(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 19/18 20060101AFI20231121BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B41J19/18 Z
B41J2/01 303
B41J19/18 E
(21)【出願番号】P 2019229904
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真吾
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-111337(JP,A)
【文献】特開2013-078917(JP,A)
【文献】特開2003-145877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 19/00 - 19/98
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に印刷を施すための印刷装置であって、
前記記録媒体に向けてインクを吐出するヘッド部と、
前記記録媒体に対して前記ヘッド部を所定方向に移動させる駆動源と、
前記ヘッド部の前記所定方向における位置に応じたパルス信号を出力するエンコーダと、
前記エンコーダからの前記パルス信号に基づいてカウント値をカウントするカウンタと、
前記駆動源に電圧を第1の時間印加することにより前記駆動源を駆動させる第1の制御と、前記カウンタからのカウント値に基づいて、前記駆動源に電圧を前記第1の時間よりも長い第2の時間印加することにより前記駆動源を制御する第2の制御と、を実行する制御部と、
前記第1の制御において、前記カウンタが所定数以上のカウント値をカウントした場合には、前記エンコーダが正常であると判定し、前記カウンタが前記所定数未満のカウント値をカウントした場合には、前記エンコーダが異常であると判定する判定部と、を備え、
前記制御部は、前記判定部により前記エンコーダが正常であると判定された場合には、前記第1の制御から前記第2の制御に移行し、前記判定部により前記エンコーダが異常であると判定された場合には、前記第1の制御から前記第2の制御に移行
せず、
前記判定部は、前記第1の制御において、前記制御部が前記駆動源に電圧を印加する前記第1の時間と、前記第1の時間の経過後に前記制御部が前記駆動源に電圧を印加しない第3の時間とに亘って、前記エンコーダの異常の有無を検出し、
前記第1の時間では、前記ヘッド部は前記駆動源からの駆動力により移動し、前記第3の時間では、前記ヘッド部は惰力で移動する
印刷装置。
【請求項2】
前記エンコーダは、所定の位相差を有する第1のパルス信号及び第2のパルス信号を出力し、
前記カウンタは、前記第1のパルス信号の立ち上がり及び立ち下がり、並びに、前記第2のパルス信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて、カウント値をカウントする
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1の制御において、4以上のカウント値がカウントされた場合には、前記エンコーダが正常であると判定し、4未満のカウント値がカウントされた場合には、前記エンコーダが異常であると判定する
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の制御において、前記カウンタからのカウント値に依らず、前記駆動源に一定電圧を前記第1の時間印加することにより前記駆動源を駆動させる
請求項1~3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の制御において、前記駆動源に前記一定電圧を前記第1の時間印加することにより、前記ヘッド部を1mm以下移動させるように前記駆動源を駆動させる
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1の制御において、前記制御部が前記ヘッド部を第1の方向に移動させるように前記駆動源を制御している状態で、前記判定部は、前記カウンタが前記所定数未満のカウント値をカウントした場合には、前記エンコーダが異常であると判定せず、
前記制御部が引き続き、前記判定部の当該判定結果に基づいて、前記ヘッド部を前記第1の方向と反対方向の第2の方向に移動させるように前記駆動源を制御している状態で、前記判定部は、前記カウンタが前記所定数未満のカウント値をカウントした場合には、前記エンコーダが異常であると判定する
請求項1~
5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に印刷を施すための印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式により記録媒体に印刷を施すための印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の印刷装置は、記録媒体に向けてインクを吐出するヘッド部と、記録媒体に対してヘッド部を主走査方向及び当該主走査方向と略直交する副走査方向に移動させる駆動機構と、ヘッド部の主走査方向及び副走査方向における位置に応じたエンコーダ信号を出力するエンコーダと、エンコーダからのエンコーダ信号に基づいて駆動機構を駆動するフィードバック制御を行う制御部とを備えている。
【0003】
上述した印刷装置は、さらに、印刷動作中に、エンコーダからエンコーダ信号が正常に出力されているか否かを検出する異常検出部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の印刷装置では、例えばエンコーダの故障によりエンコーダからエンコーダ信号が正常に出力されていない場合、制御部は、エンコーダからのエンコーダ信号のフィードバックが無いために、駆動機構をさらに駆動し続けようとする。その結果、異常検出部による異常検出の前に、制御部による駆動機構の駆動が制御不能になるおそれがあるという課題が生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、制御部による第2の制御の前に、エンコーダの異常の有無を予め判定することができる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る印刷装置は、記録媒体に印刷を施すための印刷装置であって、前記記録媒体に向けてインクを吐出するヘッド部と、前記記録媒体に対して前記ヘッド部を所定方向に移動させる駆動源と、前記ヘッド部の前記所定方向における位置に応じたパルス信号を出力するエンコーダと、前記エンコーダからの前記パルス信号に基づいてカウント値をカウントするカウンタと、前記駆動源に電圧を第1の時間印加することにより前記駆動源を駆動させる第1の制御と、前記カウンタからのカウント値に基づいて、前記駆動源に電圧を前記第1の時間よりも長い第2の時間印加することにより前記駆動源を制御する第2の制御と、を実行する制御部と、前記第1の制御において、前記カウンタが所定数以上のカウント値をカウントした場合には、前記エンコーダが正常であると判定し、前記カウンタが前記所定数未満のカウント値をカウントした場合には、前記エンコーダが異常であると判定する判定部と、を備え、前記制御部は、前記判定部により前記エンコーダが正常であると判定された場合には、前記第1の制御から前記第2の制御に移行し、前記判定部により前記エンコーダが異常であると判定された場合には、前記第1の制御から前記第2の制御に移行しない。
【0008】
本態様によれば、制御部は、第1の制御において判定部によりエンコーダが正常であると判定された場合には、第1の制御から第2の制御に移行し、第1の制御において判定部によりエンコーダが異常であると判定された場合には、第1の制御から第2の制御に移行しない。これにより、制御部による第2の制御の前に、エンコーダの異常の有無を予め判定することができる。その結果、第2の制御において、制御部による駆動源の駆動が制御不能になるのを回避することができる。
【0009】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記エンコーダは、所定の位相差を有する第1のパルス信号及び第2のパルス信号を出力し、前記カウンタは、前記第1のパルス信号の立ち上がり及び立ち下がり、並びに、前記第2のパルス信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて、カウント値をカウントするように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、エンコーダの出力が複数相(第1のパルス信号及び第2のパルス信号)である場合に、全ての相について、エンコーダの異常の有無を判定することができる。
【0011】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記判定部は、前記第1の制御において、4以上のカウント値がカウントされた場合には、前記エンコーダが正常であると判定し、4未満のカウント値がカウントされた場合には、前記エンコーダが異常であると判定するように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、エンコーダの出力が複数相である場合に、全ての相について、エンコーダの異常の有無を精度良く判定することができる。
【0013】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記第1の制御において、前記カウンタからのカウント値に依らず、前記駆動源に一定電圧を前記第1の時間印加することにより前記駆動源を駆動させるように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、制御部は、第1の制御において、カウンタからのカウント値に基づいて駆動源を駆動するフィードバック制御を行わない。これにより、仮にエンコーダが故障している場合であっても、ヘッド部を暴走させることなく、エンコーダの異常の有無を検出するのに必要な距離だけヘッド部を移動させることができる。
【0015】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記第1の制御において、前記駆動源に前記一定電圧を前記第1の時間印加することにより、前記ヘッド部を1mm以下移動させるように前記駆動源を駆動させるように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、第1の制御において、エンコーダの異常の有無を検出するのに必要最小限の距離として、1mm以下だけヘッド部を移動させることができる。
【0017】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記判定部は、前記第1の制御において、前記制御部が前記駆動源に電圧を印加する第1の時間と、前記第1の時間の経過後に前記制御部が前記駆動源に電圧を印加しない第3の時間とに亘って、前記エンコーダの異常の有無を検出するように構成してもよい。
【0018】
本態様によれば、判定部は、第1の制御において、駆動源からの駆動力によりヘッド部が移動する第1の時間と、ヘッド部が惰性で移動する第3の時間とに亘って、エンコーダの異常の有無を検出するので、第1の時間を比較的短くした場合(例えば数十m秒程度)であっても、エンコーダの異常の有無を検出するためのヘッド部の移動距離を十分に確保することができる。
【0019】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記第1の制御において、前記制御部が前記ヘッド部を第1の方向に移動させるように前記駆動源を制御している状態で、前記判定部は、前記カウンタが前記所定数未満のカウント値をカウントした場合には、前記エンコーダが異常であると判定せず、前記制御部が引き続き、前記判定部の当該判定結果に基づいて、前記ヘッド部を前記第1の方向と反対方向の第2の方向に移動させるように前記駆動源を制御している状態で、前記判定部は、前記カウンタが前記所定数未満のカウント値をカウントした場合には、前記エンコーダが異常であると判定するように構成してもよい。
【0020】
本態様によれば、第1の制御において、カウンタが所定数未満のカウント値をカウントした場合には、a)エンコーダは正常であるが、例えばヘッド部が印刷装置の筐体等に接触して物理的に移動できないケース、b)エンコーダが異常であるケースのいずれであるかを判別することができない。そのため、この場合には、ヘッド部の移動方向を第1の方向から第2の方向に反転させた上で、エンコーダの異常の有無を判定することにより、上記の前者のケースの場合に、判定部がエンコーダの異常を誤判定するのを回避することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様に係る印刷装置によれば、制御部による第2の制御の前に、エンコーダの異常の有無を予め判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る印刷装置の印刷ユニットを示す斜視図である。
【
図3】ヘッド部及びX軸駆動機構を省略した状態での、実施の形態1に係る印刷装置の印刷ユニットを示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5A】実施の形態1に係るY軸エンコーダからのパルス信号とY軸カウンタによるカウント値との関係を示す図である。
【
図5B】実施の形態1に係るY軸エンコーダからのパルス信号とY軸カウンタによるカウント値との関係を示す図である。
【
図5C】実施の形態1に係るY軸エンコーダからのパルス信号とY軸カウンタによるカウント値との関係を示す図である。
【
図5D】実施の形態1に係るY軸エンコーダからのパルス信号とY軸カウンタによるカウント値との関係を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る印刷装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7A】Y軸エンコーダが正常である場合における、実施の形態1に係る印刷装置の動作を説明するための図である。
【
図7B】Y軸エンコーダが異常である場合における、実施の形態1に係る印刷装置の動作を説明するための図である。
【
図8】実施の形態2に係る印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図9】実施の形態2に係る印刷装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図10】Y軸エンコーダが正常である場合における、実施の形態2に係る印刷装置の動作を説明するための図である。
【
図11】実施の形態3に係る印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図12】実施の形態3に係る印刷装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態3に係る印刷装置の動作を説明するための図である。
【
図14】実施の形態4に係る印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図15】実施の形態4に係る印刷装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図16】実施の形態4に係る印刷装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0024】
(実施の形態1)
[1-1.印刷装置の構造]
まず、
図1~
図3を参照しながら、実施の形態1に係る印刷装置2の構造について説明する。
図1は、実施の形態1に係る印刷装置2の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る印刷装置2の印刷ユニット6を示す斜視図である。
図3は、ヘッド部20及びX軸駆動機構22aを省略した状態での、実施の形態1に係る印刷装置2の印刷ユニット6を示す斜視図である。
【0025】
なお、
図1~
図3において、印刷装置2の幅方向(左右方向)をX軸方向、印刷装置2の奥行き方向(前後方向)をY軸方向、印刷装置2の高さ方向をZ軸方向として説明する。また、説明の都合上、
図2及び
図3では、筐体4の一部を切り欠いて図示してある。
【0026】
図1~
図3に示すように、印刷装置2は、筐体4と、筐体4の内部に配置された印刷ユニット6とを備えている。本実施の形態では、印刷装置2は、ユーザの手の指8の爪10(記録媒体の一例)に例えば色又は絵柄等のマニキュア用の印刷を施すための、いわゆるネイルプリンタである。
【0027】
なお、印刷装置2は、例えばスマートフォン又はタブレット端末等の外部端末(図示せず)と無線通信可能である。ユーザは、外部端末にインストールされたアプリケーションをインタフェースとして用いることにより、印刷装置2を操作することができる。
【0028】
図1に示すように、筐体4は、例えば樹脂製であり、箱形状に形成されている。筐体4の天面4aには、印刷装置2の電源をオン・オフするための電源スイッチ12が配置されている。
【0029】
図1に示すように、筐体4の前面4bには、ユーザの指8を挿入するための開口部14が形成されている。
図1~
図3に示すように、開口部14の下側(Z軸のマイナス側)には、ユーザの指8を載置するためのフィンガーホルダ16が配置されている。また、
図1に示すように、開口部14の上側(Z軸のプラス側)には、ユーザの指8を上方から押さえるための押さえカバー18が配置されている。フィンガーホルダ16は、押さえカバー18に対して上下方向(Z軸方向)に移動可能であり、押さえカバー18に近付く方向にバネ(図示せず)で付勢されている。
【0030】
図2及び
図3に示すように、ユーザは、指8の爪10が上側を向くようにして、指8を真っ直ぐに伸ばした状態で筐体4の開口部14(
図1参照)に挿入し、指8の腹側をフィンガーホルダ16に載置する。これにより、指8の爪10を含む部分(例えば、指8の先端から第一関節の近傍までの部分)が筐体4の内部に配置される。この時、フィンガーホルダ16が押さえカバー18に近付く方向に付勢されることにより、例えば指8の第一関節付近がフィンガーホルダ16及び押さえカバー18により上下から挟持される。
【0031】
印刷ユニット6は、筐体4の内部に配置された指8の爪10にマニキュア用の印刷を施すためのユニットである。印刷ユニット6の印刷方式は、指8の爪10にミスト状のインクを吹き付けることにより印刷を施すインクジェット方式である。
図2に示すように、印刷ユニット6は、ヘッド部20と、駆動機構22とを有している。
【0032】
ヘッド部20は、キャリッジ24と、キャリッジ24に搭載されたインクタンク26とを有している。インクタンク26の内部には、例えばCMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)の4種類のインクが充填されている。キャリッジ24の下面には、インクタンク26から供給されたインクを指8の爪10に向けて下方に吐出するノズル面(図示せず)が形成されている。
【0033】
駆動機構22は、ヘッド部20を、主走査方向(X軸方向)及び主走査方向と略直交する副走査方向(Y軸方向)(所定方向の一例)に二次元的に移動させるための機構である。
図2及び
図3に示すように、駆動機構22は、指8の爪10に対してヘッド部20を主走査方向に移動させるためのX軸駆動機構22aと、指8の爪10に対してヘッド部20を副走査方向に移動させるためのY軸駆動機構22bとを有している。
【0034】
図2に示すように、X軸駆動機構22aは、移動テーブル28と、X軸ガイドシャフト30と、X軸モータ32と、タイミングベルト34とを有している。
【0035】
X軸ガイドシャフト30は、筐体4の内部に配置された移動テーブル28に支持されており、X軸方向に長尺状に延びている。X軸ガイドシャフト30には、ヘッド部20が移動可能に支持されている。X軸モータ32は、例えばサーボモータで構成され、移動テーブル28の下面に支持されている。
【0036】
X軸モータ32の駆動力は、タイミングベルト34を介してヘッド部20に伝達される。これにより、ヘッド部20は、移動テーブル28に対して、X軸ガイドシャフト30に沿ってX軸方向に移動する。
【0037】
図3に示すように、Y軸駆動機構22bは、移動テーブル28(
図2参照)と、ベアリング部材36と、Y軸ガイドシャフト38と、Y軸モータ40(駆動源の一例)と、ウォームギア42と、ウォームホイール44と、駆動変換機構46とを有している。
【0038】
Y軸ガイドシャフト38は、筐体4の内部に配置されたベースフレーム48に支持されており、Y軸方向に長尺状に延びている。Y軸ガイドシャフト38には、移動テーブル28の下面に固定されたベアリング部材36が移動可能に支持されている。すなわち、移動テーブル28は、ベアリング部材36を介してY軸ガイドシャフト38に移動可能に支持されている。Y軸モータ40は、例えばサーボモータで構成され、ベースフレーム48に支持されている。ウォームギア42は、Y軸モータ40の駆動軸に回転可能に支持されている。ウォームホイール44は、ベースフレーム48に回転可能に支持されており、ウォームギア42と噛み合わされている。
【0039】
駆動変換機構46は、ウォームホイール44の回転をヘッド部20のY軸方向における直線移動に変換するための機構である。駆動変換機構46は、ウォームホイール44に形成されたピニオン歯車50と、ベアリング部材36に形成されたラック歯車52とを有している。ピニオン歯車50及びラック歯車52は、互いに噛み合わされている。
【0040】
Y軸モータ40の駆動力は、ウォームギア42、ウォームホイール44、ピニオン歯車50及びラック歯車52を介して移動テーブル28に伝達される。これにより、ヘッド部20は、移動テーブル28と一体的に、Y軸ガイドシャフト38に沿ってY軸方向に移動する。
【0041】
ヘッド部20が主走査方向に往復移動しながら、副走査方向における他方側から一方側(Y軸のプラス側からマイナス側)に向けて移動している状態で、ヘッド部20のノズル面から指8の爪10に向けてインクが吐出されることにより、指8の爪10に印刷が施される。
【0042】
[1-2.印刷装置の機能構成]
次に、
図4~
図5Dを参照しながら、実施の形態1に係る印刷装置2の機能構成について説明する。
図4は、実施の形態1に係る印刷装置2の機能構成を示すブロック図である。
図5A~
図5Dは、実施の形態1に係るY軸エンコーダ68からのパルス信号とY軸カウンタ70によるカウント値との関係を示す図である。
【0043】
図4に示すように、印刷装置2は、通信部54と、記憶部56と、画像処理部58と、ヘッド部20と、X軸駆動部60と、X軸モータ32と、X軸エンコーダ62と、X軸カウンタ64と、Y軸駆動部66と、Y軸モータ40と、Y軸エンコーダ68(エンコーダの一例)と、Y軸カウンタ70(カウンタの一例)と、判定部72と、制御部74とを備えている。なお、ヘッド部20、X軸モータ32及びY軸モータ40については既述したので、ここでの説明を省略する。
【0044】
通信部54は、例えばスマートフォン又はタブレット端末等の外部端末(図示せず)と無線通信を行う。具体的には、通信部54は、例えば印刷装置2に対して印刷の開始を指示するための印刷開始信号等を外部端末から受信する。通信部54は、受信した印刷開始信号等を画像処理部58に出力する。
【0045】
記憶部56は、印刷すべき画像データを記憶するためのメモリである。
【0046】
画像処理部58は、通信部54からの印刷開始信号に基づいて、記憶部56に記憶された画像データを読み出し、読み出した画像データに画像処理を施す。画像処理部58は、画像処理を施した画像データを制御部74に出力する。
【0047】
X軸駆動部60は、X軸モータ32を駆動するためのモータドライバである。すなわち、X軸駆動部60は、X軸モータ32に電圧を印加することにより、指8の爪10に対してヘッド部20を主走査方向に移動させる。
【0048】
X軸エンコーダ62は、ヘッド部20の主走査方向における位置に応じたA相のパルス信号及びB相のパルス信号を出力する。X軸エンコーダ62は、例えば移動テーブル28に配置されたリニアエンコーダである。A相のパルス信号及びB相のパルス信号は、90°の位相差を有している。X軸エンコーダ62は、A相のパルス信号及びB相のパルス信号をX軸カウンタ64に出力する。
【0049】
X軸カウンタ64は、X軸エンコーダ62からのA相のパルス信号及びB相のパルス信号に基づいて、カウント値をカウントする。X軸カウンタ64は、カウントしたカウント値を制御部74に出力する。
【0050】
Y軸駆動部66は、Y軸モータ40を駆動するためのモータドライバである。すなわち、Y軸駆動部66は、Y軸モータ40に電圧を印加することにより、指8の爪10に対してヘッド部20を副走査方向に移動させる。
【0051】
Y軸エンコーダ68は、ヘッド部20の副走査方向における位置に応じたA相のパルス信号(第1のパルス信号の一例)及びB相のパルス信号(第2のパルス信号の一例)を出力する。Y軸エンコーダ68は、例えばウォームホイール44に配置されたロータリエンコーダである。A相のパルス信号及びB相のパルス信号は、90°の位相差(所定の位相差の一例)を有している。Y軸エンコーダ68は、A相のパルス信号及びB相のパルス信号をY軸カウンタ70に出力する。
【0052】
Y軸カウンタ70は、Y軸エンコーダ68からのA相のパルス信号及びB相のパルス信号に基づいて、カウント値をカウントする。なお、ヘッド部20が副走査方向における前方(Y軸のマイナス方向)に移動している際には、Y軸カウンタ70はカウント値をカウントアップする。一方、ヘッド部20が副走査方向における後方(Y軸のプラス方向)に移動している際には、Y軸カウンタ70はカウント値をカウントダウンする。Y軸カウンタ70は、カウントしたカウント値を判定部72及び制御部74に出力する。
【0053】
ここで、
図5A~
図5Dを参照しながら、Y軸カウンタ70によりカウントされるカウント値について具体的に説明する。
【0054】
Y軸エンコーダ68が正常であり、且つ、ヘッド部20が副走査方向における前方に移動している状態では、
図5Aの(d)及び(e)に示すように、Y軸エンコーダ68は、A相のパルス信号及びB相のパルス信号を出力する。
【0055】
ここで、
図5Aの(a)~(c)に示すように、A相のパルス信号及びB相のパルス信号の各波形の遷移の組み合わせとしては、i)A相のパルス信号が立ち上がり、且つ、B相のパルス信号が一定(組み合わせ番号=1)、ii)A相のパルス信号が一定、且つ、B相のパルス信号が立ち上がり(組み合わせ番号=2)、iii)A相のパルス信号が立ち下がり、且つ、B相のパルス信号が一定(組み合わせ番号=3)、iv)A相のパルス信号が一定、且つ、B相のパルス信号が立ち下がり(組み合わせ番号=4)の4通りの組み合わせが存在する。
【0056】
この場合、
図5Aの(f)に示すように、Y軸カウンタ70は、A相のパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ、並びに、B相のパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの各タイミングで、例えば「1」→「2」→「3」→「4」→・・・のようにカウント値を「1」ずつカウントアップする。
【0057】
また、Y軸エンコーダ68が正常であり、且つ、ヘッド部20が副走査方向における後方に移動している状態では、
図5Bの(d)及び(e)に示すように、Y軸エンコーダ68は、A相のパルス信号及びB相のパルス信号を出力する。
【0058】
ここで、
図5Bの(a)~(c)に示すように、A相のパルス信号及びB相のパルス信号の各波形の遷移の組み合わせとしては、i)A相のパルス信号が一定、且つ、B相のパルス信号が立ち上がり(組み合わせ番号=2)、ii)A相のパルス信号が立ち上がり、且つ、B相のパルス信号が一定(組み合わせ番号=1)、iii)A相のパルス信号が一定、且つ、B相のパルス信号が立ち下がり(組み合わせ番号=4)、iv)A相のパルス信号が立ち下がり、且つ、B相のパルス信号が一定(組み合わせ番号=3)の4通りの組み合わせが存在する。
【0059】
この場合、
図5Bの(f)に示すように、Y軸カウンタ70は、A相のパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ、並びに、B相のパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの各タイミングで、例えば「7」→「6」→「5」→「4」→・・・のようにカウント値を「1」ずつカウントダウンする。
【0060】
また、Y軸エンコーダ68が異常(A相のパルス信号が欠損)であり、且つ、ヘッド部20が副走査方向における前方又は後方に移動している状態では、
図5Cの(d)及び(e)に示すように、Y軸エンコーダ68は、B相のパルス信号のみを出力する。
【0061】
ここで、
図5Cの(a)~(c)に示すように、A相のパルス信号及びB相のパルス信号の各波形の遷移の組み合わせとしては、i)A相のパルス信号が一定、且つ、B相のパルス信号が立ち上がり(組み合わせ番号=2)、ii)A相のパルス信号が一定、且つ、B相のパルス信号が立ち下がり(組み合わせ番号=4)の2通りの組み合わせが存在する。
【0062】
この場合、
図5Cの(f)に示すように、Y軸カウンタ70は、B相のパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの各タイミングで、例えば「1」→「0」→「1」→「0」→・・・のようにカウント値のカウントアップ及びカウントダウンを繰り返すようになる。
【0063】
また、Y軸エンコーダ68が異常(B相のパルス信号が欠損)であり、且つ、ヘッド部20が副走査方向における前方又は後方に移動している状態では、
図5Dの(d)及び(e)に示すように、Y軸エンコーダ68は、A相のパルス信号のみを出力する。
【0064】
ここで、
図5Dの(a)~(c)に示すように、A相のパルス信号及びB相のパルス信号の各波形の遷移の組み合わせとしては、i)A相のパルス信号が立ち上がり、且つ、B相のパルス信号が一定(組み合わせ番号=1)、ii)A相のパルス信号が立ち下がり、且つ、B相のパルス信号が一定(組み合わせ番号=3)の2通りの組み合わせが存在する。
【0065】
この場合、
図5Dの(f)に示すように、Y軸カウンタ70は、A相のパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの各タイミングで、例えば「0」→「1」→「0」→「1」→・・・のようにカウント値のカウントアップ及びカウントダウンを繰り返すようになる。
【0066】
また、図示しないが、Y軸エンコーダ68が異常(A相のパルス信号及びB相のパルス信号がともに欠損)であり、且つ、ヘッド部20が副走査方向における前方又は後方に移動している状態では、Y軸エンコーダ68は、A相のパルス信号及びB相のパルス信号のいずれも出力しない。この場合、Y軸カウンタ70によりカウントされるカウント値は、例えば「0」→「0」→「0」→「0」→・・・のように、「0」で一定となる。
【0067】
図4に戻り、判定部72は、制御部74による第1の制御(後述する)において、ヘッド部20が副走査方向における前方に移動している状態で、Y軸カウンタ70によりカウントアップされたカウント値に基づいて、Y軸エンコーダ68の異常の有無を判定する。
【0068】
具体的には、Y軸カウンタ70が、例えば
図5Aの(f)に示すカウント値「1」→「2」→「3」→「4」→・・・のように、4以上(所定数以上の一例)のカウント値をカウントアップした場合には、判定部72は、Y軸エンコーダ68が正常であると判定する。なお、4以上のカウント値がカウントアップされることは、例えば
図5Aに示すように、A相のパルス信号及びB相のパルス信号の各波形の遷移の組み合わせが4通り存在することを意味しているため、Y軸エンコーダ68からA相のパルス信号及びB相のパルス信号がともに正常に出力されていると考えられる。
【0069】
一方、Y軸カウンタ70が、例えば
図5Cの(f)及び
図5Dの(f)に示すカウント値「0」→「1」のように、4未満(所定数未満の一例)のカウント値をカウントアップした場合には、判定部72は、Y軸エンコーダ68が異常であると判定する。なお、4未満のカウント値がカウントアップされることは、例えば
図5C及び
図5Dに示すように、A相のパルス信号及びB相のパルス信号の各波形の遷移の組み合わせが4通り存在しないことを意味しているため、Y軸エンコーダ68からA相のパルス信号及びB相のパルス信号の少なくとも一方が正常に出力されていないと考えられる。
【0070】
制御部74は、第1の制御と、第2の制御とを実行する。
【0071】
第1の制御は、第2の制御(例えば印刷動作)の前に、判定部72によりY軸エンコーダ68の異常の有無を予め判定するために、Y軸駆動部66(Y軸モータ40)を駆動するための制御である。制御部74は、第1の制御では、Y軸カウンタ70からのカウント値に依らず、Y軸モータ40に一定電圧(例えば約9.6V)が第1の時間(例えば30m秒)印加されるようにY軸駆動部66を駆動する。すなわち、制御部74は、第1の制御では、Y軸駆動部66を駆動する際に、Y軸カウンタ70からのカウント値に基づくフィードバック制御を行わない。これにより、第1の制御では、ヘッド部20は、副走査方向における前方に第1の距離(例えば1mm以下)だけ移動するようになる。なお、第1の時間は、例えばタイマにより計測される一定時間である。
【0072】
第2の制御は、第1の制御の後に、指8の爪10に画像処理部58からの画像データに基づく印刷が施されるように、ヘッド部20、X軸駆動部60(X軸モータ32)及びY軸駆動部66(Y軸モータ40)を駆動するための制御である。制御部74は、第2の制御では、X軸カウンタ64からのカウント値に基づいて、X軸モータ32に所定電圧が第1の時間よりも長い第2の時間(例えば数秒~数十秒程度)印加されるようにX軸駆動部60を駆動する。すなわち、制御部74は、第2の制御では、X軸駆動部60を駆動させる際に、X軸カウンタ64からのカウント値に基づくフィードバック制御を行う。また、制御部74は、第2の制御では、Y軸カウンタ70からのカウント値に基づいて、Y軸モータ40に所定電圧が第1の時間よりも長い第2の時間印加されるようにY軸駆動部66を駆動する。すなわち、制御部74は、第2の制御では、Y軸駆動部66を駆動する際に、Y軸カウンタ70からのカウント値に基づくフィードバック制御を行う。これにより、第1の制御では、ヘッド部20は、副走査方向における前方に第1の距離よりも長い第2の距離(例えば数cm)だけ移動するようになる。
【0073】
制御部74は、第1の制御において、判定部72によりY軸エンコーダ68が正常であると判定された場合には、第1の制御から第2の制御に移行する。一方、制御部74は、第1の制御において、判定部72によりY軸エンコーダ68が異常であると判定された場合には、第1の制御から第2の制御に移行しない。これにより、制御部74は、第2の制御としての例えば印刷動作を実行しない。
【0074】
[1-3.印刷装置の動作]
次に、
図6~
図7Bを参照しながら、実施の形態1に係る印刷装置2の動作について説明する。
図6は、実施の形態1に係る印刷装置2の動作の流れを示すフローチャートである。
図7Aは、Y軸エンコーダ68が正常である場合における、実施の形態1に係る印刷装置2の動作を説明するための図である。
図7Bは、Y軸エンコーダ68が異常である場合における、実施の形態1に係る印刷装置2の動作を説明するための図である。
【0075】
図6に示すように、まず、制御部74による第1の制御が開始し(S101)、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントアップが開始する(S102)。
図7Aの(c)及び
図7Bの(c)に示すように、制御部74は、Y軸カウンタ70からのカウント値に依らず、Y軸モータ40に一定電圧が第1の時間印加されるようにY軸駆動部66を駆動する(S103)。これにより、ヘッド部20は、副走査方向における前方に移動する。
【0076】
ここで、Y軸エンコーダ68が正常である場合には、
図7Aの(a)及び(b)に示すように、Y軸エンコーダ68からA相のパルス信号及びB相のパルス信号がともに出力される。一方、Y軸エンコーダ68が異常である場合には、
図7Bの(a)及び(b)に示すように、Y軸エンコーダ68からA相のパルス信号が出力されない、あるいは、図示しないが、Y軸エンコーダ68からB相のパルス信号(又は、A相のパルス信号及びB相のパルス信号の両方)が出力されない。
【0077】
Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過していない場合には(S104でNO)、上述したステップS103に戻る。Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過した場合には(S104でYES)、制御部74は、Y軸駆動部66の駆動を停止することにより、Y軸モータ40への一定電圧の印加を終了する(S105)。なお、Y軸モータ40に一定電圧が印加されている第1の時間では、ヘッド部20は、Y軸駆動部66からの駆動力により副走査方向における前方に移動する。第1の時間の経過後にY軸モータ40に一定電圧が印加されない第3の時間(例えば70m秒)(惰性期間)では、ヘッド部20は、副走査方向における前方に惰力で移動する。これにより、ヘッド部20は、第1の時間と第3の時間とに亘って、副走査方向における前方に第1の距離(例えば1mm以下)だけ移動するようになる。
【0078】
Y軸カウンタ70は、第1の制御において、第1の時間と第3の時間とに亘って、カウント値をカウントアップする。第3の時間の経過時には、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントアップが終了する(S106)。
【0079】
Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4以上のカウント値をカウントアップした場合には(S107でYES)、判定部72は、Y軸エンコーダ68が正常であると判定する(S108)。この場合、制御部74は、第1の制御から第2の制御に移行する(S109)。
【0080】
ステップS107に戻り、Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4未満のカウント値をカウントアップした場合には(S107でNO)、判定部72は、Y軸エンコーダ68が異常であると判定する(S110)。この場合、制御部74は、第1の制御を終了し(S111)、第1の制御から第2の制御に移行しない。
【0081】
[1-4.効果]
上述したように、制御部74は、第2の制御の前に第1の制御を実行するので、Y軸エンコーダ68の異常の有無を予め判定することができる。これにより、第2の制御において、制御部74によるY軸駆動部66の駆動が制御不能になるのを回避することができる。
【0082】
また、制御部74は、第1の制御では、Y軸カウンタ70からのカウント値に基づいてY軸駆動部66を駆動するフィードバック制御を行わない。これにより、仮にY軸エンコーダ68が故障している場合であっても、ヘッド部20を暴走させることなく、Y軸エンコーダ68の異常の有無を検出するのに必要な第1の距離(例えば1mm以下)だけヘッド部20を移動させることができる。その結果、移動テーブル28が副走査方向における前方に暴走して、指8の爪10に接触するのを回避することができる。
【0083】
(実施の形態2)
[2-1.印刷装置の機能構成]
図8を参照しながら、実施の形態2に係る印刷装置2Aの機能構成について説明する。
図8は、実施の形態2に係る印刷装置2Aの機能構成を示すブロック図である。なお、以下の各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0084】
上記実施の形態1では、制御部74は、第1の制御において、ヘッド部20が副走査方向における前方に移動するようにY軸駆動部66を駆動した。これに対して、
図8に示すように、実施の形態2に係る印刷装置2Aの制御部74Aは、第1の制御において、ヘッド部20が副走査方向における後方に移動するようにY軸駆動部66を駆動する。
【0085】
判定部72Aは、制御部74Aによる第1の制御において、ヘッド部20が副走査方向における後方に移動している状態で、Y軸カウンタ70によりカウントダウンされたカウント値に基づいて、Y軸エンコーダ68の異常の有無を判定する。
【0086】
具体的には、Y軸カウンタ70が、例えば上述した
図5Bの(f)に示すカウント値「7」→「6」→「5」→「4」→・・・のように、4以上のカウント値をカウントダウンした場合には、判定部72は、Y軸エンコーダ68が正常であると判定する。なお、4以上のカウント値がカウントダウンされることは、
図5Bに示すように、A相のパルス信号及びB相のパルス信号の各波形の遷移の組み合わせが4通り存在することを意味しているため、Y軸エンコーダ68からA相のパルス信号及びB相のパルス信号がともに正常に出力されていると考えられる。
【0087】
[2-2.印刷装置の動作]
次に、
図9及び
図10を参照しながら、実施の形態2に係る印刷装置2Aの動作について説明する。
図9は、実施の形態2に係る印刷装置2Aの動作の流れを示すフローチャートである。
図10は、Y軸エンコーダ68が正常である場合における、実施の形態2に係る印刷装置2Aの動作を説明するための図である。
【0088】
図9に示すように、まず、制御部74Aによる第1の制御が開始し(S201)、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントダウンが開始する(S202)。
図10の(c)に示すように、制御部74Aは、Y軸カウンタ70からのカウント値に依らず、Y軸モータ40に一定電圧が第1の時間印加されるようにY軸駆動部66を駆動する(S203)。これにより、ヘッド部20は、副走査方向における後方に移動する。
【0089】
ここで、Y軸エンコーダ68が正常である場合には、
図10の(a)及び(b)に示すように、Y軸エンコーダ68からA相のパルス信号及びB相のパルス信号がともに出力される。一方、図示しないが、Y軸エンコーダ68が異常である場合には、Y軸エンコーダ68からA相のパルス信号及びB相のパルス信号の少なくとも一方が出力されない。
【0090】
Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間(例えば30m秒)が経過していない場合には(S204でNO)、上述したステップS203に戻る。Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過した場合には(S204でYES)、制御部74Aは、Y軸駆動部66の駆動を停止することにより、Y軸モータ40への一定電圧の印加を終了する(S205)。なお、Y軸モータ40に一定電圧が印加されている第1の時間では、ヘッド部20は、Y軸駆動部66からの駆動力により副走査方向における後方に移動する。第1の時間の経過後にY軸モータ40に一定電圧が印加されない第3の時間(例えば70m秒)(惰性期間)では、ヘッド部20は、副走査方向における後方に惰力で移動する。これにより、ヘッド部20は、第1の時間と第3の時間とに亘って、副走査方向における後方に第1の距離(例えば1mm以下)だけ移動するようになる。
【0091】
Y軸カウンタ70は、第1の制御において、第1の時間と第3の時間とに亘って、カウント値をカウントダウンする。第3の時間の経過時には、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントダウンが終了する(S206)。
【0092】
Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4以上のカウント値をカウントダウンした場合には(S207でYES)、判定部72Aは、Y軸エンコーダ68が正常であると判定する(S208)。この場合、制御部74Aは、第1の制御から第2の制御に移行する(S209)。
【0093】
ステップS207に戻り、Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4未満のカウント値をカウントダウンした場合には(S207でNO)、判定部72Aは、Y軸エンコーダ68が異常であると判定する(S210)。この場合、制御部74Aは、第1の制御を終了し(S211)、第1の制御から第2の制御に移行しない。
【0094】
[2-3.効果]
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0095】
(実施の形態3)
[3-1.印刷装置の機能構成]
図11を参照しながら、実施の形態3に係る印刷装置2Bの機能構成について説明する。
図11は、実施の形態3に係る印刷装置2Bの機能構成を示すブロック図である。
【0096】
図11に示すように、実施の形態3に係る印刷装置2Bの制御部74Bは、第1の制御において、ヘッド部20が副走査方向における前方(第1の方向の一例)に移動するようにY軸駆動部66を駆動する。この時、制御部74Bは、Y軸カウンタ70によるカウント値に応じて、ヘッド部20の移動方向を反転させ、ヘッド部20が副走査方向における後方(第2の方向の一例)に移動するようにY軸駆動部66を駆動する。
【0097】
判定部72Bは、第1の制御において、ヘッド部20が副走査方向における前方又は後方に移動している状態で、Y軸カウンタ70によりカウントされたカウント値に基づいて、Y軸エンコーダ68の異常の有無を判定する。
【0098】
[3-2.印刷装置の動作]
次に、
図12及び
図13を参照しながら、実施の形態3に係る印刷装置2Bの動作について説明する。
図12は、実施の形態3に係る印刷装置2Bの動作の流れを示すフローチャートである。
図13は、実施の形態3に係る印刷装置2Bの動作を説明するための図である。
【0099】
図12に示すように、まず、制御部74Bによる第1の制御が開始し(S301)、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントアップが開始する(S302)。制御部74Bは、Y軸カウンタ70からのカウント値に依らず、Y軸モータ40に一定電圧が第1の時間印加されるようにY軸駆動部66を駆動する(S303)。これにより、ヘッド部20は、副走査方向における前方に移動する。
【0100】
Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過していない場合には(S304でNO)、上述したステップS303に戻る。Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過した場合には(S304でYES)、制御部74Bは、Y軸駆動部66の駆動を停止することにより、Y軸モータ40への一定電圧の印加を終了する(S305)。
【0101】
Y軸カウンタ70は、第1の制御において、第1の時間と第3の時間(惰性期間)とに亘って、カウント値をカウントアップする。第3の時間の経過時には、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントアップが終了する(S306)。
【0102】
Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4以上のカウント値をカウントアップした場合には(S307でYES)、判定部72Bは、Y軸エンコーダ68が正常であると判定する(S308)。この場合、制御部74Bは、第1の制御から第2の制御に移行する(S309)。
【0103】
ステップS307に戻り、Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4未満のカウント値をカウントアップした場合には(S307でNO)、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントダウンが開始する(S310)。なお、このタイミングでは、判定部72Bは、Y軸エンコーダ68が異常であると判定しない。
【0104】
なお、第1の制御において、Y軸カウンタ70が4未満のカウント値をカウントアップした場合には、a)Y軸エンコーダ68は正常であるが、例えば
図13に示すようにヘッド部20が筐体4の前面4bに接触して物理的に移動できないケース、b)Y軸エンコーダ68が異常であるケースのいずれであるかを判別することができない。そのため、この場合には、以下で説明するように、ヘッド部20の移動方向を副走査方向における前方から後方に反転させた上で、Y軸エンコーダ68の異常の有無を判定する。
【0105】
制御部74Bは、Y軸カウンタ70からのカウント値に依らず、Y軸モータ40に一定電圧が第1の時間印加されるようにY軸駆動部66を駆動する(S311)。これにより、ヘッド部20は、副走査方向における後方に移動する。
【0106】
Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過していない場合には(S312でNO)、上述したステップS311に戻る。Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過した場合には(S312でYES)、制御部74Bは、Y軸駆動部66の駆動を停止することにより、Y軸モータ40への一定電圧の印加を終了する(S313)。
【0107】
Y軸カウンタ70は、第1の制御において、第1の時間と第3の時間(惰性期間)とに亘って、カウント値をカウントダウンする。第3の時間の経過時には、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントダウンが終了する(S314)。
【0108】
Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4以上のカウント値をカウントダウンした場合には(S315でYES)、判定部72Bは、Y軸エンコーダ68が正常であると判定する(S308)。この場合、制御部74Bは、第1の制御から第2の制御に移行する(S309)。
【0109】
ステップS315に戻り、Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4未満のカウント値をカウントダウンした場合には(S315でNO)、判定部72Bは、Y軸エンコーダ68が異常であると判定する(S316)。この場合、制御部74Bは、第1の制御を終了し(S317)、第1の制御から第2の制御に移行しない。
【0110】
[3-3.効果]
本実施の形態では、Y軸エンコーダ68は正常であるが、例えば
図13に示すように、ヘッド部20が筐体4の前面4bに接触して物理的に移動できない場合に、判定部72BがY軸エンコーダ68の異常を誤判定するのを回避することができる。
【0111】
なお、ヘッド部20が筐体4の前面4bに接触していることを検出するセンサ等を筐体4の内部に配置した場合には、制御部74Bは、センサ等からの検出結果に基づいて、ヘッド部20を副走査方向における前方に移動させることなく、ヘッド部20を副走査方向における後方にのみ移動させてもよい。すなわち、上述したステップS302~S307を省略してもよい。
【0112】
(実施の形態4)
[4-1.印刷装置の機能構成]
図14を参照しながら、実施の形態4に係る印刷装置2Cの機能構成について説明する。
図14は、実施の形態4に係る印刷装置2Cの機能構成を示すブロック図である。
【0113】
図14に示すように、実施の形態4に係る印刷装置2Cの制御部74Cは、第1の制御において、ヘッド部20が副走査方向における後方(第1の方向の一例)に移動するようにY軸駆動部66を駆動する。この時、制御部74Cは、Y軸カウンタ70によるカウント値に応じて、ヘッド部20の移動方向を反転させ、ヘッド部20が副走査方向における前方(第2の方向の一例)に移動するようにY軸駆動部66を駆動する。
【0114】
判定部72Cは、第1の制御において、ヘッド部20が副走査方向における前方又は後方に移動している状態で、Y軸カウンタ70によりカウントされたカウント値に基づいて、Y軸エンコーダ68の異常の有無を判定する。
【0115】
[4-2.印刷装置の動作]
次に、
図15及び
図16を参照しながら、実施の形態4に係る印刷装置2Cの動作について説明する。
図15は、実施の形態4に係る印刷装置2Cの動作の流れを示すフローチャートである。
図16は、実施の形態4に係る印刷装置2Cの動作を説明するための図である。
【0116】
図15に示すように、まず、制御部74Cによる第1の制御が開始し(S401)、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントダウンが開始する(S402)。制御部74Cは、Y軸カウンタ70からのカウント値に依らず、Y軸モータ40に一定電圧が第1の時間印加されるようにY軸駆動部66を駆動する(S403)。これにより、ヘッド部20は、副走査方向における後方に移動する。
【0117】
Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過していない場合には(S404でNO)、上述したステップS403に戻る。Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過した場合には(S404でYES)、制御部74Cは、Y軸駆動部66の駆動を停止することにより、Y軸モータ40への一定電圧の印加を終了する(S405)。
【0118】
Y軸カウンタ70は、第1の制御において、第1の時間と第3の時間(惰性期間)とに亘って、カウント値をカウントダウンする。第3の時間の経過時には、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントダウンが終了する(S406)。
【0119】
Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4以上のカウント値をカウントダウンした場合には(S407でYES)、判定部72Cは、Y軸エンコーダ68が正常であると判定する(S408)。この場合、制御部74Cは、第1の制御から第2の制御に移行する(S409)。
【0120】
ステップS407に戻り、Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4未満のカウント値をカウントダウンした場合には(S407でNO)、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントアップが開始する(S410)。なお、このタイミングでは、判定部72Cは、Y軸エンコーダ68が異常であると判定しない。
【0121】
なお、第1の制御において、Y軸カウンタ70が4未満のカウント値をカウントダウンした場合には、a)Y軸エンコーダ68は正常であるが、例えば
図16に示すようにヘッド部20が筐体4の背面4c(前面4bと対向する面)に接触して物理的に移動できないケース、b)Y軸エンコーダ68が異常であるケースのいずれであるかを判別することができない。そのため、この場合には、以下で説明するように、ヘッド部20の移動方向を副走査方向における後方から前方に反転させた上で、Y軸エンコーダ68の異常の有無を判定する。
【0122】
制御部74Cは、Y軸カウンタ70からのカウント値に依らず、Y軸モータ40に一定電圧が第1の時間印加されるようにY軸駆動部66を駆動する(S411)。これにより、ヘッド部20は、副走査方向における前方に移動する。
【0123】
Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過していない場合には(S412でNO)、上述したステップS411に戻る。Y軸モータ40に一定電圧が印加されてから第1の時間が経過した場合には(S412でYES)、制御部74Cは、Y軸駆動部66の駆動を停止することにより、Y軸モータ40への一定電圧の印加を終了する(S413)。
【0124】
Y軸カウンタ70は、第1の制御において、第1の時間と第3の時間(惰性期間)とに亘って、カウント値をカウントアップする。第3の時間の経過時には、Y軸カウンタ70によるカウント値のカウントアップが終了する(S314)。
【0125】
Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4以上のカウント値をカウントアップした場合には(S415でYES)、判定部72Cは、Y軸エンコーダ68が正常であると判定する(S408)。この場合、制御部74Cは、第1の制御から第2の制御に移行する(S409)。
【0126】
ステップS415に戻り、Y軸カウンタ70が第1の時間と第3の時間とに亘って、4未満のカウント値をカウントアップした場合には(S415でNO)、判定部72Cは、Y軸エンコーダ68が異常であると判定する(S416)。この場合、制御部74Cは、第1の制御を終了し(S417)、第1の制御から第2の制御に移行しない。
【0127】
[4-3.効果]
本実施の形態では、Y軸エンコーダ68は正常であるが、例えば
図16に示すように、例えばヘッド部20が筐体4の背面4cに接触して物理的に移動できない場合に、判定部72CがY軸エンコーダ68の異常を誤判定するのを回避することができる。
【0128】
なお、ヘッド部20が筐体4の背面4cに接触していることを検出するセンサ等を筐体4の内部に配置した場合には、制御部74Cは、センサ等からの検出結果に基づいて、ヘッド部20を副走査方向における後方に移動させることなく、ヘッド部20を副走査方向における前方にのみ移動させてもよい。すなわち、上述したステップS402~S407を省略してもよい。
【0129】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態1~4に係る印刷装置について説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0130】
上記各実施の形態では、判定部72(72A,72B,72C)は、ヘッド部20が副走査方向に移動する場合におけるY軸エンコーダ68の異常の有無を判定したが、これに限定されず、例えばヘッド部20が主走査方向(所定方向の一例)に移動する場合におけるX軸エンコーダ62の異常の有無を判定してもよい。あるいは、ヘッド部20が垂直方向(Z軸方向)(所定方向の一例)に移動する場合には、判定部72(72A,72B,72C)は、ヘッド部20の垂直方向における位置に応じたパルス信号を出力するZ軸エンコーダ(図示せず)の異常の有無を判定してもよい。これらの場合であっても、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【0131】
上記各実施の形態では、Y軸エンコーダ68を円形状のロータリエンコーダとしたが、これに限定されず、ヘッド部20の副走査方向における位置に応じたパルス信号を出力することを満たせば、Y軸エンコーダ68を例えば帯状のリニアエンコーダとしてもよい。
【0132】
上記各実施の形態では、判定部72(72A,72B,72C)は、Y軸カウンタ70によりカウントされたカウント値の絶対値に基づいて、Y軸エンコーダ68の異常の有無を判定したが、これに限定されず、カウント値の増減方向とヘッド部20の移動方向とが一致していない場合に、Y軸エンコーダ68が異常であると判定してもよい。
【0133】
上記各実施の形態では、第2の制御で印刷動作が行われる場合について説明したが、これに限定されず、第2の制御で例えば印刷装置2(2A,2B,2C)の起動動作やメンテナンス動作等が行われるようにしてもよい。
【0134】
上記各実施の形態では、Y軸エンコーダ68は2相のパルス信号(A相のパルス信号及びB相のパルス信号)を出力するように構成したが、これに限定されず、例えば1相のパルス信号のみ又は3相以上のパルス信号を出力するように構成してもよい。
【0135】
上記各実施の形態では、第1の時間を一定時間としたが、これに限定されず、例えば第1の制御においてA相のパルス信号又はB相のパルス信号の最初の立ち上がりエッジが検出された際に、制御部74(74A,74B,74C)は、第1の時間を短くなる方向に変動させてもよい。
【0136】
上記各実施の形態では、制御部74(74A,74B,74C)は、第3の時間の経過後に第2の制御を実行したが、これに限定されず、例えば第1の時間の経過後に第2の制御を実行してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、例えばユーザの手の指の爪にマニキュア用の印刷を施すための印刷装置等として適用することができる。
【符号の説明】
【0138】
2,2A,2B,2C 印刷装置
4 筐体
4a 天面
4b 前面
4c 背面
6 印刷ユニット
8 指
10 爪
12 電源スイッチ
14 開口部
16 フィンガーホルダ
18 押さえカバー
20 ヘッド部
22 駆動機構
22a X軸駆動機構
22b Y軸駆動機構
24 キャリッジ
26 インクタンク
28 移動テーブル
30 X軸ガイドシャフト
32 X軸モータ
34 タイミングベルト
36 ベアリング部材
38 Y軸ガイドシャフト
40 Y軸モータ
42 ウォームギア
44 ウォームホイール
46 駆動変換機構
48 ベースフレーム
50 ピニオン歯車
52 ラック歯車
54 通信部
56 記憶部
58 画像処理部
60 X軸駆動部
62 X軸エンコーダ
64 X軸カウンタ
66 Y軸駆動部
68 Y軸エンコーダ
70 Y軸カウンタ
72,72A,72B,72C 判定部
74,74A,74B,74C 制御部