IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タダノの特許一覧

<>
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図1
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図2
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図3
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図4
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図5
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図6
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図7
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図8
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図9
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図10
  • 特許-ケーブルタイサポータおよび作業車両 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ケーブルタイサポータおよび作業車両
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/10 20060101AFI20231121BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20231121BHJP
   F16L 3/02 20060101ALI20231121BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
F16B2/10 C
F16B2/08 S
F16L3/02 Z
F16B7/04 301G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019201420
(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2021076146
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渥美 雅士
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-106162(JP,A)
【文献】特開2012-222978(JP,A)
【文献】特開2003-185061(JP,A)
【文献】実開平06-082487(JP,U)
【文献】特開昭53-012098(JP,A)
【文献】実開平05-003287(JP,U)
【文献】実開昭60-113474(JP,U)
【文献】実開昭50-095600(JP,U)
【文献】実公昭36-006728(JP,Y1)
【文献】特開2009-012795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/10
F16B 2/08
F16L 3/02
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ定められた直径を有する被結束物をケーブルタイで結束する際に用いるケーブルタイサポータであって、
該ケーブルタイサポータは、前記被結束物を挟み込むための、第1サポート片および第2サポート片を含んで構成されており、
前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方には、前記被結束物を配置するための固定溝が3つ以上平行に設けられ、
前記第1サポート片および前記第2サポート片は、平行に設けられている前記固定溝の軸心の並列方向の、前記第1サポート片の端部の一方と、前記第2サポート片の端部の一方と、において連結されるとともに、
前記第1サポート片の端部の他方と、前記第2サポート片の端部の他方とは、前記ケーブルタイで前記被結束物を結束した際にあらかじめ定められた距離だけ離間し、
前記固定溝のうち両端に位置していない固定溝の部分における、前記被結束物を挟み込んだ状態での第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の前記被結束物の押さえつけ方向の長さが、
前記固定溝のうち両端に位置する固定溝の部分における、前記被結束物を挟み込んだ状態での第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の前記被結束物の押さえつけ方向の長さよりも長い、
ことを特徴とするケーブルタイサポータ。
【請求項2】
前記固定溝には、前記被結束物を前記固定溝の軸心方向への移動を抑制するための第1凸部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブルタイサポータ。
【請求項3】
前記固定溝には、前記被結束物を前記固定溝の周方向への回転を抑制するための第2凸部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブルタイサポータ。
【請求項4】
前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方には、
前記ケーブルタイの前記固定溝の軸心方向への移動を防止するための移動防止溝が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のケーブルタイサポータ。
【請求項5】
前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方の外側には、
結束のために用いられたケーブルタイを切断する際に、
ケーブルタイの切断道具の先端が入り込むための切断用凹部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のケーブルタイサポータ。
【請求項6】
前記固定溝には、前記固定溝で挟み込まれる前記被結束物があらかじめ定められた曲率で曲げられた際に、前記固定溝の端部と接触することを防止するための面取り部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項5に記載のケーブルタイサポータ。
【請求項7】
アウトリガ装置を有する作業車両であって、
請求項1から6のいずれかのケーブルタイサポータが、前記アウトリガ装置の油圧ジャッキ用の油圧配管と、前記アウトリガ装置に用いられているセンサの信号ケーブルと、の結束に用いられている、
ことを特徴とする作業車両。
【請求項8】
あらかじめ定められた直径を有する被結束物をケーブルタイで結束する際に用いるケーブルタイサポータであって、
該ケーブルタイサポータは、前記被結束物を挟み込むための、第1サポート片および第2サポート片を含んで構成されており、
前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方には、前記被結束物を配置するための固定溝が3つ以上平行に設けられ、
前記固定溝のうち両端に位置していない固定溝の部分における、前記被結束物を挟み込んだ状態での第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の前記被結束物の押さえつけ方向の長さが、
前記固定溝のうち両端に位置する固定溝の部分における、前記被結束物を挟み込んだ状態での第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の前記被結束物の押さえつけ方向の長さよりも長く、
前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方の外側には、
結束のために用いられたケーブルタイを切断する際に、
ケーブルタイの切断道具の先端が入り込むための切断用凹部が設けられている、
ことを特徴とするケーブルタイサポータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルタイサポータおよび作業車両に関する。さらに詳しくは、複数本のケーブル等の被結束物を固定する際に用いるケーブルタイサポータおよび作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
アウトリガ装置が備えられている作業車両において、アウトリガ装置の端部に備えられている油圧ジャッキには、油圧を供給するためのフレキシブル配管51(図11参照)と、油圧ジャッキの状態を監視するセンサのための電線用ケーブル52とが並列に設けられている。これらのケーブル等(以下、本明細書では、パイプ、ケーブル、フレキシブル油圧配管など、長尺の被結束物を「ケーブル等」と称することがある)は、アウトリガ装置の外側方向への動作、および内側方向への動作とともに動作する必要がある。従来、このフレキシブル配管51と電線用ケーブル52とは、一体として取り扱うことができるように、一定の間隔を置いてケーブル等の3本がケーブルタイ53により結束され、この状態で動作させられていた。
【0003】
しかし3本のケーブル等は、直径の大きさ、材料が異なることから、それぞれ曲がりにくさが異なる。図11には従来の結束方法でケーブル等を固定した場合の説明図を示す。図11(A)は、ケーブルタイ53により結束された直後のケーブル等の軸心方向からの断面図、図11(B)、(C)はケーブルタイ53による結束後所定の回数、ケーブル等を動作させた状態のケーブル等の軸心方向からの断面図である。
【0004】
結束されたケーブル等は、ケーブルタイ53により固定された直後は、図11(A)で示すように、3本のケーブル等が1方向に並ぶ状態で結束されているが、ケーブル等が長期間にわたって動作させられると、その動作により例えば図11(B)で示す状態となったり、図11(C)で示す状態となったりする。このような状態となると、ケーブル等が曲げられた部分がケーブルタイ53同士の中間部分である場合、ケーブル等の間に隙間が生じ、その隙間に他の部品が引っかかりケーブル等が破損するおそれがあった。これに対し、3本のケーブル等を最初にビニールテープで固定し、そのビニールテープの上からケーブルタイ53で固定する方法が採用される場合があった。
【0005】
また、ケーブル等を固定する構成として、特許文献1では、弾性体の被覆部材と、この被覆部材を挟んで締め付ける締め付け部材の組み合わせる構成が開示されている。特許文献1は、車両の床下に敷設されるフューエルパイプまたはブレーキパイプなどの直径が異なるパイプを固定するためのパイプの保持構成に関する文献である。本文献ではケーブル等は所定の位置に固定され、ケーブル等自体が動作することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-106162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ビニールテープを施した上にケーブルタイで固定する方法は、ビニールテープの施工に個人差があり、品質が安定しにくいという問題がある。また、時間の経過とともにビニールテープが劣化し、その結果ケーブルタイのみが用いられるケースと同様、ケーブル等の間に隙間が生じることがある。
【0008】
特許文献1に開示されているパイプの保持構成は、保持構成が所定の部材に固定されることが前提となっている。そのため、被覆部材および締め付け部材など保持構成の要素の重量が大きく、これをそのままケーブル等が動作する部分には適用することはできない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、種類の異なるケーブル等を、軽量でかつ簡単な方法で、ケーブルタイを用いて結束することができ、さらにケーブル等の結束状態に経時変化がほとんど生じないケーブルタイサポータ、およびこのケーブルタイサポータが用いられている作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明のケーブルタイサポータは、あらかじめ定められた直径を有する被結束物をケーブルタイで結束する際に用いるケーブルタイサポータであって、該ケーブルタイサポータは、前記被結束物を挟み込むための、第1サポート片および第2サポート片を含んで構成されており、前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方には、前記被結束物を配置するための固定溝が3つ以上平行に設けられ、前記第1サポート片および前記第2サポート片は、平行に設けられている前記固定溝の軸心の並列方向の、前記第1サポート片の端部の一方と、前記第2サポート片の端部の一方と、において連結されるとともに、前記第1サポート片の端部の他方と、前記第2サポート片の端部の他方とは、前記ケーブルタイで前記被結束物を結束した際にあらかじめ定められた距離だけ離間し、前記固定溝のうち両端に位置していない固定溝の部分における、前記被結束物を挟み込んだ状態での第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の前記被結束物の押さえつけ方向の長さが、前記固定溝のうち両端に位置する固定溝の部分における、前記被結束物を挟み込んだ状態での第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の前記被結束物の押さえつけ方向の長さよりも長いことを特徴とする。
第2発明のケーブルタイサポータは、第1発明において、前記固定溝には、前記被結束物を前記固定溝の軸心方向への移動を抑制するための第1凸部が設けられていることを特徴とする。
第3発明のケーブルタイサポータは、第1発明または第2発明において、前記固定溝には、前記被結束物を前記固定溝の周方向への回転を抑制するための第2凸部が設けられていることを特徴とする。
第4発明のケーブルサポータは、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方には、前記ケーブルタイの前記固定溝の軸心方向への移動を防止するための移動防止溝が設けられていることを特徴とする。
第5発明のケーブルタイサポータは、第1発明から第4発明のいずれかにおいて、前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方の外側には、結束のために用いられたケーブルタイを切断する際に、ケーブルタイ用の切断道具の先端が入り込むための切断用凹部が設けられていることを特徴とする。
第6発明のケーブルタイサポータは、第1発明から第5発明のいずれかにおいて、前記固定溝には、前記固定溝で挟み込まれる前記被結束物があらかじめ定められた曲率で曲げられた際に、前記固定溝の端部と接触することを防止するための面取り部が設けられていることを特徴とする。
第7発明の作業車両は、アウトリガ装置を有する作業車両であって、第1発明から第6発明のいずれかのケーブルタイサポータが、前記アウトリガ装置の油圧ジャッキ用の油圧配管と、前記アウトリガ装置に用いられているセンサの信号ケーブルと、の結束に用いられていることを特徴とする。
第8発明のケーブルタイサポータは、あらかじめ定められた直径を有する被結束物をケーブルタイで結束する際に用いるケーブルタイサポータであって、該ケーブルタイサポータは、前記被結束物を挟み込むための、第1サポート片および第2サポート片を含んで構成されており、前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方には、前記被結束物を配置するための固定溝が3つ以上平行に設けられ、前記固定溝のうち両端に位置していない固定溝の部分における、前記被結束物を挟み込んだ状態での第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の前記被結束物の押さえつけ方向の長さが、前記固定溝のうち両端に位置する固定溝の部分における、前記被結束物を挟み込んだ状態での第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の前記被結束物の押さえつけ方向の長さよりも長く、前記第1サポート片または前記第2サポート片の少なくとも一方の外側には、結束のために用いられたケーブルタイを切断する際に、ケーブルタイ用の切断道具の先端が入り込むための切断用凹部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、被結束物を挟み込んだ状態で、ケーブルタイサポータの第1サポート片の外側および第2サポート片の外側の押さえつけ方向の長さが、両端に位置していない固定溝の部分のものが、両端に位置している固定溝の部分のものよりも長いことにより、ケーブルタイで締め付けた際に、両側に位置していない被結束物に対してもケーブルタイの締め付け力が作用する。これにより、種類の異なるケーブル等であっても、軽量でかつ簡単な方法で、ケーブルタイを用いて結束することができる。また、被結束物同士の相対的な距離および位置関係が変化することを防止できる。すなわち、ケーブル等の結束状態に経時的な変化がほとんど生じない。
第2発明によれば、固定溝に被結束物を固定溝の軸心方向への移動を抑制するための第1凸部が設けられていることにより、被結束物の軸心方向への移動が抑制される。これにより、被結束物同士の相対的な距離および位置関係が変化することを、確実に防止できる。
第3発明によれば、固定溝に被結束物を固定溝の周方向へ回転を抑制するための第2凸部が設けられていることにより、被結束物の周方向への回転が抑制される。これにより、被結束物同士の相対的な距離および位置関係が変化することを、より確実に防止できる。
第4発明によれば、第1サポート片等に、ケーブルタイの移動を防止するための移動防止溝が設けられていることにより、ケーブルタイサポータの外面をケーブルタイが滑り、ケーブルタイサポータからケーブルタイが外れることを防止することができる。
第5発明によれば、第1サポート片等に、ケーブルタイの切断道具の先端が入り込むための切断用凹部が設けられていることにより、ケーブルタイサポータを傷つけることなく、容易にケーブルタイを切断することができる。
第6発明によれば、固定溝に所定の形状の面取り部が設けられていることにより、被結束物が曲げられた際でも、固定溝の端部と被結束物とが接触することがなく、第1凸部の被結束物への押圧する力が小さくなることがない。
第7発明によれば、第1発明から第6発明のいずれかのケーブルタイサポータがアウトリガ装置のケーブル等に用いられていることにより、ケーブル等の結束部分が不必要に大きくならず、かつケーブル等の結束が長期間にわたって維持されるのでメンテナンス作業が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るケーブルタイサポータの斜視方向からの説明図である。
図2図1のケーブルタイサポータの斜視方向からの使用状態の説明図である。
図3図1のケーブルタイサポータの正面図である。
図4図1のケーブルタイサポータの平面図である。
図5図1のケーブルタイサポータの側面図である。
図6図1のケーブルタイサポータの正面方向からの断面図である。
図7図1のケーブルタイサポータの側面方向からの断面図である。
図8図1のケーブルタイサポータが用いられている積載型トラッククレーンの側面図である。
図9図8の積載型トラッククレーンの油圧回路図である。
図10図8の積載型トラッククレーンの制御回路図である。
図11】従来の結束方法の説明図である。(A)結束された直後のケーブル等の軸心方向からの断面図である。(B)結束後所定の回数ケーブル等を動作させた状態のケーブル等の軸心方向からの断面図である。(C)結束後所定の回数ケーブル等を動作させた状態のケーブル等の軸心方向からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのケーブルタイサポータおよび作業車両を例示するものであって、本発明はケーブルタイサポータおよび作業車両を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また「平行」の記載は、「実質的に平行」を意味し、厳密に「平行」である必要はない。
【0014】
<ケーブルタイサポータ10>
図1には本発明の第1実施形態に係るケーブルタイサポータ10の斜視方向からの説明図を、図2には、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10の斜視方向からの使用状態の説明図を示す。なお、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10について説明する際の上下、左右、前後の表示は、図1から図7に示された座標に基づいて表示される。ケーブルタイサポータ10は、あらかじめ定められた直径を有する被結束物19をケーブルタイ18で結束する際に用いられる。複数の被結束物19がケーブルタイサポータ10により挟み込まれ、ケーブルタイ18が、この状態のケーブルタイサポータ10の外側に巻きまわされる。ケーブルタイサポータ10は、ケーブルタイ18の結束のための力を被結束物19に対し、より均等に付加することができる。
【0015】
図2には、被結束物19が3本である場合を示している。図2では左右方向に平行に被結束物19が配置されている。すなわち、3本の被結束物19の軸心は同じ平面内に存在している。本実施形態では、第1被結束物19aと第3被結束物19cとは、直径が同じであるのに対し、第2被結束物19bは第1被結束物19aよりも直径が小さくなっている。図2の例ではケーブルタイサポータ10は、被結束物19が3本あるため、固定溝13が3つ平行に設けられる。そして、ケーブルタイサポータ10に設けられる固定溝13は、被結束物19それぞれの大きさに対応した形状となっている。
【0016】
図3には、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10の正面図、図4にはその平面図、図5には右側面図を示す。本実施形態に係るケーブルタイサポータ10の材質は、ケーブルタイ18と同様、コストおよび重量を考慮するとナイロン、ポリプロピレンなどの樹脂が好ましい。ただし、金属などであっても問題ない。
【0017】
図1、3に示すように、ケーブルタイサポータ10は、被結束物19を挟み込むための、第1サポート片11および第2サポート片12を含んで構成されている。図3の紙面において、第1固定溝13aから第3固定溝13cを挟んで、上側に位置しているのが第1サポート片11であり、下側に位置しているのが第2サポート片12である。本実施形態では、第1サポート片11および第2サポート片12は、図3の紙面において左端が連結されている。ただし、ケーブルタイサポータ10の形態はこれに限定されない。例えば、第1サポート片11と第2サポート片12とは、別々の部品である場合があったり、第1固定溝13aと第2固定溝13bとの間で連結されている場合があったりする。本実施形態のケーブルタイサポータ10においては、被結束物19の押さえつけ方向は上下方向となる。
【0018】
本実施形態では、第1サポート片11の下側に第1固定溝13a、第2固定溝13b、第3固定溝13cが、3つ平行に設けられている。これらの固定溝13は、それぞれの被結束物19の大きさに基づいて形成されている。本実施形態では、第2被結束物19bの径が、第1被結束物19aの径および第3被結束物19cの径より小さくなっており、これに合わせて3つの固定溝13の大きさが決定されているが、固定溝13の大きさ、配置は、これに限定されるものではない。図6には、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10の正面方向からの断面図を示す。図6では、被結束物19が各固定溝13に配置されたときの位置関係で、ケーブルタイサポータ10が表されている。図6に示すように、第1サポート片11における固定溝13は、被結束物19を押さえつけるために、少なくとも被結束物19の円周の所定の割合だけ接触部分を有している必要がある。接触部分は、被結束物19の円周の1/6以上、すなわち固定溝13の中心角θで60°以上の接触部分を有している。また被結束物19の円周の1/4以上、すなわち固定溝13の中心角θで90°以上の接触部分を有することが好ましい。これらの接触部分は、上下軸を中心として左右対称の形状であることが好ましい。
【0019】
本実施形態では、第2サポート片12の上側にも、第1サポート片11と同様に第1固定溝13a、第2固定溝13b、第3固定溝13cが、3つ平行に設けられている。なお、本実施形態では、第1サポート片11および第2サポート片12の両方に固定溝13が設けられているが、これに限定されない。例えば、これらの固定溝13は、第1サポート片11もしくは第2サポート片12のいずれか一方に設けられている場合もある。
【0020】
図6に示すように、本実施形態のケーブルタイサポータ10では、各固定溝13における上下方向、すなわち被結束物19の押さえつけ方向の長さが規定されている。すなわち、固定溝13のうち両端に位置していない第2固定溝13bの部分における、第1サポート片11の外側および第2サポート片12の外側の長さXbが、固定溝13のうち両端に位置する、一方の固定溝13である第1固定溝13aの部分における、第1サポート片11の外側および第2サポート片12の外側の長さXaよりも長くなっている。併せて、Xbが固定溝13のうち両端に位置する他方の固定溝13である第3固定溝13cの部分における、第1サポート片11の外側および第2サポート片12の外側の長さXcよりも長くなっている。なお、押さえつけ方向の長さは、ケーブルタイ18で締め付ける部分、すなわち後述する移動防止溝16における長さである。
【0021】
上記の構成により、ケーブルタイ18で締め付けた際に、両側に位置していない被結束物19、すなわち3本のうち中央に位置している第2被結束物19bに対してもケーブルタイ18の締め付け力が作用する。これにより、種類の異なるケーブル等であっても、軽量でかつ簡単な方法で、ケーブルタイ18を用いて結束することができる。また、被結束物19同士の相対的な距離および位置関係が変化することを防止できる。すなわち、ケーブル等の結束状態に経時的な変化がほとんど生じない。
【0022】
なお、Xa~Xcの長さは、被結束物19に接触している部分における上下方向、すなわち被結束物19の押さえつけ方向の長さのうち、最も長い部分を言う。図6で第2被結束物19bに対応する第2固定溝13bにおいては、後述する切断用凹部17を除いた部分であって、第2被結束物19bの中心を通る上下軸に、左右方向で最も近い部分の上下方向の長さがXbとなる。第1被結束物19aに対応する第1固定溝13aにおいては、中心角θに対応する接触部分の最も左側に位置する部分の上下方向の長さがXaとなる。第3被結束物19cに対応する第3固定溝13cにおいては、中心角θに対応する接触部分の最も右側に位置する部分の上下方向の長さがXcとなる。
【0023】
図1および図3に示すように、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10は、その固定溝13に、被結束物19を固定溝13の軸心方向への移動を抑制するための第1凸部14が設けられている。第1凸部14は、レール状の凸部であり、被結束物19の軸心方向への移動を抑制するために、固定溝13の周方向に沿って設けられるのが好ましい。本実施形態では、第1凸部14は、第1固定溝13a、第2固定溝13b、第3固定溝13cの各固定溝13に一つずつ、前後中央に設けられている。また、第1凸部14は、第1サポート片11および第2サポート片12の両方に設けられている。ただし、第1凸部14の形状および配置は図1および図3に示すものに限定されない。
【0024】
固定溝13に被結束物19を固定溝13の軸心方向への移動を抑制するための第1凸部14が設けられていることにより、被結束物19の軸心方向への移動が抑制される。これにより、被結束物19同士の相対的な距離および位置関係が変化することを、確実に防止できる。
【0025】
図1図3に示すように、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10は、その固定溝13に、被結束物19を固定溝13の周方向への回転を抑制するための第2凸部15が設けられている。第2凸部15は、レール状の凸部であり、被結束物19の周方向への回転を抑制するために、固定溝13の軸心と平行に設けられるのが好ましい。本実施形態では、第2凸部15は、第1サポート片11および第2サポート片12の両方に設けられている。また、第2凸部15は、第1固定溝13a、第2固定溝13b、第3固定溝13cの各固定溝13に四つずつ、周方向に等間隔に設けられている。ただし、第2凸部15の形状および配置は、図1および図3に示すものに限定されない。
【0026】
固定溝13に被結束物19を固定溝13の周方向へ回転を抑制するための第2凸部15が設けられていることにより、被結束物19の周方向への回転が抑制される。これにより、被結束物19同士の相対的な距離および位置関係が変化することを、より確実に防止できる。
【0027】
図1図2図4および図5に示すように、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10は、第1サポート片11および第2サポート片12の外側に、ケーブルタイ18の固定溝13の軸心方向、すなわち前後方向への移動を防止するための移動防止溝16が設けられている。この移動防止溝16は、ケーブルタイサポータ10の前後方向の中央に設けられている。この移動防止溝16は、ケーブルタイ18の幅に対応する幅、およびケーブルタイ18の厚さに対応する深さを有する。またケーブルタイ18には、ケーブルタイ18のひも部分が通過し、このひも部分を固定する頭部を有しているが、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10は、図3に示すように、ケーブルタイサポータ10の右端部分が、ケーブルタイ18の頭部の大きさに合わせており、ケーブルタイ18の頭部が突出しないようになっている。なお、本実施形態では、移動防止溝16は、第1サポート片11および第2サポート片12の両方に設けた構成であったが、これに限定されない。例えばどちらか一方に設けることも可能である。
【0028】
第1サポート片11等に、ケーブルタイ18の移動を防止するための移動防止溝16が設けられていることにより、ケーブルタイサポータ10の外面をケーブルタイ18が滑り、ケーブルタイサポータ10からケーブルタイ18が外れることを防止することができる。
【0029】
図1図4および図6に示すように、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10は、第1サポート片11および第2サポート片12の外側に、ケーブルタイ18の切断道具の先端が入り込むための切断用凹部17が設けられている。ケーブルタイ18により、ケーブルタイサポータ10を用いて被結束物19を結束した後、メンテナンス等のためにケーブルタイ18が切断されるときがある。この際に、ケーブルタイサポータ10本体がケーブルタイ18の切断道具であるニッパー等の先端により傷つく場合がある。これを避けるために、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10には、切断用凹部17が設けられている。この切断用凹部17は、本実施形態では被結束物19が3本であるので、その左右中央の第2被結束物19bの部分に設けられている。ただし、切断用凹部17が設けられる部分はこれに限定されない。本実施形態では、切断用凹部17は、図6に示すように、断面が三角形である。本実施形態では、切断用凹部17の前後長さは移動防止溝16の長さよりも長い。なお、本実施形態では、切断用凹部17は、第1サポート片11および第2サポート片12の両方に設けた構成であったが、これに限定されない。例えばどちらか一方に設けることも可能である。
【0030】
第1サポート片11等に、ケーブルタイ18の切断道具の先端が入り込むための切断用凹部17が設けられていることにより、ケーブルタイサポータ10を傷つけることなく、容易にケーブルタイ18を切断することができる。
【0031】
図7には、本実施形態のケーブルタイサポータ10の側面方向からの断面図を示す。この断面図は、図3に示すように、第3固定溝13cにおける断面図である。本実施形態におけるケーブルタイサポータ10の固定溝13の前後端部には面取り部113が設けられている。この面取り部113は、固定溝13cで挟み込まれる被結束物19cが、あらかじめ定められた曲率で曲げられた際に、固定溝13cの前後の端部と接触することを防止する。この面取り部113は、固定溝13aおよび固定溝13bにも設けられている。
【0032】
固定溝13に所定の形状の面取り部113が設けられていることにより、被結束物19が曲げられた際でも、固定溝13の端部と被結束物とが接触することがなく、第1凸部14の被結束物19への押圧する力が小さくなることがない。
【0033】
なお、本実施形態に係るケーブルタイサポータ10として、被結束物19が3本である場合を説明したが、特にこれに限定されず、4本以上の場合もある。
【0034】
また、ケーブルタイ18のサポータとして、図6に示すように長さが規定されていないものであって、第1凸部14が設けられている形態、第2凸部15が設けられている形態、さらに第1凸部14および第2凸部15が設けられている形態も考えられる。
【0035】
<作業車両>
本発明の第1実施形態に係るケーブルタイサポータ10が用いられている作業車両は、アウトリガ装置33を備えており、具体的には移動式クレーンである、オールテレーンクレーン、ラフテレーンクレーン、トラッククレーン、積載形トラッククレーン20等が挙げられる。以下では、積載形トラッククレーン20を例に説明する。なお作業車両の説明においては、前後左右の記載は、車体の運転室27に積載形トラッククレーン20の使用者が搭乗した状態での使用者を基準として前後左右とする。
【0036】
(積載形トラッククレーン20)
図8には本発明の第1実施形態に係るケーブルタイサポータ10が用いられている積載形トラッククレーン20の側面図を示す。図8に示すように、積載形トラッククレーン20は、汎用トラック21の運転室27と荷台28との間の車両フレーム29にクレーン装置22が搭載されたものである。汎用トラック21には、左右対称に前輪および後輪が設けられている。
【0037】
図8に示すように、クレーン装置22は、車両フレーム29上に固定されたベース30と、ベース30に対して旋回可能に設けられたポスト31と、ポスト31の上端部に起伏可能に設けられたブーム32と、ベース30に設けられ、ベース30から左右外側へ張出すアウトリガ装置33と、を備えている。すなわちアウトリガ装置33は、側面方向から見て運転室27と荷台28との間に位置している。アウトリガ装置33は、ベース30に固定されているアウターケースと、このアウターケース内をスライドするスライドアームとを含んで構成されている。またスライドアームの左右先端には、油圧のジャッキ38がそれぞれ設けられている。
【0038】
ポスト31にはウインチが内蔵されている。このウインチからワイヤロープをブーム32の先端部に導いて、ブーム32先端部の滑車を介してフック34に掛け回すことにより、フック34をブーム32の先端部から吊り下げている。
【0039】
クレーン装置22は油圧回路40により油圧駆動される。この油圧回路40を操作するためのレバー群35がベース30の左右両側に設けられている。また、油圧回路40を電気的に制御し、作業車両を制御する制御装置23がベース30に設けられている。
【0040】
(油圧回路40)
図9には、積載形トラッククレーン20の油圧回路図を示す。図9に示すように、クレーン装置22の油圧回路40は、主に、油圧バルブユニット41と、油圧バルブユニット41にタンク42内の作動油を供給する油圧ポンプ43と、油圧ポンプ43と油圧バルブユニット41とを接続する主油路44と、油圧バルブユニット41とタンク42とを接続する戻油路45と、クレーン装置22の起伏動作またはブーム32の伸縮動作、ブーム32の旋回動作などを行うための、複数のクレーン装置用アクチュエータ46、アウトリガのスライド用アクチュエータ39および2つのジャッキ38を含んで構成されている。クレーン装置用アクチュエータ46、スライド用アクチュエータ39およびジャッキ38は、油圧バルブユニット41に接続している。
【0041】
油圧ポンプ43はPTO(パワーテイクオフ)装置を介して汎用トラック21のエンジン36に接続されており、エンジン36により駆動される。
【0042】
油圧バルブユニット41には、ブーム旋回用制御弁47a、ブーム伸縮用制御弁47b、ブーム起伏用制御弁47c、右側ジャッキ制御弁48a、左側ジャッキ制御弁48b、右スライド用制御弁48c、左スライド用制御弁48dが設けられている。ブーム旋回用制御弁47aはブーム旋回用アクチュエータ46aに、ブーム伸縮用制御弁47bはブーム伸縮用アクチュエータ46bに、ブーム起伏用制御弁47cは、ブーム起伏用アクチュエータ46cに、ウインチ用制御弁47dは、ウインチ用油圧モータ46dにそれぞれ接続されている。また、右側ジャッキ制御弁48aは右側に位置するジャッキ38に、左側ジャッキ制御弁48bは左側に位置するジャッキ38に、右スライド用制御弁48cは右側に張り出すアウトリガのためのスライド用アクチュエータ39に、左スライド用制御弁48dは、左側に張り出すアウトリガのためのスライド用アクチュエータ39にそれぞれ接続されている。
【0043】
これらの切換制御弁には、それぞれレバーが取り付けられており、そのレバーを手動操作することにより、油圧ポンプ43から供給される作動油の方向および流量を切り換えることができるようになっている。制御弁に取り付けられたレバーは、レバー群35としてベース30の左右両側に設けられている(図8参照)
【0044】
また、制御装置23は、エンジン36のECU(エンジンコントロールユニット)にも接続されており、少なくともエンジン36の回転数を制御できるよう構成されている。制御装置23は、エンジン36の回転数を制御することで油圧ポンプ43の回転数を制御でき、油圧ポンプ43の吐出量を調整できる。
【0045】
(制御回路)
図10には、積載形トラッククレーン20の制御回路図を示す。制御装置23の入力側には、2つの荷重検出器24aと、ブーム長検出器24bと、ブーム旋回角度検出器24cと、ブーム起伏角度検出器24dと、起伏支持力検出器24eと、が電気的に接続されている。また、制御装置23の出力側には、ブーム旋回用制御弁47a、ブーム伸縮用制御弁47b、ブーム起伏用制御弁47c、ウインチ用制御弁47d、右側ジャッキ制御弁48a、左側ジャッキ制御弁48b、右スライド用制御弁48c、左スライド用制御弁48dが電気的に接続されている。
【0046】
ブーム長検出器24bは、ブーム32の長さを検出するためのものであり、例えばコード繰出長さ検出器である。コード繰出長さ検出器は測長用コードの繰り出し長さをコード巻取器の回転変位量を検出することで検出する。
【0047】
ブーム旋回角度検出器24cは、ブーム32の旋回角度を検出するためのものであり、ポスト31の根元側に配置されている。例えばブーム旋回角度検出器24cはポテンショメータである。このポテンショメータの代わりにロータリエンコーダが用いられることもある。
【0048】
ブーム起伏角度検出器24dは、ブーム32の起伏角度を検出するためのものであり、ブーム32の根元側に配置されている。例えばブーム起伏角度検出器24dはポテンショメータである。このポテンショメータの代わりにロータリエンコーダが用いられることもある。
【0049】
荷重検出器24aは、アウトリガ装置33の左右のジャッキ38内の差圧を検出する圧力計である。
【0050】
積載形トラッククレーン20では、アウトリガ装置33の先端にジャッキ38が設けられており、このジャッキ38の動作ためのフレキシブル油圧配管2本と、荷重検出器24aのための電線ケーブル1本とが、積載形トラッククレーン20の本体からジャッキ38へ向けて配置されている。本実施形態に係るケーブルタイサポータ10は、これらのケーブル等の結束に用いられている。
【0051】
ケーブルタイサポータ10がアウトリガ装置33のケーブル等に用いられていることにより、ケーブル等の結束部分が不必要に大きくならず、かつケーブル等の結束が長期間にわたって維持されるのでメンテナンス作業が軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るケーブルタイサポータ10は、ケーブルタイ18のほか、他の結束用バンドに対して用いることも可能である。また、ケーブルタイサポータ10で結束されるものはケーブルに限らない。さらにケーブルタイサポータ10は、作業車両以外の設備、例えば工作機械などにも用いることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 ケーブルタイサポータ
11 第1サポート片
12 第2サポート片
13 固定溝
14 第1凸部
15 第2凸部
16 移動防止溝
17 切断用凹部
18 ケーブルタイ
19 被結束物
20 積載型トラッククレーン(作業車両)
33 アウトリガ装置
38 油圧ジャッキ
113 面取り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11