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特許7388205画像読み取り装置、及び画像読み取りプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】画像読み取り装置、及び画像読み取りプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/409 20060101AFI20231121BHJP
   H04N 1/19 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H04N1/409
H04N1/19
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020007013
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2021114717
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 昌弘
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-246472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04- 1/207
H04N 1/40- 1/409
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ、第1メモリ、第2メモリ、及び単一の除去回路を備え、
前記プロセッサは、前記除去回路が検知した、自動送りされる原稿の一方の面を読み取って第1画像に変換する第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報である第1位置情報を前記第1メモリに記憶すると共に、前記原稿の他方の面を読み取って第2画像に変換する第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報である第2位置情報を前記第2メモリに記憶し、
前記第1画像、及び前記第1メモリに記憶された前記第1位置情報を前記除去回路に入力して、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第1画像に生じた線を除去させた後、前記除去回路に入力する汚れの位置情報を前記第2メモリに記憶された前記第2位置情報に切り替えた上で前記第2画像を前記除去回路に入力して、前記第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第2画像に生じた線を除去させる
画像読み取り装置。
【請求項2】
前記第1光学センサと前記第2光学センサは、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に、前記原稿の搬送方向の下流側における前記搬送方向と交差する前記原稿の一辺が到達してから、前記第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に前記原稿の一辺が到達するように配置され、
前記プロセッサは、前記除去回路が検知した前記第1位置情報を前記第1メモリに記憶してから前記第1画像を前記第1メモリに記憶すると共に、前記第1画像を前記第1メモリに記憶している間に、前記除去回路が検知した前記第2位置情報を前記第2メモリに記憶した後、前記第2画像を前記第2メモリに記憶する
請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2画像を前記第2メモリに記憶している間に、前記第1メモリに記憶された前記第1画像、及び前記第1位置情報を前記除去回路に入力して、前記除去回路に、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第1画像に生じた線を除去させる
請求項2記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第1画像に生じた線の除去が終了した後に、前記第2メモリに記憶された前記第2画像、及び前記第2位置情報を前記除去回路に入力して、前記除去回路に、前記第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第2画像に生じた線を除去させる
請求項3記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記原稿の片面のみの読み取りを指示された場合、前記第1光学センサ及び前記第2光学センサのうち、指示された面を読み取る何れか一方の光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報を前記除去回路に設定すると共に、前記光学センサによって読み取られた前記原稿の画像の記憶先となるメモリに記憶されている前記指示された面の画像を前記除去回路に入力し、前記光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記指示された面の画像に生じた線を除去させる
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
第1メモリ、第2メモリ、及び単一の除去回路を備えるコンピュータに、
前記除去回路が検知した、自動送りされる原稿の一方の面を読み取って第1画像に変換する第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報である第1位置情報を前記第1メモリに記憶すると共に、前記原稿の他方の面を読み取って第2画像に変換する第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報である第2位置情報を前記第2メモリに記憶し、
前記第1画像、及び前記第1メモリに記憶された前記第1位置情報を前記除去回路に入力して、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第1画像に生じた線を除去した後、前記除去回路に入力する汚れの位置情報を前記第2メモリに記憶された前記第2位置情報に切り替えた上で前記第2画像を前記除去回路に入力して、前記第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第2画像に生じた線を除去する処理を実行させる
画像読み取りプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置、及び画像読み取りプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿を搬送しながら原稿の両面の読み取りを行うと共に、それぞれの読み取り位置におけるごみ検知を行う2つの読み取り手段と、前記2つの読み取り手段が読み取った原稿画像データおよびごみ読み取り画像データを記憶させるメモリ手段と、前記メモリ手段に記憶した前記原稿画像データおよび前記ごみ読み取り画像データを取り出して、それぞれの画像処理を行う画像処理手段と、前記メモリ手段に対して前記原稿画像データおよび前記ごみ読み取り画像データの書き込み制御と読み取り制御とを行うメモリ制御手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記メモリ制御手段が前記メモリ手段から取り出した前記ごみ読み取り画像データに対してごみ検知処理を行うと共に、前記原稿画像データに対して各種画像処理をそれぞれ行う画像読み取り装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、原稿を搬送しながら原稿の両面画像を読み取ると共に、それぞれの読み取り面におけるゴミ検出画像を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段が読み取った原稿読み取り画像データおよびゴミ検出用画像データを記憶するメモリ手段と、前記メモリ手段に記憶した前記原稿読み取り画像データおよび前記ゴミ検出用画像データを取り出して、それぞれ画像処理を行う画像処理手段と、前記メモリ手段に対して前記原稿読み取り画像データおよび前記ゴミ検出用画像データの書き込み制御と読み取り制御を行うメモリ制御手段と、を備え、前記画像処理手段は、前記メモリ制御手段が前記メモリ手段から取り出した前記ゴミ検出用画像データに基づいてゴミ検出判定を行い、検出されたゴミ位置を示すゴミ検出データに基づいて前記メモリ手段から取り出した前記原稿読み取り画像データの補正処理を行う画像読み取り装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、原稿を搬送しながら当該原稿の画像を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段で白色画像を読み取った画像データに基づいて、前記原稿の読み取り位置に付着した異物に基づく異常画素を検出し当該異常画素の位置を示すデータを出力する検出手段と、前記検出手段から出力される前記データに基づいて、前記読み取り手段で原稿を読み取って得られた画像データを補正する補正手段と、前記検出手段による前記異常画素の検出を第1の原稿の読み取り直前に行い、当該異常画素の位置を示すデータに基づく前記補正手段による補正処理を、前記第1の原稿に続く第2の原稿を読み取って得られた画像データに対して行うように制御する制御手段と、を有する画像読み取り装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-220133号公報
【文献】特開2011-23920号公報
【文献】特開2012-44371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2つの光学センサを用いて原稿の両面を読み取り、読み取った原稿の両面の画像をそれぞれ生成する画像読み取り装置が存在する。
【0007】
こうした画像読み取り装置の光学センサによる原稿の読み取り範囲に汚れが付着した場合、読み取った原稿には本来存在しないはずの線が原稿の画像に表示されることになる。したがって、画像読み取り装置の中には、汚れに伴って生じた不要な線を取り除く除去回路が備えられているものが存在する。
【0008】
しかしながら、例えばコストやスペースの関係から画像読み取り装置に除去回路が1つしか備えられていない場合、画像読み取り装置で原稿の両面を1度に読み取ると、除去回路では何れか一方の面の画像からしか不要な線を取り除けないことになる。
【0009】
本発明は、光学センサによる原稿の読み取り範囲に付着する汚れによって、読み取った原稿の画像に生じた線を取り除く除去回路が1つしか備えられていない場合であっても、原稿の両面の画像から汚れによって生じた線を取り除くことができる画像読み取り装置、及び画像読み取りプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様に係る画像読み取り装置は、プロセッサ、第1メモリ、第2メモリ、及び単一の除去回路を備え、前記プロセッサは、前記除去回路が検知した、自動送りされる原稿の一方の面を読み取って第1画像に変換する第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報である第1位置情報を前記第1メモリに記憶すると共に、前記原稿の他方の面を読み取って第2画像に変換する第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報である第2位置情報を前記第2メモリに記憶し、前記第1画像、及び前記第1メモリに記憶された前記第1位置情報を前記除去回路に入力して、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第1画像に生じた線を除去させた後、前記除去回路に入力する汚れの位置情報を前記第2メモリに記憶された前記第2位置情報に切り替えた上で前記第2画像を前記除去回路に入力して、前記第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第2画像に生じた線を除去させる。
【0011】
第2態様に係る画像読み取り装置は、第1態様に係る画像読み取り装置において、前記第1光学センサと前記第2光学センサは、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に、前記原稿の搬送方向の下流側における前記搬送方向と交差する前記原稿の一辺が到達してから、前記第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に前記原稿の一辺が到達するように配置され、前記プロセッサは、前記除去回路が検知した前記第1位置情報を前記第1メモリに記憶してから前記第1画像を前記第1メモリに記憶すると共に、前記第1画像を前記第1メモリに記憶している間に、前記除去回路が検知した前記第2位置情報を前記第2メモリに記憶した後、前記第2画像を前記第2メモリに記憶する。
【0012】
第3態様に係る画像読み取り装置は、第2態様に係る画像読み取り装置において、前記プロセッサは、前記第2画像を前記第2メモリに記憶している間に、前記第1メモリに記憶された前記第1画像、及び前記第1位置情報を前記除去回路に入力して、前記除去回路に、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第1画像に生じた線を除去させる。
【0013】
第4態様に係る画像読み取り装置は、第3態様に係る画像読み取り装置において、前記プロセッサは、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第1画像に生じた線の除去が終了した後に、前記第2メモリに記憶された前記第2画像、及び前記第2位置情報を前記除去回路に入力して、前記除去回路に、前記第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第2画像に生じた線を除去させる。
【0014】
第5態様に係る画像読み取り装置は、第1態様~第4態様の何れかの態様に係る画像読み取り装置において、前記プロセッサは、前記原稿の片面のみの読み取りを指示された場合、前記第1光学センサ及び前記第2光学センサのうち、指示された面を読み取る何れか一方の光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報を前記除去回路に設定すると共に、前記光学センサによって読み取られた前記原稿の画像の記憶先となるメモリに記憶されている前記指示された面の画像を前記除去回路に入力し、前記光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記指示された面の画像に生じた線を除去させる。
【0015】
第6態様に係る画像読み取りプログラムは、第1メモリ、第2メモリ、及び単一の除去回路を備えるコンピュータに、前記除去回路が検知した、自動送りされる原稿の一方の面を読み取って第1画像に変換する第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報である第1位置情報を前記第1メモリに記憶すると共に、前記原稿の他方の面を読み取って第2画像に変換する第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れの位置情報である第2位置情報を前記第2メモリに記憶し、前記第1画像、及び前記第1メモリに記憶された前記第1位置情報を前記除去回路に入力して、前記第1光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第1画像に生じた線を除去した後、前記除去回路に入力する汚れの位置情報を前記第2メモリに記憶された前記第2位置情報に切り替えた上で前記第2画像を前記除去回路に入力して、前記第2光学センサにおける前記原稿の読み取り位置に付着する汚れによって前記第2画像に生じた線を除去する処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
第1態様、及び第6態様によれば、光学センサによる原稿の読み取り範囲に付着する汚れによって、読み取った原稿の画像に生じた線を取り除く除去回路が1つしか備えられていない場合であっても、原稿の両面の画像から汚れによって生じた線を取り除くことができる、という効果を有する。
【0017】
第2態様によれば、画像読み取り装置で原稿の両面を一度に読み取った場合であっても、読み取った原稿の両面の画像から汚れによって生じた線を取り除くことができる、という効果を有する。
【0018】
第3態様によれば、第2画像の読み取りと、第1画像からの線の除去を同時に行うことができる、という効果を有する。
【0019】
第4態様によれば、第1画像からの線の除去に引き続き、第2画像からの線の除去を行うことができる、という効果を有する。
【0020】
第5態様によれば、原稿の片面のみの読み取りを指示された場合であっても、両面の画像に生じた線を取り除くための構成と同じ構成を用いて、片面の画像に生じた線を取り除くことができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】画像読み取り装置の要部構成例を示した概略側面図である。
図2】汚れの付着状態を示す図である。
図3】ノイズ線の一例を示す図である。
図4】画像処理部の機能構成例を示す図である。
図5】画像読み取り装置における電気系統の要部構成例を示す図である。
図6】片面読み取りモードが選択された場合におけるノイズ線除去処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】片面読み取りモードが選択された場合における画像処理部でのデータ経路の一例を示す図である。
図8】両面読み取りモードが選択された場合におけるノイズ線除去処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】画像処理部における表面汚れ検知用画像のデータ経路の一例を示す図である。
図10】画像処理部における表面画像と裏面汚れ検知用画像のデータ経路の一例を示す図である。
図11】画像処理部における裏面画像と表面用メモリに記憶された表面画像のデータ経路の一例を示す図である。
図12】裏面用メモリに記憶された裏面画像のデータ経路の一例を示す図である。
図13】両面読み取りモードが選択された場合におけるノイズ線除去処理に対する他の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、画像読み取り装置10の要部構成例を示した概略側面図であり、原稿搬送ユニット40は、原稿Pが積載される積載台42Aと、原稿Pを搬送する原稿搬送路56と、読み取った後の原稿Pが排出される排出台42Bを含んで構成される。
【0024】
原稿搬送路56はU字状に湾曲し、原稿搬送路56の経路上に、ピックアップロール64、フィードロール66、プリレジストロール68、レジストロール70、アウトロール72、及び排出ロール74が設けられている。
【0025】
ピックアップロール64は、原稿Pの読み取りの際に下降し、回転して積載台42Aに積載される原稿Pを原稿搬送路56に引き込む。
【0026】
フィードロール66は、ピックアップロール64により引き込まれた原稿Pのうち、上部に位置する原稿だけを取り出す。
【0027】
プリレジストロール68は、フィードロール66から送られた原稿Pを一時停止させ、原稿搬送路56に対して斜行しないよう斜行補正を行う。
【0028】
レジストロール70は、プリレジストロール68から送られた原稿Pを一時停止させ、原稿Pの読み取りタイミングと、原稿Pの搬送タイミングとの同期をとる。
【0029】
読み取りが行われた原稿Pは矢印R1の方向(以降、「搬送方向R1」という)に搬送され、アウトロール72及び排出ロール74により排出台42Bに排出される。
【0030】
原稿搬送ユニット40によって原稿搬送路56を自動送りされる原稿Pの一方の面は、原稿搬送ユニット40と処理ユニット50との境界に設けられた第1原稿読み取りガラス78を介して、後述する第1光学センサ86Aによって読み取られ、画像に変換される。すなわち、第1原稿読み取りガラス78の範囲が原稿Pの一方の面の読み取り位置になる。
【0031】
また、原稿Pの他方の面は、第1原稿読み取りガラス78よりも原稿Pの搬送方向R1の下流側に位置すると共に、原稿搬送路56上に設置された第2光学センサ86Bによって読み取られ、画像に変換される。すなわち、第1光学センサ86Aにおける原稿Pの読み取り位置に、原稿Pの搬送方向R1の下流側における搬送方向R1と直交する原稿Pの一辺が到達してから、第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置に原稿Pの同じ一辺が到達するように、第1光学センサ86Aと第2光学センサ86Bが配置されている。なお、第1光学センサ86Aにおける原稿Pの読み取り位置から第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置までの搬送方向R1における原稿搬送路56に沿った距離は、搬送方向R1における原稿Pの長さよりも短いものとする。
【0032】
第2光学センサ86Bは、原稿Pの搬送方向R1と直交する方向、すなわち、原稿Pの幅方向に取り付けられた、少なくとも原稿Pの幅以上の長さを有する長尺状の光学センサであり、図示しない光源が原稿Pの他方の面に照射した光の反射光を受光して、1ラインずつ画像に変換する。なお、1度の走査で第1光学センサ86A及び第2光学センサ86Bが読み取れる原稿Pの幅方向に沿った範囲を「1ライン」という。
【0033】
第2光学センサ86Bと原稿Pの間には、例えば第2光学センサ86Bを保護する図示しない第2原稿読み取りガラスが取り付けられており、原稿Pが原稿搬送路56を搬送方向R1に沿って搬送されることにより、第2光学センサ86Bは、図示しない第2原稿読み取りガラスを介して原稿Pにおける他方の面の画像全体を読み取る。すなわち、第2光学センサ86Bの直下の範囲が原稿Pの他方の面の読み取り位置になる。
【0034】
以降では、原稿Pの搬送方向R1の下流側における原稿Pの幅方向に沿った一辺を「原稿Pの先端」という。また、第1光学センサ86Aによって読み取りが行われる原稿Pの一方の面を「原稿Pの表面」とし、第1光学センサ86Aによって得られる原稿Pの画像を「表面画像」ということにする。原稿Pの表面画像は第1画像の一例である。更に、第2光学センサ86Bによって読み取りが行われる原稿Pの他方の面を「原稿Pの裏面」とし、第2光学センサ86Bによって得られる原稿Pの画像を「裏面画像」ということにする。原稿Pの裏面画像は第2画像の一例である。
【0035】
処理ユニット50はフルレートキャリッジ80、ハーフレートキャリッジ82、レンズ84、第1光学センサ86A、及び画像処理部100を含んで構成される。
【0036】
フルレートキャリッジ80は、光源88と、第1ミラー90とを含んで構成され、矢印R2で示す方向、すなわち、原稿Pの搬送方向R1と同じ方向を移動方向として、フルレートキャリッジ80の移動範囲の上方に設けられたプラテンガラス52の端部に相当する位置Fまで移動する。光源88は、原稿Pの幅方向に延びるLED光源等のランプである。
【0037】
ハーフレートキャリッジ82は、第2ミラー92及び第3ミラー94を有し、フルレートキャリッジ80の移動に追従して、プラテンガラス52の中央に相当する位置Hまで移動する。
【0038】
なお、積載台42Aに原稿Pが置かれた場合、フルレートキャリッジ80及びハーフレートキャリッジ82は矢印R2方向に移動せず、第1原稿読み取りガラス78の下方に位置し、第1光学センサ86Aは搬送される原稿Pの表面を第1原稿読み取りガラス78を介して1ラインずつ読み取る。
【0039】
一方、プラテンガラス52に原稿Pが置かれた場合には、フルレートキャリッジ80及びハーフレートキャリッジ82が矢印R2方向に移動するため、第1光学センサ86Aは原稿Pが搬送されなくても、プラテンガラス52を介して原稿Pの表面全体を読み取ることができる。
【0040】
レンズ84は、プラテンガラス52に置かれた原稿P、または第1原稿読み取りガラス78を通過する原稿Pに対して光源88が照射した光の反射光を、第1ミラー90、第2ミラー92、及び第3ミラー94を介して受光し、反射光を第1光学センサ86Aに集束させる。
【0041】
第1原稿読み取りガラス78に近接する位置には、光源88が照射した光を反射する第1基準白色板98が設けられている。第1基準白色板98は光を反射する反射面が白色に塗布されており、第1光学センサ86Aは原稿Pの表面の読み取りに先立って第1基準白色板98を読み取ることで、事前に色の校正を行う。なお、第2光学センサ86Bによる原稿Pの読み取り範囲にも第2基準白色板46が設置されており、第2光学センサ86Bで読み取る裏面画像の色の校正に用いられる。
【0042】
第1光学センサ86A及び第2光学センサ86Bは、それぞれ原稿Pからの反射光を受光し、例えばRGB毎にそれぞれ指定されたビット数で表された画素値を有する画素で構成された画像を生成して画像処理部100に出力する。上記では、第1光学センサ86A及び第2光学センサ86Bがカラー画像を生成する例について説明したが、第1光学センサ86A及び第2光学センサ86Bはグレースケール画像を生成してもよい。
【0043】
こうした画像読み取り装置10において、第1光学センサ86A及び第2光学センサ86Bにおけるそれぞれの原稿Pの読み取り位置に汚れ96が付着すると、表面画像及び裏面画像には汚れ96によって生じた、原稿Pには存在しない線が発生することがある。
【0044】
一例として、図2は、第1光学センサ86Aにおける原稿Pの読み取り位置に汚れ96が付着した状態を示している。第1原稿読み取りガラス78に汚れ96が付着すると、原稿Pは搬送方向R1に搬送される一方、汚れ96は移動することなく第1原稿読み取りガラス78に付着したままとなる。したがって、図3に示すように、原稿Pの表面画像には汚れ96が付着した位置において、原稿Pの搬送方向R1に沿ったすじ状の線(以降、「ノイズ線60」という)が発生する。同様の理由により、第2光学センサ86Bを保護する図示しない第2原稿読み取りガラスに汚れが付着した場合も、原稿Pの裏面画像に図3に示すようなノイズ線60が発生することになる。
【0045】
したがって、画像処理部100では、表面画像及び裏面画像の少なくとも一方からノイズ線60を除去する処理を行う。
【0046】
図4は、画像処理部100における機能構成例を示す図である。図4に示すように、画像処理部100は前段画像処理回路14、メモリ16、及び後段画像処理回路18の各回路と、表面画像及び裏面画像の少なくとも一方からノイズ線60の除去が行われるように各々の回路を制御する制御部12を含む。
【0047】
前段画像処理回路14は、得られた表面画像及び裏面画像に対してリアルタイムの画像処理を行う回路であり、具体的には、明度調整や色ずれの補正等を行う。前段画像処理回路14は、表面画像に対してリアルタイムの画像処理を行う表面用前段画像処理回路14Aと、裏面画像に対してリアルタイムの画像処理を行う裏面用前段画像処理回路14Bを備えており、第1光学センサ86Aから得られた表面画像は表面用前段画像処理回路14Aに入力され、第2光学センサ86Bから得られた裏面画像は裏面用前段画像処理回路14Bに入力される。
【0048】
メモリ16は、前段画像処理回路14で画像処理が行われた表面画像及び裏面画像を記憶する記憶領域である。メモリ16は、表面画像を記憶する表面用メモリ16Aと、裏面画像を記憶する裏面用メモリ16Bを備える。表面用メモリ16Aは第1メモリの一例であり、裏面用メモリ16Bは第2メモリの一例である。
【0049】
後段画像処理回路18は、一旦メモリ16に記憶された表面画像及び裏面画像に対して画像処理を行う回路である。後段画像処理回路18で行われる画像処理には様々な種類が存在するが、そのうちの1つとして後段画像処理回路18では、ノイズ線60を除去する画像処理が行われる。
【0050】
除去回路18Aは、表面画像及び裏面画像の少なくとも一方からノイズ線60を除去する回路である。除去回路18Aは前段画像処理回路14やメモリ16と異なり、表面画像用と裏面画像用に独立しておらず、表面画像及び裏面画像で共用する単一の回路として存在する。
【0051】
除去回路18Aは、検知部18B及び除去部18Cを含み、検知部18Bは、原稿Pの読み取り位置に付着した汚れの原稿Pの幅方向における位置を検知する。以降では、第1光学センサ86Aによる原稿Pの読み取り位置に付着した汚れの原稿Pの幅方向における位置を表す情報を「表面汚れ位置情報」という。また、第2光学センサ86Bによる原稿Pの読み取り位置に付着した汚れの原稿Pの幅方向における位置を表す情報を「裏面汚れ位置情報」という。なお、表面汚れ位置情報と裏面汚れ位置情報を区別して説明する必要がない場合には、単に「汚れ位置情報」ということがある。表面汚れ位置情報は第1位置情報の一例であり、裏面汚れ位置情報は第2位置情報の一例である。
【0052】
除去部18Cは、検知部18Bで検知される表面汚れ位置情報に基づいて表面画像におけるノイズ線60の発生位置を特定すると共に、同じく検知部18Bで検知される裏面汚れ位置情報に基づいて裏面画像におけるノイズ線60の発生位置を特定し、例えば平滑化フィルタやメディアンフィルタといった公知のフィルタを用いてノイズ線60を除去する画像処理を行う。
【0053】
除去回路18Aでは1つの汚れ位置情報しか保持できないため、制御部12は、表面画像からノイズ線60を除去する場合には除去回路18Aに表面汚れ位置情報を設定し、裏面画像からノイズ線60を除去する場合には除去回路18Aに裏面汚れ位置情報を設定するというように、処理対象に応じて汚れ位置情報を切り換えて設定する必要がある。
【0054】
次に、画像読み取り装置10における電気系統の要部構成例について説明する。
【0055】
図5は、画像読み取り装置10における電気系統の要部構成例を示す図である。画像読み取り装置10における制御部12は例えばコンピュータ20を用いて構成される。
【0056】
コンピュータ20は、画像読み取りプログラムを読み込んで制御部12が担う処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21、コンピュータ20を画像読み取り装置10の制御部12として機能させる画像読み取りプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)22、CPU21の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)23、不揮発性メモリ24、及び入出力インターフェース(I/O)25を備える。そして、CPU21、ROM22、RAM23、不揮発性メモリ24、及びI/O25がバス26を介して各々接続されている。
【0057】
不揮発性メモリ24は、不揮発性メモリ24に供給される電力が遮断されても、記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。不揮発性メモリ24は必ずしもコンピュータ20に内蔵されている必要はなく、例えばコンピュータ20に着脱可能な可搬型の記憶装置であってもよい。
【0058】
I/O25には、例えば駆動制御部27、表面用前段画像処理回路14A、裏面用前段画像処理回路14B、表面用メモリ16A、裏面用メモリ16B、後段画像処理回路18、第1光学センサ86A、及び第2光学センサ86Bが接続される。
【0059】
駆動制御部27は、原稿搬送ユニット40における原稿Pの搬送を制御する機能部であり、制御部12は駆動制御部27と連携して、第1光学センサ86A及び第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取りタイミングを制御する。
【0060】
なお、I/O25に接続される回路等は図5に示したものに限られない。例えばインターネット等の通信回線に接続し、図示しない外部装置との間でデータ通信を行う通信ユニットや、画像読み取り装置10とユーザとのインターフェースを提供するUI(User Interface)ユニットがI/O25に接続される。
【0061】
次に、画像読み取り装置10によって実行されるノイズ線除去処理について説明する。画像読み取り装置10では、原稿Pの片面のみを読み取る片面読み取りモードと、原稿Pの両面を読み取る両面読み取りモードが存在するが、片面読み取りモードが選択されているものとする。片面読み取りモードでは、画像読み取り装置10はユーザから指示された原稿Pの面を読み取るが、ここでは一例として原稿Pの表面画像からノイズ線60を除去するノイズ線除去処理について説明する。
【0062】
図6は、原稿Pが搬送され、原稿Pの先端が第1光学センサ86Aにおける原稿Pの読み取り位置に到達した場合に、制御部12のCPU21によって実行される表面画像に対するノイズ線除去処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、図7は、画像処理部100における表面画像のデータ経路の一例を示した図である。
【0063】
ノイズ線除去処理を規定する画像読み取りプログラムは、例えば画像読み取り装置10の制御部12におけるROM22に予め記憶されている。CPU21は、ROM22に記憶される画像読み取りプログラムを読み込んでノイズ線除去処理を実行する。
【0064】
ステップS10において、CPU21は、表面画像の読み取りを開始する。CPU21は、原稿Pの幅方向に1ラインずつ読み取った表面画像を表面用前段画像処理回路14Aに順次入力して明度調整等を行った後、表面用メモリ16Aに記憶する(図7の経路31参照)。
【0065】
ステップS20において、CPU21は、第1光学センサ86Aで最初に読み取った原稿Pの幅方向の画像、すなわち、第1光学センサ86Aによる原稿Pの読み取り範囲全域に原稿Pが搬送される前に第1光学センサ86Aで読み取った画像(表面汚れ検知用画像)を除去回路18Aに入力する(図7の経路30参照)。表面汚れ検知用画像には、第1光学センサ86Aで原稿Pの表面を読み取る際に第1原稿読み取りガラス78に付着している汚れ96に対応した画像が含まれることになる。
【0066】
ステップS30において、CPU21は、表面汚れ検知用画像を除去回路18Aの検知部18Bに入力し、表面汚れ検知用画像から表面汚れ位置情報を取得するように検知部18Bを制御する。具体的には、CPU21は、第1原稿読み取りガラス78に汚れ96が付着していない状況で第1光学センサ86Aが読み取った画像(第1基準画像)と表面汚れ検知用画像の差分から表面汚れ検知用画像における汚れ96の位置を検知し、表面汚れ位置情報を生成するように検知部18Bを制御する。CPU21は、取得した表面汚れ位置情報を除去回路18Aに設定する。
【0067】
なお、CPU21は、検知部18Bで表面汚れ位置情報を生成している間も、第1光学センサ86Aで原稿Pの表面の読み取りを継続し、表面画像を1ラインずつ表面用メモリ16Aに記憶する。
【0068】
ステップS40において、CPU21は、表面用メモリ16Aに記憶されている表面画像を表面用メモリ16Aから取得して、除去回路18Aの除去部18Cに入力する。メモリ16から表面画像のようなメモリ16に記憶されているデータを取得した場合、取得したデータはメモリ16から消去される。
【0069】
ステップS50において、CPU21は、ステップS30で設定した表面汚れ位置情報に基づいて入力された表面画像におけるノイズ線60の発生位置を特定し、表面画像からノイズ線60を除去するように除去部18Cを制御する。
【0070】
ステップS60において、CPU21は、まだ第1光学センサ86Aで原稿Pの読み取りが終了しておらず、表面用メモリ16Aに残りの表面画像が記憶されているか否かを判定する。表面用メモリ16Aに残りの表面画像が記憶されている場合には、ステップS40に移行し、表面用メモリ16Aに記憶されている残りの表面画像を取得して除去回路18Aの除去部18Cに入力する。
【0071】
すなわち、ステップS60の判定処理で、表面用メモリ16Aに残りの表面画像が記憶されていないと判定されるまでステップS40~S60を繰り返し実行することで、除去回路18Aの除去部18Cに入力された表面画像の部分毎にノイズ線60が除去され、CPU21が、ノイズ線60が除去された各々の表面画像の部分を結合することで、全体からノイズ線60が除去された表面画像が得られることになる。
【0072】
CPU21は、ノイズ線60が除去された原稿Pの表面画像を例えば不揮発性メモリ24に記憶し、ユーザにノイズ線60が除去された原稿Pの表面画像を提供する。
【0073】
一方、ステップS60の判定処理で、表面用メモリ16Aに表面画像が記憶されていないと判定された場合には、第1光学センサ86Aで原稿Pの読み取りが終了したことを意味するため、図6に示すノイズ線除去処理を終了する。
【0074】
ユーザによって指定された原稿Pの読み取り面が原稿Pの裏面である場合には、図6のステップS10~S60の説明において、表面画像を裏面画像、表面用前段画像処理回路14Aを裏面用前段画像処理回路14B、表面用メモリ16Aを裏面用メモリ16B、第1光学センサ86Aを第2光学センサ86B、表面汚れ検知用画像を裏面汚れ検知用画像、第1原稿読み取りガラス78を図示しない第2原稿読み取りガラス、表面汚れ位置情報を裏面汚れ位置情報、及び第1基準画像を第2基準画像にそれぞれ読み替えればよい。第2基準画像とは、図示しない第2原稿読み取りガラスに汚れ96が付着していない状態で第2光学センサ86Bが読み取った画像のことである。第1基準画像及び第2基準画像は、例えば不揮発性メモリ24に予め記憶しておけばよい。
【0075】
図6のノイズ線除去処理では第1光学センサ86Aによる原稿Pの読み取り終了を待たずに表面用メモリ16Aから表面画像を取得して除去回路18Aの除去部18Cに入力する例を示した。しかしながら、CPU21は、第1光学センサ86Aによる原稿Pの読み取りが終了してから、表面用メモリ16Aから表面画像を取得して除去回路18Aの除去部18Cに表面画像を入力してもよい。この場合、図6のステップS60を削除すると共に、ステップS30とS40の間に、表面画像の読み取りが終了したか否かを判定する判定処理を追加し、当該追加した判定処理で表面画像の読み取りが終了したと判定されるまでステップS40に移行しないようにすればよい。
【0076】
次に、ユーザによって原稿Pの両面読み取りモードが選択された場合のノイズ線除去処理について説明する。
【0077】
図8は、原稿搬送路56に沿って原稿Pが搬送され、原稿Pの先端が第1光学センサ86Aにおける原稿Pの読み取り位置に到達した場合に、制御部12のCPU21によって実行される、両面読み取りモードに対応したノイズ線除去処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、図9図12は、画像処理部100における表面画像及び裏面画像のデータ経路の一例を示した図である。
【0078】
ステップS100において、CPU21は、第1光学センサ86Aで表面画像の読み取りを開始する。
【0079】
ステップS110において、CPU21は、原稿Pの幅方向に読み取った表面汚れ検知用画像を表面用前段画像処理回路14Aに入力して明度調整等を行った後、表面用前段画像処理回路14Aで処理済みの表面汚れ検知用画像を表面用メモリ16Aに記憶することなく除去回路18Aに入力する(図9の経路32参照)。
【0080】
ステップS120において、CPU21は、表面汚れ検知用画像を除去回路18Aの検知部18Bに入力し、第1基準画像と表面汚れ検知用画像の差分から表面汚れ検知用画像における汚れ96の位置を検知し、表面汚れ位置情報を生成するように検知部18Bを制御して、表面汚れ位置情報を取得する。
【0081】
ステップS130において、CPU21は、ステップS120で取得した表面汚れ位置情報を例えば表面用メモリ16Aに記憶して、以降に説明する裏面汚れ位置情報の取得によってステップS120で取得した表面汚れ位置情報が上書きされないように、表面汚れ位置情報を一時的に退避する。
【0082】
CPU21は、検知部18Bで表面汚れ位置情報を生成している間も、第1光学センサ86Aで原稿Pの表面の読み取りを継続しているため、表面汚れ検知用画像を除いた表面画像を1ラインずつ表面用メモリ16Aに記憶する(図10の経路33参照)。
【0083】
一方、原稿Pの搬送が進むと、原稿Pの先端が第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置に到達することになる。したがって、ステップS140において、CPU21は、原稿Pの先端が第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置に到達したか否かを判定する。原稿Pの先端が第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置に到達したか否かは、例えば第1光学センサ86Aで原稿Pの読み取りを開始してからの経過時間と、原稿搬送路56における原稿Pの搬送速度と、第1光学センサ86Aにおける原稿Pの読み取り位置から第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置までの原稿搬送路56に沿った搬送方向R1の距離の関係性から判定すればよい。
【0084】
原稿Pの先端が第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置に到達していないと判定された場合にはステップS140の判定処理を繰り返し実行して、原稿Pの先端が第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置に到達するまで原稿Pの搬送状況を監視する。
【0085】
一方、原稿Pの先端が第2光学センサ86Bにおける原稿Pの読み取り位置に到達したと判定された場合にはステップS150に移行する。
【0086】
ステップS150において、CPU21は、第1光学センサ86Aで読み取った原稿Pの表面画像を表面用メモリ16Aに記憶しながら、第2光学センサ86Bで裏面画像の読み取りを開始する。
【0087】
ステップS160において、CPU21は、原稿Pの幅方向に読み取った裏面汚れ検知用画像を裏面用前段画像処理回路14Bに入力して明度調整等を行った後、裏面用前段画像処理回路14Bで処理済みの裏面汚れ検知用画像を裏面用メモリ16Bに記憶することなく除去回路18Aに入力する(図10の経路34参照)。
【0088】
ステップS170において、CPU21は、裏面汚れ検知用画像を除去回路18Aの検知部18Bに入力し、第2基準画像と裏面汚れ検知用画像の差分から裏面汚れ検知用画像における汚れ96の位置を検知し、裏面汚れ位置情報を生成するように検知部18Bを制御して、裏面汚れ位置情報を取得する。
【0089】
ステップS180において、CPU21は、ステップS170で取得した裏面汚れ位置情報を例えば裏面用メモリ16Bに記憶して、以降で表面画像からノイズ線60を除去するために除去回路18Aに設定する表面汚れ位置情報によって、ステップS170で取得した裏面汚れ位置情報が上書きされないように裏面汚れ位置情報を一時的に退避する。
【0090】
CPU21は、検知部18Bで裏面汚れ位置情報を生成している間も、第2光学センサ86Bで原稿Pの裏面の読み取りを継続しているため、裏面汚れ検知用画像を除いた裏面画像を1ラインずつ裏面用メモリ16Bに記憶する(図11の経路35参照)。
【0091】
ステップS190において、CPU21は、第1光学センサ86Aで原稿Pの表面の読み取りが終了したか否かを判定する。具体的には、CPU21は、第1光学センサ86Aで原稿Pの読み取りを開始してからの経過時間と、原稿搬送路56における原稿Pの搬送速度と、原稿Pの搬送方向R1に沿った長さの関係性から判定すればよい。
【0092】
まだ、第1光学センサ86Aで原稿Pの表面の読み取りが終了していないと判定された場合には、ステップS190の判定処理を繰り返し実行して、第1光学センサ86Aによる原稿Pの表面の読み取り状況を監視する。
【0093】
一方、第1光学センサ86Aで原稿Pの表面の読み取りが終了したと判定された場合にはステップS200に移行する。
【0094】
第2光学センサ86Bによる原稿Pの読み取り位置は第1光学センサ86Aによる原稿Pの読み取り位置よりも原稿Pの搬送方向R1の下流側にあるため、この時点では、まだ第2光学センサ86Bによる原稿Pの裏面の読み取りは継続中である。
【0095】
ステップS200において、CPU21は、第2光学センサ86Bで読み取った原稿Pの裏面画像を裏面用メモリ16Bに記憶しながら、ステップS130で表面用メモリ16Aに記憶した表面汚れ位置情報を表面用メモリ16Aから取得し、取得した表面汚れ位置情報を除去回路18Aに設定する。
【0096】
ステップS210において、CPU21は、表面用メモリ16Aに記憶されている表面画像を表面用メモリ16Aから取得して、除去回路18Aの除去部18Cに入力する(図11の経路36参照)。
【0097】
これにより、除去回路18Aには表面汚れ位置情報と表面画像が入力されることから、ステップS220において、CPU21は、表面汚れ位置情報に基づいて表面画像におけるノイズ線60の発生位置を特定し、例えば公知のフィルタを用いて表面画像からノイズ線60を除去する画像処理を行うように除去回路18Aを制御する。
【0098】
表面画像からノイズ線60を除去した後も第2光学センサ86Bでは原稿Pの裏面の読み取りが行われているため、ステップS230において、CPU21は、第2光学センサ86Bで原稿Pの裏面の読み取りが終了したか否かを判定する。具体的には、CPU21は、第2光学センサ86Bで原稿Pの読み取りを開始してからの経過時間と、原稿搬送路56における原稿Pの搬送速度と、原稿Pの搬送方向R1に沿った長さの関係性から判定すればよい。
【0099】
まだ、第2光学センサ86Bで原稿Pの裏面の読み取りが終了していないと判定された場合には、ステップS230の判定処理を繰り返し実行して、第2光学センサ86Bによる原稿Pの裏面の読み取り状況を監視する。
【0100】
一方、第2光学センサ86Bで原稿Pの裏面の読み取りが終了したと判定された場合にはステップS240に移行する。
【0101】
除去回路18Aでは既に表面画像からのノイズ線60の除去が終了しているため、表面汚れ位置情報は不要となる。したがって、ステップS240において、CPU21は、除去回路18Aに設定されている表面汚れ位置情報を退避させることなく、ステップS180で裏面用メモリ16Bに記憶した裏面汚れ位置情報を裏面用メモリ16Bから取得して除去回路18Aに設定する。
【0102】
ステップS250において、CPU21は、裏面用メモリ16Bに記憶されている裏面画像を裏面用メモリ16Bから取得して、除去回路18Aの除去部18Cに入力する(図12の経路37参照)。
【0103】
これにより、除去回路18Aには裏面汚れ位置情報と裏面画像が入力されることから、ステップS260において、CPU21は、裏面汚れ位置情報に基づいて裏面画像におけるノイズ線60の発生位置を特定し、例えば公知のフィルタを用いて裏面画像からノイズ線60を除去する画像処理を行うように除去回路18Aを制御する。
【0104】
以上により、原稿Pの表面画像及び裏面画像のそれぞれからノイズ線60が除去されることになるため、図8に示した両面読み取りモードに対応したノイズ線除去処理を終了する。
【0105】
図8の両面読み取りモードに対応したノイズ線除去処理では、第1光学センサ86Aによる原稿Pの読み取りが終了したことを確認してから表面画像に対してノイズ線60の除去を行うと共に、第2光学センサ86Bによる原稿Pの読み取りが終了したことを確認してから裏面画像に対してノイズ線60の除去を行う例を示した。しかしながら、第1光学センサ86A及び第2光学センサ86Bによるそれぞれの原稿Pの読み取り終了を待たずにノイズ線60の除去を開始してもよい。
【0106】
図13は、第1光学センサ86A及び第2光学センサ86Bによるそれぞれの原稿Pの読み取り終了を待たずにノイズ線60の除去を開始する両面読み取りモードに対応したノイズ線除去処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0107】
図13に示すノイズ線除去処理は、原稿Pの先端が第1光学センサ86Aにおける原稿Pの読み取り位置に到達した場合に、制御部12のCPU21によって実行される。
【0108】
図13に示すノイズ線除去処理が図8に示したノイズ線除去処理と異なる点は、ステップS190を削除した代わりにステップS225を追加し、ステップS230を削除した代わりにステップS265を追加した点である。その他の処理は図8に示したノイズ線除去処理と同じであるため、以降では図8に示したノイズ線除去処理と異なる処理を中心に説明を行う。
【0109】
図13に示すノイズ線除去処理では、ステップS180で裏面汚れ位置情報を裏面用メモリ16Bに記憶した後、第1光学センサ86Aで原稿Pの表面の読み取りが終了するのを待つことなくステップS200に移行し、表面用メモリ16Aに記憶されている表面汚れ位置情報を除去回路18Aに設定する。そして、ステップS210でCPU21は、表面用メモリ16Aに記憶されている読み取り途中の表面画像を表面用メモリ16Aから取得して、除去回路18Aの除去部18Cに入力し、ステップS220で当該表面画像からノイズ線60を除去する。
【0110】
ステップS225において、CPU21は、まだ第1光学センサ86Aで原稿Pの読み取りが終了しておらず、表面用メモリ16Aに残りの表面画像が記憶されているか否かを判定する。表面用メモリ16Aに残りの表面画像が記憶されている場合には、ステップS210に移行し、表面用メモリ16Aに記憶されている残りの表面画像を取得して除去回路18Aの除去部18Cに入力する。
【0111】
すなわち、ステップS225の判定処理で、表面用メモリ16Aに残りの表面画像が記憶されていないと判定されるまでステップS210~S225を繰り返し実行することで、除去回路18Aの除去部18Cに入力された表面画像の部分毎にノイズ線60が除去されるため、CPU21が、ノイズ線60が除去された各々の表面画像の部分を結合することで、全体からノイズ線60が除去された表面画像が得られることになる。
【0112】
表面画像からノイズ線60を除去した後は、裏面画像に対してステップS200~S225と同じ処理を実行すればよい。
【0113】
表面画像からノイズ線60を除去した時点では、まだ第2光学センサ86Bでは原稿Pの裏面を読み取っている最中であるが、第2光学センサ86Bで原稿Pの裏面の読み取りが終了するのを待つことなくステップS240に移行し、裏面用メモリ16Bに記憶されている裏面汚れ位置情報を除去回路18Aに設定する。そして、ステップS250でCPU21は、裏面用メモリ16Bに記憶されている読み取り途中の裏面画像を裏面用メモリ16Bから取得して除去回路18Aの除去部18Cに入力し、ステップS260で当該裏面画像からノイズ線60を除去する。
【0114】
ステップS265において、CPU21は、まだ第2光学センサ86Bで原稿Pの読み取りが終了しておらず、裏面用メモリ16Bに残りの裏面画像が記憶されているか否かを判定する。裏面用メモリ16Bに残りの裏面画像が記憶されている場合には、ステップS250に移行し、裏面用メモリ16Bに記憶されている残りの裏面画像を取得して除去回路18Aの除去部18Cに入力する。
【0115】
すなわち、ステップS265の判定処理で、裏面用メモリ16Bに残りの裏面画像が記憶されていないと判定されるまでステップS250~S265を繰り返し実行することで、除去回路18Aの除去部18Cに入力された裏面画像の部分毎にノイズ線60が除去されるため、CPU21が、ノイズ線60が除去された各々の裏面画像の部分を結合することで、全体からノイズ線60が除去された裏面画像が得られることになる。
【0116】
以上、実施の形態を用いて本発明について説明したが、本発明は実施の形態に記載の範囲に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
【0117】
また、実施の形態では、一例としてノイズ線除去処理をソフトウェアで実現する形態について説明したが、図6図8、及び図13に示したフローチャートと同等の処理を、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはPLD(Programmable Logic Device)に実装し、ハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、ノイズ線除去処理をソフトウェアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0118】
このように、画像読み取り装置10における制御部12のCPU21を例えばASIC、FPGA、PLD、GPU(Graphics Processing Unit)、及びFPU(Floating Point Unit)といった特定の処理に特化した専用のプロセッサに置き換えてもよい。
【0119】
実施の形態に係る画像読み取り装置10の制御部12の動作は、1つのCPU21によって実現される形態の他、複数のCPU21によって実現される形態であってもよい。更に、実施の形態に係る画像読み取り装置10の制御部12の動作は、物理的に離れた位置に存在するプロセッサの協働によって実現されるものであってもよい。
【0120】
また、上述した実施の形態では、ROM22に画像読み取りプログラムがインストールされている形態について説明したが、これに限定されるものではない。実施の形態に係る画像読み取りプログラムは、コンピュータ20で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば画像読み取りプログラムをCD(Compact Disc)-ROM、またはDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、実施の形態に係る画像読み取りプログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリやメモリカード等の可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。
【0121】
更に、画像読み取り装置10の制御部12は、図示しない外部装置から通信回線を通じて画像読み取りプログラムを取得してもよい。
【符号の説明】
【0122】
10 画像読み取り装置、12 制御部、14 前段画像処理回路、14A 表面用前段画像処理回路、14B 裏面用前段画像処理回路、16 メモリ、16A 表面用メモリ、16B 裏面用メモリ、18 後段画像処理回路、18A 除去回路、18B 検知部、18C 除去部、20 コンピュータ、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 不揮発性メモリ、25 I/O、26 バス、27 駆動制御部、30~37 経路、40 原稿搬送ユニット、42A 積載台、42B 排出台、46 第2基準白色板、50 処理ユニット、52 プラテンガラス、56 原稿搬送路、60 ノイズ線、64 ピックアップロール、66 フィードロール、68 プリレジストロール、70 レジストロール、72 アウトロール、74 排出ロール、78 第1原稿読み取りガラス、80 フルレートキャリッジ、82 ハーフレートキャリッジ、84 レンズ、86A 第1光学センサ、86B 第2光学センサ、88 光源、90 第1ミラー、92 第2ミラー、94 第3ミラー、98 第1基準白色板、100 画像処理部、P 原稿、R1 搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13