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  • 特許-負荷平準化装置および負荷平準化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-17
(45)【発行日】2023-11-28
(54)【発明の名称】負荷平準化装置および負荷平準化方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20231120BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20231120BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/46
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023022327
(22)【出願日】2023-02-16
【審査請求日】2023-02-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】細井 義郎
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 恒宏
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-151977(JP,A)
【文献】特開2012-194935(JP,A)
【文献】特開2015-163017(JP,A)
【文献】特開2001-008385(JP,A)
【文献】特開2012-196028(JP,A)
【文献】国際公開第2013/121514(WO,A1)
【文献】特開2002-247761(JP,A)
【文献】特開平11-041831(JP,A)
【文献】特開2013-228922(JP,A)
【文献】特開2007-024475(JP,A)
【文献】特開2016-187292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力の変動が予測可能な電炉の負荷に併設される蓄電池と、
前記負荷への通電パターンが記憶される記憶手段と、
前記通電パターンに基づいて、前記蓄電池の充放電を制御する制御手段と
を含み、
前記制御手段は、前記電炉の溶解から出鋼までの1チャージにおける、前記負荷と前記蓄電池との合成電力が指定値となるように前記蓄電池の充放電を制御する
負荷平準化装置。
【請求項2】
前記記憶手段に、指定された期間における、前記負荷と前記蓄電池の合成電力が指定値となるように前記蓄電池を充放電させる充放電パターンが記憶され、
前記制御手段は、前記充放電パターンに基づいて、前記蓄電池の充放電を制御する
請求項1に記載の負荷平準化装置。
【請求項3】
消費電力の変動が予測可能な電炉の負荷に蓄電池を併設し、
制御手段が、前記蓄電池が前記負荷に対して充放電を行う通電パターンが記憶される記憶手段を参照し、
参照した前記通電パターンに基づいて、制御手段により、前記電炉の溶解から出鋼までの1チャージにおける、前記負荷と前記蓄電池との合成電力が指定値となるように前記蓄電池の充放電を制御する負荷平準化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力の変動が予測可能な負荷において、負荷の消費電力を平準化し得る負荷平準化装置および負荷平準化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷の発電出力を平準化する技術として、特許文献1に記載の運転方法が知られている。特許文献1には、発電電力が不規則な(予測不可能な)発電設備に併設されるレドックスフロー電池を具え、発電設備の発電出力と電池の電池出力とを合成して不規則な発電出力を平滑化し、この平滑化した電力を負荷に供給するレドックスフロー電池システムの運転方法が記載されている。なお、この運転方法は、電池効率を向上するべく、発電設備の発電出力に基づいて目標合成値を決定し、電池の残存容量とこの目標合成値との差が設定範囲内になるように電池を充放電させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5284560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、電炉(電気炉)の負荷など消費電力の変動が予測可能な負荷が存在しているが、このような負荷において消費電力の変動が大きいと(例えば、ゼロ~数十MW)、それが電源系統の安定性を阻害する大きな要因になっている。このような問題に対して、特許文献1に記載の運転方法は、あくまで如何に効率の良い電池残量の範囲で運転させるかを目的とした運転方法であるため、前述した安定性に関する課題を解決し得る(安定性を担保し得る)ものではない。
【0005】
よって、本発明は、消費電力の変動が予測可能な負荷において、負荷の消費電力の平準化を図り、電源系統の安定化を実現し得る負荷平準化装置および負荷平準化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る負荷平準化装置は、消費電力の変動が予測可能な負荷に併設される蓄電池と、負荷への通電パターンが記憶される記憶手段と、通電パターンに基づいて、蓄電池の充放電を制御する制御手段とを含む。
これにより、負荷の消費電力の変動は予測可能であるため、予め、負荷への通電パターンが記憶手段に記憶され、制御手段は記憶手段に記憶されている当該通電パターンを参照して、蓄電池の充放電を制御することができる。
【0007】
この時、制御手段は、指定された期間における、負荷と蓄電池との合成電力が指定値となるように蓄電池の充放電を制御することが望ましい。
これにより、制御手段は、負荷と蓄電池の合成電力(つまり、電源系統から見た負荷側の消費電力)が一定の値となるように、蓄電池の充放電を制御することができる。
【0008】
より具体的には、負荷が電炉の負荷である場合、制御手段は、電炉の溶解から出鋼までの1チャージにおける、負荷と蓄電池との合成電力が指定値となるように蓄電池の充放電を制御する。
これにより、制御手段は、電炉の溶解から出鋼までの1チャージにおける、負荷と蓄電池との合成電力が一定の値となるように、蓄電池の充放電を制御することができる。
【0009】
また、負荷平準化装置は、記憶手段に、指定された期間における、負荷と蓄電池の合成電力が指定値となるように蓄電池を充放電させる充放電パターンが記憶され、制御手段は、充放電パターンに基づいて、蓄電池の充放電を制御することもできる。
これにより、負荷の消費電力の変動は予測可能であるため、予め、負荷の消費電力の変動に対応し得る蓄電池の充放電パターン(負荷と蓄電池の合成電力が指定値となるように蓄電池を充放電させる充放電パターン)が記憶手段に記憶され、制御手段は記憶手段に記憶されている当該充放電パターンを参照して、蓄電池の充放電を制御することができる。
【0010】
なお、本発明に係る負荷平準化方法は、消費電力の変動が予測可能な負荷に蓄電池を併設し、制御手段が、蓄電池が負荷に対して充放電を行う通電パターンが記憶される記憶手段を参照し、参照した通電パターンに基づいて、制御手段により、蓄電池の充放電を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る負荷平準化装置は、かかる構成により、負荷の消費電力の変動は予測可能であるため、予め、負荷への通電パターンが記憶手段に記憶され、制御手段は記憶手段に記憶されている当該通電パターンを参照して、蓄電池の充放電を制御することができる。よって、負荷の消費電力が大きく変動する場合であっても、当該変動に応じた充放電制御を、当該通電パターンに示された期間分蓄電池に行うことができ、電源系統から見た負荷側(負荷と蓄電池)の消費電力を平準化することができる。
【0012】
また、制御手段は、指定された期間における、負荷と蓄電池との合成電力が指定値となるように蓄電池の充放電を制御したり、負荷が電炉の負荷である場合、制御手段は、電炉の溶解から出鋼までの1チャージにおける、負荷と蓄電池との合成電力が指定値となるように蓄電池の充放電を制御したりすることにより、制御手段は、指定された期間(溶解から出鋼までの1チャージ)において、負荷と蓄電池の合成電力が一定の値となるように、蓄電池の充放電を制御することができる。よって、電源系統から見た負荷側の合成電力を一定の値に制御することで、負荷側の消費電力を平準化することができる。
【0013】
また、記憶手段に充放電パターンが記憶される構成によれば、記憶手段に通電パターンが記憶される構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0014】
なお、本発明に係る負荷平準化方法によれば、本発明に係る負荷平準化装置と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る負荷平準化装置の概略構成図である。
図2】負荷の消費電力の変動を説明するための図である。
図3】負荷の消費電力の平準化を説明するための図である。
図4】負荷の消費電力の平準化における蓄電池の残量を説明するための図である。
図5】別パターンの負荷の消費電力の変動を説明するための図である。
図6】別パターンの負荷の消費電力の平準化を説明するための図である。
図7】別パターンの負荷の消費電力の平準化における蓄電池の残量を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0017】
[負荷平準化装置]
図1は、本発明の実施の形態に係る負荷平準化装置の概略構成図である。負荷平準化装置1は、負荷20に、蓄電池10が併設されている。また、蓄電池10は、直流/交流変換を行うパワーコンディショナー11(PCS11)を介して電源系統40と連携されている。蓄電池10は、充放電サイクル数が寿命に影響しないレドックスフロー電池を採用することが好ましい。
【0018】
なお、蓄電池10は、制御手段30およびPCS11によりその充放電が制御される。制御手段30は、記憶手段31に記憶されている負荷20の通電パターンまたは蓄電池10の充放電パターンを参照し、当該通電パターンまたは充放電パターンに基づいて、PCS11を介して蓄電池10の充放電を制御する。具体的には、制御手段30はPCS11へ充放電の指令を出して、PCS11は当該指令に基づく充放電の制御を蓄電池10に対して行う。
【0019】
ここで、記憶手段31とは、メモリやデータベースなどの記憶領域である。
また、充放電パターンとは、例えば、蓄電池10がある時間においてはどれだけの充電を行い、蓄電池10が別のある時間においてはどれだけの放電を行うなど、充電する時間・電力および放電する時間・電力などの情報を含む蓄電池10の動作パターンが定められているものである。
【0020】
図2は、負荷の消費電力の変動を説明するための図であり、具体的には、電炉の負荷の消費電力の変動を示す図である。本発明の負荷平準化装置に併設される負荷は、図2に示すように消費電力が規則的に変動するものも含め、規則的な変動ではなくても、その変動がある程度予測可能なものであればよい。
なお、以下、負荷は電炉の負荷として説明する。
【0021】
電炉は、鉄スクラップなどの原料を融解させ、不純物を除いて製鋼するものであるが、1回の作業において、溶解から精錬、停止、出鋼まで(以下「1チャージ」という)を行う。また、1回(または複数回)の作業において、電炉の通電はプログラム制御されており、予めプログラムされた通電パターンで通電される。
【0022】
ここで、炉内にスクラップが充満されている時間帯は、炉壁への熱影響が小さいため大電力で通電される([A]の時間帯)。一方、スクラップが溶け落ちた後は、炉壁が露出し高温のアークに曝されるため、炉壁を保護するために電力を落として通電される([B]の時間帯)。そして、溶解が完了すると、出鋼のため電力は停止される([C]の時間帯)。
【0023】
よって、図2に示すように、電炉の負荷は1ジャージ内において、時間(横軸)の経過と共に大電力で通電されたり、電力が落とされたり、ゼロになったりと、消費電力(縦軸)が大きく変動する。
【0024】
このように消費電力の変動が大きい負荷の場合、電源系統に擾乱を与え得ることになり、また、電源系統からの供給電力は安定しない。
そのため、図3は負荷の消費電力の平準化を説明するための図であるが、本発明の負荷平準化装置1は、負荷20に併設した蓄電池10を充放電させて、負荷20と蓄電池10の合成電力(電源系統40から見た負荷側の消費電力)が一定となるようにして平準化を図る。
【0025】
具体的には、制御手段30は図3に示すように、負荷20と蓄電池10の合成電力が指定値(平準化ラインに示す値)となるように、蓄電池10を充放電させる。
例えば、大電力で通電される時間帯(図2の[A]の時間帯)においては、負荷20の消費電力が指定値を超えているため、蓄電池10を放電させる。一方、電力が停止される時間帯(図2の[C]の時間帯)においては、負荷20の消費電力は指定値に達していないため、蓄電池10を充電させる。なお、電力を落として通電される時間帯(図2の[B]の時間帯)においては、負荷20の消費電力はやや指定値に達していないため、蓄電池10を充電させる。
【0026】
ここで、前述したように、電炉の通電はプログラム制御されており、予めプログラムされた通電パターンで通電される。つまり、予め1ジャージ内における負荷20の消費電力の推移は分かっているため、負荷と蓄電池の合成電力が指定値となるように、蓄電池10を充放電させるパターン(充放電パターン)を予め作成することができる。
【0027】
例えば、作業者が通電パターンに基づいて予め充放電パターンを作成し、記憶手段31に記憶させておくことができる。そして、制御手段30は、記憶手段31に記憶されている当該充放電パターンに基づいて、蓄電池10の充放電を制御する。
【0028】
一方、制御手段30は、記憶手段31に記憶されている通電パターンに基づいて、蓄電池10の充放電を制御することもできる。例えば、制御手段30は通電パターンを参照し、1ジャージ内において蓄電池10が「放電する電力」と「充電する電力」が同じになるように指定値を算出して、負荷20と蓄電池10の合成電力が常に当該指定値になるように、蓄電池10の充放電を制御する。
【0029】
この場合、制御手段30は、記憶手段31に記憶されている通電パターンに基づいて、蓄電池10の充放電を制御する。
【0030】
[実施例]
図4は、負荷の消費電力の平準化における蓄電池の残量を説明するための図である。本実施例において、電炉の1チャージには1時間(60分)かかるものとし、その時の消費電力の変動は以下である。
[A]大電力で通電される時間帯:0~20分(40MW)
[B]電力を落として通電される時間帯:20~50分(20MW)
[C]電力が停止される時間帯:50~60分(0MW)
【0031】
上記のような通電パターンの場合、指定値は、40MW×20/60+20MW×30/60+0MW×10/60=約23.3MWと算出される。
そして、制御手段30は、負荷20と蓄電池10の合成電力が約23.3MWとなるように蓄電池10を制御する。その結果、蓄電池10は、0~20分の時間帯においては、16.7MW×20/60h=約5.6MWhの放電を行い、20~60分の時間帯においては、同様に約5.6MWhの充電を行う。
【0032】
なお、図4において、点線(大)は時間の経過と共に変動する蓄電池の残量を示す折れ線グラフであるが、放電している時間帯(0~20分)は残量が減っていき、充電している時間帯(20~60分)は残量が増えていく。そして、次の溶解(60分~)が始まる前には十分に蓄電池10の残量が復活している(充電されている)ため、繰り返して作業を行うことができる。
【0033】
このように、本発明の負荷平準化装置は、1チャージ内において充放電の1サイクルが完結され、かつどの程度の時間どの程度の容量で充放電すればよいか予め分かっているため、膨大な充電容量の蓄電池を用いる必要はなく、最小容量の蓄電池で平準化を実現することができる。
【0034】
以上のように、本発明の負荷平準化装置は、消費電力の変動が予測可能な負荷において、電源系統から見た負荷は経時的に一定の負荷となり(負荷の消費電力は平準化され)、電源系統への擾乱は解消されて、電源系統の安定化を実現し得るものである。また、この負荷平準化装置を用いた負荷平準化方法によれば、同様に電源系統の安定化を実現し得る。
【0035】
[別パターンの負荷の消費電力の変動]
図5は、別パターンの負荷の消費電力の変動を説明するための図である。前述したように、電炉の1チャージには1時間かかり、それが昼夜を問わず1日繰り返されるものとする。
【0036】
この時、蓄電池に、充放電サイクル数に限りがあるリチウムイオン電池やNAS電池を採用するとなると、頻繁に充放電することを回避するため、電力に余裕がある夜間は蓄電池の充電のみを繰り返し、昼間は放電のみを繰り返すことが考えられる。なお、電力に余裕があるとは、夜間は稼動していない設備があるためその分電力を消費することがなかったり、夜間は電気代が安くなったりすることを意味する。
【0037】
図6は、別パターンの負荷の消費電力の平準化を説明するための図であり、図7は、別パターンの負荷の消費電力の平準化における蓄電池の残量を説明するための図である。
前述したように、この平準化方法においては、昼間は蓄電池の放電のみを繰り返すため、蓄電池が放電することで、負荷と蓄電池の合成電力がほぼ一定(電力が停止される時間帯を除いて一定)となるような指定値を定める(図6の平準化ライン(昼)参照)。そして、蓄電池を放電させ、負荷と蓄電池の合成電力が当該指定値となるように制御する。
【0038】
一方、この平準化方法においては、夜間は蓄電池の充電のみを繰り返すため、蓄電池が充電することで、負荷と蓄電池の合成電力が一定となるような指定値を定める(図6の平準化ライン(夜)参照)。そして、蓄電池を充電させ、負荷と蓄電池の合成電力が当該指定値となるように制御する。
【0039】
このように、指定された期間(1日)において放電の繰り返しおよび充電の繰り返しを行う場合、蓄電池10の残量は、図7に示すように昼間は減っていき、夜間は増えていく。
【0040】
しかし、この平準化方法では、図7に示すように、昼間は複数回の放電を繰り返し、夜間は複数回の充電の繰り返しを行うため、複数回の充電の繰り返しおよび複数回の放電の繰り返しを行うことができるように、十分な(膨大な)蓄電池の容量が必要となる。
【0041】
これに対して、本発明の負荷平準化装置は前述したように、1チャージ内において充放電の1サイクルが完結され、かつどの程度充放電すればよいかが予め分かっているため、膨大な充電容量の蓄電池を用いる必要はなく、最小容量の蓄電池で平準化を実現することができる。よって、本発明の負荷平準化装置は、1日またはそれ以上の指定された期間における通電パターンであっても、最小容量の蓄電池を用いて、平準化・安定化を実現することができる。
【0042】
以上のように説明した本実施の形態はあくまで一例であり、その構成は適宜設計変更可能である。例えば、蓄電池10の選定においては、容量や充放電効率などを考慮して設計される。
【0043】
具体的には、上記実施例において、蓄電池10はレドックスフロー電池を採用し、その容量は8MWh、充放電効率は0.7である。その結果、前述したように電力ピーク(40MW)から指定値(約23.3MW)まで約16.7MW(約41.8%)の削減が達成でき、電力系統の安定化を実現することができた。
【0044】
また、以上の説明において、負荷は電炉の負荷としたが、消費電力の変動が予測可能な負荷であればこれに限られない。例えば、本発明の負荷平準化装置は、発電プラント、熱間圧延や冷間圧延などの圧延加工を行う圧延機などにも用いることができ、特に、消費電力の変動が大きいものであれば、その効果をより発揮することができる。
【0045】
その他、もちろん通電パターンは上記[A],[B],[C]のように示される通電パターン(図2参照)以外であってもよく、本発明の負荷平準化装置において対応できる期間(1日、1週間、1ヶ月)にも制限はない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、消費電力の変動が予測可能な負荷において、負荷の消費電力を平準化し、電源系統の安定化を実現し得る負荷平準化装置および負荷平準化方法として、電炉、発電プラント、熱間圧延や冷間圧延などの圧延加工を行う圧延機などに利用することができる。よって、本発明は産業上有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 負荷平準化装置
10 蓄電池
11 パワーコンディショナー
20 負荷
30 制御手段
31 記憶手段
40 電源系統
【要約】
【課題】電炉(電気炉)の負荷など、消費電力の変動が予測可能な負荷において、負荷の消費電力の平準化を図り、電源系統の安定化を実現し得る負荷平準化装置および負荷平準化方法を提供する。
【解決手段】負荷平準化装置1は、消費電力の変動が予測可能な負荷20に併設される蓄電池10と、負荷20への通電パターンが記憶される記憶手段31と、通電パターンに基づいて、蓄電池10の充放電を制御する制御手段30とを含む。制御手段30は、指定された期間における、負荷20と蓄電池10との合成電力が指定値となるように蓄電池10の充放電を制御する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7