(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】エレベータ群管理制御システム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
B66B1/18 Z
(21)【出願番号】P 2022093863
(22)【出願日】2022-06-09
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中務 匡
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006568(JP,A)
【文献】特開2018-158793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、複数のエレベータと、前記複数のエレベータのぞれぞれに対応して設けられ、前記端末とネットワークで接続されて前記複数のエレベータに対する呼びを統括的に行う群管理制御を行う複数の群管理制御装置と、を備えるエレベータ群管理制御システムであって、
前記端末は、
利用者から入力される前記群管理制御の対象とする一または複数のエレベータが指定された構成指示を、前記複数の群管理制御装置に送信し、
前記複数の群管理制御装置のそれぞれは、
前記構成指示を受信する通信部と、
前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータに対応する他の一または複数の群管理制御装置と連携して、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの前記群管理制御を行う群管理制御部と
、
前記複数のエレベータに対して予め割り当てられた優先度を記憶する記憶部と、を備え、
前記群管理制御部は、
前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータに対応する群管理制御装置である場合に、自身に接続されるエレベータの優先度が前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの優先度の中で最も高いか否かを判断することで、前記群管理制御におけるマスターとなるか否かを判断する判断部と、
前記優先度が前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの優先度の中で最も高い場合に、マスターとして、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータのそれぞれに接続される前記一または複数の群管理制御装置をスレーブとして連携して、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの前記群管理制御を行うマスター処理部と、
を備えるエレベータ群管理制御システム。
【請求項2】
前記群管理制御部は、
前記優先度が前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの優先度の中で最も高い場合に、マスターとなる旨を、前記構成指示で指定された他の前記一または複数のエレベータに対応する前記群管理制御装置に通知する通知部、
をさらに備える請求項
1に記載のエレベータ群管理制御システム。
【請求項3】
前記群管理制御部は、
前記優先度が前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの優先度の中で最も高くない場合に、前記マスターとなる前記群管理制御装置からの指令に基づいて、スレーブとして、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの前記群管理制御を行うスレーブ処理部、
をさらに備える請求項
1に記載のエレベータ群管理制御システム。
【請求項4】
前記群管理制御部は、
前記エレベータから上方向の呼びがあった場合には、前記群管理制御を行わず、前記呼びを行った前記エレベータのみに移動指示を行い、前記エレベータから下方向の呼びがあった場合には、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの中から最適な前記エレベータを選定して移動指示を行う前記群管理制御を行う、
をさらに備える請求項1に記載のエレベータ群管理制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ群管理制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、群管理制御等、複数号機のエレベータの呼び等を統合的に制御する技術が従来から知られている。エレベータの近辺の人の交通量は時間帯等により変化し、このような人の交通量に応じて統合的な制御を行うエレベータの最適な数も変わってくる。例えば、人の交通量が多い場合には、複数号機のうちいずれかのエレベータが到着するよりも、一台ごとまたは少ない数の構成台数ごとの呼びに対応してエレベータが到着する方が好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平7-80640号公報
【文献】特開平8-245095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、統合的な制御を行うシステムにおいて、エレベータの構成台数は、通常、1台、2台または3台以上等種々の例があるが、従来の統合的な制御の技術では、いずれも固定となっている。このため、エレベータ近辺の人の交通量に応じて、統合的に制御する対象となるエレベータの構成台数を変更することは困難となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ群管理制御システムは、端末と、複数のエレベータと、前記複数のエレベータのぞれぞれに対応して設けられ、前記端末とネットワークで接続されて前記複数のエレベータに対する呼びを統括的に行う群管理制御を行う複数の群管理制御装置と、を備えるエレベータ群管理制御システムであって、前記端末は、利用者から入力される前記群管理制御の対象とする一または複数のエレベータが指定された構成指示を、前記複数の群管理制御装置に送信し、前記複数の群管理制御装置のそれぞれは、前記構成指示を受信する通信部と、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータに対応する他の一または複数の群管理制御装置と連携して、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの前記群管理制御を行う群管理制御部と、前記複数のエレベータに対して予め割り当てられた優先度を記憶する記憶部と、を備え、前記群管理制御部は、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータに対応する群管理制御装置である場合に、自身に接続されるエレベータの優先度が前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの優先度の中で最も高いか否かを判断することで、前記群管理制御におけるマスターとなるか否かを判断する判断部と、前記優先度が前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの優先度の中で最も高い場合に、マスターとして、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータのそれぞれに接続される前記一または複数の群管理制御装置をスレーブとして連携して、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの前記群管理制御を行うマスター処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るエレベータ群管理制御システムの構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態にかかる群管理制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態にかかるエレベータ群管理制御システムによる群管理制御処理のシーケンス図である。
【
図4】
図4は、本実施形態にかかる管理者用端末の画面に表示される構成指示の入力画面の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態による群管理制御の構成の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、変形例の群管理制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るエレベータ群管理制御システムの構成図である。本実施形態に係るエレベータ群管理制御システムはn台(nは2以上の整数)のエレベータを備えているものとする。なお、本実施形態では、乗りかご150がエレベータに相当する。
【0009】
本実施形態にかかる本実施形態に係るエレベータ群管理制御システム1は、
図1に示すように、複数号機の乗りかご150と、複数のエレベータ制御装置120と、複数の群管理制御装置100と、管理者用端末10と、を備えている。
【0010】
乗りかご150には、エレベータ制御装置120が接続されている。具体的には、乗りかご150内に設けられた行き先階や扉の開閉のための押しボタン等が配置された操作盤(不図示)が有線または無線で乗りかご150ごとに設けられたエレベータ制御装置120に接続される。エレベータの乗り場に設けられた行き先方向や行き先階等を指定するための操作盤(不図示)も、有線または無線で乗りかご150ごとに設けられたエレベータ制御装置120に接続される。
【0011】
エレベータ制御装置120は、対応する乗りかご150の操作盤からの行き先階呼びを受信し、乗りかご150の移動制御を行う。また、エレベータ制御装置120は、乗り場の操作盤から乗り場呼びを受信し、受信した乗り場呼びを、接続された群管理制御装置100に送信する。また、エレベータ制御装置120は、対応する乗りかご150の速度制御及びドア開閉制御等も行う。
【0012】
ここで、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご150をその乗り場に到着させるために行う操作である。なお、行き先階呼びとは、乗りかご150内の利用者が、その乗りかご150を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。
【0013】
群管理制御装置100は、乗りかご150ごとに設けられ、エレベータ制御装置120に有線または無線で接続されている。また、複数の群管理制御装置100間も有線または無線のネットワークで接続されている。
【0014】
群管理制御装置100は、エレベータ制御装置120からの乗り場呼びを受信して、他の群管理制御装置100と連携して、群管理制御の対象となる一または複数の乗りかご150の統合的な制御を行う。具体的には、群管理制御装置100は、乗り場呼びに対して、群管理制御の対象となる一または複数の乗りかご150の中から一番早く乗り場に到着する乗りかごを割り当てる処理等を行う。
【0015】
さらに、本実施形態では、群管理制御装置100は、管理者用端末からの指示に応じて、群管理制御の対象となるエレベータ(乗りかご150)の台数の構成を変更する処理を行う。群管理制御装置100の詳細については、後述する。
【0016】
管理者用端末10は、エレベータ群管理制御システム1の管理者が操作可能な端末である。管理者用端末10、例えば、CPU、ROM、RAM、記憶装置等から構成されるPC等の通常のコンピュータの構成である。管理者用端末10は、この他、スマートフォンやタブレット等の携帯端末であってもよい。
【0017】
管理者用端末10は、CPUでROMに記憶されたエレベータ管理用のプログラムを読み出しで実行することで、管理用アプリケーションが実行される。
【0018】
管理者用端末10には、無線通信装置30が設けられている。管理者用端末10は、無線通信装置30を介して、複数の群管理制御装置100と無線通信ネットワークで接続されている。なお、管理者用端末10は、無線通信ネットワーク以外の通信、例えば、公衆回線、エレベータ群管理制御システム1内で専用の有線であるエレベータ通信等で、複数の群管理制御装置100と接続されるように構成しても良い。
【0019】
管理者用端末10では、上記管理用アプリケーションによって、管理者から群管理制御の対象とする一または複数のエレベータ(乗りかご150)の号機を指定した構成指示の入力を受け付ける。そして、管理者用端末10は、上記管理用アプリケーションによって、入力された構成指示を、複数の群管理制御装置100に送信する。
【0020】
次に、群管理制御装置100の詳細について説明する。
図2は、本実施形態にかかる群管理制御装置100の機能的構成の一例を示すブロック図である。本実施形態にかかる群管理制御装置100は、
図2に示すように、通信部101と、群管理制御部102と、記憶部110とを主に備えている。
【0021】
通信部101は、管理者用端末10との無線通信や、他の群管理制御装置100との通信を制御する。本実施形態では、通信部101は、管理者用端末10から、群管理制御の対象とする一または複数のエレベータ(すなわち、乗りかご150)の号機が指定された構成指示を受信する。
【0022】
記憶部110は、HDD(Hard Disk Drive),SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体であり、記憶部110には、全ての群管理制御装置100の優先度が記憶されている。
【0023】
群管理制御部102は、エレベータ(すなわち、乗りかご150)の群管理制御を行う本実施形態では、群管理制御部102は、通信部101で受信した構成指示で指定された一または複数の乗りかご150に対応する他の一または複数の群管理制御装置100と連携して、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の群管理制御を行う。
【0024】
本実施形態にかかる群管理制御部102は、
図2に示すように、判断部103と、マスター処理部107と、スレーブ処理部105と、通知部104と、を備えている。
【0025】
判断部103は、自装置が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150に対応する群管理制御装置であるか否かを、構成指示で指定された乗りかご150の号機により判断する。判断部103は、自装置が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150に対応する群管理制御装置である場合に、記憶部110から優先順位を読み出して、自装置に接続される乗りかご150の優先度が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の優先度の中で最も高いか否かを判断することで、群管理制御におけるマスターとなるか否かを判断する。
【0026】
そして、判断部103は、優先度が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の優先度の中で最も高い場合に、優先度が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の優先度の中で最も高くない場合には、自装置をスレーブであると判断する。
【0027】
通知部104は、自装置がマスターとなった場合に、マスターとなる旨を、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150に対応する他の群管理制御装置100に通知する通信部101を介して通知する。
【0028】
マスター処理部107は、優先度が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の優先度の中で最も高い場合に、マスターとして、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150のそれぞれに接続される一または複数の群管理制御装置100をスレーブとして連携して、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の群管理制御を行う。
スレーブ処理部105は、優先度が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の優先度の中で最も高くない場合に、マスターとなる群管理制御装置100からの指令に基づいて、スレーブとして、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の群管理制御を行う。
【0029】
本実施形態の群管理制御装置100は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、SSD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0030】
本実施形態の群管理制御装置100で実行される群管理制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0031】
また、本実施形態の群管理制御装置100で実行される群管理制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の群管理制御装置100で実行される群管理制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0032】
また、本実施形態の群管理制御装置100で実行される群管理制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0033】
本実施形態の群管理制御装置100で実行される群管理制御プログラムは、上述した各部(通信部101、判断部103、通知部104、マスター処理部107、スレーブ処理部105)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から群管理制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、通信部101、判断部103、通知部104、マスター処理部107、スレーブ処理部105が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0034】
次に以上のように構成された本実施形態にかかるエレベータ群管理制御システム1による群管理制御処理について説明する。
図3は、本実施形態にかかるエレベータ群管理制御システム1による群管理制御処理のシーケンス図である。
【0035】
まず、管理者は、現在のエレベータ付近の人の交通量を把握して、群管理制御の対象とするエレベータの台数の構成を変更しようと考えたばあいには、管理者用端末10で動作する管理用アプリケーションにおいて、群管理制御の台数の構成指示を入力する。
【0036】
図4は、本実施形態にかかる管理者用端末10の画面に表示される構成指示の入力画面の一例を示す模式図である。構成指示の入力画面では、群管理制御の対象となり得る全てのエレベータ(乗りかご150)がアイコン401として表示されている。
【0037】
管理者は、この入力画面で、群管理制御の対象とする乗りかご150のアイコンをタッチ操作等で指定して構成の指示を入力すると、管理者用端末10は、当該構成の指示の入力を受け付ける(S11)。
図4の例では、1~10号機の乗りかご150が群管理制御の対象となることができ、その中で、1号機、2号機および10号機の3つの乗りかご150を群管理制御の対象とする構成指示を入力したものとする。このため、
図4の例では、1号機、2号機および10号機の3つのアイコン401が反転して表示されている。構成指示には、指定された乗りかご150の号機の番号が含まれる。
【0038】
次に、管理者用端末10は、入力された構成指示を、1~10号機のすべての群管理制御装置100に送信する(S13a,S13b,S13c,・・・、S13d)。
【0039】
群管理制御装置100のそれぞれでは、通信部101で構成指示を受信する。そして。群管理制御装置100の判断部103は、構成指示で指定された号機の数の中に、自装置に対応する乗りかご150の号機が含まれるか否かを調べることで、自装置が群管理制御の対象であるか否かの確認を行う(S15a,S15b,S15c,・・・、S15d)。
【0040】
そして、この例では、1,2、10号機の群管理制御装置100が、自身が群管理制御の対象であると判断する。そして、1,2、10号機の群管理制御装置100の判断部103は、構成指示で指定された号機の優先順位と、自身の優先順位を比較して、構成指示で指定された号機の優先順位の中で、自身が最も高い優先順位であるか否かを判断することにより、自装置が、マスターとなるか、スレーブとなるかを判断する(S17a,S17b,S17d)。
【0041】
この例では、2号機の優先順位が、1,10号機の優先順位より高いものとする。このため、2号機の群管理制御装置100がマスターとなり(S19)、1号機、10号機の群管理制御装置100はいずれもスレーブとなる(S21a,S21d)。そして、2号機の群管理制御装置100は、1、10号機の群管理制御装置100に対して、自身がマスターである旨を通知する(S24a,S24b)。当該通知を受信した1、10号機の群管理制御装置100は、これ以降、それぞれのエレベータ制御装置120から受信した呼びをマスターである2号機の群管理制御装置100に送信し、マスターの指令に従うことになる。
【0042】
その後、2号機の群管理制御装置100は、マスターとしての群管理制御を実行する(S23)。一方、1,10号機の群管理制御装置100は、スレーブとしての群管理制御を実行する(S25a,S25d)。これにより、構成指示で指定された1、2、10号機の群管理制御装置100が連携して乗りかご150の群管理制御を行うことになる。
【0043】
上記の例では、1~10号機の乗りかご150のうち、1、2、10号機の乗りかご150で群管理制御を構成したが、乗りかご150の台数の構成はこれに限定されない。また、複数の構成を指示して、複数の群管理制御を行っても、1つの構成で群管理制御を行い、残りの乗りかご150は、群管理制御を行わないように構成してもよい。
【0044】
図5は、本実施形態による群管理制御の構成の一例を示す模式図である。
図5(a)の例では、1号機の乗りかご150は群管理制御の対象ではなく、2,3号機の乗りかご150が第1の群管理制御の対象となり、4,5,6号機の乗りかご150が第2の群管理の構成となる例を示している。
【0045】
また、
図5(b)の例では、1~5号機の乗りかご150が群管理制御の対象となり、6号機の乗りかご150が群管理制御の対象とならない例を示している。
【0046】
このように本実施形態では、管理者用端末10は、管理者から入力される群管理制御の対象とする一または複数の乗りかご150が指定された構成指示を、複数の群管理制御装置100に送信し、複数の群管理制御装置100のそれぞれは、構成指示を受信し、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150に対応する他の一または複数の群管理制御装置100と連携して、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の群管理制御を行う。このため、本実施形態によれば、簡易な操作で構成台数を変更でき、人の交通量に応じて柔軟に乗りかご150の呼び応答を行え、管理者や利用者の利便性を向上することができる。
【0047】
より具体的には、本実施形態では、群管理制御装置100が、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150に対応する群管理制御装置100である場合に、自身に接続される乗りかご150の優先度が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の優先度の中で最も高いか否かを判断することで、群管理制御におけるマスターとなるか否かを判断し、優先度が構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の優先度の中で最も高い場合に、マスターとして、構成指示で指定された前記一または複数の乗りかご150のそれぞれに接続される一または複数の群管理制御装置100をスレーブとして連携して、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の群管理制御を行う。
【0048】
一方、優先度が構成指示で指定された一または複数のエレベータの優先度の中で最も高くない場合に、マスターとなる群管理制御装置100からの指令に基づいて、スレーブとして、構成指示で指定された一または複数のエレベータの群管理制御を行う。
【0049】
このため、本実施形態によれば、簡易な操作で構成台数を変更でき、マスターとなる群管理制御装置100とスレーブとなる群管理制御装置100の連携によって、人の交通量に応じて柔軟に乗りかご150の呼び応答を行え、管理者や利用者の利便性を向上することができる。
【0050】
また、このため、利用者の交通量が多い場合を考慮して、特定のエレベータを群管理制御から独立させて、専用の乗り場ボタン等で専用の運転を行うVIP運転や、複数のエレベータを、例えば、1~10階用のエレベータと11階から20階用のエレベータ等に分割して運転するような構成を採用することを回避することができる。
【0051】
また、本実施形態では、優先度が構成指示で指定された前記一または複数の乗りかご150の優先度の中で最も高い場合に、マスターとなる旨を、前記構成指示で指定された他の前記一または複数のエレベータに対応する前記群管理制御装置に通知する。このため、本実施形態によれば、複数の群管理制御装置100の間の連携を円滑に行うことができる。
【0052】
(変形例)
上記実施形態には、種々の変形例が考えられる。
例えば、エレベータから上方向の呼びがあった場合には、群管理制御を行わず、呼びを行ったエレベータの乗りかご150のみに移動指示を行い、エレベータから下方向の呼びがあった場合には、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の中から最適な乗りかご150を選定して移動指示を行う群管理制御を行うように、群管理制御装置100の群管理制御部102を構成してもよい。
【0053】
図6は、変形例の群管理制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートの処理は、マスターとなる群管理制御装置100の群管理制御部102で実行される。
【0054】
まず、群管理制御部102は、スレーブの群管理制御装置100から上方向の乗り場呼びを受信したか否かを判断する(S41)。スレーブの群管理制御装置100から上方向の乗り場呼びを受信した場合には(S41:Yes)、群管理制御部102は、乗り場呼びを送信した群管理制御装置100に対して乗りかごの移動の指示を行う(S43)。すなわち、この場合には群管理制御は行われず、上方向の乗り場呼びが行われるごとに、上方向の乗り場呼びが行われたエレベータ制御装置120に対応する乗りかご150が移動制御されることになる。
【0055】
一方、S41で、スレーブの群管理制御装置100から上方向の乗り場呼びを受信していない場合には(S41:No)、S43の処理は行われない。
【0056】
次に、群管理制御部102は、スレーブの群管理制御装置100から下方向の乗り場呼びを受信したか否かを判断する(S45)。スレーブの群管理制御装置100から下方向の乗り場呼びを受信した場合には(S45:Yes)、群管理制御部102は、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の中で、最も早く乗り場に到着できる乗りかご150を決定して、当該乗りかご150に対応する群管理制御装置100に乗りかご150の移動指示を行う(S47)。すなわち、この場合には、公知の手法で群管理制御が行われることになる。そして、処理は終了する。
【0057】
一方、S45で、スレーブの群管理制御装置100から下方向の乗り場呼びを受信していない場合には(S45:No)、S47の処理は行われない。そして、処理は終了する。
【0058】
このように本変形例では、エレベータから上方向の呼びがあった場合には、群管理制御を行わず、呼びを行ったエレベータの乗りかご150のみに移動指示を行い、エレベータから下方向の呼びがあった場合には、構成指示で指定された一または複数の乗りかご150の中から最適な乗りかご150を選定して移動指示を行う群管理制御を行う。このため、例えば、朝、ロビー階のエレベータ付近に多数の出勤してくる利用者がいる場合には、複数の上方向の乗り場呼びに対して、群管理制御をおこなって、いずれか一つの最適な乗りかご150を呼ぶよりは、乗り場呼びごとに対応する乗りかご150を移動させて呼ぶ方が、多数の利用者が早く乗りかご150に乗って目的の階へいくことができるので、好ましい。
【0059】
一方、上記のようなロビー階以外の階の乗り場には、多数の利用者がいないため、複数の下方向の乗り場呼びがある場合でも、群管理制御をおこなって、いずれか一つの最適な乗りかご150を呼ぶ方が、効率がよい。
【0060】
このように本変形例では、利用者の交通量が多くなるようなケースに、効率的な呼びを実現することが可能となる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1…エレベータ群管理制御システム、10…管理者用端末、100…群管理制御装置、エレベータ制御装置、150…乗りかご(エレベータ)、101…通信部、102…群管理制御部、103…判断部、104…通知部、105…スレーブ処理部、107…マスター処理部、110…記憶部、401…アイコン。
【要約】
【課題】簡易な操作で構成台数を変更でき、人の交通量に応じて柔軟にエレベータの呼び応答を行え、利用者の利便性を向上すること。
【解決手段】実施形態のエレベータ群管理制御システムは、端末と、複数のエレベータと、複数の群管理制御装置と、を備えるエレベータ群管理制御システムであって、前記端末は、利用者から入力される前記群管理制御の対象とする一または複数のエレベータが指定された構成指示を、前記複数の群管理制御装置に送信し、前記複数の群管理制御装置のそれぞれは、前記構成指示を受信する通信部と、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータに対応する他の一または複数の群管理制御装置と連携して、前記構成指示で指定された前記一または複数のエレベータの前記群管理制御を行う群管理制御部と、を備える。
【選択図】
図2