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特許7387815型枠およびこれを用いた斜角用側壁部材の製造方法
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  • 特許-型枠およびこれを用いた斜角用側壁部材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】型枠およびこれを用いた斜角用側壁部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/04 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
B28B7/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022099007
(22)【出願日】2022-06-20
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】721003931
【氏名又は名称】株式会社ヤマウ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】新宮 義明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀樹
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-044120(JP,A)
【文献】特開2005-169739(JP,A)
【文献】特開平06-240992(JP,A)
【文献】特開平08-238611(JP,A)
【文献】米国特許第05202132(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 7/00 - 7/46
E04B 1/00 - 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートを打設する空間を形成する外枠および内枠を含む型枠であり、斜角に施工されるコンクリート組立構造体を構成する斜角用側壁部材を、その鉛直面を水平方向に寝かせた状態で形成するための型枠であって、
前記外枠の傾斜角度を所定の傾斜角度θに設定するための角度設定アタッチメントであり、前記外枠の下部に脱着可能に設けられ、フレーム上に固定される角度設定アタッチメントであり、前記外枠の下面に面接触して固定される上面と、前記フレーム上の水平面となっている取付面に面接触して固定される下面とのなす角が90°-θである角度設定アタッチメントと、
前記内枠を所定の傾斜角度で支持する長さ調整可能な支柱と
を含む型枠。
【請求項2】
コンクリートを打設する空間を形成する外枠および内枠を含む型枠であり、斜角に施工されるコンクリート組立構造体を構成する斜角用側壁部材を、その鉛直面を水平方向に寝かせた状態で形成するための型枠を用いた斜角用側壁部材の製造方法であって、
前記外枠の傾斜角度を所定の傾斜角度θに設定するための角度設定アタッチメントであり、前記外枠の下面に面接触して固定される上面と、フレーム上の水平面となっている取付面に面接触して固定される下面とのなす角が90°-θである角度設定アタッチメントを、前記外枠の下部に脱着可能に設け、前記フレーム上に固定して前記外枠を立設すること、
前記内枠を支持する長さ調整可能な支柱の長さを調整することにより前記内枠を所定の傾斜角度で支持すること
を含む斜角用側壁部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜角に施工されるコンクリート組立構造体を形成する斜角用側壁部材を成型するための型枠およびこれを用いた斜角用側壁部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
暗渠や橋梁などのコンクリート組立構造体として、現場で型枠を組んでコンクリートを打設する現場施工によるものや、ボックス状にしたプレキャスト製品を現場で組み立てるものが知られている。プレキャスト製品を現場で組み立てるものでは、現場施工によるものと比較して、現場での施工性に優れているものの、大型の構造物の場合、運搬時の寸法上および重量上の制約を受けやすい。
【0003】
そこで、この種のコンクリート組立構造体では、従来、プレキャスト製品を分割型として、現場へ運搬し、組み立てるものや、プレキャスト部材と現場打ちコンクリートとを組み合わせて構築するものなどが開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、側壁部材および頂版部材がプレキャストコンクリート製であり、施工現場においては、頂版部材を対の側壁部材の上部間にそれぞれ隅角部を空けて掛け渡し、頂版部材の鉄筋と側壁部材の鉄筋とを連結し、隅角部にコンクリートを打設することにより一体化するコンクリート組立構造体が開示されている。また、このコンクリート組立構造体は斜角に施工するものであるが、側壁部材は斜角用の特殊なものではなく、頂版部材の掛け渡し方向に沿った側面が、側壁部材の立壁部の外面に対して斜め方向に形成されたものである。
【0005】
そのため、このコンクリート組立構造体の側壁部材は、通常の型枠により形成することが可能であり、頂版部材のみを斜角に対応する型枠により形成すればよいものとなっている。この頂版部材は、側面のみが斜めに形成された平板状であるため、型枠の形成は容易であり、それぞれ対応する角度に任意に調整して形成することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5317949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のコンクリート組立構造体では、頂版部材のみが斜角に対応したものとなっており、側壁部材は斜角用の特殊なものではない。そのため、このコンクリート組立構造体では頂版部材と側壁部材とをコンクリートにより一体化した隅角部においては斜角となっておらず、完全な斜角に施工されているとは言えない。
【0008】
そこで、本発明においては、斜角の角度を調整して斜角用の側壁部材を形成することが可能な型枠およびこれを用いた斜角用側壁部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の型枠は、コンクリートを打設する空間を形成する外枠および内枠を含む型枠であり、斜角に施工されるコンクリート組立構造体を構成する斜角用側壁部材を、その鉛直面を水平方向に寝かせた状態で形成するための型枠であって、外枠の傾斜角度を所定の傾斜角度に設定するための角度設定アタッチメントであり、外枠の下部に脱着可能に設けられる角度設定アタッチメントと、内枠を所定の傾斜角度で支持する長さ調整可能な支柱とを含むものである。
【0010】
本発明の型枠によれば、形成したい斜角用側壁部材の斜角の角度に対応した角度設定アタッチメントを選択して外枠の傾斜角度を所定の傾斜角度に容易に設定できるとともに、内枠を支持する支柱の長さを調整して内枠を所定の傾斜角度で容易に支持することができ、この型枠にコンクリートを打設することにより、斜角の角度を容易に調整して傾斜用の側壁部材を形成することが可能となる。
【0011】
本発明の傾斜用側壁部材の製造方法は、コンクリートを打設する空間を形成する外枠および内枠を含む型枠であり、斜角に施工されるコンクリート組立構造体を構成する斜角用側壁部材を、その鉛直面を水平方向に寝かせた状態で形成するための型枠を用いた斜角用側壁部材の製造方法であって、外枠の傾斜角度を所定の傾斜角度に設定するための角度設定アタッチメントを、外枠の下部に脱着可能に設けて外枠を立設すること、内枠を支持する長さ調整可能な支柱の長さを調整することにより内枠を所定の傾斜角度で支持することを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の傾斜用側壁部材の製造方法によれば、外枠の傾斜角度を所定の傾斜角度に設定するための角度設定アタッチメントを、外枠の下部に脱着可能に設けて外枠を立設し、内枠を支持する長さ調整可能な支柱の長さを調整することにより内枠を所定の傾斜角度で支持することで、斜角の角度を調整した斜角用の側壁部材を容易に得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、斜角の角度を調整した斜角用の側壁部材を容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態におけるコンクリート組立構造体の断面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3図1のIII部詳細図である。
図4図1のIV部詳細図である。
図5図3の平面図である。
図6図1の頂版部材の詳細を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図7】斜角用側壁部材を形成するための型枠の平面図である。
図8図7のVIII-VIII線断面図である。
図9図7のIX-IX線断面図である。
図10】(a)は図7の外枠の正面図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は外枠を分解した状態を示す正面図である。
図11図7の内枠の正面図である。
図12図11のXII矢視図である。
図13】型枠を用いた斜角用側壁部材の製造手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の実施の形態におけるコンクリート組立構造体の断面図、図2図1のII-II線断面図、図3図1のIII部詳細図、図4図1のIV部詳細図、図5図3の平面図、図6図1の頂版部材の詳細を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態におけるコンクリート組立構造体1は、斜角に施工されるものであり、幅方向(図1の左右方向)Xの左右に対面配置される一対のプレキャストコンクリート製の斜角用側壁部材2と、左右の斜角用側壁部材2の上部間に掛け渡されるプレキャストコンクリート製の頂版部材3と、現場打ちコンクリートなどにより形成された底版部4とを備えている。斜角用側壁部材2は、コンクリート組立構造体1の長さ方向(図1の平面に対して垂直方向)に対して所定長さで形成されている。
【0017】
斜角用側壁部材2は、それぞれ基礎コンクリート5上に立設されている。また、斜角用側壁部材2が立設される基礎コンクリート5間には、捨てコンクリート6が敷設されている。コンクリート組立構造体1は、これらの基礎コンクリート5および捨てコンクリート6上に、現場打ちコンクリートなどにより形成された底版部4を備えている。
【0018】
斜角用側壁部材2は、立壁部20の上部に、内面側に突出させた張り出し受け部21を一体に備えている。図3に示すように、斜角用側壁部材2には、鉛直方向(図1の縦方向)Zに延びる鉄筋22がコンクリート組立構造体1の長さ方向Y(図1に現れる面に対して垂直方向、すなわち図2の縦方向)に並べて複数埋設されている。また、斜角用側壁部材2の幅方向外側には、縦方向の鉄筋23が設けられている。また、鉄筋23aが、斜角用側壁部材2の立壁部20の上面(天端面)20aより上方にループ状に突設されている。このループ状に突設された鉄筋23aは、そのループ状を形成する面が立壁部20の外面20bに対する傾斜角度(長さ方向Yに対する傾斜角度)がθとなるように配設されている。
【0019】
頂版部材3は、図2に示すように、その掛け渡し方向Wの端面30aが一対の斜角用側壁部材2の立壁部20の外面20bと平行で、かつ、その掛け渡し方向Wに沿った側面30bが立壁部20の外面20bに対する傾斜角度(斜角)θで形成されたものである。頂版部材3は、図2の平面視では平行四辺形状となっている。また、頂版部材3には、図6に示すように、その側面30bと平行方向に配設された鉄筋32が上下に平行に埋設されている。鉄筋32の端部は、頂版部材3の側方に突設されており、ループ状の突設部32aを形成している。
【0020】
頂版部材3の突設部32aと斜角用側壁部材2のループ状に突設された鉄筋23aとは、図5に示すように斜角用側壁部材2の上方の隅角部7において鉄筋70により接続される。隅角部7にはコンクリートが打設されて打設コンクリート部が形成される。
【0021】
また、斜角用側壁部材2の上部には、斜め方向の鉄筋24が設けられている。鉄筋24の上端部には、頂版部材3の位置決めのための鉄筋24aを連結するための連結金具24bが設けられている。連結金具24bは、斜角用側壁部材2の張り出し受け部21上に載置される頂版部材3の空隙部である挿通孔31に対応する位置に配設されている。鉄筋24aは、連結金具24bに連結されることにより、斜角用側壁部材2の張り出し受け部21の上面21aより鉛直上方へ突設される。
【0022】
また、斜角用側壁部材2は、図4に示すように、立壁部20の下部に、内面側に突設させた自立脚部25を一体に備えている。斜角用側壁部材2の鉄筋23は、この立壁部20の下部で内側に向かって湾曲させて、その先端部23cには底版部4の鉄筋40と連結するためのスリーブ26が設けられている。また、斜角用側壁部材2の下部には、この鉄筋23の先端部23cと平行に、鉄筋23に連結された鉄筋27が設けられている。鉄筋27の先端部には、同様に底版部4の鉄筋41と連結するためのスリーブ26が設けられている。
【0023】
底版部4の鉄筋40,41は、頂版部材3の鉄筋32と平行方向に配設される。また、鉄筋23,27は立壁部20の外面20bに対する傾斜角度(長さ方向Yに対する傾斜角度)がθとなるように配設、すなわち、底版部4の鉄筋40,41と一直線となるように配設されており、スリーブ26によって底版部4の鉄筋40,41と接続される。また、斜角用側壁部材2は、基礎コンクリート5上にL字状の金具50およびボルト51からなる側壁固定用治具により固定される。
【0024】
次に、斜角用側壁部材2の製造方法について説明する。
図7は斜角用側壁部材2を形成するための型枠10の平面図、図8図7のVIII-VIII線断面図、図9図7のIX-IX線断面図、図10の(a)は図7の外枠11の正面図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は外枠11を分解した状態を示す正面図、図11図7の内枠12の正面図、図12図11のXII矢視図である。
【0025】
図7に示すように、型枠10は、斜角用側壁部材2の鉛直面である図2の長さ方向Yの側面20dを水平方向に寝かせた状態で形成するための型枠であり、コンクリートを打設する空間10aを形成する外枠11および内枠12を含む。空間10aの底面10bが斜角用側壁部材2の側面20dを形成する面となる。また、型枠10は、斜角用側壁部材2の天端面20aを形成するための天端枠13と、斜角用側壁部材2の下端面20cを形成するための下端枠14とを有する。天端枠13の内面13aが、斜角用側壁部材2の天端面20aを形成する面となる。下端枠14の内面14aが、斜角用側壁部材2の下端面20cを形成する面となる。
【0026】
外枠11は、図10に示すように、ベース80(図8および図9参照。)に対して水平方向にスライド可能に支持されたフレーム81の端部に角度設定アタッチメント15を介して立設される。このフレーム81のスライド方向Dは、頂版部材3の掛け渡し方向Wと一致する。角度設定アタッチメント15は、外枠11の内面11bの傾斜角度を前述の所定の傾斜角度θ(図10の例ではθ=84°)に設定するためのものである。外枠11の内面11bは斜角用側壁部材2の立壁部20の外面20bを形成する面となる。角度設定アタッチメント15は、外枠11の下部に脱着可能に設けられ、フレーム81上に固定される。角度設定アタッチメント15は斜角θに応じてそれぞれ作成しておく。
【0027】
角度設定アタッチメント15の上面15aに面接触して固定される外枠11の下面11aは、外枠11の内面11b(斜角用側壁部材2の立壁部20の外面20bを形成する面)に対して直交する面となっている。角度設定アタッチメント15の下面15bに面接触して固定されるフレーム81上の取付面81aは水平面となっている。すなわち、角度設定アタッチメント15は、その上面15aと下面15bのなす角φが90°-θとなっている。
【0028】
一方、内枠12は、図11に示すように、ベース80(図8および図9参照。)上に固定されるフレーム82上に、フレーム81のスライド方向Dに対して直交する水平軸83を中心に回転可能に支持されている。また、内枠12は、その外面12aを長さ調整可能な支柱16によりフレーム82上に支持されている。
【0029】
支柱16は、例えばターンバックルなどの伸縮方向の軸回りに回転させることにより伸縮可能なものである。支柱16の上端部は、水平軸83と平行な水平軸16aを中心に回転可能に支持されている。支柱16の下端部は、水平軸83と平行な水平軸16bを中心に回転可能に支持されている。この支柱16の長さを調整することで、内枠12の内面12bの傾斜角度を外枠11の内面11bの傾斜角度θと同じ所定の傾斜角度θで支持することができる。内枠12の内面12bは斜角用側壁部材2の立壁部20の内面20eを形成する面となる。
【0030】
次に、図13のフロー図を参照して、斜角用側壁部材2の製造手順について説明する。図13は型枠10を用いた斜角用側壁部材2の製造手順を示すフロー図である。
【0031】
(S100)図7図9に示すように型枠10をセットし、ひねり防止のため、レベル確認を行う。
(S101)型枠10を開き、清掃する。
(S102)型枠10の各部に遅延剤を塗布または遅延剤に代わるシートを貼り付ける。
(S103)型枠10の各部に型枠油(離型剤)を塗布する。
【0032】
(S104)別途鉄筋組立(S200)を行い、組み立てた鉄筋22,23,24,27を内枠12にセットする。
(S105)天端枠13、下端枠14および足部側版17をセットし、固定部材により固定する。また、鉄筋23aやスリーブ26等をセットする。
(S106)フレーム81をスライドして外枠11をセットし、型枠10の組立状況を確認する。
【0033】
(S107)型枠10内にコンクリートを打設する。
(S108)コンクリートを締固めする。
(S109)表面仕上げを行う。
(S110)養生シートを掛けて養生を行う。
(S111)固定部材を取外す。
(S112)型枠ばらしを行う。
(S113)製品を脱型する。
(S114)グリーンカットを行い、製品仕上げする。
【0034】
以上のように、この型枠10では、立壁部20の外面20bを形成する外枠11が、角度設定アタッチメント15により、立壁部20の側面20dを形成する底面10bに対する傾斜角度θで支持されるとともに、立壁部20の内面20eを形成する内枠12が、長さ調整可能な支柱16により、立壁部20の側面20dを形成する底面10bに対する傾斜角度θで支持されるので、この型枠10の空間10a内にコンクリートを打設することにより、図2に示すように頂版部材3の傾斜角度θと同じ傾斜角度θの斜角に対応した斜角用側壁部材2を得ることが可能である。
【0035】
また、この型枠10では、傾斜角度θが異なる斜角用側壁部材2が必要な場合には、傾斜角度θに応じた角度設定アタッチメント15を準備するだけで良く、それぞれ対応する傾斜角度θの角度設定アタッチメント15に交換して外枠11を支持し、内枠12については支柱16の長さを調整することにより傾斜角度θで支持することで、異なる傾斜角度θの斜角用側壁部材2にも容易に対応することが可能である。
【0036】
次に、上記構成のコンクリート組立構造体1の施工方法について説明する。まず、コンクリート組立構造体1の幅に対応して左右に基礎コンクリート5を打設し、この基礎コンクリート5上にそれぞれ斜角用側壁部材2を対面配置し、金具50およびボルト51により固定する。また、基礎コンクリート5間に捨てコンクリート6を敷設し、底版部4の鉄筋41などを配筋し、現場打ちコンクリートにより底版部4を形成する。
【0037】
次に、頂版部材3を斜角用側壁部材2の上部間にそれぞれ隅角部7を空けて掛け渡し、頂版部材3の鉄筋32の突設部32aと斜角用側壁部材2のループ状に突設された鉄筋23aとを鉄筋70により連結する。そして、この隅角部7にコンクリートを打設して打設コンクリート部を形成する。
【0038】
このようにして構築したコンクリート組立構造体1では、斜角用側壁部材2および頂版部材3がプレキャストコンクリート製であり、施工現場においては、頂版部材3を斜角用側壁部材2,2の上部間にそれぞれ隅角部7を空けて掛け渡し、頂版部材3の鉄筋32と斜角用側壁部材2の鉄筋23とを連結し、隅角部7にコンクリートを打設すれば良いため、短時間での施工が可能となり、施工性が良い。
【0039】
また、頂版部材3と斜角用側壁部材2とがそれぞれから突出させた鉄筋32,23により連結され、コンクリートにより一体化されているため、斜角用側壁部材2と頂版部材3との接合強度が優れている。特に、こられの斜角用側壁部材2の鉄筋23および頂版部材3の鉄筋23は、それぞれ斜角用側壁部材2および頂版部材3からループ状に突出させたものであることから、それぞれ斜角用側壁部材2および頂版部材3に強固に位置決めされて固定されているので、斜角用側壁部材2と頂版部材3との接合強度がさらに向上している。
【0040】
また、本実施形態におけるコンクリート組立構造体1では、頂版部材3が斜角用側壁部材2の立壁部20の内面側に突出させた張り出し受け部21上に載置されるので、斜角用側壁部材2の立壁部20の上方が空いている。そのため、斜角用側壁部材2の立壁部20の配筋を上方へ延長して突出させた鉄筋23と、張り出し受け部21上に載置された頂版部材3から突出させた鉄筋32とを連結してコンクリートにより一体化することができ、斜角用側壁部材2と頂版部材3との接合強度がさらに優れている。
【0041】
また、本実施形態におけるコンクリート組立構造体1は、斜角用側壁部材2が、連結金具24bに鉄筋24aを連結し、頂版部材3が、この鉄筋24aが挿入される挿通孔31を有するので、頂版部材3をその挿通孔31に斜角用側壁部材2の張り出し受け部21上の鉄筋24aが挿入されるように配置することで、頂版部材3が位置決めされ、施工性が向上している。なお、挿通孔31は、鉄筋24aが挿入可能な空隙部であれば良く、頂版部材3の端面に形成した切欠部とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、斜角に施工されるコンクリート組立構造体を形成する斜角用側壁部材を成型するための型枠およびこれを用いた斜角用側壁部材の製造方法として有用であり、特に、斜角の角度を調整して斜角用の側壁部材を形成することが可能な型枠およびこれを用いた斜角用側壁部材の製造方法として好適である。
【符号の説明】
【0043】
1 コンクリート組立構造体
2 斜角用側壁部材
3 頂版部材
4 底版部
5 基礎コンクリート
6 捨てコンクリート
7 隅角部
10 型枠
11 外枠
12 内枠
13 天端枠
14 下端枠
15 角度設定アタッチメント
16 支柱
17 足部側版
20 立壁部
21 張り出し受け部
22,23,24,27,32,40,41,70 鉄筋
25 自立脚部
26 スリーブ
31 挿通孔
50 金具
51 ボルト
80 ベース
81,82 フレーム
【要約】
【課題】斜角の角度を調整して斜角用の側壁部材を形成することが可能な型枠およびこれを用いた斜角用側壁部材の製造方法の提供。
【解決手段】コンクリートを打設する空間10aを形成する外枠11および内枠12を含み、斜角に施工されるコンクリート組立構造体を構成する斜角用側壁部材を、その鉛直面を水平方向に寝かせた状態で形成するための型枠10であって、外枠11の傾斜角度を所定の傾斜角度に設定するための角度設定アタッチメント15であり、外枠11の下部に脱着可能に設けられる角度設定アタッチメント15と、内枠12を所定の傾斜角度で支持する長さ調整可能な支柱16とを含む。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13