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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】断熱床構造
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/08 20060101AFI20231121BHJP
   B65D 88/06 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
F17C3/08
B65D88/06 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018154158
(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公開番号】P2020029873
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-08-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】井上 剛良
(72)【発明者】
【氏名】大江 知也
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-190290(JP,A)
【文献】特開平07-139699(JP,A)
【文献】特開2017-082931(JP,A)
【文献】特開2001-090243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 3/08
B65D 88/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温液を貯留する内槽と前記内槽を取り囲む外槽とを備え円筒体状の胴部を有する二重殻構造タンクの基台上に設けられた前記外槽の底板と該外槽の内側に真空保冷層を介して設けられた前記内槽の底板との間にある空間に形成される断熱床構造であって、
前記外槽の底板と前記内槽の底板との間の真空保冷層に鉛直に配置され、前記内槽の底板と線接触する上辺及び前記外槽の底板と線接触する下辺を有する格子断面形状の側壁を備え、
前記側壁が横方向に連なることで格子断面形状を持つ多角柱が形成され、複数の前記多角柱が前記外槽の底板の略全面に亘って平面的に連なることで平面充填されて配列されることで前記空間内における輻射による伝熱面積が最小化され、
前記多角柱内に熱輻射シールドが略隙間なく設けられる
ことを特徴とする断熱床構造。
【請求項2】
前記格子断面形状は、正六角形状、矩形形状、ひし形形状、平行四辺形状、三角形状のうちの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の断熱床構造。
【請求項3】
前記側壁は低熱伝導率材からなることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱床構造。
【請求項4】
前記側壁の前記低熱伝導率材には、繊維強化プラスチック、繊維強化プラスチック及びセラミック、繊維強化プラスチック及び樹脂、のうちの少なくともいずれか1つが用いられることを特徴とする請求項に記載の断熱床構造。
【請求項5】
前記側壁の内面は、低輻射性の断熱シート、もしくは低輻射性の断熱シートとスペーサ材とからなる多層断熱材、の少なくともいずれか1つで被覆されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の断熱床構造。
【請求項6】
前記熱輻射シールドは、前記多角柱内に略水平に少なくとも1層設けられることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の断熱床構造。
【請求項7】
前記熱輻射シールドには、低輻射性の磨いた金属板、低輻射性の断熱シートで被覆された樹脂板、低輻射性の断熱シートとスペーサ材とからなる多層断熱材が設置された網状板、の少なくともいずれか1つが用いられることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載の断熱床構造。
【請求項8】
前記側壁の略上下端には前記側壁の面外座屈を防止するための構造体が設置されたことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の断熱床構造。
【請求項9】
前記構造体には、繊維強化プラスチック板、内面を磨き低輻射化した金属板、内面が低輻射性の断熱シートで被覆された繊維強化プラスチック板、内面に断熱シートとスペーサ材とからなる多層断熱材が設置された繊維強化プラスチック板、の少なくともいずれか1つが用いられることを特徴とする請求項8に記載の断熱床構造。
【請求項10】
前記側壁の略上下端と前記構造体とは接着剤で固定されていることを特徴とする請求項8または9に記載の断熱床構造。
【請求項11】
前記断熱シートとして、金属を蒸着したフィルムもしくは金属箔のいずれか1つが用いられることを特徴とする請求項5,7または9に記載の断熱床構造。
【請求項12】
前記スペーサ材として、ガラス繊維製の布、紙製の布、もしくはポリエステル製の布、の少なくともいずれか1つが用いられることを特徴とする請求項5,7または9に記載の断熱床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば断熱床構造に係り、特に液化ガスを貯蔵する極低温タンクの内槽と外槽との間の断熱床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、一般的な極低温タンクの正面部分断面図である。液体水素等を貯留する極低温タンクとしては、図1に示すような内部に極低温液を実質的に貯留する内槽1と、所定の厚さの真空保冷層を挟んでこれを取り囲む外槽2とから形成される二重殻構造の極低温タンク10が知られている。
【0003】
この種の極低温タンク10は、円筒体状のものが多く、代表的な浮床式タンクは、屋根が球面状に形成され、地中に埋設された杭上に地上より所定の間隔を隔ててコンクリート製の基台3が設けられ、基台3の上に、底部構造5が設けられ、この底部構造5の上に内槽1が着座され荷重支持されており、内槽1の外周部に、これを覆って所定厚さの保冷層を形成すべく外槽2が設けられたものである。
【0004】
ところで、円筒体状タンクは、内槽1を支持する底部構造5が熱伝導率の大きい泡ガラスにより面的に荷重支持する構成を採用しているため、伝導伝熱面積が増し保冷能力が低減するおそれがある。
【0005】
そこで、このような保冷能力の低減を抑える提案がなされた(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に記載の発明は、内槽と外槽との間に所定厚さの真空保冷層を形成し、内槽内に液化水素等の極低温液を貯留する極低温タンクにおいて、地上に形成された基台と、基台上に設けられ、表面がアルミ蒸着された硬質合成樹脂板材を横断面ハニカム状或いは格子状に組み立てて形成された所定の高さを有する支持台と、支持台上に底板が熱収縮自在に着座された内槽と、内槽の外周部にこれを覆って所定厚さの真空保冷層を形成すべく設けられた外槽とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平7-139699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、基台から内槽への輻射熱について硬質合成樹脂板材に貼り付けられたアルミ蒸着層で反射することで減衰するようにしているものの、基台から内槽へ直接到達する輻射熱については何ら考慮されていない。また、複数層の硬質合成樹脂板材が点接触する点での応力の集中による強度の低下については考慮されていない。
【0009】
本願はこのような問題点を解決することを企図したものであり、特に液化ガスを貯蔵するタンクの内槽と外槽との間の断熱床構造において、輻射伝熱及び伝導伝熱を低減し、断熱性能を向上させるとともに強度を向上させる断熱床構造の技術思想の提示を目指すものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため、本願の第1の態様に係る断熱床構造は、基台上に設けられた外槽の底板と該外槽の内側に真空保冷層を介して設けられた内槽の底板との間に形成される断熱床構造であって、上記外槽の底板と上記内槽の底板との間の真空保冷層に鉛直に配置される格子断面形状もしくは円管断面形状の側壁と、上記側壁内に設けられる熱輻射シールドとを備えたことを特徴とする。
【0011】
本願の第2の態様は、第1の態様において、上記格子断面形状は、正六角形状、矩形形状、ひし形形状、平行四辺形状、もしくは三角形状のうちの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする。
【0012】
本願の第3の態様は、第1もしくは第2の態様において、上記側壁は低熱伝導率材からなることを特徴とする。
【0013】
本願の第4の態様は、第3の態様において、上記側壁の上記低熱伝導率材には、繊維強化プラスチック、繊維強化プラスチック及びセラミック、繊維強化プラスチック及び樹脂、のうちの少なくともいずれか1つが用いられることを特徴とする。
【0014】
すなわち、上記側壁に、金属やコンクリートに比べ熱伝導率が低い上記繊維強化プラスチックを用いることで伝導伝熱の低減を図ることができる。さらに、上記繊維強化プラスチックからなる上記側壁の略同一高さ位置に上記繊維強化プラスチックから独立させて、セラミックもしくは樹脂を上記繊維強化プラスチック間に積み重ねることで、上記繊維強化プラスチック断面内の伝導熱の流れを切断し、接触熱抵抗を生じさせることができるため、伝導伝熱の低減を図ることができる。
【0015】
本願の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれかにおいて、上記側壁の内面は、低輻射性の断熱シート、もしくは低輻射性の断熱シートとスペーサ材とからなる多層断熱材、の少なくともいずれか1つで被覆されていることを特徴とする。
【0016】
本願の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれかにおいて、上記熱輻射シールドは、上記側壁内に略隙間なく略水平に少なくとも1層設けられることを特徴とする。
【0017】
すなわち、上記熱輻射シールドを略隙間なく略水平に少なくとも1層設けることで、高温側となる上記外槽の底板から低温側となる上記内槽の底板が見えなくなり、上記内槽の底板への輻射伝熱を低減することができる。さらに、高温側となる上記外槽の底板から、低温側となる側壁上部が見えなくなり、上記外槽底板から上記側壁上部への輻射伝熱が低減することから、側壁断面内の伝導伝熱量を低減することができる。
【0018】
本願の第7の態様は、第1~第6の態様のいずれかにおいて、上記熱輻射シールドとして、低輻射性の磨いた金属板、低輻射性の断熱シートで被覆された樹脂板、低輻射性の断熱シートとスペーサ材とからなる多層断熱材が設置された網状板、の少なくともいずれか1つが用いられることを特徴とする。
【0019】
ここで、低輻射性の磨いた金属板としては特に鏡面仕上げのアルミニウム板が好ましい。
【0020】
本願の第8の態様は、第1~第7の態様のいずれかにおいて、上記側壁の略上下端には上記側壁の面外座屈防止用の構造体が設置されたことを特徴とする。
【0021】
本願の第9の態様は、第8の態様において、上記構造体として、繊維強化プラスチック板、内面を磨き低輻射化した金属板、内面が低輻射性の断熱シートで被覆された繊維強化プラスチック板、内面に断熱シートとスペーサ材とからなる多層断熱材が設置された繊維強化プラスチック板、の少なくともいずれか1つが用いられたことを特徴とする。
【0022】
本願の第10の態様は、第8もしくは第9の態様において、上記側壁の略上下端と上記構造体とは接着剤で固定されていることを特徴とする。
【0023】
本願の第11の態様は、第5、第7、第9の態様のいずれかにおいて、上記断熱シートとして、金属を蒸着したフィルムもしくは金属箔のいずれか1つが用いられることを特徴とする。
【0024】
本願の第12の態様は、第5、第7、第9の態様のいずれかにおいて、上記スペーサ材は、ガラス繊維製の布、紙製の布、もしくはポリエステル製の布、の少なくともいずれか1つが用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様に係る断熱床構造は、側壁に低熱伝導率材を用いることで伝導伝熱を低減することができることに加え、各側壁内に略水平に配置される少なくとも1枚の熱輻射シールドを備えているため、高温側となる外槽の底板から低温側となる内槽の底板が見えなくなり、内槽の底板への輻射伝熱を低減することができる。
【0026】
さらに、高温側となる外槽の底板から、低温側となる側壁上部が見えなくなり、外槽の底板から側壁上部への輻射伝熱が低減することから、側壁断面内の伝導伝熱量を低減することができる。熱輻射シールドが複数ある場合には、その分だけ輻射伝熱量が減少し、効果的に輻射伝熱量及び側壁断面内の伝導伝熱量を低減することができる。
【0027】
また、本発明の一態様に係る断熱床構造は、各側壁が外槽と内槽との間の真空保冷層に設けられ、従来のような点接触ではなく線接触するので、応力の一点集中を防ぐことができ、強度が確保される。
【0028】
さらに、側壁の略上下端に板状の構造体を設置することで、側壁の面外座屈を防ぎ、座屈強度を向上させることができる。
【0029】
尚、熱輻射シールドは、輻射伝熱防止用の部材であり、側壁の略上下端に設置される板状の構造体は、側壁面外座屈防止用の部材であり、板状の構造体は接着剤で側壁に固定するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一般的な極低温タンクの正面部分断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る断熱床構造の外観斜視部分断面図の一例である。
図3図2に示した断熱床構造の側壁で囲まれた空間内に設けられた熱輻射シールドの説明図である。
図4図2に示した断熱床構造の側壁の部分平面図の一例である。
図5図4に示した側壁の5-5線断面図である。
図6】本発明の前提となった断熱床構造5-1の外観斜視部分断面図である。
図7A図6に示した断熱床構造の平面図である。
図7B図7Aの7B-7B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0032】
<構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る断熱床構造の外観斜視部分断面図の一例であり、図3は、図2に示した断熱床構造の側壁で囲まれた空間内に設けられた熱輻射シールドの説明図である。
【0033】
図2に示す断熱床構造5-2は、基台上に設けられた外槽2の底板5-2dと、外槽2の内側に真空保冷層を介して設けられた内槽1の底板5-2aとの間に形成された断熱床構造であって、底板5-2dと底板5-2aとの間の真空保冷層に鉛直に配置された格子断面形状としての多数の正六角断面形状の側壁5-2bと、各側壁5-2b内に略隙間なく略水平に設けられる少なくとも1枚の熱輻射シールド5-2eと、を有して構成される。
【0034】
側壁5-2bは、低熱伝導率材であるFRP(繊維強化プラスチック)からなるのが好ましい。より好適には、繊維強化プラスチックからなる側壁5-2bの略同一高さ位置に上記繊維強化プラスチックから独立させて、セラミックもしくは樹脂を繊維強化プラスチック間に積み重ねて、繊維強化プラスチック断面内の伝導熱の流れを切断し、接触熱抵抗を生じさせて、伝導伝熱の低減を図ることが好ましい。
【0035】
また、側壁5-2bの内面は、低輻射性の金属蒸着フィルム、もしくは低輻射性の金属蒸着フィルムと不織布とからなる多層断熱材、の少なくともいずれかで被覆するのが好ましい。
【0036】
熱輻射シールドは、低輻射性の磨いた金属板、低輻射性の断熱シートで被覆された樹脂板、低輻射性の断熱シートとスペーサ材とからなる多層断熱材が設置された網状板、の少なくともいずれか1つとするのが好ましい。
【0037】
ここで、低輻射性の磨いた金属板としては特に鏡面仕上げのアルミニウム板を用いることが好ましい。
【0038】
側壁5-2bの高さとしての断熱高さHd及び側壁で囲まれた空間の外径としてのピッチDgについてはノウハウがあるとされる。
【0039】
図3に示すように熱輻射シールド5-2eは、側壁5-2b内に略隙間なく略水平に設けられる。熱輻射シールド5-2eは図では9枚であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1枚あればよい。
【0040】
格子断面形状の側壁5-2bには、好適には、略上下端に構造体5-2ac、5-2dcを設置する。これは、側壁5-2bの面外座屈に対する拘束を高める効果があり、構造体5-2ac、5-2dcが無い場合に比べ、座屈強度が増加する。このことにより、板厚がより薄くなり、伝熱面積を減少させることができる。
【0041】
図4は、図2に示した断熱床構造の側壁5-2bの部分平面図の一例である。
【0042】
図5は、図4に示した側壁5-2bの5-5線断面図である。
【0043】
図5より断熱床構造5-2は、側壁5-2bで囲まれた空間内に略水平に複数の熱輻射シールド5-2eが配置されていることがわかる。
【0044】
側壁5-2bの平面格子形状は六角形が最も望ましい。なぜなら、平面充填ができる三角形、四角形、六角形の中で同面積当たりの辺長が最短になり、伝導面積が最小になるためである。
【0045】
参考までに、座屈強度σckの数式(1)を以下に示す。平面形状が多角形を構成する鉛直に配置された長辺長としての高さ:aの複数の側壁の座屈強度は短辺長としての各辺長:bに大きく依存するため、数式(1)より六角形が最適となる。
【0046】
【数1】
【0047】
m=1(β≦√2)
=2(√2≦β≦√6)
=3(√6≦β≦√12)
=4(√12≦β≦√20)
【0048】
ここに
σck:座屈応力(MPa)
k :座屈係数
E :ヤング率(MPa)
ν :ポアソン比
t :板厚(厚さ:mm)
b :短辺長(幅:mm)
m :半波数
a :長辺長(高さ:mm)
【0049】
<比較例>
図6は、本発明の前提となった断熱床構造5-1の外観斜視部分断面図であり、図7Aは、図6に示した断熱床構造の平面図であり、図7Bは、図7Aの7B-7B線断面図である。
【0050】
図6に示すように外槽の底板5-1dと内槽の底板5-1aとの間に多数の角形管状の側壁5-1fが鉛直に配置されている。図7Aに示すように側壁5-1fが所定の間隔を隔てて配列されている。図7Bに示すように高温側となる300Kの外槽の底板5-1dから低温側となる20Kの内槽の底板5-1a及び側壁5-1fに向かって破線で示す輻射による伝熱が発生していることが分かる。また、側壁5-1fの長さに比べて角形管の辺長が小さく、かつ側壁5-1fが離れて配置されているため、内槽側からの作用力が大きく、屈曲に弱く横揺れに弱いことが分かる。
【0051】
<作用効果>
図2に示す断熱床構造によれば、外槽2の底板5-2dから内槽1の底板5-2aへ伝わる輻射熱は各熱輻射シールド5-2eによって遮蔽されるとともに、側壁5-2bへ伝わる輻射熱も低減されるため、側壁5-2b断面内の伝導伝熱量が低減する。この熱輻射シールド5-2eの枚数が多いほど輻射熱の遮蔽効率及び側壁5-2b断面内の伝導伝熱量の低減効果が向上する。また、側壁5-2bが鉛直に配置されていることにより、側壁5-2bの上辺と内槽1の底板5-2aとが線接触するとともに、側壁5-2bの下辺と外槽1の底板5-2dとが線接触し、かつ側壁5-2bが密に配置されているため、横揺れ及び座屈にも耐えることができ、強度が向上する。さらに、側壁の略上下端に板状の構造体を設置することで、側壁の面外座屈を防ぎ、座屈強度を向上させることができる。
【0052】
断面形状は、図2では正六角形状であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、矩形形状、ひし形形状、平行四辺形状、円形形状もしくは三角形状であってもよい。
【0053】
尚、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【産業上の利用分野】
【0054】
本発明に係る断熱床構造は、工業的に製造することができ、また商取引の対象とすることができるため、経済的価値を有しており、エネルギー産業、建設業をはじめ、各種産業において利用することができる発明である。
【符号の説明】
【0055】
1 ・・・内槽
2 ・・・外槽
3 ・・・基台
5 ・・・底部構造
5-1、5-2 ・・・断熱床構造
5-2b ・・・側壁
5-1a、5-2a ・・・内槽の底板
5-2ac、5-2dc、・・・構造体
5-1d、5-2d ・・・外槽の底板
5-2e ・・・熱輻射シールド
5-2f ・・・側壁
10 ・・・極低温タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B