(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ポリウレタン賦形剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/34 20170101AFI20231121BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20231121BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20231121BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20231121BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20231121BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20231121BHJP
C08G 18/44 20060101ALI20231121BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K9/00
A61L31/14
A61L31/16
A61L31/06
C08G18/48 033
C08G18/44
C08L75/04
(21)【出願番号】P 2021513416
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(86)【国際出願番号】 US2019051289
(87)【国際公開番号】W WO2020060923
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-05
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】リフィ, ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ズパンシッチ, ジョン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】アル-ラシード, ジェニファー
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0213782(US,A1)
【文献】特表2016-518506(JP,A)
【文献】国際公開第2012/066000(WO,A1)
【文献】特表2009-541571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0196003(US,A1)
【文献】特開2009-247910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61L 15/00-15/64
A61L 17/00-17/14
A61L 24/00-24/12
A61L 27/00-27/60
A61L 29/00-29/18
A61L 31/00-31/18
A61L 33/00-33/18
C08G 18/00-18/87
C08L 75/00-75/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.i.
20~45重量%の、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はその混合物からなる脂肪族ジイソシアネート、
ii.
2~15重量%の、ポリ(エチレンオキシド)部位を含
み、且つ重量平均分子量500~2000g/molを有する脂肪族ジオール、
iii.
30~70重量%の、ポリカーボネート部位を含
み、且つ重量平均分子量500~2000g/molを有する脂肪族ジオール、及び
iv.
1~10重量%の、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、又はその混合物からなる鎖延長剤;
の残基を含むポリウレタンと、
b.生理活性物質と、
を含む医療器具であって、
前記量が前記ポリウレタンの全重量に対する量であり、
前記ポリウレタンが融解温度
オフセット(T
m
オフセット)95~140℃を有し、且つ重量平均分子量100,000~500,000g/molを有する、医療器具。
【請求項2】
前記ポリウレタンが、
i.1.脂肪族ジイソシアネート、
2.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、及び
3.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、
を含むプレポリマー組成物を重合することによって形成されるプレポリマーと、
ii.鎖延長剤と、
を含む組成物を重合することによって形成され、
前記組成物が触媒を含有しない、請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記ポリウレタンが融解温度
オフセット(T
m
オフセット)110~130℃を有する、請求項
1又は2に記載の医療器
具。
【請求項4】
前記ポリウレタンが融解温度オンセット(T
mオンセット)60~85℃を有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項5】
前記ポリウレタンが少なくとも150,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項6】
前記ポリウレタンが重量平均分子量150,000g/mol~400,000g/molを有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項7】
前記ポリウレタンが重量平均分子量200,000~400,000g/molを有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項8】
前記ポリウレタンが生体安定性である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項9】
前記ポリウレタンが、
i.脂肪族ジイソシアネートの残基20~45重量%、
ii.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールの残基3~15重量%、
iii.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールの残基30~70重量%、
iv.鎖延長剤の残基1~10重量%、
からなり、
前記量が前記ポリウレタンの全重量に対する量である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項10】
前記ポリウレタンがシリコーンを含有しない、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医療器
具。
【請求項11】
前記生理活性物質が、前記ポリウレタンの融解温度よりも高い融解温度を有する、請求項1~
10のいずれか一項に記載
の医療器具。
【請求項12】
前記生理活性物質が融解温度150~200℃を有する、請求項1~
11のいずれか一項に記載
の医療器具。
【請求項13】
触媒を含有しない、請求項1~
12のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項14】
a.i.1.
20~45重量%の、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はその混合物からなる脂肪族ジイソシアネート、
2.
2~15重量%のポリ(エチレンオキシド)部位を含
み、且つ重量平均分子量500~2000g/molを有する脂肪族ジオール、及び
3.
30~70重量%の、ポリカーボネート部位を含
み、且つ重量平均分子量500~2000g/molを有する脂肪族ジオール、
を含むプレポリマー組成物から形成されるプレポリマーと、
ii.
1~10重量%の、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、又はその混合物からなる鎖延長剤と、
を含む組成物を反応性押出し成形し、それによってポリウレタンが形成される工程であって、
前記量が前記ポリウレタンの全重量に対する量であり、且つ前記組成物が触媒を含有しない、工程;
b.温度55~90℃で前記ポリウレタンを後硬化する工程;
を含む、医療器具で使用するのに適したポリウレタンを形成する方法であって、
後硬化の後に、前記ポリウレタンが融解温度
オフセット(T
m
オフセット)95~140℃を有し、且つ重量平均分子量100,000~500,000g/molを有する、方法。
【請求項15】
後硬化の期間が少なくとも48時間である、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
生理活性物質と、ポリウレタンと、を含む溶融物から、医療器具の少なくとも一部を押出し成形する工程を含む、医療器具を形成する方法
であって、
前記ポリウレタンは、
a.i.20~45重量%の、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はその混合物からなる脂肪族ジイソシアネート、
ii.
2~15重量%の、ポリ(エチレンオキシド)部位を含み、且つ重量平均分子量500~2000g/molを有する脂肪族ジオール、
iii.30~70重量%の、ポリカーボネート部位を含み、且つ重量平均分子量500~2000g/molを有する脂肪族ジオール、及び
iv.1~10重量%の、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又は1,8-オクタンジオール、又はその混合物からなる鎖延長剤;
の残基を含み、
前記量が前記ポリウレタンの全重量に対する量であり、
前記ポリウレタンが融解温度オフセット(Tmオフセット)95~140℃を有し、且つ重量平均分子量100,000~500,000g/molを有する、方法。
【請求項17】
前記ポリウレタンが融解温度オフセット(T
m
オフセット)110~130℃を有する、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリウレタンが融解温度オンセット(T
m
オンセット)60~85℃を有する、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリウレタンが少なくとも150,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリウレタンが重量平均分子量150,000g/mol~400,000g/molを有する、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリウレタンが重量平均分子量200,000~400,000g/molを有する、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリウレタンが生体安定性である、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリウレタンがシリコーンを含有しない、請求項14~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記生理活性物質が、前記ポリウレタンの融解温度よりも高い融解温度を有する、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記生理活性物質が融解温度150~200℃を有する、請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年9月17日出願の米国仮特許出願第62/732073号及び2018年9月28日出願の欧州特許出願第18197763.8号からの優先権を主張する国際出願である。
【0002】
[分野]
開示の本発明は、ポリウレタンを含む医療器具と、ポリウレタン自体と、ポリウレタン、医療器具を形成するのに有用であり得る組成物と、医療器具及びポリウレタンを形成する方法と、に関する。
【0003】
[背景]
ポリマー賦形剤が通常、医療器具において使用される。代表的なポリマー賦形剤の例は、エチレン酢酸ビニル、シリコーン、又は分解性ポリマー、例えばPLLA又はPLGAである。通常に患者が介入することなく薬物の拡散制御、徐放が可能となり、そのため治療に対するコンプライアンスが向上することからポリマー賦形剤は望ましい。
【0004】
ポリウレタン賦形剤は公知である。ポリウレタン賦形剤は生分解性又は生体安定性であり得る。生体安定性ポリウレタン賦形剤の例は、Wardらによる国際公開第2012/066000号パンフレットに記載されている。生体安定性賦形剤は一般に、生理活性物質の所望の送達期間が完了した後に、体内から抽出される。
【0005】
[概要]
既知のポリウレタン賦形剤は、細胞毒性を生じ得る触媒を使用する必要があり得る。さらに、ポリウレタンは疎水性であり得て、水溶性薬物を放出せず、或いは特定の薬物はポリウレタンへの可溶性が乏しい。さらに、芳香族ハードセグメントの使用によって、有害なメチレンジアニリンが形成され得る。
【0006】
一実施形態において、良好な生体安定性、融点140℃以下及び重量平均分子量100,000~500,000g/molを有するポリウレタンが提供される。一実施形態において、ポリウレタンは生体安定性である。生体安定性とは、ポリウレタンが生体内(in vivo)で少なくとも6か月間、化学的に安定な状態を維持することを意味する。一実施形態において、ポリウレタンは生体内で少なくとも1年間生体安定性である。一実施形態において、ポリウレタンは、埋め込み後に6か月~1年間生体安定性である。一実施形態において、ポリウレタンは、シリコーン含有材料及びEVAと比べて、水溶性薬物に対する向上した溶解性を付与する。
【0007】
一実施形態において、ポリウレタンは:
i.脂肪族ジイソシアネート、
ii.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、
iii.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、及び
iv.鎖延長剤;の残基を含み、
そのポリウレタンは融解温度140℃以下を有し、且つ重量平均分子量100,000~500,000g/molを有する。一実施形態において、ポリウレタンは実質的に触媒を含有しない。一実施形態において、ポリウレタンは触媒を含有しない。一実施形態において、ポリウレタンは、反応性押出し成形によって形成される。一実施形態において、医療器具は、ポリウレタン及び生理活性物質を含む。
【0008】
医療器具、方法、及びポリウレタンは、最終製品の生体安定性、薬物放出プロファイル、健康及び安全性、並びに処理速度又は再現性における利点を示し得る。
【0009】
[詳細な説明]
一実施形態において、医療器具はポリウレタン及び生理活性物質を含む。一実施形態において、ポリウレタンは、生理活性物質と配合され、溶融加工技術によってデバイスへと形成される。溶融加工技術は、(共)押出し成形、射出成形、又は例えば熱溶解積層方式による3D印刷であり得る。一実施形態において、ポリウレタンは生理活性物質と配合され、押出し成形されて、医療器具が形成される。一実施形態において、医療器具は、ロッド、チューブ又はリングの形状をとる。一実施形態において、医療器具を形成する方法は、ポリウレタン及び生理活性物質を含む溶融物から医療器具の少なくとも一部を形成する工程を含む。一実施形態において、医療器具を形成する方法は、ポリウレタン及び生理活性物質を含む溶融物から医療器具の少なくとも一部を押出し成形する工程を含む。
【0010】
その医療器具は、埋込型デバイスを介した薬物の徐放における有用性を有し得る。医療器具は上腕若しくは腟内に埋め込み可能であり得て、バースコントロール又は抗ウイルス性デバイスとしての有用性を有する。
【0011】
[ポリウレタン]
一実施形態に従って、ポリウレタンは:
i.脂肪族ジイソシアネート、
ii.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、
iii.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、及び
iv.鎖延長剤;
の残基を含み、融解温度140℃以下を有し、且つ重量平均分子量100,000~500,000g/molを有する。
【0012】
一実施形態において、ポリウレタンは:
i.
1.脂肪族ジイソシアネート、
2.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、及び
3.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、
を含むプレポリマー組成物の重合によって形成されるプレポリマー;
ii.鎖延長剤;
を含む組成物を重合することによって形成される。
【0013】
一実施形態において、ポリウレタンは、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、又は少なくとも63℃の融解温度を有する。一実施形態において、ポリウレタンは、最大で135℃、最大で130℃、最大で125℃、最大で120℃、最大で115℃、最大で110℃、最大で105℃、最大で100℃、最大で95℃、最大で90℃、最大で85℃、最大で80℃、最大で75℃、最大で70℃、又は最大で65℃の融解温度を有する。
【0014】
一実施形態において、ポリウレタンは、少なくとも125,000g/mol、少なくとも150,000g/mol、少なくとも175,000g/mol、少なくとも200,000g/mol、少なくとも225,000g/mol、少なくとも250,000g/mol、少なくとも275,000g/mol、少なくとも300,000g/mol、少なくとも325,000g/mol、又は少なくとも350,000g/molの重量平均分子量を有する。一実施形態において、ポリウレタンは、最大で475,000g/mol、最大で450,000g/mol、最大で425,000g/mol、最大で400,000g/mol、最大で375,000g/mol、最大で350,000g/mol、最大で325,000g/mol、最大で300,000g/mol、最大で275,000g/mol、又は最大で250,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0015】
ポリウレタンは一般に、脂肪族ジイソシアネートと、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールと、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールと、を含むプレポリマー組成物の重合により、最初にプレポリマーを形成することによって形成される。次いで、プレポリマーを鎖延長剤と反応させて、所望の分子量を有するポリウレタンが形成される。一実施形態において、ポリウレタン直鎖状である。一実施形態において、ポリウレタンは分岐状である。
【0016】
一実施形態において、ポリウレタン又は医療器具は実質的に触媒を含有しない。一実施形態において、ポリウレタン又は医療器具は触媒を含有しない。触媒の例は、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウラート、及びアミン触媒である。
【0017】
一実施形態において、プレポリマーは、少なくとも0.95、最大で1.01のNCO/OH比を有する。一実施形態において、プレポリマーは、少なくとも0.96、少なくとも0.97、少なくとも0.98、少なくとも0.99、又は少なくとも0.995のNCO/OH比を有する。一実施形態において、プレポリマーは、最大で1.0のNCO/OH比を有する。
【0018】
一実施形態において、加工助剤が使用される。一実施形態において、加工助剤はワックスである。例示的なワックスは、ビス-ステアルアミドワックス又はポリエチレンワックスである。したがって、一実施形態において、医療器具は加工助剤を含む。
【0019】
一実施形態において、押出機においてプレポリマー及び鎖延長剤のストリームを合わせることにより、反応性押出し成形によってポリウレタンが形成される。反応性押出し成形の後に、未反応イソシアネート約0.01~0.1重量%がポリウレタン中に残ることが予想される。
【0020】
一実施形態において、次いで、最大で90℃の温度でポリウレタンを後硬化することによって、この未反応イソシアネートを実質的に反応させる。一実施形態において、後硬化は少なくとも50℃、少なくとも55℃、又は少なくとも59℃の温度で実施される。一実施形態において、後硬化は、最大で85℃、最大で80℃、最大で75℃、最大で70℃、又は最大で65℃の温度で実施される。
【0021】
一実施形態において、ポリウレタンの微細構造が完全に形成されるまで、すなわちハード(イソシアネート含有)ブロック及びソフト(ポリカーボネート又はポリエチレンオキシド含有)ブロックが十分に相分離するまで、後硬化が行われる。一実施形態において、後硬化の期間は少なくとも48時間又は少なくとも72時間である。一実施形態において、後硬化の期間は48~96時間である。材料が十分に後硬化したか否かは、その期間及び温度の両方に応じて異なる。
【0022】
一般的な反応性押出機は、様々な溶融ゾーン及びプレートの温度の変更が可能となる。理想的な温度設定は、反応性押出機のデザイン及びポリマー溶融物の特性に応じて異なる。
【0023】
ポリウレタンの融点は、実施例に詳述される手順を用いてDSCによって測定される。融解温度に関連する2つの値:Tmオンセット及びTmオフセットが得られる。Tmオンセットは、ポリウレタンの結晶質ドメインの融解の開始に相当する。Tmオフセットは、ポリウレタンの結晶質ドメインの実質的にすべてが融解する温度に相当する。本出願全体を通して、融解温度は、Tmオフセットと定義され、つまりポリウレタンが完全に融解する温度と定義される。複数の融解ピーク、したがって複数のTmオンセット及びTmオフセットの場合には、最も高いTmオフセットが、ポリウレタンの融解温度に相当する。
【0024】
一実施形態において、後硬化後のポリウレタンは、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、又は少なくとも113℃の融解温度を有する。一実施形態において、後硬化後のポリウレタンは、最大で135℃、最大で130℃、最大で125℃、最大で120℃、最大で115℃、又は最大で110℃の融解温度を有する。
【0025】
一実施形態において、後硬化後のポリウレタンは、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも62℃、又は少なくとも63℃の融解温度オンセット(Tmオンセット)を有する。一実施形態において、後硬化後のポリウレタンは、最大で110℃、最大で105℃、最大で100℃、最大で95℃、最大で90℃、最大で85℃、最大で80℃、最大で75℃、最大で70℃、又は最大で65℃の融解温度オンセット(Tmオンセット)を有する。
【0026】
一実施形態において、後硬化後のポリウレタンは、少なくとも125,000g/mol、少なくとも150,000g/mol、少なくとも175,000g/mol、少なくとも200,000g/mol、少なくとも225,000g/mol、少なくとも250,000g/mol、少なくとも275,000g/mol、少なくとも300,000g/mol、少なくとも325,000g/mol、又は少なくとも350,000g/molの重量平均分子量を有する。一実施形態において、後硬化後のポリウレタンは、最大で475,000g/mol、最大で450,000g/mol、最大で425,000g/mol、最大で400,000g/mol、最大で375,000g/mol、最大で350,000g/mol、最大で325,000g/mol、最大で300,000g/mol、最大で275,000g/mol、又は最大で250,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0027】
一実施形態において、ポリウレタンは以下の成分の残基を含む。
【0028】
[脂肪族ジイソシアネート成分]
ポリウレタンは、脂肪族ジイソシアネートの残基を含む。一実施形態において、脂肪族ジイソシアネートは、1モル当たりに平均で少なくとも1.9個のイソシアネート基、1モル当たりに平均で2.7個未満のイソシアネート基を含む。
【0029】
一実施形態において、脂肪族ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)又はその混合物を含む。一実施形態において、脂肪族ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はその混合物からなる。一実施形態において、脂肪族ジイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートからなる。
【0030】
一実施形態において、ジイソシアネートの分子量は100~500g/molである。一実施形態において、ジイソシアネートの分子量は150~260g/molである。
【0031】
一実施形態において、ポリウレタンは、ポリウレタンの全重量に対して脂肪族ジイソシアネートの残基を少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%含む。一実施形態において、ポリウレタンは、ポリウレタンの全重量に対して脂肪族ジイソシアネートの残基を最大で50重量%、最大で45重量%、最大で40重量%、又は最大で35重量%含む。一実施形態において、プレポリマー組成物は、組成物の全重量に対して脂肪族ジイソシアネートを少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%含む。一実施形態において、プレポリマー組成物は、組成物の全重量に対して脂肪族ジイソシアネートを最大で50重量%、最大で45重量%、最大で40重量%、又は最大で35重量%含む。
【0032】
[ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール]
ポリウレタンは、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールの残基を含む。一般に、ジオールは2つのOH基及びポリ(エチレンオキシド)主鎖を含む。OH基は主鎖に直接結合され得るか、又はリンカーによって分離され得る。例えば、ヒドロキシアルキル末端ポリ(エチレンオキシド)は、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールである。
【0033】
一実施形態において、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールは、重量平均分子量500~2000g/molを有する。一実施形態において、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールは少なくとも600g/mol、少なくとも650g/mol、少なくとも750g/mol、少なくとも800g/mol、少なくとも900g/mol、又は少なくとも950g/molの重量平均分子量を有する。一実施形態において、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールは、最大で1900g/mol、最大で1800g/mol、最大で1700g/mol、最大で1600g/mol、最大で1500g/mol、最大で1400g/mol、最大で1300g/mol、又は最大で1200g/molの重量平均分子量を有する。
【0034】
一実施形態において、ポリウレタンは、ポリウレタンの全重量に対してポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールの残基を少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも6重量%含む。一実施形態において、ポリウレタンは、ポリウレタンの全重量に対してポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールの残基を最大で15重量%、最大で12重量%、最大で10重量%、又は最大で9重量%含む。一実施形態において、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールは、組成物の全重量に対して少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも6重量%の量で存在する。一実施形態において、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールは、組成物の全重量に対して最大で15重量%、最大で12重量%、最大で10重量%、又は最大で9重量%の量で存在する。
【0035】
[ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール]
ポリウレタンは、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールの残基を含む。一般に、ジオールは2つのOH基及びポリカーボネート主鎖を含む。OH基は主鎖に直接結合され得るか、又はリンカーによって分離され得る。例えば、ヒドロキシアルキル末端ポリカーボネートは、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールである。
【0036】
一実施形態において、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールは重量平均分子量500~2000g/molを有する。一実施形態において、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールは、少なくとも600g/mol、少なくとも650g/mol、少なくとも750g/mol、少なくとも800g/mol、少なくとも900g/mol、又は少なくとも950g/molの重量平均分子量を有する。一実施形態において、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールは、最大で1900g/mol、最大で1800g/mol、最大で1700g/mol、最大で1600g/mol、最大で1500g/mol、最大で1400g/mol、最大で1300g/mol、又は最大で1200g/molの重量平均分子量を有する。
【0037】
一実施形態において、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールは、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールの重量平均分子量と異なる、250g/mol以下、200g/mol以下、150g/mol以下、100g/mol以下、又は50g/mol以下の重量平均分子量を有する。
【0038】
一実施形態において、ポリウレタンは、ポリウレタンの全重量に対して、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールの残基を少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、又は少なくとも50重量%含む。一実施形態において、ポリウレタンは、ポリウレタンの全重量に対して、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールの残基を最大で70重量%、最大で65重量%、最大で60重量%、又は最大で55重量%含む。一実施形態において、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールは、組成物の全重量に対して少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、又は少なくとも50重量%の量で存在する。一実施形態において、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールは、組成物の全重量に対して最大で70重量%、最大で65重量%、最大で60重量%、又は最大で55重量%の量で存在する。
【0039】
[鎖延長剤]
ポリウレタンは鎖延長剤の残基を含む。鎖延長剤は、炭素原子2~20個を有するアルカンジオールであり、1つ又は複数の炭素原子が酸素で置換されていてもよい。一実施形態において、鎖延長剤は、少なくとも60g/mol、少なくとも70g/mol、少なくとも80g/mol、少なくとも90g/mol、又は少なくとも100g/molの分子量を有する。一実施形態において、鎖延長剤は、最大で500g/mol、最大で400g/mol、最大で300g/mol、最大で200g/mol、又は最大で150g/molの分子量を有する。
【0040】
一実施形態において、鎖延長剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又は1,8-オクタンジオールを含む。一実施形態において、鎖延長剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又は1,8-オクタンジオール、又はその混合物からなる。一実施形態において、鎖延長剤は、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はその混合物からなる。
【0041】
一実施形態において、ポリウレタンは、鎖延長剤の残基を、ポリウレタンの全重量に対して少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、又は少なくとも5重量%含む。一実施形態において、ポリウレタンは、鎖延長剤の残基を、ポリウレタンの全重量に対して最大で12重量%、最大で10重量%、最大で9重量%、最大で8重量%、最大で7重量%、又は最大で6重量%含む。一実施形態において、組成物は、組成物の全重量に対して鎖延長剤を少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、又は少なくとも5重量%含む。一実施形態において、組成物は、組成物の全重量に対して鎖延長剤を最大で12重量%、最大で10重量%、最大で9重量%、最大で8重量%、最大で7重量%、又は最大で6重量%含む。
【0042】
[ポリウレタンの他の任意の特徴]
一実施形態において、ポリウレタンはシリコーンを含有しない。一実施形態において、ポリウレタンはシリコーンを実質的に含有しない。一実施形態において、組成物はシリコーン含有部位を含有しない。一実施形態において、組成物はシリコーン含有部位を実質的に含有しない。一実施形態において、組成物は、組成物の全重量に対してシリコーン含有部位を0.1重量%未満含む。
【0043】
一実施形態において、ポリウレタンは末端基を含有しない。末端基は、分子の末端に別々に存在する部位である。末端基は、主鎖における部位から固有であり得る。末端基は、ポリマー主鎖が形成された後に存在する末端イソシアネート基を単官能性部位上の共反応性基と反応させることによって形成され得る。例えば、末端イソシアネート基を1-オクタノール又はオクチルアミンと反応させて、C8アルキル末端が形成され得る。末端基は、ポリウレタンの形成に使用される配合物に単官能アルコールなどの連鎖停止剤を含有させることからも生じ得る。例えば、ポリウレタン形成するための配合物は、ジイソシアネート、ポリマー脂肪族ジオール、鎖延長剤、及び単官能アルコールを含み得る。
【0044】
一実施形態において、ポリウレタンは末端基を含有しない。一実施形態において、ポリウレタンは末端基を実質的に含有しない。一実施形態において、ポリウレタンは、ポリウレタンの全重量に対して末端基を0.1重量%未満含む。
【0045】
[生理活性物質]
一実施形態において、医療器具はポリウレタン及び生理活性物質を含む。一実施形態において、生理活性物質はポリウレタン中に分散される。一実施形態において、生理活性物質はポリウレタン中に可溶化される。一実施形態において、ポリウレタン中の生理活性物質の量は、ポリウレタン中の薬物の溶解限度を超える。
【0046】
生理活性物質の例は、麻酔薬、鎮痛薬、抗菌薬、抗真菌剤、抗ウイルス剤、避妊薬、ホルモン又はプロホルモン、又はその組み合わせである。
【0047】
一実施形態において、生理活性物質は、ポリウレタンの融解温度よりも高い融解温度を有する。一実施形態において、生理活性物質は融解温度150~200℃を有する。
【0048】
以下の実施例は本発明の実施形態をさらに明らかにするが、当然のことながら、特許請求の範囲を制限するものとして決して解釈すべきではない。
【0049】
[実施例]
[測定法]
分子量 重量平均分子量は、ISO13885-1:2008に準拠してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0050】
NCO/OH NCO値は、ASTM D2572-97に準拠して測定される。ヒドロキシル価はそれぞれ、ISO4629-1978に準拠して滴定により決定される。
【0051】
融点 融点は示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。TA Instruments Discovery Q200を使用して測定が行われる。ペレットを計量し、アルミニウム皿に密閉する。ランプ速度10℃/分にて室温から-90℃に試料を冷却する。次いで、試料を10℃/分で250℃に加熱し、続いて再び10℃/分で-90℃に冷却する。次いで、試料を再び10℃/分で250℃に加熱する。この第2加熱実施中に、材料のTg、Tmオンセット、及びTmオフセットを決定する。Tmオンセットは、融解の開始のために、温度曲線に対する熱流が変化するポイントである。Tmオフセットは、ポリウレタンが完全に融解した後に温度曲線に対する熱流がその通常の軌道に戻るポイントである。
【0052】
硬度 PTC Instruments Model #307L、ASTM A型デュロメーターが使用される。釣合重り1kgの反対側のショアA硬度ステージ上にフィルム試料を置く。異なる位置で少なくとも5回測定を完了し、平均をとる。別々の2つの試料を試験し、結果を平均する。
【0053】
引張弾性率、破断点引張伸び、及び引張強さをASTM D638に準拠して測定する。
【0054】
メルトフローインデックス メルトフローは、10分当たりのポリマー押出し物(g)に関するポリマーフロー特性の決定である。ASTM 1238の修正バージョンに従って、メルトフローインデックスが測定される。試験されるポリマーに応じて異なる荷重量を用いて、この試験を完了する。メルトインデクサー装置のバレル内にポリマーを充填し、完全に溶融する。次いで、オペレーターが手作業で材料を特定の時間増分(time increment)にて切断する。次いで、切断されたそれぞれの試料を計量する。最低でも材料の2つのカットが形成され;好ましくは3つのカットが形成される。次いで、切断されたそれぞれの試料の質量を掛け算して、10分間にわたる試料の質量を決定する。これらの値を平均し、メルトフローインデックスとして報告する。
【0055】
[実施例1]
[プレポリマー合成]
プレポリマーの組成を表1-1に示す。重量%はプレポリマーの全重量に対する%である。ポリカーボネートポリオールは、ダイセル社(Daicel)からのCD210である。合成前に、ポリカーボネートジオール及びポリエチレングリコールを加熱し、窒素でパージして、残留水を除去する。プレポリマー合成の開始前に、含水量≦150ppmを確実にするため、カール・フィッシャー(Karl Fischer)滴定によって材料を試験した。
【0056】
窒素フロー下にて、HMDIを40ガロンMyers Mixer反応器に装入し、75℃に加熱する。次いで、ポリカーボネートジオールを反応器に速度1.0kg/分で装入する。ポリエチレングリコールの添加が完了したら、反応器を82℃に加熱し、プレポリマー成分を30分間混合する。真空を用いて、プレポリマーを脱気し、加圧ポット内に供給する。
【0057】
【0058】
プレポリマーの理論分子量は1524g/molである。
【0059】
[ポリウレタンの反応性押出し成形]
プレポリマー及び鎖延長剤(ブタンジオール,MW=90.12g/mol)のストリームをLeistritz Extrusion Corp.Micro27押出機において合わせる。プレポリマーと鎖延長剤の比は、様々なNCO/OH比のポリウレタンが得られるように変更される。NCO/OH1.01でのポリウレタンの近似の最終的組成を表1~2に示す。
【0060】
【0061】
押出機を出た後、ポリウレタンは未反応イソシアネート0.01~0.1重量%を有すると予想される。次いで、規定の硬化温度で後硬化することによって、この未反応イソシアネートを実質的に反応させる。
【0062】
得られたポリウレタンの融点は表1~3に示す。
【0063】
【0064】
生成されたポリウレタンが低温で後硬化することができ、その結果、180℃を超える融点を一般に有する他のポリウレタンよりも著しく低い融解温度が得られることが判明した。
【0065】
ポリウレタンの他の特性を表1~4に示す。nm=未測定
【0066】
【0067】
[実施例2]
[ポリウレタンの形成]
窒素でパージすることによって、ポリカーボネートジオール(CD210,MW967.24g/mol)、ポリエチレングリコール(PEG-1000,MW1003g/mol)、及び鎖延長剤、ブタンジオール(MW90.12g/mol)から水分を除去する。開放された乾燥400mLケトル反応器にポリカーボネートジオールを装入する。次いで、反応器を組立て、内部温度70℃に加熱する。セットポイントに達したら、イソシアネート(ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI))を反応器にゆっくりと装入する。発熱が確認され、次にマントルを85℃に設定し、2時間混合する。次いで、ポリエチレングリコールを反応器に装入し、発熱が確認され、プレポリマーを2時間混合する。
【0068】
高速ミキサー(Silverson LR5)を使用して、ブタンジオールをそれぞれのプレポリマーに5000rpmで3分間ブレンドする。試料を金型に注型し、オーブンに入れる。
【0069】
形成されるポリウレタンを表2-1に示す。ポリウレタンの全重量に対する重量%で量を示す。
【0070】
【0071】
80℃で48時間硬化した後に、硬度及び融解温度を測定し、次いで換気フード内で24時間試料を冷却した。その結果を表2-2に示す。
【0072】
【0073】
上記の80℃で48時間の代わりに、60℃で72時間硬化した後に、融解温度を測定した。硬度は、試料2A及び2Cと同じであると予想され、Tmオフセットは実質的に同じである。Tmオンセットは実質的に上昇する。硬度及びTmオフセットなどのポリマーのバルク特性(bulk property)は、80℃にて48時間後に十分に決定されるが、微細構造はその時点では完全には形成されていなかったと考えられる。60℃にて72時間後の結果を表2~3に示す。
【0074】
【0075】
[例示的な実施形態の更なる説明]
1.
a.i.脂肪族ジイソシアネート、
ii.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、
iii.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、及び
iv.鎖延長剤;の残基を含むポリウレタンと、
b.生理活性物質と、
を含む医療器具であって、
そのポリウレタンが融解温度140℃以下を有し、且つ重量平均分子量100,000~500,000g/molを有する、医療器具。
2.
a.i.脂肪族ジイソシアネート、
ii.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、
iii.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、及び
iv.鎖延長剤;の残基を含むポリウレタンであって、
融解温度140℃以下を有し、且つ重量平均分子量100,000~500,000g/molを有する、ポリウレタン。
3.
そのポリウレタンが、
i.1.脂肪族ジイソシアネート、
2.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、及び
3.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、
を含むプレポリマー組成物を重合することによって形成されるプレポリマーと、
ii.鎖延長剤と、
を含む組成物を重合することによって形成される、先の例示的な実施形態のいずれか一つの医療器具又はポリウレタン。
4.
そのポリウレタンが、触媒を含有しない、又は実質的に含有しない組成物を重合することによって形成される、先の例示的な実施形態のいずれか一つの医療器具又はポリウレタン。
5.
そのポリウレタンが、反応性押出し成形よって形成される、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具又はポリウレタン。
6.
そのポリウレタンが、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、又は少なくとも113℃の融解温度を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具又はポリウレタン。
7.
そのポリウレタンが、最大で135℃、最大で130℃、最大で125℃、最大で120℃、最大で115℃、又は最大で110℃の融解温度を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具又はポリウレタン。
8.
後硬化後のポリウレタンが、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも62℃、又は少なくとも63℃の融解温度オンセット(Tmオンセット)を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具又はポリウレタン。
9.
後硬化後のポリウレタンが、最大で110℃、最大で105℃、最大で100℃、最大で95℃、最大で90℃、最大で85℃、最大で80℃、最大で75℃、最大で70℃、又は最大で65℃の融解温度オンセット(Tmオンセット)を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具又はポリウレタン。
10.
そのポリウレタンが、少なくとも125,000g/mol、少なくとも150,000g/mol、少なくとも175,000g/mol、少なくとも200,000g/mol、少なくとも225,000g/mol、少なくとも250,000g/mol、少なくとも275,000g/mol、少なくとも300,000g/mol、少なくとも325,000g/mol、又は少なくとも350,000g/molの重量平均分子量を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具又はポリウレタン。
11.
そのポリウレタンが、最大で475,000g/mol、最大で450,000g/mol、最大で425,000g/mol、最大で400,000g/mol、最大で375,000g/mol、最大で350,000g/mol、最大で325,000g/mol、最大で300,000g/mol、最大で275,000g/mol、又は最大で250,000g/molの重量平均分子量を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具又はポリウレタン。
12.
a.i.1.脂肪族ジイソシアネート、
2.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、及び
3.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、
を含むプレポリマー組成物から形成されるプレポリマーと、
ii.鎖延長剤と、
を含む組成物を反応性押出し成形し、それによってポリウレタンが形成される工程であって、その組成物が実質的に触媒を含有しない、工程;
b.最大で90℃の温度でポリウレタンを後硬化する工程;
を含む、医療器具において使用するのに適したポリウレタンを形成する方法であって、後硬化の後に、ポリウレタンが融解温度140℃以下を有し、且つ重量平均分子量100,000~500,000g/molを有する、方法。
13.
後硬化が、少なくとも50℃、少なくとも55℃、又は少なくとも59℃の温度で実施される、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
14.
後硬化が、最大で85℃、最大で80℃、最大で75℃、最大で70℃、又は最大で65℃の温度で実施される、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
15.
後硬化後のポリウレタンが、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、又は少なくとも113℃の融解温度を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
16.
後硬化後のポリウレタンが、最大で135℃、最大で130℃、最大で125℃、最大で120℃、最大で115℃、又は最大で110℃の融解温度を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
17.
ポリウレタンの微細構造が完全に形成されるまで、後硬化が起こる、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
18.
後硬化の期間が少なくとも48時間である、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
19.
後硬化の期間が少なくとも72時間である、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
20.
後硬化の期間が48~96時間である、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
21.
後硬化の期間が72~96時間である、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法。
22.
前述の例示的な実施形態のいずれか一つの方法によって形成される、ポリウレタン。
23.
先の請求項のいずれか一つによるポリウレタンと、生理活性物質と、を含む溶融物から医療器具の少なくとも一部を形成する工程を含む、医療器具を形成する方法。
24.
好ましくは(共)押出し成形、射出成形、又は3D印刷によって、溶融物を溶融加工することを含む、先の例示的な実施形態による方法。
25.
前述の例示的な実施形態のいずれか一つの方法によって形成される、医療器具。
26.
後硬化後のポリウレタンが、少なくとも125,000g/mol、少なくとも150,000g/mol、少なくとも175,000g/mol、少なくとも200,000g/mol、少なくとも225,000g/mol、少なくとも250,000g/mol、少なくとも275,000g/mol、少なくとも300,000g/mol、少なくとも325,000g/mol、又は少なくとも350,000g/molの重量平均分子量を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
27.
後硬化後のポリウレタンが、最大で475,000g/mol、最大で450,000g/mol、最大で425,000g/mol、最大で400,000g/mol、最大で375,000g/mol、最大で350,000g/mol、最大で325,000g/mol、最大で300,000g/mol、最大で275,000g/mol、又は最大で250,000g/molの重量平均分子量を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
28.
そのポリウレタンが、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、又は少なくとも113℃の融解温度を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
29.
そのポリウレタンが、最大で135℃、最大で130℃、最大で125℃、最大で120℃、最大で115℃、又は最大で110℃の融解温度を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
30.
後硬化後のポリウレタンが、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも62℃、又は少なくとも63℃の融解温度オンセット(Tmオンセット)を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
31.
後硬化後のポリウレタンが、最大で110℃、最大で105℃、最大で100℃、最大で95℃、最大で90℃、最大で85℃、最大で80℃、最大で75℃、最大で70℃、又は最大で65℃の融解温度オンセット(Tmオンセット)を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
32.
ポリウレタンが生体安定性である、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
33.
ポリウレタンが生体内で少なくとも1年間生体安定性である、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
34.
ポリウレタンが生体内で6~12か月間生体安定性である、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
35.
ポリウレタンが触媒を実質的に含有しない、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
36.
ポリウレタンが触媒を含有しない、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
37.
プレポリマーが、少なくとも0.95、最大で1.01のNCO/OH比を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
38.
プレポリマーが、少なくとも0.96、少なくとも0.97、少なくとも0.98、少なくとも0.99、又は少なくとも0.995のNCO/OH比を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
39.
プレポリマーが最大で1.0のNCO/OH比を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
40.
ポリウレタンが、
i.脂肪族ジイソシアネート、
ii.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、及び
iii.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、
iv.鎖延長剤、
の残基からなる、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
41.
組成物が、
i.1.脂肪族ジイソシアネート、
2.ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオール、及び
3.ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオール、
からなる組成物から形成されるプレポリマーと、
ii.鎖延長剤と、
からなる、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
42.
ポリマーが、ポリ(エチレンオキシド)部位又はポリカーボネート部位以外の部位を含むジオールを実質的に含有しない、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
43.
脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はその混合物を含む、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
44.
脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、又はその混合物からなる、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
45.
脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又はその混合物を含む、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
46.
脂肪族ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又はその混合物からなる、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
47.
脂肪族ジイソシアネートが、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートからなる、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
48.
脂肪族ジイソシアネートが、1分子あたりに平均1.9~2.7個のイソシアネート基を含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
49.
脂肪族ジイソシアネートが、分子量100~500g/mol、又は150~260g/molを有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
50.
ポリウレタンが、脂肪族ジイソシアネートの残基を、ポリウレタンの全重量に対して少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
51.
ポリウレタンが、脂肪族ジイソシアネートの残基を、ポリウレタンの全重量に対して最大で50重量%、最大で45重量%、最大で40重量%、又は最大で35重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
52.
プレポリマー組成物が、脂肪族ジイソシアネートを、組成物の全重量に対して少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
53.
プレポリマー組成物が、脂肪族ジイソシアネートを、組成物の全重量に対して最大で50重量%、最大で45重量%、最大で40重量%、又は最大で35重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
54.
ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールが重量平均分子量500~2000g/molを有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
55.
ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールが、少なくとも600g/mol、少なくとも650g/mol、少なくとも750g/mol、少なくとも800g/mol、少なくとも900g/mol、又は少なくとも950g/molの重量平均分子量を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
56.
ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールが、最大で1900g/mol、最大で1800g/mol、最大で1700g/mol、最大で1600g/mol、最大で1500g/mol、最大で1400g/mol、最大で1300g/mol、又は最大で1200g/molの重量平均分子量を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
57.
ポリウレタンが、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールの残基を、ポリウレタンの全重量に対して少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも6重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
58.
ポリウレタンが、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールの残基を、ポリウレタンの全重量に対して最大で15重量%、最大で12重量%、最大で10重量%、又は最大で9重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
59.
ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールが、組成物の全重量に対して少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも6重量%の量で存在する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
60.
ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールが、組成物の全重量に対して最大で15重量%、最大で12重量%、最大で10重量%、又は最大で9重量%の量で存在する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
61.
ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールが重量平均分子量500~2000g/molを有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
62.
ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールが、少なくとも600g/mol、少なくとも650g/mol、少なくとも750g/mol、少なくとも800g/mol、少なくとも900g/mol、又は少なくとも950g/molの重量平均分子量を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
63.
ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールが、最大で1900g/mol、最大で1800g/mol、最大で1700g/mol、最大で1600g/mol、最大で1500g/mol、最大で1400g/mol、最大で1300g/mol、又は最大で1200g/molの重量平均分子量を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
64.
ポリウレタンが、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールの残基を、ポリウレタンの全重量に対して少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、又は少なくとも50重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
65.
ポリウレタンが、ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールの残基を、ポリウレタンの全重量に対して最大で70重量%、最大で65重量%、最大で60重量%、又は最大で55重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
66.
ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールが、組成物の全重量に対して少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、又は少なくとも50重量%の量で存在する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
67.
ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールが、組成物の全重量に対して最大で70重量%、最大で65重量%、最大で60重量%、又は最大で55重量%の量で存在する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
68.
ポリカーボネート部位を含む脂肪族ジオールが、ポリ(エチレンオキシド)部位を含む脂肪族ジオールの重量平均分子量と異なる、250g/mol以下、200g/mol以下、150g/mol以下、100g/mol以下、又は50g/mol以下の重量平均分子量を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
69.
鎖延長剤が、少なくとも60g/mol、少なくとも70g/mol、少なくとも80g/mol、少なくとも90g/mol、又は少なくとも100g/molの分子量を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
70.
鎖延長剤が、最大で500g/mol、最大で400g/mol、最大で300g/mol、最大で200g/mol、又は最大で150g/molの分子量を有する、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
71.
鎖延長剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又は1,8-オクタンジオールを含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
72.
鎖延長剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又は1,8-オクタンジオール、又はその混合物からなる、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
73.
鎖延長剤が、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はその混合物からなる、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
74.
ポリウレタンが、鎖延長剤の残基を、ポリウレタンの全重量に対して少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、又は少なくとも5重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
75.
ポリウレタンが、鎖延長剤の残基を、ポリウレタンの全重量に対して最大で12重量%、最大で10重量%、最大で9重量%、最大で8重量%、最大で7重量%、又は最大で6重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
76.
組成物が、組成物の全重量に対して鎖延長剤を少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、又は少なくとも5重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
77.
組成物が、組成物の全重量に対して鎖延長剤を最大で12重量%、最大で10重量%、最大で9重量%、最大で8重量%、最大で7重量%、又は最大で6重量%含む、前述の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
78.
ポリウレタンがシリコーンを実質的に含有しない、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
79.
組成物がシリコーンを含有しない、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
80.
組成物が、シリコーン含有部位を含有しない、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
81.
組成物が、シリコーン含有部位を実質的に含有しない、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
82.
組成物が、シリコーン含有部位を、組成物の全重量に対して0.1重量%未満含む、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
83.
ポリウレタンが末端基を含有しない、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
84.
ポリウレタンが末端基を実質的に含有しない、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
85.
ポリウレタンが、組成物の全重量に対して末端基を0.1重量%未満含む、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
86.
ポリウレタンが直鎖状である、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
87.
ポリウレタンが分岐状である、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具、ポリウレタン、又は方法。
88.
先の例示的な実施形態のいずれか一つに記載の方法から形成される、ポリウレタン。
89.
先の例示的な実施形態のいずれか一つに記載の方法から形成される、ポリウレタンを含む医療器具。
90.
先の例示的な実施形態のいずれか一つによるポリウレタンと、生理活性物質と、を含む医療器具。
91.
先の例示的な実施形態のいずれか一つによるポリウレタンと、生理活性物質と、を含む溶融物から医療器具の少なくとも一部を押出し成形する工程を含む、医療器具を形成する方法。
92.
生理活性物質がポリウレタン中に分散される、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法又は医療器具。
93.
生理活性物質がポリウレタン中に可溶化される、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法又は医療器具。
94.
ポリウレタン中の生理活性物質の量が、ポリウレタンにおける薬物の溶解限度を超える、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法又は医療器具。
95.
生理活性物質が、ポリウレタンの融解温度よりも高い融解温度を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法又は医療器具。
96.
生理活性物質が、150℃~200℃の融解温度を有する、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる方法又は医療器具。
97.
医療器具が触媒を含有しない、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具。
98.
医療器具が実質的に触媒を含有しない、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具。
99.
ロッド、チューブ、又はリングの形状をとる、先の例示的な実施形態のいずれか一つによる医療器具。
【0076】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「1つの」及び「1種類の」及び「その」及び同様な言及(referent)の使用は、本明細書において別段の指定がない限り、又は文脈で明確に否定されていない限り、単数及び複数のどちらも網羅すると解釈すべきである。「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」という用語は、別段の指定がない限り、制約のない用語(つまり、「限定されないが、包含する」を意味する)として解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は単に、本明細書において別段の指定がない限りその範囲内にある別々のそれぞれの値を個々に言及する速記法としての役割を果たすことが意図され、個々のそれぞれの値は、あたかも本明細書に個々に記載されているが如く、本明細書中に組み込まれる。本明細書において提供される、いずれかの、及びすべての実施例、又は例示的な文言(例えば、「~など」)の使用は単に、本発明をより良く明らかにすることを意図するものであり、特許請求の範囲に記載されていない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書における文言は、本発明の実施に必須であるとして、特許請求の範囲に記載されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0077】
本発明を実施する本発明者らに公知の最良の形態を包含する、本発明の好ましい実施形態が記載されている。それらの好ましい実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者には明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がかかる変形形態を適宜用いることを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記述されるものと別の方法で本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明は、該当する法律によって許可される、本明細書に付属の特許請求の範囲に記載の主題のすべての修正形態及び均等物を包含する。任意の特定の特徴が本発明の実施形態として記述されているが、本明細書は、具体的に別段の指定がない限り、又は物理的に不可能ではない限り、これらの実施形態のすべての組み合わせを包含し、且つ具体的に開示することを意味する。