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特許7387871LEDアレイおよびLEDアレイを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】LEDアレイおよびLEDアレイを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/08 20100101AFI20231120BHJP
   H01L 33/04 20100101ALI20231120BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20231120BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/04
H01L33/32
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022507460
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2020071024
(87)【国際公開番号】W WO2021023532
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】1911246.5
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ユィ,シアン
(72)【発明者】
【氏名】アシュトン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】シップ,ジョナサン
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513225(JP,A)
【文献】特開平10-065277(JP,A)
【文献】特表2019-516251(JP,A)
【文献】特開2017-028287(JP,A)
【文献】特開2012-195529(JP,A)
【文献】特表2012-514335(JP,A)
【文献】特表2012-514329(JP,A)
【文献】特表2011-523212(JP,A)
【文献】特開平11-074566(JP,A)
【文献】特開平08-088408(JP,A)
【文献】特開平08-088407(JP,A)
【文献】特開平07-176833(JP,A)
【文献】特開平07-162102(JP,A)
【文献】国際公開第2019/129945(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/126728(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0269352(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0129009(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0067627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDアレイ前駆体を形成する方法であって、
基板の基板表面上に第1のLEDスタックを形成するステップであって、前記第1のLEDスタックは、第1の波長を有する光を出力するように構成された第1の半導体接合を画定する複数の第1のIII族窒化物層を備え、前記半導体接合のn型側は、前記基板表面に向けて配向される、ステップと、
前記第1のLEDスタック上にp++層を形成するステップであって、前記p++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
選択的に前記第1のLEDスタックの部分を除去する、ステップと、
前記p++層を覆うように前記基板の上にn++層を形成するステップであって、前記n++層と前記p++層との間の界面にトンネル接合が形成され、前記n++層はIII族窒化物を含む、ステップと、を含み、
前記n++層の第1の部分は前記基板表面の第1の部分に設けられた前記第1のLEDスタックの第1の部分を覆い前記n++層の第2の部分は前記第1のLEDスタックが選択的に除去された前記基板の第2の部分を覆うように前記n++層は前記基板表面の上に形成され、
前記n++層上に第2のLEDスタックを形成するステップであって、前記第2のLEDスタックは、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を出力するように構成された第2の半導体接合を画定する複数の第2のIII族窒化物層を備え、前記半導体接合のn型側は、前記n++層の最も近くに設けられる、ステップと、を含み、
前記方法は、
前記基板表面上の前記第2のLEDスタックの部分を選択的に除去して、
前記第2のLEDスタックが選択的に除去された前記LEDアレイの第1の部分であって、
前記第1のLEDスタックの前記第1の部分と、
前記p++層の第1の部分と、
前記第1のLEDスタックの前記第1の部分上にトンネル接合が設けられるように、前記n++層の前記第1の部分と、を備える、前記LEDアレイの第1の部分と、
前記LEDアレイの第2の部分であって、
前記n++層の前記第2の部分と、
前記n++層の前記第2の部分上に設けられた前記第2のLEDスタックの第1の部分と、を備える、前記LEDアレイの第2の部分と、を画定するステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記第1のLEDスタックの前記複数の第1のIII族窒化物層は、
前記基板表面上に設けられた第1のn型層と、
前記第1のn型層上に設けられた、前記第1の波長を有する光を生成するように構成された第1の活性層と、
前記第1の活性層上に設けられた第1のp型層と、を備える、および/または
前記第2のLEDスタックの前記複数のIII族窒化物層は、
前記n++層上に設けられた第2のn型層と、
前記第2のn型層上に設けられた、第2の波長を有する光を生成するように構成された第2の活性層であって、前記第2の波長は前記第1の波長とは異なる、第2の活性層と、 前記第2の活性層上に設けられた第2のp型層と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のLEDスタックの前記第1の活性層は、前記第1の波長の光を出力するように構成された第1の多重量子井戸積層体を備え、
前記第2のLEDスタックの前記第2の活性層は、前記第2の波長の光を出力するように構成された第2の多重量子井戸積層体を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の多重量子井戸積層体は、GaNとInGa1-XNとの交互層を備え、0<X≦1であり、
前記第2の多重量子井戸積層体は、GaNとInGa1-YNとの交互層を備え、0<Y≦1である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のLEDスタックは、前記第1の活性層と前記第1のp型層との間に第1の電子ブロッキング層を備える、および/または
前記第2のLEDスタックは、前記第2の活性層と前記第2のp型層との間に第2の電子ブロッキング層を備える、請求項2から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記LEDアレイの前記第1の部分と前記LEDアレイの前記第2の部分との間にトレンチを画定するために、前記第1のLEDスタックおよび前記第2のLEDスタックの部分を選択的に除去して、前記第1のLEDスタックおよび前記第2のLEDスタックの側壁表面を露出させるステップと、
前記第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの前記側壁表面を覆うように前記トレンチ内にパッシベーション層を堆積するステップと、をさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のLEDスタックは、第1の温度におけるプロセスによって形成され、
前記第2のLEDスタックは、前記第1の温度よりも低い第2の温度におけるプロセスによって形成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の波長は前記第1の波長よりも長い、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のLEDスタックを選択的に除去する前記ステップは、
前記基板表面の第1の部分または第2の部分を覆う前記第1のLEDスタックの部分上にマスク層を選択的に堆積するステップと、
前記第1のLEDスタックの露出部分をエッチングして前記下の層を露出させるステップと、を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の波長は、少なくとも380nmおよび480nm以下である、および/または
前記第2の波長は、少なくとも500nmおよび580nm以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記LEDアレイの各部分は、100μm×100μm未満の表面寸法を前記基板上に有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記n++層は、少なくとも1019cm-3の電荷キャリア密度を有する、および/または
前記p++層は、少なくとも1019cm-3の電荷キャリア密度を有する、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記p++層を覆うように前記基板の上に前記n++層を形成するステップは、
前記n++層内にエッチング停止サブ層を形成するステップであって、前記エッチング停止サブ層はAlを含むIII族窒化物を含む、ステップを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
(i)前記第1のLEDスタックを覆う前記n++層の前記第1の部分上に前記LEDアレイの前記第1の部分のための第1のコンタクト層を形成するステップ、および/または前記第2のLEDスタックの前記第1の部分上に前記LEDアレイの前記第2の部分のための第2のコンタクト層を形成するステップと、をさらに含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のコンタクト層は、Ti、Al、およびMoのうちの1つまたは複数を含み、 前記第2のコンタクト層は、Ni、Pt、Au、および酸化インジウムスズ(ITO)のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記p++層の部分は、前記基板表面の部分を露出させるために前記第1のLEDスタックの前記部分と共に選択的に除去される、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のLEDスタックの前記第2の部分は、前記p++層を形成する前に前記基板表面の第2の部分を露出させるために選択的に除去される、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記LEDアレイの前記第2の部分は、
前記n++層の前記第2の部分が設けられた前記p++層の第2の部分と、
前記p++層の前記第2の部分が設けられた前記第1のLEDスタックの第2の部分と、をさらに備える、請求項1から1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のLEDスタックの部分および前記第2のLEDスタックの部分を選択的に除去するステップは、
第1の選択的除去ステップであって、
前記第2のLEDスタックの前記第2の部分を選択的にマスキングするステップと、
前記第2のLEDスタックのマスクされていない部分を選択的に除去するステップと、
を含み、前記第1の選択的除去ステップは前記n++層上で終端する、第1の選択的除去ステップと、
第2の選択的除去ステップであって、
前記LEDアレイの前記第1の部分および前記第2の部分を選択的にマスキングするステップと、
前記LEDアレイのマスクされていない部分を選択的に除去するステップと、を含む、
第2の選択的除去ステップと、を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
発光ダイオード(LED)アレイであって、
基板表面を有する基板と、
前記基板表面の第1の部分上に設けられた第1のLEDスタックであって、第1の波長を有する光を出力するように構成された第1の半導体接合を画定する複数の第1のIII族窒化物層を備え、前記第1の半導体接合のn型側は、前記基板表面に向けて配向される、第1のLEDスタックと、
前記第1のLEDスタック上に設けられたp++層であって、III族窒化物を含む、p++層と、
前記第1のLEDスタックの前記p++層を覆う第1の部分と、前記基板表面の第2の部分を覆う第2の部分とを有するn++層であって、前記n++層と前記p++層との間の界面にトンネル接合が形成され、III族窒化物を含む、n++層と、
前記基板表面の前記第2の部分を覆う前記n++層の前記第2の部分上に設けられた第2のLEDスタックであって、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を出力するように構成された第2の半導体接合を画定する複数の第2のIII族窒化物層を備え、前記第2の半導体接合のn型側は前記n++層に向かって設けられる、第2のLEDスタックと、を備え
前記n++層の前記第1の部分は前記基板の第1の表面に設けられ、前記n++層の第2の部分は前記基板の第2の表面に直接設けられる、LEDアレイ。
【請求項21】
前記第1のLEDスタックの前記複数の第1のIII族窒化物層は、
前記基板表面に設けられた第1のn型層と、
前記第1のn型層上に設けられた、第1の波長を有する光を生成するように構成された第1の活性層と、
前記第1の活性層上に設けられた第1のp型層と、
前記n++層上に設けられた第2のn型層と、を備え、
前記第2のLEDスタックの前記複数の第2のIII族窒化物層は、
前記n++層上に設けられた第2のn型層と、
前記第2のn型層上に設けられた、前記第2の波長を有する光を生成するように構成された第2の活性層と、
前記第2の活性層上に設けられた第2のp型層と、を備える、請求項2に記載のLEDアレイ。
【請求項22】
前記基板表面の前記第1の部分を覆う前記第1のLEDスタックと前記基板の前記第2の部分を覆う前記第2のLEDスタックとの間にトレンチが設けられ、前記トレンチは、前記第1のLEDスタックおよび前記第2のLEDスタックの側壁表面によって画定され、
前記第1のLEDスタックおよび前記第2のLEDスタックの前記側壁表面を覆うように前記トレンチ内にパッシベーション層が設けられる、請求項2または2に記載のLEDアレイ。
【請求項23】
前記第1のLEDスタックを覆う前記n++層の前記第1の部分上に設けられた第1のコンタクト層、および/または前記第2のLEDスタック上に設けられた第2のコンタクト層をさらに備える、請求項2から2のいずれか1項に記載のLEDアレイ。
【請求項24】
前記第1のコンタクト層は、Ti、Al、およびMoのうちの1つまたは複数を含み、 前記第2のコンタクト層は、Ni、Pt、Au、および酸化インジウムスズ(ITO)のうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載のLEDアレイ
【請求項25】
前記第1のLEDスタックを覆う前記第2のn型層と前記第1のコンタクト層との間に第1の接着層が設けられ、および/または、設けられた前記第2のコンタクト層と前記第2のLEDスタックの前記第2のp型層との間に第2の接着層が設けられる、請求項2または2に記載のLEDアレイ。
【請求項26】
前記n++層の第2の部分は前記p++層の第2の部分の上に設けられ、
前記p++層の第2の部分は前記第1のLEDスタックの第2の部分上に設けられ、前記第1のLEDスタックは前記基板表面上に設けられる、請求項2から2のいずれか1項に記載のLEDアレイ。
【請求項27】
前記n++層は、前記n++層内にエッチング停止サブ層を備え、前記エッチング停止サブ層は、Alを含むIII族窒化物を含む、請求項2から2のいずれか1項に記載のLEDアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、LEDアレイおよびLEDアレイを形成するための方法に関する。特に、本開示は、III族窒化物を含むLEDアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
モノリシックマイクロLEDアレイは、収率およびスループットの制約のためにピックアンドプレース製造方法が好ましくない小さなピッチの非常に高解像度のディスプレイの製造によく適している。効率的な単色(青色)GaNモノリシックマイクロLEDアレイを製造するための技術は、当技術分野で知られている。フルカラーのマイクロLEDベースのディスプレイを製造するには、赤色および緑色のサブピクセルをディスプレイに統合する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フルカラーディスプレイを形成するための1つの方法は、各々が例えば赤色、緑色および青色光の1つを出力するように構成された複数の異なるLEDを備えるLEDアレイを提供することである。蛍光体または量子ドットなどの色変換材料を使用するのではなく、エレクトロルミネッセンスによって完全な色スペクトルが直接生成される場合、そのようなLEDアレイは一般に「ネイティブ」LEDアレイとして知られている。
【0004】
ネイティブ多色LEDアレイは、複数の選択的領域成長(SAG)堆積ステップによって形成することができる。この方法は、SAGステップで形成されるサブピクセルの成長条件が局所的な環境によって深刻な影響を受ける(すなわち、堆積パラメータは高度に幾何学的形状に依存する)ため、困難である。したがって、SAGによって複数のネイティブLEDを形成するための成長パラメータは、特定のマスクレイアウトに合わせて調整する必要がある。したがって、ディスプレイ/LEDの幾何学的形状のわずかな変化では、すべてのSAGを再較正する必要があり得る。例えば、図1aに示すように、青色光活性領域を有する第1のLEDがGaN基板の第1の領域上に選択的に形成されるSAGプロセスが、英国特許第1811109.6号明細書に開示されている。次いで、青色光活性領域を有する第1のLEDは、SiOマスク層でコーティングされる。続いて、図1bに示すように、緑色光活性領域を有する第2のLEDが、後続のSAG堆積ステップによってGaN基板の第2の領域上に選択的に形成される。
【0005】
LEDのSAG製造は、中程度から大きなピクセル寸法について、単一のサブピクセルにわたって不均一な組成をもたらす可能性がある。これにより、発光波長が広くなり、ディスプレイの色純度が低下する。さらに、SAGプロセスで使用されるマスク材料は、例えば、米国特許出願公開第2004/0129929A1号明細書に記載されているように、望ましくない不純物で活性領域が汚染される可能性がある。したがって、図1のSiOマスク層は、第2のLEDの汚染につながる可能性がある。
【0006】
最後に、LEDアレイのマスクされた領域内のp型GaN表面は、後続のLED接合のその後の高温堆積中に分解し、それによって、前のステップで堆積された接合部へのアノードコンタクトを損なう可能性があることが観察された。これは、以下のLED接合の堆積のためのプロセスウィンドウを制限する。
【0007】
本発明の目的は、従来技術の方法に関連する問題の少なくとも1つに対処する、または少なくとも、それに対する商業的に有用な代替物を提供する、LEDアレイを形成する改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明者らは、LEDアレイを形成するときに、幾何学的形状に依存しない堆積プロセスを使用することが望ましいことを認識した。例えば、層が基板にわたって堆積され、続いてパターニング(例えば、ビアエッチング)される堆積プロセスは、幾何学的形状に依存していないと見なされ得る。しかしながら、本発明者らは、III族窒化物LEDアレイをパターニングすることに関連する1つの問題が、例えば「Journal of The Electrochemical Society、150(9)G513-G519(2003)」に記載されているように、p型半導体III族窒化物上でエッチングプロセスを終了するとp型材料の導電性が損なわれることであることに気付いた。
【0009】
したがって、本開示の第1の態様によれば、LEDアレイを形成する方法が提供される。本方法は、
(a)基板の基板表面上に第1のLEDスタックを形成するステップであって、第1のLEDスタックは、第1の波長を有する光を出力するように構成された第1の半導体接合を画定する複数の第1のIII族窒化物層を備え、半導体接合のn型側は、基板表面に向けて配向される、ステップと、
(b)第1のLEDスタック上にp++層を形成するステップであって、p++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
(c)p++層を覆うように基板の上にn++層を形成するステップであって、n++層とp++層との間の界面にトンネル接合が形成され、n++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
(d)n++層上に第2のLEDスタックを形成するステップであって、第2のLEDスタックは、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を出力するように構成された第2の半導体接合を画定する複数の第2のIII族窒化物層を備え、第2の半導体接合のn型側は、n++層の最も近くに設けられる、ステップと、を含み、
本方法は、
基板表面上の第1のLEDスタックの部分および第2のLEDスタックの部分を選択的に除去して、
第2のLEDスタックが選択的に除去されたLEDアレイの第1の部分であって、
第1のLEDスタックの第1の部分と、
p++層の第1の部分と、
第1のLEDスタックの第1の部分上にトンネル接合が設けられるように、n++層の第1の部分と、を備える、LEDアレイの第1の部分と、
LEDアレイの第2の部分であって、
n++層の第2の部分と、
n++層の第2の部分上に設けられた第2のLEDスタックの第1の部分と、を備える、LEDアレイの第2の部分と、を画定するステップをさらに含む。
【0010】
第1の態様による方法は、基板上に2つの異なるネイティブLEDを形成する方法を提供する。従来技術の方法とは対照的に、第1の態様の方法は、基板にわたる第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの各々の形成と、それに続く選択的除去ステップとを可能にする。したがって、第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックは、形成されるLEDの幾何学的形状に依存せずに基板上に成長させることができる。したがって、第1の態様による方法は、デバイス形状が変更されたときに第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックを形成するための処理方法を較正する必要なしに、様々な異なるデバイス形状に使用することができる。
【0011】
上述したように、LEDスタックの部分を選択的に除去することに伴う1つの問題は、選択的除去プロセスがp型半導体層上で終端され得ないことである。第1の態様の方法では、第1のLEDスタックがp型半導体III族窒化物で終端されないように、第1のLEDスタックの上部にトンネル接合が設けられる。したがって、第1のLEDスタック上の第2のLEDスタックのその後の堆積および除去は、第1のLEDスタックの第1のp型層の導電性を損なうことはない。したがって、第1の態様による方法は、幾何学的形状に依存しないプロセスを使用して同じ基板上に異なるネイティブLED(第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタック)をモノリシックに形成することを可能にする。
【0012】
重要なことに、第1の態様による方法は、マスク層上に第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの層のいずれも形成することを含まない。したがって、第1の態様による方法は、マスク層汚染(例えば、LEDスタック層のSiまたはO汚染)に関連する問題を低減または排除する。
【0013】
したがって、第1の態様による方法は、
(a)基板の基板表面上に第1のLEDスタックを形成するステップであって、第1のLEDスタックは、第1の波長を有する光を出力するように構成された第1の半導体接合を画定する複数の第1のIII族窒化物層を備え、半導体接合のn型側は、基板表面に向けて配向される、ステップと、
(b)第1のLEDスタック上にp++層を形成するステップであって、p++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
(c)p++層を覆うように基板の上にn++層を形成するステップであって、n++層とp++層との間の界面にトンネル接合が形成され、n++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
(d)n++層上に第2のLEDスタックを形成するステップであって、第2のLEDスタックは、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を出力するように構成された第2の半導体接合を画定する複数の第2のIII族窒化物層を備え、半導体接合のn型側は、n++層の最も近くに設けられる、ステップと、
(e)基板表面上の第2のLEDスタックの部分を選択的に除去するステップと、を含み、
本方法は、
n++層の形成前、または第2のLEDスタックの形成後に、第1のLEDスタックの部分を選択的に除去して、
第2のLEDスタックが選択的に除去されたLEDアレイの第1の部分であって、
第1のLEDスタックの第1の部分と、
p++層の第1の部分と、
第1のLEDスタックの第1の部分上にトンネル接合が設けられるように、n++層の第1の部分と、を備える、LEDアレイの第1の部分と、
LEDアレイの第2の部分であって、
n++層の第2の部分と、
n++層の第2の部分上に設けられた第2のLEDスタックの第1の部分と、を備える、LEDアレイの第2の部分と、を画定するステップをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、p++層は、n++層の形成前に1つまたは複数の表面処理プロセスに供されてもよい。例えば、p++層は、n++層の形成前にアニーリングステップに供されてもよい。アニーリングステップは、p++層中のアクセプタイオン(例えばMgイオン)の活性化を高めるために設けられてもよい。p++層は、p++層をBHFに曝露する表面処理プロセスに供されてもよい。BHF処理は、n++層が形成されることになるp++層の表面付近に形成されるアクセプタイオンの濃度を打ち消すことができる。p++層に1つまたは複数の表面処理プロセスを適用することによって、n++層とp++層との間に形成されるトンネル接合の抵抗を低減することができる。このように、p++層およびn++層の堆積は、エクスサイチュ表面処理ステップによって分離された2つの異なる堆積ステップで行われてもよい。このような方法は、アクセプタイオン(例えば、Mg)のp++層からn++層への拡散を低減または防止することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のLEDスタックは、基板表面上に設けられた第1のn型層と、第1のn型層上に設けられた、第1の波長を有する光を生成するように構成された第1の活性層と、第1の活性層上に設けられた第1のp型層とを備える。第1のLEDスタックの各層は、III族窒化物を含んでもよい。各層は、実質的に連続した層として形成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第2のLEDスタックは、n++層上に設けられた第2のn型層と、第2のn型層上に設けられた、第2の波長を有する光を生成するように構成された第2の活性層であって、第2の波長は第1の波長とは異なる、第2の活性層と、第2の活性層上に設けられた第2のp型層とを備える。第2のLEDスタックの各層は、III族窒化物を含んでもよい。第2のLEDスタックの各層は、実質的に連続した層として形成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のLEDスタックの第1の活性層は、第1の波長の光を出力するように構成された第1の多重量子井戸積層体を備え、第2のLEDスタックの第2の活性層は、第2の波長の光を出力するように構成された第2の多重量子井戸積層体を備える。したがって、LEDアレイの第1および第2の活性層は、それぞれ第1および第2の波長を有する光を出力する2つの異なるネイティブLEDを提供するように構成することができる。同じ概念は、第3の発光波長を有する第3の活性領域をさらに含むように拡張することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1のLEDスタックは、第1のn型層と第1の活性層との間に設けられた第1の歪み緩和積層体を含む。いくつかの実施形態では、第2のLEDスタックは、第2のn型層と第2の活性層との間に設けられた第2の歪み緩和積層体を備える。第1および第2の歪み緩和積層体は、基板の格子定数と第1または第2の活性層の格子定数との格子定数の差に対応するために設けられてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の多重量子井戸積層体は、GaNとInGa1-XNとの交互層を備え、0<X≦1である。いくつかの実施形態では、第2の多重量子井戸積層体は、GaNとInGa1-YNとの交互層を備え、0<Y≦1である。いくつかの実施形態では、第1および第2の歪み緩和積層体はそれぞれ、GaNおよびInGa1-ZNの交互層を備え、0<Z≦1である。すなわち、いくつかの実施形態では、第1または第2の歪み緩和積層体のみが提供されてもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の歪み緩和積層体の両方が提供されてもよく、第1および第2の歪み緩和積層体は同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1のLEDスタックは、第1の活性層と第1のp型層との間に第1の電子ブロッキング層を備える。いくつかの実施形態では、第2のLEDスタックは、第2の活性層と第2のp型層との間に第2の電子ブロッキング層を備える。第1および第2の電子ブロッキング層は、III族窒化物、例えばAlGaNを備えてもよい。第1および第2の電子ブロッキング層は、それぞれの第1または第2の活性領域内の電荷キャリア閉じ込めを高めるように構成されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、n++層はエッチング停止サブ層を備えてもよい。エッチング停止サブ層は、Alを含むIII族窒化物を含む。このように、エッチング停止サブ層は、n++層40の他の材料よりもエッチングに対して耐性があるn++層のサブ層を提供するように構成されてもよい。したがって、エッチング停止層は、選択的除去プロセスを終端することができる表面を提供することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の波長は、少なくとも380nmおよび480nm以下であり得る。いくつかの実施形態では、第2の波長は、少なくとも500nmおよび580nm以下であり得る。したがって、LEDアレイは、実質的に青色の可視光および実質的に緑色の可視光を出力するように構成されたネイティブLEDを提供することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、LEDアレイの各部分は、100μm×100μm未満の表面寸法を基板上に有する。したがって、第1の態様による方法は、マイクロLEDを提供してもよい。マイクロLEDアレイは、マイクロLEDのアレイである。
【0024】
いくつかの実施形態では、n++層は、少なくとも1019cm-3の電荷キャリア密度を有する。いくつかの実施形態では、p++層は、少なくとも1019cm-3の電荷キャリア密度を有する。例えば、いくつかの実施形態では、n++層は、少なくとも1019cm-3のドナー密度(N)を有するドナーを備えてもよい。いくつかの実施形態では、p++層は、少なくとも1020cm-3のアクセプタ密度(N)を有するアクセプタを備えてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のLEDスタックを覆う第2のn型層上に第1のコンタクト層を形成するステップ、および/または第2のLEDスタックの第2のp型層上に第2のコンタクト層を形成するステップをさらに含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のコンタクト層は、n型半導体(例えば、n型GaN)へのオーミックコンタクトを形成するのに適した1つまたは複数の金属層を備える。したがって、第1のコンタクト層は、Ti、Al、またはMo(例えば、TiまたはMoベースのスタック)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のコンタクト層は、p型半導体(例えば、p型GaN)へのオーミックコンタクトを形成するのに適した1つまたは複数の金属層を備える。したがって、第2のコンタクト層は、Ni、Pd、またはPt(例えば、NiベースまたはPtベースまたはPdベースのスタック)を含んでもよい。
【0026】
第1の態様のいくつかの実施形態では、第1または第2のLEDスタックの少なくとも一方の部分を選択的に除去するステップは、基板表面の第1または第2の部分を覆う第1または第2のLEDスタックの部分上にマスク層を選択的に堆積するステップと、第1または第2のLEDスタックの露出部分をエッチングして下の層を露出させるステップとを含む。有利には、第1の態様によるエッチングステップは、p型半導体層上で終端されない。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、第2のLEDスタックの形成前に第1のLEDスタックの部分を選択的に除去するステップを実行するステップを含む。
【0028】
したがって、いくつかの実施形態では、n++層を形成する前に、第1のLEDスタックの第2の部分を選択的に除去して基板表面の第2の部分を露出させることができ、n++層は、n++層が第1のLEDスタックの第1の部分および基板表面の第2の部分を覆うように基板表面の上に形成され、その結果、第2のLEDスタックの第2の部分が基板表面の第2の部分上に設けられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、p++層の第2の部分は、基板表面の第2の部分を露出させるために第1のLEDスタックの第2の部分と共に選択的に除去される。すなわち、第1のLEDスタックの第2の部分およびp++層の第2の部分は、n++層の形成前(すなわち、p++層の形成とn++層の形成との間)に選択的に除去される。
【0030】
すなわち、第1の態様のいくつかの実施形態によれば、方法は、
(a)基板の基板表面上に第1のLEDスタックを形成するステップであって、第1のLEDスタックは、第1の波長を有する光を出力するように構成された半導体接合を画定する複数のIII族窒化物層を備え、半導体接合のn型側は、基板表面に向けて配向される、ステップと、
(b)第1のLEDスタック上にp++層を形成するステップであって、p++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
(c)第1のLEDスタックの第1の部分およびp++層の第1の部分が設けられたLEDアレイの第1の部分と、第1のLEDスタックおよびp++層が選択的に除去されたLEDアレイの第2の部分とを画定するために、第1のLEDスタックの部分およびp++層を選択的に除去するステップと、
(d)p++層を覆うようにLEDアレイの第1の部分および第2の部分の上にn++層を形成するステップであって、n++層とp++層との間の界面にトンネル接合が形成され、n++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
(e)n++層上に第2のLEDスタックを形成するステップであって、第2のLEDスタックは、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を出力するように構成された半導体接合を画定する複数のIII族窒化物層を備え、半導体接合のn型側は、n++層の最も近くに設けられる、ステップと、
(f)LEDアレイの第1の部分から第2のLEDスタックの部分を選択的に除去して、
第2のLEDスタックが選択的に除去されたLEDアレイの第1の部分であって、
第1のLEDスタックの第1の部分と、
p++層の第1の部分と、
第1のLEDスタックの第1の部分上にトンネル接合が設けられるように、n++層の第1の部分と、を備える、LEDアレイの第1の部分と、
LEDアレイの第2の部分であって、
n++層の第2の部分と、
n++層の第2の部分上に設けられた第2のLED構造の第1の部分と、を備える、LEDアレイの第2の部分と、を画定するステップと、を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、LEDアレイの第1の部分と第2の部分との間のLEDアレイの領域内の第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの部分を選択的に除去するステップをさらに含むことができる。例えば、方法は、
(f)LEDアレイの第1の部分とLEDアレイの第2の部分との間にトレンチを画定するために、第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの部分を選択的に除去して、第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの側壁表面を露出させるステップと、
(g)第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの側壁表面を覆うようにトレンチ内にパッシベーション層を堆積するステップと、を含むことができる。
【0032】
したがって、本開示の実施形態は、異なるネイティブLEDを有するLEDアレイを形成するための方法を提供することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、複数の第1のLEDスタックが、基板のそれぞれの第1の部分の基板表面(すなわち、第2のLEDスタックが選択的に除去されたLEDアレイの複数の第1の部分)上に形成される。いくつかの実施形態では、基板表面の複数の第2の部分を覆う第1のLEDスタックと第2のLEDスタックとの間に複数のトレンチが形成される。すなわち、いくつかの実施形態では、第1の態様による方法は、第1の波長を有する光を出力するように構成された複数のLEDと、第2の波長を有する光を出力するように構成された複数のLEDとを備えるLEDアレイを提供することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1のLEDスタックは、第1の温度におけるプロセスによって形成され、第2のLEDスタックは、第1の温度よりも低い第2の温度におけるプロセスによって形成される。したがって、第1の態様による方法は、第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックを形成するための処理温度の差を考慮してもよい。したがって、一旦形成された第1のLEDスタックは、第2のLEDスタックを形成するためのより低い処理温度に供され、それによって処理温度に関連する熱誘起効果を低減または排除する。例えば、第1のLEDスタックを形成するステップは、量子井戸層を形成する(活性層の一部を形成する)1つまたは複数のステップを含むことができる。したがって、第1のLEDスタックを形成するための第1の温度は、活性層(または活性層の量子井戸層)を形成するために使用される第1の温度であってもよい。第2のLEDスタックを形成するための第2の温度は、第2の活性層、または第2の活性層の量子井戸層を形成するための第2の温度であってもよい。第2の温度は、第1の温度よりも低い温度になる。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2の波長は第1の波長よりも長い。すなわち、本開示による方法は、まず短波長LEDを形成し、続いて長波長LEDを形成することができる。短波長LEDは、長波長LEDよりも高い処理温度を有することができる(すなわち、第1のLEDスタックの処理温度は、第2のLEDスタックの処理温度よりも高くてもよい)。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は、任意の選択的除去ステップを実行する前に、第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックを形成するステップを含む。重要なことには、第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックは、任意のパターニング(選択的除去)ステップの前に基板上に連続層として形成されてもよい。したがって、第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの形成は、LEDアレイの幾何学的形状に依存しなくてもよい。
【0037】
したがって、第1の態様のいくつかの実施形態では、LEDアレイの第2の部分は、n++層の第2の部分が設けられたp++層の第2の部分と、p++層の第2の部分が設けられた第1のLEDスタックの第2の部分と、をさらに備える。
【0038】
したがって、第1のLEDスタックの一部および第2のLEDスタックの一部を選択的に除去するステップは、第1の選択的除去ステップであって、
第2のLEDスタックの第2の部分を選択的にマスキングするステップと、
第2のLEDスタックのマスクされていない部分を選択的に除去するステップと、を含み、選択的除去ステップは、n++層で終端する、第1の選択的除去ステップと、
第2の選択的除去ステップであって、
LEDアレイの第1の部分および第2の部分を選択的にマスキングするステップと、
LEDアレイのマスクされていない部分を選択的に除去するステップと、を含む、第2の部分を選択的にマスキングするステップと、を含む。
【0039】
例えば、第1の態様による方法は、
(a)基板の基板表面上に第1のLEDスタックを形成するステップであって、第1のLEDスタックは、第1の波長を有する光を出力するように構成された半導体接合を画定する複数のIII族窒化物層を備え、半導体接合のn型側は、基板表面に向けて配向される、ステップと、
(b)第1のLEDスタック上にp++層を形成するステップであって、p++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
(c)p++層を覆うように基板の上にn++層を形成するステップであって、n++層とp++層との間の界面にトンネル接合が形成され、n++層はIII族窒化物を含む、ステップと、
(d)n++層上に第2のLEDスタックを形成するステップであって、第2のLEDスタックは、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を出力するように構成された半導体接合を画定する複数のIII族窒化物層を備え、半導体接合のn型側は、n++層の最も近くに設けられる、ステップと、
(e)基板表面上の第1のLEDスタックの部分および第2のLEDスタックの部分を選択的に除去して、
第2のLEDスタックが選択的に除去されたLEDアレイの第1の部分であって、
第1のLEDスタックの第1の部分と、
p++層の第1の部分と、
第1のLEDスタックの第1の部分上にトンネル接合が設けられるように、n++層の第1の部分と、を備える、LEDアレイの第1の部分と、
LEDアレイの第2の部分であって、
第1のLEDスタックの第2の部分と、
p++層の第2の部分と、
n++層の第2の部分と、
n++層の第2の部分上に設けられた第2のLED構造の第1の部分と、を備える、LEDアレイの第2の部分と、を画定するステップと、を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、LEDアレイの第1の部分および第2の部分は、LEDアレイの第1の部分および第2の部分を取り囲む第2のLEDスタック、p++層、n++層、および第1のLEDスタックの部分を選択的に除去することによって互いに分離されてもよい。
【0041】
本開示の第2の態様によれば、発光ダイオード(LED)アレイ前駆体が提供される。LEDアレイ前駆体は、基板と、第1のLEDスタックと、p++層と、n++層と、第2のLEDスタックとを備える。基板は、基板表面を有する。第1のLEDスタックは、基板表面の第1の部分に設けられ、第1のLEDスタックは、第1の波長を有する光を出力するように構成された第1の半導体接合を画定する複数の第1のIII族窒化物層を備え、第1の半導体接合のn型側は、基板表面に向けて配向される。p++層は第1のLEDスタック上に設けられ、p++層はIII族窒化物を含む。n++層は、第1のLEDスタックのp++層を覆う第1の部分(例えば、第1のLEDスタックのp++層の第1の部分)と、基板表面の第2の部分を覆う第2の部分とを有し、トンネル接合がn++層とp++層との間の界面に形成され、n++層はIII族窒化物を含む。第2のLEDスタックは、基板表面の第2の部分を覆うn++層の第2の部分上に設けられ、第2のLEDスタックは、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を出力するように構成された第2の半導体接合を画定する複数の第2のIII族窒化物層を備え、半導体接合のn型側は、n++層に向かって設けられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、n++層の第2の部分はp++層の第2の部分上に設けられ、p++層の第2の部分は第1のLEDスタックの第2の部分上に設けられ、第1のLEDスタックは基板表面上に設けられる。前記第1のLEDスタックを覆う前記n++層の前記第1の部分上に設けられた第1のコンタクト層、および/または前記第2のLEDスタック上に設けられた第2のコンタクト層をさらに備える。前記第1のLEDスタックを覆う前記第2のn型層と前記第1のコンタクト層との間に第1の接着層が設けられ、および/または、設けられた前記第2のコンタクト層と前記第2のLEDスタックの前記第2のp型層との間に第2の接着層が設けられる。
【0043】
第2の態様のLEDアレイ前駆体は、本開示の第1の態様による方法によって提供されてもよいことが理解されよう。したがって、第1の態様について説明した任意選択の特徴は、第2の態様のLEDアレイ前駆体にも適用することができる。
【0044】
LEDアレイ前駆体における「前駆体」という用語は、記載されたLEDアレイ前駆体が、光の放射を可能にするような各LED用の電気的コンタクトも、関連する回路も必ずしも含まないことに留意されたい。もちろん、第1の態様および第2の態様のLEDアレイ前駆体およびその形成方法は、さらなる電気的コンタクトおよび関連する回路の追加を排除しない。したがって、本開示における前駆体という用語の使用は、最終製品(すなわち、LEDアレイなどである)を含むことを意図している。
【0045】
図面の簡単な説明
本開示は、以下の非限定的な図に関連して説明される。本開示のさらなる利点は、図面と併せて考慮するとき、詳細な説明を参照することによって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1a】従来技術で知られているSAGによってLEDアレイ前駆体を形成する方法の図を示す。
図1b】従来技術で知られているSAGによってLEDアレイ前駆体を形成する方法の図を示す。
図2】本開示の第1の実施形態による方法の中間ステップの図を示す。
図3】トンネル接合における本開示の第1の実施形態による方法の中間ステップの図を示しており、第2のLEDスタックが図2の中間構造の上に形成されている。
図4】本開示の一実施形態によるLEDアレイ前駆体の図を示す。
図5】本開示の一実施形態によるLEDアレイの図を示す。
図6】本開示の第2の実施形態による方法の中間ステップの図を示す。
図7】第1のLEDスタック、トンネル接合、および第2のLEDスタックが基板上に形成される、第2の実施形態による方法の中間ステップの図を示す。
図8】第2のLEDスタックがパターニングされている、第2の実施形態による方法の中間ステップの図を示す。
図9】本開示の一実施形態によるLEDアレイ前駆体の図を示す。
図10】パッシベーション層を含むLEDアレイ前駆体の図を示す。
図11】パッシベーション層および複数のコンタクトビアを含むLEDアレイ前駆体の図を示す。
図12】ギャップ充填コンタクトを含むLEDアレイ前駆体の図を示す。
図13】ギャップ充填コンタクトおよび絶縁スペーサを含むLEDアレイ前駆体の図を示す。
図14】本開示の一実施形態によるLEDアレイの図を示す。
図15】歪み緩和層が設けられる方法の中間ステップの図を示す。
図16】歪み緩和層が設けられる方法のさらなる中間ステップの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明を実施するための形態
本開示の第1の実施形態によれば、LEDアレイ前駆体を形成する方法が提供される。第1の実施形態の方法を、図2図4を参照して以下に説明する。
【0048】
図2に示すように、基板10が設けられる。基板10は、III族窒化物を含む。例えば、図1の実施形態では、基板10はGaN層を備える。基板10は、n型ドープIII族窒化物であってもよい。図1の実施形態では、基板10はn型ドープGaNを備える。n型ドーパントは、III族窒化物、例えばSiまたはGeのための任意の適切なn型ドーパントであってもよい。基板10は、約1017~1019cm-3のドナー密度でn型ドープされてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、基板10はGaNの単一層であってもよい。他の実施形態では、基板10は、支持ウェハ上に設けられたIII族窒化物を含む層を備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、基板10は、Si、SiC、またはサファイアウェハ上に設けられた1つまたは複数のIII族窒化物層を備えてもよい。
【0050】
次に、基板10の表面上に第1のLEDスタック20が形成される。第1のLEDスタック20は、基板表面11のかなりの部分(例えば、表面全体)にわたって形成されてもよい。第1のLEDスタック20は複数の層を備える。第1のLEDスタック20の各層は、実質的に連続した層として形成されてもよい。したがって、第1のLEDスタック20は、基板表面11上に実質的に連続したスタックとして形成されてもよい。
【0051】
第1のLEDスタック20は、第1のLEDスタックが第1の波長を有する光を出力するように構成された半導体接合を形成するように、複数のIII族窒化物層を備える。当該技術分野で知られているように、半導体接合は、p型側およびn型側を有するダイオードであってもよい。したがって、第1のLEDスタックの複数の層は、半導体接合を画定するように互いに重なって配置される。
【0052】
図2の実施形態では、第1のLEDスタック20は、第1の活性層21と、第1のp型半導体層22とを備える。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1のLEDスタックはまた、第1のn型半導体層23および第1の電子ブロッキング層24のうちの1つまたは複数を備えてもよい。
【0054】
図2に示すように、第1の活性層21は、基板表面11上に形成されてもよい。第1の活性層21は、第1のLEDスタックの一部として第1の波長の光を発生するように構成される。
【0055】
図2の実施形態では、第1の活性層21は、1つまたは複数の量子井戸層(図示せず)を備えることができる。したがって、第1の活性層21は多重量子井戸層であってもよい。第1の活性層21内の量子井戸層は、III族窒化物半導体、好ましくはInを含むIII族窒化物合金を備えてもよい。例えば、図1の実施形態では、第1の活性層21は、GaNとInGa1-XNとの交互層を備えてもよく、0<X≦1である。特に、いくつかの実施形態では、第1の活性層21は、InGa1-XN層を含んでもよく、0<X≦0.2である。したがって、いくつかの実施形態におけるLEDの第1の活性層21は、少なくとも380nmおよび490nm以下の波長を有する光を出力するように構成されてもよい。量子井戸層の厚さおよびIn含有量(X)は、第1の活性層21によって生成される光の波長を制御するために制御されてもよい。第1の活性層21は、基板表面11の大部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。第1の活性層21は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)、または分子ビームエピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1のLEDスタック20は、第1の活性層21と基板10との間に設けられた第1の歪み緩和層25を備えてもよい。歪み緩和層については、図15および16を参照して以下でより詳細に説明する。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の活性層21の形成前に、第1のn型半導体層23が基板表面11上に堆積されてもよい。第1のn型半導体層23は、III族窒化物を含んでもよい。第1のn型半導体層23は、適切なドナー、例えばSiまたはGeでドープされてもよい。第1のn型半導体層23は、基板表面11の大部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。第1のn型半導体層23は、第1のLEDの第1の活性層21への電荷キャリア注入を改善することができる。
【0058】
次いで、第1のLEDスタック20のさらなる層を、第1の活性層21のうち基板表面11とは反対側に堆積することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1の電子ブロッキング層24が活性層21上に設けられる。第1の電子ブロッキング層24は、第1の活性層21のうち基板10が設けられたのとは反対の側に設けられる。第1の電子ブロッキング層24は、III族窒化物を含む。第1の電子ブロッキング層24は、活性層21の露出表面の大部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。第1の電子ブロッキング層24は、第1の活性層21から第1のLEDスタックの第1のp型半導体層22への電子の流れを減少させるように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の電子ブロッキング層24は、AlGa1-xNを含んでもよい。適切な電子ブロッキング層のさらなる詳細は、少なくともAPPLIED PHYSICS LETTERS 103、061104(2013)に見出すことができる。
【0060】
図2に示すように、第1のp型半導体層22が第1の活性層21の上に設けられる。第1のp型半導体層2は、第1の活性層21のうち基板10が設けられたのとは反対の側に設けられる。第1のp型半導体層22は、III族窒化物を含む。第1のp型半導体層22は、適切なアクセプタ、例えばMgでドープされる。第1のp型半導体層22は、約1019-1021cm-3のアクセプタ密度(NA)を有してもよい。第1のp型半導体層22は、第1の活性層22(または存在する場合には第1の電子ブロッキング層24)の露出表面の大部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1のLEDスタック20の各層は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)、または分子ビームエピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0062】
基板10上に第1のLEDスタック20を形成することにより、第1のLEDが形成されるLEDアレイ(A)の第1の部分が設けられる。第1のLEDは、第1の波長を有する光を出力することができる。
【0063】
第1のLEDスタック20の形成に続いて、第1のLEDスタック20上にp++層30が形成される。p++層30は、III族窒化物を含む。p++層30は、いくつかの実施形態では実質的に縮退したp型半導体であり得るIII族窒化物層である。例えば、p++層30は、少なくとも1020cm-3のアクセプタ密度Nを有する任意の適切なアクセプタでドープされてもよい。例えば、図2の実施形態では、p++層は、約3×1020cm-3のアクセプタ密度を有するMgでドープされたGaNを含む。したがって、p++層30は、少なくとも1019cm-3の電荷キャリア密度を有してもよい。p++層30は、トンネル接合の一部を形成するために設けられる。第1のLEDスタックの上にトンネル接合を形成することによって、Mgドープ層(すなわち、p型半導体層22およびp++層30)は、Mgドープ層の導電性に影響を及ぼし得るエッチャントに実質的にさらされない可能性がある。
【0064】
図2に示すように、p++層30の形成に続いて、p++層および第1のLEDスタック20の部分が選択的に除去される。
【0065】
例えば、図2では、選択的除去ステップはエッチングプロセスによって提供される。エッチングプロセスにおいて、第1のマスク層(図示せず)がp++層30の露出表面上に堆積されてもよい。第1のマスク層は、LEDアレイ前駆体(A)の第1の部分を形成するように意図された第1のLEDスタック20およびp++層の部分をマスクするように構成される。第1のマスク層は、LEDアレイ(B)の少なくとも第2の部分を画定するように意図された1つまたは複数の開口部を画定することができる。次いで、マスク層の開口部によって露出された第1のLEDスタック20およびp++層30の部分を、エッチャントを使用して選択的に除去することができる。図2に示すように、エッチャントは、p++層30および第1のLEDスタック20の部分を基板10までエッチング除去することができる。図1に示すように、エッチャントは、第1のLEDスタック20の層が確実に除去されるように、基板10の厚さに部分的にエッチングすることができる。次いで、第1のマスク層をp++層30から除去することができる。
【0066】
マスク層は、当技術分野における任意の既知の方法を使用して設けることができる。例えば、マスク層はリソグラフィ法を使用して設けることができる。
【0067】
図2に示すように、選択的除去ステップは、LEDアレイBの第2の部分で基板10を露出させることができる。LEDアレイの第2の部分Bの基板10の露出表面は、基板11の表面、および第1のLEDスタック20の各層と実質的に平行であってもよい。
【0068】
選択的除去ステップは、第2のLED B1が設けられるLEDアレイBの第2の部分を形成するために設けられる。第2のLED B1は、第2のLEDスタック50から形成される。第2のLED B1は、第1のLEDスタック20とは異なる(第2の)波長の出力光を有してもよい。
【0069】
図2では、第1のLEDスタック20およびp++層30の一部分のみが除去されるように示されているが、他の実施形態では、複数の部分が選択的に除去されてもよいことが理解されよう。したがって、LEDアレイ前駆体は、第2のLEDが設けられる複数の第2の部分Bを備えることができる。
【0070】
選択的除去ステップに続いて、LEDアレイA、Bの第1の部分および第2の部分の上に複数の層が形成される。図3は、図2の構造の上に前記複数の層を形成した後に形成された中間構造の一例を示す。
【0071】
したがって、図3に示すように、n++層40および第2のLEDスタック50が、図2の中間構造の上に形成される。
【0072】
まず、p++層30の表面にn++層40を形成する。n++層40は、III族窒化物を含む。例えば、n++層は、少なくとも1019cm-3のドナー密度Nを有する任意の適切なドナーでドープされてもよい。例えば、図3の実施形態では、n++40層は、約3×1019cm-3のドナー密度を有するSiでドープされたGaNを含む。したがって、n++層40は、少なくとも1019cm-3の電荷キャリア密度を有することができる。n++層40は、それが設けられたp++層30と組み合わせてトンネル接合を形成するために設けられる。第1のLEDスタックの上にトンネル接合を形成することによって、Mgドープ層(すなわち、p型半導体層22およびp++層30)は、その後のエッチングステップから保護される。トンネル接合を形成することによって、トンネル接合を介して第1のLEDスタック20の活性層21に電気的に接触することが依然として可能である。したがって、第1のLEDスタック20上にトンネル接合を設けることにより、第1のLEDスタック20の電気的特性を損なうことなく、さらなるLEDスタック(すなわち、第2のLEDスタック50)を基板10上に形成およびパターニングすることが可能になる。
【0073】
図3に示すように、トンネル接合は、LEDアレイAの第1の部分の上に形成される。以前の選択的除去ステップのためにp++層30が存在しないため、LEDアレイBの第2の部分にはトンネル接合は形成されない。
【0074】
図3に示すように、n++層40は、基板表面11にわたって実質的に連続した層として形成される。LEDアレイA、Bの第1の部分と第2の部分との間の移行部分Cにおいて、n++層40は、表面に対して傾斜していてもよい。LEDアレイのこれらの移行部分Cは、後続の処理ステップで除去することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、n++層40はエッチング停止サブ層(図示せず)を備えてもよい。エッチング停止サブ層は、III族窒化物を含む。エッチストップサブ層は、n++層40の他の材料よりもエッチングに対して耐性があるn++層40のサブ層を提供するように構成されてもよい。したがって、エッチング停止層は、選択的除去プロセスを終端することができる表面を提供することができる。いくつかの実施形態では、エッチング停止サブ層は、AlGa1-ZNを含んでもよく、0<Z≦1である。適切なエッチング停止サブ層のさらなる詳細は、少なくともJpn J.Appl.Phys.第42巻(2003年)L1139-L1141ページに見出すことができる。
【0076】
例えば、いくつかの実施形態では、n++層40は、n++サブ層の間に設けられたエッチング停止サブ層を備えてもよい。n++サブ層は、上述のn++層40と実質的に同じ組成を有してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、p++層は、n++層の形成前に1つまたは複数の表面処理プロセスに供されてもよい。例えば、p++層は、n++層の形成前にアニーリングステップに供されてもよい。アニーリングステップは、p++層中のアクセプタイオン(例えばMgイオン)の活性化を高めるために設けられてもよい。p++層は、p++層をBHFに曝露する表面処理プロセスに供されてもよい。BHF処理は、n++層が形成されることになるp++層の表面付近に形成されるアクセプタイオンの濃度を打ち消すことができる。p++層に1つまたは複数の表面処理プロセスを適用することによって、n++層とp++層との間に形成されるトンネル接合の抵抗を低減することができる。このように、p++層およびn++層の堆積は、エクスサイチュ表面処理ステップによって分離された2つの異なる堆積ステップで行われてもよい。このような方法は、アクセプタイオン(例えば、Mg)のp++層からn++層への拡散を低減または防止することができる。適切な表面処理プロセスのさらなる詳細は、少なくともSeungGeun Leeらによる2018年の Appl.Phys.Express11 062703に見いだすことができる。
【0078】
n++層40の形成に続いて、第2のLEDスタック50をn++層40上に設けることができる。図3において、第2のLEDスタック50は、n++層40のうちp++層30が設けられた側とは反対側に設けられる。第2のLEDスタック50は、n++層40のかなりの部分(例えば、n++層40の全体)にわたって形成されてもよい。第2のLEDスタック50は、複数の層を備える。第2のLEDスタック50の各層は、実質的に連続した層として形成されてもよい。したがって、第2のLEDスタック50は、実質的に連続したスタックとして形成されてもよい。
【0079】
第2のLEDスタック50は、第2のLEDスタック50が第2の波長を有する光を出力するように構成された半導体接合を形成するように、複数のIII族窒化物層を備える。当該技術分野で知られているように、半導体接合は、p型側およびn型側を有するダイオードであってもよい。したがって、第2のLEDスタック50の複数の層は、半導体接合を画定するように互いに重なって配置される。第2のLEDスタック50のn型側は基板10に向かって設けられ、第2のLEDスタック50のp型側は反対側にある。したがって、第2のLEDスタックは、第1のLEDスタック20の半導体接合と同じ向きの半導体接合を画定する。
【0080】
図3の実施形態では、第2のLEDスタック50は、第2の活性層51と、第2のp型半導体層52とを備える。
【0081】
いくつかの実施形態では、第2のLEDスタック50はまた、第2のn型半導体層53および第2の電子ブロッキング層54のうちの1つまたは複数を備えてもよい。このように、第2のLEDスタックは、第1のLEDスタック0と同様の構造を有してもよい。
【0082】
図3に示すように、第2の活性層51は、n++層40の露出表面上に形成されてもよい。第2の活性層51は、第2のLEDスタックの一部として第2の波長の光を発生するように構成される。
【0083】
図3の実施形態では、第2の活性層51は、1つまたは複数の量子井戸層(図示せず)を備えることができる。したがって、第2の活性層51は多重量子井戸層であってもよい。第2の活性層51内の量子井戸層は、III族窒化物半導体、好ましくはInを含むIII族窒化物合金を備えてもよい。このように、第2の活性層51は、第1のLEDスタック20の第1の活性層21と同様の全体構造を有してもよい。例えば、図3の実施形態では、第2の活性層1は、GaNとInX2Ga1-X2Nとの交互層を備えてもよく、0<X2≦1である。特に、いくつかの実施形態では、第2の活性層は、第2の波長が第1の波長よりも長くなるように設けられてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第2の活性層は、前記層のIn含有量(X2)が第1の活性層21のそれぞれの層のIn含有量(X1)よりも大きいInX2Ga1-X2N層を備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2の活性層は、0<X2≦0.5、または0.2≦X2≦0.5であるInX2Ga1-X2N層を備えてもよい。
【0084】
したがって、第2の活性層51は、少なくとも490nmの波長を有する光を出力するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の活性層51は、510nm~580nmの範囲の波長を有する実質的に緑色の光を出力するように構成されてもよい。量子井戸層の厚さおよびIn含有量(X2)は、第2の活性層51によって生成される光の波長を制御するために制御されてもよい。第2の活性層51は、n++層40の大部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。第2の活性層51は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)、または分子ビームエピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、第2のLEDスタック50は、第2の歪み緩和層55を備えてもよい。第1の歪み緩和層25および第2の歪み緩和層55のさらなる説明は、図15および図16を参照して以下に提供される。
【0086】
いくつかの実施形態では、第2の活性層51を形成する前に、第2のn型半導体層53がn++層40上に堆積されてもよい。第2のn型半導体層53は、III族窒化物を含んでもよい。第2のn型半導体層53は、適切なドナー、例えばSiまたはGeでドープされてもよい。第2のn型半導体層53は、n++層40の大部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。第2のn型半導体層53は、LED前駆体の第2の活性層51への電荷キャリア注入を改善することができる。
【0087】
次いで、第2のLEDスタック50のさらなる層を、第2の活性層51のうちn++層40とは反対側に堆積することができる。
【0088】
第1のLEDスタックと同様に、いくつかの実施形態では、第2の電子ブロッキング層54が第2の活性層51上に設けられてもよい。電子ブロッキング層54は、第2の活性層51のうちn++層40が設けられたのとは反対の側に設けられてもよい。第2の電子ブロッキング層54は、第1の電子ブロッキング層24と同様に設けられてもよい。
【0089】
図3に示すように、第2のp型半導体層52が第2の活性層51の上に設けられる。第2のp型半導体層51は、第2の活性層51のうちn++層40が設けられたのとは反対の側に設けられる。第2のp型半導体層52は、上述した第1のp型半導体層22と同様に設けられてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、第2のLEDスタック50の各層は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)、または分子ビームエピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0091】
第2のLEDスタック50の形成に続いて、LEDアレイA、Bの第1の部分および第2の部分を画定するために、第2のLEDスタック50をパターニングすることができる。
【0092】
本開示の第1の実施形態によれば、LEDアレイAの第1の部分上に形成された第2のLEDスタック50の第1の部分を選択的に除去することができ、LEDアレイBの第2の部分上に形成された第2のLEDスタック50の第2の部分は保持される(すなわち、選択的に除去されない)。第2のLEDスタック50の第1の部分は、第1のLEDスタック20をパターニングするための上述のプロセスと同様のエッチングプロセスによって選択的に除去されてもよい。重要なことには、第2のLEDスタックを選択的に除去するプロセスは、第2のLEDスタックの下に設けられたn++層40上で終端することができる。したがって、例えばエッチングによって第2のLEDスタック50を選択的に除去するステップは、第1のLEDスタック20、特に第1のLEDスタック20内のMgドープ(すなわちp型)層の電気的特性を損なうことなく実行することができる。
【0093】
図4は、上記方法により形成されたLEDアレイ前駆体の一例を示す。図4に示すように、LEDアレイ前駆体は、第2のLEDスタック50が選択的に除去されたLEDアレイAの第1の部分を備える。LEDアレイAの第1の部分は、第1のLEDスタック20aの第1の部分と、p++層30aの第1の部分と、
第1のLEDスタックの第1の部分上にトンネル接合が設けられるように、n++層40aの第1の部分と、を備える。LEDアレイ前駆体はまた、n++層40bの第2の部分を備える第2の部分Bと、n++層40bの第2の部分上に設けられた第2のLEDスタック50bの第1の部分とを備える。
【0094】
したがって、LEDアレイ前駆体を形成する方法は、異なる波長を有するLEDを形成するための別個の領域を有するアレイを提供することができる。したがって、第1の実施形態の方法によって形成されたLEDアレイ前駆体は、第1の波長(例えば、青色光)の1つ以上のLEDが形成され得る第1の部分を有する。LEDアレイ前駆体はまた、第2の波長(例えば、緑色または赤色)のLEDが形成され得る1つまたは複数の第2の部分を有する。
【0095】
図4に示すように、LEDアレイ前駆体をさらに処理して、第1および第2のLEDアレイ部分を互いに分離してもよい。したがって、本方法は、第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの層を選択的に除去して第1のLEDスタックおよび第2のLEDスタックの側壁表面を露出させることによって、LEDアレイの第1の部分とLEDアレイの第2の部分との間にトレンチを形成するステップをさらに含むことができる。したがって、LEDアレイの第1の部分Aと第2の部分Bとの間の移行部分Cは、選択的除去プロセス、例えばエッチングプロセスによって除去することができる。
【0096】
LEDアレイ1は、LEDアレイを提供するためにさらなる処理ステップに供されてもよい。図4のLED前駆体から形成されたLEDアレイの一例を図5に示す。
【0097】
図5の実施形態では、LEDアレイ前駆体Aの第1の部分は、第1のLED A1を提供するように処理されており、LEDアレイ前駆体の第2の部分は、第2のLED B1を提供するように処理されている。
【0098】
図5の第1のLEDおよび第2のLEDは、LEDアレイの第1の部分および第2の部分A、Bの上にパッシベーション層60を堆積することによって形成されている。パッシベーション層60は、電気絶縁体であってもよい。パッシベーション層60は、例えば、SiOを含んでもよい。
【0099】
金属を含むコンタクトビア71、72、73、74、75、76がパッシベーション層60を貫通して形成され、各LEDのそれぞれのp側およびn側に適切な電気的コンタクトを提供している。第1のコンタクトビア71、72、73、74の各々は、半導体接合のn型側に接触するように構成されてもよい。例えば、第1のコンタクトビア71、72、73、74の各々はカソードコンタクトであり、Ti、Al、またはTiおよびAl金属スタックTi/Alを含むことができる。第2のコンタクトビア75は、第1のLED A1のp側に電気的に接触するように設けられている。第1のLED A1にトンネル接合が存在するため、第2のコンタクトビアはn++層40と直接電気的に接触し、LED A1のアノードコンタクトである。したがって、第2のコンタクトビア75は、Ti、Al、またはTiおよびAl金属スタックを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のコンタクトビア75は、第1のコンタクトビア71、72、73、74と同じ堆積ステップで形成されてもよい。第3のコンタクトビア76は、第2のLED B1のp側に電気的に接触するように設けられている。第2のLED B1にはトンネル接合が存在しないので、第3のコンタクトビア76は第2のp型半導体層52と直接電気的に接触している。したがって、第3のコンタクトビアは、Ni/Agなどのp型GaNへのオーミックコンタクトを形成するのに適した金属を含むことができる。
【0100】
図5に示すように、続いて、図4のLEDアレイ前駆体をバックプレーン電子機器基板100に接合することができる。バックプレーン電子機器基板100は、第1のLED A1および第2のLED B1に電力を供給するように構成された接触表面および制御電子機器を備えることができる。コンタクトビア71、72、73、74、75、76とバックプレーン電子機器基板100との間に電気的コンタクトを提供するために、ギャップ充填コンタクト層110をLEDアレイ前駆体の上に堆積することができる。
【0101】
図5に示すように、基板10はまた、基板10の発光表面12a、12bをパターニングするために、さらなる選択的除去ステップに供されてもよい。発光表面12a、12bは、基板10の、第1のLED A1および第2のLED B1のそれぞれの活性層21、51とは反対の側に設けられてもよい。基板の発光表面12a、12bは、選択的除去によってその中に形成された1つまたは複数の凸レンズ構造13a、13bを有することができる。図に示すように、第1のLED A1および第2のLED B1には、それぞれ3つの凸レンズ構造13a、13bが形成されている。凸レンズ構造は、LEDの光取り出し効率を高めることができる。他の実施形態では、発光表面は、光子が発光表面12a、12bから放出される方向のランダム性が高まるように成形されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、発光表面の表面粗さを高めることができる。
【0102】
したがって、上記の開示によってLEDアレイを設けることができる。
次に、本開示の第2の実施形態によるLEDアレイ前駆体1の形成方法について説明する。第2の実施形態の方法を、図6図9を参照して説明する。
【0103】
図6に示すように、第1のLEDスタック20が基板10の基板表面に形成されている。基板10および第1のLEDスタック20は、第1の実施形態の方法に従って実質的に上記のように形成されてもよい。
【0104】
次に、第1のLEDスタック上にp++層30が形成される。p++層は、第1のLEDスタック20のうち基板10が設けられるのとは反対の側に形成されている。p++層30は、第1の実施形態の方法に従って実質的に上記のように形成されてもよい。したがって、第2の実施形態による方法は、図6に示すような中間構造を形成してもよい。図6では、基板10、第1のLEDスタック20、およびp++層30の各々は、互いにモノリシックに形成された連続層として提供される。
【0105】
次に、図7に示すように、n++層40がp++層30上に形成される。n++層40は、p++層30上に、2つの層の界面にトンネル接合が形成されるように形成される。n++層40は、第1の実施形態のn++層40と同様であってもよい。第1の実施形態の方法とは対照的に、第2の実施形態の方法では、選択的除去ステップの前に、n++層40がp++層30上に形成される。すなわち、n++層40は、p++層30のほぼ全体にわたって形成され、p++層の第1の部分30aおよびp++層の第2の部分30bを含み、LEDアレイA、Bのそれぞれの第1の部分および第2の部分を形成する。
【0106】
次に、図7に示すように、第2のLEDスタック50がn++層40上に形成される。第2のLEDスタック50は、第1の実施形態の第2のLEDスタック50と同様に形成されてもよい。第1の実施形態の方法とは対照的に、第2の実施形態の方法では、選択的除去ステップの前に、第2のLEDスタック50がn++層40上に形成される。したがって、図7の中間構造を形成することができる。図7に示すように、中間構造を構成する各層は、互いにモノリシックに形成された連続層として提供される。
【0107】
第2の実施形態の方法によれば、第1のLEDスタック20および第2のLEDスタック50のすべての層は、介在するパターニングステップなしに基板10上に形成されてもよい。したがって、第2の実施形態の方法は、第1のLEDスタック20および第2のLEDスタック50の層をLEDアレイの幾何学的形状またはレイアウトに依存せずに形成することを可能にする。重要なことには、第2のLEDスタック50の層は、選択的除去ステップ(例えばエッチング)に供されていない可能性がある表面上に形成されてもよい。そのような選択的除去ステップは、第2のLEDスタックが形成された表面に表面損傷を導入する可能性があり、これは第2のLEDスタック50の電気的および/または機械的特性に影響を及ぼす可能性がある。したがって、第2の実施形態における第2のLEDスタック50の結果として生じる層は、第2のLEDスタック50の形成前に選択的除去ステップが実施されるプロセスと比較して、改善された電気的特性で形成され得る。
【0108】
次に、選択的除去プロセスを使用して図7の中間構造がパターニングされる。本方法の第2の実施形態では、選択的除去プロセスは、最初に、第2のLEDスタックの第1の部分を含む第2のLEDスタック50の部分を除去するが、第2のLEDスタック50bの第2の部分は選択的に除去されない。選択的除去ステップは、上述のようにエッチングプロセスを使用して実行することができる。図8に示すように、エッチングプロセスは、トンネル接合のn++層40上で終端することができる。したがって、トンネル接合を提供することにより、Mgドーピングを備える層(例えば、p++層30)上で終端することなくエッチングプロセスを実行することが可能になる一方で、トンネル接合を介して第1のLEDスタックに電気的に接触することが可能になる。n++層40の選択的除去プロセスを終端することにより、第2のLEDスタック50bの第2の部分のn側に電気的接触を行うことも可能になる。
【0109】
選択的除去ステップは、第2のLEDスタック50bの第2の部分がトンネル接合(n++層40およびp++層30)、第1のLEDスタック20および基板10上に設けられる、LEDアレイBの第2の部分を提供する。第2のLEDスタック50bの第2の部分は、第2のLEDスタック50bを取り囲むトンネル接合表面に対してメサ構造を形成する。すなわち、第2のLEDスタック50bの第2の部分は、n++層40によって形成された表面から延在している。
【0110】
図9は、第2の実施形態の方法によって形成されたLEDアレイ前駆体を示す。図8の中間構造の形成に続いて、構造は、LEDアレイ前駆体の第1のLED Aおよび第2のLED Bを画定するためのさらなる選択的除去ステップを受ける。
【0111】
図9に示すように、第1のLEDスタック20およびトンネル接合部(n++層40およびp++層30)の部分が選択的に除去されるさらなる選択的除去ステップが実行される。例えば、図9に示すように、第1のLEDスタック20およびトンネル接合部(n++層40およびp++層30)の部分は、第1のLEDスタック20およびトンネル接合部の第1の部分の周りで選択的に除去されて、第1のLED Aを形成する。したがって、第2の実施形態による方法は、第1のLEDスタック20aの第1の部分と、p++層30aの第1の部分とを備える第2のLEDスタックが選択的に除去される、LEDアレイAの第1の部分と、第1のLEDスタック20aの第1の部分上にトンネル接合が設けられるように、n++層40aの第1の部分とを提供する。
【0112】
第1のLEDスタック20およびトンネル接合部の部分もまた、第2のLEDスタック50bの第2の部分の周りで選択的に除去されて、第2のLED Bを形成する。したがって、第2の実施形態の方法は、n++層の第2の部分40bと、n++層の第2の部分40b上に設けられた第2のLEDスタック50bの第2の部分とを備える、LEDアレイBの第2の部分を提供する。図9に示すように、n++層の第2の部分40bおよび第2のLEDスタック50bの第2の部分は、p++層の第2の部分30bと、p++層の第2の部分30bが設けられた第1のLEDスタック20bの第2の部分とに設けられる。
【0113】
図9に示すように、選択的除去プロセスは、トンネル接合の接触部分30c、40cと、LEDアレイ(第2のLED)Bの第2の部分に隣接する第1のLEDスタックの接触部分20cとを保持することができる。n++層、p++層および第1のLEDスタックの接触部分20c、30c、40cは、LEDアレイBの第2の部分を取り囲んでもよい。接触部分20c、30c、40cは、n++層の第2の部分40bと直接電気的に接触するn++層40bの表面を提供する。したがって、n++層40b、40cは、第2のLEDスタック50bの半導体接合のn側に電気的に接触することを可能にする。第2のp型半導体層の第2の部分は、第2のLEDスタック50bの半導体接合のp側に電気的に接触するために使用されてもよい。
【0114】
図10および図11は、アレイのLED A、Bに対して1つまたは複数のコンタクトビアを形成するために本開示のいくつかの実施形態において実行され得る、LEDアレイ前駆体1のさらなる処理ステップを示す。
【0115】
図5のLEDと同様に、図10のLEDアレイ前駆体は、LEDアレイの第1の部分Aおよび第2の部分Bの上にパッシベーション層60を形成することによってさらに処理される。図10に示すように、パッシベーション層60は、LEDアレイの接触部分Cも覆っている。パッシベーション層60は、電気絶縁体であってもよい。パッシベーション層60は、例えば、SiOを含んでもよい。
【0116】
金属を含むコンタクトビア71、72、73、74、75、76がパッシベーション層60を貫通して形成され、各LEDのそれぞれのp側およびn側に適切な電気的コンタクトを提供している。例えば、図10に示すように、第1のコンタクトビア73、74は、基板10を介して第1のLED A1のn側に接触するように設けられている。第1のコンタクトビア73、74の各々は、半導体接合のn型側に接触するように構成されてもよい。例えば、第1のコンタクトビア73、74の各々は、アルミニウム(Al)か、またはTiおよびAlの層を備える二層電気コンタクトを備えることができる。第2のコンタクトビア75は、第1のLED A1のp側に電気的に接触するように設けられている。第1のLED A1にトンネル接合が存在するため、第2のコンタクトビア75はn++層40と直接電気的に接触している。したがって、第2のコンタクトビアは、n++層40へのオーミック接触を形成するように構成された適切な金属、例えば、Tiおよび/またはAlの層を備える第2のコンタクトビア75を備えてもよい。第3のコンタクトビア76は、第2のLED B1のp側に電気的に接触するように設けられている。第2のLED B1にはトンネル接合が存在しないので、第3のコンタクトビア76は第2のp型半導体層52と直接電気的に接触している。したがって、第3のコンタクトビア76は、p型層へのオーミックコンタクトを形成するように構成されてもよい。例えば、第3のコンタクトビア76は、Niの層およびAuの層と、Niの層およびAgの層とを備える二層電気コンタクトであってもよい。いくつかの実施形態では、第3のコンタクト76は、酸化インジウムスズ層を備えてもよい。第4のコンタクトビア71、72は、トンネル接合のn++層40を介して第2のLED B1のn側に接触するように設けられている。したがって、第4のコンタクトビア71、72の各々は、半導体接合のn型側に接触するように構成されてもよい。例えば、第1のコンタクトビア71、72の各々は、Alか、またはTiおよびAlの層を備える二層電気コンタクトを備えることができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、コンタクトビアの形成に続いて、LEDアレイ前駆体をバックプレーン電子機器基板100に接合することができる。図12図14は、バックプレーン電子機器基板100を組み込んだLEDアレイの形成の図を示す。
【0118】
図12では、ギャップ充填コンタクト層110がLEDアレイ前駆体の上に形成されている。例えば、図12では、図11のコンタクトビアを含むLEDアレイ前駆体の上にギャップ充填コンタクト層が設けられている。ギャップ充填コンタクト層は、Al、Cu、またはAuを含む。ギャップ充填コンタクト層は、熱蒸着または電子ビーム蒸着によって堆積されてもよい。その後、上面は、化学機械研磨プロセスによって平坦化(平坦化)されてもよい。あるいは、Cuギャップ充填コンタクトは、ピラー形態で直接電気めっきされてもよい。
【0119】
図13では、ギャップ充填コンタクト層の部分が選択的に除去され、絶縁スペーサ120に置き換えられている。絶縁スペーサ120は、各LED A1、B1に対するp側およびn側電気的コンタクトを互いに電気的に絶縁するように構成されている。このように、絶縁スペーサは、各LEDのp側コンタクト(すなわち、第2および第3のコンタクトビア75、76)を取り囲むように設けられてもよい。n側コンタクト(すなわち、第1および第4のコンタクトビア71、72、73、74)には、共通コンタクト(共通カソードコンタクト)が設けられてもよい。絶縁スペーサは、電気絶縁材料を含んでもよい。例えば、絶縁スペーサは、パッシベーション層60と同じ材料を含んでもよい。図13の実施形態では、絶縁スペーサはSiOを含む。
【0120】
図14では、図13のLEDアレイは、バックプレーン電子機器基板100に接合されている。バックプレーン電子機器基板100は、第1のLED A1および第2のLED B1に電力を供給するように構成された接触表面および制御電子機器を備えることができる。ギャップ充填コンタクト層110は、コンタクトビア71、72、73、74、75、76とバックプレーン電子機器基板100との間の電気的接触を提供する。
【0121】
図14に示すように、基板10はまた、基板10の発光表面12a、12bをパターニングするために、さらなる選択的除去ステップに供されてもよい。発光表面12a、12bは、基板10の、第1のLED A1および第2のLED B1のそれぞれの活性層21、51とは反対の側に設けられてもよい。基板の発光表面12a、12bは、選択的除去によってその中に形成された1つまたは複数の凸レンズ構造13a、13bを有することができる。図14に示すように、第1のLED A1および第2のLED B1には、それぞれ3つの凸レンズ構造13a、13bが形成されている。凸レンズ構造は、LEDの光取り出し効率を高めることができる。
【0122】
図14の実施形態では、基板10はまた、基板10aの第1のLED A1が設けられた部分を基板10bの第2のLED B1が設けられた部分から分離するための選択的除去ステップに供されてもよい。
【0123】
本開示のいくつかの実施形態では、第1の活性層22および/または第2の活性層52は、それぞれの第1の歪み緩和層25または第2の歪み緩和層55上に形成されてもよい。したがって、第1の歪み緩和層は、第1の活性層22と基板10との間に設けられてもよい。第2の歪み緩和層55は、第2の活性層52とn++層40との間に設けられてもよい。第1の歪み緩和層25は、第1のLEDスタック20の一部として形成されてもよい。第2の歪み緩和層は、第2のLEDスタック50の一部として形成されてもよい。活性層22、52の面内格子定数と、それぞれのLEDスタック20、50が形成される構造の面内格子定数との間の格子不整合を低減するために、歪み緩和層25、55が設けられてもよい。特に、活性層が比較的長い波長(例えば、490nmを超える波長)の光を生成するように構成されている場合、歪み緩和層25、55を設けることができる。
【0124】
図15に示すように、第1の歪み緩和層25は、基板11の表面に形成されてもよい。第1の歪み緩和層25は、III族窒化物を含む。第1の歪み緩和層25は、第1の歪み緩和層25のうち基板10とは反対の側に第1の歪み緩和表面26を含む。
【0125】
したがって、上述の実施形態によるLEDアレイ前駆体が設けられてもよい。LEDアレイ前駆体は、基板上にモノリシックに形成された複数のネイティブLEDを提供する。したがって、本開示の方法は、複数の異なる色のネイティブLEDを基板10上にモノリシックに形成する方法を提供する。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16