(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20231121BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20231121BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20231121BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231121BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20231121BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20231121BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20231121BHJP
H01G 2/08 20060101ALI20231121BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20231121BHJP
H01G 2/14 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/35 101
H01M50/367
H01M50/209
H01M50/211
H01M50/213
H01G11/10
H01G2/08 A
H01G2/02 101D
H01G2/02 101E
H01G2/14 101A
(21)【出願番号】P 2019177356
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】楠 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 喜弘
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098014(JP,A)
【文献】特開2014-216315(JP,A)
【文献】特開2015-135763(JP,A)
【文献】特開2012-113899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/392
H01G11/00-11/86
H01G 2/00- 2/08
H01G 2/12- 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一蓄電素子を有する第一蓄電ユニットと、前記第一蓄電ユニットを収容する収容部材と、を備える蓄電装置であって、
前記収容部材は、前記第一蓄電ユニットの収容空間を仕切る棚板を有し、
前記棚板は、
前記第一蓄電ユニットから排出されるガスの出口に対向して配置されるガス流入口と、
前記ガス流入口に接続され、前記棚板の厚み内に設けられたガス流路空間と、を有
し、
前記収容部材は、前記第一蓄電ユニットを収容するラックであり、前記棚板は当該ラックに設けられた棚板である
蓄電装置。
【請求項2】
前記第一蓄電ユニットと前記棚板とは、離間して配置される
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記ガス流路空間は、ガスの流れ方向と交差する所定方向において、前記所定方向の一方側の端部に位置する前記第一蓄電ユニットよりも前記所定方向の一方側に突出して配置される
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
さらに、第二蓄電素子を有する第二蓄電ユニットを備え、
前記棚板には、前記第二蓄電ユニットが当接して載置される
請求項1
~3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記ガス流路空間は、ガスの流れ方向と交差する方向において、前記第一蓄電素子または前記第一蓄電ユニットよりも幅が大きい
請求項1
~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記棚板は、前記第一蓄電ユニットから排出されるガスを前記ガス流入口へ案内するガス案内部を有する
請求項1~
5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記棚板は、前記ガス流入口が形成された底壁を有し、
前記底壁は、第一部と、前記第一部よりも前記ガス流入口に近く、かつ、前記第一部よりも高い位置に配置される第二部と、を有する
請求項1~
6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記棚板は、前記ガス流路空間内に配置され、前記ガス流入口を開閉可能に閉止する蓋部を有する
請求項1~
7のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記蓋部は、前記ガス流路空間内を流れるガスの上流側を支点として下流側が開口する
請求項
8に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子を有する蓄電ユニットを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子を有する蓄電ユニットを備える構成の蓄電装置が広く知られている。例えば、特許文献1には、X軸方向に並んで配置された複数の電池セル(蓄電素子)を有する電池モジュール(蓄電ユニット)が複数段、X軸方向に直交するZ軸方向に重ねて配置された電池パック(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された従来の蓄電装置では、Z軸方向に並ぶ2つの電池モジュールである上段モジュール及び下段モジュールの間に冷却部材を配設して、冷却部材上に上段モジュールを配置している。そして、下段モジュールが有する電池セルの異常時に発生するガスを外部へ排出するための通路である排煙部材を、上記冷却部材と下段モジュールとの間に配置している。つまり、上段モジュール及び下段モジュールの収容空間を仕切る棚板の機能を有する冷却部材の下方に、下段モジュールの排煙部材を配置している。このため、上段モジュール及び下段モジュールの間の距離が大きくなり、蓄電装置のサイズが大きくなる。このように、本願発明者は、従来の蓄電装置では、省スペース化を図ることができていないという問題があることを見出した。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、省スペース化を図ることができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一蓄電素子を有する第一蓄電ユニットと、前記第一蓄電ユニットを収容する収容部材と、を備える蓄電装置であって、前記収容部材は、前記第一蓄電ユニットの収容空間を仕切る棚板を有し、前記棚板は、前記第一蓄電ユニットから排出されるガスの出口に対向して配置されるガス流入口と、前記ガス流入口に接続され、前記棚板の厚み内に設けられたガス流路空間と、を有する。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、第一蓄電素子を有する第一蓄電ユニットを収容する収容部材の棚板は、第一蓄電ユニットからのガスの出口に対向するガス流入口と、ガス流入口に接続され棚板の厚み内に設けられたガス流路空間と、を有している。このように、収容部材の棚板が、ガス流入口と棚板の厚み内のガス流路空間とを有しているため、第一蓄電ユニットから排出されたガスは、棚板のガス流入口及びガス流路空間を通って、蓄電装置の外部へ排出される。これにより、第一蓄電ユニットからのガスを排出するために棚板及び第一蓄電ユニットの間にガス流路空間を形成する別部材を設ける必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0008】
また、さらに、第二蓄電素子を有する第二蓄電ユニットを備え、前記棚板には、前記第二蓄電ユニットが当接して載置されることにしてもよい。
【0009】
これによれば、収容部材の棚板には、第二蓄電素子を有する第二蓄電ユニットが当接して載置される。このように、棚板に第二蓄電ユニットを直接載置することで、第二蓄電ユニットを支持するために別部材を設ける必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0010】
また、前記ガス流路空間は、ガスの流れ方向と交差する方向において、前記第一蓄電素子または前記第一蓄電ユニットよりも幅が大きいことにしてもよい。
【0011】
これによれば、棚板のガス流路空間は、第一蓄電素子または第一蓄電ユニットよりも幅が大きく形成されている。このように、第一蓄電ユニットから排出されるガスの流量が大きい場合でもガス流路空間からガスが漏れ出すのを抑制するために、幅が大きいガス流路空間を形成する。これにより、幅が大きいガス流路空間を形成する別部材を設けると、蓄電装置のサイズが大きくなることが懸念されるが、当該ガス流路空間を棚板の厚み内に形成することで、省スペース化を図ることができる。
【0012】
また、前記棚板は、前記第一蓄電ユニットから排出されるガスを前記ガス流入口へ案内するガス案内部を有することにしてもよい。
【0013】
これによれば、棚板は、第一蓄電ユニットから排出されるガスをガス流入口へ案内するガス案内部を有しているため、第一蓄電ユニットからのガスを容易にガス流入口へ導くことができる。これにより、当該ガスが、棚板のガス流路空間外に噴出するのを抑制し、当該ガスを、ガス流路空間に効率的に導くことができる。
【0014】
また、前記棚板は、前記ガス流入口が形成された底壁を有し、前記底壁は、第一部と、前記第一部よりも前記ガス流入口に近く、かつ、前記第一部よりも高い位置に配置される第二部と、を有することにしてもよい。
【0015】
これによれば、棚板のうちのガス流入口が形成された底壁は、第一部よりもガス流入口の近くに、第一部よりも高い第二部を有している。このように、棚板のガス流入口の近くに高さが高い部位(第二部)を設けることで、ガス流路空間内の異物(ガス流入口からガスとともに流入する異物、棚板の錆等)が、ガス流入口から落下するのを抑制することができる。
【0016】
また、前記棚板は、前記ガス流路空間内に配置され、前記ガス流入口を開閉可能に閉止する蓋部を有することにしてもよい。
【0017】
これによれば、棚板は、ガス流路空間内に、ガス流入口を開閉可能に閉止する蓋部を有している。このように、棚板が、ガス流路空間内にガス流入口の蓋部を有していることで、第一蓄電ユニットからガスが排出されていない間は、蓋部がガス流入口を閉止することができる。これにより、ガス流入口から異物が落下してきたり、異なる蓄電ユニットが排出したガスがガス流入口から排出されたりするのを抑制することができる。また、第一蓄電ユニットからガスが排出されると、ガス流路空間の外側からガスが蓋部を押すため、蓋部が開いてガス流入口からガスを流入させることができる。
【0018】
また、前記蓋部は、前記ガス流路空間内を流れるガスの上流側を支点として下流側が開口することにしてもよい。
【0019】
これによれば、棚板のガス流路空間内に設けられたガス流入口の蓋部は、ガス流路空間内を流れるガスの上流側を支点として下流側が開口するように形成されている。このように、蓋部によってガスの下流側が開口することで、第一蓄電ユニットから排出されたガスを、ガス流路空間内に効率的に流すことができる。また、蓋部は、ガスの上流側を支点として下流側が開口する構成のため、上流側の他の蓄電ユニットからガスが排出される等により上流側からガスが流れてきた場合には、当該ガスが蓋部を閉止する。これにより、ガス流入口から第一蓄電ユニットに向けて、当該ガスまたは異物が放出されるのを抑制することができる。
【0020】
なお、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、収容部材または棚板としても実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明における蓄電装置によれば、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電素子の構成を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る棚板の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る棚板と蓄電ユニットとの位置関係を示す正面図である。
【
図5】実施の形態に係る棚板と蓄電ユニットとの位置関係を示す側面図である。
【
図6A】実施の形態の変形例1に係る棚板と蓄電ユニットとの位置関係を示す正面図である。
【
図6B】実施の形態の変形例1に係る棚板と蓄電ユニットとの位置関係を示す側面図である。
【
図7A】実施の形態の変形例2に係る棚板と蓄電ユニットとの位置関係を示す正面図である。
【
図7B】実施の形態の変形例2に係る棚板と蓄電ユニットとの位置関係を示す側面図である。
【
図8】実施の形態の変形例3に係る棚板と蓄電ユニットとの位置関係を示す正面図である。
【
図9】実施の形態の変形例4に係る棚板と蓄電ユニットとの位置関係を示す側面図である。
【
図10A】実施の形態の変形例5に係る棚板の構成を示す斜視図である。
【
図10B】実施の形態の変形例5に係る棚板の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0024】
以下の説明及び図面中において、収容部材の幅方向、収容部材の棚板上の蓄電ユニットの並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向を、X軸方向と定義する。収容部材の奥行方向、蓄電ユニットから排出されるガスの流れ方向、1つの蓄電ユニットにおける蓄電素子の並び方向、または、蓄電素子の容器の長側面の対向方向を、Y軸方向と定義する。収容部材の高さ方向、棚板を挟む蓄電ユニットの並び方向、蓄電ユニットと棚板との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0025】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0026】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
【0027】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、直方体形状を有している。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される蓄電設備である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等として用いられる。また、蓄電装置10は、大型自動車、船舶、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の大型の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等としても用いることができる。
【0028】
図1に示すように、蓄電装置10は、蓄電ユニット100と、蓄電ユニット100を収容する収容部材200と、を備えている。本実施の形態では、収容部材200内において、X軸方向に並ぶ3つの蓄電ユニット100が、Z軸方向に4段並べられて配置されている。
【0029】
蓄電ユニット100は、Y軸方向に並ぶ複数の蓄電素子110を有する電池モジュール(組電池)である。本実施の形態では、10個の蓄電素子110がY軸方向に配列されて、蓄電ユニット100が構成されている。なお、蓄電ユニット100が有する蓄電素子110の個数は特に限定されず、10個以外の複数個であってもよいし、1個の蓄電素子110しか配置されていなくてもよい。
【0030】
また、蓄電ユニット100は、複数の蓄電素子110の電極端子同士を接続するバスバー等も備えているが、図示は省略し、詳細な説明も省略する。また、蓄電ユニット100は、複数の蓄電素子110を収容する外装体、蓄電素子110間に配置されるスペーサ、蓄電素子110を拘束する拘束部材、バスバーの位置決めを行うバスバーフレーム、蓄電素子110の充電状態や放電状態を監視するための回路基板やリレー等の電気機器等も備えていてもよいが、これらの図示及び説明も省略する。
【0031】
蓄電素子110は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子110は、扁平な直方体形状(角形)を有している。なお、蓄電素子110の形状は、直方体形状には限定されず、直方体形状以外の多角柱形状、円柱形状、長円柱形状等であってもよい。また、蓄電素子110は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子110は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子110は、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。蓄電素子110の構成の詳細な説明については、後述する。
【0032】
収容部材200は、直方体形状(箱形)のラック(棚)であり、複数の蓄電ユニット100が収容される収容部材本体部210と、複数の蓄電ユニット100の収容空間を仕切る棚板220とを有している。
【0033】
収容部材本体部210は、Y軸マイナス方向側の面(前面)が開口した形状を有している。つまり、収容部材本体部210は、2つの側面部211と、上面部212と、底面部213と、背面部214と、を有している。2つの側面部211は、収容部材本体部210のX軸方向両側に配置される平板状かつ矩形状の部位である。上面部212は、収容部材本体部210のZ軸プラス方向側に配置される平板状かつ矩形状の部位である。底面部213は、収容部材本体部210のZ軸マイナス方向側に配置される平板状かつ矩形状の部位である。背面部214は、収容部材本体部210のY軸プラス方向側に配置される平板状かつ矩形状の部位である。
【0034】
棚板220は、収容部材本体部210の内方の空間を仕切る平板状かつ矩形状の部材である。本実施の形態では、4枚の棚板220が、収容部材本体部210の内方の空間を、Z軸方向に5つに仕切っており、これにより、収容部材本体部210の内方には、Z軸方向に並ぶ5つの収容空間230が形成されている。収容空間230は、1以上の蓄電ユニット100(本実施の形態では3つの蓄電ユニット100)が収容される直方体形状の空間である。つまり、収容部材200は、5段の収容空間230を有しており、Z軸マイナス方向側から4段の収容空間230のそれぞれに、3つの蓄電ユニット100が収容されている。言い換えれば、収容部材本体部210の底面部213及び3枚の棚板220上に、3つの蓄電ユニット100がそれぞれ載置されている。
【0035】
ここで、説明の便宜のため、以下では、4枚の棚板220のうち、Z軸マイナス方向側から2枚目の棚板220を棚板220aとも呼び、Z軸マイナス方向側から3枚目の棚板220を棚板220bとも呼び、Z軸マイナス方向側から4枚目(Z軸プラス方向側から1枚目)の棚板220を棚板220cとも呼ぶ。また、棚板220aに載置される蓄電ユニット100を第一蓄電ユニット100aとも呼び、棚板220bに載置される蓄電ユニット100を第二蓄電ユニット100bとも呼ぶ。さらに、第一蓄電ユニット100aが有する蓄電素子110を第一蓄電素子110とも呼び、第二蓄電ユニット100bが有する蓄電素子110を第二蓄電素子110とも呼ぶ。
【0036】
つまり、棚板220a及び220bは、第一蓄電ユニット100aが配置される収容空間230を他の収容空間230と仕切る棚板であり、棚板220b及び220cは、第二蓄電ユニット100bが配置される収容空間230を他の収容空間230と仕切る棚板である。そして、棚板220aには、第一蓄電ユニット100aが当接して載置され、棚板220bには、第二蓄電ユニット100bが当接して載置されている。つまり、棚板220aには、第一蓄電ユニット100aの第一蓄電素子110が当接して載置され、棚板220bには、第二蓄電ユニット100bの第二蓄電素子110が当接して載置されている(
図4及び
図5等参照)。棚板220の構成の詳細な説明については、後述する。
【0037】
収容部材200(収容部材本体部210及び棚板220)の材質は特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属等で形成されている。なお、棚板220は金属部材で形成されるのが好ましいが、収容部材本体部210は、強度が確保できるのであれば、いずれかの部位が樹脂等の絶縁部材で形成されていてもよい。この絶縁部材としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等を例示することができる。
【0038】
[2 蓄電素子110の構成の説明]
次に、蓄電素子110の構成について、詳細に説明する。なお、蓄電ユニット100が有する蓄電素子110は全て同様の構成を有するため、以下では、1つの蓄電素子110の構成について詳細に説明する。
図2は、本実施の形態に係る蓄電素子110の構成を示す斜視図である。
【0039】
図2に示すように、蓄電素子110は、容器111と、一対の電極端子114(正極端子及び負極端子)と、を備えている。なお、容器111の内方には、電極体、集電体(正極集電体及び負極集電体)、及び、電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子110の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。また、容器111(後述の蓋体113)と電極端子114との間、及び、容器111(後述の蓋体113)と集電体との間には、絶縁性及び気密性を高めるためにガスケット等が配置されているが、これらの図示も省略する。また、集電体の側方等にスペーサが配置されていてもよいし、容器111の外面を覆う絶縁シートが配置されていてもよい。
【0040】
容器111は、開口が形成された容器本体112と、容器本体112の開口を閉塞する蓋体113とを有する直方体形状(角形)の容器である。容器本体112は、容器111の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Y軸方向両側の側面に一対の長側面部を有し、X軸方向両側の側面に一対の短側面部を有し、Z軸マイナス方向側に底面部を有している。蓋体113は、容器111の蓋部を構成する平板状かつ矩形状の部材であり、容器本体112のZ軸プラス方向に配置されている。蓋体113には、容器111内方の圧力が上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁115が配置されている。なお、蓋体113には、容器111内方に電解液を注液するための注液部等も設けられていてもよい。容器111の材質は特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0041】
電極端子114は、容器111の蓋体113に配置される蓄電素子110の端子(正極端子及び負極端子)であり、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、電極端子114は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子110の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子110の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子114は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0042】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。電極体が有する正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層に用いられる正極活物質、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、微多孔性のシートであり、樹脂等の適宜公知の材料を使用できる。なお、電極体は、複数の平板状の極板(正極板及び負極板)が積層されて形成されたスタック型の電極体であってもよいし、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体、または、極板が巻回されて形成された巻回型の電極体等であってもよい。
【0043】
集電体は、電極端子114と電極体とに電気的に接続される導電性の部材(正極集電体及び負極集電体)である。なお、正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0044】
[3 棚板220の構成の説明]
次に、棚板220の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る棚板220の構成を示す斜視図である。なお、収容部材200が有する棚板220は全て同様の構成を有するため、
図3では、1つの棚板220の構成を図示している。
図4は、本実施の形態に係る棚板220と蓄電ユニット100との位置関係を示す正面図である。具体的には、
図4は、棚板220a及び220bに、第一蓄電ユニット100a及び第二蓄電ユニット100bを載置した状態を、Y軸マイナス方向から見た場合の構成を示す図である。
図5は、本実施の形態に係る棚板220と蓄電ユニット100との位置関係を示す側面図である。具体的には、
図5は、
図4の状態をX軸プラス方向から見た場合の構成を示す図である。なお、
図4及び
図5では、説明の便宜のため、棚板220は断面図を示している。
【0045】
図3に示すように、棚板220は、平板状かつ矩形状の部材に、Y軸マイナス方向に凹んだ凹部であるガス流路空間221が形成され、ガス流路空間221のZ軸マイナス方向側の壁部である底壁221bに、貫通孔であるガス流入口222が形成された形状を有している。
【0046】
具体的には、ガス流路空間221は、棚板220内において、X軸方向両側とY軸マイナス方向側とZ軸方向両側とが壁部で囲まれた空間であり、Z軸マイナス方向側の底壁221bに、Y軸方向に並ぶ複数のガス流入口222が形成されている。これにより、ガス流路空間221のY軸プラス方向側には、開口部であるガス排出口221aが形成されている。このように、ガス流路空間221は、ガス流入口222に接続され、棚板220の厚み内に設けられた、Y軸プラス方向側が開口した空間である。
【0047】
本実施の形態では、棚板220は、3つの直方体形状のガス流路空間221を有し、当該3つのガス流路空間221のそれぞれにおいて、10個の円形状のガス流入口222を有している。つまり、X軸方向に並ぶ3つの蓄電ユニット100に対向して、3つのガス流路空間221がX軸方向に並んで配置されている。そして、それぞれの蓄電ユニット100において、蓄電ユニット100が有するY軸方向に並ぶ10個の蓄電素子110に対向して、10個のガス流入口222がY軸方向に並んで配置されている。
【0048】
具体的には、
図4及び
図5に示すように、ガス流入口222は、それぞれ、蓄電ユニット100が有する蓄電素子110のガス排出弁115に対向する位置に配置されている。このように、ガス流入口222は、蓄電ユニット100から排出されるガスの出口に対向して配置されている。つまり、棚板220bのガス流入口222は、第一蓄電ユニット100aから排出されるガスの出口(第一蓄電ユニット100aが有する第一蓄電素子110のガス排出弁115)に対向して配置されている。また、棚板220cのガス流入口222は、第二蓄電ユニット100bから排出されるガスの出口(第二蓄電ユニット100bが有する第二蓄電素子110のガス排出弁115)に対向して配置されている。
【0049】
このような構成により、蓄電ユニット100が有する蓄電素子110のガス排出弁115からガスが排出された場合、当該ガスは、ガス流入口222から棚板220内に流入する。そして、棚板220内に流入した当該ガスは、ガス流路空間221を通って、Y軸プラス方向に向けて流れ、ガス排出口221aから排出される。このようにして、蓄電ユニット100から排出されたガスが、収容部材200の棚板220内を通過して、蓄電装置10の外方へ排出される構成になっている。
【0050】
また、
図4に示すように、ガス流路空間221は、ガスの流れ方向(Y軸方向)と交差する方向(X軸方向)において、蓄電素子110または蓄電ユニット100よりも幅が大きく形成されている。つまり、棚板220bのガス流路空間221は、ガスの流れ方向と交差する方向(X軸方向)において、第一蓄電素子110または第一蓄電ユニット100aよりも幅が大きい。また、棚板220cのガス流路空間221は、ガスの流れ方向と交差する方向(X軸方向)において、第二蓄電素子110または第二蓄電ユニット100bよりも幅が大きい。本実施の形態では、蓄電素子110及び蓄電ユニット100のX軸方向における幅は同じであるため、ガス流路空間221は、X軸方向において、蓄電素子110及び蓄電ユニット100の双方よりも幅が大きく形成されている。
【0051】
なお、蓄電ユニット100が外装体に蓄電素子110を収容している等、蓄電素子110及び蓄電ユニット100のX軸方向における幅が異なる場合も想定される。この場合、ガス流路空間221は、蓄電素子110及び蓄電ユニット100の少なくとも一方よりも幅が大きく形成されていればよいが、蓄電素子110及び蓄電ユニット100の双方よりも幅が大きく形成されているのが好ましい。
【0052】
[4 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、収容部材200の棚板220は、蓄電ユニット100からのガスの出口に対向するガス流入口222と、ガス流入口222に接続され棚板220の厚み内に設けられたガス流路空間221と、を有している。このように、棚板220が、ガス流入口222と棚板220の厚み内のガス流路空間221とを有しているため、蓄電ユニット100から排出されたガスは、棚板220のガス流入口222及びガス流路空間221を通って、蓄電装置10の外部へ排出される。これにより、蓄電ユニット100からのガスを排出するために棚板220及び蓄電ユニット100の間にガス流路空間221を形成する別部材を設ける必要がないため、省スペース化を図ることができる。また、当該別部材を設ける必要がないため、部品点数の低減を図ることができ、製造工程の簡略化、コスト低減等を図ることもできる。
【0053】
また、第一蓄電ユニット100aからのガスを排出する棚板220bには、第二蓄電ユニット100bが当接して載置される。このように、棚板220bに第二蓄電ユニット100bを直接載置することで、第二蓄電ユニット100bを支持するために別部材を設ける必要がないため、省スペース化を図ることができる。また、当該別部材を設ける必要がないため、部品点数の低減を図ることができ、製造工程の簡略化、コスト低減等を図ることもできる。棚板220b以外の他の棚板220についても、同様である。
【0054】
また、棚板220のガス流路空間221は、蓄電素子110または蓄電ユニット100よりも幅が大きく形成されている。このように、蓄電ユニット100から排出されるガスの流量が大きい場合でもガス流路空間221からガスが漏れ出すのを抑制するために、幅が大きいガス流路空間221を形成する。これにより、幅が大きいガス流路空間221を形成する別部材を設けると、蓄電装置10のサイズが大きくなることが懸念されるが、ガス流路空間221を棚板220の厚み内に形成することで、省スペース化を図ることができる。また、ガス流路空間221の幅が大きいことで、ガス流路空間221をガスが流れる間に当該ガスを冷却することもできる。
【0055】
[5 変形例の説明]
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。
図6Aは、本実施の形態の変形例1に係る棚板220と蓄電ユニット100との位置関係を示す正面図である。具体的には、
図6Aは、
図4の棚板220a、220b及び第一蓄電ユニット100aに対応する棚板220d、220e及び第一蓄電ユニット100aを、Y軸マイナス方向から見た場合の構成を示す図である。
図6Bは、本実施の形態の変形例1に係る棚板220と蓄電ユニット100との位置関係を示す側面図である。具体的には、
図6Bは、
図6Aの状態をX軸プラス方向から見た場合の構成、つまり、
図5の棚板220a、220b及び第一蓄電ユニット100aに対応する棚板220d、220e及び第一蓄電ユニット100aをX軸プラス方向から見た場合の構成を示す図である。
【0056】
図6A及び
図6Bに示すように、本変形例における棚板220(棚板220d、220e)は、上記実施の形態における棚板220(棚板220a、220b)の構成に、ガス案内部223が取り付けられたものである。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0057】
ガス案内部223は、ガス流入口222を囲うように、底壁221bからZ軸マイナス方向に突出して配置された筒状の部材である。本実施の形態では、ガス案内部223は、Y軸方向に並ぶ複数のガス流入口222を囲うようにY軸方向に延設されて、内方に直方体形状の空間223aが形成された角筒状の部材である。つまり、ガス案内部223は、X軸方向においてガス流入口222の両側に配置される、YZ平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の一対の壁部と、当該一対の壁部の端部同士を繋ぐXZ平面に平行な平板状かつ矩形状の一対の壁部と、を有している。
【0058】
これにより、ガス案内部223は、ガス流入口222と蓄電素子110のガス排出弁115との間の空間に配置されて、ガス排出弁115から排出されるガスを空間223a内に取り込み、ガス流入口222へ案内する。つまり、ガス案内部223は、蓄電ユニット100から排出されるガスをガス流入口222へ案内する部材である。例えば、棚板220eのガス案内部223は、第一蓄電ユニット100aから排出されるガスをガス流入口222へ案内する。
【0059】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、棚板220(例えば棚板220e)は、蓄電ユニット100(例えば第一蓄電ユニット100a)から排出されるガスを、ガス流入口222へ案内するガス案内部223を有している。このため、蓄電ユニット100からのガスを容易にガス流入口222へ導くことができる。これにより、当該ガスが、棚板220のガス流路空間221外に噴出するのを抑制し、当該ガスを、ガス流路空間221に効率的に導くことができる。
【0060】
なお、本変形例において、ガス案内部223は、XZ平面に平行な壁部を有していなくてもよいし、長円筒状、楕円筒状、または、角筒状以外の多角形状等でもよく、その形状は特に限定されない。また、Y軸方向に複数のガス案内部223が配置される構成でもよい。この場合、ガス案内部223は、蓄電素子110のガス排出弁115ごとに設けられた、例えば円筒状の部材等でもよい。
【0061】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。
図7Aは、本実施の形態の変形例2に係る棚板220と蓄電ユニット100との位置関係を示す正面図である。具体的には、
図7Aは、
図4の棚板220a、220b及び第一蓄電ユニット100aに対応する棚板220f、220g及び第一蓄電ユニット100aを、Y軸マイナス方向から見た場合の構成を示す図である。
図7Bは、本実施の形態の変形例2に係る棚板220と蓄電ユニット100との位置関係を示す側面図である。具体的には、
図7Bは、
図7Aの状態をX軸プラス方向から見た場合の構成、つまり、
図5の棚板220a、220b及び第一蓄電ユニット100aに対応する棚板220f、220g及び第一蓄電ユニット100aをX軸プラス方向から見た場合の構成を示す図である。
【0062】
図7A及び
図7Bに示すように、本変形例における棚板220(棚板220f、220g)は、上記実施の形態における棚板220(棚板220a、220b)の底壁221bに代えて、底壁221cを有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0063】
底壁221cは、X軸方向において、ガス流入口222から離れた位置に第一部224を有し、第一部224よりもガス流入口222に近い位置に第二部225を有している。本実施の形態では、底壁221cにおける、ガス流路空間221のX軸方向両端部に対応する位置に第一部224が設けられ、ガス流入口222のX軸方向両側に第二部225が設けられている。そして、第二部225は、第一部224よりも高い位置に配置されている。具体的には、底壁221cは、Y軸方向から見て、第一部224から第二部225に向かうほどZ軸プラス方向に傾斜した形状を有している。
【0064】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、棚板220(棚板220f、220g)のうちのガス流入口222が形成された底壁221cは、第一部224よりもガス流入口222の近くに、第一部224よりも高い第二部225を有している。このように、棚板220のガス流入口222の近くに高さが高い部位(第二部225)を設けることで、ガス流路空間221内の異物(ガス流入口222からガスとともに流入する異物、棚板220の錆等)が、ガス流入口222から落下するのを抑制することができる。
【0065】
なお、本変形例において、底壁221cは、傾斜した形状には限定されず、例えば、Y軸方向から見て、第一部224から第二部225に向かうほどZ軸プラス方向に向かう階段状(段差形状)の部位であってもよい。または、底壁221cは、第二部225がZ軸プラス方向に向けて突出することで、第二部225に、第一部224よりも高い部位が形成されることにしてもよい。つまり、底壁221cは、第二部225の少なくとも一部が第一部224よりも高い位置に配置されるのであれば、その形状は特に限定されない。
【0066】
(変形例3)
次に、上記実施の形態の変形例3について、説明する。
図8は、本実施の形態の変形例3に係る棚板220と蓄電ユニット100との位置関係を示す正面図である。具体的には、
図8は、
図4の棚板220a、220b及び第一蓄電ユニット100aに対応する棚板220h、220i及び第一蓄電ユニット100aを、Y軸マイナス方向から見た場合の構成を示す図である。
【0067】
図8に示すように、本変形例における棚板220(棚板220h、220i)は、上記実施の形態における棚板220(棚板220a、220b)の構成に、蓋部226が取り付けられたものである。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0068】
蓋部226は、ガス流路空間221内に配置され、ガス流入口222を開閉可能に閉止する蓋である。蓋部226は、Z軸方向から見てガス流入口222よりも大きな、平板状、かつ、円形状または矩形状等の部材であり、底壁221b上に配置されて、ガス流入口222を内側から閉止する。具体的には、蓋部226は、底壁221bの上面におけるガス流入口222のX軸マイナス方向側に固定されており、この固定部分を支点として、ガス流入口222のX軸プラス方向側が開口する構成となっている。なお、
図8において、蓋部226が閉止した状態を実線で示し、蓋部226が開口した状態を破線で示している。
【0069】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、棚板220(棚板220h、220i)は、ガス流路空間221内に、ガス流入口222を開閉可能に閉止する蓋部226を有している。このように、棚板220が、ガス流路空間221内にガス流入口222の蓋部226を有していることで、蓄電素子110からガスが排出されていない間は、蓋部226がガス流入口222を閉止することができる。これにより、ガス流入口222から異物が落下してきたり、異なる蓄電素子110が排出したガスがガス流入口222から排出されたりするのを抑制することができる。また、蓄電ユニット100(例えば第一蓄電ユニット100a)からガスが排出されると、棚板220(例えば棚板220i)のガス流路空間221の外側(Z軸マイナス方向側)からガスが蓋部226を押すため、蓋部226が開いてガス流入口222からガスを流入させることができる。
【0070】
(変形例4)
次に、上記実施の形態の変形例4について、説明する。
図9は、本実施の形態の変形例4に係る棚板220と蓄電ユニット100との位置関係を示す側面図である。具体的には、
図9は、
図5の棚板220a、220b及び第一蓄電ユニット100aに対応する棚板220j、220k及び第一蓄電ユニット100aをX軸プラス方向から見た場合の構成を示す図である。
【0071】
図9に示すように、本変形例における棚板220(棚板220j、220k)は、上記実施の形態における棚板220(棚板220a、220b)の構成に、蓋部227が取り付けられたものである。つまり、本変形例では、上記変形例3の蓋部226に代えて、蓋部227が設けられている。その他の構成については、上記実施の形態または上記変形例3と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0072】
蓋部227は、上記変形例3の蓋部226と同様に、ガス流路空間221内に配置され、ガス流入口222を開閉可能に閉止する蓋である。しかしながら、蓋部227は、上記変形例3の蓋部226とは異なり、底壁221bの上面におけるガス流入口222のY軸マイナス方向側に固定されており、この固定部分を支点として、ガス流入口222のY軸プラス方向側が開口する構成となっている。つまり、蓋部227は、ガス流路空間221内を流れるガスの上流側(Y軸マイナス方向側)を支点として下流側(Y軸プラス方向側)が開口する。なお、
図9において、蓋部227が閉止した状態を実線で示し、蓋部227が開口した状態を破線で示している。
【0073】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、棚板220(棚板220j、220k)のガス流路空間221内に設けられたガス流入口222の蓋部227は、ガス流路空間221内を流れるガスの上流側を支点として下流側が開口するように形成されている。このように、棚板220(例えば棚板220k)の蓋部227によってガスの下流側が開口することで、蓄電ユニット100(例えば第一蓄電ユニット100a)から排出されたガスを、ガス流路空間221内に効率的に流すことができる。また、蓋部227は、ガスの上流側を支点として下流側が開口する構成のため、上流側の蓄電素子110からガスが排出される等により上流側からガスが流れてきた場合には、当該ガスが下流側の蓋部227を閉止する。これにより、下流側のガス流入口222から下流側の蓄電素子110に向けて、当該ガスまたは異物が放出されるのを抑制することができる。
【0074】
(変形例5)
次に、上記実施の形態の変形例5について、説明する。
図10A及び
図10Bは、本実施の形態の変形例5に係る棚板220の構成を示す斜視図である。具体的には、
図10Aは、上記実施の形態の棚板220に対応する棚板220lを斜め下方から見た場合の構成を示す斜視図であり、
図10Bは、上記変形例1の棚板220に対応する棚板220mを斜め下方から見た場合の構成を示す斜視図である。
【0075】
上記実施の形態では、棚板220は、複数(3つ)の蓄電ユニット100に対応する形状を有していたが、
図10Aに示すように、本変形例における棚板220lは、1つの蓄電ユニット100に対応する形状を有している。また、本変形例における棚板220lは、上記実施の形態における棚板220の複数のガス流入口222が繋がって、Y軸方向に延びる1つのガス流入口222aが形成されている。
【0076】
このような棚板220lは、1枚の板状部材を折り曲げることによって形成することができる。つまり、1枚の矩形状の板状部材を、両端部間に隙間を設けたロ字形状(O字形状)に折り曲げることで、Y軸方向に貫通して延びる直方体形状のガス流路空間221と、Y軸方向に延びる1つの矩形状のガス流入口222aとが形成される。
【0077】
この場合、
図10Bに示す棚板220mのように、ガス流入口222aからガス案内部223を突出させることで、上記変形例1の棚板220に対応する形状を形成することができる。この棚板220mについても、1枚の板状部材を折り曲げることによって形成することができる。
【0078】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、1枚の板状部材を折り曲げることによって棚板220(棚板220l、220m)を形成することができるため、棚板220を容易に作製することができ、製造工程の簡易化及びコスト低減等を図ることができる。
【0079】
なお、上記変形例において、棚板220l、220mは、1つの蓄電ユニット100に対応する形状を有するものの、上記実施の形態及び変形例1と同様に、複数のガス排出弁115のそれぞれに対してガス流入口222がそれぞれ形成された形状を有していてもよい。さらに、棚板220mは、複数のガス排出弁115のそれぞれに対して筒状のガス案内部223がそれぞれ形成された形状を有していてもよい。または、棚板220l、220mは、上述のガス流入口222aを有するものの、上記実施の形態及び変形例1と同様に、複数の蓄電ユニット100に対応する形状を有していてもよい。
【0080】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0081】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電ユニット100が有する蓄電素子110のガス排出弁115のそれぞれに対してガス流入口222がそれぞれ配置されている、または、全てのガス排出弁115に対して1つのガス流入口222aが配置されていることとした。しかし、2つまたは3つ等の一部のガス排出弁115に対して1つのガス流入口222が配置されていることにしてもよいし、1つのガス排出弁115に対して複数のガス流入口222が配置されていることにしてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電ユニット100は、それぞれの蓄電素子110のガス排出弁115からガスが排出される構成であることとした。しかし、蓄電ユニット100が外装体を有しており、当該外装体にガス排出弁が設けられているような構成でもよい。この場合、当該ガス排出弁に対向する位置に、ガス流入口222(または222a)が配置される。
【0083】
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電ユニット100は、棚板220に当接して載置されることとした。しかし、蓄電ユニット100は、棚板220に直接当接せずに、絶縁部材等を介して間接的に当接して載置されることにしてもよい。なお、この場合でも、当該絶縁部材等を含めて棚板220と定義すれば、蓄電ユニット100は、棚板220に直接当接して載置されることとなる。
【0084】
また、上記実施の形態及びその変形例では、ガス流路空間221は、ガスの流れ方向と交差する方向(X軸方向)において、蓄電素子110または蓄電ユニット100よりも幅が大きく形成されていることとした。しかし、ガス流路空間221は、X軸方向において、蓄電素子110及び蓄電ユニット100の双方よりも幅が小さく形成されていてもよい。さらに、ガス流路空間221は、X軸方向において、ガス流入口222(または222a)と同じ幅、または、ガス流入口222(または222a)よりも幅が小さく形成されていてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態では、全ての棚板220が上記の構成を有していることとしたが、いずれかの棚板220が上記の構成を有していないことにしてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0087】
また、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、収容部材200または棚板220としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備える蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0089】
10 蓄電装置
100 蓄電ユニット
100a 第一蓄電ユニット
100b 第二蓄電ユニット
110 蓄電素子(第一蓄電素子、第二蓄電素子)
111 容器
115 ガス排出弁
200 収容部材
210 収容部材本体部
220、220a、220b、220c、220d、220e、220f、220g、220h、220i、220j、220k、220l、220m 棚板
221 ガス流路空間
221a ガス排出口
221b、221c 底壁
222、222a ガス流入口
223 ガス案内部
223a 空間
224 第一部
225 第二部
226、227 蓋部
230 収容空間