(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】情報送信装置、情報送信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231121BHJP
H04N 1/32 20060101ALI20231121BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20231121BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20231121BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/32 037
G06F3/16 650
G06F3/04847
G06F3/16 620
(21)【出願番号】P 2019170517
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 倫大
(72)【発明者】
【氏名】御子柴 祐介
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-116841(JP,A)
【文献】特開2010-147624(JP,A)
【文献】特開2007-013888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/32
G06F 3/16
G06F 3/04847
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を所望の宛先に送信する情報送信装置であって、
前記情報送信装置に対する音声の入力を受け付ける入力装置と、
入力された音声に基づいて前記情報送信装置に対する指示を検出する音声認識装置と、
複数の送信設定データセットを格納するメモリーとを備え、各前記送信設定データセットは、宛名に関する識別情報と、前記識別情報とは異なる送信関連情報とを含み、
前記情報送信装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記音声認識装置により検出された指示に前記識別情報が含まれる場合に、前記複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出する第1制御と、
前記音声認識装置により検出された指示に前記送信関連情報が含まれる場合に、前記複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出する第2制御とを行な
い、
各前記送信設定データセットには、優先度が関連付けられており、
前記制御装置は、複数の送信設定データセットが抽出された場合には、最も高い優先度が関連付けられた送信設定データセットを用いた設定を行なう、情報送信装置。
【請求項2】
情報を所望の宛先に送信する情報送信装置であって、
前記情報送信装置に対する音声の入力を受け付ける入力装置と、
入力された音声に基づいて前記情報送信装置に対する指示を検出する音声認識装置と、
複数の送信設定データセットを格納するメモリーとを備え、各前記送信設定データセットは、宛名に関する識別情報と、前記識別情報とは異なる送信関連情報とを含み、
前記情報送信装置の動作を制御する制御装置と、
操作者に前記宛先に関する情報を通知するための出力装置とを備え、
前記制御装置は、
前記音声認識装置により検出された指示に前記識別情報が含まれる場合に、前記複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出する第1制御と、
前記音声認識装置により検出された指示に前記送信関連情報が含まれる場合に、前記複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出する第2制御とを行ない、
前記抽出した送信設定データセットに基づき宛先に関する情報を前記出力装置を介して出力し、
各前記送信設定データセットに含まれる各項目には、当該項目の優先度がそれぞれ関連付けられており、
複数の送信設定データセットが抽出された場合に、前記出力装置は、当該項目の優先度に従って、設定内容を確認する問い合わせを出力する、情報送信装置。
【請求項3】
情報を所望の宛先に送信する情報送信装置であって、
前記情報送信装置に対する音声の入力を受け付ける入力装置と、
入力された音声に基づいて前記情報送信装置に対する指示を検出する音声認識装置と、
複数の送信設定データセットを格納するメモリーとを備え、各前記送信設定データセットは、宛名に関する識別情報と、前記識別情報とは異なる送信関連情報とを含み、
前記情報送信装置の動作を制御する制御装置と、
操作者に前記宛先に関する情報を通知するための出力装置とを備え
前記制御装置は、
前記音声認識装置により検出された指示に前記識別情報が含まれる場合に、前記複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出する第1制御と、
前記音声認識装置により検出された指示に前記送信関連情報が含まれる場合に、前記複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出する第2制御とを行ない、
前記抽出した送信設定データセットに基づき宛先に関する情報を前記出力装置を介して出力し、
前記検出された指示に応じた送信設定データセットが前記複数の送信設定データセットから抽出されない場合に、該当する送信設定データセットが存在しない旨を前記出力装置を介して出力する、情報送信装置。
【請求項4】
前記送信関連情報は、情報の送信手段を規定する送信種別情報、送信先情報およびジョブ設定情報の少なくとも1つを含む、請求項1
~3のいずれかに記載の情報送信装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記優先度が関連付けられた送信設定データセットの設定の可否を確認するための通知を、前記出力装置を介して出力する、請求項
2に記載の情報送信装置。
【請求項6】
前記出力装置は、複数の送信設定データセットが設定の候補として抽出された場合に、前記複数の送信設定データセットから1つの送信設定データセットを選択するための情報の入力を促す問い合わせを出力し、
前記制御装置は、前記問い合わせに対する応答に基づいて、前記1つの送信設定データセットを出力する、請求項
2または3に記載の情報送信装置。
【請求項7】
前記出力装置は、抽出された送信設定データセットの内容に近い内容を有する他の送信設定データセットを出力する、請求項
2または3に記載の情報送信装置。
【請求項8】
前記他の送信設定データセットを出力することは、複数の送信設定データセットの内容を表示することを含む、請求項
7に記載の情報送信装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記指示に応じた送信設定データセットの内容に近い送信設定データセットを、前記出力装置を介して提案する、請求項
3に記載の情報送信装置。
【請求項10】
情報を送信するためにコンピューターで実行される方法であって、
音声の入力を受け付けるステップと、
入力された音声に基づいて前記コンピューターに対する指示を検出するステップと、
複数の送信設定データセットにアクセスするステップとを備え、各前記送信設定データセットは、宛名に関する識別情報と、前記識別情報とは異なる送信関連情報とを含み、
前記検出された指示に前記識別情報が含まれることに基づいて、前記複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出するステップと、
前記検出された指示に前記送信関連情報が含まれることに基づいて、前記複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出するステップとを含
み、
各前記送信設定データセットには、優先度が関連付けられており、
前記方法は、複数の送信設定データセットが抽出された場合には、最も高い優先度が関連付けられた送信設定データセットを用いた設定を行なうステップをさらに含む、方法。
【請求項11】
情報を送信するためにコンピューターで実行される方法であって、
音声の入力を受け付けるステップと、
入力された音声に基づいて前記コンピューターに対する指示を検出するステップと、
複数の送信設定データセットにアクセスするステップとを備え、各前記送信設定データセットは、宛名に関する識別情報と、前記識別情報とは異なる送信関連情報とを含み、
前記検出された指示に前記識別情報が含まれることに基づいて、前記複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出するステップと、
前記検出された指示に前記送信関連情報が含まれることに基づいて、前記複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出するステップと、
前記抽出した送信設定データセットに基づき宛先に関する情報を出力するステップとを含み、
各前記送信設定データセットに含まれる各項目には、当該項目の優先度がそれぞれ関連付けられており、
前記方法は、複数の送信設定データセットが抽出された場合に、当該項目の優先度に従って、設定内容を確認する問い合わせを出力するステップをさらに含む、方法。
【請求項12】
情報を送信するためにコンピューターで実行される方法であって、
音声の入力を受け付けるステップと、
入力された音声に基づいて前記コンピューターに対する指示を検出するステップと、
複数の送信設定データセットにアクセスするステップとを備え、各前記送信設定データセットは、宛名に関する識別情報と、前記識別情報とは異なる送信関連情報とを含み、
前記検出された指示に前記識別情報が含まれることに基づいて、前記複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出するステップと、
前記検出された指示に前記送信関連情報が含まれることに基づいて、前記複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出するステップと、
前記抽出した送信設定データセットに基づき宛先に関する情報を出力するステップと、
前記検出された指示に応じた送信設定データセットが前記複数の送信設定データセットから抽出されない場合に、該当する送信設定データセットが存在しない旨を出力するステップを含む、方法。
【請求項13】
前記送信関連情報は、情報の送信手段を規定する送信種別情報、送信先情報およびジョブ設定情報の少なくとも1つを含む、請求項
10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記優先度が関連付けられた送信設定データセットの設定の可否を確認するための通知を出力するステップをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
複数の送信設定データセットが設定の候補として抽出された場合に、前記複数の送信設定データセットから1つの送信設定データセットを選択するための情報の入力を促す問い合わせを出力するステップと、
前記問い合わせに対する応答に基づいて、前記1つの送信設定データセットを出力するステップとをさらに含む、請求項
10~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記送信設定データセットを出力するステップは、抽出された送信設定データセットの内容に近い内容を有する他の送信設定データセットを出力するステップを含む、請求項
11または12に記載の方法。
【請求項17】
前記他の送信設定データセットを出力することは、複数の送信設定データセットの内容を表示することを含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記指示に応じた送信設定データセットの内容に近い送信設定データセットを提案するステップをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項19】
請求項
10~18のいずれかに記載の方法をコンピューターに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報送信装置の制御に関し、より特定的には、音声認識機能を有する情報送信装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
音声入力が通信装置その他の情報送信装置で使用されている。例えば、特開2010-147624号公報(特許文献1)は「音声入力を利用してより効率的な宛先検索を行なうことができる通信装置、検索処理方法および検索処理プログラム」を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報送信装置の一例である画像形成装置には、「いつもの設定」として設定確定時間短縮のため、「宛先(名前と送信手段)1,2」と「デフォルト設定」の紐づいたプリセットが用意されている場合がある。このような画像形成装置において、これまでユーザーはパネルに表示されるプリセットの内容を見て宛先を選ぶことができた。しかしながら、操作パネルに表示される内容ではなく、音声操作を用いて操作を行なう場合、ユーザーが意図する宛先を決定できなかった。
【0005】
また、音声で宛先を決定するためには、当該宛先の番号のような送信先の設定データを指定する必要があるが、どの番号にどの宛先と送信手段とが設定されているか直ぐには分からない。そのため、ユーザーは、都度確認する必要があり、利便性が必ずしも良好とはいえなかった。したがって、音声入力機能を備える情報送信装置において、送信先および送信手段等の送信条件を容易に設定できる技術が必要とされている。
【0006】
本開示は、上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面において、音声で入力が行なわれる場合に送信先および送信条件が容易に設定できる技術が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)ある実施の形態に従うと、情報を所望の宛先に送信する情報送信装置が提供される。この情報送信装置は、情報送信装置に対する音声の入力を受け付ける入力装置と、入力された音声に基づいて情報送信装置に対する指示を検出する音声認識装置と、複数の送信設定データセットを格納するメモリーとを備え、各送信設定データセットは、宛名に関する識別情報と、識別情報とは異なる送信関連情報とを含む。情報送信装置は、情報送信装置の動作を制御する制御装置をさらに備える。制御装置は、音声認識装置により検出された指示に識別情報が含まれる場合に、複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出する第1制御と、音声認識装置により検出された指示に送信関連情報が含まれる場合に、複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出する第2制御とを行なう。
【0008】
(2)ある局面において、情報送信装置は、操作者に宛先に関する情報を通知するための出力装置をさらに備える。制御装置は、抽出した送信設定データセットに基づき宛先に関する情報を出力装置を介して出力する。
【0009】
(3)ある局面において、送信関連情報は、情報の送信手段を規定する送信種別情報、送信先情報およびジョブ設定情報の少なくとも1つを含む。
【0010】
(4)ある局面において、各送信設定データセットには、優先度が関連付けられている。制御装置は、複数の送信設定データセットが抽出された場合には、最も高い優先度が関連付けられた送信設定データセットを用いた設定を行なう。
【0011】
(5)ある局面において、制御装置は、優先度が関連付けられた送信設定データセットの設定の可否を確認するための通知を、出力装置を介して出力する。
【0012】
(6)ある局面において、出力装置は、複数の送信設定データセットが設定の候補として抽出された場合に、複数の送信設定データセットから1つの送信設定データセットを選択するための情報の入力を促す問い合わせを出力する。制御装置は、問い合わせに対する応答に基づいて、1つの送信設定データセットを出力する。
【0013】
(7)ある局面において、各送信設定データセットに含まれる各項目には、当該項目の優先度がそれぞれ関連付けられている。複数の送信設定データセットが抽出された場合に、出力装置は、当該項目の優先度に従って、設定内容を確認する問い合わせを出力する。
【0014】
(8)ある局面において、出力装置は、抽出された送信設定データセットの内容に近い内容を有する他の送信設定データセットを出力する。
【0015】
(9)ある局面において、他の送信設定データセットを出力することは、複数の送信設定データセットの内容を表示することを含む。
【0016】
(10)ある局面において、制御装置は、検出された指示に応じた送信設定データセットが複数の送信設定データセットから抽出されない場合に、該当する送信設定データセットが存在しない旨を出力装置を介して出力する。
【0017】
(11)ある局面において、制御装置は、指示に応じた送信設定データセットの内容に近い送信設定データセットを、出力装置を介して提案する。
【0018】
(12)他の実施の形態に従うと、情報を送信するためにコンピューターで実行される方法が提供される。この方法は、音声の入力を受け付けるステップと、入力された音声に基づいてコンピューターに対する指示を検出するステップと、複数の送信設定データセットにアクセスするステップとを備える。各送信設定データセットは、宛名に関する識別情報と、識別情報とは異なる送信関連情報とを含む。当該方法は、検出された指示に識別情報が含まれることに基づいて、複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出するステップと、検出された指示に送信関連情報が含まれることに基づいて、複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出するステップとをさらに含む。
【0019】
(13)ある局面において、上記方法は、抽出した送信設定データセットに基づき宛先に関する情報を出力するステップをさらに含む。
【0020】
(14)ある局面において、送信関連情報は、情報の送信手段を規定する送信種別情報、送信先情報およびジョブ設定情報の少なくとも1つを含む。
【0021】
(15)ある局面において、各送信設定データセットには、優先度が関連付けられている。上記方法は、複数の送信設定データセットが抽出された場合には、最も高い優先度が関連付けられた送信設定データセットを用いた設定を行なうステップをさらに含む。
【0022】
(16)ある局面において、上記方法は、優先度が関連付けられた送信設定データセットの設定の可否を確認するための通知を出力するステップをさらに含む。
【0023】
(17)ある局面において、当該方法は、複数の送信設定データセットが設定の候補として抽出された場合に、複数の送信設定データセットから1つの送信設定データセットを選択するための情報の入力を促す問い合わせを出力するステップと、問い合わせに対する応答に基づいて、1つの送信設定データセットを出力するステップとをさらに含む。
【0024】
(18)ある局面において、各送信設定データセットに含まれる各項目には、当該項目の優先度がそれぞれ関連付けられている。方法は、複数の送信設定データセットが抽出された場合に、当該項目の優先度に従って、設定内容を確認する問い合わせを出力するステップをさらに含む。
【0025】
(19)ある局面において、送信設定データセットを出力するステップは、抽出された送信設定データセットの内容に近い内容を有する他の送信設定データセットを出力するステップを含む。
【0026】
(20)ある局面において、他の送信設定データセットを出力することは、複数の送信設定データセットの内容を表示することを含む。
【0027】
(21)ある局面において、当該方法は、検出された指示に応じた送信設定データセットが複数の送信設定データセットから抽出されない場合に、該当する送信設定データセットが存在しない旨を出力するステップをさらに含む。
【0028】
(22)ある局面において、当該方法は、指示に応じた送信設定データセットの内容に近い送信設定データセットを提案するステップをさらに含む。
【0029】
(23)さらに他の実施の形態に従うと、上記のいずれかに記載の方法をコンピューターに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0030】
ある実施の形態に従うと、音声で入力が行なわれる場合に送信先および送信条件が容易に設定できる。
【0031】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】画像形成装置100の外観を表わす図である。
【
図2】画像形成装置100と対話型UI(User Interface)デバイス240の構成を示すブロック図である。
【
図3】画像形成装置100が備える機能を表わすブロック図である。
【
図4】画像形成装置100が使用される局面を表わす図である。
【
図5】操作パネル装置101に表示される送信設定データセットの一例を表わす図である。
【
図6】ある局面に従ってパネル操作により宛先を選択する場合の手順を表わすフローチャートである。
【
図7】音声入力によって宛先を選択する場合の手順を表わすフローチャートである。
【
図8A】ホーム画面として操作パネル装置101に表示される画面の一例を表わす図である。
【
図9】システム800で行なわれる一連の動作の一部を表わすシーケンスチャートである。
【
図10A】宛先を音声で入力する場合に実行される処理を表わすフローチャート(その1)である。
【
図10B】宛先を音声で入力する場合に実行される処理を表わすフローチャート(その2)である。
【
図11】記憶装置208におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【
図12】記憶装置208におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【
図13】本実施の形態に従う画像形成装置100における宛先設定画面の一例を表わす図である。
【
図14】本実施の形態に従う画像形成装置100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図15】本実施の形態に従う画像形成装置100の記憶装置208におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【
図16】本実施の形態に係る画像形成装置100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図17】第3の実施の形態に係る画像形成装置100の操作パネル装置101に表示される画面の一例を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置100について説明する。
図1は、画像形成装置100の外観を表わす図である。ある局面において、画像形成装置100は、所謂MFP(Multi-Function Peripheral)と称される複合機として実現される。MFPは、スキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク機能、ボックス機能その他の機能を有する。画像形成装置100は、操作パネル装置101と、スキャナー部102と、フィーダー104と、プリンターエンジン106と、トレー108と、複数の給紙部109とを備える。ある局面において、画像形成装置100は、指定された宛先に各種のデータを送信可能な情報送信装置として機能し得る。
【0035】
操作パネル装置101は、画像形成装置100の本体の上面の前面側(すなわち、ユーザーが操作のために画像形成装置100に対向する側)に配置され、画像形成装置100への操作を受け付ける。操作パネル装置101は、後述するように、ユーザーからの各種の指示、または、数字、文字、記号その他の入力操作を受け付けるための複数のキーと、表示装置とを含む。表示装置は、タッチパネルを含む。操作パネル装置101は、ユーザー操作に応答した各種情報および/または各種操作を受け付けるためのメニュー画面等をユーザーに対して表示する。また、操作パネル装置101は、ユーザーによってタッチ操作された位置を検出し、当該取得した位置に応じた入力情報を取得する。
【0036】
ある局面において、タッチパネル型の入力装置を搭載する操作パネル装置101は、ユーザーが画像形成装置100の前に立った状態で操作しやすいように、その操作面が斜めになるように、傾斜が与えられて、画像形成装置100の本体に取り付けられる。なお、他の局面において、操作パネル装置101は、着脱可能であってもよい。
【0037】
スキャナー部102は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する。フィーダー104は、画像形成装置100の本体の上面に配置され、スキャナー部102に原稿を送る。
【0038】
プリンターエンジン106は、取得された画像データに基づいて、用紙その他の媒体の上に画像を印刷する。トレー108は、画像形成装置100の中央部に配置され、プリンターエンジン106によって画像形成されて排出される用紙を受ける。複数の給紙部109は、画像形成装置100の本体の下部に配置され、プリンターエンジン106に用紙を供給する。
【0039】
図2を参照して、画像形成装置100を実現する詳細な構成の一例について説明する。
図2は、画像形成装置100と対話型UI(User Interface)デバイス240の構成を示すブロック図である。
【0040】
図2に示されるように、画像形成装置100は、システムコントローラー201と、マイク202と、音声認識部203と、ネットワークI/F204と、撮像部205と、入力画像処理部206と、メモリー207と、記憶装置208と、プリンターエンジン210と、スピーカー211と、出力画像処理部209と、操作パネル装置101とを備える。システムコントローラー201には、メモリー207、音声認識部203、ネットワークI/F204、プリンターエンジン210、出力画像処理部209、記憶装置208、撮像部205、入力画像処理部206、操作パネル装置101の各々が接続されている。
【0041】
システムコントローラー201は、スキャンジョブ、コピージョブ、メール送信ジョブ、およびプリントジョブなどの各種ジョブについて画像形成装置100の全体の動作を制御する。システムコントローラー201は、CPU(Central Processing Unit)221と、ROM(Read Only Memory)222とを含む。CPU221は、ROM222に記憶された制御プログラムを実行する。ROM222は、画像形成装置100に所定の動作を実行させるための各種プログラムと、画像形成装置100の製造事業者によって予め準備された各種データとを格納している。システムコントローラー201は、所定の命令を実行することにより、メモリー207からデータを読み込み、または、メモリー207へデータを書き込む。メモリー207は、RAM(Random Access Memory)であり、CPU221が制御プログラムを実行するときに必要なデータや画像データを一時的に記憶する。
【0042】
ネットワークI/F204は、システムコントローラー201からの指示に従って、ネットワークを介して外部機器と通信する。
【0043】
撮像部205は、原稿の画像を読み取り、所定の形式で画像データを出力する。
入力画像処理部206は、撮像部205による画像の読み取りに応じて出力される画像データの形式を、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、PDF(Portable Document Format)その他の指定された形式に変換する。
【0044】
記憶装置208は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリー等より実現される。記憶装置208は、画像形成装置100の動作にかかわる各種データなどを不揮発的に記憶する。さらに記憶装置208は、画像形成装置100の操作パネル装置101に表示する画面の画像データを保持する。
【0045】
出力画像処理部209は、画像の印刷を行う場合等に、その画像データの形式を印刷データに変換する変換処理を行う。
【0046】
プリンターエンジン210は、出力画像処理部209によって処理された印刷データに基づいて、用紙その他の印刷媒体に対するプリント処理を行う。例えば、ある局面において、画像形成装置100がプリンターとして動作する場合、プリンターエンジン210は画像を印刷する。他の局面において、画像形成装置100が複写機として動作する場合、プリンターエンジン210は、撮像部205で読み取られた画像を印刷する。
【0047】
対話型UIデバイス240は、ネットワークを経由して画像形成装置のネットワークI/F204に接続される。音声認識部203は、対話型UIデバイス240からネットワーク経由で送信されてきた音声データ、あるいはマイク202によって変換された音声データを、音声認識によってテキストデータに変換する。スピーカー211は、システムコントローラー201でテキストから音声合成された音声データを画像形成装置100の外部に出力する。ある局面において、対話型UIデバイス240は、音声認識機能と表示機能とを備えるスマートフォン、タブレット端末その他の情報処理端末として実現され得る。
【0048】
[機能構成]
図3を参照して、ある実施の形態に従う画像形成装置100が備える機能について説明する。
図3は、画像形成装置100が備える機能を表わすブロック図である。画像形成装置100は、音声入力部310と、音声認識部320と、送信設定データセット記憶部330と、選択部340と、制御部350と、提示部360とを備える。提示部360は、表示部370と、音声出力部380とを含む。
【0049】
音声入力部310は、画像形成装置100に対する音声入力を受け付ける。音声入力部310は、例えばマイク202によって実現される。他の局面において、音声入力部310は、画像形成装置100と無線で接続された無線通信端末(例えば、スマートフォン、ヘッドセット等)からの信号を受信する入力インターフェイスとしても実現され得る。
【0050】
音声認識部320は、音声入力部310によって受け付けられた音声に対して音声認識処理を実行する。ある局面において、音声認識部320は、音声から画像形成装置100に対する設定命令および動作命令を識別する。
【0051】
送信設定データセット記憶部330は、識別情報と、情報の送信手段と、送信先情報とが互いに関連付けられた複数の送信設定データセットを格納する。送信設定データセット記憶部330は、例えば、記憶装置208またはメモリー207によって実現される。
【0052】
識別情報は、送信対象を識別する。識別情報は、例えば、宛先、社員番号、ニックネーム等を含む。
【0053】
情報の送信手段は、例えば、メール、SMB(Server Message Block)、ファクシミリ(FAX)、FTP(File Transfer Protocol)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、HDD(Hard Disc Drive)等を規定する。
【0054】
送信先情報は、上記送信手段に関連付けられる送信先の情報を規定する。例えば、送信手段がメールである場合、送信先情報はメールアドレスとなり、送信手段がファクシミリである場合、送信先情報は電話番号(ファクシミリ番号)となり、送信手段がUSB送信である場合、送信先情報はフォルダパスとなる。
【0055】
選択部340は、送信設定データセット記憶部330に格納されている送信設定データセットから、音声認識部320によって認識された内容に該当する送信設定データセットを選択する。制御部350は、送信設定データセットに基づいて画像形成装置100の動作を制御する。提示部360は、選択された送信設定データセットを提示する。
【0056】
例えば、「Bさんにメール送って」という命令が画像形成装置100に与えられた場合、選択部340は、当該命令を構成するテキストデータ(例えば、Bさん、メールなど)を含む送信設定データセットを送信設定データセット記憶部330から抽出する。複数の送信設定データセットが抽出された場合には、制御部350は、その抽出の結果に基づき、抽出された各送信設定データセットをユーザーに提示するように命令を提示部360に送る。提示部360が各送信設定データセットを提示して、いずれかの送信設定データセットを選択するようにユーザーに促す。ユーザーがいずれかの送信設定データセットを選択すると、選択部340は、その選択の入力を受け付け、制御部350は、当該選択された送信設定データセットに基づいて画像形成装置100の動作内容を設定する。
【0057】
ある局面において、提示部360は、表示機能を備えるタッチパネルモニタとして実現され得る。この場合、タッチパネルモニタは、選択された複数の送信設定データセットを順次、あるいは、一覧として表示し得る。他の局面において、提示部360は、スピーカーによって実現され、複数の送信設定データセットが抽出されたので選択が必要である旨のメッセージを予め作成された合成音声として出力し得る。
【0058】
図4を参照して、ある実施の形態に従うの形態に従う画像形成装置100の使用態様について説明する。
図4は、画像形成装置100が使用される局面を表わす図である。
【0059】
ある局面において、ユーザー400は、「OK、○○。 ビズハブでUSBにデータを入れて」という音声指示410を、「ビズハブ」として登録されている画像形成装置100に発し得る。画像形成装置100は、音声指示410を認識すると、その内容に従って、USBにデータを入れるジョブを実行する。
【0060】
他の局面において、ユーザー400は、「OK、○○。 ビズハブでメールに送って」という音声指示420を画像形成装置100に発し得る。画像形成装置100は、その音声を認識すると、その内容に従って、電子データをメールで送信する処理を実行する。
【0061】
さらに他の局面において、ユーザー400は、「OK、○○。 ビズハブでXYZ社の宛先に送って」という音声指示430を画像形成装置100に発し得る。画像形成装置100は、その音声を認識すると、その内容に従って、予め登録されているXYZ社のファクシミリ番号に、指定された書類を送信し得る。
【0062】
[宛先設定]
図5を参照して、ある実施の形態に従う宛先設定について説明する。
図5は、操作パネル装置101に表示される送信設定データセットの一例を表わす図である。
【0063】
ある場面において、ユーザーが「Bさんに送って」というリクエスト1を発する場合がある。リクエスト1は、「Bさん」という宛先(識別情報)を含む。このようなリクエストは、「名称指定」と呼ばれる形式に相当する。「Bさん」という宛先について1つの送信設定データセットしか存在しない場合、画像形成装置100は、当該送信設定データセットを選択し、「Bさん宛SMBに送信します」という応答1を発し得る。この時Bさん
が宛先に設定されるので図5の宛先2の枠が強調表示され、Bさんが設定されていることを操作者に報知する。なお下段のジョブ設定情報は設定された宛先に応じた情報が表示される。
【0064】
別の場面において、ユーザーが「メールに送って」というリクエスト2を発する場合がある。リクエスト2は、「メール」という送信手段を含む(手段指定)。「メール」という送信手段を含む送信設定データセットが1つしか存在しない場合、画像形成装置100は、当該送信設定データセットを選択し、「Aさん宛メールに送信します」という応答2を発し得る。この時Aさんが宛先に設定されるので図5の宛先1の枠が強調表示され、Aさんが設定されていることを操作者に報知する。なお下段のジョブ設定情報は設定された宛先に応じた情報が表示される。
【0065】
[宛先選択について]
図6および
図7を参照して、宛先選択手順の違いについて説明する。
図6は、ある局面に従ってパネル操作により宛先を選択する場合の手順を表わすフローチャートである。
図7は、音声入力によって宛先を選択する場合の手順を表わすフローチャートである。
【0066】
図6を参照して、ステップS610にて、ユーザーは、操作パネル装置101に表示されるホーム画面から、スキャンジョブを選択し得る。ステップS620にて、ユーザーは、予め登録されている短縮宛先の画面を参照して、宛先を選択し得る。ユーザーが、選択を確定させると、宛先の設定が完了する。
【0067】
図7を参照して、ステップS710にて、ユーザーは、画像形成装置100に対して、宛先または送信手段を伝える。より詳しくは、ユーザーは、宛先または送信手段を含むメッセージを画像形成装置100に対して発する。ステップS720にて、画像形成装置100は、当該メッセージを音声認識し、宛先情報から、命令の内容が例えばスキャンジョブであると判断し得る。
【0068】
次に、
図8Aを参照して、画像形成装置100のホーム画面について説明する。
図8Aは、ホーム画面として操作パネル装置101に表示される画面の一例を表わす図である。ある局面において、画像形成装置100は、ホーム画面801と、アイコン802その他のアイコンを表示する。ホーム画面801は、音声操作が可能であることを示すメッセージを表示し得る。
【0069】
ユーザーが、アイコン802をタッチすると、図8Aに示されるスキャンジョブが選択される。ホーム画面801は、スキャン処理を行なうための設定画面に切り替わる。
【0070】
別の局面において、ユーザーが音声操作を行なうために、例えば、「OK○○ ビズハブにつないで」と発話し、続いて、「メールに送って」と発話すると、ホーム画面801は、
図5に示される画面に切り替わる。当該発話に応答して、画像形成装置100は、「Aさん宛にメールで送信します。」という応答2を返す。その後、ユーザーが当該メール送信の実行を指示する発話を行なうと、画像形成装置100は、送信ジョブを実行する。
【0071】
[システム構成]
図8Bを参照して、ある実施の形態に従うシステム800について説明する。
図8Bは、システム800の構成を表わす図である。システム800は、ネットワーク810に接続された画像形成装置100と、スマートスピーカー840と、クラウドサーバー850とを備える。ネットワーク810は、インターネットおよびイントラネットのいずれであってもよい。
【0072】
ある局面において、ユーザーがスマートスピーカー840に対して発話すると、スマートスピーカー840は、ユーザーの音声信号をクラウドサーバー850に送信する。クラウドサーバー850は、音声認識アプリを実行し、当該音声信号の認識処理を実行する。クラウドサーバー850は、認識処理の結果から、識別情報、送信手段、および送信先
情報の少なくともいずれかに含まれるキーワードを検出し得る。ユーザーが識別情報である宛先をスマートスピーカー840に発すると、クラウドサーバー850は、予め設定された送信設定データセットの中から、当該宛先に合致する宛先を含む送信設定データセットを抽出し、その送信設定データセットを操作パネル装置101に表示し得る(
図5)。
【0073】
[制御構造]
そこで、
図9を参照して、システム800の制御構造について説明する。
図9は、システム800で行なわれる一連の動作の一部を表わすシーケンスチャートである。ある局面において、音声サービスおよび連携サービスは、クラウドサーバー850において実行される。IWS(Internal Web Server)アプリは、例えば画像形成装置100に実装されるアプリケーションソフトウェアである。別の局面において、連携サービスは、クラウドサーバー850以外の他のサーバーによって実現されてもよい。例えば、連携サービスは、IWSアプリによって実現され得る。
【0074】
ステップS910にて、ユーザーは、音声サービスに対して、発話を開始する。ある局面において、音声サービスは、例えばスマートスピーカー840によってAI(Artificial Intelligence)機能の一部として提供される対話機能を含む。発話されるメッセージは、例えば、「OK、○○」や、「やあ、○○」等である。
【0075】
ステップS915にて、音声サービスは、連携サービスに対して、受け付けた発話の音声信号を連携サービス(例えば、クラウドサーバー850)に送信する。
【0076】
ステップS920にて、連携サービスは、受信した音声信号をIWSアプリに送信する。IWSアプリは、当該音声信号を受信する前から、ロングポーリング中である。そのようなIWSアプリは、当該音声信号を受信すると、発話の受付を開始し、予め定められた時間、音声による発話の入力を待機する。
【0077】
ステップS930にて、ユーザーが音声で、メールまたはSMBの宛先を指定するメッセージを音声サービスに対して発する。ステップS935にて、音声サービスは、そのようなメッセージをメールまたはSMBのリクエストとして連携サービスに通知する。ステップS940にて、連携サービスは、当該リクエストをIWSアプリに送信する。
【0078】
ステップS950にて、IWSアプリは、宛先の設定状況に応じて、メールまたはSMBの宛先を自動設定する。
【0079】
ステップS955にて、IWSアプリは、連携サービスに対して、設定完了の通知(設定結果)を送信する。ステップS960にて、IWSアプリは、連携サービスに対して、現在の設定を通知する。
【0080】
ステップS965にて、連携サービスは、リクエスト完了を音声サービスに通知する。通知の内容は、設定結果および宛先番号を含む。音声サービスは、その通知の内容に基づき、ユーザーが所望した設定がなされているか否かを判断する。音声サービスは、当該設定がなされていると判断した場合、制御をステップS970に移す。他方、音声サービスは、当該設定がなされていないと判断した場合、制御をステップS975に移す。
【0081】
ステップS970にて、連携サービスは、設定した宛先番号をユーザーに通知する。
ステップS975にて、連携サービスは、ユーザーの発話した内容が設定不可であることを当該ユーザーに通知する。
【0082】
ステップS980にて、ユーザーは、実行を許可する旨の発話を与えると、IWSアプリは当該発話で特定されるジョブを実行する。
【0083】
なお、上記の各処理のうち、音声サービス、連携サービスおよびIWSアプリによって実行される処理は、各処理を実行するようにプログラムされた命令を1つ以上のプロセッサーが実行することによって実現され得る。他の局面において、各処理は、当該処理を実行するように構成された回路素子その他のハードウェアによっても実現され得る。
【0084】
図10Aおよび
図10Bを参照して、画像形成装置100の制御構造について説明する。
図10Aおよび
図10Bは、宛先を音声で入力する場合に実行される処理を表わすフローチャートである。
図10Aおよび
図10Bに示される処理の一部又は全部は、プロセッサーによって実行される。他の局面において、各処理は、当該処理を実行するように構成された回路素子その他のハードウェアによっても実現され得る。
【0085】
図10Aを参照して、ステップS1005にて、CPU221は、音声の入力を受け付ける。
【0086】
ステップS1010にて、CPU221は、記憶装置208にアクセスして、識別情報、送信手段および送信先情報を含む送信設定データセットを確認する。この処理の詳細は、
図10Bを参照して説明する。
【0087】
ステップS1020にて、CPU221は、確認した結果に基づき、登録された宛先に該当する送信設定データセットがあるか否かを判断する。CPU221は、登録された宛先に該当する送信設定データセットがあると判断すると(ステップS1020にてYES)、制御をステップS1030に切り替える。そうでない場合には(ステップS1020にてNO)、CPU221は、制御をステップS1040に切り替える。
【0088】
ステップS1030にて、CPU221は、特定された送信設定データセットに基づき、宛先を決定する。
【0089】
ステップS1040にて、CPU221は、入力された内容に該当する候補がないことをユーザーに通知し、宛先を設定しない。
【0090】
図10Bを参照して、ステップS1011にて、CPU221は、入力された情報が識別情報であるか否かを判断する。CPU221は、入力された情報が識別情報であると判断すると(ステップS1011にてYES)、制御をステップS1012に切り替える。そうでない場合には(ステップS1011にてNO)、CPU221は、制御をステップS1013に切り替える。
【0091】
ステップS1012にて、CPU221は、その識別情報が該当する宛先候補があるか否かを判断する。CPU221は当該宛先候補があると判断すると(ステップS1012にてYES)、制御をステップS1018に切り替える。そうでない場合には(ステップS1012にてNO)、CPU221は、制御をステップS1019に切り替える。
【0092】
ステップS1013にて、CPU221は、入力された情報が送信手段を表わすか否かを判断する。CPU221は、入力された情報が送信手段を表わすと判断すると(ステップS1013にてYES)、制御をステップS1014に切り替える。そうでない場合には(ステップS1013にてNO)、CPU221は、制御をステップS1015に切り替える。
【0093】
ステップS1014にて、CPU221は、その送信手段が該当する宛先候補があるか否かを判断する。CPU221は、当該宛先候補があると判断すると(ステップS1014にてYES)、制御をステップS1018に切り替える。そうでない場合には(ステップS1014にてNO)、CPU221は、制御をステップS1019に切り替える。
【0094】
ステップS1015にて、CPU221は、入力された情報が送信先情報を表わすか否かを判断する。CPU221は、入力された情報が送信先情報を表わすと判断すると(ステップS1015にてYES)、制御をステップS1016に切り替える。そうでない場合には(ステップS1015にてNO)、CPU221は、制御をステップS1017に切り替える。
【0095】
ステップS1016にて、CPU221は、当該送信先情報が該当する宛先候補があるか否かを判断する。CPU221は、当該宛先候補があると判断すると(ステップS1016にてYES)、制御をステップS1018に切り替える。そうでない場合には(ステップS1016にてNO)、CPU221は、制御をステップS1019に切り替える。
【0096】
ステップS1017にて、CPU221は、そのジョブ設定が該当する宛先候補があるか否かを判断する。CPU221は、当該宛先候補があると判断すると(ステップS1017にてYES)、制御をステップS1018に切り替える。そうでない場合には(ステップS1017にてNO)、CPU221は、制御をステップS1019に切り替える。
【0097】
ステップS1018にて、CPU221は、該当する宛先候補を抽出する。ステップS1019にて、CPU221は、該当する宛先候補がないと判断し、その旨を通知する。
【0098】
[データ構造]
図11および
図12を参照して、画像形成装置100のデータ構造について説明する。
図11および
図12は、記憶装置208におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【0099】
図11に示されるように、記憶装置208は、テーブル1100を保持している。テーブル1100は、領域1110,1120を含む。領域1110は、識別情報、送信手段、送信先情報およびジョブ設定情報を含む。領域1120は、領域1110に格納されている項目に関連付けられている項目を含む。例えば、識別情報は、宛先、ニックネーム等を含む。送信手段は、FAX、メール、SMB、FTP(File Transfer Protocol)、USBメモリ、HDD等を含む。送信先情報は、電話番号、メールアドレス、IPアドレス、フォルダパス等を含む。ジョブ設定情報は、例えば、解像度、カラー、ファイル形式等を含む。より詳しくは、ジョブ設定情報は、例えば、モノクロ印刷またはカラー印刷の区別、両面印刷または片面印刷の指定、データのフォーマット(例えば、PDF(Portable Document Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format))、原稿サイズ等を含む。
【0100】
図12を参照して、記憶装置208は、テーブル1200をさらに含む。テーブル1200は、宛先番号1210と、宛名1220と、送信手段1230と、送信先情報1240と、ファイル形式1250と、カラー1260と、両面1270と、解像度1280等の設定項目を含む。
【0101】
宛先番号1210は、画像形成装置100に登録された送信設定データセットを識別する。宛名1220は、当該送信設定データセットで規定されている送り先を特定する。送信手段1230は、当該送信設定データセットで規定されている送信手段を特定する。より具体的には、送信手段は、画像形成装置100において予め規定されている、メール、SMB、USB、ファクシミリ等の送信手段である。
【0102】
送信先情報1240は、当該宛先のアドレスを表わす。例えば、メールが送信手段として規定されている場合、送信先情報1240は、メールアドレスとなる。他の局面において、SMBが送信手段として規定されている場合、送信先情報1240は、IPアドレスとなる。他の局面において、ファクシミリが送信手段として規定されている場合、送信先情報1240は、電話番号となる。
【0103】
ファイル形式1250は、送信される情報の形式を特定する。ファイル形式1250は、例えば、PDF、Tiff等であるが、その他の形式が使用されても良い。
【0104】
カラー1260は、送信される画像の色の設定を規定する。カラー1260は、設定項目として、白黒、グレースケール、フルカラー等を含み得る。
【0105】
両面1270は、読み込まれる原稿の片面または両面のいずれを取り込むかを規定する。両面1270がOFFであるとき、画像形成装置100は、原稿の片面を読み込む。両面1270がONであるとき、画像形成装置100は、原稿の両面を読み込む。解像度1280は、取り込まれる原稿を電子化する場合の解像度を規定する。解像度1280は、予め準備された複数の解像度からユーザーにより設定され得る。
【0106】
例えば、ある局面において、ユーザーが「白黒で送って」とのリクエストを音声で画像形成装置100に与えると、宛先番号1の送信設定データセットが選択される。別の局面において、ユーザーが「SMBで送って」とのリクエストを発すると、宛先番号2の送信設定データセットが選択される。別の局面において、ユーザーが「ボブに送って」とのリクエストを発すると、宛先番号3の送信設定データセットが選択される。別の局面において、ユーザーが「Tiffで送って」とのリクエストを発すると、宛先番号3の送信設定データセットが選択される。別の局面において、ユーザーが「両面で送って」とのリクエストを発すると、宛先番号4の送信設定データセットが選択される。さらに別の局面において、ユーザーが「200dpiで送って」とのリクエストを発すると、宛先番号5の送信設定データセットが選択される。
【0107】
以上のようにして、本実施の形態に従う画像形成装置100によれば、送信設定データセットに含まれる項目のいずれかを含む命令が音声で与えられると、当該項目を含む送信設定データセットで規定される設定に従って、画像データその他の情報が、指定された宛先に送信される。このようにすると、ユーザーは詳細な設定を都度行なう必要がなくなるので、利便性が向上し得る。
【0108】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置は、複数の送信設定データセットの各々に優先度が関連付けられる点で、前述の実施の形態に係る画像形成装置100と異なる。なお、本実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成は、前述の実施の形態にかかる画像形成装置100のハードウェア構成と同じである。したがって、ハードウェア構成の説明は繰り返さない。以下、画像形成装置100の構成を用いて本実施の形態に係る画像形成装置を説明する。
【0109】
図13は、本実施の形態に従う画像形成装置100における宛先設定画面の一例を表わす図である。例えば、宛先として「Aさん」が含まれる複数の送信設定データセットが画像形成装置100に登録されている場合がある。この場合、従来、ユーザーは、画像形成装置に表示される画面を見て、自らが選択していた。あるいは、画像形成装置が音声で各候補の送信設定データセットを読み上げ、宛先番号等を指定することで、一つの送信設定データセットを指定していた。
【0110】
これに対して本実施の形態では、優先度が、送信設定データセットの宛先番号の降順に予め付与されており、画像形成装置100は、与えられた音声指示(リクエスト)に合致する複数の候補(送信設定データセット)の中から優先度の高い送信設定データセットを特定し、その特定した送信設定データセットに含まれる内容(送信手段)を音声で出力し、ユーザーによる確認を促す。
【0111】
より具体的には、
図13に示されるように、ある局面において、ユーザーは「Aさんに送って」という「名称指定」のリクエストを発する場合がある。画像形成装置100において「Aさん」を含む複数の送信設定データセットが登録されている場合、画像形成装置100は、例えば、「宛先候補が2つあります。Aさん宛メールに送信します。よろしいですか?」といった応答を発する。この応答は、「メール」という送信手段の優先度が他の送信手段の優先度よりも高いことに基づいて行なわれる。ユーザーが、「OK」である旨を入力すると、画像形成装置100は、原稿のスキャンにより取得された画像データ、記憶装置208に保存されている画像データ、ユーザーの使用する個人端末から発信されたデータその他の情報を、「メール」でAさんに送信する。このようにすると、複数の送信手段が同一の宛先(例えば、Aさん)について設定されていても、ユーザーによる選択の手間が最小限に抑制され得る。
【0112】
なお、優先度の使用形態は、上述の例に限られない。他の局面において、優先度は、例えば、各送信手段の使用履歴に応じて設定されてもよい。すなわち、最近使用された送信手段の優先度が過去に使用された送信手段の優先度よりも高く設定されてもよい。このようにすると、頻繁に使用される送信設定データセットの優先度がそうでない送信設定データセットの優先度よりも高く設定されるので、利便性が向上し得る。
【0113】
[制御構造]
そこで、
図14を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置100の制御構造について説明する。
図14は、本実施の形態に従う画像形成装置100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同一の処理には同一のステップ番号を付してある。したがって、同一の処理の説明は繰り返さない。なお、当該制御構造は、ある局面においてプロセッサーが当該処理を実現するためにプログラムされた命令を実行することにより実現される。他の局面において、当該制御構造は、各処理を実行するように構成された回路素子その他のハードウェアによっても実現され得る。
【0114】
ステップS1020にて、CPU221は、確認した結果に基づき、登録された宛先に該当するものがあるか否かを判断する。CPU221は、登録された宛先に該当するものがあると判断すると(ステップS1020にてYES)、制御をステップS1410に切り替える。そうでない場合には(ステップS1020にてNO)、CPU221は、制御をステップS1040に切り替える。
【0115】
ステップS1420にて、CPU221は、候補が複数存在するか否かを判断する。CPU221は、候補が複数存在すると判断すると(ステップS1420にてYES)、制御をステップS1430に切り替える。そうでない場合には(ステップS1420にてNO)、CPU221は、処理を終了する。
【0116】
ステップS1430にて、CPU221は、候補が複数あることをユーザーに通知する。その後、CPU221は、処理を終了する。
【0117】
[データ構造]
図15を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置100のデータ構造について説明する。
図15は、本実施の形態に従う画像形成装置100の記憶装置208におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【0118】
記憶装置208は、テーブル1500を含む。テーブル1500は、テーブル1200に含まれる構成に加えて、項目1510,1520をさらに含む。
【0119】
項目1510は、送信設定データセットの優先度を規定する。例えば、項目1510は、過去の使用履歴に基づいて、優先度を設定する。すなわち、使用日時が最も新しい送信設定データセットの優先度が、そうでない送信設定データセットの優先度よりも高く設定される。
図15に示される例では、宛先番号1210が「2」である送信設定データセットの優先度が最も高く、次いで、宛先番号1210が「1」である送信設定データセットが高く設定される。
【0120】
また、項目1520の設定値から明らかなように、宛名1220の優先度が最も高く、ついで、送信手段1230、送信先情報1240、ファイル形式1250、解像度1280、カラー1260、両面1270の順に、各優先度が設定されている。この優先度は、画像形成装置100の各ユーザーによって任意に設定可能であり、また、適宜、変更可能である。
【0121】
ある局面において、例えば、ユーザーが「佐藤Aさんに送って」とのリクエストを音声で発した場合、画像形成装置100は、「宛先候補が2つあります。送信手段(優先度2)はどうしますか?」との応答を返す。ユーザーが「メールで送って」と応答すると、画像形成装置100は、「佐藤Aさんにメールで送ります。」と応答し得る。これにより、複数の送信手段が存在する場合でも、1つの送信手段が決定され得る。
【0122】
なお、他の局面において、送信手段が絞りきれない場合には、ユーザーは、操作パネル装置101に表示される画面により、または、画像形成装置100による音声出力により、送信設定データセットを確認してもよい。これにより、送信手段の選択が正確に行なわれる。
【0123】
[制御構造]
図16を参照して、画像形成装置の制御構造について説明する。
図16は、本実施の形態に係る画像形成装置100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同一の処理には同一のステップ番号を付してある。したがって、同一の処理の説明は繰り返さない。
【0124】
ステップS1610にて、CPU221は、宛先候補リストに該当する候補があったか否かを判断する。CPU221は、当該候補があったと判断すると(ステップS1610にてYES)、制御をステップS1420に切り替える。そうでない場合には(ステップS1610にてNO)、CPU221は、制御をステップS1040に切り替える。
【0125】
ステップS1420にて、CPU221は、候補が複数存在するか否かを判断する。CPU221は、候補が複数存在すると判断すると(ステップS1420にてYES)、制御をステップS1430に切り替える。そうでない場合には(ステップS1420にてNO)、CPU221は、処理をステップS1640に切り替える。
【0126】
ステップS1430にて、CPU221は、CPU221は、候補が複数あることをユーザーに通知する。
【0127】
ステップS1620にて、CPU221は、ステップS1010にて出力された結果を次の検索対象とするために、当該出力結果を記憶装置208に入力する。より具体的には、最初にステップS1010の処理が行なわれた場合の検索対象が、例えば、電話帳のように画像形成装置100に初期設定された候補リストであった場合、CPU221は、当該音声入力に基づく処理(ステップS1010)が行なわれた後に抽出された複数の宛先候補からなるリストを、次の音声入力に基づく処理に使用されるリストとする更新処理を実行する。
【0128】
例えば、1回目の検索で4つの候補(データセットA、データセットB、データセットC、データセットD)が得られた場合、2回目の検索は、その4つの候補を対象として行なわれる。
【0129】
2回目の検索で3つの候補(データセットA、データセットB、データセットC)が得られた場合、3回目の検索は、その3つの候補を対象として行なわれる。
【0130】
3回目の検索で2つの候補(データセットA、データセットB)が得られた場合、4回目の検索は、その2つの候補を対象として行なわれる。その結果、1つの候補(データセットA)が得られる。このようにすると、検索が行なわれる毎に検索対象が減るので、検索コストが削減され得る。
【0131】
ステップS1630にて、CPU221は、優先度の高い項目順に、まだ確認していない項目について、追加でユーザーに確認する。例えば、CPU221は、未確認の項目について確認を促す音声をスピーカー211から出力し、または、メッセージを操作パネル装置101に表示する。その後、CPU221は、制御をステップS1005に戻す。
【0132】
ステップS1640にて、CPU221は、宛先を決定する。
なお、他の局面において、画像形成装置100による追加の質問(ステップS1630)に対して、当該質問に対する項目とは異なる項目が回答としてユーザーによって与えられる場合もあり得る。そのような場合は、画像形成装置100は、当該回答の内容の解析結果に基づいて正しい回答を推定してもよい。
【0133】
例えば、画像形成装置100が「送信手段を教えてください。」と発話したとき、ユーザーが「aaa@km.comに送って」と回答する場合があり得る。この場合、画像形成装置100は、当該回答中の「アットマーク」という音声(@に相当)、あるいは、「ドットコム」という音声(「.com」に相当)に基づいて、当該回答が送信先情報であると判断し、宛先候補を検索し得る。このようにすると、画像形成装置100からの発話に対するユーザーの回答が不正確な場合であっても、画像形成装置100は、宛先候補を検索することができるので、検索の精度が向上し得る。
【0134】
なお、他の局面において、宛先候補は完全に1つに絞り込まれなくてもよい。所望の複数の宛先が特定された時点で、その複数の宛先に対して送信ジョブが実行されてもよい。例えば、ファクシミリの同報送信または同時バックアップ保存(ファクシミリ送信と同時にデータをSMB送信してサーバーにバックアップ保存すること)は、複数の宛先が特定された時点で実行され得る。
【0135】
以上のようにして、本実施の形態によれば、各送信設定データセットの各々について、また、各送信設定データセットに含まれる項目の各々について、優先度が関連付けられている。このようにすると、ユーザーのリクエストに該当し得る複数の送信設定データセットが抽出されたとしても、優先度を用いて候補を絞ることができるので、設定が容易になる。
【0136】
<第3の実施の形態>
以下、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置は、操作パネル装置に複数の送信設定データセットの各々を表わす画像を表示する機能を備える点で、前述の実施の形態と異なる。なお、本実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成と同じである。したがって、ハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0137】
図17を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置における画面の操作態様について説明する。
図17は、第3の実施の形態に係る画像形成装置100の操作パネル装置101に表示される画面の一例を表わす図である。
【0138】
ある局面において、同一の名字を有する複数の宛先がそれぞれ送信設定データセットとして画像形成装置100に登録されている場合がある。例えば、3名の「佐藤」さんがそれぞれ送信設定データセットの宛先に含まれている場合には、少なくとも3つの送信設定データセットが存在することになる。さらに、そのうちの1人のユーザーが3つの送信設定データセットに含まれている場合、5つの送信設定データセットが存在することになる。
【0139】
例えば、ユーザーが画像形成装置100に対して、「佐藤さんに送って」とリクエストを音声で発した場合、画像形成装置100は、「宛先候補が5つあります。」と音声で応答し得る。さらに、画像形成装置100は、5つの宛先候補を表わす画像1710,1720,1730,1740,1750を操作パネル装置101に表示する。
【0140】
ユーザーが、表示された5つの画像から、所望する送信設定データセットの画像をタッチ操作で選択すると、画像形成装置100は、選択された送信設定データセットに規定されている内容に従って、画像データその他のデータを、当該佐藤さんに送信する。例えば、ユーザーが画像1710を選択すると、画像1710で特定される送信設定データセットは、送信手段として「メール」が規定されているので、送信対象とされたデータは、佐藤Aさんに、メールで送信される。
【0141】
なお、複数の候補の提示は、操作パネル装置101に表示することに限られず、別の局面において、画像形成装置100は、音声で、各候補を読み上げてもよい。また、ユーザーによる候補の選択は、操作パネル装置101に対するタッチ操作に限られず、当該候補を表わす音声を発話することによって、送信設定データセットが選択されてもよい。前述の例では、ユーザーが「1番の候補で送信して」と発話した場合、画像1710が選択された場合と同様に、佐藤Aさんに、メールで送信されることになる。
【0142】
<第4の実施の形態>
以下、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置は、宛先候補(送信設定データセット)が存在しない場合に対処する機能を備える点で前述の実施の形態に係る画像形成装置と異なる。なお、本実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成と同じである。したがって、ハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0143】
ある局面において、ユーザーが「佐藤Bさんに送って」とリクエストを音声で画像形成装置100に与えた場合に、佐藤Bさんの送信設定データセットが存在しない場合があり得る。この場合は、画像形成装置100は、佐藤Bさんについての送信設定データセットが存在しないとして、その旨をユーザーに通知し、また、送信を行なわない。
【0144】
さらに他の局面において、画像形成装置100が佐藤Aさんの送信設定データセットを有している場合には、画像形成装置100はユーザーに対して「佐藤Bさんについては該当する送信設定がありません。もしかして、佐藤Aさんに送りますか?」といった応答をし得る。この場合、ユーザーが、当該応答への回答を、音声(「はい、御願いします。」)あるいは操作パネル装置101へのタッチ操作で与えると、画像形成装置100は、当該回答に従って、佐藤Aさんについて規定されている送信設定データセットの内容に基づき、データを送信し得る。
【0145】
このようにすると、仮に、ユーザーが与えた命令に応じた宛先がない場合でも、画像形成装置100は、近似の候補をユーザーに提示して、ユーザーによる選択を可能とし得る。近似の候補とは、例えば、名字が同じである場合であるが、これに限られない。例えば、過去の送信履歴において、最近から遡った一定期間内に使用された送信設定データセットに含まれる設定項目が近似の候補として提示されてもよい。
【0146】
以上開示された技術的特徴は、以下のように要約され得る。
(1)ある局面において、CPU221は、音声認識部203により検出された指示に識別情報が含まれる場合に、複数の送信設定データセットから当該識別情報に対応する送信設定データセットを抽出する第1制御と、音声認識部203により検出された指示に送信関連情報が含まれる場合に、複数の送信設定データセットから当該送信関連情報に対応する送信設定データセットを抽出する第2制御とを行なう。
【0147】
(2)他の局面において、CPU221は、抽出した送信設定データセットに基づき宛先に関する情報を出力装置(例えば、スピーカー211、操作パネル装置101)を介して出力する。
【0148】
(3)他の局面において、送信関連情報は、情報の送信手段を規定する送信種別情報、送信先情報およびジョブ設定情報の少なくとも1つを含む。
【0149】
(4)他の局面において、各送信設定データセットには、優先度が関連付けられている。CPU221は、複数の送信設定データセットが抽出された場合には、最も高い優先度が関連付けられた送信設定データセットを用いた設定を行なう。
【0150】
(5)他の局面において、CPU221は、優先度が関連付けられた送信設定データセットの設定の可否を確認するための通知を、操作パネル装置101で表示し、または、スピーカー211から音声で出力する。
【0151】
(6)他の局面において、複数の送信設定データセットが設定の候補として抽出された場合に、操作パネル装置101は、複数の送信設定データセットから1つの送信設定データセットを選択するための情報の入力を促す問い合わせを画面に表示し、または、スピーカー211は、当該問い合わせの音声を出力する。CPU221は、問い合わせに対する応答に基づいて、1つの送信設定データセットを出力する。
【0152】
(7)他の局面において、各送信設定データセットに含まれる各項目には、当該項目の優先度がそれぞれ関連付けられている。複数の送信設定データセットが抽出された場合に、CPU221は、当該項目の優先度に従って、設定内容を確認する問い合わせを、操作パネル装置101に表示し、または、スピーカー211を介して音声として出力する。
【0153】
(8)他の局面において、CPU221は、抽出された送信設定データセットの内容に近い内容を有する他の送信設定データセットを操作パネル装置101に表示させ、または、スピーカー211を介して音声で出力させる。
【0154】
(9)他の局面において、操作パネル装置101は、複数の送信設定データセットの内容を表示する。具体的には、操作パネル装置101は、テーブル1200,1500として各送信設定データセットに規定されている各項目の設定内容を表示し得る。
【0155】
(10)他の局面において、CPU221は、検出された指示に応じた送信設定データセットが複数の送信設定データセットから抽出されない場合に、該当する送信設定データセットが存在しない旨を操作パネル装置101に表示し、または、その旨をスピーカー211を介して音声で出力する。
【0156】
(11)他の局面において、CPU221は、操作パネル装置101に表示することにより、又は、スピーカー211から音声で出力することにより、指示に応じた送信設定データセットの内容に近い送信設定データセットを提案する。
【0157】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0158】
100 画像形成装置、101 操作パネル装置、102 スキャナー部、104 フィーダー、106,210 プリンターエンジン、108 トレー、109 給紙部、201 システムコントローラー、202 マイク、203,320 音声認識部、205 撮像部、206 入力画像処理部、207 メモリー、208 記憶装置、209 出力画像処理部、211 スピーカー、222 ROM、240 デバイス、310 音声入力部、330 送信設定データセット記憶部、340 選択部、350 制御部、360 提示部、370 表示部、380 音声出力部、400 ユーザー、410 音声指示、800 システム。