(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】カード製造方法
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20231121BHJP
B41M 5/382 20060101ALI20231121BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20231121BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20231121BHJP
B42D 25/40 20140101ALI20231121BHJP
B42D 25/475 20140101ALI20231121BHJP
【FI】
B42D15/00 341E
B41M5/382 800
B41M5/382 300
B44C1/17 E
B41J2/325 A
B42D25/40 100
B42D25/475
(21)【出願番号】P 2019200531
(22)【出願日】2019-11-05
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】中原 慎介
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-117850(JP,A)
【文献】特開2001-180192(JP,A)
【文献】特開2004-362014(JP,A)
【文献】特開2010-058437(JP,A)
【文献】特開平06-340195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/315-2/345
2/42-2/425
2/475-2/48
B41M 5/035
5/26
5/36-5/48
5/50
5/52
B42D 1/00-25/485
B44C 1/16-1/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色の色インキ領域を有するカラーリボンのインキ画像が媒体上に転写された転写画像付きシートの前記インキ画像を、カード多面付けシートに、転写形成し、その後前記カード多面付けシートのカードを個片に断裁するカード製造方法であって、
前記カード多面付けシートに、前記転写画像付きシートを、圧着し、超音波により、前記カード多面付けシートに、前記
転写画像付きシートの前記インキ画像を転写形成する画像形成
工程と、
画像形成された前記カード多面付けシートを、超音波でカード個片に切断する切断工程と、
を有し、
前記画像形成工程と前記切断工程で使用する超音波の周波数が同一である、
カード製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カードが多面付けされたシートに画像形成をし、カードを個片に断裁するカード製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カードが多面付されたシートのカード表面に、従来の熱転写プリンタを使用して、画像形成することができる(特許文献1参照)。
【0003】
図4は従来のカード95に画像形成を行なう熱転写プリンタの一例を示す模式的側面図である。媒体15に所望の画像を転写し転写画像付きシート2とし、転写画像付きシート2の転写部分をカード95に転写することによりカードに画像形成を行っている(特許文献1参照)。
【0004】
媒体15に、所望の画像を転写することは、カラーリボン供給ロール74から供給されるカラーリボン81が、1次転写ユニット78において、カラーリボン81を、所望の画像に対応するサーマルヘッド85のドットパターンを加熱することによって行われる。
【0005】
カラーリボン81は、通常、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色領域配列の繰り返しから構成されている。所望の画像の各色毎の画像を、媒体15上の1領域に、重ねて転写する。
【0006】
媒体15に、所望の画像の4色毎の色領域を重ね合わせ転写したものは転写画像付きシート2になる。
【0007】
媒体15は、媒体供給ロール70から供給される
転写されたカラーリボン81は、カラーリボン巻取りロール76で巻きとられる。
【0008】
転写画像付きシート2の転写部分をカード95に転写することは、転写画像付きシート2が、2次転写ユニット79にまで走行し、ロール上にある転写画像付きシート2とカード95を押圧しながら加熱するヒートローラ90により、行なわれる。
【0009】
カード95に転写部分を転写した転写画像付きシート2は、媒体巻取りロール72に巻き取られる。
【0010】
この方法をカード95でなくカード多面付けシート1で、実施することもできるが、高速で転写を行なおうとした場合、ヒートローラ90を高熱にするため、転写画像付きシート2からカード多面付けシート1に転写されたものが、熱のため変形することがあった。また、転写画像付きシート2が薄いフィルムを使用した場合、転写時に、フィルムが縮んでしまうという不具合があった。またヒートローラ90を低熱と、ラインの生産速度が低下する。
【0011】
また、ヒートローラ90は、熱の変動が生じないように、常に一定の発熱が必要であるので、エネルギーを大きく消費し、ローラの劣化が発生しやすい。また、設備立ち上げの際には、必要な温度に達するまでの時間がかかるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
カード多面付けシートへの転写画像付きシート画像の転写画像の転写において、転写画像付きシートを縮ませることなく、短時間で転写でき、加熱部をずっと発熱する必要のないカード製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1に係る発明は、複数の色の色インキ領域を有するカラーリボンのインキ画像が媒体上に転写された転写画像付きシートの前記インキ画像を、カード多面付けシートに、転写形成し、その後前記カード多面付けシートのカードを個片に断裁するカード製造方法であって、前記カード多面付けシートに、前記転写画像付きシートを、圧着し、超音波により、前記カード多面付けシートに、前記転写画像付きシートの前記インキ画像を転写形成する画像形成工程と、画像形成された前記カード多面付けシートを、超音波でカード個片に切断する切断工程とを有し、前記画像形成工程と前記切断工程で使用する超音波の周波数が同一である、カード製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
カード多面付けシートへの転写画像付きシート画像の転写画像の転写において、転写画像付きシートを縮ませることなく、短時間で転写でき、加熱部をずっと発熱する必要のないカード製造方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1(a)は本発明の実施形態における、超音波によりカード多面付けシートに、転写画像付きシートのインキ画像を転写形成する画像形成工程の様子を説明する模式的斜視図である。
図1(b)は転写画像付きシートのインキ画像を示した模式的上面図である。
図1(c)はカード多面付けシートと、転写画像付きシートの模式的断面図である。
【
図2】本発明の実施形態における超音波切断によるカード多面付けシートをカード個辺に切断する切断工程を説明する模式的斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるカード多面付けシートに画像形成を行なう画像形成工程を説明する模式的側面図である。
【
図4】従来のカードに画像形成を行なう熱転写プリンタの一例を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<画像形成工程>
カード多面付けシートへの転写画像付きシート画像の転写画像の転写の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0020】
図3は本発明の実施形態における、超音波によりカード多面付けシート1に画像形成を行なう画像形成工程を説明する模式的側面図である。
【0021】
媒体15に所望の画像を転写し転写画像付きシート2とし、転写画像付きシート2の転写部分をカード多面付けシート1に転写することによりカード多面付けシート1に画像形成を行っている。
【0022】
本実施形態では、媒体15は、保護層12/剥離層13/基材フィルム層14の順に構成される層構成とする。
【0023】
媒体15に、所望の画像を転写することは、カラーリボン供給ロール74から供給されるカラーリボン81が、1次転写ユニット78において、カラーリボン81を、所望の画像に対応するサーマルヘッド85のドットパターンを加熱することによって行われる。
【0024】
カラーリボン81は、通常、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色領域配列の繰り返しから構成されている。所望の画像の各色毎の画像を、媒体15上の1領域に、重ねて転写する。
【0025】
媒体15に、所望の画像の4色毎の色領域を重ね合わせ転写したものは転写画像付きシート2になる。
【0026】
本実施形態では、転写画像付きシート2は、インキ(CMYK)層11/保護層12/剥離層13/基材フィルム層14の順に構成される層構成となる。
【0027】
図1(b)は転写画像付きシート2のインキ画像を示した模式的上面図である。
【0028】
転写画像付きシート2の上にはインキ(CMYK)印画ドット41と未印画部分42が形成される。
【0029】
媒体15は、媒体供給ロール70から供給される
転写されたカラーリボン81は、カラーリボン巻取りロール76で巻きとられる。
【0030】
図1(c)はカード多面付けシート1と、転写画像付きシート2の模式的断面図である。
【0031】
本実施形態では、カード多面付けシート1はPVC(ポリ塩化ビニル)の材質とする。
【0032】
転写画像付きシート2の転写部分をカード多面付けシート1に転写される。転写画像付きシート2が、2次転写ユニット80にまで走行しカード多面付けシート1と位置合わせを行って、停止する。超音波ホーン30がカード多面付けシート1と転写画像付きシート2を重ねて押圧し、超音波ホーン30が、所定の時間だけ、超音波を発生し、発熱し、カード多面付けシート1を加熱し、それに接する転写画像付きシート2の転写部分が、カード多面付けシート1に転写される。
【0033】
図1(a)は本発明の実施形態における、超音波によりカード多面付けシートに、転写画像付きシートのインキ画像を転写形成する画像形成工程の様子を説明する模式的斜視図である。
【0034】
転写後、転写画像付きシート2がカード多面付けシート1から剥離され、カード多面付けシート1のPVC(ポリ塩化ビニル)には、順にインキ(CMYK)層11/保護層12が圧着される。その時、インキ(CMYK)印画ドット41の周りの未印画部分42が溶着される。
【0035】
図1、3で示される本発明の実施形態は、
図4で示される従来の熱転写プリンタのヒートローラ90による常時加熱でなく、所定の時間だけ、加熱が行われ、従来よりも短時間での転写になり、生産時間の短縮化が図れる。転写画像付きシートを縮ませることない。加熱の影響をうける部品の劣化も、従来の程度よりは少なくできる。余熱などの工程も不必要であり、エネルギー的に効率よく製造できる。
【0036】
その後、カード多面付けシート1に転写部分を転写した転写画像付きシート2は、媒体巻取りロール72に巻き取られる。
【0037】
<切断工程>
上記のカード多面付けシート1への画像形成工程の後、カ―ドを個片に、超音波により切断してもよい。
【0038】
図2は本発明の実施形態における超音波切断によるカード多面付けシートをカード個辺に切断する切断工程を説明する模式的斜視図である。
【0039】
カード多面付けシート1への画像形成工程の後、画像が形成されたカード多面付けシート1をスリットを格子状に持つ固定台50の上に載せ、固定台50にあるスリットの合間から、超音波切断器60をカード多面付けシート1のカード外周部分にあて、カード個片に切断する。
【0040】
画像形成工程と同様に、カード切断工程でも超音波を使用するので、工程の簡素化が図られる。画像形成工程とカード切断工程使う超音波の周波数が同じであれば、回路が単純化され、さらによい。
【符号の説明】
【0041】
1・・・カード多面付けシート
2・・・転写画像付きシート
3・・・画像転写済カード多面付けシート
11・・・インキ(CMYK)層
12・・・保護層
13・・・剥離層
14・・・基材フィルム層
15・・・媒体
30・・・超音波ホーン
41・・・インキ(CMYK)印画ドット
42・・・未印画部分
50・・・固定台
60・・・超音波切断器
61・・・超音波振動子
62・・・刃物
70・・・媒体供給ロール
72・・・媒体巻取りロール
74・・・カラーリボン供給ロール
76・・・カラーリボン巻取りロール
78・・・1次転写ユニット
79・・・2次転写ユニット
80・・・2次転写ユニット
81・・・カラーリボン
85・・・サーマルヘッド
90・・・ヒートローラ
95・・・カード