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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】サンルーフ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/02 20060101AFI20231121BHJP
   B60J 7/053 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B60J7/02 B
B60J7/053
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019158049
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021035809
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青木 結哉
(72)【発明者】
【氏名】本村 将太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝敏
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-120018(JP,U)
【文献】特開平11-227466(JP,A)
【文献】特開2004-106623(JP,A)
【文献】特開2013-216244(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0176273(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
B60J 7/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成されるルーフ開口部の車両幅方向における両端部で車両前後方向に延びるガイドレールと、
前記ルーフ開口部を開閉する可動パネルに固定され、前記ガイドレールに対して移動可能に構成される支持部材と、
前記支持部材に係合した状態で、前記ガイドレールに沿って移動する駆動シューと、を備え、
前記可動パネルは、前記ルーフ開口部を閉塞する全閉位置と、前記全閉位置よりも前記可動パネルの後端部を下降させたチルトダウン位置と、前記チルトダウン位置よりも車両後方の位置であって且つ前記ルーフ開口部を開放する全開位置と、の間で開閉作動するものであり、
前記駆動シューは、前記可動パネルを前記全閉位置に配置する第1の位置と、前記可動パネルを前記チルトダウン位置に配置する第2の位置と、前記可動パネルを前記全開位置に配置する第3の位置と、の間を移動し、前記第1の位置及び前記第2の位置の間を移動する場合に、前記支持部材の後端部を昇降させ、前記第2の位置及び前記第3の位置の間を移動する場合に、前記支持部材と一体に移動し、
前記支持部材と前記駆動シューとは、前記駆動シューが前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する場合に前記車両幅方向と直交する方向に接近し、前記駆動シューが前記第2の位置及び前記第3の位置の間に位置する場合に接触する第1接触部と第2接触部とをそれぞれ有し、
前記第1接触部及び前記第2接触部の一方は、押圧部であり、
前記第1接触部及び前記第2接触部の他方は、前記駆動シューが前記第2の位置及び前記第3の位置の間に位置する場合に、前記押圧部に押圧されて弾性変形する弾性体であり、
前記弾性体は、前記押圧部よりも前記車両幅方向における長さが長く、
前記弾性体は、前記車両幅方向に延びる弾性壁と、前記弾性壁の前記車両幅方向における両端部を保持する保持壁と、を有し、
前記車両前後方向において、前記弾性壁の厚さは前記保持壁の厚さよりも薄い
サンルーフ装置。
【請求項2】
前記弾性体は、前記車両前後方向に並ぶ複数の前記弾性壁を有する
請求項に記載のサンルーフ装置。
【請求項3】
車両のルーフに形成されるルーフ開口部の車両幅方向における両端部で車両前後方向に延びるガイドレールと、
前記ルーフ開口部を開閉する可動パネルに固定され、前記ガイドレールに対して移動可能に構成される支持部材と、
前記支持部材に係合した状態で、前記ガイドレールに沿って移動する駆動シューと、を備え、
前記可動パネルは、前記ルーフ開口部を閉塞する全閉位置と、前記全閉位置よりも前記可動パネルの後端部を下降させたチルトダウン位置と、前記チルトダウン位置よりも車両後方の位置であって且つ前記ルーフ開口部を開放する全開位置と、の間で開閉作動するものであり、
前記駆動シューは、前記可動パネルを前記全閉位置に配置する第1の位置と、前記可動パネルを前記チルトダウン位置に配置する第2の位置と、前記可動パネルを前記全開位置に配置する第3の位置と、の間を移動し、前記第1の位置及び前記第2の位置の間を移動する場合に、前記支持部材の後端部を昇降させ、前記第2の位置及び前記第3の位置の間を移動する場合に、前記支持部材と一体に移動し、
前記支持部材と前記駆動シューとは、前記駆動シューが前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する場合に前記車両幅方向と直交する方向に接近し、前記駆動シューが前記第2の位置及び前記第3の位置の間に位置する場合に接触する第1接触部と第2接触部とをそれぞれ有し、
前記第1接触部及び前記第2接触部の一方は、押圧部であり、
前記第1接触部及び前記第2接触部の他方は、前記駆動シューが前記第2の位置及び前記第3の位置の間に位置する場合に、前記押圧部に押圧されて弾性変形する弾性体であり、
前記弾性体は、前記押圧部よりも前記車両幅方向における長さが長く、
前記弾性体は、着脱自在に構成される
ンルーフ装置。
【請求項4】
車両のルーフに形成されるルーフ開口部の車両幅方向における両端部で車両前後方向に延びるガイドレールと、
前記ルーフ開口部を開閉する可動パネルに固定され、前記ガイドレールに対して移動可能に構成される支持部材と、
前記支持部材に係合した状態で、前記ガイドレールに沿って移動する駆動シューと、を備え、
前記可動パネルは、前記ルーフ開口部を閉塞する全閉位置と、前記全閉位置よりも前記可動パネルの後端部を下降させたチルトダウン位置と、前記チルトダウン位置よりも車両後方の位置であって且つ前記ルーフ開口部を開放する全開位置と、の間で開閉作動するものであり、
前記駆動シューは、前記可動パネルを前記全閉位置に配置する第1の位置と、前記可動パネルを前記チルトダウン位置に配置する第2の位置と、前記可動パネルを前記全開位置に配置する第3の位置と、の間を移動し、前記第1の位置及び前記第2の位置の間を移動する場合に、前記支持部材の後端部を昇降させ、前記第2の位置及び前記第3の位置の間を移動する場合に、前記支持部材と一体に移動し、
前記支持部材と前記駆動シューとは、前記駆動シューが前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する場合に前記車両幅方向と直交する方向に接近し、前記駆動シューが前記第2の位置及び前記第3の位置の間に位置する場合に接触する第1接触部と第2接触部とをそれぞれ有し、
前記第1接触部及び前記第2接触部の一方は、押圧部であり、
前記第1接触部及び前記第2接触部の他方は、前記駆動シューが前記第2の位置及び前記第3の位置の間に位置する場合に、前記押圧部に押圧されて弾性変形する弾性体であり、
前記弾性体は、前記押圧部よりも前記車両幅方向における長さが長く、
前記押圧部は、前記車両前後方向に延びるとともに、前記車両前後方向における両端が支持される板状をなし、車両下方に膨らむように円弧状に湾曲する
ンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンルーフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のルーフに形成された開口部を開閉する可動パネルと、可動パネルに固定される支持部材と、開口部の車両幅方向における両端部で車両前後方向に延びるガイドレールと、ガイドレールに沿って移動するスライダと、を備えるサンルーフ装置が記載されている。スライダは、車両前後方向に移動することで、支持部材の姿勢を変化させたり、支持部材とともに車両前後方向に移動したりする。
【0003】
そして、サンルーフ装置は、可動パネルが開口部を閉塞する全閉状態であるときに、スライダを車両後方に移動させることで、支持部材を介して、可動パネルの後端部を前端部に対して下降させる。すなわち、サンルーフ装置は、可動パネルを全閉状態から降下状態に移行させる。さらに、サンルーフ装置は、可動パネルが降下状態であるときに、スライダを車両後方に移動させることで、支持部材を介して、可動パネルを車両後方に移動させる。すなわち、サンルーフ装置は、可動パネルをルーフの下方に収納することで、可動パネルを降下状態から全開状態に移行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-216244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなサンルーフ装置において、可動パネルが降下状態から全開状態に移行する場合には、支持部材がスライダと一体になって動くことが好ましい。言い換えれば、可動パネルが降下状態から全開状態に移行する場合に、支持部材がスライダに対して車両幅方向に動くことがあると、例えば、スライダとガイドレールとの摺動抵抗が増大したり、サンルーフ装置に振動及び異音が発生したりするおそれがある。つまり、可動パネルが円滑に作動しなくなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、可動パネルを円滑に作動できるサンルーフ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するサンルーフ装置は、車両のルーフに形成されるルーフ開口部の車両幅方向における両端部で車両前後方向に延びるガイドレールと、前記ルーフ開口部を開閉する可動パネルに固定され、前記ガイドレールに対して移動可能に構成される支持部材と、前記支持部材に係合した状態で、前記ガイドレールに沿って移動する駆動シューと、を備え、前記可動パネルは、前記ルーフ開口部を閉塞する全閉位置と、前記全閉位置よりも前記可動パネルの後端部を下降させたチルトダウン位置と、前記チルトダウン位置よりも車両後方の位置であって且つ前記ルーフ開口部を開放する全開位置と、の間で開閉作動するものであり、前記駆動シューは、前記可動パネルを前記全閉位置に配置する第1の位置と、前記可動パネルを前記チルトダウン位置に配置する第2の位置と、前記可動パネルを前記全開位置に配置する第3の位置と、の間を移動し、前記第1の位置及び前記第2の位置の間を移動する場合に、前記支持部材の後端部を昇降させ、前記第2の位置及び前記第3の位置の間を移動する場合に、前記支持部材と一体に移動し、前記支持部材と前記駆動シューとは、前記駆動シューが前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する場合に前記車両幅方向と直交する方向に接近し、前記駆動シューが前記第2の位置及び前記第3の位置の間に位置する場合に接触する第1接触部と第2接触部とをそれぞれ有し、前記第1接触部及び前記第2接触部の一方は、押圧部であり、前記第1接触部及び前記第2接触部の他方は、前記駆動シューが前記第2の位置及び前記第3の位置の間に位置する場合に、前記押圧部に押圧されて弾性変形する弾性体であり、前記弾性体は、前記押圧部よりも前記車両幅方向における長さが長い。
【0008】
上記構成のサンルーフ装置は、駆動シューが第2の位置及び第3の位置の間に位置する場合、押圧部が弾性体を車両幅方向と直交する方向に押圧する。このため、弾性体は、押圧部に押圧される部分が押圧部の押圧方向に変形するとともに、押圧部に押圧されない部分が押圧部に押圧される部分に追従するように変形する。その結果、弾性体は、押圧部に押圧されない部分で、押圧部を車両幅方向に挟むことができる。したがって、駆動シューが第2の位置及び第3の位置の間を移動する場合、弾性体に対する押圧部の相対的な移動が制限される点で、駆動シューに対する支持部材の相対的な動きが制限される。その結果、サンルーフ装置は、可動パネルをチルトダウン位置及び全開位置の間で円滑に作動できる。
【0009】
上記サンルーフ装置において、前記弾性体は、前記車両幅方向に延びる弾性壁と、前記弾性壁の前記車両幅方向における両端部を保持する保持壁と、を有し、前記車両前後方向において、前記弾性壁の厚さは前記保持壁の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0010】
上記構成のサンルーフ装置は、弾性壁の厚さが保持壁の厚さよりも薄い点で、押圧部に押圧される弾性壁を大きく変形させることができる。このため、サンルーフ装置は、駆動シューが第2の位置及び第3の位置の間に位置する場合に、弾性壁で押圧部を車両幅方向に挟みやすくなる。
【0011】
上記サンルーフ装置において、前記弾性体は、前記車両前後方向に並ぶ複数の前記弾性壁を有することが好ましい。
上記構成のサンルーフ装置は、複数の弾性壁のうちの一部の弾性壁に問題が生じても、他の弾性壁により、支持部材の姿勢を保持する機能を果たすことができる。
【0012】
上記サンルーフ装置において、前記弾性体は、着脱自在に構成されることが好ましい。
上記構成のサンルーフ装置は、支持部材又は駆動シューにおいて、弾性体を交換しやすくなる。
【0013】
上記サンルーフ装置において、前記押圧部は、前記車両前後方向に延びるとともに、前記車両前後方向における両端が支持される板状をなし、車両下方に膨らむように円弧状に湾曲することが好ましい。
【0014】
上記構成のサンルーフ装置において、押圧部は、弾性体を押圧する際の反力により変形しやすくなる。この点で、サンルーフ装置は、押圧部が弾性体を過度に圧縮することを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
上記構成のサンルーフ装置は、可動パネルを円滑に作動できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る車両のルーフ周辺の概略構成を示す斜視図。
図2】車両のルーフ周辺の概略構成を示す平面図。
図3】可動パネルが全閉位置に位置するときのサンルーフ装置の側面図。
図4図3の4-4線矢視断面図。
図5図3の5-5線矢視断面図。
図6】駆動装置の駆動シューの斜視図。
図7】駆動シューの弾性体の斜視図。
図8】駆動シューの弾性体の正面図。
図9】可動パネルがチルトダウン位置に位置するときのサンルーフ装置の側面図。
図10】押圧部が弾性体を押圧するときの駆動シューの部分斜視図。
図11】押圧部が弾性体を押圧するときの駆動シューの部分断面図。
図12】変更例に係る弾性体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、サンルーフ装置を備える車両の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、サンルーフ装置が車両に搭載された状態で、サンルーフ装置の方向を使用する。また、車両幅方向を単に「幅方向」ともいい、車両前後方向を単に「前後方向」ともいい、車両上下方向を単に「上下方向」ともいう。
【0018】
図1に示すように、車両10は、ルーフ開口部11が形成されるルーフ12と、ルーフ開口部11に搭載されるサンルーフ装置20と、を備える。ルーフ開口部11は、上下方向Zにおける平面視において、前後方向Yを短手方向とし、幅方向Xを長手方向とする矩形状をなしている。
【0019】
図2に示すように、サンルーフ装置20は、ルーフ開口部11の周囲を囲うベースフレーム30と、ルーフ開口部11を開閉する可動パネル40と、可動パネル40を駆動する駆動装置50と、を備える。
【0020】
次に、ベースフレーム30について説明する。
図2に示すように、ベースフレーム30は、ルーフ開口部11の幅方向Xにおける両端部で前後方向Yに延びる一対のガイドレール31と、ルーフ開口部11の前端部で幅方向Xに延びるフロントハウジング32と、を有する。
【0021】
ガイドレール31は、長手方向にわたって一定の断面形状を有する。図3に示すように、ガイドレール31には、長手方向にわたって、摺動溝311が形成される。ガイドレール31は、車両10のルーフ12の形状に沿って湾曲していてもよい。つまり、本実施形態でいう前後方向Yに延びるガイドレール31は、湾曲した形状を含むものとする。フロントハウジング32は、ガイドレール31の前端部同士を幅方向Xに連結する。フロントハウジング32は、後述する駆動装置50の構成部材の一部を支持する。
【0022】
次に、可動パネル40について説明する。
図2に示すように、可動パネル40は、上下方向Zにおける平面視において、ルーフ開口部11の大きさに応じた矩形状をなしている。可動パネル40は、透光性を有する透光パネル41と、透光パネル41の下面に固定される一対の固定ブラケット42と、を有する。一対の固定ブラケット42は、可動パネル40の幅方向Xにおける両側端に沿ってそれぞれ延びる。透光パネル41と一対の固定ブラケット42とは、例えば、ウレタン系の接着剤により接着される。
【0023】
そして、可動パネル40は、ルーフ開口部11を閉塞する全閉位置、全閉位置よりも後端部が上昇したチルトアップ位置、全閉位置よりも後端部が下降したチルトダウン位置及びチルトダウン位置よりも後方の位置であって且つルーフ開口部11を開放する全開位置の間で作動する。詳しくは、可動パネル40は、全閉位置からチルトアップ位置にチルトアップ作動し、チルトアップ位置から全閉位置にチルトダウン作動する。また、可動パネル40は、全閉位置からチルトダウン位置にチルトダウン作動し、チルトダウン位置から全閉位置にチルトアップ作動する。さらに、可動パネル40は、チルトダウン位置及び全開位置の間でスライド作動する。
【0024】
なお、図1に示すように、本実施形態のサンルーフ装置20は、全開位置において、可動パネル40がルーフ12と車室との間の空間に収容される、いわゆるインナースライド式のサンルーフ装置である。
【0025】
次に、駆動装置50について説明する。
図3に示すように、駆動装置50は、可動パネル40に固定される一対の支持部材60と、一対のガイドレール31に沿ってそれぞれ移動する一対の従動シュー70と、一対のガイドレール31に沿ってそれぞれ移動する一対の駆動シュー80と、を備える。図2に示すように、駆動装置50は、フロントハウジング32に配置されるモータ90と、モータ90の動力を一対の駆動シュー80にそれぞれ伝達する一対のケーブル100と、を備える。
【0026】
初めに、支持部材60について説明する。
図3に示すように、支持部材60は、例えば、プレス成形した金属板を樹脂で被覆したインサート成形体である。支持部材60は、前後方向Yに延びる棒状をなしている。支持部材60は、幅方向Xにおける両方向に突出するガイド部61と、後端付近で下方に突出する押圧部62と、を有する。支持部材60において、ガイド部61と押圧部62とは、ともに樹脂からなる部分である。
【0027】
図3に示すように、ガイド部61は、平板状をなし、支持部材60の長手方向に延びる。図4に示すように、ガイド部61は、支持部材60の幅方向Xにおける両側に対をなすように形成される。ガイド部61は、図3に示すように、支持部材60が可動パネル40を全閉位置に配置させる姿勢を取るとき、略前後方向Yに延びる平坦部63と、平坦部63の前端から前方に進むにつれて下方に進む前側傾斜部64と、平坦部63の後端から後方に進むにつれて上方に向かう後側傾斜部65と、を含む。また、ガイド部61は、後側傾斜部65の後方に設けられる規制部66を含む。
【0028】
平坦部63、前側傾斜部64及び後側傾斜部65の上面は、それぞれ連続した上側ガイド面631,641,651となり、平坦部63、前側傾斜部64及び後側傾斜部65の下面は、それぞれ連続した下側ガイド面632,642,652となる。平坦部63において上側ガイド面631は下側ガイド面632と略平行に延び、前側傾斜部64において、上側ガイド面641は下側ガイド面642と略平行に延び、後側傾斜部65において、上側ガイド面651は下側ガイド面652と略平行に延びる。
【0029】
図3に示すように、支持部材60が可動パネル40を全閉位置に配置させる姿勢を取るとき、規制部66は後方に進むに連れて上方に向かう方向に凹む凹部である。規制部66は、後側傾斜部65の下側ガイド面652と連続する上側ガイド面661と、上側ガイド面661に沿って延びる下側ガイド面662と、上側ガイド面661と下側ガイド面662との後端同士を接続する規制面663と、を含む。
【0030】
図3及び図5に示すように、押圧部62は、前後方向Yを長手方向とする板状をなしている。図3に示すように、押圧部62は、前端部及び後端部が支持され、長手方向における中央部が前端部及び後端部よりも下方に位置する。つまり、押圧部62は、下方に向かって膨らむように円弧状に湾曲する。また、本実施形態において、押圧部62は、「第1接触部」の一例に相当する。
【0031】
支持部材60は、従動シュー70を介して、ガイドレール31に係合する。支持部材60は、従動シュー70と駆動シュー80とにより、ガイドレール31に対して移動可能に構成される。また、一対の支持部材60は、可動パネル40の一対の固定ブラケット42にそれぞれ固定される。つまり、一対の支持部材60は、可動パネル40の幅方向Xにおける両端縁に沿って可動パネル40を支持する。
【0032】
続いて、従動シュー70について説明する。
従動シュー70は、例えば、樹脂からなる。図3に示すように、従動シュー70は、ガイドレール31の摺動溝311に係合するため、ガイドレール31の長手方向と直交する方向への移動が制限される。従動シュー70は、支持部材60の先端部を幅方向Xに延びる軸線回りに回転可能に支持する。こうして、支持部材60は、従動シュー70とともにガイドレール31に沿って移動したり、従動シュー70に対して幅方向Xに延びる軸線回りに回動したりする。
【0033】
続いて、駆動シュー80について説明する。
図6に示すように、駆動シュー80は、ガイドレール31と摺動する摺動部81と、支持部材60と係合する本体部82と、本体部82を幅方向Xに貫通するガイド軸83と、摺動部81に装着される弾性体84と、有する。
【0034】
摺動部81は、樹脂材料からなる。摺動部81は、ガイドレール31の摺動溝311の幅方向Xにおける内方に配置される第1摺動部811と、幅方向Xにおける外方に配置される第2摺動部812と、第1摺動部811及び第2摺動部812を幅方向Xに接続する中間部813と、ケーブル100の一端を保持するケーブル保持部814と、を含む。中間部813は、平板状をなしている。図5に示すように、中間部813には、厚さ方向に係合孔815が貫通形成される。
【0035】
本体部82は、金属板をプレス加工することにより成形される部位である。一例として、本体部82と摺動部81とは、インサート成形により一体化される。図4に示すように、本体部82は、矩形板状をなす下壁821と、下壁821の幅方向Xにおける両端から上方にそれぞれ延びる一対の側壁822と、一対の側壁822の上端から幅方向Xにそれぞれ延びる一対の係合壁823と、を有する。
【0036】
下壁821,一対の側壁822及び一対の係合壁823は板状をなしている。下壁821は、摺動部81に被覆される部位である。図4に示すように、側壁822には、ガイド軸83が挿入される連結孔824が幅方向Xに貫通形成される。図6に示すように、係合壁823は、幅方向Xにおける側面視において円弧状に湾曲する。詳しくは、係合壁823は、前後方向Yにおける中間部813が、前端部及び後端部よりも下方に位置するように湾曲する。一対の係合壁823は、一対の側壁822から互いに接近する方向にそれぞれ延びる。幅方向Xにおいて一対の係合壁823の間には隙間が形成される。ガイド軸83は、一対の側壁822を幅方向Xに連結する。
【0037】
駆動シュー80において、一対の係合壁823とガイド軸83と上下方向Zの間隔は、支持部材60のガイド部61の上下方向Zにおける長さと略等しい。また、駆動シュー80のガイド軸83の外径は、支持部材60の規制部66の上側ガイド面661及び下側ガイド面662の間隔と略等しい。
【0038】
図7及び図8に示すように、弾性体84は平面視において略長方形状をなしている。弾性体84の説明では、弾性体84を平面視した形状において、長手方向を第1方向D1とし、短手方向を第2方向D2とし、第1方向D1及び第2方向D2の両方向と直交する方向を第3方向D3とする。本実施形態において、弾性体84は、「第2接触部」の一例に相当し、例えば、ゴム又は樹脂などのエラストマーからなる一体物である。このため、弾性体84の弾性率は、押圧部62の弾性率よりも小さい。
【0039】
弾性体84は、矩形板状をなす複数の弾性壁841と、複数の弾性壁841の第1方向D1における両端部を保持する一対の保持壁842と、複数の弾性壁841の第3方向D3における一方側に配置される底壁843と、底壁843から第3方向D3に突出する係合部844と、を有する。
【0040】
弾性壁841は、第2方向D2における正面視において、第1方向D1を長手方向とし第3方向D3を短手方向とする矩形状をなしている。複数の弾性壁841は、第2方向D2に等間隔に配置される。複数の弾性壁841の形成間隔は、弾性壁841の第2方向D2における厚さよりも長い。本実施形態では、弾性体84は、3つの弾性壁841を有するが、2以下の弾性壁841を有してもよいし、4以上の弾性壁841を有してもよい。また、弾性壁841の第1方向D1における長さは、支持部材60の押圧部62の幅方向Xにおける長さよりも長い。
【0041】
一対の保持壁842は、弾性壁841の第1方向D1における両端部にそれぞれ接続している。第2方向D2において、保持壁842の厚さは、弾性壁841の厚さよりも厚くなっている。言い換えれば、第2方向D2において、弾性壁841の厚さは、保持壁842の厚さよりも薄くなっている。係合部844は、底壁843を挟んで弾性壁841とは反対側に形成される。
【0042】
また、弾性体84には、第2方向D2に隣り合う弾性壁841の間に凹部845が形成される。凹部845は、第1方向D1における中央部が最も深く、第1方向D1における端部に向かうにつれて次第に浅くなる。詳しくは、図8に示すように、凹部845は、第3方向D3と直交する第1底面846と、第1方向D1及び第3方向D3の両方向と交差する一対の第2底面847と、を含む。一対の第2底面847は、第1底面846の第2方向D2における両端から延びる。
【0043】
図5及び図6に示すように、弾性体84は、第1方向D1が幅方向Xとなり、第2方向D2が前後方向Yとなり、第3方向D3が上下方向となるように、摺動部81に装着される。このとき、係合部844を摺動部81の係合孔815に向けた状態で弾性体84を摺動部81に押し付けることで、係合部844が弾性変形しつつ摺動部81の係合孔815に挿入する。すると、弾性体84の係合部844と底壁843とが、中間部813の係合孔815の周縁部分を上下方向に挟むことで、係合部844が摺動部81から容易に取り外れなくなる。その一方で、摺動部81に上向きの所定の荷重を作用させることで、係合部844が弾性変形しつつ摺動部81の係合孔815から抜ける。この点で、本実施形態の弾性体84は、摺動部81に対して着脱自在に構成されているといえる。
【0044】
図3に示すように、駆動シュー80は、摺動部81、詳しくは、第1摺動部811及び第2摺動部812がガイドレール31の摺動溝311に配置されることで、ガイドレール31の長手方向への移動が許容され、ガイドレール31の長手方向と直交する方向への移動が制限される。駆動シュー80は、ケーブル100が摺動部81をガイドレール31に沿って押し引きすることで、ガイドレール31に沿って移動する。また、図4に示すように、駆動シュー80は、駆動シュー80の一対の側壁822と一対の係合壁823とガイド軸83とに囲まれる領域に、支持部材60のガイド部61が挿入されることにより、支持部材60と係合する。
【0045】
本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、駆動シュー80が第1の位置P1に位置する場合、駆動シュー80の係合壁823及びガイド軸83が支持部材60の平坦部63の上側ガイド面631及び下側ガイド面632にそれぞれ係合する。駆動シュー80が第1の位置P1に位置する場合、可動パネル40は全閉位置に位置する。本実施形態において、駆動シュー80の位置は、ガイド軸83の中心位置を基準としている。
【0046】
図9に示すように、駆動シュー80が第1の位置P1から後方に移動する場合、駆動シュー80の一対の係合壁823が支持部材60の後側傾斜部65の上側ガイド面651と摺動する。このとき、駆動シュー80は、一対の係合壁823で後側傾斜部65を押し下げながら後方に移動する。続いて、駆動シュー80のガイド軸83が規制部66の下側ガイド面662と摺動する。このとき、駆動シュー80は、ガイド軸83で規制部66を押し下げながら後方に移動する。
【0047】
したがって、支持部材60は、前端部に対して後端部が下降するように前端部を中心に回動し、可動パネル40は、チルトダウン作動する。そして、図9に示すように、駆動シュー80が第2の位置P2に到達すると、駆動シュー80のガイド軸83が規制部66の規制面663に接触し、駆動シュー80が支持部材60に対して相対的に後方に移動できなくなる。また、駆動シュー80が第2の位置P2に到達すると、可動パネル40がチルトダウン位置に位置する。
【0048】
ここで、駆動シュー80が第1の位置P1から後方に移動する場合、支持部材60の押圧部62が駆動シュー80の弾性体84に接近する。押圧部62と弾性体84とが接近する方向は、幅方向Xと直交する方向である。詳しくは、押圧部62を有する支持部材60の移動方向である回動方向と、弾性体84を有する駆動シュー80の移動方向である後方向と、を足し合わせた方向である。
【0049】
駆動シュー80のガイド軸83が支持部材60の規制部66の下側ガイド面662と摺動する場合には、支持部材60の押圧部62と駆動シュー80の弾性体84とが接触する。さらに、支持部材60の押圧部62が駆動シュー80の弾性体84を押圧する。駆動シュー80が第2の位置P2に到達すると、図10及び図11に示すように、複数の弾性壁841において、押圧部62に押圧される部分が前方に倒れるように変位し、押圧部62に押圧されない部分が押圧部62に押圧される部分に追従するように幅方向Xに変位する。つまり、支持部材60の押圧部62が、弾性体84によって幅方向Xから挟まれることにより、押圧部62が弾性体84に対して幅方向Xに変位しにくくなる。すなわち、支持部材60が駆動シュー80に対して幅方向Xに変位しにくくなる。
【0050】
図9に示すように、駆動シュー80が第2の位置P2から後方に移動する場合、駆動シュー80とともに支持部材60が後方に移動する。このため、支持部材60は、ガイドレール31に沿って後方に移動し、可動パネル40が後方にスライド作動する。そして、駆動シュー80の移動範囲において最も後方の第3の位置P3に到達すると、可動パネル40が全開位置に位置する。
【0051】
駆動シュー80が第2の位置P2から第3の位置P3に向かって後方に移動する場合には、支持部材60の押圧部62が駆動シュー80の弾性体84によって幅方向Xから挟まれるとともに、支持部材60の押圧部62が駆動シュー80の弾性体84を下方に押圧している。このため、駆動シュー80が支持部材60と一体となって後方に移動する。
【0052】
図9に示すように、駆動シュー80が第3の位置P3から前方に移動する場合、駆動シュー80とともに支持部材60が前方に移動する。このため、支持部材60は、ガイドレール31に沿って前方に移動し、可動パネル40が前方にスライド作動する。そして、駆動シュー80が第2の位置P2に到達すると、可動パネル40がチルトダウン位置に位置する。
【0053】
なお、駆動シュー80が第3の位置P3から第2の位置P2に向かって前方に移動する場合も、駆動シュー80が第2の位置P2から第3の位置P3に向かって後方に移動する場合と同様に、駆動シュー80が支持部材60と一体となって移動する。
【0054】
図9に示すように、駆動シュー80が第2の位置P2から前方に移動する場合、駆動シュー80のガイド軸83が規制部66の上側ガイド面661と摺動する。このとき、駆動シュー80は、ガイド軸83で規制部66を押し上げながら前方に移動する。続いて、駆動シュー80のガイド軸83が支持部材60の後側傾斜部65の下側ガイド面652と摺動する。このとき、駆動シュー80は、ガイド軸83で後側傾斜部65を押し上げながら前方に移動する。
【0055】
したがって、支持部材60は、前端部に対して後端部が上昇するように前端部を中心に回動し、可動パネル40は、チルトアップ作動する。そして、駆動シュー80が第1の位置P1に到達すると、可動パネル40が全閉位置に位置する。
【0056】
ここで、駆動シュー80が第2の位置P2から前方に移動する場合、支持部材60の押圧部62が駆動シュー80の弾性体84から離れる。特に、駆動シュー80のガイド軸83が支持部材60の規制部66の上側ガイド面661と摺動する場合には、支持部材60の押圧部62と駆動シュー80の弾性体84との干渉量が徐々に減少する。このため、駆動シュー80の弾性体84において、支持部材60に押圧されなくなる部分が次第に復元する。また、支持部材60の押圧部62が駆動シュー80の弾性体84から離れることで、駆動シュー80と支持部材60とが別々に動くことが可能となる。
【0057】
図示を省略するが、駆動シュー80が第1の位置P1から前方に移動する場合、駆動シュー80のガイド軸83が支持部材60の前側傾斜部64の下側ガイド面642と摺動する。このとき、駆動シュー80は、ガイド軸83で前側傾斜部64を押し上げながら、前方に移動する。このため、支持部材60は、前端部に対して後端部が上昇するように前端部を中心に回動し、可動パネル40は、チルトアップ作動する。そして、図3に示す第4の位置P4に到達すると、可動パネル40がチルトアップ位置に位置する。
【0058】
一方、駆動シュー80が第4の位置P4から後方に移動する場合、駆動シュー80の一対の係合壁823が支持部材60の前側傾斜部64の上側ガイド面641と摺動する。このとき、駆動シュー80は、一対の係合壁823で前側傾斜部64を押し下げながら、後方に移動する。このため、支持部材60は、前端部に対して後端部が下降するように前端部を中心に回動し、可動パネル40は、チルトダウン作動する。そして、駆動シュー80が第1の位置P1に到達すると、可動パネル40が全閉位置に位置する。
【0059】
本実施形態の効果について説明する。
(1)サンルーフ装置20は、駆動シュー80が第2の位置P2及び第3の位置P3の間に位置する場合、押圧部62が弾性体84を幅方向Xと直交する方向に押圧するため、弾性体84において、押圧部62に押圧される部分が幅方向Xと直交する方向に弾性変形し、弾性体84において、押圧部62に押圧されない部分が押圧部62を幅方向Xに挟む。このため、駆動シュー80が第2の位置P2及び第3の位置P3の間に位置する場合、弾性体84に対する押圧部62の相対的な移動が制限される点で、駆動シュー80に対する支持部材60の相対的な動きが制限される。その結果、駆動シュー80が第2の位置P2から第3の位置P3に移動する際に、支持部材60が駆動シュー80と一体となって移動しやすくなる。こうして、サンルーフ装置20は、可動パネル40を円滑に作動できる。
【0060】
(2)弾性体84において、弾性壁841の前後方向Yにおける厚さは、保持壁842の前後方向Yにおける厚さよりも薄い。このため、サンルーフ装置20は、弾性壁841の厚さが薄くなる点で、押圧部62に押圧される弾性壁841を大きく変形させることができる。このため、サンルーフ装置20は、弾性壁841において、押圧部62に押圧されない部分で押圧部62を幅方向Xから挟みやすくなる。
【0061】
(3)弾性体84は、前後方向Yに並ぶ複数の弾性壁841を有する。このため、サンルーフ装置20は、複数の弾性壁841のうちの一部の弾性壁841に問題が生じても、他の弾性壁841により、支持部材60の姿勢を保持するという弾性体84の機能を果たすことができる。
【0062】
(4)弾性体84は、駆動シュー80の摺動部81に対して、着脱自在に構成される。このため、サンルーフ装置20は、駆動シュー80に対して弾性体84を交換しやすくなる。
【0063】
(5)押圧部62は、前後方向Yに延びるとともに、下方に膨らむように円弧状に湾曲する。このため、サンルーフ装置20において、押圧部62は、弾性体84を押圧する際の反力により変形しやすくなる。この点で、サンルーフ装置20は、押圧部62により、弾性体84が過度に圧縮されることを抑制できる。
【0064】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・押圧部62の形状及び形成位置は適宜に変更可能である。例えば、支持部材60は、後端部で弾性体84を押圧可能であれば、明確な押圧部を有しなくてもよい。
【0065】
・押圧部62は、押圧部62の下面を粗面としてもよい。これによれば、押圧部62が弾性体84を押圧する際に、押圧部62と弾性体84との摩擦力が高まり、押圧部62と弾性体84とが相対的に動きにくくなる。
【0066】
・弾性体84の形状及び押圧部62の形状は、適宜に変更することが可能である。
・弾性体84は、図12に示す弾性体85としてもよい。図12に示すように弾性体85は、上壁851と、一対の連結壁852と、底壁853と、係合部844と、を有する。
【0067】
上壁851及び底壁853は、第3方向D3における平面視において、矩形板状をなしている。詳しくは、上壁851及び底壁853は、第3方向D3における平面視において、第1方向D1を長手方向とし第2方向D2を短手方向とする矩形状をなしている。上壁851及び底壁853の第1方向D1における長さは、駆動シュー80の押圧部62の幅方向Xにおける長さよりも長い。一対の連結壁852は、矩形板状をなしている。一対の連結壁852は、上壁851及び底壁853の第1方向D1における両端部同士を第3方向D3にそれぞれ接続している。第2方向D2における正面視において、上壁851、一対の連結壁852及び底壁853の間には、略直方体状をなす空間SPが形成されている。弾性体85は、上記実施形態と同じく、ゴム又は樹脂などのエラストマーからなる一体物であることが好ましい。
【0068】
弾性体85は、第1方向D1が幅方向Xとなり、第2方向D2が前後方向Yとなり、第3方向D3が上下方向となるように、摺動部81に装着される。そして、弾性体85は、押圧部62に押圧される場合、上壁851のうち押圧部62に押圧される中央部が空間SPに逃げるように下方に変位するとともに、上壁851のうち押圧部62に押圧されない側部が中央部に追従するように変位する。その結果、弾性体85は、押圧部62を幅方向Xに挟むことが可能となる。
【0069】
・弾性体84は、押圧部62の押圧により、十分に変形できる弾性率を有しているのであれば、単に直方体状をなす弾性体84としてもよい。
・上記実施形態では、支持部材60が押圧部62を有し、駆動シュー80が弾性体84を有したが、支持部材60が弾性体84を有し、駆動シュー80が押圧部62を有する構成とすることも可能である。この場合、弾性体84は、支持部材60において着脱自在に構成されることが好ましい。
【0070】
・駆動シュー80が第1の位置P1から第2の位置P2に移動する際の押圧部62と弾性体84との相対的な接近方向は、支持部材60の規制部66の下側ガイド面662の傾きに応じて変化する。このため、下側ガイド面662の傾きを変更することで、押圧部62の弾性体84に対する押圧方向を、弾性体84が押圧部62をより挟むように変形できる押圧方向に変化させてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…車両、11…ルーフ開口部、12…ルーフ、20…サンルーフ装置、30…ベースフレーム、31…ガイドレール、311…摺動溝、32…フロントハウジング、40…可動パネル、41…透光パネル、42…固定ブラケット、50…駆動装置、60…支持部材、61…ガイド部、62…押圧部(第1接触部の一例)、63…平坦部、631…上側ガイド面、632…下側ガイド面、64…前側傾斜部、641…上側ガイド面、642…下側ガイド面、65…後側傾斜部、651…上側ガイド面、652…下側ガイド面、66…規制部、661…上側ガイド面、662…下側ガイド面、663…規制面、70…従動シュー、80…駆動シュー、81…摺動部、811…第1摺動部、812…第2摺動部、813…中間部、814…ケーブル保持部、815…係合孔、82…本体部、821…下壁、822…側壁、823…係合壁、824…連結孔、83…ガイド軸、84…弾性体(第2接触部の一例)、841…弾性壁、842…保持壁、843…底壁、844…係合部、845…凹部、846…第1底面、847…第2底面、85…弾性体、851…上壁、852…連結壁、853…底壁、90…モータ、100…ケーブル、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、P1…第1の位置、P2…第2の位置、P3…第3の位置、P4…第4の位置、SP…空間、X…車両幅方向、Y…車両上下方向、Z…車両上下方向。
図1
図2
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図8
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図10
図11
図12