(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電子部品ユニット、その製造方法、および電子部品ユニットを備えた電子機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 2/02 20060101AFI20231121BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20231121BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20231121BHJP
H01G 9/048 20060101ALI20231121BHJP
H01G 9/10 20060101ALI20231121BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01G2/02 101C
H01G2/06 500
H01G9/00 290J
H01G9/048 H
H01G9/10 G
H05K7/12 Q
(21)【出願番号】P 2019177870
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】黒須 満
(72)【発明者】
【氏名】一倉 修
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208409(JP,A)
【文献】特開2008-124244(JP,A)
【文献】特開2006-100658(JP,A)
【文献】国際公開第2018/020993(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02
H01G 2/06
H01G 9/00
H01G 9/048
H01G 9/10
H05K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持するためのホルダーと、
前記ホルダーに固定され、固定ピンと、該固定ピンの上部に配置されるとともに前記電子部品の実装時に加えられる圧力を受ける受圧部とを含む実装部材と、
を備えることを特徴とする電子部品ユニット。
【請求項2】
前記受圧部は前記ホルダーから露出していることを特徴とする請求項1に記載の電子部品ユニット。
【請求項3】
前記受圧部は、前記固定ピンに直交する面に平行な面、または前記固定ピンに直交する面にほぼ平行な面を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品ユニット。
【請求項4】
前記実装部材は、前記電子部品のリード端子と接続するための端子接続部をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電子部品ユニット。
【請求項5】
前記端子接続部は、前記受圧部の前記圧力を受ける部分と前記固定ピンとの間の領域から離れた位置に配置されることを特徴とする
請求項4に記載の電子部品ユニット。
【請求項6】
前記受圧部は、前記固定ピンの直上に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電子部品ユニット。
【請求項7】
前記ホルダーは、前記電子部品が設置される設置部と、前記設置部の周囲に配置された複数の側壁部と、隣り合う前記複数の側壁部の間に形成された隙間部とを含み、
前記受圧部は前記隙間部に隣接することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の電子部品ユニット。
【請求項8】
前記実装部材は、その一部が、前記ホルダーに形成された溝に挿入されて固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の電子部品ユニット。
【請求項9】
前記実装部材は、その一部が、インサート成形により前記ホルダーの内部に埋め込まれて固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の電子部品ユニット。
【請求項10】
固定ピンと、該固定ピンの上部に配置されるととも
に電子部品の実装時に加えられる圧力を受ける受圧部とを含む実装部材を形成する工程と、
前記実装部材を、前記電子部品を保持するためのホルダーに固定する工程と、
を備えることを特徴とする電子部品ユニットの製造方法。
【請求項11】
固定ピンの上部に受圧部を備える電子部品ユニットを製造する工程と、
前記電子部品ユニットの
前記受圧部に圧力を加えて、前記電子部品ユニットを基板に装着して、電子機器を製造する工程と
を含むことを特徴とする電子部品ユニットを備えた電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定ピンを有する電子部品ユニット、その製造方法および電子部品ユニットを備えた電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサなどの電子部品は、回路への接続のために、フロー半田やリフロー半田などの半田によるほか、スルーホールへのコンプライアントピンの圧入によって基板に実装される。コンプライアントピンの圧入による実装技術として、電解コンデンサ本体と、ホルダーと、コンプライアントピンからなる電子部品が知られている(たとえば特許文献1)。この知られている電子部品では、ホルダーが電解コンデンサ本体を保持および固定し、一部がホルダーに固定されるコンプライアントピンが、一方の端部にリード線との接続部を有し他方の先端部分に回路基板のスルーホールに圧入嵌入される接続固定部を有している。コンプライアントピンを有する電子部品は、圧力で回路基板のスルーホールに固定される。そのため、半田付け工程が不要であり、実装コストが抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既述のコンプライアントピンを有する電子部品では、コンプライアントピンが回路基板のスルーホールに圧入される際に、コンデンサ本体またはホルダーが回路基板方向に押圧される。そのため、コンデンサ本体またはホルダーの変形により、コンプライアントピンの接続部に押圧による悪影響が発生する可能性があり、リード端子とコンプライアントピンとの接続強度が低下する可能性がある。また、コンデンサ本体の変形によりコンデンサ本体中の電極箔とリード端子との接続強度が低下する可能性があり、ついてはコンデンサ本体の性能が低下する可能性がある。また、ホルダーの変形により、ホルダーが破損する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、電子部品ユニットを基板に実装する際に、コンデンサ本体などの電子部品またはホルダーにかかる力を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面によれば、電子部品ユニットは、ホルダーと、実装部材とを含む。ホルダーは電子部品を保持するためのものである。実装部材は、前記ホルダーに固定され、固定ピンと、該固定ピンの上部に配置されるとともに前記電子部品の実装時に加えられる圧力を受ける受圧部とを含む。
【0007】
電子部品ユニットにおいて、前記受圧部は前記ホルダーから露出していてもよい。
【0008】
電子部品ユニットにおいて、前記受圧部は、前記固定ピンに直交する面に平行な面、または前記固定ピンに直交する面にほぼ平行な面を有していてもよい。
【0009】
電子部品ユニットにおいて、前記実装部材は、前記電子部品のリード端子と接続するための端子接続部をさらに含んでもよい。
【0010】
電子部品ユニットにおいて、前記端子接続部は、前記受圧部の前記圧力を受ける部分と前記固定ピンとの間の領域から離れた位置に配置されてもよい。
【0011】
電子部品ユニットにおいて、前記受圧部は、前記固定ピンの直上に配置されてもよい。
【0012】
電子部品ユニットにおいて、前記ホルダーは、前記電子部品が設置される設置部と、前記設置部の周囲に配置された複数の側壁部と、隣り合う前記複数の側壁部の間に形成された隙間部とを含んでもよく、前記受圧部は前記隙間部に隣接してもよい。
【0013】
電子部品ユニットにおいて、前記実装部材は、その一部が、前記ホルダーに形成された溝に挿入されて固定されていてもよい。
【0014】
電子部品ユニットにおいて、前記実装部材は、その一部が、インサート成形により前記ホルダーの内部に埋め込まれて固定されていてもよい。
【0015】
本開示の第2の側面によれば、電子部品ユニットの製造方法は、固定ピンと、該固定ピンの上部に配置されるとともに電子部品の実装時に加えられる圧力を受ける受圧部とを含む実装部材を形成する工程と、前記実装部材を、前記電子部品を保持するためのホルダーに固定する工程とを含む。
【0016】
本開示の第3の側面によれば、電子部品ユニットを備えた電子機器の製造方法は、固定ピンの上部に受圧部を備える電子部品ユニットを製造する工程と、前記電子部品ユニットの前記受圧部に圧力を加えて、前記電子部品ユニットを基板に装着して、電子機器を製造する工程とを含む。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0018】
(1) ホルダーとは異なる実装部材が固定ピンおよびこの固定ピンの上部に配置された受圧部を含むので、受圧部に加えられた圧力は、主に、実装部材の内部の、受圧部の圧力を受ける部分と固定ピンとの間の限られた領域に作用する。そのため、ホルダーおよび電子部品の加圧を抑制することができる。
【0019】
(2) 実装時のホルダーおよび電子部品の不具合の発生リスクを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施の形態に係る電子部品ユニットの一例を示す図である。
【
図4】
図4のAは、実装部材の正面図であり、
図4のBは、実装部材の平面図である。
【
図5】電子部品ユニットに加わる力の一例を示す図である。
【
図6】電子部品ユニットに加わる力の他の例を示す図である。
【
図7】電子部品ユニットの製造方法の一例を示す図である。
【
図8】リード端子と端子接続部の接続の一例を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る電子部品ユニットの一例を示す図である。
【
図11】電子部品ユニットに加わる力を示す図である。
【
図12】電子部品ユニットの製造方法の一例を示す図である。
【
図13】電子部品ユニットの製造方法の一例を示す図である。
【
図14】リード端子と端子接続部の接続の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。
第1の実施の形態
【0022】
図1は、第1の実施の形態に係る電子部品ユニットの一例を示している。
図2は、電子部品ユニットの平面図であり、
図3は、電子部品ユニットの底面図である。
図2では、電子部品が設置されるホルダーの面部(電子部品の設置面)を示すために、電子部品が省略され、電子部品の外形線のみが破線により示されている。
図1ないし
図3に示されている構成は一例であって、斯かる構成に本開示の技術が限定されるものではない。本開示では、電子部品ユニットの固定ピン側を下側、電子部品側を上側としている。
【0023】
電子部品ユニット2は、電子部品4と、ホルダー6と、複数の実装部材8とを含んでいる。実装部材8の数は、
図2に示すように、たとえば二つである。電子部品ユニット2は、回路基板などの基板58(
図5のA、
図5のB)に実装可能なユニットである。基板58への実装により、電子部品4が基板58のたとえば回路に接続される。
【0024】
電子部品4は、部品本体部12と、複数のリード端子14とを含んでいる。リード端子14の数は、
図3に示すように、たとえば二つであり、実装部材8の数と一致する。部品本体部12はたとえば円筒形状を有しているが、他の形状であってもよい。電子部品4は、たとえばコンデンサであるが、インダクタ、ダイオード、トランジスタなどの他の電子部品であってもよい。
【0025】
ホルダー6は、電子部品4を保持する剛性部材であり、たとえば絶縁性を有する樹脂で形成されている。ホルダー6は、
図2に示すように、上面、つまり電子部品4が設置される面に設置部22、複数の側壁部24、係合溝26および突出端部28を有し、
図3に示すように、下面、つまり実装面に複数の支持突部30およびリブ32を有している。
【0026】
設置部22は、電子部品4が設置される表面を有し、電子部品4から下側に延びるリード端子14を通過させる貫通孔34を有する。貫通孔34は、リード端子14と対向する位置に形成されている。そのため、電子部品4が設置部22に設置されると、リード端子14が貫通孔34を通って、ホルダー6の下面側に突出する。ホルダー6の下面側のリード端子14は、
図3に示すように、ホルダー6の下面に沿って折り曲げられて、ホルダー6の外側で、実装部材8に接続される。
【0027】
側壁部24は、設置部22に隣接するとともに設置部22の周りに配置されている。側壁部24の内側表面は、設置部22に設置される電子部品4の外表面に沿った形状を有し、電子部品4を囲う。そのため、ホルダー6は、設置部22および側壁部24により電子部品4を保持することができる。側壁部24の外側表面は、第1の平坦面24-1と、第1の平坦面の両側に配置された第2の平坦面24-2とを有している。ホルダー6は、たとえば四つの側壁部24を有する。四つの側壁部24は、
図2に示すように、内側に部分的な円形面、外側に部分的な正八角形面を形成している。つまり、四つの側壁部24は、概ね、内部に円柱形の空間を有する正八角柱を形成している。隣り合う側壁部24の第2の平坦面24-2は離間しており、隣り合う側壁部24の間に隙間部36が形成されている。この正八角柱の第1の側面は、四つの側壁部24の第1の平坦面24-1により形成され、第2の側面は、隣り合う側壁部24の二つの第2の平坦面24-2およびこれらの間の隙間部36により形成される。
【0028】
係合溝26は、実装部材8が挿入される溝を有している。係合溝26は、内部に窪みを有している。係合溝26の窪みが実装部材8の突起と係合して、挿入された実装部材8の抜けが防止される。係合溝26は、貫通孔37を含み、貫通孔37は、
図3に示すように、実装部材8の固定ピン42をホルダー6の下面側に通過させる。係合溝26は、側壁部24の外側であって、たとえば、既述の正八角柱の第2の側面の外側に配置されている。
【0029】
突出端部28は、一部の係合溝26の外側に形成されている。この突出端部28は、電子部品ユニット2を実装する際に、たとえば電子部品ユニット2の位置決定または向き決定に用いられる。
【0030】
支持突部30は、
図3に示すように、ホルダー6の下面側に配置されている実装部材8の固定ピン42の内側近傍に配置されている。支持突部30により、電子部品ユニット2の実装において、固定ピン42の挿入量の適正化が図られる。
【0031】
リブ32は、支持突部30およびホルダー6の縁部に接続するとともに、貫通孔34の周りに配置されている。リブ32は、ホルダー6の剛性を高めている。
【0032】
各実装部材8は、導体接続部38と、端子接続部40と、複数の固定ピン42とを含む。各実装部材8の複数の固定ピン42の数はたとえば二つである。実装部材8は、
図4のAおよび
図4のBに示すように、端子接続部40に関して左右対称である。実装部材8は導電性を有し、たとえば、銅などの金属と、この金属の表面に形成された錫などのめっき材とを含んでいる。そのため、導体接続部38は、端子接続部40を複数の固定ピン42に物理的かつ電気的に接続している。実装部材8の一部はホルダー6の係合溝26に挿入される。実装部材8は、既述の抜けの防止によりホルダー6に固定されて、ホルダー6と一体化される。二つの実装部材8は、
図2に示すように、設置部22を介して互いに対向している。また、二つの実装部材8の端子接続部40と二つの貫通孔34は、
図3に示されているように、一直線上に配置される。
【0033】
導体接続部38は、
図4のAおよび
図4のBに示すように、二か所で折り曲げられた板状またはほぼ板状の部材であり、中央部38-1と二つのサイド部38-2とを含んでいる。二つのサイド部38-2は、中央部38-1を挟み、中央部38-1の両端に所定の角度θでそれぞれ接続している。中央部38-1は、
図2に示すように、ホルダー6の側壁部24の第1の平坦面24-1に沿って配置され、サイド部38-2は、
図2に示すように、隣接する側壁部24の第2の平坦面24-2および隙間部36に沿って配置されている。四つの側壁部24が正八角柱を形成するとき、中央部38-1とサイド部38-2との間の角度θは、正八角形の内角に一致またはほぼ一致し、135度またはほぼ135度になる。
【0034】
中央部38-1およびサイド部38-2の上側の平坦な端面は、受圧部44を形成している。受圧部44は、固定ピン42の上部に配置され、電子部品ユニット2の実装時に加えられる圧力Fp(
図5のAなど)を受圧部44の少なくとも一部で受ける。受圧部44は、固定ピン42の上端を通り固定ピン42と直交する平面OPに平行な面を有し、
図1および
図2に示すように、露出している。また、受圧部44の一部は、
図2に示すように、側壁部24間の隙間部36に隣接している。
【0035】
各サイド部38-2は、係合突起46と、第1のストッパ部48と、第2のストッパ部50とを含んでいる。
【0036】
係合突起46は、受圧部44と固定ピン42の間に配置される。係合突起46は、実装部材8のサイド部38-2がホルダー6の係合溝26に挿入された時、係合突起46が係合溝26に係合して、実装部材8の抜けの防止が図られる。
【0037】
第1のストッパ部48は、サイド部38-2の側端の上部に形成され、下側に平坦面を有している。第2のストッパ部50は、サイド部38-2の下側の平坦面であって、係合突起46よりも中央部38-1に近い側に配置されている。実装部材8のサイド部38-2がホルダー6の係合溝26に挿入される時、第1のストッパ部48および第2のストッパ部50が、係合溝26の両外側に接触して、係合溝26への挿入状態が適正に規制される。
【0038】
端子接続部40は、中央部38-1の下端中央に配置される。端子接続部40は、上下方向に延びる二つの接続片52を有し、この二つの接続片52は、導体接続部38の中央部38-1と同一平面上に配置されている。二つの接続片52は、所定の距離Lほど離れて配置されて、接続片52の間に凹部54を形成し、かつ固定ピン42の先端が向いている方向、つまり下側に開口を形成している。各接続片52は、開口の周辺に傾斜面56を有する。そのため、二つの接続片52の開口は、凹部54の底部よりも広がっている。傾斜面56は、リード端子14を凹部54に導くことができ、そのため、凹部54へのリード端子14の挿入負担が軽減できる。端子接続部40の下端は、たとえば平面OP上に配置されている。
【0039】
接続片52の間の距離Lは、リード端子14の直径よりもわずかに狭い距離に設定されている。そのため、接続片52は、凹部54に挿入されたリード端子14を挟むとともに加締める。接続片52とリード端子14との接続により、電子部品4が実装部材8と電気的に接続される。
【0040】
固定ピン42は、受圧部44および係合突起46の下であって、導体接続部38のサイド部38-2と同一平面上に配置されている。固定ピン42は、たとえば基板58の接続孔60(
図5のA、
図5のB)に係合する機能を有し、たとえばプレスフィットコネクタまたはプレスフィット端子である。
【0041】
電子部品ユニット2は、たとえば二つの実装部材8を含み、各実装部材8はたとえば二つの固定ピン42を有している。合計四つの固定ピン42は、
図2および
図3に示すように、電子部品4の周りに等間隔またはほぼ等間隔に配置され、ほぼ矩形を有するホルダー6の下面の四つのコーナ部の近傍に配置される。そのため、電子部品ユニット2の実装状態において、電子部品ユニット2が四つのコーナ部の近傍で固定され、安定した実装状態を得ることができる。
【0042】
各実装部材8の二つの固定ピン42の間の距離Lp1は、
図3に示すように、電子部品4の二つのリード端子14の間の距離Lt以上であることが好ましく、
図2に示すように、固定ピン42の離間方向における電子部品4の幅D1、つまり電子部品4の直径以下であることが好ましい。距離Lp1が距離Lt以上であると、実装状態における電子部品ユニット2の安定性が高められる。また、距離Lp1が幅D1以下であると、電子部品ユニット2の設置面積の拡大を抑制することができる。
【0043】
二つの実装部材8の隣り合う二つの固定ピン42の間の距離Lp2は、
図3に示すように、距離Lt以上であることが好ましく、
図2に示すように、固定ピン42の離間方向における電子部品4の幅D2、つまり電子部品4の直径以下であることが好ましい。距離Lp2が距離Lt以上であると、実装状態における電子部品ユニット2の安定性が高められる。また、距離Lp2が幅D2以下であると、電子部品ユニット2の設置面積の拡大を抑制することができる。
【0044】
図5のAは、実装途中に電子部品ユニットに加わる力の一例を示し、
図5のBは、実装終了時に電子部品ユニットに加わる力の一例を示している。
図5のAおよび
図5のBでは、基板中の固定ピンおよび接続孔を破線で示している。
図5のAおよび
図5のBにおいて、実線による矢印は、電子部品ユニット2に加わる力を示している。
図5のAにおいて、破線による矢印は、電子部品ユニット2の移動方向を示し、
図5のBにおいて、破線による矢印は、ホルダー6に加わる可能性がある抗力を示している。
【0045】
電子部品ユニット2は、
図5のAおよび
図5のBに示すように、たとえば基板58に実装される。基板58は、電子部品ユニット2の固定ピン42に対応する位置に接続孔60を有している。接続孔60は、たとえばスルーホールである。
【0046】
電子部品ユニット2は、実装途中において、
図5のAに示すように、圧力Fpおよび動摩擦力Fdを受ける。圧力Fpは、電子部品ユニット2の固定ピン42を基板58の接続孔60に挿入するための下向きの力であり、実装部材8の露出した受圧部44の一部、たとえば
図5のAに示すように固定ピン42の直上に直接加えられる。動摩擦力Fdは、固定ピン42と接続孔60との間の摩擦により発生する。動摩擦力Fdは、圧力Fpと反対の向きを有し、圧力Fpと相殺される。固定ピン42の挿入のために、圧力Fpは、動摩擦力Fd以上の大きさを有する。受圧部44の圧力Fpを受ける部分(圧力Fpを表す矢印が受圧部44に接触している部分)が、固定ピン42の直上、すなわち固定ピン42を通る基板58の垂線上に配置されている。そのため、圧力Fpは直線上で動摩擦力Fdと対向することになる。
【0047】
電子部品ユニット2は、実装終了時において、
図5のBに示すように、圧力Fpおよび静止摩擦力Fsを受ける。静止摩擦力Fsは、固定ピン42と接続孔60との間の摩擦により発生する。静止摩擦力Fsは、圧力Fpと反対の向きを有し、圧力Fpと相殺される。静止摩擦力Fsの最大静止摩擦力は、動摩擦力Fdよりも大きい。そのため、圧力Fpが、動摩擦力Fd以上、最大静止摩擦力以下の大きさに設定されると、実装終了時において、圧力Fpが静止摩擦力Fsとつり合うことになる。そのため、ホルダー6の支持突部30は穏やかに基板58に接触することができる。つまり、支持突部30が基板58から受ける抗力Frを抑制することができる。最大静止摩擦力よりも大きい圧力Fpは、
図5のBに示すように、静止摩擦力Fsおよび抗力Frと釣合うことになる。
【0048】
圧力Fpは、たとえば電子部品ユニット2に対応した図示しない加圧装置により生成される。加圧装置は、たとえば加圧の停止設定値を含んでいる。停止設定値は、基板58からの距離に関する設定値である。停止設定値で設定されている距離まで加圧装置が受圧部44を基板58側に押し下げると、加圧装置は加圧を停止する。停止設定値で設定されている基板58からの距離は、たとえば
図5のBに示されている基板58から受圧部44までの距離である。このような加圧装置は、固定ピン42を適正な位置まで接続孔60に挿入すると加圧を停止する。そのため、圧力Fpが最大静止摩擦力よりも大きくても、抗力Frの発生を抑制することができる。
【0049】
受圧部44および固定ピン42はいずれも実装部材8に形成され、受圧部44の圧力Fpを受ける部分は固定ピン42の直上に配置されている。そのため、圧力Fp、動摩擦力Fdおよび静止摩擦力Fsは実装部材8の限られた領域、つまり受圧部44の圧力Fpを受ける部分と固定ピン42との間の領域61に作用し、電子部品4およびホルダー6に対する力の作用が抑制される。また、受圧部44が固定ピン42の直上に配置されていると、圧力Fpが加えられる方向が、受圧部44から固定ピン42に向かう方向と一致またはほぼ一致する。そのため、圧力Fpを固定ピン42に伝え易くすることができ、電子部品ユニット2の実装性を高めることができる。
【0050】
端子接続部40は、受圧部44の圧力Fpを受ける部分と固定ピン42との間の領域61から離れているので、端子接続部40への力の作用が抑制される。
【0051】
抗力Frは、固定ピン42の近傍においてホルダー6に作用する。そのため、圧力Fp、静止摩擦力Fs、および抗力Frは、実装部材8およびホルダー6の限られた領域、つまり力が作用している固定ピン42、支持突部30および受圧部44の間の領域62に作用する。したがって、抗力Frが発生しても電子部品4およびホルダー6に対する力の作用が抑制される。また、端子接続部40は、隣り合う支持突部30の間、更には支持突部30の中間に配置されており、領域62から離れているので、抗力Frが発生しても端子接続部40への力の作用が抑制される。
【0052】
リード端子14は、
図5のBに示すように、実装状態において、基板58の近傍で端子接続部40に接続されている。基板58の近傍での接続は、基板58から離れた位置での接続に比べて、たとえば振動に対する接続の安定性を高めることができる。また、基板58は、
図5のBに示すように、端子接続部40の開口と少しの隙間を挟んで対向するので、基板58の振動が端子接続部40に直接伝わることを防止できる。
【0053】
受圧部44の圧力Fpが加えられている部分は、隙間部36に隣接しているので、受圧部44の両側には、自由空間が存在する。受圧部44の周りの障害物が少なく、受圧部44への加圧作業のための作業空間が確保されている。そのため、電子部品ユニット2の実装のための作業性が高められている。たとえば、電子部品ユニット2への加圧装置の意図しない接触の発生危険度を抑制することができる。
【0054】
圧力Fpが加えられる部分は、固定ピン42の直上に限らない。たとえば
図6のAに示すように、固定ピン42の直上位置と端子接続部40の直上位置の間に圧力Fpが加えられてもよく、たとえば
図6のBに示すように、端子接続部40の直上位置、つまり実装部材8の中央部に圧力Fpが加えられてもよい。つまり、受圧部44の圧力Fpを受ける部分が、固定ピン42を通る基板58の垂線から離れた位置に配置されていてもよい。圧力Fpを受ける部分が、固定ピン42を通る基板58の垂線から離れていても、電子部品4およびホルダー6に対する力の作用を抑制することができる。また、圧力Fpが固定ピン42の直上位置と端子接続部40の直上位置の間に加えられても、端子接続部40を、受圧部44の圧力Fpを受ける部分と固定ピン42との間の領域61から離れた位置に配置することができる。
【0055】
図7および
図8は、電子部品ユニットの製造手順の一例を示している。
図7および
図8に示されている製造手順は、電子部品ユニットの製造方法の一例である。
【0056】
電子部品4、ホルダー6および実装部材8を準備する。電子部品4は独自に作製してもよく、市販電子部品であってもよい。ホルダー6は、たとえば金型を用いた樹脂成形により作製される。ホルダー6は、たとえば3Dプリンタにより作製してもよい。実装部材8は、たとえば切断工程、成形工程、およびめっき工程を経て作製される。切断工程では、銅板などの金属板がたとえば金型を用いて所定の形状に打ち抜かれる。切断工程では、所定の形状を有する金属板が得られれば良く、レーザ切断機またはウォータージェット切断機などの切断機で金属板が切断されてもよい。成形工程では、所定の形状を有する金属板がたとえば金型を用いて所定の形状に成形される。めっき工程では、成形された金属板の表面がめっきされる。切断工程と成形工程は、一体的に行われてもよい。
【0057】
実装部材8の固定ピン42、係合突起46およびサイド部38-2がホルダー6の係合溝26に挿入され、固定ピン42がホルダー6の下面から突出され、係合突起46が係合溝26と係合する。実装部材8がホルダー6に一体的に設置される。
【0058】
電子部品4のリード端子14がホルダー6の貫通孔34に挿入されるとともに、電子部品4の部品本体部12がホルダー6の設置部22に設置される。ホルダー6の下面から突出したリード端子14が、
図8に示すようにホルダー6の下面に沿って折り曲げられて、実装部材8の端子接続部40に接続される。これらの工程を経て、電子部品ユニット2が得られる。
【0059】
たとえば上記工程を経て得られた電子部品ユニット2は、固定ピン42の上部に受圧部44を備えている。この電子部品ユニット2の受圧部44に圧力Fpを加え、電子部品ユニット2の固定ピン42を基板58の接続孔60に挿入して、電子部品ユニット2を基板58に装着すると、電子部品ユニット2を備えた電子機器を得ることができる。
【0060】
第1の実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0061】
(1) ホルダー6とは異なる実装部材8が固定ピン42およびこの固定ピン42の上部に配置された受圧部44を含むので、受圧部44に加えられた圧力は、主に、実装部材8の内部の、受圧部44の圧力Fpを受ける部分と固定ピン42との間の限られた領域61に作用する。そのため、ホルダー6および電子部品4の加圧を抑制することができる。
【0062】
(2) ホルダー6および電子部品4の加圧を抑制することができるので、実装時のホルダー6および電子部品4の不具合の発生リスクを抑制することができる。
【0063】
(3) 端子接続部40への力の作用が抑制される。そのため、端子接続部40とリード端子14の安定した接続を得ることができる。
【0064】
(4) 基板58への実装によるリード端子14と固定ピン42との接続強度の低下、電子部品4の性能低下、またはホルダー6の破損などを抑制または防止することができる。
【0065】
(5) 電子部品4の各リード端子14が複数の固定ピン42に接続されている。そのため、電子部品ユニット2がリード端子14の数の少なくとも二倍の数の固定ピン42でたとえば基板58に固定され、電子部品ユニット2の接続の安定性が高められる。
【0066】
(6) 電子部品4の各リード端子14を複数の固定ピン42でたとえば基板58の回路に接続することができる。そのため、一部の接続に不具合が発生しても、他の接続で電子部品4と回路との接続を維持することができ、接続の信頼性を高めることができる。
【0067】
(7) 電子部品ユニット2は、下側で開口する端子接続部40を有するので、リード端子14を下から上に向かって端子接続部40に接続することができる。そのため、電子部品ユニット2は、電子部品4のリード端子14が基板58側に配置されるように、電子部品4を基板58に実装することができる。
第2の実施の形態
【0068】
図9は、第2の実施の形態に係る電子部品ユニットの一例を示している。
図9により示されている構成は一例であって、斯かる構成に本開示の技術が限定されるものではない。
図9において、
図1ないし
図3のいずれかと同一部分には同一の符号を付している。
【0069】
電子部品ユニット72は、既述の電子部品4と、ホルダー76と、複数の実装部材78とを含んでいる。実装部材78の数は、たとえば二つである。電子部品ユニット72は、たとえば既述の基板58に実装可能であり、たとえば基板58への実装により、電子部品4が基板58の回路に接続される。
【0070】
ホルダー76は、電子部品4を保持する剛性部材であり、たとえば絶縁性を有する樹脂で形成されている。ホルダー76は、上面に、第1の実施の形態で既述した設置部22、および複数の側壁部80を有し、下面に、第1の実施の形態で既述した複数の支持突部30およびリブ32を有している。
【0071】
側壁部80は、第1の実施の形態で既述した隣り合う二つの側壁部24が一体化した構造を有する。つまり、ホルダー76は、隣り合う二つの側壁部24の間の隙間部36の代わりに側壁部を有し、隣り合う二つの側壁部24およびその間の側壁部が、一つの側壁部80を形成している。ホルダー76は、二つの側壁部80を含み、側壁部80の間に隙間部36が形成されている。
【0072】
各実装部材78は、ホルダー76の内部に部分的に埋め込まれ、ホルダー76に固定および一体化されている。実装部材78は、
図10のAおよび
図10のBに示すように、導体接続部82と、端子接続部84と、複数の固定ピン86とを含んでいる。複数の固定ピン86の数はたとえば二つである。実装部材78は、端子接続部84に関して左右対称である。実装部材78は導電性を有し、たとえば、銅などの金属と、この金属の表面に形成された錫などのめっき材とを含んでいる。そのため、導体接続部82は、端子接続部84を複数の固定ピン86に物理的かつ電気的に接続している。二つの実装部材78は、第1の実施の形態で既述した実装部材8と同様に、設置部22を介して互いに対向し、二つの実装部材78の端子接続部84と二つの貫通孔34は、一直線上に配置される。
【0073】
導体接続部82は、
図10のAおよび
図10のBに示すように、板状またはほぼ板状の部材である。導体接続部82は、ホルダー76の貫通孔34との接触を避けるために、後退部88-1を含んでいる。また、導体接続部82は、導体接続部82によるホルダー76の上下方向の分断を避けるために、後退部88-2、88-3を含んでいる。導体接続部82は、左右方向に三等分して、たとえば中央部82-1と二つのサイド部82-2に区分可能である。二つのサイド部82-2は、中央部82-1を挟み、中央部82-1の両端にそれぞれ接続している。
【0074】
各サイド部82-2は、受圧部90を含んでいる。受圧部90は、固定ピン86の上部に配置され、更には固定ピン86の直上に配置される。電子部品ユニット72では、特に、受圧部90が固定ピン86に隣接している。受圧部90は、固定ピン86の上端を通り固定ピン86と直交する平面OPに平行またはほぼ平行な面を有している。受圧部90は、
図9に示すようにホルダー76の側壁部80の外側近傍に配置されており、露出している。
【0075】
端子接続部84は、中央部82-1の一端の中央に配置される。端子接続部84は、導体接続部82の長手方向かつ主表面に対して直交またはほぼ直交する方向に延びる二つの接続片92を有している。二つの接続片92の間の距離L、凹部54、開口および傾斜面56は、第1の実施の形態で既述した端子接続部40と同様である。
【0076】
固定ピン86は、受圧部90の下に配置されている。固定ピン86は、たとえば基板58の接続孔60に係合する機能を有し、たとえばプレスフィットコネクタまたはプレスフィット端子である。固定ピン86は、導体接続部82の長手方向かつ主表面に対して直交またはほぼ直交する方向に延びている。
【0077】
電子部品ユニット72は、たとえば二つの実装部材78を含み、各実装部材78はたとえば二つの固定ピン86を有している。合計四つの固定ピン86は、第1の実施の形態で既述したように、電子部品4の周りに等間隔またはほぼ等間隔に配置される。また、合計四つの固定ピン86は、八角形状を有するホルダー76の下面の八辺の近傍に、一辺置きに配置される。そのため、電子部品ユニット72の実装状態において、安定した実装状態を得ることができる。
【0078】
各実装部材78の二つの固定ピン86の間の距離Lp3は、第1の実施の形態で既述した距離Lp1と同様に、距離Lt以上であることが好ましく、幅D1以下であることが好ましい。また、二つの実装部材78の隣り合う二つの固定ピン86の間の距離は、第1の実施の形態で既述した距離Lp2と同様に、距離Lt以上であることが好ましく、幅D2以下であることが好ましい。
【0079】
図11のAは、実装途中に電子部品ユニットに加わる力を示し、
図11のBは、実装終了時に電子部品ユニットに加わる力を示している。
図11のAおよび
図11のBでは、基板中の固定ピンおよび接続孔を破線で示している。
図11のAおよび
図11のBにおいて、実線による矢印は、電子部品ユニット72に加わる力を示している。
図11のAにおいて、破線による矢印は、電子部品ユニット72の移動方向を示し、
図11のBにおいて、破線による矢印は、ホルダー76に加わる可能性がある抗力を示している。
【0080】
電子部品ユニット72は、実装途中において、
図11のAに示すように、第1の実施の形態で既述した圧力Fpおよび動摩擦力Fdを受ける。圧力Fpは、実装部材78の受圧部90に加えられる。電子部品ユニット72は、実装終了時において、
図11のBに示すように、第1の実施の形態で既述した圧力Fpおよび静止摩擦力Fsを受ける。また、電子部品ユニット72は、実装終了時において、
図11のBに示すように、第1の実施の形態で既述した抗力Frを受ける可能性がある。
【0081】
受圧部90および固定ピン86はいずれも実装部材78に形成され、受圧部90は固定ピン86の上部、更には、固定ピン86の直上に配置されている。そのため、圧力Fp、動摩擦力Fdおよび静止摩擦力Fsは実装部材78の限られた領域、つまり受圧部90と固定ピン86との間の領域61に作用し、電子部品4およびホルダー76に対する力の作用が抑制される。電子部品ユニット72では、特に、受圧部90が固定ピン86に隣接している。そのため、圧力Fp、動摩擦力Fdおよび静止摩擦力Fsが作用する領域を極めて限られた領域、つまり受圧部90と固定ピン86との間の狭い領域61に制限することができる。また、受圧部90が固定ピン86の直上に配置されていると、圧力Fpが加えられる方向が、受圧部90から固定ピン86に向かう方向と一致またはほぼ一致する。そのため、圧力Fpを固定ピン86に伝え易くすることができる。電子部品ユニット72の実装性を高めることができる。
【0082】
端子接続部84は、受圧部90と固定ピン86との間の領域61から離れているので、端子接続部84への力の作用が抑制される。
【0083】
端子接続部84は、隣り合う支持突部30の間、更には支持突部30の中間に配置され、抗力Frは、固定ピン86の近傍においてホルダー76に作用する。そのため、第1の実施の形態で既述したように、抗力Frが発生しても電子部品4、ホルダー76および端子接続部84に対する力の作用が抑制される。
【0084】
リード端子14は、
図11のBに示すように、実装状態において、基板58の近傍で端子接続部84に接続され、基板58は、端子接続部84の開口と少しの隙間を挟んで対向する。そのため、第1の実施の形態で既述したように、基板58の近傍での接続は、たとえば振動に対する接続の安定性を高めることができ、基板58の振動が端子接続部40に直接伝わることを防止できる。
【0085】
図12は、電子部品ユニットの製造手順の一例を示している。
図12に示されている製造手順は、電子部品ユニットの製造方法の一例である。
【0086】
実装部材78を作製する。実装部材78は、たとえば切断工程、成形工程、およびめっき工程を経て作製される。切断工程では、
図12のAに示すように、銅板などの金属板がたとえば金型を用いて所定の形状に打ち抜かれる。打ち抜かれた金属板は、二つの実装部材78の展開部品および枠94を有する。枠94は、二つの実装部材78の展開部品の外側に配置され、各展開部品と複数の位置で接続している。そのため、枠94は、枠内に配置された二つの展開部品の相対位置を固定することができる。また、枠94は、複数の位置決め孔96を有する。複数の位置決め孔96は、成形工程以降の工程において、たとえば二つの展開部品または二つの実装部材78を位置決めすることができる。切断工程では、所定の形状を有する金属板が得られれば良く、金属板がレーザ切断機またはウォータージェット切断機などの切断機で切断されてもよい。
【0087】
成形工程では、
図12のBに示すように、金属板がたとえば金型を用いて所定の形状に成形される。めっき工程では、成形された金属板の表面がめっきされる。切断工程と成形工程は、一体的に行われてもよい。
【0088】
図12のCに示すように、作製された実装部材78の周りにホルダー76を成形する。ホルダー76は、たとえば金型を用いた樹脂成形により作製される。ホルダー76の成形において、実装部材78の一部は、インサート成形によりホルダー76の内部に埋め込まれる。ホルダー76の成形により、実装部材78がホルダー76にインサートされるとともに、ホルダー76と一体化される。
【0089】
図12のDに示すように、実装部材78を枠94から外して、実装部材78が取り付けられたホルダー76を得る。
【0090】
図13に示すように、電子部品4のリード端子14がホルダー76の貫通孔34に挿入されるとともに、電子部品4の部品本体部12がホルダー76の設置部22に設置される。ホルダー76の下面から突出したリード端子14は、第1の実施の形態と同様に折り曲げられて、実装部材78の端子接続部84に接続される。これらの工程を経て、電子部品ユニット72が得られる。
【0091】
たとえば上記工程を経て得られた電子部品ユニット72は、固定ピン86の上部に受圧部90を備えている。この電子部品ユニット72の受圧部90に圧力Fpを加え、電子部品ユニット72の固定ピン86を基板58の接続孔60に挿入して、電子部品ユニット72を基板58に装着すると、電子部品ユニット72を備えた電子機器を得ることができる。
【0092】
第2の実施の形態によれば次の効果が得られる。
【0093】
(1) 第1の実施の形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0094】
(2) 実装部材78の一部は、インサート成形によりホルダー76の内部に埋め込まれる。このため、ホルダー76が係合溝を有する必要がなく、受圧部90から固定ピン86までの実装部材78の側面を露出させることができる。そのため、電子部品ユニット72の底面積を抑制することができる。しかしながら、第1の実施の形態に係る電子部品ユニット2では、実装部材8は、全体的に側壁部24の外側に配置される。このため、電子部品ユニット2の高さを抑制することができる。
【0095】
以上説明した実施の形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
【0096】
(1) 上記実施の形態では、電子部品4が二つのリード端子14を有し、電子部品ユニット2、72がリード端子14と同じ数の実装部材8、78を含んでいる。リード端子14および実装部材8、78の数は、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。また、電子部品ユニット2、72は、リード端子14の数よりも少ない数の実装部材8、78を含み、リード端子14の一部が実装部材8、78を用いることなく回路に接続されるようにしてもよい。
【0097】
(2) 上記実施の形態では、側壁部24、80が平面視で正八角形を形成している。側壁部24、80が形成する形状が正八角形であると、
図2および
図3に示すように、四つの固定ピン42、86を一辺置きに配置することができ、固定ピン42、86を電子部品4の周りに等間隔またはほぼ等間隔に配置することができる。また、二つの端子接続部40、84と二つの貫通孔34を一直線上に配置することができる。しかしながら、側壁部24、80の形状は、辺の長さが異なる正八角形であってもよく、円形または他の多角形でもよい。たとえば、側壁部の形状が正十二角形であると、六つの固定ピンを一辺置きに配置するとともに、三つの端子接続部を四辺置きに配置することができる。固定ピンおよび端子接続部を電子部品の周りに等間隔またはほぼ等間隔に配置することができ、たとえば、正三角形の三つの角の位置に配置された三つのリード端子の接続性を高めることができる。
【0098】
(3) 上記実施の形態では、受圧部44、90が固定ピン42、86と直交する平面OPに平行な面、または平面OPにほぼ平行な面を有している。しかしながら、受圧部44、90に対して下向きの圧力Fpを加えることができればよく、受圧部44、90は、平面OPに平行な面、またはほぼ平行な面に限定されない。
【0099】
(4) 上記第1の実施の形態では、受圧部44は、1箇所または2箇所で圧力Fpを受けているが、3箇所以上で圧力Fpを受けてもよい。
【0100】
(5) 上記実施の形態では、受圧部44、90が露出している。しかしながら、受圧部44、90がたとえば図示しないカバーにより覆われていてもよい。この場合、圧力Fpは、カバーを介して受圧部44、90に伝わる。そのため、カバーがホルダー6、76に結合しているか否かに関わらず、電子部品4およびホルダー6、76に対する力の作用を抑制することができる。
【0101】
(6) 実装部材8、78は、銅などの金属と、この金属の表面に形成された錫などのめっき材とを含んでいる。そのため、実装部材8、78は、導電性に優れるとともに、錫めっきにより防錆性および電気的な接続安定性に優れる。しかしながら、実装部材8、78は、導電性を有していればよく、斯かる素材に限定されるものではない。
【0102】
(7) 第1の実施の形態では、実装部材8がホルダー6に一体的に設置された後、電子部品4がホルダー6に設置される。しかしながら、本開示の製造手順は、斯かる手順に限定されるものではない。たとえば、電子部品4がホルダー6に設置され、リード端子14がホルダー6の下面に沿って折り曲げられ、その後、
図14に示すように、実装部材8がホルダー6に挿入される際に端子接続部40がリード端子14に接続されてもよい。斯かる製造手順によれば、リード端子14を折り曲げながら端子接続部40に接続することを避けることができ、そのため、電気的な接続の安定性を高めることができる。
【0103】
(8) 第2の実施の形態では、電子部品ユニット72の受圧部90が側壁部80に隣接しているが、第1の実施の形態で既述したように、受圧部90が隙間部36に隣接していてもよい。隙間部36の配置により、受圧部90の両側に自由空間が形成される。そのため、受圧部90の周りの障害物が少なく、受圧部90への加圧作業のための作業空間を確保することができる。
【0104】
(9) 上記実施の形態では、電子部品ユニット2、72が一つの電子部品4を含んでいるが、電子部品ユニット2、72が複数の電子部品4を含み、ホルダー6、76が複数の電子部品4を保持してもよい。この場合、複数の電子部品4のリード端子14の一部またはすべてが実装部材8または実装部材78に接続されればよい。
【0105】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本開示は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示の技術は、たとえば基板への電子部品の実装に用いることができ、有用である。
【符号の説明】
【0107】
2、72 電子部品ユニット
4 電子部品
6、76 ホルダー
8、78 実装部材
14 リード端子
22 設置部
24、80 側壁部
24-1 第1の平坦面
24-2 第2の平坦面
26 係合溝
28 突出端部
30 支持突部
34、37 貫通孔
36 隙間部
38、82 導体接続部
38-1、82-1 中央部
38-2、82-2 サイド部
40、84 端子接続部
42、86 固定ピン
44、90 受圧部
46 係合突起
48 第1のストッパ部
50 第2のストッパ部
52、92 接続片
54 凹部
56 傾斜面
61、62 領域