(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】印刷装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20231121BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231121BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B41J29/38 104
B41J29/00 C
B41J29/38 501
G06F3/12 304
G06F3/12 331
(21)【出願番号】P 2019195078
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】高本 明男
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-009474(JP,A)
【文献】特開2007-216619(JP,A)
【文献】特開2017-212529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0095641(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信可能であり、外部電源から供給された第1電力を用いて印刷を行う印刷装置であって、
前記第1電力をオン・オフする電源スイッチと、
前記印刷を行う印刷機構
を含む第1ハードウェア機能部と、
前記外部装置との間の通信と、前記外部装置からの第2電力の供給との両方に用いられるケーブルが接続されるコネクターと、
前記コネクターに前記ケーブルが接続された場合、前記ケーブルを介した前記外部装置との通信を制御する通信制御部
を含む第2ハードウェア機能部と、
を備え、
前記外部電源が接続されており、前記電源スイッチがオフ状態の場合、前記第1電力は前記外部電源から供給されず、
前記外部電源が接続されており、前記電源スイッチがオン状態の場合、前記第1電力は前記外部電源から供給され、
前記外部電源が接続されていなく、前記ケーブルを介して前記外部装置が接続されて前記電源スイッチがオフ状態の場合、前記第2ハードウェア機能部は、前記第2電力を用いて動作し、
前記外部電源
が接続されていなく、前記ケーブルを介して前記外部装置
が接続されて前記電源スイッチがオン状態の場合、前記第2ハードウェア機能部は、前記第2電力を用いて動作
し、
前記外部電源および前記外部装置が接続されており、前記電源スイッチがオフ状態の場合、前記第1ハードウェア機能部は前記第1電力を用いて動作せず、前記第2ハードウェア機能部は前記第2電力を用いて動作する、
印刷装置。
【請求項2】
不揮発性の記憶領域を有する不揮発性記憶部と、
制御部と、を備え、
前記第2電力を用いて、前記第2ハードウェア機能部が動作した場合、設定情報を前記通信制御部が前記外部装置から受信
し、前記制御部は、受信した前記設定情報を前記不揮発性記憶部に記憶させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記設定情報は、前記印刷装置のファームウェアをアップデートするアップデート情報を含み、
前記制御部は、前記不揮発性記憶部に前記設定情報が記憶されている場合、且つ、前記外部電源からの前記第1電力によって起動した場合、前記不揮発性記憶部から前記設定情報を読み出し、読み出した前記設定情報に基づいて、前記印刷装置のファームウェアのアップデートを行う、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われていない場合、且つ、前記ケーブルを介して前記外部装置から前記第2電力が供給されている場合、供給された前記第2電力を前記印刷機構に供給しない、
請求項2又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われて
おり、前記電源スイッチがオン状態の場合、
前記第1ハードウェア機能部および前記第2ハードウェア機能部は、供給された前記第1電力、又は、前記第1電力に基づく電力を用いて動作する
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われて
おり、前記印刷機構に前記印刷を行わせる印刷情報を前記通信制御部が前記外部装置から受信した場合、
前記印刷機構は受信した前記印刷情報に基づく前記印刷を
行う、
請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷装置は、
開閉部を有する収納箱に、出荷時において梱包されており、
前記コネクターは、前記印刷装置が前記収納箱に収納されている場合、前記開閉部を開けると前記収納箱の外部から見える位置にある、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
外部装置と通信可能であり、外部電源から供給された第1電力を用いて印刷を行う印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置は、
前記第1電力をオン・オフする電源スイッチと、
前記印刷を行う印刷機構
を含む第1ハードウェア機能部と、
前記外部装置との間の通信と、前記外部装置からの第2電力の供給との両方に用いられるケーブルが接続されるコネクターと、
前記ケーブルを介した前記外部装置との通信を制御する通信制御部
を含む第2ハードウェア機能部と、
を備え、
前記外部電源が接続されており、前記電源スイッチがオフ状態の場合は、前記第1電力を前記外部電源から供給せず、
前記外部電源が接続されており、前記電源スイッチがオン状態の場合は、前記第1電力を前記外部電源から供給し、
前記外部電源
が接続されていなく、前記ケーブルを介して前記外部装置
が接続されている場合は、前記電源スイッチの状態にかかわらず、前記第2ハードウェア機能部を、
前記第2電力を用いて動作さ
せ、
前記外部電源および前記外部装置が接続されており、前記電源スイッチの状態がオフ状態の場合は、前記第2ハードウェア機能部を、前記第2電力を用いて動作さる、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体に画像を印刷する印刷装置についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、揮発性の記憶領域を有する揮発性記憶装置と、不揮発性の記憶領域を有する不揮発性記憶装置とを備え、外付けの記憶装置に接続され、外付けの記憶装置に記憶された設定情報を、揮発性記憶装置を介して不揮発性記憶装置に記憶することにより、設定情報を自装置に設定する印刷装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような印刷装置は、外部電源から供給された電力を用いて動作する。外部電源は、例えば、ACアダプター、蓄電池等である。このため、ユーザーは、当該印刷装置が外部電源と接続されていない場合、設定情報を当該印刷装置に記憶することができなかった。その結果、例えば、ユーザーは、当該印刷装置が収納箱に収納されている場合、収納箱から当該印刷装置を取り出してから、設定情報を当該印刷装置に記憶させなければならず、手間と時間が掛かる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の一態様は、外部装置と通信可能であり、外部電源から供給された第1電力を用いて印刷を行う印刷装置であって、揮発性の記憶領域を有する揮発性記憶部と、不揮発性の記憶領域を有する不揮発性記憶部と、前記印刷を行う印刷機構と、前記外部装置との間の通信と、前記外部装置からの第2電力の供給との両方に用いられるケーブルが接続されるコネクターと、前記コネクターに前記ケーブルが接続された場合、前記ケーブルを介した前記外部装置との通信を制御する通信制御部と、制御部と、を備え、前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われていない場合、且つ、前記ケーブルを介して前記外部装置から前記第2電力が供給されている場合、少なくとも、前記通信制御部、前記制御部、前記揮発性記憶部、前記不揮発性記憶部のそれぞれは、供給された前記第2電力を用いて動作する、印刷装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記制御部は、前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われていない場合、且つ、前記ケーブルを介して前記外部装置から前記第2電力が供給されている場合において、更に、設定情報を前記通信制御部が前記外部装置から受信した場合、受信した前記設定情報を前記不揮発性記憶部に記憶させる、構成が用いられてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記設定情報は、前記印刷装置のファームウェアをアップデートするアップデート情報を含み、前記制御部は、前記不揮発性記憶部に前記設定情報が記憶されている場合、且つ、前記外部電源からの前記第1電力によって起動した場合、前記不揮発性記憶部から前記設定情報を読み出し、読み出した前記設定情報に基づいて、前記印刷装置のファームウェアのアップデートを行う、構成が用いられてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記制御部は、前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われていない場合、且つ、前記ケーブルを介して前記外部装置から前記第2電力が供給されている場合、供給された前記第2電力を前記印刷機構に供給しない、構成が用いられてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われている場合、前記通信制御部、前記制御部、前記揮発性記憶部、前記不揮発性記憶部、前記印刷機構のそれぞれは、供給された前記第1電力、又は、前記第1電力に基づく電力を用いて動作する、構成が用いられてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記制御部は、前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われている場合、且つ、前記印刷機構に前記印刷を行わせる印刷情報を前記通信制御部が前記外部装置から受信した場合、受信した前記印刷情報に基づく前記印刷を前記印刷機構に行わせる、構成が用いられてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記印刷装置は、開閉部を有する収納箱に、出荷時において梱包されており、前記コネクターは、前記印刷装置が前記収納箱に収納されている場合、前記開閉部を開けると前記収納箱の外部から見える位置にある、構成が用いられてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、外部装置と通信可能であり、外部電源から供給された第1電力を用いて印刷を行う印刷装置の制御方法であって、前記印刷装置は、揮発性の記憶領域を有する揮発性記憶部と、不揮発性の記憶領域を有する不揮発性記憶部と、前記印刷を行う印刷機構と、前記外部装置との間の通信と、前記外部装置からの第2電力の供給との両方に用いられるケーブルが接続されるコネクターと、前記コネクターに前記ケーブルが接続された場合、前記ケーブルを介した前記外部装置との通信を制御する通信制御部と、制御部と、を備え、前記外部電源からの前記第1電力の供給が行われていない場合、且つ、前記ケーブルを介して前記外部装置から前記第2電力が供給されている場合、少なくとも、前記通信制御部、前記制御部、前記揮発性記憶部、前記不揮発性記憶部のそれぞれを、供給された前記第2電力を用いて動作させる、制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】印刷装置10が内部に備えるハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】印刷装置10へ第1電力が供給される場合における印刷装置10の状態の一例を示す図である。
【
図4】印刷装置10へ第2電力が供給される場合における印刷装置10の状態の一例を示す図である。
【
図5】印刷装置10へ第2電力が供給される場合における印刷装置10の状態の他の例を示す図である。
【
図6】第2電力を用いて動作する印刷装置10が設定情報を記憶する処理の流れの一例を示す図である。
【
図7】第1電力が供給された場合において印刷装置10が設定情報を設定する処理の流れの一例を示す図である。
【
図8】外部装置30からの要求に応じて印刷装置10が印刷を行う処理の流れの一例を示す図である。
【
図9】収納箱に梱包されている印刷装置10の一例を示す図である。
【
図10】収納箱に梱包されている印刷装置10の一例を示す図である。
【
図11】収納箱に梱包されている印刷装置10の更に他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
<印刷装置の概要>
まず、実施形態に係る印刷装置の概要について説明する。
【0017】
印刷装置は、外部装置と通信可能である。印刷装置は、外部電源から供給された第1電力を用いて印刷を行う。印刷装置は、揮発性記憶部と、不揮発性記憶部と、印刷機構と、コネクターと、通信制御部と、制御部を備える。揮発性記憶部は、揮発性の記憶領域を有する。不揮発性記憶部は、不揮発性の記憶領域を有する。印刷機構は、印刷を行う機構である。コネクターは、外部装置との間の通信と、外部装置からの第2電力の供給との両方に用いられるケーブルが接続されるコネクターである。通信制御部は、コネクターにケーブルが接続された場合、ケーブルを介した外部装置との通信を制御する。そして、外部電源からの第1電力の供給が行われていない場合、且つ、ケーブルを介して外部装置から第2電力が供給されている場合、少なくとも、通信制御部、前記制御部、前記揮発性記憶部、前記不揮発性記憶部のそれぞれは、供給された第2電力を用いて動作する。これにより、印刷装置は、外部電源から第1電力が供給されていない場合であっても、第2電力を用いて設定情報を記憶することができる。以下では、印刷装置の構成と、第2電力を用いて動作する印刷装置が設定情報を記憶する処理について詳しく説明する。
【0018】
<印刷装置の構成>
以下、実施形態に係る印刷装置の一例として印刷装置10を例に挙げて、実施形態に係る印刷装置の構成について説明する。
【0019】
【0020】
印刷装置10は、サーマルプリンターである。より具体的には、印刷装置10は、例えば、
図1において図示しないサーマルラインヘッドにより画像を感熱記録するダイレクトサーマルプリンターである。なお、印刷装置10は、ダイレクトサーマルプリンターに代えて、他のサーマルプリンターであってもよい。また、印刷装置10は、サーマルプリンターに代えて、ドットインパクトプリンター、インクジェットプリンター等の他の種類のプリンターであってもよい。
【0021】
印刷装置10は、印刷装置10の内部に格納された図示しないロール紙から引き出した長尺状の記録紙11に印刷を行う。
【0022】
図1に示すように、印刷装置10は、本体ケース12と、カバーケース13を備える。印刷装置10において、本体ケース12とカバーケース13はそれぞれ、印刷装置10の外装を構成する。
【0023】
本体ケース12は、印刷装置10の外装を構成するケースのうち、ロール紙を収容可能なケースである。
【0024】
また、本体ケース12には、記録紙11を排出する排出口14が設けられている。排出口14の内部には、図示しない切断機構が配置される。切断機構は、印刷済記録紙を未印刷記録紙から部分的又は完全に切り離す機構である。印刷済記録紙は、印刷が済んだ記録紙11の記録紙部分のことである。未印刷記録紙は、印刷が済んでいない記録紙11の記録紙部分のことである。
【0025】
また、本体ケース12には、表示部15が設けられている。表示部15は、光源としてLED(Light Emitting Diode)を有するLED表示部15a、LED表示部15b、LED表示部15cを備える。表示部15は、LED表示部15a、LED表示部15b、LED表示部15cの点灯状態により、印刷装置10の動作状態等を表示する。また、表示部15は、ユーザーの操作を受け付けるスイッチ15dを備える。
【0026】
また、本体ケース12には、電源スイッチ16が設けられている。電源スイッチ16は、印刷装置10の電源スイッチである。
【0027】
カバーケース13は、印刷装置10の外装を構成するケースのうち、本体ケース12に対して開閉可能なケースである。カバーケース13は、所定の回動軸AXを介して本体ケース12に接続する。すなわち、カバーケース13は、本体ケース12に対して、回動軸AXの周りに回動可能である。
【0028】
ここで、本体ケース12には、オープンボタン17が設けられている。オープンボタン17が押し下げられた場合、カバーケース13が開く。カバーケース13が開いた場合、本体ケース12の内部は、開放される。本体ケース12の内部が開放された場合、本体ケース12の内部の図示しないロール紙収容部は、露出する。すなわち、カバーケース13が開いた場合、印刷装置10の状態は、本体ケース12の内部が開放された状態となる。
【0029】
また、カバーケース13が閉じた場合、本体ケース12の内部は、閉鎖される。カバーケース13の内部が閉鎖された場合、印刷装置10の状態は、通常動作を正常に実行可能な状態となる。
【0030】
また、本体ケース12には、第1コネクター18が設けられている。
図1では、第1コネクター18は、印刷装置10の後側に位置しているため、見えていない。第1コネクター18は、第1ケーブルC1が差し込まれることにより、第1ケーブルC1と接続されるコネクターである。第1ケーブルC1は、外部電源20と印刷装置10との間を接続する電源ケーブルである。外部電源20は、印刷装置10へ第1電力を供給する電源装置である。
図1に示した例では、印刷装置10は、第1ケーブルC1を介して外部電源20と接続されている。
【0031】
ここで、外部電源20は、例えば、AC(Alternating Current)アダプターである。この場合、外部電源20は、図示しない商用電源から供給される電力を第1電力に変換し、変換した第1電力を印刷装置10へ供給する。ここで、第1電力の電圧は、例えば、24ボルトである。なお、第1電力の電圧は、24ボルトより低い電圧であってもよく、24ボルトより高い電圧であってもよい。また、外部電源20は、ACアダプターに代えて、第1電力を印刷装置10へ供給することが可能な電源装置であれば、蓄電池等の他の電源装置であってもよい。また、
図1では、図が煩雑になるのを防ぐため、商用電源と外部電源20とを接続する電源ケーブルについては、省略している。
【0032】
また、本体ケース12には、第2コネクター19が設けられている。
図1では、第2コネクター19は、印刷装置10の後側に位置しているため、見えていない。第2コネクター19は、第2ケーブルC2が差し込まれることにより、第2ケーブルC2と接続されるコネクターである。第2ケーブルC2は、外部装置との間の通信と、外部装置からの第2電力の供給との両方に用いられるケーブルである。例えば、第2ケーブルC2は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルである。この場合、第2コネクター19は、USBコネクターである。なお、第2ケーブルC2は、USBケーブルに代えて、外部装置30との間の通信と、外部装置30からの第2電力の供給との両方に用いられるケーブルであれば、ライトニング(登録商標)ケーブル等の他のケーブルであってもよい。なお、第2コネクター19は、コネクターの一例である。また、第2ケーブルC2は、ケーブルの一例である。
【0033】
ここで、外部装置は、第2ケーブルC2を介して印刷装置10と接続される装置である。また、外部装置は、印刷装置10と別体の装置である。外部装置は、第2ケーブルC2を介して印刷装置10と接続可能な装置であり、且つ、印刷装置10と別体の装置であれば、如何なる装置であってもよい。
図1に示した例では、印刷装置10は、第2ケーブルC2を介して外部装置30と接続されている。なお、外部装置30は、外部装置の一例である。
【0034】
外部装置30は、例えば、第2ケーブルC2を介して、印刷装置10への設定情報の設定を行う。設定情報は、印刷装置10へ設定する各種の情報を含む情報のことである。設定情報には、例えば、印刷設定情報、通信設定情報、ファームウェア情報等が含まれている。
【0035】
印刷設定情報は、印刷装置10が行う印刷に関して印刷装置10へ設定する各種の情報を含む情報のことである。印刷設定情報には、例えば、フォント情報、登録画像、印刷濃度情報、印刷速度情報等のうちの一部又は全部が含まれている。フォント情報は、印刷装置10が印刷に用いるフォントを示す情報のことである。登録画像は、記録紙11に背景画像として印刷される画像のことである。例えば、登録画像は、お店のロゴ、機密文書であることを示す印、地紋の画像等である。印刷濃度情報は、印刷装置10が記録紙11に印刷する画像の濃度を示す情報のことである。印刷速度情報は、印刷装置10が記録紙11に画像を印刷する速度を示す情報のことである。
【0036】
通信設定情報は、ネットワークを介した他の装置との通信に関して印刷装置10に設定する情報のことである。通信設定情報には、例えば、IP(Internet Protocol)アドレス、サブネットマスク、ゲートウェイ、アクセスポイント情報、セキュリティー情報等のうちの一部又は全部が含まれている。アクセスポイント情報は、印刷装置10が無線を介して接続するアクセスポイントを示す情報であり、例えば、SSID(Service Set Identifier)等のことである。セキュリティー情報は、印刷装置10が行う通信におけるセキュリティーに関する情報である。セキュリティー情報には、例えば、WEP(Wired Equivalent Privacy)キーを示す情報、WPS(Wi-Fi Protected Setup)を示す情報等のうちの一部又は全部が含まれている。ここで、Wi-Fiは、登録商標である。
【0037】
ファームウェア情報は、印刷装置10にインストールされるファームウェアに関する情報である。ファームウェア情報には、例えば、印刷装置10にインストールするファームウェア、印刷装置10にインストールされたファームウェアをアップデートする情報等のうちの一部又は全部が含まれている。
【0038】
ここで、外部装置30は、印刷装置10に設定情報を記憶させる。設定情報を印刷装置10に記憶させた後、外部装置30は、記憶させた設定情報を印刷装置10へ設定する。具体的には、外部装置30は、設定情報に印刷設定情報が含まれている場合、印刷装置10が印刷を行う際にファームウェアが印刷設定情報を参照する参照先として、印刷設定情報が記憶された記憶領域をファームウェアに指定する処理を印刷装置10に行わせる。また、外部装置30は、設定情報に通信設定情報が含まれている場合、印刷装置10が通信を行う際にファームウェアが通信設定情報を参照する参照先として、通信設定情報が記憶された記憶領域をファームウェアに指定する処理を印刷装置10に行わせる。また、外部装置30は、設定情報にファームウェア情報が含まれている場合、ファームウェアのインストール、又は、ファームウェアのアップデートを印刷装置10に行わせる。これらのような処理により、外部装置30は、印刷装置10に設定情報を設定する。
【0039】
外部装置30は、情報処理装置であり、例えば、ノートPC(Personal Computer)、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、PDA(Personal Digital Assistant)、デスクトップPC、ワークステーション等である。なお、外部装置30は、これらに代えて、他の種類の情報処理装置であってもよい。
【0040】
<印刷装置が内部に備えるハードウェア構成>
以下、
図2を参照し、印刷装置10が内部に備えるハードウェア構成について説明する。
図2は、印刷装置10が内部に備えるハードウェア構成の一例を示す図である。
【0041】
図2に示したように、印刷装置10は、プロセッサー101と、揮発性記憶部102と、不揮発性記憶部103と、印刷機構104と、印刷制御部105と、通信制御部106を備える。ここで、
図2には、説明の便宜上、プロセッサー101、揮発性記憶部102、不揮発性記憶部103、印刷機構104、印刷制御部105、通信制御部106のそれぞれとともに、電源スイッチ16、第1コネクター18、第2コネクター19が示されている。なお、印刷装置10は、プロセッサー101と、揮発性記憶部102と、不揮発性記憶部103と、印刷機構104と、印刷制御部105と、通信制御部106とに加えて、他のハードウェア機能部を備える構成であってもよい。
【0042】
プロセッサー101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサー101は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサーであってもよい。プロセッサー101は、制御部の一例である。
【0043】
揮発性記憶部102は、揮発性の記憶領域を有する記憶装置である。揮発性記憶部102は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。なお、揮発性記憶部102は、揮発性の記憶領域を有する記憶装置であれば、他の記憶装置であってもよい。
【0044】
不揮発性記憶部103は、不揮発性の記憶領域を有する記憶装置である。不揮発性記憶部103は、例えば、フラッシュメモリーである。なお、不揮発性記憶部103は、不揮発性の記憶領域を有する記憶装置であれば、他の記憶装置であってもよい。
【0045】
印刷機構104は、例えば、搬送ローラーと、搬送モーターと、サーマルラインヘッドと、切断機構とを含む機構である。搬送ローラーは、記録紙11を搬送する。搬送モーターは、各種の歯車とともに搬送ローラーを駆動させる。サーマルラインヘッドは、搬送モーターにより搬送される記録紙11に対して画像の印刷を行う。切断機構は、サーマルラインヘッドにより印刷された後の記録紙11を切断する。
【0046】
なお、印刷装置10は、印刷機構104と別体の機構として、切断機構を備える構成であってもよい。この場合、印刷装置10では、印刷機構104へ電力が供給された場合、切断機構にも電力が供給される。また、当該場合、印刷装置10では、印刷機構104への電力の供給が遮断された場合、切断機構への電力の供給も遮断される。また、当該場合、印刷装置10では、印刷機構104へ供給される電力は、切断機構に供給される電力と同じ電力である。すなわち、当該場合、印刷装置10では、例えば、印刷機構104に第1電力が供給された場合、切断機構にも第1電力が供給される。また、印刷装置10は、印刷機構104と別体の機構として、搬送ローラーと搬送モーターとを有する搬送機構を備える構成であってもよい。この場合、印刷装置10では、印刷機構104へ電力が供給された場合、搬送機構にも電力が供給される。また、当該場合、印刷装置10では、印刷機構104への電力の供給が遮断された場合、搬送機構への電力の供給も遮断される。また、当該場合、印刷装置10では、印刷機構104へ供給される電力は、搬送機構に供給される電力と同じ電力である。すなわち、当該場合、印刷装置10では、例えば、印刷機構104に第1電力が供給された場合、搬送機構にも第1電力が供給される。
【0047】
印刷制御部105は、印刷機構104を駆動させる回路である。印刷制御部105は、プロセッサー101により制御される。
【0048】
通信制御部106は、第2コネクター19を介した外部装置との間の通信を制御する回路である。すなわち、
図1に示した例では、通信制御部106は、第2コネクター19を介した外部装置30との間の通信を制御する。通信制御部106は、プロセッサー101により制御される。なお、通信制御部106は、プロセッサーを備える構成であってもよい。この場合、プロセッサー101が有する機能のうち、通信制御部106を制御する機能を当該プロセッサーが有する構成であってもよい。この場合、当該プロセッサーは、制御部の一例である。また、通信制御部106は、バッファーを備える。プロセッサー101は、通信制御部106が備えるバッファーの記憶領域を大きくすることにより、当該バッファーを揮発性記憶部102の代わりに用いることができる。この場合、当該バッファーは、揮発性記憶部の一例である。
【0049】
<印刷装置へ供給される電力に応じて異なる印刷装置の状態>
印刷装置10の状態は、第1電力が供給されている場合と、第2電力が供給されている場合とで異なる。そこで、以下では、印刷装置10へ供給される電力に応じて異なる印刷装置10の状態について説明する。また、以下では、一例として、第1電力の電圧よりも第2電力の電圧の方が低い場合について説明する。第2電力の電圧は、例えば、5ボルト、又は、3.3ボルトである。印刷機構104等のメカニズムは、第1電力が外部電源20から供給されて動作する。それ以外の、プロセッサー101、揮発性記憶部102、不揮発性記憶部103、印刷制御部105、通信制御部106等の論理回路は、第2電力で動作する。印刷装置10は、電源スイッチ16を経由して第1電力が供給されている場合、電源回路により第1電力から第2電力を生成し、上述の各論理回路に供給する。以下では、説明の便宜上、印刷機構104、印刷制御部105の2つのハードウェア機能部を、まとめて印刷装置10の第1ハードウェア機能部と称して説明する。ここで、第1ハードウェア機能部は、印刷装置10が第1電力の電圧を用いて駆動可能なハードウェア機能部である。なお、第1ハードウェア機能部は、第1電力の電圧、第2電力の電圧のいずれを用いても駆動可能なハードウェア機能部であってもよい。また、以下では、説明の便宜上、プロセッサー101、揮発性記憶部102、不揮発性記憶部103、通信制御部106の4つのハードウェア機能部を、印刷装置10の第2ハードウェア機能部と称して説明する。ここで、第2ハードウェア機能部は、印刷装置10が第1電力の電圧、第2電力の電圧のいずれを用いても駆動可能なハードウェア機能部である。
【0050】
図3は、印刷装置10へ第1電力が供給される場合における印刷装置10の状態の一例を示す図である。
図3に示した例では、印刷装置10には、外部電源20が接続されている。また、当該例では、印刷装置10には、外部装置30が接続されていない。そして、当該例では、印刷装置10では、電源スイッチ16の状態は、オン状態である。これらのため、
図3に示した印刷装置10には、外部電源20から第1電力が供給されている。
図3では、電源スイッチ16の状態がオン状態であることを、「(オン)」によって示している。
【0051】
印刷装置10に第1電力が供給されている場合、印刷装置10は、第1ハードウェア機能部のそれぞれと、第2ハードウェア機能部のそれぞれとを、第1電力を用いて動作させる。換言すると、印刷装置10では、当該場合、第1ハードウェア機能部のそれぞれに、第1電力に基づいて生成された電力、又は、第1電力が供給される。また、印刷装置10では、当該場合、第2ハードウェア機能部のそれぞれにも、第1電力に基づいて生成された電力、又は、第1電力が供給される。すなわち、当該場合、印刷装置10は、印刷装置10が備えるすべてのハードウェア機能部を動作させることができる。その結果、当該場合、印刷装置10は、印刷装置10が有するすべての機能を実行することができる。
図3では、印刷装置10が備えるハードウェア機能部のうち、
図3に示した例において印刷装置10が第1電力を用いて動作させるハードウェア機能部を、ハッチングされたブロックによって示している。
【0052】
一方、
図4は、印刷装置10へ第2電力が供給される場合における印刷装置10の状態の一例を示す図である。
図4に示した例では、印刷装置10には、外部電源20が接続されていない。また、当該例では、印刷装置10には、外部装置30が接続されている。そして、当該例では、印刷装置10では、電源スイッチ16の状態は、オン状態又はオフ状態である。すなわち、
図4に示した印刷装置10の状態は、電源スイッチ16の状態に応じて変化しない。
図3では、電源スイッチ16の状態がオン状態又はオフ状態であることを、「(オン又はオフ)」によって示している。
【0053】
印刷装置10に第2電力が供給されている場合、印刷装置10は、第2ハードウェア機能部のそれぞれを、第2電力を用いて動作させる。換言すると、印刷装置10では、当該場合、第2ハードウェア機能部のそれぞれに、第2電力に基づいて生成された電力、又は、第2電力が供給される。すなわち、当該場合、印刷装置10は、印刷装置10が備える一部のハードウェア機能部を動作させることができる。その結果、当該場合、印刷装置10は、印刷装置10が有する一部の機能を実行することができる。これにより、印刷装置10では、外部装置30から供給される第2電力として、第1電力よりも小さな電力を用いることができる。
図4では、印刷装置10が備えるハードウェア機能部のうち、印刷装置10が第2電力を用いて動作させているハードウェア機能部を、ハッチングされたブロックによって示している。
【0054】
ここで、第2ハードウェア機能部のそれぞれを印刷装置10が動作させる場合、印刷装置10は、印刷装置10が有する一部の機能が実行不可能である。しかしながら、当該場合、印刷装置10は、外部装置30からの要求に応じて、各種の情報を不揮発性記憶部103に記憶させることができる。また、当該場合、印刷装置10は、外部装置30からの要求に応じて、印刷装置10に記憶された設定情報を設定することができる。換言すると、印刷装置10は、外部電源20を接続することなく、第2ケーブルC2を介して外部装置30を接続することにより、当該設定情報を記憶することができる。そして、印刷装置10は、外部電源20から第1電力が供給されていない場合であっても、当該設定情報を設定することができる。
【0055】
なお、第1ハードウェア機能部が、第1電力の電圧、第2電力の電圧のいずれを用いても駆動可能なハードウェア機能部である場合、又は、第2電力の電圧が第1電力の電圧以上の電圧である場合、印刷装置10は、第2電力が供給されているとしても、第1ハードウェア機能部のそれぞれと、第2ハードウェア機能部のそれぞれとを、第2電力を用いて動作させる構成であってもよい。
【0056】
また、印刷装置10には、外部電源20が接続されている場合であっても、電源スイッチ16の状態がオフ状態であり、且つ、外部装置30が接続されている場合、外部装置30から第2電力が供給される。
図5は、印刷装置10へ第2電力が供給される場合における印刷装置10の状態の他の例を示す図である。
図5に示した例では、印刷装置10には、外部電源20が接続されている。また、当該例では、印刷装置10には、外部装置30が接続されている。そして、当該例では、印刷装置10では、電源スイッチ16の状態は、オフ状態である。すなわち、
図5に示した印刷装置10の状態は、
図4に示した印刷装置10の状態と同じ状態である。
図5では、電源スイッチ16の状態がオフ状態であることを、「(オフ)」によって示している。なお、
図5でも、印刷装置10が備えるハードウェア機能部のうち、印刷装置10が第2電力を用いて動作させているハードウェア機能部を、ハッチングされたブロックによって示している。
【0057】
<第2電力を用いて動作する印刷装置が設定情報を記憶する処理>
以下、
図6を参照し、第2電力を用いて動作する印刷装置10が設定情報を記憶する処理について説明する。
図6は、第2電力を用いて動作する印刷装置10が設定情報を記憶する処理の流れの一例を示す図である。以下では、一例として、
図6に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、第2ケーブルC2を介して印刷装置10と外部装置30とが接続されている場合について説明する。また、以下では、一例として、印刷装置10に外部電源20が接続されていない場合について説明する。
【0058】
プロセッサー101は、通信制御部106が外部装置30から設定情報を受信するまで待機する(ステップS110)。
【0059】
プロセッサー101は、通信制御部106が外部装置30から設定情報を受信したと判定した場合(ステップS110-YES)、通信制御部106が受信した設定情報を揮発性記憶部102に記憶させる。そして、プロセッサー101は、揮発性記憶部102に記憶された設定情報を、不揮発性記憶部103に記憶させる(ステップS120)。すなわち、プロセッサー101は、当該場合、通信制御部106が受信した設定情報を、不揮発性記憶部103に記憶させる。この際、以前に記憶された設定情報が不揮発性記憶部103に記憶されている場合、プロセッサー101は、当該以前に記憶された設定情報を削除し、新たな設定情報を不揮発性記憶部103に記憶させる。なお、通信制御部106は、外部装置30から設定情報を受信した場合、受信した設定情報を、通信制御部106が備える図示しないバッファーに一時的に記憶させる。そして、プロセッサー101は、通信制御部が外部装置30から設定情報を受信したと判定した場合、このバッファーから設定情報を読み出し、読み出した設定情報を揮発性記憶部102に記憶させる。
【0060】
次に、プロセッサー101は、通信制御部106が外部装置30から設定変更開始情報を受信するまで待機する(ステップS130)。
【0061】
プロセッサー101は、通信制御部106が外部装置30から設定開始情報を受信したと判定した場合(ステップS130-YES)、ステップS120において不揮発性記憶部103に記憶させた設定情報を不揮発性記憶部103から読み出す。そして、プロセッサー101は、読み出した設定情報を設定し(ステップS140)、処理を終了する。
【0062】
以上のように、印刷装置10は、第1電力が供給されていない場合であっても、第2電力を用いて外部装置30から設定情報を受信することができる。その結果、印刷装置10は、当該場合であっても、受信した設定情報を記憶することができる。そして、印刷装置10は、当該場合であっても、当該設定情報を設定することができる。
【0063】
なお、上記において説明した印刷装置10は、ステップS110において設定情報とともに設定開始情報を外部装置30から受信する構成であってもよい。この場合、印刷装置10は、ステップS130の処理を省略する。
【0064】
また、上記において説明した印刷装置10は、第2電力が供給されている場合において、ステップS130及びステップS140の処理を行わない構成であってもよい。すなわち、印刷装置10は、当該場合、外部装置30からの要求に応じて設定情報を記憶することができる一方、外部装置30からの要求に応じて設定情報を設定できない構成であってもよい。この場合、印刷装置10は、例えば、次に第1電力が供給された場合において、
図7に示したフローチャートの処理を実行することにより、設定情報を設定する。なお、次に第1電力が供給された場合の具体例としては、例えば、次に印刷装置10が第1電力を用いて起動した場合等が挙げられる。
【0065】
図7は、第1電力が供給された場合において印刷装置10が設定情報を設定する処理の流れの一例を示す図である。なお、以下では、一例として、
図7に示したステップS210の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、
図6に示したステップS120の処理が行われている場合について説明する。すなわち、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、印刷装置10に未だ設定されていない新たな設定情報が不揮発性記憶部103に既に記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、印刷装置10に外部電源20が接続され、且つ、印刷装置10に外部装置30が接続されていない場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、電源スイッチ16の状態がオフ状態からオン状態に切り替えられた場合について説明する。
【0066】
プロセッサー101は、不揮発性記憶部103を参照し、印刷装置10に未だ設定されていない新たな設定情報が不揮発性記憶部103に記憶されているか否かを判定する(ステップS210)。なお、
図7では、ステップS210の処理を「新たな設定情報あり?」によって示している。
【0067】
プロセッサー101は、新たな設定情報が不揮発性記憶部103に記憶されていないと判定した場合(ステップS210-NO)、処理を終了する。そして、プロセッサー101は、印刷装置10の状態を、通常使用時の状態へと遷移させる。
【0068】
一方、プロセッサー101は、新たな設定情報が不揮発性記憶部103に記憶されていると判定した場合(ステップS210-YES)、不揮発性記憶部103に記憶された新たな設定情報を設定し(ステップS220)、処理を終了する。なお、プロセッサー101は、ステップS220の処理が行われた後、印刷装置10を再起動させてもよく、印刷装置10を再起動させなくてもよい。
【0069】
以上のように、印刷装置10は、第2電力が供給されている場合においてステップS130及びステップS140の処理を行わない構成であっても、次に第1電力が供給された際に設定情報を設定することができる。
【0070】
<外部装置からの要求に応じて印刷装置が印刷を行う処理>
以下、
図8を参照し、外部装置30からの要求に応じて印刷装置10が印刷を行う処理について説明する。
図8は、外部装置30からの要求に応じて印刷装置10が印刷を行う処理の流れの一例を示す図である。以下では、一例として、
図8に示したステップS310の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、印刷装置10への設定情報の設定が完了している場合について説明する。また、以下では、一例として、印刷装置10に外部電源20が接続されており、且つ、印刷装置10に外部装置30が接続されている場合について説明する。また、以下では、一例として、印刷装置10の電源スイッチ16の状態がオン状態である場合について説明する。
【0071】
プロセッサー101は、通信制御部106が外部装置30から印刷情報を受信するまで待機する(ステップS310)。ここで、印刷情報は、印刷装置10に印刷させる画像と、印刷装置10に印刷を開始させる情報とを含む情報のことである。
【0072】
プロセッサー101は、通信制御部106が外部装置30から印刷情報を受信したと判定した場合(ステップS310-YES)、受信した印刷情報に基づく記録紙11への印刷を印刷機構104に行わせ(ステップS320)、処理を終了する。当該印刷情報に基づく記録紙11への印刷は、印刷情報に含まれる画像の記録紙11への印刷のことである。ここで、ステップS320において、プロセッサー101は、印刷装置10に設定されている設定情報のうち印刷設定情報に基づいて、当該印刷を行う。
【0073】
<出荷時に収納箱に梱包されている印刷装置へ設定情報を記憶させる方法>
以下、出荷時に収納箱に梱包されている印刷装置10へ設定情報を記憶させる方法について説明する。印刷装置10は、前述した通り、第2ケーブルC2を介して外部装置30を接続することにより、外部電源20を接続せずとも設定情報を記憶させることができる。これはすなわち、以下において説明するように、出荷時に収納箱に梱包されている印刷装置10を収納箱から取り出すことなく、印刷装置10に設定情報を記憶させることができることを示している。
【0074】
図9は、収納箱に梱包されている印刷装置10の一例を示す図である。
図9に示した収納箱BXは、印刷装置10を梱包する収納箱の一例である。すなわち、
図9に示した例では、印刷装置10は、収納箱BXに梱包されている。収納箱BXは、例えば、段ボール製の箱である。そして、収納箱BXには、開閉可能な窓部DRが設けられている。なお、収納箱BXは、段ボール製に代えて、他の素材製の箱であってもよい。窓部DRの構成は、収納箱BXが有する面のうち窓部DRが設けられた面に対してユーザーの手により開閉可能であれば、如何なる構成であってもよい。ここで、
図9に示したように、印刷装置10が収納箱BXに梱包されている場合、印刷装置10の第2コネクター19は、窓部DRを開けると見える位置にある。換言すると、当該場合において窓部DRを開けると第2コネクター19が見える位置に位置するように、窓部DRは、収納箱BXに設けられている。この場合、外部装置30を用いて印刷装置10へ設定情報を設定する人は、収納箱BXから印刷装置10を取り出すことなく、窓部DRを開けることにより、第2ケーブルC2と第2コネクター19とを接続させることができる。その結果、当該人は、第2ケーブルC2を介して印刷装置10と外部装置30とを接続することができる。すなわち、当該人は、出荷時に収納箱BXに梱包されている印刷装置10を収納箱BXから取り出すことなく、外部装置30を用いて印刷装置10に設定情報を記憶させることができる。そして、当該人は、出荷時に収納箱BXに梱包されている印刷装置10を収納箱BXから取り出すことなく、外部装置30を用いて印刷装置10に設定情報を設定することができる。なお、当該人は、例えば、システムインテグレーターであるが、これに限られるわけではない。窓部DRは、開閉部の一例である。
【0075】
図10は、収納箱に梱包されている印刷装置10の一例を示す図である。
図10に示した収納箱BX2は、印刷装置10を梱包する収納箱の他の例である。すなわち、
図10に示した例では、印刷装置10は、第2コネクター19と接続された状態の第2ケーブルC2とともに、収納箱BX2に梱包されている。収納箱BX2は、例えば、段ボール製の箱である。そして、収納箱BX2には、開閉可能な窓部DR2が設けられている。なお、収納箱BX2は、段ボール製に代えて、他の素材製の箱であってもよい。窓部DR2の構成は、収納箱BX2が有する面のうち窓部DR2が設けられた面に対してユーザーの手により開閉可能であれば、如何なる構成であってもよい。ここで、
図10に示したように、印刷装置10が収納箱BX2に梱包されている場合、第2コネクター19と接続された状態の第2ケーブルC2は、窓部DR2を開けると見える位置にある。換言すると、当該場合において窓部DR2を開けると、第2コネクター19と接続された状態の第2ケーブルC2が見える位置に位置するように、窓部DR2は、収納箱BX2に設けられている。この場合、外部装置30を用いて印刷装置10へ設定情報を設定する人は、収納箱BX2から印刷装置10を取り出すことなく、窓部DR2を開けることにより、第2ケーブルC2を引き出すことができる。そして、当該人は、引き出した第2ケーブルC2と外部装置30を接続させることができる。その結果、当該人は、第2ケーブルC2を介して印刷装置10と外部装置30とを接続することができる。すなわち、当該人は、出荷時に収納箱BX2に梱包されている印刷装置10を収納箱BX2から取り出すことなく、外部装置30を用いて印刷装置10に設定情報を記憶させることができる。そして、当該人は、出荷時に収納箱BX2に梱包されている印刷装置10を収納箱BX2から取り出すことなく、外部装置30を用いて印刷装置10に設定情報を設定することができる。なお、当該人は、例えば、システムインテグレーターであるが、これに限られるわけではない。窓部DR2は、開閉部の一例である。
【0076】
図11は、収納箱に梱包されている印刷装置10の更に他の例を示す図である。
図11に示した収納箱BX3は、印刷装置10を梱包する収納箱の他の例である。すなわち、
図11に示した例では、印刷装置10は、第2コネクター19と接続された状態の第2ケーブルC2とともに、収納箱BX3に梱包されている。収納箱BX3は、例えば、段ボール製の箱である。そして、収納箱BX3には、開閉可能な開閉部DR3が設けられている。なお、収納箱BX3は、段ボール製に代えて、他の素材製の箱であってもよい。開閉部DR3は、例えば、収納箱BX3が有する面のうちの1つを構成し、当該面を開閉可能な蓋である。ここで、
図11に示したように、印刷装置10が収納箱BX3に梱包されている場合、第2コネクター19と接続された状態の第2ケーブルC2は、開閉部DR3を開けると見える位置にある。換言すると、当該場合において開閉部DR3を開けると、第2コネクター19と接続された状態の第2ケーブルC2が見える位置に位置するように、開閉部DR3は、収納箱BX3に設けられている。この場合、外部装置30を用いて印刷装置10へ設定情報を設定する人は、収納箱BX3から印刷装置10を取り出すことなく、開閉部DR3を開けることにより、第2ケーブルC2を引き出すことができる。そして、当該人は、引き出した第2ケーブルC2と外部装置30を接続させることができる。その結果、当該人は、第2ケーブルC2を介して印刷装置10と外部装置30とを接続することができる。すなわち、当該人は、出荷時に収納箱BX3に梱包されている印刷装置10を収納箱BX3から取り出すことなく、外部装置30を用いて印刷装置10に設定情報を記憶させることができる。そして、当該人は、出荷時に収納箱BX3に梱包されている印刷装置10を収納箱BX3から取り出すことなく、外部装置30を用いて印刷装置10に設定情報を設定することができる。なお、当該人は、例えば、システムインテグレーターであるが、これに限られるわけではない。窓部DR2は、開閉部の一例である。
【0077】
以上説明したように、実施形態に係る印刷装置は、外部装置と通信可能であり、外部電源から供給された第1電力を用いて印刷を行う印刷装置であって、揮発性の記憶領域を有する揮発性記憶部と、不揮発性の記憶領域を有する不揮発性記憶部と、印刷を行う印刷機構と、外部装置との間の通信と、外部装置からの第2電力の供給との両方に用いられるケーブルが接続されるコネクターと、コネクターにケーブルが接続された場合、ケーブルを介した外部装置との通信を制御する通信制御部と、制御部と、を備え、外部電源からの第1電力の供給が行われていない場合、且つ、ケーブルを介して外部装置から第2電力が供給されている場合、少なくとも、通信制御部、制御部、揮発性記憶部、不揮発性記憶部のそれぞれは、供給された第2電力を用いて動作する。これにより、印刷装置は、外部電源から第1電力が供給されていない場合であっても、第2電力を用いて設定情報を記憶することができる。
【0078】
また、印刷装置では、制御部は、外部電源からの第1電力の供給が行われていない場合、且つ、ケーブルを介して外部装置から第2電力が供給されている場合において、更に、設定情報を通信制御部が外部装置から受信した場合、受信した設定情報を不揮発性記憶部に記憶させる、構成が用いられてもよい。これにより、印刷装置は、外部電源から第1電力が供給されていない場合であっても、外部装置から受信した設定情報を記憶することができる。
【0079】
また、印刷装置では、設定情報は、印刷装置のファームウェアをアップデートするアップデート情報を含み、制御部は、不揮発性記憶部に設定情報が記憶されている場合、且つ、外部電源からの第1電力によって起動した場合、不揮発性記憶部から設定情報を読み出し、読み出した設定情報に基づいて、印刷装置のファームウェアのアップデートを行う、構成が用いられてもよい。これにより、印刷装置は、例えば、収納箱から印刷装置を取り出すことなく、印刷装置のファームウェアのアップデートを行うことができる。
【0080】
また、印刷装置では、制御部は、外部電源からの第1電力の供給が行われていない場合、且つ、ケーブルを介して外部装置から第2電力が供給されている場合、供給された第2電力を印刷機構に供給しない、構成が用いられてもよい。これにより、印刷装置は、第1電力よりも小さい電力を第2電力として用いることができる。
【0081】
また、印刷装置では、外部電源からの第1電力の供給が行われている場合、通信制御部、制御部、揮発性記憶部、不揮発性記憶部、印刷機構のそれぞれは、供給された第1電力、又は、第1電力に基づく電力を用いて動作する、構成が用いられてもよい。
【0082】
また、印刷装置では、制御部は、外部電源からの第1電力の供給が行われている場合、且つ、印刷機構に印刷を行わせる印刷情報を通信制御部が外部装置から受信した場合、受信した印刷情報に基づく印刷を印刷機構に行わせる、構成が用いられてもよい。
【0083】
また、印刷装置は、開閉部を有する収納箱に、出荷時において梱包されており、コネクターは、印刷装置が収納箱に収納されている場合、開閉部を開けると収納箱の外部から見える位置にある、構成が用いられてもよい。これにより、印刷装置は、出荷時において収納箱に梱包されている場合であっても、印刷装置を収納箱から取り出すことなく、設定情報を記憶することができる。
【0084】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0085】
また、以上に説明した装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここで、当該装置は、例えば、印刷装置10、外部装置30等である。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0086】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル又は差分プログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0087】
10…印刷装置、11…記録紙、12…本体ケース、13…カバーケース、14…排出口、14d…スイッチ、15…表示部、15a、15b、15c…LED表示部、16…電源スイッチ、17…オープンボタン、18…第1コネクター、19…第2コネクター、20…外部電源、30…外部装置、101…プロセッサー、102…揮発性記憶部、103…不揮発性記憶部、104…印刷機構、105…印刷制御部、106…通信制御部、AX…回動軸、BX、BX2、BX3…収納箱、C1…第1ケーブル、C2…第2ケーブル、DR、DR2…窓部、DR3…開閉部