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特許7387926選択的エストロゲン受容体分解剤の調製のためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】選択的エストロゲン受容体分解剤の調製のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/052 20060101AFI20231120BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20231120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20231120BHJP
【FI】
C07D491/052 CSP
A61K31/436
A61P35/00
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023013779
(22)【出願日】2023-02-01
(65)【公開番号】P2023112696
(43)【公開日】2023-08-14
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】63/305,520
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/409,060
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】アルゲリェス デルガド,アロンソ ホセ
(72)【発明者】
【氏名】チェル,ダグラス パットン
(72)【発明者】
【氏名】マグナス,ニコラス アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ゼスキス,ボリス アルノルドヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ホーク,マイ カーン グエン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ユー
(72)【発明者】
【氏名】レミック,デイビッド マイケル
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-530484(JP,A)
【文献】特表2021-530486(JP,A)
【文献】国際公開第2021/178846(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0221163(US,A1)
【文献】特表2016-522262(JP,A)
【文献】特表2018-504384(JP,A)
【文献】国際公開第2022/192203(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/197528(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D、A61K、A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Aの化合物:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を製造するための方法であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、前記方法が、構造8の化合物:
【化2】
又はその塩(式中、Rが、PG又はHであり、PGが、アルコール保護基である)を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化3】
又はその塩、及び還元剤と反応させることを含む、方法。
【請求項2】
前記還元剤が、STAB、LiBH、NaBH、NaBHCN、又はピリジンボランである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
構造8の化合物又はその塩を調製することを含み、構造7の化合物を、
【化4】
酸と反応させることを含み、各Rが、独立して、C~Cアルキルであるか、又は2つのR基が一緒になって、-CHCH-又は-CHCHCH-である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸が、HCl、HSO、p-TsOH、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、又はトリクロロ酢酸を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反応が、溶媒中で実施され、前記溶媒が、水を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
構造7の化合物又はその塩を調製することを含み、構造6の化合物を、
【化5】
塩基と反応させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記塩基が、CsCO、NaH、ナトリウムtert-ブトキシド、NaOH、LiOH、KOH、ナトリウムtert-ペントキシド、カリウムtert-ペントキシド、又はDBUを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
構造6の化合物又はその塩を調製することを含み、構造4の化合物を、
【化6】
還元剤と反応させることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
還元剤が、LiAlH、NaBH、又はボランリガンドを含み、前記リガンドが、THF、MeS、カテコール、又はN,N-ジエチルアニリンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
構造4の化合物又はその塩を調製することを含み、構造3の化合物を、
【化7】
HOCHCH(ORと反応させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
構造3の化合物又はその塩を調製することを含み、構造1の化合物と、
【化8】
構造2の化合物との間のクロスカップリング反応を含み、
【化9】
式中、Rが、水素若しくはアルキル、又は2つのR基が少なくとも2つの炭素によって接合されて、触媒の存在下でジオキサボロラン又はジオキサボリナンを形成する構造であり得る、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒が、遷移金属触媒を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記遷移金属触媒が、Pd触媒を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記構造8の化合物が、構造8Bの化合物である、請求項1に記載の方法。
【化10】
【請求項15】
前記構造7の化合物が、構造7Bの化合物である、請求項3に記載の方法。
【化11】
【請求項16】
前記構造6の化合物が、構造6Bの化合物である、請求項6に記載の方法。
【化12】
【請求項17】
前記式Aの化合物又はその薬学的に許容される塩が、式Bの化合物、
【化13】
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物又はその薬学的に許容される塩が、以下から選択される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【化14】
【請求項19】
前記化合物又はその薬学的に許容される塩が、以下から選択されるいずれかの化合物のトシレート塩である、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【化15】
【請求項20】
(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)エタン-1,1-ジオールである、化合物、又はその塩。
【請求項21】
(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)エタン-1,1-ジオールである、化合物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)は、エストロゲン受容体(ER)に結合し、ER介在性転写活性を下方制御する。SERDによって引き起こされる分解及び下方制御は、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんなどのがん、並びに新たな耐性による変異を含む、様々な増殖性免疫介在性障害、細胞増殖障害の治療において有用であり得る。SERDのいくつかの小分子の例が、文献に開示されている(例えば、WO2005/073204、WO2014/205136、及びWO2016/097071を参照されたい)。それにもかかわらず、乳がん、胃がん、及び/又は肺がんなどのER陽性がんを治療するための新たなSERDが必要である。
【0002】
米国特許第10,654,866号(’866特許)に記載されているように、以下の式の一連のSERDが、その薬学的に許容される塩とともに発見されており、
【化1】
式中、R及びRの一方は、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方は、Hである。これらのSERDは、細胞増殖の効果的な阻害剤であり、一般に、他の既知かつ特徴付けられたSERDと比較して、より優れた薬物動態的(PK)及び薬力学的(PD)特性を示す。
【0003】
’866特許は、以下の中間体を利用するこれらの化合物を調製するための合成方法を記載しており、
【化2】
【0004】
式中、R又はRは、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方は、水素である。これらの中間体は、エストロゲン受容体(ER)に結合し、ER介在性転写活性を下方制御するため、SERD活性中間体である。-これらの中間体はSERD活性であるため、それらの使用は、高価で数が限られている高度な封じ込め施設の使用などの特別な条件を必要とした。
【0005】
SERD活性中間体の使用を回避する新たな方法及び中間体が、本明細書に開示される。更に、SERD活性汚染物質の可能性が大幅に低減し、高度な封じ込め施設は必要とされない。これらの新たな方法は、環境に優しい試薬を利用し、最適な不純物制御を可能にし、結晶性材料を形成するSERD活性化合物の効率的で費用効果が高く、容易な合成を提供する。結晶性材料は、SERD活性化合物の容易な精製を可能にする。
【0006】
更に、式A(下記)のものなどのSERD活性化合物の調製に有用な新規中間体、及びその薬学的に許容される塩も開示される。本明細書に開示される方法は、SERD活性中間体及び不純物の存在を最小限に抑え、したがって、高効力/高封じ込め製造条件を使用する必要性も最小限に抑える。これにより、式Aの化合物を作製する方法の効率及び安全性が大幅に改善され、一方で製造コストが低減される。
【発明の概要】
【0007】
式Aの化合物:
【化3】

又はその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスであって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGである、プロセスが本明細書に開示され、このプロセスは、構造8の化合物:
【化4】

又はその塩(式中、Rが、PG又はHであり、PGが、アルコール保護基である)を、
溶媒中で、構造9のアミン、
【化5】
又はその塩、及び還元剤と反応させることを含む。好適な還元試薬は、本出願の別の場所に開示されている。
【0008】
式Aの化合物を調製するのに有用な中間体もまた、本明細書に開示される。
【0009】
式Aの化合物
【化6】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、構造8の化合物:
【化7】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化8】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が、本明細書に開示される。好適な還元試薬は、本出願の別の場所に開示されている。
【0010】
式Aの化合物
【化9】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、構造8の化合物:
【化10】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化11】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、少なくとも約92%のエナンチオマー過剰率を有する。
【0011】
式Aの化合物
【化12】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H、又はC~Cアルコールを含有するPGである、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる。
【0012】
式Aの化合物
【化13】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、構造8の化合物:
【化14】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化15】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、C~Cアルコールを含有する。
【0013】
式Aの化合物
【化16】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、少なくとも98%面積の純度を有し、以下に定義される、1%面積未満の1つ以上のジヒドロキノリン又はキノリンベースの不純物を含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる。
【0014】
式Aの化合物
【化17】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、構造8の化合物:
【化18】
又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化19】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、少なくとも98%面積の純度を有し、以下に定義される、1%面積未満の1つ以上のジヒドロキノリン又はキノリンベースの不純物を含有する。
【0015】
式Bの化合物
【化20】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、少なくとも98%面積の純度を有し、1%面積未満の1つ以上のジヒドロキノリン又はキノリンベースの不純物を含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。
【0016】
ピリジンボランを調製するためのプロセスもまた、本明細書に開示され、このプロセスは、ピリジニウム塩と水素化ホウ素ナトリウムとを溶媒中で反応させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】クロマトグラフィーシステム1を利用した、調製18b、調製19、及び代替調製19のクロマトグラフィーオーバーレイである。
図2図1の拡大版である。
図3】クロマトグラフィーシステム2を利用した、調製18b、調製19、及び代替調製19のクロマトグラフィーオーバーレイである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
式Aの化合物を調製するいくつかの方法が、本明細書に記載される。これらの方法は、分子の基又は部分がキノリンコアに付加されるか、又は他の方法で操作される順序を変更するが、各方法は、構造8と9との間の反応を利用する。以下に記載されるように、式Aの化合物は、キラル中心を含み、本明細書に記載の方法は、エナンチオ濃縮材料の調製に有用であり得る。
【0019】
式Aの化合物は、キラル中心を含み、本明細書に記載の方法を使用して、主にRエナンチオマー又はSエナンチオマーを含むラセミ式A又はエナンチオ濃縮式Aを調製することができる。式Aによって包含されるR及びSエナンチオマーをすぐ下に示す。R-エナンチオマー形態は、式Bに例示されており、
【化21】

S-エナンチオマー形態は、式Cに例示されている。
【化22】
【0020】
式Aのエナンチオ濃縮化合物、すなわち、式B(式Cよりも式Bのエナンチオマーが多い)及び式C(式Bよりも式Cのエナンチオマーが多い)の化合物は、キラル合成によって(本明細書に記載のとおり)調製され得るか、又はラセミ式Aを分解して、キラルクロマトグラフィーなどの当該技術分野において既知の方法を使用して、若しくはラセミ式Aをジアステレオマー塩に変換し、ジアステレオマー塩を分離し、ジアステレオマー塩を非塩形態に変換し、エナンチオ濃縮化合物を単離することによって、エナンチオ濃縮材料を得ることができる。式Aは、上記のように分解することができるが、本明細書に開示される任意のラセミ中間体は、当該技術分野において既知の方法を使用して分解することができ、得られたエナンチオ濃縮化合物を使用して、式B又は式Cのエナンチオ濃縮化合物を調製することができる。
【0021】
本明細書に開示される方法を使用して作製することができる式A、B、及びCの化合物を表1に開示する(これらの化合物において、Rは、Hである)。
【化23】
【表1】
【0022】
一実施形態では、式Aの化合物は、Rエナンチオマー形態を有する、すなわち、それらは、式Bである。
【0023】
特に好ましい実施形態では、式Bの化合物は、
【化24】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0024】
一実施形態では、この化合物は、遊離アミンである。別の実施形態では、この化合物は、トシレート塩である。更なる実施形態では、この化合物は、本明細書に開示されるプロセスのうちのいずれかに従って調製される。
【0025】
また、本明細書に記載の式A、式B、及び式Cの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される賦形剤、担体、又は希釈剤と組み合わせて含む薬学的組成物も本明細書に記載される。本明細書に記載の薬学的組成物は、薬学的に許容される添加剤を使用して調製することができる。本明細書で使用される「薬学的に許容される添加剤」という用語は、組成物又は製剤の他の添加剤と適合性があり、患者に有害ではない、1つ以上の担体、希釈剤、及び賦形剤を指す。本明細書に記載の式A、B、及びCの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩は、経口又はIVなどの様々な経路によって投与される薬学的組成物として製剤化することができる。バイオアベイラビリティはしばしばがん治療における因子であり、有効成分のバイオアベイラビリティを制御又は最適化するための投与方法及び薬学的組成物を選択する能力は有用である。例えば、経口で生物学的に利用可能なSERD組成物が特に有用であろう。本明細書に記載の式A、B、及びCの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩は、経口バイオアベイラビリティを有すると考えられている。薬学的組成物及びそれらの調製のためのプロセスの例は、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,L.V.Allen Jr,Editor,22nd Ed.,Mack Publishing Co.,2012に見出すことができる。薬学的に許容される担体、希釈剤、及び賦形剤の非限定的な例には、以下が含まれる:生理食塩水、水、デンプン、糖、マンニトール、及びシリカ誘導体;カルボキシメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、及びポリビニルピロリドンなどの結合剤;カオリン及びベントナイト;並びにポリエチルグリコール。
【0026】
本明細書に記載の様々な態様及び実施形態によれば、式A、B、及びCの化合物を調製する新たな方法が、本明細書に開示される。式A、B、及びCの化合物は、以下のスキーム、調製、及び実施例に示される試薬及び反応スキームを使用して調製することができる。記載される経路の各々についての特定の合成ステップは、異なる方法で、又は異なる手順からのステップと併せて組み合わせて、本明細書に記載の式A、B、及びCの化合物、又は薬学的に許容される塩を含むそれらの塩を調製することができる。
【0027】
生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、磨砕、及び結晶化を含む、当該技術分野において周知の従来の方法によって回収することができる。試薬及び出発物質は、商業的供給源などから当業者に容易に入手可能であるか、又は当業者に既知の方法を使用して生成されてもよい。
【0028】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の式A、B、及びCの化合物の合成に有用な新規中間体の合成のための方法及びプロセスを提供する。かかる態様では、本開示は、新規中間体化合物及びそれらの塩を含む物質の組成物を提供する。更に、本明細書に記載のある特定の中間体は、1つ以上の保護基を含有し得る。保護基は可変であってもよく、特定の反応条件及び実施される特定の変換に応じて、出現ごとに同じであっても異なっていてもよい。典型的な保護及び脱保護条件は、熟練者に既知であり、文献に記載されている(例えば、“Greene‘s Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth Edition,by Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,John Wiley and Sons,Inc.2007を参照されたい)。
【0029】
個々の異性体、エナンチオマー、及びジアステレオマーは、本明細書に記載の式A、B、及びCの化合物の合成における任意の都合のよい時点において、選択的結晶化技法又はキラルクロマトグラフィーなどの方法によって、当業者により分離又は分解され得る(例えば、J.Jacques,et al.,“Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981,and E.L.Eliel and S.H.Wilen,“Stereochemistry of Organic Compounds”,Wiley-Interscience,1994を参照されたい)。
【0030】
当業者はまた、式A、B、及びCの化合物、並びにそれらの薬学的に許容される塩を、重水素化又はトリチウム化することができ(少なくとも1つの水素が、重水素又はトリチウムによって置き換えられる)、かかる分子は、本明細書に開示される化合物の範囲内である。重水素化及びトリチウム化された化合物は、重水素及び/又はトリチウムが自然界に見出され得るレベルを超えるレベルまで濃縮される。
【0031】
本明細書に開示される中間体を含む重水素化化合物では、少なくとも1つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも20%同位体濃縮されている(同位体濃縮化合物は、様々な同位体のパーセンテージが天然に存在するパーセンテージと実質的に同じである、「非同位体濃縮」化合物とは対照的である)。一実施形態では、少なくとも2つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも20%同位体濃縮されている。一実施形態では、少なくとも3つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも20%同位体濃縮されている。別の実施形態では、少なくとも4つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも20%同位体濃縮されている。
【0032】
本明細書に開示される中間体を含む重水素化化合物では、少なくとも1つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも30%同位体濃縮されている(同位体濃縮化合物は、様々な同位体のパーセンテージが天然に存在するパーセンテージと実質的に同じである、「非同位体濃縮」化合物とは対照的である)。一実施形態では、少なくとも2つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも30%同位体濃縮されている。一実施形態では、少なくとも3つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも30%同位体濃縮されている。別の実施形態では、少なくとも4つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも30%同位体濃縮されている。
【0033】
本明細書に開示される中間体を含む重水素化化合物では、少なくとも1つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも40%同位体濃縮されている(同位体濃縮化合物は、様々な同位体のパーセンテージが天然に存在するパーセンテージと実質的に同じである、「非同位体濃縮」化合物とは対照的である)。一実施形態では、少なくとも2つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも40%同位体濃縮されている。一実施形態では、少なくとも3つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも40%同位体濃縮されている。別の実施形態では、少なくとも4つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも40%同位体濃縮されている。
【0034】
本明細書に開示される中間体を含む重水素化化合物では、少なくとも1つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも50%同位体濃縮されている(同位体濃縮化合物は、様々な同位体のパーセンテージが天然に存在するパーセンテージと実質的に同じである、「非同位体濃縮」化合物とは対照的である)。一実施形態では、少なくとも2つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも50%同位体濃縮されている。一実施形態では、少なくとも3つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも50%同位体濃縮されている。別の実施形態では、少なくとも4つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも50%同位体濃縮されている。
【0035】
本明細書に開示される中間体を含む重水素化化合物では、少なくとも1つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも60%同位体濃縮されている(同位体濃縮化合物は、様々な同位体のパーセンテージが天然に存在するパーセンテージと実質的に同じである、「非同位体濃縮」化合物とは対照的である)。一実施形態では、少なくとも2つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも60%同位体濃縮されている。一実施形態では、少なくとも3つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも60%同位体濃縮されている。別の実施形態では、少なくとも4つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも60%同位体濃縮されている。
【0036】
本明細書に開示される中間体を含む重水素化化合物では、少なくとも1つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも70%同位体濃縮されている(同位体濃縮化合物は、様々な同位体のパーセンテージが天然に存在するパーセンテージと実質的に同じである、「非同位体濃縮」化合物とは対照的である)。一実施形態では、少なくとも2つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも70%同位体濃縮されている。一実施形態では、少なくとも3つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも70%同位体濃縮されている。別の実施形態では、少なくとも4つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも70%同位体濃縮されている。
【0037】
本明細書に開示される中間体を含む重水素化化合物では、少なくとも1つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも80%同位体濃縮されている(同位体濃縮化合物は、様々な同位体のパーセンテージが天然に存在するパーセンテージと実質的に同じである、「非同位体濃縮」化合物とは対照的である)。一実施形態では、少なくとも2つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも80%同位体濃縮されている。一実施形態では、少なくとも3つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも80%同位体濃縮されている。別の実施形態では、少なくとも4つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも80%同位体濃縮されている。
【0038】
本明細書に開示される中間体を含む重水素化化合物では、少なくとも1つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも90%同位体濃縮されている(同位体濃縮化合物は、様々な同位体のパーセンテージが天然に存在するパーセンテージと実質的に同じである、「非同位体濃縮」化合物とは対照的である)。一実施形態では、少なくとも2つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも90%同位体濃縮されている。一実施形態では、少なくとも3つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも90%同位体濃縮されている。別の実施形態では、少なくとも4つの位置が、非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも90%同位体濃縮されている。
【0039】
一態様では、式Aの化合物又はその塩を調製するためのプロセスであって、
【化25】
式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGである、プロセスが本明細書に開示され、
このプロセスは、以下の構造の化合物:
【化26】
又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン
【化27】
又はその塩、及び還元剤と反応させることを含む。
【0040】
実施形態では、プロセスは、構造8の化合物又はその塩を調製することを含み得、プロセスは、以下の構造の化合物を反応させることを含み、
【化28】
各Rは、独立して、C~Cアルキルであるか、又は2つのR基は一緒になって、-CHCH-若しくは-CHCHCH-であり、Rは、PG又はHであり、PGは、pH約6以下の加水分解条件下でのアルコール保護基である。いくつかの実施形態では、加水分解条件は、酸との反応を含む。一実施形態では、Rは、Hである。別の実施形態では、Rは、保護基(PG)である。
【0041】
いくつかの実施形態では、プロセスは、構造7の化合物又はその塩を調製することを含み得、プロセスは、以下の構造の化合物を、
【化29】
ヒドロキシル基を脱プロトン化して化合物を環化するのに有効な塩基性条件下で反応させることを含む。いくつかの実施形態では、塩基性条件は、CsCO、NaH、ナトリウムtert-ブトキシド、NaOH、LiOH、KOH、及びアルコキシド、例えば、メトキシド、エトキシド、ナトリウムtert-ペントキシド、又はカリウムtert-ペントキシドから選択される塩基を含むことができ、対イオンは、群I又は群IIの元素、又はDBUなどの非求核性塩基に由来する。一実施形態では、塩基は、CsCO、ナトリウムtert-ペントキシド、又はNaOHのうちの少なくとも1つを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、プロセスは、構造6の化合物又はその塩を調製することを含み、プロセスは、以下の構造の化合物を、
【化30】
ケトンを還元してアルコール6を生成するのに効果的な条件下で反応させることを含む。ケトン4の還元中に、いくらかのジヒドロキノリン5が形成される場合もある。ジヒドロキノリンは、少なくとも1つの酸化剤を使用して酸化して、キノリン6に戻してもよい。
【0043】
【化31】
酸化剤の例には、MnO、DDQ、及び酸素が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酸化剤は、MnOである。当業者はまた、ケトンが、NaBH、LiBH、LiAlH、NaBHCN、STABなどの標準的な還元条件下で還元され得るか、又は水素/パラジウム若しくはヒドリド試薬などの水素化により、ラセミアルコールを得ることができ、これがキラル分解を受け得ることを理解するであろう。
【0044】
いくつかの実施形態では、プロセスは、構造4の化合物又はその塩を調製することを含み得、プロセスは、以下の構造の化合物を、
【化32】
2,2-ジエトキシエタノール、2,2-ジメトキシエタノール、2-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン、又は2-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキソラン、保護アルデヒド-2-炭素断片アルコールなどの化合物とのフルオロ基の分子間求核芳香族置換(SAr)を実施するのに効果的な条件下で反応させて、4を形成することを含む。ジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどのアセタール、又は-CHCH-若しくは-CHCHCH-は、本明細書に開示されるプロセスにおいて使用することができるアルデヒド保護基の非限定的な例である。
【0045】
いくつかの実施形態では、プロセスは、構造3の化合物又はその塩を調製することを含み、プロセスは、以下の構造の化合物と、
【化33】
以下の構造の化合物との間のクロスカップリング反応を含み、
【化34】
は、構造3の化合物を形成するのに効果的なパラジウム又はニッケル触媒を含む条件下で、水素若しくはアルキル、又は2つのR基が少なくとも2つの炭素によって接合されてジオキサボロラン若しくはジオキサボリナンを形成する構造であり得る。
【0046】
あるいは、いくつかの実施形態では、プロセスは、構造3の化合物又はその塩を、構造17の化合物を、
【化35】
構造13の化合物(酸塩化物若しくはワインレブアミド)又は13a(アルデヒド)と反応させることによって調製することができ、
【化36】
標準的なグリニャール又はリチオ化付加反応条件下で、R=Cl又はHN(OMe)Rであり、R=C~Cアルキルである。13aが使用される場合、得られる生成物は、アルコールであり、これは次いで、本明細書に開示される方法又は当該技術分野において既知の方法を使用して、ケトンに酸化される。
【0047】
本明細書に記載の式A、B、及びCの化合物、それらの薬学的に許容される塩、並びにそれらの薬学的組成物は、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、又は肺がんを治療するために使用され得る。治療の方法は、治療有効量の本明細書に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、必要とする患者に投与することを含む。本明細書に記載の化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩は、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がん、並びに新たな耐性による変異の治療において使用することができる。子宮内膜がんには、類内膜子宮内膜がんが含まれる。
【0048】
式A、B、及びCの化合物、並びにそれらの薬学的に許容される塩は、細胞増殖、特にER転写によって引き起こされる無秩序な細胞増殖に関連する他の疾患及び障害の中でも、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、又は肺がんを治療するための医薬品の製造に使用される。
【0049】
これら及び他の態様及び実施形態は、以下の説明においてより詳細に提供される。
【0050】
SERDとして作用する四環式化合物及びそれらの薬学的塩を作製する新規の方法が、本明細書に開示される。本明細書に記載の方法及びプロセスによって調製されるSERDは、ER介在性転写の阻害を提供し、これは、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんなどのがん、並びに新たな耐性による変異の治療に有用となるであろう。子宮内膜がんには、類内膜子宮内膜がんが含まれる。これらのSERDは、乳がん、胃がん、及び/又は肺がんなどのホルモン受容体陽性がんを治療するために、単剤として、又は選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、アロマターゼ阻害剤、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、PI3K阻害剤、及びmTOR阻害剤を含む他のクラスの薬物と組み合わせて使用することができる。
一態様では、本開示は、式Aの化合物又はその塩を調製するためのプロセスを提供し、
【化37】

式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、
このプロセスは、以下の構造の化合物:
【化38】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化39】
又はその塩、及び還元剤と反応させることを含む。好適な溶媒の例には、極性溶媒が含まれる。極性溶媒には、アルコール、エーテル、ニトリル、及びいくつかのハロゲン化炭化水素が含まれる。好適なアルコール溶媒の例には、MeOH、EtOH、イソプロピルアルコールtert-ブタノール、tert-アミルアルコールが含まれ、一方で好適なエーテルには、THF、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、及び2-MeTHFが含まれる。ACNは、好適なニトリル溶媒の例である。適切なハロゲン化溶媒には、DCM、クロロホルム、及び1,2-ジクロロエタンが含まれる。使用することができる他の溶媒には、DMF NMP、NBP、DMSO、及びDMACが含まれる。2つ以上の溶媒の組み合わせを使用することができる。
【0051】
還元剤の例には、STAB、LiBH、NaBH、NaBHCN、又はピリジンボランが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの還元プロトコルでは、TEA又はDIPEAなどの塩基も存在する。一実施形態では、還元剤は、STABを含む。別の実施形態では、還元剤は、NaBHCNを含む。更に別の実施形態では、還元剤は、ピリジンボランを含む。
【0052】
実施形態では、プロセスは、構造8の化合物又はその塩を調製することを含み得、プロセスは、以下の構造の化合物を、
【化40】
加水分解条件下で反応させることを含む。いくつかの実施形態では、加水分解条件は、酸を使用することを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、プロセスは、構造7の化合物又はその塩を調製することを含み得、プロセスは、以下の構造の化合物を、
【化41】
塩基性条件下で反応させることを含む。塩基はヒドロキシル基を脱プロトン化し、その後反応して環化化合物を形成する。いくつかの実施形態では、塩基性条件は、CsCO、NaH、ナトリウムtert-ブトキシド、LiOH、NaOH、KOH、及びメトキシド、エトキシド、ナトリウムtert-ペントキシド、又はカリウムtert-ペントキシドなどのアルコキシドから選択される塩基を含み、対イオンは、I族若しくはII族の元素、又はDBUなどの有機塩基に由来する。一実施形態では、塩基は、CsCO、ナトリウムtert-ペントキシド、又はNaOHのうちの少なくとも1つを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、プロセスは、構造6の化合物又はその塩を調製することを含み得、プロセスは、以下の構造の化合物を、
【化42】
ケトンをアルコールに還元するのに効果的な条件下で反応させることを含む。かかる条件は、ケトン還元剤の使用を含む。ケトン還元剤の例には、LiAlH、NaBH、又はボランリガンドが含まれるが、これらに限定されず、リガンドは、THF、MeS、カテコール、又はN,N-ジエチルアニリンである。
【0055】
いくつかの実施形態では、ケトンは、エナンチオ選択的に還元され、構造6B又は6Cの対応するキラル非ラセミアルコールを生成する。キラル還元プロトコル及び/又はキラル還元剤の例には、BINOLなどのキラルリガンドに配位したLiAlH、キラル水素化ホウ素還元剤、キラルアルキルボロヒドリド還元剤、ボロリジン試薬を含むCorey-Bakshi-Shibata(CBS)還元、金属触媒に配位したキラルリガンド(BINAPに配位した水素ガス及びルテニウムなど)、酵素還元、及びPyBOXに配位したロジウムの使用を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、エナンチオ選択的還元条件は、ボロリジン試薬を含むCBS還元を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、プロセスは、構造4の化合物又はその塩を調製することを含み得、プロセスは、以下の構造の化合物を、
【化43】
2,2-ジエトキシエタノール又は2-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン、保護アルデヒド-2-炭素断片アルコールなどの化合物とのフルオロ基のSArを実施するのに効果的な条件下で反応させて、4を形成することを含む。アルキル及び環状アセタール、例えば、ジメチル、ジエチルアセタール、又は-CHCH2-若しくは-CHCHCHは、アルデヒド保護基の非限定的な例である。
【0057】
いくつかの実施形態では、プロセスは、構造3の化合物又はその塩を調製することを含み得、プロセスは、以下の構造の化合物と、
【化44】
以下の構造の化合物との間のクロスカップリング反応を含み、
【化45】
は、水素若しくはアルキル、又は2つのR基が少なくとも2つの炭素によって接合されて、ジオキサボロラン又はジオキサボリナンを形成する構造であり得る。一実施形態では、クロスカップリング反応は、触媒を使用する。一実施形態では、触媒は、遷移金属触媒を含む。使用することができる遷移金属触媒は、パラジウム触媒又はニッケル触媒を含む。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒が使用される場合、パラジウム触媒は、XantPhos Pd G2、cataCXium(登録商標)A Pd G3、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、トリシクロヘキシルホスフィンを含むトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリド、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、又は酢酸パラジウム(II)アセテートを含み得る。好適なニッケル触媒は、NiCl(dppp)、NiCl(dppf)、GDenP-Niであり得る。
【0058】
定義
本明細書で使用される場合、「ACN」は、アセトニトリルを指し、「(Amphos)PdCl」は、ビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)を指し、「BSA」は、ウシ血清アルブミンを指し、「BINAP」は、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルを指し、「BINOL」は、1,1’ビ-2-ナフトールを指し、「Bu」は、ブチルを指し、「ベシレート」は、CSO-又はベンゼンスルホネートを指し、「cataCXium(登録商標)A Pd G3」は、[(ジ(1-アダマンチル)-ブチルホスフィン)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホネートを指し、「DBU」は、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エンを指し、「DCM」は、ジクロロメタン又は塩化メチレンを指し、「DDQ」は、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンを指し、「DEA」は、ジエチルアミンを指し、「DIPEA」は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DMAC」は、ジメチルアセトアミドを指し、「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「ee」は、エナンチオマー過剰を指し、キラルガスクロマトグラフィー又はキラル液体クロマトグラフィーを使用して測定され得る。「Erα」は、エストロゲン受容体αを指し、「EtOAc」は、酢酸エチルを指し、「EtOH」は、エタノール又はエチルアルコールを指し、「Ex」は、例を指し、「FLU」は、蛍光ユニットを指し、「GDenP-Ni」は、デンドリマーで安定化されたニッケルナノ粒子を指し、「h」は、時間を指し、「hERα」は、ヒトエストロゲン受容体αを指し、「IC50」は、所与の応答(リガンド結合、酵素応答)を50%低減する化合物の濃度を指し、「IPA」はイソプロピルアルコール又はイソプロパノールを指し、「Me」は、メチルを指し、「MeOH」は、メタノール又はメチルアルコールを指し、「2-MeTHF」は、2-メチルテトラヒドロフランを指し、「メシレート」は、CHSO-又はメチルスルホネートを指し、「min」は、分を指し、「MTBE」は、メチルtert-ブチルエーテルを指し、「NiCl(dppf)」は、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロニッケル(II)を指し、「NCS」は、N-クロロスクシンイミドを指し、「NiCl(dppp)」は、ジクロロ[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケルを指し、「NBP」は、N-ブチルピロリジノンを指し、「NMP」は、N-メチル-2-ピロリドンを指し、「PBS」は、リン酸緩衝生理食塩水を指し、「PEPPSI(商標)-IPr」は、ピリジン強化プレ触媒調製安定化及び開始-[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](3-クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリドを指し、「Prep」は、調製を指し、「PyBOX」は、ビス(オキサゾリン)リガンドのピリジンリンカーを指し、「RNase」は、リボ核酸(RNA)分子を分解する加水分解酵素の群を指し、「RT」は、室温を指し、「STAB」は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを指し、「TEMPO」は、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル又は(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニルを指し、「THF」は、テトラヒドロフランを指し、「トシレート」は、HCCSO-又は-OTを指し、「p-TsOH」は、4-メチルベンゼンスルホン酸又はトルエンスルホン酸を指し、「XantPhos Pd G2」は、クロロ[(4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン)-2-(2′-アミノ-1,1′-ビフェニル)]パラジウム(II)を指し、「XPhos Pd G2」は、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2′,4′,6′-トリイソプロピル-1,1′-ビフェニル)[2-(2′-アミノ-1,1′-ビフェニル)]パラジウム(II)及び「XRPD」は、X線粉末回折を指す。
【0059】
全ての化合物名は、Biovia Draw 2017 R2、ChemDrawバージョン19.1を使用して生成されたか、又はそこから派生した。
【0060】
以下のスキーム、調製、及び実施例は、本発明を更に説明する。
【0061】
スキーム1
【化46】
スキーム1は、構造1の中間体の調製を示す。Rは、PG又はHであり、PGは、アルコール保護基である。アルコール保護基の例には、C~Cアルキル、ベンジル、ベンゾイル、C~Cアルカノイル、メトキシエトキシメチルエーテル基、シリルエーテル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソプロピルシリルオキシメチル、及びトリ-イソプロピルシリル)、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、及びエトキシエチルエーテルが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、PGは、メチルである。別の実施形態では、PGは、ベンゾイルである。
【0062】
スキーム1、ステップAでは、7-メトキシ-4-ヒドロキシキノリン(化合物10)を、NCSなどのハロゲン化剤で処理し、DMF中で約40℃に加熱して化合物11を得る。ステップBでは、化合物11をトルエンなどの溶媒中で、約100℃に加熱しながらP(O)Brと反応させて、4位のキノリン環を臭素化し、ヒドロキシ基を置換して、ステップBの化合物12を得ることができる。あるいは、DMFなどの溶媒中、約40℃で三臭化リンを使用するより穏やかな条件下でこの変換を実施して、化合物12を得ることもできる。
【0063】
ステップCでは、グリニャール反応が達成される。この反応は、グリニャール試薬であるハロゲン化アリールマグネシウムが、アルデヒドなどのカルボニル基(化合物13a)に付加して、ベンジルアルコール(化合物14)を得る有機金属反応を伴う。次いで、化合物14は、酸化剤を使用して化合物1に酸化される。酸化剤の例には、KMnO、KCr、クロロクロム酸ピリジニウム、デス・マーチン条件、スワーン条件、オッペナウアー条件、フェチゾン条件、及び酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを含むKBr/TEMPOが含まれる。一実施形態では、次亜塩素酸ナトリウムを含むKBr/TEMPOが、EtOAc/水を含む二相溶媒系で使用される。あるいは、ステップDの後、ステップDのアリールメチルエーテルは、BBr又はHBrでの処理など、熟練者に認識される様々な条件下で(PGがメチルである場合)脱メチル化され得る。例えば、化合物1は、DCMなどの溶媒中でゆっくりとBBrで処理することができ、これを化合物1の脱保護生成物(Rは、Hである)を提供する条件下で撹拌及びクエンチすることができるか、あるいは、条件下で(例えば、還流で)水性HBrと反応させて、化合物1(Rは、Hである)の脱保護生成物を提供することができる。
【0064】
スキーム2
【化47】
スキーム2は、12及び13をカップリングして化合物1を形成する代替方法を示し、PGは、上記のように定義され、Rは、Cl、N(OMe)Rであり得、R=C~Cアルキルである。ステップAでは、ケトン(化合物1)は、グリニャール試薬を、酸塩化物(R=Cl)又はワインレブアミド(R=N(OMe)R)に、THFなどの溶媒とともに0℃を下回る温度、好ましくは約-15~-25℃で添加して化合物1を得ることによって生成される。更に、示されたグリニャール試薬の有機リチウム又は有機亜鉛変種などの有機金属求核剤を、グリニャール試薬の代わりに使用することができる。
【0065】
あるいは、ステップAの後、ステップAのアリールメチルエーテル(PGがメチルである場合)は、ステップDの後、スキーム1に記載のとおり脱メチル化され得る。
【0066】
スキーム3
【化48】
スキーム3、ステップAでは、化合物1及び2を用いて、塩基性条件下で鈴木反応を実行することができる。鈴木反応は、パラジウム(0)触媒又はニッケル触媒を利用した、ボロン酸、ボロン酸エステル、又は環状ボロン酸エステルと、トリフレート(OTf)などの有機ハロゲン化物又は疑似ハロゲン化物との間のクロスカップリング反応として当該技術分野において周知である。Rは、水素若しくはアルキル、又は2つのR基が少なくとも2つの炭素によって接合されて、ジオキサボロラン又はジオキサボリナンを形成する構造であり得る。かかるクロスカップリング反応を促進するのに有用であり得る様々な条件。代替クロスカップリング反応には、根岸、檜山、熊田、又はStilleが含まれる。好適なパラジウム試薬には、XantPhos Pd G2、cataCXium(登録商標)A Pd G3ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物、トリシクロヘキシルホスフィンを含むトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)塩化物、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、又はパラジウム(II)アセテートが含まれ得る。好適なニッケル触媒は、NiCl(dppp)、NiCl(dppf)、GDenP-Niであり得る。この反応は、低い触媒負荷(例えば、1mol%以下)で効率的な高収率の反応であり得る。例えば、4-ハロゲン置換キノリンケトン、化合物1(ハロゲンは、典型的にはClであるが、Br又はFの場合もある)は、Pd-Xphos-G2などの上記の触媒を利用して、2-フルオロ3及び/又は4置換フェニルボロン酸などの適切に置換されたボロン酸又はエステル(化合物2)とカップリングされて、THF及び水などの溶媒中で、約65℃に加熱しながら化合物3及びNaHCO、KCO、又はCsCOなどの塩基を形成する。他の好適な溶媒は、トルエン、ジオキサン、又はDMFであり得、温度は、ほぼ室温~約100℃の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、Pd-XPhos-G2 Buchwald型触媒を、反応において使用することができる。反応は、低パラジウムレベルを使用するため、パラジウムスカベンジングは、最小限に抑えられるか、又は必要でない場合があるが、しかしながら、必要に応じて、シリカ結合当量の1-プロパンチオールである、シリカチオールを用いてPdスカベンジングを実施することもできる。
【0067】
ステップBでは、極性非プロトン性溶媒及び塩基中の2,2-ジエトキシエタノールを使用して、化合物3をSAr反応にかけて、保護されたアルデヒドを形成することができる。ステップBは、約5℃などの室温未満の温度で実施することができる。好適な塩基には、ナトリウムtert-ブトキシド、NaH、CsCO、ナトリウムtert-ペントキシド、カリウムtert-ペントキシド、及び/又はDBUが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、溶媒がTHFを含むため、塩基は、カリウムtert-ブトキシドである。ジメチル、ジエチルアセタール、-CHCH-又は-CHCHCH-などの様々なアセタールを使用して、アルデヒド基を保護することができる。他の可能な極性非プロトン溶媒は、DMF、アセトン、ACN、DCM、及びEtOAcであり得る。この反応は、高収率を有し得、結晶性生成物を生成し得る。例えば、電子不足の芳香環化合物(化合物3)は、2,2-ジエトキシエタノールなどの電子豊富な種と反応して、化合物4を形成する。
【0068】
当業者は、ステップBにおける分子間SAr反応が、ステップAの鈴木反応の前に完了し得ることを認識するであろう。かかる再配列は、より少ない触媒及びボロン酸/エステルを必要とし得、より経済的なプロセスをもたらすことができる。以下のスキーム4を参照されたい。
【0069】
ステップCでは、化合物4のケトン部分を、キラル又はアキラル様式でアルコールに還元することができる。以下のスキーム4は、ケトンのキラル還元を記載している。ケトンは、標準的な還元条件下で還元され得る。好適なアキラル還元剤には、NaBH、LiBH、LiAlH、NaBHCN、又はSTABが含まれるが、これらに限定されない。得られたラセミアルコールは、所望のエナンチオマーのキラル分離及び単離に供することができる。
【0070】
化合物4のケトン部分の還元により、化合物5及び6の混合物が得られる。理論に束縛されることを望むものではないが、化合物6から化合物5への過度の還元は、ステップAからの残留Pdの存在によって促進されると考えられる。化合物3及び/又は化合物4のPd含有量は、シリカチオール又は同様の試薬を使用して低減することができる。いくつかの実施形態では、還元反応のクエンチングは、水素ガスを生成することができ、これは吸収剤を必要とし得る。好ましくは、化合物5及び6の混合物は、H NMRによって決定された場合、約20%未満又は約15%未満又は約10%未満の化合物、又は約9%未満又は約8%未満の化合物5を含有する。
【0071】
化合物5及び6の混合物は、通常、単離されない。代わりに、化合物5を化合物6に変換する酸化条件に供される。この酸化は、様々な酸化剤を使用して達成することができる。酸化剤の例には、不活性担体中の酸素(火災を防ぐため)及びMnOが含まれる。MnOは、安価で豊富であるが、密度が高く、懸濁液中で維持するにはよく撹拌する必要がある。MnOの様々な形態及び粒子サイズを利用することができる。充填カラム(反応器の外部)を使用して、懸濁液及び反応器のファウリング問題を回避することができる。いくつかの実施形態では、溶媒としてACNを利用することによって、溶媒交換を回避することができる。別の実施形態では、窒素中の約5%の酸素を使用して、化合物5を化合物6に酸化することができる。
【0072】
ステップDの酸化反応の後、粗化合物6をステップD1で環化して、化合物7を形成する。環化条件は、化合物6を、例えば、CsCO、NaH、ナトリウムtert-ブトキシド、LiOH、NaOH、KOH、アルコキシド塩基、例えば、ナトリウム、カリウム若しくはリチウムメトキシド、ナトリウムカリウム若しくはリチウムエトキシド、ナトリウムtert-ペントキシド、若しくはカリウムtert-ペントキシドなどの好適な塩基、例えば、DBUなどの非求核性塩基、又はそれらの2つ以上の混合物で処理することを含む。一実施形態では、塩基は、CsCO、ナトリウムtert-ペントキシド、又はNaOHのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、塩基は、CsCO又はナトリウムtert-ペントキシドを含む。更なる実施形態では、塩基は、CsCOであり、環化反応は、約80~90℃又は約85℃の温度で実施される。別の実施形態では、塩基は、ナトリウムtert-ペントキシドである。一実施形態では、塩基は、ナトリウムtert-ペントキシドであり、環化反応は、約20~30℃又は約25℃の温度で実施される。
【0073】
いくつかの実施形態では、ジオキサンなどの望ましくない溶媒は、ACN、2-MeTHF、及び/又はtert-アミルアルコールなどの溶媒を使用することによって回避することができる。これら3つの溶媒は許容されるが、tert-アミルアルコール及び/又は2-MeTHFの使用が好ましい。一実施形態では、溶媒は、2-MeTHFを含む。別の実施形態では、溶媒は、2-MeTHFからなる。更に、溶媒は、tert-アミルアルコールを含むか、又はtert-アミルアルコールからなる。
【0074】
ステップEでは、化合物7は、アセタール加水分解を受けて、アルデヒド化合物8を形成し得る。この反応は、HCl、HSO、p-TsOH、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、又はトリクロロ酢酸などの酸を用いて実行することができる。好ましい実施形態では、加水分解のための溶媒は、水、及び任意に、ACNなどの第2の溶媒を含む。別の実施形態では、p-TsOHが好ましい酸である。好ましい実施形態では、以下の加水分解系のうちの少なくとも1つが使用される:含水アセトン中のHSO、ACN中のHCl水溶液、THF中のHCl水溶液、水及びアセトニトリル中のTsOH、又はTHF水溶液中のTsOHを使用することもできる。例えば、化合物7は、ACN中のHCl水溶液を使用して脱保護することができ、得られたアルデヒド8は、沈殿物を形成する。あるいは、化合物7は、水及びアセトニトリル中のTsOHを使用して脱保護することができる。いくつかの実施形態では、反応混合物のpHが約6に制御されると、アルデヒドが、ヘミアセタールの一部とともに得られる。いくつかの実施形態では、アルデヒドは、一水和物又は二水和物などの水和物として単離される。典型的には、水和物は、カール・フィッシャー滴定を使用して決定された場合、約8%以下の水、より一般的には6%未満の水、更により好ましくは4%未満の水を含有する。更なる実施形態では、アルデヒドは、カール・フィッシャー滴定によって決定された場合、約3%の水を含有する。一水和物の存在は、H NMRによって確認された。
【0075】
アルデヒド一水和物は、多くの場合、いくらかのヘミアセタールを含有する。例えば、R5がメチル又はエチルである場合、メチル又はエチルアセタールもそれぞれ形成される。脱保護反応の正確なpHは、存在する水和物(モノ及び/若しくはジ)並びに/又はアセタールの量に影響するであろう。いくつかの実施形態では、アルデヒドの重亜硫酸付加物が調製される。水和アルデヒド及びアルデヒドのヘミアセタール形態は、例えば、ステップFの還元的アミノ化反応のために、溶解するとアルデヒドに変換される。
【0076】
ステップFでは、アルデヒド8は、還元剤を使用して、溶媒中で還元的アミノ化に供される。好適な溶媒の例には、極性溶媒が含まれる。極性溶媒には、アルコール、エーテル、ニトリル、及びいくつかのハロゲン化炭化水素が含まれる。好適なアルコール溶媒の例には、MeOH、EtOH、及びイソプロピルアルコールが含まれる。好適なエーテルには、THF、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、及び2-メチルTHF(2-MeTHF)が含まれる。ACNは、好適なニトリル溶媒の例である。適切なハロゲン化溶媒には、DCM、クロロホルム、及び1,2-ジクロロエタンが含まれる。使用できる他の溶媒には、ジメチルホルムアミド(DMF)NMP、NBP、DMSO、及びDMACが含まれる。2つ以上の溶媒の組み合わせを使用することができる。一実施形態では、アルコール溶媒は、イソプロパノール、tert-ブチルアルコール、及び/又はtert-アミルアルコールを含有する。別の実施形態では、アルコール溶媒は、イソプロパノールを含有する。一実施形態では、アルコール溶媒は、tert-ブチルアルコールを含有する。更に別の実施形態では、アルコール溶媒は、tert-アミルアルコールを含有する。別の実施形態では、溶媒は、THF又は2-MeTHFを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、THFである。別の実施形態では、THFは、無水である。他の実施形態では、溶媒は、2-MeTHFを含む。別の実施形態では、2-MeTHFは、無水である。
【0077】
使用できる還元剤には、LiBH、NaBH、NaBHCN、ピリジンボラン、STAB、又は他のボランが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、還元剤は、STABである。代替実施形態では、還元剤は、ピリジンボランである。別の実施形態では、還元剤は、NaBHCNである。いくつかの実施形態では、還元剤は、STABであり、溶媒は、THF及び/又は2-MeTHFを含む。いくつかの他の実施形態では、還元剤は、ピリジンボランであり、溶媒は、アルコールを含む。
【0078】
一実施形態では、アゼチジン9は、遊離塩基である。アゼチジン9の塩を使用する場合、好適な塩には、HCl塩、トシレート塩、メシレート塩、又はベシレート塩が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、アゼチジン塩は、HCl塩である。別の実施形態では、アゼチジン塩は、トシレート塩である。アゼチジン9の塩を使用する場合、少なくとも部分的にアゼチジン塩を遊離塩基に変換するために、外部塩基を還元的アミノ化反応混合物に添加することができる。有機塩基及び無機塩基を含む様々な塩基を使用することができる。有機塩基の例には、TEA、DIPEA、及びピリジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
一実施形態では、アルコール溶媒はEtOHを含み、アゼチジン塩9が使用され、還元剤はSTABであり、外部塩基はTEA又はDIPEAである。別の実施形態では、アルコール溶媒は、イソプロパノール、tert-ブタノール、及び/又はtert-アミルアルコールを含有し、還元剤は、ピリジンボランを含有する。別の実施形態では、アルコール溶媒は、イソプロパノール、tert-ブタノール、及び/又はtert-アミルアルコールを含有し、還元剤は、NaBHCNを含有する。一実施形態では、アルコール溶媒は、tert-アミルアルコールを含有し、還元剤は、ピリジンボランを含有する。別の実施形態では、溶媒は、tert-アミルアルコールを含有し、還元剤は、ピリジンボランを含有し、アゼチジン9のHCl塩が使用される。異なる実施形態では、溶媒は、tert-ブチルアルコールを含有し、還元剤は、ピリジンボランを含有し、アゼチジン9のHCl塩が使用される。更に別の実施形態では、溶媒は、イソプロパノールを含有し、還元剤は、ピリジンボランを含有し、アゼチジン9のHCl塩が使用される。別の実施形態では、溶媒は、tert-アミルアルコールを含有し、還元剤は、ピリジンボランを含有し、アゼチジン9のトシレート塩が使用される。異なる実施形態では、溶媒は、tert-ブチルアルコールを含有し、還元剤は、ピリジンボランを含有し、アゼチジン9のトシレート塩が使用される。更に別の実施形態では、溶媒は、イソプロパノールを含有し、還元剤は、ピリジンボランを含有し、アゼチジン9のトシレート塩が使用される。
【0080】
PG基の除去は、式A、B、及びCの化合物の合成中の任意の時点で起こり得る。一実施形態では、化合物8と9との間の反応前に除去される。PG基がメチルである場合、BBrを使用して、それを除去することができる。
【0081】
一般に、式A、B、及びCの化合物の薬学的に許容される塩は、好適な溶媒中で式A、B、及びCの遊離塩基を薬学的に許容される酸で処理することによって形成することができる。式A、B、及びCを単離することができ、別のステップで形成された塩又は塩形態を、式A、B、及びCの中性物質を単離することなく単離することができる。薬学的に許容される塩の形成は周知である。例えば、P.Stahl,et al.,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS:PROPERTIES,SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley-VCH,2002)、Gould,P.L.,“Salt selection for basic drugs,”International Journal of Pharmaceutics,33:201-217(1986)、Bastin,R.J.,et al.“Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,”Organic Process Research and Development,4:427-435(2000)、及びBerge,S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19,(1977)を参照されたい。本明細書に記載の式A、B、及びCの化合物は、薬学的に許容される塩に容易に変換され、薬学的に許容される塩として単離され得ることを当業者は理解するであろう。有用な塩の例には、HCl塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(トシレート)、又はメチルスルホン酸塩(メシレート)が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、薬学的に許容される塩は、ベシレート塩である。別の実施形態では、薬学的に許容される塩は、トシレート塩である。更に別の実施形態では、薬学的に許容される塩は、メシレートである。別の実施形態では、薬学的に許容される塩は、HCl塩である。
【0082】
一実施形態では、式Aの化合物又はその薬学的に許容される塩は、式Bの化合物
【化49】
又はその薬学的に許容される塩であり、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGである。
【0083】
好ましい実施形態では、形態Bの化合物は、以下である。
【化50】
【0084】
スキーム4は、エナンチオマーBのキラル合成を示す。
【0085】
スキーム4
【化51】
スキーム4は、エナンチオマーBのキラル合成を示す。キラル化合物を作製する際の重要なステップは、ステップCにおいてアルコールのキラリティーを設定することであり、これは、このキラリティーが、ステップD、D1、E、及びFにおいて保持されるためである。
【0086】
ステップCでは、プロキラル化合物4はキラル還元を受けて、キラルアルコール6Bを選択的に形成する。還元中、ジヒドロキノリン5Bも形成される。理論に束縛されることを望むものではないが、(鈴木カップリングからの)化合物4中の残留Pdは、化合物6Bの過剰還元につながり、化合物5Bを形成すると考えられる。スキーム3に示されるように、ジヒドロキノリン5Bは、少なくとも1つの酸化剤を使用してキノリン6Bに酸化され得る。好適な酸化剤の例には、MnO、DDQ、及び酸素が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酸化剤は、MnOである。別の実施形態では、酸化剤は、不活性ガス中の酸素である。様々な酸素濃度を使用することができるが、より低い濃度を使用することが望ましく、これは、そうすることで火災の危険を最小限に抑えるのに役立つためである。一実施形態では、酸化剤は、窒素中約5%の酸素である。5B及び6Bの混合物は、典型的に、酸化反応の前に単離されない。
【0087】
一実施形態では、使用することができるキラル還元プロトコルは、CBSキラルケトン還元である。CBS還元は、ホウ酸トリメチルなどのボロリジン試薬を、ジフェニル-[(2R)-ピロリジン-2-イル]メタノールなどのキラルアミノ化合物、及びBH-MeSなどのホウ素ベースの還元剤と組み合わせて利用する。使用することができる他のボロリジン試薬には、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリ-t-ブチル、又はトリブチルボランが含まれる。使用することができる他のホウ素ベースの還元剤には、ボランN,N-ジエチルアニリン、BH-THF、又は他のボラン源が含まれる。酵素水素化又は触媒水素化などの他の還元プロトコルを使用することもできる。
【0088】
本明細書に開示される方法を使用して作製することができる化合物5B及び6Bの例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【表2-1】
【表2-2】
【0089】
上記の化合物はまた、式Bの化合物(式中、Rは、Hであり、Rは、Hであり、Rは、CFである)における潜在的な不純物である。
【0090】
スキーム4のステップD、E、及びFは、スキーム3に記載されるように完了することができる。好ましくは、酸化、脱保護、環化、及びカップリング反応は、出発物質の立体化学的完全性を維持する、すなわち、立体化学的純度が失われるとしてもほとんど失われない。例えば、化合物6Bが(キラルHPLC又はキラルガスクロマトグラフィー(GC)によって決定された場合)95±5%の単一エナンチオマーである場合、得られた生成物である化合物7Bは、(キラルHPLC又はキラルGCによって決定された場合)95±5%の単一エナンチオマーである。同様に、化合物7B又は8Bが97%の単一エナンチオマーである場合、化合物8B及びAもまた、97%の単一エナンチオマーである。
【0091】
本明細書に開示される方法を使用して作製することができる式7Bの化合物の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【表3】
【0092】
上記の化合物はまた、式Bの化合物(式中、Rは、Hであり、Rは、Hであり、Rは、CFである)における潜在的な不純物である。
【0093】
式Bの化合物(式中、R及びRが、Hであり、Rが、CFである)における追加の潜在的な不純物には、以下が含まれる。
【表4】
【0094】
上記のジヒドロキノリン化合物は、化合物6Bに酸化されなかった化合物5Bに由来する。
【0095】
式Bの化合物(式中、R及びRが、Hであり、Rが、CFである)における更に他の潜在的な不純物には、以下が含まれる。
【表5-1】
【表5-2】
【0096】
スキーム5は、化合物4を調製するための代替方法を示す。スキーム5では、化合物1を、-CHCH(ORシントンと反応させて化合物15を形成し、次いで、鈴木カップリングを行って化合物4を形成する。
【0097】
スキーム5
【化52】
スキーム5では、ステップAは、スキーム3のステップBに記載のとおり実行することができ、スキーム5、ステップBは、スキーム3のステップAに記載のとおり実行することができる。かかる再配列は、より少ない触媒及びボロン酸を必要とし得、より経済的なプロセスをもたらすことができる。再配列された反応は、同様の品質及び収量を提供することができる。
【0098】
化合物3を調製するための代替方法をスキーム6に示す。
【0099】
スキーム6
【化53】
スキーム6では、Rは、保護基であるか、又はHである。ステップAは、7-メトキシ-4-ヒドロキシキノリン、化合物15を、約50℃に加熱しながらACN中のI及びKPOと反応させることによって実行される、脱炭酸ヨウ素化である。得られた生成物である3-ヨード-7-メトキシキノリン-4-オール(化合物11)は、次いで、ステップBにおいて化合物2とクロスカップリングされる。このクロスカップリングステップは、スキーム3のステップAに記載のとおり実行することができる。様々な条件を使用できるが(スキーム3のステップAを参照されたい)、好適な条件のセットには、触媒としてPEPPSI(商標)-IPr又は(Amphos)PdClのいずれか、塩基としてKCO、及び溶媒としてtert-アミルアルコール/ACN/水又はジオキサン/水の使用を伴う。
【0100】
ステップCにおける臭素化は、スキーム1のステップBに記載のとおり実行することができる。上記の化合物17は、臭化物として示される。スキーム6には示されていないが、当該技術分野において既知の塩素化又はヨウ素化法を使用して、臭化物を塩化物又はヨウ化物で置き換えることができた。三臭化リン又はオキシ臭化リンを臭素化ステップで使用することができるが、一実施形態では、オキシ臭化リンが好ましい。代替実施形態では、ステップCの臭素化は、ステップBのクロスカップリングの前に完了することができる。ステップDでは、スキーム1、ステップCに記載されているように、グリニャール付加を完了することができる。
【0101】
あるいは、化合物17を強塩基で処理し、それによってアニオンを生成し、これをアルデヒド13aと反応させて化合物18を得ることができる。強塩基の例には、tert-BuLi及びn-BuLiが含まれる。n-BuLiを強塩基として使用する場合、4-ブチル-3-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-メトキシ-キノリン及び3-メトキシ-9-(トリフルオロメチル)ベンゾ[3,4]シクロブタ[1,2-c]キノリンが、不純物として形成される場合がある(下表の構造を参照されたい)。
【0102】
化合物18のベンジルアルコールの酸化(ステップE)は、スキーム1のステップDに記載されているように完了することができる。化合物3のヒドロキシの脱保護は、好適な試薬を用いた合成の任意のステップで起こり得、例えば、PGがメチルである場合、好適な試薬はBBrである。
【表6】
【0103】
スキーム7
【化54】
スキーム7は、化合物3を調製する代替方法を示す。スキーム7では、化合物17を化合物13と反応させ、Rは、Cl又はN(OMe)Rであり(式中、R=C~Cアルキル)、Rは、保護基又はHである。この反応により、アルコールの介在なしにケトン3が得られる。
【0104】
スキーム8
【化55】
スキーム8は、化合物Aを調製する代替方法を示す。スキーム8、ステップGでは、Rは、保護基であるか、又はHである。ステップGでは、スキーム3、ステップFにおいて概説されるものと同様の様式でアミンと反応させて、化合物Aを取得することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、式A、式B、又は式Cの化合物は、少なくとも98.1%面積、98.2%面積、98.3%面積、98.4%面積、98.5%面積、98.6%面積、98.7%面積、98.8%面積、98.9%面積、99.0%面積、99.1%面積、99.2%面積、99.3%面積、99.4%面積、99.5%面積、又は99.6%面積の純度を有する。
【0106】
別の実施形態では、式Aの化合物
【化56】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、構造8の化合物:
【化57】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化58】
又はその塩、及び還元剤と反応させること入手可能なHである、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。好適な還元試薬は、本出願の別の場所に開示されている。
【0107】
更に別の実施形態では、式Aの化合物
【化59】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGである、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、HPLCを使用して測定した場合、少なくとも98%面積である。式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製される。
【0108】
一実施形態では、式Bの化合物であって、
【化60】
式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、式8bのアルデヒド若しくはアルデヒド8bの水和形態:
【化61】
又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化62】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって入手可能なHである、化合物が開示される。好適な還元試薬は、本出願の別の場所に開示されている。一実施形態では、式Bの化合物は、HPLCを使用して測定した場合、少なくとも98%面積である。別の実施形態では、式Bの化合物は、HPLCを使用して測定した場合、少なくとも92%エナンチオマー過剰である。更に別の実施形態では、式Bの化合物は、二量体及び/又は二量体2を含有する。なお更に別の実施形態では、式Bの化合物は、(5R)-5-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する。別の実施形態では、式Bの化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(クロロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する。一実施形態では、式Bの化合物は、(5R)-5-[4-[2-[[2-(クロロメチル)-3-フルオロ-プロピル]アミノ]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する。更に別の実施形態では、式Bの化合物は、HPLCを使用して決定された場合、1%未満のジヒドロキノリン及びキノリンベースの不純物を含有する。一実施形態では、式Bの化合物は、HPLCを使用して決定された場合、1%未満のジヒドロキノリンベースの不純物を含有する。更に別の実施形態では、式Bの化合物は、HPLCを使用して決定された場合、1%未満のキノリンベースの不純物を含有する。
【0109】
別の実施形態では、以下のうちの少なくとも1つが該当する、式Bの化合物
【化63】
又はその薬学的に許容される塩が開示される:
式Bの化合物は、HPLCを使用して測定した場合、少なくとも98%面積である;
式Bの化合物は、HPLCを使用して測定した場合、少なくとも92%のエナンチオマー過剰率である;
式Bの化合物は、二量体及び/又は二量体2を含有する;
式Bの化合物は、(5R)-5-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する;
式Bの化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(クロロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する;
式Bの化合物は、(5R)-5-[4-[2-[[2-(クロロメチル)-3-フルオロ-プロピル]アミノ]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する;
式Bの化合物は、HPLCを使用して決定された場合、1%未満のジヒドロキノリン及びキノリンベースの不純物を含有する;
式Bの化合物は、HPLCを使用して決定された場合、1%未満のジヒドロキノリンベースの不純物を含有する;
式Bの化合物は、HPLCを使用して決定された場合、1%未満のキノリンベースの不純物を含有する。
【0110】
別の実施形態では、式Aの化合物
【化64】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、H又はPGであり、構造8の化合物:
【化65】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化66】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式A、B、及びCの化合物は、少なくとも約92%のエナンチオマー過剰率を有する。好適な還元剤は、本出願の別の場所に開示されている。
【0111】
一実施形態では、式Aの化合物
【化67】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rが、C~Cアルコールを含有する、H又はPGである、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製される。C~Cアルコールの存在及び量は、ガスクロマトグラフィーを使用して決定される。
【0112】
いくつかの実施形態では、C~Cアルコールは、C~Cアルコール、又はC~Cアルコール、又はC~Cアルコール、又はC~Cアルコール、又はC~Cアルコール、又はC~Cアルコール、又はC~Cアルコール、又はC~Cアルコール、又はC~Cアルコールである。追加の実施形態では、C~Cアルコールは、Cアルコールであるか、又はCアルコールであるか、又はCアルコールであるか、又はCアルコールであるか、又はCアルコールである。Cアルコールは、イソプロパノールであり、Cアルコールは、tert-ブタノールであり、Cアルコールは、tert-アミルアルコールである。一実施形態では、C~Cアルコールは、イソプロパノール、tert-ブタノール及び/又はtert-アミルアルコールを含む。一実施形態では、式Aの化合物は、イソプロパノールを含有する。一実施形態では、式Aの化合物は、tert-ブタノールを含有する。一実施形態では、式Aの化合物は、tert-アミルアルコールを含有する。
【0113】
式A、B、及びCの化合物が、C~Cアルコールを含有する場合、C~Cアルコールは、1重量%以下、又は0.9%重量未満若しくは以下、又は0.8重量%以下、又は0.7重量%未満若しくは以下、又は0.6重量%以下、又は0.5重量%未満若しくは以下、又は0.4重量%以下、又は0.3重量%未満若しくは以下、又は0.2重量%以下、又は0.1重量%未満若しくは以下の量で存在する。
【0114】
式Aの化合物
【化68】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、(5R)-5-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる。存在する場合、(5R)-5-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールは、HPLCによって測定した場合、0.5%、又は0.4%、又は0.3%、又はそれを下回るレベルで存在する。
【0115】
式Aの化合物
【化69】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、構造8の化合物:
【化70】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化71】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、(5R)-5-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する。存在するとき、(5R)-5-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールは、HPLCによって測定した場合、約0.5%、又は約0.4%、又は約0.3%、又はそれを下回るレベルで存在する。
【0116】
式Aの化合物
【化72】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、(5R)-5-[4-[2-[3-(クロロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる。存在する場合、(5R)-5-[4-[2-[3-(クロロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールは、HPLCを使用して決定された場合、0.05%~0.5%のレベルで存在する。
【0117】
式Aの化合物
【化73】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、構造8の化合物:
【化74】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化75】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(クロロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する。存在する場合、(5R)-5-[4-[2-[3-(クロロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールは、HPLCを使用して決定された場合、約0.05%~約0.5%のレベルで存在する。
【0118】
式Aの化合物
【化76】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、(5R)-5-[4-[2-[[2-(クロロメチル)-3-フルオロ-プロピル]アミノ]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる。存在する場合、(5R)-5-[4-[2-[[2-(クロロメチル)-3-フルオロ-プロピル]アミノ]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールは、HPLCを使用して決定された場合、0.01%~0.5%のレベルで存在する。
【0119】
式Aの化合物
【化77】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、構造8の化合物:
【化78】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化79】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、(5R)-5-[4-[2-[[2-(クロロメチル)-3-フルオロ-プロピル]アミノ]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールを含有する。存在する場合、(5R)-5-[4-[2-[[2-(クロロメチル)-3-フルオロ-プロピル]アミノ]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールは、HPLCを使用して決定された場合、約0.01%~約0.5%のレベルで存在する。
【0120】
式Aの化合物
【化80】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、以下の二量体を含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。
【化81】
【0121】
式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる。存在する場合、二量体は、HPLCを使用して決定された場合、約0.01%~約0.5%のレベルで存在する。二量体は、式Aの化合物のジェットミリング中に形成され得、すなわち、二量体は、式Aの化合物が単離された後に形成される。
【0122】
また、式Aの化合物
【化82】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、以下の二量体2を含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。
【化83】
【0123】
式Aの化合物は、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる。存在する場合、二量体2は、HPLCを使用して決定された場合、約0.01%~約0.5%のレベルで存在する。二量体2は、式Aの化合物のジェットミリング中に形成され得、すなわち、二量体は、式Aの化合物が単離された後に形成される。
【0124】
いくつかの実施形態では、式Aの化合物は、二量体、二量体2、又はそれらの混合物を含有し得る。好ましくは、式Aの化合物中の二量体及び/又は二量体2の量は、最小化される。より好ましくは、式Aの化合物中の二量体及び/又は二量体2の量は、HPLCを使用して測定した場合、検出不可能であるか、又は更により好ましくはゼロである。
【0125】
理論に束縛されることを望むものではないが、二量体及び二量体2は、非晶質(すなわち、非結晶性)式Aとの相互作用から、又はそれを介して形成されると考えられている。ジェットミリングは、非晶質の式Aの含有量を増加させるため、二量体及び/又は二量体2を増加させると思われる。ストレス条件において40℃、相対湿度75%で6ヶ月間保管すると、HPLCで約0.2%の二量体、及びHPLCで約0.2%の二量体2が、式Aの化合物中で同定された。二量体及び/又は二量体2が保存前に形成される場合、それらは、HPLCによって測定した場合、約0.05%未満の量で存在する。非晶質の式Aの含有量を低減すると、形成される二量体及び二量体2の量が低減するはずである。
【0126】
式Aの化合物
【化84】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、構造8の化合物:
【化85】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化86】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、4-ブチル-3-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-メトキシ-キノリンを含有する。存在する場合、4-ブチル-3-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-メトキシ-キノリンは、HPLCを使用して決定された場合、約0.5%未満のレベルで存在する。
【0127】
式Aの化合物
【化87】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、構造8の化合物:
【化88】

又はその塩を、溶媒中で、構造9のアミン、
【化89】
又はその塩、及び還元剤と反応させることによって得ることができる、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示され、式Aの化合物は、3-メトキシ-9-(トリフルオロメチル)ベンゾ[3,4]シクロブタ[1,2-c]キノリンを含有する。存在する場合、3-メトキシ-9-(トリフルオロメチル)ベンゾ[3,4]シクロブタ[1,2-c]キノリンは、HPLCを使用して決定された場合、約0.5%未満のレベルで存在する。
【0128】
式Aの化合物
【化90】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、3-メトキシ-9-(トリフルオロメチル)ベンゾ[3,4]シクロブタ[1,2-c]キノリンを、HPLCを使用して決定された場合、約0.5%未満の量で含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。
【0129】
式Aの化合物
【化91】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、Rが、Hであり、Rが、-CFであり、Rが、Hであり、4-ブチル-3-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-メトキシ-キノリンを、HPLCを使用して決定された場合、約0.5%未満の量で含有する、化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。
【0130】
本明細書に開示される方法の全ては、式Aのエナンチオマー濃縮化合物を調製するために使用することができる。好ましくは、式Aのエナンチオマー濃縮化合物は、式B及び式Cの化合物を得るために調製される場合、式B及び式Cの化合物は、少なくとも約90%のエナンチオマー過剰率を有する。エナンチオマー過剰率は、キラルクロマトグラフィー(キラルHPLCなど)又は当該技術分野において既知の他の方法を使用して決定することができる。より好ましくは、化合物は、少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約97.5%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約98.5%、又は少なくとも約99%、又は少なくとも約99.1%のエナンチオマー過剰率を有する。
【0131】
一実施形態では、式Aの以前に開示された化合物のうちのいずれかにおいて、Rは、Hである。
【0132】
別の実施形態では、以前に開示された式Aの化合物の全てが、R-エナンチオマー形態を有する。
【0133】
更に別の実施形態では、以前に開示された式Aの化合物のうちのいずれかにおいて、Rは、Hである。
【0134】
なおも更に別の実施形態では、式Aの以前に開示された化合物のうちのいずれかにおいて、Rは、CFである。
【0135】
一実施形態では、式Aの以前に開示された化合物のうちのいずれかにおいて、Rは、PGである。場合によっては、PGは、メチルである。
【0136】
一実施形態では、式Aの以前に開示された化合物
【化92】
又はその薬学的に許容される塩のうちのいずれかにおいて、式中、R又はRのいずれかが、独立して、Cl、F、-CF、又は-CHであり、他方が、Hであり、Rは、H又はPGであり0.15%面積未満の1つ以上のジヒドロキノリン又はキノリンベースの不純物を含有する。ジヒドロキノリン又はキノリン系不純物は、式Aの化合物を作製するために使用されたジヒドロキノリン及び/又はキノリン環系を含有する化合物である。本明細書に開示される方法を使用して、式Aの化合物を調製するために使用された中間体又はその合成中に作製された中間体は、ジヒドロキノリン及びキノリンベースの不純物の例であり、中間体に由来する不純物も同様である。いくつかの実施形態では、存在するジヒドロキノリン又はキノリン不純物の総量は、1.0%面積未満、又は0.9%面積未満、0.8%面積未満、又は0.7%面積未満、1.0%面積、又は0.9%面積未満、0.8%面積未満、又は0.7%面積未満、0.6%面積未満、又は0.5%面積未満、0.4%面積未満、又は0.3%面積未満、又は0.2%面積未満、又は0.15未満%面積、又は0.1%面積未満である。
【0137】
一実施形態では、化合物4中のケトン基のキラル還元は、ジフェニル-[(2R)-ピロリジン-2-イル]メタノール、ホウ酸トリメチル、及びボランN,N-ジエチルアニリンを使用することを含む、CBSプロトコルを使用して実施される。更なる実施形態では、キラル還元は、THF及び2-MeTHFのうちの少なくとも1つを含む溶媒中で実施される。好ましくは、得られるキラルアルコールは、キラルクロマトグラフィーを使用して測定した場合、少なくとも95% eeである。
【0138】
ピリジンボランを調製するためのプロセスもまた、本明細書に開示され、このプロセスは、ピリジニウム塩と水素化ホウ素ナトリウムとを溶媒中で反応させることを含む。様々なピリジニウム塩を使用することができるが、一実施形態ではピリジニウムp-トシレートが好ましい。ピリジンボランの調製に使用することができる溶媒には、非プロトン性溶媒が含まれる。非プロトン性溶媒の例には、エーテルが含まれるが、これに限定されない。好ましいエーテルには、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランが含まれる。ピリジンボランの形成は、典型的には、約15~30℃又は19~25℃の温度で実施される。一実施形態では、反応は、約19~約21℃である、室温で実施される。反応時間は変動し得るが、典型的には、約1~約24時間である。いくつかの実施形態では、反応時間は、約2~約12時間である。完了したら、珪藻土などの濾過剤を通して反応物を濾過することができる。生成物は、精製せずに使用することができるか、又は当該技術分野において既知の方法を使用して精製することができる。
【0139】
以下の調製及び実施例は、本発明を更に説明する。参照標準及びH NMRを使用して、純度を決定することができる。1,3,5-トリメトキシベンゼンは、H NMR参照内部標準として使用することができる。
【0140】
調製1
【化93】
スキーム1、ステップA:DMF(1240L、8.0L/kg)及び7-メトキシキノリン-4-オール(155.04kg、885.03mol)を一緒に添加する。27.5℃で30分間撹拌する。温度を30℃に調整する。45℃未満の反応温度を維持しながら、NCS(118.18kg、885.03mol)を少しずつ添加する。温度を40℃に調整する。24時間撹拌する。15℃に冷却する。水(4651L、30L/kg)を添加する。25℃で1時間混合し、次いで濾過し、生成物を水(775L、5L/kg)で洗浄する。減圧下、65℃で乾燥させて、表題化合物を淡褐色の固体(153.34kg、収率82.6%)として得る。
【0141】
調製2
【化94】
スキーム1、ステップB:3-クロロ-7-メトキシキノリン-4-オール(154.32kg、736.2mol)及びトルエン(1543L、10L/kg)を合わせる。27.5℃で30分間撹拌する。温度を40℃未満に維持しながら、P(O)Br(253.3kg、883.39mol)を添加する。100℃に3時間加熱する。5℃に冷却し、次いで、水(1312L、8.5L/kg)中のNaOH(104.94kg、2623.6mol)の溶液を添加する。温度を70℃未満に保ちながら、減圧下で8.5L/kgに濃縮する。水(308.6L、2.0L/kg)を添加する。70℃未満の減圧下で、8.5L/kgに濃縮する。水(308.6L、2.0L/kg)を添加する。70℃未満の減圧下で、8.5L/kgに濃縮する。27.5℃に冷却する。水(1543L、10L/kg)を添加する。5℃に冷却する。生成物を濾過し、水(308.6L、2.0L/kg)で洗浄する。水(771.6L、5.0L/kg)中のNaOH(15.43kg、385.8mol)の溶液を添加し、30℃で5分間撹拌する。固体を濾過し、水(463.0L、3.0L/kg)で洗浄する。減圧下、65℃で乾燥させて、表題化合物を褐色の固体(174.20kg、収率86.8%)として得る。
【0142】
代替調製2
4-ブロモ-3-クロロ-7-メトキシキノリン
スキーム1、ステップB:3-クロロ-7-メトキシキノリン-4-オール(25.0g、119mmol)及びDMF(225mL、9mL/g)を一緒に添加する。0℃に冷却する。10℃未満の温度を維持しながら、PBrを添加する。47.5℃に加熱する。3時間撹拌する。25℃に冷却する。20w/w% NaCO(250mL)の溶液を添加する。固体を濾過し、水(125mL)で洗浄する。減圧下で乾燥させて、表題化合物を褐色の固体(29.0g、収率89%)として得る。
【0143】
調製3
【化95】
スキーム6、ステップA:4-ヒドロキシ-7-メトキシキノリン-3-カルボン酸(10.00g、43.34mmol)、KPO(11.3g、52.2mmol)、及びACN(100mL)を一緒に添加する。ヨウ素(22.0g、86.7mmol)を添加し、50℃で16時間加熱する。生成物を濾過し、ACNで洗浄し、減圧下40℃で乾燥させて、表題化合物(9.70g、収率72.1%)を得る。H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ 11.98 (s, 1H), 8.48 - 8.35 (m, 1H), 8.07 - 7.95 (m, 1H), 7.01 - 6.94 (m, 2H), 3.86 (s, 3H).13C NMR (101 MHz, d-DMSO) δ 172.97, 162.36, 144.76, 141.78, 127.89, 117.41, 114.75, 99.55, 81.11, 55.98.
【0144】
調製4
【化96】
スキーム6、ステップB:3-ヨード-7-メトキシ-キノリン-4-オール(5.00g、16.6ミリモル)、2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(7.27g、33.2mmol)、[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](3-クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリド(0.289g、0.416mmol)、炭酸カリウム(4.87g、34.9mmol)を添加する。窒素で脱気し、次いで、tert-アミルアルコール(50mL)及び水(10mL)を添加する。70℃に3時間加熱し、次いで、追加の2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(1.82g、8.32mmol)、[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](3-クロロピリジル)パラジウム(II)二塩化物(0.058g、0.083mmol)を添加し、1時間撹拌する。22℃に冷却し、次いで濾過し、1:5の水:tert-アミルアルコール、次いで水で洗浄する。減圧下、45℃で乾燥させて、表題化合物(4.26g、収率66.2%)を得る。
【0145】
調製5
【化97】
スキーム1、ステップD:THF(239m、477mmol)中のイソプロピルマグネシウムクロリド2.0Mを、THF(1.5L)中の4-ブロモ-3-クロロ-7-メトキシキノリン(100g、367mmol)の撹拌溶液に-25℃で添加し、温度を-20℃未満に維持する。-25℃で1時間撹拌する。-5℃未満の温度を維持しながら、4-フルオロベンズアルデヒド(54.65g、440mmol)をゆっくりと添加する。-10℃で2時間撹拌する。水(500mL)及びEtOAc(500mL)を添加する。27.5℃で30分間撹拌する。1M HCl水溶液(500mL)を添加する。27.5℃で30分間撹拌する。有機層を分離し、5% NaCl水溶液(500mL)及び5% NaHCO水溶液(500mL)で洗浄する。4.5mL/gが残るまで、減圧下、50℃未満で蒸留する。EtOAc(500mL)を添加し、5.5mL/gが残るまで、減圧下、50℃未満で蒸留する。EtOAc(1200mL)を添加する。27.5℃で30分後、水(500mL)及びKBr(8.73g、0.073mol)、続いてTEMPO(2.81g、0.18mol)を添加する。27.5℃で30分後、-2.5℃に冷却し、次亜塩素酸ナトリウム(500mL、74.44mmol)とNaHCO(500mLの水中25.0g)の溶液との混合によって調製した次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を添加する。混合物を-2.5℃で1時間撹拌し、溶液を27.5℃に温め、有機層を分離し、水層をEtOAc(500mL)で抽出する。合わせた有機物を水(2×500mL)で洗浄し、中性活性炭(グレードPF-33N、5g、0.05w/w)で処理し、Hyflo床で濾過する。4.5mL/gが残るまで、減圧下、50℃未満で蒸留する。EtOH(500mL)を添加することによって溶媒をEtOHに交換し、4.5mL/gが残るまで蒸留する(共蒸留/濃縮1倍を繰り返す)。75℃に加熱し、30分間撹拌する。12.5℃にゆっくりと冷却する。30分間撹拌し、固体を濾過し、EtOH(100mL)で洗浄する。減圧下、42.5℃で乾燥させて、表題化合物を褐色の固体(78g、収率67.8%)として得る。
【0146】
代替調製5
(3-クロロ-7-メトキシキノリン-4-イル)-(4-フルオロフェニル)メタノン
スキーム2、ステップC:THF(119mL、0.238mol)中のイソプロピルマグネシウムクロリド2.0Mを、THF(750mL)中の4-ブロモ-3-クロロ-7-メトキシキノリン(50g、0.183mol)の撹拌溶液に、-25℃で滴下添加し、温度を-15℃未満に維持する。-22.5℃で2時間撹拌する。ビス[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]エーテル(35.28g、0.220mol)を添加し、30分間撹拌する。温度を-5℃未満に維持しながら、4-フルオロベンゾイルクロリド(34.8g、0.220mol)をゆっくりと添加する。-7.5℃で1時間撹拌する。珪藻土で濾過し、EtOAc(250mL)で洗浄する。合わせた濾液を1M HCl(250mL)水溶液、続いて5% NaCl水溶液(250mL)で洗浄する。中性活性炭(グレードPF-33N、5g、0.05w/w)で処理し、珪藻土で濾過する。4.5mL/gが残るまで、減圧下、50℃未満で蒸留する。EtOH(500mL)を添加し、4.5mL/gが残るまで蒸留する(共蒸留/濃縮1倍を繰り返す)ことによって、溶媒をEtOHに交換する。75℃に加熱し、30分間撹拌する。12.5℃にゆっくりと冷却し、30分間撹拌し、濾過し、固体をEtOH(100mL)で洗浄する。減圧下、42.5℃で乾燥させて、表題化合物を褐色の固体(38g、収率66%)として得る。
【0147】
調製6
【化98】
THF(2.8mL、5.6mmol)中の2Mイソプロピルマグネシウムクロリドを、THF(12mL)中の4-ブロモ-3-クロロ-7-メトキシ-キノリン(0.74g、2.7mmol)の溶液に-40℃で添加し、1時間撹拌する。THF(1.5mL)中の2,3,5,6-テトラジュウテリオ-4-フルオロ-ベンゾイルクロリド(0.97g、5.97mmol)の溶液を添加し、混合物を-40℃で30分間撹拌し、次いで、室温に30分間温める。水及び飽和NHCl(3mL)の2対1混合物を、反応物に添加する。混合物を水(40mL)で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出する。有機層を合わせ、飽和ブライン(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過する。濾液をシリカゲル(8g)上で濃縮し、ヘキサン中10~30% EtOAcの勾配で溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.48g、収率55%)を黄色の固体として得る。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.98 (s, 1H), 7.57 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.31 (dd, J = 9.2, 2.6 Hz, 1H), 3.95 (s, 3H).
【0148】
調製7
【化99】
メチルエーテルの切断:DCM(112.0g、0.45mol)中の1M BBrを、DCM(494mL)中の(3-クロロ-7-メトキシキノリン-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(47.0g、0.15mol)の撹拌溶液に15℃で添加し、温度を30℃未満に維持する。35℃に温め、50~68時間撹拌する。反応物を水(47mL)でクエンチし、2M NaOH(水溶液)を使用して、pHを11~12に調整する。層を分離し、生成物の沈殿のために2M HCl(水溶液)を使用して、水層のpHを7~8に調整する。固体を濾過し、水及びDCMで洗浄し、減圧で乾燥させて、表題化合物(39.4g、収率85.4%)を得る。
【0149】
代替調製7
(3-クロロ-7-ヒドロキシキノリン-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン
メチルエーテルの切断:(3-クロロ-7-メトキシキノリン-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(80g、0.25mol)、HBr 48%(800mL)及び酢酸(400mL)を添加する。30℃で30分間撹拌する。110℃に48時間加熱する。90℃に冷却し、7.5mL/gが残るまで、減圧下、100℃未満で蒸留する。5℃に冷却し、温度を25℃未満に維持しながら水(800mL)を添加する。5℃で2時間撹拌し、次いで濾過し、水(80mL)で洗浄する。固体をNaHCO(水溶液)(24g、1200mL中0.30w/w、15mL/gの水)で、25℃で30分間処理する。濾過し、固体を水(160mL)で洗浄する。減圧下、60℃で乾燥させて、表題化合物を褐色の固体(72g、収率94.2%、純度98.92%、以下のアッセイ条件によって決定:Shimadzu LC-20A HPLCシステム、Agilent Bonus RPカラム(75mm*4.6mm、3.5mm)、カラム温度30℃、75% A(水中0.05% TFA)/25% B(AcCN中0.05% TFA)~40% A/60% Bの勾配で20分間かけて、次いで、5%A/95%Bで2分間かけて、1.5mL/分の流量、UV245nmで溶出)を得る。
【0150】
調製8
【化100】
DCM(10mL、10mmol、3.3当量)中の1M三臭化ホウ素を、DCM(24mL)中の(3-クロロ-7-メトキシ-4-キノリル)-(2,3,5,6-テトラジュウテリオ-4-フルオロ-フェニル)メタノン(0.96g、3.0mmol)の溶液に添加し、35℃で24時間加熱する。DCM(10mL、10mmol)中の1M三臭化ホウ素の第2のアリコートを添加し、35℃で2日間加熱する。室温に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム(60mL)に注ぎ、DCM(2×60mL)で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、シリカゲル上に濃縮する。DCM中0~8% MeOHの勾配で溶出するシリカクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.84g、収率92%)を黄褐色の固体として得る。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 10.55 (s, 1H), 8.89 (s, 1H), 7.39 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 9.1, 2.5 Hz, 1H).
【0151】
調製9
【化101】
スキーム3、ステップA:窒素雰囲気下、(3-クロロ-7-ヒドロキシ-4-キノリル)-(4-フルオロフェニル)メタノン(500.0g、1.66mol)、2-フルオロ4-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(447.9g、2.15mol)、NaHCO(210.0g、2.49mol)、THF(3L)、及び水(750mL)を合わせる。混合物を窒素で脱気し、Pd-XPhos-G2(13.0g、16.6mmol)を添加し、続いて、反応混合物を65℃で18.0時間加熱する。混合物を20~30℃に冷却し、珪藻土(約50g)で濾過し、濾過ケーキをEtOAc(1.5L)ですすぐ。合わせた有機層を分離し、EtOAc(3×1.5L)を添加しながら濃縮して、EtOAc溶液(2.5L)を得、7%のNaHCO水溶液(2L)及び25%のNaCl水溶液(2L)で洗浄する。有機層をシリカチオール(50g)で、55℃で2時間処理する。混合物を珪藻土(約50g)で濾過し、EtOAc(1.5L)で洗浄し、1.5Lに濃縮し、25℃に冷却し、n-ヘプタン(7.5L)を2時間かけて添加する。得られた混合物を5℃に冷却し、1時間撹拌し、濾過し、n-ヘプタン(1.5L)で洗浄し、45℃で18.0時間乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体(660.0g、収率88.0%、純度94.9%、代替調製7に記載のアッセイによって決定)として得る。H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 10.60 (s, 1H), 8.89 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.74 - 7.66 (m, 3H), 7.59 - 7.44 (m, 4H), 7.29 - 7.20 (m, 3H).13C NMR (126 MHz, d-DMSO) δ 193.97, 165.61 (d, J = 255.4 Hz), 159.66, 159.01 (d, J = 247.8 Hz), 150.91, 149.34, 143.11, 133.40 (d, J = 2.8 Hz), 132.78 (d, J = 2.6 Hz), 132.33 (d, J = 9.9 Hz), 130.91 (qd, J = 33.1, 8.1 Hz), 128.39 (d, J = 16.0 Hz), 126.62, 123.08 (qd, J = 272.1, 2.4 Hz), 121.97, 121.35 (m), 121.10 (d, J = 2.9 Hz), 117.63, 116.27 (d, J = 22.3 Hz), 113.22 (dq, J = 25.8, 3.8 Hz), 110.70.
【0152】
調製10
【化102】
真空脱気し、窒素(3倍)を用いて(3-クロロ-7-ヒドロキシ-4-キノリル)-(2,3,5,6-テトラジュウテリオ-4-フルオロ-フェニル)メタノン(0.83g、2.6mmol)、[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(0.82g、3.9mmol)、XPhos Pd G2(82mg、4mol%)、炭酸カリウム(1.08g、7.8mmol)、水(5mL)、及びtert-アミルアルコール(15mL)の溶液を再充填する。80℃で1時間加熱し、室温に冷却し、水(40mL)で希釈し、EtOAc(2×40mL)で抽出する。有機層を合わせ、飽和ブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をDCMに溶解し、シリカゲル上に濃縮した。ヘキサン中20~25% EtOAcの勾配で溶出する、シリカゲルクロマトグラフィー上で精製して、表題化合物(0.96g、収率85%)を固体として得る。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 10.59 (s, 1H), 7.71 (dd, J = 10.0, 1.7 Hz, 1H), 7.61 - 7.49 (m, 2H), 7.49 - 7.41 (m, 2H), 7.23 (dd, J = 9.1, 2.5 Hz, 1H), 19F NMR (376 MHz, DMSO-d) δ -61.30 (s), -103.61 (s), -111.80 (m).
【0153】
調製11
【化103】
スキーム5、ステップA:窒素雰囲気下、THF溶液(92.98g、165.7mmol)中の20%カリウムtert-ブトキシドを、40分間かけて、2,2-ジエトキシエタノール(11.56g、86.2mmol)及びTHF(60mL)の溶液に5℃で添加し、0.5時間撹拌する。別の反応器に、(3-クロロ-7-ヒドロキシ-4-キノリル)-(4-フルオロフェニル)メタノン(20g、66.3mmol)及びTHF(160mL)を添加し、得られた溶液を、カリウムtert-ブトキシド/2,2-ジエトキシエタノール/THF混合物に5℃で添加する。16.0時間後、20%クエン酸水溶液(60mL)及び20% NaCl水溶液(60mL)を反応物に添加し、有機相を分離し、活性炭(1.5g)を25℃で0.5時間循環させる。MTBE(3×100mL)を添加しながら有機相を濃縮し、MTBE(160mL)溶液を得、20% NaCl水溶液(60mL)で洗浄する。得られた有機層を60mLに濃縮し、40℃に加熱し、n-ヘプタン(80mL)を1時間かけて添加する。得られたスラリーを40℃で1時間撹拌し、2時間かけて5℃に冷却し、更に16.0時間撹拌する。固体を濾過し、n-ヘプタン(40mL)で洗浄し、45℃で乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体(21.0g、収率76.2%)として得る。H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 10.55 (s, 1H), 8.85 (s, 1H), 7.73 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 9.1, 2.5 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.80 (t, J = 5.1 Hz, 1H), 4.06 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 3.64 (dq, J = 9.5, 7.0 Hz, 2H), 3.53 (dq, J = 9.5, 7.0 Hz, 2H), 1.10 (t, J = 7.1 Hz, 6H)
【0154】
代替調製11
(3-クロロ-7-ヒドロキシキノリン-4-イル)(4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)メタノン
スキーム5、ステップA:反応器に、(3-クロロ-7-ヒドロキシキノリン-4-イル)(4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)メタノン(992.7g、2.39mol)、(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ボロン酸(650g、3.10mol)、NaHCO(304g、3.58mol)、THF(6.0L)、水(1.5L)を添加した。溶液を窒素で脱気する。PdXPHos G2(14.40g、17.9mmol)を添加する。65℃で16時間撹拌する。30℃に冷却し、水(1.0L)を添加する。珪藻土で濾過し、THF(3.0L)で洗浄する。水(2.0L)及びヘプタン(2.0L)を添加する。有機層を分離し、CUNO(活性炭フィルター媒体)で処理し、ヘプタンで結晶化して、表題生成物(1177g、収率89.54%、純度98.54%、以下のHPLC条件を使用して決定:Shimadzu LC-20A HPLCシステム、Agilent Bonus RPカラム(75mm*4.6mm、3.5mm)、カラム温度30℃、75% A(水中0.05% TFA)/25% B(AcCN中0.05% TFA)~40% A/60% Bの勾配で20分間かけて、次いで、5% A/95% Bで2分間かけて、1.5mL/分の流量、UV245nmで溶出)を得る。
【0155】
調製12
【化104】
スキーム3、ステップB:窒素雰囲気下、THF(291mL、0.29mol)中の1Mカリウムtert-ブトキシドを、THF(150mL)中の2,2-ジエトキシエタノール(20.3g、0.15mol)の溶液に、5℃で1.0時間かけて添加する。別の反応器において、(3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7-ヒドロキシキノリン-4-イル)(4-フルオロフェニル)メタノン(50.0g、0.12mol)をTHF(200mL)に溶解し、得られた溶液を、カリウムtert-ブトキシド/2,2-ジエトキシエタノール/THF混合物に、5℃で40分間かけて添加する。16.0時間後、20%クエン酸(150mL)を反応混合物に添加し、有機相を25%のNaCl水溶液(150mL)で洗浄する。有機層を、活性炭(1.5g)を介して25℃で2.0時間循環させ、次いで濃縮してTHFを除去し、一方でMTBE(2×250mL)を添加して、最終体積400mLのMTBE溶液を生成する。MTBE溶液を20%ブライン(150mL)で洗浄し、最終体積150mLに濃縮し、40℃に加熱し、n-ヘプタン(400mL)を2.0時間かけて添加する。得られたスラリーを40℃で1.0時間撹拌し、3.0時間かけて5℃に冷却し、16.0時間撹拌する。固体を濾過し、n-ヘプタン(100mL)で洗浄し、55℃で16.0時間乾燥させて、表題化合物を黄色の固体として得る(51.1g、収率80.7%、純度94.3%、以下のHPLC条件を使用して決定:Shimadzu LC-20A HPLCシステム、Agilent Bonus RPカラム(75mm*4.6mm、3.5mm)、カラム温度30℃、65% A(水中0.05% TFA)/35% B(AcCN中の0.05% TFA:MeOH=70:30(v/v)~25% A/75% Bの勾配で20分間かけて、次いで、5% A/95% Bで5分間かけて、1.5mL/分の流量、UV245nmで溶出)。H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 10.65 (s, 1H), 8.89 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.73 - 7.67 (m, 1H), 7.61 - 7.49 (m, 4H), 7.49 - 7.42 (m, 2H), 7.22 (dd, J = 9.1, 2.5 Hz, 1H), 7.01 - 6.96 (m, 2H), 4.77 (t, J = 5.1 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 3.64 (dq, J = 9.6, 7.0 Hz, 2H), 3.52 (dq, J = 9.6, 7.0 Hz, 2H), 1.09 (t, J = 7.0 Hz, 6H).13C NMR (126 MHz, d-DMSO) δ 193.48, 163.20, 159.70, 159.04 (d, J = 248.5 Hz), 150.77, 149.02, 144.13, 133.38 (d, J = 3.0 Hz), 131.71, 131.36 - 130.31 (m), 129.18, 128.50 (d, J = 16.0 Hz), 126.78, 123.06 (qd, J = 272.5, 2.3 Hz), 121.43 - 121.14 (m), 121.03, 120.92, 117.90, 114.97, 113.25 (dq, J = 25.4, 3.6 Hz), 110.44, 99.65, 68.31, 62.02, 15.19.HRMS(ESI)m/z:[M+H]+C2926NOの計算値:544.1681、実測値:544.1669。
【0156】
代替調製12
(4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7-ヒドロキシキノリン-4-イル)メタノン
スキーム5、ステップB:窒素雰囲気下、(3-クロロ-7-ヒドロキシキノリン-4-イル)(4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)メタノン(10.0g、24.1mmol)を、[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(6.5g、31.3mmol)、NaHCO(3.0g、36.1mmol)、THF(60mL)、及び水(15mL)を合わせる。得られた混合物を窒素で脱気し、PdXPhos-G2(0.2g、0.24mmol)を添加し、65℃に16.0時間加熱する。混合物を25℃に冷却し、珪藻土(10g)で濾過し、EtOAc(30mL)ですすぐ。EtOAc(3×50mL)を添加しながら、合わせた有機流を濃縮して、50mLのEtOAc溶液を得、次いで、7%のNaHCO水溶液(30mL)及び25%のNaCl水溶液(40mL)で洗浄する。有機層をシリカチオール(1g、5~10%w/w)で、60℃で16.0時間処理する。混合物を25℃に冷却し、珪藻土(10g)で濾過し、EtOAc(30mL)ですすぐ。有機流を合わせ、MTBE(2×50mL)を添加しながら濃縮して、30mLのMTBE溶液を提供する。n-ヘプタン(80mL)を40℃で0.5時間かけて添加して、スラリーを形成し、5℃に冷却して、1.0時間撹拌する。固体を濾過し、n-ヘプタン(20mL)で洗浄し、50℃で乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体(11.0g、収率84%)として得る。
【0157】
調製13
【化105】
スキーム4、ステップC:窒素雰囲気下、(4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7-ヒドロキシキノリン-4-イル)メタノン(100.0g、0.18mol)、ジフェニル-[(2R)-ピロリジン-2-イル]メタノール(14.0g、55mmol)、ホウ酸トリメチル(6.7g、64.0mmol)、及びTHF(1.0L)を合わせる。得られた混合物を25℃で1.0時間撹拌する。混合物に、10M BH-MeS溶液(56.0g、0.74mol)を添加し、次いで、45℃に2.0時間温める。25℃に冷却した後、MeOH(100mL)を0.5時間かけて添加し、次いで、エタノールアミン(23.5g、0.37mol)を添加し、70℃に16.0時間加熱する。混合物を500mLに濃縮し、MTBE(500mL)を添加し、混合物を25%のNaCl(2×300mL)で洗浄する。THF(3×300mL)を添加しながら、真空下、40℃で有機層を濃縮して、1.0LのTHF溶液を生成する。MnO(32.0g、0.36mol)をTHF溶液に添加し、60℃に16.0時間加熱する。珪藻土(20g)を介した濾過によって固体を除去し、ケーキをTHF(500mL)ですすぐ。合わせた有機溶液を、活性炭(1.5g)を介して25℃で2時間循環させる。ACN(3×300mL)を添加しながら、得られた溶液を真空下50℃で濃縮して、表題化合物をACN溶液(96.0gの表題化合物を含有する、332.5gのACN溶液、収率96%、97.3% ee)として得る。キラル分析条件:Agilent 1260 HPLCシステム、Chiralpak IG(250mm*4.6mm、5μm)、カラム温度45℃、55%水及び45% ACNで、40℃で25分間かけて、1.0mL/分の流量、UV230nm、t(R)16.2分で溶出する。アトロプ異性体のより高度に合体した共鳴をもたらすように100℃で収集されたNMRデータ:H NMR (500 MHz, d-DMSO, 100 °C) δ 8.63 (s, 1H), 8.24 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.79 - 7.64 (m, 3H), 7.39 - 7.36 (m, 1H), 7.12 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.09 - 7.03 (m, 1H), 6.84 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.03 (s, 1H), 4.77 (t, J = 5.1 Hz, 1H), 3.94 (dd, J = 5.0, 1.6 Hz, 2H), 3.83 - 3.45 (m, 4H), 1.32 - 0.83 (m, 6H)。13C NMR (126 MHz, d-DMSO, 100 °C) δ 159.62 (d, J = 247.3 Hz), 158.41, 157.30, 150.93, 150.62, 146.46, 136.15, 133.78, 130.81 (qd, J = 33.1, 7.7 Hz), 130.36 (d, J = 16.8 Hz), 128.96, 126.67, 123.58, 123.32 (qd, J =272.4, 2.7 Hz), 121.43 - 120.60 (m), 119.62, 118.80, 114.48, 113.03 (dd, J = 26.0, 3.9 Hz), 110.84, 100.24, 70.30, 68.93, 61.93, 15.12.MS (ESI) m/z: [M+ H]+ 546.2.
【0158】
代替調製13
(R)-4-((4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)キノリン-7-オール
スキーム4、ステップC:ジフェニル-[(2R)-ピロリジン-2-イル]メタノール(47mg、0.186mmol)、THF(10mL)、ホウ酸トリメチル(1.26mL、11.1mmol)を添加する。35℃に1時間加熱する。25℃に冷却し、ボランN,N-ジエチルアニリン(2.70mL、14.7mmol)を添加する。THF(10mL)中の[4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル]-[3-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-ヒドロキシ-4-キノリル]メタノン(2.00g、3.68mmol)の溶液を添加する。55℃に80分間加熱する。0℃に冷却し、次いで、MeOH(3.00mL)を添加する。脱錯体のために60℃に加熱する。98.22% ee中の表題化合物を取得する。キラル分析条件:Chiralpak IG(250mm×4.6mm、5μm)、カラム温度45℃、ACN中63%~60%水の勾配で、40℃で55分間かけて、1.0mL/分の流量、UV230nm、t(R)37.76分で溶出する。
【0159】
調製14
【化106】
TEA(1.8mL、12.9mmol)を、MeOH(10mL)中の2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エタノール.HCl(1.15g、6.7mmol、3.3当量)の懸濁液に添加し、15分間撹拌した後、THF(20mL)で希釈する。減圧下で混合物を濃縮する。残渣をTHF(20mL)に懸濁し、濾過し、固体をTHF(5mL)で洗浄する。濾液を減圧下で濃縮する。残渣をTHF(25mL)で希釈し、セルロースシリンジフィルターで濾過する。濾液をカリウムtert-ブトキシド(1.55g、13.8mmol)で処理し、10分間撹拌する。THF(15mL)中の[3-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-ヒドロキシ-4-キノリル]-(2,3,5,6-テトラジュウテリオ-4-フルオロ-フェニル)メタノン(0.88g、2.0mmol)の溶液を添加し、混合物を室温で一晩撹拌する。反応物をDCM(100mL)で希釈し、半飽和塩化アンモニウム(50mL)で洗浄する。水性洗浄液を、DCM(2×25mL)で抽出する。合わせた有機層を飽和ブライン(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、シリカゲル上に濃縮する。DCM中0~6% MeOHの勾配で溶出する、シリカゲル上で精製して、表題化合物(0.66g、収率60%)を黄色の固体として得る。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 10.54 (s, 1H), 8.86 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.72 (dd, J = 10.1, 1.7 Hz, 1H), 7.59 - 7.54 (m, 1H), 7.51 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.45 - 7.39 (m, 2H), 7.20 (dd, J = 9.0, 2.6 Hz, 1H), 4.54 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 4.42 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 3.96 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 3.28 (dd, J = 7.7, 1.5 Hz, 2H), 2.97 (dd, J = 7.3, 5.9 Hz, 2H), 2.78 - 2.62 (m, 3H), 19F NMR (376 MHz, DMSO-d) δ 17.28 (m), -61.24(s), -111.93 (t, J = 8.6 Hz).
【0160】
調製15
【化107】
水素化ホウ素ナトリウム(0.20g、5.2mmol)を、THF及び2-プロパノール(24mL)の1:1混合物中の[3-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-7-ヒドロキシ-4-キノリル]-[2,3,5,6-テトラジュウテリオ-4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1]-イル]エトキシ]フェニル]メタノン(0.28g、0.51mmol)の溶液に添加する。24時間後(0.20g、5.2mmol)及び72時間後(0.20g、5.2mmol)、水素化ホウ素ナトリウムを更に添加する。6日後、1M HCl(20mL)及びDCM(50mL)との反応物を希釈し、10分間撹拌する。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)で希釈する。層を分離し、水層をDCM(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、減圧下で濃縮する。残渣をMeOH(20mL)に溶解し、12M HCl(2mL)を添加し、60℃で2時間加熱する。混合物を冷却し、pHを飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)で塩基性に調整し、DCM(3×50mL)で抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、シリカゲル上に濃縮する。DCM中3~8% MeOHの勾配で溶出する、シリカゲル上で精製して、表題化合物(0.17g、63%)を黄色の固体として得る。
【0161】
調製16
【化108】
(R)-4-((4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)キノリン-7-オール(236mg、43mmol)をEtOAc(3mL)に、500rpmで撹拌しながら溶解して、黄色の溶液を得る。HCl(500μL、EtOAc中1M)を添加して、透明な溶液を得る。150rpmで30分間撹拌して、15分後に濃厚なスラリーを得る。濾過し、オフホワイトの沈殿物を収集して、表題化合物(230mg、収率91.4%)を得る。
【0162】
結晶性形態のX線粉末回折(XRPD)
結晶性固体のXRPDパターンは、CuKα(1.5418Å)源及びLinxeye検出器を備えた、40kV及び40mAで作動している、Bruker D8 Endeavor X線粉末回折計で得られる。試料は、0.009 2θ°のステップサイズ及び0.5秒/ステップの走査速度で、0.3°の一次スリット開口、及び3.9°PSDの開口を使用して、4~42 2θ°で走査される。乾燥粉末を石英試料ホルダーに充填し、ガラススライドを使用して滑らかな表面を得る。結晶形態の回折パターンを、周囲温度及び相対湿度で収集する。8.853及び26.774 2θ°でピークを有する内部NIST675標準に基づいて、パターン全体をシフトした後、MDI-Jadeの結晶ピーク位置を決定する。結晶学の分野において、任意の所与の結晶形態に関して、結晶形態及び晶癖などの要因から生じる好ましい配向に起因して、回折ピークの相対強度が変化し得ることが周知されている。好ましい配向の効果が存在する場合、ピーク強度は変化するが、多形体の特徴的なピーク位置は変化しない。例えば、The United States Pharmacopeia #23,National Formulary #18,pages 1843-1844,1995を参照されたい。更に、所与の任意の結晶形態について、角ピーク位置がわずかに変化し得ることも、結晶学の分野において周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される温度の変動、試料の変位、又は内部標準の有無に起因して移行し得る。本発明の場合、±0.2 2θ°のピーク位置の変動性は、示された結晶形態の明確な同定を妨げることなく、これらの潜在的な変動を考慮すると推定される。結晶形態の確認は、顕著なピークの任意の固有の組み合わせに基づいて行うことができる。
【0163】
(R)-4-((4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)キノリン-7-オールHCl形態の調製試料は、表1に記載の回折ピーク(2シータ値)を有し、特に、11.1、20.2、及び22.2からなる群から選択される1つ以上のピークと組み合わせて、5.6にピークを有する、CuKα放射線を使用するXRPDパターンを特徴とする。
【0164】
表1.結晶性(R)-4-((4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)キノリン-7-オールHCl形態のXRPDピーク
【表7】
【0165】
調製17
【化109】
スキーム4、ステップD:窒素雰囲気下、(R)-4-((4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)キノリン-7-オール(総重量332.5g=96.0gの調製13の化合物;94.6% ee;176.0mmol、約400mL)を、CsCO(230.0g、706.0mmol)及びACN(560mL)と合わせ、得られた混合物を窒素で脱気する。反応混合物を85℃で3時間撹拌し、25℃に冷却し、珪藻土(40g)で濾過し、ケーキをACN(300mL)ですすぐ。濾液を合わせ、すすぎ、活性炭(1.5g)を介して20℃で2.0時間循環させる。混合物を濃縮し、濃縮中に2-Me THF(3×500mL)を添加して、2-Me THF溶液(最終体積800mL)を得る。1M KHSO(2×500mL)及び10%のNaCl水溶液(300mL)で洗浄する。得られた有機層を最終体積200mLに濃縮し、得られた混合物を40℃に温める。n-ヘプタン(100mL)を混合物に滴下添加し、1時間撹拌し、次いで、更にn-ヘプタン(1.4L)をゆっくりと添加する。得られたスラリーを3時間かけて5℃に冷却し、18時間撹拌する。固体を濾過し、n-ヘプタン(300mL)で洗浄し、続いて真空下、45℃で24.0時間乾燥させて、表題化合物を黄色の固体(102.3g、95.2% ee;収率86.6%、純度78.3%w/w)として得る。純度は、以下のHPLC条件を使用して決定した:Shimadzu LC-20A HPLCシステム、Agilent Bonus RPカラム(75mm*4.6mm、3.5mM)、カラム温度30℃、65% A(H2O中の0.05% TFA)/35% B(MeOH中の0.05% TFA)~5% A/95% Bの勾配で30分間かけて、流量1.5mL/分、UV260nmで溶出する。キラル分析条件:Shimadzu LC-20A HPLCシステム、Chiralpak IG(250mm*4.6mm、5μm)、カラム温度45℃、水中55~75% ACNの勾配で23分間かけて、流量1.2mL/分、UV268nmで溶出して、表題化合物を得る、t(R)15.9分、H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 11.38 (s, 1H), 9.71 (s, 1H), 8.40 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.47 - 7.27 (m, 3H), 7.25 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.17 - 7.10 (m, 2H), 6.86 - 6.79 (m, 2H), 4.70 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 3.89 - 3.80 (m, 2H), 3.58 (dq, J = 9.5, 7.0 Hz, 2H), 3.47 (dq, J = 9.5, 7.0 Hz, 2H), 1.05 (td, J = 7.0, 0.9 Hz, 6H)。13C NMR (126 MHz, d-DMSO) δ 161.88, 159.18, 151.76, 144.86, 143.32, 141.77, 130.92 (q, J = 32.3 Hz), 129.83, 129.68, 126.75, 125.13 (d, J = 2.7 Hz), 123.60, 122.56, 119.34, 118.79, 118.44, 115.21, 107.11, 100.21, 74.12, 68.38, 62.21, 15.63.HRMS(ESI)m/z:[M+H]+C2927NOの計算値:526.1763、実測値:526.1777。
【0166】
代替調製17
(R)-5-4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール
(R)-4-((4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)キノリン-7-オール(2g)及びtert-アミルアルコールを合わせる。ナトリウムtert-ペントキシド(0.85g)を添加し、温度を20~30℃で19時間維持する。ナトリウムtert-ペントキシド(0.2g)を更に添加し、20~30℃で4時間撹拌して、粗製の表題化合物を得る。
【0167】
代替調製17a
(R)-5-4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール
窒素を、2-MeTHF(100mL)中の(R)-4-((4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-3-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)キノリン-7-オール(18.4g、34.8mmol、96.3% ee)及びナトリウムtert-ペントキシド(11.3g、102.6mmol)の溶液を通して、25℃で約30分~1時間泡立てる。25℃で16時間撹拌する。NaHSO(1M、60mL)、続いて7% NaHCO(60mL)、次いで水(60mL)で洗浄する。溶液を約60mLに濃縮し、材料をヘプタン添加によって結晶化する。沈殿した固体を濾過し、2-MeTHF/ヘプタン溶液で洗浄し、真空乾燥させて、表題化合物(14.1g、収率77%、95.6% ee)を得る。表題化合物及び出発物質のキラル分析条件は、それぞれ調製17及び調製13に由来する。
【0168】
調製18
【化110】
スキーム4、ステップE:上に示したように、アルデヒド形態は、水和アルデヒド形態と平衡状態にあり得ることに留意すべきである。
【0169】
窒素雰囲気下、(R)-5-4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール(248.1g、純度80.6%=200.0g;92.4% ee;381.0mmol;純度分析条件は、調製17に記載のとおりである)を、ACN(1.0L)及び水性1N HCl(350mL)と合わせる。得られた混合物を60℃で2時間撹拌し、25℃に冷却し、活性炭(1.5g)を介して1.0時間循環させる。NaHCO(350mL)の7%水溶液を1.0時間かけて添加し、温度を20~30℃に維持しながらpHを3に調整する。得られた混合物を真空下、35~45℃で1.4Lに濃縮する。水(2L)を3.0時間かけて添加し、25℃で、7% NaHCO(140mL)でpHを5.9に調整する。混合物を25℃で2時間、次いで、5℃で48時間撹拌する。得られた固体を濾過し、水(400mL)で洗浄し、固体を懸濁させ、ACN(600mL)を45℃で2.0時間添加し、次いで、5℃で2.0時間撹拌する。得られた固体を濾過し、ACN(400mL)で洗浄し、真空下、50℃で16時間乾燥させて、表題化合物を黄色の固体(157.8g、99.6% ee、純度87.2%、収率80.1%)として得る。純度分析条件:Shimadzu LC-20A HPLCシステム、Waters Cortecs C18+カラム(100mm*4.6mm、2.7mM)、カラム温度45℃、80% A(H2O中0.1% TFA)/20% B(AcCN中0.1% TFA)~30% A/70% Bの勾配で17分間かけて、次いで、5% A/95% Bで2分間かけて、流量1.0mL/分、UV270nMで溶出する。キラル分析条件:Agilent 1290 UPLCシステム、Chiralpak IG(250mm*4.6mm、5μm)、カラム温度45℃、水(0.1% TFA)中25~55% ACN(0.1% TFA)の勾配で30分間かけて、0.3mL/分の流量、UV270nm、t(R)24.2分で溶出する。アルデヒド形態:(d-DMSO溶液中約50%モル):H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 10.54 (s, 1H), 9.61 (s, 1H), 9.52 (s, 1H), 8.35 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 7.84 (dd, J= 9.19, 7.00 Hz, 1H), 7.39 (m, 1H), 7.38 (m, 1H), 7.32 (d, J= 5.62 Hz, 1H), 6.48 (dd, J= 6.48, 1.81 Hz, 1H), 7.21 (dt, J = 9.1, 2.5 Hz, 1H), 7.11 (dd, J = 8.9, 7.3 Hz, 2H), 6.81 (dd, J = 8.8, 6.4 Hz, 2H), 4.78 (s, 2H)。13C NMR (126 MHz, d-DMSO) δ 198.76, 159.38, 157.97, 151.41, 149.09, 145.83, 136.80, 130.22, 129.80 (J = 31.8 Hz), 129.19, 125.53, 124.24, 123.98, 123.7 (q, J = 272.8 Hz), 120.52, 118.73 (m), 117.51, 117.13, 114.71, 114.6 (m), 110.70, 73.61, 72.40.HRMS(ESI)m/z:[M+H]2517NOの計算値:452.1031、実測値:452.1025。
【0170】
-DMSOからの水和アルデヒド形態(d-DMSO溶液中約50%モル):H NMR (500 MHz, d-DMSO) δ 10.54 (s, 1H), 9.52 (s, 1H), 8.35 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 7.84 (dd, J= 9.19, 7.00 Hz, 1H), 7.39 (m, 1H), 7.38 (m, 1H), 7.32 (d, J= 5.62 Hz, 1H), 6.48 (dd, J= 6.48, 1.81 Hz, 1H), 7.21 (dt, J = 9.1, 2.5 Hz, 1H), 7.11 (dd, J = 8.9, 7.3 Hz, 2H), 6.81 (dd, J = 8.8, 6.4 Hz, 2H), 6.03 (br, 1H), 5.00 (t, J = 5.1 Hz, 1H), 3.70 (dd, J = 5.1, 1.1 Hz, 2H)。13C NMR (126 MHz, d-DMSO) δ 159.38, 158.85, 151.43, 149.09, 145.83, 136.88, 130.22, 129.80 (J = 31.8 Hz), 129.19, 125.53, 124.24, 123.98, 123.7 (q, J = 272.8 Hz), 120.52, 118.73 (m), 117.51, 117.13, 114.71, 114.6 (m), 110.70, 87.97, 73.73, 71.58.HRMS(ESI)m/z:[M+H]C25H18NOの計算値:469.40932、実測値:470.1288。
【0171】
代替調製18
(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)アセトアルデヒド
(R)-5-4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール(0.99g、1.9mmol)及びギ酸(4mL)を合わせる。室温で一晩撹拌する。水(15mL)中の28質量%の水酸化アンモニウム(2mL、14mmol)の溶液を5分間かけて添加する。溶液を濾過し、ACN(2mL)で洗浄し、40℃の真空オーブンで乾燥させて、表題化合物(0.79g、収率92%)を得る。
【0172】
代替調製18a
(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)アセトアルデヒド
(R)-5-4-(2,2-ジエトキシエトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール(5g、9.5mmol)、ACN(15mL)、水(10mL)、及びTsOH.水(2.2g、11.4mol)を合わせる。溶液を70℃で5時間加熱し、室温に冷却する。7% NaHCO(水溶液、3.4mL)でpHを5.0~5.5に調整し、約25℃で30分間撹拌すると、約10分で沈殿物が形成される。得られた沈殿物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物(4.29g、純度98.2%、99.7 ee、収率87%)を得る。この生成物の純度分析条件は、調製18記載されている。
【0173】
調製18b
【化111】
表題化合物を、ラセミ化合物について米国特許第10,654,866号に記載のとおり調製し、化合物を、異性体1について記載のとおり精製して、表題化合物を得る。
【0174】
調製19
【化112】
スキーム4、ステップF:窒素雰囲気下、3-(フルオロメチル)アゼチジントシレート(37.6g、143.9mmol)を、無水EtOH(250mL)及びTEA(11.2g、110.7mmol)と合わせる。得られた混合物を室温で撹拌して、透明な溶液を得る。別個の反応器において、(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)アセトアルデヒド(57.5g、純度87%、110.8mmol;調製18に記載の純度分析条件)及び無水EtOH(250mL)の混合物を0~10℃に冷却し、STAB(47.0g、221.5mmol)を添加する。3-(フルオロメチル)アゼチジン混合物、TEA、及びEtOH溶液を、(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)アセトアルデヒド混合物を、0~10℃で1時間かけて添加し、混合物を5~15℃で1時間撹拌する。撹拌を続けながら、10% NHCl水溶液(250mL)を反応混合物に添加し、続いて、約375mLの最終体積に濃縮する。DCM(500mL)を得られた混合物に添加し、有機相を分離する。有機層を、10%のNaCO水溶液(250mL)及び10%のNaCl水溶液(250mL)で洗浄し、活性炭(1.5g)を介して30分間循環させて、表題化合物をDCM(500mL)中の溶液として得る(DCM溶液中58.7g、99.5% ee、収率100%。キラル分析条件:Shimadzu LC-20A HPLCシステム、Chiralpak IC(250mm*4.6mm、5μm)、カラム温度40℃、90%ヘキサン(0.1% DEA)/10% EtOHで30分間かけて、1.0mL/分の流量、UV270nm、t(R)14.2分で溶出する。
【0175】
固体NMR
(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール
固体NMRは、100.6MHzの周波数で作動するBruker Ultrashield 400WB Plus磁石を備えたBruker Avance III HDで得られる。用いたプローブは、Bruker MAS 4 BL CP BB DVT N-P/Hである。取得パラメータは次のとおりである:7776走査、34ミリ秒の取得時間、8.5秒のパルス間遅延、10kHzのMAS周波数、1.5ミリ秒の接触時間、及びSPINAL64デカップリングスキーム。データは、29.5ppmのアダマンタンを外部基準にしている。13C固体NMR(101 MHz)δ 161.2, 159.0, 153.2, 151.3, 146.5, 135.1, 132.0, 130.8, 130.0, 125.2, 123.7, 122.6, 118.8, 117.9, 117.2, 114.7, 111.3, 84.9, 83.2, 74.8, 62.8, 57.8, 56.0, 53.3, 28.0。
【0176】
代替調製19
(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン- 2-オール
米国特許第10,654,866号に記載のとおり表題化合物を調製し、エナンチオマーを分離して、調製19の表題化合物である異性体2を得る。
【0177】
代替調製19a
【化113】
100mLフラスコに、(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)エタン-1,1-ジオール(10g、20.2mmol)を入れた。この中間体は、95%の効力を有すると想定され、5重量%の水を含有する。撹拌棒及びTHF(50mL)をフラスコに添加し、フラスコに隔壁を取り付け、反応物を窒素ガスで覆った。水(135mL)を添加して、含水量を10重量%に調整した。反応物を室温で2時間撹拌して、透明な橙褐色の溶液を得た。
【0178】
機械的撹拌及び正の窒素雰囲気を備えた別個の250mLジャケット付き反応器に、3-(フルオロメチル)アゼチジントシレート(5.6g、21.3mmol)、THF(48mL)、及びトリエチルアミン(1.4mL)を入れる。ジャケット温度を0℃に設定し、反応物を0℃で30分間撹拌する。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(8.15g、38.5mmol)を、一度に添加した。(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)エタン-1,1-ジオールの調製したTHF溶液をシリンジポンプに添加し、反応温度を0℃に維持しながら、2時間かけてジャケット付き反応器に滴下添加した。添加が完了した後、反応物を0℃で更に2時間撹拌した。反応物を完了のために分析した。1,1-ジオールの量が、(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールに対して1%未満である場合、反応を完了させた。1,1-ジオールの量が1%より多い場合、反応物を、完了するまで0℃で更に2~8時間撹拌した。
【0179】
完了した反応物を、15% KHCO水溶液(57mL)で10分間超かけて0℃で処理した。反応のジャケット温度を20℃から30℃に上げ、反応物を2時間超撹拌した。撹拌を停止し、反応物を1時間超静置した。水層を排出し、反応物に15% KHCO水溶液(57mL)を再度入れた。ジャケット温度を40℃から50℃に上げ、反応物をその温度で2時間撹拌した。撹拌を停止し、反応物を20℃~30℃で静置した。反応物を完了のために分析した。トシレートのピークが、(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールに対して1%超であった場合、15% KHCO水溶液での洗浄を、トシレートピークが1%未満になるまで、記載のとおり続けた。
【0180】
水層を排出し、反応物をヘプタン(4.5mL)及び水(38mL)で処理した。反応物を20℃~30℃で30分間超撹拌し、撹拌を停止し、反応物を1時間超静置し、水層を排出した。
【0181】
反応物を、わずかな真空下(-0.05MPa目標)、70℃未満の浴温度で濃縮して、総体積を60mL~100mLにした。THF(95mL)を添加し、反応物を、わずかな真空下(-0.05MPa目標)、70℃未満の浴温度で濃縮して、総体積を30mL~50mLにした。反応物が、KF分析により1%を超える水を含んでいた場合、上記の蒸留ステップを繰り返した。
【0182】
反応の溶媒量を、THFで60mLに調整し、40℃で1時間撹拌した。MeCNを、シリンジポンプを介して40℃で1時間かけて添加し、次いで、反応物に(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール(70mg)を播種し、反応物を40℃で4時間撹拌した。MeCN(38mL)をシリンジポンプで2時間かけて添加し、40℃で更に2時間撹拌した。MeCN(57mL)をシリンジポンプで3時間かけて添加し、40℃で更に1時間撹拌した。3時間かけて温度を0℃~10℃に調整し、0℃で更に2時間撹拌した。固体を濾過によって除去し、MeCN/THF(29mLの2:1溶液)ですすいだ。固体を30℃で5時間、45℃で11時間真空乾燥させて、表題化合物(7.7g、70%)を得た。
【0183】
調製20
【化114】
鉱物油(0.10g、2.5mmol)中のNaHの60%分散液を、THF(12mL)中の3-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-[ヒドロキシ-[2,3,5,6-テトラジュウテリオ-4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]メチル]キノリン-7-オール(0.17g、0.31mmol)の溶液に添加し、50~60℃で一晩加熱する。反応物を室温に冷却し、飽和塩化アンモニウム(10mL)及び飽和重炭酸ナトリウム(20mL)で順次希釈する。混合物をDCM(2×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和ブライン(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲル上で濃縮する。DCM中3~8% MeOHの勾配で溶出する、シリカゲル上で精製して、表題化合物(0.09g、55%)を黄色の固体として得る。本質的に同じように調製された2つのバッチをMeOH及びDCM中で合わせ、真空下で一晩乾燥させて、最終物質を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 10.41 (s, 1H), 9.49 (s, 1H), 8.46 - 8.26 (m, 1H), 7.81 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.39 (ddd, J = 8.1, 1.9, 0.8 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.23 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 9.1, 2.5 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 4.40 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 3.84 - 3.75 (m, 2H), 3.25 (td, J = 7.6, 1.5 Hz, 2H), 2.97 - 2.88 (m, 2H), 2.75 - 2.57 (m, 3H).19F NMR (376 MHz, DMSO-d) δ 17.40 (td, J = 47.6, 46.8, 18.1 Hz), -61.16 (s).13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 159.62, 151.93, 150.03, 146.57, 136.91, 129.85, 125.94, 124.85, 124.39, 120.78, 117.89, 117.49, 111.54, 85.90, 84.28, 74.12, 66.70, 57.61, 56.50, 56.42, 40.66, 40.45, 40.24, 40.03, 39.82, 39.61, 39.40, 31.25, 31.06.
【0184】
実施例1
【化115】
MeOH(2mL)中の(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール(100mg、0.19mmol)を合わせ、50℃に加熱して、暗黄色の溶液を得る。4-メチルベンゼンスルホン酸(0.39mg、0.58mmol)をMeOH(1mL)に溶解する。2つの溶液を合わせ、熱源を取り除く。混合物を室温で一晩撹拌する。得られた沈殿物を濾過し、MeOH(1mL)で洗浄し、真空で20分間空気乾燥させて、表題化合物(0.81g、61%)を得る。
【0185】
代替実施例1
(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸
スキーム4、ステップF:3-(フルオロメチル)アゼチジントシレート(0.79g、0.300mmol)及びIPA(5mL)を添加し、混合物を撹拌する。ピリジンボラン(200μL、2.0mmol)を混合物に添加する。別個の容器において、DMSO(2.5mL)中の(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)アセトアルデヒド(1.00g、2.21mmol)を添加し、トシレート混合物に約5分間かけて滴下添加する。3時間撹拌する。IPA(15mL)を滴下添加する。得られた固体を濾過し、ウェットケーキをIPA(2×5mL)で洗浄し、真空オーブンで固体を乾燥させて、表題化合物(1.09g、収率68%)を得る。DMACを溶媒として使用して、本質的に同じ手順を完了させて、表題化合物(1.06g、収率66%)を得る。
【0186】
代替実施例1a
(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸
スキーム4、ステップF:ピリジニウムp-トシレート(0.5021g、2.0mmol)、水素化ホウ素ナトリウム(76.0mg、2.01mmol)、及びTHF(10mL)を合わせる。3時間撹拌し、珪藻土で濾過する。tert-アミルアルコール(15mL)中の3-(フルオロメチル)アゼチジントシレート(766.1mg、2.9mmol)を添加し、混合物を1時間撹拌する。THF(5mL)中の(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)アセトアルデヒド(1.01g、2.2mmol)を、2時間かけてシリンジポンプを介して添加し、混合物を一晩撹拌する。混合物を濾過し、ウェットケーキをIPA(1.5mL)で洗浄し、40℃の真空オーブンで乾燥させて、表題化合物(1.16g、収率68%)を得る。H NMR (600 MHz, ACN-d/DO, 25 ℃) δ 9.31 (s, 1H), 8.10 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.61 - 7.57 (m, 2H), 7.39 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 8.2, 1.8 Hz, 1H), 7.19 - 7.12 (m, 4H), 7.12 - 7.08 (m, 2H), 7.07 (s, 1H), 6.77 - 6.72 (m, 2H), 4.48 (dd, J = 47.0, 3.8 Hz, 2H), 4.26 - 4.19 (m, 2H), 4.05 - 3.99 (m, 4H), 3.44 (m, 2H), 3.22 - 3.04 (m, 1H), 2.29 (s, 3H).
【0187】
代替実施例1b
(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸
スキーム4、ステップF:(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)アセトアルデヒド(2.0g、4.3mmol)及びTHF(20mL)を合わせる。30分間撹拌する。別個の容器において、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.0g、9.5mmol)、THF(20mL)、及び3-(フルオロメチル)アゼチジントシレート(1.2g、2.3mmol)を合わせる。(R)-2-(4-(2-ヒドロキシ-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-5-イル)フェノキシ)アセトアルデヒドのTHF溶液を、1時間かけて滴下添加する。更に1時間撹拌する。10%のKHSO水溶液(10mL)でクエンチし、30分間撹拌する。濾過し、有機層を10%NaHCO水溶液(10mL)及び飽和NaClで洗浄する。有機層を濃縮し、残渣をTHF/ACNから結晶化し、沈殿した固体を濾過し、真空オーブンで固体を乾燥させて、表題化合物(1.02g、収率41%)を得る。
【0188】
固体NMR、実施例1b
固体NMRは、調製19と同様に、7.5秒のパルス間遅延で得られる、13C固体NMR(101 MHz)δ 162.0, 158.6, 152.2, 148.9, 143.6, 143.1, 141.7, 139.0, 138.5, 131.1, 129.1, 128.1, 126.9, 125.3, 123.3, 121.8, 121.0, 118.6, 117.9, 116.9, 116.2, 110.1, 108.4, 84.2, 82.6, 81.1, 72.2, 61.4, 57.4, 55.6, 54.8, 30.9, 29.0, 20.9。
【0189】
実施例2
【化116】
ACN(6mL)中の(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール(293mg、0.56mmol)及び水(0.3mL)を合わせ、撹拌しながら50℃に加熱して、黄色の溶液を得る。ベンゼンスルホン酸(0.108mg、0.68mmol)をACN(1mL)に溶解し、(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール溶液に添加して、明黄色の溶液を得る。50℃で2時間撹拌し、次いで、室温に冷却する。得られた沈殿物を真空で濾過し、週末にかけて真空せずに空気乾燥させて、表題化合物(0.157g、41%)を得る。固体NMRは、調製19と同様に、8.0秒のパルス間遅延で得られる、13C固体NMR(101 MHz)δ 161.9, 159.1, 158.4, 151.8, 149.1, 146.8, 146.4, 142.8, 138.0, 131.5, 130.4, 129.7, 128.2, 127.5, 126.6, 125.1, 122.9, 122.3, 121.5, 120.8, 118.5, 117.8, 117.0, 116.3, 110.4, 109.2, 108.5, 84.2, 83.0, 82.5, 81.4, 71.9, 65.0, 64.3, 62.0, 61.7, 61.0, 60.4, 60.0, 58.2, 57.9, 57.2, 56.8, 56.4, 55.2, 54.5, 54.0, 53.6, 52.6, 31.6, 31.0, 30.3, 29.6。
【0190】
実施例3
【化117】
(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸の合成における最終結合形成ステップ、すなわち、還元的アミノ化は、最終化合物の純度を制御するために重要である。最も重要な態様は、還元的アミノ化におけるトリエチルアミンの使用が、(5R)-5-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オールの形成を、HPLCによって測定した場合、0.3%以下に制限することである。H NMR (500 MHz, DMF-d7Rt, 25°C) δ 10.72 (s, 1H), 9.61 (s, 1H), 8.49 - 8.44 (m, 1H), 7.95 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.46 (m, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.32 - 7.26 (m, 2H), 7.23 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.89 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 3.99 (dd, J = 5.4, 4.6 Hz, 2H), 3.78 (td, J = 5.7, 4.5 Hz, 2H).MS ES+ m/z 454 [M+H].純度分析条件:Agilent 1260 HPLCシステム、Waters Cortecs C18+カラム(100mm×4.6mm、2.7mm)、カラム温度45℃、75% A(水中0.1% TFA:ACN:MeOH=90:2:8、v/v/v)/25% B(ACN:MeOH=20:80、v/v)~10% A/90% Bの勾配で30分間かけて、0.8mL/分の流量、UV270nmで溶出する。Rt=14.661分。
【0191】
実施例4
【化118】
3-(クロロメチル)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホン酸は、3-(フルオロメチル)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホン酸に存在する可能性がある、不純物である。存在するとき、HPLCを使用して決定された場合、典型的には0.05%~0.5%の間である。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.71 (s, 2H), 7.57 (d, J = 8.1 Hz, 2H, counterion), 7.16 (d, J = 8.1 Hz, 2H, counterion), 4.05 (dd, 2H), 3.84 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 3.81 (dd, 2H), 3.18 (m, 1H), 2.33 (s, 3H, counterion).
【0192】
実施例5
【化119】
イムルネストラント(imlunestrant)の合成中に3-(クロロメチル)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホン酸が存在する場合、上記の表題化合物が形成される可能性がある。この化合物は、0.05%~0.5%のレベルで存在し得る。MS ES+ m/z 541 [M+H]H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.50 (s, 1H), 9.50 (s, 1H), 8.34 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.37 (dd, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.21 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 9.2, 2.5 Hz, 1H), 7.09 (d, 8.8 Hz, 2H), 6.76 (d, 8.8 Hz, 2H), 3.79 (m, 2H), 3.71 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 3.26 (dd, J = 7.3 Hz, 2H), 2.88 (dd, J = 7.4, 6.2 Hz, 2H), 2.63 (dd, J = 7,4, 5.7 Hz, 2H), 2.63 (m, 1H).純度分析条件:Agilent 1260 HPLCシステム、Waters Cortecs C18+カラム(100mm×4.6mm、2.7mm)、カラム温度45℃、75% A(水中0.1% TFA:ACN:MeOH=90:2:8、v/v/v)/25% B(ACN:MeOH=20:80、v/v)~10% A/90% Bの勾配で30分間かけて、0.8mL/分の流量、UV270nmで溶出する。
【0193】
実施例6
【化120】
上記の化合物は、(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸の試料中に見出される不純物として存在した。この化合物は、存在する任意の遊離塩化物イオンが、シクロブチル基と反応するときに形成されると考えられている。MS ES+ m/z 561 [M+H]H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.43 (s, 1H), 9.50 (s, 1H), 8.36 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 8.2, 2.1 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.24 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 9.2, 2.5 Hz, 1H), 7.10 (d, 8.8 Hz, 2H), 6.82 (d, 8.8 Hz, 2H), 4.49 (m, 2H), 3.91 (m, 2H), 3.70 (m, 2H), 2.82 (dd, J = 11.2 Hz, 2H), 2.61 (d, J = 6.7 Hz, 2H), 2.18 (m, 1H)
【0194】
実施例7
【化121】
【0195】
実施例8
【化122】
MS ES+ m/z 1050 [M+H]
【0196】
クロマトグラフィー方法
2つの異なるクロマトグラフィープロトコル:HPLC方法1及びHPLC方法2(これらは以下に記載される)を使用して、調製18b、調製19、及び代替調製19の化合物を比較する。
【0197】
HPLC方法1は、以下の条件を利用する:245nmのUV検出器を備えたAgilent 1260 HPLCシステム、Agilent Bonus RP4.6×75mm、3.5μmカラム、カラム温度30℃、1.0mL/分の流量、及びインジェクター容量5μl。移動相Aは、水中の0.05% TFAからなり、移動相Bは、ACN中の0.05% TFAからなる。20分で10% B~50% B、25分で95% Bの勾配で試料を溶出する。システム1では、40mgの試料を溶解することによって、0.8mg/mLの標準溶液を調製し、60 ACN/40 水の希釈液で50mLに希釈する。
【0198】
HPLC方法2は、以下の条件を利用する:270nmのUV検出器を備えたAgilent 1260 HPLCシステム、Waters Cortecs C18+、4.6×100mm、2.7μmカラム、カラム温度45℃、0.8mL/分の流量、及びインジェクター容量2μl。移動相Aは、水中の0.1% TFA:ACN:MeOH=90:2:8、v/v/vからなり、一実施例では、水(1800mL)及び移動相B(200mL)を混合する。TFA(2.0mL)を正確に移し、よく混合する。移動相Bは、ACN:MeOH=20:80、v/vからなり、一実施例では、ACN(400mL)及びMeOH(1600mL)をよく混合し、超音波によって脱気する。試料を、75% A及び25% B~10% A及び90% Bの勾配で30分間かけて溶出する。システム2の場合、50mgの試料を溶解することによって、0.5mg/mL溶液中の化合物を調製し、ACN/水の1/1溶液で100mLに希釈する。
【0199】
HPLC方法1及びHPLC方法2を使用して、式A、式B、又は式Cの化合物のパーセント面積(%面積)、並びにジヒドロキノリン又はキノリンベースの不純物を決定することができる。本明細書で使用される場合、「%面積」は、HPLC方法1又はHPLC方法2、又は両方を使用して得られるパーセント面積を指す。疑義を避けるために、式Aの化合物の%面積と汚染物質又は不純物の%面積とを加えたものは、常に100%面積以下であり、式Bの化合物の%面積と汚染物質又は不純物の%面積とを加えたものは、常に100%面積以下であり、式Cの化合物の面積%と汚染物質又は不純物の面積%とを加えたものは、常に100%面積以下である。
【0200】
図1及び2は、クロマトグラフィーシステム1を利用した調製18b及び代替調製19について、約8.8分でのピークを示す。このピークは、調製18b反応の主要生成物である。約8.8分でのピークは、調製19の試料には見られない。代替調製19における8.8分でのピークの%面積は、0.23%である。
【0201】
図3は、調製18bの約5.2分にピークを示し、クロマトグラフィーシステム2を利用した調製19ではほとんど見えない。約5.2分でのピークの面積は、調製19の試料では見られない。代替調製19における5.2分でのピークの%面積は、<0.05%面積であり、本明細書に記載の方法について、定量限界未満である。異なるシステムの%面積の違いは、システム1のUV245nm対システム2のUV270nmについての化合物の応答係数の違いによって説明することができる。
【0202】
調製19を使用して、以下の純度(%面積)を有する(R)-5-(4-(2-(3-(フルオロメトキノリネジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-8-(トリフルオロメチル)-5H-[1]ベンゾピラノ[4,3キノリネリン-2-オールのいくつかのバッチを合成した。
【表8】
【0203】
一実施形態では、式Bの化合物又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも98.5%面積、少なくとも98.6%面積、少なくとも98.7%面積、少なくとも98.8%面積、少なくとも98.9%面積、少なくとも99.0%面積、少なくとも99.1%面積、少なくとも99.2%面積、少なくとも99.3%面積、少なくとも99.4%面積、少なくとも99.5%面積、少なくとも99.6%面積、少なくとも99.7%面積、又は少なくとも99.8%面積である。一実施形態では、薬学的に許容される塩は、トシレート塩である。
【0204】
生物学的アッセイ
MCF7細胞におけるERα分解ハイコンテントイメージングアッセイ
室温で30分間、14%パラホルムアルデヒド(10μL)を添加することによって、細胞を固定した。細胞をPBS(20μL)で1回洗浄し、0.5%(v/v)TWEEN(登録商標)20を含有するPBS(ウェル当たり20μL)と1時間インキュベートした。細胞を0.05% TWEEN(登録商標)20を含有するPBSで(2回)洗浄し、0.05% TWEEN(登録商標)20及び0.1% TRITON(登録商標)X-100を含有するPBS中の3% BSA(20μL/ウェル)で室温で1時間ブロックした。0.05% TWEEN(登録商標)20を含有するPBS中1% BSA中の1:500希釈の一次抗体(20μL)(ERα(クローンSP1)モノクローナルウサギ抗体#RM-9101-S、Thermo Scientific)を添加し、プレートを密封し、4℃で一晩インキュベートした。翌日、細胞を0.05% TWEEN(登録商標)20を含有するPBSで(2回)洗浄し、PBS 1% BSA中の二次抗体(20μL/ウェル)(1:1000希釈、ヤギ抗ウサギIgM ALEXA FLUOR(商標)488)と室温で105分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートをPBS(2×20μL)で洗浄し、RNase(Sigma)(50μg/mL)を含有するPBS(20μL)及び1:1000ヨウ化プロピジウム希釈液をウェルごとに添加した。プレートを密封し、室温で1時間インキュベートした(遮光保存)。プレートをACUMEN EXPLORER(商標)[TTP LABTECH LTDによって製造されたレーザー走査型蛍光マイクロプレートサイトメーター]で走査して、ERαを測定した。画像解析は、陽性細胞を識別するための細胞蛍光シグナルに基づいていた。エストロゲン受容体陽性細胞は、平均強度によって識別された。ヨウ化プロピジウム/DNAからの575~640nmでの総強度を使用して、個々の細胞を識別した。アッセイのアウトプットは、エストロゲン受容体陽性細胞%であった。GENE DATA(商標)を使用して、各アウトプットの4パラメータロジスティックにカーブフィッティングすることにより、IC50を決定した。生データ(FLU)は、GENEDATA SCREENER(登録商標)ツールを介して、非線形回帰としてプロットした。データは、4パラメータの非線形ロジスティック方程式(4パラメータロジスティック濃度-応答曲線)を使用して分析した:Y=下+[(上-下)/1+(x/IC50)傾斜](式中、Y=%阻害、x=y%阻害をもたらす濃度、下=曲線によって得られたyの最小値、上=曲線によって得られたyの最大値、及び傾斜=IC50での曲線の鋭度。%Inh=[(最大値の中央値-x/最大値の中央値-最小値の中央値)]×100。結果を表2のSERD汚染物質に示し、式Aに匹敵する合成化合物は、式Aのプロセスにおける中間体が、試験した濃度では活性なSERD化合物ではないことを示す。表2において、>2.00μMの相対IC50を有する化合物は、不活性である。
【表9-1】
【表9-2】
【0205】
他の実施形態
前述の説明から、本明細書に記載の本発明を様々な用途及び条件に採用するために、変更及び修正を行ってもよいことは明らかであろう。かかる実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。
【0206】
本明細書における変数の任意の定義における要素の一覧の列挙は、任意の単一の要素又は列挙された要素の組み合わせ(又はサブコンビネーション)としてのその変数の定義を含む。本明細書における実施形態の列挙は、その実施形態を任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態若しくはその部分と組み合わせて含む。
【0207】
本明細書で言及された全ての特許及び刊行物は、各々の独立した特許及び刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3