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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電源制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231121BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H02J7/00 K
H02J9/06 110
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019196239
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021072663
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】森原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】森 駿太
(72)【発明者】
【氏名】藤綱 伊織
(72)【発明者】
【氏名】前河内 美穂
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雅彰
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-085539(JP,A)
【文献】特開2012-005160(JP,A)
【文献】特開平05-003634(JP,A)
【文献】実開平05-062153(JP,U)
【文献】特開平07-212980(JP,A)
【文献】特開平01-110027(JP,A)
【文献】特開昭62-217826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端から第1電圧値の入力電圧の供給を受けると共に、出力端から前記第1電圧値の出力電圧を医療機器の駆動装置に対して出力する電源制御装置であって、
前記入力端と前記出力端を接続する経路の間に配置され、定格電圧が前記第1電圧値未満の電圧値である第2電圧値である第1蓄電池と、
前記経路の間に配置され、定格電圧が前記第2電圧値である第2蓄電池と、
前記入力電圧の供給を受けている間は前記第1蓄電池と前記第2蓄電池を並列接続に切り替えて前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池を前記入力電圧で充電し、前記入力電圧の供給を受けていない間は前記第1蓄電池と前記第2蓄電池を直列接続に切り替えて前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池の放電する電圧を前記出力電圧として出力し、前記入力電圧の供給を受けているか否かに基づいて自身において経路が接続された状態又は遮断された状態に切り替えることにより、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池の接続関係を並列接続又は直列接続に切り替える複数のリレーである経路切替部と、
前記経路から分岐し、抵抗を介して前記複数のリレーのそれぞれに至る判定用経路と、
を備え
前記経路切替部は、前記入力電圧の供給を受けているか否かを、前記入力端から前記抵抗を介して供給される電圧の電圧値に基づいて判定する電源制御装置。
【請求項2】
前記第1蓄電池と前記第2蓄電池が並列接続に切り替えられている場合に、前記第1蓄電池と前記第2蓄電池を前記入力電圧で充電するための充電回路として、
前記第1蓄電池に対応する第1充電回路と、前記第2蓄電池に対応する第2充電回路とをそれぞれ独立して、
更に備える請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記経路から分岐し、前記第1蓄電池を経由してグラウンドに至る第1分岐経路と、
前記経路から分岐し、第1経路切替部と、第2経路切替部とを経由して前記グラウンドに至る第2分岐経路と、
前記経路から分岐し、第3経路切替部と、前記第2蓄電池と、前記第2経路切替部とを経由して前記グラウンドに至る第3分岐経路と、
前記グラウンドから、前記第1蓄電池と、前記第1経路切替部と、前記第2蓄電池とを経由して前記出力端に至る放電経路と、
を前記経路に含み、
前記第1経路切替部は、前記入力電圧の供給を受けている間は自身において前記第2分岐経路及び前記放電経路が遮断された状態とし前記入力電圧の供給を受けていない間は自身において前記第2分岐経路及び前記放電経路が接続された状態とし、
前記第2経路切替部は、前記入力電圧の供給を受けている場合に自身において前記第2分岐経路及び前記第3分岐経路が接続された状態とし前記入力電圧の供給を受けていない間は自身において前記第2分岐経路及び前記第3分岐経路が遮断された状態とし、
前記第3経路切替部は、前記入力電圧の供給を受けている場合に自身において前記第3分岐経路が接続された状態とし前記入力電圧の供給を受けていない間は自身において前記第3分岐経路が遮断された状態とする請求項1又は2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記経路の間に配置され、定格電圧が前記第2電圧値である他の蓄電池を、前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池以外に、1つ以上更に備え、
前記経路切替部は、前記入力電圧の供給を受けている間は前記第1蓄電池と前記第2蓄電池と前記他の蓄電池を並列接続に切り替えて前記第1蓄電池、前記第2蓄電池、及び前記他の電池を前記入力電圧で充電し、前記入力電圧の供給を受けていない間は前記第1蓄電池と前記第2蓄電池と前記他の電池を直列接続に切り替えて前記第1蓄電池、前記第2蓄電池、及び前記他の電池の放電する電圧を前記出力電圧として出力する、
請求項1からまでの何れか1項に記載の電源制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の制御を行なう、電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機器等の様々な電子機器は、商用電源からの電力供給を受けて動作する。また、バッテリ(例えば、蓄電池)を搭載することにより、商用電源にトラブルが起きて停電が発生した場合にも動作を中断させない電子機器や、可搬型とした電子機器も広く普及している。
【0003】
このような電子機器の一例として、特許文献1には、バッテリを搭載することにより、商用電源からの電源供給を受けていない状態であっても駆動可能な輸液装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-128824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような一般的な電子機器は、商用電源からの電源供給を受けている間は、商用電源の交流電圧をAC-DCコンバータにより直流電圧に変換する。そして、電子機器は、変換後の直流電圧により駆動すると共に、変換後の直流電圧によりバッテリの充電を行なう。一方で、電子機器は、商用電源からの電源供給を受けられない間は、バッテリに蓄電された電力により駆動をする。
しかしながら、このようなバッテリの充電を実現するためには、電子機器の駆動に必要な電圧よりも高い電圧が必要となるという問題がある。
【0006】
例えば、電子機器の駆動に必要な電圧が直流24[V]であるとする。この場合、商用電源で電子機器を駆動させるために、出力が直流24[V]のAC-DCコンバータを用いる。また、バッテリで電子機器を駆動させるために、定格電圧が直流24[V]のバッテリを用いる。ただし、バッテリを充電するためには、バッテリの定格電圧よりも高い電圧を印加する必要がある。
【0007】
そのため、電子機器の駆動に必要な電圧が直流24[V]であるにもかかわらず、それよりも高い電圧(例えば、36[V])を出力するAC-DCコンバータが必要となってしまう。また、このAC-DCコンバータが出力する高い電圧(例えば、36[V])を、電子機器の駆動のために直流24[V]に降圧するDC-DCコンバータ等のモジュールも必要となってしまう。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、電子機器の駆動に必要な電圧で、適切にバッテリの充放電を管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、入力端から第1電圧値の入力電圧の供給を受けると共に、出力端から前記第1電圧値の出力電圧を出力する電源制御装置であって、前記入力端と前記出力端を接続する経路の間に配置され、前記第1電圧値未満の電圧値である第2電圧値の電圧の印加により充電可能な第1蓄電池と、前記経路の間に配置され、前記第2電圧値の電圧の印加により充電可能な第2蓄電池と、前記入力電圧の供給を受けている間は前記第1蓄電池と前記第2蓄電池を並列接続に切り替えて前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池を前記入力電圧で充電し、前記入力電圧の供給を受けていない間は前記第1蓄電池と前記第2蓄電池を直列接続に切り替えて前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池の放電する電圧を前記出力電圧として出力する経路切替部と、を備える電源制御装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子機器の駆動に必要な電圧で、適切にバッテリの充放電を管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る電源制御装置を備えた電子機器の全体構成を表すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る電源制御装置の基本的構成を表すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る電子機器が、AC電源から入力電圧の供給を受けている場合に、接続状態切替処理により切り替えられた接続状態を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る電子機器が、AC電源から入力電圧の供給を受けていない場合に、接続状態切替処理により切り替えられた接続状態を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る電源制御装置が行なう接続状態切替処理の流れを説明するフローチャートである。
図6】本発明の実施形態の変形例に係る電源制御装置の基本的構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[全体構成]
本実施形態の構成について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電源制御装置100を備えた電子機器1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、電子機器1は、電源制御装置100、及び駆動装置200を備える。また、電子機器1は、AC電源2に接続される。このAC電源2は、商用電源であり、100[V]の交流電圧を電子機器1に対して供給する。
【0014】
電子機器1は、所定の機能を実現する電子機器であればよく、特定の電子機器には限定されない。すなわち、本実施形態に係る電源制御装置100は、任意の電子機器に実装することができる。以下の説明では、一例として、電子機器1は、人口肺に対して、酸素及び圧縮空気の混合ガスを供給する電子式ガスブレンダであることを想定する。
【0015】
この点、電子式ガスブレンダのような医療用機器は、生体に対する医療行為を実現するための重要な機器であることから、駆動停止するような事態の発生はもっとも避けるべきである。そこで、電子機器1は、蓄電池(詳細は後述する。)を搭載することにより、仮にAC電源2からの電圧の供給が途絶えたとしても、駆動を継続させる構成となっている。ここで、AC電源2からの電圧の供給が途絶える場合とは、例えば、AC電源2が不測の事態で停電した場合や、電子機器1がAC電源2から取り外して利用される場合である。
【0016】
駆動装置200は、自身が駆動することにより、電子機器1の所定の機能を実現する。例えば、本実施形態のように、電子式ガスブレンダとしての機能を実現する場合は、駆動装置200は、駆動装置200内部の制御回路(図示を省略する。)によって、駆動装置200内部の流路に配置された電動エアレギュレータ(図示を省略する。)を制御する。これにより、駆動装置200は、人工肺に対して提供する混合ガスの酸素と圧縮空気の比率や、流量を適宜調整する。また、駆動装置200は、人工肺の結露の防止のために一定時間毎に高流量のガスを吹送するように制御することにより、ガスフラッシュ機能等も実現する。
なお、電子式ガスブレンダの機能及び構成については、当業者によく知られているので、ここでは、電子式ガスブレンダに関する、これ以上の説明は省略する。
【0017】
電源制御装置100は、駆動装置200に対して電源供給を行なうことにより、駆動装置200による駆動(ここでは、電子式ガスブレンダとしての駆動)を実現する。
そのために、電源制御装置100は、接続状態切替処理を行なう。ここで、接続状態切替処理とは、AC電源2からの電圧の供給の有無に基づいて、電源制御装置100内部での接続状態を切り替えることにより、電子機器の駆動に必要な電圧で、適切にバッテリの充放電を管理するための一連の処理である。
次に、このような接続状態切替処理を行なうために、電源制御装置100が備える各部の詳細と、接続状態切替処理の詳細について説明をする。
【0018】
[各部の詳細]
電源制御装置100が備える各部について図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る電源制御装置100の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、電源制御装置100は、ノイズフィルタ11、AC-DCコンバータ12、第1充電回路13、第2充電回路14、抵抗15、第1蓄電池16、第2蓄電池17、グラウンド18、第1リレー19、第2リレー20、第3リレー21、及び切替部22を備える。また、図1にも示したように、電源制御装置100は、AC電源2及び駆動装置200に接続される。
【0019】
ノイズフィルタ11は、AC電源2から供給される交流電圧に含まれるノイズ(例えば、規定の周波数以外の周波数成分)を抑制するためのフィルタであり、コンデンサとコイル等からなるローパスフィルタにより実現される。AC電源2から供給される交流電圧は、ノイズフィルタ11によりノイズを抑制された後、AC-DCコンバータ12に対して供給される。
【0020】
AC-DCコンバータ12は、AC電源2からノイズフィルタ11を介して供給された100[V]の交流電圧を、24[V]の直流電圧に変換する。そして、AC-DCコンバータ12は、変換後の24[V]の直流電圧を、電源制御装置100の各部に対して供給する。なお、このAC-DCコンバータ12が供給する24[V]の直流電圧を、以下では「入力電圧」と称する。
【0021】
具体的に、この入力電圧は、切替部22内部のダイオード22bを介して、駆動装置200に対して出力される。例えば、駆動装置200が備える制御回路やコンデンサやモータ等(何れも図示を省略する。)に対して出力される。なお、この駆動装置200に対して出力される24[V]の直流電圧を、以下では「出力電圧」と称する。また、入力電圧は、駆動装置200に出力電圧として出力される経路の途中で分岐して、第1充電回路13、第2充電回路14、及び抵抗15に対しても供給される。
【0022】
第1充電回路13は、入力電圧により第1蓄電池16を適切に充電するための集積回路(IC:Integrated Circuit)である。第1充電回路13は、第1蓄電池16の充電状態を示す第1蓄電池16の電圧値を監視する。そして、第1充電回路13は、監視した電圧値に基づいて、入力電圧による第1蓄電池16への充電を制御する。これにより、第1充電回路13は、例えば、過充電等の異常が第1蓄電池16に発生しないようにする。
【0023】
第1蓄電池16は、AC電源2に代わって駆動装置200に対して出力電圧の供給を行なうための予備バッテリである。第1蓄電池16は、例えば、定格電圧が直流電圧24[V]の、ニッケル水素電池等の蓄電池(二次電池とも呼ばれる。)により実現される。また、図2に示すように第1蓄電池16は、グラウンド18、第1リレー19、及び第2リレー20にも接続される。
【0024】
第2充電回路14は、入力電圧により第2蓄電池17を適切に充電するための集積回路(IC)である。第2充電回路14は、第3リレー21を介して第2蓄電池17を充電する。なお、第2充電回路14の機能は、第1充電回路13と同様であるので重複する説明を省略する。また、第2蓄電池17の機能は、第1蓄電池16と同様であるので、第2蓄電池17についても重複する説明を省略する。図2に示すように第2蓄電池17は第2リレー20を介してグラウンド18にも接続される。
【0025】
グラウンド18は、基準電位である。電源制御装置100は、グラウンド18に印加された電位を基準電位として動作する。
【0026】
抵抗15は、入力電圧を後述する各リレー(第1リレー19、第2リレー20、及び第3リレー21)に対して供給するために配置された抵抗である。各リレー(第1リレー19、第2リレー20、及び第3リレー21)は、抵抗15を介して供給された入力電圧の電圧値に基づいて、AC電源2からの入力電圧の供給を受けているか否かを判定する。
【0027】
第1リレー19は、ノーマリークローズ(NC:Normally Close)のリレーである。第1リレー19は、抵抗15を介して供給された入力電圧の電圧値が所定の閾値を超えている場合にAC電源2からの入力電圧の供給を受けていると判定して、経路を閉状態(すなわち、経路が遮断された状態)とする。一方で、第1リレー19は、抵抗15を介して供給された入力電圧の電圧値が所定の閾値以下の場合にAC電源2からの入力電圧の供給を受けていないと判定して、経路を開状態(すなわち、経路が接続された状態)とする。第1リレー19における所定の閾値は、例えば、直流電圧12[V]とする。
この場合に、AC電源2からの入力電圧の供給を受けていないことを迅速に検出して、いち早く各蓄電池(第1蓄電池16及び第2蓄電池17)からの出力電圧の供給を行なうために、分圧回路を用いてもよい。具体的には、抵抗15に代えて複数の抵抗を用いた分圧回路を配置し、この分圧回路により入力電圧の電圧値を、閾値である直流電圧12[V]の近傍(例えば、直流電圧13[V])とするとよい。
あるいは、迅速に検出するための他の方法として、第1リレー19における所定の閾値を、より直流電圧24[V]に近い値とするようにしてもよい。
【0028】
第2リレー20及び第3リレー21は、ノーマリーオープン(NO:Normally open)のリレーである。第2リレー20及び第3リレー21は、抵抗15を介して供給された入力電圧の電圧値が所定の閾値を超えている場合にAC電源2からの入力電圧の供給を受けていると判定して、経路を開状態(すなわち、経路が接続された状態)とする。一方で、第1リレー19は、抵抗15を介して供給された入力電圧の電圧値が所定の閾値以下の場合にAC電源2からの入力電圧の供給を受けていないと判定して、経路を閉状態(すなわち、経路が遮断された状態)とする。第2リレー20及び第3リレー21における所定の閾値は、例えば、第1リレー19における所定の閾値と同様に、直流電圧12[V]とする。
また、これも第1リレー19における所定の閾値と同様に、AC電源2からの入力電圧の供給を受けていないことを迅速に検出するために、分圧回路を配置したり、閾値を適宜設定したりするようにしてもよい。
【0029】
切替部22は、出力電圧の出力元を切り替える。具体的に、切替部22は、逆流防止のためにダイオード22aとダイオード22bの2つのダイオード(図中では単に「D」と表記する。)を並列に2つ備えている。そして、切替部22は、AC電源2からの入力電圧の供給を受けている場合は、ダイオード22bに供給される入力電圧を、出力電圧として駆動装置200に対して供給する。一方で、切替部22は、AC電源2からの入力電圧の供給を受けていない場合は、ダイオード22aに供給される各蓄電池(第1蓄電池16及び第2蓄電池17)の放電する電圧を、出力電圧として駆動装置200に対して供給する。
【0030】
以上、接続状態切替処理を実現するために電源制御装置100が備える各部の詳細について説明した。
なお、電源制御装置100は、本発明の「電源制御装置」に相当する。また、AC-DCコンバータ12は、本発明の「入力端」に相当する。更に、切替部22は、本発明の「出力端」に相当する。更に、第1蓄電池16は、本発明の「第1蓄電池」に相当する。更に、第2蓄電池17は、本発明の「第2蓄電池」に相当する。更に、第1リレー19、第2リレー20及び第3リレー21の組み合わせは、本発明の「経路切替部」に相当する。更に、第1リレー19は、本発明の「第1経路切替部」に相当する。更に、第2リレー20は、本発明の「第2経路切替部」に相当する。更に、第3リレー21は、本発明の「第3経路切替部」に相当する。更に、第1充電回路13は、本発明の「第1充電回路」に相当する。更に、第2充電回路14は、本発明の「第2充電回路」に相当する。更に、グラウンド18は、本発明の「グラウンド」に相当する。更に、第1蓄電池16を経由してグラウンド18に至る分岐経路は、本発明の「第1分岐経路」に相当する。更に、第1リレー19と第2リレー20とを経由してグラウンド18に至る分岐経路は、本発明の「第2分岐経路」に相当する。更に、第3リレー21と第2蓄電池17と第2リレー20とを経由してグラウンド18に至る経路は、本発明の「第3分岐経路」に相当する。更に、グラウンド18から、第1蓄電池16と第1リレー19と第2蓄電池17とを経由して切替部22に至る経路は、本発明の「放電経路」に相当する。
次に、接続状態切替処理の詳細について説明をする。
【0031】
[接続状態切替処理の詳細]
接続状態切替処理の詳細を図3及び図4を参照して説明する。上述したように、接続状態切替処理とは、AC電源2からの電圧の供給の有無に基づいて、電源制御装置100内部での接続状態を切り替えることにより、電子機器の駆動に必要な電圧で、適切にバッテリの充放電を管理するための一連の処理である。
【0032】
図3は、AC電源2から入力電圧の供給を受けている場合に、接続状態切替処理により切り替えられた接続状態を示す模式図である。一方で、図4は、AC電源2から入力電圧の供給を受けていない場合に、接続状態切替処理により切り替えられた接続状態を示す模式図である。
【0033】
まず、図3を参照してAC電源2から入力電圧の供給を受けている場合について説明する。接続状態切替処理において、電源制御装置100は、AC電源2から入力電圧の供給を受けている場合は、第1蓄電池16と第2蓄電池17を並列接続に切り替えて、第1蓄電池16と第2蓄電池17を入力電圧で充電する。
【0034】
そのために、AC-DCコンバータ12と切替部22を接続する経路で分岐した入力電圧(図中では、「Vin」と表記する。)は、抵抗15を介して、判定用の電圧(図中では、「Vj」と表記する。)として、各リレー(第1リレー19、第2リレー20、及び第3リレー21)に対して供給される。この場合、入力電圧の供給を受けていることから、判定用の電圧は直流24[V]である。そのため、各リレーにおいて、AC電源2から入力電圧の供給を受けている場合と判定される。これに伴い、第1リレー19は閉状態となり、第2リレー20及び第3リレー21は開状態となる。
【0035】
これにより接続状態が切り替わり、第1蓄電池16と第2蓄電池17は、並列接続の状態となる。従って、図中で入出力電圧としてハッチングにて示すように、入力電圧は、分岐して第1蓄電池16と第2蓄電池17の充電のために供給されると共に、出力電圧として出力される。これにより、第1充電回路13と第2充電回路14は、24[V]の直流電圧である入力電圧を用いて、定格電圧が24[V]の直流電圧である第1蓄電池16と第2蓄電池17を適切に充電することができる。また、切替部22は、24[V]の直流電圧である入力電圧を出力電圧として、駆動装置200に対して供給することができる。
【0036】
なお、第1蓄電池16と第2蓄電池17は並列接続されていることから、第1充電回路13や第2充電回路14のような充電回路を1つのみ設け、この1つの充電回路により第1蓄電池16と第2蓄電池17の双方の充電の制御を行なうことも可能である。しかしながら、蓄電池には、個体差がありそれぞれの抵抗値が微妙に異なる。すなわち、セルバランスが異なる。従って、1つの充電回路により、並列接続された第1蓄電池16と第2蓄電池17の双方の充電の制御を行なうことは困難である。そこで、本実施形態では、第1蓄電池16と第2蓄電池17に対応して、第1充電回路13と第2充電回路14という充電回路をそれぞれ独立して設けている。これにより、各充電池の個体差があったとしても、各充電池に対して、適切な充電の制御を行なうことができる。
【0037】
次に、図4を参照してAC電源2から入力電圧の供給を受けていない場合について説明する。接続状態切替処理において、電源制御装置100は、AC電源2から入力電圧の供給を受けていない場合は、第1蓄電池16と第2蓄電池17を直列接続に切り替えて、第1蓄電池16と第2蓄電池17の放電する電圧を出力電圧として出力する。
【0038】
この場合、入力電圧の供給を受けていないことから、判定用の電圧(図中では、「Vj」と表記する。)は、直流0[V](あるいは、電圧が低下している過程における、所定の閾値を下回る電圧)である。そのため、各リレーにおいて、AC電源2から入力電圧の供給を受けていない場合と判定される。これに伴い、第1リレー19は開状態となり、第2リレー20及び第3リレー21は閉状態となる。
【0039】
これにより接続状態が切り替わり、第1蓄電池16と第2蓄電池17は、直列接続の状態となる。従って、図中で放電出力電圧としてハッチングにて示すように、第1蓄電池16と第2蓄電池17の放電する電圧は、出力電圧として出力される。これにより、切替部22は、直列接続により24[V]の直流電圧となった第1蓄電池16と第2蓄電池17の放電する電圧を出力電圧として、駆動装置200に対して供給することができる。
【0040】
以上図3及び図4を参照して説明したように、接続状態切替処理によれば、AC電源2から入力電圧の供給を受けている場合は、第1蓄電池16と第2蓄電池17を並列接続に切り替えて、第1蓄電池16と第2蓄電池17を入力電圧で充電する。また、この場合に、入力電圧を出力電圧として、駆動装置200に対して供給する。
【0041】
一方で、AC電源2から入力電圧の供給を受けていない場合は、第1蓄電池16と第2蓄電池17を直列接続に切り替えて、第1蓄電池16と第2蓄電池17の放電する電圧を出力電圧として出力する。
【0042】
従って、AC電源2からの入力電圧の供給の有無を問わず、駆動装置200に対して、駆動に必要な電圧を供給することができる。また、AC電源2から入力電圧の供給を受けている場合は、第1蓄電池16と第2蓄電池17を入力電圧で充電することができる。
すなわち、接続状態切替処理によれば、電子機器の駆動に必要な電圧で、適切にバッテリの充放電を管理することが可能となる。
【0043】
また、これにより、電子機器の駆動に必要な電圧が直流24[V]であるにもかかわらず、それよりも高い電圧(例えば、36[V])を出力するAC-DCコンバータが必要となってしまう、という一般的な技術の問題を解決することができる。更に、このAC-DCコンバータが出力する高い電圧(例えば、36[V])を、電子機器の駆動のために直流24[V]に降圧するDC-DCコンバータ等のモジュールも必要となってしまう、という一般的な技術の他の問題も解決することができる。更に、このような問題の解決を、リレーと配線という簡易な構成の追加のみで実現することができる。
【0044】
以上、接続状態切替処理の詳細について説明した。次に、接続状態切替処理が行われる場合の動作の詳細について説明をする。
【0045】
[動作]
次に、電源制御装置100が実行する、接続状態切替処理における動作について図5を参照して説明をする。図5は、接続状態切替処理の流れを説明するフローチャートである。接続状態切替処理は、電源制御装置100の起動やユーザの開始指示操作に伴って開始され、継続的に繰り返される。
【0046】
ステップS11において、各リレー(第1リレー19、第2リレー20、及び第3リレー21)は、AC電源2から入力電圧の供給を受けているか否かを判定する。AC電源2から入力電圧の供給を受けている場合は、ステップS11においてYesと判定され、処理はステップS12に進む。一方で、AC電源2から入力電圧の供給を受けていない場合は、ステップS11においてNoと判定され、処理はステップS15に進む。
【0047】
ステップS12において、第1リレー19は閉状態となり、第2リレー20及び第3リレー21は開状態となる。これにより、接続状態が図3を参照して上述したように切り替わり、第1蓄電池16と第2蓄電池17は、並列接続の状態となる。
【0048】
ステップS13において、切替部22は、入力電圧を出力電圧として、駆動装置200に対して出力をする。
【0049】
ステップS14において、第1充電回路13と第2充電回路14は、入力電圧により、第1蓄電池16と第2蓄電池17を充電する。なお、図示の都合上ステップS13の処理を行ってからステップS14の処理を行なうこととなっているが、実際にはステップS13の処理と及びステップS14の処理とは並行して行われる。ステップS13の処理やステップS14の処理が行われると、再度ステップS11の判定から処理が繰り返される。
【0050】
ステップS15において、第1リレー19は開状態となり、第2リレー20及び第3リレー21は閉状態となる。これにより、接続状態が図4を参照して上述したように切り替わり、第1蓄電池16と第2蓄電池17は、直列接続の状態となる。
【0051】
ステップS16において、切替部22は、第1蓄電池16と第2蓄電池17の放電する電圧を出力電圧として、駆動装置200に対して出力をする。ステップS16の処理が行われると、再度ステップS11の判定から処理が繰り返される。
【0052】
以上説明した動作により、接続状態切替処理を実現することができる。そして、上述したように、電子機器の駆動に必要な電圧で、適切にバッテリの充放電を管理することが可能となる、という効果を奏する。
【0053】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、以下に例示するように変形することが可能である。
【0054】
例えば、上述したように、第1蓄電池16と第2蓄電池17のような2つの蓄電池を対象として接続状態切替処理を行ってもよいが、N個(Nは3以上の整数)の蓄電池を対象として接続状態切替処理を行ってもよい。例えば、3個の蓄電池を対象とする場合を例にとって、図6を参照して説明する。図6は、本変形例に係る電源制御装置である電源制御装置101の構成を示すブロック図である。
【0055】
電源制御装置101は、上述した電源制御装置100と比較して、第3充電回路23、第4リレー24、第3蓄電池25、第5リレー26、及び第6リレー27を更に備える点で相違する。
【0056】
ここで、第3充電回路23は、第1充電回路13や第2充電回路14と同等の機能を有する。また、第4リレー24や第5リレー26は、第2リレー20や第3リレー21と同等の機能を有する。更に、第3蓄電池25は、第1蓄電池16や第2蓄電池17と同等の機能を有する。更に、第6リレー27は、第1リレー19と同等の機能を有する。そのため、これら各機能ブロックについての重複する説明は省略する。
【0057】
また、本変形例では、AC-DCコンバータ12と切替部22を接続する経路で分岐した入力電圧(図中では、「Vin」と表記する。)は、抵抗15を介して、判定用の電圧(図中では、「Vj」と表記する。)として、第1リレー19、第2リレー20、及び第3リレー21に加えて、第4リレー24、第5リレー26、及び第6リレー27に対しても供給される。
【0058】
この図6に示すように、蓄電池を1つ追加する場合には、それに伴い、充電回路を1つ、ノーマリークローズのリレーを1つ、ノーマリーオープンのリレーを2つ追加することにより、上述した接続状態切替処理と同様の効果を奏することが可能となる。
【0059】
この場合に、例えば、3つの蓄電池の定格電圧を、入力電圧や出力電圧の三分の一とするとよい。例えば、入力電圧及び出力電圧が、24[V]の直流電圧ならば、第1蓄電池16と第2蓄電池17と第3蓄電池25の定格電圧を、8[V]の直流電圧とする。これにより、並列接続した場合に入力電圧で各蓄電池の充電を実現できると共に、直列接続した場合に入力電圧と同じ電圧値となる3つの蓄電池の放電する電圧を出力電圧とすることができる。
【0060】
あるいは、この場合に、第1蓄電池16と第2蓄電池17と第3蓄電池25の定格電圧を12[V]の直流電圧とする。これにより、並列接続した場合に入力電圧で各蓄電池の充電を実現できると共に、直列接続した場合に入力電圧よりも高い、36[V]の直流電圧となる3つの蓄電池の放電する電圧を出力電圧とすることができる。これにより、例えば、駆動装置200の駆動状態等に応じて、リレーの切り替えを行なうことで、異なる電圧値の電圧を出力電圧として駆動装置200に供給することが可能となる。
【0061】
他の変形例として、例えば、上述した各電圧の電圧値は例示に過ぎず、これに限られない。例えば、入力電圧及び出力電圧が、12[V]の直流電圧であって、第1蓄電池16と第2蓄電池17の定格電圧が、6[V]の直流電圧であってもよい。すなわち、入力電圧及び出力電圧が、第1蓄電池16の定格電圧と第2蓄電池17の定格電圧を合算した電圧値であればよい。
【0062】
他の変形例として、例えば、各リレーに代えて、ユーザの操作に応じて開閉状態が切り替わるスイッチを利用してもよい。そして、ユーザが、電子機器1をAC電源2から取り外す場合や、AC電源2の停電が予測されるような場合に、予めユーザの操作を受け付けることにより、第1蓄電池16と第2蓄電池17の放電する電圧を出力電圧として、駆動装置200に対して出力をするようにしてもよい。
【0063】
他の変形例として、例えば、上述したように、電子機器1は、電子式ガスブレンダ以外の他の医療機器に適用してもよい、例えば、輸液ポンプやシリンジポンプといった、輸液に関連する装置に適用してもよい。何れも、生体に対する医療行為を実現するための重要な機器であることから、駆動停止を防止することができる電子機器1の適用用途として、好適である。
【0064】
他の変形例として、例えば、図4を参照して上述したようにAC電源2からの入力電圧の供給を受けていない場合に、第1充電回路13や第2充電回路14が充電の制御を取り止めるようにしてもよい。
AC電源2からの入力電圧の供給を受けていない場合、上述したように第1蓄電池16や第2蓄電池17は放電を行う。しかしながら、第1蓄電池16や第2蓄電池17に対する充電の制御によって、この第1蓄電池16や第2蓄電池17の放電が阻害され、放電が適切になされない可能性がある。そこで、第1充電回路13や第2充電回路14は、AC電源2からの入力電圧の供給を受けていないことを検出した場合に、第1蓄電池16や第2蓄電池17に対する充電の制御を取り止めるようにする。これにより、第1充電回路13や第2充電回路14による充電の制御によって、第1蓄電池16や第2蓄電池17の放電が阻害されることを防止できる。
【0065】
以上説明した電源制御装置100は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の電源制御装置100により行なわれる電源制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0066】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0067】
1 電子機器
2 AC電源
11 ノイズフィルタ
12 AC-DCコンバータ
13 第1充電回路
14 第2充電回路
15 抵抗
16 第1蓄電池
17 第2蓄電池
18 グラウンド
19 第1リレー
20 第2リレー
21 第3リレー
22 切替部
22a、22b ダイオード
23 第3充電回路
24 第4リレー
25 第3蓄電池
26 第5リレー
27 第6リレー
100、101 電源制御部
200 駆動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6