(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】飛行装置
(51)【国際特許分類】
B64D 9/00 20060101AFI20231121BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20231121BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231121BHJP
B64U 10/25 20230101ALI20231121BHJP
B64U 20/50 20230101ALI20231121BHJP
B64U 30/14 20230101ALI20231121BHJP
【FI】
B64D9/00
B64C27/08
B64C39/02
B64U10/25
B64U20/50
B64U30/14
(21)【出願番号】P 2019226790
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小南 敦嗣
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宗司
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0001724(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/08 - 27/10
B64C 39/02
B64D 9/00
B64U 10/00 - 101/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の取り出しが可能な容器と飛行する飛行装置であって、
前記容器に固定されていない状態で互いに独立し、それぞれ同一の構成からなる複数の構造部であって、前記飛行装置を前記容器へと固定する
第1固定部
を有する第1構造部と、
前記第1固定部と異なる位置で前記容器に固定する第2固定部を有し、前記容器に固定されていない状態で前記第1構造部と独立した第2構造部と、を含む複数の構造部と、
揚力を発生する揚力発生部と、
前記飛行装置の飛行を制御する飛行制御部と、
を備え、
前記容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる
飛行装置。
【請求項2】
内容物の取り出しが可能な容器と飛行する飛行装置であって、
前記容器に固定されていない状態で互いに独立し、それぞれ同一の構成からなる複数の構造部であって、前記飛行装置を前記容器へと固定する第1固定部を有する第1構造部と、前記第1固定部と異なる位置で前記容器に固定する第2固定部を有する第2構造部と、を含む複数の構造部と、
前記容器に固定されていない状態で前記第1構造部と前記第2構造部とを連結する連結部と、
揚力を発生する揚力発生部と、
前記飛行装置の飛行を制御する飛行制御部と、
を備え、
前記容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる
飛行装置。
【請求項3】
内容物の取り出しが可能な容器と飛行する飛行装置であって、
前記飛行装置を前記容器へと固定する固定部と、
揚力を発生する揚力発生部と、
前記飛行装置の飛行を制御する飛行制御部と、
前記容器の内容物を検出する検出部と、
を備え、
前記容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となり、
前記飛行制御部は、前記検出部が前記容器の内容物を検出しなかった場合に、前記容器を回収するための回収位置へと前記飛行装置を飛行させる
飛行装置。
【請求項4】
内容物の取り出しが可能な容器と飛行する飛行装置であって、
前記飛行装置を前記容器へと固定する固定部と、
揚力を発生する揚力発生部と、
前記飛行装置の飛行を制御する飛行制御部と、
空気抵抗により前記飛行装置を制動する空力制動部と、
前記空力制動部により生成される電力を前記揚力発生部および前記飛行制御部に供給する電力供給部と、
を備え、
前記容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる
飛行装置。
【請求項5】
前記固定部は、
前記容器に固定する第1固定部と、
前記第1固定部と異なる位置で前記容器に固定する第2固定部と
を有する
請求項
3または
4に記載の飛行装置。
【請求項6】
前記第1固定部を有する第1構造部と、
前記第2固定部を有し、前記容器に固定されていない状態で前記第1構造部と独立した第2構造部と
を備える請求項
5に記載の飛行装置。
【請求項7】
前記第1固定部を有する第1構造部と、
前記第2固定部を有する第2構造部と、
前記容器に固定されていない状態で前記第1構造部と前記第2構造部とを連結する連結部と
を備える請求項
5に記載の飛行装置。
【請求項8】
前記第1構造部は、前記揚力発生部として、固定翼および回転翼を有し、
前記第2構造部は、前記揚力発生部として、固定翼を有するが回転翼を有さない
請求項
6または
7に記載の飛行装置。
【請求項9】
前記容器に固定されていない状態で互いに独立し、それぞれ同一の構成からなる複数の構造部を備える
請求項
6または
7に記載の飛行装置。
【請求項10】
前記容器の内容物を検出する検出部を備える
請求項1
、2、または4のいずれか一項に記載の飛行装置。
【請求項11】
前記飛行制御部は、前記検出部が前記容器の内容物を検出しなかった場合に、前記容器を回収するための回収位置へと前記飛行装置を飛行させる
請求項
10に記載の飛行装置。
【請求項12】
空気抵抗により前記飛行装置を制動する空力制動部を備える
請求項1から
3のいずれか一項に記載の飛行装置。
【請求項13】
飛行装置を内容物の取り出しが可能な容器と飛行させる方法であって、
前記飛行装置を前記容器へと固定する段階と、
前記飛行装置に揚力を発生する段階と、
前記飛行装置の飛行を制御する段階と、
前記容器の内容物を検出する段階と、
前記容器の内容物が検出されなかった場合に、前記容器を回収するための回収位置へと前記飛行装置を飛行させる段階と、
を備え、
前記飛行装置は、前記容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる
方法。
【請求項14】
飛行装置を内容物の取り出しが可能な容器と飛行させる方法であって、
前記容器に固定されていない状態で互いに独立し、それぞれ同一の構成からなる複数の構造部であって、前記飛行装置を前記容器へと固定する第1固定部を有する第1構造部と、前記第1固定部と異なる位置で前記容器に固定する第2固定部を有し、前記容器に固定されていない状態で前記第1構造部と独立した第2構造部と、を含む複数の構造部によって前記飛行装置を前記容器へと固定する段階と、
前記飛行装置に揚力を発生する段階と、
前記飛行装置の飛行を制御する段階と、
を備え、
前記飛行装置は、前記容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる
方法。
【請求項15】
飛行装置を内容物の取り出しが可能な容器と飛行させる方法であって、
前記容器に固定されていない状態で互いに独立し、それぞれ同一の構成からなる複数の構造部であって、前記飛行装置を前記容器へと固定する第1固定部を有する第1構造部と、前記第1固定部と異なる位置で前記容器に固定する第2固定部を有し、前記容器に固定されていない状態で前記第1構造部と独立した第2構造部と、を含む複数の構造部によって前記飛行装置を前記容器へと固定する段階と、
前記第1構造部と前記第2構造部とを連結する段階と、
前記飛行装置に揚力を発生する段階と、
前記飛行装置の飛行を制御する段階と、
を備え、
前記飛行装置は、前記容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる
方法。
【請求項16】
飛行装置を内容物の取り出しが可能な容器と飛行させる方法であって、
前記飛行装置を前記容器へと固定する段階と、
前記飛行装置に揚力を発生する段階と、
前記飛行装置の飛行を制御する段階と、
空気抵抗により前記飛行装置を制動する段階と、
前記制動する段階により生成される電力を揚力発生部および飛行制御部に供給する段階と、
を備え、
前記飛行装置は、前記容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる
方法。
【請求項17】
前記容器の内容物を検出する段階と、
前記容器の内容物が検出されなかった場合に、前記容器を回収するための回収位置へと前記飛行装置を飛行させる段階と
を備える請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記飛行装置を、前記容器の外面に設けられた取付固定位置に合わせて固定する段階と、
前記飛行装置が固定されたか否かを判断する段階と
を備える請求項
13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記飛行装置が航空機としての要件を満たすか否かを判断する段階を備える
請求項
13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第1の位置から前記飛行装置を飛行させる段階と、
前記第1の位置よりも低い第2の位置に前記飛行装置を降着させる段階と
を備える請求項
13から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
空中の航空機から前記飛行装置を飛行させる段階を備える
請求項
13から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記飛行装置を射出して飛行させる段階を備える
請求項
13から21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人航空機等の飛行装置を用いた物体の輸送において、輸送対象物を格納するためのコンテナ等の格納部を飛行装置に設けていた(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特許6084675
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の飛行装置を用いた輸送方法では、格納部を設ける分、装置重量が大きくなったり、格納部が受ける空気抵抗によって飛行安定性が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、内容物の取り出しが可能な容器と飛行する飛行装置であって、飛行装置を容器へと固定する固定部と、揚力を発生する揚力発生部と、飛行装置の飛行を制御する飛行制御部と、を備え、容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる飛行装置を提供する。
【0005】
固定部は、容器を締めて固定するための締結部を有してよい。
【0006】
固定部は、容器に固定する第1固定部と、第1固定部と異なる位置で容器に固定する第2固定部とを有してよい。
【0007】
飛行装置は、第1固定部を有する第1構造部と、第2固定部を有し、容器に固定されていない状態で第1構造部と独立した第2構造部とを備えてよい。
【0008】
飛行装置は、第1固定部を有する第1構造部と、第2固定部を有する第2構造部と、容器に固定されていない状態で第1構造部と第2構造部とを連結する連結部とを備えてよい。
【0009】
揚力発生部は、回転翼と、回転翼を回転させる回転駆動部とを備えてよい。
【0010】
揚力発生部は、固定翼を有してよい。
【0011】
第1構造部は、揚力発生部として、固定翼および回転翼を有してよく、第2構造部は、揚力発生部として、固定翼を有するが回転翼を有さなくてよい。
【0012】
飛行装置は、容器に固定されていない状態で互いに独立し、それぞれ同一の構成からなる複数の構造部を備えてよい。
【0013】
固定部は、容器の外面に設けられた取付固定位置に合わせて固定されてよく、飛行装置は、固定部が固定されたか否かを判断する固定判断部を備えてよい。
【0014】
飛行装置は、飛行装置が航空機としての要件を満たすか否かを判断する要件判断部を備えてよい。
【0015】
飛行装置は、容器の内容物を検出する検出部を備えてよい。
【0016】
飛行制御部は、検出部が容器の内容物を検出しなかった場合に、容器を回収するための回収位置へと飛行装置を飛行させてよい。
【0017】
飛行装置は、空気抵抗により飛行装置を制動する空力制動部を備えてよい。
【0018】
飛行装置は、空力制動部により生成される電力を揚力発生部および飛行制御部に供給する電力供給部を備えてよい。
【0019】
本発明の第2の態様においては、飛行装置を内容物の取り出しが可能な容器と飛行させる方法であって、飛行装置を容器へと固定する段階と、飛行装置に揚力を発生する段階と、飛行装置の飛行を制御する段階と、を備え、飛行装置は、容器に固定された状態で航空機としての要件を満たし、飛行可能となる、方法を提供する。
【0020】
方法は、飛行装置を、容器の外面に設けられた取付固定位置に合わせて固定する段階と、飛行装置が固定されたか否かを判断する段階とを備えてよい。
【0021】
方法は、飛行装置が航空機としての要件を満たすか否かを判断する段階を備えてよい。
【0022】
方法は、容器の内容物を検出する段階と、容器の内容物が検出されなかった場合に、容器を回収するための回収位置へと飛行装置を飛行させる段階とを備えてよい。
【0023】
方法は、第1の位置から飛行装置を飛行させる段階と、第1の位置よりも低い第2の位置に飛行装置を降着させる段階とを備えてよい。
【0024】
方法は、空中の航空機から飛行装置を飛行させる段階を備えてよい。
【0025】
方法は、飛行装置を射出して飛行させる段階を備えてよい。
【0026】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】飛行装置100の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】連結部25を備える飛行装置100の一例を示す。
【
図5】空力制動部70を備える飛行装置100の一例を示す。
【
図7】連結部25を備える飛行装置100の一例を示す。
【
図8】飛行装置100および容器10の一例を示す。
【
図9B】脱着回転翼48を備える飛行装置100の一例を示す。
【
図11】固定判断部52を備える飛行装置100の一例を示す。
【
図12A】検出部54を備える飛行装置100の一例を示す。
【
図12B】検出部54を備える飛行装置100の別の例を示す。
【
図13】要件判断部56の動作を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0029】
図1は、飛行装置100の内部構成の一例を示すブロック図である。飛行装置100は、固定部30および揚力発生部40を含む構造部20と、飛行制御部50と、電力供給部60とを備える。構造部20の詳細な構成については後述する。なお、
図1においては飛行制御部50および電力供給部60を構造部20の外側に示しているが、飛行制御部50および電力供給部60は、構造部20に格納されてよい。
【0030】
飛行制御部50は、飛行装置100の飛行を制御する。例えば、飛行制御部50は、飛行装置100の上昇、下降、前進、後退、加速、減速、水平移動または方向転換等の操作を行ってよい。飛行制御部50は、操作者からの入力に応じて制御を行ってもよく、プログラムに従って自律的に制御を行ってもよい。飛行制御部50は、揚力発生部40を操作することにより飛行装置100の飛行を制御してよい。
【0031】
電力供給部60は、揚力発生部40および飛行制御部50に電力を供給する。電力供給部60は、リチウムイオン電池およびリチウムイオンポリマー電池等の二次電池を含んでよいが、その種類は特に限定されない。後述するように、電力供給部60は、電力回生機能を有する制動部により生成される電力を充電することが可能であってよい。
【0032】
【0033】
飛行装置100は、容器10に固定された状態で航空機としての要件を満たし、容器10に固定されていない状態で航空機としての要件を満たさない。航空機としての要件とは、飛行装置100が空中を飛行可能な状態にあることであってよい。一例として、航空機としての要件は、国際民間航空機関(ICAO)による「大気中における支持力を、地球の表面に対する空気の反作用以外の空気の反作用から得ることができる」という要件であってよい。例えば、飛行装置100が、所定の閾値を上回る揚力を発生することができる場合、飛行装置100は航空機としての要件を満たすとしてよい。あるいは、飛行装置100が、航空力学的に飛行可能な形状を有する場合に、飛行装置100は航空機としての要件を満たすとしてよい。航空機は、人が搭乗しない無人航空機を含む。無人航空機は、操作者の遠隔操作に従って飛行するものであってもよく、所定のプログラムに従って自律的に飛行するものであってもよい。
【0034】
容器10は、内容物12を格納する。容器10は、内容物12の取り出しが可能である。容器10の形状は、固定部30によって固定することが可能であれば、特に限定されない。容器10の材料は、特に限定されず、金属、プラスチック、ガラス、段ボール、セラミック等であってよい。容器10は、内容物12の出入りのための開口部や、開口部を閉じるための蓋部等を有してよい。
【0035】
内容物12は、液体、気体または固体のいずれであってもよい。内容物12は、粉状、粒状またはゲル状等のいずれの状態であってもよい。
【0036】
飛行装置100は、固定部30および揚力発生部40を含む構造部20を備える。
【0037】
固定部30は、飛行装置100を容器10へと固定する。固定部30は、任意の機械的機構によって飛行装置100を容器10に固定してよい。あるいは、固定部30は、磁力等によって飛行装置100と容器10とを結合してもよい。固定部30が飛行装置100を容器10に固定する具体的な機構については後述する。固定部30は、飛行装置100と容器10との取り付けおよび取り外しが繰り返し可能であるように固定してよい。固定部30は、容器10の形状に対応する形状を有してよい。
【0038】
揚力発生部40は、飛行装置100が飛行するために必要な揚力を発生する。揚力発生部40は、飛行装置100に対して固定された固定翼を有してもよく、所定の回転軸を中心に回転する回転翼を有してもよい。揚力発生部40は、回転翼を回転させるモーター等の回転駆動部を有してもよい。揚力発生部40は、それ自体が揚力を発生してよいが、推力を発生することによって間接的に揚力を発生させるものを含んでもよい。揚力発生部40は、噴流によって推力を発生するジェットエンジン等を含んでもよい。
【0039】
揚力発生部40は、飛行制御部50によって制御されてよい。例えば、揚力発生部40が有する固定翼または回転翼の向きを飛行制御部50が変化させることにより、飛行装置100の進行方向を変更してよい。また例えば、揚力発生部40が有する回転翼の回転数を飛行制御部50が変化させることにより、飛行装置100を加速または減速させてよい。
【0040】
本例の飛行装置100は、第1構造部20-1および第2構造部20-2の2つの構造部20を備える。第1構造部20-1および第2構造部20-2はそれぞれ、固定部30として、第1固定部30-1および第2固定部30-2を有する。第1構造部20-1は、揚力発生部40として、固定翼である主翼41と、回転翼であるプロペラ44と、プロペラ44を回転させる回転駆動部45とを有する。第2構造部20-2は、揚力発生部40として、固定翼である尾翼42を有するが、回転翼を有さない。主翼41は、向きの変更が可能な補助翼を有してもよい。尾翼42は、垂直尾翼および水平尾翼を有してもよい。本例において、主翼41、尾翼42、プロペラ44および回転駆動部45は、固定部30に対して左右対称にそれぞれ2つずつ設けられているが、これらの数および配置は限定されない。
【0041】
なお、揚力発生部40の各部材は、図示の例とは異なる位置に設けられてもよい。例えば、図において第1構造部20-1が有する部材を第2構造部20-2が有してもよく、その逆もあり得る。一例として、
図2Bは、飛行装置100の別の例を示す。本例において、第1構造部20-1は、揚力発生部40として、固定翼である主翼41を有し、第2構造部20-2は、揚力発生部40として、固定翼である尾翼42と回転翼であるプロペラ44とを有する。
【0042】
例えば、固定部30により飛行装置100が容器10に固定された状態において、飛行制御部50は、回転駆動部45を駆動してプロペラ44を回転させ、飛行装置100を推進させる。このとき主翼41および尾翼42に発生する揚力によって飛行装置100が浮揚して飛行する。飛行装置100は、飛行制御部50の制御によって飛行し、所定の目的地まで容器10を運搬する。
【0043】
このように、運搬対象物である容器10を飛行装置100の一部として用いることにより、運搬対象物の格納部を別途設ける必要がなく、飛行装置100の重量を低減することができ、また飛行装置100の飛行安定性が高まる場合がある。
【0044】
図2Aに示すように、第1構造部20-1および第2構造部20-2は、容器10に固定されていない状態で、互いに独立している。また、第1固定部30-1および第2固定部30-2は、互いに異なる位置で容器10に固定する。
【0045】
それぞれ独立した複数の構造部20によって飛行装置100を構成することにより、飛行装置100の容器10への取り付けおよび取り外しが容易になる場合がある。また、飛行装置100が単一の構造部20からなる場合と比較して、1つ1つの構造部20の大きさを小さくすることができるので、容器10から取り外した後に構造部20を処分または運搬することが容易になる。
【0046】
図3Aは、固定部30の一例を示す。本例の固定部30は、容器10を締めて固定するための締結部32を有する。本例において、容器10は円筒形の胴部を有し、固定部30は、容器10の胴部に対応する円筒形状を有する。図示の例においては、
図2Aにおける飛行装置100が備える2つの固定部30のうち第2固定部30-2を示しているが、いずれの固定部も同様の構造を有してよい。
【0047】
まず締結部32を開いた状態で、固定部30によって容器10を外側から把持する。次いで締結部32を締結することにより、固定部30と容器10とが固定される。
【0048】
図3Bは、締結部32の機構を示す拡大図である。本例の締結部32は、いわゆるスナップ錠であり、アーム35、キャッチ36およびレバー37を有する。
図3Bに示すように、アーム35をキャッチ36に引っ掛けた状態でレバー37を倒すことにより、締結部32が閉錠される。このとき、アーム35には張力がかかっており、この張力によって容器10の胴部が固定部30に締め付けられる。
【0049】
このような機構を用いて飛行装置100を容器10に固定することにより、飛行装置100と容器10との取り付けおよび取り外しを簡便に行うことができる。また、容器10が固定部30に締め付けられるので、飛行装置100を強固に固定することができ、飛行装置100の飛行中に容器10が脱落することを防ぐことができる。
【0050】
図4は、連結部25を備える飛行装置100の一例を示す。本例において、構造部20は、第1構造部20-1と第2構造部20-2とを連結するための連結部25を備える。連結部25は、第1構造部20-1および第2構造部20-2が容器10に固定されていない状態で、第1構造部20-1と第2構造部20-2とを連結する。その他の構成は、
図2Aにおける例と同様であってよい。
【0051】
本例の連結部25は、一端が第1構造部20-1に接続され、他端が第2構造部20-2に接続された可撓性のワイヤであってよい。あるいは、第1構造部20-1と第2構造部20-2とを電気的に接続する電線を連結部25として用いてもよい。
【0052】
このような連結部25を設けることにより、複数の構造部20を容器10に固定するときに複数の構造部20がバラバラになってしまうことを防ぐことができる。また、
図4に示すように、構造部20を容器10に固定した後に、ワイヤ状の連結部25を結んだり、結束バンド等で束ねることにより、飛行装置100の飛行中にワイヤが暴れて飛行に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0053】
図5は、空力制動部70を備える飛行装置100の一例を示す。飛行装置100は、空気抵抗により飛行装置100を制動する空力制動部70を備えてよい。例えば、空力制動部70が飛行装置100の進行方向からの空気抵抗を受けることにより、飛行装置100減速させる。本例の飛行装置100の空力制動部70以外の構成は、
図2Aにおける例と同様の構成であってよい。
【0054】
本例の空力制動部70は、第2構造部20-2に搭載されるドラッグシュートである。本例において、空力制動部70は、飛行装置100の飛行中は第2構造部20-2に格納されており、飛行装置100の着地または着水(以下、降着)時に第2構造部20-2から射出される。射出された空力制動部70が前方からの空気抵抗を受けることにより、飛行装置100を安全に降着可能な速度まで減速させる。
【0055】
空力制動部70を設けることにより、降着時の衝撃から飛行装置100ならびに容器10および内容物12を保護することができ、飛行装置100ならびに容器10および内容物12に対する損傷を防ぐことができる。
【0056】
なお、飛行装置100が回転翼を備える場合、当該回転翼が空気抵抗を受けて回転することにより、飛行装置100を制動する空力制動部70として機能してもよい。具体的な例については後述する。
【0057】
【0058】
なお、
図6Aに示すように、容器10は金属缶であってよいが、
図6Bに示すように、容器10はボトル状の容器であってもよい。本例において、容器10は円筒形の胴部を有し、第1固定部30-1および第2固定部30-2はそれぞれ、容器10の胴部に対応する円筒形状を有する。本例において、固定部30は、上述のような締結部32を備えてもよい。
【0059】
本例の飛行装置100は、第1固定部30-1を有する第1構造部20-1と、第2固定部30-2を有する第2構造部20-2とを備える。第1構造部20-1および第2構造部20-2は、揚力発生部40として、回転翼であるプロペラ44と回転駆動部45とをそれぞれ同数有する。プロペラ44および回転駆動部45は、腕部22によってそれぞれの固定部30に接続されている。本例において、第1構造部20-1および第2構造部20-2は、それぞれ同一の構成からなる。図示の例においては、第1構造部20-1および第2構造部20-2の各々が2つのプロペラ44を有するが、プロペラ44の数はこれに限定されない。
【0060】
固定部30により飛行装置100が容器10に固定された状態において、飛行制御部50は、4つのプロペラ44の回転を制御することにより、飛行装置100の飛行を制御する。例えば、飛行制御部50は、4つのプロペラ44の回転数を個別に制御することにより、飛行装置100の上昇、下降、前進、後退、加速、減速、水平移動または方向転換等の操作を行う。
【0061】
図6Aに示すように、第1構造部20-1および第2構造部20-2は、容器10に固定されていない状態で互いに独立している。また、第1固定部30-1および第2固定部30-2は、それぞれ異なる位置で容器10に固定する。
【0062】
本例のように、それぞれ同一の構成からなる複数の構造部20で飛行装置100を構成することにより、例えばいずれかの構造部20が故障した場合に、同一の規格で用意した構造部20に交換することができる。
【0063】
図7は、連結部25を備える飛行装置100の一例を示す。連結部25以外の構成は、
図6Aおよび
図6Bにおける例と同様であってよい。
【0064】
本例の連結部25は、いわゆるスナップボタンの機構を用いて第1構造部20-1と第2構造部20-2とを連結する。すなわち、連結部25に設けられた凸部(または凹部)を、第1構造部20-1および第2構造部20-2に設けられた凹部(または凸部)に押し込むことにより、第1構造部20-1と第2構造部20-2とが連結される。本例の連結部25は、簡便に取り付けおよび取り外しが可能である。
【0065】
本例の連結部25は、比較的高い剛性を有する金属またはプラスチック等の材料で形成されてよい。第1構造部20-1と第2構造部20-2とを連結部25で連結することによって、第1構造部20-1と第2構造部20-2との間の距離を固定することができる。これにより、飛行装置100を容器10に取り付けるときに、いずれか一方の構造部20を容器10に対して位置決めすれば、他方の構造部20の位置も決まり、取り付けが簡便になる。
【0066】
図8は、飛行装置100および容器10の一例を示す。本例の飛行装置100は、
図6Aおよび
図6Bの例と同様に、第1固定部30-1を有する第1構造部20-1と、第2固定部30-2を有する第2構造部20-2とを備え、第1構造部20-1および第2構造部20-2は、揚力発生部40として、回転翼であるプロペラ44と回転駆動部45とをそれぞれ同数有する。第1構造部20-1および第2構造部20-2は、それぞれ同一の構成からなる。
【0067】
本例の容器10は、直方体形状の箱型である。本例の容器10は、例えばいずれか一面が開閉可能になっており、内容物12を取り出すことが可能である。本例の第1固定部30-1および第2固定部30-2は各々、直方体形状の容器10の三面に接触する形状を有する。
【0068】
このような飛行装置100および容器10を用いることにより、様々な種類の物体を内容物12として用いることができ、例えば通信販売の商品の配送に好適である。
【0069】
図9Aは、飛行装置100の一例を示す。本例の飛行装置100は、第1固定部30-1を有する第1構造部20-1と、第2固定部30-2を有する第2構造部20-2とを備える。第1構造部20-1は、揚力発生部40として、回転翼である主回転翼(メインローター)46と回転駆動部45とを有する。主回転翼46および回転駆動部45は、接続部24を介して第1構造部20-1に接続されている。第2構造部20-2は、揚力発生部40として、回転翼である尾回転翼(テールローター)47と回転駆動部45とを有する。尾回転翼47および回転駆動部45は、尾部支材(テールブーム)26を介して第2構造部20-2に接続されている。
【0070】
なお、揚力発生部40の各部材は、図示の例とは異なる位置に設けられてもよい。例えば、図において第1構造部20-1が有する部材を第2構造部20-2が有してもよく、その逆もあり得る。
【0071】
固定部30により飛行装置100が容器10に固定された状態において、飛行制御部50は、主回転翼46および尾回転翼47を回転させる。このとき、主回転翼46による回転力と反対方向に、尾回転翼47による回転力が作用することにより、飛行装置100が浮揚および飛行する。
【0072】
本例の飛行装置100は、主回転翼46のいわゆるオートローテーションを利用して下降および降着を行ってもよい。具体的には、主回転翼46は、回転駆動部45からの動力供給なしで回転可能であり、下降時に下方からの空気抵抗を受けて受動的に回転することにより、飛行装置100の下降速度を減速させることができる。すなわち、この場合、主回転翼46は、空力制動部70として機能する。
【0073】
主回転翼46がオートローテーションによって空力制動部70として機能する場合、主回転翼46の回転動力を電力に変換することが可能であってよい。すなわち、空力制動部70は、回生ブレーキとして機能してよい。例えば、飛行装置100の下降時にオートローテーションによって主回転翼46が回転すると、回転駆動部45が回転して電力が生成される。生成された電力は、電力供給部60に充電されてよい。これにより、飛行装置100を制動すると同時に、揚力発生部40および飛行制御部50に供給するための電力を生成することができる。
【0074】
図9Bは、脱着回転翼48を備える飛行装置100の一例を示す。本例の飛行装置100は、脱着回転翼48を備える点を除いて、
図9Aにおける例と同様の構成である。
【0075】
脱着回転翼48は、主回転翼46の回転軸と脱着可能に連結することができる。脱着回転翼48は、オートローテーションが可能である。本例において、主回転翼46は、オートローテーションが可能であってもなくてもよい。脱着回転翼48は、主回転翼46よりも大きいサイズを有してよい。この場合、脱着回転翼48は、飛行装置100の下降時にオートローテーションすると、より大きい空気抵抗を下方から受け、飛行装置100をより大幅に減速させることができる。これにより、飛行装置100をより安全に降着させることができる。
【0076】
図10は、飛行装置100の一例を示す。本例の飛行装置100は、第1固定部30-1を有する第1構造部20-1と、第2固定部30-2を有する第2構造部20-2とを備える。第1構造部20-1は、揚力発生部40として、回転翼である自由回転翼49と、回転翼であるプロペラ44および回転駆動部45とを有する。自由回転翼49は、接続部24を介して第1構造部20-1に接続されている。第2構造部20-2は、揚力発生部40として、固定翼である尾翼42を有する。尾翼42は、尾部支材26を介して第2構造部20-2に接続されている。
【0077】
なお、揚力発生部40の各部材は、図示の例とは異なる位置に設けられてもよい。例えば、図において第1構造部20-1が有する部材を第2構造部20-2が有してもよく、その逆もあり得る。
【0078】
固定部30により飛行装置100が容器10に固定された状態において、飛行制御部50は、プロペラ44を回転させて飛行装置100を推進させる。自由回転翼49は、モーター等の動力源に接続されておらず、自由回転翼49の下前方からの気流を受けて受動的に回転することにより揚力を発生し、飛行装置100を浮揚および飛行させる。すなわち、自由回転翼49は、常に上述のようなオートローテーションを行う。これにより、飛行装置100が飛行するための主な揚力を、電力供給なしで発生することができる。また、自由回転翼49は、飛行装置100の下降時において、飛行装置100の下降速度を減速させる空力制動部70として機能することができる。
【0079】
図11は、固定判断部52を備える飛行装置100の一例を示す。飛行装置100は、固定部30が容器10に固定されたか否かを判断する固定判断部52を備えてよい。固定判断部52は、飛行制御部50に通信接続されてよい。固定判断部52は、判断結果を飛行制御部50に出力してよく、飛行制御部50は、固定判断部52の判断結果に基づいて、飛行装置100の飛行を制御してよい。
【0080】
本例の固定判断部52は、第1固定部30-1および第2固定部30-2の各々に設けられた光学センサである。本例において、容器10の外面には、固定部30を固定するための位置を示す取付固定位置15が設けられている。例えば、取付固定位置15は、容器10の外面に印刷される任意のマークである。固定部30は、取付固定位置15に合わせて容器10に固定される。固定部30が容器10に固定された後、固定判断部52は、容器10の取付固定位置15のマークを読み取ることにより、固定部30が容器10に固定されたと判断する。固定部30が取付固定位置15から外れた位置で容器10に固定されている場合、固定判断部52は、固定部30が容器10に固定されていないと判断してもよい。
【0081】
このようにすることで、固定部30を容器10の適切な位置に取り付けることができ、例えば揚力発生部40の各部を飛行装置100の飛行に適した位置に配置することができる。
【0082】
図12Aは、検出部54を備える飛行装置100の一例を示す。飛行装置100は、容器10の内容物12を検出する検出部54を備えてよい。例えば、検出部54は、容器10に内容物12が入っているか否かを検出する。検出部54は、容器10における内容物12の残量を検出してもよい。検出部54は、飛行制御部50に通信接続されてよい。検出部54は、検出結果を飛行制御部50に出力してよく、飛行制御部50は、検出部54の検出結果に基づいて飛行装置100の飛行を制御してよい。例えば、飛行制御部50は、検出部54が容器10の内容物12を検出しなかった場合に、容器10を回収するための回収位置へと飛行装置100を飛行させる。
【0083】
図12AのA-A断面に示すように、本例の検出部54は、固定部30に設けられた発光部84および受光センサ86を有する。発光部84および受光センサ86は、円形の固定部30の中心を通る直線上において対向するように配置されている。発光部84は、例えばレーザー光源であり、受光センサ86の配置されている方向にレーザー光等の光を出射する。受光センサ86は、発光部84から出射された光を受光する。容器10に、内容物12として例えば有色の液体が入っている場合、発光部84から出射された光は、内容物12によって強度が減衰されて受光センサに入光する。すなわち、容器10に内容物12が入っていない場合の受光量を予め測定しておき、受光センサにおける実際の受光量と比較することにより、容器10の内容物12を検出することができる。
【0084】
図12Bは、検出部54を備える飛行装置100の別の例を示す。
図12AのA-A断面に示すように、本例の検出部54の発光部84および受光センサ86は、互いを結ぶ直線が円形の固定部30の中心を通らない位置に設けられている。容器10に内容物12が入っていない場合は、発光部84から出射された光は受光センサ86に受光されない。容器10に、内容物12として例えば液体が入っている場合、発光部84から出射された光は、内容物12によって屈折することにより、受光センサ86に受光される。したがって、発光部84から出射された光を受光センサ86が受光したか否かに基づいて、容器10に内容物12を検出することができる。
【0085】
図13は、要件判断部56の動作を示すブロック図である。飛行装置100は、飛行装置100が航空機としての要件を満たすか否かを判断する要件判断部56を備えてよい。
【0086】
要件判断部56は、揚力発生部40をモニタリングして得た情報に基づいて、飛行装置100が航空機としての要件を満たすか否かを判断してよい。例えば、要件判断部56は、加速度センサを有し、飛行制御部50が揚力発生部40の回転翼を回転させたときに発生する揚力のベクトル値を加速度センサによって測定する。要件判断部56は、この測定値に基づいて、飛行装置100が航空機としての要件を満たすか否かを判断してよい。
【0087】
要件判断部56は、固定判断部52の判断結果に基づいて、飛行装置100が航空機としての要件を満たすか否かを判断してもよい。例えば、固定部30が容器10に固定されていると固定判断部52が判断した場合、要件判断部56は、飛行装置100が航空機としての要件を満たすと判断してよい。
【0088】
要件判断部56は、カメラによって撮影された飛行装置100の画像から飛行装置100の形状を認識し、当該形状に基づいて判断を行ってもよい。当該カメラは、飛行装置100の機体に取り付けられたカメラであってもよく、要件判断部56に通信接続される外部カメラであってもよい。
【0089】
要件判断部56は、飛行制御部50に通信接続され、判断結果を飛行制御部50に出力する。飛行制御部50は、要件判断部56の判断結果に基づいて飛行装置100の飛行を制御してよい。例えば、飛行制御部50は、飛行装置100が航空機としての要件を満たすと要件判断部56が判断した場合に、飛行装置100を飛行させ、飛行装置100が航空機としての要件を満たさないと要件判断部56が判断した場合に、飛行装置100を飛行させない。
【0090】
図14は、飛行装置100の第1の使用例を示す。本例において、飛行装置100は、
図9Aに示す例と同様の構成を有する。また本例において、容器10は金属缶であり、内容物12は飲料である。
【0091】
本例は、ホテルの屋上に設けられたルームサービスセンター300から客室へ飲料を配送する一例である。客室にいる利用者90が、客室に設置された端末またはスマートフォン等を用いて、飲料を注文する。ルームサービスセンター300にいる操作者95は、利用者90の注文に応答して、注文された飲料に対応する容器10に飛行装置100を取り付けて飛行させる。飛行装置100は、飛行制御部50により制御されて、あるいは回転翼のオートローテーションを用いて下降することにより、所定の客室のベランダまで容器10を運搬する。すなわち、第1の位置から飛行装置100を飛行させ、第1の位置よりも低い第2の位置に飛行装置100を降着させる。客室の利用者90は、飛行装置100と共に容器10を受け取り、容器10から飛行装置100を取り外す。利用者90は、飲料を飲み終えた後、空になった容器10に飛行装置100を取り付けて飛行させる。このとき、容器10が空であることを検出部54が検出し、飛行制御部50がこの検出結果に基づいて飛行装置100を飛行させ、所定の回収位置(例えば地上のリサイクルボックス)310まで容器10を運搬させてよい。
【0092】
図15は、飛行装置100の第2の使用例を示す。本例において、飛行装置100は、
図6Aおよび
図6Bに示す例と同様の構成を有する。また本例において、容器10はボトル容器であり、内容物12は飲料である。
【0093】
本例は、空中を飛行する航空機(例えば無人航空機)400から飲料を配送する一例である。航空機400は、それぞれ異なる飲料を内容物12として有する複数の飛行装置100を収容する。野外にいる利用者90が、スマートフォン等を用いて特定の飲料を注文する。航空機400は、利用者90の注文に応答して、注文された飲料に対応する容器10を固定している飛行装置100を飛行させ、飛行装置100は飛行制御部50により制御されて利用者90の位置まで容器10を運搬する。利用者90は、飛行装置100と共に容器10を受け取り、容器10から飛行装置100を取り外す。利用者90は、飲料を飲み終えた後、空になった容器10に飛行装置100を取り付けて飛行させる。このとき、容器10が空であることを検出部54が検出し、飛行制御部50がこの検出結果に基づいて飛行装置100を飛行させ、所定の回収位置410まで容器10を運搬させてよい。
【0094】
図16は、飛行装置100の第3の使用例を示す。本例において、飛行装置100は、
図5に示す例と同様の構成を有する。また本例において、容器10はボトル容器であり、内容物12は飲料である。
【0095】
本例は、陸上の配送ステーション500から海上を航行する船舶へ飲料を配送する一例である。船舶に搭乗している利用者90が、スマートフォン等を用いて特定の飲料を注文する。配送ステーション500にいる操作者95が、利用者90の注文に応答して、注文された飲料に対応する容器10に飛行装置100を取り付ける。操作者95は、カタパルト等の射出機構を用いて飛行装置100を船舶に向けて射出して飛行させる。飛行装置100は、飛行制御部50により制御されて船舶まで容器10を運搬し、ドラッグシュート等の空力制動部70を用いて船舶上に降着する。
【0096】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0097】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0098】
10・・・容器、12・・・内容物、15・・・取付固定位置、20・・・構造部、20-1・・・第1構造部、20-2・・・第2構造部、22・・・腕部、24・・・接続部、25・・・連結部、26・・・尾部支材、30・・・固定部、30-1・・・第1固定部、30-2・・・第2固定部、32・・・締結部、35・・・アーム、36・・・キャッチ、37・・・レバー、40・・・揚力発生部、41・・・主翼、42・・・尾翼、44・・・プロペラ、45・・・回転駆動部、46・・・主回転翼、47・・・尾回転翼、48・・・脱着回転翼、49・・・自由回転翼、50・・・飛行制御部、52・・・固定判断部、54・・・検出部、56・・・要件判断部、60・・・電力供給部、70・・・空力制動部、84・・・発光部、86・・・受光センサ、90・・・利用者、95・・・操作者、100・・・飛行装置、300・・・ルームサービスセンター、310・・・リサイクルボックス、400・・・航空機、410・・・回収位置、500・・・配送ステーション