IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソディックの特許一覧

<>
  • 特許-取出装置 図1
  • 特許-取出装置 図2
  • 特許-取出装置 図3
  • 特許-取出装置 図4
  • 特許-取出装置 図5
  • 特許-取出装置 図6
  • 特許-取出装置 図7
  • 特許-取出装置 図8
  • 特許-取出装置 図9
  • 特許-取出装置 図10
  • 特許-取出装置 図11
  • 特許-取出装置 図12
  • 特許-取出装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】取出装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20231120BHJP
【FI】
B65B69/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023000489
(22)【出願日】2023-01-05
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2022086076
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】原田 良一
(72)【発明者】
【氏名】曽我 雅典
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-018135(JP,A)
【文献】特開平04-012926(JP,A)
【文献】実開平05-034893(JP,U)
【文献】特開2003-259849(JP,A)
【文献】特開昭62-257366(JP,A)
【文献】特開平04-154529(JP,A)
【文献】特開2007-006750(JP,A)
【文献】米国特許第06059892(US,A)
【文献】特開2008-247511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
A23L 6/36
B65G 47/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧により変形可能な程度の可撓性を有し、開口と側板と底板とを含んで構成され、内部に冷凍食品を収容したトレーから、前記冷凍食品を取り出す取出装置であって、
前記トレーが保持される保持板と、
前記冷凍食品の取り出しを行う排出位置まで前記保持板を搬送するとともに、前記排出位置では前記トレーの前記開口が水平方向を向いた状態になるよう前記保持板を保持する搬送装置と、
少なくとも前記排出位置において、前記トレーを前記保持板に固定する固定装置と、
前記排出位置において、前記側板または前記底板の1以上の箇所を押圧して前記冷凍食品を前記トレーから排出させる排出装置と、を備え
記排出装置は、前記冷凍食品の下端が上端よりも先に前記トレーから排出されるように前記トレーの下側に付される押圧圧力の方が前記トレーの上側に付される押圧圧力の方よりも大きくなるよう前記トレーを押圧する、または、
記排出位置において前記冷凍食品の上部と接触して前記冷凍食品に接触位置を中心として回転方向の力が加わることによって前記冷凍食品の下端が上端よりも先に前記トレーから排出されるように前記冷凍食品の回転方向を制限する排出ガイドが設けられる
出装置。
【請求項2】
前記排出ガイドは、前記排出位置において前記トレーの上部と対向して配置される板状部材である、請求項1に記載の取出装置。
【請求項3】
前記トレーは、前記側板の前記開口側の端面に形成された鍔部をさらに含む、請求項1に記載の取出装置。
【請求項4】
前記トレーを前記保持板に挿通するトレー取付位置と、前記トレーを前記保持板から取り外すトレー取外位置と、にそれぞれ設けられた固定解除ガイドをさらに備え、
前記固定装置は、
前記固定解除ガイドと摺接可能に構成された当接板と、
前記当接板の摺動に伴い、前記鍔部の少なくとも一部を覆って前記トレーを前記保持板に固定する前進位置と、前記トレーの前記保持板への固定を解除する後退位置と、の間で前後退可能に構成された固定板と、
前記当接板と前記固定板との間に設けられ、前記保持板に固定された取付ブロックと、
前記取付ブロックに挿通され、前記当接板と前記固定板とを締結する締結部材と、
前記固定板を前記前進位置側に付勢する付勢部材と、を含む、請求項3に記載の取出装置。
【請求項5】
前記トレーを前記保持板に挿通するトレー取付位置と、前記トレーを前記保持板から取り外すトレー取外位置と、にそれぞれ設けられた固定解除ガイドをさらに備え、
前記固定装置は、
前記保持板に回転可能に取り付けられ、前記固定解除ガイドと接触して回転するカムと、
前記カムの回転に伴い、前記鍔部の少なくとも一部を覆って前記トレーを前記保持板に固定する前進位置と、前記トレーの前記保持板への固定を解除する後退位置と、の間で前後退可能に構成された固定板と、
前記カムと前記固定板との間に設けられ、前記保持板に固定された取付ブロックと、
前記取付ブロックに挿通され、一端が前記カムと接触し、他端に前記固定板が固定されるフォロアと、
前記固定板を前記前進位置側に付勢する付勢部材と、を含む、請求項3に記載の取出装置。
【請求項6】
前記トレーを前記保持板に挿通するトレー取付位置と、前記トレーを前記保持板から取り外すトレー取外位置と、にそれぞれ設けられた固定解除ガイドをさらに備え、
前記固定装置は、
前記搬送装置に取り付けられる取付部と、
前記取付部に回動自在に接続される回動部と、を含み、
前記回動部は、
前記保持板が取り付けられるブラケットと、
前記ブラケットに回動自在に接続され、前記トレーの前記鍔部を押さえて固定するとともに、前記固定解除ガイドと摺接して前記トレーの固定を解除する固定板と、
前記固定板が前記トレーを押さえる方向に、前記固定板を押圧する押圧ピンと、を有する、請求項3に記載の取出装置。
【請求項7】
前記固定板は、前記排出ガイドの役割を兼ねる、請求項6に記載の取出装置。
【請求項8】
前記搬送装置は、前記固定装置の前記回動部の回動位置を規制するレールガイドを含む、請求項6に記載の取出装置。
【請求項9】
前記排出装置は、前記排出位置の前記トレーの前記側板の下部を押圧する下側方押圧部材を含む、請求項1に記載の取出装置。
【請求項10】
前記排出装置は、前記排出位置の前記トレーの前記側板の上部を押圧する上側方押圧部材をさらに含み、
前記下側方押圧部材による単位面積あたりの押圧圧力の方が、前記上側方押圧部材による単位面積あたりの押圧圧力よりも大きい、請求項9に記載の取出装置。
【請求項11】
前記排出装置は、
前記排出位置の前記トレーの前記底板の中心より外側を環状に押圧する第1の底押圧部材と、
前記排出位置の前記トレーの前記底板の前記中心を押圧する第2の底押圧部材と、を含み、
前記第2の底押圧部材による単位面積あたりの押圧圧力の方が、前記第1の底押圧部材による単位面積あたりの押圧圧力よりも大きく、
前記排出装置は、前記第1の底押圧部材による押圧を行った後、前記第2の底押圧部材による押圧を行うよう構成される、請求項1に記載の取出装置。
【請求項12】
前記排出装置は、前記トレーの搬送方向に沿って複数設けられる、前記トレーを押圧する押圧部材を有する押圧ユニットを含む、請求項1に記載の取出装置。
【請求項13】
前記搬送装置は、
複数のスプロケットと、
前記複数のスプロケットを回転させるモータと、
前記複数のスプロケットに巻回され、前記保持板が固定されるチェーンと、を含む、請求項1に記載の取出装置。
【請求項14】
前記搬送装置は、間歇的に前記保持板を搬送し、前記冷凍食品が前記トレーから排出されるときは搬送を停止する、請求項1に記載の取出装置。
【請求項15】
前記トレーから排出された前記冷凍食品を案内するシュートと、
前記シュートを駆動させるシュート駆動装置と、をさらに備え、
前記シュートは、前記搬送装置の停止時に前記搬送装置と接近され、前記搬送装置の駆動時に前記搬送装置と離隔されるよう構成される、請求項14に記載の取出装置。
【請求項16】
前記冷凍食品は、麺と具とを含んでなる具入り冷凍麺である、請求項1に記載の取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーから冷凍食品を取り出す取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍食品には、食品をトレーに収容し、その状態で冷凍することで製造されるものがある。このような冷凍食品において、冷凍時に使用したトレーごと最終製品としない場合は、トレーから冷凍食品を取り出す必要がある。
【0003】
従来、トレーから冷凍食品を取り出すにあたり、トレーを開口が下を向くよう反転させ、トレーの底板に衝撃を与える等して取り出しを行っていた。このとき、冷凍食品は、冷凍時の向きから反転した状態でトレーから排出される。冷凍食品の冷凍時における上面には、下面と比べて相対的に大きい凹凸が形成されているので、このような取出方法においては、冷凍食品がトレーから落下した際、衝撃により破損する虞がある。また、冷凍食品が、具入り冷凍麺など製品の一部が分離し得るものである場合、一部が脱落する虞がある。また、製品の見栄えをよくするため、反転した取り出した冷凍食品を回転させて元の向きに戻すことがある。
【0004】
以上のような事情に鑑み、トレー、ひいては冷凍食品を反転させずに、トレーから冷凍食品を取り出す取出装置が提案されている。例えば、特許文献1は、トレーの開口が斜め上を向いた状態でトレーの角を押圧することで、トレーから冷凍食品を滑らせて取り出す取出装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5254479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トレーの開口が斜め上を向いた状態で冷凍食品の取り出しを行う場合、冷凍食品がトレーの縁を乗り越えて滑り出す程度に、トレーを押圧して変形させる必要がある。トレーの深さが大きい場合等、トレーの種類によっては冷凍食品を取り出せるだけの変形が困難であり、取り出しができない、または安定しない場合があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、冷凍食品を反転させずにトレーから安定して取り出すことのできる取出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、押圧により変形可能な程度の可撓性を有し、開口と側板と底板とを含んで構成され、内部に冷凍食品を収容したトレーから、冷凍食品を取り出す取出装置であって、トレーが保持される保持板と、冷凍食品の取り出しを行う排出位置まで保持板を搬送するとともに、排出位置ではトレーの開口が水平方向を向いた状態になるよう保持板を保持する搬送装置と、少なくとも排出位置において、トレーを保持板に固定する固定装置と、排出位置において、側板または底板の1以上の箇所を押圧して冷凍食品をトレーから排出させる排出装置と、を備え、冷凍食品の下端が上端よりも先にトレーから排出されるように、排出装置は、トレーの下側に付される押圧圧力の方が、トレーの上側に付される押圧圧力の方よりも大きくなるよう、トレーを押圧する、または、排出位置において冷凍食品の上部と接触してトレーから排出される冷凍食品の回転方向を制限する排出ガイドが設けられる、取出装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る取出装置では、冷凍食品をトレーから排出するにあたり、トレーの開口が水平方向を向いた状態でトレーが押圧される。トレーとの固着が解除された冷凍食品は、重力によりトレー外に排出される。そのため、冷凍食品の排出にあたり、トレーを大きく変形させる必要がない。また、冷凍食品の排出にあたり、取出装置は、冷凍食品の下端が上端よりも先にトレーから排出されるように構成される。具体的に、トレーの下側に付される押圧圧力の方がトレーの上側に付される押圧圧力の方よりも大きくなるよう、トレーが押圧される。または、排出ガイドにより、冷凍食品の回転が制限される。このように構成することで、冷凍食品を冷凍時の向きから反転させずにトレーから安定して取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】トレーの断面図である。
図2】第1の実施形態の取出装置の概略構成を示す側面図である。
図3】第1の実施形態の保持板および固定装置の上面図である。
図4】第1の実施形態の固定板が前進位置にある固定装置の側面図である。
図5】第1の実施形態の固定板が後退位置にある固定装置の側面図である。
図6】固定装置の変形例の上面図である。
図7】第1の実施形態の排出装置の動作を示す説明図である。
図8】第1の実施形態の排出装置の動作を示す説明図である。
図9】第1の実施形態の排出装置の動作を示す説明図である。
図10】第2の実施形態の取出装置の概略構成を示す上面図である。
図11】第2の実施形態の保持板およびガイド兼固定板の拡大図である。
図12】第2の実施形態の排出装置の排出位置における側面図である。
図13】第2の実施形態の排出装置のトレー取外位置における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1から図9を用いて本発明の第1の実施形態について説明する。以下に説明される各種変形例は、それぞれ任意に組み合わせて実施することができる。
【0012】
図1には、第1の実施形態にて使用されるトレー9の一例が示される。トレー9は、底板95と、底板95の周縁を囲む側板93と、開口91と、を含む、有底容器である。トレー9の固定および保持を容易にするため、側板93の開口91側の端面に鍔部97が形成されていることが望ましい。側板93および底板95の少なくとも一部は、押圧により変形可能な程度の可撓性を有する。冷凍食品Fの排出を容易にするため、底板95側より開口91側の方の断面積が大きくなるよう、側板93が傾斜していることが望ましい。第1の実施形態においては、トレー9は略円錐台状の容器であるが、略角錐台状の容器等、他の形状の容器が採用されてもよい。
【0013】
トレー9に食品を投入した後に、不図示の冷凍装置によって冷凍することで、トレー9に収容された冷凍食品Fが得られる。冷凍時は、開口91が上を向くよう、トレー9が冷凍装置内に載置されている。取出装置1は、内部に冷凍食品Fを収容したトレー9から、冷凍食品Fを取り出す装置である。特に、取出装置1は、冷凍食品Fを反転させずに、冷凍食品Fをトレー9から取り出す点に特徴を有する。なお、ここでいう反転とは、冷凍時における冷凍食品Fの上面が、取出後の冷凍食品Fの下面になるよう、冷凍食品Fを180°回転させることを意味する。
【0014】
冷凍食品Fの種類は特に限定されないが、製品の一部が分離し得る冷凍食品Fは、反転させずにトレー9から取り出すことが望ましい。例えば、トレー9から、麺と具とを含んでなる具入り冷凍麺である冷凍食品Fを取り出すにあたり、第1の実施形態の取出装置1は特に有効である。
【0015】
第1の実施形態の取出装置1は、図2に示されるように、機枠11と、保持板37と、トレー供給装置2と、搬送装置3と、固定装置4と、排出装置5と、シュート61と、トレー取外装置7と、制御装置と、を備える。取出装置1の各装置は、直接的または間接的に機枠11に取り付けられてよい。
【0016】
保持板37は、貫通孔である挿通孔37aが形成された板状部材であり、トレー9は挿通孔37aに挿通され保持される。より具体的には、挿通孔37aに側板93および底板95が挿通し、かつ、鍔部97が挿通孔37a周辺の保持板37と係合することで、トレー9が保持される。以下において、トレー9を保持板37に挿通して取り付ける位置をトレー取付位置、トレー9から冷凍食品Fを取り出す位置を排出位置、トレー9を保持板37から取り外す位置をトレー取外位置という。
【0017】
トレー供給装置2は、冷凍食品Fを収容したトレー9を保持板37へと移送する。トレー供給装置2はトレー9の移送が可能な限りにおいて任意の装置であってよいが、第1の実施形態のトレー供給装置2は、搬送ピン23と、搬送ピン駆動装置25と、搬送台27と、を含む。搬送ピン23は、搬送ピン駆動装置25によって水平方向に移動され、前工程装置から供給コンベヤ21を用いて送られたトレー9を水平方向に押し出す。トレー9は、搬送台27上を移動し、保持板37の上に投下される。
【0018】
搬送装置3は、排出位置まで保持板37を搬送するとともに、排出位置においてはトレー9の開口91が水平方向を向いた状態になるよう保持板37を保持する。以下において、開口91が水平方向を向いた状態のトレー9を、横向状態のトレー9という。第1の実施形態においては、搬送装置3は、所定の間隔毎に保持板37を間歇的に搬送し、トレー取付位置、排出位置およびトレー取外位置を含む各位置に保持板37を位置決めする。例えば、搬送装置3は、複数の保持板37を循環的に搬送する無端状搬送装置であり、複数のスプロケット31と、モータ33と、チェーン35と、を含む。モータ33は、複数のスプロケット31のうちの1つに設けられ、スプロケット31を回転させる。チェーン35は、複数のスプロケット31に巻回され、複数の保持板37がチェーン35に所定の間隔毎に固定される。トレー取付位置はチェーン35が水平方向に延びる位置に設定され、排出位置およびトレー取外位置は、チェーン35が鉛直方向に延びる位置に設定される。すなわち、排出位置およびトレー取外位置におけるトレー9は、横向状態に保持される。
【0019】
第1の実施形態では、保持板37の搬送方向下流側の端部がチェーン35に固定されている。保持板37がチェーン35との固定箇所を中心に許容範囲を超えて回動することを防止するため、取出装置1の所要の位置に、回動制限ガイド81,82,83,84,85が設けられてもよい。回動制限ガイド81,82,83,84,85と保持板37とが接触することで、それ以上の回動が抑制される。
【0020】
固定装置4は、少なくとも排出位置において、トレー9を保持板37に固定する。第1の実施形態においては、固定装置4は、トレー取付位置においてトレー9を保持板37に取り付けてから、トレー取外位置においてトレー9を保持板37から取り外すまでの間は、常時トレー9を保持板37に固定する。第1の実施形態の固定装置4は、図3に示されるように、当接板41と、固定板42と、取付ブロック43と、締結部材44と、付勢部材45と、案内部材46と、を含む。トレー取付位置およびトレー取外位置には、当接板41と接触可能な位置に固定解除ガイド47が設けられている。
【0021】
当接板41は、固定解除ガイド47と摺接可能に構成された板状部材である。より具体的には、第1の実施形態では当接板41に突起部が設けられており、突起部が固定解除ガイド47と摺接する。固定板42は、締結部材44によって当接板41と接続された板状部材である。固定板42は、当接板41の摺動に伴い、トレー9の鍔部97の少なくとも一部を覆ってトレー9を保持板37に固定する前進位置と、トレー9の保持板37への固定を解除する後退位置と、の間で前後退可能に構成される。より具体的には、当接板41が固定解除ガイド47と接触し保持板37から離れる方向に移動すると、それに伴い固定板42が後退位置へと移動する。当接板41が固定解除ガイド47から離れると、それに伴い固定板42が前進位置へと移動する。取付ブロック43は、当接板41と固定板42との間に設けられ、締結部材44が挿通されるとともに、保持板37に固定される。取付ブロック43を介して、当接板41および固定板42が保持板37に取り付けられる。締結部材44は、例えば半ねじであり、取付ブロック43に挿通され、当接板41と固定板42とを締結する。付勢部材45は、固定板42を前進位置側に付勢する。付勢部材45は、例えば、固定板42と取付ブロック43との間に設けられた圧縮ばねであり、第1の実施形態では付勢部材45は締結部材44に挿通されている。案内部材46は、固定板42の両側方に設けられた板状部材である。案内部材46は、固定板42を案内して固定板42の真直性を向上させる。固定解除ガイド47は、当接板41、ひいては固定板42を移動させるための板状部材である。固定解除ガイド47の保持板37の搬送方向上流側の端面には、傾斜面を有する勾配部が設けられている。
【0022】
第1の実施形態において、当接板41および固定板42は、保持板37ごとに4つ設けられ、トレー9の4箇所を固定するが、トレー9を保持板37に固定できる限りにおいて、固定箇所は任意の位置・個数でよいし、固定板42は任意の形状でよい。
【0023】
ここで、図3から図5を参照しながら、固定装置4の動作をより詳しく説明する。図3は、トレー取付位置とその前後の位置における固定装置4を示しており、右から順に、トレー供給装置2から送られたトレー9が保持板37に載置された状態、固定板42が後退位置に移動しトレー9が保持板37の挿通孔37aに挿通された状態、固定板42が前進位置に移動しトレー9が保持板37に固定された状態をそれぞれ示している。
【0024】
図4に示されるように、通常時は、付勢部材45により、固定板42は前進位置に位置決めされ、当接板41は取付ブロック43に当接している。トレー供給装置2によってトレー9が保持板37へと送られると、トレー9は保持板37に挿通される。このとき、鍔部97は前進位置にある固定板42上に支持されている。
【0025】
搬送装置3により保持板37がトレー取付位置へと搬送されると、当接板41は、固定解除ガイド47の勾配部に摺接して、保持板37から離れる方向に移動する。これにより、図5に示されるように、固定板42が後退位置へと位置決めされる。このとき、固定板42上に支持されていた鍔部97が落下し、鍔部97が保持板37に当接する。
【0026】
引き続き、搬送装置3により保持板37が搬送されると、当接板41と固定解除ガイド47の係合が解除される。付勢部材45により、固定板42が再度前進位置に位置決めされ、固定板42の端部がトレー9の鍔部97の直上を覆う。このようにして、トレー9が保持板37に固定される。
【0027】
固定装置4によりトレー9を保持板37に固定することで、トレー9の開口91が水平方向を向いた状態になるように保持板37を位置決めしても、トレー9が保持板37から落下することを防止できる。特に、上述の構成の固定装置4によれば、固定板42の前後退に別途の駆動装置を必要とせず、より単純な構成でトレー9の固定を行うことができる。
【0028】
固定装置は、少なくとも排出位置において、トレー9を保持板37に固定する任意の装置であればよく、上述の構成には限定されない。特に、固定装置は、トレー9の鍔部97の少なくとも一部を覆ってトレー9を保持板37に固定する固定板を備える任意の装置であってよい。例えば、固定装置は、固定板と、固定板を前後退させるシリンダ等の駆動装置と、を含んで構成されてもよい。
【0029】
あるいは、固定板を前後退させる機構として、カム機構が採用されてもよい。図6には、変形例に係る固定装置4Aが示される。固定装置4Aは、カム41Aと、固定板42Aと、取付ブロック43Aと、フォロア44Aと、付勢部材45Aと、案内部材46Aと、を備える。カム41Aは、回転軸41A1を介して保持板37に取り付けられる。カム41Aには突起部41A2が設けられており、突起部41A2は、トレー取付位置およびトレー取外位置に設けられた固定解除ガイド47Aと摺接する。突起部41A2と固定解除ガイド47Aとが接触することで、回転軸41A1を中心にカム41Aが回転する。固定板42Aは、フォロア44Aと接続された板状部材である。固定板42Aは、カム41Aの回転に伴うフォロア44Aの前後運動により、前進位置と後退位置との間で前後退可能に構成される。取付ブロック43Aは、カム41Aと固定板42Aとの間に設けられ、フォロア44Aが挿通されるとともに、保持板37に固定される。取付ブロック43Aを介して、固定板42Aおよびフォロア44Aが保持板37に取り付けられる。フォロア44Aは、取付ブロック43Aに挿通され、一端がカム41Aと接触し、他端に固定板42Aが固定される。付勢部材45Aは、固定板42Aを前進位置側に付勢する。付勢部材45Aは、例えば、固定板42Aと取付ブロック43Aとの間に設けられ、フォロア44Aに挿通された圧縮ばねである。カム41Aの突起部41A2と固定解除ガイド47Aとが接触していないときは、付勢部材45Aにより、フォロア44Aを介してカム41Aの回転位置が元の位置に戻される。案内部材46Aは、固定板42Aの両側方に設けられた板状部材である。案内部材46Aは、固定板42Aを案内して固定板42Aの真直性を向上させる。固定解除ガイド47Aは、カム41Aを回転させ、フォロア44A、ひいては固定板42Aを移動させるための板状部材である。固定解除ガイド47Aの保持板37の搬送方向上流側の端面には、傾斜面を有する勾配部が設けられている。このような固定装置4Aによっても、簡易な構成により、トレー9の固定を行うことができる。
【0030】
排出装置5は、排出位置における横向状態のトレー9の側板93または底板95の1以上の箇所を押圧して、冷凍食品Fをトレー9から排出させる。第1の実施形態の排出装置5は、図7から図9に示されるように、ブラケット51と、第1の底押圧部材52aと、第1の底押圧部材駆動装置52bと、第2の底押圧部材53aと、第2の底押圧部材駆動装置53bと、下側方押圧部材54aと、下側アーム54bと、上側方押圧部材55aと、上側アーム55bと、側方押圧部材駆動装置56と、を含む。
【0031】
第1の底押圧部材52aは、ブラケット51の先端に設けられる環状部材である。第1の底押圧部材52aは、前進時、排出位置のトレー9の底板95の中心より外側を環状に押圧する。第1の底押圧部材駆動装置52bは、第1の底押圧部材52aを前後させる、シリンダ等の任意のアクチュエータであり、機枠11に取り付けられる。より具体的には、第1の底押圧部材駆動装置52bは、ブラケット51を前後させることで、ブラケット51に設けられた他の部材ごと、第1の底押圧部材52aを前後させる。
【0032】
第2の底押圧部材53aは、ブラケット51の先端に設けられるピストンである。第2の底押圧部材53aは、第1の底押圧部材52aの内部に挿通して設けられる。第2の底押圧部材53aは、前進時、排出位置のトレー9の底板95の中心を押圧する。第2の底押圧部材駆動装置53bは、第2の底押圧部材53aを前後させる、シリンダ等の任意のアクチュエータであり、ブラケット51に取り付けられる。
【0033】
第1の底押圧部材52aおよび第2の底押圧部材53aは、トレー9の底板95を押圧することで、冷凍食品Fに対し水平方向の力を加えて、冷凍食品Fをトレー9から排出させる。第1の実施形態においては、第1の底押圧部材52aによる押圧が行われた後に、第2の底押圧部材53aによる押圧が行われる。また、第2の底押圧部材53aによる単位面積あたりの押圧圧力の方が、第1の底押圧部材52aによる単位面積あたりの押圧圧力よりも大きくなるよう構成される。押圧位置と押圧圧力を変えて、段階的に底板95を押圧することで、より確実に冷凍食品Fの排出を行うことができる。
【0034】
下側方押圧部材54aは、下側アーム54bの先端に設けられる。下側方押圧部材54aは、前進時、排出位置のトレー9の側板93の下部、すなわち、トレー9の中心線よりも下側における側板93を押圧する。なお、トレー9の中心線とは、開口91の中心と底板95の中心を結ぶ直線をいう。下側アーム54bはジョイントによって回動可能に接続された2枚のリンクを有しており、下側方押圧部材54aが設けられた一方のリンクはブラケット51に固定され、他方のリンクは側方押圧部材駆動装置56に接続される。
【0035】
上側方押圧部材55aは、上側アーム55bの先端に設けられる。上側方押圧部材55aは、前進時、排出位置のトレー9の側板93の上部、すなわち、トレー9の中心線よりも上側における側板93を押圧する。上側アーム55bはジョイントによって回動可能に接続された2枚のリンクを有しており、上側方押圧部材55aが設けられた一方のリンクはブラケット51に固定され、他方のリンクは側方押圧部材駆動装置56に接続される。
【0036】
側方押圧部材駆動装置56は、下側アーム54bおよび上側アーム55bを介して下側方押圧部材54aおよび上側方押圧部材55aを回動させる、シリンダ等の任意のアクチュエータであり、ブラケット51に取り付けられる。すなわち、側方押圧部材駆動装置56は、下側方押圧部材54aを回動させる駆動装置と、上側方押圧部材55aを回動させる駆動装置としての役割を兼用する。ただし、それぞれの駆動装置が独立して設けられてもよい。
【0037】
下側方押圧部材54aによる単位面積あたりの押圧圧力の方が、上側方押圧部材55aによる単位面積あたりの押圧圧力よりも大きくなるよう構成される。そのため、下側方押圧部材54aおよび上側方押圧部材55aがトレー9の側板93を押圧したとき、トレー9の中心線よりも下側に付される押圧圧力の方が、トレー9の中心線よりも上側に付される押圧圧力の方よりも大きくなる。このような構成によれば、冷凍食品Fに回転方向の力が加わり、冷凍食品Fの下端が上端よりも先にトレー9から排出される。
【0038】
冷凍食品Fの下端を上端よりも先にトレー9から排出するための構成として、上述のような構成の排出装置5に代えて、またはこれに加えて、排出ガイドが設けられてもよい。排出ガイドは、排出位置において冷凍食品Fの上部と接触してトレー9から排出される冷凍食品Fの回転方向を制限する。すなわち、トレー9から排出された冷凍食品Fは排出ガイドと接触することで、接触位置を中心として冷凍食品Fに回転方向の力が加わり、冷凍食品Fの下端が上端よりも先にトレー9から排出される。第1の実施形態においては、排出ガイドは、排出位置においてトレー9の上部と対向して配置される板状部材である。また、第1の実施形態においては、回動制限ガイド81の下部が、排出ガイドとしての役割を果たす。ただし、回動制限ガイド81と独立して、排出ガイドが設けられてもよい。
【0039】
シュート61は、排出装置5によりトレー9から排出された冷凍食品Fを案内して、不図示の後工程装置へと送る。冷凍食品Fの下端がシュート61と接触して案内されるので、冷凍食品Fは冷凍時の向きから反転することがない。第1の実施形態では、シュート61は、シュート駆動装置63により、搬送装置3に対して接離可能に構成される。シュート駆動装置63は、シュート61を水平方向に駆動させる、シリンダ等の任意のアクチュエータである。シュート61は、搬送装置3が停止され、冷凍食品Fがトレー9から排出されるときは、搬送装置3と相対的に接近される。また、シュート61は、冷凍食品Fの排出が完了し、搬送装置3の駆動するときは、搬送装置3と相対的に離隔される。運転状況に応じてシュート61を移動させることで、シュート61と搬送装置3の干渉が防止できるとともに、トレー9から落下した冷凍食品Fを確実に受け取ることができる。また、シュート61の途中で冷凍食品Fが止まってしまったとしても、冷凍食品Fと搬送装置3の干渉が防止できる。
【0040】
以上に示した排出装置5の構成はあくまで一例である。トレー9を押圧する位置および箇所は、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、排出ガイドが設けられる場合は、排出装置5は、側板93または底板95の1以上の任意の箇所を押圧して、冷凍食品Fをトレー9から排出することができるように構成された装置であればよい。
【0041】
ここで、図7から図9を参照しながら、排出装置5の動作をより詳しく説明する。
【0042】
まず、図7に示されるように、冷凍食品Fを収容したトレー9を保持した保持板37が、搬送装置3によって排出位置に位置決めされる。搬送装置3は、冷凍食品Fの排出が完了するまで、保持板37の搬送を一時停止する。
【0043】
保持板37の位置決め後、図8に示されるように、第1の底押圧部材駆動装置52bおよびシュート駆動装置63が駆動され、ブラケット51およびシュート61がトレー9に接近する。このとき、ブラケット51の移動に伴い、第1の底押圧部材52aが、底板95を環状に押圧する。これにより、冷凍食品Fとトレー9との固着が解除される。
【0044】
続いて、図9に示されるように、第2の底押圧部材駆動装置53bおよび側方押圧部材駆動装置56が駆動される。第2の底押圧部材駆動装置53bおよび側方押圧部材駆動装置56の駆動は、同時であってもよい。第2の底押圧部材53aが、底板95の中心部をさらに押圧し、冷凍食品Fが開口91側に押し出される。また、下側方押圧部材54aおよび上側方押圧部材55aが、側板93を押圧する。このとき、下側方押圧部材54aによる単位面積あたりの押圧圧力の方が、上側方押圧部材55aによる単位面積あたりの押圧圧力よりも大きいので、冷凍食品Fの下端が上端よりも先にトレー9から排出されるように、冷凍食品Fに回転方向の力が加わる。仮にこのような回転方向の力が冷凍食品Fに充分にかからなかったとしても、排出ガイドとしての回動制限ガイド81により、適切な向きとなるよう、冷凍食品Fが案内される。トレー9から排出された冷凍食品Fはシュート61に案内され、コンベヤ等を介して後工程装置へと送られる。
【0045】
冷凍食品Fの排出を完了した後は、シュート61、ブラケット51、第2の底押圧部材53a、下側方押圧部材54aおよび上側方押圧部材55aの位置を元に戻す。そして、搬送装置3の駆動が再開され、以上の動作を繰り返す。
【0046】
排出位置およびトレー取外位置の間に、トレー9の洗浄を行う洗浄位置が設けられてもよい。例えば、洗浄位置に水等の洗浄液を噴出する洗浄ノズルを有する洗浄装置13を設け、冷凍食品Fを排出した後のトレー9の洗浄を行ってもよい。また、洗浄後のトレー9を乾燥させるために、圧縮空気等を噴出する乾燥ノズルを有する乾燥装置が設けられてもよい。
【0047】
トレー取外装置7は、トレー取外位置に設けられ、冷凍食品Fを排出した後のトレー9を保持板37から取り外す。トレー取外装置7は、トレープッシャ71と、トレープッシャ駆動装置73と、を含む。トレープッシャ駆動装置73は、トレープッシャ71を前後させる、シリンダ等の任意のアクチュエータである。
【0048】
トレー取外位置には固定解除ガイド47が設けられている。まず、トレー9の取り付け時と同様の手順により固定板42を後退位置へと移動させ、固定装置4によるトレー9の固定を解除する。この状態で、トレープッシャ71が前進し、トレー9の底板95を押圧して、トレー9を保持板37から押し出す。保持板37から落下したトレー9は、排出コンベヤ75に載置され、回収される。
【0049】
第1の実施形態では、底板95が上になるようトレー9が取り出される。このとき、トレー9の向きを安定させるために、横向状態のトレー9の底板95の上側をトレープッシャ71によって押圧することが好ましい。また、開口91が上になるようトレー9が取り出されてもよい。例えば、トレー取外位置に位置決めされたトレー9の上部と対向して配置された取出ガイドを設け、横向状態のトレー9の底板95の下側を押圧するよう構成されてもよい。このようにすれば、トレー9の取り出し時に開口91が上になるような回転力がトレー9に加わる。この場合は、トレー9を排出コンベヤ75に案内するシュートがさらに設けられることが好ましい。また、第1の実施形態のトレー取外装置7は、横向状態のトレー9を保持板37から取り外すように構成されるが、トレー9の取り外しが可能であればこれに限定されない。
【0050】
トレー9が取り外された保持板37は、搬送装置3によりトレー取付位置へと送られ、再度トレー9の搬送に使用される。
【0051】
制御装置は、取出装置1を操作して種々の制御を行う。具体的に、制御装置は、トレー供給装置2、搬送装置3、排出装置5、シュート61およびトレー取外装置7を制御し、保持板37の搬送、トレー9の脱着、冷凍食品Fの排出に係る制御を行う。制御装置は、所望の制御を実現する限りにおいて、ハードウェアとソフトウェアを任意に組み合わせて構成されてよい。
【0052】
次に、図10から図13を用いて、本発明の第2の実施形態の取出装置100について説明する。第2の実施形態において使用されるトレー9は、第1の実施形態と同様、可撓性を有する略円錐台状の容器であり、同様の符号を付し詳細な説明は省略する。もちろん前述の通り、他の形状の容器が採用されてもよい。
【0053】
第2の実施形態の取出装置100は、図10に示されるように、保持板370と、トレー供給装置200と、搬送装置300と、固定装置400と、排出装置5と、トレー取外装置700と、を備える。取出装置100の各装置は、直接的または間接的に不図示の機枠に取り付けられてよい。各装置は、不図示の制御装置により制御される。
【0054】
第1の実施形態の保持板37は、トレー9を挿通孔37aの周縁で支持するよう構成されていたが、図11に示される第2の実施形態の保持板370は、トレー9の片側を支持して保持するよう構成される。より具体的には、保持板370は、略半円状の切欠が形成された板状部材であり、トレー9の鍔部97の一部が保持板370上に支持される。保持板370上に載置されたトレー9は、後述するように、固定装置400によって固定され、脱落が防止される。また、保持板370は、固定装置400を介して搬送装置300に取り付けられるとともに、固定装置400を介して回動可能に構成される。
【0055】
トレー供給装置200は、冷凍食品Fを収容したトレー9を保持板370へと移送する。第2の実施形態のトレー供給装置200は、供給コンベヤ210と、スターホイール230と、を含む。供給コンベヤ210は、前工程装置から供給されたトレー9を、スターホイール230に移送する。スターホイール230はトレー9を1個ずつ搬送して、トレー取付位置における保持板370に供給する。
【0056】
搬送装置300は、排出位置まで保持板370を搬送するとともに、排出位置においてはトレー9の開口91が横向状態になるよう保持板370を保持する。第2の実施形態においては、搬送装置300は、トレー取付位置、排出位置およびトレー取外位置を含む各位置に、保持板370を連続的に搬送する。搬送装置300は、複数の保持板370を循環的に搬送する無端状搬送装置であり、複数のスプロケット310と、モータ330と、チェーン350と、レールガイド390と、を含む。第1の実施形態の搬送装置3は、トレー9を鉛直方向に循環搬送するものであったが、第2の実施形態の搬送装置300は、トレー9を水平方向に循環搬送するよう構成される。レールガイド390は、搬送方向に沿って設けられた環状のレールであり、保持板370、ひいてはトレー9の回動位置を規制するものである。詳細は後述するが、排出位置およびトレー取外位置におけるトレー9は、レールガイド390により横向状態に保持される。
【0057】
固定装置400は、少なくとも排出位置において、トレー9を保持板370に固定する。第2の実施形態においては、固定装置400は、トレー取付位置においてトレー9を保持板370に取り付けてから、トレー取外位置においてトレー9を保持板370から取り外すまでの間は、常時トレー9を保持板370に固定する。第2の実施形態の固定装置400は、図12および図13に示されるように、搬送装置300のチェーン350に取り付けられる取付部410と、取付部410にヒンジ430を介して回動自在に接続される回動部420と、を含む。また、回動部420は、ブラケット421と、固定板423と、押圧ピン427と、を有する。
【0058】
ブラケット421には、保持板370と、固定板423と、押圧ピン427と、が取り付けられる。ブラケット421は、ヒンジ430を介して、取付部410に回動自在に接続される。ブラケット421は、レールガイド390と接触する。これにより、固定装置400の回動部420の回動位置が規制される。より具体的には、トレー取付位置においては、レールガイド390が回動部420を持ち上げることで、保持板370が水平方向を向く方向に回動部420が位置決めされる。つまり、トレー取外位置からトレー取付位置までの間のレールガイド390は、ブラケット421と摺接しながら、徐々に回動部420を持ち上げる位置に設けられている。排出位置およびトレー取外位置においては、回動部420は重力により、保持板370が鉛直方向を向く方向に回動する。このとき、レールガイド390がブラケット421と接触することで、それ以上の回動が防止される。
【0059】
固定板423は、ヒンジ425を介して、ブラケット421に回動自在に接続される板状部材である。以下、固定板423の保持板370と接触する側を底面、反対の面を上面とする。また、固定板423の保持板370に近い側の一端を先端、他端側を後端とする。固定板423は、トレー9を保持板370に押し付けることで、トレー9を保持板370に固定する。また、固定板423は、排出位置において冷凍食品Fの上部と接触してトレー9から排出される冷凍食品Fの回転方向を制限する。すなわち、固定板423は、冷凍食品Fの反転を防止する、排出ガイドの役割を兼ねる。固定板423は、先端側底面に、ガイド本体423aと、鍔部押圧板423bと、を有していてもよい。ガイド本体423aは、トレー9の内部に侵入して、より確実にトレー9を保持するとともに、冷凍食品Fの排出時に冷凍食品Fの上部と接触する。鍔部押圧板423bは、トレー9の鍔部97を押さえて、より確実にトレー9を保持する。トレー取付位置およびトレー取外位置には、それぞれ固定解除ガイド250,710が設けられている。固定板423の後端側上面が固定解除ガイド250,710と摺接することで、固定板423によるトレー9の固定が解除される。
【0060】
押圧ピン427は、固定板423がトレー9を押さえる方向に、固定板423を押圧する。具体的に、押圧ピン427は、バネ等の付勢部材により、ヒンジ425よりも後端側における固定板423の底面を押圧するよう構成されている。これにより、ヒンジ425を中心とした回転方向の力が固定板423に加わるので、固定板423がトレー9を押さえることとなる。固定板423が固定解除ガイド250,710と接触すると、押圧ピン427が固定板423を付勢する力よりも強い力が逆方向に加わるので、固定板423が保持板370から離れる方向に回動し、トレー9の固定が解除される。
【0061】
第2の実施形態においては固定板423が排出ガイドを兼ねたが、固定板423とは別の排出ガイドが設けられてもよい。例えば、第1の実施形態と同様に、排出位置においてトレー9の上部と対向して配置される板状部材が排出ガイドとして設けられてもよい。また、固定装置400においては各部を回動自在に接続する回動部材として、ヒンジ430,425が設けられたが、シャフトと軸受等、他の回動部材が使用されてもよい。
【0062】
排出装置500は、排出位置における横向状態のトレー9を押圧して、冷凍食品Fをトレー9から排出させる。第2の実施形態の排出装置500は、トレー9の底板95を押圧する1以上の押圧部材510と、押圧部材510に接続され回転可能に構成される回転軸530と、を含む。第2の実施形態の押圧部材510は、トレー9の底板95と接触可能に構成されたカム板であるが、押圧部材510の形状はこれに限定されない。ここで、1つの位置における押圧部材510と回転軸530とを1つの押圧ユニットとすると、押圧ユニットは、トレー9の搬送方向に沿って、排出位置に複数設けられる。第2の実施形態の搬送装置300は、トレー9を水平方向に搬送するものであるので、押圧ユニットを複数設けることが容易である。複数回トレー9を押圧することで、より確実に冷凍食品Fの排出を行うことができる。排出装置500によってトレー9から排出された冷凍食品Fは、シュート550に案内され、排出コンベヤ570へと落下する。排出時、排出ガイドとしての固定板423によって冷凍食品Fの反転が防止される。
【0063】
第2の実施形態の排出装置500は、トレー9の底板95を押圧するものであったが、側板93を押圧するものであってもよい。また、第2の実施形態の排出装置500は、トレー9の下側に付される押圧圧力とトレー9の上側に付される押圧圧力とが略均等になるようにトレー9を押圧するものであったが、トレー9の下側に付される押圧圧力の方が、トレー9の上側に付される押圧圧力の方よりも大きくなるよう、トレー9を押圧するものであってもよい。
【0064】
トレー取外装置700は、固定解除ガイド710と、シュート730と、排出コンベヤ750と、を含む。前述のように、トレー取外位置に設けられた固定解除ガイド710により、固定板423によるトレー9の固定が解除される。このとき、トレー9が自重により保持板370から落下し、シュート730に案内されて、排出コンベヤ750へと落下する。
【0065】
以上説明した第2の実施形態に係る取出装置100においても、第1の実施形態に係る取出装置1と同様、冷凍食品Fの排出に際して横向状態に保持されたトレー9に対して押圧が行われるので、トレー9を大きく変形させることなく排出が可能である。また、冷凍食品Fの排出時、排出ガイドとしての固定板423により冷凍食品Fの回転が制限されるので、冷凍食品Fの反転が防止される。
【0066】
本発明は、既にいくつかの例が具体的に示されているように、図面に示される実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形または応用が可能である。また、発明の技術的思想を損ねない範囲で、第1の実施形態における構成と第2の実施形態における構成とが、適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 取出装置
3 搬送装置
31 スプロケット
33 モータ
35 チェーン
37 保持板
37a 挿通孔
4 固定装置
41 当接板
42 固定板
43 取付ブロック
44 締結部材
45 付勢部材
47 固定解除ガイド
4A 固定装置
41A カム
42A 固定板
43A 取付ブロック
44A フォロワ
45A 付勢部材
47A 固定解除ガイド
5 排出装置
52a 第1の底押圧部材
53a 第2の底押圧部材
54a 下側方押圧部材
55a 上側方押圧部材
61 シュート
63 シュート駆動装置
81 回動制限ガイド(排出ガイド)
9 トレー
91 開口
93 側板
95 底板
97 鍔部
100 取出装置
300 搬送装置
310 スプロケット
330 モータ
350 チェーン
390 レールガイド
400 固定装置
410 取付部
420 回動部
421 ブラケット
423 固定板(排出ガイド)
427 押圧ピン
500 排出装置
510 押圧部材
F 冷凍食品
【要約】      (修正有)
【課題】冷凍食品を反転させずにトレーから安定して取り出すことのできる取出装置を提供する。
【解決手段】トレー9が保持される保持板37と、排出位置まで保持板37を搬送するとともに、排出位置ではトレー9の開口が水平方向を向いた状態になるよう保持板37を保持する搬送装置3と、トレー9を保持板37に固定する固定装置4と、排出位置において、側板または底板の1以上の箇所を押圧して冷凍食品Fをトレー9から排出させる排出装置5と、を備え、排出装置5は、トレー9の下側に付される押圧圧力の方が、トレー9の上側に付される押圧圧力の方よりも大きくなるようトレーを押圧する、または、排出位置において冷凍食品Fの上部と接触してトレー9から排出される冷凍食品Fの回転方向を制限する排出ガイドが設けられる、取出装置1が提供される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13