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  • 特許-皮膚外用剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9794 20170101AFI20231121BHJP
   A61K 36/896 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20231121BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20231121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20231121BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61K36/896
A61K31/706
A61P17/18
A61P43/00 121
A61K8/55
A61Q19/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022019778
(22)【出願日】2022-02-10
(65)【公開番号】P2023117200
(43)【公開日】2023-08-23
【審査請求日】2023-04-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591166330
【氏名又は名称】前田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(74)【代理人】
【識別番号】100222922
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 朋子
(74)【復代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニルカ アベワルダナ
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 雄也
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2020/054795(JP,A1)
【文献】再公表特許第2019/054485(JP,A1)
【文献】特開2021-008447(JP,A)
【文献】特開2004-261038(JP,A)
【文献】特開2010-207211(JP,A)
【文献】特開平07-017848(JP,A)
【文献】特開平02-243613(JP,A)
【文献】峯田 一隆 Kazutaka Mineda,コラーゲン特異的分子シャペロンHSP47誘導剤開発と化粧品への応用 Development of a new inducer of HSP47 and application to anti-aging cosmetics,フレグランスジャーナル 7月号 ,第37巻,p.89-91
【文献】Detoxifying Cream,ID 771278,Mintel GNPD[online],2007年9月,[検索日2023.05.01],インターネット<https://www.portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00
A61K47/00
A61K36/00
CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューリップの花部から抽出したチューリップエキスと、ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有し、
前記チューリップエキスと、前記ニコチンアミドモノヌクレオチドを夫々外用剤全量に対し、0.0001重量%~1重量%含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記チューリップの品種が黄小町であり、前記チューリップエキスの抽出方法が加熱抽出又は常温抽出であることを特徴とする、請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記チューリップエキスの抽出溶媒が水、1,3-ブチレングリコール又はエタノールであることを特徴とする、請求項1又は2記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化作用に優れた皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に抗酸化作用とは、酸化ストレス障害の原因物質である活性酸素やフリーラジカルの生成を抑制、また捕捉することで連鎖反応を抑制、または停止する作用である。そしてこの活性酸素やフリーラジカルは、生体内では呼吸の副産物であり、身体的ストレス、精神的ストレスによっても生成する物質である。生物にはもともと、これらの生成を抑制するSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)等の機能が備わっているが、年齢を重ねるにつれてこの抑制機能は衰え、生体の酸化が進行し、老化現象として様々な疾患に繋がる。そして、皮膚においては他の臓器とは置かれる環境が異なることから、外気や紫外線、皮膚常在菌による酸化の影響が顕著となる。特に紫外線を原因とした老化現象は「光老化」という名で区別され、日焼けからシワやシミ、くすみまでの様々な老化現象が、紫外線により算出した活性酸素と関与していることが判明している。そのため、抗酸化作用を有する物質を食事で摂ることはもちろん、外用剤として皮膚に塗布することは老化及び疾患を防ぐ上で重要である。
【0003】
そこで、活性酸素による傷害からの防御を目的として活性酸素消去剤や抗酸化剤が検討され、SOD様活性物質等の活性酸素消去剤や抗酸化剤を配合した食品、化粧品、医薬部外品及び医薬品等が開発されている。例えば特許文献1には、ニコチンアミドモノヌクレオチドを特徴成分とする化粧料が開示されている。しかし、ニコチンアミドモノヌクレオチドはその単独配合では満足する保湿効果が得られないという欠点があった(特許文献2参照)。
【0004】
また、非特許文献1には、チューリップの球根の生産工程において嫡花され、その多くが圃場に鋤き込むなどして処理されているチューリップ花部の有効利用を目的としてチューリップ花部から抽出したチューリップエキスの、化粧品原料としての抗酸化活性評価が開示されている。
【0005】
しかしながら、抗酸化作用を有する皮膚外用剤として、ニコチンアミドモノヌクレオチドとチューリップエキスとの組み合わせは従来検討されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-135750号公報
【文献】特開2018-145167号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】大田彩夏、「令和2年度卒業論文、チューリップエキスの化粧品原料としての利用」、富山県立大学 工学部生物工学科、2021年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような事情に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行ったところ、ニコチンアミドモノヌクレオチドと、チューリップ花部から抽出したチューリップエキスを併用すると優れた抗酸化作用が得られることを見出した。
【0009】
本発明は、抗酸化作用に優れた新規な皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の皮膚外用剤は、チューリップの花部から抽出したチューリップエキスと、ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に記載の皮膚外用剤は、前記チューリップエキスと、前記ニコチンアミドモノヌクレオチドを夫々0.0001重量%~10重量%含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に記載の皮膚外用剤は、前記チューリップの品種が黄小町であり、前記チューリップエキスの抽出方法が加熱抽出又は常温抽出であることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に記載の皮膚外用剤は、前記チューリップエキスの抽出溶媒が水、1,3-ブチレングリコール又はエタノールであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の皮膚外用剤によれば、チューリップの花部から抽出したチューリップエキスと、ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有することで、SOD様活性率を上昇させることができ、抗酸化作用に優れる。
【0015】
本発明の請求項2に記載の皮膚外用剤によれば、チューリップエキスと、ニコチンアミドモノヌクレオチドを夫々0.0001重量%~10重量%含有することで、SOD様活性率を上昇させることができ、抗酸化作用に優れる。
【0016】
本発明の請求項3に記載の皮膚外用剤によれば、チューリップの品種が黄小町であることで、SOD様活性率を顕著に上昇させることができ、抗酸化作用に優れる。また、チューリップエキスの抽出方法が加熱抽出又は常温抽出であることで、チューリップエキスを温度に依存せず様々な方法で抽出することができ、生産性に優れる。
【0017】
本発明の請求項4に記載の皮膚外用剤によれば、チューリップエキスの抽出溶媒が水、1,3-ブチレングリコール又はエタノールであることで、チューリップエキスを簡便に抽出することができ、生産性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いるチューリップエキスの製造例、本発明の皮膚外用剤の処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、実施例に示す%とは特に注釈のない限り重量%を示す。
【0019】
本発明に用いるチューリップエキスとは、ユリ科チューリップ属チューリップ(学名:Tulipa L.)の花部から抽出したものである。チューリップの品種は、例えば、黄小町、立山の春、ストロングゴールド、紫水晶、イチゴスター等が挙げられる。チューリップエキスの抽出方法は特に限定されず、例えば加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。
【0020】
チューリップエキスを抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3-ブチレングリコールが良い。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。
【0021】
上記チューリップエキスは、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈及び濾過処理、活性炭等による脱色、脱臭処理等をして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0022】
本発明に用いるニコチンアミドモノヌクレオチド(化学式:C1115P)は、ヒトを含む多くの生物の体内で作られる化合物である。一般にNMN(Nicotinamide mononucleotide)と呼ばれており、補酵素NAD+の生合成に関与する中間代謝物として知られている。ニコチンアミドモノヌクレオチドには光学異性体としてα体、β体の2種類が存在するが、本発明ではβ体を用いる。ニコチンアミドモノヌクレオチドは、例えば、ニコチンアミドとリボースからニコチンアミドリボシドを合成し、次いで、リボース部分の5位水酸基をリン酸化することにより得ることができる。具体的には、例えば、まず、ニコチンアミドとL-リボーステトラアセテートとを、無水アセトニトリルに溶解し、窒素気流下、トリメチルシリルトリフルオロスルホン酸を過剰量添加後、室温にて撹拌し、メタノールを添加して反応を停止させた上記反応液を、活性炭を充填したカラムに付し、蒸留水で洗浄後、メタノールで溶出して生成物を回収する。次いで、この生成物のL-リボース部分の5位水酸基のリン酸化反応を行うために、上記生成物をトリメトキシリン酸に溶解し、氷冷下、オキシ塩化リンを滴下し、窒素気流下で撹拌し、水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和させ、反応を停止させた上記反応液に、冷アセトニトリル-エーテル溶液を添加する。その後、下層(水相)を陰イオン交換樹脂に通して反応物を回収し、さらに陽イオン交換樹脂で精製することにより、純度の高いニコチンアミドモノヌクレオチドを回収することができる。また、ニコチンアミドモノヌクレオチドは市販されており、それらの市販品を購入して使用することができる。
【0023】
本発明の外用剤には、上記チューリップエキスをそのまま使用しても良く、チューリップエキス及びニコチンアミドモノヌクレオチドの効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤等の成分を配合することもできる。
【0024】
本発明の剤型としては、例えば、化粧水、クリーム、マッサージクリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、散剤、丸剤、錠剤、注射剤、坐剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤(チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤等を含む)等が挙げられる。
【0025】
本発明に用いる上記チューリップエキスの配合量は、外用剤全量に対し、0.0001重量%以上が好ましく、0.0001~10重量%がより好ましい。さらに、0.0001~0.10重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えて配合した場合、効果の増強は認められにくく不経済である。
【0026】
本発明に用いる上記ニコチンアミドヌクレオチドの配合量は、外用剤全量に対し、0.0001重量%以上が好ましく、0.0001~10重量%がより好ましい。さらに、0.0001~0.10重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えて配合した場合、効果の増強は認められにくく不経済である。
【0027】
[実施例1]
【0028】
[製造例1]常温抽出
黄小町品種のチューリップ花部30g(新鮮重)を液体窒素中においてハンマーで粉砕し、2.4倍重量の精製水を添加し、50重量%1,3-ブチレングリコール水溶液を72mL添加し、常温にて1週間静置した後、濾過し、濾液を再度常温で1週間静置後、さらに遠心及び濾過を行いチューリップエキスとした。
[製造例2]直接水蒸気蒸留
黄小町品種のチューリップ花部30g(新鮮重)を液体窒素中においてハンマーで粉砕し、3倍重量の精製水を添加し、105℃付近に温度制御したマントルヒーターを用いて水蒸気蒸留を行った。蒸留は添加した精製水の半分量の留分が得られるまで行った。得られた蒸留及び蒸留残渣をそれぞれ常温にて1週間静置後、遠心及び濾過を行いチューリップエキスとした。
[製造例3]加熱還流
黄小町品種のチューリップ花部30g(新鮮重)を液体窒素中においてハンマーで粉砕し、2.4倍重量の精製水を添加し、オートクレーブを用いて105℃で6時間加熱した。その後、濾過し、得られた濾液を半分に分けた。濾液のみの濾過画分と、濾液残渣の半分量に濾液を加えた花部入り画分を調製し、それぞれに40%量(v/v)の1,3-ブチレングリコールを添加した。常温にて1週間静置後、それぞれ再濾過を行いチューリップエキスとした。
【0029】
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
【0030】
[実験例1]SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)様活性作用評価
表1に示す4つの処方に基づいて4種の化粧水を作成し、スーパーオキシドアニオン消去能をSOD様活性率をして測定した。なお、試験濃度については検体を超純水によって連続希釈して計7濃度を調整し、試験を実施した。また、スーパーオキシドアニオン消去能の測定はSOD Assay Kit WST(Cat No.S311, Dojindo, Japan)を用いた。そして、ニコチンアミドモノヌクレオチドは株式会社アクセスワン社製を使用した。
評価方法について詳しくは、まず、96ウェルプレートに20μLの検体又は対照、200μLのWST working solution、及び20μLのEnzyme working solutionを加えた。また、ブランクにはEnzyme working solutionの代替としてDilution bufferを用いた。1つの処理軍に対して3ウェルを使用した。次に、プレートシールにより96ウェルプレートを密封し、270rpmで10秒間振とうし、37℃で20分間インキュベートした。次いで、マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。そして、被験品、対照の吸光度から被験品のスーパーオキシドアニオン残存率及び消去率を次式により算出し、被験品のSOD様活性率とした。

[数1]スーパーオキシドアニオン残存率(%)
=(S-SB)/(C-CB)×100

[数2]スーパーオキシドアニオン消去率(%)
={(C-CB)-(S-SB)}/(C-CB)×100
=SOD様活性率(%)

C :対照の吸光度
CB:対照のブランク吸光度
S :被験品の吸光度
SB:被験品のブランク吸光度

【表1】
【0031】
これらの実験結果を表2~5,図1及び図2に示す。表2は、表1中の比較処方1(blank)のSOD様活性率評価試験の結果である。表3は、表1中の比較処方2(チューリップエキス10%配合)のSOD様活性率評価試験の結果である。表4は、表1中の比較処方3(ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)10%配合)のSOD様活性率評価試験の結果である。表5は、表1中の処方1(チューリップエキス10%,ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)10%配合)のSOD様活性率評価試験の結果である。また、図1は全試験濃度における被験品のSOD様活性率を示す図であり、図2図1の要部を抜粋したもの、すなわちチューリップエキス及びニコチンアミドモノヌクレオチドの配合割合0.0001%~0.10%におけるSOD様活性率を示す図である。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0032】
図1に示すように、チューリップエキスとニコチンアミドモノヌクレオチドの全ての配合濃度(10%,5%,1%,0.10%,0.01%,0.001%,0.0001%)において、チューリップエキスとニコチンアミドモノヌクレオチドの両方を含有する処方1は、チューリップエキスとニコチンアミドモノヌクレオチドのそれぞれが単独で含有される比較処方2及び比較処方3と比較してSOD様活性率が有意に高かった。この結果から、チューリップエキスとニコチンアミドモノヌクレオチドを併用することで、SOD様活性率を上昇させる相乗効果があることが確認された。
【0033】
また特に、図2に示すチューリップエキス及びニコチンアミドモノヌクレオチドの配合濃度0.10%,0.01%,0.001%,0.0001%においては、比較処方2,3のSOD様活性率がマイナスであるのに対し、処方1のSOD様活性がプラスに転じ顕著に高くなっている。この結果から、チューリップエキスとニコチンアミドモノヌクレオチドを併用することで、両者それぞれの配合濃度0.0001%~0.10%においてSOD様活性率を顕著に上昇させる相乗効果があることが確認された。
【0034】
従って、実験例1を考慮すると、チューリップエキス及びニコチンアミドモノヌクレオチドの配合濃度はそれぞれ0.0001重量%以上が好ましく、0.0001~10重量%がより好ましい。さらに、0.0001~0.10重量%が最も好ましい。
【0035】
本発明の皮膚外用剤によれば、チューリップの花部から抽出したチューリップエキスと、ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有することで、SOD様活性率を上昇させることができ、抗酸化作用に優れる。
【0036】
また、本発明の皮膚外用剤によれば、チューリップエキスと、ニコチンアミドモノヌクレオチドを夫々0.0001重量%~10重量%含有することで、SOD様活性率を上昇させることができ、抗酸化作用に優れる。
【0037】
さらに、本発明の皮膚外用剤によれば、チューリップの品種が黄小町であることで、SOD様活性率を顕著に上昇させることができ、抗酸化作用に優れる。また、チューリップエキスの抽出方法が加熱抽出又は常温抽出であることで、チューリップエキスを温度に依存せず様々な方法で抽出することができ、生産性に優れる。
【0038】
そして、本発明の皮膚外用剤によれば、チューリップエキスの抽出溶媒が水、1,3-ブチレングリコール又はエタノールであることで、チューリップエキスを簡便に抽出することができ、生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明によるチューリップエキス及びニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する化粧水のSOD様活性を示す図である。
図2図1の要部拡大図である。
図1
図2