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特許7388055画像形成装置、制御方法、プログラムおよびその記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法、プログラムおよびその記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231121BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231121BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G03G21/00 370
H04N1/00 567H
G03G21/00 388
B41J29/38 204
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019156797
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021033214
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓
(72)【発明者】
【氏名】舛田 純一
(72)【発明者】
【氏名】野々山 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 克英
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-145858(JP,A)
【文献】特開2016-102984(JP,A)
【文献】特開2017-211634(JP,A)
【文献】特開2014-213536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
H04N 1/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の坪量閾値情報を格納する記憶部と、
地域設定の変更を受け付ける設定取得部と、
用紙の坪量を計測する坪量取得部と、
制御部とを備え、
前記複数の坪量閾値情報の各々は、複数の地域の各々に関連付けられ、
前記制御部は、
前記地域設定の変更に基づいて、前記複数の坪量閾値情報の中から使用する坪量閾値情報を選択し、
用紙の製造誤差、画像形成装置の回路の誤差、坪量取得部の計測誤差、または前記画像形成装置の経年劣化の少なくとも1つに基づいて、前記坪量閾値情報を修正し、
前記坪量取得部が計測した用紙の坪量と、選択された坪量閾値情報とに基づいて、用紙の種類を判別する、画像形成装置。
【請求項2】
複数の坪量閾値情報を格納する記憶部と、
用紙を格納するカセットと、
地域設定の変更を受け付ける設定取得部と、
用紙の坪量を計測する坪量取得部と、
制御部とを備え、
前記複数の坪量閾値情報の各々は、複数の地域の各々に関連付けられ、
前記カセットは、用紙の横幅および奥行きを計測するセンサーを含み、
前記制御部は、
前記センサーの検出値に基づいて、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値情報と、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値情報とを切り替え、
前記坪量取得部が計測した用紙の坪量と、切り替えられた坪量閾値情報とに基づいて、用紙の種類を判別する、画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の地域を表示するディスプレイと、
前記複数の地域のいずれかを選択するためのタッチパネルとをさらに備え、
前記設定取得部は、前記画像形成装置の通常モードでの稼働中に、前記タッチパネルの入力に基づいて、前記地域設定の変更を受け付ける、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記センサーの検出値に基づいて、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値情報と、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値情報とを切り替えることは、
前記センサーの検出値に基づいて、インチを使用する地域またはセンチメートルを使用する地域の前記地域設定を取得することと、
前記地域設定に基づいて、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値情報と、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値情報とを切り替えることとを含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ネットワークを介して外部機器と接続され、
前記設定取得部は、前記画像形成装置の通常モードでの稼働中に、前記外部機器から前記地域設定に関する情報を取得し、前記地域設定に関する情報に基づいて、前記地域設定の変更を受け付ける、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の坪量閾値情報の各々は、用紙の種別ごとに設定された複数の坪量の範囲を含み、
前記用紙の種類を判別することは、前記坪量取得部が計測した坪量の値が、前記複数の坪量の範囲のいずれに含まれるかに基づいて前記用紙の種類を判別することを含む、請求項1~のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記坪量取得部は、
送信側および受信側の光学センサーを含み、
用紙の光の透過率および反射率を取得し、
前記用紙の種類を判別することは、前記光の透過率および前記光の反射率に基づいて、前記用紙の種類を判定することを含む、請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の地域の各々に関連付けられた複数の坪量閾値情報を記憶するステップと、
地域設定の変更を受け付けるステップと、
前記地域設定の変更に基づいて、前記複数の坪量閾値情報の中から使用する坪量閾値情報を選択するステップと、
用紙の製造誤差、画像形成装置の回路の誤差、坪量の計測誤差、または前記画像形成装置の経年劣化の少なくとも1つに基づいて、前記坪量閾値情報を修正するステップと、
前記画像形成装置内で搬送される用紙の坪量を計測するステップと、
前記計測した用紙の坪量と、前記選択された坪量閾値情報とに基づいて、用紙の種類を判別するステップとを含む、制御方法。
【請求項9】
複数の地域の各々に関連付けられた複数の坪量閾値情報を記憶するステップと、
カセットに格納された用紙の横幅および奥行きを検出するステップと、
検出された用紙の横幅および奥行きに基づいて、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値情報と、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値情報とを切り替えるステップと、
画像形成装置内で搬送される用紙の坪量を計測するステップと、
前記計測した用紙の坪量と、前記切り替えられた坪量閾値情報とに基づいて、用紙の種類を判別するステップとを含む、制御方法。
【請求項10】
前記複数の地域をディスプレイに表示させるステップと、
前記画像形成装置の通常モードでの稼働中に、タッチパネルでの入力に基づいて、前記地域設定の変更を受け付けるステップとをさらに含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項11】
検出された用紙の横幅および奥行きに基づいて、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値情報と、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値情報とを切り替えるステップは、
検出された用紙の横幅および奥行きに基づいて、インチを使用する地域またはセンチメートルを使用する地域の地域設定を取得するステップと、
前記地域設定に基づいて、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値情報と、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値情報とを切り替えるステップとを含む、請求項9に記載の制御方法。
【請求項12】
前記画像形成装置の通常モードでの稼働中に、ネットワークを介して前記画像形成装置に接続された外部機器から前記地域設定に関する情報を取得するステップと、
前記地域設定に関する情報に基づいて、前記地域設定を変更するステップとをさらに含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項13】
前記複数の坪量閾値情報の各々は、用紙の種別ごとに設定された複数の坪量の範囲を含み、
前記用紙の種類を判別するステップは、計測された坪量の値が、前記複数の坪量の範囲のいずれに含まれるかに基づいて前記用紙の種類を判別するステップを含む、請求項8~1のいずれかに記載の制御方法。
【請求項14】
光学センサーによる、前記画像形成装置で搬送される用紙の光の透過率および反射率を取得するステップをさらに含み、
前記用紙の種類を判別するステップは、前記光の透過率および前記光の反射率に基づいて、前記用紙の種類を判定するステップを含む、請求項8~13のいずれかに記載の制御方法。
【請求項15】
請求項8~14のいずれかに記載の制御方法を前記画像形成装置に実行させるプログラム。
【請求項16】
請求項8~14のいずれかに記載の制御方法を前記画像形成装置に実行させるプログラムが記憶された、前記画像形成装置に読込み可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、より特定的には、用紙の坪量検出制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MFP(Multifunction Peripheral)等の画像形成装置は、一般的に、印刷媒体である用紙または封筒等を判別するために、メディア検知センサーを備えている。当該メディア検知センサーは、光学センサー等を用いて、画像形成装置内で搬送されている用紙の坪量を検出する。画像形成装置の制御部は、当該坪量に基づいて用紙の種類を判別し得る。
【0003】
多くの場合、国または地域によって、印刷に使用される用紙は異なる。また、同一の名称の用紙であっても、国または地域によって坪量が異なることがある。そのため、各画像形成装置では、当該画像形成装置が出荷される地域ごとに異なる坪量の設定が予め設定される。しかし、グローバル経済の発展に伴い、ある地域において別の地域の用紙が使用される場合があり、従来の画像形成装置では、このような状況に対応できなくなってきた。
【0004】
メディア検出処理に関し、例えば、特開2012-145858号公報(特許文献1)は、「記録紙判別閾値を格納する手段と画像形成装置に関する情報を検知するための手段と記録紙判別閾値を変動させる手段を有し、画像形成装置に関する情報に応じて記録紙判別閾値を変動させる」画像形成装置を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-145858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術によると、画像形成装置の出荷後にユーザーの用途に基づいて画像形成装置の坪量の設定を変更することができない。したがって、画像形成装置の出荷後にユーザーの用途に基づいて画像形成装置の坪量の設定を変更する技術が必要とされている。
【0007】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、画像形成装置の出荷後にユーザーの用途に基づいて画像形成装置の坪量の設定を変更する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施の形態に従う画像形成装置は、複数の坪量閾値情報を格納する記憶部と、地域設定の変更を受け付ける設定取得部と、用紙の坪量を計測する坪量取得部と、制御部とを備える。複数の坪量閾値情報の各々は、複数の地域の各々に関連付けられ、制御部は、地域設定の変更に基づいて、複数の坪量閾値情報の中から使用する坪量閾値情報を選択し、坪量取得部が計測した用紙の坪量と、選択された坪量閾値情報とに基づいて、用紙の種類を判別する。
【0009】
ある局面において、画像形成装置は、複数の地域を表示するディスプレイと、複数の地域のいずれかを選択するためのタッチパネルとをさらに備える。設定取得部は、画像形成装置の通常モードでの稼働中に、タッチパネルの入力に基づいて、地域設定の変更を受け付ける。
【0010】
ある局面において、画像形成装置は、用紙を格納するカセットをさらに備える。カセットは、用紙の横幅および奥行きを計測するセンサーを含み、設定取得部は、画像形成装置の通常モードでの稼働中に、センサーの検出値に基づいて、地域設定の変更を受け付ける。
【0011】
ある局面において、画像形成装置は、ネットワークを介して外部機器と接続される。設定取得部は、画像形成装置の通常モードでの稼働中に、外部機器から地域設定に関する情報を取得し、地域設定に関する情報に基づいて、地域設定の変更を受け付ける。
【0012】
ある局面において、複数の坪量閾値情報の各々は、用紙の種別ごとに設定された複数の坪量の範囲を含む。用紙の種類を判別することは、坪量取得部が計測した坪量の値が、複数の坪量の範囲のいずれに含まれるかに基づいて用紙の種類を判別することを含む。
【0013】
ある局面において、制御部は、用紙の製造誤差、画像形成装置の回路の誤差、坪量取得部の誤差または画像形成装置の経年劣化の少なくとも1つに基づいて、坪量閾値情報を修正する。
【0014】
ある局面において、坪量取得部は、送信側および受信側の光学センサーを含み、用紙の光の透過率および反射率を取得する。用紙の種類を判別することは、光の透過率および光の反射率に基づいて、用紙の種類を判定することを含む。
【0015】
他の実施の形態に従うと、画像形成装置の制御方法が提供される。この制御方法は、複数の地域の各々に関連付けられた複数の坪量閾値情報を記憶するステップと、地域設定の変更を受け付けるステップと、地域設定の変更に基づいて、複数の坪量閾値情報の中から使用する坪量閾値情報を選択するステップと、画像形成装置内で搬送される用紙の坪量を計測するステップと、計測した用紙の坪量と、選択された坪量閾値情報とに基づいて、用紙の種類を判別するステップとを含む。
【0016】
ある局面において、制御方法は、複数の地域をディスプレイに表示させるステップと、画像形成装置の通常モードでの稼働中に、タッチパネルでの入力に基づいて、地域設定の変更を受け付けるステップとをさらに含む。
【0017】
ある局面において、制御方法は、カセットに格納された用紙の横幅および奥行きを検出するステップと、画像形成装置の通常モードでの稼働中に、用紙の横幅および奥行きの検出値に基づいて、地域設定を変更するステップとをさらに含む。
【0018】
ある局面において、制御方法は、画像形成装置の通常モードでの稼働中に、ネットワークを介して画像形成装置に接続された外部機器から地域設定に関する情報を取得するステップと、地域設定に関する情報に基づいて、地域設定を変更するステップとをさらに含む。
【0019】
ある局面において、複数の坪量閾値情報の各々は、用紙の種別ごとに設定された複数の坪量の範囲を含む。用紙の種類を判別するステップは、坪量取得部が計測した坪量の値が、複数の坪量の範囲のいずれに含まれるかに基づいて用紙の種類を判別するステップを含む。
【0020】
ある局面において、制御方法は、用紙の製造誤差、画像形成装置の回路の誤差、坪量取得部の誤差または画像形成装置の経年劣化の少なくとも1つに基づいて、坪量閾値情報を修正するステップをさらに含む。
【0021】
ある局面において、制御方法は、光学センサーによる、画像形成装置で搬送される用紙の光の透過率および反射率を取得するステップをさらに含む。用紙の種類を判別するステップは、光の透過率および光の反射率に基づいて、用紙の種類を判定するステップを含む。
【0022】
他の実施の形態に従うと、上記のいずれかの制御方法を画像形成装置に実行させるプログラムが提供される。
【0023】
他の実施の形態に従うと、上記のいずれかの制御方法を画像形成装置に実行させるプログラムが記憶された画像形成装置に読込み可能な記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本技術によれば、出荷後にユーザーの用途に基づいて画像形成装置の坪量の設定を変更することが可能である。
【0025】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ある実施の形態に従う画像形成装置100の一構成例を示す図である。
図2】画像形成装置100内のメディア検知センサー125の一部の一例を示す図である。
図3】光学センサー201の詳細な構成の一例を示す図である。
図4】グラフ化した国別の坪量閾値テーブルの一例を示す図である。
図5】グラフ化した坪量閾値テーブルの別の例を示す図である。
図6】坪量閾値テーブルのデータ形式の一例を示す図である。
図7】坪量閾値テーブルの設定画面700の一例を示す図である。
図8】カセット132の内部構造の一例を示す図である。
図9】画像形成装置100に坪量閾値テーブルを設定するシステム構成の一例を示す図である。
図10】設定画面700を用いた画像形成装置100への坪量閾値テーブルの設定の手順の一例を示す図である。
図11】カセット132のセンサー801,802を用いた画像形成装置100への坪量閾値テーブルの設定の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0028】
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置100の一構成例を示す図である。図1を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置100の装置構成について説明する。画像形成装置100は、原稿読取部110と、プリントエンジン120と、排出トレイ121と、給紙キャビネット部140とを備える。
【0029】
原稿読取部110は、操作パネル111と、ADF(Auto Document Feeder、自動原稿送り装置)112と、IR(Infrared)ユニット113と、スキャナー114とを含む。プリントエンジン120は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、キー・プレート(K)のそれぞれのトナー像を形成するイメージングユニット129と、中間転写ベルト128と、定着部122と、転写ローラー123と、レジストローラー124と、メディア検知センサー125と、搬送ローラー126と、給紙ローラー127と、制御部130と、電源部131と、カセット132とを含む。給紙キャビネット部140は、拡張用のカセット132を含む。
【0030】
原稿読取部110は、原稿を読み取って、その読み取り結果をプリントエンジン120に対する入力画像として出力する。ADF112は、原稿給紙台に配置された原稿を連続的にスキャンする。IRユニット113は、赤外線信号による操作を受け付ける。スキャナー114は、プラテンガラス上に配置された原稿をスキャンする。原稿給紙台上に配置された原稿は、送出ローラー(図示しない)により1枚ずつ送られ、スキャナー114またはADF112に配置されたイメージセンサーによって順次スキャンされる。
【0031】
操作パネル111は、タッチパネルと、ボタン操作部とを含む。タッチパネルは、タッチセンサーを液晶モニター等に組み込んでおり、操作メニューを表示すると共に、ユーザーからのタッチによる入力を受付けることが可能である。ボタン操作部は、複数のボタンを含み、各ボタンは、タッチパネルと同様に、ユーザーからの入力を受付ける。
【0032】
プリントエンジン120は、いずれかのカセット132内の用紙に対して印刷処理を行う。給紙ローラー127は、カセット132内から用紙を搬送経路に送り出す。搬送ローラー126は、用紙をさらに下流に搬送する。レジストローラー124は、転写ローラー123の手前で、用紙の搬送タイミングを調節する。メディア検知センサー125は、レジストローラー124の手前で、搬送されてくる用紙の種類を検出する。ある局面において、メディア検知センサー125は、光学センサーを含んでもよい。その場合、制御部130は、用紙における光の透過率または反射率に基づいて、用紙の坪量または厚み等を判別し得る。転写ローラー123は、用紙にトナー像を転写する。定着部122は、用紙に定着処理を行う。最後に、用紙は、排出トレイ121に排出される。
【0033】
各イメージングユニット129および中間転写ベルト128は、用紙に転写されるトナー像を形成する。各イメージングユニット129は、それぞれ感光体、帯電部、露光部、現像部および清掃部を含む。帯電部は、感光体の表面を一様に帯電する。露光部は、レーザー書き込み等により、指定された画像パターンに従って感光体の表面を露光することで、その表面上に静電潜像を形成する。現像部は、像担持体である感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する。清掃部は、感光体の表面に残留したトナーを清掃する。
【0034】
感光体の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト128に転写される。中間転写ベルト128上には、それぞれの感光体からトナー像が順次転写されて、4色のトナー像が重ね合わされることになる。重ね合わされたトナー像は、転写ローラー123によって、中間転写ベルト128から用紙に転写される。
【0035】
制御部130は、画像形成装置100全体を制御する。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリーとを含み得る。その場合、メモリーは、CPUによって参照されるデータおよびCPUによって実行されるプログラムを格納する。電源部131は、交流電力源と接続され、画像形成装置100に電力を供給する。
【0036】
図2は、画像形成装置100内のメディア検知センサー125の一部の一例を示す図である。図2では、レジストローラー124より上流の搬送路に沿って、光学センサー201が設けられている。光学センサー201は、主に、用紙の坪量等を検出するために使用され得る。
【0037】
光学センサー201は、送信側光学センサー201Aと、受信側光学センサー201Bとを含む。送信側光学センサー201Aは、用紙が送信側光学センサー201Aおよび受信側光学センサー201Bの間に位置するときに、光を用紙の方向に照射する。送信側光学センサー201Aから照射された光の一部は、用紙を通過して、受信側光学センサー201Bに受信される。制御部130は、受信側光学センサー201Bが受信した光の量に基づいて、用紙の坪量等を検出する。
【0038】
制御部130は、検出した用紙の坪量に基づいて、用紙の種別を判定し得る。また、制御部130は、メモリーから坪量の範囲および用紙の種類を関連付けた坪量閾値テーブルを参照する。制御部130は、検出した用紙の坪量と、坪量閾値テーブルとに基づいて、用紙の種類を判定し得る。
【0039】
図3は、光学センサー201の詳細な構成の一例を示す図である。光学センサー201は、透過用の光源である近赤外LED(Light Emitting Diode)301および青色LED302と、反射板303と、反射用の光源である緑色LED304と、フォトダイオード305とを含む。
【0040】
近赤外LED301および青色LED302は、搬送中の用紙310に対して光を照射する。フォトダイオード305は、用紙310を透過した各色の光を受ける。制御部130は、フォトダイオード305が受けた各色の光の量に基づいて、用紙310の坪量を判定し得る。緑色LED304は、搬送路から見てフォトダイオード305と同じ側に配置されている。フォトダイオード305は、用紙310が反射した緑色LED304の光を受ける。制御部130は、フォトダイオード305が受けた緑色LED304の反射光の量に基づいて、用紙の表面のざらつき等の紙質を検出し得る。反射板303は、緑色であり、緑色LED304の光を反射する。制御部130は、反射板303が反射する緑色LED304の光を基準として、用紙の表面の紙質を検出する。
【0041】
制御部130は、上記の光学センサー201の出力する信号に基づいて、用紙の坪量を検出する。制御部130のメモリー内には、坪量閾値テーブルが格納されている。制御部130は、検出された用紙の坪量と、坪量閾値テーブルとに基づいて、搬送中の用紙の種類を特定し得る。当該坪量閾値テーブルは、通常、国または地域別に作成される。より具体的には、坪量閾値テーブルは、各国で使用される用紙に合わせて作成される。そのため、同一メーカーの画像形成装置であっても、出荷される国が異なることにより、設定されている坪量閾値テーブルも異なる。
【0042】
次に、図4図6を参照して、坪量閾値テーブルについて説明する。図4は、グラフ化した国別の坪量閾値テーブルの一例を示す図である。一例として、図4(A)~図4(D)の坪量閾値テーブルは、いずれも、「薄紙」、「普通紙」、「普通紙+」、「厚紙1」、「厚紙1+」、「厚紙2」、「厚紙3」および「厚紙4」の坪量の閾値の範囲を含む。制御部130は、検出した用紙が、いずれの紙種の坪量の閾値の範囲に含まれるかに基づいて、用紙の種類を判別し得る。
【0043】
図4(A)~図4(D)の坪量閾値テーブルを比較すると、例えば「厚紙1」および「厚紙1+」の坪量の閾値の範囲がそれぞれ大きく異なっていることがわかる。そのため、画像形成装置100に図4(B)の北米流通用紙の坪量閾値テーブルが設定されている場合において、画像形成装置100のカセット132に日本で流通する用紙がセットされているとき、画像形成装置100は用紙の種類の判定を正確に行えない可能性がある。
【0044】
図5は、グラフ化した坪量閾値テーブルの別の例を示す図である。図5(A)は、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値テーブルである。図5(B)は、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値テーブルである。インチは主に米国で使用される単位であり、センチメートルは欧州およびアジア地域で使用されている。
【0045】
図6は、坪量閾値テーブルのデータ形式の一例を示す図である。画像形成装置100は、一例として、図4および図5で示した坪量閾値テーブルを図6に示すようにリレーショナルデータベースのテーブル形式で、制御部130のメモリーに保存し得る。図6において、例えば、センチメートルを単位とする用紙における、薄紙の閾値の範囲は「c1~d1」であり、普通紙の範囲は「c2~d2」である。インチを単位とする用紙における、普通紙+の閾値の範囲は、「e3~f3」であり、厚紙1の閾値の範囲は、「e4~f4」である。なお、図6に示す坪量閾値テーブルは一例であり、坪量閾値テーブルは、地域や単位等で分類される任意の種類の用紙の坪量閾値を含んでいてもよい。また、坪量の閾値の範囲は任意に設定され得る。ある局面において、坪量閾値テーブルは、JSON(JavaScript Object Notation)等の他の任意のデータ形式で表現されてもよい。他の局面において、制御部130は、用紙の製造誤差、画像形成装置100の回路の誤差、メディア検知センサー125の誤差または画像形成装置100の経年劣化の少なくとも1つに基づいて、図4図6の坪量閾値テーブルのデータを修正してもよい。
【0046】
上述したように、国または地域ごとに流通用紙が異なるため、一般的に、画像形成装置は、販売先の地域に合わせた坪量閾値テーブルを設定された状態で出荷される。そのため、ユーザーが画像形成装置の販売地域で流通している用紙を使用している限り、問題は発生しなかった。しかし、現在、経済のグローバル化が進み、多くの多国籍企業が世界中でビジネスを展開しており、ある地域において、別の地域で流通している用紙が使用されることが増えてきた。例えば、米国企業が、世界中でビジネスを展開している場合、米国本社が日本支社に対して、印刷用紙として、北米の流通用紙を指定するという事態も想定される。従来の画像形成装置は、販売地域の坪量閾値テーブルが設定された状態で出荷されていたため、このような事態には対応できなかった。本実施の形態に従う画像形成装置100は、このような状況に対応すべく、坪量閾値テーブルを適切に変更可能な機能を備える。以下に、図7図9を参照して、坪量閾値テーブルの変更方法についで説明する。
【0047】
図7は、坪量閾値テーブルの設定画面700の一例を示す図である。設定画面700は、操作パネル111に表示される。ユーザーは、画像形成装置100の通常モードでの稼働時に、操作パネル111のメニュー画面から、随時、設定画面700を開いて、使用する坪量閾値テーブルまたは地域設定を選択し得る。制御部130は、設定画面700で選択された坪量閾値テーブルまたは地域設定に基づいて、使用する坪量閾値テーブルを選択し、当該選択された坪量閾値テーブルを参照して、用紙の種類を判別する。
【0048】
図8は、カセット132の内部構造の一例を示す図である。カセット132は、カセット132に格納される用紙の横幅を検出するセンサー801と、カセット132に格納される用紙の奥行きを検出するセンサー802とを備える。制御部130は、センサー801,802から取得した信号に基づいて、例えば、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値テーブルと、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値テーブルとを切り替え得る。他の例において、制御部130は、センサー801,802から取得した信号に基づいて、インチであれば米国、センチメートルであればそれ以外の国のように地域情報を取得し得る。制御部130は、当該地域情報に基づいて、センチメートルを単位とする用紙に対する坪量閾値テーブルと、インチを単位とする用紙に対する坪量閾値テーブルとを切り替え得る。制御部130は、選択された坪量閾値テーブルを参照して、用紙の種類を判別する。
【0049】
図9は、画像形成装置100に坪量閾値テーブルを設定するシステム構成の一例を示す図である。画像形成装置100は、ネットワーク930を介して、外部装置910と接続される。外部装置910は、例えば、オフィスに入荷予定のいずれかの用紙901~904に関する情報を画像形成装置100に送信する。制御部130は、通常モードでの稼働中に、受信した入荷予定の用紙に関する情報(坪量閾値テーブルまたは地域設定等)に基づいて、使用する坪量閾値テーブルを選択し得る。
【0050】
ある局面において、制御部130は、用紙の製造誤差、画像形成装置100の回路の誤差、メディア検知センサー125の計測誤差または画像形成装置100の経年劣化の少なくとも1つに基づいて、坪量閾値テーブルの内容を修正してもよい。
【0051】
図10は、設定画面700を用いた画像形成装置100への坪量閾値テーブルの設定の手順の一例を示す図である。ある局面において、制御部130は、図10の処理を行うためのプログラムをメモリーから読み出して、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された複数の回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0052】
ステップS1010において、制御部130は、操作パネル111に表示される設定画面700から入力された坪量閾値テーブルの設定を取得する。ある局面において、設定画面700から入力される坪量閾値テーブルの設定は、地域情報であってもよい。ステップS1020において、制御部130は、設定画面700での入力内容に基づいて、予め装置内に保存されている複数の坪量閾値テーブルの中から使用する坪量閾値テーブルを選択する。ステップS1030において、制御部130は、選択した坪量閾値テーブルを用紙の種類の判定に使用するテーブルとしてセットする。ステップS1040において、制御部130は、ユーザーのPC(Personal Computer)等からの印刷命令に基づいて、カセット132に格納された用紙の給紙と、当該用紙への印字動作とを開始する。
【0053】
ステップS1050において、メディア検知センサー125で検出した用紙の坪量と、ステップS1030にて用紙の種類の判定に使用するテーブルとしてセットされた坪量閾値テーブルとに基づいて、用紙の種類を判別する。ステップS1060において、制御部130は、判定した用紙の種類に基づいて、画像を用紙に印字する制御、所謂トナー像の転写、または、トナー像の用紙への定着作業等を行なう。ステップS1070において、制御部130は、印字処理が完了した用紙を排出トレイ121に排出する。
【0054】
図11は、カセット132のセンサー801,802を用いた画像形成装置100への坪量閾値テーブルの設定の手順の一例を示す図である。ある局面において、制御部130は、図11の処理を行うためのプログラムをメモリーから参照して、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0055】
ステップS1110およびS1120において、制御部130は、カセット132のセンサー801,802の情報を取得し、カセット132に格納されている用紙のサイズに関する情報を取得する。ステップS1130において、制御部130は、用紙のサイズに関する情報に基づいて、使用する坪量閾値テーブルを選択する。一例として、制御部130は、センチメートルを単位に使用する用紙の坪量閾値テーブルまたはインチを単位に使用する用紙の坪量閾値テーブルのいずれかを選択し得る。ステップS1140において、制御部130は、選択した坪量閾値テーブルを用紙の種類の判定に使用するテーブルとしてセットする。ステップS1150において、制御部130は、ユーザーのPC等からの印刷命令に基づいて、カセット132に格納された用紙の給紙と、当該用紙への印字動作を開始する。
【0056】
ステップS1160において、メディア検知センサー125で検出した用紙の坪量と、ステップS1030にて用紙の種類の判定に使用するテーブルとしてセットされた坪量閾値テーブルとに基づいて、用紙の種類を判別する。ステップS1170において、制御部130は、用紙の種類に基づいて、画像を用紙に印字する制御、所謂トナー像の転写、トナー像の用紙への定着作業等を行なう。ステップS1180において、制御部130は、印字処理が完了した用紙を排出トレイ121に排出する。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態に従う画像形成装置100は、複数の坪量閾値テーブルを備えるので、ユーザーは、画像形成装置100の出荷後であっても、画像形成装置100の坪量閾値テーブルを適宜選択または変更することができる。当該構成により、画像形成装置100は、ある地域において別の地域で流通する用紙が使用される状況、例えば、日本において、北米の流通用紙を使用するような状況にも対応することができる。
【0058】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
100 画像形成装置、110 原稿読取部、111 操作パネル、112 ADF、113 IRユニット、114 スキャナー、120 プリントエンジン、121 排出トレイ、122 定着部、123 転写ローラー、124 レジストローラー、125 メディア検知センサー、126 搬送ローラー、127 給紙ローラー、128 中間転写ベルト、129 イメージングユニット、130 制御部、131 電源部、132 カセット、140 給紙キャビネット部、201 光学センサー、201A 送信側光学センサー、201B 受信側光学センサー、301 近赤外LED、302 青色LED、303 反射板、304 緑色LED、305 フォトダイオード、310,901,902,903,904 用紙、700 設定画面、801,802 センサー、910 外部装置、930 ネットワーク。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図11