IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-マイクロLED振幅制御システム 図1A
  • 特許-マイクロLED振幅制御システム 図1B
  • 特許-マイクロLED振幅制御システム 図2A
  • 特許-マイクロLED振幅制御システム 図2B
  • 特許-マイクロLED振幅制御システム 図3A
  • 特許-マイクロLED振幅制御システム 図3B
  • 特許-マイクロLED振幅制御システム 図4
  • 特許-マイクロLED振幅制御システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】マイクロLED振幅制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/325 20200101AFI20231120BHJP
   H05B 45/44 20200101ALI20231120BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20231120BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20231120BHJP
   H05B 45/33 20200101ALI20231120BHJP
   G09G 3/32 20160101ALI20231120BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H05B45/325
H05B45/44
H05B45/10
H05B45/20
H05B45/33
G09G3/32 A
G09G3/20 611A
G09G3/20 641A
G09G3/20 641C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022512747
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2020047246
(87)【国際公開番号】W WO2021041160
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】62/890,853
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/997,058
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ロペス ジュリア,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ボンヌ,ロナルド ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジー フア
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0053342(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/325
H05B 45/44
H05B 45/10
H05B 45/20
H05B 45/33
G09G 3/32
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第1グループ及び第2グループを定義することであり、前記第1グループは、Q点での電流以上の平均電流を有するピクセルを含み、前記第2グループは、前記Q点での電流未満の平均電流を有するピクセルを含み、前記Q点は、電流密度に対する外部量子効率(EQE)の関係を表すグラフ曲線上で前記EQEがピークとなる点である、前記定義することと、
前記別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第1グループへ供給される振幅信号を選択的に変調し、更に、固定デューティサイクルパルス幅変調信号を供給することと、
前記別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第2グループへ供給される振幅信号を固定し、更に、変調デューティサイクルを供給することと
を有する、発光ダイオード(LED)アレイの制御方法。
【請求項2】
前記第1グループは、直流(DC)モード100%デューティサイクルを供給される、
請求項1に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項3】
前記第1グループの振幅信号は、電流振幅IampiとデューティサイクルDiとの乗算式Iampi×Diに従ってセットされる、
請求項1に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項4】
前記第2グループの振幅信号は、前記Q点での電流IQにセットされ、前記変調デューティサイクルは、デューティサイクルDiに電流振幅Iampiを乗じて更に前記Q点での電流IQで除した式Di×Iampi/IQに応じてセットされる、
請求項1に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項5】
別々にアドレッシングされるLEDピクセルの更なるグループが決定され、各グループが、定義された振幅を有する、
請求項1に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項6】
前記別々にアドレッシングされるLEDピクセルは、画像処理ユニットによって供給された画像を提示する、
請求項1に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項7】
別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第1グループ及び第2グループであり、前記第1グループは、Q点での電流以上の平均電流を有するピクセルを含み、前記第2グループは、前記Q点での電流未満の平均電流を有するピクセルを含み、前記Q点は、電流密度に対する外部量子効率(EQE)の関係を表すグラフ曲線上で前記EQEがピークとなる点である、前記第1グループ及び前記第2グループと、
振幅信号を選択的に調整することができるデジタル-アナログコントローラ(DAC)モジュールと、
前記LEDピクセルの第1グループに、固定デューティサイクル及び変調振幅に対応する第1信号を供給し、前記LEDピクセルの第2グループに、前記DACモジュールで信号振幅をセットしかつデューティサイクルを変調することによって当該LEDピクセルへの不変な平均ピクセル電流を維持するよう変調された第2信号を供給するように前記DACモジュールとともに作動するパルス幅変調器と
を有する、発光ダイオード(LED)のための制御システム。
【請求項8】
前記第1グループの前記第1信号の固定デューティサイクルは、直流(DC)モード100%デューティサイクルである、
請求項7に記載の、LEDアレイのための制御システム。
【請求項9】
前記DACモジュールは、複数のDACユニットを更に含む、
請求項7に記載の、LEDアレイのための制御システム。
【請求項10】
前記別々にアドレッシングされるLEDピクセルは、画像処理ユニットによって供給された画像を提示する、
請求項7に記載の、LEDアレイのための制御システム。
【請求項11】
別々にアドレッシングされるLEDピクセルの複数のグループと、
前記別々にアドレッシングされるLEDピクセルの複数のグループの夫々へ供給される振幅信号を選択的に調整することができるDACモジュールと
を更に有する、
請求項7に記載の、LEDアレイのための制御システム。
【請求項12】
前記第2グループは、前記第1グループへ供給される振幅信号よりも低く固定された振幅信号を有する、
請求項7に記載の、LEDアレイのための制御システム。
【請求項13】
前記第2グループは、前記Q点での電流IQに固定された信号振幅を有する、
請求項7に記載の、LEDアレイのための制御システム。
【請求項14】
別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第1グループ及び第2グループを設けることであり、前記第1グループは、Q点での電流以上の平均電流を有するピクセルを含み、前記第2グループは、前記Q点での電流未満の平均電流を有するピクセルを含み、前記Q点は、電流密度に対する外部量子効率(EQE)の関係を表すグラフ曲線上で前記EQEがピークとなる点である、前記設けることと、
固定デューティサイクルパルス幅変調信号及び変調振幅信号を前記第1グループに供給することと、
変調デューティサイクルに対応するパルス幅変調信号及び固定振幅信号を前記第2グループに供給することと
を有する、発光ダイオード(LED)アレイの制御方法。
【請求項15】
前記固定デューティサイクルパルス幅変調信号は、直流(DC)モード100%デューティサイクルである、
請求項14に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項16】
前記別々にアドレッシングされるLEDピクセルは、画像処理ユニットによって供給された画像を提示する、
請求項14に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項17】
前記第2グループは、前記第1グループへ供給される振幅信号よりも低く固定された振幅信号を有する、
請求項14に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項18】
前記第2グループは、前記Q点での電流IQに固定された信号振幅を有する、
請求項14に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項19】
別々にアドレッシングされるLEDピクセルの更なるグループが決定され、各グループが、定義された振幅を有する、
請求項14に記載の、LEDアレイの制御方法。
【請求項20】
前記別々にアドレッシングされるLEDピクセルは、画像処理ユニットによって供給された画像を提示する、
請求項14に記載の、LEDアレイの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、画像性能を改善するマイクロ発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)パルス幅変調(Pulse Width Modulation,PWM)回路及び振幅制御システムに関係がある。技術は、大規模なマイクロLEDピクセルアレイに基づいた照明システムに使用可能である。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ又はイメージングのためのマイクロLEDアレイは、照明及びディスプレイ産業における新興技術である。マイクロLEDアレイは、能動的に発光し、個別的に制御可能である数千から数百万個の微視的なLEDピクセルの1つ以上のアレイを含む。マイクロLEDは、従来の液晶表示(LCD)又は有機LED(OLED)ディスプレイよりも高い輝度及びより良いエネルギ効率を有することできるので、テレビ、自動車用ヘッドライト、携帯電話機、家、建物、又は建築照明のような用途にとってそれらを魅力的なものとする。
【0003】
画像を表示するために、アレイ上の異なる位置にある個々のマイクロLEDピクセルの電流レベルは調整される。ある周波数でピクセルをオン及びオフするパルス幅変調(PWM)制御システムが使用され得る。通常、各LEDモジュールは、ある周波数で、周期に対するターンオン時間の特定の比率(しばしばデューティサイクルと呼ばれる。)で、オン及びオフを切り替えるPWM電流源によって駆動される。PWM動作中、ピクセルを通る平均直流(Direct Current,DC)は、次の式で記載されるように、電流振幅と、導通時間と周期又はサイクル時間との間の比(デューティサイクルと呼ばれる。)との積である:

Iavg=Iampi×Di (式1)

式中、Iavgは、平均ピクセル電流であり、Iampiは、画像振幅であり、Diは、ピクセルデューティサイクルである。電流源のPWMデューティサイクル及び電流振幅は、アプリケーションによって必要とされる各LEDモジュールの個別的な制御を達成するために異なる可能性がある。従来のPWMベースのイメージン技術では、システム制御ユニットは、画像に基づき各ピクセルのデューティサイクル値を決定し、それらを画像データフレームによりLEDピクセル、ピクセル制御ユニット、及び様々なドライバ回路へ送る。電流振幅は、全てのピクセルに対して同じに保たれることができ、異なる画像ごとに変化し得る。従って、個々のデューティサイクルは、画像のパターンをセットし、一方、振幅は、アレイ全体の明るさを調整して全体的な調光(dimming)をもたらすよう一定又は集合的な変数のどちらかである。調光機能はまた、デューティサイクルを調整することによって達成可能である。
【0004】
残念ながら、このような従来のPWM調光は、選択された電流密度が、ピーク外部量子効率(External Quantum Efficiency,EQE)をもたらす電流密度と一致しない場合に、非効率的な電力利用を引き起こす可能性がある。EQEは、デバイスを通過する電子の数に対するLEDから放出された光子の数の比率の指標である。デバイスの低EQEは、深刻な電力問題に既に直面しているLEDの大規模なマトリクスピクセルアレイにとって特に重要であり得る。数千個の発光ピクセルの個々の光強さは、無駄な電力使用量を最小限にしかつ不都合な熱効果を減らす電力効率的な技術で制御される必要があり得る。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態で、LEDアレイのための制御システムは、別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第1グループ及び第2グループを定義することに依存し、第1グループは、Q点での電流以上の平均電流を有するピクセルを含み、第2グループは、Q点での電流未満の平均電流を有するピクセルを含む。別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第1グループへ供給される振幅信号は、固定デューティサイクルパルス幅変調信号を更に供給しながら、選択的に変調される。いくつかの実施形態で、デューティサイクルは、DCモード100%デューティサイクルであることができる。別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第2グループへ供給される振幅信号は固定され、変調デューティサイクルが更に供給される。
【0006】
いくつかの実施形態で、別々にアドレッシングされるLEDピクセルは、マトリクスピクセルアレイを更に有する。
【0007】
いくつかの実施形態で、第1グループの振幅信号は、Iampi×Diにセットされる。
【0008】
いくつかの実施形態で、第2グループの振幅信号は、Q点にセットされ、デューティサイクルは、Di×Iampi/IQにセットされる。
【0009】
いくつかの実施形態で、別々にアドレッシングされるLEDピクセルの更なるグループが決定され、各グループが、定義された振幅を有する。
【0010】
いくつかの実施形態で、LEDアレイのための制御システムは、別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第1グループ及び第2グループと、振幅信号を選択的に調整することができるDACモジュールとを含む。DACとともに作動するパルス幅変調器は、LEDピクセルの第1グループに、固定デューティサイクル及び変調振幅に対応する第1信号を供給するために使用され得る。いくつかの実施形態で、デューティサイクルは、DCモード100%デューティサイクルであることができる。LEDピクセルの第2グループは、DACモジュールで信号振幅をセットしかつデューティサイクルを変調することによってLEDピクセルへの不変な平均ピクセル電流を維持するよう変調された第2信号を供給される。
【0011】
いくつかの実施形態で、DACモジュールは、複数のDACユニットを更に含む。DACモジュールは、別々にアドレッシングされるLEDピクセルの複数のグループの夫々へ供給される振幅信号を選択的に調整するよう構成され得る。
【0012】
いくつかの実施形態で、別々にアドレッシングされるLEDピクセルは、画像処理ユニットによって供給された画像を提示する。
【0013】
いくつかの実施形態で、別々にアドレッシングされるLEDピクセルの複数のグループが決定される。
【0014】
いくつかの実施形態で、第2グループは、第1グループへ供給される振幅信号よりも低く固定された振幅信号を有する。第2グループはまた、ピークEQE及びより低い全体的なシステム電力使用量に近づくよう固定された振幅を有することもできる。
【0015】
いくつかの実施形態で、LEDアレイの制御方法は、別々にアドレッシングされるLEDピクセルの第1グループ及び第2グループを設けることを含む。第1グループは、固定デューティサイクルに対応するパルス幅変調信号と、変調振幅信号とを供給される。いくつかの実施形態で、固定デューティサイクルは、DCモード100%デューティサイクルである。第2グループは、変調デューティサイクルに対応するパルス幅変調信号と、固定振幅信号とを供給される。別々にアドレッシングされるLEDピクセルの更なるグループが決定され、各グループは、定義された振幅を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】EQE対電流密度曲線に関する従来のグラフを表す。
図1B図1Aで見られるような個々のピクセルについてのEQE対電流密度曲線を示すLEDマトリクスアレイのための制御プロシージャを説明するフローチャートである。
図2A】選択的に変調されたデューティサイクル及び振幅グラフを表すグラフである。
図2B図2Aで見られるようなLEDマトリクスアレイのための制御プロシージャを説明するフローチャートである。
図3A】様々なグループ分けについて、選択的に変調されたデューティサイクル及び振幅グラフを表すグラフである。
図3B図3Aで見られるようなLEDマトリクスアレイのための制御システムを説明するフローチャートである。
図4】画像処理モジュールによって駆動されるPWM発生器を備えたピクセルマトリクスマイクロLEDアレイシステムの一実施形態である。
図5図4で見られるようなマトリクスマイクロLEDアレイシステムのチップレベル実装の一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な技術、デバイス、又はシステムが、マイクロLEDアレイシステムの全体的な電力効率を改善するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態で、高ルーメンピクセルの各々のサブセットは、異なるPWM電流振幅を用いて駆動され得る。更なる他の技術は、様々なピクセルグループ分けにとって適切な複数の振幅ステップを定義することを含む。LEDピクセル動作を変更することに加えて、総電力損失を最小限にする最適な動作電流は、ピクセルドライバ及びインターコネクト設計を考慮した後でシフトされ得る。これらの技術、デバイス、又はシステムの使用は、より小さい振幅により、より低い最低平均電流をもたらし、また、アレイのダイナミック電流レンジを有効に増大させることができる。
【0018】
これらの改善された電力効率的な技術のいくつかは、図1Aのグラフ100に関して比較される。グラフ100は、どのようにLEDのための従来のPWM調光が最も高い効率で必ずしも動作しない可能性があるかを説明するのに役立つ。軸102に示される外部量子効率(EQE)は、LED効率を決定するのを助けることができるパラメータである。EQEは、軸104に占めあれるLED電流密度の関数である。通常、EQE値が大きければ大きいほど、効率はますます高くなる。図1Aのグラフ100は、EQE対電流密度の曲線の例を表す。この例で、曲線106は、電流密度のQ点110と呼ばれるピークを持ったEQEを有する。L点112のような、Q点110に満たない電流密度での、又はM点114及びN点116のような、Q点110よりも大きい電流密度でのEQE値は、低下する。PWM制御システムがQ点110での電流密度に対応する電流振幅(ピクセルエリアにわたる電流振幅に等しい。)を選択する場合に、ピクセルアレイの効率は最適化される。多くのアプリケーションで、しかしながら、これはしばしば当てはまらない。限られたLEDダイエリア内で最大の電力及び光出力を達成するために、PWM振幅は、密度をQ点110よりもむしろM点114又はN点116に低下させるようしばしば設計される。従来のマイクロLEDアレイでは振幅は全てのピクセルについて同じであるから、全てのピクセルは、それらが可能であるよりも非効率的に作動する。
【0019】
上述されたように、改善された電力効率は、アレイのピクセルの他のサブセットとは異なったPWM電流振幅を用いてピクセルマトリクス内の高ルーメンピクセルのサブセットを駆動させることによって、一実施形態で実現され得る。画像を正確に提示するために、高ルーメンピクセルの動作モード(100%のデューティサイクル)は変更され得ない。高ルーメンピクセルは、最大振幅を有して又は最大画像振幅を有してDCモードで作動する必要がある。しかし、1に満たないデューティサイクルを有するピクセルについては、画像データによって必要とされる同じ平均電流を依然として維持しながら、デューティサイクルを大きくし、振幅を小さくすることが可能である。振幅は小さくなるので、電流密度は、図1Aの曲線106の右側からQ点110の方へ移動することができ、よって、EQEは改善することができる。
【0020】
いくつかの実施形態で、各ピクセルの振幅は個別的に、図1AにおいてQ点100の方へ調整され得る。その間、デューティサイクルは、不変な平均ピクセル電流を保つよう変調され得る。式(1)、画像デューティサイクル及び図1のEQE曲線を参照して、ピクセルは2つのカテゴリに分けられ得る:
1)Q点での電流、つまりIQ以上である平均電流を有するピクセルについては、振幅は、デューティサイクルを(例えば、80%、90%、若しくは100%、より小さいパーセンテージ、又はそれらの間の何らかのパーセンテージに)固定して、Iampi×Diに変調され得る。いくつかの実施形態で、デューティサイクルは、1、つまりDCモードであることができる。これは、Q点に向かう最大限の達成可能な変調である。
2)IQに満たない平均電流を有するピクセルについては、振幅はIQに固定され得る。これは、振幅をIQより更に下回らせることがEQEを下げることになるからである。デューティサイクルは、Di×Iampi/IQになる。
【0021】
いくつかの実施形態で、ピクセルドライバ及びインターコネクトの変更を含むがこれらに限られない、システムに対する変更は、最低限の総損失のために最適動作電流をシフトするために使用され得る。例えば、PWM信号をIamp×DiのDC電流に変更することは、インターコネクトの抵抗損失をIampi×DiからIampi×Diに低減させる。これはまた、LEDのEQEがQ点でピークに達するとしても、抵抗損失はその点を越えて平均電流とともに減少し続ける、ことを意味する。従って、特定の設計における抵抗損失の形状に対するEQE曲線の形状に応じて、最適な平均電流は、Q点から、より低い値へシフトし得る。
【0022】
図1Bは、図1Aで見られるような個々のピクセルについてのEQE対電流密度曲線を示すLEDマトリクスアレイのための制御プロシージャ120を説明するフローチャート120である。制御プロシージャ120の実装は、LEDマトリクスアレイ内の少なくとも一部のピクセル又はピクセルのグループが、制御可能なデューティサイクルを用いて別々に給電されることを含む。制御プロシージャは、起動時に、画像が変化するときに、予め定義された時間インターバルで、又は連続的に、電力を調整するよう実装され得る。いくつかの実施形態で、PWM制御は、LEDダイへ接続された印刷回路基板上のコントローラ若しくはパワーダイによって、又はLEDダイに取り付けられた相補型金属酸化膜半導体(CMOS)若しくは他のダイ上で、外部から供給され得る。
【0023】
フローチャート120で見られるように、ステップ122で、Q点での電流以上である平均電流を有するピクセルの第1グループが識別される。ステップ124で、Q点での電流未満の平均電流を有するピクセルの第2グループが識別される。ステップ126で、選択的に変調された振幅信号は、パルス幅変調された信号の固定デューティサイクルが供給されるように、ピクセルの第1グループへ供給される。ステップ128で、振幅信号は、パルス幅変調された信号の変調されたデューティサイクルをピクセルの第2グループへ供給するよう固定される。このプロシージャは、必要に応じて繰り返され得る。
【0024】
個別的な無段ピクセル振幅調整による他の実施は、図2A及び2Bに関して記載される。マイクロLEDアレイが設けられ、1%から100%の範囲を有する画像デューティサイクル(Di、軸202)、及び変調されたデューティサイクル(Dmod、軸204)を有することができる。EQEがピーク(0.35)に達する最適な振幅IQnは、画像振幅に正規化される。簡単のために、LED損失のみが考慮される。これは、図2Aのグラフ200で表されている。
【0025】
次の表1は、図2Aに関して説明されるシステムのための無段ピクセル振幅調整の値の具体例を表す:
【表1】
【0026】
電流が画像振幅に正規化されるので、式(1)の正規化された平均電流は1×Diになり、Diに等しい。従って、図2Aで見られるように、変調されたデューティサイクル212について、平均電流Diが0.35のIQn値を上回る場合に、ピクセルは、Diの正規化された振幅でDCモードにおいて作動する。Diが35%を下回る場合には、変調された振幅214は0.35に固定され、デューティサイクルはDi/0.35になる。
【0027】
図2Bは、図2Aに関して論じられたようなLEDマトリクスアレイのための制御プロシージャ220を説明するフローチャート220である。図1Bに関して論じられた実装と同じく、制御プロシージャ220の実装は、LEDマトリクスアレイ内の少なくとも一部のピクセル又はピクセルのグループが、制御可能なデューティサイクルを用いて別々に給電されることを含む。制御プロシージャは、起動時に、画像が変化するときに、予め定義された時間インターバルで、又は連続的に、電力を調整するよう実装され得る。いくつかの実施形態で、PWM制御は、LEDダイへ接続された印刷回路基板上のコントローラ若しくはパワーダイによって、又はLEDダイに取り付けられたCMOS若しくは他のダイ上で、外部から供給され得る。
【0028】
フローチャート220で見られるように、ステップ222で、IQn設定点が、デューティサイクルを有するピクセルについて識別される。ステップ224で、ピクセルの平均電流DiがIQn設定点を上回る場合に、変調振幅は、100%変調されたデューティサイクルでDiの正規化された振幅にセットされる。ステップ226で、ピクセルの平均電流DiがIQn設定点を下回る場合に、変調振幅は固定され、デューティサイクルは、DiをIQnで除したものにセットされる。このプロシージャは、必要に応じて繰り返され得る。
【0029】
代替のアプローチは、図1のM点114又はN点116に対応する画像振幅と、最適なQ点110との間に、複数の振幅ステップを定義することに基づくことができる。ピクセルは、画像デューティサイクルに基づきいくつかのグループに分割可能であり、各グループは、1つの共通した振幅値を有することができる。各ピクセルグループについて、振幅変調は、DCモードにおいて最も高い画像デューティサイクルでピクセルを動作させることによって、決定され得る。さもなければ、変調された振幅が更に小さくなる場合に、グループ内のそれらの最も明るいピクセルの平均電流は画像レベルよりも低くなる。残りのピクセルは、変調された振幅及びデューティサイクルでPWMモードにおいて作動することができる。
【0030】
一例で、各ピクセルの振幅は個別的の変調は、2つのカテゴリのうちの1つに該当し得る:
1)最も明るいピクセルの平均電流が最適電流IQ以上の平均電流を有しているグループについては、振幅はIampi×Dimaxに変調され得る。Dimaxは、そのグループの最大画像デューティサイクルであるで、従って、各ピクセルのデューティサイクルは、Di/Dimaxに調整され、Diは、各ピクセルの画像デューティサイクルである。
2)最も明るいピクセルがIQに満たない平均電流を有しているグループについては、振幅はIQで固定され得る。従って、各ピクセルのデューティサイクルは、Di×Iampi/IQに調整される。Diは、各ピクセルの画像デューティサイクルである。
【0031】
多重グループ変調は、振幅変調のために限られたレベルに依存するので、計算は、本明細書の別の場所で記載される図3A、3B、及び4に関して記載されるものよりも簡単であり得る。しかし、各グループ内の一部のピクセルがDCモードよりもむしろPWMで作動され得るので、効率改善はそれほど大きくない可能性がある。ステップが無限大に増えると、2つのアプローチは同じになる。
【0032】
図3Aは、様々なグループ分けについて、複数の振幅ステップを定義することに基づいたグラフを表すグラフ300である。次の表2は、4つのグループによるステップベースの変調アプローチのための値の具体例を表す:
【表2】
【0033】
明らかなように、グループ1から3は、25%の同じデューティサイクル増分を有し、一方、グループ4は、24%の増分を有する。グループ1、2及び3については、変調された振幅は、グループ内の最も明るいピクセルの平均電流であり、夫々1、0.75、及び0.5である。各々の変調されたデューティサイクルは、平均電流Diを変調された振幅で除したものであり、夫々Di、Di/0.75、及びDi/0.5である。グループ4については、0.35のIQn値が最も明るいピクセルの平均電流0.25よりも大きいので、振幅は0.35にセットされる。デューティサイクルはDi/0.35になる。これは、図3Aによってグラフで表されている。
【0034】
図3Bは、図3Aに関して論じられたようなLEDマトリクスアレイのための制御プロシージャ320を説明するフローチャート320である。図1B及び2Bに関して論じられた実装と同じく、制御プロシージャ320の実装は、LEDマトリクスアレイ内の少なくとも一部のピクセル又はピクセルのグループが、制御可能なデューティサイクルを用いて別々に給電されることを含む。制御プロシージャは、起動時に、画像が変化するときに、予め定義された時間インターバルで、又は連続的に、電力を調整するよう実装され得る。いくつかの実施形態で、PWM制御は、LEDダイへ接続された印刷回路基板上のコントローラ若しくはパワーダイによって、又はLEDダイに取り付けられたCMOS若しくは他のダイ上で、外部から供給され得る。
【0035】
フローチャート320で見られるように、ステップ322で、定義された範囲内でデューティサイクルを有するピクセルの複数のグループが識別される。ステップ324で、最も明るいピクセルは、明確な変調された振幅のために100%にセットされたデューティサイクルを有する。ステップ326で、ピクセルの各グループについて、デューティサイクルは、DiをIQnで除したものであるよう、予め定義された範囲内でセットされる。このプロシージャは、必要に応じて繰り返され得る。
【0036】
上記の実施形態で、強さは、適切な照明ロジック並びに制御モジュール及び/又はPWMモジュールを用いて各LEDピクセルについて適切なパルス幅変調を設定することによって、別々に制御及び調整され得る。これは、図4に関連して説明される。図4は、能動的に発光し、個別的に制御される数千から数百万個の微視的なLEDピクセルを含むことができるピクセルマトリクスマイクロLEDアレイを制御するのに適したピクセルマトリクス照明制御システム400を表す。画像の表示をもたらすパターン又はシーケンスで発光するために、アレイ上の異なる位置にあるマイクロLEDピクセルの電流レベルは、特定の画像に応じて個別的に調整される。
【0037】
システム400において効率的な電力利用を助ける処理モジュールが、図4には表されている。システム400は、図1A~B、図2A~B、及び図3A~Bに関して記載されたプロシージャを用いて論じられたように、振幅及びデューティサイクルのピクセル又はグループピクセルレベルの制御を実装することができる制御モジュール402を含む。いくつかの実施形態で、システム400は、画像を生成、処理、又は伝送する画像処理モジュール404と、必要な制御データ又は命令を伝送するよう構成される、I2C(Inter-Integrated Circuit)、SPI(Serial Peripheral Interface)、CAN(Controller Area Network)、UART(Universal Asynchronous Transmitter/Receiver)、などのような、デジタル制御インターフェース406とを更に含む。デジタル制御インターフェース406及び制御モジュール402は、システムマイクロコントローラと、外部デバイスから制御入力を受け取るよう構成される任意のタイプの有線又は無線モジュールとを含み得る。例として、無線モジュールは、Bluetooth(登録商標)、Zigbee、Z-wave、mesh、WiFi、近距離通信(Near Field Communication,NFC)、及び/又はピア・ツー・ピアモジュールが使用され得ることを含んでもよい。マイクロコントローラは、LED照明システムに埋め込まれて、LEDシステム内の有線又は無線モジュール、あるいは他のモジュールから入力を受け取り、それに基づき制御信号を他のモジュールへ供給するよう構成され得るか又は構成可能である任意のタイプの専用コンピュータ又はプロセッサであってよい。マイクロコントローラ又は他の適切な制御モジュール402によって実装されるアルゴリズムは、専用プロセッサによる実行のために非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれているコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアで実装されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の例には、リード・オンリー・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、及び半導体メモリデバイスがある。メモリは、マイクロコントローラの部分として含まれてよく、あるいは、印刷回路若しくは電子基板上又はその他の別の場所で実装されてもよい。
【0038】
本明細書で使用される「モジュール」という用語は、1つ以上の電子基板に半田付けされ得る個々の回路基板上に配置された電気及び/又は電子部品を指し得る。「モジュール」という用語は、ただし、同様の機能を提供するが、同じ領域内又は異なる領域内の1つ以上の回路基板に個別的に半田付けされ得る電気及び/又は電子部品も指し得る。
【0039】
明らかなように、いくつかの実施形態で、変調計算は、制御モジュール402によって、変調された画像を直接に生成することを通じて行われてよい。代替的に、標準画像ファイルが、変調を提供するよう処理されるか又は別なふうに変換され得る。PWMデューティサイクル値を主に含む画像データは、画像処理モジュール404において全てのピクセルについて処理される。振幅は固定値又はまれにしか変更されない値であるから、振幅に関連したコマンドは、上記の有線又は無線インターフェースのような、デジタルインターフェースを通じて別個に与えられ得る。制御モジュール402はデジタルデータを解釈し、それから、デジタルデータは、PWM発生器412によって、ピクセルのための変調されたPWM信号Dmodを生成するために使用され、また、DACモジュール410によって、必要な電流源振幅を得るための制御信号を生成するために使用され得る。次に、変調された振幅及びPWMデューティサイクルは、m個のピクセルユニットを含むピクセルマトリクス420へ結合される。各ピクセルユニットは、マイクロLEDと、変調されたデューティサイクルを用いるPWMスイッチと、変調された振幅を用いる電流源とから成る。
【0040】
いくつかの実施形態で、DACモジュール410は、複数のDACユニットを含んでもよく、その総数nは、ピクセルの総数m以下である。変調分解能又はステップは、DACモジュール410の動作に必要なビットの数を決定する。より細かい分解能又は振幅ステップの数の増加は、より多くのビット及びより大きいDACモジュールを必要とし得る。例えば、図2A~2Bに関して説明された振幅パーティション方法は、複数の2ビットDACモジュール410ユニットを含むことができ、一方、図3A~3Bに関して説明されたような、より複雑なグループ分け振幅スキームは、より多くのビットを含み、より多くの処理出力を消費する可能性がある。
【0041】
図5は、図4に関して論じられたような機能を支援するシステム500のチップレベルの実装の実施形態をより詳細に表す。システム500は、図1B図2B図3B、及び図4に関して論じられた回路構成及びプロシージャのための振幅及びデューティサイクルのピクセル又はグループピクセルレベルの制御を実装することができるコマンド及び制御モジュール516を含む。いくつかの実施形態で、システム500は、アクティブLEDマトリクス520へ供給され得る生成又は処理された画像を保持するフレームバッファ510を更に含む。他のモジュールは、制御データ又は命令を伝送するよう構成される、I2Cシリアルバス(512)又はSPI514のようなデジタル制御インターフェースを含むことができる。
【0042】
動作中、システム500は、SPIインターフェース514を介して到着する、車両又は他のソースからの画像又は他のデータを受け入れることができる。連続画像又はビデオデータは、画像フレームバッファ510に格納され得る。画像データが利用可能でない場合には、スタンバイ画像バッファ511に保持されている1つ以上のスタンバイ画像が、画像フレームバッファ510に向けられ得る。そのようなスタンバイ画像は、例えば、車両の法的に許可されたロービーム(low beam)ヘッドランプ放射パターン、又は建築照明若しくはディスプレイのためのデフォルト光放射パターンと一致する強さ及び空間パターンを含むことができる。
【0043】
動作中、画像内のピクセルは、アクティブマトリクス内の対応するLEDピクセルの応答を定義するために使用され、LEDピクセルの強さ及び空間変調は画像に基づく。データレート問題を低減するために、ピクセルのグループ(例えば、5×5ブロック)は、いくつかの実施形態では、単一のブロックとして制御され得る。いくつかの実施形態で、高速及び高データレート動作がサポートされ、連続する画像からのピクセル値は、30Hzから100Hzの間のレートで画像シーケンスの連続するフレームとしてロードすることができ、60Hzが典型的である。パルス幅変調を使用して、画像フレームバッファ510に保持されている画像に少なくとも部分的に依存するパターン及び強さで発光するよう各ピクセルを制御することができる。
【0044】
いくつかの実施形態で、システム500は、Vddピン及びVssピンによりロジック電力を受けることができる。アクティブマトリクスは、複数のVLED及びVcathodeピンによってLEDアレイ制御のための電力を受ける。SPI514は、単一のマスタによるマスタ-スレーブアーキテクチャを用いてフルデュプレクスモード通信を提供することができる。マスタデバイスは、読み出し及び書き込みのためのフレームを発する。複数のスレーブデバイスは、個々のスレーブ選択(Slave Select,SS)ラインによる選択を通じてサポートされる。入力ピンは、マスタ出力スレーブ入力(Master Output Slave Input、MOSI)、マスタ入力スレーブ出力(Master Input Slave Output,MISO)、チップセレクト(SC)、及びクロック(CLK)を含むことができ、それらは全て、SPIインターフェース514へ接続されている。SPIインターフェース514は、アドレスジェネレータ、フレームバッファ、及びスタンバイフレームバッファへ接続する。ピクセルは、コマンド及び制御モジュールによってセットされたパラメータ及び(例えば、フレームバッファへの入力前のパワーゲーティングによって、又はフレームバッファからの出力後にパルス幅変調若しくはパワーゲーティングにより)変更された信号又は電力を有することができる。SPIインターフェース514は、アドレス生成モジュール518へ接続され得る。アドレス生成モジュール518は、行及びアドレス情報をアクティブマトリクス520へ供給する。アドレス生成モジュール518は、フレームバッファアドレスをフレームバッファ510へ供給することができる。
【0045】
いくつかの実施形態で、コマンド及び制御モジュール516は、I2Cシリアルバス512を介して外部制御され得る。7ビットアドレス指定を有するクロック(SCL)ピン及びデータ(SDA)ピンがサポートされ得る。コマンド及び制御モジュール516は、デジタル-アナログ変換器(DAC)及び2つのアナログ-デジタル変換器(ADC)を含むことができる。これらは夫々、接続されたアクティブマトリクスのVbiasを設定し、最大Vfを決定するのを助け、システム温度を決定するために使用される。また、アクティブマトリクス520のパルス幅変調振動(PWMOSC)周波数を設定するための発振器(OSC)も接続されている。一実施形態で、診断、較正、又は試験を目的としたアクティブマトリクス内の個々のピクセル又はピクセルブロックのアドレスを可能にするようバイパスラインも存在する。アクティブマトリクス520は、データライン、バイパスライン、PWMOSCライン、Vbiasライン、及びVfラインにより供給される、個々のピクセルをアドレス指定するために使用される行及び列選択によって、更にサポートされ得る。
【0046】
理解されるように、いくつかの実施形態で、記載されている回路構成及びアクティブマトリクスLED520はパッケージ化され、任意に、給電及び半導体LEDによる光生成の制御のために接続されたサブマウント又は印刷回路基板を含むことができる。ある実施形態では、印刷回路基板は、電気ビア、ヒートシンク、接地面、電気トレース、及びフリップチップ若しくは他の実装システムを含むこともできる。サブマウント又は印刷回路基板は、セラミック、シリコン、アルミニウム、などの任意の適切な材料から形成されてよい。サブマウント材料が導電性である場合に、絶縁層が基板材料の上に形成され、金属電極パターンが絶縁層の上に形成される。サブマウントは、LEDの電極と電源との間の電気インターフェースを提供し、更にヒートシンクも提供する機械支持体として機能することができる。
【0047】
いくつかの実施形態で、アクティブマトリクス520は、様々なタイプ、サイズ、及びレイアウトの発光素子から形成され得る。一実施形態で、個別的にアドレッシング可能な発光ダイオード(LED)の1次元又は2次元マトリクスアレイが使用され得る。N及びMが夫々、2から1000の間にあるとして、一般的に、N×Mのアレイが使用され得る。個々のLED構造は、正方形、長方形、六角形、多角形、円形、弧状、又は他の表面形状を有することができる。LEDアセンブリ又は構造のアレイは、幾何学的にまっすぐな行及び列、千鳥状の行又は列、曲線、あるいは、準ランダム又はランダムなレイアウトで配置可能である。LEDアセンブリは、個別にアドレッシング可能なピクセルアレイもサポートされるように形成された複数のLEDを含むことができる。いくつかの実施形態で、LEDへの導電線の放射状又は他の非長方形のグリッド配置が使用され得る。他の実施形態では、LEDへの導電線の湾曲、巻線、曲がりくねった、及び/又は他の適切な非線形配置が使用され得る。
【0048】
いくつかの実施形態で、マイクロLED(μLED又はuLED)のアレイが使用され得る。uLEDは、100μm×100μmよりも小さい横寸法を有している高密度ピクセルをサポートすることができる。いくつかの実施形態で、直径又は幅が約50μm以下の寸法を有するuLEDが使用され得る。そのようなuLEDは、赤、青、及び緑の波長を含むuLEDを近接して整列させることにより、カラーディスプレイの製造に使用できる。他の実施形態では、uLEDは、モノリシック窒化ガリウム(GaN)又は他の半導体基板上に画定されるか、セグメント化されて、部分的又は完全に分割された半導体基板上に形成されるか、あるいは、個別的に形成されるか又はuLEDのグループとしてパネルアセンブリされ得る。いくつかの実施形態で、アクティブマトリクス520は、センチメートルスケールの面積以上である基板上に配置された少数のuLEDを含むことができる。いくつかの実施形態で、アクティブマトリクス520は、センチメートルスケールの面積以下である基板上に一緒に配置された数百、数千、又は数百万個LEDを含むuLEDピクセルアレイをサポートすることができる。いくつかの実施形態で、uLEDは、30ミクロンから500ミクロンの間のサイズのLEDを含むことができる。いくつかの実施形態で、発光ピクセルアレイ内の発光ピクセルの夫々は、少なくとも1ミリメートル離れて配置されて、まばらなLEDアレイを形成することができる。他の実施形態では、発光ピクセルのまばらなLEDアレイは、1ミリメートル未満離れて配置することができ、30ミクロンから500ミクロンの範囲の距離だけ離して配置することができる。LEDは、少なくとも部分的に透明にすることができる固体又はフレキシブル基板に埋め込まれ得る。例えば、発光ピクセルアレイは、ガラス、セラミック、又はポリマー材料に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。
【0049】
本明細書で議論されている発光マトリクスピクセルアレイは、細粒度の強度や、配光の空間的及び時間的制御から利益を得るアプリケーションをサポートし得る。これには、ピクセルブロック又は個々のピクセルから放出された光の正確な空間パターニングが含まれ得るが、これらに限られない。アプリケーションに応じて、放出された光は、スペクトル的に区別され、時間の経過とともに適応し、及び/又は環境に応答し得る。発光ピクセルアレイは、様々な強さ、空間的又は時間的パターンで、事前にプログラムされた配光を提供することができる。放出された光は、受信されたセンサデータに少なくとも部分的に基づくことができ、光無線通信に使用することができる。関連する光学系は、ピクセル、ピクセルブロック、又はデバイスレベルで異なってもよい。例示的な発光ピクセルアレイは、関連する共通の光学系を備えた高強度ピクセルの一般的に制御された中央ブロックを有するデバイスを含み得るが、エッジピクセルは、個々の光学系を有し得る。発光ピクセルアレイによってサポートされる一般的なアプリケーションには、ビデオ照明、自動車用ヘッドライト、建築及びエリア照明、街路照明、情報ディスプレイなどがある。
【0050】
発光マトリクスピクセルアレイは、改善された視覚表示のために建物又はエリアを選択的かつ適応的に照らすために、あるいは、照明コストを削減するために、使用されてよい。その上、発光ピクセルアレイは、装飾的な動き又はビデオ効果のためのメディアファサード(media facades)を投影するために使用されてもよい。追跡センサ及び/又はカメラと組み合わせて、歩行者の周りのエリアの選択的照明が可能であり得る。スペクトル的に異なるピクセルを使用して、照明の色温度を調整したり、波長固有の園芸照明をサポートしたりすることができる。
【0051】
街路照明は、発光ピクセルアレイの使用から利益を得る可能性がある用途である。単一の発光アレイを使用して、様々な街路灯タイプを模倣することができ、例えば、選択したピクセルを適切にアクティブ化又は非アクティブ化することにより、タイプI線形街路灯とタイプIV半円形街路灯とを切り替えることができる。その上、環境条件や使用時間に応じて光線の強度や分布を調整することで、街路照明のコストを下げることができる。例えば、歩行者がいない場合には、光の強度及び分布の面積が低減されてもよい。発光ピクセルアレイのピクセルがスペクトル的に異なる場合に、光の色温度は、各々の昼光、夕暮れ、又は夜の状態に従って調整され得る。
【0052】
発光アレイはまた、直接的な又は投影されたディスプレイを必要とするアプリケーションをサポートするのに適している。例えば、警告、緊急、又は情報の標識は全て、発光アレイを使用して表示又は投影することができる。これにより、例えば、色の変化や点滅する誘導灯を投影することができる。発光アレイが多数のピクセルから成る場合に、テキスト又は数値情報が提示され得る。方向矢印又は同様のインジケータも提供され得る。
【0053】
車両ヘッドランプは、大きなピクセル数及び高いデータリフレッシュレートを必要とする発光アレイアプリケーションである。道路の選択されたセクションのみを積極的に照らす自動車用ヘッドライトは、対向車のまぶしさ(glare又はdazzling)に付随した問題を軽減するために使用可能である。赤外線カメラをセンサとして使用すると、発光ピクセルアレイは、道路を照らすために必要なピクセルのみをアクティブにし、歩行者や対向車の運転手の目をくらませる可能性のあるピクセルを非アクティブにする。更に、運転手の環境意識を向上させるために、脇道の歩行者、動物、又は標識を選択的に照らすことができる。発光ピクセルアレイのピクセルがスペクトル的に異なる場合、光の色温度は、各々の昼光、夕暮れ、又は夜の状態に従って調整され得る。一部のピクセルは、光無線車両間通信に使用されてもよい。
【0054】
LED光モジュールは、単独で、あるいは、レンズ又は反射器を含む一次又は二次光学系と組み合わせて、マトリクスLEDを含むことができる。全体的なデータ管理要件を減らすために、光モジュールは、オン/オフ機能又は比較的少数の光強度レベル間の切り替えに制限され得る。光強度の完全なピクセルレベルの制御は、必ずしもサポートされているわけではない。
【0055】
動作中、画像内のピクセルは、アクティブマトリクス内の対応するLEDピクセルの応答を定義するために使用され、LEDピクセルの強さ及び空間変調は画像に基づく。データレート問題を低減するために、ピクセルのグループ(例えば、5×5ブロック)は、いくつかの実施形態では、単一のブロックとして制御され得る。高速及び高データレート動作がサポートされ、連続する画像からのピクセル値は、30Hzから100Hzの間のレートで画像シーケンスの連続するフレームとしてロードすることができ、60Hzが典型的である。パルス幅変調モジュールと組み合わせて、ピクセルモジュール内の各ピクセルは、画像フレームバッファに保持されている画像に少なくとも部分的に依存するパターン及び強さで発光するよう動作することができる。
【0056】
本発明の多くの変更及び他の実施形態は、前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有する当業者の頭に浮かぶであろう。従って、本発明は、開示されている具体的な実施形態に限定されるものではなく、変更及び実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることが理解される。本発明の他の実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない要素/ステップの非存在下で実施され得ることも理解される。ソフトウェア制御ハードウェアをサポートするこれらの実施形態では、本明細書に記載の方法、手順、及び実装は、コンピュータ又はプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアで実現されてもよい。コンピュータ可読媒体の例には、電子信号(有線又は無線接続を介して伝送される。)及びコンピュータ可読記憶媒体が含まれる。コンピュータ可読記憶媒体の例には、リード・オンリー・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気メディア、光学磁気媒体、並びにCD-ROMディスク及びデジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)のような光学媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
[関連出願]
本願は、2019年10月23日付けで「Micro-LED Amplitude Control System」と題されて出願された米国特許仮出願第62/890853号、及び2020年10月19日付けで「Micro-LED Amplitude Control System」と題されて出願された米国特許出願第16/997058号に対する優先権の利益を請求するものである。これらの米国特許出願の内容は、それらの全文を参照により本願に援用される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5