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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20231121BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20231121BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20231121BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20231121BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B26D7/18 E
B65H37/04 Z
B65H5/36
B26D1/08
B26D7/06 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019168950
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021045808
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角田 旭
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-205309(JP,A)
【文献】特開2009-269157(JP,A)
【文献】特開平07-172080(JP,A)
【文献】特開2017-144544(JP,A)
【文献】特開2017-213643(JP,A)
【文献】特開2010-207966(JP,A)
【文献】米国特許第05377569(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B65H 37/04
B65H 5/36
B26D 1/08
B26D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を挟んで上下に配される一対の断裁刃を有し、前記搬送路に沿って搬送されるシートの一部を断裁屑として切り落とすことの可能な断裁部と、
前記一対の断裁刃がシートを断裁する断裁位置において、下側の断裁刃の先端部斜面に沿う方向に風を送る送風部と、
を備え
前記断裁位置の上方には、発生した断裁屑の飛散を抑制する屑ガイド面を有するガイド部を備え、
前記ガイド部は、
前記搬送路に沿って搬送されるシートをガイドするための搬送ガイド面と、
前記搬送ガイド面と前記屑ガイド面のいずれか一方が機能する位置となるように、前記ガイド部を動かす可変機構と、を有し、
前記可変機構を制御する位置制御部を備えることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記断裁部に対してシートの搬送方向の上流側に配され、
前記断裁部は、前記下側の断裁刃が、上側の断裁刃に対してシートの搬送方向の上流側となるように設置され、
前記位置制御部は、前記断裁部によりシートの搬送方向後端部が切り落とされる場合、前記屑ガイド面が機能する位置となるよう前記可変機構を制御することを特徴とする請求項に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記断裁部に対してシートの搬送方向の上流側に配され、
前記断裁部は、前記下側の断裁刃が、上側の断裁刃に対してシートの搬送方向の上流側となるように設置され、
前記位置制御部は、前記断裁部によりシートの搬送方向先端部が切り落とされる場合、前記搬送ガイド面が機能する位置となるよう前記可変機構を制御することを特徴とする請求項又はに記載の後処理装置。
【請求項4】
搬送路を挟んで上下に配される一対の断裁刃を有し、前記搬送路に沿って搬送されるシートの一部を断裁屑として切り落とすことの可能な断裁部と、
前記一対の断裁刃がシートを断裁する断裁位置において、下側の断裁刃の先端部斜面に沿う方向に風を送る送風部と、
を備え、
前記断裁位置の上方には、発生した断裁屑の飛散を抑制する屑ガイド面を有するガイド部を備え、
前記ガイド部に対して上方から風を送る補助送風部を備え、
前記屑ガイド面には、前記補助送風部から送られた風を下方に抜けさせる開口が形成されていることを特徴とする後処理装置。
【請求項5】
前記補助送風部の風量は、前記送風部の風量より少ないことを特徴とする請求項に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記送風部は、前記断裁位置に送られる風の風量を調整する調整機構を有し、
シートの搬送方向における断裁部位に応じて、前記調整機構を制御して、前記断裁位置に送られる風の風量を調整する風量制御部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記風量制御部は、前記断裁部によりシートの搬送方向先端部が切り落とされる場合、前記調整機構を制御して、前記断裁位置に送られる風を停止又は当該風の風量を設定値よりも少なくすることを特徴とする請求項に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記調整機構は、風の流通経路を開閉可能なシャッター部材を備えることを特徴とする請求項又はに記載の後処理装置。
【請求項9】
前記屑ガイド面には、リブが備えられることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項10】
下側の断裁刃には、当該下側の断裁刃の先端部からその上端部が浮くよう配された板体が備えられることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項11】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
請求項1から1のいずれか一項に記載の後処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置により画像が形成されたシートに対し、シートの端部を断裁したり、シートを複数の領域に分割したりする断裁処理を施す後処理装置が利用されている。後処理装置は、上刃及び下刃を有する断裁部を備え、断裁部の下方には、断裁により発生した断裁屑を収納するための屑箱が設置されている。
【0003】
かかる後処理装置においては、断裁により発生した断裁屑は円滑に屑箱に回収されるのが好ましく、断裁屑の落下を促進するため、例えば、上刃と下刃の擦り合わせ面側において、下刃に向けて上方から空気を吹き付ける技術などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-205309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、単に上方から風を吹き付けるだけでは、静電気が帯電した用紙に対しては効果が不十分であった。特に、断裁屑のカット幅(FD長:搬送方向の長さ)が短いと、断裁部の下刃に静電吸着してしまい落下不良となる可能性が高い。下刃に静電吸着した断裁屑を安定して落下させるために風量を上げることも考えられるが、かなりの風量が必要となる場合もあり、その風によって断裁処理で作成された成果物の先端が下方向(屑落下方向)に吹き付けられ、搬送不良となるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、断裁処理により発生した断裁屑の落下不良と、作成された成果物の搬送不良の発生を防止することのできる後処理装置及び画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の後処理装置は、
搬送路を挟んで上下に配される一対の断裁刃を有し、前記搬送路に沿って搬送されるシートの一部を断裁屑として切り落とすことの可能な断裁部と、
前記一対の断裁刃がシートを断裁する断裁位置において、下側の断裁刃の先端部斜面に沿う方向に風を送る送風部と、
を備え
前記断裁位置の上方には、発生した断裁屑の飛散を抑制する屑ガイド面を有するガイド部を備え、
前記ガイド部は、
前記搬送路に沿って搬送されるシートをガイドするための搬送ガイド面と、
前記搬送ガイド面と前記屑ガイド面のいずれか一方が機能する位置となるように、前記ガイド部を動かす可変機構と、を有し、
前記可変機構を制御する位置制御部を備えることを特徴とする。
また、本発明の後処理装置は、
搬送路を挟んで上下に配される一対の断裁刃を有し、前記搬送路に沿って搬送されるシートの一部を断裁屑として切り落とすことの可能な断裁部と、
前記一対の断裁刃がシートを断裁する断裁位置において、下側の断裁刃の先端部斜面に沿う方向に風を送る送風部と、
を備え、
前記断裁位置の上方には、発生した断裁屑の飛散を抑制する屑ガイド面を有するガイド部を備え、
前記ガイド部に対して上方から風を送る補助送風部を備え、
前記屑ガイド面には、前記補助送風部から送られた風を下方に抜けさせる開口が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成システムは、
シートに画像を形成する画像形成装置と、
上記後処理装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、断裁処理により発生した断裁屑の落下不良と、作成された成果物の搬送不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態における画像形成システムの構成図である。
図2】CD断裁部の要部構成を示す拡大図である。
図3】(a)は、ギロチンカッターの斜視図であり、(b)は、ギロチンカッターの下刃の中央部の拡大図であり、(c)は、(b)のc-c線における断面図である。
図4】上流ガイド部の斜視図である。
図5】屑ガイド部の斜視図である。
図6】送風部について説明するための図である。
図7】画像形成システムの機能的構成を示すブロック図である。
図8】断裁モードを説明するための図である。
図9】用紙先端部を断裁する際のCD断裁部の動きを説明するための図である。
図10】用紙後端部を断裁する際のCD断裁部の動きを説明するための図である。
図11】用紙中央部を断裁する際のCD断裁部の動きを説明するための図である。
図12】ジャム処理時のCD断裁部の動きを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0012】
<構成>
図1は、本発明の実施の形態における画像形成システム1の構成図である。画像形成システム1は、シートとしての用紙に画像を形成する画像形成装置10と、画像形成装置10により画像が形成された用紙に断裁処理を施す後処理装置20と、を備えて構成されている。
なお、本発明における画像形成システム1は、それぞれ別体で構成された画像形成装置10と後処理装置20とが連結されている場合と、それらが一体で構成されている場合との両方を含み得る。
【0013】
画像形成装置10は、操作表示部18から入力された操作指示、又は、通信ネットワークを介してPC(Personal Computer)等から受信した画像形成指示に従って、用紙に画像を形成する。画像形成装置10は、画像形成後の用紙を後処理装置20に搬出する。
画像形成装置10は、給紙部15、画像読取部16、画像形成部17、操作表示部18等を備える。
【0014】
給紙部15は、サイズ、種類(紙種)、坪量等が異なる用紙を収納可能な複数の給紙トレイT1~T3を備え、指定された給紙トレイT1~T3に収納されている用紙を画像形成部17に供給する。
【0015】
画像読取部16は、原稿を読み取り、画像データを生成する。具体的には、画像読取部16は、光源から照射され、原稿で反射された反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等により読み取る。
【0016】
画像形成部17は、用紙上に画像を形成する。画像形成部17は、感光体を帯電部で帯電させ、画像データに基づいて露光部により発せられたレーザービームにより感光体を露光走査して静電潜像を形成し、現像部により静電潜像をトナーで現像し、転写部によりトナー像を用紙に転写し、定着部により用紙にトナー像を定着させる。
【0017】
操作表示部18は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、各種画面を表示する表示部と、表示部に積層されたタッチパネルや各種キーにより構成される操作部と、を備える。操作表示部18は、タッチ操作やキー操作により入力された操作信号をCPU(Central Processing Unit)11(図7参照)に出力する。
【0018】
後処理装置20は、用紙に対して断裁処理を施す断裁機である。後処理装置20は、画像形成装置10から搬入された用紙に対して必要に応じて断裁処理を施し、断裁処理により作成された成果物を排紙トレイT11,T12又はカードトレイT13に排出する。
後処理装置20は、搬送路D1、断裁部26、センサー27、屑箱29等を備える。
【0019】
搬送路D1には、搬送路D1から分岐し、その下流において合流する長尺紙搬送路D2が設けられている。長尺紙搬送路D2は、長尺紙を搬送する際にバッファーとして用いられる。
【0020】
断裁部26は、搬送される用紙を断裁する断裁処理を行う。断裁部26は、用紙の搬送路D1の複数の位置に、FD断裁部26a,26b、CD断裁部100を備える。
FD断裁部26a,26bは、用紙を搬送方向(Feed Direction)に沿って断裁するスリッターである。FD断裁部26aは、用紙の搬送方向と直交する方向における端部(奥側・手前側)を断裁する天地スリッターを備える。FD断裁部26bは、用紙の搬送方向と直交する方向に隣接する成果物同士の間の余白を断裁するドブ断ちスリッターを備える。
CD断裁部100は、用紙を搬送方向と直交する方向(Cross Direction)に沿って断裁するギロチンカッターを備える。
【0021】
FD断裁部26a,26b、CD断裁部100は、断裁モードに応じて使用の有無が決定される。断裁モードとは、断裁種類、用紙のサイズ、種類、坪量等よって決定される断裁制御方法のことをいう。
【0022】
なお、断裁部26を構成するFD断裁部26a,26b、CD断裁部100のそれぞれがモジュール化され、後処理装置20の本体に対して着脱可能とされていてもよい。この場合、各モジュールの配置順も入れ替え可能である。
【0023】
センサー27は、屑箱29内の深さ方向(図1に示すZ方向)における所定の位置で断裁屑を検知し、検知結果をCPU21(図7参照)に出力する。すなわち、センサー27は、屑箱29内に断裁屑がある程度の量まで積載されたことを検知する。
【0024】
屑箱29は、断裁部26の下方に設置されており、断裁部26による断裁動作で発生し、断裁部26から落下する断裁屑を収納する。ユーザーは、後処理装置20の扉を開けて屑箱29を取り出し、屑箱29内の断裁屑を廃棄する。
【0025】
ここで、CD断裁部100の詳細構成について説明する。
図2は、CD断裁部100の要部構成を示す拡大図である。
図2に示すように、CD断裁部100は、例えば、搬送路D1のCD方向に沿って延在する上刃101a及び下刃101bを備えるギロチンカッター101と、FD方向において下刃101bの上流側に設けられる上流ガイド部103と、FD方向において下刃101bの下流側に設けられる下流ガイド部104と、搬送路D1を挟んで上流ガイド部103と対向する位置に設けられる屑ガイド部105と、上刃101a及び下刃101bによる用紙の断裁位置付近に風を吹き付ける送風部106と、断裁位置付近に補助的に風を吹き付ける補助送風部108(図6参照)と、を備える。
【0026】
図3(a)は、ギロチンカッター101の斜視図であり、図3(b)は、ギロチンカッター101の下刃101bの中央部の拡大図であり、図3(c)は、図3(b)のc-c線における下刃101bの断面図である。
図3(a)に示すように、ギロチンカッター101は、搬送路D1の上方に配置される上刃101aと、搬送路D1の下方に配置される下刃101bとを備える。ギロチンカッター101は、その長手方向が搬送路D1に直交する方向に沿うように配置され、固定された下刃101bに対して、上刃101aが下方向に移動することで、上刃101aと下刃101bの刃に挟まれた断裁位置にて用紙が断裁される。
図3(b)に示すように、下刃101bの長手方向の中央部には、断裁により発生した断裁屑の貼り付きを防止するための補助部材である板体102が備えられている。
図3(c)に示すように、板体102は、下刃101bの上端部に備えられ、板体102の上端部102aが、下刃101bの先端部斜面(すくい面)101cから浮くように設置されている。これにより、下刃101bと発生した断裁屑の間に隙間ができ、断裁屑が下刃101bに貼り付くのが防止されるようになっている。
【0027】
図4は、上流ガイド部103の斜視図である。
図4に示すように、上流ガイド部103は、搬送ガイド部103aと、落下経路形成部103bとを備える長尺な部材であり、搬送ガイド部103aと落下経路形成部103bのいずれか一方が機能する位置となるように、当該上流ガイド部103を動かす(揺動させる)可変機構103c(図2参照)を備える。
上流ガイド部103は、搬送路D1の下方において、下刃101bよりもFD方向の上流側に、その長手方向がCD方向に沿うように設置される。
上流ガイド部103は、回転軸R1(図2参照)周りに揺動可能であり、用紙の搬送ガイドとして機能するための「搬送ガイドポジション」と、断裁屑の搬送経路(落下経路)を形成するための「経路形成ポジション」と、のいずれかになることができる。
【0028】
「搬送ガイドポジション」とは、上流ガイド部103の搬送ガイド部103aが、搬送路D1に沿って平行な配置となるポジションである。「経路形成ポジション」とは、上流ガイド部103が「搬送ガイドポジション」から反時計回りに所定角度回転することで、下刃101bの上流側において搬送路D1に断裁屑の搬送経路となる空間が形成されるポジションである。
また、図4に示すように、上流ガイド部103には、上下方向に延在するリブ103dが、長手方向において所定間隔ごとに設けられ、搬送経路を落下する断裁屑が貼り付くのが防止されるようになっている。
また、可変機構103cは、例えば、上流ガイド部103を軸支する回転軸R1、及び回転軸R1を回転させるモーターなどを備え、CPU21の制御の下、上述のように上流ガイド部103を揺動させる。
【0029】
図2に戻って、下流ガイド部104は、搬送ガイド部104aと、落下経路形成部104bとを備える長尺な部材であり、搬送ガイド部104aと落下経路形成部104bのいずれか一方が機能する位置となるように、当該下流ガイド部104を動かす(揺動させる)可変機構104cを備える。
下流ガイド部104は、搬送路D1の下方において、下刃101bよりもFD方向の下流側に、その長手方向がCD方向に沿うように設置される。
下流ガイド部104は、回転軸R2周りに揺動可能に構成され、用紙の搬送ガイドとして機能するための「搬送ガイドポジション」と、断裁屑の搬送経路(落下経路)を形成するための「経路形成ポジション」と、上刃101aの動作を避けるための「退避ポジション」と、のいずれかになることができる。
【0030】
「搬送ガイドポジション」とは、下流ガイド部104の搬送ガイド部104aが、搬送路D1に沿って平行な配置となるポジションである。「経路形成ポジション」とは、下流ガイド部104が「搬送ガイドポジション」から時計回りに所定角度回転することで、下刃101b下流側において搬送路D1に断裁屑の搬送経路となる空間が形成されるポジションである。「退避ポジション」とは、「経路形成ポジション」よりも下流ガイド部104の回転角度が小さく、搬送路D1から搬送ガイド部104aが退避した状態となったポジションである。
また、可変機構104cは、例えば、下流ガイド部104を軸支する回転軸R2、及び回転軸R2を回転させるモーターなどを備え、CPU21の制御の下、上述のように下流ガイド部104を揺動させる。
【0031】
図5は、屑ガイド部105の斜視図である。
図5に示すように、屑ガイド部105は、搬送ガイド面105aと、屑ガイド面105bとを備える長尺な部材であり、搬送ガイド面105aと屑ガイド面105bのいずれか一方が機能する位置となるように、当該屑ガイド部105を動かす(揺動させる)可変機構105cを備える。
屑ガイド部105は、搬送路D1の上方において、上刃101aよりもFD方向の上流側に、その長手方向がCD方向に沿うように設置される。屑ガイド部105は、上流ガイド部103と概ね対向する位置に配される。
屑ガイド部105は、回転軸R3(図2参照)周りに揺動され、用紙の搬送ガイドとして機能するための「搬送ガイドポジション」と、断裁屑の舞い上がりを抑えるための「屑ガイドポジション」と、ジャム発生時にジャム処理を可能とさせるための「ジャム処理ポジション」と、のいずれかになることができる。
【0032】
「搬送ガイドポジション」とは、屑ガイド部105の搬送ガイド面105aが、搬送路D1に沿って平行な配置となるポジションである。「屑ガイドポジション」とは、屑ガイド部105の「搬送ガイドポジション」から反時計回りに所定角度回転することで、下刃101bの上方に当該下刃101bを覆うガードを形成するポジションである。「ジャム処理ポジション」とは、屑ガイド部105の「搬送ガイドポジション」から時計回りに所定角度回転することで、下刃101bの上流側にジャム処理用の空間を形成するポジションである。
【0033】
また、図5に示すように、屑ガイド面105bには、上下方向に延在するリブ105dが、長手方向において所定間隔ごとに設けられ、断裁屑が貼り付くのが防止されるようになっている。
また、屑ガイド面105bには、開口105eが形成され、開口105eを介して上方からの風が抜けるようになっており、風を吹き付けて断裁屑の姿勢が垂直になるのを防止可能となっている。
また、可変機構105cは、例えば、屑ガイド部105を軸支する回転軸R3、及び回転軸R3を回転させるモーターなどを備え、CPU21の制御の下、上述のように屑ガイド部105を揺動させる。
【0034】
図6は、送風部106及び補助送風部108について説明するための図である。
送風部106は、上刃101aと下刃101bの刃に挟まれた断裁位置に向けて、当該断裁位置の下流側斜め上方から送風するための機構である。
送風部106は、例えば、風を発生させるファン106aと、発生した風の流通経路である送風路106bと、送風路106bに設けられた調整機構としてのシャッター部材106cと、を備えている。
【0035】
ファン106aは、所定の風量の風を発生させられるものであればどのような構成であっても良い。すなわち、一のファンであっても良く、複数のファンを組み合わせても良い。
【0036】
送風路106bは、上刃101aと下刃101bの刃に挟まれた断裁位置に向けて、下流側斜め上方から風が吹き付けられるように設定されている。具体的には、上刃101aの下流側斜め上方から、断裁位置を通って下刃101bの先端部斜面(すくい面)101cに沿って風が流れるように、風の吹き付け方向が設定されている。このように風の流れを制御することで、断裁屑を落下させやすくすることができる。
【0037】
シャッター部材106cは、図示しない駆動部により、支点R4周りに揺動可能に構成され、送風路106bから風が流出する開位置と、送風路106bからの風が流出するのを遮断させる閉位置と、の間で動作することできる。図6は、シャッター部材106cが開位置の状態を示している。なお、シャッター部材106cが閉位置の状態は、例えば図2に示される。
こうしたシャッター部材106cの開閉動作により、断裁位置に向かった風の吹き付けを開始・停止させることができる。
【0038】
補助送風部108は、例えば、風を発生させる補助ファン108aを備えている。
補助ファン108aは、ファン106aよりも風量が少なく、ファン106aの送風路106bとは別の送風路を介して、下刃101bの設置された位置に上方から風を吹き付ける。
補助ファン108aから送られた風は、屑ガイド部105にぶつかり、屑ガイド部105の開口105eを抜けるようになっている。このため、断裁屑を落下させやすくすることができる。なお、補助ファン108aの送風路にも、シャッター部材106cと同様の調整機構(シャッター部材)を備え、断裁位置に向かった風の吹き付けを開始・停止させることができる。
【0039】
なお、上述の構成のうち、上流ガイド部103、下流ガイド部104、屑ガイド部105は、それぞれ独立して可動(揺動)するものであって、断裁モードに応じて所定のポジションとなる。
また、送風部106及び補助ファン108aからの送風も、断裁モードに応じて開始・停止される。
また、搬送路D1を挟んで下流ガイド部104と概ね対向する位置には、固定設置された搬送ガイド107(図2参照)が備えられている。
【0040】
図7は、画像形成システム1の機能的構成を示すブロック図である。
画像形成装置10は、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Unit)13、記憶部14、給紙部15、画像読取部16、画像形成部17、操作表示部18、通信I/F(InterFace)19等を備える。既に説明した機能部については、説明を省略する。
【0041】
CPU11は、ROM12に格納されたプログラムを読み出してRAM13に展開し、展開したプログラムとの協働によって画像形成装置10の各部の動作を制御する。
ROM12は、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、システムプログラム及びシステムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、各種データ等を記憶する。
RAM13は、揮発性の半導体メモリー等により構成され、CPU11により実行される各種処理において、ROM12から読み出されたプログラム、入力若しくは出力データ、及び、パラメーター等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0042】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶する。
通信I/F19は、NIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、後処理装置20やPCとの間でデータの送受信を行う。
【0043】
後処理装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、用紙搬送部25、断裁部26、センサー27、通信I/F28等を備える。
【0044】
CPU21、ROM22及びRAM23は、CPU21の制御対象が後処理装置20であることを除き、CPU11、ROM12及びRAM13と同様である。
【0045】
記憶部24は、HDDや不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶する。
【0046】
用紙搬送部25は、画像形成装置10から搬入された用紙を、排紙トレイT11,T12又はカードトレイT13に排出するまで搬送する。
通信I/F28は、NICやモデム等で構成され、画像形成装置10との間でデータの送受信を行う。
【0047】
<動作>
次に、断裁部26で実行される断裁処理について説明する。
ここで、図8(a)~(d)を参照して、断裁モードについて説明する。
図8(a)は、四方断裁モードにおける断裁例である。四方断裁モードは、用紙の四方の端部をそれぞれ断裁し、1枚の用紙から1枚の成果物を作成するモードである。具体的には、用紙のCD方向における両端部(奥側端部、手前側端部)は、FD断裁部26aにより断裁される。また、用紙のFD方向における先端側端部及び後端側端部は、CD断裁部100により断裁される。
【0048】
図8(b)~(d)は、複数断裁モードにおける断裁例である。複数断裁モードは、用紙の四方の端部に加え、用紙をFD方向又はCD方向に沿って1か所以上断裁し、1枚の用紙から複数枚の成果物を作成するモードである。
図8(b)に示すA4サイズの用紙をFD方向に2分割する複数断裁モードでは、用紙のCD方向における両端部(奥側端部、手前側端部)は、FD断裁部26aにより断裁される。また、用紙のFD方向における先端側端部及び後端側端部と、FD方向に隣接する成果物同士の間の余白は、CD断裁部100により断裁される。
【0049】
図8(c)に示すカード作成用の複数断裁モードでは、用紙のCD方向における両端部(奥側端部、手前側端部)は、FD断裁部26aにより断裁される。また、用紙のCD方向に隣接する成果物同士の間の余白は、FD断裁部26bにより断裁される。また、用紙のFD方向における先端側端部及び後端側端部と、FD方向に隣接する成果物同士の間の余白は、CD断裁部100により断裁される。
【0050】
図8(d)に示す名刺作成用の複数断裁モードでは、用紙のCD方向における両端部(奥側端部、手前側端部)は、FD断裁部26aにより断裁される。また、用紙のCD方向に隣接する成果物同士の間の余白は、FD断裁部26bにより断裁される。また、用紙のFD方向における先端側端部及び後端側端部と、FD方向に隣接する成果物同士の間の余白は、CD断裁部100により断裁される。
【0051】
なお、上記の断裁モードについて、成果物のサイズ、余白のサイズなどの細部は適宜設定可能であるのは勿論である。また、ここに挙げた例ではいずれも用紙の四方の端部を断裁しているが、用紙の端部を断裁しない設定とすることもできるし、隣接する成果物同士の間に余白を設けることなく断裁する設定とすることもできる。
【0052】
これらいずれも断裁モードにおいても、まず、用紙は、FD断裁部26a及び/又はFD断裁部26bによりFD方向に沿って断裁され、CD断裁部100に到達する。CD断裁部100においては、用紙の断裁したい箇所が、上刃101aと下刃101bの刃に挟まれた断裁位置に到達すると、搬送路D1の途中で用紙の搬送が一時停止し、ギロチンカッター101により用紙がCD方向に沿って断裁される。
【0053】
CD断裁部100では、CPU11及びCPU21(位置制御部、風量制御部)の制御の下、実行している断裁モードに応じて、すなわち、用紙のどの位置を断裁するかにより、CD断裁部100を構成する各部が所定の動作を行う。
以下、用紙の断裁位置に応じたCD断裁部100の各部の動作を説明する。
【0054】
図9は、用紙のFD方向の先端部を断裁する際の動きを説明するための図である。
図9に示すように、用紙先端部の断裁時には、図2に示す「搬送ガイドポジション」にあった下流ガイド部104が、ギロチンカッター101による用紙の断裁と同時に時計回りに回転(全回転)し、「経路形成ポジション」となる。
これにより、下刃101bの下流に断裁屑の搬送経路が形成され、用紙先端部を断裁して発生した断裁屑は、遮られることなく下方に落下する。
その後、下流ガイド部104は、上刃101aが初期位置に戻った後、成果物のFD方向先端が下流ガイド部104の下流の搬送ローラーのニップ部に到達するまでに戻の「搬送ガイドポジション」に戻る。
なお、この用紙先端部の断裁時において、上流ガイド部103と屑ガイド部105は、動作しない。
【0055】
上述のような用紙先端部の断裁時には、送風部106のシャッター部材106cが回転して閉位置となり、送風路106bからの風が遮断される。或いは、シャッター部材106cの回転角度を制御して、風量が低減されるようにしても良い。なお、補助送風部108も同様である。
これは、断裁後、成果物のFD方向先端に風が吹き付けられて、先端部が下方向に付勢されることで、下刃101bに引っ掛かったり、折れやジャムが発生するのを防止するための制御である。
なお、遮断或いは低減された風は、成果物のFD方向先端が下流ガイド部104の下流の搬送ローラーのニップ部に到達後、元に戻せばよい。
【0056】
また、送風路106bからの風量は、成果物のCD方向の長さ、用紙坪量、用紙種類、画像情報、用紙のカールの有無、装置の周辺環境などによって、制御することとしても良い。例えば、坪量が所定値以上でありコシがあると判断される用紙の場合、風量による影響がすくないので風量の低減量を少なくする等の制御をすることができる。
なお、補助送風部108も同様に制御できる。
【0057】
図10は、用紙のFD方向の後端部を断裁する際の動きを説明するための図である。
図10に示すように、用紙後端部の断裁時には、図2に示す「搬送ガイドポジション」にあった下流ガイド部104が、ギロチンカッター101による用紙の断裁と同時に時計回りに回転(半回転)し、「退避ポジション」となる。
これにより、ギロチンカッター101と下流ガイド部104とを近接して配置した場合でも、下流ガイド部104の最低限の動作で、上刃101aの動作が妨げられるのを防止することができる。「近接して配置」とは、例えば図2に示すような、「搬送ガイドポジション」にある下流ガイド部104が、上刃101aの下方に位置するような配置である。
また、上流ガイド部103及び屑ガイド部105が、ギロチンカッター101による用紙の断裁と同時に半時計回りに回転し、「経路形成ポジション」及び「屑ガイドポジション」となる。
これにより、下刃101bの上流に断裁屑の搬送経路が形成され、用紙後端部を断裁して発生した断裁屑は、遮られることなく斜め下方に落下する。また、下刃101bの上方にガイドが形成され、断裁屑の飛散が抑制される。
その後、下流ガイド部104は、上刃101aが初期位置に戻った後、成果物のFD方向後端が、下流ガイド部104の下流の搬送ローラーのニップ部に到達するまでに戻の「搬送ガイドポジション」に戻る。また、上流ガイド部103及び屑ガイド部105は、上刃101aが初期位置に戻った後、後続の用紙のFD方向先端が到達するまでに戻の「搬送ガイドポジション」に戻る。
【0058】
上述のような用紙後端部の断裁時には、送風部106から、下刃101bのすくい面101cに沿って風が流れるように風が吹き付けられており、断裁屑が円滑に落下するようになっている。
ここで、下刃101bには板体102が備えられているため、発生した断裁屑が下刃101bに静電吸着したとしても、引き剥がすことが可能となっている。
【0059】
また、風の吹き付けによって断裁屑が舞い上がったとしても、屑ガイド部105の屑ガイド面105bにより舞い上がりが抑えられ、安定して断裁屑を落下させることができる。
また、補助送風部108から、下刃101bに向けて風が吹き付けられ、屑ガイド部105の開口105eを通して風が抜けるようになっているため、断裁屑が屑ガイド部105に静電吸着したとしても、この風により落下させることができる。
また、この際、屑ガイド部105にリブ105dが設けられていることで、屑ガイド部105と断裁屑との接触面積を小さくでき、静電吸着の吸着力を小さくすることができる。
また、このリブ105dにより、断裁屑の姿勢が風の吹き付け方向と平行になるのが防止され、断裁屑に安定して風を吹き付けることができる。
【0060】
図11は、用紙のFD方向の中央部を断裁する際の動きを説明するための図である。
この動作は、図8(c)及び図8(d)に示した、カード作成用或いは名刺作成用の複数断裁モードでの、FD方向に隣接する成果物同士の間の余白を断裁する際の動作である。なお、この名刺等作成用の断裁モードであっても、用紙のFD方向の先端部及び後端部の断裁は、上述の動作と同様である(図9及び図10参照)。
【0061】
用紙中央部(つまり余白)の断裁のためには、一の余白につき2回の断裁が行われる。
図11に示すように、用紙中央部の断裁では、最初の断裁時に、図2に示す「搬送ガイドポジション」にあった下流ガイド部104が、ギロチンカッター101による用紙の断裁と同時に時計回りに回転(全回転)し、「経路形成ポジション」となる。そして、FD方向の全ての余白の断裁が終了するまで、下流ガイド部104は「経路形成ポジション」を維持する。
これにより、一以上の余白の断裁中、下刃101bの下流に断裁屑の搬送経路が形成され、用紙中央部を断裁して発生した余白の断裁屑は、遮られることなく下方に落下する。
その後、下流ガイド部104は、上刃101aが初期位置に戻った後、成果物のFD方向先端が下流ガイド部104の下流の搬送ローラーのニップ部に到達するまでに戻の「搬送ガイドポジション」に戻る。
なお、この用中央部の断裁時において、上流ガイド部103と屑ガイド部105は、動作しない。
【0062】
上述のような用紙中央部の断裁時には、用紙先端部の断裁時と同様に、送風部106のシャッター部材106cを制御して、送風路106bからの風が遮断、或いは、風量を低減される。
【0063】
また、図示は省略するが、用紙のFD方向の中央部を、余白を出すことなく断裁する場合には、「搬送ガイドポジション」にあった下流ガイド部104が、ギロチンカッター101による用紙の断裁と同時に時計回りに回転(半回転)して「退避ポジション」となり、その後、上刃101aが初期位置に戻った後、下流ガイド部104は、成果物のFD方向先端が来るまでに戻の「搬送ガイドポジション」に戻る制御が行われればよい。
すなわち、断裁屑が発生しないため、下流ガイド部104は、上刃101aの動きを阻害しないように最低限の動作を行えばよい。
なお、この際、上流ガイド部103と屑ガイド部105は、動作しない。
また、このような余白の出ない断裁時には、送風部106のシャッター部材106cが回転して閉位置となり、送風路106bからの風が遮断される。なお、補助送風部108も同様である。
【0064】
このように、断裁モードに応じた(用紙の断裁位置に応じた)CD断裁部100の各部の動作が行われることで、用紙の搬送安定性を損なうことなく、断裁屑の落下経路の確保が可能となる。また、吹き付ける風の方向及び風量を制御することで、作成された成果物の搬送不良を引き起こすことなく、発生した断裁屑を円滑に落下させることができる。
【0065】
なお、このCD断裁部100にてジャムが発生した場合、図12に示すように、屑ガイド部105を時計回りに回転させて「ジャム処理ポジション」とすることができる。また、この際、上流ガイド部103を半時計回りに回転させて「経路形成ポジション」とすることができる。これにより、下刃101bの上流側にジャム処理用の空間が形成される。
なお、ジャム処理時には、CD断裁部100の動作を停止させた状態で、上流ガイド部103及び屑ガイド部105を、手動で動かしても良い。
【0066】
<効果>
以上のように、本実施の形態によれば、搬送路D1を挟んで上下に配される一対の断裁刃101a,101bを有し、搬送路D1に沿って搬送されるシートの一部を断裁屑として切り落とすことの可能なCD断裁部100と、一対の断裁刃101a,101bがシートを断裁する断裁位置において、下側の断裁刃(下刃101b)の先端部斜面に沿う方向に風を送る送風部106と、を備える。
このため、断裁処理により発生した断裁屑の落下不良の発生、及び、作成された成果物の搬送不良の発生を防止することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、搬送路D1の上方に、発生した断裁屑の飛散を抑制する屑ガイド面105bを有する屑ガイド部105を備える。
このため、送風部106からの送風により断裁屑が舞い上がっても、これを抑えることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、屑ガイド面105bには、リブ105dが備えられる。
このため、屑ガイド面105bへの断裁屑の貼り付きを防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、屑ガイド部105に対して上方から風を送る補助送風部108を備え、屑ガイド面105bには、補助送風部108から送られた風を下方に抜けさせる開口105eが形成されている。
このため、屑ガイド面105bへの断裁屑の貼り付きを防止することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、補助送風部108の風量は、送風部106の風量より少ない。
補助送風部108の風量のほうが大きいと断裁屑が落下できずに滞留する可能性があるところ、このようにすることで、断裁屑の滞留を防止することができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、屑ガイド部105は、搬送されるシートをガイドするための搬送ガイド面105aと、搬送ガイド面105aと屑ガイド面105bのいずれか一方が機能する位置となるように屑ガイド部105を動かす(揺動させる)可変機構105cと、を有し、CPU21は、可変機構105cを制御する。
このため、屑ガイド部105は、搬送ガイド面105aと屑ガイド面105bが一体化した部材となり、装置構成を簡易化することができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、屑ガイド部105は、CD断裁部100に対してシートの紙搬送方向の上流側に配され、CD断裁部100は、下側の断裁刃(下刃101b)が、上側の断裁刃(上刃101a)に対してシートの搬送方向の上流側となるように設置され、CPU21は、CD断裁部100によりシートの搬送方向後端部が切り落とされる場合、屑ガイド面105bが機能する位置となるよう屑ガイド部105を制御する。また、CPU21は、CD断裁部100によりシートの搬送方向先端部が切り落とされる場合、搬送ガイド面105aが機能する位置となるよう屑ガイド部105を制御する。
このため、シートの搬送方向の先端部と後端部で、発生した断裁屑の搬送経路(落下経路)が異なるのに対応させ、屑ガイド部105を動作させることができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、送風部106は、断裁位置に送られる風の風量を調整する調整機構として、風の流通経路を開閉可能なシャッター部材106cを備え、CPU21は、シートの搬送方向における断裁部位に応じてシャッター部材106cを制御して、断裁位置に送られる風の風量を調整する。
このため、シートの搬送方向における断裁部位に応じた細かな制御が可能となる。
【0074】
具体的には、CPU21は、CD断裁部100によりシートの搬送方向先端部が切り落とされる場合、調整機構を制御して、断裁位置に送られる風の風量を設定値よりも少なくする。
このため、断裁後、成果物の先端が下方向に曲がって搬送不良等の問題が発生するのを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、下刃101bには、当該下刃101bの先端部からその上端部が浮くよう配された板体102が備えられる。
このため、下刃101bと断裁屑の間に隙間ができ、下刃101bへの断裁屑の貼り付きを防止することができる。
【0075】
<その他>
以上、本発明を適用した好ましい実施形態について説明したが、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0076】
例えば、上記実施の形態では、上流ガイド部103、下流ガイド部104及び屑ガイド部105を揺動させる構成を例示して説明したが、これらを所定の位置に動かすことが可能であれば、揺動でなくともよい。
また、送風部106は下刃101bの先端部斜面に沿う方向に風を送る構成であればよく、詳細な構成は上記したものに限定されない。
【0077】
また、上記実施の形態では、シートとして用紙を用いた場合について説明したが、シートの素材は紙に限定されるものではなく、シート状の樹脂等であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 CPU
20 後処理装置
21 CPU(位置制御部、風量制御部)
26 断裁部
26a,26b FD断裁部
100 CD断裁部
101 ギロチンカッター
101a 上刃(断裁刃)
101b 下刃(断裁刃)
101c (すくい面)
102 板体
102a 上端部
103 上流ガイド部
103a 搬送ガイド部
103b 落下経路形成部
103c 可変機構
103d リブ
104 下流ガイド部
104a 搬送ガイド部
104b 落下経路形成部
104c 可変機構
105 屑ガイド部
105a 搬送ガイド面
105b 屑ガイド面
105c 可変機構
105d リブ
105e 開口
106 送風部
106a ファン
106b 送風路
106c シャッター部材(調整機構)
107 搬送ガイド
108 補助送風部
108a 補助ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12