(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】単軌道の原動機付車両のための間隔制御機能または速度制御機能を実行する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B60T 7/12 20060101AFI20231120BHJP
B60T 8/00 20060101ALI20231120BHJP
B60W 30/16 20200101ALI20231120BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20231120BHJP
【FI】
B60T7/12 F
B60T7/12 C
B60T8/00 C
B60W30/16
B60W30/09
(21)【出願番号】P 2022519614
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 EP2020072508
(87)【国際公開番号】W WO2021063576
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】102019215101.9
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ションヘル,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】グレロード,マチュー
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-291667(JP,A)
【文献】特開2011-183983(JP,A)
【文献】特開2015-110411(JP,A)
【文献】特開2017-200822(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013226004(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12
B60T 8/00
B60W 30/16
B60W 30/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単軌道の原動機付車両のための間隔制御機能または速度制御機能を実行する方法において、
ブレーキ操作部材の操作強度が第1の閾値を上回っているとき、作動化されている間隔制御機能または速度制御機能をブレーキ操作部材の操作によって運転者により不作動化可能であり(101)、
単軌道の原動機付車両に取り付けられた周辺区域センサ装置によって単軌道の原動機付車両についての衝突危険性の存在が判定され(103)、
衝突危険性が存在するとき、第2の閾値を上回る操作強度での運転者によるブレーキ操作部材の操作によって(105)、操作強度に対応するブレーキ強度を運転者非依存的に増強する非常ブレーキアシスト機能が
、間隔制御機能または速度制御機能に優先して作動化され(106)、
前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも低く、
非常ブレーキアシスト機能の終了後、作動化されている間隔制御機能または速度制御機能が、非常ブレーキアシスト機能の作動化前に存在していた設定をもって運転者非依存的に続行される(107)、方法。
【請求項2】
前記第2の閾値が前記第1の閾値よりも低い場合に、衝突危険性が存在するときにのみ、前記第2の閾値を上回る操作強度での運転者によるブレーキ操作部材の操作によって非常ブレーキアシスト機能が作動化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレーキ操作部材がブレーキペダル、ブレーキレバー、またはブレーキグリップであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
単軌道の原動機付車両がオートバイであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記周辺区域センサ装置がレーダセンサ装置、ビデオセンサ装置、ライダーセンサ装置、または超音波センサ装置であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ブレーキ強度がブレーキ力、ブレーキトルク、またはブレーキ圧であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法を実施するために構成された手段を含んでいる装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単軌道の原動機付車両のための間隔制御機能または速度制御機能を実行する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、単軌道の原動機付車両で非常ブレーキプロセスを実行する方法を教示しており、この方法では、
-原動機付車両の前方の周辺区域を検出する周辺区域センサ装置によって、原動機付車両の事故の蓋然性を表す事故蓋然性量が判定され、
-事故蓋然性量の評価を参照して、事故蓋然性が所定の閾値を上回っていることが確認されたケースについて、原動機付車両の運転者非依存的な非常ブレーキプロセスが開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102015217256号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明は、単軌道の原動機付車両のための間隔制御機能または速度制御機能ないしACC機能を実行する方法に関し、この方法では
-ブレーキ操作部材の操作強度が第1の閾値を上回っているとき、作動化されている間隔制御機能または速度制御機能をブレーキ操作部材の操作によって運転者により不作動化可能であり、
-単軌道の原動機付車両に取り付けられた周辺区域センサ装置によって単軌道の原動機付車両についての衝突危険性の存在が判定され、
-衝突危険性が存在するとき、第2の閾値を上回る操作強度での運転者によるブレーキ操作部材の操作によって、操作強度に対応するブレーキ強度を運転者非依存的に増強する非常ブレーキアシスト機能が作動化され、
-第2の閾値は第1の閾値よりも低く、
-非常ブレーキアシスト機能の終了後、作動化されている間隔制御機能または速度制御機能が、非常ブレーキアシスト機能の作動化前に存在していた設定をもって運転者非依存的に続行される。
このことは、非常ブレーキアシスト機能を間隔制御機能または速度制御機能に埋め込むことを可能にする。一時的に必要な強いブレーキプロセスが、その強度を間隔制御機能または速度制御機能の枠内では具体化可能でないとき、間隔制御機能または速度制御機能の不作動化が行われることなしに、このブレーキプロセスを運転者により非常ブレーキアシストを利用したうえで実行することができる。
【0005】
本発明の好ましい実施形態は、第2の閾値が第1の閾値よりも低い場合に、衝突危険性が存在するときにのみ、第2の閾値を上回る操作強度での運転者によるブレーキ操作部材の操作によって非常ブレーキアシスト機能が作動化されることを特徴とする。それにより、衝突危険性が存在するときにのみ、間隔制御機能または速度制御機能を不作動化することなく非常ブレーキアシスト機能を実行できることが保証される。
【0006】
本発明の好ましい実施形態は、ブレーキ操作部材がブレーキペダル、ブレーキレバー、またはブレーキグリップであることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい実施形態は、単軌道の原動機付車両がオートバイであることを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい実施形態は、周辺区域センサ装置がレーダセンサ装置、ビデオセンサ装置、ライダーセンサ装置、または超音波センサ装置であることを特徴とする。このような種類のセンサ装置は、乗用車の分野からすでに知られている。
【0009】
本発明の好ましい実施形態は、ブレーキ強度がブレーキ力、ブレーキトルク、またはブレーキ圧であることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、本発明による方法を実施するために構成された手段を含む装置を含んでいる。これは特に、本発明による方法を実施するためのプログラムコードが格納された制御装置である。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による方法の実施形態の進行手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
運転者によるブレーキ操作部材の操作によって、ACC機能を不作動化することができる。さらに、予期せぬ強いブレーキ介入によって運転者に過度の要求を課さないようにするために、ACCシステムでの運転者非依存的なブレーキ減速を最大値までに制限するのが有意義である。
【0014】
二輪車のための1つの考えられる非常ブレーキアシスト機能は、安全性の理由から、運転者により要求されるブレーキ力が衝突の回避のために十分でないときにのみ作動化することを基本とする。非常ブレーキアシスト機能は運転者非依存的にリリースされるのではなく、運転者がブレーキ操作部材によってブレーキングを開始したときにのみリリースされる。その場合に非常ブレーキアシスト機能は、運転者により要求されるブレーキ力を増強する。運転者がブレーキ操作部材を操作しなくなると、ただちに非常ブレーキアシスト機能は終了する。それにより、二輪車の運転者が二輪車に対するコントロールを、可能な限り高く維持することが保証される。
【0015】
非常ブレーキアシスト機能のリリースについて、およびACC機能の終了について、ブレーキ操作部材閾値がそれぞれ別様に選択されていれば、ACC機能と非常ブレーキアシスト機能の組合せが可能となる。このとき非常ブレーキアシスト機能についての起動閾値は、ACC機能の不作動化についての起動閾値よりも低い。非常ブレーキアシスト機能は、衝突危険性があるケースについて、運転者により設定されるブレーキ強度設定を、運転者がブレーキペダルを操作している限りにおいて増強する。非常ブレーキアシスト機能の終了後には、間隔制御機能または速度制御機能ないしACC機能が続行される。
【0016】
図1には、本発明による方法の実施形態の進行手順が示されている。ブロック100で本方法がスタートした後、ブロック101で、間隔制御機能または速度制御機能ないしACC機能が作動化され、ブロック102で、単軌道の原動機付車両に取り付けられた周辺区域センサ装置により単軌道の原動機付車両の前方に位置する周辺区域が検出、分析される。ブロック103で、周辺区域センサ装置の出力信号を参照して、単軌道の原動機付車両にとっての衝突危険性が存在するか否かが判定される。それが該当しない場合にはブロック102へと戻る。一方、衝突危険性が存在する場合にはブロック104で、運転者によるブレーキ操作部材の操作の存在が判定される。ブロック105で、運転者によるブレーキ操作部材の操作強度が所定の閾値を上回っているか否かがチェックされる。それが該当しない場合にはブロック104に戻る。一方、操作強度が閾値を上回っている場合には、ブロック106で非常ブレーキアシスト機能が作動化される。この機能は、運転者がブレーキ操作部材を操作している限りにおいて作用する。非常ブレーキアシスト機能の終了後、ブロック107でACC機能が再開され、ブロック108で本方法が終了する。
【符号の説明】
【0017】
101 ブロック
103 ブロック
105 ブロック
106 ブロック
107 ブロック