使用し、これらの入力変数を処理することによって、入射光束によって提供される情報項目を生成するように設計される。処理は並行的に、または連続的に、またはさらに複合的な形で実行され得る。評価装置は、例えば計算することにより、および/または、保存されたおよび/または既知の関係を使用することにより、これらの情報項目を生成するための任意のプロセスを使用し得る。センサ信号に加え、1つまたは複数のさらなるパラメータおよび/または情報項目、例えば変調周波数に関する少なくとも1つの情報項目が前記関係に影響し得る。前記関係は、経験的、解析的または準経験的に決定されまたは決定可能であり得る。特に好ましくは、関係は、少なくとも1つの校正曲線、少なくとも一組の校正曲線、少なくとも1つの関数または上述の可能性の組み合わせを含む。1つまたは複数の校正曲線は、例えば一組の値およびそれらに関連する関数値の形で、例えばデータ保存装置および/またはテーブルに保存され得る。ただし代替的に追加的に、少なくとも1つの校正曲線を、例えばパラメータ化された形および/または関数式の形で保存してもよい。センサ信号を情報項目へと処理するための別の関係を使用してもよい。代替的に、センサ信号を処理するための少なくとも1つの組み合わせ関係が実現可能である。様々な可能性が考えられ、これらを組み合わせることもできる。
【0056】
例として、評価装置は、情報項目を決定するためのプログラミングに関して設計され得る。評価装置は、特に少なくとも1つのコンピュータ、例えば少なくとも1つのマイクロコンピュータを含むことができる。さらに、評価装置は1つまたは複数の揮発性または不揮発性のデータメモリを含むことができる。データ処理装置、特に少なくとも1つのコンピュータの代替としてまたはこれに加えて、評価装置は、例えば電子テーブル、特に少なくとも1つのルックアップテーブルおよび/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)および/または少なくとも1つのデジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、情報項目を決定するように設計された1つまたは複数のさらなる電子構成要素を含んでもよい。
【0057】
検出器は少なくとも1つの評価装置を有する。特に、少なくとも1つの評価装置は、検出器を完全にまたは部分的に制御もしくは駆動するように設計されてもよく、例えば評価装置を、少なくとも1つの照射源を制御するように、および/または検出器の少なくとも1つの変調装置を制御するように設計するようにしてもよい。評価装置は、特に、少なくとも1つの測定周期を実行するように設計され得、該測定周期では例えば照射の異なる変調周波数で連続する複数のセンサ信号などの1つまたは複数のセンサ信号が取得される。
【0058】
評価装置は、上述のとおり、少なくとも1つのセンサ信号を評価することによって少なくとも1つの情報項目を生成するように設計される。特定の実施形態では、前記情報項目は、物体の縦方向位置および/または該当する場合には物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を含むことができる。「物体」は一般的に、生物物体および非生物物体から選択される1つの任意の物体であってもよい。このように、一例として、少なくとも1つの物体は、1つまたは複数の物品および/または1つの物品の1つまたは複数の部分を含み得る。追加的にまたは代替的に、物体は、1つまたは複数の生物および/またはその1つまたは複数の部分を含み得る、例えばユーザなどの人間のおよび/または動物の1つまたは複数の身体の部分であってもよい。
【0059】
本明細書で使用されるとき、「位置」は一般に空間内の物体の位置および/または方向に関する任意の情報の一項目を指す。この目的のために、一例として、1つまたは複数の座標系を使用してもよく、そして物体の位置は1つ、2つ、または3つ以上の座標を使用して決定され得る。一例として、1つまたは複数のデカルト座標系および/または他の種類の座標系が使用され得る。一例として、座標系は、検出器が所定の位置および/または方向を有する、検出器の座標系であってもよい。前記物体の位置は静的であってもよく、またはさらに物体の少なくとも1つの運動、例えば検出器またはその一部と物体またはその一部との間での相対運動を含んでもよい。この場合、相対運動は一般的に、少なくとも1つの線形運動および/または少なくとも1つの回転運動を含んでもよい。運動の情報項目は、例えば、異なる時間で取得された少なくとも2つの情報の比較によっても得られ、例えば少なくとも1つの位置情報はまた、少なくとも1つの速度情報および/または少なくとも1つの加速度情報、例えば物体またはその一部と検出器またはその一部との間における少なくとも1つの相対速度に関する少なくとも1つの情報項目を含んでもよい。特に、少なくとも1つの位置情報は一般的に、物体またはその一部と検出器またはその一部との間の距離、特に光路長に関する情報項目;物体またはその一部と転送装置またはその一部との間の距離または光学的距離に関する情報項目;検出器またはその一部に対する物体またはその一部の位置に関する情報項目;検出器またはその一部に対する物体および/またはその一部の配向に関する情報項目;物体またはその一部と検出器またはその一部との間の相対運動に関する情報項目;物体またはその一部の二次元または三次元空間形態、特に物体の幾何学または形に関する情報項目、から選択され得る。一般的に、少なくとも1つの位置情報項目は、したがって、例えば、物体または少なくともその一部の少なくとも1つの位置に関する情報;物体またはその一部の少なくとも1つの配向に関する情報項目;物体またはその一部の幾何学または形に関する情報項目;物体またはその一部の速度に関する情報項目;物体またはその一部の加速度に関する情報項目;検出器の可視範囲内における物体またはその一部の存在または不存在に関する情報項目から成る群から選択され得る。
【0060】
少なくとも1つの位置情報は、例えば少なくとも1つの座標系、例えば検出器またはその一部が存在する座標系において明示され得る。代替的にまたは追加的に、位置情報は例えば単に検出器またはその一部と物体またはその一部との間の距離を含む情報であってもよい。上述の可能性の組み合わせも考えられる。
【0061】
本発明の特に好ましい実施形態では、検出器は、センサ層と接触するように適合されている少なくとも2つの個別の電気接点をさらに含むことができる。本明細書で使用されるとき、「センサ層と接触する」という用語は、それぞれの接点とセンサ層との間の導電接続であって、各電気接点がセンサ層の表面のある場所に配置されるようにされるように構成された導電接続を指す。この目的のために、少なくとも2つの個々の電気接点は、光伝導性材料層の異なる位置に、特に、該少なくとも2つの個別の電気接点が互いに電気的に絶縁される仕方で適用されることができる。ここでは、少なくとも2つの電気接点のそれぞれは、特に、たとえばセンサ層と評価装置との間の輸送経路における追加の抵抗によるものなど、可能な限り少ない損失でセンサ信号を取得するために、好ましくは、各電極とセンサ層の直接的な電気接触が実現されるように構成され得る。代替の実施形態では、センサ層は、センサ信号を評価装置に非接触で送信することを可能にすることができる構成で配置することができる。
【0062】
結果として、光束によるセンサ領域の衝突時に、少なくとも2つの電気接点は、光伝導性材料の導電性に依存するセンサ信号を評価装置に提供することができる。ここで、電気接点は、既知の蒸着技術によって容易に設けることができる蒸着金属層を含むことができる。特に、蒸着金属層は、銀、アルミニウム、白金、マグネシウム、クロム、チタン、または金のうちの1つまたは複数を含むことができる。あるいは、電気接点の少なくとも1つはグラフェンの層を含み得る。
【0063】
この種の材料では、電流は、少なくとも1つの第1の電気接点を介して該材料を通って少なくとも1つの第2の電気接点へと誘導されることができ、ここで第1の電気接点は第2の電気接点から絶縁されている一方で、第1の電気接点と第2の電気接点の両方が材料と直接接続している。この目的のために、直接接続は、技術水準から知られる任意の既知の手段、例えば、メッキ、溶接、はんだ付け、ワイヤーボンディング、超音波熱圧着、ステッチボンディング、ボールボンディング、ウェッジボンディング、コンプライアントボンディング、熱圧着、陽極接合、直接ボンディング、プラズマ活性化接合、共晶接合、ガラスフリットボンディング、接着剤、過渡液相拡散接合、表面活性化接合、テープ自動接合、または、高導電性物質、特に金、ベリリウムドープ金、銅、アルミニウム、銀、白金、またはパラジウム、ならびに上述の金属のうちの少なくとも1つを含む合金のような金属を接触領域に堆積させることによって提供することができる。
【0064】
上述のように、光フィルタに使用される基板が半導体基板を含む特定の実施形態では、第2の光センサとして設計されている半導体基板に接触することができる少なくとも2つのさらなる個別の電気接点を設けることができる。ここで、少なくとも2つのさらなる個別の電気接点は、好ましくは、特に金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)のうちの少なくとも1つから選択される蒸着金属層を含み得る。代替実施形態において、第2の光センサもまた、第2の光センサによって生成されたセンサ信号を評価装置に非接触で送信することを可能にする構成に配置されてよい。
【0065】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態では、検出器はさらに、カバー層を含み得る。ここで、カバー層は、好ましくはセンサ層と直接接触するようにセンサ層上に堆積され得る。好ましい実施形態では、カバー層は、それがセンサ層のアクセス可能な表面を完全に覆うことができるようなやり方で層上に堆積させることができる。好ましくは、カバー層は少なくとも1つの金属含有化合物を含む非晶質層であり得る。しかしながら、他の種類のカバー層もまた実現可能であり得る。
【0066】
好ましくは、センサ層上にカバー層を堆積させるために少なくとも1つの堆積方法が使用される。この目的ために、少なくとも1つの堆積方法は、特に、原子層堆積、化学気相堆積、プラズマ化学気相堆積、物理気相堆積、ゾル-ゲル堆積、またはそれらの組み合わせから選択され得る。したがって、カバー層は、原子堆積層、化学気相堆積層、または物理気相堆積層またはゾル-ゲル堆積層、またはプラズマ化学気相堆積層であり得るか、それらを含み得る。カバー層のさらなる代替物は、エポキシ樹脂層またはガラス層を含み得る。本明細書では、「原子層堆積」という用語、等価語である「原子層エピタキシー」または「分子層堆積」、ならびにそれらのそれぞれの略語「ALD」、「ALE」または「MLD」は、一般に、自己制限プロセス工程および続く自己制限反応工程を含み得る堆積工程を指すのに使用される。したがって、本発明に従って適用されるプロセスは、「ALDプロセス」とも呼ばれることがある。ALDプロセスに関するさらなる詳細については、Georgeによる、Chem.Rev.110、111-131頁、2010を参照することができる。さらに、通常「CVD」と略される「化学気相堆積」という用語は、基板の表面または基板上に位置する層が少なくとも1つの揮発性前駆体に曝される方法を指し、ここで、前駆体は、所望の堆積物を生成するために表面上で反応および/または分解し得る。多くの場合、表面上にガス流を適用することにより、あり得る副生成物を除去することができる。あるいは、PECVDプロセスは、特に窒化ケイ素(Si)の膜を得るための堆積プロセスとして、好ましくは、適用可能であり得る。ここで、「PECVDプロセス」という用語は、反応チャンバ内の放電を適用することなどによって、前駆体をプラズマとして提供することができる特定のCVDプロセスを指す。
【0067】
上記のように、カバー層は、優先的に、少なくとも1つの金属含有化合物を含み得る。ここで、金属含有化合物は、好ましくは金属を含むことができ、該金属は、特に、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)およびビスマス(Bi)から成る群から選択され得る。特定の実施形態では、金属含有化合物は、あるいは「メタロイド」とも呼ばれることもある半金属を含むことができ、この半金属は、ホウ素(B)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)およびテルル(Te)から成る群から選択され得る。好ましくは、少なくとも1つの金属含有化合物は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびタングステン(W)からなる群から選択され得る。
【0068】
ここで、少なくとも1つの金属含有化合物は、好ましくは、酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクチド、カーバイド、またはそれらの組み合わせを含む群から選択される。既に上記で定義したように、「カルコゲニド」という用語は、酸化物以外に第16族元素を含み得る化合物、すなわち硫化物、セレン化物、およびテルル化物を指す。同様に、「プニクチド」という用語は、好ましくは二成分の化合物を指し、周期表の第15族元素、すなわち窒化物、リン化物、ヒ化物およびアンチモン化物を含み得る化合物を指す。以下により詳細に記載されるように、金属含有化合物は、好ましくは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)の少なくとも1つの酸化物、少なくとも1つの水酸化物、またはそれらの組み合わせを含むのが好ましい。
【0069】
代替実施形態では、カバー層は、少なくとも2つの隣接層を有する積層体であるかまたはそれを含むことができ、ここで、隣接層はそれぞれの組成が相違し、特に、隣接層の一方、両方、いくつか、またはすべてが金属含有化合物のうちの1つを含み得るような仕方で相違し得る。ここで、隣接層は、上記のように、2つの異なる金属含有化合物を含み、非晶質性構造を提供し得る。例として、カバー層は、アルミニウム(Al)含有化合物とジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)含有化合物の交互の隣接層を含み得る。しかしながら、金属含有化合物の他の組み合わせもまた可能である。さらに、積層体は、この出願の他の箇所に記載されているように金属含有化合物のいずれも有していない追加の隣接層をさらに有していてもよく、しかしそれに代えて、金属化合物、高分子化合物、シリコーン化合物、またはガラス化合物のうちの少なくとも1つであるかそれを含んでもよい。ここで、他の種類の材料も適し得る。結果として、積層体は、非晶質の追加的な隣接層を含み得るし、代替として、結晶質層またはナノ結晶質層であるかそれを含み得る。
【0070】
特に好ましい実施形態では、カバー層は、センサ層のアクセス可能な表面を完全に覆うことができる。従って、カバー層は、第一に、センサ層の封入を提供するのに適合される。本明細書で使用されるとき、「封入」という語は、特に、例えば周囲の雰囲気に含まれる湿度および/または酸素のような外部の影響によるセンサ層またはそのパーティションの部分的または完全な劣化を可能な限り回避するためのパッケージ、好ましくは気密パッケージを指し得る。ここで、パッケージは、好ましくは、センサ層のすべてのアクセス可能な表面を覆うように適合させることができ、ここで該センサ層は、センサ層の表面のパーティションを保護するように既に適合された基板に堆積されることを考慮しても良い。言い換えれば、基板とカバー層は、センサ層のパッケージング、好ましくは気密パッケージングを完成させるように協働するように適合することができる。
【0071】
本発明の特に好ましい実施形態では、カバー層は、10nmから600nm、好ましくは20nmから200nm、より好ましくは40nmから100nm、最も好ましくは50から75nmの厚さを示してもよい。この厚さは、センサ層の封入の提供の機能を達成するのに有利であるカバー層内の金属含有化合物の量を特に反映し得る。ここで、カバー層は、センサ層の隣接表面に関して共形(conformal)層であり得る。一般的に使用されるように、したがって、共形層の厚さは、カバー層の表面に存在し得る如何なる汚染または不完全性を除き、±50nm、好ましくは±20nm、最も好ましくは±10nmの偏差内でセンサ層の対応する表面に従い、ここで、偏差は、残るカバー層の表面の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%にわたって生じる。
【0072】
さらに、カバー層は、封入を提供する機能に加えて少なくとも1つのさらなる機能を示すように適合され得る。例として、カバー層は、適切な反射防止層として該当するために、例えば少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.5などの高い屈折率を示し得る。結果として、カバー層に使用される材料を、好ましくは所望の波長範囲内で、特に適切な吸収特性を示すことによって、光学的に透明であるように選択することが有利であり得る。一方、基板はすでに少なくとも部分的に透明であるため、光学的に不透明な材料を含むより多様な異なる材料をカバー層に使用することができる。さらなる例は、第2の光フィルタ、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、および導電層を含み得る。他の機能もまた可能であり得る。
【0073】
特に、第2の光フィルタの特性を含むことができるカバー層は、光フィルタと同じ波長範囲をフィルタリングするために、または光フィルタと比較して異なる波長範囲をフィルタリングするために設計することができる。これに関して、スタックであるか又はスタックを含むカバー層を使用することも可能であり得る。特に、少なくとも2種類の異なる金属酸化物を用いた積層体を干渉フィルタとして用いることができる。例として、互いの上に交互に積み重ねられた酸化アルミニウム(Al)および酸化チタン(TiO)を含むスタックは、そのような目的によく適しているかもしれない。
【0074】
さらに、入射光束を光フィルタと第2の光フィルタとに選択的に供給し、したがって、入射光束が光フィルタおよび第2の光フィルタを選択的に通ってセンサ層に入射することが可能になるように設計された光学素子を提供することは実現可能であり得る。この特定の実施形態では、光フィルタを通してセンサ層を照射する変更光束は「測定ビーム」と呼ばれ、第2の光フィルタを通してセンサ層を照らす変更光束は「参照ビーム」として指定されてもよく、またはその逆でもよい。特に好ましくは、この実施形態では、評価装置はさらに、洗練された評価目的のために測定ビームと参照ビームとによって生成されたセンサ信号を比較するように設計されてもよい。例として、測定ビームおよび参照ビームの特性をセンサ層内でそれらが直接相殺することができるようにそれらを調整することが可能であり得、したがって、ロックイン技術など、測定ビームと参照ビームとの間の差信号のみを増幅するように適合された方法を使用することを可能にする。
【0075】
特定の実施形態において、特に、カバー層に所望のさらなる機能を提供することが適切ではない場合、または選択されたカバー層によって提供されるさらなる機能の程度が十分ではない場合、カバー層上に少なくとも部分的に堆積された少なくとも1つの追加の層によって少なくとも部分的にさらに覆われてもよい。好ましくは、追加の層はさらなる機能であるかまたはそれを示すことができ、したがって、反射防止層、第2の光フィルタ、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、および導電層のうちの少なくとも1つを含むことができる。ここで、当業者は、少なくとも1つの追加の層を容易に選択し提供することができる。しかしながら、他の実施形態もまた可能であり得る。
【0076】
好ましい実施形態では、カバー層は電気接点を部分的にまたは完全に覆ってもよく、それは特に、外部回路への1つまたは複数のリード線などに接合可能であるように構成されてもよい。ここで、電気接点は、金またはアルミニウムワイヤーなどのワイヤーを使用することによって接合可能であり得、電気接点は、好ましくは、カバー層を通して接合可能であり得る。特定の実施形態では、接着層が電気接点に設けられてもよく、その場合、接着層は特に接合に適するようにしてよい。この目的のために、接着層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0077】
本発明によれば、検出器は好ましくは、かなり広いスペクトル範囲にわたって電磁放射線を検出するように設計されるのが好ましく、紫外(UV)、可視、近赤外(NIR)、および赤外(IR)のスペクトル範囲は特に好ましい。ここで、検出器のセンサ層、特に次の光伝導性材料を選択し得る。
【0078】
- UVスペクトル範囲:ドープダイヤモンド(C)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)またはシリコンカーバイド(SiC);
- 可視スペクトル領域:シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、硫化カドミウム(CdS)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化銅インジウム(CuInS;CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、銅亜鉛硫酸スズ(CZTS);
- NIRスペクトル領域:ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化銅インジウム(CuInS;CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、銅亜鉛硫酸スズ(CZTS)、ここで、CdTe、CIS、CIGS、およびCZTSは850nmを超える波長に特に好ましい;
- IRスペクトル領域:2.6μm以下の波長においては、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);3.1μm以下の波長においては、ヒ化インジウム(InAs);3.5μm以下の波長においては、硫化鉛(PbS);5μm以下の波長においては、セレン化鉛(PbSe);5.5μmまでの波長においては、アンチモン化インジウム(InSb);16μm以下の波長においては、テルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)。
【0079】
既に上述したように、光学的検出のための検出器は一般的に、少なくとも1つの物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を提供するように構成される装置である。検出器は、固定式装置、または移動式装置であってもよい。さらに、検出器は独立型装置であってもよいし、あるいはコンピュータ、車両または他の装置など別の装置の一部を形成してもよい。さらに、検出器は携帯型装置であってもよい。検出器の他の実施形態も実現可能である。
【0080】
本明細書で使用されるとき、位置は一般に空間内の物体の配置および/または方向に関する任意の情報の一項目を指す。この目的のために、一例として、1つまたは複数の座標系を使用してもよく、また物体の位置は1つ、2つ、または3つ以上の座標を使用して決定され得る。一例として、1つまたは複数のデカルト座標系および/または他の種類の座標系が使用され得る。一例として、座標系は、検出器が所定の位置および/または方向を有する、検出器の座標系であってもよい。以下でより詳細に概説されるように、検出器は、検出器の視野の主方向を構成し得る光軸を有し得る。光軸は、z軸など、座標系における1つの軸を形成し得る。さらに、1つまたは複数の付加的な軸、好ましくはz軸に対して垂直な軸を設けてもよい。
【0081】
このように、一例として、検出器は、光軸がz軸を形成し、また付加的にz軸に対して垂直かつ互いに垂直であるx軸とy軸が提供され得る座標系を構成し得る。一例として、検出器および/または検出器の一部は、この座標系の原点など、この座標系における特定の点に所在し得る。この座標系において、z軸に平行または逆平行な方向を縦方向と見なすことができ、z軸に沿った座標を縦方向座標と見なすことができる。縦方向に対して垂直な任意の方向を横方向と見なすことができ、x座標および/またはy座標を横方向座標と見なすことができる。
【0082】
あるいは、他の種類の座標系を使用してもよい。したがって、一例として、光軸がz軸を形成し、z軸からの距離および極角度が付加的座標として使用される極座標系を使用することができる。同じく、z軸に平行または逆平行な方向を縦方向と見なすことができ、またz軸に沿った座標を縦方向座標と見なすことができる。z軸に対して垂直な任意の方向を横方向と見なすことができ、また極座標および/または極角度を横方向座標と見なすことができる。
【0083】
検出器は、特に任意の実現可能な方法で少なくとも1つの物体の位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を提供するように適合され得る。したがって、情報は例えば電子的、視覚的、音響的に、あるいはこれらの任意の組合せの形で提供され得る。情報はさらに、検出器のデータ記憶装置または別個の装置に保存するか、および/または、無線インターフェースおよび/または有線インターフェースのように、少なくとも1つのインターフェースを介して提供することができる。
【0084】
特に好ましい実施形態では、検出器は縦方向光センサであり得るか、またはそれを含み得る。本明細書で使用されるとき、「縦方向光センサ」は一般的に、光束によるセンサ領域の照射に依存する形で少なくとも1つの縦方向のセンサ信号を生成するよう設計された装置であり、縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じである場合、いわゆる「FiP効果」に従って、センサ領域内の光束のビーム断面積に依存する。縦方向センサ信号は一般的に深度と表わすこともできる縦方向位置の指標となる任意の信号であってもよい。一例として、縦方向センサ信号はデジタル信号および/またはアナログ信号であるか、またはこれを含み得る。一例として、縦方向センサ信号は電圧信号および/または電流信号であるか、またはこれを含み得る。追加的にまたは代替的に、縦方向センサ信号はデジタルデータであるか、またはこれを含み得る。縦方向センサ信号は単一の信号値および/または一連の信号値を含み得る。縦方向センサ信号はさらに、複数の個別の信号を組み合わせることにより、例えば複数の信号の平均によっておよび/または複数の信号の商の形成によって導き出される任意の信号をも含み得る。縦方向光センサおよび縦方向センサ信号の可能な実施形態については、WO2012/110924A1およびWO2014/097181A1を参照することができる。
【0085】
さらに、縦方向光センサのセンサ領域は少なくとも1つの光束によって照らされ得る。照射の総出力が同じである場合、センサ領域の導電性はしたがって、センサ領域内の光束のビーム断面積に依存し得、ビーム断面積はセンサ領域内で入射ビームによって生成される「スポットサイズ」として表わすことができる。このように、光伝導性材料の導電性が、光伝導性材料を含むセンサ領域における入射光束による照射の範囲に依存するという観察可能な特性は、特に、同じ総出力を含むが生成するスポットサイズが異なる2つの光束はセンサ領域内での光伝導性材料の電気導電率について異なる値を提供し、そして結果的に互いに関して区別可能であるという状況を達成するものである。
【0086】
さらに、縦方向センサ信号は電圧信号および/または電流信号など電気信号の印加によって決定付けられることから、縦方向センサ信号を決定する際は電気信号によって横切られる材料の導電性が考慮に入れられる。さらに、バイアス電圧ソースと縦方向光センサと直列に採用される負荷抵抗器が、好ましくはここで使用される。結果として、縦方向光センサは、例えば少なくとも2つの縦方向センサ信号、特にビーム直径などのビーム断面積に関する少なくとも1つの情報項目を比較することによって、原則として縦方向センサ信号の記録からセンサ領域内の光束のビーム断面積を決定することができる。さらに、センサ領域内の光束のビーム断面積は、前述のFiP効果によれば、照射の総出力が同じである場合、センサ領域に衝突する光束を放出または反射する物体の縦方向位置または深度に依存することから、縦方向光センサは、それぞれの物体の縦方向位置を決定するのに適用することができる。
【0087】
WO2012/110924A1から既知であるとおり、縦方向光センサはセンサ領域の照射に依存するようにして少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう設計されており、センサ信号は、照射の総出力が同じである場合、センサ領域上での照射のビーム断面積に依存する。一例として、光電流Iの測定結果がレンズの位置の関数として提供されており、レンズは電磁放射の焦点を縦方向光センサのセンサ領域上へ合わせるように構成されている。測定中、レンズは縦方向光センサに対してセンサ領域に垂直な方向に変位し、その結果、センサ領域上の光スポットの直径が変化する。この光起電装置特に色素太陽電池がセンサ領域の材料として採用されている特定の例では、縦方向光センサの信号、この場合では光電流が、レンズの焦点における最大値の外側では、光電流がその最大値の10%未満にまで低下するように、明らかに照射の幾何的形状に依存する。
【0088】
上記にて概説のとおり、少なくとも1つの縦方向センサ信号は、光束による照射の総出力が同じである場合、FiP効果により、少なくとも1つの縦方向光センサのセンサ領域の光束のビーム断面積に依存する。ここで使用される「ビーム断面積」という用語は一般に、光束又は特定位置に光束によって生成された光スポットの横方向の広がりを指す。円形の光スポットが生成される場合、半径、直径、またはガウスビームウエストあるいはガウスビームウエストの2倍がビーム断面積の計測として機能し得る。非円形の光スポットが生成される場合、他の実現可能な方法、例えば非円形の光スポットと同じ面積を有する円の断面積、これは等価ビーム断面積とも呼ばれる、を決めることにより、断面積を決定することができる。これに関して、極値、すなわち縦方向センサ信号の極大値または極小値、特に光起電材料など相応する材料に可能な限り最小の断面積を持つ光束が当たり得る条件下、例えば光学レンズによる影響のため、材料が焦点または焦点付近に位置するという場合に、最大値/最小値の観察を採用することができる。極値が最大値である場合、この観察は正のFiP効果として示される一方、極値が最小値である場合、この観察は負のFiP効果として示される。
【0089】
したがって、センサ領域に実際に含まれる感光材料に関わらず、光束によるセンサ領域の照射の総出力が同じである場合、第1のビーム直径またはビーム断面積を有する光束は第1の縦方向センサ信号を生成し得る一方、第1のビーム直径またはビーム断面積とは異なる第2のビーム直径またはビーム断面積を有する光束は、第1の縦方向センサ信号とは異なる第2の縦方向センサ信号を生成する。このように、縦方向センサ信号を比較することにより、ビーム断面積、具体的にはビーム直径に関する少なくとも1つの情報項目が生成され得る。この効果の詳細について、WO2012/110924A1を参照することができる。したがって、縦方向光センサによって生成された縦方向センサ信号は、光束の総出力および/または総強度に関する情報を取得するために、および/または、光束の総出力および/または総強度に関して縦方向センサ信号および/または物体の縦方向の位置に関する情報の少なくとも1つの項目を正規化するために、比較され得る。したがって、一例として、縦方向光センサ信号の最大値が検出され得、またすべての縦方向センサ信号が最大値によって割られ得ることにより、正規化された縦方向光センサ信号が生成され、そしてこの信号が、上述の既知の関係を使用することにより、物体の縦方向情報のうち少なくとも1つの項目へと変換され得る。他の正規化方法も適用可能であり、例えば縦方向センサ信号の平均値を使用して正規化し、そして平均値ですべての縦方向センサ信号を割ってもよい。他の選択肢も可能である。これらの選択肢のそれぞれは光束の総出力および/または強度から独立の変換を与えるのに適切であり得る。さらに、光束の総出力および/または強度に関する情報がこのようにして生成され得る。
【0090】
特に、物体から検出器まで伝播する光束の1つまたは複数のビーム特性が既知である場合、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目は、少なくとも1つの縦方向センサ信号と物体の縦方向位置との間の既知の関係からこのようにして導出され得る。既知の関係は、アルゴリズムとしておよび/または1つまたは複数のキャリブレーション曲線として評価装置に保存することができる。一例として、特にガウスビームの場合、ビーム直径またはビームウェストと物体の位置との間の関係は、ビームウェストと縦座標間のガウス関係を使用することによって容易に導出することができる。
【0091】
この実施形態は、特に、光束のビーム断面積と物体の縦方向位置との間の既知の関係における曖昧さを解決するために、評価装置によって使用され得る。このように、物体から検出器まで伝播する光束のビーム特性が完全にまたは部分的に既知であるとしても、多くのビームにおいて、焦点に達する前にビーム断面積が狭くなり、その後再び広がることが知られている。つまり、光束のビーム断面積が最も狭くなる焦点の前後で、光束が同じ断面積を有する光束の伝播軸に沿った位置が現れる。このように、一例として、焦点前後の距離z0において、光束の断面積が同一となる。したがって、特定のスペクトル感度を有する1つの縦方向光センサのみが使用されている場合に、光束の総出力または強度が既知の場合は、光束の特定の断面積が決定され得る。この情報を使用することにより、焦点から対応の縦方向光センサの距離z0が決定され得る。しかしながら、対応の縦方向光センサが焦点の前後いずれに配置されているかどうかを決定するために、物体および/または検出器の移動の履歴ならびに/または検出器が焦点の前後いずれに配置されているかに関する情報のように、追加情報が必要とされる。一般的な状況において、この追加の情報が提供されないことがある。したがって、上記の曖昧さを解決するために追加の情報を取得してもよい。したがって、評価装置が、縦方向センサ信号を評価することによって、第1の縦方向光センサ上の光束のビーム断面積が第2の縦方向光センサ上の光束のビーム断面積よりも大きいことを認識し、第2の縦方向光センサが第1の縦方向光センサの後ろに配置されている場合、評価装置は、光束が依然として狭くなっていることおよび第1の縦方向光センサの位置が光束の焦点の前に位置することを決定してもよい。逆に、第1の縦方向光センサ上の光束のビーム断面積が第2の縦方向光センサ上の光束のビーム断面積よりも小さい場合、評価装置は光束が拡がっていることおよび第2の縦方向光センサの場所が焦点の後ろに位置することを決定してもよい。このように一般に、評価装置は、異なる縦方向センサの縦方向センサ信号を比較することによって、光束が拡がっているか狭まっているかを認識するように構成されてもよい。
【0092】
本発明による評価装置を利用して物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定することに関するさらなる詳細については、WO2014/097181A1の記載を参照することができる。したがって、一般的に、評価装置は、好ましくは光束の伝播方向の少なくとも1つの伝播座標における光束のビーム直径の既知の依存性および/または光束の既知のガウスプロファイルから、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定するために、光束のビーム断面積および/または直径と、光束の既知のビーム特性を比較するように構成されてもよい。
【0093】
物体の少なくとも1つの縦方向座標に加えて、物体の少なくとも1つの横方向座標が決定されてもよい。したがって、一般的に、評価装置は、WO2014/097181A1でもさらに説明しているような画素化またはセグメント化または大面積の横方向光センサである少なくとも1つの横方向光センサ上の光束の位置を決定することにより、物体の少なくとも1つの横方向座標を決定するようにさらに構成されてもよい。
【0094】
代替的にまたは追加的に、本発明による検出器は、このように、横方向光センサであるか、またはそれを含み得る。本明細書で使用される場合、「横方向光センサ」という用語は一般的に、物体から検出器へ進む少なくとも1つの光束の横方向位置を決定するように構成された装置を指す。「位置」という用語に関しては、上記の定義を参照することができる。したがって、好ましくは、横方向位置は、検出器の光軸に垂直な少なくとも1次元における少なくとも1つの座標であってもよいし、それを含んでもよい。一例として、横方向位置は、横方向光センサの感光センサ表面のような、光軸に垂直な平面における、光束によって生成される光スポットの位置であってよい。例として、該平面内の位置は、デカルト座標および/または極座標で与えられてよい。他の実施形態も実現可能である。横方向光センサの可能な実施形態については、WO2014/097181A1を参照することができる。しかしながら、他の実施形態も実現可能である。
【0095】
横方向光センサは、少なくとも1つの横方向センサ信号を提供することができる。ここで、横方向センサ信号は一般的に、横方向位置を示す任意の信号であってよい。一例として、横方向センサ信号は、デジタルおよび/またはアナログ信号であってもよいし、それを含んでいてもよい。一例として、横方向センサ信号は、電圧信号および/または電流信号であってもよいし、それを含んでいてもよい。追加的または代替的に、横方向センサ信号は、デジタルデータであってもよいし、それを含んでいてもよい。横方向センサ信号は、単一の信号値および/または一連の信号値を含んでよい。横方向センサ信号は、2つ以上の個別信号を組み合わせることにより、たとえば、2つ以上の信号の平均化、および/または2つ以上の信号の商の形成により導出され得る任意の信号をさらに含んでよい
WO2014/097181A1に開示されている第1の実施形態では、横方向光センサは、少なくとも1つの第1の電極、少なくとも1つの第2の電極、および少なくとも1つの光起電材料を有する光検出器であり、光起電材料は、第1の電極と第2の電極との間に埋め込まれている。したがって、横方向光センサは、1つまたは複数の光検出器、例えば1つまたは複数の有機光検出器、および最も好ましくは、たとえば1つまたは複数の固体素増感有機太陽電池(s-DSCs)のような、1つまたは複数の色素増感有機太陽電池(DSCs、色素太陽電池とも呼ばれる)であるか、またはそれを含むことができる。したがって、検出器は少なくとも1つの横方向光センサとして作用する1つまたは複数のDSCs(1つまたは複数のsDSCsなど)、および少なくとも1つの縦方向光センサとして作用する1つまたは複数のDSCs(1つまたは複数のsDSCsなど)を含み得る。
【0096】
WO2016/120392A1に開示されているようなさらなる実施形態では、横方向光センサは、光伝導性材料の層、好ましくは上述および/または後述の光伝導性材料のうちの1つのような無機光伝導性材料を含むことができる。好ましくは、光伝導性材料層は、特に透明導電性酸化物、好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(SnO:F;FTO)、または酸化マグネシウム(MgO)、またはSrVOもしくはCaVOのようなペロブスカイト透明導電性酸化物、または代替的に、金属ナノワイヤー、特に銀ナノワイヤーを含む、少なくとも1つの基板に直接または間接的に適用され得る。しかしながら、他の材料も、特に所望の透明スペクトル範囲に応じて、適することができる。特定の実施形態では、さらに、絶縁材料、半導体材料または導電性材料を含む中間層を適用することができる。
【0097】
上述のように、横方向光信号を記録するために少なくとも2つの電極が存在してもよい。好ましい実施形態では、少なくとも2つの電極は、実際には少なくとも2つの物理的電極の形態で配置されてもよく、好ましくは、T字形の形態を示し、各物理電極は導電性材料を含み得る。横方向光センサの実施形態において、横方向光センサの電極のうちの少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも2つの部分電極を有する分割電極であり得、横方向光センサは、センサ領域を有し、少なくとも1つの横方向センサ信号は、センサ領域内の入射光束のx位置および/またはy位置を示し得る。センサ領域は、物体に向けて面する光検出器の表面であり得る。センサ領域は、好ましくは光軸に対して垂直に配向されてもよい。したがって、横方向センサ信号は、光束によって生成された横方向光センサのセンサ領域の平面内の光スポットの位置を示すことができる。一般に、本明細書で使用されるとき、用語「部分電極」は、好ましくは他の部分電極から独立して、少なくとも1つの電流および/または電圧信号を測定するように適合された複数の電極のうちの1つの電極を指す。したがって、複数の部分電極が設けられる場合、それぞれの電極は、少なくとも2つの部分電極間で、独立に測定および/または使用され得る、複数の電位および/または電流および/または電圧を供給するように適合される。
【0098】
横方向光センサはさらに、部分電極を通る電流に従って横方向センサ信号を生成するように適合されることができる。したがって、2つの水平部分電極を通る電流の比率が形成され、それによってx座標を生成することができ、および/または垂直部分電極を通る電流の比率が形成され、それによってy座標を生成することができる。検出器、好ましくは横方向光センサおよび/または評価装置は、部分電極を通る少なくとも1つの電流の比率から、物体の横方向位置に関する情報を導き出すように構成されることができる。部分電極を通る電流の比較によって位置座標を生成する他の方法も実現可能である。
【0099】
部分電極は一般的に、センサ領域内での光束の位置を決定するために、様々な方法で定義され得る。したがって、水平座標またはx座標を決定するために2つ以上の水平方向部分電極を設けてもよく、また垂直座標またはy座標を決定するために2つ以上の垂直部分電極を設けてもよい。したがって、部分電極をセンサ領域の周縁部に設けてもよく、センサ領域の内部空間は空いた状態を維持し、そして1つまたは複数の追加の電極材料によって覆われてもよい。ここで、追加の電極材料は好ましくは透明の追加の電極材料、例えば透明な金属および/または透明な導電性酸化物および/または、最も好ましくは透明な導電性ポリマーであってもよい。
【0100】
電極の1つが3つ以上の部分電極を有する分割電極である横方向光センサを使用することにより、部分電極を通る電流は、センサ領域内での光束の位置に依存し得る。これは一般的に、部分電極に衝突する光に起因する電荷の発生位置から途中でオーム損失または抵抗損失が生じ得るという事実に起因し得る。したがって、部分電極に加え、分割電極は部分電極に接続された1つまたは複数の追加的電極材料を含んでもよく、1つまたは複数の追加的電極材料は電気抵抗をもたらす。したがって、電荷の発生位置から1つまたは複数の追加的電極材料を経て部分電極に至る経路上でのオーム損失に起因して、部分電極を通る電流は電荷の発生位置に依存し、したがってセンサ領域内での光束の位置に依存する。センサ領域内での光束の位置の決定に関するこの原理の詳細については、以下の好ましい実施形態および/またはWO2014/097181A1および同文献中の個々の参考文献において開示しているような物理的原理および装置オプションを参照することができる。
【0101】
したがって、横方向光センサはセンサ領域を含むことができ、好ましくは物体から検出器へ移動する光束に対して透明であってよい。したがって、横方向光センサは、x方向および/またはy方向などの1つまたは複数の横方向における光束の横方向位置を決定するように適合させることができる。この目的のために、少なくとも1つの横方向光センサが、少なくとも1つの横方向センサ信号を生成するようにさらに適合させることができる。したがって、評価装置は、横方向光センサの横方向センサ信号を評価することにより、物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されることができる。
【0102】
本発明のさらなる実施形態は、物体から検出器へと伝播する光束の性質に言及した。本明細書で使用されるとき、「光」という用語は一般的に、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲および赤外線スペクトル範囲のうちの1つまたは複数のスペクトル範囲の電磁放射を指す。そこでは、この出願の日に有効なバージョンのISO-21348規格に部分的に準拠して、可視スペクトル範囲という用語は一般的に380nmから760nmのスペクトル範囲を指す。赤外光(IR)スペクトル範囲という用語は一般的に760nmから1000μmの範囲の電磁放射を指し、そのうち760nmから1.4μmの範囲は通常近赤外光(NIR)スペクトル範囲と表わされ、1.5μmから15μmの範囲は中赤外線(MIR)として表わされ、15μmから1000μmの範囲は遠赤外光(FIR)スペクトル範囲と表わされる。紫外スペクトル範囲という用語は一般的に1nmから380nmの範囲、好ましくは100nmから380nmの範囲の電磁放射を指す。好ましくは、本発明の範囲内で使用される光は可視光、すなわち可視スペクトル範囲内の光である。
【0103】
「光束」という用語は、一般に、特定の方向に放出された光量を指す。したがって、光束は、光束の伝播方向に対して垂直な方向に所定の拡がりを有する光線の束であることができる。好ましくは、光束は1つまたは複数のガウスビームパラメータ、例えば1つまたは複数のビームウェスト、レイリー長または他の任意のビームパラメータまたは空間内でのビーム直径および/またはビーム伝播の発達の特徴付けに適するビームパラメータの組合せによって特徴付けられ得る1つまたは複数のガウス光束であるか、またはそれを含み得る。
【0104】
光束は物体自体によって許容され得る、すなわち物体から生じ得る。追加的にまたは代替的に、光束の別の発生源も実現可能である。したがって、以下でさらに詳細に概説するように、例えば所定の特徴を有する1つまたは複数の一次光線またはビームのような、1つまたは複数の一次光線またはビームを使用することにより、物体を照らす1つまたは複数の照射源が提供され得る。後者の場合、物体から検出器へと伝播する光束は、物体および/または物体に接続された反射装置によって反射される光束であってもよい。
【0105】
加えて、検出器は少なくとも1つの転送装置、例えば光学レンズ、特に1つまたは複数の屈折レンズ、特に薄い凸レンズまたは両凸レンズなど薄い収束性屈折レンズ、および/または1つまたは複数の凸面鏡を含むことができ、さらにそれらは共通の光軸に沿って配置され得る。最も好ましくは、物体から発生する光束はこの場合、最初に少なくとも1つの転送装置を通過し、次いでセンサ層を通過して最終的に撮像装置に衝突し得る。本明細書で使用されるとき、「転送装置」という用語は、物体から発生した少なくとも1つの光束を検出器内のセンサ層へと転送するよう構成され得る光学素子を指す。このように、転送装置は物体から検出器へと伝播する光をセンサ層へ供給するように設計することができ、この供給は、任意選択的に転送装置の撮像、あるいは非撮像特性によって有効化することができる。特に、転送装置は、電磁放射がセンサ層に供給される前に電磁放射を収集するよう設計されてもよい。
【0106】
加えて、少なくとも1つの転送装置は撮像特性を有し得る。従って、転送装置は少なくとも1つの撮像要素、例えば少なくとも1つのレンズおよび/または少なくとも1つの曲面鏡を有する、何故なら、そのような撮像要素の場合、例えばセンサ領域上での照射の幾何学形状は相対的配置、例えば転送装置と物体との間の距離に依存し得るからである。本明細書で使用されるとき、転送装置は、物体から発生する電磁放射が完全にセンサ領域へ転送されるように、例えば、特に物体が検出器の可視範囲内に配置される場合にセンサ領域上に完全に集束するように設計され得る。
【0107】
一般的に、検出器はさらに、少なくとも1つの撮像装置、すなわち少なくとも1つの画像を取得することができる装置をさらに含み得る。撮像装置は、種々の方法で具体化することができる。したがって、撮像装置は例えば検出器ハウジング内の検出器の一部であってもよい。しかし代替的にまたは追加的に、撮像装置は検出器ハウジングの外側に、例えば別個の撮像装置として構成され得る。代替的にまたは追加的に、撮像装置は検出器に接続されてもよく、または検出器の一部でもあり得る。好ましい構成では、検出器および撮像装置は、光束が移動する共通の光軸に沿って配置される。したがって、光束がセンサ層を通り、撮像装置に衝突するまで移動するように、撮像装置を光束の光路に配置することができる。しかしながら、他の配置も可能である。
【0108】
本明細書で使用されるとき、「撮像装置」は一般的に、1次元、2次元または3次元の、物体または物体の一部の画像を生成し得る装置として理解される。特に、検出器は、少なくとも1つの任意の撮像装置の有無にかかわらず、例えばIRカメラまたはRGBカメラのようなカメラ、すなわち3つの別々の接続で赤色、緑色および青色として指定された3原色を送達するように設計されたカメラとして完全にまたは部分的に使用され得る。したがって、一例として、少なくとも1つの撮像装置は、ピクセル化有機カメラ要素、好ましくはピクセル化有機カメラチップ;ピクセル化無機カメラ要素、好ましくはピクセル化無機カメラチップ、より好ましくはCCDチップまたはCMOSチップ;モノクロカメラ要素、好ましくはモノクロカメラチップ;多色カメラ要素、好ましくは多色カメラチップ;フルカラーカメラ要素、好ましくはフルカラーカメラチップからなる群から選択される少なくとも1つの撮像装置であるか、またはそれを含み得る。撮像装置は、モノクロ撮像装置、マルチクロム撮像装置および少なくとも1つのフルカラー撮像装置からなる群から選択される少なくとも1つの装置であるか、またはこれを含み得る。マルチクロム撮像装置および/またはフルカラー撮像装置は、当業者が認識するように、フィルタ技術の使用、および/または固有の色感度技法あるいは他の技法の使用により生成され得る。特に上述した横方向光センサとは対照的に、撮像装置は、一般に、不透明な光学特性を示すことがある。撮像装置の他の実施形態も可能である。
【0109】
撮像装置は、物体の複数の部分領域を連続的におよび/または同時に撮像するように設計され得る。例として、物体の部分領域は、例えば撮像装置の解像限界によって定められ、電磁放射線が放出される物体の1次元、2次元または3次元領域であってもよい。この文脈で、撮像とは、物体の各部分領域から発生する電磁放射が、例えば検出器の少なくとも1つの任意の伝送装置によって、撮像装置に供給されることを意味すると理解されるべきである。電磁線は、物体自体によって、例えば発光放射の形態で発生させることができる。代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの検出器が、物体を照らす少なくとも1つの照射源を含み得る。
【0110】
特に、撮像装置は、例えば、特に少なくとも1つの列スキャンおよび/または行スキャンを使用するスキャン法により、複数の部分領域を連続して順次撮像するように設計され得る。しかしながら、他の実施形態も可能であり、例えば複数の部分領域が同時に撮像される実施形態も可能である。撮像装置は、物体の部分領域の撮像中に、部分領域に関連付けられた信号、好ましくは電子信号を生成するように設計されている。信号はアナログ信号および/またはデジタル信号であってもよい。例として、電子信号は各部分領域と関連付けられ得る。したがって、電子信号は同時に生成されるか、または時間的にずらして生成され得る。例として、列スキャンまたは行スキャンの間に、物体の部分領域に対応する電子信号のシーケンスが生成され得、それらは例えば線状につながれる。さらに、撮像装置は、1つまたは複数の信号処理装置、例えば1つまたは複数のフィルタおよび/または電子信号を処理および/または前処理するためのアナログデジタル変換器を含み得る。
【0111】
物体から出る光は、物体自体から生じ得るが、任意選択的に、異なる起源を有していてもよく、この起源から物体へと伝播し、その後、検出器へと伝播してもよい。後者の場合は、例えば少なくとも1つの照射源が使用されていることによって影響を受け得る。照射源は様々な方法で具体化することができる。したがって、照射源は例えば検出器ハウジング内の検出器の一部であってもよい。しかし代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの照射源は例えば別個の光源として検出器ハウジングの外側に配置することもできる。照射源は、物体とは別に配置され、物体を所定距離から照射することができる。代替的にまたは追加的に、照射源は物体に接続されるか、物体の一部であってさえもよく、例えば、物体から発生する電磁放射は照射源によって直接生成され得る。例として、少なくとも1つの照射源は物体の表面および/または内部に配置され得、センサ領域を照射する電磁放射を直接生成し得る。この照射源は、例えば環境光源であるかまたはこれを含み得る、および/または人工照射源であるかまたはこれを含み得る。例として、少なくとも1つの赤外線放出装置および/または少なくとも1つの可視光放出装置および/または少なくとも1つの紫外光放出装置を、物体の表面に配置することができる。例として、少なくとも1つの発光ダイオードおよび/または少なくとも1つのレーザダイオードを、物体の表面および/または内部に配置することができる。照射源は特に、以下の照射源のうち1つまたは複数を含み得る:レーザ、特にレーザダイオード、ただし原則として、代替的にまたは追加的に他の種類のレーザも使用され得る;発光ダイオード;白熱電球;ネオンライト;炎源;熱源;有機光源、特に有機発光ダイオード;構造化光源;回折光学素子を含む光源、デジタル光プロセッサ(DLP)などのマイクロミラーデバイスを含む光源。代替的にまたは追加的に、他の照射源も使用され得る。特に好ましくは、例えば多数のレーザの場合が少なくともほぼそうであるように、照射源がガウスビームプロファイルを有する1つまたは複数の光束を生成するように照射源が設計されるのが特に好ましい。任意の照射源のさらなる可能な実施形態については、WO2012/110924A1またはWO2014/097181A1を参照することができる。ただし、他の実施形態も実現可能である。ここで、照射源が縦方向センサのスペクトル感度に関連するスペクトル範囲を示すことができ、特にそれぞれの照射源によって照らされる縦方向センサが高い強度のセンサ信号を提供することができ、それによって十分な信号対ノイズ比を有する高分解能評価が可能となる仕方でスペクトル範囲を示すことができるのが特に好ましい。
【0112】
さらに、検出器は照射の変調、特に周期的変調のための少なくとも1つの変調装置、特に周期的ビーム遮断装置をも有することができる。照射の変調は、照射の総出力を、好ましくは周期的に、特に1つまたは複数の変調周波数で変化させるプロセスを意味すると理解されるべきである。特に、周期的変調は、照射の総出力の最大値と最小値との間で有効化され得る。最小値は0とすることができるが、例として完全な変調を有効化する必要がない場合、最小値は0より大きい値とすることもができる。変調は、例えば物体と光センサとの間のビーム経路において有効化され得、例えば前記ビーム経路内に配置される少なくとも1つの変調装置によって有効化され得る。しかし代替的にまたは追加的に、変調は、以下でさらに詳細に説明するように、物体を照らすための任意の照射源と物体との間のビーム経路において有効化され得、例えば前記ビーム経路内に配置される少なくとも1つの変調装置によって有効化され得る。これらの可能性の組合せも考えられる。少なくとも1つの変調装置は、例えばビームチョッパまたは他の種類の周期的ビーム遮断装置、例えば、好ましくは一定速度で回転し、結果として照射を周期的に遮断することができる少なくとも1つの遮断ブレードまたは遮断ホイールを含み得る。しかし代替的にまたは追加的に、1つまたは複数の異なる種類の変調装置、例えば電気光学効果および/または音響光学効果に基づく変調装置の使用も可能である。再び代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの任意の照射源自体が変調照射、例えば前記照射源自体が強度および/または総出力の変調、例えば周期的変調総出力を有すること、および/または前記照射源がパルス照射源、例えばパルスレーザとして具現化されることにより、変調照射を生成するように設計され得る。したがって、例として、少なくとも1つの変調装置を照射源に全体的にまたは部分的に組み込んでもよい。様々な可能性が考えられる。
【0113】
したがって、検出器は、異なる変調の場合に少なくとも2つのセンサ信号を検出するように、特に少なくとも2つの縦方向センサ信号をそれぞれ異なる変調周波数で検出するように、特に設計することができる。評価装置は、少なくとも2つの縦方向センサ信号から幾何学情報を生成するように設計することができる。WO2012/110924A1およびWO2014/097181A1に記載されているように、曖昧さを解消することが可能であり、および/または例えば照射総出力は一般的に未知であるという事実を考慮することが可能である。例として、検出器は、物体および/または検出器の少なくとも1つのセンサ領域に、0.1Hzから10kHzなど、0.05Hzから1MHzの周波数の照射の変調をもたらすように設計することができる。上記で概説したように、このために、検出器は少なくとも1つの変調装置を含んでよく、該変調装置は少なくとも1つの任意の照射源に組み込まれてもよく、および/または照射源から独立していてもよい。したがって、少なくとも1つの照射源は、それ自体で、照射の変調を生成するように構成され得、および/または少なくとも1つの独立した変調装置、例えば少なくとも1つのチョッパおよび/または変調された伝達性を有する少なくとも1つの装置、例えば少なくとも1つの電気光学装置および/または少なくとも1つの音響光学装置のような装置が存在し得る。
【0114】
本発明によれば、上述のように少なくとも1つの変調周波数を検出器に適用することが有利であり得る。しかし、変調周波数を検出器に適用せずに、縦方向センサ信号を直接決定することは依然として可能である。以下により詳細に説明されるように、変調周波数の適用は、物体に関する所望の縦方向情報の取得するための多くの関連する状況下において必要ないかもしれない。結果として、検出器はこのようにして変調装置を含む必要がないかもしれない、それは空間検出器の単純かつ費用効果の高い組立にさらに貢献し得る。さらなる結果として、空間光変調装置は、周波数多重化モードではなく時間多重化モードで、またはそれらの組合せで使用され得る。さらなる結果として、空間光変調器は、周波数多重化モードではなく時間多重化モードで、またはそれらの組み合わせで使用され得る。
【0115】
本発明のさらなる一態様において、それぞれが個別のセンサ層を有し、2つの異なる位置に配置された上述の実施形態のいずれかによる少なくとも2つの個別の検出器を含む構成が提案されている。ここで、少なくとも2つの検出器は、好ましくは同一の光学特性を有しているが、互いに異なることもできる。さらに、構成はさらに少なくとも1つの照射源を含み得る。ここで、少なくとも1つの物体は、一次光を生成する少なくとも1つの照射源を使用して照射されてもよく、該少なくとも1つの物体は弾性的にまたは非弾性的に一次光を反射し、それによって少なくとも2つの検出器のうちの1つへ伝播する複数の光束を生成する。少なくとも1つの照射源は、少なくとも2つの検出器それぞれの構成部分を形成してもよいし、形成しなくてもよい。例として、少なくとも1つの照射源自体が環境光源であるかまたはこれを含み得る、および/または人工照射源であるかまたはこれを含み得る。この実施形態は、特に1つの検出器の本来の測定量より多くの測定量を提供するため、少なくとも2つの検出器、好ましくは2つの同一の検出器が、深度情報を得るために使用される用途に好ましく適している。
【0116】
これに関して、他の個別の検出器によって取得される画像と異なる個別の画像の取得が可能とするため、個別の検出器を好ましくは他の個別の検出器から離れて配置することができる。特に、個別の検出器を平行配置で別々のビーム経路内に配置することにより、単一の円形3次元画像を生成し得る。したがって、個別の検出器を、光軸と平行に位置するように整列させることができ、さらに、検出器の光軸に対して直角の方向に個別の変位を示し得る。ここで、整列は、個別の検出器および/または対応する転送要素の位置および方向の調整など、適切な手段によって達成され得る。したがって、2つの個別の検出器は、特に両眼視によって得られる視覚情報のように重なる視野を有する2つの個別の光検出器から得られる視覚情報を組み合わせることによって深度情報が得られるやり方で、深度情報の知覚を生成または増大できるように、好ましくは、間隔を空けて配置されることができる。このために、個別の光センサは、好ましくは、光軸に対して垂直に決定された方向に、お互いに1cmから100cm、好ましくは10cmから25cmの間隔を空けて配置することができる。本明細書で使用されるとき、この実施形態において提供されるような検出器は、特に、以下により詳細に説明される「立体視システム」の一部であり得る。立体視を可能にすることに加え、主として2つ以上の検出器の使用に基づく立体視システムのさらなる特定の利点は、特に、総強度の増加および/またはより低い検出閾値を含み得る。
【0117】
本発明のさらなる態様では、本明細書の他の箇所に記載されているような光検出器と、好ましくはプリント回路基板(PCB)であって、検出器を機械的に支持し電気的に接続するように設計され得る回路キャリア装置、とを含む構造が提案されている。ここで、該回路キャリア装置に開口部を導入することができ、入射光束を受け取るように設計された光フィルタを、好ましくは開口部に配置することができる。
【0118】
この種の構造は、特に、迷光が検出器に入るのを最小限に抑えるように適合させることができる。この目的のために、開口絞りを開口部の近くに配置するために設けることができる。本明細書では、開口絞りは、特に、上述のように回路キャリア装置の開口部を通って離れて光フィルタに入る迷光を阻止するように設計され得る。例として、開口絞りは、特に、開口部の周りの回路キャリア装置上に配置され得る銅トレースを使用することによって形成され得る。
【0119】
本発明のさらなる一態様において、ユーザとマシンとの間で少なくとも1つの情報項目を交換するためのヒューマンマシンインターフェースが提案される。提案されるヒューマンマシンインターフェースは、上述の1つまたは複数の実施形態のまたは以下にさらに詳細に記載される検出器が、1人または複数のユーザによってマシンに情報および/またはコマンドを提供するために使用されるという事実を利用し得る。したがって好ましくは、ヒューマンマシンインターフェースは制御コマンドの入力に使用され得る。
【0120】
ヒューマンマシンインターフェースは、本発明による少なくとも1つの検出器、例えば上記にて開示されている1つまたは複数の実施形態および/または以下でさらに詳細に開示されるような実施形態のうちの1つまたは複数による少なくとも1つの検出器を含み、ヒューマンマシンインターフェースは、検出器によってユーザの少なくとも1つの幾何学的情報を生成するように設計され、ヒューマンマシンインターフェースは、幾何学的情報を少なくとも1つの情報項目に割り当てるように設計される。
【0121】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの娯楽機能を実行するための娯楽装置が開示されている。本明細書で使用されるとき、娯楽装置は、1人または複数のユーザ、以下では1人または複数のプレーヤともいう、のレジャーおよび/または娯楽の目的に役立て得る装置である。一例として、娯楽装置はゲーム、好ましくはコンピュータゲームの目的を果たすことができる。追加的にまたは代替的に、娯楽装置は他の目的、例えば運動、スポーツ、理学療法または一般的な動作追跡などの目的にも使用され得る。したがって、娯楽装置は、コンピュータ、コンピュータネットワークまたはコンピュータシステムに実装され得るか、あるいはコンピュータ、コンピュータネットワークまたは1つまたは複数のゲーム用ソフトウェアプログラムを実行するコンピュータシステムを含み得る。
【0122】
娯楽装置は、例えば上記にて開示されている1つまたは複数の実施形態および/または以下にて開示される1つまたは複数の実施形態による本発明による少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェースを含む。娯楽装置は、少なくとも1つの情報項目が、プレーヤによってヒューマンマシンインターフェースの手段を介して入力可能となるように設計されている。少なくとも1つの情報項目は、娯楽装置の制御装置および/またはコンピュータへ送信および/または使用されてもよい。
【0123】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1つの可動物体の位置を追跡するための追跡システムが提供される。本明細書で使用されるとき、追跡システムは、少なくとも1つの物体または物体の少なくとも一部の一連の過去の位置に関する情報を収集するように適合される装置である。追加的に、追跡システムは、少なくとも1つの物体または物体の少なくとも一部の少なくとも1つの予測される将来の位置に関する情報を提供するように適合され得る。追跡システムは少なくとも1つの追跡コントローラを有し、該追跡コントローラは、電子装置として、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置として、より好ましくは少なくとも1つのコンピュータまたはマイクロコントローラとして、完全にまたは部分的に具現化され得る。また、少なくとも1つの追跡コントローラは、少なくとも1つの評価装置を含むことができ、および/または少なくとも1つの評価装置の一部であってもよく、および/または完全にまたは部分的に少なくとも1つの評価装置と同一であってもよい。
【0124】
追跡システムは、本発明による少なくとも1つの検出器、例えば上記に列挙した1つまたは複数の実施形態に開示されているような、および/または以下の実施形態の1つまたは複数に開示するような少なくとも1つの検出器を含む。追跡システムはさらに、少なくとも1つの追跡コントローラを含んでもよい。追跡システムは、1つまたは2つ以上の検出器、特に2つ以上の同一の検出器を含むことができ、それによって、2つ以上の検出器間で重複するボリューム内の少なくとも1つの物体に関する確実な深度情報を取得することができる。追跡コントローラは、物体の一連の位置を追跡するように構成され、各位置は、特定の時点での物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を含む。
【0125】
追跡システムはさらに、物体に接続可能な少なくとも1つのビーコン装置を含んでもよい。ビーコン装置の潜在的可能な定義についてはWO2014/097181A1を参照することができる。追跡システムは、好ましくは、検出器が少なくとも1つのビーコン装置の物体の位置に関する情報を生成し、特に、特定的なスペクトル感度を示す特定のビーコン装置を含む物体の位置に関する情報を生成するように適合される。このように、異なるスペクトル感度を示す複数のビーコンは、好ましくは同時に、本発明の検出器により追跡されることができる。ここで、ビーコン装置は、完全にまたは部分的に能動型ビーコン装置および/または受動型ビーコン装置として具現化され得る。一例として、ビーコン装置は、検出器へと伝送される少なくとも1つの光束を生成するように適合された少なくとも1つの照射源を含んでもよい。追加的にまたは代替的に、ビーコン装置は、照射源により生成される光を反射し、それにより検出器へと伝送される反射光束を生成するように適合された少なくとも1つの反射体を含むことができる。
【0126】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの位置を決定するためのスキャニングシステムが提供される。本明細書で使用されるとき、スキャニングシステムは、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面に配置された少なくとも1つのドットの照射するためおよび少なくとも1つのドットとスキャニングシステムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目を生成するため少なくとも1つの光束を放射するように構成された装置である。少なくとも1つのドットとスキャニングシステムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目を生成するために、スキャニングシステムは本発明に係る検出器の少なくとも1つ、例えば上記に挙げた実施形態および/または下記の実施形態の1つまたは複数に開示されるような少なくとも1つの検出器のなどの本発明に係る検出器を少なくとも1つ含む。
【0127】
したがって、スキャニングシステムは、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面に位置する少なくとも1つのドットを照射するように構成された少なくとも1つの光束を放射するように適合された少なくとも1つの照射源を含む。本明細書で使用されるとき、「ドット」という用語は、例えばスキャニングシステムのユーザによって選択され得る、照射源によって照射される物体の表面の一部上の小さい領域を指す。好ましくは、ドットは、一方で、スキャニングシステムに含まれる照射源とドットが位置し得る物体の表面上の部分との間の距離の値を、スキャニングシステムが可能な限り正確に決定できるように、可能な限り小さいサイズを示すものであってもよい、他方で、スキャニングシステムのユーザまたはスキャニングシステム自体が、特に自動手順で、物体の表面上の関連部分におけるドットの存在を検出できる程度に、可能な限り大きいサイズであってもよい。
【0128】
この目的のために、照射源は、人工照射源、特に少なくとも1つのレーザ源および/または少なくとも1つの白熱灯および/または少なくとも1つの半導体光源、例えば少なくとも1つの発光ダイオード、特に有機および/または無機発光ダイオードを含み得る。一般的に定義されるビームプロファイルおよび他の操作特性のため、照射源として少なくとも1つのレーザ光源を使用するのが特に好ましい。ここで、単一のレーザ光源の使用は、特に、ユーザによって保管しやすく運びやすいと考えられる小型のスキャニングシステムの提供が重要となり得る場合は好ましい。照射源は、したがって、好ましくは検出器の構成部分であり得、特に、したがって、検出器のハウジングへ統合されるように検出器と統合され得る。好ましい一実施形態において、特にスキャニングシステムのハウジングは、例えば読みやすいように距離関連情報をユーザに提供するように構成される少なくとも1つのディスプレイを含むことができる。さらに好ましい実施形態では、特にスキャニングシステムのハウジングは追加的に、1つまたは複数の操作モードを設定するなどスキャニングシステムに関連する少なくとも1つの機能を操作するために構成された少なくとも1つのボタンを含み得る。さらに好ましい実施形態では、特にスキャニングシステムのハウジングは追加的に、特に距離測定の正確性および/またはユーザによるスキャニングシステムの操作性の向上のため、スキャニングシステムを別の表面、例えばゴム製脚、磁性材料を含むベースプレートまたは壁ホルダに固定するように構成された少なくとも1つの固定用ユニットを含み得る。
【0129】
特に好ましい実施形態では、スキャニングシステムの照射源は、したがって、物体の表面に位置する単一のドットを照射するように構成された単一のレーザビームを放射してもよい。本発明による検出器の少なくとも1つを使用することにより、少なくとも1つのドットとスキャニングシステムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目を生成することができる。これにより、好ましくは、スキャニングシステムに含まれる照射システムと照射源によって生成される単一のドットとの間の距離が、少なくとも1つの検出器に含まれる評価装置を使用することなどにより、決定されてもよい。しかしながら、スキャニングシステムは、さらに、特にこの目的に適合させることができる追加の評価システムを含むことができる。追加的または代替的に、スキャニングシステムのサイズ、特にスキャニングシステムのハウジングのサイズを考慮に入れることができ、そしてこのように、ハウジングの前端または後端などスキャニングシステムのハウジング表面の特定の点と単一のドットとの間の距離が代替的に決定される。
【0130】
あるいは、スキャニングシステムの照射源は、ビームの放出方向の間に直角などそれぞれの角度を与えるように構成された2つの個別の光束を放出することができ、それにより、同じ物体の表面に位置する2つの個別のドットまたは2つの別々の物体の2つの異なる表面が照射され得る。しかしながら、2つの個別の光束間のそれぞれの角度についての他の値もまた実現可能である。この特徴は特に、間接測定機能向けに採用されることができ、例えば、スキャニングシステムとドットとの間に1つまたは複数の障害物が存在するため直接アクセスできない可能性のある間接距離の導出、またはその他到達するのが困難である可能性がある間接距離の導出などに採用される。例として、2つの個別の距離を測定し、ピタゴラスの定理の使用によって高さを導出することによって、物体の高さの値の決定が従って適している。特に物体に対して所定の水平さを維持することができるために、スキャニングシステムは、さらに、ユーザによって所定のレベルを維持するために使用され得る少なくとも1つのレベリングユニット、特に一体型気泡バイアルなどを含むことができる。
【0131】
さらなる一選択肢として、スキャニングシステムの照射源は、複数の個別のレーザビーム、たとえばレーザビームの配列(array)のような互いに対して個別のピッチ例えば規則的なピッチを示し、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面上に位置するドットの配列を生成するように配置された複数の個別のレーザビームを放出してもよい。この目的のため、特別に適合された光学素子、例えばビーム分割装置および鏡などが設けられてもよく、それは記載されたレーザビームの配列の生成を可能にし得る。
【0132】
このように、スキャニングシステムは、1つまたは複数の物体の1つまたは複数の表面上に配置された1つまたは複数のドットの静的配置を提供し得る。あるいは、スキャニングシステムの照射源、特に上述のレーザビームの配列のような1つまたは複数のレーザビームが、時間の経過につれて変化する強度を示し、および/または、時間が経過する中で放出方向が交互に変化し得る1本または複数の光束を提供するように構成され得る。このように、照射源は、スキャン装置の少なくとも1つの照射源によって生成される変化する特徴を有する1本または複数の光束を使用することにより、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面の一部を1つの画像としてスキャンするように構成され得る。特に、スキャニングシステムはこのように少なくとも1つの列スキャンおよび/または行スキャンを使用し、1つまたは複数の物体の1つまたは複数の表面を連続的にまたは同時にスキャンし得る。したがって、スキャニングシステムは、3つ以上のドットを測定することによって角度を測定するように適合され得、またはスキャニングシステムは、従来の測定スティックを使用してはほとんどアクセスできない屋根の切妻などの角または狭い領域を測定するように構成されてもよい。
【0133】
非限定的な例として、スキャニングシステムを三脚に取り付けて、いくつかの角部および表面を有する物体または領域に向けることができる。1つまたは複数の自在に移動可能なレーザ源がスキャニングシステムに取り付けられている。1つまたは複数のレーザ源は、それらが対象の点を照射するように動かされる。スキャニングシステムに対する照射された点の位置は、スキャニングシステムの指定されたボタンを押すと計測され、位置情報が無線インターフェースを介して携帯電話に送信される。位置情報は携帯電話アプリケーションに保存される。レーザ源は、位置が測定されて携帯電話アプリケーションに送信されるさらなる対象点を照射するように移動される。携帯電話アプリケーションは、隣接する点を平面で接続することによって、点のセットを3次元モデルに変換することができる。3次元モデルは記憶されさらに処理されてもよい。測定された点または表面間の距離および/または角度は、スキャニングシステムに取り付けられたディスプレイまたは位置情報が送信される携帯電話に直接表示されてもよい。
【0134】
非限定的な例として、スキャニングシステムは、点を投射するための2つ以上の自在可動なレーザ源と、さらに線を投射する1つの可動レーザ源とを含み得る。線は、線に沿って2つ以上のレーザスポットを配置するために使用されてもよく、スキャン装置のディスプレイは、線に沿って配置され得る2つ以上のレーザスポット間の距離、例えば等しい距離を表示してもよい。2つのレーザスポットの場合、単一のレーザ源を使用することができ、投射点の距離は、1つまたは複数のビームスプリッタまたはプリズムを使用して修正され、ビームスプリッタまたはプリズムは、投射されたレーザスポットが互いに離れるように、または互いに近づくように移動することができる。さらに、スキャニングシステムは、直角、円、正方形、三角形などのさらなるパターンを投射するように適合されてもよく、それに沿ってレーザスポットを投射し、それらの位置を測定することによって測定を行うことができる。
【0135】
非限定的な例として、スキャニングシステムは、のこぎり、穴あけ機などの木材または金属加工工具などの道具を用いて作業を支持するように適合させることができる。したがって、スキャニングシステムは、2つの反対方向の距離を測定し、その2つの測定距離または距離の合計をディスプレイに表示するように適合させることができる。さらに、スキャニングシステムは、スキャニングシステムが表面に置かれたときに、レーザーポイントが表面に沿ってスキャンシステムから自動的に離れ、距離の測定値が表面の角部または端部による突然の変化を示すまで離れるようにして、表面の端部までの距離を測定するように適合されてもよい。これにより、スキャニング装置が厚板の上にその端部から離れて置かれている場合に、木厚板の端部までの距離を測定することが可能になる。さらに、スキャニングシステムは、一方向における厚板の端部までの距離を測定し、反対方向に指定された距離で線または円または点を投射することができる。スキャニングシステムは、反対方向に測定された距離に応じ、例えば所定の合計距離に応じて、所定の距離に線または円または点を投射するように適合されてもよい。これにより、スキャニングシステムを工具から安全な距離に配置しながら、のこぎりや穴あけ機などの工具を投射位置で使用することができ、同時に厚板の端部まで所定の距離で工具を使用して処理を実行することができる。さらに、スキャニングシステムは2つの反対方向に所定の距離で点または線などを投射するように構成されてもよい。距離の合計が変更されると、投影距離のうちの1つのみが変更される。
【0136】
非限定的な例として、スキャニングシステムは表面に、例えば切断、鋸引き、穴あけなどの作業が行われる表面などに配置され、そしてスキャニング装置上のボタンなどにより調整することができる所定の距離に、線を表面上に投影するように適合させることができる。
【0137】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの単一の円形、3次元画像を生成する立体視システムが提供される。ここで使用されるとき、上記および/または下記にて開示される立体視システムは、少なくとも2つのFiPセンサを縦方向光センサとして含んでもよく、第1のFiPセンサは追跡システム、特に本発明による追跡システムに含まれてもよく、一方、第2のFiPセンサはスキャニングシステム、特に本発明によるスキャニングシステムに含まれてもよい。ここで、FiPセンサは、好ましくは平行配置の別々のビーム経路内に配置し、例えばFiPセンサを光軸に対して平行に整列させ、立体視システムの光軸に対して垂直に個別に変位させるようにして配置してもよい。このように、FiPセンサは、特に、重なり合う視野を有し、好ましくは個別の変調周波数に対して感受性を有する個別のFiPセンサから引き出される視覚情報の組合せによって深度情報を得ることにより、深度情報の知覚を生成または増大させることができる。この目的ために、個別のFiPセンサは、好ましくは、光軸に垂直な方向に決められるときに、1cmから100cm、好ましくは10cmから25cmの距離だけ互いに離間されてもよい。この好ましい実施形態では、追跡システムは、このように、変調アクティブターゲットの位置を決定するために使用され、一方、1つまたは複数の物体の1つまたは複数の表面上に1つまたは複数のドットを投射するスキャニングシステムは、少なくとも1つのドットとスキャニングシステムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目を生成するために使用される。加えて、立体視システムはさらに、本出願において別途記載の画像内の少なくとも1つの物体の横方向位置に関する情報項目を生成するように適合された、別個の位置感知装置を含んでもよい。
【0138】
立体視を可能にすることに加え、主として複数の縦方向光センサの使用に基づく立体視システムのさらなる特定の優位性は、特に総強度の増加および/または低い検出閾値を含む。さらに、少なくとも2つの従来の位置感知装置を含む従来の立体視システムでは、それぞれの画像内の対応するピクセルはかなりの計算量を適用することによって決定されなければならないのに対し、少なくとも2つのFiPセンサを含む本発明による立体視システムでは、FiPセンサを使用することによって記録されているそれぞれの画像内の対応する画素(ここで、各FiPセンサは異なる変調周波数で動作することができる)は、明らかに互いに対して割り当てることができる。このように、本発明による立体システムは、少ない労力で物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目、同様に、物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成することができることは強調され得る。
【0139】
立体視システムのさらなる詳細については、それぞれ追跡システムおよびスキャニングシステムの説明を参照することができる。
【0140】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1つの物体の撮像用カメラが開示される。カメラは、上記で詳述された、または以下でさらに詳細に詳述される1つまたは複数の実施形態において開示されるような本発明の少なくとも1つの検出器を含む。このように、検出器は写真装置、具体的にはデジタルカメラの一部であってもよい。具体的には、検出器は3D写真撮影、具体的にはデジタル3D写真撮影に使用され得る。このように、検出器はデジタル3Dカメラを形成するか、またはデジタル3Dカメラの一部であってもよい。本明細書で使用されるとき、「写真撮影」という用語は一般的に、少なくとも1つの物体の画像情報を取得する技術を指す。本明細書でさらに使用されるとき、「カメラ」は一般に、写真撮影を実行するように構成された装置を指す。本明細書でさらに使用されるとき、「デジタル写真撮影」という用語は一般に、照射の強度を示す電気信号、好ましくは、デジタル電気信号を生成するように適合された複数の感光性要素の使用によって、少なくとも1つの物体の画像情報を取得する技術を指す。本明細書でさらに使用されるとき、「3D写真撮影」という用語は一般に、3次元空間における少なくとも1つの物体の画像情報を取得する技術を指す。したがって、3Dカメラは3D写真撮影を実行するのに適合された装置を指す。カメラは一般に、単一の3D画像などの単一の画像を取得するように適合されてもよく、または一連の画像のように複数の画像を取得するように適合されてもよい。したがって、カメラは、デジタルビデオシーケンスを取得するためなどのビデオ用途に適合したビデオカメラでもよい。
【0141】
このように一般に、本発明はさらに、少なくとも1つの物体を撮像するカメラ、具体的にはデジタルカメラ、より具体的には3Dカメラまたはデジタル3Dカメラに関する。上記にて概説のとおり、「撮像」という用語は、本明細書で使用されるときは、一般に、少なくとも1つの物体の画像情報を取得することを指す。カメラは本発明による少なくとも1つの検出器を含む。カメラは、上記の概説のとおり、単一の画像の取得、あるいは画像シーケンスのような複数の画像の取得、好ましくはデジタルビデオシーケンスの取得のために適合され得る。したがって、一例として、カメラはビデオカメラであってもよく、またはそれを含んでもよい。後者の場合、カメラは画像シーケンスを記憶するためのデータメモリを含むことが好ましい。
【0142】
本発明のさらなる態様では、光検出器を製造する方法が開示されている。該方法は、本発明による少なくとも1つの検出器、例えば以下でさらに詳しく説明するこの文書の他の場所に開示されている1つまたは複数の実施形態のうち少なくとも1つの検出器、を生産または製造するために好ましく使用される。したがって、該方法の任意の実施形態については、検出器の様々な実施形態の説明を参照することができる。
【0143】
この方法は以下の工程(ステップ)を含み、これらの工程は与えられた順序で、または異なった順序で実行することができる。さらに、記載されていない追加の方法工程が提供されてもよい。特に他に明記しない限り、方法工程のうちの2つ以上、または全てさえも、少なくとも部分的に同時に実行されてもよい。さらに、方法工程の2つ以上または全てさえもが、2回以上繰り返し実行されてもよい。
【0144】
本発明による方法は以下のa)~c)のステップを含む;
a)少なくとも第1の表面と第2の表面とを有する光フィルタを提供するステップであって、第2の表面は第1の表面に対して反対側に配置され、光フィルタは、第1の表面によって受光された入射光束が光フィルタを通過して第2の表面に達することを可能にし、それによって入射光束のスペクトル組成を変更することによって変更光束を生成するステップ;
b)光フィルタの第2の表面に感光材料を堆積することによってセンサ層を生成するステップであって、センサ層は、変更光束によるセンサ層の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されているステップ;及び
c)センサ信号を評価することによって、入射光束によって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置を提供するステップ。
【0145】
上述のように、光フィルタは、好ましくは、バンドパスフィルタ、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、単色フィルタ、写真フィルタ、偏光フィルタ、およびバンド阻止フィルタからなる群から選択され得る。特に、光フィルタは、ステンドグラスフィルタ、ステンドポリマーフィルタ、メタルメッシュフィルタ、減光フィルタ、または光学干渉フィルタのうちの1つである。さらに、光フィルタはまた、プリズムまたは傾斜面など全体として光束を変更するように適合された適切な光学素子、またはマイクロレンズ、マイクログルーブ、拡散器、またはビーム整形器など部分的に光束を変更するように適合された適切な光学素子を使用することによって、入射光線に対して異なる伝播方向を変更光束に供給するために入射光束の伝播方向を変更するように適合され得る。代替的または追加的に、1/4波長板、偏光子、または交差偏光子などの適切な光学素子を使用することによって、光フィルタを通過する光束の少なくとも1つのタイプの偏光を変更することは実現可能であり得る。代替的または追加的に、光の波長および/または伝播方向は、蛍光リン光体、蛍光集光器、またはアップコンバージョン蛍光体などのアップコンバージョンまたはダウンコンバージョンを引き起こし得る非線形光学効果を使用することによって変更され得る。しかし、更なる実施形態も実現可能であり得る。ここで、提供される光フィルタは、電気絶縁基板または半導体基板のうちの1つを含むことができ、光フィルタの基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコーン、透明導電性酸化物(TCO)または透明有機ポリマーのうちの少なくとも1つを含むことができる。光フィルタは、基板と同一であってもよく、それにより半透明ガラス、着色ガラス、半透明ポリマー、または着色ポリマーを含む。
【0146】
特に好ましい実施形態では、センサ層は、好ましくは光フィルタとセンサ層との間に間隙が残らないようまたは隙間生じないように、光フィルタに直接的または間接的に塗布されてもよい。この目的のために、センサ層は堆積方法を用いて適用されてもよく、ここで堆積方法は、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬増殖、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、孔版印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレードおよび溶液-ガス界面技法から成る群から選択される。
【0147】
特定の実施形態では、追加の中間層を基板とセンサ層との間に配置することができる。追加の中間層のさらなる詳細については、本明細書で提供される中間層の説明を参照することができる。
【0148】
上述のように、所望の光センサは、一般に、入射光束によるセンサ層の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。このために、センサ層に電気的に接触するように適合された少なくとも2つの電気接点がさらに設けられる。一般に、電気接点は、方法工程a)~c)のいずれか1つの前またはその間に設けることができる。特に好ましい実施形態では、電気接点は、公知の蒸着技術などによって蒸着金属層を使用することによって設けることができ、ここで金属層は特に銀、アルミニウム、白金、マグネシウム、クロム、チタン、金、またはグラフェンの1つまたは複数を含むことができる。あるいは、電気接点は、無電解Ni、無電解Au、ガルバニックNi、またはガルバニックAuのような、ガルバニックまたは化学堆積プロセスによって設けることができる。
【0149】
さらに、カバー層は、電気接点を完全にまたは部分的に覆うことができるやり方でセンサ層上に堆積されてもよい。この特定の実施形態では、電気接点は、カバー層によって少なくとも部分的に好ましくは完全に覆われて、したがって、好ましくはワイヤーの形態、特に金(Au)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)のワイヤーの形態の導電性リード線を使用することによって少なくとも1つの外部接続に接合することができ、ここで導電性リード線は、特に、カバー層を通して電気接点に接合することができる。例として、カバー層によって覆われた金(Au)接点は、続いて、ワイヤー接合によって接続される。
【0150】
既に上述したように、少なくとも1つの追加の層をさらにカバー層またはそのパーティション上に堆積させることができる。ここで、追加的の層は、追加の光フィルタ層、反射防止層、接着層、封入層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、または導電層の少なくとも一つであるかまたはこれを含むことができるように選択することができる。
【0151】
さらに、光検出器の生産方法に関するさらなる詳細は、この文書の他の場所で見出すことができる。
【0152】
本発明に係る装置は、表面実装テクノロジーパッケージ、例えばバンプチップキャリア、セラミックリードレスチップキャリア、リードレスチップキャリア、リードチップキャリア、リードセラミックチップキャリア、デュアルリードレスチップキャリア、プラスチックリードチップキャリア、パッケージオンパッケージチップキャリアなど組み合わせて使用することができる。さらに、本発明に係る装置は、標準スルーホールまたはソースマウント技術の半導体パッケージ、例えばDO-204、DO-213、金属電極リーフレス面、DO-214、SMA、SMB、SMC、GF1、SOD、SOT、TSOT、TO-3、TO-5、TO-8、TO-18、TO-39、TO-46、TO-66、TO-92、TO-99、TO-100、TO-126、TO-220、TO-226、TO-247、TO252、TO-263、TO-263 THIN、SIP、SIPP、DFN、DIP、DIL、Flat Pack、SO、SOIC、SOP、SSOP、TSOP、TSSOP、ZIP、LCC、PLCC、QFN、QFP、QUIP、QUIL、BGA、eWLB、LGA、PGA、COB、COF、COG、CSP、Flip Chip、PoP、QP、UICC、WL-CSP、WLP、MDIP、PDIP、SDIP、CCGA、CGA、CERPACK、CQGP、LLP、LGA、LTCC、MCM、MICRO SMDXTまたはその類似のものと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明に係る装置は、OPGA、FCPGA、PAC、PGA、CPGAなどのピングリッドアレイ(PGA)と組み合わせて使用することができる。さらに、本発明に係る装置は、CFP、CQFP、BQFP、DFN、ETQFP、PQFN、PQFP、LQFP、QFN、QFP、MQFP、HVQFP、SIDEBRAZE、TQFP、TQFN、VQFP、ODFNなどのフラットパッケージと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明に係る装置は、SOP、CSOP MSOP、PSOP、PSON、PSON、QSOP、SOIC、SSOP、TSOP、TSSOP、TVSOP、μMAX、WSONなどの小型外形パッケージと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明に係る装置は、CSP、TCSP、TDSP、MICRO SMD、COB、COF、COGなどのようなチップスケールパッケージと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明に係る装置は、FBGA、LBGA、TEPBGA、CBGA、OBGA、TFBGA、PBGA、MAP-BGA、UCSP、μBGA、LFBGA、TBGA、SBGA、UFBGAなどのボールグリッドアレイと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明に係る装置は、SiP、PoP、3D-SiC、WSI、近接通信などのマルチチップパッケージ内のチップのようなさらなる電子装置と組み合わせることができる。集積回路パッキングに関するさらなる情報については、以下の出典を参照することができる。
【0153】
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_integrated_circuit_packaging_type または、
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_integrated_circuit_package_dimensions
【0154】
本発明のさらなる態様では、本発明による検出器の使用が開示されている。そこでは、物体の位置、特に物体の横方向位置を決定する目的のための検出器の使用が提案され、特に、交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;スキャニング用途;立体視用途;写真撮影用途;撮像用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップを生成するためのマッピング用途;車両用のホーミングまたは追跡ビーコン検出器;熱的特徴を有する物体の位置測定(背景よりも高温または低温);マシンビジョン用途;ロボット用途からなる群から選択される使用目的のため特に提案されている。
【0155】
したがって、一般に、検出器などの本発明による装置は、様々な用途分野に適用することができる。具体的には、検出器は、;交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;写真撮影用途;地図作成用途;少なくとも1つの空間のマップを生成するためのマッピング用途;車両用のホーミングまたは追跡ビーコン検出器;モバイル用途;ウェブカメラ;オーディオ機器;ドルビーサラウンドオーディオシステム;コンピュータ周辺機器;ゲーム用途;カメラまたはビデオ用途;監視アプリケーション;自動車用用途;トランスポート用途;物流用途;車両用途;飛行機用途;船用途;宇宙船用途;ロボット用途;医療用途;スポーツの用途;ビルディング用途;建設用途;製造用途;マシンビジョン用途;飛行時間検出器、レーダー、ライダー、超音波センサ、または干渉法から選択される少なくとも1つの感知技術と組み合わせての使用からなる群から選択される使用目的に適用され得る。追加的または代替的に、ローカルおよび/またはグローバルポジショニングシステムにおける用途、特に自動車やその他の乗り物(電車、オートバイ、自転車、貨物輸送用のトラックなど)、ロボット、または歩行者による使用のためのランドマークベースのポジショニングおよび/またはナビゲーションを挙げることができる。さらに、例えば家庭用アプリケーションおよび/または製造で賞されるロボット、物流、監視、または保守技術などの屋内測位システムは潜在的可能な用途として挙げられる。
【0156】
したがって、第1に、本発明による装置は、携帯電話、タブレット型コンピュータ、ラップトップ、スマートパネル、または他の固定式もしくは移動式もしくは着用可能なコンピュータまたは通信用途に使用することができる。したがって、本発明による装置は、性能を向上させるために、可視範囲または赤外線スペクトル範囲の光を放射する光源などの少なくとも1つの能動光源と組み合わせることができる。したがって、一例として、本発明による装置は、環境、物体および生物をスキャンおよび/または検出するためのモバイルソフトウェアと組み合わせて、カメラおよび/またはセンサとして使用することができる。本発明による装置は、撮像効果を高めるために、従来のカメラなどの2Dカメラと組み合わせることさえ可能である。本発明による装置はさらに、監視および/または記録のために、あるいは特に音声および/またはジェスチャ認識と組み合わせて、モバイル装置を制御するための入力装置として使用することができる。したがって、具体的には、ヒューマン-マシンインターフェースとして機能する本発明による装置は、入力装置とも呼ばれ、携帯電話などのモバイル機器を介して他の電子機器またはコンポーネントを制御するなどのモバイルアプリケーションで使用できる。一例として、本発明による少なくとも1つの装置を含むモバイルアプリケーションは、テレビジョンセット、ゲーム機、音楽プレーヤまたは音楽装置または他の娯楽装置を制御するために使用されてもよい。
【0157】
さらに、本発明による装置は、ウェブカメラまたは他のコンピュータアプリケーション用の周辺装置に使用することができる。したがって、一例として、本発明による装置は、撮像、記録、監視、スキャン、または動き検出のためのソフトウェアと組み合わせて使用することができる。ヒューマン-マシンインターフェースおよび/または娯楽装置に関して概説したように、本発明による装置は、顔の表情および/または身体の表現によってコマンドを与えるのに特に有用である。本発明による装置は、マウス、キーボード、タッチパッド、マイクなどの他の入力生成装置と組み合わせることができる。さらに、本発明による装置は、ウェブカメラを使用するなどしてゲーム用の用途に使用することができる。さらに、本発明による装置は、仮想トレーニングアプリケーションおよび/またはビデオ会議に使用することができる。さらに、本発明による装置は、特にヘッドマウントディスプレイを装着するときに、仮想または、強化現実感アプリケーションで使用される手、腕、または物体を認識または追跡するために使用することができる。
【0158】
さらに、本発明による装置は、上で部分的に説明したように、モバイルオーディオ装置、テレビ装置およびゲーム装置に使用することができる。具体的には、本発明による装置は、電子装置、娯楽装置またはそのようなもののための制御または制御装置として使用することができる。さらに、本発明による装置は、特に強化現実感アプリケーションのための透明ディスプレイを用いた、2Dおよび3Dディスプレイ技術における目検出または目追跡、および/または、ディスプレイが見られているかどうかおよび/またはどの視点からディスプレイが見られているかの認識に使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、特にヘッドマウントディスプレイを装着しているときの仮想または強化現実感アプリケーションに関連して部屋、境界、障害物を探索するために使用されてもよい。
【0159】
さらに、本発明による装置は、DSCカメラのようなデジタルカメラの中でまたはデジタルカメラとして、および/またはSLRカメラのようなレフレックスカメラの中でまたはレフレックスカメラとして使用することができる。これらの用途については、上記に開示したように、携帯電話などのモバイル用途における本発明による装置の使用を参照することができる。
【0160】
さらに、本発明による装置は、セキュリティまたは監視用途に使用することができる。したがって、一例として、本発明による少なくとも1つの装置は、物体が所定の領域の内または外にある場合(例えば銀行または美術館の監視用途)に信号を発する1つまたは複数のデジタルおよび/またはアナログ電子機器と組み合わせることができる。特に、本発明による装置は、光暗号化に使用することができる。本発明による少なくとも1つの装置の使用による検出は、IR、X線、UV-VIS、レーダーまたは超音波検出器などの他の検出装置と組み合わせて波長を補完することができる。本発明による装置はさらに、低光量環境での検出を可能にするために能動赤外光源と組み合わせることができる。本発明による装置は、特に、本発明による装置は例えばレーダー用途、超音波用途、LIDARまたは同様の能動的検出装置において該当するように、第三者によって検出される可能性がある信号を能動的に送信することを回避するため、能動的検出器システムと比較して一般に有利である。したがって、一般に、本発明による装置は、認識されずかつ検出不可能な移動物体の追跡のために使用され得る。さらに、本発明による装置は、一般に、従来の装置と比較して操作および刺激が少ない。
【0161】
さらに、本発明による装置を使用することによる3D検出の容易さおよび正確さを考えると、本発明による装置は一般に、顔、身体および人の認識および認証に使用することができる。その中で、本発明による装置は、パスワード、指紋、虹彩検出、音声認識または他の手段のような身元確認または個人化目的のための他の検出手段と組み合わせることができる。したがって、一般に、本発明による装置は、セキュリティ装置および他の個人化のアプリケーションに使用することができる。
【0162】
さらに、本発明による装置は、製品認証用の3Dバーコードリーダーとして使用することができる。
【0163】
上述したセキュリティおよび監視用途に加えて、本発明による装置は一般に、空間および領域の監視およびモニタリングに使用することができる。したがって、本発明による装置は、空間および区域の見張りおよび監視をするために、そして一例として、禁止区域に違反した場合に警報を引き起こすまたは実行するために使用することができる。したがって、一般的に、本発明による装置は、任意に他の種類のセンサと組み合わせて、例えば、動きセンサまたは熱センサと組み合わせて、画像増強装置または画像強調装置および/または光電子増倍管と組み合わせてなど、建物内監視または美術館における監視目的に使用することができる。さらに、本発明による装置は公共の空間または混み合う空間で使用されて、例えば駐車場での盗難または空港での放置荷物のような放置物体などの犯罪の犯行のような潜在的に危険な活動を検出することができる。
【0164】
さらに、本発明による装置は、ビデオおよびカムコーダ用途などのカメラ用途に有利に適用することができる。したがって、本発明による装置は、モーションキャプチャおよび3D映画録画に使用することができる。そこでは、本発明による装置は一般に、従来の光学装置を超える多数の利点をもたらす。このように、本発明による装置は一般に、光学部品のより少ない複雑さを必要とする。したがって、一例として、例えば1つのレンズのみを有する本発明による装置を提供することによって、レンズの数を従来の光学装置と比較して減らすことができる。複雑さの軽減により、モバイル用途などのために、非常にコンパクトな装置が可能である。高品質の2つ以上のレンズを有する従来の光学システムは、嵩張ったビームスプリッタが一般的に必要であるため、一般的に嵩張っている。さらに、本発明による装置は、一般に、オートフォーカスカメラなどのフォーカス/オートフォーカス装置に使用することができる。さらに、本発明による装置は光学顕微鏡法、特に共焦点顕微鏡法にも使用することができる。
【0165】
さらに、本発明による装置は、一般に自動車技術および輸送技術の技術分野に適用可能である。したがって、一例として、本発明による装置は、アダプティブクルーズコントロール、緊急ブレーキアシスト、車線逸脱警告、サラウンドビュー、死角検出、交通標識の検出、交通標識の認識、車線認識、後部交差点交通の警報、進行方向または前方に走行する車両に応じてヘッドライトの強度と範囲を調整するための光源認識、適応型フロントライトシステム、ハイビームヘッドライトの自動制御、フロントライトシステムの適応型カットオフライト、グレアフリーハイビームフロント照明システム、ヘッドライト照射による動物や障碍物等のマーキング、後部交差点交通の警報、先進運転支援システムなどの他の運転支援システム、または他の自動車および交通アプリケーションなどのための距離および監視センサとして使用することができる。さらに、本発明による装置は、特に衝突回避のために運転者の操縦を事前に予測するように適合され得る運転者支援システムにおいて使用され得る。さらに、本発明による装置は、本発明による検出器を使用することによって得られる位置情報の第1および第2の時間微分を分析することなどによって、速度および/または加速度の測定にも使用することができる。この特徴は一般に自動車技術、輸送技術または一般交通技術に適用可能であり得る。他の技術分野での応用も可能である。屋内測位システムにおける特定の用途は、輸送中の乗客位置の検出、より具体的にはエアバッグなどの安全システムの使用を電子的に制御することであり得る。ここで、エアバッグの使用は、エアバッグの使用が乗客に対して怪我、特に深刻な怪我を引き起こす可能性があるような態様で、乗客が車両内に位置する場合には、特に防止され得る。さらに、自動車、電車、飛行機などの乗り物、特に自律走行車において、本発明による装置は、運転者が交通に注意を払っているのかまたは気をとられているか、または眠っているのか、または疲れているのか、または、アルコールまたは薬物の摂取によって運転することができないかを判定するために使用できる。
【0166】
これらまたは他の用途では、一般に、本発明による装置は、独立型装置またはレーダーおよび/または超音波装置との組み合わせなど、他のセンサ装置との組み合わせで使用することができる。特に、本発明による装置は、自動運転および安全性の問題に使用することができる。さらに、これらの用途では、本発明による装置は、赤外線センサ、音波センサであるレーダーセンサ、二次元カメラまたは他の種類のセンサと組み合わせて使用することができる。これらの用途において、本発明による装置の一般的に受動的な性質は有利である。したがって、本発明による装置は一般に信号を放出する必要がないため、能動的センサ信号が他の信号源と干渉する危険性を回避することができる。本発明による装置は、具体的には、標準的な画像認識ソフトウェアなどの認識ソフトウェアと組み合わせて使用することができる。したがって、本発明による装置によって提供されるような信号およびデータは典型的には容易に処理可能であり、したがって一般にLIDARのような確立された立体視覚システムよりも低い計算能力を必要とする。低いスペース要求を考えると、カメラのような本発明による装置は、窓スクリーンの上または後ろ、フロントフードの上、バンパーの上、ライトの上、鏡または他の場所などのような、車内の事実上すべての場所に配置できる。本発明の開示された範囲内の効果に基づく1つまたは複数の検出器のような本発明による様々な検出器は、例えば車両を自律的に走行させるため、または能動的安全概念の性能を高めるなどのために組み合わせることができる。したがって、本発明による様々な装置は、本発明による1つまたは複数の他の装置および/または、後部窓、側部窓または前部窓のような窓、バンパー上またはライト上などにある従来のセンサと組み合わせることができる。
【0167】
本発明による少なくとも1つの検出器のような本発明による少なくとも1つの装置と、1つまたは複数の雨検出センサとの組み合わせも可能である。これは、本発明による装置は一般にレーダーのような従来のセンサ技術より有利で、特に大雨の間に有利であるという事実によるものである。本発明による少なくとも1つの装置とレーダーなどの少なくとも1つの従来の感知技術との組み合わせは、ソフトウェアが気象条件に従って信号の正しい組み合わせを選ぶことを可能にし得る。
【0168】
さらに、本発明による装置は一般に、ブレーキアシストおよび/またはパーキングアシストとして、および/または速度測定のために使用することができる。速度測定は、車両に組み込むことができ、あるいは交通管制における他の自動車の速度を測定するなどのために、車両の外部で使用することができる。さらに、本発明による装置は、駐車場内の空き駐車スペースを検出するために使用することができる。
【0169】
さらに、本発明による装置は、一般に、視覚のため、特に困難な視界条件下、例えば暗視、フォグビジョン、またはヒュームビジョンなどでの視認に使用することができる。この目的を達成するために、検出器は、煙または煙霧中に存在する粒子のような小さな粒子、または霧、霞もしくはもやの中に存在する液滴のような小さな液滴が、入射光束が反射しないかまたはそのわずかな部分しか反射しない波長範囲内(少なくともその波長範囲内)で感度があるようにすることができる。一般に知られているように、入射光束の波長が粒子または液滴のサイズをそれぞれ超える場合には、入射光束の反射は小さいかまたは無視できる。さらに、身体および物体によって放出されている熱放射を検出することによってナイトビジョンを可能にすることができる。したがって、検出器は、特に赤外線(IR)スペクトル範囲内、好ましくは中赤外線(MidIR)スペクトル範囲内で敏感であり、したがって、夜間、煙霧、煙、霧、霞、もしくはもやの中でさえ良好な視認性を可能にし得る。
【0170】
さらに、本発明による装置は、医療システムおよびスポーツの分野で使用することができる。したがって、医療技術、手術ロボット工学の分野、例えば内視鏡での使用があげられる、上記で概説したように、本発明による装置は、少ないボリュームしか必要とせず、他の装置に統合することができるからである。具体的には、せいぜい1つのレンズを有する本発明による装置は、例えば内視鏡などの医療装置において3D情報を取得するために使用され得る。さらに、本発明による装置は、動きの追跡および分析を可能にするために、適切な監視ソフトウェアと組み合わせることができる。これは、磁気共鳴画像法、X線画像法、または超音波画像法などから得られる医療画像の結果と、内視鏡またはメスなどの医療装置の位置を、即座に重ね合わせることを可能にする。これらの用途は、脳外科手術や長距離診断、遠隔医療など、正確な位置情報が重要な医療において特に価値がある。さらに、本発明による装置は、三次元身体スキャンに使用することができる。身体スキャンは、歯科手術、整形手術、肥満手術、または美容整形手術などの医学的環境で適用することができ、または筋筋膜痛症候群、癌、体の異形障害、またはさらなる疾患の診断などの医学的診断の環境で適用することができる。身体スキャンは、人間工学的使用またはスポーツ用具の適合性を評価するためにスポーツの分野でさらに適用され得る。
【0171】
身体スキャンは、衣服の適切なサイズおよびフィットを決定するためなど、衣服の環境においてさらに使用され得る。この技術は、オーダーメイドの衣服の環境において、またはインターネットから衣服または靴を注文する環境において、あるいはマイクロキオスク装置または顧客コンシェルジュ装置などのセルフサービスショッピング装置において使用されてもよい。衣服の環境における身体スキャンは、完全に服を着た顧客をスキャンするために特に重要である。
【0172】
さらに、本発明による装置は、エレベーター、電車、バス、車、または飛行機の中の人数、または、廊下、ドア、通路、小売店、スタジアム、娯楽施設、美術館、図書館、公共の場所、映画館、劇場などを通過する人々の数などを数える人数計数システムの環境で使用することができる。さらに、人数計数システムにおける3D機能は、身長、体重、年齢、体力などのような、計数される人々に関するさらなる情報を取得または推定するために使用され得る。この情報は、ビジネスインテリジェンスメトリクスのために、および/または、人々が数えられる地域をより魅力的または安全にする最適化のために使用することができる。小売環境では、人数計数の環境における本発明による装置は、戻ってくる顧客または通るだけの顧客を認識し、買い物行動を評価し、購入を行った訪問者の割合を評価し、スタッフ移動を最適化し、訪問者1人あたりのショッピングモールのコストを監視するのに使用することができる。さらに、人数計数システムは人体計測調査に使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、公共輸送システムで輸送の長さに応じて乗客に自動的に課金するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、子供用の遊び場で、負傷した子供または危険な行動を行っている子供を認識するため、遊び場の玩具とのさらなる相互作用を可能にするため、遊び場の玩具などの安全な使用を確実にするためなどに使用され得る。
【0173】
さらに、本発明による装置は、物体または壁までの距離を決定するため、表面が平面であるかどうかを評価するため、物体を正しい順番で整列または配置するための距離計などの建設ツール、または建設環境などで使用するための検査カメラなどに使用することができる。
【0174】
さらに、本発明による装置は、トレーニング、遠隔指示または競技目的などのスポーツおよび運動の分野に適用することができる。具体的には、本発明による装置は、ダンシング、エアロビクス、フットボール、サッカー、バスケットボール、野球、クリケット、ホッケー、陸上競技、水泳、ポロ、ハンドボール、バレーボール、ラグビー、相撲、柔道、フェンシング、ボクシング、ゴルフ、カーレース、レーザタグ、戦場シミュレーションなどの分野に適用することができる。本発明による装置は、スポーツと試合の両方において、ボール、バット、刀、動きなどの位置を検出するために使用され、試合の監視、審判の支援、または判断、特にスポーツにおける特定の状況の自動判定、例えばポイントまたはゴールが実際に行われたかどうかを判断するために、使用することができる。
【0175】
さらに、本発明による装置は、自動車の位置または自動車の進路、または前の進路または理想の進路からの逸脱などを決定するために、オートレースまたはカードライバーの訓練または自動車の安全の訓練などの分野で使用されてもよい。
【0176】
本発明による装置は、楽器の練習、特に遠隔授業を支援するため、例えばフィドル、バイオリン、ビオラ、チェリー、ベース、ハープ、ギター、バンジョーまたはウクレレなどの弦楽器、または、ピアノ、オルガン、キーボード、ハープシコード、ハーモニウム、またはアコーディオンなどのキーボード楽器、および/または、ドラム、ティンパニ、マリンバ、木琴、ビブラフォン、ボンゴ、コンガ、ティンバレス、ジャンベやタブラなどの打楽器の授業を支援するためにさらに使用されてもよい。
【0177】
本発明による装置はさらに、リハビリテーションおよび理学療法に、訓練を促進するために、および/または動きを調査して修正するために、使用することができる。その中で、本発明による装置は遠距離診断にも適用することができる。
【0178】
さらに、本発明による装置はマシンビジョンの分野に適用することができる。したがって、本発明による1つまたは複数の装置は、例えば自律走行や作業用ロボットの受動制御装置として使用することができる。移動ロボットと組み合わせて、本発明による装置は、自律的な動きおよび/または部品の故障の自律的な検出を可能にし得る。本発明による装置はまた、製造および安全監視のため、例えばロボットと製造部品と生物の間の衝突を含むがこれらに限定されない事故を回避するためなど、に使用することもできる。ロボット工学では、人間が認識されないときロボットは人体に深刻な損傷を与える可能性があるため、人体とロボットの安全および直接的な相互作用はしばしば問題となる。本発明による装置は、ロボットが物体および人間をより良くより速く位置決めするのを助け、安全な相互作用を可能にすることができる。本発明による装置の受動的な性質を考えると、本発明による装置は能動的な装置よりも有利であり、および/または、既存のレーダー、超音波、2Dカメラ、IR検出などの解決法を補完するために使用することができる。本発明による装置の1つの特定の利点は、信号干渉の可能性が低いことである。したがって、信号干渉のリスクなしに、複数のセンサが同じ環境で同時に動作できる。このように、本発明による装置は、限定されることなく、例えば自動車、鉱業、鉄鋼など、一般に、高度に自動化された製造環境において有用であり得る。本発明による装置は、生産における品質管理のためにも使用することができ、例えば、2-D撮像、レーダー、超音波、IRなどの他のセンサと組み合わせて、品質管理やその他の目的のためなどに使用することができる。さらに、本発明による装置は、マイクロメートルの範囲からメートルの範囲まで、製品の表面の均一性または特定の寸法への追随を調査するためなど、表面品質の評価に使用することができる。他の品質管理用途も可能である。製造環境において、本発明による装置は、複雑な三次元構造を有する食品または木材のような天然物を、大量の廃棄材料を防止するように処理するために特に有用である。さらに、本発明による装置は、タンク、サイロなどの充填レベルを監視するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、複雑な製品の不足している部品、不完全な部品、緩い部品、低品質の部品などを検査するために、例えばプリント基板の自動光学検査、アセンブリまたはサブアセンブリの検査、設計部品の検証、エンジン部品検査、木材の品質検査、ラベル検査、医療機器の検査、製品の方向性の検査、包装検査、食品パック検査などを検査するために使用されてもよい。
【0179】
さらに、本発明による装置は、乗り物、列車、飛行機、船、宇宙船および他の交通用途に使用することができる。このように交通用途に関して上述した用途の他に、航空機、車両などのための受動的追跡システムを挙げることができる。移動物体の速度および/または方向を監視するため、本発明による少なくとも1つの検出器など、本発明による少なくとも1つの装置の使用が実現可能である。具体的には、陸上、海上、および宇宙を含む空中における高速移動物体の追跡が挙げられる。本発明による少なくとも1つの検出器など、本発明による少なくとも1つの装置は、具体的には静止している装置および/または移動する装置に取り付けることができる。本発明による少なくとも1つの装置の出力信号は、例えば他の物体の自律的または誘導された移動のための誘導機構と組み合わせることができる。したがって、追跡および操縦された物体間の衝突を回避するため、または衝突を可能にするための用途が実現可能である。本発明による装置は、必要とされる低い計算能力、即時の応答、および、例えばレーダーのような能動システムと比較して一般に検出および妨害することがより困難である検出器システムの受動的性質のために、一般に有用かつ有利である。本発明による装置は、限定されないが速度制御および航空交通管制装置に特に有用である。さらに、本発明による装置は、道路料金の自動料金徴収システムに使用することができる。
【0180】
本発明による装置は、一般に受動的用途に使用することができる。受動的な用途は、港や危険な場所にある船舶、および着陸時または発進時の航空機に対するガイダンスを含む。ここでは、固定された既知の能動的な標的が正確なガイダンスのために使用され得る。同じものが、鉱山車両など、危険ではあるが明確に規定されたルートを走行する車両にも使用できる。さらに、本発明による装置は、自動車、電車、飛行物体、動物などのような急速接近する物体を検出するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、物体の速度または加速度を検出するため、あるいは、物体の時間に依存する1つまたは複数の位置、速度、加速度を追跡することにより物体の動きを予測するために使用できる。
【0181】
さらに、上で概説したように、本発明による装置はゲームの分野で使用することができる。したがって、本発明による装置は、動きをその内容に組み込むソフトウェアと組み合わせた動きの検出など、同じまたは異なるサイズ、色、形状などの複数の物体とともに使用するために受動的であり得る。特に、グラフィック出力に動きを実装するアプリケーションは実現可能である。さらに、ジェスチャまたは顔認識のために本発明による1つまたは複数の装置を使用することなどにより、コマンドを与えるための本発明による装置のアプリケーションは実現可能である。本発明による装置は、暗い場所や周囲の状況を改善する必要があるその他の状況の下で動作するために能動システムと組み合わせることができる。追加的または代替的に、本発明による1つまたは複数の装置と1つまたは複数のIRまたはVIS光源との組み合わせが可能である。本発明による検出器と特別な装置との組み合わせもまた可能であり、それは、限定されないが例えば、特別な色、形状、他の機器との相対位置、動きの速さ、光、装置の光源を変調するために使用される周波数、表面の性質、使用材料、反射特性、透明度、吸収特性などにより、システムおよびそのソフトウェアによって容易に区別することができる。該装置は、他の可能性もある中で、スティック、ラケット、クラブ、銃、ナイフ、ホイール、指輪、ステアリングホイール、ボトル、ボール、ガラス、花瓶、スプーン、フォーク、立方体、サイコロ、フィギュア、人形、テディ、ビーカー、ペダル、スイッチ、グローブ、宝石、楽器、または、ピック、ドラムスティックなどの楽器を演奏するための補助装置などに似せることができる。他の選択肢も可能である。
【0182】
さらに、本発明による装置は、高温またはさらなる発光プロセスなどにより、それ自体で発光する物体を検出および/または追跡するために使用することができる。発光部は、排気流または類似のものであってもよい。さらに、本発明による装置は、反射物体を追跡し、これらの物体の回転または方向を分析するのに使用することができる。
【0183】
さらに、本発明による装置は、一般に、建築、建設および地図作成の分野で使用することができる。したがって、一般に、本発明による1つまたは複数の装置は、例えば田舎や建物の環境領域を測定および/または監視するために使用することができる。その中で、本発明による1つまたは複数の装置は、他の方法および装置と組み合わされてもよく、あるいは単独で建築プロジェクト進行および正確さ、変化する対象物、家などの監視するために使用されてもよい。本発明による装置は、部屋、街路、家、コミュニティまたは風景の地図を構築するために、地上または空中からスキャンされた環境の三次元モデルを生成するために使用され得る。潜在的可能な適用分野は、建築、地図作成、不動産管理、土地調査または類似のものであり得る。一例として、本発明による装置はドローンやマルチコプターなど飛行可能な乗り物に使用し、建物、煙突、生産現場、畑、生産プラントまたはランドスケープなどの農業生産環境を監視するために、救助活動を支援するために、危険な環境での仕事を支援するために、屋内または屋外の燃える場所で消防隊を支援するために、1人以上の人や動物や移動物体を見つけたり監視したりするために、スキーやサイクリングなどのスポーツをしている1人以上の人を追跡して記録するドローン(これは、ヘルメット、マーク、ビーコン装置などをたどることで実現できる)などの娯楽目的のために、使用することができる。本発明による装置は、障害物を認識すること、所定の経路をたどること、縁、パイプ、建物などをたどること、または環境のグローバルなまたは地域の地図を記録することに使用することができる。さらに、本発明による装置は、室内または屋外でのドローンの位置特定および位置決めのため、気圧センサが十分に正確でない屋内でドローンの高さを安定させるため、またはいくつかのドローンの協調運動や空中での充電または燃料補給など複数のドローンの相互作用のために使用することができる。
【0184】
さらに、本発明による装置は、CHAIN(Cedec Home Appliances Interoperationg Network)のようなホームアブリケーションの相互接続ネットワーク内で使用されてもよく、例えばエネルギーまたは負荷管理、リモート診断、ペット関連アプリケーション、子供関連アプリケーション、子供の監視、家庭用器具の監視、高齢者や病気の人への支援またはサービス、ホームセキュリティおよび/または監視などの家庭内の基本的な器具の相互接続、自動化、制御のために使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、特に1人または複数人の場所に依存して部屋のどの部分を特定の温度または湿度にするべきかを特定するために、空調システムなどの暖房または冷房システムで使用することができる。さらに、本発明による装置は、家事に使用することができるサービス用または自律のロボットなどの家庭用ロボットに使用することができる。本発明による装置は、衝突を回避するため、または環境をマッピングするため、またユーザを識別するため、セキュリティ目的やジェスチャや顔認識のためにロボットの性能を所与のユーザに対して個人用化するためなど、いくつかの異なる目的に使用することができる。一例として、本発明による装置は、ロボット掃除機、床洗浄ロボット、乾拭きロボット、服にアイロンをかけるアイロンがけロボット、猫トイレロボットのような動物用トイレロボット、侵入者を検出するセキュリティロボット、ロボット芝刈り機、自動プールクリーナー、雨どい清掃ロボット、窓清掃ロボット、おもちゃのロボット、テレプレゼンスロボット、移動性の少ない人々に友達を提供する社交ロボット、言葉から手話または手話から言葉に翻訳したり話したりするロボットに使用することができる。高齢者のような移動性の低い人々の環境では、本発明による装置を有する家庭用ロボットは、物体を拾い上げ、物体を輸送し、そして安全に物体とユーザと相互作用するために使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、危険な材料または物体を用いて動作するロボット、あるいは危険な環境で使用することができる。非限定的な例として、本発明による装置は、特に災害後に化学物質または放射性物質などの危険物、または鉱山、不発兵器などの他の危険もしくは潜在的に危険な物体と共に動作するために、あるいは、燃えている物体の近くや被災地のような不安全な環境で動作あるいは調査するために、あるいは空中、海中、地下などで有人または無人の救助活動を行うために、ロボットまたは無人遠隔操作車両に使用することができる。
【0185】
さらに、本発明による装置は、家庭用装置、可動装置または娯楽装置、例えば冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、ブラインドまたはシャッター、家庭用アラーム、エアコン装置、加熱装置、テレビ、オーディオ機器、スマートウォッチ、携帯電話、電話、食洗機、ストーブなどで使用することができ、人の存在を検出し、装置の内容または機能を監視し、人と対話しおよび/またはその人に関する情報を他の家庭用装置や可動装置や娯楽装置と共有するために使用することができる。ここで、本発明による装置は、高齢者または身体障害者、盲人、あるいは視覚能力が制限された人を支援するため、例えば家事であるいは仕事で、物を保持、運搬、または拾い上げるための装置に、あるいは、環境内の障害物を知らせるために適合された光信号および/または音響信号を備えた安全システムに使用することができる。
【0186】
本発明による装置はさらに農業において、例えば害虫、雑草および/または感染作物植物を完全にまたは部分的に検出および選別するために使用することができ、そこでは作物植物は真菌または昆虫に感染することがある。さらに、作物を収穫するために、本発明による装置は、そうでなければ収穫装置によって害される可能性があるシカなどの動物を検出するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、畑または温室内の植物の成長を監視するために、特に畑の所与の地域または温室さらには所与の植物のための水または肥料または作物保護製品の量を調整するために使用することができる。さらに、農業バイオテクノロジーでは、本発明による装置は、植物の大きさおよび形状を監視するのに使用することができる。
【0187】
さらに、本発明による装置は、剃毛、理髪、または化粧品処置などの間に使用者を案内するために使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、バイオリンなどの楽器で演奏されたものを記録または監視するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、スマート冷蔵庫などのスマート家電製品に使用され、冷蔵庫の中身を監視し、中身に応じて通知を送信するためなどに使用することができる。さらに、本発明による装置は、シカまたは森の中の木の個体数のような、ヒト、動物、または植物の個体数を監視または追跡するために使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、ブドウ、トウモロコシ、ホップ、リンゴ、穀物、米、イチゴ、アスパラガス、チューリップ、バラ、大豆など、作物、花または果物の収穫のための収穫機に使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、繁殖、食糧の生産、農業や研究への応用、灌漑、施肥、湿度、温度の制御、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺鼠剤の使用など、植物、動物、藻類、魚などの成長の監視に使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、ウシ、ブタ、ネコ、イヌ、鳥、魚などの動物またはペット用の給餌機に使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、自動搾乳または精肉処理プロセスなどにおける、牛乳、卵、毛皮、肉などを収集するための動物製品製造プロセスに使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、トウモロコシ、ニンニク、木、サラダなどを植えるための自動播種機、または播種機、または植栽機に使用することができる。さらに、本発明による装置は、雲、霧などのような気象現象を評価または監視するため、あるいは雪崩、津波、強風、地震、雷雨などの危険から警告するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、地震の危険を監視するためなどに、運動、衝撃、激しい振動などを測定するために使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、危険な交差点を監視するため、交通に応じて信号機を制御するため、公共空間を監視するため、道路、ジム、スタジアム、スキーリゾート、公共イベントなどを監視するために交通技術において使用されてもよい。さらに、本発明による装置は、組織、医学的または生物学的アッセイ、ほくろまたは黒色腫などの組織の変化などを監視または分析をしたり、バクテリア、血球、細胞、藻類などを数えたり、網膜スキャン、呼吸または脈拍測定、胃内視鏡検査、患者監視などのためなど医療用途に使用することができる。さらに、本発明による装置は、液滴、流れ、ジェットなどの形状、大きさ、または円周を監視するために、あるいは風洞などにおいてのプロファイルまたは気体もしくは液体の流れを分析、評価、または監視するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、自動車または電車の運転手などの運転手に彼らが病気になったり疲れたりしているときなどに警告するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、歪みまたは張力または亀裂などを認識するための材料試験に使用することができる。さらに、本発明による装置は、自動的になど航行位置を監視し最適化するためにセーリングに使用されてもよい。さらに、本発明による装置は燃料レベルゲージに使用することができる。
【0188】
さらに、本発明による装置は、化学物質または汚染物質を検出するためのセンサ、電子ノーズチップ、細菌またはウイルスなどを検出するための微生物センサチップ、ガイガーカウンター、触覚センサ、熱センサなどと組み合わせることができる。これは、例えば、感染性の高い患者の治療、危険性の高い物質の取り扱いまたは除去、高放射能領域または化学物質拡散などの高汚染領域の清掃、農業における害虫駆除など、危険または困難な作業を扱うように構成されるスマートロボットの構築に使用できる。
【0189】
本発明による1つまたは複数の装置はさらに、例えば積層造形および/または3D印刷などのために、CADまたは同様のソフトウェアと組み合わせて、物体をスキャンするために使用することができる。その中で、本発明による装置の高い寸法精度を、例えばx方向、y方向、またはz方向に、またはこれらの方向の任意の組み合わせで、例えば同時に使用することができる。これに関して、検出器からの反射または拡散散乱光を提供することができる表面上の照射スポット距離の決定は、該照射スポットからの光源の距離とは実質的に独立に実行することができる。本発明のこの特性は、検出器と照射スポットとの間の距離を決定できるようにするため光源と照射スポットとの間の距離が予め知られているかまたは事後的に計算されなければならない三角測量または飛行時間(TOF)法などの既知の方法とは正反対である。これとは対照的に、本発明による検出器では、スポットが適切に照射されれば十分であり得る。さらに、本発明による装置は、それらが固体面を含むか液体面を含むか否かに関わらず、金属面のような反射面をスキャンするために使用することができる。さらに、本発明による装置は、パイプライン検査ゲージなどの検査および保守に使用することができる。さらに、生産環境では、本発明による装置は、天然に成長したものなど悪く規定された形状の物体の取り扱い、例えば形状または大きさによる野菜または他の天然物の分類、または肉または処理ステップに必要な精度より低い精度で製造されたものの切断などに使用することができる。
【0190】
さらに、本発明による装置は、屋内または屋外の空間を通って自律的または部分的に自律的に移動する車両またはマルチコプターなどを移動させることを可能にするためにローカルナビゲーションシステムにおいて使用されてもよい。非限定的な例は、物体を拾い上げてそれらを異なる場所に配置するために自動倉庫を進む車両を含み得る。屋内ナビゲーションはショッピングモール、小売店、美術館、空港、または駅において、モバイル商品、モバイル機器、手荷物、顧客または従業員の所在地を追跡したり、地図上の現在位置、販売された商品に関する情報などの位置固有情報をユーザに提供するためさらに使用され得る。
【0191】
さらに、本発明による装置は、速度、傾斜、今後の障害物、道路の凹凸、またはカーブなどを監視することによるオートバイの運転支援など、オートバイの安全な運転を確実にするために使用することができる。さらに、本発明による装置は、衝突を回避するために列車または路面電車で使用することができる。
【0192】
さらに、本発明による装置は、物流プロセスを最適化するために、包装または小包をスキャンするためなどのハンドヘルド装置に使用することができる。さらに、本発明による装置は、個人用ショッピング装置、RFIDリーダー、患者もしくは患者の健康関連情報を取得、交換もしくは記録する医療用の病院または健康環境で使用するためのハンドヘルド装置、小売または健康環境のためのスマートバッジのような、さらなるハンドヘルド装置に使用することができる。
【0193】
上記で概説したように、本発明による装置は、製品識別またはサイズ識別など(無駄を減らすため最適な場所またはパッケージを見つけるためなど)の製造、品質管理または識別用途でさらに使用することができる。さらに、本発明による装置は、物流用途に使用することができる。したがって、本発明による装置は、最適化された荷積み、梱包コンテナまたは車両に使用することができる。さらに、本発明による装置は、製造分野における表面損傷の監視または制御、レンタル車両などのレンタル対象の監視または制御、および/または損傷の評価などの保険用途に使用することができる。さらに、本発明による装置は、特にロボットと組み合わせて、最適な材料取扱いなどのために、材料、物体または道具のサイズを識別するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、タンクの充填レベルの観察など、生産における工程管理のために使用することができる。さらに、本発明による装置は、限定されないが、タンク、パイプ、反応器、器具などのような生産資材の維持のために使用することができる。さらに、本発明による装置は、3D品質のマークを分析するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、歯のインレイ、歯科用装具、補綴物、衣服などのオーダーメイド商品の製造に使用することができる。本発明による装置はまた、ラピッドプロトタイピング、3D複写などのために1つまたは複数の3Dプリンタと組み合わせることができる。さらに、本発明による装置は、製品の違法コピー防止および模造防止目的などのために、1つまたは複数の物品の形状を検出するために使用することができる。
【0194】
さらに、本発明による装置は、ジェスチャ認識の環境で使用されてもよい。これに関連して、本発明による装置と組み合わせたジェスチャ認識は、特に、身体の動き、身体の部分の動き、または物体の動きを介して情報をマシンに送信するためのヒューマンマシンインターフェースとして使用することができる。ここで、情報は、好ましくは、手または指のように手の部分の動き、特に、物を指すこと、聴覚障害者向けに手話を適用すること、数字、承認、不承認などのサインをすること、誰かに近づくように頼むときや離れるときや人に挨拶するときのように手を振ること、物体を押すこと、物体を取ること、または、スポーツや音楽の分野ではウォームアップ運動など手や指の運動などを介して送信され得る。さらに、情報は、腕または脚の動き、例えば腕や足や両腕や両足や腕と足の組合せによる回転、蹴り、掴み、ねじり、回転、スクロール、ブラウジング、押し、曲げ、パンチ、揺すりによって伝達され、娯楽や運動や機械の訓練機能などスポーツや音楽などの目的のために伝達される。さらに、情報は、全身または身体の主要部位の動作、例えばジャンプ、回転、あるいは「右折」、「左折」、「進め」、「徐行」、「停車」、「エンジンを停止」などの情報を伝達するために空港でまたは交通警察によって使用される手話のような複雑なサイン作り、あるいは泳ぐ真似、飛び込む真似、走る真似、射撃する真似、あるいはヨガ、ピラティス、柔道、空手、ダンス、またはバレエなどにおける複雑な動作または身体位置を作ることによって伝達され得る。さらに、情報は、例えば、コンピュータプログラムで仮想ギターの機能を制御するために模擬ギターを使用すること、コンピュータプログラムで仮想ギター機能を制御するために本物のギターを使用すること、電子書籍を読んだり、ページを移動したり、仮想ドキュメントを閲覧したりするために、実際の書籍または模擬書籍を使用すること、コンピュータプログラムで描画するために本物のペンまたは模擬ペンを使用することなど、本物の装置または模擬装置を使用して模擬装置に対応する仮想デバイスを制御することにより、情報を送信することができる。さらに、情報の送信は、音、振動、または動きなどのユーザへのフィードバックと結合されてもよい。
【0195】
音楽および/または楽器の環境では、ジェスチャ認識と組み合わせた本発明による装置は、運動目的、楽器の制御、楽器の記録、ノイズを避けるために模擬楽器やエアギターを弾くなどのように楽器を持っているだけのふりをすることにより音楽の再生または録音をすること、または、バーチャルのオーケストラ、アンサンブル、バンド、ビッグバンド、合唱団などの指揮、練習、エクササイズ、録音または娯楽目的などに使用することができる。
【0196】
さらに、安全性および監視の環境において、ジェスチャ認識と組み合わせた本発明による装置は、歩行または身体を動かすことによって人を認識することのように、人の動きプロファイルを認識するため、または、手のサインまたは動作やまたは身体部分または全身のサインまたは動作を、アクセスまたは個人認証サインまたは個人認証動作などの認証制御として使用するために使用され得る。
【0197】
さらに、スマートホームアプリケーションまたはモノのインターネットの環境で、ジェスチャ認識と組み合わせた本発明による装置は、家電製品、例えば冷蔵庫、セントラルヒーティング、エアコン、電子レンジ、製氷機、湯沸器、あるいはテレビ、スマートフォン、ゲーム機、ビデオレコーダー、DVDプレーヤ、パソコン、ノートパソコン、タブレットまたはその組合せなどの娯楽装置、あるいは家電製品と娯楽装置の組合せなどのホームアブリケーションおよび/または家庭用装置の相互接続ネットワークの一部であり得る家庭用装置の中央制御または非中央制御のために使用され得る。
【0198】
さらに、仮想現実または拡張現実の環境では、ジェスチャ認識と組み合わせた本発明による装置は、例えばサイン、ジェスチャ、体の動きや体の一部の動きなどを使ってゲームを遊戯や制御すること、仮想世界を移動すること、仮想物体を操作すること、ボール、チェスフィギュア、ゴーストーン、楽器、ツール、ブラシなどの仮想物体を使ってスポーツ、芸術、工芸、音楽、ゲームを練習や運動や遊戯することなど、仮想現実アプリケーションまたは拡張現実アプリケーションの動きまたは機能を制御するために使用され得る。
【0199】
さらに、医療の環境では、ジェスチャ認識と組み合わせた本発明による装置は、リハビリテーション訓練、遠隔診断を支援すること、または手術もしくは治療を監視または調査すること、医療画像を医療装置の位置に重ねて表示すること、例えば、磁気共鳴断層撮影法またはX線などからの予め記録された医用画像を、外科手術または治療中に記録された内視鏡または超音波などからの画像と重ねて表示すること、に使用することができる。
【0200】
さらに、製造およびプロセス自動化の環境では、ジェスチャ認識と組み合わせた本発明による装置は、プログラミング、制御、製造、操作、修復、または教育目的のため、または安全上の理由から、またはメンテナンス目的など物体や領域の遠隔操作のために、ロボット、ドローン、無人自律走行車、サービスロボット、移動可能物体などを制御、教示、またはプログラムするために使用することができる。
【0201】
さらに、ビジネスインテリジェンスメトリクスの環境では、ジェスチャ認識と組み合わせた本発明による装置は、人々の計数、顧客の動きの調査、顧客が時間を費やす領域、オブジェクト、顧客テスト、テイク、プローブ調査などに使用することができる。
【0202】
さらに、本発明による装置は、日曜大工またはプロ用の工具の環境で、特に電気やモータ駆動の工具または動力工具、例えばドリル機械、のこぎり、ノミ、ハンマー、レンチ、ステープルガン、ディスクカッター、金属のせん断とニブラー、アングルグラインダー、ダイグラインダー、ドリル、ハンマードリル、ヒートガン、レンチ、サンダース、彫刻機、釘打機、ジグソー、ビスケットジョインナー、木材ルーター、かんな、ポリッシャー、タイルカッター、ワッシャ、ローラー、ウォールチェイサー、旋盤、インパクトドライバー、ジョインター、ペイントローラー、スプレーガン、モーティサー、溶接機などに使用でき、特に、最小または最大距離を保って製造の精度を支援するため、または安全対策のために使用することができる。
【0203】
さらに、本発明による装置は視覚障害者を補助するために使用することができる。さらに、本発明による装置は、小売環境、医療用途、生産環境などで使用される可能性がある衛生上の理由などで直接環境を回避するためにタッチスクリーンで使用することができる。さらに、本発明による装置は、安定した清掃ロボット、卵収集機、搾乳機、収穫機、農機具、収穫機、フォーワーダー、コンバイン、トラクター、耕運機、プラウ、デストナー、砕土器、ストリップティル、ばらまき播種機、ポテトプランターなどのプランター、肥料散布機、噴霧器、スプリンクラーシステム、ウィンドローア、梱包機、積込み機、フォークリフト、芝刈り機などの農業生産環境で使用することができる。
【0204】
さらに、本発明による装置は、子供または障害のある人など、コミュニケーションのスキルと可能性が限られている人または動物のための、衣類、靴、眼鏡、帽子、補綴物、歯科装具の選択および/または適合に使用できる。さらに、本発明による装置は、倉庫、物流、流通、出荷、積み込み、積み降ろし、スマート製造、第4次産業などの環境で使用することができる。さらに、製造の環境では、本発明による装置は、処理、分配、曲げ、材料処理などの状況で使用することができる。
【0205】
本発明による装置は、1つまたは複数ある他の種類の測定装置と組み合わせることができる。したがって、本発明による装置は、飛行時間(TOF)検出器、ステレオカメラ、ライトフィールドカメラ、ライダー、レーダー、ソナー超音波検出器、またはインターフェロメトリーなどの1つまたは複数ある他の種類のセンサまたは検出器と組み合わせることができる。本発明による装置を1つまたは複数ある他の種類のセンサまたは検出器と組み合わせるとき、本発明による装置および少なくとも1つのさらなるセンサまたは検出器は、本発明による装置が少なくとも1つのさらなるセンサまたは検出器から分離している形で、独立した装置として設計することができる。代替的に、本発明による装置および少なくとも1つのさらなるセンサまたは検出器は、完全にまたは部分的に単一の装置として一体化されてもよく、または設計されてもよい。
【0206】
したがって、非限定的な例として、本発明による装置はさらにステレオカメラを含み得る。ここで使用されるときは、ステレオカメラは、少なくとも2つの異なる視点からシーンまたは物体の画像を捕捉するように設計されているカメラである。したがって、本発明による装置は少なくとも1つのステレオカメラと組み合わせることができる。
【0207】
ステレオカメラは一般的に当業者に知られているため、ステレオカメラの機能は一般的に当該技術分野において知られている。本発明による装置との組み合わせは追加の距離情報を提供することができる。したがって、本発明による装置は、ステレオカメラの情報に加えて、ステレオカメラによって捕捉されたシーン内の少なくとも1つの物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を提供するように適合され得る。ステレオカメラによって行われる三角測量測定を評価することによって得られる距離情報などのステレオカメラによって提供される情報は、本発明による装置を用いて較正および/または検証されてもよい。したがって、一例として、ステレオカメラは、三角測量測定を使用することなどによって、少なくとも1つの物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの第1の情報項目を提供することに使用され、本発明による装置は、少なくとも1つの物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの第2の情報項目を提供することに使用されることができる。第1の情報項目および第2の情報項目は、測定の精度を向上させることに使用することができる。したがって、第1の情報項目は、第2の情報項目を較正するために使用されてもよく、またその逆でもよい。したがって、本発明による装置は、一例として、ステレオカメラと本発明による装置とを有するステレオカメラシステムを形成することができ、ステレオカメラシステムは、ステレオカメラによって提供される情報を本発明による装置によって提供される情報を使用して較正するように適合される。
【0208】
したがって、追加的または代替的に、本発明による装置は、ステレオカメラにより提供される第1の情報項目を補正するために、本発明による装置により提供される第2の情報項目を使用するように適合され得る。追加的または代替的に、本発明による装置は、ステレオカメラの光学歪みを補正するために、本発明による装置によって提供される第2の情報項目を使用するように適合され得る。さらに、本発明による装置は、ステレオカメラによって提供されるステレオ情報を計算するように適合させることができ、本発明による装置によって提供される第2の情報項目は、ステレオ情報の計算を高速化するために使用できる。
【0209】
一例として、本発明による装置は、ステレオカメラを較正するために、本発明による装置によって捕捉されたシーン内の少なくとも1つの仮想または現実の物体を使用するように適合されてもよい。一例として、1つまたは複数の物体および/または領域および/またはスポットは、較正に使用されることができる。一例として、少なくとも1つの物体またはスポットの距離は、本発明による装置を使用することによって決定することができ、ステレオカメラによって提供される距離情報は、本発明による装置を使用して決定されたこの距離を使用することによって較正することができる。例えば、本発明による装置の少なくとも1つのアクティブ光スポットをステレオカメラ用の較正点として使用することができる。アクティブ光スポットは、一例として、画像内で自由に動くことができる。
【0210】
本発明による装置は、アクティブ距離センサによって提供される情報を使用することによって、ステレオカメラを連続的または非連続的に較正するように適合させることができる。したがって、一例として、較正は定期的に、連続的にまたは時々行われてもよい。
【0211】
さらに、典型的なステレオカメラは、物体の距離に依存して測定誤差または不確実性を示す。この測定誤差は、本発明による装置によって提供される情報と組み合わされると低減され得る。
【0212】
ステレオカメラと他の種類の距離センサとの組み合わせは、当技術分野において一般的に知られている。したがって、D.Scaramuzzaらによる「IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robot and System」IROS 2007,4164-4169頁,2007では、カメラおよび自然なシーンからの3Dレーザ距離計の外的な自己較正を開示している。同様に、D.Klimentjewらによる「IEEE Conference on Multisensor Fusion and Integration for Intelligent System」(MFI),236-241頁,2010では、物体認識のためのカメラと3Dレーザ距離計のマルチセンサフュージョンを開示している。当業者に理解されるように、当技術分野で知られているこれらの構成におけるレーザ距離計は、これらの先行技術文献によって開示されている方法および利点を変更することなく、本発明による少なくとも1つの装置によって単に置き換えまたは補完することができる。潜在的に可能なステレオカメラの構成については、これらの先行技術文献を参照することができる。それでもなお、少なくとも1つの任意選択的なステレオカメラの他の構成および実施形態が実現可能である。
【0213】
好ましくは、光検出器のさらなる潜在的可能な詳細、方法、ヒューマンマシンインターフェース、エンターテイメント装置、追跡システム、カメラ、検出器のさまざまな使用、特に転送装置、横方向光センサ、評価装置、および該当する場合、縦方向光センサ、変調装置、照射源および撮像装置、潜在的可能な材料、構成、更なる詳細に関して、WO2012/110924A1、US2012/206336A1、WO2014/097181A1、US2014/291480A1、2016年1月28日に出願されたPCT特許出願No.PCT/EP2016/051817のうちの1つまたは複数を参照することができる。これらの全ての全内容は参照により本明細書に含まれる。
【0214】
さらに、本発明による装置は、赤外線検出用途、熱検出用途、温度計用途、熱検出用途、火炎検出用途、火災検出用途、煙検出用途、温度感知用途、分光法用途などに使用することができる。さらに、本発明による装置は、写真複写またはゼログラフィアプリケーションに使用することができる。さらに、本発明による装置は、排ガスの監視、燃焼プロセスの監視、汚染の監視、工業プロセスの監視、化学プロセスの監視、食品加工プロセスの監視、水質評価、空気質評価などに使用することができる。さらに、本発明による装置は、品質管理、温度制御、動作制御、排気制御、ガス感知、ガス分析、動作感知、化学感知などに使用することができる。
【0215】
上述の光検出器、方法、ヒューマンマシンインターフェース、および検出器の少なくとも1つを含む娯楽装置、ならびに提案された使用は、従来技術に対してかなりの利点を有する。したがって、一般に、空間内の少なくとも1つの物体の位置、特に少なくとも1つの物体の深度または深度および幅の両方に関して、正確に決定するための、単純だが効率的な検出器を提供することができる。さらに、本発明による検出器は、IRスペクトル範囲の少なくとも一つの区画にわたって特に高感度であり得、したがって赤外線のための効率的で信頼性がありかつ大面積の位置感知装置を提供する。
【0216】
当該技術分野において既知の装置と比較して、本明細書で提案されるような検出器は、好ましくは、迷光がセンサ層に入るのを、特に、所望の波長に適合した適切な光フィルタを使用することによって可能な限り効果的に除去することができるように構成することができる。この目的を達成するために、光フィルタに対するセンサ層の隙間の無い位置決めが特に有利であり得る。さらに、本明細書に記載されているような検出器は、好ましくは、温度および/または湿度が高い場合でも、湿度および/または酸素のような外的影響による起こり得る劣化に対して高度な保護を提供することができるにもかかわらず、かさばらない気密パッケージとして供給することができる。ここで、検出器に使用される材料は、センサ層が所望のスペクトル範囲にわたって適切な吸収特性を示すことを確実にすることができるように選択することができる。
【0217】
さらに、検出器は簡単に製造することができ、パッケージに容易に一体化することができる。さらに、電気接点の接合性は、カバー層およびセンサ層の嵩張らない気密パッケージを通してでさえも、プリント回路基板(PCB)などの回路キャリア装置上への容易な一体化を、例えば入射光束を受光して光フィルタに導き、それにより、さもなければプリント回路基板(PCB)上にあるエポキシまたはガラス層などを通して光フィルタに入る迷光の量を最小にするように設計された回路キャリア装置に開口部を設けることにより、可能にする。代替実施形態では、封入化感光性層は、ガラス貫通ビアを使用することによって接触させることができ、これにより、基板の上面から下面への直接的な気密接続が可能になる。この代替実施形態では、装置は、PCBなどの回路キャリア装置上に直接接着またははんだ付けすることができる。
【0218】
要約すると、本発明の文脈において、以下の実施形態が特に好ましいと見なされる。
【0219】
実施形態1:検出器であって、
- 少なくとも第1の表面と第2の表面とを有する光フィルタであって、前記第2の表面は前記第1の表面に関して反対側に配置されており、該光フィルタは、前記第1の表面によって受光された入射光束が該光フィルタを通過して前記第2の表面に達することができるように設計されており、それによって、前記入射光束のスペクトル組成を変更することによって変更光束を生成する光フィルタと;
- 前記光フィルタの前記第2の表面上に堆積されている感光材料を含むセンサ層であって、前記変更光束による前記センサ層の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されたセンサ層と;
- 前記センサ信号を評価することによって、前記入射光束によって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置と、を含む光検知器。
【0220】
実施形態2:前記検出器は、紫外線スペクトル範囲、可視スペクトル範囲および赤外線スペクトル範囲から選択されたスペクトル範囲の少なくとも一つの区画内の少なくとも1つの波長を検出するように設計される、実施形態1に記載の検出器。
【0221】
実施形態3:前記検出器は、赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの区画内の少なくとも1つの波長を検出するように設計され、前記赤外スペクトル範囲が760nmから1000μmまでの範囲である、実施形態2に記載の検出器。
【0222】
実施形態4:前記検出器は、中赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの区画内の少なくとも1つの波長を検出するように設計され、前記中赤外スペクトル範囲は1.5μmから15μmまでの範囲である、実施形態3に記載の検出器。
【0223】
実施形態5:前記光フィルタは、バンドパスフィルタ、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、単色フィルタ、写真用フィルタ、偏光フィルタ、減光フィルタ、バンド阻止フィルタからなる群から選択される、実施形態1から4のいずれかに記載の検出器。
【0224】
実施形態6:前記光フィルタはロングパスフィルタであり、前記ロングパスフィルタは、カットオフ波長より下の第1の波長範囲を減衰させると同時にカットオフ波長より上の第2の波長範囲を透過させることによって前記変更光束を生成するように設計され、カットオフ波長は、ピーク透過率の50%の波長を指す、実施形態5に記載の検出器。
【0225】
実施形態7:前記ロングパスフィルタのカットオフ波長は、近赤外線スペクトル範囲、760nmから1.5μmまでの範囲の近赤外線スペクトル範囲、または中赤外線スペクトル範囲、1.5μmから15μmまでの範囲の中赤外線スペクトル範囲から選択される、実施形態6に記載の検出器。
【0226】
実施形態8:少なくとも2つの個別の電気接点がセンサ層に接触し、電気接点はセンサ信号を評価装置に送信するように設計されている、実施形態1から7のいずれかに記載の検出器。
【0227】
実施形態9:前記光フィルタは、ステンドグラスフィルタ、ステンドポリマーフィルタ、メタルメッシュフィルタ、または光学干渉フィルタのうちの1つである、実施形態1から8のいずれかに記載の検出器。
【0228】
実施形態9:前記光フィルタは、入射光束に対して異なる伝播方向を有する変更された光束を供給するために、入射光束の伝播方向を変更するように適合される、実施形態1から8のいずれかに記載の検出器。
【0229】
実施形態10:前記光フィルタは、プリズム、傾斜面、マイクロレンズ、マイクログルーブ、拡散器、またはビーム整形器であるか、またはそれらを含む、実施形態9に記載の検出器。
【0230】
実施形態11:前記光フィルタは、入射光束に対して異なる種類の偏光を変更光束に与えるために、入射光束の少なくとも1つの種類の偏光を変更するように適合される、実施形態1から10のいずれかに記載の検出器。
【0231】
実施形態12:前記光フィルタは、1/4波長板、偏光子、または交差偏光子であるか、またはそれらを含む、実施形態11に記載の検出器。
【0232】
実施形態13:前記光フィルタは、少なくとも1つの非線形光学効果を適用することによって入射光束を変更するように適合される、実施形態1から12のいずれかに記載の検出器。
【0233】
実施形態14:前記非線形光学効果はアップコンバージョンまたはダウンコンバージョンを引き起こす、実施形態13に記載の検出器。
【0234】
実施形態15:前記光フィルタは、蛍光リン光体、蛍光集光器、またはアップコンバージョン蛍光体であるかまたはそれらを含む、実施形態14に記載の検出器。
【0235】
実施形態16:前記光フィルタは、電気絶縁基板または半導体基板のうちの1つであるかまたはそれを含む、実施形態1から15のいずれかに記載の検出器。
【0236】
実施形態17:基板の材料は、ガラス、石英、シリコン(Si)、透明導電性酸化物(TCO)、または透明有機ポリマーから選択される、実施形態16に記載の検出器。
【0237】
実施形態18:前記透明導電性酸化物(TCO)は、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(SnO:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、またはペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択される、実施形態17に記載の検出器。
【0238】
実施形態19:少なくとも2つのさらなる個別の電気接点が前記半導体基板と接触し、前記半導体基板は光センサとして設計されている、実施形態16から18のいずれかに記載の検出器。
【0239】
実施形態20:前記少なくとも2つのさらなる個別の電気接点は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)のうちの少なくとも1つを含む、実施形態17から19のいずれかに記載の検出器。
【0240】
実施形態21:前記センサ層がちょうど1つの連続センサ層である、実施形態20に記載の検出器。
【0241】
実施形態22:前記センサ層は、光フィルタの第2の表面に直接的または間接的に適用される、実施形態1から21のいずれかに記載の検出器。
【0242】
実施形態23:前記光フィルタと前記センサ層との間に隙間が残っていない、または隙間が生じていない、実施形態22に記載の検出器。
【0243】
実施形態24:前記センサ層は、堆積方法を用いて適用される、実施形態22または23に記載の検出器。
【0244】
実施形態25:前記堆積方法は、化学浴析出、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬増殖、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、孔版印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレードおよび溶液-ガス界面技法から成る群から選択される、実施形態24に記載の検出器。
【0245】
実施形態26:光フィルタとセンサ層との間に中間層をさらに含む、実施形態1から25のいずれかに記載の検出器。
【0246】
実施形態27:前記中間層は、
- 第1の光センサと第2の光センサとして前記光フィルタと前記センサ層が別々に動作可能であるように設計される厚い絶縁層であって、前記第1の光センサと前記第2の光センサとの間の相互作用を妨げるように、特に前記第1の光センサと前記第2の光センサとの間の電界効果の発生を回避するように選択される厚さを有する厚い絶縁層、または、
- 前記光フィルタと前記センサ層との間に相互作用が生じるように設計される薄い絶縁層であって、該薄い絶縁層を通じて前記光フィルタと前記センサ層との間に電界効果が発生することを可能にするように選択された厚さを有する薄い絶縁層、
のうちの一方を含む実施形態26に記載の検出器。
【0247】
実施形態28:前記絶縁層は、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、それらの混合物および/またはそれらの積層体を含む、実施形態27に記載の検出器。
【0248】
実施形態29:前記絶縁層は堆積方法によって堆積され、前記堆積方法は、特に、原子層堆積(ALD)、物理気相堆積(PVD)、またはプラズマ化学気相堆積(PECVD)から選択される、実施形態27または28に記載の検出器。
【0249】
実施形態30:前記中間層は、接着層、好ましくは親水性層または疎水性層であるかまたはそれを含む、実施形態26から29のいずれかに記載の検出器。
【0250】
実施形態31:前記中間層は光学的反射防止層であるかまたはそれを含む、実施形態26から30のいずれかに記載の検出器。
【0251】
実施形態32:前記センサ層用の感光材料は、色素太陽電池、光伝導性材料、および量子ドットからなる群から選択することができ、前記光伝導性材料が特に好ましい、実施形態1から31のいずれかに記載の検出器。
【0252】
実施形態33:前記光伝導性材料は、無機光伝導性材料、有機光伝導性材料、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から32のいずれかに記載の検出器。
【0253】
実施形態34:前記無機光伝導性材料は、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素または化合物、第3族-第5族化合物、第2族-第6族化合物、カルコゲニド、プニクトゲニド、ハロゲン化物、ならびにそれらの固溶体および/またはドープ変形のうち1つまたは複数を含む、実施形態33に記載の検出器。
【0254】
実施形態35:前記カルコゲニドは、硫化物カルコゲニド、セレン化物カルコゲニド、テルル化物カルコゲニド、三元カルコゲニド、四元以上のカルコゲニドを含む群から選択される、実施形態34に記載の検出器。
【0255】
実施形態36:前記硫化物カルコゲニドは、硫化鉛(PbS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化水銀(HgS)、硫化銀(AgS)、硫化マンガン(MnS)、三硫化ビスマス(Bi)、三硫化アンチモン(Sb)、三硫化ヒ素(AsS3)、硫化スズ(II)(SnS)、二硫化スズ(IV)(SnS)、硫化インジウム(In)、硫化銅(CuS)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化鉄(FeS)、三硫化クロム(CrS)、銅インジウム硫化物(CIS)、銅インジウムガリウムセレン(CIGS)、銅亜鉛スズ硫化物(CZTS)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態35に記載の検出器。
【0256】
実施形態37:前記セレン化物カルコゲニドは、セレン化鉛(PbSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、三セレン化ビスマス(BiSe)、セレン化水銀(HgSe)、三セレン化アンチモン(SbSe)、三セレン化ヒ素(AsSe)、セレン化ニッケル(NiSe)、セレン化タリウム(TlSe)、セレン化銅(CuSe)、二セレン化モリブデン(MoSe)、セレン化スズ(SnSe)、セレン化コバルト(CoSe)、およびセレン化インジウム(InSe)、銅亜鉛錫セレン化物(CZTSe)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態35または36に記載の検出器。
【0257】
実施形態38:前記テルル化物カルコゲニドは、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化ビスマス(BiTe)、三テルル化ヒ素(AsTe)、三テルル化アンチモン(SbTe)、テルル化ニッケル(NiTe)、テルル化タリウム(TlTe)、テルル化銅(CuTe)、二テルル化モリブデン(MoTe)、テルル化スズ(SnTe)、テルル化コバルト(CoTe)、テルル化銀(AgTe)、テルル化インジウム(InTe)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態35から37のいずれかに記載の検出器。
【0258】
実施形態39:前記三元カルコゲニドは、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫化水銀カドミウム(HgCdS)、硫化鉛カドミウム(PbCdS)、硫化鉛水銀(PbHgS)、二硫化銅インジウム(CuInS)、硫セレン化カドミウム(CdSSe)、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)、硫セレン化タリウム(TlSSe)、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS)、硫化カドミウムクロム(CdCr)、硫化水銀クロム(HgCr)、硫化銅クロム(CuCr)、セレン化カドミウム鉛(CdPbSe)、二セレン化銅インジウム(CuInSe)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、硫化一酸化鉛(PbOS)、セレン化一酸化鉛(PbOSe)、硫セレン化鉛(PbSSe)、セレン化テルル化ヒ素(AsSeTe)、リン化インジウムガリウム(InGaP)、ヒ化リン化ガリウム(GaAsP)、リン化アルミニウムガリウム(AlGaP)、亜セレンカドミウム(CdSeO)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、およびセレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、銅-亜鉛-硫化スズ-セレンカルコゲニド(CZTSSe)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態35から38のいずれかに記載の検出器。
【0259】
実施形態40:第2族-第6族化合物は、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、セレン化水銀亜鉛(CdZnSe)およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態33から39のいずれかに記載の検出器。
【0260】
実施形態41:第3族-第5族化合物は、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態33から40いずれかに記載の検出器。
【0261】
実施形態42:前記金属酸化物は、酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銀(AgO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化チタン(TiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(PbO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化カドミウム(CdO)およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態33から41のいずれかに記載の検出器。
【0262】
実施形態43:第4族の元素または化合物は、ドープダイヤモンド(C)、ドープシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態33から42のいずれかに記載の検出器。
【0263】
実施形態44:前記光伝導性材料は、量子ドットを含むコロイド状フィルムとして提供される、実施形態33から43のいずれかに記載の検出器。
【0264】
実施形態45:前記光伝導性材料は、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、および硫化銅亜鉛スズ(CZTS)を含む群から選択される、実施形態44に記載の検出器。
【0265】
実施形態46:前記センサ層は、1nmから100μm、好ましくは10nmから10μm、より好ましくは100nmから1μmの厚さを示す、実施形態45に記載の検出器。
【0266】
実施形態47:センサ層上に堆積されたカバー層をさらに含む、実施形態1から46のいずれかに記載の検出器。
【0267】
実施形態48:前記カバー層は、少なくとも1つの金属含有化合物を含む非晶質層である、実施形態47に記載の検出器。
【0268】
実施形態49:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、金属または半金属を含み、前記金属は、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)およびビスマス(Bi)からなる群から選択され、前記半金属は、ホウ素(B)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)およびテルル(Te)からなる群から選択される、実施形態48に記載の検出器。
【0269】
実施形態50:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびタングステン(W)からなる群から選択される金属を含む、実施形態49に記載の検出器。
【0270】
実施形態51:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、
酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクチド、カーバイド、またはそれらの組み合わせを含む群から選択される、実施形態48から50のいずれかに記載の検出器。
【0271】
実施形態52:前記少なくとも1つの金属含有化合物が、少なくとも1つの酸化物、少なくとも1つの水酸化物、またはそれらのアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)もしくはハフニウム(Hf)の組み合わせを含む、実施形態51に記載の検出器。
【0272】
実施形態53:前記カバー層は、10nmから600nm、好ましくは20nmから200nm、より好ましくは40nmから100nm、最も好ましくは50nmから75nmの厚さを有する、実施形態47から52のいずれかに記載の検出器。
【0273】
実施形態54:前記カバー層は、化学浴析出、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電着、電気変換、無電解浸漬増殖、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、孔版印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、浸せきコーティング、および溶液-ガス界面技法であるかまたはそれを含む、実施形態47から53のいずれかに記載の検出器。
【0274】
実施形態55:前記カバー層は、第2の光フィルタ、反射防止層、封入層、接着層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己洗浄層、防曇層、または導電層のうちの少なくとも1つの特性をさらに含む、実施形態47から54のいずれかに記載の検出器。
【0275】
実施形態56:前記第2の光フィルタは、前記光フィルタとして同じ波長範囲をフィルタリングするように、または前記光フィルタとは異なる波長範囲をフィルタリングするように設計される、実施形態55に記載の検出器。
【0276】
実施形態57:前記入射光束を前記光フィルタと前記第2の光フィルタとに選択的に供給し、したがって、前記入射光束が前記光フィルタおよび前記第2の光フィルタを選択的に通って前記センサ層に入射するように設計された光学素子をさらに含む、実施形態56に記載の検出器。
【0277】
実施形態58:前記光フィルタを通して前記センサ層を照射する前記変更光束は測定ビームであり、一方前記第2の光フィルタを通して前記センサ層を照らす前記変更光束は参照ビームであり、またはその逆でもあり、前記評価装置はさらに、前記測定ビームと前記参照ビームとによって生成されたセンサ信号を比較するように設計される、実施形態57に記載の検出器。
【0278】
実施形態59:前記カバー層は、前記センサ層と直接接触する、実施形態47から58のいずれかに記載の検出器。
【0279】
実施形態60:前記カバー層は、前記センサ層のアクセス可能な表面を完全に覆う、実施形態59に記載の検出器。
【0280】
実施形態61:前記カバー層は、前記電気接点を少なくとも部分的に覆う、実施形態59または60に記載の検出器。
【0281】
実施形態62:前記電気接点は、前記カバー層を通じて接合可能である、実施形態61に記載の検出器。
【0282】
実施形態63:前記電気接点は、好ましくはワイヤー、特に金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)ワイヤーを使用することによって接合可能である、実施形態1から62のいずれかに記載の検出器。
【0283】
実施形態64:前記少なくとも2つの個別の電気接点は、前記センサ層の異なる位置に適用される、実施形態1から63のいずれかに記載の検出器。
【0284】
実施形態65:前記電気接点は、銀(Ag)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、およびグラフェンからなる群から選択される少なくとも1つの電極材料を含む、実施形態1から64のいずれかに記載の検出器。
【0285】
実施形態66:前記接着層が前記電気接点に設けられており、前記接着層は接着に適している、実施形態65に記載の検出器。
【0286】
実施形態67:前記接着層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)またはパラジウム(Pd)のうち少なくとも1つを含む、実施形態66に記載の検出器。
【0287】
実施形態68:前記光フィルタの第1の表面および/または第2の表面は、平面または曲面である、実施形態1から67のいずれかに記載の検出器。
【0288】
実施形態69:前記光フィルタは、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、およびメニスカスレンズからなる群から選択される、実施形態68に記載の検出器。
【0289】
実施形態70:前記曲面は、前記検出器を通過する光束経路の収差を補正するように設計される、実施形態68または69に記載の検出器。
【0290】
実施形態71:前記検出器は、前記センサ層の少なくとも一部の電気抵抗または導電性の1つまたは複数の測定によって前記センサ信号を生成するように適合される、実施形態1から70のいずれかに記載の検出器。
【0291】
実施形態72:前記検出器は、少なくとも1つの電流-電圧測定および/または少なくとも1つの電圧-電流測定を実行することによって前記センサ信号を生成するように適合される実施形態71に記載の検出器。
【0292】
実施形態73:バイアス電圧源をさらに備える、実施形態1から72のいずれかに記載の検出器。
【0293】
実施形態74:前記バイアス電圧源および負荷抵抗が前記センサ層と直列に配置されている、実施形態73に記載の検出器。
【0294】
実施形態75:バイアス電圧が前記センサ層の前記光伝導性材料に印加される、実施形態73または実施形態74に記載の検出器。
【0295】
実施形態76:前記検出器は、前記照射を変調するための少なくとも1つの変調装置をさらに有する、実施形態1から75のいずれかに記載の検出器。
【0296】
実施形態77:前記光束は変調光束である、実施形態76に記載の検出器。
【0297】
実施形態78:検出器は、異なる変調の場合、特に、それぞれ異なる変調周波数の少なくとも2つのセンサ信号の場合に少なくとも2つのセンサ信号を検出するように設計され、前記評価装置は、それぞれ異なる変調周波数で少なくとも2つの前記センサ信号を評価することによって、物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、実施形態77に記載の検出器。
【0298】
実施形態79:光センサは、照射の総出力が同じ場合、前記センサ信号が照射の変調の変調周波数に依存するようにさらに設計されている、実施形態77または実施形態78に記載の検出器。
【0299】
実施形態80:前記光束は無変調連続波光束である、実施形態79に記載の検出器。
【0300】
実施形態81:前記センサ信号は縦方向センサ信号であって、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じ場合、前記センサ層内の光束のビーム断面積に依存し、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じ場合、前記センサ層内の光束のビーム断面積に依存し、前記評価装置は、前記縦方向センサ信号を評価することによって、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、実施形態1から80のいずれかに記載の検出器。
【0301】
実施形態82:前記評価装置は、照射の幾何学形状と検出器に対する物体の相対位置との間の少なくとも1つの所定の関係から、好ましくは照射の既知の出力を考慮し、かつ任意的に照射が変調される変調周波数を考慮し、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、実施形態81に記載の検出器。
【0302】
実施形態83:前記センサ信号は、前記センサ層全体に対する均一なセンサ信号である、実施形態81または実施形態82に記載の検出器。
【0303】
実施形態84:前記評価装置は、前記縦方向センサ信号を正規化し、前記変更光束の強度とは独立に物体の縦方向位置に関する情報を生成するように適合される、実施形態81から83のいずれかに記載の検出器。
【0304】
実施形態85:前記評価装置は、異なる縦方向センサの縦方向センサ信号を比較することによって、前記変更光束が広がるかまたは狭くなるかを認識するように適合される、実施形態84に記載の検出器。
【0305】
実施形態86:前記評価装置は、少なくとも1つの縦方向センサ信号から前記変更光束の直径を決定することによって、前記物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように適合される、実施形態81から85のいずれかに記載の検出器。
【0306】
実施形態87:前記評価装置は、好ましくは変更光束の伝播方向の少なくとも1つの伝播座標における前記変更光束のビーム直径の既知の依存性および/または前記変更光束の既知のガウスプロファイルから、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定するために、変更光束の直径を光束の既知のビーム特性と比較するように適合される、実施形態86に記載の検出器。
【0307】
実施形態88:前記センサ信号は横方向センサ信号であって、前記横方向センサ信号は、前記センサ層に接触する前記電気接点によって提供される、実施形態1から87のいずれかに記載の検出器。
【0308】
実施形態89:前記電気接点は少なくとも1つの分割電極として構成され、前記バイアス電圧源が、前記少なくとも1つの分割電極に適用可能であって、前記評価装置は前記バイアス電圧源および前記少なくとも1つの分割電極を印加することによって、および前記横方向センサ信号を評価することによって、物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するようにさらに設計されている、実施形態88に記載の検出器。
【0309】
実施形態90:前記分割電極が少なくとも2つの部分電極を含む、実施形態89に記載の検出器。
【0310】
実施形態91:少なくとも4つの部分電極が設けられており、各部分電極は好ましくはT字形を含む形態で設けられている、実施形態90に記載の検出器。
【0311】
実施形態92:前記部分電極を通る電流は、前記センサ層内の変更光束の位置に依存する、実施形態90または実施形態91に記載の検出器。
【0312】
実施形態93:前記横方向センサ信号は、前記部分電極を通る電流に従って発生し、前記評価装置は、前記部分電極を通る電流の少なくとも1つの比率から物体の横方向位置に関する情報を生成するように適合される、実施形態92に記載の検出器。
【0313】
実施形態94:少なくとも1つの照射源をさらに備える、検出器に関する前記実施形態のいずれかに記載の検出器。
【0314】
実施形態95:前記照射源は、少なくとも部分的に物体に接続されている、および/または少なくとも部分的に物体と同一である照射源;一次放射で物体を少なくとも部分的に照射するように設計されている照射源:から選択される、実施形態94に記載の検出器。
【0315】
実施形態96:前記光束は、物体への前記一次放射の反射によって、および/または前記一次放射によって刺激された物体自体による発光によって発生する、実施形態95に記載の検出器。
【0316】
実施形態97:前記センサ層のスペクトル感度は、前記照射源のスペクトル範囲によってカバーされる、実施形態96に記載の検出器。
【0317】
実施形態98:前記検出器が少なくとも1つの転送装置をさらに含み、前記転送装置は光束を前記センサ層上に案内するように適合される、実施形態1から97のいずれかに記載の検出器。
【0318】
実施形態99:前記転送装置は、光学レンズ、鏡、ビームスプリッタ、さらに光フィルタのうち少なくとも1つを含む、実施形態98に記載の検出器。
【0319】
実施形態100:前記検出器はさらに少なくとも1つの撮像装置を含む、実施形態1から99のいずれかに記載の検出器。
【0320】
実施形態101:前記撮像装置はカメラを含む、実施形態100に記載の検出器。
【0321】
実施形態102:前記撮像装置は、無機カメラ;モノクロカメラ;多色カメラ;フルカラーカメラ;ピクセル化無機チップ;ピクセル化有機カメラ;CCDチップ、好ましくは多色CCDチップまたはフルカラーCCDチップ;CMOSチップ;IRカメラ;RGBカメラの少なくとも1つを含む、実施形態100または実施形態101に記載の検出器。
【0322】
実施形態103:実施形態1から実施形態102のいずれかの光検出器と、前記検出器を機械的に支持しかつ電気的に接続する回路キャリア装置を含む構成。
【0323】
実施形態104:前記検出器に備えられた光フィルタが、前記回路キャリア装置に導入された開口部に配置され、前記開口部は入射光束を受けるように設計されている、実施形態103に記載の構成。
【0324】
実施形態105:開口絞りが前記開口部の近傍に配置され、前記開口絞りは前記開口部を通って前記光フィルタに入射する以外は光を妨げるように設計されている、実施形態104に記載の構成。
【0325】
実施形態106:前記開口絞りは開口部の周囲の回路キャリア装置上に配置された銅トレースによって形成される、実施形態105に記載の構成。
【0326】
実施形態107:前記回路キャリア装置はプリント回路基板(PCB)である、実施形態103から実施形態106のいずれかに記載の構成。
【0327】
実施形態108:ユーザとマシンとの間で少なくとも1つの情報項目を交換するため、特に制御コマンドを入力するヒューマンマシンインターフェースであって、前記ヒューマンマシンインターフェースは、検出器に関する前記実施形態のいずれかに記載の少なくとも1つの検出器を含み、前記ヒューマンマシンインターフェースは、前記検出器によってユーザの少なくとも1つの幾何学的情報を生成するように設計され、前記ヒューマンマシンインターフェースは、幾何学的情報に少なくとも1つの情報項目、特に少なくとも1つの制御コマンドを割り当てるように設計される、ヒューマンマシンインターフェース。
【0328】
実施形態109:前記ユーザの少なくとも1つの幾何学的情報は、ユーザの体の位置;ユーザの少なくとも1つの身体部分の位置;ユーザの体の向き;ユーザの少なくとも1つの身体部分の向き:からなる群から選択される、実施形態108に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0329】
実施形態110:前記ヒューマンマシンインターフェースは前記ユーザに接続可能な少なくとも1つのビーコン装置をさらに含み、
前記ヒューマンマシンインターフェースは、前記検出器が前記少なくとも1つのビーコン装置の位置に関する情報を生成することができるように適合される、実施形態108または実施形態109に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0330】
実施形態111:前記ビーコン装置が、前記検出器に放射される少なくとも1つの光束を生成するように適合された少なくとも1つの照射源を含む、実施形態110に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0331】
実施形態112:少なくとも1つの娯楽機能、特にゲームを実行するための娯楽装置であって、前記娯楽装置は、ヒューマンマシンインターフェースに関する前記実施形態のいずれかによる少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェースを含み、前記娯楽装置は、少なくとも1つの情報項目を、前記ヒューマンマシンインターフェースを用いてプレーヤによって入力可能となるように設計されており、前記娯楽装置は、前記情報に従って前記娯楽機能を変えるように設計される、娯楽装置。
【0332】
実施形態113:少なくとも1つの可動物体の位置を追跡するための追跡システムであって、前記追跡システムは、検出器に関する前記実施形態のいずれかに記載の少なくとも1つの検出器を含み、前記追跡システムは、少なくとも1つの追跡コントローラをさらに含み、前記追跡コントローラは、物体の一連の位置を追跡するように適合され、各位置は特定の時点における前記物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を含む、追跡システム。
【0333】
実施形態114:前記追跡システムは、前記物体に接続可能な少なくとも1つのビーコン装置をさらに含み、前記追跡システムは前記検出器が少なくとも1つのビーコン装置の前記物体の位置に関する情報を生成できるように適合される、実施形態113に記載の追跡システム。
【0334】
実施形態115:少なくとも1つの物体の少なくとも1つの位置を決定するためのスキャニングシステムであって、前記スキャニングシステムは、検出器に関する実施形態1から114のいずれかに記載の検出器を少なくとも1つ含み、前記スキャニングシステムは、前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面に配置された少なくとも1つのドットを照射するための少なくとも1つの光束を放射するように適合された少なくとも1つの照射源をさらに含み、前記スキャニングシステムは、少なくとも1つの検出器を使用することによって、前記少なくとも1つのドットと前記スキャニングシステムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、スキャニングシステム。
【0335】
実施形態116:照射源は少なくとも1つの人工照射源、特に少なくとも1つのレーザ光源および/または少なくとも1つの白熱灯および/または少なくとも1つの半導体光源を含む、実施形態115に記載のスキャニングシステム。
【0336】
実施形態117:照射源は複数の個別の光束、特にそれぞれのピッチ、特に規則的なピッチを示す光束の配列を放射する、実施形態115または実施形態116に記載のスキャニングシステム。
【0337】
実施形態118:前記スキャニングシステムは少なくとも1つのハウジングを含み、前記少なくとも1つのドットと前記スキャニングシステムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目は、前記少なくとも1つのドットと前記スキャニングシステムのハウジング上の特定の点、特に前記ハウジングの前端または後端の点との間で決定される、実施形態115から実施形態117のいずれかに記載のスキャニングシステム。
【0338】
実施形態119:前記ハウジングはディスプレイ、ボタン、固定ユニット、レベリングユニットのうち少なくとも1つを含む、実施形態118に記載のスキャニングシステム。
【0339】
実施形態120:追跡システムに関する実施形態のうちのいずれか1つに記載の少なくとも1つの追跡システムと、スキャニングシステムに言及する実施形態1から119のうちのいずれか1つによる少なくとも1つのスキャニングシステムとを含む立体視システムであって、前記追跡システムとスキャニングシステムはそれぞれ、前記立体視システムの光軸と平行な向きに並ぶように、同時に、前記立体視システムの前記光軸に垂直な方向に個別の変位を示すように平行配置された少なくとも1つの光センサを含む、立体視システム。
【0340】
実施形態121:前記追跡システムおよび前記スキャニングシステムはそれぞれ、少なくとも1つの縦方向光センサを含み、前記縦方向光センサのセンサ信号は、物体の縦方向位置に関する情報項目を決定するために組み合わされる、実施形態120に記載の立体視システム。
【0341】
実施形態122:前記縦方向光センサの前記センサ信号は、異なる変調周波数を適用することによって互いに対して識別可能である、実施形態121に記載の立体視システム。
【0342】
実施形態123:少なくとも1つの横方向光センサをさらに含み、前記横方向光センサのセンサ信号は、物体の横方向位置に関する情報項目を決定するために使用される、実施形態120から実施形態122のいずれかに記載の立体視システム。
【0343】
実施形態124:前記物体の立体視は、前記物体の縦方向位置に関する情報項目と前記物体の横方向位置に関する情報項目とを組み合わせることによって得られる、実施形態123に記載の立体視システム。
【0344】
実施形態125:検出器に言及する実施形態1から124のうちのいずれか1つによる検出器を少なくとも1つ含む、少なくとも1つの物体を撮像するためのカメラ。
【0345】
実施形態126:光検出器を製造する方法であって、以下のa)~c)のステップを含む方法:
a) 少なくとも第1の表面と第2の表面とを有する光フィルタを提供するステップであり、前記第2の表面は前記第1の表面に対して反対側に配置され、前記光フィルタは、前記第1の表面によって受光された入射光束が前記光フィルタを通過して前記第2の表面に達することを可能にするように設計され、それによって、前記入射光束のスペクトル組成を変更することによって変更光束を生成するステップ;
b) 前記光フィルタの前記第2の表面に感光材料を堆積することによってセンサ層を生成するステップであり、前記センサ層は、前記変更光束による前記センサ層の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されるステップ;及び
c) 前記センサ信号を評価することによって、前記入射光束によって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置を提供するステップ。
【0346】
実施形態127:前記光フィルタは、バンドパスフィルタ、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、単色フィルタ、写真用フィルタ、偏光フィルタ、減光フィルタ、およびバンド阻止フィルタからなる群から選択される、実施形態126に記載の方法。
【0347】
実施形態128:前記光フィルタはステンドグラスフィルタ、ステンドポリマーフィルタ、メタルメッシュフィルタ、または光学干渉フィルタのうちの1つである、実施形態126または実施形態127に記載の方法。
【0348】
実施形態129:前記光フィルタは、プリズム、傾斜面、マイクロレンズ、マイクログルーブ、拡散器、またはビーム整形器から選択される、実施形態126から実施形態128のいずれかに記載の方法。
【0349】
実施形態130:前記光フィルタは、1/4波長板、偏光子、または交差偏光子から選択される、実施形態126から実施形態129のいずれか1つに記載の方法。
【0350】
実施形態131:前記光フィルタは、蛍光リン光体、蛍光集光器、またはアップコンバージョン蛍光体から選択される、実施形態126から実施形態130のいずれかに記載の方法。
【0351】
実施形態132:提供される前記光フィルタは、電気絶縁基板または半導体基板のうちの1つを含む、実施形態131に記載の方法。
【0352】
実施形態133:提供される前記光フィルタは、ガラス、石英、シリコン(Si)、透明導電性酸化物(TCO)、または透明有機ポリマーのうちの少なくとも1つを含む、実施形態132に記載の方法。
【0353】
実施形態134:前記センサ層を前記光フィルタの前記第2の表面に直接的または間接的に適用することをさらに含む、方法に言及する実施形態126から133のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0354】
実施形態135:前記光フィルタと前記センサ層との間に隙間が残らないまたは生じない、実施形態134に記載の方法。
【0355】
実施形態136:前記センサ層は、堆積方法を用いることによって適用され、前記堆積方法は、化学浴析出、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬増殖、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、孔版印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、および溶液-ガス界面技法からなる群から選択される、実施形態134または実施形態135に記載の方法。
【0356】
実施形態137:前記基板と前記センサ層の間に中間層を配置することをさらに含む、前記実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0357】
実施形態138:前記センサ層に使用される感光材料は、色素太陽電池、光伝導性材料、および量子ドットからなる群から選択され、前記光伝導性材料が特に好ましい、方法に関する前記実施形態のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0358】
実施形態139:以下のステップ:
d) 前記センサ層と接触する少なくとも2つの個々の電気接点を設けるステップをさらに含み、前記電気接点は前記センサ信号を前記評価装置に送信するように設計されている、方法に関する前記実施形態のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0359】
実施形態140:カバー層が生成され、前記カバー層は少なくとも部分的に、好ましくは完全にセンサ層を覆っている、方法に関する前記実施形態のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0360】
実施形態141:前記電気接点は、導電性リード線、好ましくはワイヤー形態で、特に金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)のワイヤーを使用することによって少なくとも1つの外部接続に接合される、方法に関する前記実施形態のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0361】
実施形態142:前記導電性リード線が前記カバー層を介して前記電気接点に接合されている、実施形態141に記載の方法。
【0362】
実施形態143:使用目的が、特に交通技術における距離測定;特に交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;用途;スキャニング用途;立体視;写真撮影用途;撮像用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップを生成するためのマッピング用途;車両用のホーミングまたは追跡ビーコン検出器;熱的特徴を有する物体の距離および/または位置測定;マシンビジョン用途;ロボット用途;物流用途;車両用途;飛行機用途;船用途;宇宙船用途;ロボット用途;医療用途;スポーツの用途;ビルディング用途;建設用途;製造用途;マシンビジョン用途;飛行時間検出器、レーダー、ライダー、超音波センサ、干渉法から選択される少なくとも1つの検知技術と組み合わせての使用;からなる群から選択される、検出器に関する前記実施形態のうちのいずれか1つに記載の検出器の使用。
【0363】
実施形態144:使用目的が、赤外線検出用途;熱検出用途;温度計用途;熱探査用途;炎検出用途;火災検出用途;煙検出用途;温度感知用途;分光用途;コピー用途;ゼログラフィ用途;排ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業用プロセス監視用途;化学プロセス監視用途;食品加工プロセス監視用途;水質監視用途;大気質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;モーションコントロール用途;排気制御用途;ガス感知用途;ガス分析用途;動き感知用途;化学感知用途;のための検出器に関する前記実施形態のうちのいずれか1つに記載の検出器の使用。
【0364】
本発明のさらなる任意の詳細および特徴は、従属請求項に関して以下に記載される、好ましい典型的実施形態の説明から明らかである。これに関連して、特定の機能は、単独で、または機能の組み合わせで実施することができる。本発明は典型的な実施形態に限定されない。典型的な実施形態は、図面中に概略的に示されている。個々の図面中の同一の参照番号は、同一の要素または同一の機能を有する要素、またはそれらの機能に関して互いに対応する要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0365】
図1】光フィルタを含む本発明による光検出器の典型的実施形態を示す図である。
図2】第2の光フィルタとして機能するように適合された封入を含む検出器のさらなる典型的実施形態を示す図である。
図3】光フィルタ用の半導体基板と中間層としての厚い絶縁層とを含み、それによってタンデム検出器を提供する検出器のさらなる典型的実施形態を示す図である。
図4】光フィルタ用の半導体基板と中間層としての薄い絶縁層とを含み、それによって電界効果フォトトランジスタを提供する検出器のさらなる典型的実施形態を示す図である。そして
図5】本発明による検出器、検出器システム、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システムおよびカメラの典型的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0366】
図1から図4はそれぞれ、本発明による光検出器110の典型的実施形態をきわめて概略的に示す図である。本明細書では、検出器110は、光学的検出、特にスペクトル範囲の少なくとも1つの区画内において少なくとも1つの波長を検出するように適合され、該スペクトル範囲の所望の区画は、紫外線(UV)スペクトル範囲、可視(VIS)スペクトル範囲および/または赤外線(IR)スペクトル範囲から選択されてよく、IR範囲、すなわち760nmから1000μmのスペクトル範囲、および、特に、中赤外線(MidIR)スペクトル範囲、すなわち1.5μmから15μmのスペクトル範囲が好ましい。
【0367】
具体的には、検出器は、少なくとも1つの物体112の少なくとも1つの光学的に考えられる特性を感知するように設計することができる。特に、検出器110によって決定可能な光学的に考えられる特性は、物体112の光学的特性および/または幾何学的特性のうちの少なくとも1つから選択され得る。例として、光学特性は、好ましくは、物体112の透過率、吸収、放射、および/または反射率から選択され、一方、幾何学的特性は、特に、検出器110に対する物体112の位置を指すことがある。便宜上、物体112は図1、3および5に概略的に描かれているだけであるが、物体112はまた図2および4による実施形態に存在すると仮定されてもよい。
【0368】
検出器110は、少なくとも第1の表面116と第2の表面118とを有する少なくとも1つの光フィルタ114を含み、第2の表面118は第1の表面116に対して反対側に配置されている。ここで、光フィルタ114の第1の表面116および/または第2の表面118は、図1から図4に示されるように、好ましくは平坦な表面であり得る。しかしながら、代替の実施形態(ここでは図示せず)では、光フィルタ114の第1の表面116または第2の表面118の少なくとも一方は曲面を呈してもよく、曲面とは、平面から逸脱する可能性がある領域を指す。ここでは、曲面は、特に、光束120が検出器を通る経路において受ける可能性がある収差を補正できるように設計することができる。特に、曲面は、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、およびメニスカスレンズからなる群から選択されてもよい。しかしながら、他の種類の曲面も考えられる。
【0369】
本発明の目的のために、光フィルタ114は、入射光束120が光フィルタ114の第1の表面116によって受け取られて光フィルタ114を通過して第2の表面118に到達することを可能にするように設計され、それによって、入射光束120のスペクトル組成は、変更光束122が生成されるように変更される。特に、光フィルタ114は、バンドパスフィルタ、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、単色フィルタ、写真用フィルタ、偏光フィルタ、およびバンド阻止フィルタからなる群から選択されてもよい。好ましい実施形態では、光フィルタはロングパスフィルタ124とすることができ、ロングパスフィルタ124は、カットオフ波長より下の変更光束122によって含まれる第1の波長範囲を減衰させることにより、および、同時に、カットオフ波長を超える変更光束122の第2の波長範囲を透過させることによって変更光束122を生成するように設計されてもよい。一般に使用されるように、「カットオフ波長」という用語は、ピーク透過率の50%の波長を指すことができる。IRスペクトル範囲の少なくとも1つの選択された区画において感度を高く、同時に、該IRスペクトル範囲の選択された区画の外側で迷光の量を減少させる検出器110を提供することに特に関して、ロングパスフィルタのカットオフ波長は、近赤外スペクトル範囲の波長、すなわち、760nmから1.5μmの範囲のスペクトル範囲、または中赤外スペクトル範囲、すなわち、1.5μmから15μmの範囲のスペクトル範囲から選択されてもよい。
【0370】
特に、光フィルタ114、特にロングパスフィルタ124は、したがって、ステンドグラスフィルタまたは光学干渉フィルタから選択することができる。上記のように、ステンドグラスフィルタは、好ましくは基板上に均一に分布した吸収性物質、特に染料を有する光学的に透明な基板を含み、該吸収性物質は該基板と共に所望の透過率対波長の関係を示す。代替的に使用されるように、干渉フィルタは、1つまたは複数の第1のスペクトル線または帯域を反射するように、および同時に第2のスペクトル線または帯域を透過するように設計された光学素子であるか、またはそれを含む。したがって、本明細書に記載の好ましい実施形態では、光フィルタ114は電気絶縁基板126を含むことができる。好ましくは、電気絶縁基板は、ガラス、石英、または透明有機ポリマーを含み得る。しかしながら、他の種類の基板もまた使用され得る。
【0371】
さらに、光フィルタ114の第2の表面118を通って光フィルタ114を出る変更光束122は、センサ層128に衝突することができ、したがって、該センサ層128は、光フィルタ114とセンサ層128との間に隙間が残らないように、光フィルタ114の第2の表面118に直接適用することが好ましい。ここでは、センサ層は、ここに示すように、正に1つの連続センサ層であり得る。この目的のために、センサ層128は、好ましくは、堆積方法を使用することによって、有利に、光フィルタ114上に堆積させることができ、該堆積方法は容易に1nmから100μm、好ましくは10nmから10μm、より好ましくは100nmから1μmの厚さを生成することができる。しかしながら、センサ層128の代替的な構成、またはセンサ層128を生成するための他の堆積方法もまた実現可能であり得る。
【0372】
本発明によれば、センサ層128は、変更光束122によるセンサ層128の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。本発明によれば、センサ層128は少なくとも1つの感光材料130を含む。特に好ましい実施形態では、感光材料130は光伝導性材料132、優先的には特に、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、および硫化銅亜鉛スズ(CZTS)から成る群から選択される少なくとも1つのカルコゲナイド材料を含む。しかしながら、他のカルコゲナイドまたは他の種類の光伝導性材料132もまた使用され得る。代替的な実施形態(ここには示されていない)では、センサ層128に含まれる感光材料130は、色素太陽電池または量子ドット層から選択されてもよい。
【0373】
図1に概略的に示されるような検出器110の特定の実施形態によると、検出器110はさらに、好ましくは、センサ層128上に直接堆積させることができるカバー層134を含んでもよい。ここで、カバー層134は、特に、少なくとも1つの金属含有化合物を含むアモルファス層であり得、該金属含有化合物は、有利には、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、もしくはタングステン(W)の酸化物、水酸化物、カルコゲナイド、プニクチド、もしくはカーバイド、またはそれらの組み合わせから選択され得る。ここで、10nmから600nm、好ましくは20nmから200nmの厚さを特に示すカバー層は、原子堆積層であり得るか、またはそれを含み得る。代替として、カバー層134は、プラズマ化学蒸着法(PECVD)プロセスなどの化学気相堆積(CVD)プロセスを使用することにより生成されてもよい。さらに、スピンコーティングまたはインクジェット印刷などの他の堆積方法も適用することができる。
【0374】
特に、周囲の雰囲気に含まれる湿度および/または酸素のような外部の影響によるセンサ層128の劣化を可能な限り回避するために、カバー層134は、特に、センサ層128のアクセス可能な表面を完全に覆うことによって、センサ層128の封入、好ましくは気密パッケージングを提供することができる。この目的のために、図1に概略的に示されるように、カバー層134はさらに、特にセンサ層128の異なる位置でセンサ層128と接触するように設計された電気接点136、136’を覆うことができる。好ましくは、電気接点136、136’は、銀(Ag)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、およびグラフェンからなる群から選択される少なくとも1つの電極材料を含み得る。さらに、電気接点136、136’は、カバー層134を通して接合することができ、そこでは好ましくはボンディングワイヤー138、138’が使用され、該ワイヤーは特に金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)ワイヤーであるか、またはそれらを含むことができる。特に、ボンディングワイヤーと電気接点136、136’の電極材料との間の接合を支持するために、電気接点136、136’に接着層(ここでは図示せず)をさらに設けることができ、該接着層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)またはパラジウム(Pd)のうち少なくとも1つを含み得る。しかしながら、他の種類の接合もまた実現可能であり得る。
【0375】
さらに、電気接点136、136’は、センサ層128によって生成されたセンサ信号を評価装置140に送信するように設計することができる。代替的に、センサ信号は、無線方式でセンサ層128から評価装置140へ送信されてもよい。その結果、変更光束122の衝突時にセンサ層128によって提供される結果生成センサ信号は、感光材料130、特にセンサ層128に含まれる光伝導性材料132の特性に依存する。評価装置140は、一般に、センサ信号を評価することによって、少なくとも1つの物体112の1つまたは複数の光学的に考えられる特性について入射光束120によって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計される。この目的のために、評価装置140は、センサ信号を評価するために、1つもしくは複数の電子装置および/または1つもしくは複数のソフトウェア構成要素を含み得る。したがって、評価装置140は、センサ層128によって取得された2つ以上のセンサ信号を比較することによって少なくとも1つの情報項目を決定するように適合され得る。
【0376】
好ましくは、評価装置140は、センサ層128の2つ以上の縦方向センサ信号を比較することによって、物体112の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定するように適合されてもよく、この特定の実施形態では、縦方向光センサとして構成することができる。この目的のために、検出器110は、特に、少なくとも1つの電流-電圧測定および/または少なくとも1つの電圧-電流測定を実行することによってセンサ信号を生成するように適合され得る。FiPデバイスで知られているように、縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じであれば、センサ層128内の変更光束122のビーム断面積に依存し得る。物体112の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成する目的で、評価装置140はしたがって、照射の幾何学形状と検出器110に対する物体112の相対位置との間の少なくとも1つの所定の関係を使用するように設計されており、好ましくは、照射の既知の出力を考慮する。しかしながら、他の種類の評価方法の適用もまた実現可能であり得る。
【0377】
代替的にまたは追加的に、評価装置140は、センサ層128によって提供されるような2つ以上の横方向センサ信号を比較することによって、物体112の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定するように適合され得る。この目的のために、センサ層128は、特に、少なくとも一対の電極と接触することができ、該電極は、横方向のセンサ信号を取得するために感光材料130と接触することができる。横方向光センサの特に好ましい実施形態では、電極のいずれかまたはすべてが分割電極であってもよく、各分割電極は少なくとも2つの部分電極を含み得る。ここで、部分電極を通る電流は、センサ層128内の変更光束122の位置に依存することがあり、したがって横方向センサ信号は、部分電極を通る電流に従って生成され得る。
【0378】
代替的にまたは追加的に、評価装置140は、物体112の透過率、吸収、放出、および/または反射率から選択されるような、物体112の少なくとも1つの光学特性を決定するように適合されてもよい。
【0379】
さらに、図1から図4は、検出器110が回路キャリア装置144上に配置され得る構成142を概略的に示す。一般的に使用されているように、回路キャリア装置144は、検出器110などの電子素子、および/または光学素子を機械的に支持し電気的に接続するように設計されているプラットフォームを指す。特に好ましい実施形態では、回路キャリア装置144は、プリント回路基板(PCB)146であり得るか、またはそれを含み得る。ここで、センサ層128によって生成されたセンサ信号を直接または間接的に評価装置140に送信するように設計された電気接点136、136’は、図1に示すように、ボンディングワイヤー138、138’を用いて、カバー層134を通るように接合され得る。ここに示されるように、センサ信号を搬送するボンディングワイヤー138、138’は、特に好ましい実施形態では、コンタクトパッド148、148’に案内されてもよく、該コンタクトパッド148、148’は回路キャリア装置144の表面に配置され、導電材料を含み、そこからセンサ信号がさらに、直接的または間接的な方法で評価装置140に案内されてもよい。特に、構成142は、好ましくは、検出器110を自動的に拾い、回路キャリア装置144上の選択された位置に配置し、続いてボンディングワイヤー138、138’を設けることによって、検出器110の取り扱いおよび接触を容易にする。
【0380】
加えて、構成142は、さもなければ検出器110の信号対ノイズ比を妨げる可能性がある迷光の量をさらに減少させるために有利に使用することができる。この目的のために、開口部150は、入射光束120を受光し、入射光束120を光フィルタ114に案内するように設計され得る回路キャリア装置144に設けられてもよい。これによって、さもなければ例えば回路キャリア装置144上のエポキシ層またはガラス層を通して光フィルタ114に入る可能性がある迷光の量を、このように最小限に抑えることができる。ここで、検出器110に含まれる光フィルタ114は、特に、図1から図4のそれぞれに概略的に示されるように、回路キャリア装置144に導入された開口部150に配置されてもよい。
【0381】
さらに、開口絞り152が開口部150の近くに配置されてもよく、開口絞り152は、回路キャリア装置144の開口部150を通って光フィルタ114に衝突する入射光束120の他は、光フィルタ114に入る追加の光を阻止するように設計することができる。この目的のために、開口絞り152は、開口部150の周りの回路キャリア装置142上に配置される銅トレースによって形成することができる。便宜上、開口絞り152は図1にのみ概略的に描かれているが、これは開口絞り152が図2から図4による実施形態に存在しなくてもよいことを意味するものではない。
【0382】
一般に、評価装置140はデータ処理装置の一部であり得、および/または1つまたは複数のデータ処理装置を含み得る。評価装置140は、回路キャリア装置144に完全にまたは部分的に一体化されてもよく、および/またはセンサ層128に無線または有線で電気的に接続することができる別個の装置として完全にまたは部分的に具現化されてもよい。評価装置140は、1つまたは複数の測定ユニットおよび/または1つまたは複数の評価ユニットおよび/または1つまたは複数の制御ユニット(本明細書には示されていない)のような、1つまたは複数の電子ハードウェア構成要素および/または1つまたは複数のソフトウェア構成要素などの、1つ以上の追加の構成要素をさらに含み得る。
【0383】
検出器110を照射する光束120は、発光物体112によって生成されてもよい。代替的にまたは追加的に、光束120を別個の照射源(本明細書には不図示)によって生成してもよく、該照射源は周囲光源および/または物体112を照射するよう適応された発光ダイオードなどの人工光源を含むことができ、それによって物体112は、光束120が好ましくは回路キャリア装置144の開口部150に入ることによって光フィルタ114に到達するように、照射源によって生成された光の少なくとも一部を反射することができる。特定の実施形態では、照射源は変調光源であってもよく、照射源の1つまたは複数の変調特性は少なくとも1つの任意の変調装置によって制御されてもよい。代替的または追加的に、変調は、照射源と物体112との間および/または物体112と光フィルタ114との間のビーム経路内で行われてもよい。さらなる可能性も考えられる。この特定の実施形態では、物体112に関する少なくとも1つの情報項目を決定するためにセンサ信号を評価する際に、1つまたは複数の変調特性、特に変調周波数を考慮に入れることが有利であり得る。
【0384】
図2は、カバー層134が第2の光フィルタ154として機能するように適応され得る検出器110のさらなる例示的な実施形態を示す。ここでは、カバー層134は、光フィルタ114と同じ波長範囲をフィルタリングするように、あるいは代替的または追加的に、光フィルタ114に対して異なる波長範囲をフィルタリングするように設計することができる。この目的のために、図2にさらに示されるように、積層体であり得るかまたは積層体を含み得るカバー層134を使用することが可能であり得る。特に、交互に互いの上に積み重ねられた、第1のカバー層156および第2のカバー層156’を使用するスタックは干渉フィルタとして使用することができ、各カバー層156、156’は異なる種類の金属酸化物を含むことができる。特に好ましい実施形態では、第1のカバー層156は酸化アルミニウム(Al)を含み、第2のカバー層156’は酸化チタン(TiO)を含むことができる。しかしながら、第1および第2のカバー層156、156’の他の種類のスタックもまた考えられ得る。
【0385】
さらに図2に示すように、入射光束120を光フィルタ114および第2の光フィルタ154に交互に供給するように設計され得るビームスプリッタ(ここでは図示せず)などの光学素子を提供することが実現可能であり得る。結果として、入射光束120は、交互に、光フィルタ114および第2の光フィルタ154を通って入射することができる。この特定の実施形態では、光フィルタ114を通してセンサ層128を照射する変更光束122は「測定ビーム」と呼ばれ、第2の光フィルタ154を通してセンサ層128を照らす変更光束122’は「参照ビーム」として呼ばれてもよく、またはその逆でもよい。この実施形態では、評価装置が洗練された評価目的のためにさらに測定ビームと参照ビームとによって生成されたセンサ信号を比較するように設計されるのが特に好ましい。例として、測定ビームおよび参照ビームの特性をセンサ層128内でそれらが直接相殺することができるようにそれらを調整することが可能であり得、したがって、ロックイン技術のように、測定ビームと参照ビームとの間の差信号のみを増幅するように適合された方法の使用を可能にする。
【0386】
図2にさらに示すように、代替の実施形態では、センサ信号は、電気接点136、136’からガラスビア158を通って回路キャリア装置144上の接点パッド148、148’に導かれてもよい。カバー層134と一緒のこの種の構成は、直接的な検出器110全部の密閉封入を可能にし得る。この代替実施形態では、検出器110は、プリント回路基板(PCB)146などの回路キャリア装置144上に接着またははんだ付けを直接することができる。
【0387】
図3は、第1の光センサおよび第2の光センサを有するタンデム検出器160を提供する検出器110のさらなる典型的実施形態を示す。この目的のために、光フィルタ114は、半導体基板162を含み、基板の材料は、好ましくは、シリコン(Si)、または透明導電性酸化物(TCO)であって、透明導電性酸化物(TCO)は、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(SnO:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、またはペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択され得る。第1の光センサとして設計され得るセンサ層128に加えて、半導体基板162は、半導体基板162と接触するように適合された少なくとも2つのさらなる電気接点164、164’を設けることによって第2の光センサとして設計されてもよい。ここで、さらなる電気接点164、164’は、電極材料として金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、またはタングステン(W)のうちの少なくとも1つを含み得る。さらに図3に示すように、さらなる電気接点164、164’は、さらなるボンディングワイヤー168、168’を適用することによって、回路キャリア装置144上に配置されているさらなるコンタクトパッド166、166’に接合することができる。しかしながら、図2に示されるようにビア158、158’を使用することによるなど、他の種類のボンディングも可能であり得る。
【0388】
図3に示される実施形態では、厚い絶縁層172、好ましくは厚い二酸化シリコン層であるか、またはそれを含む中間層170が、特に、第1の光センサとして機能するセンサ層128と、半導体基板162を含み第2の光センサとして機能する光フィルタ114との間の電界効果の発生を回避するために、好ましく提供されることができる。ここで、厚い絶縁層172は、好ましくは100nmから10μm、より好ましくは250nmから5μmの厚さを示すことができる。ここで、中間層170は、特に、一方では光フィルタ114と中間層170との間、そして他方では中間層170とセンサ層128との間に隙間が残らないように適用されてもよい。再び、中間層170は、好ましくは、センサ層128に関して隣接して配置された正に1つの連続層であり得る。
【0389】
図4は、中間層170が薄い絶縁層174、好ましくは薄い二酸化シリコン層であるかまたはそれを含むことができる検出器110の代替実施形態を示し、該薄い二酸化シリコン層は好ましくは1nmから250nm、好ましくは5nmから10nmの厚さを有し、好ましくは欠陥がなく、したがって高い電気抵抗率を示すことができる。この代替実施形態では、顕著な電界効果が、一方では第1の光センサとして機能するセンサ層128と、他方で、半導体基板162を含み第2の光センサとして機能する光フィルタ114との間に発生し、それによって、電界効果フォトトランジスタ176を提供することができる。
【0390】
図2から図4のうちの1つまたは複数における特定の特徴に関するさらなる詳細については、図1から図4で選択される他の図のいずれか1つを参照することができる。さらに、特定の図に示される特徴と他の図のうちの1つに示される異なる特徴との組み合わせも可能であり得、したがって、この文書の開示によって明示的に網羅される。
【0391】
さらなる一例として、図5は、少なくとも1つの検出器110が回路キャリア装置144、特には上述したようなプリント回路基板(PCB)に配置された構成142を有する検出器システム200の例示的な実施形態を示している。しかし、他の種類の検出器、例えば図2図4に示された一つまたは複数の実施形態またはそれらの組合わせで示された検出器110も実現可能である。ここで、検出器110は特に三次元撮像用のカメラ202として採用することができ、それは画像および/またはビデオクリップのような画像のシーケンスの取得のために製造される。さらに、図5は、少なくとも1つの検出器110および/または少なくとも1つの検出器システム200を含むヒューマンマシンインターフェース204の例示的実施形態、さらに、ヒューマンマシンインターフェース204を含む娯楽装置206の例示的実施形態を示す。図5はさらに、少なくとも1つの物体112の位置を追跡するように適合された追跡システム208の一実施形態を示し、該実施形態は検出器110と検出器システム200を有している。
【0392】
検出器110および検出器システム200に関しては、この出願の全開示内容を参照することができる。基本的に、検出器110の全ての可能性のある実施形態はまた、図5に示される実施形態において具体化され得る。この特定の実施形態では、検出器110は、図1に提供されているような典型的な構成による構成を有する。したがって、検出器110は、少なくとも第1の表面116および第2の表面118を有する光フィルタ114を有し、第2の表面118は第1の表面116に対して反対側に配置されている。本明細書では、光フィルタ114は、第1の表面116によって受光された入射光束120が光フィルタ114を通過して第2の表面118に達することを可能にするように設計され、それによって、入射光束120のスペクトル組成を変更することによって変更光束122が生成される。特に、入射光束120以外に光フィルタ114に入射する追加の光を阻止するために、入射光束120は、好ましくは、回路キャリア装置144の開口部150を通して光フィルタ114に導かれ、開口絞り152が、特に、この所望の効果を高めるために開口部150の近傍に配置さされ得る。本発明の目的のために、光フィルタ114は、好ましくはロングパスフィルタ124であるかまたはそれを含むことができ、特に、上述のようにステンドグラスフィルタまたは光学干渉フィルタから選択されることができる。しかし、他の種類の光フィルタ114も考えられる。
【0393】
さらに、検出器110は、感光材料130、特に光伝導性材料132を含むセンサ層128を有し、該センサ層128は光フィルタ114の第2の表面118上に堆積される。本発明の目的のために、センサ層128は、変更光束122によるセンサ層128の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。図5に示されるように、検出器は、縦方向光センサと横方向光センサの組み合わせとして選択されてもよく、これによって、検出器110が物体112の深さおよび幅の両方を同時に決定することを可能にする。代替的にまたは追加的に、検出器110は、物体112の透過率、吸収、放出、および/または反射率から選択されるような、物体112の少なくとも1つの光学特性を決定するために使用され得る。さらに、センサ層128は、上述のようにカバー層134によって保護される。
【0394】
さらに、センサ層128によって生成されたセンサ信号は、入射光束120によって提供された少なくとも1つの情報項目を生成するために、特に、センサ信号を評価することによって、物体112の空間位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するために評価装置140に提供される。この目的のために、センサ信号は、電極136、136’、ワイヤーボンド138、138’、回路キャリア装置144上に配置されたコンタクトパッド148、148’および信号リード線210、210’を通して評価装置140に導かれる。ここで、信号リード線210、210’は、無線インターフェースおよび/または有線インターフェースであり得る。さらに、信号リード線210、210’は、センサ信号を変更するための1つまたは複数の装置および/または1つまたは複数の測定装置を含むことができる。評価装置140は、検出器110の1つまたは複数の構成要素に完全にまたは部分的に一体化することができる。評価装置140はまた、構成142を含むハウジング内および/または別個のハウジング内に封入することができる。評価装置140は、センサ信号を評価するために、1つまたは複数の電子装置および/または1つまたは複数のソフトウェア構成要素を含むことができ、これらは、縦方向評価ユニット212(「z」で示す)および横方向評価ユニット212’(「xy」で示す)によって象徴的に描かれている。これらの評価ユニット212、212’によって導出された結果を組み合わせることによって、位置情報214、好ましくは3次元位置情報を生成することができる(「x、y、z」によって示される)。
【0395】
図5に示されるような典型的実施形態では、一例として、検出されるべき物体112は、スポーツ用品として設計されてもよく、および/または制御要素216を形成してもよく、その位置および/または方向はユーザ218によって操作されることができる。したがって、一般に、図5に示される実施形態または検出器システム200の他の任意の実施形態、ヒューマンマシンインターフェース204、娯楽装置206または追跡システム208では、物体112自体が挙げられた装置の一部であり得、具体的には、少なくとも1つの制御要素216を含むことができ、特に、該少なくとも1つの制御要素216は、1つまたは複数のビーコン装置220を有し、該制御要素216の位置および/または方向は、ユーザ218によって操作されることが好ましい。一例として、物体112は、バット、ラケット、クラブ、または他の任意のスポーツ用品および/または模擬のスポーツ用品のうちの1つまたは複数であり得るか、またはそれらを含み得る。他の種類の物体112も可能である。さらに、ユーザ218はその位置を検出する物体112と考えられることができる。一例として、ユーザ218は、自分の体に直接または間接的に取り付けられた1つまたは複数のビーコン装置220を携帯することができる。
【0396】
検出器110は、ビーコン装置220のうちの1つまたは複数の縦方向位置の少なくとも1項目、および任意選択でその横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目、および/または物体112の縦方向位置に関する少なくとも1つの他の情報項目、および任意選択で物体112の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定するように適合させることができる。具体的には、検出器110は、例えば物体112の異なる色、より具体的には、異なる色を含むことができるビーコン装置220の色など、色を特定するためや物体112を撮像するために適合させることができる。
【0397】
検出器110は、したがって、少なくとも1つの物体112の位置を決定するように適合させることができる。さらに、検出器110、具体的にはカメラ202を含む実施形態は、物体112の少なくとも1つの画像、好ましくは3D画像を取得するように適合させることができる。上記で概説したように、検出器110および/または検出器システム200を使用することによる物体112および/またはその一部の位置の決定は、少なくとも1つの情報項目をマシン222に提供するためのヒューマンマシンインターフェース204を提供するために使用され得る。図5に概略的に示される実施形態では、マシン222は、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはデータ処理装置を含むコンピュータシステムであり得るか、またはそれらを含み得る。他の実施形態も可能である。評価装置140はコンピュータであってもよく、および/またはコンピュータを含んでもよく、および/または完全にまたは部分的に別個の装置として実施されてもよく、および/またはマシン222、特にコンピュータに完全にまたは部分的に組み込まれてもよい。同じことが追跡システム208の追跡コントローラ224にも当てはまり、該コントローラ224は評価装置140および/またはマシン222の一部を完全にまたは部分的に形成することができる。
【0398】
同様に、上記で概説したように、ヒューマンマシンインターフェース204は、娯楽装置206の一部を形成してもよい。したがって、ユーザ218が物体112として機能することにより、および/またはユーザ218が物体112を扱うことにより、および/または制御要素216が物体112として機能することにより、ユーザ218は少なくとも1つの制御コマンドのような少なくとも1つの情報項目を、マシン222、特にコンピュータに入力することができ、それによって、コンピュータゲームのコースを制御するなど、娯楽機能を変化させることができる。
【0399】
上記で概説したように、検出器110は、直線ビーム経路または傾斜ビーム経路、角度付きビーム経路、分岐ビーム経路、偏向または分割ビーム経路または他の種類のビーム経路を有することができる。さらに、光束120は、各ビーム経路または部分ビーム経路に沿って1回または反復して、一方向にまたは双方向に伝播することができる。それによって、上に挙げた構成要素、または以下にさらに詳細に列挙する任意選択のさらなる構成要素は、完全にまたは部分的に、光フィルタ114の前および/または光フィルタ114の後ろに配置することができる。
【符号の説明】
【0400】
110 検出器
112 物体
114 光フィルタ
116 第1の表面
118 第2の表面
120 入射光束
122 変更光束
124 ロングパスフィルタ
126 電気絶縁基板
128 センサ層
130 感光材料
132 光伝導性材料
134 カバー層
136、136’ 電気接点
138、138’ ボンディングワイヤー
140 評価装置
142 構成
144 回路キャリア装置
146 プリント基板
148、148’ コンタクトパッド
150 開口部
152 開口絞り
154 第2の光フィルタ
156、156’ 第1のカバー層、第2のカバー層
158 ビア
160 タンデム検出器
162 半導体基板
164、164’ さらなる電気接点
166、166’ さらなるコンタクトパッド
168、168’ さらなるボンディングワイヤー
170 中間層
172 厚い絶縁層
174 薄い絶縁層
176 電界効果フォトトランジスタ
200 検出器システム
202 カメラ
204 ヒューマンマシンインターフェース
206 娯楽装置
208 追跡システム
210 信号リード線
212 縦方向評価ユニット、横方向評価ユニット
214 位置情報
216 制御要素
218 ユーザ
220 ビーコン装置
222 マシン
224 追跡コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5