(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231121BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20231121BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q10/06
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019208474
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松雪 大貴
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-242774(JP,A)
【文献】特開2019-191990(JP,A)
【文献】特開2009-151733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
予め登録されたデバイスから、予め定めた条件を満たす対象デバイスを抽出し、
抽出した前記対象デバイスが設置された環境が異なる業種を推移する保守計画を生成する場合に、環境が異なる業種を推移しない保守計画を生成する場合に比べて、長い準備時間を設けた保守計画を表す計画情報を生成し、
生成した前記計画情報を情報処理端末に出力する処理を行う情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
予め登録されたデバイスから、予め定めた条件を満たす対象デバイスを抽出し、
抽出した前記対象デバイスが設置された環境毎に予め定めた準備時間を用いて、前記対象デバイスの保守計画を表す計画情報を生成し、
生成した前記計画情報を情報処理端末に出力する処理を行う情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、保守作業を行う保守担当者毎に予め定めた特性を更に用いて前記計画情報を生成する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記特性として前記保守担当者の習熟度合いを用いて前記計画情報を生成する場合、習熟度合いが異なる複数の前記保守担当者を組み合わせて担当に割り当てる請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、保守後に予め定めた処理が必要な場合には、当該処理に必要な時間を更に用いて前記計画情報を生成する請求項2~4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記計画情報に対する保守終了後に保守担当者が自宅へ帰宅する設定が予め行われた場合、自宅までの帰宅距離または帰宅時間を更に用いて前記計画情報を生成する請求項2~5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、デバイスが設置された環境によって異なる衛生度及び危険度の少なくとも一方の度合いに応じて定めた時間を前記準備時間として用いて前記計画情報を生成する請求項1~6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、衛生度に応じて定めた時間を前記準備時間として用いる場合、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへの推移を抑制するように、前記計画情報を生成する請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへ推移する前記計画情報を生成する場合、衛生度が高いデバイスから低いデバイスへ推移する場合よりも長い時間に設定した前記準備時間を用いて前記計画情報を生成する請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、衛生度に応じて定めた時間を前記準備時間として用いて、衛生度が高いデバイスから高いデバイスへ推移する前記計画情報を生成する場合、衛生度が高いデバイスから低いデバイスへ推移する前記計画情報を生成する場合よりも長い時間に定めた前記準備時間を用いて前記計画情報を生成する請求項7~9の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、危険度に応じて定めた時間を前記準備時間として用いる場合、危険度が高いほど前後の作業間隔が開くように前記計画情報を生成する請求項7~10の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、危険度に応じて定めた時間を前記準備時間として用いる場合、予め定めた危険度以上のデバイスについては前後の危険度が低くなるように前記計画情報を生成する請求項7~11の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、予め定めた制限事項及び予め定めた優先度の少なくとも一方を更に用いて、前記計画情報を生成する請求項2~12の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置から前記計画情報を受信して保守担当者に前記保守計画を報知する情報処理端末と、
を含む情報処理システム。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1~13の何れか1項に記載の情報処理装置として機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、点検情報を管理する点検情報管理部と、点検情報に基づいて、1又は2以上の保守対象部品に関して、各保守対象部品の保守推奨時期を推定する保守時期推定部と、1又は2以上の各保守対象部品の保守推奨時期に対して、所定の条件を満たすように、定期点検予定日を変更するとともに、所定の条件を満たす保守推奨時期に対応する、当該保守対象部品の保守を、変更後の当該定期点検予定日に実施するようにスケジューリングする点検予定制御部と、を備えたスケジューリング装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
業種業態毎に異なる環境に設置されたデバイスに対する保守を行う場合、デバイスが設置された環境に合わせた準備等が必要となる。そこで、本発明は、保守対象のデバイスの点検予定日のみを用いて保守計画を組む場合に比べて、保守コストを抑える保守計画を組むことが可能な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、抽出した前記対象デバイスが設置された環境が異なる業種を推移する保守計画を生成する場合に、環境が異なる業種を推移しない保守計画を生成する場合に比べて、長い準備時間を設けた保守計画を表す計画情報を生成し、生成した前記計画情報を情報処理端末に出力する処理を行う。
【0006】
請求項2に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、予め登録されたデバイスから、予め定めた条件を満たす対象デバイスを抽出し、抽出した前記対象デバイスが設置された環境毎に予め定めた準備時間を用いて、前記対象デバイスの保守計画を表す計画情報を生成し、生成した前記計画情報を情報処理端末に出力する処理を行う。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記プロセッサは、保守作業を行う保守担当者毎に予め定めた特性を更に用いて前記計画情報を生成する。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記特性として前記保守担当者の習熟度合いを用いて前記計画情報を生成する場合、習熟度合いが異なる複数の前記保守担当者を組み合わせて担当に割り当てる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項2~4の何れか1項に記載の発明において、保守後に予め定めた処理が必要な場合には、当該処理に必要な時間を更に用いて前記計画情報を生成する。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項2~5の何れか1項に記載の発明において、前記プロセッサは、前記計画情報に対する保守終了後に保守担当者が自宅へ帰宅する設定が予め行われた場合、自宅までの帰宅距離または帰宅時間を更に用いて前記計画情報を生成する。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6の何れか1項に記載の発明において、前記プロセッサは、デバイスが設置された環境によって異なる衛生度及び危険度の少なくとも一方の度合いに応じて定めた時間を前記準備時間として用いて前記計画情報を生成する。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記プロセッサは、衛生度に応じて定めた時間を前記準備時間として用いる場合、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへの推移を抑制するように、前記計画情報を生成する。
【0013】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明において、前記プロセッサは、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへ推移する前記計画情報を生成する場合、衛生度が高いデバイスから低いデバイスへ推移する場合よりも長い時間に設定した前記準備時間を用いて前記計画情報を生成する。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項7~9の何れか1項に記載の発明において、前記プロセッサは、衛生度に応じて定めた時間を前記準備時間として用いて、衛生度が高いデバイスから高いデバイスへ推移する前記計画情報を生成する場合、衛生度が高いデバイスから低いデバイスへ推移する前記計画情報を生成する場合よりも長い時間に定めた前記準備時間を用いて前記計画情報を生成する。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項7~10の何れか1項に記載の発明において、前記プロセッサは、危険度に応じて定めた時間を前記準備時間として用いる場合、危険度が高いほど前後の作業間隔が開くように前記計画情報を生成する。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項7~11の何れか1項に記載の発明において、前記プロセッサは、危険度に応じて定めた時間を前記準備時間として用いる場合、予め定めた危険度以上のデバイスについては前後の危険度が低くなるように前記計画情報を生成する。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項2~12の何れか1項に記載の発明において、前記プロセッサは、予め定めた制限事項及び予め定めた優先度の少なくとも一方を更に用いて、前記計画情報を生成する。
【0018】
請求項14に記載の情報処理システムは、請求項1~13の何れか1項に記載の情報処理装置と、前記情報処理装置から前記計画情報を受信して保守担当者に前記保守計画を報知する情報処理端末と、を含む。
【0019】
請求項15に記載の情報処理プログラムは、コンピュータを、請求項1~13何れか1項に記載の情報処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の情報処理装置によれば、保守対象のデバイスの点検予定日のみを用いて保守計画を組む場合に比べて、保守コストを抑える保守計画を組むことが可能な情報処理装置を提供できる。
【0021】
請求項2に記載の情報処理装置によれば、保守対象のデバイスの点検予定日のみを用いて保守計画を組む場合に比べて、保守コストを抑える保守計画を組むことが可能な情報処理装置を提供できる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、習熟や慣れなどの保守担当者毎の特性を考慮して保守計画を組むことが可能となる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、保守担当者の習熟を上げることが可能となる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、保守対象のデバイスの点検予定日のみを用いて保守計画を組む場合に比べて、正確な時間で保守計画を組むことが可能となる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、保守対象のデバイスの点検予定日のみを用いて保守計画を組む場合に比べて、保守終了後の保守担当者の帰宅を考えた保守計画を組むことが可能となる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、衛生度及び危険度に関係なく準備時間を設定する場合に比べて、適切な保守計画を組むことが可能となる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへ推移する計画を組む場合に比べて、準備時間を短縮した計画を組むことが可能となる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへの推移を抑制する計画を組むことが可能となる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、衛生度が高いデバイスから低いデバイスへ推移する計画情報を生成する場合よりも短い時間に定めた準備時間を用いる場合に比べて、衛生度を維持した保守計画を組むことが可能となる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、危険度に対する準備と休憩時間とを確保した計画を組むことが可能となる。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、危険度の高い保守が続くことによる保守担当者の披露を抑制できる。
【0032】
請求項13に記載の発明によれば、保守対象のデバイスの点検予定日のみを用いて保守計画を組む場合に比べて、実用的な計画を組むことが可能となる。
【0033】
請求項14に記載の情報処理システムによれば、保守対象のデバイスの点検予定日のみを用いて保守計画を組む場合に比べて、保守コストを抑える保守計画を組むことが可能な情報処理システを提供できる。
【0034】
請求項15に記載の情報処理プログラムによれば、保守対象のデバイスの点検予定日のみを用いて保守計画を組む場合に比べて、保守コストを抑える保守計画を組むことが可能な情報処理婦グラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理システムにおけるサーバ、携帯端末装置、及びクライアントコンピュータの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理システムにおけるサーバの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】DBに記憶される保守デバイス管理テーブルの一例を示す図である。
【
図5】DBに記憶される業種推移コストテーブルの一例を示す図である。
【
図6】DBに記憶される業種環境特性テーブルの一例を示す図である。
【
図7】DBに記憶される業種推移コストテーブル(衛生度)の一例を示す図である。
【
図8】DBに記憶される業種推移コストテーブル(危険度)の一例を示す図である。
【
図9】DBに記憶される装備度のテーブルの一例を示す図である。
【
図11】保守担当者テーブルの一例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る情報処理システムのサーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】本実施形態に係る情報処理システムのサーバで行われる処理の流れの第1変形例を示すフローチャートである。
【
図14】本実施形態に係る情報処理システムのサーバで行われる処理の流れの第2変形例を示すフローチャートである。
【
図15】保守デバイス管理テーブルの他の項目例を示す図である。
【
図16】本実施形態に係る情報処理システムにおいて、従業員の帰宅を考慮する場合にサーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本実施形態の一例を詳細に説明する。本実施形態では、サーバ、クライアントコンピュータ、及び無線基地局が各種ネットワーク等の通信回線を介して各々接続された情報処理システムを一例として説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【0037】
本実施形態に係る情報処理システム10は、
図1に示すように、情報処理装置としてのサーバ12と、無線基地局13と、情報処理端末としての携帯端末装置14と、情報処理端末としてのクライアントコンピュータ16とを備えている。なお、クライアントコンピュータ16又は携帯端末装置14は省略した形態としてもよい。また、本実施形態では、クライアントコンピュータ16、及び携帯端末装置14はそれぞれ1つのみ示すが、少なくとも一方は複数でもよい。
【0038】
本実施形態に係る情報処理システム10は、サーバ12がデバイスの保守サービスの計画を生成し、生成した計画を表す計画情報をクライアントコンピュータ16または携帯端末装置14に対して出力する処理を行う。なお、サーバ12は、クラウドサーバとして、保守サービスの計画を行うクラウドサービスを提供するものであってもよい。
【0039】
サーバ12、無線基地局13、及びクライアントコンピュータ16は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、イントラネット等の通信回線18を介して各々接続されている。そして、サーバ12、無線基地局13、及びクライアントコンピュータ16の各々は、通信回線18を介して各種データの送受信を相互に行うことが可能とされている。また、無線基地局13には携帯端末装置14が無線接続されており、携帯端末装置14と各機器と各種データの送受信を行うことが可能とされている。
【0040】
図2は、本実施形態に係る情報処理システム10におけるサーバ12、携帯端末装置14、及びクライアントコンピュータ16の電気系の要部構成を示すブロック図である。なお、サーバ12、携帯端末装置14、及びクライアントコンピュータ16は、基本的には一般的なコンピュータの構成とされているので、サーバ12を代表して説明する。
【0041】
本実施形態に係るサーバ12は、
図2に示すように、プロセッサの一例としてのCPU(Central Processing Unit)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、HDD12D、キーボード12E、ディスプレイ12F、及び通信回線I/F(インタフェース)部12Gを備えている。CPU12Aは、サーバ12の全体の動作を司る。ROM12Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM12Cは、CPU12Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。HDD12Dは、各種のデータやアプリケーション・プログラム等が記憶される。キーボード12Eは各種の情報を入力するために用いられる。ディスプレイ12Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線I/F部12Gは、通信回線18に接続され、当該通信回線18に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。以上のサーバ12の各部はシステムバス12Hにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施形態に係るサーバ12では、HDD12Dを記憶部として適用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ等の他の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0042】
また、サーバ12は、保守対象のデバイスに関する情報や、保守対象のデバイスが設置された環境等の各種情報を記憶するデータベース(DB)12Iを備えている。DB12Iに記憶される各種情報の詳細については後述する。
【0043】
以上の構成により、本実施形態に係るサーバ12は、CPU12Aにより、ROM12B、RAM12C、及びHDD12Dに対するアクセス、キーボード12Eを介した各種データの取得、ディスプレイ12Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、サーバ12は、CPU12Aにより、通信回線I/F部12Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。本実施形態では、サーバ12は、予め登録されたデバイスから、予め定めた条件を満たす対象デバイスを抽出し、抽出した対象デバイスが設置された環境が異なる業種を推移する保守計画を生成する場合に、環境が異なる業種を推移しない保守計画を生成する場合に比べて、長い準備時間を設けた保守計画を表す計画情報を生成し、生成した前記計画情報をクライアントコンピュータ16や携帯端末装置14等の情報処理端末に出力する処理を行う。詳細には、サーバ12は、予め登録されたデバイスから、予め定めた条件を満たす対象デバイスを抽出し、抽出した対象デバイスが設置された環境毎に予め定めた準備時間を用いて、対象デバイスの保守計画を表す計画情報を生成し、生成した前記計画情報をクライアントコンピュータ16や携帯端末装置14等の情報処理端末に出力する処理を行う。
【0044】
なお、クライアントコンピュータ16は、基本的にはサーバ12と同様に、プロセッサの一例としてのCPU12A、ROM12B、及びRAM12C等を含む構成であるため、詳細な説明は省略する。また、携帯端末装置14は、
図2の点線で示す位置検出部14Jを備える以外は基本的にはサーバ12と同様に、プロセッサの一例としてのCPU14A、ROM14B、及びRAM14C等を含む構成であるため、位置検出部14J以外は詳細な説明は省略する。
【0045】
位置検出部14Jは、携帯端末装置14の現在の位置を検出する。例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号には、衛星に搭載された原子時計からの時刻のデータや、衛星の軌道の情報等が含まれているので、GPS衛星からの電波を受信し、発信から受信の時刻差に基づいて衛星からの距離を求める。そして、3個以上のGPS衛星からの距離から空間上の一点の位置を測位することにより、携帯端末装置14の位置を検出する。
【0046】
続いて、本実施形態に係る情報処理システム10におけるサーバ12の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る情報処理システム10におけるサーバ12の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0047】
サーバ12は、
図3に示すように、定期メンテナンス対象リスト抽出部20、保守コスト算出部22、計画生成部28、及び出力部30の機能を有し、DB12Iに記憶された情報に基づいて、保守計画を作成して出力する処理を行う。
【0048】
定期メンテナンス対象リスト抽出部20は、DB12Iに予め記憶されたデバイスリストの中から、予め定めた条件を満たす保守対象のデバイスを抽出して定期メンテナンス対象リストを生成する。例えば、予め定めた条件として、メンテナンス時期が予め定めた期間のデバイスを定期メンテナンス対象リストとして抽出する。
【0049】
保守コスト算出部22は、保守コストを算出するために、保守全般コスト算出部24及び準備コスト算出部26を有する。なお、保守コストとは、本実施形態では、保守に係る時間である。すなわち、保守コスト算出部22は、保守にかかる時間を保守コストとして算出する。本実施形態では、保守コストは、準備時間、移動時間、保守時間などが含まれる。
【0050】
保守全般コスト算出部24は、保守定期メンテナンス対象リストの中の各保守対象デバイスの保守時間、及び予め定めた基点または保守対象デバイスから次の保守対象デバイスまでの移動時間を保守全般コストとして算出する。
【0051】
準備コスト算出部26は、保守対象デバイスを保守するために必要な準備にかかる時間を算出する。例えば、保守対象デバイスが設置された環境毎に異なる衛生度及び危険度の少なくとも一方に応じて準備時間が異なるため、保守対象デバイス毎の準備時間を算出する。例えば、衛生度や危険度をそれぞれ複数段階(例えば、低、中、高の3段階)としてそれぞれ準備時間を定める。また、環境が異なるデバイスの保守場所へ移動する場合には、準備コストが変化するので、環境が変化することで必要となる準備時間を推移コストとして算出する。
【0052】
計画生成部28は、保守コスト算出部22で算出された保守全般コスト及び準備時間の合計値が小さいものを次の保守対象デバイスに設定し、設定した保守対象デバイスを次の基点として、保守コストを順次算出して、順次保守対象デバイスを設定することにより保守計画を生成する。なお、最初の基点となる場所は、予め設定された会社の位置としてもよいし、保守担当者が携帯する携帯端末装置14の位置としてもよい。
【0053】
出力部30は、生成された計画を表す計画情報を保守担当の携帯端末装置14のディスプレイ14Fまたは保守担当のクライアントコンピュータ16のディスプレイ16Fに出力する。
【0054】
ここで、保守計画を作成するために、DB12Iに記憶される種々の情報の一例について説明する。
【0055】
DB12Iには、保守対象のデバイスを管理するための保守デバイス管理テーブルが記憶されている。保守デバイス管理テーブルは、例えば、
図4に示すように、デバイス毎に、デバイスID、デバイス名、設備現場の業種、位置、現場見取り図と位置、保守内容、前回の保守時期/設置時期、保守時期推定、及び保守時間等の情報が記憶される。保守管理テーブルは、ある期間の保守対象リストの作成や、移動コストの算出に用いられる。なお、位置情報は広域については設置時のGPSの情報や建物の住所などがある。現場の見取り図はフロアマップとデバイスの位置を示した情報等がある。保守推定については保守対象のデバイスによって異なり、保守対象デバイスの点検時に取得された点検情報に含まれる使用実績情報等に基づいて推定した保守推奨時期などがある。また、保守時間は、保守内容毎に予め定めた時間としてもよい。或いは、保守担当者が、保守終了毎に保守時間をDB12Iに登録する場合、過去の平均値を適用してもよいし、前回の保守時間を適用してもよい。また、保守デバイス管理テーブルの項目はこれらに限るものではなく、例えば、前回の保守担当者などの情報を記憶してもよい。
【0056】
また、DB12Iには、衛生度や危険度等の環境が異なる場所へ移動する際に必要な準備時間を定めた業種推移コストテーブルが記憶される。業務推移コストテーブルは、例えば、業種単位の推移に応じた保守コストが記憶される。保守コストは時間に影響するものが適用される。業種推移コストテーブルは、業種毎に環境が異なるため、例えば、
図5に示すように、業種間を移動する際に必要な準備時間が記憶される。
図5の例では、病院、食品工場、建築現場、水産業、オフィスを業種の一例とし、各業種間を推移する場合の準備コストを定めたテーブルの一例を示す。なお、デバイス設置場所の環境に依存するため、例えば、建築現場でも事務所内であればオフィスとしてもよい。また、コストは禁止または無限大などとしてもよい。また、業務推移コストテーブルは、機械学習などを用いて学習させて実データを適宜反映して個人差等に応じたテーブルとしてもよい。
【0057】
また、DB12Iには、業種毎の環境を予め定めた業種環境特性テーブルが記憶されている。業種環境特性テーブルは、保守を行う作業環境における業種特有のプライオリティを持つパラメータ情報が記憶される。パラメータ情報としては、高、中、低などのプライオリティを表す情報でもよいし、数値でもよい。業種環境特性テーブルは、例えば、
図6に示すように、業種毎に、衛生度、危険度、装備制限、指導手段制限、及び時間制限事項等の情報が記憶される。衛生度は保守対象のデバイスが設置された環境の衛生状況をレベリングしたものである。例えば、病院や食品工場などは無菌状態が望ましく、汚れなどがついた状態での作業が不可である。一方、建築現場や屋外の電気、ガス、交通などのインフラ、林業や農業などに設置される泥バスは屋外であり、汚れ等は気にしない場合が多い。これのレベリングした情報を記憶する。また、危険度は、作業環境が危険な状況なのかをラベリングした情報である。危険度の代わりに緊張度としてもよい。緊張度は安全に対する集中力が必要な環境をラベリングした情報である。また、装備度は、作業環境に応じて、装備や準備が必要となるため、例えば、A~Dでタイプを分けて変化具合に応じて高くなるように高~低でラベリングして準備時間を算出してもよい。具体的には、マスク、グローブ、抗菌防止、エプロン、及びブーツなどの衛生度に応じた装着レベルをラベリングする。また、ヘルメット、安全靴、防護グローブ、防護服、及び命綱等の特殊装備などの危険度に応じた装着レベルをラベリングする。なお、その他、環境変化に応じて使う工具等の準備を必要となる場合があるので、工具や、測定器の動作確認、過不足確認、バッテリや構成時期等の確認などを含めてもよい。
【0058】
また、業種推移コストテーブルは、
図7に示すように、衛生度毎に定めてもよいし、
図8に示すように、危険度毎に定めてもよい。業種推移コストテーブルは、業種パラメータの推移に応じた保守コストを示し、各パラメータの推移で合算した値を準備時間として加算する。
図7の例では、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへの推移を抑制するように保守コストを定めた例を示す。
図7では、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへ推移する場合の保守コストを、衛生度が高いデバイスから低いデバイスへ推移する場合よりも長い時間に設定している。また、
図7では、衛生度が低いデバイスから高いデバイスへ推移する場合の保守コストを、衛生度が高いデバイスから低いデバイスへ推移する場合よりも長い時間に設定している。また、
図8の例では、危険度が高いほど前後の作業間隔が開くように保守コストを設定した例を示す。なお、コストは禁止や無限大としてもよい。また、
図7、8の業務推移コストテーブルは、上記と同様に、機械学習などを用いて学習させて実データを適宜反映して個人差等に応じたテーブルとしてもよい。
【0059】
また、準備時間を算出するために、装備度のテーブルが記憶されている。例えば、
図9に示すように、装備度のタイプ毎に準備時間を定めたテーブルが記憶される。
【0060】
本実施形態では、DB12Iに記憶されたこれらの情報を用いて、保守コスト算出部22が、保守準備時間、移動時間、保守時間、準備時間等を算出して、計画生成部28が、保守コスト算出部22の算出結果に基づいて計画を作成する。作成した計画の一例を
図10に示す。
【0061】
なお、DB12Iには、保守担当者毎の習熟や慣れ度合いによって準備時間等が変化することも考えられるので、保守担当者テーブルを更に記憶して、保守担当者の同じ作業の作業回数等を記憶して、回数等に応じた重み付けを行って準備時間を算出してもよい。
図11は、保守担当者テーブルの一例を示す図である。
図11の例では、AさんやBさんのそれぞれが、病院から工場へ移動して保守を行った回数、オフィスから病院へ移動して保守を行った回数等を記憶した例を示す。この例では、回数が多いほど準備時間が少なくなる係数をかけて準備時間を補正して計算すれば、保守担当者の慣れや習熟度合いを考慮した準備時間が算出される。
【0062】
また、計画を生成する他の条件として、例えば、予め定めた危険度以上のデバイスの前後は、危険度が低くなるように計画を生成する等の条件をDB12Iに記憶してもよい。或いは、自然環境保全の観点を考慮した条件や、保守担当者の資格を考慮した条件等を更に記憶して計画生成に用いてもよい。
【0063】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る情報処理システム10のサーバ12で行われる具体的な処理について説明する。
図12は、本実施形態に係る情報処理システム10のサーバ12で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図12の処理は、例えば、保守担当者が携帯端末装置14やクライアントコンピュータ16を操作するにより、サーバ12に対して保守計画の取得要求が行われた場合に開始する。
【0064】
ステップ100では、定期メンテナンス対象リスト抽出部20が、DB12Iに予め記憶されたデバイスの中からメンテナンス対象デバイスリストを抽出してステップ102へ移行する。例えば、
図4の保守デバイス管理テーブルから、予め定めた期間に保守が必要となるデバイスをメンテナンス対象デバイスリストとして抽出する。
【0065】
ステップ102では、保守コスト算出部22が、基点から各デバイスを移動する際の保守コストを算出してステップ104へ移行する。すなわち、保守全般コスト算出部24が、各保守対象デバイスの保守時間、及び予め定めた基点から次の保守対象デバイスまでの移動時間を保守全般コストとして算出する。また、準備コスト算出部26が、保守対象デバイスを保守するために必要な準備にかかる時間を算出する。そして、保守全般コスト算出部24及び準備コスト算出部26のそれぞれの算出結果を用いて、基点から各デバイスに移動する場合の保守コストをそれぞれ算出する。なお、準備コスト算出部26が、保守対象デバイスを保守するために必要な準備にかかる時間を算出する際には、
図11に示した保守担当者テーブルを用いて、準備時間を補正してもよい。これにより、保守担当者毎の習熟や慣れ度合いを考慮した準備時間が算出される。
【0066】
ステップ104では、計画生成部28が、基点から各デバイスを移動する際の保守コストが算出された中から、制限事項に該当する対象を除外してステップ106へ移行する。例えば、
図6に示す業種環境特性テーブルの時間制限事項等に該当する対象を除外する。
【0067】
ステップ106では、計画生成部28が、保守コストが算出されて制限事項に該当する対象が除外された中から、最小保守コストの対象を選択して計画登録してステップ108へ移行する。なお、最小保守コストの対象を選択する際には、予め定めた優先度を考慮して選択してもよい。例えば、最小保守コストが複数存在する場合には、優先度が高いものを優先して計画してもよい。
【0068】
ステップ108では、計画生成部28が、計画登録された対象が予め定めた勤務時間内であるか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ110へ移行し、肯定された場合にはステップ112へ移行する。
【0069】
ステップ110では、計画生成部28が、最後に登録した対象を削除してステップ116へ移行する。
【0070】
ステップ112では、計画生成部28が、残保守対象があるか否か判定する。該判定が肯定された場合にはステップ114へ移行し、否定された場合にはステップ116へ移行する。
【0071】
ステップ114では、計画生成部28が、最後に登録した対象を基点に変更してステップ102に戻って上述の処理を繰り返す。
【0072】
一方、ステップ116では、出力部30が、計画生成部28によって生成された保守計画を表す計画情報を保守担当者の携帯端末装置14のディスプレイ14Fまたは保守担当者のクライアントコンピュータ16のディスプレイ16Fに出力して一連の処理を終了する。
【0073】
なお、計画生成後に、緊急案件が発生した場合には、緊急案件の前案件に依存せずに緊急案件の保守を優先して行った後に、緊急案件後の計画については、上記処理を再度行って再計画するようにしてもよい。
【0074】
また、計画性生後に、特定案件の追加等を手動調整可能としてもよい。例えば、計画生成後に、特定案件を追加して、その前後の計画については上記と同様に、再計画する。或いは、特定案件の計画を固定してから、特定案件の計画の前後について計画生成する形態としてもよい。
【0075】
ところで、
図12の処理では、一人の保守担当者の計画を生成する例を示したが、複数の保守担当者の計画を生成してもよい。例えば、
図13に示すように、
図12に対してステップ115の処理を追加して、生成した計画を複数の担当者に割り振る処理を追加してもよい。
図13は、本実施形態に係る情報処理システム10のサーバ12で行われる処理の流れの第1変形例を示すフローチャートである。なお、
図12の処理と同一処理については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
すなわち、ステップ115では、計画生成部28が、担当者毎の制限に応じて計画の割り振りを行ってステップ116へ移行する。例えば、午前中のみの勤務の担当者や、午後から勤務の担当者などが存在する場合には、担当者の勤務時間に応じて計画の割り振りを行うことで、複数の保守担当者の計画を生成して保守担当者に計画情報を出力する。
【0077】
或いは、
図14に示す処理を行うことにより、複数の保守担当者の計画を生成してもよい。
図14は、本実施形態に係る情報処理システム10のサーバ12で行われる処理の流れの第2変形例を示すフローチャートである。なお、
図14の処理と同一処理については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0078】
まず、上述のステップ100が行われると、ステップ101Aへ移行して、定期メンテナンス対象リスト抽出部20が、保守人員を検出してステップ101Bへ移行する。保守人員の検出は、例えば、勤怠管理システム等から勤務人員を検出してもよい。或いは、予め登録されている人員を検出してもよい。
【0079】
ステップ101Bでは、保守コスト算出部22が、検出した保守人員のうち、1保守担当者に注目してステップ101Cへ移行する。
【0080】
ステップ101Cでは、保守コスト算出部22が、保守担当者毎の制限に応じてデバイスリストを抽出してステップ102へ移行して、上述のステップ102~114の処理を行なう。すなわち、保守担当者毎に予め定めた制限(例えば、勤務時間、危険度の制限、衛生度の制限など)に応じて、ステップ100で抽出した定期メンテナンス対象リストから保守担当者毎のデバイスリストを抽出して、ステップ102~114の処理を行うことで、一人の保守担当者の計画を生成する。なお、この場合も上述したように、ステップ102において、準備コスト算出部26が、保守対象デバイスを保守するために必要な準備にかかる時間を算出する際に、
図11に示した保守担当者テーブルを用いて、保守担当者毎の習熟や慣れ度合いを考慮した準備時間を算出してもよい。
【0081】
そして、ステップ118では、計画生成部28が、ステップ102~114の処理結果から、1担当者の計画を決定してステップ120へ移行する。
【0082】
ステップ120では、計画生成部28が、他の担当者があるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ122へ移行し、否定された場合にはステップ124へ移行する。
【0083】
ステップ122では、定期メンテナンス対象リスト抽出部20が、注目担当者を変更してステップ101Cに戻って上述の処理を繰り返す。
【0084】
一方、ステップ124では、計画生成部28が、残保守対象がなしであるか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ126へ移行し、肯定された場合にはステップ128へ移行する。
【0085】
ステップ126では、計画生成部28が、計画割り込み処理を行なってステップ128へ移行する。計画割り込み処理は、例えば、制限事項として残業可能設定された保守担当者の計画に残りの対象デバイスの保守計画を追加する等の処理を行なう。
【0086】
ステップ128では、出力部30が、計画生成部28によって生成された全体担当者の保守計画を表す計画情報を各保守担当者の携帯端末装置14のディスプレイ14Fまたは保守担当者のクライアントコンピュータ16のディスプレイ16Fに出力して一連の処理を終了する。なお、各保守担当者へ出力するのは、全員分の計画情報を出力してもよいが、各保守担当者の計画情報のみを各保守担当者の携帯端末装置14またはクライアントコンピュータ16に出力してもよい。
【0087】
なお、同じ保守の場所に複数人向かわせてもよい。また、保守担当者の習熟を考慮した場合、保守担当者の習熟を上げるために、習熟度合いが異なる保守担当者を組み合わせて保守に向かわせるようなスケジュールを組んでもよい。そうすると、特定の保守担当者に業務が集中することなく、業務の負荷分散や退職時の引継ぎがスムーズに行えるようになる。
【0088】
また、上記の実施形態では、最小保守コストの対象を選択して保守ルートを求めたが、保守ルートを求める際には、保守後に着替えや洗浄といった処理が必要な場合に、事業所に戻って処理する移動時間等を考慮してもよい。例えば、
図4の保守デバイス管理テーブルに対して、
図15に示すように、保守後の処理の必要の有無と処理にかかる時間とをデバイス制限事項として記憶して、ステップ102において保守コストの含まれる移動時間を算出する際に、デバイス制限事項を用いて移動時間を算出してもよい。また、事業所以外に、着替えや洗浄等の処理が可能な場所情報(例えば、保守デバイスの設置先や、貸しオフィス等)を予め登録しておき、移動時間を算出する際に、登録した場所情報までの移動時間を考慮して算出してもよい。これにより、デバイスの設置先で処理可能であればよいが、不可能な場合には近くの場所で準備することを加味した情報で移動時間が算出される。
【0089】
また、保守ルートを求める際には、保守後の処理以外に、従業員の帰宅を考慮して求めてもよい。保守後の処理に加えて従業員の帰宅を考慮してもよいし、従業員の帰宅のみを考慮してもよい。従業員の帰宅を考慮する場合には、例えば、
図16に示すように、
図12に対してステップ107A~107Dを追加する。
図16は、本実施形態に係る情報処理システムにおいて、従業員の帰宅を考慮する場合にサーバ12で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下では、
図12に対して異なる処理について説明する。
【0090】
すなわち、ステップ107Aでは、計画生成部28が、勤務終了時に帰宅設定が予め設定されているか否かを判定する。該判定は、例えば、保守担当者が直接帰宅設定を予め設定しているか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ107Bへ移行し、否定された場合には上述のステップ108へ移行する。
【0091】
ステップ107Bでは、計画生成部28が、最後に登録された対象から保守担当者の予め登録された自宅までの移動時間が予め定めた閾値以上であるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ107Cへ移行し、否定された場合には上述のステップ108へ移行する。なお、ステップ107Bは、自宅までの距離が予め定めた閾値以上であるか否かを判定してもよい。
【0092】
ステップ107Cでは、計画生成部28が、最後に登録した対象の代わりに移動時間が最小の対象を選択して計画登録してステップ107Dへ移行する。
【0093】
ステップ107Dでは、計画生成部28が、最後に登録された対象から保守担当者の予め登録された自宅までの移動時間が予め定めた閾値以上であるか否かを再び判定する。該判定が肯定された場合には上述のステップ110へ移行し、否定された場合には上述のステップ108へ移行する。なお、ステップ107Dは、自宅までの距離が予め定めた閾値以上であるか否かを判定してもよい。
【0094】
また、上記の実施形態では、保守コストとして時間を用いた例を説明したが、保守コストは時間に限るものではなく、例えば、金額を適用した形態としてもよいし、工数管理等で用いる値等を適用してもよい。
【0095】
また、上記の実施形態では、定期メンテナンス対象リスト抽出部20、保守コスト算出部22、及び計画生成部28の機能をサーバ12側に設けて計画を生成する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、定期メンテナンス対象リスト抽出部20、保守コスト算出部22、計画生成部28の少なくとも1つの機能は、保守担当者の携帯端末装置14またはクライアントコンピュータ16に設けてもよい。
【0096】
また、上記実施形態において、CPUをプロセッサの一例として説明したが、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0097】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0098】
また、上記の実施形態に係る情報処理システム10のサーバ12で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、サーバ12で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0099】
また、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0100】
10 情報処理システム
12 サーバ
12A CPU
14 携帯端末装置
16 クライアントコンピュータ