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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】基板作業装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022554991
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037777
(87)【国際公開番号】W WO2022074720
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】高間 和志
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/064413(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/128705(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/167248(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して作業を行う作業ヘッドを含むヘッドユニットと、
鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置された状態で前記ヘッドユニットに設けられ、撮像対象が配置された同一の撮像位置を各々が互いに異なる斜め方向から撮像する複数の撮像部とを備え、
前記複数の撮像部では、各々の撮像する斜め方向の傾斜角に応じて異なる被写界深度が設定されている、基板作業装置。
【請求項2】
前記複数の撮像部は、
傾斜角のうち鉛直方向に近い斜め方向の第1傾斜角を有する第1撮像部と、
前記第1撮像部の下側に配置されており、前記第1傾斜角よりも水平方向に近い斜め方向の第2傾斜角を有する第2撮像部とを含み、
前記第2撮像部は、前記第1撮像部の第1被写界深度よりも深い第2被写界深度を有している、請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項3】
前記第1撮像部および前記第2撮像部は、鉛直方向に沿った同一平面において上下に並んで斜め方向から前記撮像対象が配置された同一の前記撮像位置を撮像するように配置されており、
前記第2撮像部は、前記第1撮像部の鉛直方向の下方に配置されているとともに、前記第1被写界深度よりも深い前記第2被写界深度を有している、請求項2に記載の基板作業装置。
【請求項4】
前記第1被写界深度は、前記第1撮像部の絞りが一定に設定されることにより、一定の被写界深度に設定されており、
前記第2被写界深度は、前記第2撮像部の絞りが一定に設定されることにより、前記第1被写界深度よりも深い一定の被写界深度に設定されている、請求項2または3に記載の基板作業装置。
【請求項5】
前記第1撮像部および前記第2撮像部の各々は、前記撮像対象としての部品の実装位置周辺および前記部品の吸着位置周辺の少なくとも一方を撮像するように構成されており、
前記第1被写界深度および前記第2被写界深度の各々は、前記第1撮像部および前記第2撮像部の並ぶ方向に沿った断面において、前記基板の反りによる前記基板の上面の高さ位置の想定されるずれ量または前記部品を収納する収納テープの種類の違いによる前記収納テープに収納された前記部品の上面の高さ位置の想定されるずれ量と、前記部品の水平方向の長さと、前記傾斜角とにより、設定されている、請求項2~4のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項6】
前記撮像対象に光を照射する照明部と、
前記第1撮像部および前記第2撮像部の各々により、前記撮像対象を撮像する制御を行う制御部とをさらに備え、
前記制御部は、前記第1撮像部および前記第2撮像部の各々に対するセンサゲイン、前記第1撮像部および前記第2撮像部の各々の露光時間、および、前記照明部の光量のいずれかを異ならせることにより、前記第1撮像部および前記第2撮像部の各々により撮像された画像の明るさを互いに略同じにする制御を行うように構成されている、請求項2~5のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1撮像部による露光と並行して、前記第2撮像部による露光も行うように構成されている、請求項6に記載の基板作業装置。
【請求項8】
前記第1撮像部および前記第2撮像部は、それぞれ、第1カメラおよび第2カメラを含む、請求項2~7のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項9】
前記第1撮像部および前記第2撮像部は、
共通のカメラと、
前記共通のカメラの視野を分割する光学系とに含む、請求項2~7のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項10】
前記第1撮像部により撮像された第1画像と、前記第2撮像部により撮像された第2画像とに基づいて、前記撮像対象の周辺の高さ位置を取得するように構成されている、請求項2~9のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板作業装置に関し、特に、ヘッドユニットを備える基板作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドユニットを備える基板作業装置が知られている。このような基板作業装置は、たとえば、特開2019-75475号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2019-75475号公報には、ヘッドユニットを備える部品実装装置(基板作業装置)が開示されている。この部品実装装置は、ヘッドユニットに設けられた撮像ユニットを備えている。撮像ユニットは、鉛直方向に配列された2つのカメラを含んでいる。撮像ユニットは、基板に実装された部品の実装位置を、2つのカメラにより、2つの方向(角度)から撮像するように構成されている。2つのカメラの各々は、部品の実装位置を鉛直方向に対して複数の斜め方向から撮像可能なように、上下にオフセットさせて配置されている。ここで、上下にオフセットされた2つのカメラのうちの上側のカメラは、鉛直方向に近い斜め方向の光軸を有している。上下にオフセットされた2つのカメラのうちの下側のカメラは、水平方向に近い斜め方向の光軸を有している。
【0004】
上記特開2019-75475号公報の部品実装装置では、2つのカメラにより2つの斜め方向から撮像した部品の実装位置の画像に基づいて、部品の実装位置における部品の水平方向の位置および鉛直方向の高さ位置が取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-75475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特開2019-75475号公報の部品実装装置では、上側のカメラは、鉛直方向に近い斜め方向の光軸を有しているとともに、下側のカメラは、水平方向に近い斜め方向の光軸を有しているため、上反りおよび下反りが生じた基板を撮像する場合、第2カメラの光軸方向における基板の上面の上反りした部分と下反りした部分との間の距離は、第1カメラの光軸方向における基板の上面の上反りした部分と下反りした部分との間の距離よりも大きくなる。したがって、第2カメラの光軸方向における上記距離が、第1カメラの光軸方向における上記距離よりも大きいことに起因して、上側のカメラでは基板の上面の上反りした部分および下反りした部分の両方に対してピント(焦点)が合っていたとしても、下側のカメラでは基板の上面の上反りした部分および下反りした部分のいずれかに対してピントが合わなくなる場合があると考えられる。このため、上記特開2019-75475号公報の部品実装装置(基板作業装置)では、鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置された複数のカメラ(撮像部)の各々により斜め方向から撮像される画像のピントがより確実に合うようにすることが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置された複数の撮像部の各々により斜め方向から撮像される画像のピント(焦点)がより確実に合うようにすることが可能な基板作業装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の局面による基板作業装置は、基板に対して作業を行う作業ヘッドを含むヘッドユニットと、鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置された状態でヘッドユニットに設けられ、撮像対象が配置された同一の撮像位置を各々が互いに異なる斜め方向から撮像する複数の撮像部とを備え、複数の撮像部では、各々の撮像する斜め方向の傾斜角に応じて異なる被写界深度が設定されている。なお、複数の撮像部は、共通のカメラにより、撮像対象が配置された同一の撮像位置を視野を分割して撮像するように構成されていてもよいし、複数の撮像部は、互いに別個のカメラにより、撮像対象が配置された同一の撮像位置を撮像するように構成されていてもよい。
【0009】
この発明の一の局面による基板作業装置では、上記のように、複数の撮像部において、各々の高さ位置から撮像対象に向かう各々の傾斜角に応じて異なる被写界深度が設定されている。これにより、複数の撮像部の各々が鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置されていても、複数の撮像部の各々において、傾斜角に応じて異なる被写界深度が設定されることにより、撮像対象が配置された同一の撮像位置に対するピントを個別に合わせて設定することができる。その結果、鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置された複数の撮像部の各々により斜め方向から撮像される画像のピント(焦点)がより確実に合うようにすることができる。
【0010】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、複数の撮像部は、傾斜角のうち鉛直方向に近い斜め方向の第1傾斜角を有する第1撮像部と、第1撮像部の下側に配置されており、第1傾斜角よりも水平方向に近い斜め方向の第2傾斜角を有する第2撮像部とを含み、第2撮像部は、第1撮像部の第1被写界深度よりも深い第2被写界深度を有している。このように構成すれば、第2被写界深度を第1被写界深度よりも深くすることにより、第2撮像部の第2被写界深度を十分に確保することができるので、第2撮像部により撮像される画像のピントがより確実に合うようにすることができる。
【0011】
この場合、好ましくは、第1撮像部および第2撮像部は、鉛直方向に沿った同一平面において上下に並んで斜め方向から撮像対象が配置された同一の撮像位置を撮像するように配置されており、第2撮像部は、第1撮像部の鉛直方向の下方に配置されているとともに、第1被写界深度よりも深い第2被写界深度を有している。このように構成すれば、第1撮像部および第2撮像部を鉛直方向に沿った同一平面からずれた位置に配置する場合と比較して、第1撮像部および第2撮像部の水平方向の設置スペースを小さくすることができる。その結果、第2撮像部により撮像される画像のピントがより確実に合うようにすることができるとともに、第1撮像部および第2撮像部が設けられるヘッドユニットの大型化を抑制することができる。
【0012】
上記第1撮像部および第2撮像部を備える基板作業装置において、好ましくは、第1被写界深度は、第1撮像部の絞りが一定に設定されることにより、一定の被写界深度に設定されており、第2被写界深度は、第2撮像部の絞りが一定に設定されることにより、第1被写界深度よりも深い一定の被写界深度に設定されている。このように構成すれば、第1撮像部および第2撮像部の絞りを調整する構造が不要になるので、ヘッドユニットの大型化を抑制することができる。
【0013】
上記第1撮像部および第2撮像部を備える基板作業装置において、好ましくは、第1撮像部および第2撮像部の各々は、撮像対象としての部品の実装位置周辺および部品の吸着位置周辺の少なくとも一方を撮像するように構成されており、第1被写界深度および第2被写界深度の各々は、第1撮像部および第2撮像部の並ぶ方向に沿った断面において、基板の反りによる基板の上面の高さ位置の想定されるずれ量または部品を収納する収納テープの種類の違いによる収納テープに収納された部品の上面の高さ位置の想定されるずれ量と、部品の水平方向の長さと、傾斜角とにより、設定されている。このように構成すれば、適切な値の第1被写界深度および第2被写界深度を取得することができるので、第1撮像部および第2撮像部の各々に対して適切な被写界深度を設定することができる。なお、収納テープの種類の違いとは、紙テープおよびエンボステープといったテープの種類の違いだけでなく、同じ紙テープであっても部品を収納する収納部の大きさが異なる場合、および、同じエンボステープであっても部品を収納する収納部の大きさが異なる場合も含む広い概念である。
【0014】
上記第1撮像部および第2撮像部を備える基板作業装置において、好ましくは、撮像対象に光を照射する照明部と、第1撮像部および第2撮像部の各々により、撮像対象を撮像する制御を行う制御部とをさらに備え、制御部は、第1撮像部および第2撮像部の各々に対するセンサゲイン、第1撮像部および第2撮像部の各々の露光時間、および、照明部の光量のいずれかを異ならせることにより、第1撮像部および第2撮像部の各々により撮像された画像の明るさを互いに略同じにする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第2被写界深度を第1被写界深度よりも深くした場合でも、第2撮像部においてピントを合わせるだけでなく、第2撮像部により撮像される画像の明るさを確保することができる。その結果、第2撮像部により撮像される画像のピントをより確実に合わせることができるとともに、第1撮像部により撮像された画像と同等の明るさの画像を第2撮像部により撮像することができる。
【0015】
上記第1撮像部および第2撮像部の各々の露光時間を異ならせる基板作業装置において、好ましくは、制御部は、第1撮像部による露光と並行して、第2撮像部による露光も行うように構成されている。このように構成すれば、撮像位置を撮像する際の露光に要する時間を最小限に抑えることできるので、作業ヘッドの基板に対する作業時間が増加しないようにすることができる。
【0016】
上記第1撮像部および第2撮像部を備える基板作業装置において、好ましくは、第1撮像部および第2撮像部は、それぞれ、第1カメラおよび第2カメラをさらに含む。このように構成すれば、共通のカメラにより撮像する場合と比較して、第1撮像部および第2撮像部のレンズなどの光学系の構造を簡略化することができるので、第1撮像部および第2撮像部の構造の複雑化を抑制することができる。
【0017】
上記第1撮像部および第2撮像部を備える基板作業装置において、好ましくは、第1撮像部および第2撮像部は、共通のカメラと、共通のカメラの視野を分割する光学系とをさらに含む。このように構成すれば、必要なカメラの数量を抑えることができるので、ヘッドユニットの大型化を抑制することができる。
【0018】
上記第1撮像部および第2撮像部を備える基板作業装置において、好ましくは、第1撮像部により撮像された第1画像と、第2撮像部により撮像された第2画像とに基づいて、撮像対象の周辺の高さ位置を取得するように構成されている。このように構成すれば、第1画像と、ピントが合った第2画像とに基づいて撮像対象の周辺の高さ位置を取得することにより、撮像対象の周辺の高さ位置をより正確に取得することができるので、作業ヘッドによる基板に対する作業をより精度よく行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置された複数の撮像部の各々により斜め方向から撮像される画像のピント(焦点)がより確実に合うようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の部品実装装置を示した平面図である。
図2】第1実施形態の部品実装装置の実装ヘッドにより収納テープ内の部品を吸着する状態を示した側面図である。
図3】第1実施形態の部品実装装置の実装ヘッドにより基板に部品を実装する状態を示した側面図である。
図4】第1実施形態の部品実装装置の第1撮像部の第1被写界深度を取得するための模式図である。
図5】第1実施形態の部品実装装置の第2撮像部の第2被写界深度を取得するための模式図である。
図6】第1実施形態の部品実装装置における撮像位置の高さ位置を取得するための模式図である。
図7】第2実施形態の部品実装装置を示した平面図である。
図8】第2実施形態の部品実装装置の照明部による光の照射の状態を示した側面図である。
図9】第1および第2実施形態の変形例の部品実装装置のヘッドユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1図6を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。なお、部品実装装置100は、請求の範囲の「基板作業装置」の一例である。
【0023】
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板Sを搬送し、作業位置P1において基板Sに部品Bを実装するように構成されている。なお、部品Bは、請求の範囲の「撮像対象」の一例である。
【0024】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識撮像部7と、撮像ユニット8と、制御部9とを備えている。
【0025】
ここで、一対のコンベア2による基板Sの搬送方向をX1方向とし、X1方向とは逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。水平方向のうちX方向に直交する方向をY方向とする。Y方向のうちの一方向をY1方向とし、Y方向のうちの他方向をY2方向とする。X方向およびY方向に直交する方向をZ方向(上下方向)とし、Z方向のうちの一方向をZ1方向(上方向)とし、Z方向のうちの他方向をZ2方向(下方向)とする。
【0026】
一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板SをX1方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2には、搬送中の基板Sを作業位置P1で停止させた状態で保持する保持機構が設けられている。また、一対のコンベア2は、基板Sの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0027】
部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1方向側およびY2方向側)に配置されている。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ31が配置されている。部品供給部3は、後述する実装ヘッド42に対して部品Bを供給するように構成されている。
【0028】
テープフィーダ31は、複数の部品Bを所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き付られたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ31は、部品Bを保持する収納テープ32を送出することによりリールを回転させて、テープフィーダ31の先端から部品Bを供給するように構成されている。ここで、部品Bは、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品を含んでいる。
【0029】
ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3のZ1方向側に配置されており、ノズル41(図2参照)が下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド42と、基板認識カメラ43とを含んでいる。なお、実装ヘッド42は、請求の範囲の「作業ヘッド」の一例である。
【0030】
実装ヘッド42は、基板Sに対して作業を行うように構成されている。具体的には、すなわち、実装ヘッド42は、部品Bを部品供給部3において吸着するように構成されている。また、実装ヘッド42は、基板Sに対して部品Bを実装するように構成されている。このように、実装ヘッド42は、部品供給部3により供給された部品Bを吸着して、作業位置P1に配置された基板Sに対して吸着した部品Bを実装するように構成されている。また、実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成され、負圧発生機(図示せず)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ31から供給された部品Bを吸着して保持し、基板Sにおける実装位置P3に部品Bを実装するように構成されている。なお、部品Bの実装位置P3は、請求の範囲の「撮像位置」の一例である。
【0031】
基板認識カメラ43は、基板Sの位置および姿勢を認識するために、基板Sのフィデューシャルマークを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークの位置を撮像して認識することにより、基板Sにおける部品Bの実装位置P3を正確に取得することが可能である。
【0032】
支持部5は、モータ51を含んでいる。支持部5は、モータ51を駆動させることにより、支持部5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。支持部5は、両端部が一対のレール部6により支持されている。
【0033】
一対のレール部6は、基台1上に固定されている。X1側のレール部6は、モータ61を含んでいる。レール部6は、モータ61を駆動させることにより、支持部5を一対のレール部6に沿ってY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が支持部5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部5がレール部6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4は水平方向(XY方向)に移動可能である。
【0034】
部品認識撮像部7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識撮像部7は、一対のコンベア2の外側(Y1方向側およびY2方向側)に配置されている。部品認識撮像部7は、部品Bの実装に先立って部品Bの吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品Bを下側(Z2方向側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品Bの吸着状態を制御部9により取得することが可能である。
【0035】
(撮像ユニット)
図2および図3に示すように、撮像ユニット8は、ヘッドユニット4に設けられている。これにより、撮像ユニット8は、ヘッドユニット4が水平方向(XY方向)に移動することにより、ヘッドユニット4とともに、XY方向に移動するように構成されている。撮像ユニット8は、実装ヘッド42のZ方向の移動に干渉しないように、実装ヘッド42に対して水平方向(特にY方向)にオフセットされて配置されている。
【0036】
撮像ユニット8は、ヘッドユニット4を移動させることなく、実装ヘッド42が下降する位置を撮像可能に構成されている。詳細には、撮像ユニット8は、部品供給部3の吸着位置P2(撮像位置)を複数(2つ)の方向から撮像可能に構成されている。また、撮像ユニット8は、基板Sの実装位置P3(撮像位置)を複数(2つ)の方向から撮像可能に構成されている。なお、部品Bの吸着位置P2は、請求の範囲の「撮像位置」の一例である。
【0037】
このように、撮像ユニット8は、部品Bの吸着位置P2の周辺を複数(2つ)の方向から撮像して、第1画像および第2画像を撮像するように構成されている。また、撮像ユニット8は、部品Bの実装位置P3の周辺を複数(2つ)の方向から撮像して、第1画像および第2画像を撮像するように構成されている。
【0038】
具体的には、撮像ユニット8は、照明部81と、第1撮像部82と、第2撮像部83とを含んでいる。ここで、一組の第1撮像部82および第2撮像部83が、複数の実装ヘッド42の各々に対応して配置されている。
【0039】
照明部81は、LED(Light Emitting Diode)などの光源を有している。照明部81は、吸着位置P2または実装位置P3(撮像位置)に配置された部品Bに光を照射するように構成されている。照明部81は、第1撮像部82および第2撮像部83による撮像の際に発光するように構成されている。照明部81は、第1撮像部82および第2撮像部83の周囲に設けられている。なお、第1撮像部82および第2撮像部83は、請求の範囲の「複数の撮像部」の一例である。
【0040】
第1撮像部82および第2撮像部83は、それぞれ、第1カメラ82aおよび第2カメラ83aを有している。第1カメラ82aは、第1撮像素子182aを有している。第2カメラ83aは、第2撮像素子183aを有している。第1撮像素子182aは、後述する第1レンズ部182bから入射した光を電気信号に変換するように構成されている。第2撮像素子183aは、後述する第2レンズ部183bから入射した光を電気信号に変換するように構成されている。また、第1撮像部82および第2撮像部83は、それぞれ、第1光学系82bおよび第2光学系83bを有している。第1光学系82bは、複数のレンズを有する第1レンズ部182bと、第1絞り部182cとを有している。第2光学系83bは、複数のレンズを有する第2レンズ部183bと、第2絞り部183cとを有している。第1絞り部182cは、第1レンズ部182bに向かう光を制限する孔である。第2絞り部183cは、第2レンズ部183bに向かう光を制限する孔である。
【0041】
第1撮像部82および第2撮像部83は、Z方向において複数の異なる高さ位置に配置された状態でヘッドユニット4に設けられている。第1撮像部82および第2撮像部83の各々が、部品Bが配置された同一の吸着位置P2(撮像位置)または実装位置P3(撮像位置)を互いに異なるZ方向に交差する斜め方向から撮像するように構成されている。
【0042】
第1撮像部82および第2撮像部83は、図4および図5に示すように、基準面H0に対してそれぞれの撮像方向が互いに異なる傾き角度(θuおよびθt)から撮像するように構成されている。第1撮像部82および第2撮像部83は、Z方向に沿った同一平面において上下に並んで斜め方向から部品B(撮像対象)が配置された同一の吸着位置P2(撮像位置)または実装位置P3(撮像位置)を撮像するように配置されている。詳細には、第1撮像部82および第2撮像部83は、基準面H0に対する部品Bの吸着位置P2または部品Bの実装位置P3を含む鉛直面内(YZ面内)において隣接して配置されている。また、第1撮像部82および第2撮像部83は、互いにZ方向にオフセットさせて配置されている。なお、基準面H0とは、水平方向に沿って延びており、反りが発生していない状態の基板Sの上面である。
【0043】
第1撮像部82は、傾斜角のうち鉛直方向に近い斜め方向の第1傾斜角θuを有している。第2撮像部83は、第1撮像部82のZ2方向側に配置されており、第1傾斜角θuよりも水平方向に近い斜め方向の第2傾斜角θtを有している。ここで、傾斜角とは、部品Bに向かって延びる第1撮像部82の光軸および第2撮像部83の光軸の各々の基準面H0に対する傾きを示す。
【0044】
これにより、第1撮像部82および第2撮像部83の各々は、撮像対象としての部品Bの実装位置P3(撮像位置)の周辺および部品Bの吸着位置P2(撮像位置)の周辺の両方を撮像するように構成されている。すなわち、撮像ユニット8は、実装ヘッド42による部品Bの吸着位置P2、および、実装ヘッド42による部品Bの実装位置P3を、それぞれ、複数の方向(角度)から撮像することが可能である。
【0045】
図4および図5に示すように、第1実施形態の第1撮像部82および第2撮像部83では、各々の撮像する斜め方向の第1傾斜角θuおよび第1傾斜角θuに応じて異なる被写界深度が設定されている。すなわち、第1撮像部82および第2撮像部83では、各々の高さ位置から部品Bに向かう各々の光軸の第1傾斜角θuおよび第1傾斜角θuに応じて異なる被写界深度が設定されている。具体的には、第1撮像部82は、第1被写界深度D1を有している。第2撮像部83は、第1撮像部82の第1被写界深度D1よりも深い第2被写界深度D2を有している。ここで、第2撮像部83は、第1撮像部82の鉛直方向の下方(Z2方向)に配置されている。
【0046】
第1被写界深度D1は、第1カメラ82aのF値により設定されている。詳細には、第1被写界深度D1は、第1撮像部82の絞りが一定に設定されることにより、一定の被写界深度に設定されている。すなわち、第1被写界深度D1は、一定の直径を有する孔である第1絞り部182cにより設定される。第2被写界深度D2は、第2カメラ83aのF値により設定されている。詳細には、第2被写界深度D2は、第2撮像部83の絞りが一定に設定されることにより、第1被写界深度D1よりも深い一定の被写界深度に設定されている。すなわち、第2被写界深度D2は、一定の直径を有する孔である第2絞り部183cにより設定される。ここで、第2絞り部183cの孔の直径は、第1絞り部182cの孔の直径よりも小さい。
【0047】
第1被写界深度D1および第2被写界深度D2の各々は、第1撮像部82および第2撮像部83の並ぶ方向に沿った断面において、基板Sの反りによる基板Sの上面の高さ位置の想定されるずれ量H、または、部品Bを収納する収納テープ32の種類の違いによる収納テープ32に収納された部品Bの上面の高さ位置の想定されるずれ量と、部品Bの水平方向(Y方向)の長さと、傾斜角とにより、設定されている。ここで、以下の説明では、基板Sの上面の高さ位置のずれ量Hについて説明する。ずれ量Hは、基板Sが上反りした場合の基板Sの上面の上側高さ位置H1と、基板Sが下反りした場合の基板Sの上面の下側高さ位置H2との差である。なお、ずれ量Hは、収納テープ32に収納された部品Bの上面の高さ位置のずれ量であってもよい。この場合のずれ量Hは、複数種類のうちの基準となる1つの収納テープ32に収納された部品Bの上面の高さ位置と、上記収納テープ32とは種類の異なる収納テープ32に収納された部品Bの上面の高さ位置との差である。
【0048】
ここで、第1被写界深度D1および第2被写界深度D2の各々は、基板Sの上面の高さ位置のずれ量Hおよび収納テープ32に収納された部品Bの上面の高さ位置のずれ量のうちのいずれか大きい方のずれ量に合わせて設定される。また、第1被写界深度D1および第2被写界深度D2の各々は、複数の部品Bの水平方向(Y方向)の長さのうちの最も大きい長さに合わせて設定される。
【0049】
図4に示すように、第1被写界深度D1は、第1撮像部82および第2撮像部83の並ぶ方向に沿った断面において、基板Sの上面の高さ位置のずれ量Hと、部品Bの水平方向(Y方向)の長さLと、第1傾斜角θuとにより、設定されている。具体的には、第1被写界深度D1は、第1被写界深度D1=H*sin(θu)+L*cos(θu)という関係式に基づいて、取得される。
【0050】
図5に示すように、第2被写界深度D2は、第1撮像部82および第2撮像部83の並ぶ方向に沿った断面において、基板Sの上面の高さ位置のずれ量Hと、部品Bの水平方向の長さLと、第2傾斜角θtとにより、設定されている。具体的には、第2被写界深度D2は、第2被写界深度D2=H*sin(θt)+L*cos(θt)という関係式に基づいて、取得される。
【0051】
一例として、ずれ量H=1.0[mm]、長さL=4.0[mm]、θu=60度およびθt=30度である場合、第1被写界深度D1は、約2.866[mm]と算出されるとともに、第2被写界深度D2は、約3.964[mm]と算出される。この場合、第2被写界深度D2は、第1被写界深度D1よりも約1.4倍深い。これにより、第2カメラ83aのF値は、第1被写界深度D1よりも約1.4倍の深さに第2被写界深度D2がなるように、第1カメラ82aのF値よりも小さく設定される。このようにして、第1カメラ82aおよび第2カメラ83aが、設計される。
【0052】
(制御部)
図1に示すように、制御部9は、CPU(Central Processing Unit)と、記憶部とを有している。記憶部は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する記憶装置である。記憶部には、基板Sに部品Bを実装するための部品実装プログラムが記憶されている。
【0053】
図6に示すように、制御部9は、第1撮像部82および第2撮像部83により、複数(2つ)の方向から撮像した部品Bの吸着位置P2の画像に基づいて、部品Bの吸着位置P2における部品Bの水平方向(XY方向)の位置および鉛直方向(Z方向)の高さ位置H3を取得するように構成されている。また、制御部9は、第1撮像部82および第2撮像部83により、複数(2つ)の方向から撮像した部品Bの実装位置P3の画像に基づいて、部品Bの実装位置P3の水平方向(XY方向)の位置および鉛直方向(Z方向)の高さ位置H3を取得するように構成されている。
【0054】
具体的には、制御部9は、基準面H0に対する高さ位置H3をステレオマッチングにより取得するように構成されている。つまり、第1撮像部82および第2撮像部83により略同時に撮像された部品Bの吸着位置P2または実装位置P3の画像をマッチングさせることによって、撮像した位置の高さ位置H3および水平方向位置が取得される。すなわち、制御部9は、第1撮像部82により撮像された第1画像と、第2撮像部83により撮像された第2画像とに基づいて、撮像対象の周辺の高さ位置H3を取得する制御を行うように構成されている。マッチングは、SSD(Sumof Squared Difference)や、SAD(Sum of Absolute Difference)などの一般的なマッチング方法が用いられる。
【0055】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0056】
第1実施形態では、上記のように、第1撮像部82および第2撮像部83(複数の撮像部)において、各々の高さ位置から部品Bに向かう各々の光軸の第1傾斜角θuおよび第1傾斜角θuに応じて異なる被写界深度を設定する。これにより、第1撮像部82および第2撮像部83(複数の撮像部)の各々がZ方向(鉛直方向)において複数の異なる高さ位置に配置されていても、第1撮像部82および第2撮像部83(複数の撮像部)の各々において、傾斜角に応じて異なる被写界深度が設定されることにより、部品B(撮像対象)が配置された吸着位置P2または実装位置P3に対するピントを個別に合わせて設定することができる。この結果、鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置された第1撮像部82および第2撮像部83(複数の撮像部)の各々により斜め方向から撮像される画像のピント(焦点)がより確実に合うようにすることができる。
【0057】
また、第1実施形態では、上記のように、傾斜角のうちZ方向(鉛直方向)に近い斜め方向の第1傾斜角θuを有する第1撮像部82と、第1撮像部82の下側に配置されており、第1傾斜角θuよりも水平方向に近い斜め方向の第2傾斜角θtを有する第2撮像部83とを設ける。第2撮像部83に、第1撮像部82の第1被写界深度D1よりも深い第2被写界深度D2を設定する。これにより、第2被写界深度D2を第1被写界深度D1よりも深くすることにより、第2撮像部83の第2被写界深度D2を十分に確保することができるので、第2撮像部83により撮像される画像のピントがより確実に合うようにすることができる。
【0058】
また、第1実施形態では、上記のように、第1撮像部82および第2撮像部83に、Z方向(鉛直方向)に沿った同一平面において上下に並んで斜め方向から部品B(撮像対象)が配置された同一の吸着位置P2(撮像位置)または実装位置P3(撮像位置)を撮像するように配置されている。第2撮像部83を、第1撮像部82のZ方向(鉛直方向)の下方に配置されているとともに、第1被写界深度D1よりも深い第2被写界深度D2を設定する。これにより、第1撮像部82および第2撮像部83をZ方向(鉛直方向)に沿った同一平面からずれた位置に配置する場合と比較して、第1撮像部82および第2撮像部83の水平方向の設置スペースを小さくすることができる。この結果、第2撮像部83により撮像される画像のピントがより確実に合うようにすることができるとともに、第1撮像部82および第2撮像部83が設けられるヘッドユニット4の大型化を抑制することができる。
【0059】
また、第1実施形態では、上記のように、第1被写界深度D1を、第1撮像部82の絞りを一定に設定することにより、一定の被写界深度に設定する。第2被写界深度D2を、第2撮像部83の絞りを一定に設定することにより、第1被写界深度D1よりも深い一定の被写界深度に設定する。これにより、第1撮像部82および第2撮像部83の絞りを調整する構造が不要になるので、ヘッドユニット4の大型化を抑制することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、上記のように、第1撮像部82および第2撮像部83の各々を、部品B(撮像対象)としての部品Bの実装位置P3周辺および部品Bの吸着位置P2周辺の少なくとも一方を撮像するように構成する。第1被写界深度D1および第2被写界深度D2の各々を、第1撮像部82および第2撮像部83の並ぶ方向に沿った断面において、基板Sの反りによる基板Sの上面の高さ位置のずれ量Hと、部品Bの水平方向の長さLと、第1傾斜角θuおよび第2傾斜角θtとにより、設定する。これにより、適切な値の第1被写界深度D1および第2被写界深度D2を取得することができるので、第1撮像部82および第2撮像部83の各々に対して適切な被写界深度を設定することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、第1撮像部82および第2撮像部83に、それぞれ、第1カメラ82aおよび第2カメラ83aを設ける。これにより、共通のカメラにより撮像する場合と比較して、第1撮像部82および第2撮像部83のレンズなどの光学系の構造を簡略化することができるので、第1撮像部82および第2撮像部83の構造の複雑化を抑制することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9を、第1撮像部82により撮像された第1画像と、第2撮像部83により撮像された第2画像とに基づいて、部品B(撮像対象)の周辺の高さ位置を取得するように構成する。これにより、第1画像と、ピントが合った第2画像とに基づいて部品B(撮像対象)の周辺の高さ位置を取得することにより、撮像対象の周辺の高さ位置をより正確に取得することができるので、実装ヘッド42による基板Sに対する作業を精度よく行うことができる。
【0063】
[第2実施形態]
図7および図8を参照して、第2実施形態による部品実装装置200の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、制御部209により、第1撮像部82により撮像された画像の明るさと、第2撮像部83により撮像された画像の明るさとが、揃えられる。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0064】
図7および図8に示すように、部品実装装置200は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識撮像部7と、撮像ユニット8と、制御部209とを備えている。なお、部品実装装置200は、請求の範囲の「基板作業装置」の一例である。
【0065】
第2実施形態の制御部209は、第1撮像部82および第2撮像部83の各々の露光時間を異ならせることにより、第1撮像部82および第2撮像部83の各々により撮像された画像の明るさを互いに略同じにする制御を行うように構成されている。詳細には、制御部209は、被写界深度が深いことに起因して透過する光の量が少ない分だけ、第2撮像部83の露光時間を第1撮像部82の露光時間よりも大きくすることにより、第1撮像部82および第2撮像部83の各々により撮像された画像の明るさを互いに略同じにする制御を行うように構成されている。
【0066】
また、この際、制御部209は、第1撮像部82による露光と並行して、第2撮像部83による露光も行うように構成されている。すなわち、一例として、第1撮像部82の露光開始のタイミングと、第2撮像部83の露光開始のタイミングとを一致させて露光する場合、第1撮像部82の露光終了のタイミングと、第2撮像部83の露光終了のタイミングとを一致させて露光する場合がある。また、一例として、第2撮像部83の露光中に、第1撮像部82の露光を開始させるとともに、第1撮像部82の露光を終了する場合がある。また、一例として、第2撮像部83の露光中に、第1撮像部82の露光を開始させるとともに、第2撮像部83の露光終了後に、第1撮像部82の露光を終了させる場合がある。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、第1撮像部82および第2撮像部83(複数の撮像部)において、各々の高さ位置から部品Bに向かう各々の光軸の第1傾斜角θuおよび第1傾斜角θuに応じて異なる被写界深度を設定する。これにより、鉛直方向において複数の異なる高さ位置に配置された第1撮像部82および第2撮像部83(複数の撮像部)の各々により斜め方向から撮像される画像のピント(焦点)がより確実に合うようにすることができる。
【0068】
また、第2実施形態では、上記のように、部品実装装置200に、部品B(撮像対象)に光を照射する照明部81と、第1撮像部82および第2撮像部83の各々により、部品B(撮像対象)を撮像する制御を行う制御部209とを設ける。制御部209を、第1撮像部82および第2撮像部83の各々の露光時間を異ならせることにより、第1撮像部82および第2撮像部83の各々により撮像された画像の明るさを互いに略同じにする制御を行うように構成されている。これにより、第2被写界深度D2を第1被写界深度D1よりも深くした場合でも、第2撮像部83においてピントを合わせるだけでなく、第2撮像部83により撮像される画像の明るさを確保することができる。この結果、第2撮像部83により撮像される画像のピントをより確実に合わせることができるとともに、第1撮像部82により撮像された画像と同等の明るさの画像を第2撮像部83により撮像することができる。
【0069】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部209を、第1撮像部82による露光と並行して、第2撮像部83による露光も行うように構成する。これにより、吸着位置P2または実装位置P3(撮像位置)を撮像する際の露光に要する時間を最小限に抑えることできるので、実装ヘッド42の基板Sに対する作業時間が増加しないようにすることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0070】
[変形例]
なお、今回開示された第1および第2実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した第1および第2実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0071】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、第1撮像部82および第2撮像部83は、鉛直方向に沿った同一平面において上下に並んで斜め方向から撮像対象が配置された同一の撮像位置を撮像するように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1撮像部および第2撮像部は、鉛直方向に沿った同一平面に配置されていなくてもよい。
【0072】
また、上記第2実施形態では、制御部9(209)は、第1撮像部82および第2撮像部83の各々に対する露光時間を異ならせることにより、第1撮像部82および第2撮像部83の各々により撮像された画像の明るさを互いに略同じにする制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、第1撮像部および第2撮像部の各々に対するセンサゲインを異ならせることにより、第1撮像部および第2撮像部の各々により撮像された画像の明るさを互いに略同じにする制御を行うように構成されてもよい。この場合、制御部では、第1撮像部のセンサゲインよりも第2撮像部のセンサゲインが大きく設定される。また、制御部は、照明部の光量を異ならせることにより、第1撮像部および第2撮像部の各々により撮像された画像の明るさを互いに略同じにする制御を行うように構成されてもよい。この場合、制御部では、第1撮像部の露光するタイミングと第2撮像部の露光するタイミングとが別個に設定されるとともに、第1撮像部の露光の際の光量よりも第2撮像部の露光の際の光量が大きく設定される。
【0073】
また、上記第1および第2実施形態では、第1撮像部82および第2撮像部83は、それぞれ、第1カメラ82aおよび第2カメラ83aを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図9に示す変形例のように、第1撮像部82および第2撮像部83は、共通のカメラ382と、共通のカメラの視野を分割する光学系383とを有していてもよい。これにより、必要なカメラの数量を抑えることができるので、ヘッドユニット4の大型化を抑制することができる。
【0074】
また、上記第1および第2実施形態では、請求の範囲の「作業ヘッド」の一例として、実装ヘッド42を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、作業ヘッドは、接着剤を基板に塗布するディスペンスヘッドであってもよい。
【0075】
また、上記第1および第2実施形態では、請求の範囲の「基板作業装置」の一例として、部品実装装置を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板作業装置は、接着剤またはクリームはんだなどを基板に塗布する塗布装置であってもよい。
【0076】
また、第2実施形態では、制御部209は、第1撮像部82による露光と並行して、第2撮像部83による露光も行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1撮像部による露光と、第2撮像部による露光とが、順次行われてもよい。
【符号の説明】
【0077】
4 ヘッドユニット
42 実装ヘッド(作業ヘッド)
81 照明部
82 第1撮像部(複数の撮像部)
82a 第1カメラ
83 第2撮像部(複数の撮像部)
83a 第2カメラ
100、200 部品実装装置(基板作業装置)
382 共通のカメラ
383 光学系
B 部品(撮像対象)
D1 第1被写界深度
D2 第2被写界深度
H ずれ量
H3 高さ位置
L 長さ
P2 吸着位置(撮像位置)
P3 実装位置(撮像位置)
S 基板
θt 第2傾斜角
θu 第1傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9